2021-11-16 16:04:56 更新

概要

注意事項

エロ本よ

ちょっとエロゲーの主人公っぽいのをやってみたかった

この物語は18禁です
この物語はフィクションです
実在の氏名、団体、あとなんやかんやとは一切合切関係がありません
また、すべてのエロい人達の為に理想と現実の区別は付けてくださいね
まぁ、現実なんてしょーもないものだけど一応ね




夜明け前よりまだ早い、丑三つ刻にも近いそんな時間

古い神社の石段を、一つ、また一つと歩いていく


今日は新月か、はたまたもう沈んだ後なのか


薄い星あかりの暗がりを、迷うことなく歩いていけるのは、それがもう慣れた道だったから

一つ、また一つ、最初の内は丁寧に登っていた石段も、十を数える頃には段々と面倒にもなってくる

次第に早足になり、広がっていく歩幅。それにつれて躓きそうになる足場を乗り越えて

一段飛ばして強引に石段を上がっていくと、流石に頂上につく頃には息が上がっていた


「ふぅ…はぁ…」


疲れた息を吐き出して、気持ちを入れ替えるように大きく息を吸う

深夜の冷えた空気が息の上がった体に心地いい

それと同時に、寒気とは違う身震いするような感覚が通り過ぎていく

ドキッとするような高揚感と、しんっと落ち着いていく境内の空気に、何処か懐かしさも感じていた


長い石段を登りきった鳥居の手前

火照った体と、浮ついた心を沈めながら遠くに広がった町並みを眺めていた


見慣れた光景だ


それも綺麗だとは思うけど、それ以上にどうこうといった感情も起こらない

やがて、夜風に冷やされた体が寒気を思い出すと、見下ろしていた町並みから顔を上げて


「…おはよ」


右へ左へ、そこに鎮座している立派な狛犬の石像に声を掛けた

おはようと、返事があったことはないけども

なんとなくでも、迎えられているような気がして、思わず「ただいま」と呟きたくもなっていた


参道を進み拝殿へ


大きくもないが、寂れてもいない

よくよく手入れもされていて、古ぼけた具合も味に思う


じゃらん…じゃらん…


賽銭箱の手前、ぶら下がった縄を引いて鈴の音を鳴らす

いや、鈴というにはあまりにデカイし、デカすぎるその音は思うより幾らも低く

今日こそはと、その音色に思いを馳せるけれど、この年になるまで思い通りの音色がなった試しがない


じゃらん…じゃらん…


人目が無いのは良いことだ

子供の時こそ、そのギャップを面白がって何度も鈴を鳴らして遊んでいたが


1日1回、2日に3回…


それで、神社の巫女さんを困らせたりなんかもして


ぱんっ…ぱんっ…


子供心に残った手癖が飽きるまで、鈴の音を堪能したあと

おもむろに賽銭箱へと5円玉を放り込む

頭を下げて、柏手をうち、ついでに合掌したまま固まって


息を吸う、息を吐く


それを何度か繰り返して、体の中を空っぽに、頭の中を空っぽに

そうしてそのまま、瞑想にも似た面持ちでしばらく空に身を流していた


こんな時、何かお願いごとの一つでもするものだろうが


ふわりと、浮かんだ雑念が流れていく


しかし、折り入って願うことも無いというのは、ある意味恵まれているのかもしれない


「…ふぅ」


短い瞑想も束の間、増えてきた雑念を前に目を開く

開いた瞳にもまだ暗い深夜の境内、草木も眠る丑三つ刻、つられて自分も眠ってしまいそうな静けさの中

聞こえてきたのは眠そうな声と、そのとおりの寝ぼけ眼が影を作っていた


「ふわぁぁぁ…おはよー」


いつからそこに居たのか、いつの間にそばに居たのか

その少女は、賽銭箱の隅に腰を引っ掛けながら、大きく一つ伸びをする


「今日も早いねぇ…んんぅぅ…。まだ夜じゃない」


こすった目元に赤みの残る顔

金糸の髪はいかにもという具合にボサボサのまま、可愛い顔がまるで台無しだった


「夜って言うにもだいぶ遅いけど」

「夜道は危ないって言うのにさぁもう…」

「そうだけど…」


その心配も理解はするが、そうしなきゃいけないのはキミのせいだとは言いづらい

知り合いの巫女さん、というだけならまだ良いが

付近じゃ見かけない髪の色どころか、その頭には狐を模した様な耳が跳ね

腰のあたりには、稲穂のような尻尾まで流れている


わかりやすいでしょ?


