2022-01-03 06:26:22 更新

概要

キツネのロリっ子とえっちするようなお話



さて、どうしたものか


夜明け前にはまだ早く、丑三つ刻も過ぎたそんな時間

古ぼけた神社の石段の先に待っていたのは、見知らぬ女の子だった


イチョウ色にそよぐ髪先を染める紅葉の赤

ふっくらと、お餅みたいに柔らかそうなほっぺたと

丸くて、まあるい、碧色をした瞳に見下されていた


それは、たまたまか


下から人が歩いて来れば、視線も向くだろうという程度の

最低限の会釈で視線を外し、馴れた動作で無視を決め込んだ

そのまま鳥居の下を抜けてしまおうと、足早に女の子の隣を通り過ぎようとした時


「おはよっ」


聞き慣れた初めての声。そんな矛盾に俺の足は止まっていた


「おは、よう…?」


とぼけた俺の声を受け止めて

女の子の、その狐を象ったような長い耳が、くすぐったそうに揺れている

小さな手の代わりに、稲穂のような尻尾を持ち上げて


ぴょんっと


鳥居の袂に鎮座していた狐の像

その縁に腰掛けていた女の子は、軽々と宙を舞っていた


揺れて、揺られて、揺られて揺れる


萌黄色の着物に緋袴、その裾がひらひらと、落ち葉の様にゆらゆらと

秋葉を思わせるイチョウ色の髪が、穂先の様にたわわな尻尾が夜の闇に揺れていた


両手を広げ、女の子は片足から静かに着地をした


真っすぐ立っても、その身長は精々が俺の胸元程度

階段の高低差も、像の高さもなくなると

今度は、まあるい瞳に見上げられていた



あるき辛い…


誰かと並んで歩くっていうのも、意外と経験値が居るものらしい

手を取られ、纏わりつかれ

それでも、ちょいちょい先に行こうとする女の子に手を引かれ

転びはしないが、歩調を乱されるというのは余り面白いものでは無いことに気づく


何処まで行くのか、というより何処まで着いてくるのか


それを選べるほど、この神社に選択肢もないし

そう何分もかからないうちに、見慣れた拝殿と賽銭箱が目につくと


「誰よその子?」


聞き慣れたその声に安心する。見慣れたその容姿に落ち着きを取り戻す


夜にも映える金色の髪、青より蒼い綺麗な瞳

長い狐の耳と、柔らかそうな尻尾を揺らし

灯した不信の火を、尖らせた唇で焚き付けながらも


その少女、とやは俺のことを出迎えた


「いや、誰だよこの子…」

「べー」


拝殿の隅で頬を付き、不満そうに揺れる足

言われるままを言い返すと、更に不信の火を強めて舌をだし、そっぽを向かれてしまった


嫉妬かやきもちか


昔からその手の気はあった

構ってくれるまでへそを曲げたり、かと思えば不必要なまでに戯れ付いてきたり

時々お姉さん振る割に、とやはそういう所で子供っぽくなる


そういう時の対処は大体決まっていた


パンパンっと、賽銭を入れ、ジャラジャラと引っかかった鈴を鳴らし

手を合わせて深呼吸。身体の空気を入れ替えるように、それを何度か繰り返した後


「それじゃあ、とや。また明日」


拗ねる とやに手を振って

「もう帰る?」 不思議そうに見上げてくる女の子に「また明日」と声をかけた

頷いた女の子は踵を反し、俺もその後を追うように鳥居に戻る


いわゆる放置であり、無視である


唖然か、呆然か「へ?」と、気の抜けた声が背中に届くが、いちいち構うのも面倒くさい

じゃりじゃりと、丸石の感触を足の裏で踏みしめながら、少しずつ とやとの距離が開いていく


「まてまて、まってっ! 彼女を放っておくってどういう了見だっ!!」

「うわ、ぬいぐるみが喋った…」


それは、毎日話しかけていたキツネの像が、いきなり返事を反してきた驚きをもって

しかし、そういう事なのかと過ぎった考えは、続く とやの怒声に遮られる


「誰がぬいぐるみだっ! だって、だってっ、あんたがさ」

「どこさ?」

「ひごさ…って、違うっ!」

「毬あるよ?」

「どっからだしたっ!」


とやに弾かれた毬がコロコロ転がっていく

それに合わせてコロコロと女の子は笑い、反面とやは肩を怒らせて息を荒げていた


「何処の女狐よっこの子はっ! …なんか、可愛いしさぁっ」

「女狐はキミもだろう」

「そうだけど、そうじゃなくってぇぇ…」


服を捕まれ、揺すられる

正直に面倒くさい。このまま振り払うなり

なんなら唇でも塞いでしまえば大人しくなるものかと、もたげてきた嗜虐心を何とか飲み込んで


「そうじゃないなら、どうなんだ?」

「どうってそりゃ…その、これから、時間ある? とか?」


ぎゅっと、逃さないように とやの細い指に服を掴まれる

恥ずかしいのか、答えを聞くのも怖いのか、長い狐の耳は垂れ下がり

意気消沈と、ふさふさの尻尾も萎んで垂れ下がってしまっていた


「これからって、何をする気?」

「素直にあるっていえ」

「…急に強引になるな、コイツ」

「うっさい、ばか」


無言の抵抗、とは言わないでも

とやの作った小さな握りこぶしが、俺の胸板を叩いていた




すたたたたたたたっ


台所に響く軽快な音…というには少し荒々しく

まな板が包丁に削られていくような音色ではあった


あんにゃろーっ、こんちくしょーっ、ばかやろーめーっ!


「なんなのよっ、なんなのさっ、どうなんだよっ!」


内心も愚痴も大差なく、見られていない事も手伝って

とやは一人、朝ごはんの片手間に悪態を付きまくっていた


「ふんっ!」


親の敵のように、みじん切りにされた長ネギが鍋に放られる

茹だった窯の火を大げさに黙らせると、ご飯の炊けるいい匂いが台所に広がった


大方の作業を終えた とやは、一息を入れて肩の荷を下ろす

粗方の憤慨は鍋に放り込み、不満も煮えて無くなりはしたが


それでもだ


別に、彼が悪いとは言わないけど

言わないだけで思ってはいるけれど


普通、拗ねた彼女を放っておくもんか?

