2017-08-07 19:14:59 更新

概要

提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です

注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
アニメとかなんかのネタとかパロディとか
二次創作にありがちな色々
長い


前書き

42回目になりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね

ーそれでは、本編をはじめましょうー


↑前 「提督とポーラ」

↑後 「提督と白露」





提督と海防艦



ー執務室ー


「読めないならそう言って欲しいっすっ」


元気な声が執務室いっぱいに響いている


聞きなれない声と、見慣れない背格好

つまるところ、知らない娘だった


提督「…」


「SOS」声には出さずに、抱えていた皐月の横腹を突いて打電する提督


皐月「…」


その返信の替わりに机の下、誰からも見咎められない様、提督の足を小突く皐月だった


占守「しむしゅっす。海防艦の占守様っす」


間違っても「せんしゅ」じゃないし、ましてや「でこもり」なんてもっと違うし


占守「訓読みもやめて欲しいっすっ」

提督「可愛くない?」

占守「可愛くないっ」


占守、訓読みにすると「うらない まもる」

読み間違えられるのは予想してたけど、そんな風に読まれるとは思ってなかった


占守「男の子見たいじゃないっすかっ」

提督「私は好きだよ、男の娘」


「ボクとか言ったら似合いそうだ」

なんて口にしてみたら、皐月に足を蹴られたので これ以上は黙っておく事にする


占守「しむしゅ、しーむーしゅっ、占守様っすっ!んんっ!!」


少しからかいが過ぎたろうか


「わかったっ?」強気に身を乗り出してくる占守

翡翠色の瞳がすっと細くなり、不満げに頬を膨らませている


提督「わかったよ、むっしゅ」

占守「しむしゅっすっ!。何も分かってないじゃないっすかっ」

提督「むっしゅっしゅ?」

占守「しむしゅっしゅっ」

提督「しゅむっしゅむっしゅっ」

占守「しむしゅっしゅっ」

提督「むっしゅしむっしゅっ?」

占守「しむしゅっしゅっ」

提督「しゅしゅしゅしゅむっしゅ」

占守「しむしゅっしゅっ」


それから、どれくらい続けただろうか


提督「わかったよ。しむしゅ」

占守「むっしゅっしゅっ!何も分かってないじゃないっすか」


ついの勢いで口が滑る


占守「ん?」


けれどおかしい

口にした語感、耳にした違和感

何より、悪戯が成功した子供みたいに笑っている司令


しむっしゅっむっしゅっしゅしゅしゅしゅむっしゅっしむしゅっ


ぐるぐるぐる回っている、頭のなかで回っている

「し」と「む」と「しゅ」が入り乱れ、くっつき合っては意味をなさずに崩れだす


占守「しゅぅぅぅぅっ…」


文字通り萎んだ

空気が抜けるように葛藤を吐き出したかと思えば、そのまま机の上に崩れる占守


占守「こ、これで勝ったと思うなっす…」

提督「いいや、私の勝ちだ」

占守「おのれ、おのれぇ…」


「っす」がくり…。力尽きる占守だった




「一体何と戦ってるのよ、姉さん達は…」


そうして、また知らない声

お客さんが大御礼過ぎて、文字通り雲隠れしたくもなる


提督「で、そっちは…」

国後「クナよ、くーなっ」


先手を打つことにした

「こくご」とか「くにのち」とか言われるくらいなら、まだマシだと思う

姉のように胡乱なやり取りの上に力尽きるくらいならと


提督「…」

国後「なによ…」


書類と私を行ったり来たり

何かおかしな所でもあっただろうか、あるいは…


国後「アンタまさか…。変な読み方考えて無いわよね?」


そんな懸念が浮かび上がってくる


提督「まさか。この二文字(国後)で「くなしり」って読み方意外があるなら教えて欲しいくらい」

国後「なによ。あってんじゃない…」


普通に正解だった


提督「でも…」

国後「待った。先に言うけど、「こくご」やら「くにのち」だとか、変な呼び方したら怒るから」


初めましての初対面で、そういうのは良くないと思う

形とかじゃなくて気持ちの問題

挨拶は大事、きっと古事記にだって書いてある


提督「クナ」

国後「へ?」


それは何というか、確かに自分でそう呼べと、それでいいと名乗ったのはそうだったけど


提督「クナがクナでいいって言うから、クナって呼ぼうと思ったんだけど、だめだったかな、クナ?」

国後「クナクナ言うなっ!」


だからって必要以上に呼ばれるのは むず痒いものがある


提督「え、どうして?クナ?」

国後「やめてっ」

提督「自分で言ったんじゃん「クナって呼んで欲しいって…ぽっ」」


頬に手をあて、わざとらしく赤らめてからの猫なで声

その仕草は異様に手馴れてはいたが、非常に毛色が悪かった


国後「ぽってなによっ。そんな風には言ってないしっ」

提督「えー、良いじゃんクナ。かわいいよクナ」

国後「だーかーらーっ」


不味った。反応したのが間違っていた

自分でそうは言っても、さすがに連呼されるのはくすぐったい

くすぐったさに耐えきれず、身を捩ったのが間違いだった


国後「はぁ…。もう、いい。好きにすればいいじゃない」


ソファに体を預けて息を吐く

脱力する肩に引かれて顔が上を向いていく

疲れた…、この短時間で異様に疲れた


占守「ふひひ、前途多難っすね…クナ」


苦笑いにも似た何とも言えない笑みを浮かべる占守


国後「うっさい、むっしゅ…」

占守「…しむしゅっす」


本当、前途多難そうだ



ー廊下ー


国後「もうっ、なんなのよアイツ」


アポロ色の髪を逆立てて、肩を怒らせ歩いている国後

腹立つ、ムカつく、イライラする、などと、かなりご立腹の様だった


占守「良いじゃないっすか。占守なんて危うく自分の名前見失いかけたっす…」


いまだって気を抜いたら、しむっしゅしゅ…とか、ゲシュタルト崩壊を起こしかねない勢いだ


国後「あんなのが司令で大丈夫なのっほんとっ」

皐月「意外とね。それに、アレで良いとこもあるんだよ?」

国後「たとえば?」

皐月「…」


なんだろう?人に自慢できるほど良い所は無い気がする

悪い所を数えれば片手じゃ足りないのに

今だってそう、子供みたいに女の子からかってすっごい楽しそうだったし


でもそう、強いて言うなら


皐月「一緒にいると、ちょっとだけ大人になれる所とか?」


自分で言っておいて それが少し可笑しかった


けども…


思い出せば、思い返すほどに、想い出だけは一杯あった

くすぐって、くすぐりあって。からかって、からかいあって…


泣いて笑って怒って照れて…


良いとか悪いとかそう言うんじゃなくて、もっとこう…


国後「ぜんっぜんっ、ダメじゃない」

皐月「かもね?」


「にひひっ」振り返って2人に微笑みかける

「何よそれ、意味わかんないし…」変わらず口を尖らせる国後だったけど

それならそれで構わない。司令官の良い所はボクが知ってるからそれで良い

なんて、ちょっとした独占欲もあったりする


占守「じゃ、聞き方を変えるっす」

皐月「?」


1人、落とし所を模索してる妹とは裏腹に、何か感づいた様だった


占守「あの司令の何処が好きなんっすか?」

国後「冗談でしょ?」

占守「あれが冗談を聞いた人の反応っすかっ」


ビシっと、その背中に指をさすと

ツーンと顔を澄まして、話題から逃げるように先を急ぐ皐月


国後「え、マジなの?ね、ね、ね?」


そこはお年頃。すったもんだの話は人並みに興味があった

逃げる皐月に取り付くと、ぐいぐいと顔を寄せていく


皐月「秘密」

国後「いいじゃないのっ」

皐月「内緒」

国後「ケチ」

皐月「ケチじゃない」


「じゃあ勝負っす」

言う言わないの応酬に横槍を入れたのは占守だった


占守「この後の演習。占守たちが勝ったら洗いざらい話してもらうっすよっ」

皐月「負けた時の事は考えてるかい?」


「もちろん」皐月の問いかけに、軽く胸を叩く占守

かと思えば、妹を指差して一言


占守「そん時洗はいざらい喋るっすっ。クナがっ」

皐月「おっけ」


交渉成立。ぎゅっと固い握手を交わす2人


国後「まちなさいなっ。私は良いって言ってないんですけどっ」


それはそう、当然の反論ではあったけど


占守「大丈夫っすクナ」

国後「何処がっ」


錨を上げる肩を抑えるように、クナの方に手を載せると


占守「どっちに転んでも占守は美味しいっす」


「私が良くないってのっ!」

占守、聞く耳持たず。なんのためらいもなくチップ(国後)をテーブルに差し出した


「ちなみに。洗いざらい司令官の耳に入ると、飽きるまでからかわれるから頑張って」

「…ほんと最悪じゃない…」



ー執務室ー


皐月「それじゃ司令官。ちょっと行ってくるよ」


2人を連れて皐月が部屋を出た途端


「みぃぃかぁぁぁづぅぅぅきぃぃぃ…ひひひひひっ」