とは彼女の言だったが、自分がその不可思議さに疑問を持つまでには結構な時間がかかってしまった


「それで、今日もお願い事は?」

「…特には?」

「またぁ?」


寝ぼけ眼の次は不満そうに口を尖らせてくる


いつもの問いかけ、いつものやり取り


初めて引いた おみくじに付いてきた オマケ

と、言えばきっと彼女は怒るだろうが、出会いとしてはそんなものだった


以来、神社に顔を出す度、話しかけられ

そうやって話し込むほどに、段々と人の目が気になってくる

「誰と話しているの?」顔も知らない おばさんに言われたのが決定打だった


ああ、普通ではないのか


少なくとも好意的な視線ではない、甘く見ても奇異の目だ

なら、もう来ない無視をする、避けるって手段もきっとあったのに


もう話しかけないでっ


わざわざ彼女の前でそれを言う。子供ながらの率直さといえば可愛げもあるが

配慮も遠慮もない俺の言葉は、酷く彼女を傷つけたようで

まるでこの世の終わりのような顔、親に捨てられた子供のように肩を落とし


消沈、落胆、後悔と…


それを言った俺を責めるでもなく

「ごめんね…」と、彼女の静かな泣き寝入りは、俺が初めて後悔を覚えた瞬間でもあった



「じゃあ、お金が欲しい」

「お金? お金かぁ…お金なぁ…」


呆れる彼女に、即物的なお願いしてみる


それで思いつく悩みの大半は解決できるが上のお願いだったが

その狐の耳が しゅんっと垂れていた

気まずそうに賽銭箱に視線を落とし「そっかぁ…でもなぁ…」と飽きもせずに小言を繰り返す


「そもそも中に入ってるのか、それ?」

「しっつれいだなっ! キミが人目を避けるくらいには人は来ているんだよ」


遠慮のない疑問に、気を立てた彼女の尻尾が総毛立ち

ぷんすかと溜め込まれた憤慨が、見た目以上に尻尾とほっぺを膨らませていた


「ふふっ、そうだな。だからって二束三文貰っても使いみちに困るが?」


このご時世、銀行に預けるにも金を取られるし

はした金は、ことごとくはした金というのは世知辛い


「まだ言うかっ! みてろよー、みてなさいよっ。小銭以外にだってねぇ…」


そろーり、そろーり…


彼女が賽銭箱に手を差し込んでいく

その隙間よりも手が細い、なんてことはなく、突っ込んだ手はそのまま木枠をすり抜けていた

不思議なこともあるものだが、目の前の彼女以上に不思議なものもそうはない


友人か、それとも姉か妹か、あるいはそんな期待をしている自分もいたが

しかし、賽銭箱を漁っている彼女の後ろ姿は、どう見繕っても不信心者でしかなかった


「じゃーんっ。どうよ? どうだよ? 見てみなさいよ?」


得意げに広げられたのは千円札


確かに、あぶく銭としては十分で、下手に1万円を渡されるよりも、使い勝手は良いものだったが


「横領かよ…」

「うぐっ…」


その一言が、彼女の良心を苛んだ

呵責に囚われた両肩には みるみると罪悪感が積み重なり


「でもぉ…キミが欲しいって言うじゃん、お小遣いくらいさぁ…」

「今度は責任転嫁か…」

「ぁぁぁぁぁ…」


終いには泣き出した


喉の どこそこから声を絞り出して、可愛い顔が見るも無残になっていく

いや、それでも可愛いからずるいのか。なんて、いじめっ子の発想は素直に俺の口元を緩ませていた


「ふふっ」

「あ? あぁぁーっ! 今笑ったなっ、笑ったでしょっ!? 絶対っ!!」

「はははっ、そりゃまぁ」


突きつけられた指先を開き直って受け止めて

ひらひらと振り回されていた1000円札を彼女の手から摘みとった


「ちょっ…それ、もう…大事に使ってよね…」

「そうだね。それはそうだろうけど…」


言いながらも、受け取った1000円札は直ぐに賽銭箱に差し込んでいた

そのまま、拍手を鳴らし、礼をして…手慰みに、じゃんらじゃんらと余計に鈴を鳴らす


「うるさい、うるさいうるさいって。無意味に鳴らすなって、いつも言ってるじゃない」

「子供って、音がなるもの好きだよね」

「自分で言うな、自分で」


彼女に腕を掴まれてようやく、鈴の音が鳴り止んだ


うるさかった分だけ境内は静けさを取り戻し

不意に途切れた会話が余計に気になると、変にお互いの呼吸だけが耳に残る


「あっと…ごめん…」


何に謝ったのか、慌てた彼女が手を離す

残った彼女の体温が夜風に攫われ、肌寒くなっていくのが恨めしい


そんな風に考えたからだろうか?