「どうしたの、とや?」とか「怒ってる顔も可愛いよ」とか、なんかあんじゃん


「また明日って、それじゃあってさ…」


放置か? するか? するなぁ…するよねぇ、あいつはするなぁ


火を止めた鍋のように、頭の湯気が収まってくると

それもまあそうだろうと、今までの思い出が彼の行動を頷かせる


というよりも、そうしている事の方が長くなってしまったか


子供の時分はまだ、日が暮れるまでとかダラダラ一緒に居たものだけど

何時から可愛げが無くなってしまったのか

こんな早朝に顔を出すようになってからは特にそう、少し話をして「それじゃあ」って


それが雨の日も、風の日も、雪の日だって


無理しないでって、見てるほうが心配になると

罪悪感に負けて口にしたこともあったけど、結局なにも変わんないまま


そう、ぜんぜん変わってない


この間、えっちした…はずなんだけどなぁ


少しはなにか変わるかなって、昔みたいに一緒に居られるかなって

なんて、期待をしていた自分がちょっとバカみたいで

私ばっかり浮かれてるなんて、そんなのもっとおバカみたいで


「良いぐらいに焼けてるんだけどなぁ…」


焼けた魚の匂いが香ばしい

すんっと鼻を鳴らして、火が通っているのを確かめると

それをお皿へと移し替えていく


とん…ちん…かん…


居間から聞こえてくる謎の音


何気なく盗み見てみれば、例の女の子が茶碗とお箸を楽器代わりに遊んでいた

お行儀の悪い。だが、可愛らしいとも思ってしまう

音が鳴る度に、ピコピコと跳ねる狐の耳、ふわふわと揺れる稲穂みたいな尻尾

それでなくても可愛らしい容姿に、自然と口元が緩みそうになる


そこに一つ、不満があるとすれば、彼の視線を独り占めされてることくらいか


手持ち無沙汰も手伝ってか、頬杖をついて何となく彼は女の子を眺めていて

そのうちに、女の子から差し出された箸の片方を摘んで始まったのは


とんとんとんとん…ちーん


「お経かよ…」




「まだかな…まだかな」


月も半分昇った頃


鳥居の前、狐の像の片隅に腰を引っ掛けた女の子が

足を遊ばせながら階段の向こう側を眺めていた


いただきますって


3人で手を合わせてから、まだ一日と経ってはいないのに

不思議とこんなにも、待ち遠しく感じてしまっている


おはようと毎日声をかけられて


今日こそ僕の声は届くだろうか


それでもやっぱり、振り向いては貰えない


やっと、やっと繋がったんだ

僕の声は彼に届いて、僕のことを彼は見てくれている


「とや お姉ちゃんには悪いけど。少しだけ…ね」


わがままか、それでも今は許して欲しい


もう少しだけお兄ちゃんが、もうちょっとだけ僕が


月の満ち欠けみたいなこの偶然は、風が吹けば解けてしまう程度のもの

その月も徐々に欠けていって、僕たちの距離はどんどんと離れていってしまう


「ほんとに消えるんだな」


風が吹く


流していた尻尾が揺れて、その声に耳が傾いていた

彼には僕がどう見えているんだろうか、薄っすらと揺らいでいたりするんだろうか

ちゃんと可愛く見えていれば嬉しいんだけど


「そうだね。たぶん、朝には切れちゃうかな…兄ちゃんとの繋がりは」

「つなぎ直せないものか?」

「良くてもまた来月、かな。悪ければ…どうだろ?」


クスリと微笑んで、僕は昇った月を見上げる

つられるように彼も月に視線を移し、しばらく何でも無い時間が二人の間に流れていた


「それとも、兄ちゃんが僕と えっちしてくれる? 僕に居て欲しいって思う?」


月を見ていた彼の視線が、僕に移ってくる

困らせるだろうか? それとも、ませた子供の冗談と聞き流されるのか


両方ハズレかな、たぶん


一方的に挨拶をしてるだけの関係でも

一番隣で、遠くの方から見ているだけの関係だったけど


こんな時、彼が言いそうなことは


「そう…するか」


一瞬の逡巡の間に、とやお姉ちゃんの顔が映っていたのは想像に難くはない

悪いと思う反面、ずるいと思う心もなくはない

「お姉ちゃんばっかりっ」て、そう言ってしまえばきっと、不貞腐れはするんだろうけど

今はその優しさに甘えてしまえばいいとも思う


「うんっ」


隣に立つ彼の首に手を回し、座っていた像の縁から飛び降りる

しがみついた彼の身体の頼もしさと、抱きしめられる安心感

ついぞ夢見た光景に、ぽぅっと身体が熱くなり

ドキドキと、彼を求めるように胸の鼓動が高鳴っていった





抱きとめた小さな背中が おぼつかない

文字通り透けた見え始めた背中には、自分の手が通り抜けてしまいそうな不安があった


そんな不安を誤魔化すように

女の子の身体を意識して抱きしめていると、小さな体が もぞりと動く


「兄ちゃん、ちょっと苦し…」

「あ、悪い」


言われて力を緩めると、女の子の口から小さく息が漏れた

耳に、首筋にかかるくすぐったさ。その吐息の温もりと、ふわりと香る甘い匂い

とや のものとも違う。けれど、幼さの残る容姿から立ち上る香りに、確かに女性を意識させられていた


女の子を抱いたまま、鳥居を外れ茂みの向こうへ

鎮守の森の片隅に腰を下ろすと、これでなかなか、罪悪感に背中を突かれるみたいだ


「まぁ、流石になぁ」

「それなぁ」


口々に付いた言葉に、二人が思い浮かべたのは同じ顔

まさか、彼女の部屋に上がって布団を貸してくれなんて言えるわけもないし

人のいない時間とはいえ、それでもひと目を憚るのなら、どうしてもこういう場所になってしまう


「一応聞くけど、経験はあったり…」

「ん? 兄ちゃんより少ないくらいだな」

「はじめてじゃねーか」

「あははっ。でもでも、兄ちゃんと姉ちゃんがしてたみたいにすれば良いんでしょ?」

「…みてたのか」

「見てたのです」


悪戯に微笑む女の子


蠱惑的というよりも、ただ無邪気なだけの笑顔は

本当に、今からしようとしていることの意味を分かっているのかと不安にさせられる


「すごかったよなー、ねえちゃん。お尻 叩かれながらなー」

「ああ、あれなー。びっくりするよなー」


なんとなく、女の子の口調に引っ張られながら、その時のことを思い出すと

同時に、その時の興奮と快感が、下腹部に熱を集めていた

今思い出しても、かなり扇情的な光景で

その視線を、目の前で無邪気に笑う女の子にまで向けようとしている自分も大概だと


「あ…」


何かを思い出したように女の子が声をあげ、お尻を隠して後ずさっていく


「叩く?」


警戒か萎縮か、上目遣いな視線と一緒に狐の耳を萎れてみえた

小さな両手で隠したお尻、萎んだ尻尾を尻尾を丸め込む


お尻を隠した代わりに無防備になる女の子の頭

伸びる狐の耳のその間に手を置くと、ピクリとその肩が小さく震えた


指に通る髪の感触


柔らかくも、弾力を感じさせる狐の耳

いつまでも撫でていたい くすぐったさが、指先を伝って胸を打つ


「えと…にい、ちゃん?」


一頻り頭を撫でて、何もされないことを不思議に思ったのか

恐る恐ると、見上げてくる女の子に一つ、俺は意地悪をすることにした


「叩く」

「きゃーっ♪ にいちゃんのえっちーっ」


意地悪な笑顔に黄色い悲鳴