聞き慣れた声ではあったが、何か地獄そこから這い出るような怨嗟に溢れていた


三日月「ひぅっ…」


ぞわり…。首筋を這う様な刺激に思わず背筋が伸びる


「知ってたね?」


続いて、冷めた声が耳元で再生される


三日月「だ、だって司令官…逃げるじゃないですか…だから、皐月が黙ってようって…」


本人がいないのを良い事に、ちゃっかり姉を盾に使う妹


たしかに知ってはいた

「試験よろしくっ」派手な封筒に入ってたのは海防艦の資料と、この一言が添えられた雑な命令書

どうしたもんかと、皐月と顔を見合わせたのだって記憶に新しい


三日月「それに、知ってるってなら…望月だってそうだし…」


巻き込めるものは巻き込んでしまえと、さらに妹まで引っ張り出す


望月 「それでも あたしはやってない…」

提督 「だってさ」

三日月「信じるですかっ今のでっ」


ほとんど棒読みだったのに


望月 「日頃の行いだよ」

三日月「私のほうが良い子にしてるじゃないっ」


それは絶対の絶対だ

いっつもいっつも、皐月と私でお仕事片付けてるのに

望月より褒めてもらっても まだまだお釣りがくると思うくらい


提督 「良い子は人を騙したりしないんだよ?」

三日月「騙してませんっ。何も言わなかっただけですっ」


司令官だって良く言ってるし、これで通らないなんて嘘だろう


提督「違うな、間違ってるよ三日月」


嘘でしょう…通らなかった


提督 「私はね、みつき に悪戯するを理由がほしいだけ」

三日月「理由になってないーっ」


後ろから司令官に抱きすくめられる

首筋に わざとらしく吹きかけられる吐息。腋をお腹を這い回る指先

くすぐったくて体を捩ると、背中いっぱいに司令官の体と擦れあい

だんだん、だんだんと、変な気分になってくる…


ちがう、だいじょうぶ


顔が赤いのは恥ずかしいからで、吐息が荒いのはくすぐられてるせい

変なことなんて考えてないし、ぜったい


望月「…」


妙なことを考えてる顔だ

そりゃぁ、抱きつかれて好き勝手に体弄られれば そんな気も起きるだろうけど


望月「ま、たいさんたいさんっと」


姉がお楽しみなのを邪魔するのもなんだ

見てるこっちが恥ずかしいってのもあるし


なにより…。終わったら こっちにくるだろうし


ガシャン…


望月「げっ…」


軽いホラーだった


誰も触れてない扉の鍵が回り閂を落とす

閉じる窓、落ちるカーテン

急に薄暗くなる部屋の中、逃げたはずの体はソファの上に収まっていた


提督 「どこへいこうというのかしら?」

三日月「はぁ…はぁ…。1人だけ、逃げようなんてそんなのダメだから…」


目が据わってる。呼吸も乱れたままに、望月の体を押さえこむ三日月


「さぁ、司令官…どうぞご自由に…」

「ちょっ、ほんとっ、まってってっ…まじかっ、あっ…」


そうして出来上がったのは。息も絶え絶えな2人と、ツヤツヤになった提督だった



ー海上ー


ポーラ「あのぉ~、ゆーちゃんさん?ポーラ、そろそろ腕痺れてきたんですけど?」

ゆー 「そう…。ゆーは楽ちんだから…」


渋い顔をしているポーラの腕の中

当たり前の様にその首に手を回して、涼しい顔をしている ゆーちゃんさん


もう馴れたものだ

聞く気が無いときは何時だって「そう…」の一言で流されるのは

その後は大体、ゆーには関係ない系の言葉で締めくくられるのも馴れたものだった


ポーラ「あ、はーい。聞く気無いんですねぇ。わかりました、ポーラがお運びしますって」

ゆー 「真似しないで。それに、あなた。手が空くとすぐお酒飲むんだもの…」


出来る抵抗と言えば、小さくからかう事ぐらい

あまりやりすぎると、ぐずられるので あやすのも大変だ


ポーラ「知ってますか ゆーさん?」

ゆー 「ん?」

ポーラ「艦娘の7割はお酒でできてるんですよ?」

ゆー 「…そうなの?」


疑うと言うより、ただ確認するだけの疑問。このまま頷けば、そうなんだと納得するだろう

素直なのは この娘の美点ではあるけれど、素直すぎるのは問題だ

一度信用させてしまえばこの通り、有りもしない冗談でさえ信じてしまいそう


その点「知らない人について行くな」を徹底させた球磨さん達は正しかったんでしょう

ただ…。徹底させすぎて少々困ったことになるのもまた事実。自分だってその被害者なのだから尚の事


なのでポーラはいつだって


ポーラ「はい。うそです」

ゆー 「…」


すぐにネタばらし。同時に不満げな視線に睨まれるけど

少しは人を疑うことを覚えてくれることを信じて


ポーラ「ごめんなさいごめんなさい、痛い、痛いですって」


無言で叩かれるポーラ

取り敢えずの平謝りは、何処か愉しげでもあった




ゆー 「ポーラ…」

ポーラ「なんでしょう?」


やっとのことで ゆーを宥めすかして 少しの後


ゆー 「待ってて。ちょっと見てくる…」

ポーラ「敵ですか?」

ゆー 「味方じゃないなら きっとそう…」


身じろぎ一つ

腕の隙間から滑り落ちて、そのまま海に潜っていった


ポーラ「行ってらっしゃいませ~」


味方じゃないなら…。ほんと1か0しかありませんねあの娘は

球磨(だれ)のせいやら、まったく将来が不安になるレベルです


ポーラ「ぷはぁ…」

妖精 「お嬢に どやされますぜ、姉さん」


ゆーがいないのを良い事に、隠し持っていた酒瓶を開けるポーラ


ポーラ「ふふっ。イタリアにはこんな諺があります」


ー体はお酒で出来ているー


妖精「はて。いい酒は、いい血を作る。とは聞きますが?」


確かに、そういう意味でなら「体は酒で出来ている」ともいえるが

この方の場合、いかんせん過程をすっ飛ばしてる感が甚だしい


ポーラ「もぅ、ネタにマジレスとかやめてくださいよ~」


「心はグラスですよ?泣いちゃいますよ?」

調子に乗って、さらに酒勢をましていく

緩んで瞳、上気した頬と色づいた首筋

仄かに香る色気は、さぞ艷やかではあったものの


妖精「彼女は独り、ワインに酔う…ですかね」


諦めるように首を振る。もう慣れたし気持ちも分かる

どちらかと言えば自分もそちら側なのだし


ポーラ「さぁ、ゆーちゃんさんを追いましょー」


ふらふらと、微速前進を開始する


妖精 「ステイと、言われましたぜ?」

ポーラ「いえ、今行かないと収集が付かなくなりそうなので」


そこにあったのは涼しい顔だった

酔いどれた色気はなりを潜め、駆け抜ける海風の様に無機質で肌寒い


妖精 「急に素に戻るのはやめてくだせぇ。いっそ怖い」

ポーラ「なーんてうそぴょーん♪あははは~」


かと思えば、陽気を通り越した朗らかさを振りまき出す


妖精 「姉さんも加減も覚えるべきだ」

ポーラ「ぶっちゃけめんどいですね」

妖精 「さいで」


ダメだこの娘。独白とともにコルク栓を投げ捨てる妖精さんだった




「ん?」


ちょっとした違和感。足元に何かいるような?


「とっ…」


何かにつまずく

いや、でも、おかしい。大平原よりまっさらな大海原で一体何につまずくというのか


海藻?あるいは何かの漂流物?


しかし、その予想はどちらも外れていた


「ひっ!?」


飲み込むような悲鳴と、掴まれている足首

手だ、白い手が、私の足首を掴んでいる

離さないように、逃さないように…あるいは、引きずり込むように…


迫り上がってくる

押し上げられた海水にふわりと体が浮き、沸き立つ海面に足が取られそうになる


出て来る、出て来る、浮き上がってくる…


そうして、それは、口を開いた…


「あなたは、だぁれ?」




択捉「ぎゃぁぁぁぁぁっ!?」


絵に描いたような悲鳴だった


択捉「何なんですかっそっちこそ誰なんですかっ、潜水艦ですかっ、日本の艦じゃありませんよねっ、撃ちますよっ!」


言うやいなや、悲鳴が艦砲にすげ変わる


ゆー「敵対行動確認。そう…あなたはそうなのね」


紙一重で掠める砲弾。叩きつけられる海水と単純な敵意に目を細める


水無月「すとっぷ、すっとぷっ。ゆーちゃんっ、まってっ」


急な悲鳴と砲撃に面食らいつつも

なんとかかんとか、二人の間に割り込む水無月


ゆー「みーな?なんで止めるの?ゆーは撃たれたんだよ…」


言葉一つで止まるわけもなく、粛々とWG42の発射体勢に移行する


「撃ち返さなきゃ…嘘でしょう?」というか、撃った


択捉 「ひぃっ!?やっぱり敵じゃないですかっ!?水無月さん離れてっ」

水無月「違うからっ!?良いからっ、主砲下ろしてっ、この娘マジで撃つからっ」


というか、もう撃ってるでしょっ


ゆー「どいて、みーな…」


淡々と次弾を装填する


水無月「ゆーちゃんもっ。一発だけなら誤射かもしれないでしょっ!」

ゆー 「一発だけ…?」


2発目。頬を叩く海水、視線が冷たくなっていく


ゆー 「form F・A・T…。艦首8門…」

水無月「あわわわわわっ!?」


問答無用。いや、すでにその段階は過ぎている

いま撃たなければ次に撃たれるのは自分なのだ…

なら、いつ撃つのか…今でしょ?