今までも、きっとこれからだって

合う度にお願いごとを聞かれるのは少し面倒に思う

ここらで一つ、何か分かりやすいお願い事でもして見るほうが、彼女も安心するんじゃないか


「ねぇ、お願い事って何でも良いの?」

「え、あ、まぁ? 私に出来るんならだけど…なに、急に? やっぱり1000円欲しい?」


不審がられもするか


今までのらりくらりと誤魔化してきた話題を、今になって確認しているんだから


「1000円よりも…。そうだな、キミが欲しい」

「は?」


キョトンとした顔


声は聞こえているはずなのに、その意味をわざと避けているような疑問符を頭に浮かべている


だから…


「とや」


彼女の肩を捕まえて、その瞳をまっすぐに捉えて名前を呼ぶ

久しぶりに呼んだ彼女の名前に頬が熱くなるが、それさえも攫っていく夜風が有り難い


「俺は、キミが欲しいんだ。具体的にいうと、えっ…」

「まってまってまってっ!? 分かった、分かったから、それ以上は、まって…ね?」


慌てた とやに口を塞がれ、それもすぐに力なく離れていく

「そう」と、触れた彼女の指先の感触には、努めて気にしないふりをして


「というわけだから、この話題はお終いだ」

「うぐ…」


良いものが見れた、予想通りといえばそうだけど


いつも何かに付けて年上振る彼女が、つつましく俯いている

その姿は身震いするほど愛らしく、それでいて彼女はこれで この話題には触れられないだろうとも思う


少し…惜しいか


まあ、でも、一度口にしなくなれば自ずと忘れていくだろう

後は気の置けない友人としてでも、あるいは どうしようもない姉としてでも、接し方はいくらでもあるはずだった


「それじゃあ、また…」


心なしか、空に明かりが広がってきたのを見計らって、俺は踵を返していた

その横目に とや が何かを言おうとしていたのに気づいてはいたけれど

ヤケを起こした彼女が何を言いだすか、分からないでもないだけに、努めて気づかない振りをして


「まってっ」


その言葉に、俺の足は止まっていた


「あの…その…まって、お願い…」


おどおど、うずうず、もじもじ…


縮こまった ままの彼女が、縮こまったまま俺の腕を捕まえてくる

痛いくらいにハッキリと、まるで帰す気なんて無い様に







やばい…


単純に、色々とひっくるめると、その言葉が私の頭を埋め尽くしていた


どうしてと言われれば意地もある


なんでもと、お願いを叶えてあげると言い続け

年頃の男の子にそんな事を言い続けようものなら、イタズラにでも言い返されることもあるだろう


それの何がムカつくってさ

それの何が可愛くないってさ


私が絶対に無理だとタカを括っている所だ

しかも、こう牽制してしまえば、次にも迂闊に「願い事」の話題を口に出来なくなる

子供 子供と子供扱いしていたあの子も、気付けば大人になっていたということなのか


なんと小賢しい事だ


乗せられるしか無かったのが癪にも触るが

結局、私の取れる選択肢は二つっきり


やるか、やらないか

するのか、しないのか


答えはイエスだ


なぁに、あの子だってまだ初めてのはず

なんならこっちから押し倒してしまえば意外と小さくなるかもしれない

年上をからかうんじゃないと、デコピンの一つでもしてあげて


あとは、うんまぁ…そういうのも良いかもしれないと思っていた


「もう話しかけないで」って、あの日言われた言葉


あの子が悪いわけじゃない、調子に乗って話しかけまくった私のせい

こんな事もあるだろうって、諦めきれずに泣いてしまった私のせいだから


自己満足だと分かっていても、私に付き合わせたあの子に 何かをしてあげたい

日増しに強くなるばかりだった自己犠牲的な感情を発散するにはいい機会ではある


そこに唯一の誤算があったとすれば

私は、私のヘタレ具合を、あの子以上に分かっていなかったことだろう



あの後、捕まえていた彼の手を引いて自分の部屋まで招いたは良いが

いざ服を脱ごうか、その段階になって急に指が震えだしていた

裸を見られるぐらいならまだしも、その後を考えるとどうしても、恥ずかしさとが混ぜ返って足踏みしてしまう


とっさに出た体の良い言い訳は「お風呂に行ってくる」なんてありきたりな口上だった


どうして私は風呂場にいるんだろう?


しかも裸で、しかも一人で


普通に寒いんですけど…


その寒さに頭が冷えたのならまだ許せる

だが、絶賛パニックは継続中だわ、体は震えるわで何一つ良いことが無い


「へっくち…」


いよいよと、くしゃみまで出てきてしまった

部屋に戻ろうか? でも今戻ったら あの子とすることになってしまうし

嫌なのか? 嫌な訳はないけど、心の準備というものが


しまったと思った時にはもう遅く


あのまま あの場で服を脱いでしまった方が、きっと楽だったと今になって気づいてしまう

中途半端に逃げてしまったせいで、余計な感情にグルグルと頭の中を掻き回されて


とりあえず


「お風呂はいろ…」


建前とはいえ、そう言って逃げてきたんだし

ちょっとくらい体が温まれば、ちょっとくらい時間が空けばお互い落ち着くだろう

そう思って蛇口を開き、祈るように下げた頭の上に落ちてきたのは ただの真水だった





襖が開くと、とや が部屋に戻ってきた


随分と待たされた、そんな文句はあったものの

風呂上がりへの期待。上気した肌や濡れた髪、石鹸の残り香に包まれる彼女の姿を想像して

それに期待していたのも振り返るまでだった


おかえり…


そう言おうとした口が固まる


上気した肌も、石鹸の残り香もそこにはなくて

濡れた髪もそこそこに、冷え切った肌はどこか青白さまで感じさせていた


「…」

「…」


無言のまま部屋に入ってきた とやは、そのまま敷いてあった布団へとへたり込む

あまりの消沈ぶりに掛ける言葉も思いつかず、無防備にもみえる体をそのまま押し倒しすべきかも悩ましい


「あ、あはは…ごめんね? またせちゃって…ていうか、もういいよね? こんな濡れ女なんかとさ…」


そうだなと、うなずいて見せれば

先の尖ったキツネの耳が しょぼんとへこたれて、今にも泣きそうに見えるほど目尻に涙が溜まりだす


たしかにもう良いとは思う


待ち望んで待たされて、ようやくと思えばこの有り様

薄い襦袢に透ける肌。まだ水気の残る肌が夜の空気に晒されて、薄く鳥肌さえも立っていた

今日はもういいからと、布団を巻きつけて寝かしつけてやりたくもあったが


そんな濡れ女でも


薄着に濡れた肌を晒されて、なんとも思わずにはいられないし

弱った彼女の姿を見ているだけで、むくむくした感情が心の底から湧いても来る


このまま押し倒したらどんな顔をするんだろう?


それでも大人しくイジケているのだろうか?

それとも少しは恥ずかしさを思い出すのだろうか?


考えている間にも腕は伸び

「ゃっ…」小さな悲鳴が聞こえる頃には、俺は彼女の姿を見下ろしていた



視線は合わせない


けれど抵抗もされない


少しは気を取り直したのか、若干にでも頬が色づいているような気はする


押し倒した拍子に乱れた襦袢の合わせ目が、より深く彼女の谷間を見せつけていた

もう少し、後少し、指でもかけるか、裾を引くかすれば乳首が見える

手を伸ばせば触れられる距離にそれはあり、そして彼女にそれを許されているのも分かる


正直、戻ってきたのが濡れ女で良かったかもしれない


いつもの調子で屈託なく笑顔を向けられていたら、どこまで我慢できていたもんか


薄っすらと、持ち上げられた襦袢の布地

快感とはまた別の、寒気からくる単純な身震いで固くなった乳首がそこにある

悪戯に、そのまま指で摘んでみても良かったけれど


「とや」


なるべく優しく、彼女の名前を呼ぶと ぴくっと体を震わせた


「別に…優しくしてくれなくても。こんな残念な女…好きにすればいいじゃない」


イジケている、しょげている、正直に面倒くさい上

望み通りにしたらしたで、それに拍車が掛かるのが想像できてしまうのが嫌だった


「本当に良いの?」

「だ、だって…そういうお願いでしょう? 私だって…冗談で言ってる訳じゃ…」

「ふーん、つまり とやは…」


あんな事や こんな事をされてもいいと?

むしろそうして欲しい? そんなんで喜んじゃえる変態だと?