途端、逃げ出した女の子の手を捕まえて、胸のうちに抱き寄せる


「やーめーろー、はーなーせー。僕は食べても美味しくないぞー」


捕まって、捕まえられて、無邪気にはしゃぐ女の子


えっちして、なんて自分から言いだしておいて、その実どこまで分かっているのかも分からない

本当に、今からするのかと思うと背徳感が容赦ないが

しかしそれがまた、自分の中に妙な興奮を生み出しているのも事実だった


「ひゃっんっ! あはっ、くすぐったいって、にいちゃんっ…あっ」


細い首筋に口をつけると、女の子がくすぐったそうに身悶える

しっかりとした着物の上から覗く、数少ない肌色を求めて唇を落としていくと


くすぐったそうに、もどかしそうに

時折笑い声を上げながら、小さな体を震わせる女の子


本当に、本当に…


何をしているのか、何をされているのかも分からない風で

これで実はからかわれているのが自分の方だったりすると、だいぶ気が楽なんだけど

それならそれで、意地でも意識をこっちに向けたくはある


「なぁ、あの時の とや、どんな感じだった?」

「え? どんなって、んっ…くすぐるのだめって…あっ」


この子がどんなつもりで、俺達のそれを覗いていたかは分からない

けれど、自分から誘ってきたんだ、興味があって、気になって、見ていたのは確かなはずで

芽生え始めたろう僅かな欲に、指先を伸ばしていく


きっちりと閉じた服の合わせ目から、内側へと指を滑り込ませる

未だ目には見えない女の子の肌色に触れると、その柔らかさに指先が痺れたみたいだった


食パンみたい…っていったら怒るだろうか


もちもちしていて、吸い付いてきて、服の隙間からは妙に甘い匂いも感じられて

勝手に喉が鳴る。目に見えない分も手伝って、余計に敏感になった指先には甘すぎる刺激


意識したわけじゃない


けれども、伸びた指は欲望にしたがって大きく開き、手の平全部で女の子の胸を包み込む

蕾のような、未だ幼い膨らみ

服を脱いで初めて分かる程度のそれは、それでも触れた指先に女性を感じさせてくる


撫でるように揉むように、指先を沈めて、少し形を変えて見せ

時折、乳首に触れながら、たまの感触の違いを楽しんでいく


「エッチな顔してただろう? 甘い声を上げて、物欲しそうにしてさ」

「わっ、あ…ぼ、僕も? あんな風に、なる? もう、なってる?」

「まだ、だけど。そうなるのはイヤ?」

「イヤくは…ない、から、だけど…ちょっと、んあ…」


その先に何を想像したのか、女の子が初めて口ごもった

くすぐったいとか、むずがゆいとはまた別の、熱っぽい吐息と一緒に細い喉が鳴る

震える肌、弾力を増していく乳首は、知らないばっかりの女の子に確かな性感を問いかけると

それに答えるように、薄い肌が色づき始め、吐息に艶が増していった


胸と、首筋に優しく愛撫を続けながら

頃合いを見て、空いた手を女の子の太ももへと滑らせていく


緋袴を手繰り寄せ、大きく露出する女の子の肌色

冷えた神社の空気を思い出し、女の子が身を寄せたその隙きに、袴の中へ指を忍ばせた


「あ、そこ…は」


そこで、ようやく羞恥心にたどり着いたのか、女の子が俺の手を捕まえていた

その手前、女の子の小さな割れ目の前、指を伸ばせば届いてしまいそうな そんな距離で

不安と、切なさと、もどかしさと、色んな感情が混ざった視線を肩越しに向けてくる


「だめ?」

「…じゃ、ないけど、なんか、なんかさ」


意地悪な問いかけに、女の子が口ごもりながらも抵抗を緩める

それでも残った戸惑いに手を掴まれ続けながらも、ついと指先を伸ばしていった


蕩けるような湿り気に、沈んでいく指先の感触


多少の水音が聞こえてきそうなほどに潤んだその場所は、何の抵抗もなく指先を飲み込んでいく

女の子の口から漏れる小さな声、揺れる身体が色づきを増していくまま

沈めた指先が、熱いくらいの温もりに包まれた


「痛い?」

「うっ、ううん。痛くはない、けど」

「けど?」

「なんか、ぴりぴりして…はぁ、あ、変なのが、なんか、変なの…」

「そっか。こっちみて?」

「へ? なぁに? にいちゃん…」


言われるまま、肩越しに女の子が振り返る


薄い首筋よりも染まった頬、緩んだ表情に重なる荒い息

じわりと、潤み初めた瞳を頼りなく揺らしながら、幼い視線が見上げてくる




ドキンっと、不意に胸を打たれた様だった

今すぐにでも この子を押し倒して、滅茶苦茶にしたい衝動が胸中で湧き上がる

罪悪感からは興奮を、衝動からは嗜虐心を呼び起こされて

思わず、抱きしめていた手に力が入ってしまう


「いったっ…にいちゃん、ちょっと…」

「あ、ごめん…」


小さな悲鳴が冷水に変わり、多少の興奮が収まるが

それでも、とめどない感情に胸を揺さぶられ、薄く開いた女の子の唇を自分の唇で塞いでいった


「あ、ん…ぅぅぅっ」


口づけの瞬間に、女の子の瞼が落ちる

触れ合わせ、押し付けて、啄むように吸い合って


お互いに目を閉じたままの真っ暗闇


互いの感触だけが頼りになり、求める手に、唇に、意識が沈んでいく

腕に力を込めて、女の子の小さな体を抱き寄せる

大きく広げた手の平で、幼い膨らみをすくい上げ、からかうように乳首を摘む


ピタリと閉じた割れ目に這わせた指で、浅い所を掻き混ぜながら

親指の先に見つけた 小さなしこり、クリトリスを優しく撫で上げた


「ふわぁっ! やっ、な、へ?」


途端、大きく跳ねる女の子の体に、確かな嬌声が重なった


その刺激に体を震わせ、逃げるように腰が引けていく

けれど、しっかりと抱きしめた小さな体に逃げ道なんてものはなく

クリトリスに触れる度に返ってくる、大きな反応がだんだんと愛おしくもなってくる


「んっ! あっ、まっ、そこ…だめって、びりって、ダメだからっ」


腰が引ける、体が跳ねる、いつしかキスも出来なくなって、その声が赤裸々に漏れていく

小さな背中に胸板を押され、しかしその背中を抱きとめてまで 女の子への愛撫を続けていった



「あぁっ、んぁっうわぁ…ふぁぁ…。やだ、ぼく…なんか、変な声、でて…んっ!」


自分から漏れ出る声を、僕は何処か他人事の様に聞いていた

エッチな声をだしている、きっとエッチな顔をしている

それが分かるほど、体は熱くなっていて、自分ではもうどうしようも出来ない感情に支配されていた


脳裏に浮かぶ とや姉ちゃんの顔


お尻を叩かれてたり、滅茶苦茶にされているように見えたのに

それがどうして、こんなにも抗えないなんて思わなかった


兄ちゃんの指が僕の体を這い回ってる


おっぱいを、お股を、ぐちゃぐちゃにやわやわにされて

乳首の先から、お股にある しこりから、気持ちいいのがビリビリと流れ込んでくる

ううん、もうこれが気持ちいいのかどうかも…

ただただ、触られるだけで頭の中が真っ白になって

逃げたいくらいなのに、もっとしてって体が彼の方に沈んでいく


逃さないで欲しい、抱きしめて、捕まえていて


このまま、僕のこと、僕がどうにかなっちゃうまで


「あ、はぁ…ふぁ、ひゃ、んんっ…ね、ぁぁ、これ、いつまで…」


いつまで続くんだろう?