ゆー 「とりあえず、黙らせます…って」


話を聞くなら後でも出来る。口だけ動けばそれで良い


水無月「取ってつけたように「って」とか言うなぁぁっ」


そこだけ可愛らしさを振りまいたって水無月は騙されないから


てんてこ舞いにきりきり舞い、あっちに寄ってはそっちが撃って、そっちに寄ってはあっちが撃つ

単純に手が足りないし。二人とも黙まれって主砲を撃ち込む度胸もなかった


「はーい。そこまでで でーす」割り込んできたのは陽気な声


ゆー「ぽーら…」


抱き上げられポーラの腕の中に収まる ゆー

向けられる視線には、答えによっては叩くと棘が含まれていた


ポーラ「はい、どうどう。あと叩くのもやめて下さい、地味に痛いです」


訂正、答えによっては’もっと’叩くと棘で突かれていた


ゆー 「じゃあ、下ろして…」

ポーラ「良いんですか?下ろしたら、ポーラお酒飲みますよ?」

ゆー 「ぅっ…。もう、飲んでる…」


吹きかけられる息。鼻を摘まれる様な酒の匂いに顔をしかめる


ポーラ「うふふふっ。ポーラから目を離した ゆーちゃんさんの負けですね」

ゆー 「…」


「むかっ」擬音を付けるならきっとそう

そうして、迷わず伸びた手は掴みやすい所に落ち着いた


ポーラ「あっ、あっ…かみ、髪引っ張らないで下さい~」




択捉「ご、ごめんなさい水無月さん…びっくりしちゃってつい…」


申し訳なさそうに、小さな頭を何度も何度も下げる択捉


気持ちは分かる。物の弾みというのもあるだろう

いきなり足首掴まれたら自分だってびっくりする、あれは ゆーも悪い


水無月「あははは、大丈夫大丈夫。よくあるから…」

択捉 「よ、よくあるんですか…」

水無月「皆、イタズラしたり、驚かせたり…好きだから。後、人の話聞かないのも…ね。にひひ…」


キミもねと、最後の方に含みを持たせて少しだけの意地悪

それぐらいしたっていいはず、自分の苦労を思えば安いくらいだ


択捉「あ、うん。私も気をつけますね…」



ー工廠ー


「ゆーばりん♪」


その辺の角からゾワゾワと湧き出る声


夕張「ん?どしたー?」


驚くことも特に無く作業の手をすすめる

いつもの事と言えばそうだし、おかげさまで大いに慣れた


夕張「後、作業中は止めて」


扱い方も馴れたもの。こうやって、語気を強めてしまえば

不穏な気配は立ち消えて、気づけば隣に立っている


提督「上官に向ける態度じゃないね」

夕張「だったら、それらしくしなさいな」


ツンツンと、指先で突っつき合うような軽口を交わす


提督「夕張さんが部下らしくしてくれたら、私もそう見えるんじゃない?」

夕張「まさかでしょ…」

提督「あ、ひどい。提督ちょっと傷ついたわ…」

夕張「それこそまさかでしょうよ…」


大げさに、女々しく落ち込む提督を見ながら息を吐く

たとえ傷ついたとしても、切った側から再生していくタイプだコイツは

ガラス(アクリル)のハートとどっちがマシかは人による


とはいえ、一理あるか。気楽でいいとは言え

仕事中くらいは提督を立てるのも悪くない。それで自覚とやる気が出るなら尚の事

でも、部下らしい振る舞いってなんだ?取り敢えず、形式ばってみれば良いのだろうか?