いじける彼女の耳元へ、一つ一つと言葉を落としていく

大きな狐の耳たぶは、それはよく聞こえている事だろう


俺が一つを囁くたびに、彼女の体はふるふると揺れ始める

それ自体は大したことない言葉。エロ本ならばよく見るような言葉の数々でも

口に出されて、耳打ちされて、あまつさえ誤解されたとあらば


「ぃゃ…まって、ちが、わたしそんなんじゃ…ていうか、キミの趣味なんじゃ…それ」


いやいやと、体と一緒に頼りなく彼女の首が揺れる

それと同時に、青白かった彼女の肌の上に羞恥の色が戻り始めていた


「だとして? そうされたいの? とやは? そうしていいの? 俺は?」

「そんなわけっ…わたしは、もっとこう…普通にさぁ? あるでしょう?」

「普通って?」

「普通は…普通よ…。ほら、おっぱい触ったりとか…したくない? ぜんぜん?」

「触って欲しいんだ?」

「なぁっ…!? そんな、人をえっちな子みたいに。ていうか、耳元でボソボソ言うのやめて…」


くすぐったいのか、恥ずかしかったのか

逃げていく彼女の耳を追いかけて、捕まえる代わりに唇で啄んだ


とやの細い喉が鳴り、喉元まで出かかった声が口元に押し込まれる

ゆるゆると揺れていた体がぴくっと強ばると、流れに任せていた彼女がようやく抵抗らしい抵抗をしてみせた


「もうっ、意地悪しないでって…」


押し返そうとした とや の手が俺の肩に触れる

体格の差か、単純にその気がないものか、彼女が何もできないでいるうちに

俺は その手を捕まえると、布団の上へと押し付けた


なるほどと…


こうして見下ろしてみると大分目に毒だ

乱れた襦袢姿はそのままに、彼女の細い腕を捕まえて組み敷いている

手を伸ばせばどこにでも触れられそうなその場所から

捕まえられた腕を逃がそうと、今でも弱々しい抵抗を続ける彼女を見下ろしているのは

愛情とはまた別の、背徳感にも近い興奮が俺の背筋を震わせた


「わかったよ…じゃあ普通に。おっぱいだっけ?」

「だからそれが…ぁっ…」


わざとらしく口にして、遠回りに手を伸ばす

乱れた襦袢の隙間から、お腹の辺りに手を差し込んで


少しずつ…少しずつ…


柔らかい肌をくすぐるように、なめらかな肌を辿るようにして

忍ばせた手のひらが、彼女のおっぱいへと近付いていくと


襦袢の境


乳首の膨らみに僅かに引っかかっていた布地が大きくずれた


女の子らしい確かな膨らみが晒される

その中心に咲いた淡い色は、寒気とは別に色気づいていた


見とれてしまった


などと言えば悔しいが、伸ばしかけていた指先が思わず止まるほど、その色は俺の心を魅了する


「ね、ねぇ…なにか、へん?」


おそるおそるか


いつ触れられるのかと身構えて、閉ざされていた とやの目が躊躇いがちに開いていた

すぐ近くにも触れられているのに、一向に進まない指先

もどかしいのか、恥ずかしいのか、隠すように身を引くと、不安げな視線が見上げてくる


「うん」

「うぐっ…」


問われるままにうなずくと、途端に とやの瞳から涙が溢れてきた

しかし、その誤解が溢れる前に、涙の溜まる目尻に唇を置くと


「こんなに綺麗だとは思わなかった」


耳元に一つ


むずがる彼女の耳元に ぼそぼそと、素直な感想が囁いた


「ばっ…それ、やめ…って、いうか、なに? なんで、意地悪言ったの…」

「なんでだろうねぇ…」


その顔が見たいから


とは、素直に言わず


赤くなった とやの頬を撫でると、まだなにか言い足りない彼女の唇へ自分の唇を重ねていった


落胆と後悔と、照れ隠しに恥ずかしさ

行ったり来たりに揺れる彼女の表情が愛くるしい

なんでもかんでも素直に受け取って

それも全部俺のためかって思うと、その献身も、愛情も、くすぐったいくらいに嬉しい


何度も何回でも…


唇を重ねるだけのキスを繰り返す

それでも触れるたびに固くなる彼女の体をほぐすように、優しく頬を撫で付けながら


少しずつ下へ


首筋を辿り、鎖骨の窪みを確かめて

膨らみ始めた胸の袂から、その淡い乳首へと、一直線に指先を引いていく


「んんぅ…」


快感よりもくすぐったさか

ふるっと揺れる体に、とやが小さく息を飲み込んだ

それが落ち着くのを待ってから、もう一度確かめるように視線を重ねると、そのまま唇を落としていった


啄むように触れ合いながら、包み込むように手のひらを広げていくと


柔らかい胸の感触が、手のひらと溶け合って

湿った唇の感触が、何度も吸い付いてくる


そのままキスを繰り返し、彼女の胸を愛撫しながら

彼女の体を撫ぜながら、空いた手を滑らせていく


上から下に…


襦袢の合わせ目をゆっくりと開き、とやの肌を晒していく

解けた帯をくぐり抜け、お腹に、下腹部に、そうして太ももの内側へと 指先を伸ばしていった


「あっ…」


流石にか、声を漏らし、瞳を開いた とやが 不安そうに見上げてくる

風呂上がりのせいで、履いてる下着もすでになく、無防備に晒されていたのは彼女の小さな割れ目


残った羞恥心がそうさせたのか


拒まないまでも、隠すように内側に閉じていく太もも


触っていい? そう聞くのは野暮だろう

どうして欲しい? そう聞くのは意地悪だ


そんなことはすでに分かりきっている

潤んだ瞳からも、柔らかい胸の奥に聞こえてくる鼓動の音も

決して嫌がっているものではなく、あったとしても精々が不安の色くらい


「ね、ねぇ…なんで、そんな馴れてるの?」


けれど、先にたまらなくなったのは とやの方だったらしく

キスの間に顔を背けると、時間稼ぎの様な問いで距離を取ろうとしてくる


「実は…初めてじゃないんだ」