さっきからずっと、始まってからどれだけされてるのか

もう体に力が入らない。疲労とは別の感覚が、僕の体から抵抗を奪っていく

考えられることもぼんやりで、早くとか、もうとか、取り留めない思考に気持ちよさが混ざり込む


涙が頬を伝って落ちる

口元から涎が垂れていく

お股から溢れる雫は、太ももに広がり、袴に染みを広げていた


自分の体が自分のものではないみたい

声も、涙も、感情も、何もかもが出しっぱなしで

その全てを彼に預けているようで、握られてしまっている


「そろそろ疲れた? もう終わっておく?」

「へ…あ、それ…は…んんっ」


そうだろう、疲れたのはそうかも知れないけど

体の奥の方で何かが疼いている

このまま ここで終わられると、もうどうしていいか分からない


預けた背中の向こう側で、彼のおちんちんが固くなっているのにも気付いている

きっと意地悪を言っている、意地悪をされている

僕の口からエッチなことを言わせたいのだと、なんとなく分かっていながらも

本当に止められるのが、怖くて震えそうだった


きっとこれから…


姉ちゃんの時みたいに、僕のお股に、兄ちゃんのおちんちんを挿れられて…


ダメって言えばいい?


挿れてって、おねだりしたら良いのかな?


「あ、兄ちゃん…まって…」


お股から兄ちゃんの指が離れていく

その刺激がなくなるのが、とても寂しくて思わず手が泳いでいた

兄ちゃんの手が袴の紐に触れている、そのまま器用に紐を解かれ


その音が、イヤに生々しく僕の耳に届く


体を抱えられ、袴がお尻を通り、膝の向こうへと流れていくと

冷えた神社の空気が、火照った肌を撫でていった


はだけた着物の隙間から、僕のおっぱいが顔を覗かせる

なんとも無い、そう思っていたはずなのに

女の子として見られてる。兄ちゃんの視線に異性を感じるだけで

どうしようもなく込み上げてくる気恥ずかしさが、思わず僕の腕を持ち上げていた


「やだ…あんまり見ないで」


寄せた太ももでお股を隠し、持ち上げた腕で おっぱいに蓋をする

些細な抵抗だったと思う。自分の羞恥心に言い訳をする程度の


兄ちゃんの腕が僕の手首を掴むと

そのままあっさりと僕のおっぱいは 兄ちゃんの前に晒されていた


乳首が、自分じゃ見ないくらいに固くなっちゃってる

荒く色づく呼吸と一緒に、おっぱいが忙しなく上下に揺れる


また、触られるんだろうか?


今度は恥ずかしさと一緒に気持ち良くさせられちゃって

今度こそ、何も分からないくらい滅茶苦茶に…


ふと、僕は自分の体を見下ろしていた


火照った肌と、流れる汗

固くなった乳首が呼吸と一緒に揺れている


お股に感じる ぬるぬるは太ももまでも濡らしていて

その奥に、この気持ちよさの正体が燻ってる気がする

そのせいか、背中越しに感じるおちんちんを、どうしようもなく意識させられてしまう


「ねぇ、にいちゃん…ぼく」


僕、ぼく…なんなんだろう? 何を? なんて?