夕張「お疲れ様ですっ、提督」


作業の手を止め、襟を正し、敬礼を返してみる


提督「ふふっ」


笑われた


夕張「笑うなっ。アナタが言ったんでしょうが」

提督「だって、ふふっ…。なんか物珍しくてつい…」

夕張「でしょうけど」


それもこれも誰のせいなのか

私だって敬礼なんてしたの何年ぶりかって話だし




夕張「で、お姉さんになんか用?」

提督「聞きたいことがあってね」


結局いつも通りに話を続ける。適度に甘やかしつつも割と雑に

床に転がった雑誌を摘んで広げるように


提督「海防艦って来てるじゃない?」

夕張「そうね」


「結局アレってなんなんだ?」提督からの質問はこうだった

どうもこうも、資料は貰ってるはず…なんだろうけど


夕張「何って…。書いてなかったの?」


読んでるわけがない

そんな期待は十二分あったけど、一応の確認の為に聞いてい見る


提督「君に会う理由が欲しかったんだよ」


そうしてみれば案の定読んでない。おまけに遠回しに口説かれた


夕張「…」


いわゆるジト目。呆れるでもなく、睨むでもない

「ばーか」だとか「言ってて恥ずかしくないの?」だとか

そういう言葉を口にするのも面倒で、ただただ無言で視線を返した


提督「あらやだ。半分は本音よ?」


両手を合わせ首を傾げて見せる提督

これを如月がやってるなら可愛げもあるだろうけど

この人がやっていると、何を企んでいるのかと盛大な不信感が芽生えてくる


夕張「残りの半分は?」


一応でも聞いてみた

「私に会いたいから」言葉の出処から視線をそらせば、理由としてはまだ分かる

でもでも、何が不安かってその半分、残りの空白


提督「愛ですにゃ」


「きゃっ言っちゃった」言葉にすればそうだろうか

合わせていた手を頬にやり、体を捩って恥ずかしそうに身悶える


夕張「…」


どうしてこう、時々動作が女の子女の子してるんだろうか

家の軽巡(球磨・多摩)にも見習ってほしいほどだ


夕張「ヴァファリンの謙虚さを見習って」

提督「値段の半分は優しさですって言われたら、急に胡散臭くならない?」

夕張「マジレスすんなし」

提督「あははは」




夕張「海防艦。だったっけ?」


いい加減に話を戻す

説明といっても、長すぎると飽きるだろうし簡潔に3行くらいで言うなら


駆逐艦に雑用をさせる余裕も無いからって作った艦種

強いか弱いかの話をすれば弱い

便利かどうかだと、また別の話しだけど


提督「ざっくりだね」

夕張「長いの聞きたいの?」

提督「楽しそうに話してる夕張なら見てたいけど」

夕張「そう見えた?」

提督「そう見えた」

夕張「ふーん」


ならそうなんだろう。否定しようにも思い当たるフシはあった


基本的に新しいものは好きなんだ


送られてきた海防艦の資料

取扱説明書的な奴を喜々として読み込んでいたのだってそう

そして、増えた知識は誰かに話したくもなる

聞いてくれるのは、菊月と提督くらいなものだけど

睦月は聞いてはくれるけど最後は笑顔で「わかんないっ」だ


夕張「あ…」


ふと思い出す。海防艦の娘達が来てたということは…


提督「ていうかあなた、悪戯とかいらんことしてないでしょうね?」


もしくは、逃げ出したココにという結果も十二分にありえる


提督「ねぇ、夕張…」


口元に手をやり。何か、思い悩むように顔を伏せる提督


提督「悪戯の範囲って、何処から何処までかな?」

夕張「あぁ…」


なんだろう。まーた何を企んでいるのだろうか


提督「いぃ?」

夕張「うぅ…じゃなくて」


工廠の隅へ

置いてあった鉄瓶に水を張り、ボイラーの上に置く


夕張「クッキーあるけど?」

提督「食べる食べる」


とりあえず今日くらい見張っとこうと思う夕張さんだった



ー海上ー


港が水平線に差し掛かる頃


「はーいっ。みんな集合」


皐月が一つ手を叩くと、その前に並ぶ海防艦の面々


国後「あんた、なんでそんな疲れてんのよ」

択捉「…ちょっと。番犬に噛みつかれまして…」

占守「しゅ?犬っすか?」

択捉「えぇ…まぁ…」


何とは言わずに口を濁す。私も悪いと言えば悪かったけど

納得行かないもどかしさに引かれ、ゆー(番犬)の方を見るけれど

そんな昔の事など気にする様子もなく、ポーラさんに曳航(抱っこ)されていた




皐月「それじゃ、鬼ごっこでもしようか?」


「鬼ごっこ?」


口を揃えて、同じような顔を浮かべる3人


国後「遊びに来たわけじゃないんだけど…」

占守「一応、演習って聞いてるっすよ?」

皐月「演習がしたいなら、それでも良いんけだど…」

ゆー「出番?」


皐月の視線に気づき、顔を上げる ゆー


択捉「はいっ。私っみんなで鬼ごっこがしたいですっ」


むくり…


起き上がる何かを遮るように割り込むと、小さな体を目一杯広げた

あぁ、きっとこれがトラウマというやつなのでしょう

対潜警戒が主任務の一つなのはそうなのですが


アレはマズい…

何時かは越えなきゃいけない運命があったとしても

今はイヤだ


ゆー「ゆーは何時でも…」

択捉「親睦を深めるのって大事だと思うんですっ」

ゆー「…」


視線が痛い、背中に突き刺さってます。正直怖い、かなり怖い

分かります。私だって、会話に割り込まれたら嫌な顔ぐらいしますし

でもごめんなさい、無理です、今は嫌です


皐月「だってさ、ゆー?」

ゆー「そう…」


殺気にもにた何かが収まると「ほっ」と肩の力を抜く択捉

これはアレだ、飼い主以外に懐かないやつだ…

優秀ではあるんだけど、融通が効かないって…




ポーラ「もうアレですよね」


「ちなみに鬼はボク」


ポーラ「これ、死刑宣告にしか聞こえませんよね」


実際その通りだった。話してる途中でもう占守が捕まっている


ゲーム開始前


皐月「ちなみに鬼はボク。君たちの勝利条件は、時間いっぱいまで1人でも逃げ切ること」


「どうかな?」問いかけるように首を傾げる皐月


国後「3対1ってこと?。なにそれ、余裕ってやつ?」

占守「負けないっすよ。流石にそれじゃ」

皐月「うん。じゃあ…」


同意は得られた。実に頼もしい反応だ


「10秒間だけ待ってあげるよ…」




ゆー 「みーなも あぁだったよね…」

水無月「そんなことないもん。水無月はもうちょっと頑張ってたし」


そうは言ったものの。50歩が100歩になったくらいの些細なものだけど


ゆー 「頑張るだけならポーラにだってできる…」

ポーラ「そうでしょう?ポーラやればできる娘なんですから」

ゆー 「別に褒めてはない…」

水無月「あ、択捉さんが…」




国後「たんまっ、ちょっとたんまっ」


急停止をして回れ右

これも火事場の馬鹿力というのだろうか、我ながら器用に止まれたと思う


皐月「?」


不思議そうな顔をしながらも止まってくれる皐月さん

それで お開きになるかと思えばそうでもなく

話が終わればすぐさま再開する気なのは、向けられた主砲からも明白だった


国後「なんで撃ったっ!」


「しゅぅぅぅ…」「ひゃぁ~…」


先に捕まった2人が、後ろの方で伸びている

直撃、こそはしてなかったようだけど

大量の至近弾でボロっとなっていた


皐月「そりゃ、撃つよ。鬼だもん、鬼らしくしないと」


それも当然、何を今更と、当たり前の事を当たり前のように返す皐月


国後「私の知ってる鬼ごっこと違うっ」


もっとこうあったはずだ

女の子同士、砂浜で駆け回るような

楽しい追いかけっこの絵だって絶対にあったはずなのに

これじゃただの演習じゃないの


皐月「言いたい事はそれだけ?それじゃあ…」


聞き耳持たず。とは、こういうこと

きらめく太陽、揺らめく波間、吹き抜ける風は爽やかに

きらめく砲身、唸る機関、ほんのちょっぴりだけ可愛らしく


「もう良いかい?」

「まだに決まってんでしょぉぉっ!」




それから数えること数試合後…


択捉「あ、あの…せめてハンデを…」


高速修復材でビショビショになった択捉がヨロヨロと手を上げていた


皐月「これでも勝てるようには加減してるんだけど…」


だからといって簡単に取らせる気もないのはそう

これが球磨さんだったら、空になった修復剤を頭に被せて

「喜べ、ヘルメットだクマ」とか言ってる頃合いだ


国後「そんな事言って、アンタのが足速いじゃない…卑怯よ」

皐月「全速は君たちに合わせてるじゃん?」

占守「砲撃もやめて欲しいっす」

皐月「直撃はさせてないでしょ?」


でも脅かしすぎたかな。3人とも、及び腰になってる感じだ

この状態でハンデを付けたって負けてもともとの感じが拭えないし

見て分かるほどの手加減をされて勝っても素直に嬉しくはないだろう


となると、空気を入れ替えるしか無いかな

例えばそう、鬼退治と言えば…


皐月 「そう思わないかい、桃太郎?」

水無月「ん?」


そこには、きょとんと目を丸くする水無月の顔があった




国後「で、どうなのよ桃太郎」


「作戦たーいむっ」と桃太郎の宣言の後

彼女を中心にヒソヒソコソコソ、内緒話を始める4人


水無月「どうって、そりゃ退治するしか無いじゃん?あと、桃太郎って言わないで」

占守 「まさかの鬼退治っすか桃太郎。占守聞いてないっすよ…」

水無月「うん、分かるよ?それはね?あと、桃太郎って言わないで」


自分だって経験者だ。その実感はとても良く分かる

なまじ最初に「逃げ切れたら」なんて言われるから

その後、本気で追い回されるから尚更逃げたくなるのも


けれど、それでも、何回かやってるうちに気づくだろう


水無月「逃げ切れると思った人、いるかな?」


小さく手を上げてみるも、それに続くお手々はなく


択捉「はいっ、無理ですっ。桃太郎さんっ」