極めて深刻に、しかし真摯に とやを見下ろしたその答えは、見事彼女の目を丸くさせ


「え、うそ…」

「まぁ、うそ…」


あっさりとした告悔とともに、俺の胸板は叩かれていた

「もうっ、もうっ、もうっ…!!」拗ねているのか怒っているのか、愛らしい力加減はそのうちに弱々しくなると

抱きしめるように、細い腕が俺の首へと回されていく


「じゃあ…その、私にばっかり気を使ってないでさ…いいから、ね?」

「けど…」


その仕草はいじらしく、見事に甘えてしまいたくなるが

加減もわからないままに、彼女の中へと入れてしまったら どうなるものか

正直自分でも我慢が効くのかも分からずに、ここに来て及び腰になってしまっていた


「それにさ…指だけで気持ちよくなっちゃったら、私がかっこ悪いじゃない…」


そう言って、とやは照れ笑いを浮かべていた

それは俺を安心させるための方便なのか、自分に対する言い訳か

それでも、どこか頼りないと思っていた彼女の優しさに手を引かれた俺は、柔らかい布団の上へ彼女の体を押し付けていた


「うん…大丈夫だから…」


まるで自分に言い聞かせるように

胸の上で手を重ねた とやは、ゆっくりと両足を開いていった


隠すもののなくなった彼女の小さな割れ目


ピッタリと閉じたその隙間から、透明な液体が雫をつくりお尻の方へと流れていく


ドキドキと心臓の音がうるさい


高まった性欲がそのまま下腹部に集まって、自分の肉棒を痛いくらいに膨らませている

興奮で伸ばした指が震えてしまう。恥ずかしいのはお互い様、少しの不安だってきっと一緒なんだろう


震える指先をなんとか押さえつけて、とやの細い腰を捕まえる

開かれた両足の隙間に自分の体を押し込みながら

熱り立った肉棒の先端を、彼女の割れ目の中へと沈めていった


「んっ…あっ…だいじょ、ぶ…そのまま、きて…」


震える声と一緒に伸びてきた手が、俺の胸板やお腹を押し返す

僅かな抵抗、不安や迷い、苦しそうな彼女の顔、悩ましいその吐息


きっと、止めることも出来たろうけど


あえてそれはそのままに


優しさでも気遣いでもない、単純な興奮に唆されて


彼女の割れ目のまた奥へ


少しずつ…


少しずつ…


肉棒が押し込まれていった



纏わりついて来るような膣肉の感触

自分の手のひらでは決して味わえない快感に腰が引けそうになる


けれど


その度に とやの太ももが 悪戯な笑顔と共に俺の体を捕まえてきた


「にひ…えへへ。ほら、逃げないの…」


お腹を押し広げられる感覚に、もどかしそうに息を吐きながら

それでもお姉ちゃん風を吹かせようとする彼女を前にして


ゾクゾクと、背筋を駆け上がった快感が、ぱちっと、頭の中で火花を飛び散らせた


それは、とても静かな感覚だったけど


飛び散った火花は、とやへの愛情を燃料に、次々と引火しながら、俺の頭の中に飛び火していく



ぐっと、大きく腰を動かし、肉棒の全部を とやの割れ目の中に押し込んだ

亀頭の先を包まれる感覚、ざらりとした行き止まり

肉棒の根本が彼女の割れ目とぶつかって、ぬるりとした愛液が張り付いた


息を呑み、飛び出しそうになる快感を押さえつける

見下ろした とやもまた、大きく息を吐き、押し込まれた肉棒の感触に折り合いをつけようと必死になっていた


『…』


しばしの無言が重なって、見つめ合っていた瞳がそらされる

何か言おうにも、いつもの様な軽口は簡単に快感に流されて消えていく


なにか言って欲しい…


それはお互い分かっているのに


どくんと、割れ目の中で肉棒が大きく跳ねる

びくんと、膣の中がざわめいて肉棒に纏わりついてくる


馴れない快感を前に二人して顔を歪ませて、そんなお互いの表情が更に興奮を募らせていく


ゆっくりと腰を引けば、気の抜けたような とやの声が聞こえてくる

ゆっくりと腰を押し込めば、くぐもった とやの声が響いてくる


その姿を求めれば、だんだんと腰の動きも早くなり

肉棒から伝わる快感が、その密度を増していった


「んっ…ぁはぁっ…や、まって、もうっちょっと…ゆっく…ああっ!」


ついには我慢しきれずに、とやの口から大きな声が上がる

思いも寄らない自分の声に頬染め、慌てて口を引き結びながらも

肉棒の先端が、割れ目の奥を突き上げる度に、僅かなため息が とやの口を開かせていく


「それ、もっと聞きたい」


我慢できずに口元を隠す 彼女の両手を押しのけて、布団の上へと押さえつける

それでも、子供みたいに首を振り、我慢を続ける とやの耳元に、一つ、また一つと、言葉を落としていった


「聞きたい、もっと聞かせて欲しい、とやの可愛い声が、顔がみたい」

「やだぁ…そ、んんぅ、ぁ。恥ずかしい所…見なくて…いいっから」


途切れ途切れの嬌声と、快感から逃げようと身を捩る

けれど、両手をしっかり抑えられ、肉棒に割れ目を押し込まれた体で何処に逃げられるわけもなく


「じゃあ…。お願い、とやお姉ちゃん…」

「っ!? ぅぅっ…ずるい、こんなときに、そんな…お姉ちゃんって…」

「あはは、それも…そうか。じゃあ、自分で頑張ろうかな」

「え…? がんばるって、ちょっと…まっ…っっ!!」


とやの細い腰を捕まえて、肉棒を押し付けるように抱き寄せる

肌と肌とがぶつかって、それでも奥へと肉棒を押し付けていくと

亀頭の先端が割れ目の奥の向こう側、ざらりとした感触のさらに奥へと抜けていった


「ひうっ…!? ま、てそこ…だめって…んぁぁぁぁぁっ!」


明らかに変る とやの顔色


切なそうに惚ける声と、そこを亀頭で撫で上げる度に大きく震える体

自由になったはずの両手は、口を抑えるのも忘れて、俺の動きを抑えようと弱々しく伸びてくる


「ここが気持ち良いの?」