振り返り、兄ちゃんの首に手を回して、膝立ちで彼の体の上に跨る

目の前には兄ちゃんの顔があって、それがそっと僕の体に近づいてくると


唇が、僕のおっぱいにキスをしていた


「あっ、ふぁっ、ひゃんっ、んんっ、にいちゃ…ああっ」


おっぱいの膨らみが吸われる、乳首がなめられて、啄ままれる

ビリビリとした気持ちよさが全身に広がって、最初に感じていたくすぐったさは何処かにいっていた

どうしようもなく声が漏れる。力の入らなくなった体が拠り所を求めて兄ちゃんにしがみつく

首に回した手に力が入る。抱き寄せて、寄りかかって、兄ちゃんの顔が僕の胸に押し付けられる


「んんぅぅっ、あっ、だめ…これ、あ」


まるで自分から求めるみたいに、兄ちゃんにしがみついて

声を出す度、体が震える度に、お腹の奥がぐるぐるになってって

お股から どんどんと えっちなのが流れだすと、太ももを伝って兄ちゃんの体に落ちていった


兄ちゃんに抱きつきながら、おっぱいを吸われて、舐められて

気持ちよさに体が熱っぽく、頭がぼぅっとし始めて

ふとした拍子に、固くなった兄ちゃんの おちんちんが、僕のお股の、薄い割れ目の上を掠めていた


「あ、うっ…」


大きくて、ビクビクしていて、先端からは僕のと同じに えっちなのが溢れていて

僕の流したそれが、兄ちゃんのおちんちんに垂れていくのが、もっとえっちに見えて


アレが本当に僕の中に入るのかって


そんな当たり前の不安は、湧き上がる期待の前に嘘みたいに追いやられていく


兄ちゃんの指がまた、僕のお股に触れていた

ピッタリと閉じた割れ目を開き、浅い所を掻き混ぜながら、お豆みたいなしこりを優しく撫でられる


声が上がる、体が震える、力が入らなくって、ますます兄ちゃんに体を預けると

預けた分だけ、おっぱいがより強く刺激されて、もうどうしようも無くなっていた


「お、ちんちん…ぁぁっ」


ふとつぶやいた言葉が頭に響く

響いて、広がって、体の芯に溶けていく


じわり、僕の体が落ちていく


さっきとは違う状況

後ろから抱きしめられている訳じゃないのに


兄ちゃんの上にまたがって、何時でも逃げられる状況なのに

体に力が入らない、そんな事を言い訳にしながら

ゆっくりと、自分のお股を、そこにある割れ目の入り口に、おちんちんの先端を寄せていく


体を落とすと、おっぱいを虐めていた兄ちゃんの口が離れていく

腰を落とすと、割れ目を掻き混ぜていた兄ちゃんの指が退いていく


誘導されてるわけじゃない


僕は、自分から、おちんちんに向かって

とや姉ちゃんがしていたみたいにして


顔が熱い、体が熱い、すごく恥ずかしいことをしている

悪戯をする時とはまた別のドキドキに支配されて、えっちな気分を止められない


「ふぁっ…あっ、ぁぁぁぁ…やっ、これ、きつ、けど…あ」


信じられなかった


おちんちんの先端が割れ目を引っ掻いて、そのまま滑り込むように僕の中へと沈んでいく

きついし、息苦しさもあるけど。僕の割れ目は一杯に広がってまで

まるで、初めからそう出来ていたみたいに、おちんちんを受け入れていた


落ちていく、沈んで

おちんちんが、僕の一番深い所に、僕の一番えっちな所に触れようとして


「あ…」


とんっと、沈んで行くばかりだった体を持ち上げられて行き止まる

お腹の奥を押し上げられる感覚に、ふと漏れた声は喜びに溢れていた


自分の中に、そんな感情があったなんて


ちょっとえっちな事でもして、兄ちゃんの気を引けたら

もう少し長く、一緒に入られるかもって、ちょっとした欲張りはとっくに無くなっていた


もっと、もっと…


独占欲が渦を巻く、兄ちゃんに求められたいって、愛されたいって願ってしまう


「兄ちゃん…もっと、して? 僕の中で、なかに、ね? そしたら…もっと、ずっと」


ああ、だめだ…どっか絶対おかしくなってるのに

あの時見た とや姉ちゃんと、きっと同じ顔をしちゃってる


えっちな、女の子の、そんな顔して…僕は、兄ちゃんを…兄ちゃんの事を


「ごめん。少し意地悪をしすぎた」

「へ? あ…」


兄ちゃんの優しい声に垂れていた耳が跳ね

そのまま頭を撫でられて、倒れ込んだ耳と一緒に力が抜けていく


「後はこっちでするから」

「うん…」


わかんない、わかんないけど、

言われるまま、抱きしめられるまま、兄ちゃんに体を預けて


僕の中で、兄ちゃんの おちんちんが動き始める


グチュグチュとえっちな音を立てながら

指の時とはまるでちがう。激しく大胆に、僕の中を掻き回していった


頭の中がグルグルする


お腹の奥に おちんちんが届く度に、気持ちよさに全身を焼かれるみたいだった

力は入らないくせに、腰が勝手に動いて、おちんちんに気持ちいい所を押し付けてしまう

2回、3回と、おちんちんに突き上げられて

次第に、僕の弱点を覚えたみたいに、おちんちんがそこばっかりを責めていく


浅い入り口の上の方、お腹の奥のズレたとこ


兄ちゃんの 大きなおちんちんで擦られながら、一番奥の女の子の所を突かれると

一瞬頭が真っ白になって、体から力が抜けていく


お股から、だらだらとえっちなのが流れ出る

おちんちんの一番太い所で それを掻き出されても、次から次に溢れてくる


「ひゃぁぁっ! きもち、いい、にいちゃっ、ぼく、あ、なんか、なんか、ああ、あぁぁぁっ」


声が止まらない


気持ちよさに溺れながら、兄ちゃんの体にしがみつき

苦しいはずなのに、もっとしてほしくて、自分から腰を動かしてしまう


「はぁ…はぁっ。くっ、そろそろ…」

「あっ、うんっ。きて、兄ちゃんっ」


熱く、激しくなっていく兄ちゃんの吐息が降りかかる

残っていた気遣いの全部が、僕を求める力に変わり、おちんちんの動きに余裕がなくなっていた


気持ちよさに、二人で押し流されていく


いっぱい気持ちよくなって欲しい

たくさん気持ちよくなりたい


抱きしめて、抱きしめられて

押し付けて、突き上げられて


ドクンっ…


心臓が跳ねたみたいだった


僕の中で おちんちんが震え上がり、一番の奥を突き上げられると一緒に


「あ、あ、あ…あ、んっ、ふぁっ、あ、ぁぁぁぁぁ、ふあぁぁぁぁっ!」


ゾクゾクと、お腹の奥から駆け上がってくる気持ちよさ

背筋を伝い、必死に喉元で押し込めようとして耐えきれず