その代わりに、ストレートな感想が返ってくる


水無月「うん、いいよ。素直な娘は水無月 好きだよ。あと、桃太郎って言わないで」


だって、逃がす気が無いんだもの

いやさもちろん、その上で逃げ切れたのなら認めてはくれるだろうけど

見たところ、占守達の艤装じゃ性能差でゴリ押しなんてのも無理そうだ

島風さんくらい足が速かったりすればまだ違ったんだろうけど


国後 「それで鬼退治?」

水無月「そうそう」


確かに頭数では勝ってるし、囲ってボコればあるいはいけるかもしれないけど


占守「じゃあ、占守は犬っすね」


その宣言は早かった

流れが鬼退治に向かうやいなや、自分のベストポジションを確保する


択捉「あっ」


そんな流れになる気がした

まだ席は空いているし、クナはまだ気づいてない様子


択捉「じゃあ私はキジで」


そうして、そしらぬ顔をして自分の席を確保する択捉


占守「残りのクナは猿っすね」


「しゅしゅしゅっ」と、妙な笑いを零す占守


国後「はぁっ!?誰が猿よっ、意味わかないしっ、それなら あたしが桃太郎するって」


ほら、髪の色だってそれっぽいし、とは彼女の言い分ではあったけど


水無月「おっと、鎮守府の桃太郎とは水無月の事だよ」

国後 「アンタさっきイヤって言ってたじゃないっ」

水無月「確かに。しかし、やらないとは言ってない。分かるね?」

国後 「うわっ、ずっるっ」

水無月「うん、水無月もそう思う」


けどね、綺麗事だけじゃやってけないんだよ

わりと、大人気ない人達多いから家は…


大人になる度に、大人気ない手段を覚えていく…この矛盾よ


占守「良いじゃないっすか、お猿さん」

択捉「はい、私もかわいいと思いますっ」

国後「だったら代わりなさいよっ」


「それはイヤっす」「それはイヤです」


きっかりハッキリ、拒否られた


国後 「きーっ!」

水無月「はい、どうどう。そいじゃ、勝ちにいくよ」


「おーっ!」と、続く声もなれば「ぁぁ…」と疲れた声も混ざっていた




皐月「はい、タッチ」


何の事もなく追いつくと、肩でも叩く様に手を伸ばす皐月


国後「今よっ!」


逃げ回ったって逃げ切れない

とはいえ、まともに打ち合ってもジリ貧だ。そういう風には出来ていない

だったら、確実に触れられるこの一瞬にかけるしか無かった


水無月さんが言うには、ダメって言われてないなら何やっても良いんだよ、極端な話さ

結局このゲームは、どうやって相手を出し抜くか、それを考えるゲームなんだ


2度も3度もチャンスは無い

水無月さんが適当に応戦してる隙間を縫って近づいてきたこの一瞬


皐月「お?」


制服の袖に指が掛かる

手繰り寄せるように引きつけて今度は大きく掴みこんだ


「さっちんは一応でも、鬼ごっこのルールは守るはずだから…」

砲撃してる点に目をつぶれば、確保するために肩を叩きに来る

キミ達がさっちんに触れる機会があるとすれば、きっとそこだけだね

「でも、掴まれたら負け何じゃ?」

「負けだけど。その後抵抗したらダメな理由になってないから」

「せっこ…」「ずるっこじゃないですか、それ」「恥も外聞の無いって感じっすね」

「でも、勝ちたいでしょ?」


作戦名は「幽霊船(ゾンビアタック)」


占守「めっちゃせこい気もするっすけどっ」


足が止まったその一瞬


択捉「だからってっ、他にどうしようもないじゃないですかぁぁぁっ」


右に左に、占守と択捉が掴みかかり、逃げようとしていた皐月の動きを完全に押さえつける


国後 「桃太郎っ!」

水無月「鬼は鬼らしくっ、退治されちゃえっ!」

皐月 「おっけっ♪」


向けれられる主砲

流石に、手足に海防艦をぶら下げていては、避けるのも一苦労


ならばよし。必要なのは勝ちを取るにいく心意気



ー大浴場ー


演習も終わり

疲れと、修復剤漬けになった体を流すため

広いお風呂に足を伸ばしている面々

疲れがお湯に溶けゆく中、一息付いてみれば思い出す


さて、罰ゲームは何だっだろうか


文月「最初は遊びのつもりだったんだよ…」


一向に口を開こうとしない皐月に代わり、ぽつりぽつりと語りだす文月


文月「からかったり、からかわれたり、くすぐりっこしてるうちにさ」


なんかお互いに意地になっちゃって

もうちょっと?もう少しくらい、それだったら、そうくるならって

二人して、どんどん どんどん エスカレートしてねぇ


つい、ね…。ほんと、事故みたいなものだったんだろうけど


文月「勢い余っちゃったんだよね…」

占守「そ、それは…つまり…っすか?」


ゴクリと、目を輝かせ話の先を促す占守


国後「…」


国後はと言えば。最初こそ興味津々だった

話が進むにつれ、次第に赤くなっていく顔は お湯以外の何かに浮かされていた


文月「ばーか…」(←皐月の真似

文月「んだよ、急にしおらしくて…」(←提督の…

文月「そっちこそ…やればいじゃん…できるんならさ…」(←皐月の

文月「…皐月」(←提督の

文月「…司令官…」(←皐月の


唐突に始まった文月の一人芝居だったけれど


文月「なぁんて、わっふるわっふるっ」


可愛らしく頬に手をあて、その先を誤魔化す文月

そこには、姉を猥談の出汁に使う妹の姿があった


占守「しゅぅぅぅぅっ!続きはっ、続きを所望するっすっ」

文月「これ以上はだーめっ。大人の階段昇っちゃうからぁ」

国後「…大人のって、何したのよ…」

文月「ムフフ…それ以上は文月の口からは、とてもとても…」


「でもぉ」ゆっくりと、波をたてることもなく国後に這い寄る文月


文月「そんな顔を赤くして、わかってるんじゃないの?」

国後「知らないし…ちょっとのぼせただけだし」


近づいてくる文月から顔を逸らす国後


文月「お姉ちゃんにいってみ?」

国後「言わないし…」

文月「そっかぁ、言えないかぁ…ふふふ」

国後「笑うな…」




占守「で、どこまでがほんとなんっすか?」


口元までお湯に浸かり、知らんぷりをしている皐月に問いかける


皐月「どこまでって…」


言い淀む皐月だったが「罰ゲームっすよ」の一言に、口をこじ開けられた


皐月「最初のほう…」

占守「…」


つまりはなんだ「最初は遊びのつもりだったんだけど…」の辺りっすか

これ、ほとんどあってんじゃないんすかね…




択捉 「な、なんですかっ。どうしてこっちみてるんですかっ、ゆーちゃんさんっ」


見られていた。なにか確かめるように しっかりと

顔ではない、それより少し下の方…


ゆー「よし…」


不意に、視線を胸元に落とす満足したかのように頷いた


択捉 「今どこ見てましたっ」

水無月「えとろふ~。からかわれてるだけだよ~」


司令官達がそんな風にはしゃいでたりするから、ゆーまで変なことをやりだしてるじゃん


ポーラ「ほら、ゆーさん。遊んでないで、こっちで髪あらいましょ?」

ゆー 「はーい」


ポーラに手を引かれシャワーの前に腰を下ろすゆー


択捉 「うぅ…あの娘苦手です」


何を考えてるかわからない上に手が早い

ファーストコンタクトを間違ってしまったのも十分に尾を引いている


水無月「そう言わないでさ。良い娘だよ?」

択捉 「水無月さんよりもですか?」

水無月「それは自分のが良い娘だよっ」


ぽんっと、ない胸を張って答える水無月


択捉「ふふっ、そこは譲らないんですね」


間髪入れずに胸を張る水無月が少し可笑しかった


ゆー「みーな。明日の朝が楽しみだね…」


さすが潜水艦、聞こえていたらしい。泡まみれの横顔から青い瞳が覗き込んできていた


択捉 「こわいし…」

水無月「ごめんなさいごめんなさいっ」


睨まれた途端に背中を丸める水無月


択捉 「謝ってるし…」

ポーラ「流しますよ~。目つぶってくださいね~」

ゆー 「うん」


流れてくるシャワーに備え目をつむり、体を丸めるゆー


択捉 「素直だし…」


パワーバランスが良くわからない娘達だ



ー港ー


それから別の日


提督「なーがつきっ」


出撃の準備をしている長月の元に ふわりと抱きつく提督


長月「っと。急に抱きつくなって…」


そうは言いつつも、そろそろだろうと

受け止める準備をしてたのは小言で隠して蓋をする


提督「なぁに?人前だからって照れてるの?」


いつも以上に顔を寄せてくる提督


長月「ん…あっ」


そこで気づく、視線が痛い


国後「いや、良いんだけどさ…」

占守「お構いなくっす」

択捉「仲、いいんですね…」


三者同様。なんとも言えない顔をしている

見ないほうが良いのかと、視線をそらしたり

やっぱり気になるのか、横目で伺ったりと落ち着かない様子だ


提督「見てみて菊月、長月だよー」


長月のほっぺを両手で挟んで菊月の方へ向ける


菊月「あぁ、そうだな。長月だ」


何を納得したのか、シンプルに頷いて微笑む菊月


択捉「すごいです。まるで意味がわかりません…」


違う。言葉としての意味は分かる、分かるから余計に言いたくなる


占守「だから何なんっすかね…」

択捉「ほんとに…」




国後「ちょっと菊月」


満足そうに微笑んでいる彼女の袖を引く


菊月「?」

国後「なによ、これ?」


聞いてしまった

聞き流せば良いものを、あまりにも不可解さに聞かずにはおれなかった

正直、彼女に聞くのもどうかと思ったが

この場で一番まともそうなのは彼女くらいにものだったから否応もなかったりする


菊月「なにって?長月だろう?」


きょとんと、不思議そうな顔で、当たり前のように返された


国後「…」


言葉もない。「なにが?」と返す気力も起きやしない

あれで会話が成立してるのが、意思疎通が出来てるのが何より恐ろしい

もしかしたら暗号なの?あるいはテレパシーか何かなのか?