抵抗のつもりか、胸板に、お腹を撫でてくる とやの手はそのまま放っておいて

また乱暴に腰を抱き寄せると、すこし意地悪な問いかけを耳元へと落としていく


「んあぁぁぁっ!?」


びくっと、とやの腰が大きく揺れて、さざなみのように背筋が伸びていく

惚けた表情、悩ましげな声が喉を付き、一瞬 強張った体からはたちまち力が抜けていった


「あ、あぁぁ…きもち、良いとかじゃ…はぁはぁ…」

「じゃあ、痛いとか? 苦しいとか?」

「それは…ちがうけど…だけど…」

「そっか、それは良かった」

「へ?」


何がそんなに良いものか、困惑する彼女はそのままにして

抱き寄せた とやの腰へ ぐりぐりと、乱暴なくらいに肉棒を その奥へと押し付けていった


「んあっ! やっあぁぁぁぁっ、まってまってって…ほんと、ふわぁっ、変な声でちゃぁ、やめ…んんぅぁっあぅ!!」


首を振り、体を揺らし、声を上げ

一突きごとに 目まぐるしく変わっていく とやの表情

散々に俺の体を叩いていた両腕も力なく崩れると、押し寄せる快感に耐えるように、シーツの皺を深めていく


気持ちがいい、最高だ


パチパチと頭の中で火花が散る度に、燃え広がっていく彼女への愛情

好きな女が、自分の肉棒で乱れている姿を見下ろしながら

その感情は、肉棒から伝わる単純な快感を更に高めていく


「とや…っ、そろそろ…」


ぐっと、下腹部に集まってくる熱

何かが這い上がってくるような射精感を既の所で押さえつける


あと少し、もう少しだけ、とやの事を感じていたい

乱れた姿を見下ろしながら、快感の波に身を流していたい


けれど、彼女を愛そうと肉棒を動かしたぶんだけ、訪れる快感はどんどんと射精感へと流れていく


このまま彼女の中へ、自分のもので満たせたら

その最高の瞬間を前にして、肉棒の動きは抑えることを忘れて激しさを増していった


出るっ、出るっ、出るっ


飛び出そうになる言葉を飲み込んで、しかし頭の中でその言葉でいっぱいになっていく

とやの悲鳴のような嬌声は、どこか遠くに聞こえていて

彼女の中で果てるその瞬間、頭の中が真っ白になると、膨れ上がった快感とともに肉棒の先端から熱い精液が吐き出されていった


どくんっ、どくんっ…


大きく脈動した肉棒が、とやの中で何でも精液を吐き出していく

最奥に押し付けられた亀頭が、快感と愛情とその他の感情を滾らせて、その中を白濁へと染め上げていった


「あぁぁぁぁっ!! あっ、あぁぁ…ぁぁ、はぁ…はぁ…んんぅ…でて…あ、うん…」


大きな嬌声とともに、とやの体が、その下腹部がビクビクと震え上がる

そのまま全身から力が抜けていくと、だらしない声を漏らしながら、呆けた瞳で二人のつながった部分を眺めていた





幸せ…なんかそう、多分、幸せなんだと思う


あまりの快感の前に、ついには絶頂に 達してしまった 私は

力なく布団に身を投げ出すと、快感の残り香に時折身を震わせながら、吐き出される精液の脈動を受け止めていた


一杯気持ちよくさせられて、絶頂に飛ばされて


子供とばっかり思っていた あの子は、いつの間にか男の子になっていて


そんな彼の精液が自分の中を満たしていくのが、なんとなく嬉しくて、幸せにも思える余韻が体中を漂っていた



「あ、あぁぁぁぁ…うわぁぁぁ…」


けれど、快感の熱が引く程に戻ってきた正気の沙汰は、さっきまでの痴態をまざまざと思い起こさせる

途端に有り余った恥ずかしさを隠すように、両手で顔を覆い隠してしまっていた


「どうしたの? 急に?」

「だって…だってぇ…あんな、私…」

「ああ、すごい声出してたね…」

「いうなっ、ばかっ!!」


私の憤慨もなんのその、それさえも愛らしいと言いたげに 彼の笑い声が聞こえてくる

どうしてコイツはこんなに平然としていられるのか、あまりの変わらなさに愛情を超えて憎らしさえも覚えてしまいそうだった


もう、姉の威厳もあったものじゃなかった


年上のお姉さんじゃなくて、ただの、一人の女として彼に抱かれてしまって

これからどんな風に接したら良いものか

このまま何事もなかったかのようにして、あるいはもう恋人のようにしてしまっても


「んあっ…」


ぼんやりと、今後の方針について考えるていると

消えかかっていた快感の灯火が、不意に下腹部から湧き上がってくる

その刺激に思わず甘い声が漏れ、堪らずに視線を下げると、彼のおちんちんが私の中から抜け出た所だった


体の奥を満たしていた違和感が消えていく

しかし、それと同時にお腹に溜まっていた精液が溢れると、割れ目の隙間からドロリと流れ落ちていった


「ぅわぁ…あんた、こんなに…」


自分の中を満たしていた快感の元が、こんなにも流れてくるなんて

呆れるべきなのか、嬉しく思うべきなのか

それでも、未だ体に残る熱はきっと、この精液の一部がお腹に残っているせいだと思うと…少しばかり興奮が戻ってきそうではあった


「それなんだけどさ…」

「ん? うそぉ…」


遠慮がちな問いかけと、そこへ向けた視線に私の頭の中は真っ白になっていた

さっきまで私の中を犯していた おちんちん

射精もして、引き抜かれて、もうとっくに満足してたばかり思っていたのに

まざまざと見せつけられた その姿を前に思わず息を呑んでしまっていた


こんなのが自分の中に入っていたなんて


見つめて…見惚れてしまっていて


固さを取り戻した、そのおちんちんを見るだけで

胸が苦しくなって、お腹の奥がムズムズと切なさを思い出す


「一回とは、いってない…よね?」

「言ってはないけど…」


流石に少し怖くもあった


アレだけ乱れたあとなのに、まだ快楽の熱がくすぶる体にもう一度?