大きく声を上げると同時に、頭の中が真っ白になってしまう


幸せ、幸せに塗りつぶされていく


びくびくと僕の中でおちんちんが震えて

どくどくと僕の中にえっちなのが流れ込んできて


お腹が熱い、体が熱い


心も体もえっちなのを受け入れて

兄ちゃんの気持ちよさが、僕をもっと気持ちよくさせていた




それは、甘い毒のようだった


言い訳のしようもない甘美な時間


喉が渇き、頭の裏側がひりついてくる

突き挿れた肉棒が、女の子の柔肉包まれながら、その中を犯していく


まだ幼さの残る女の子の体


快感に揺れる体は、それでも男の自分を受けれていて

頼りなく伸びた細い腕に、縋るように抱きしめられる


苦しさに混ざる切なげな声

肉棒で突き上げる度に、体を震わせながら、か細い喉が色めき立つ


ぐちゅぐちゅと、流れ出る愛液と汗ばむ体

女の子から立ち上る甘い匂いに、頭がふらついてくる


その匂いも、その声も、その感触も

そんな光景が自分の男を突き動かして、乱暴なくらいに女の子を責め立ていた


「あ、あ、あ…あ、んっ、ふぁっ、あ、ぁぁぁぁぁ、ふあぁぁぁぁっ!」


どっちが先だったか


肉棒が弾け、女の子の声が上がる


ドクドクと流れ出る精液が、女の子の中を染めていく

同時にそれは、多幸感と快感をもたらして、更に女の子を責め立てる理由にもなっていた


ぐちゅり…


女の子の腰が揺れる。落ち着いた肉棒の隙間から白濁の液体が溢れていく


ぐちゅり…


肉棒が揺れる。再び固くなった肉棒が、精液を抱えたままの女の子の胎を突き上げた


「ひゃっ!? あ、まっ、な、にいちゃっ、ひゃぁぁっ!?」


ゾクゾクと、女の子が背筋を震わせ

驚きの表情で、目を白黒させながら声を上げる


「ごめん。もう…すこしっ、くぅぅっ」


乱暴なのは分かっていても、戻ってきた射精感を抑えらなかった


女の子の細い腰を捕まえて、肉棒の先端を彼女の奥へと押し付ける

子宮口の感触、あわよくばその奥へと届かせるように肉棒で突き上げて

膨らんできた射精感をそのままに、イッたばかりの女の子を犯していく


涙で揺れる瞳、快楽で惚けた声

匂い立つ甘い香り、白く汚れる女の子の太もも


そのどれもが快感を助長し、肉棒に訴えかけてくる

ドクンっと、すぐにも射精の予感が肉棒の根本に集まっていく


「やめっ、ぼく、あっ、すこしっ、おねが、まって、まってぇぇ」


被虐的な声に快感が高まる、力なく胸板を叩かれて余計に興奮する

かぁっと快感が弾け、頭の中が白く焼き付いていた

膨らんだ肉棒の先端を子宮口に押し付けて、そのまま精液を直接向こう側へと流し込んでいく


どくんっ、どくんっ…


肉棒が震える度に女の子が声あげ

しがみついてくる小さな指に爪を立てられる


「いった…」


痛い、が


射精直後の敏感になった体は、それでも快楽と受け取って

射精を続ける肉棒を、女の子の中で揺り動かす


「あ、あぁぁ…はぁ、やぁ…ぁ、あ…」


その瞬間、何かの拍子で肉棒が女の子の中から滑り出ると同時に

肉棒が震え、残っていた精液が、彼女の体に降り掛かっていった


紅葉の差し込むイチョウ色の綺麗な髪に、その柔らかい毛並みに

白濁色の精液がこびりつき、白く汚していく

降り掛かった精液は流れ出し、幼さの残る体に、淡く色づく肌の上に広がっていった


「はぁ…ぁぁ…やっ、ん…はぁ…ぁっ」


呆然と、自分の体に降りかかる精液を女の子は眺めていた

そのまま何を思ったのか、指先でそれを絡め取ると、自分の薄い唇へと運んでいく


ちろ…


舌を出し、舐めあげて


「うぇ…」


惚けていた顔をしかめると、ふにゃりと笑って力を抜いていった





「つーん」


ちゃぶ台を挟んで向こう側


ほほ膨らませ頬杖を突き、尖らせた唇の方へと投げた視線は何処をも見ないまま

文字通り か案の定。それを口にしてしまうほど、とや は不機嫌を体現していた


「つーんって、自分で言うやつ初めてみた」

「そりゃあ? ぬいぐるみじゃありませんもの、御覧なさい不機嫌なのよ わたしゃ」


お冠、鶏冠にきた

言い訳なんて聞きたくないとばかりに、長いキツネの耳をペタリと伏せて

初めて聞いたような口調で、不満ばかりが垂れ流されている


「ふーん」


とや とは反対側で頬杖をつき、視線をそらした俺は、そっけないままに声を返す


「ふーんってなにさ? 放置か? 無視かい? 怒るぞ こらぁっ」

「変な絡み方をする」

「させてるのはアンタでしょうがっ。だいたいねっ、いっつもねっ!!」


お小言が始まってしまった

だいたいいっつも長くなるんだと、面倒臭さにため息を吐きながらも

まるでページを送るみたいに、相槌をうちながら とやの話を聞き流していった


三々五々と続いた小言も、結局何が言いたいものかって


俺とあの子が二人っきりだったことよりも

それで自分が放ったらかしになっているのが気に入らないという


つまるところ


「もっと構ってっ」


この一言に、彼女の不満の全てが詰まっているわけだ


可愛らしい、愛らしいし、いじらしいとも思う


そんな顔をされると、もう少しだけ放っておきたくもなる

どこまでその意地を張っていられるのか、じわりと涙の浮かぶ顔を想像して

可哀想だと、胸が締め付けられる反面、その横顔に見惚れるだろう自分がいるのも確か


つまるところ


もっと構ってと、そっくりそのまま同じ事を思ってしまっている

愛されている自覚が欲しい、その安心感を求めてしまうのいささか子供じみてはいるが


「…何笑ってるのよ、気持ち悪いなぁ」

「笑ってたか?」

「ええ、そりゃもう、ニヤニヤと」


言われて口元に手を当ててみると、たしかに唇の端が上がっていた気配はある

とやは相変わらず不機嫌なまま、俺の隣では そよ風のように寝入っている話題の女の子


その頬を指で突くと、ふにゃりと頬を緩ませた


起きる気配はまるでない


人が喧嘩をしている隣でよく寝れたものだと感心こそすれ

それだけ気を許されてると思うと、少しくすぐったい

いや、単にやることやりすぎて、疲れさせてしまっただけかもしれないが


ゆっくりと、俺の太ももを枕にしている女の子の頭を座布団へと移す


途中で起こすかと思ったが、あいも変わらず寝息は心地よさそうなまま

それでも俺はゆっくりと、女の子を起こさないように薄い布団を掛け直すと