国後「頭痛いわ…」


真面目に考えれば考えるほどに馬鹿になりそうだ


長月「良いから離れろっ」

提督「そんな、嫌いにならないで…」


恥ずかしさに耐えかね、提督を振り払おうとする長月

そうしたらそうしたで、しゅんっと一際寂しそうに声音を落とす提督


長月「嫌いにって、そうは言ってないだろう…」

提督「大好きだなんて…。私もだよ、長月…」

長月「そこまでも言ってないよっ。良いから離れろっ」


多少でも強引に提督を振りほどくと

やっと満足したのか、笑いながらも素直に振りほどかれる提督だった


国後「先、行っていい?」


疲れた。見てるだけでもう疲れる。これから仕事だってのに、これ以上は疲れたくなかった


菊月「すまない。もう終わる…」

国後「ほんとでしょうね…」


またラブコメを始めようものなら、海に向かって駆け出す準備は出来ていた




長月「で、何なんだ一体…」

提督「おやつだね。海の上ででも食べてよ」


言いながら、長月の艤装の出っ張りに紙袋を引っ掛ける提督


択捉「あ…。ありがとうございます」


なんのかんので良い所もあるんだなと、素直にお礼をいう択捉はきっと良い娘


占守「中身はなんっすか?」


思うまま好奇心を覗かせる占守に、返ってきたのは「きびだんご」との答え


国後「なにそれ…」


先日の、桃太郎ごっこを掘り返すようなアイテムに眉を潜める


国後「まだ引っ張る気?面白いとか思ってんの?」


あった時からそうだけど

いちいち人をからかってくる その態度は、あんまり好きには…


提督「うんっ」

国後「きーっ!」


いや、もういいっ。オブラートなんて剥ぎ取ってしまえ

嫌いよっ、嫌いっ、なんでこんなんが司令官やってんのよっ


択捉「凄い…迷いがありません…」

占守「いい笑顔っすね…」


それは、造形美のように完成された対応だった


国後「もうっ、あっちいけっ、しっしっ」


追い払うように提督を押し出し、手で払う国後


提督「怖い顔だ。あははは」


それは、さも楽しそうに追い払われていた


長月「司令官」


そんな提督の背中を呼び止めると「行ってくる」と


提督「行ってらっしゃい」


背中越しに頷きあうと別々に歩き始めた


国後「あんなんで良いの、ほんと…」

長月「あれでいいんだよ」


確かにバカだ。バカが過ぎるが

そんなバカに付き合っていると、任務のことなんて全然に忘れられて

気づけば自分もバカになっている、そんな日常、それが日常

だから、怖くたっても、やせ我慢でも頑張ってられるんだと…そう思う


長月「いくぞ…」

国後「あ、うん…」


海に上がる長月の背中。ぶら下がっているのは紙袋


確かに、ふざけてはいたけれど

そんな気遣いも出来るのかなって、見直すべきなのだろうか…


菊月「国後。ぼうっとしている おやつが無くなるぞ」

国後「は?」


菊月に肩を叩かれ我に返る

耳残ったのは「おやつがなくなる」とのお言葉

まさかまた鬼ごっこみたいなゲームでも始まるのかと思えば、何のことはなかった


あれは紙袋だ。そして任務は海の上…導き出される結論は


長月「お前たち、私を守れよ。おやつ食べたいならな」


振り返り、微笑む長月

警備任務と見せかけての護衛任務だった




大井「おバカ…」


小突かれた

ドアを叩くみたいに、いい感じに手首にスナップが聞いていた


「またこの人は…」内心溜息を吐く

いや、逃げ隠れしてない分及第点なのだろうけど、そこを褒めてもしょうが無いし

そこに立つために、からかって回っているんじゃ どうしようもないというものだ


提督「いーたーいーっ。北上様、大井っちがいじめる」

北上「あーはいはい。怖いお姉さんだねぇ」


引っ付いてい来た提督の頭をなでつけ、適当にあやしている北上


大井「甘やかすな。あと、大井っちって言うな」


それも面白くないのか、眉間にしわを寄せている


提督「大井ちゃん?」

大井「やめて」

提督「大井様」

北上「おっと、その称号は私のだ」

提督「じゃあ…」


アレもダメと、コレもダメと言われ考え込む提督


大井「いつもどおり、呼び捨てでも「さん」づけでもして呼べばいいじゃない」


そのいつもの中に「大井っち」が2割位含まれているのが悩ましいけれど


提督「そうだね、マイハニー」


次の瞬間には頬をつねられていた


大井「やかましいですわよ、マイ・ダーリン」

提督「いたいいたいたい…」


「あらあらうふふ」笑ってるのに笑ってない

笑みが増す度、痛みが強くなっていく


北上「はいはい、そこまでよーん」


二人の間に割り込む

わざとらしかっただろうか、でもまぁ気づいても大井っちくらいなものだし良いだろう


「マイハニー」なんて冗談にチクリとしていたし、「マイダーリン」なんて冗談にドキリともしていた

有り体に言えば、ヤキモチを妬いていたのだろう

それを否定する気はないけれど、同じくらいオープンにする気もなかった


お口にチャック、心に蓋をして

どうしようもない部分は、笑顔でお茶を濁して見せればいい

幸いなことに、そういうのは得意だった


提督「つねること無いじゃない、これでも頑張ったんだよっ」


北上の後ろに隠れて、その肩越しに抗議する


大井「マイナスがゼロになったくらいで、誰が褒めますかって」


公正した不良がエライだなんて、馬鹿な話があるものか

真面目にやってるやつはどうだって言うんだ

そも、それでもまだマイナスなんだから褒めようもない


提督「北上様が褒めてくれるしっ」

北上「えらいえらい」


ほぼ口だけ、それはまた随分とおざなりだった


大井「それでいいの、アンタ達は?」


半ば呆れていたけれど

「良いんじゃん?」重なる答えに諦めるしか無かった




「それでいいの?」


提督が掻き消えた後

そこを見るでもなく、それだけを口にする


「良いんじゃん」返ってきたのは同じ答え


「別に、とりゃしないわよ…」

「そんな心配はしてないさ…」


逃げるように歩いていく背中


「じゃ、どんな心配をしてんのよ…」


聞いても答えはしないだろうし…

いちいち口を出すような事でもないとは思う

むしろ、出しただけ余計意地になったり悪化するのが通例ではあるけれど


「まどろっこしい…」


いっそ、もういっそ

二人っきりにして何処かに閉じ込めれば何か進展するんじゃないかとさえ思うほどには



ー廊下ー


卯月「どーも、うーちゃんです…うぷぷぷ」


廊下の角。ひょっこりと顔を覗かせる卯月

本日のすけーぷ…お客様は、占守型海防艦の2番艦・KU★NA★SI★RI★ミ


何も知らない、気づかない

無防備な背中を晒して廊下を歩いていた


一時期、司令官と一緒に捲りまくったせいで

スカート捲り耐性が上がっている面々の中

その無防備さ、初々しさは魅力的に魅惑的に卯月を魅了していた


誘われているんじゃなかろうか、疑いもするけれど


弥生「いいよ…」


弥生から出るGOサイン

虎穴にいらずんば瑞鳳を得ず、そして瑞鳳の甲板は真っ平ら


卯月「ぴょん…」


頷く。卯月ならきっとやれる、そう確信した瞬間だった



ー食堂ー


ぽつぽつ、ぱらぱら、ぽたぽた


窓の外ではゆったりと振り続ける雨

それを眺めていると、船を漕ぐようにうつらうつらと瞼が落ちていく


ぽつぽつ、ぱらぱら、ぽたぽた


いっそ寝てしまおうか

このまま眠気に誘われたらさぞかし気持ちいいだろう


ふわふわ、ゆらゆら、ぷち…ぷち…


占守「ん?」


変な音が聞こえた

うつらうつらとしていた目を開くと


そう、なんというか、そう…毟られていた


占守「何してるっす?」


いやさ、見れば分かる分かるんだけど、聞きたくなった


睦月「少しだけ、少しだけでいいのっ」

占守「それ、少しじゃすまないパターンっすよね?」


気づけば隣に睦月がいた。そしてもう一度、毟られていた…

制服の袖口、ふわふわ毛玉。見れば誰もが思うだろう

触りたいと、触ってみたいと、故に気持ちは分かる

自分だって、飛び出た毛を抜いたのは一回や二回じゃないのだから


如月「そんな所で寝てたら悪戯されるわよ」

占守「だったら止めて欲しいっす…」


言うのが遅い、なら止めて、せめて起こして


如月「やーだ♪」


にこり。とてもいい笑顔だった


占守「なにゆえ…」

睦月「イタズラしない人生なんて人生じゃないよっ」

占守「力説しないで欲しいっすっ」


思わず立ち上がってしまった

その首筋に「ふっ…」ふわり、くすぐるように吐息が掛かる


占守「ひゃんっ」


存外と、可愛い声が口から漏れた


如月「あら、可愛い声ね」

占守「に、二体一とか卑怯っすよっ」


驚いたネコみたいに跳ね上がると一気に飛び退いた

しかしそこは壁。窓ガラスの冷たい感触が背中越しに伝わってくる


睦月「勝てばよかろうなのだー」

占守「ええいっ、ままっすっ」


飛びついてくる睦月

逃げ場はない。ならば迎え撃つが道理

占守とて艦娘である、やられっぱなしでおれんのだ




睦月「あーん、如月ちゃーん」

如月「はいはい…」


ぼっさぼさになった頭で如月に泣きつく睦月だった


占守「か、かったっ」


激戦だった?