そんな事をしたら私の体はどうなってしまうのか、なんて

怖いもの見たさももちろんあったし、できれば 彼のお願いも叶えて上げたいけど


「あ、あしたに…しない?」


やっぱり、それを前にするとどうしてもヘコタレてしまっていた


「いや、また濡れ女になられても萎えるし」

「それはっ…しないでしょ、流石に…」


痛い所を点かれて声を上げるも

今になってヘコタレている自分を見つけると、決してそうとも言い切れない部分もある


「だめかな…とやお姉ちゃん」

「だから…もう、それ…」


小さな頃から気にかけていた男の子のそのお願い

一度超えてしまった一線に、適当な言い訳はボロボロと剥がれ落ちていく


「ちょっ、ちょっ、まっ…」


覆いかぶさってくる彼の体


逃げようと向こうへ伸ばした手は捕まえられて、引きずられるように腰が抱き寄せられていく

無理矢理にされることへの抵抗と、大きすぎる快感への恐怖心

けれど同時に、求められる幸福感は未だ体の中でくすぶっていて


「んあっ…あ、あぁ、ぅぁっぁぁぁぁ…」


彼のおちんちんが、私の割れ目を広げていく

絶頂に達したばかりの体、さっきまで彼を受け入れていた私の割れ目はあっけなく、彼のおちんちんを飲み込んで

それが中を満たすほど、情けない声と一緒に、私の体から力が抜けていった


きゅぅっと、抵抗する気が まるで萎んでいく


次の快感への期待と、愛されることへの喜びが痛いくらいに胸を打ち始める


逃げようとした体に、後ろ向きに抱えられた腰

突き出されたお尻に向かって、打ち付けるように おちんちんが突きこまれた

奥にまで響く衝撃が体を貫き、背筋を駆け上がった快感が私の口から押し出される


「んはっ、やっ、あっあっ、まって、はげし…やぁぁっ!」


後ろから、お尻を抱えられて、好き放題に


まさしく獣のような交尾だった


そんなこと、こんなことで、気持ちよくなんてなりたくないのに

もっと優しく愛されたいと、そんなささやかな願いは一突きごとに崩されていく


足をガクガク言わせながら、叩きつけられる快感に身を捩る

声を抑えるために枕を抱え込み、涙とよだれがその布地を汚していくのも構わずに、私は枕に顔をうずめて鳴いていた


「んーっ、んんんぅぅぅぅ…っ!!」


こんな格好、見られたくないのに

こんな声、聞かせたくないのに


私の自尊心なんて意に返さず、むしろをそれを壊したがる子供のように

彼のおちんちんは、私の中を次々に犯していった


尻尾を振り、それを叩きつけるように彼に抗議を促すが

それも直ぐに捕まえられると、ぱしんっとお尻を叩かれる


「ひゃぁっ!? やっ、なんで…叩くのっ…」


慌てて枕から顔をあげ、見上げた彼の顔は意地悪で

再びお尻に手を当てられると、思わず身構えてしまった


ぱしんっ…


さらにもう一回、お尻を叩かれた私の口から情けない悲鳴が上がる


「とや、ごめんなさいは?」

「そんな、わたし…悪いこと…してな」


そんな言いがかりを正した所で


「ひゃんっ!?」


ぱちんと、またお尻を叩かれる

痛いは痛いが、それよりも、思うよりも大きく響く音が私の心を射竦めてしまっていた


「とーや?」


優しげに呼びかけながらも、その手はお尻を撫でていた

その優しさが、まるで私のお尻を人質にでもするみたいに ひりついてくる


「うっ、な…もう…ご、ごめんなさい…」


言った、言ってしまった

私が悪くもないのに、ごめんなさいと謝って

それがとても悔しく思う反面、ぎゅぅっと心を支配されて行くような感覚に陶酔感も重なっていく


お尻を撫でていたその手は、そのまま私の尻尾を撫で始めていた

さらさらと、柔らかい毛を梳くように。すでに快感の高まった体はそれさえも性感帯として受け入れて


「う、ぁっぁぁ…」


ゾクゾクと背筋が震える


尻尾を梳いていく指先の感覚がもどかしく、お腹がきゅぅっと熱くなるのを止められない

もどかしくて、切なくて、堪らず浮き上がったお尻が おちんちんを、亀頭の先端を奥に飲み込もうと浮ついていた


「とやは、こんな事で気持ちよくなっちゃうんだね?」

「そんなわけ…これは、キミが…」

「どうかな? だって、ほら…」


ぱちんっ!!


大きな音が耳元で鳴り響く

それでお尻を叩かれた訳じゃない。ただ軽快に耳元で指を鳴らされただけなのに

その音はお尻を叩かれた時に良く似てもいて


ぞくりと、体が震えてしまう


何も出来ずに「ごめんなさい」と口にした時の感覚が背筋から這い上がってくる


「ほら、気持ちいいって言うだけ、簡単でしょ?」

「それ、そんなこと…やめっ…」


ぱちんっ!


また、耳元で大きな音が鳴り響く

同時に震える体と、大人しくなっていく私の心


ゾクリと背筋が震え上がり、間の抜けた声が喉が絞られると


「き、きもち、いいから…おねがい、だから、もうそれ…やめ」


このまま何度も音を鳴らされたら自分がどうにかなってしまいそうで

言われるがままに、私はそれを口にする


ぱちんっ!!


「ああぁっ…だめって…ば」

「嘘ついてごめんなさい…?」

「もうっ、もぅっ、ばかっばかぁぁぁっ…」


ぱちんっ!


「あぁぁぁぁっ!? ごめんなさい、ごめんなさいっ…だから、ゆるしてぇぇ…」


快感とは別の涙が頬を流れていく


耳元に手が寄せられる


また、また…あの音に身構えて、しかしその音を鳴らす代わりに、彼の手は私の頭を優しく撫でていた


「ごめんね、とや。少し…からかいすぎた…」

「あ、ぁっぁぁ…うん。へいき…大丈夫…だよ」


優しく撫でられ、許されて


緊張していた心が弛緩していく

怖がった分だけより強く、知らず知らずに心の垣根は剥がれ落ち


「あっ、あぁぁぁぁっ…や、うそ…なに、これ…あっ」


再び動き出した おちんちんの刺激は、今までの何倍以上にも感じられていた


「とやが素直になってくれて、俺も嬉しい」

「うそっうそうそぉ…こんな、わたし…えっちな子みたいじゃ…あああっ!!」


膨れ上がった快感が、私の喉を塗りつぶしていく


お尻を抱えられ、四つん這いになった情けない格好のまま

自分の体の向こう側、割れ目からは大量に溢れ出した私の愛液が、太ももを伝い、隙間からこぼれ落ち、次々と布団を濡らしていった


私の中で おちんちんの動きが、どんどんと激しくなっていく


快感に声を上げ、頭を振って身を捩り

それでも全然に治まらない快感が、涙と愛液に変わって体中から滴り落ちていく


「あっ、あっぁっぁぁぁぁっ…いっ、くぅぅぅぅぅっ!?」


やがて、快感のタガが外れるように、びくんっと大きく震えた体は力を無くし

そのまま布団の上へと崩れ落ちてしまう


「はぁ…はぁ…ごめ、わたし…」

「いいよ…ほら、おいで…」


崩れた体を支えられ、私は彼の膝の上に収まっていた

それはまるで幼子のようで、そうとも言えない部分は、固くなったおちんちんが私の割れ目に突き刺さったままというぐらい


「みえる? ほら…乳首、こんなに固くしちゃって…」

「あ…」


言われるまま、誘われるまま


私は自分の乳首へと視線を落とし、彼の指が近付いてくるのを ぼんやりと見つめたまま

薄っすらと、ダメになる自分を想像しながら、固くなった乳首が彼の指に挟まれるのを眺めていた


「ぃうぁっ!? ひぅっ…」


びくっ、びくっ…


まるで壊れたオモチャのように

乳首を摘まれただけで、声を上げる私の体


同時に割れ目の奥を おちんちんで犯されると

絶頂にも近い快感が、乳首の先から吹き出したような錯覚さえも覚えていた


お腹の奥が おちんちんで掻き回される

お腹の奥が快楽で満たされていく


彼のお膝の上、彼の腕の中で、子供みたいに声を上げて鳴いている私の姿は、彼にはどう映っているんだろう?