自由になった体を立ち上がらせる


「なによ?」


そのまま とやの隣へ、訝しがる彼女の視線を受け止めながら、細い肩に手をやって


どーんっ


そんな適当な効果音を鳴らさんばかりに、乱雑にとやを畳の上へと転がした


「え、あ、ちょっ…きゃっ」


小さな悲鳴に胸がときめく


構えと言われたからなんて理由は、早々脇に置かれて

高鳴った鼓動は、そのまま下腹部に集まって 俺のモノを固くさせていった




ずっと、ずっとだ…


急に押し倒されてからずぅっと


構ってもらえる、触れてもらえると、ちょっと喜んでしまったのは随分と遠く


「う、あっ、んんぅぅ…ま、だめ、ねぇ…まっ、ひゃっ…」


くぐもった とやの嬌声が、部屋の片隅から漏れていた


隠すものも隠せなくなった着物を引っ掛けたまま

触れる彼の指先に身を捩ると、着物が肩からすると落ちていった


頭がぼぅっとする


上手くものを考えられない


なのに、体ばっかりは熱くなって、お腹の奥が切なくってしょうがない


ずっと、ずぅっとだ…


初めはキスからだった


それから解すみたいに私の体を撫でてきて

胸に触れ、太ももをさすり、それでも だんだんと性感帯に彼の指が近づいてくると

いやでも私の体は期待揺れてしまう


現金なものだと、自分でも思う


アレだけ憤慨していた感情は、ロウソクの灯りみたいに吹き消され

代わりに火が付いた衝動は、炭火みたいにじんわりと、私の体を昂ぶらせていった


ふとももから下着に、下着の上から割れ目に触れる

派手に開いた胸元に手を置かれると、乳首へと指先が伸びていく


口元が緩んで声が漏れる


恥ずかしさに太もも寄せて、力んだ拍子に滲んだ愛液が染みを広げていく

ゾクリと、お腹の奥から強くなる性感の前触れ

快感が体を揺らし、お腹の奥から背骨を伝って、頭の中まで響いてくる


「いや、ちょっ、まってって…こんな、ところで…あっ」


抗議の声はか細く、戸惑いながらも私は彼の指先を受け入れてしまっている

押し倒された体。恥ずかしさにそらした視線の先

ちゃぶ台の向こう側には、そんな事に気づかずに寝息を立てている 件の女の子


「あの、こ、やっ、おきちゃうからっ…ね?」


しどろもどろに、彼の指先に快感を高められながら

抑えようとした声は、口を開く度に嬌声に変わって漏れてしまう


くちゅり…


下着の上でかき回された愛液が、粘ついた水音を響かせる

その音がまた私の興奮を煽り、快感を自覚させると

恥ずかしさと一緒に、強くなった鼓動が乳首を固くさせていく


ぐっと、声を飲み込んで、焦れる体を押し止める


抵抗と、文字が薄れていく

せめてと、言葉が崩れていく


摘まれた乳首の刺激に耳が跳ねる

下着越しにクリトリスを撫でられて、ぶわっと尻尾の毛を波打たせる


彼の指先が性感帯にふれる度

私の体はオモチャのように反応してしまって

上げたい声を上げられないのが辛い


嬌声を必死に飲み込んで、お腹の奥に快楽の熱を溜め込んでいく


なのに、彼はずっとそのままだった


やめるでも続けるでも


ただただゆっくりと、激しさを増すでもなく

私の性感帯に触れながら、たまのキスの繰り返すだけ


刺激に馴れ、私が多少の落ち着きを取り戻してくると

乳首を引っかかれたり、クリトリスを摘まれたり、強い刺激に性感を押し上げられる

そのまま全身を撫で回され、お腹を、背中を、首筋を、尻尾を、耳を…


お腹の上を、子宮のある辺りを撫で回されて、小指でおヘソをほじられる

つぅっと、背骨を辿るように、爪の先で線を引かれながら、耳を甘噛みされてしまう

頭なでられ、首筋にキスをされ、膨らんだ尻尾の毛を梳かれていく


だんだん、だんだんと、力が抜けていってしまう


「ぁぁぁ、ゃっ、あっ、んぅぅ…」


びくっと時折体を震わせながら、漏れ出た甘い声を必死で飲み込んでいく

止めてほしいだなんて、もう何処かに

むしろ、ずっと快感をくすぐられたままの体が辛い


もういっそ、何もわからないくらいに気持ち良くさせられちゃったなら

素直に、絶対に、彼のせいにも出来るのに

快感にくすぐられながらも、理性は頭の隅に残っていて

時折視界に入る女の子が、目の前の現状を忘れさせてはくれなかった


「んぁぁ、ねぇ、ちょっと…そろそろ、あ…」

「そろそろ?」


耐えかねた私が声を漏らすと、彼の指先が止まってしまう

ぬるま湯から つま先を引き抜いた様な感覚に、もどかしさが雫を作って落ちていく

絶対に分かっててやっているのに、それを怒れない自分の甘さ

それどころか、どうすれば彼が素直になったものかと、考えてさえいる


「そ、んなに…固くして、さ? はぁ、あ、そろそろ挿れたいんじゃないの?」

「挿れて欲しいのは とやの方じゃない? 俺は別にもう少しこのままでも楽しいけど?」

「なぅっ、あ、私だって別に、キミがっ! だって、甘えてくるから…そんなに触りたいならさ」


そんな強がりか照れ隠しが、間違いだったことに気づくのに、そう時間はかからなかった


腰が、指先を求めて勝手に跳ねる

おっぱいを揉まれただけで喉が震え

乳首を摘まれた途端「ひぅっ」と体が縮こまり、頭がくらりと揺れていた


声を聞かれたくなくって、口元に手を当てて

滲んだ視界を隠すように、目元を覆う


けどそれも


彼の手が、しっかりと私の手首を捕まえて引き剥がし、畳の上へと押し付ける

隠すものの無くなった私の顔。どんな情けない顔をしているんだろう

口元に力が入らない、滲んだ視界の端からつぅっと濡れたものを感じてしまっている

吐息が熱い、鼓動に押されて煩いくらいに吐息が漏れる


「あ、あぁぁ…っ、ん」


いつの間にか、服を脱いでいた彼

逸らそうとした視界には、ちらちらと彼の固くなった肉棒が目に入る


アレが、今から


そう考えただけでゴクリと喉がなり

いつかの夜を思い出すと、自然と愛液が量を増す


私の両手を捕まえて、止まってしまった彼の愛撫

しかし、代わりに開かれてしまった私の体は

おっぱいも、乳首も、お腹も、太ももも、そして愛液で滲んだ下着まで

乱れた着物に隠せるものもなく、彼の視線が私の体を這い回る


見られている。自覚するだけで恥ずかしい

彼の視線を追って、見られている自分の体に視線を落とす


変じゃないかな? 綺麗って思ってくれてるかな?