飛びついてきた睦月、迎え撃つ占守

こしょこしょとお互いの体を触りまくり取っ組み合ってるうちに

気づけば頭を無であって、二人してぼっさぼさになっていた…


如月「あなたも、こっちに来なさいな。ボサボサじゃない」


悪戯っ娘のようななりを潜めさせ

今度はお姉さんのような嫋やかさで、自分の膝を叩いて見せる


占守「誰のせい…」

如月「私じゃないわよ?」

占守「でしょうけど…」


あんまりにも あっさりとした物言いに何も返す気が置きず、手招くままに招かれる

手馴れたもので、あっさりと睦月の髪を修正すると今度は占守の髪を撫で付けていった


占守「…」


心地が良いと、素直に思った。姉がいたらこんな感じなのかと思ってしまう

ただ、それを口にするのは何か負けた気がする

うつら、うつら…。髪を梳かれている内に戻ってくる眠気

このまま、体を預けて眠ってしまっても良いんじゃないかと…


「きゃぁぁっぁぁぁぁっ!?」


思った矢先にコレだった


睦月「およ?」

如月「いまのは…」

占守「…」


あーうん…国後の声だ


如月「妹さんじゃない?」

占守「っすね…」


何が、とは言わずとも予想は出来ていた

「イタズラしない人生なんて人生じゃないよっ」思わず、発言者へと視線が向いていた


睦月「睦月じゃないよっ!」

占守「わかってるっすよっ」



ー廊下ー


国後「きゃぁぁっぁぁぁぁっ!?」


スカートを抑えて後ずさる


国後「な、なにっ、なんなのよっ!?」

卯月「大・成・功っ」


そこには満足気に胸を張り、無表情の弥生とハイタッチを交わす卯月の姿


国後「す、スカートめくりとかっ、ばかなのっ、子供じゃあるまいしっ」


「子供だぴょん?」「子供だよ?」

何を言っているの?そう、いいたげな顔で首を傾げられる


国後「不思議そうな顔すんなっ、私が間違ってるみたいじゃないのっ」

弥生「子供は子供らしくしないと。司令官もそう言っていた」

国後「あいつかぁぁぁっ!!」


またかっ、またなのかっ

てことはなんだ、いまのどっかで見てたのかっ

けれど お生憎様よ


国後「ふんっ…。ま、別に?下はタイツだし?見られたくらいで?」


此処で騒いだらアイツの思う壺だ

思考が子供だってんなら、騒げば騒ぐほど喜ぶんだろう

だったら、少し恥ずかしいのを飲み込んでしまえばいい

実際、下はタイツなのだ。パンツを見られたわけでもなし、子供の悪戯に付き合ってられるもんですかって


弥生「ふーん…」


ひらっ…


国後「ちょっ!」

弥生「なに?」


慌ててその手を抑えると、恐ろしいまでの澄まし顔が返ってきた


国後「何をするっ」

弥生「見せてもいいって?」

国後「言ってないっ!見せていいわけじゃないっ!」


見られたくらいでどーとも…思わなくもなくもないけど

ノーカンだってそれだけの話しだ。決して、決して、見せていいわけがない


弥生「ケチなの?」


無表情のままに首を傾げられた


国後「ケチって言うな。だいたいっ、そんなこと言うならアンタだってっ」


すっと、弥生のスカートに手をかけると思いっきり捲り上げた

少し捲るだけのつもりが、勢い余ったせいか垂直に持ち上がってしまう


弥生「…」

国後「あ…」


我ながら、ちょっとやりすぎたとは思う

けれど、スカートめくられて頭に血が上っていたし

やったのだ、やり返される覚悟だってあるだろう

だから、きっとノーカンでいいはず…だけど、やりすぎはやりすぎだ


国後「ごめ…」

弥生「ん?」


ケロリとしていらっしゃる

表情が固いというか、乏しいというか、何を考えているのか良くわからない


国後「だから、その、やりすぎたかなって…ごめんなさい」


だからって、アレが見てるかもしれないのに

思いっきりスカートまくられて平気なはずもないだろうと思うんだけど


弥生「別に?」


ケロリとしてらっしゃる


国後「…平気、なの?恥ずかしいとか、ないの?」

弥生「…」


唇に指をあて、考え込むように一思案


弥生「きゃっ…」


棒読みアンドわざとらしくスカートを抑える


国後「な、なに?」


その行動の意味が分からず、思わず聞き返す


弥生「可愛いかなって?」

国後「いや、あんまり…」

弥生「そう、残念…」


そう言ってはいるものの、とてもそうは見えないのが困る

本音と建前の境界がまるでわからない


国後「じゃなくて…。ほんとのほんとに、平気、なの?」


散らばりそうになった罪悪感を掻き集めて、もう一度訪ねてみる

ここで我慢とかされて、後々1人で泣かれたらたまったものじゃない


弥生「みられて困るものじゃないから、ほんとに平気だよ?」

国後「…」


ケロリとしてらっしゃる


国後「そ、そうよね。あんな子供に見られたくらいで困んないわよね…」


何とか、何とか納得できる理由を組み立ててみた

た、たしかに、馴れてしまえば何とも思わなくもなるのかもしれないけど

馴れるくらいスカートめくられるとか嫌過ぎる


弥生「んーん」

国後「え…?」


しかし、違うらしい。小さく首をふって否定なさっている


弥生「…だから」

国後「…ん?」


よく聞き取れなかった

いや、違う。聞こえてはいたんだろうけど

耳が聞きたくなかったと、頭が理解したくないって


弥生「勝負・・・だから…」


「むしろ見て…」そう、おっしゃった


国後「もう、頭痛いわ…」


思わず頭を抱えてしまった




ぷち…ぷち…


不意に引っ張れる袖


国後「…」

卯月「…」


卯月と目が合う


卯月「にぱっ♪」


いい笑顔。大人しくしてれば可愛い娘だと思う…大人しくしてれば


国後「なんで抜いたっ」

卯月「抜きたくなるぴょん。人の業だぴょん」

国後「安い業ね…」


けれど、お陰様で抱えていた頭がスッキリした

だいたいそうだ、スカートめくったのコイツじゃないか

弥生にやり返す前にコイツにやり返さないでどうするかって


国後「てりゃっ!」

卯月「ぴょんっ!」


早かった、お互いに

要領を得たのか弥生のときより手早く伸びる手。それより早く身を引く卯月

結局、指先がその裾を掠める程度で 捲くるまでには至らない


国後「…」

卯月「…」


じりじり、じりじり

お互い無言のまま、間合いを詰めた分だけ離される

一触即発「よーい…」そんな空気を裂いたのは弥生の声だった


弥生「どんっ…」


パンっと手を叩くと、同時に駆け出す2人


卯月「ぷっぷくぷーっ♪」

国後「待ちなさいなっ」

卯月「待つぐらいなら逃げてないぴょーん、べろべろばーかっ」

国後「むっかぁぁぁ。アンタ捕まえたら酷いんだからっ」

卯月「うぷぷぷぷっ。皮算用なら瑞鳳でも出来るぴょんっ」

国後「それ言うならたぬきでしょうがっ。良いから、そこになおれーっ」

卯月「だが断るっ」


どたどたどたどた…

廊下を曲がりその奥へと、喧騒が遠ざかっていった


瑞鳳「何煽ってんのよ、アンタは…」

弥生「これも卯月のため。仕方のない犠牲なの…」

瑞鳳「あーあ、もう…」


卯月のためとか言いながら、本当に面白がってるのは自分じゃないかと思うけど

頭を一つ掻くと、しょうもなさそうに二人の跡を追う瑞鳳だった



ー執務室ー


ぼけーっと、何でもない時間が流れていた

間延びしている、弛緩している、緊張感の欠片もない


提督「タイツも良いな…」


部屋の隅を見つめていた提督が呟く

退屈そうにしながらも新たな発見に顔を綻ばせてもいた


多摩「何をメルヘンなことを…」


チラリ…

丸くなったまま顔も上げずに ソコを見る

初々しい反応だ。卯月達がイタズラしたくなるのも分かる


多摩「迂遠なことをするにゃ…」


やるだろうと思ったけれど。卯月をけしかけるとは随分と殊勝なことだ

スカートは自分で捲る派だと思っていたけれど


提督「卯月ならやるだろうと期待していただけよ…」


「それに、まぁ…」距離を測りかねてるのも無くはない

とりあえず からかって見たけれど、あぁ強気な娘に限って行き成り泣き出したりもするし

強そうに見えて折れると弱かったり、自分と全く関係ないなら それはそれで楽しいんだけど…


提督「これでも提督だし?」


得意げに、胸を張ってみた


多摩「皐月の前で言って見るにゃ、それ」

提督「やだぁ、仕事増やされる」

多摩「だろうよ」


ぽんっと、書類の塊を押し付けられるのが目に見えていた


ーコン・コン・コンー


木曾「提督、はいるぞー」


ノックノックの後、ゆるりと開く執務室の扉


木曾「…何やってんだ、お前ら…」


多摩の後ろに隠れた提督

羽織っていた着物を頭から被り、二人羽織の様相を呈している


多摩「多摩に言わないで欲しい…」


大体がして、木曾の後ろが原因なのは目に見えてはいた


択捉「失礼します…」


恐る恐る、木曾の後ろから顔を覗かせる


多摩「提督…良いから顔ぐらい出すにゃ…」


面倒くさそうに首を傾けると、空いた肩の上に顔をだす提督


択捉「え、えーっと…」


めっちゃ警戒されてる…

あと一歩近づいたら逃げ出しそうな野良猫のそれだった

初対面ではないにしろ、まさかここまでとは…

これ、クナちゃん達どうしたんでしょう…


択捉「ちゃんとご挨拶してなかったなぁって…その?」


とりあえず、あんまり刺激しないように…


提督「…たしか、え…」

択捉「択捉です」


早かった

「択捉型海防艦・一番艦の択捉です」念を押す用にもう一度

しむちゃんが名前を見失いかけたって話には聞いていた

占守が読めないんだ、択捉なんて読めるわけ無いだろうと確信していた

クナちゃんが言ってた。変なこと言われる前にちゃんと名乗っとけって

変なふうに略されるのは確かに困る…国後や占守ならまだ良いけど…

自分の場合、どこを切り取っても妙なことになりそうだ


択捉「え・と・ろ・ふ・ですっ。よろしくお願いしますねっ」


強めに言ってもう一度。そして腰を折る


提督「…」


強かだな、と素直な感想。完全にタイミングを潰された

この状況で、トロちゃんだのえ・だの言うのはクドいだろうし


提督「たぁまぁ…」


やり場のない憤りを多摩に押しつけた


多摩「多摩に言わないで欲しいにゃ…」


おとなしく負けを認めるが良いよ


木曾「とりあえず、からかって様子見ようとするのやめろよ」


「子供かって」いっても開き直るんだろうけど

人前だと余計に恥ずかしいことになるのでお口にチャック


提督「ねぇ、択捉…」

択捉「何でしょう?」


おずおずと口を開く提督に、首をかしげる択捉


提督「きび団子…どうだった?」