気持ちいい? 気持ちいいでしょう?


その問いかけにただただ頷いて、それが彼の声なのか、自分のものかも分からずに


「きもちいい…きもちいいよぉぉぉ…」


勝手に涙が溢れていく

何度も何度も頷いて、それを快楽と、快感と受け止める度に感度がますますと上がっていく


最初の絶頂よりも強く、次の絶頂よりも深く


飛んでいるのか、落ちているのか、何も分からなくって頭の中がぐちゃぐちゃになっていく


「いくっ、いくぅぅ…もうっ、わたし、また…へんにっ、へんなのっ、きて…ああっ、キミの…おちんちん、精液も…」


自分が何を口走っているのかももうわからない


ただただ胡乱な言葉をさえずって、彼のおちんちんから彼の精液が欲しくてしょうがない

幸せに身を委ねて、快感に身を焦がして、もう全部全部流されてしまいたかった


「ぁぁぁっっ…あっ、あ、ああ、あぁぁぁぁぁっ!!」


彼の膝の上で大きくのけぞる体

跳ね上がる背筋とは裏腹に、落ちた腰は彼のおちんちんを飲み込んでより深くに肉棒を沈めていく

苦しそうな彼の吐息が耳を撫で、その瞬間に ぎゅぅっと体を抱きしめられる


逃さないように強く、離さないように深くまで


まるでぬいぐるみのように抱えられた私の体は、彼のおちんちんが突き上げるままに揺さぶられ


ぐっと腰が深くに落ちていく

亀頭の先が、私の子宮を開いていく


「あ…」


まるで糸が切れたような感覚


心臓が大きく跳ね上がると同時に、きゅぅっと渦を巻いたお腹の中に、大量の精液が吐き出された

どくん、どくんと、おちんちんが震える度に、吐き出された精液を受け止める度に

体が震え、お腹がかぁっと熱くなる

あまりの多幸感、むせ返るような陶酔に、心も体も完全に囚われて

ただただ、彼の望むままにその精液をお腹の奥へと受け入れていく


気持ちいい、気持ちがいい…


それが幸せで、幸せが一杯で…


「あ…」


のぼせるような感覚、遠のいていく意識を掴むことも出来ずに、私の意識はそこで途切れてしまっていた





初めて おみくじを引いたあの日


大吉祝だと彼女は言っていたっけ


最初は神社の巫女さんかとも思っていたが


ここらじゃ見ないその風体

雲のような淡い肌色に、空色の様な瞳は、金糸に揺れる髪の毛と重なってとても綺麗だった

そして、何より不自然だったのは、狐の様な長い耳と 稲穂の様に揺れる その尻尾

飾りかとも問いかければ「分かりやすいでしょ?」と、はぐらかすでもなく笑顔が返ってくる

神様みたいなものか? ぼんやりとそんな風に納得をしていると


「それより、お願い事をお姉ちゃんが何でも叶えてあげる」


大吉のおみくじを捕まえて、彼女は胸を張って見せていた


なんでも…そう言われて、一瞬嬉しくなったのを覚えているが

結局その日から、一度も彼女に願いを伝えたことはなかった


「とや…姉ちゃん?」

「ん、起きた?」


気付けばすでに朝日がさしていて

いつの間にか寝こけていた俺は、されるがままに とやに頭を撫でられていた


あれからどれだけ時間がたったものか


襦袢姿ではあったものの、落ち着いた彼女の姿は、昨夜の行為を忘れさせるほどには整えられていた


「キミはアレだね、どうしようもないね?」

「いつまでも子供扱いして、なんでもなんて言うからだ」

「それにしたってさぁ…」


呆れたようなため息をそこそこで 切り上げた代わりに、彼女は優しく微笑んでみせた


「キミの願いがもう叶ってるなんて思わなかった」

「…言ったっけ?」

「ううん。でも、アレだけ抱かれれば嫌でも気づくよ?」

「ああ、そう…」


言われれば流石に恥ずかしい

頭を撫でていた指先から逃げるように顔を背けると、その後ろでクスクスと笑い声が聞こえてくる


「なに? 照れてるの? お姉ちゃんにもっと甘えても良いんだよ?」

「…」


からかうようなその仕草、逃した俺の顔を覗き込むように身を寄せてくる

照れ隠し、もちろんそれもはあったけど


ぱちんっ!


近付いてきた彼女の耳元で、大きく指を弾いてみせた


「あうっ!」


同時に、とやの背筋は伸びて、尻尾の毛がぞわっと逆立つ


「ま、まって…それ、だめって…」


行為のさなかだったとはいえ、快感と快楽で酩酊していた中とはいえ

思いがけずに深く突き刺さっていたその音は、彼女を縛り付けるには十分に機能していた


「ちょっとキミ、女の子をそんな風にねっ」

「いやいや、とやが思いの外変態だったことのほうが」

「ちがうのっ、ちがうからっ! あれはキミに付き合っただけで…」


ぱちんっ!!


「あうっ!!」

「ごめんなさいは…?」


威圧するでもなく、ただただ優しく微笑んでみせたは良いものの

姉の反抗期とは面倒なもので、ふるふると力なく首をふってくる


「か、からかわないのっ! こんな程度の暗示…あうっ!」


ぱちんっとまた指を弾く

その隙きに、とやの耳に息を吹きかけると同時に


「とや…大好き…」

「ふわぁぁっ…ばっ、な、ななな…なんてこと、キミは…私をどうしようって」

「いや、とやは可愛いなって?」

「くそぉっ、くそぉっ、バカにしてっ。お姉ちゃんに恥をかかせるんだーっ!!」

「ふはははははっ」

「もうっ、もうっ、次は絶対っ、私がっ、キミをメロメロにしてやるんだからっ」


朝日が差し込む部屋の中


顔を真赤にした 彼女の髪は、あの日のように きらきらと輝いていた



ーおしまいー



後書き

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