私で、興奮してくれるといいけれど…


そんな場違いな想像は直ぐにも、固い肉棒の感触に追いやられていった


「ん、あ…それ…」


愛液で張り付いた下着の上から、割れ目の溝に沿って彼の肉棒が充てがわれる

太くて固い、指先とはまるで違う感触と熱さ

そして、開いてしまっていた自分の太ももと、受け入れた彼の重さに興奮が掻き立てられた


ずりゅ、ずりゅっ…


指先よりも、太くて重い水音が、押し付けられた割れ目から響いてくる

すでに出来上がっていた私の体は、直ぐにもその刺激に反応して、腰の動きを合わせていく

震える体を彼の両手に抑えられ、身動きできないもどかしさがまた、私の興奮を高めていた


こんな、まるで、変態みたいなことを考えて、それでも…


体勢を落とした彼の太ももが私の割れ目に押し付けられる

割れ目全体が、クリトリスまで押し付けられて、それから、そのまま


「ひぅっ、あっ、ひゃぅっ、あぁぁっんんっ!!」


堪らず声が出て、慌てて声を飲み込んで

ブルブルと震えた太ももに割れ目全体を刺激され、一瞬でも頭の中が真っ白になってしまう

割れ目の刺激に体を揺らしながら、揺れた乳首を彼の唇が捕まえる


ちろっ…


そのまま唇に潰されて、潰された先端を舌先で舐められて


「ふぁぁぁっ!!」


堪らず甘い声を上げて、私の体は反り返ってしまう

ガタリと、ちゃぶ台が揺れる音がする。畳を叩く音が頭に響く

快感に跳ねる体は彼に押さえつけられたまま、好き勝手に性感帯を刺激されながらも

しかし、絶頂には届かなくって、いよいよと私は追い詰められてしまっていた


「あ、ぁぁぁ…。まって、もう…わた、し、おねがっぃ、いじわる、やめ…」


お腹の奥が、子宮が熱い

頭がくらくらする


すぐそこにある肉棒が欲しくってしょうがない

どうしようもなく はしたなくって、恥ずかしくって、情けなくなってでも


「おちんちん、私に…おねがい。もう、ゆるして、ごめんなさいするからぁ」

「許すって、とやは悪い事してないだろう? むしろ悪いのは…」

「あっ、ゃっん。…だったら、もう、いいから、許したげるからぁ」

「それじゃあまるで。俺が あの子を抱いたのを後悔してるみたいじゃない?」


悪戯な声音に刺激が遠のいていく

抑えられていた両手が解け、彼の重さが軽くなっていった


それは同時に、私の体からも快感を遠ざけて

燻っていた私の感情は、そこから先はぐちゃぐちゃになってしまっていた


「あぁぁぁっ! ヤダ、もうやだぁっ、いじわるしないでって。わた、あ、もう

 さっきからずっと、ずぅっと、ああっ変になるのっ、おかしくなってるの

 おちんちん、キミの、挿れてくれないと…もう、だめになって、え、ぁ…」


彼の肉棒が私の中に入ってくる


押し広げられ、押し込まれ、突き上げられて

次の瞬間、感じていたのは真っ白なくらいの幸福感だった


何も考えられない


気持ちよくって、それだけで


もう、自分が、どんな顔で、どんな声を上げていたのか


「あ、はっ、あぁ、はぁはぁはぁ…ひぅ、んんぅぅっ!」


意識が絶頂から戻ってくる

けれども快感は治まらず、それどころか彼の肉棒に膣を責められると

直ぐにも次の絶頂が迫ってきていた


「どうしたの? 挿れられただけでイッちゃった?」

「違っ、今のは…ちょっと、あっ!!」

「さっきはあんなに欲しがってたのに? もういらない?」

「それ、は…ひゃぁぁっ!」


言いながらも、彼は肉棒の動きを止めてはくれなかった

絶頂に達したばかりの膣肉は、ひく付きながらも彼の肉棒に絡みつき

その形に広げられ、犯されながら、その刺激に濁った愛液を吐き出していた


腰を抱えられ、開かされた足の間に彼の体が落ちてくる

感じる彼の体の重さ

浮き上がった私の腰をガッチリと掴まえて、子宮まで届かせるみたいに肉棒が打ち付けてくる


肌と肌とがぶつかる音に、いやらしい水音が絡みつく

彼の汗の匂いが、私の匂いに混ざり込む

すんっと、鼻を鳴らすとそれだけで、自分が男に抱かれているのを実感する


もう、何も考えられず


ただ、肉棒を受け入れて


絶頂に達するまま、思うままに声を上げて快感に酔いしれる


「ねぇ、気持ちいい?」


その声は随分と幼い声だった

けれど、快感に染まった私の頭は、それ以外に事を考えきれずに問われるままに言葉を返す


「おちんちん? おちんちんが気持ちいいの?」

「うんっ、うんっ。すっごい、これ、気持ちいいっ、また、あぁぁっ、わたし、イッちゃっ!」


ビクッと体が震えて、思考が快感に押し流される

どうしようもなく体が震え、堪らず手近にあった座布団を握り込んだつもりが

どうしてか、私の手は柔らかくて、温かいものに握り返されていた


「え、あ、あぁぁ…」


ニコッとした愛らしい笑顔、あどけない表情はそのままに

けれども何だが、件の女の子は意地悪に微笑んでいた


「にぃちゃんっ、にいちゃんっ、とや姉気持ち良いってさっ」

「そりゃ、どうも…」


なんとも溌溂としてらっしゃる

情事の最中にも関わらず垢抜けていて、まるで意味を分かっているのかいないのか

そんな女の子の手が、とやの手を握り返すと、そっと笑顔を近づけていった


「良いよなぁ、気持ちいいよなぁ。ココに にぃちゃんの注がれるともっと、僕だって…」

「や、めっ、そこさわっちゃ…」


とやのお腹の上、それを伝いながら女の子の指が下腹部へと伸びていく

そこにある子宮、そこにある肉棒の感触を確かめるように、短い指が とやの腹を撫で回す


「や、ばかっ、ほんとにやめっ、ふわぁぁっ! アンタもっ固くしてないで、ひぅっ」


快感が跳ねる。子宮が かぁっと熱くなる

撫で回してくる女の子の指先に、意識させられた肉棒の形

喉元まで迫ってくる快感の塊を抑えながら、しかし肉棒の動きは激しさを増していく


「とや、そろそろっ」

「ちょっ、まてってっ! みられてるのにぃ、やっふぁぁっ、まって、まっててばっ、あぁぁっ!!」


抑えた快感を前に声が上ずってしまう

ドクンと跳ねた肉棒が、私の中で大きくなるのが分かってしまう

だらし無く広げた足を更に開かされ、腰は勝手に落ちて肉棒に吸い寄せられる


興味津々と覗き込んでくる女の子の瞳に、必死に腰を打ち付けてくる彼の姿が重なっていく


恥ずかしいけど、求められるのは嬉しい

待ち望んだ瞬間はそこまで迫っている


止められない、止まらない


見られながらの羞恥心は、間違いなく快感に変わり

恥ずかしさに身を捩ると同時に、膣肉が彼の肉棒を締め付けた


「あ…」


とんっと、子宮口を突き上げられて体が軽く浮き上がる

瞬間に、抑えていた何かがはち切れて、瞬く間に意識が真白に染まっていった


「いっ、ひゃっ、あぁぁぁぁぁっ! く、あ、あ、ひゃっ、やぁぁぁぁっ!!」


ビクビクと、私の中で肉棒が波を打つ

ドクドクと、私の中に精液が注ぎ込まれる


白い、白くて、真っ白に


多幸感に意識が流される、子宮が快感に染まっていく

震える肉棒は、精液を吐き出しながら私の中を掻き回し

全部、全部、絞り出すように、子宮を突き上げる


2度、3度、肉棒が大きく震え、私も堪らず腰を揺らし


勢い込んだ肉棒が、私の中から抜け出ると

余った精液が、私の体にドロドロと降り掛かってくる


白い、白くて、真っ白に濁った彼の精液


どろどろと、顔に、髪にへばり付き、胸にお腹に流れていく


愛液と精液の混じった情事の跡が、割れ目から溢れていた

腰を抱えられ、浮いた体を辿るように

下腹部から、お腹を伝い、おヘソの窪みへ流れ込むと


二人の混ざった精液が水溜りを作っていた





「いじいじ…」


イジケてらっしゃる


見るまでもなく、聞えよがしな声を漏らしつつ

とや は自分の毛先を指に巻き付けて、不満を撒き散らしていた


「とや姉の怒りん坊」

「俺を独り占めできなくて拗ねてるんだってさ?」

「あははっ。すげー自信」


かくいう俺たちは、そんな とやを面白がって

からかうような 言葉で遊んでいた


けれど


「誰が怒りん坊だっ」「そいつは私のだっ!」だなんて

律儀に入るとやの合いの手が、会話の流れに加わって

いつしか二人の会話は三人で、他愛もない話へと流れていった


「で、その子…名前、どうするの?」


いつまでも、あの、その、この、ばっかり呼んでられないと

とやが話題の途切れを見計らって問いかけてくる


「名前、名前ねぇ…」

「兄ちゃん?」


膝の上に乗っていた女の子が、俺の方を見上げてくる

期待か、不安か、ハタと揺れた長いキツネの耳にくすぐられながら

なんとなく、思い付いた言葉が口から漏れていた


「おいも」


「おいも?」

「おいもって…」


三者三様


同じ言葉でも、その声音に随分な温度差があった


「おいも…おいも…」

「なに? なんで「おいも」よ?」


初めての名前を繰り返す おいもに、訝しげな視線を投げてくる とや

しかし、何故と言われても、そう思ったからとしか返しようがない

強いて言えばと、思い返した その光景に、漂っていた甘い匂いのせいだろうか


「あ、なーんか、えっちな顔してる。なに? その子が そんな匂いでもしてた?」


目敏い…というか、付き合いの長さのせいもあるのか

訝しげな視線に、からかうような声音を乗せてくる


誤魔化すのも面倒か、そうなれば「私は?」とか聞かれそうで嫌ではあるが

その時は…と、諦めて口を開きそうになった時だった


「おいもっ。その子じゃなくて、おいもだよ、とや姉ちゃん」

「え? いいの? あんた、それで?」

「おーいーもーっ!」


とやの気遣いはしかし、両手を上げて抗議をする おいもに遮られてしまった


「分かった分かった。あんた…じゃなくて、おいも が良いなら良いから」

「んふふーん♪ おいもっ、おいもっ。おいもはおいもっ、ぼーくは おいも♪」

「ご機嫌だこと…」


そう言ったきり、とやはまた自分の毛先を弄り始めていた


「とや?」

「なによ?」

「とや」

「だから」

「とーや」

「だーもぅっ! いいからっ! わかったからっ! 怒ってないし、べつにっ」


言葉責めは有効である。単に彼女が照れ屋なだけかもしれないが

名前を呼ぶ度に、その頬は赤くなり、ついには沸騰したヤカンみたいに声を上げていた


「おいも」

「なぁに、兄ちゃん?」


その小さな体を抱え直し、確かめるように名前を呼ぶ


「ん、意外と…しっくりくるなって」

「そっか。おいも は おいもだからな」

「そうだな」

「そうそう」


抱きかかえた小さな体、何のけなしに預けられた体の重さ

俺のお腹の上で、綿みたいに柔らかな おいもの尻尾が、嬉しそうに揺れていた



ーおしまいー



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