択捉「あ、はい。ごちそうさまでした、とても美味しかったです」

提督「お、食べれたんだ…すごいすごい…」


割りと、意外そうな顔を浮かべる提督だった


択捉「わざとだったんですね…あれ?」


見つめる、伺う、確かめる

ビニール袋に包むって手もあったはずなのに、わざわざ紙袋にいれるなんて


提督「…」


すっ。顔をそらされた


択捉「もうっ!やっぱりっ!」

提督「そんなことないにゃ、たまたまだにゃ、多摩だけににゃ」

択捉「じゃあっ、食べれたんだって何なんですかっ。あとそんな面白くないですっ」

提督「わさび入りのロシアンきびだんごと迷ったんだけどね?」

択捉「尚悪いじゃないですかっ!」


食べれるやつでほんとよかったっ


提督「辛子がいいの?」

択捉「普通が良いんですっ」

提督「それじゃつまらないじゃないっ」

択捉「イタズラしないと気がすまないんですかっ」

提督「そうだよっ」

択捉「素直だっ」


「はぁはぁ」一通り言いたいことを言った後のクールダウン

落ち着いてしまえば、なんでこんなくだらないい争いをしていたのかと思えてきた


択捉「周りはしっかりなのに、どうして…」

木曾「そりゃ…おまえ。周りがしっかりしないと立ち行かないからなぁ…」

択捉「それは…たしかにそうだけど…」

提督「私1人の力なんて些細なものなんだよ」


「お前が言うな」「お前言うにゃ」「あなたが言わないで下さいっ」


いっせいに口を揃えられた


ーいぃったぁぁっぁぁいっ!!ー


択捉「い、いまのは…」


突然の叫び声にビクリと肩を揺らす択捉


木曾「今度はあっちかぁぁぁ…」


そして、ガクリと肩を落とす木曾

聞き間違いようもなく卯月の声だった

また瑞鳳にちょっとかいでもだしたのか



ー廊下ー


追い詰めた、追い込んだ、あとは手を伸ばしてっ


国後「なっ…」


廊下の突き当り。追いかけっこを続けた結果ようやっとバカを追い詰めた

後は手を伸ばして、私と同じ目に合わせてやればいい


だと言うのに…


卯月「ぅぅっ…」


卯月のスカートにかかった指が止まる


国後「卑怯よ、それ…」


あと一歩、すんでのところで彼女の顔が目に入ってしまった

小憎たらしいばかりだった その顔、その瞳に浮かぶ涙


自分は散々好き勝手やっておいて、ここで泣くか普通

構わず捲り上げたい気持ちもあったけど

毒気を抜かれ、冷静になればなるほど だんだんと馬鹿らしくもなってくる


国後「あぁ、もうっ…。次は許さないんだから…」


だからといって素直に許す気にもなれず

ぶっきらぼうに釘を刺すと卯月に背中を向けた


「なーんて…」


それが間違いだった


卯月「うっそっぴょーんっ♪」

国後「ひゃぁぁっ!?」


万歳でもするように持ち上がる両手

盛大にまくり上がったスカートと、一緒に伸び上がる背中


卯月「ぷっぷくぷーっ♪」


驚き、固まる国後の脇をすり抜けて駆けていく卯月


国後「こ、こんのぉぉぉ…」


争いは同レベル同士でしか発生しない

そんな事はどうだって良いっ、やられっぱなしで終われるかって


体勢を立て直した国後が、駆け出そうとした時だった


「いったぁぁっぁぁいっ!!」


国後「へ?」


ほぼ悲鳴な叫び声、蹲る卯月の背中


瑞鳳「何やってんのよ、バカ」


握り拳を解いて、冷ますように手を振る瑞鳳


卯月「もうっ、なんなのっ、何も叩く事ないぴょんっ」

瑞鳳「言って聞かないからでしょうが」


何度も何度も言っている。止まった試しなんてなかったけど


卯月「何も言ってないじゃない」

瑞鳳「じゃ、止めなさい」

卯月「やだぴょんっ」


ドヤッと即答。その顔は、瑞鳳の言うことを素直に聞いたら負けだと思っていた


瑞鳳「…」

卯月「おーけーおーけー、ちょっと待つぴょん」


再び持ち上がる拳から頭をかばいながら、ずるずると後ろに下がる卯月


「つーかーまーえーたー」


卯月「げっ」


背中が国後の足に引っかかる

頭の上から降り注ぐ声は低く、見上げた顔は笑顔ながらも笑ってはいなかった


国後「泣かしますけど、良いですよね?」


笑顔で、あくまで笑顔で、瑞鳳に確認をとる


瑞鳳「どうぞ?」


それもまた笑顔で頷いてGO


卯月「うーちゃんは、うーちゃんはただね…」


強引に立たされると、廊下の壁に押し付けられる卯月


国後「ええ、私だって仲良くしたいわ」

卯月「国後…」

国後「だから、立場は対等にしとかないとね」


まったくのまったくだ

艦娘になってまでやることが、スカートめくりだなんて

何かがおかしい、絶対に間違っている


「いぃぃやぁぁぁぁっ」


けれど、妙な達成感のその中に小さな小さなドキドキも…

なんだろう、この気持ちはなんて言ったら良いものか…


国後「うるさくしてごめんなさい」

瑞鳳「良いの良いの。こっちが悪い、というかコイツが悪い」

国後「それはまぁ…」

瑞鳳「いくわよ、卯月」


ズル…ズル…

首根っこを引っ掛けて、卯月を引きずっていく


卯月「酷い辱めを受けたぴょん…もうお嫁にいかれないぴょん…」

瑞鳳「そんなの、提督がいるじゃないの」

卯月「瑞鳳は貰ってくれないの?」

瑞鳳「いらない」

卯月「ひどいぴょんっ」


ズル…ズル…ズル…


引きずって、引きずらていく2人を見送る国後


国後「はぁ…つっかれたぁ…」



ー食堂ー


「へーい。そこのガール」


国後「はい?」


夜。廊下を歩いていると、突然綺麗なお姉さんにナンパされしまった

半ば強引に連れ去られ、気づけば目の前に紅茶とお菓子が並んでいる


国後「え、えーっと、これは?」

金剛「ん?疲れた顔してたなって?」


優しい笑顔だった

また、びっくりどっきりが待っているかと身構えてもいたけれど

お茶とお菓子もあってか、だんだんと肩の力が抜けていった


国後「そう…かも」


遠慮、というか、配慮というか

否定しそうになったけど、その笑顔に甘えるように頷く


金剛「ここ数日。ずーっと騒いでたものね」

国後「はい…。なんか、休む間もなくって…」


いや、睡眠時間がないとかじゃなく、日が昇ってからが本番だった

演習だったり、任務のお手伝いだったりは良いんだけれど


廊下で、お風呂で、食事中に、誰にちょっかいかけられるか

特にバカウサギとか、あの司令とか、澄まし顔してる弥生もなかなか危険だ

正面から 戯れくる睦月さんなんて、可愛すぎて涙が出てくる


金剛「うふふふ。悪戯するのが日課みたいな所ありますからね」

国後「みたいですね。構ってもらえるのは、まあ良いんですけど…」

金剛「ネコっ可愛がりされてる気分?」

国後「はい」


頷いて、紅茶に口をつける

じんわりと温かくなるお腹と一緒に人心地付く


球磨「退屈はしなかったろう?」


ク。キーモンスター…程ではないにしろ

肩肘をついて、クッキーを口に放り込んでいる球磨

適当に噛み砕いては、カップの中を一気に煽る

豪快だった。金剛でさえ苦笑している


国後「それは…そうですけど」


ちょっと構われ過ぎて、気疲れもするってものだ

だけども、やっぱり、こう落ち着いて見て思うのは


国後「気、使われてたんでしょうか?緊張しないようにって…」


「くまくまくま♪」言った途端に笑われた、妙な笑い方だった


金剛「ないない」


金剛さんでさえ、楽しげに首を横に振っている


国後「ですよねぇ…」


そりゃそうだと、諦めて肩を落とした


金剛「でも、みんなあなた達と仲良くなりたかったってのはホントよ?」

国後「…それは」


睦月さんはそうだろう、百歩譲って卯月もそうだとしても


国後「司令もですか?」

球磨「くまっ♪」

金剛「まぁ…そうねぇ…」


それすら一笑に付す球磨の隣で、どういったものかと言葉を選ぶ金剛


金剛「悪気はないのよ…一応」

国後「あっても困ります」


まったく、合う度会う度 しょうもないことされて

怒って良いのか何なのか、微妙なラインばかり

いっそ卯月くらいバーってされたほうが、即断で手が出せるからマシってほどだ


国後「金剛さん達にも、あぁなんですか?」

球磨「安心しろ。あれで、自重してるクマ」

国後「アレで…」

金剛「ですね」


じゃあ、普段はアレ以上ってこと

完全にセクハラ…いや、今でも十分かもだけど


球磨「あんなもん野良猫かなんかだと思っとけばいいクマ」


邪魔なら追っ払えばいいし、構いたくなったら餌付けでもすれば解決だ


国後「それは、あんまりじゃ…」


一応は司令官なのだし、そんな邪険にしすぎるのもどうなのかと


金剛「嫌いにならないで…は、無理かもしれないけれど…」


一つ、間を置くようにカップを傾ける金剛

軽い吐息と、広がる紅茶の香り。そうして、柔らかく微笑んだ


金剛「好きになってくれたら、嬉しいなと…私は思います」

国後「まぁ、考えては置きます…」


ドキリとした。跳ねた心臓に驚いて視線が逸れてしまう

金剛さん、かっこいいな…なんて少しだけ、好意のような憧れ


金剛「うん、考えて。考えて考えて、提督の事しか考えられなくなったらもっと楽しくなるよ」

国後「…ん?」


あれ、この娘本当に大丈夫なんだろうか

お上品にお茶を飲む姿は さっきまでと変わらないけど


球磨「はぁ…」


あ、球磨さんが溜息を付いている、またかって顔をしている


見なかったことにしよう…たぶんそれが平和への近道



ー執務室ー


試用期間も終わり、占守たちが大本営に戻ってから少し…


大鳳「提督、占守さん達から手紙」


手には小さな封筒。それを提督に差し出しながら隣に腰を下ろす


提督「ほぅ…なんて書いてた?」

大鳳「…予想通りじゃない?」


いや、期待通りというべきか

まるで、プレゼントを受け取る前の子供のように顔をしている提督


最後の日、皆で撮った記念写真

占守達を中心に…その後ろには提督が

何かやらかすのだろうと、まだまだ警戒心の薄い彼女たちが気づかない程度には

皆、提督から少しばかりの距離を取っていた


実際やらかした


シャッターが切られる直前「しゅーっ!?」と声を上げて飛び上がった占守

一緒になって笑う娘、呆れてる娘、さらには国後と一緒に手を出す娘も

最後には追いかけっこからの演習(じゃれ合い)に発展して、勝利の拳を掲げる球磨

お別れの名残惜しさなんて爆風で吹き飛ばされて

ぼろっぼろになったまま、大本営に引き上げていった択捉たちの後ろ姿は疲労感に溢れていた


大鳳「どう?」


封が切られ、提督の手に滑り落ちてくる写真

それを覗き込むと、自然と提督との距離が近くなる


提督「…」


頬をくすぐる彼女の髪

気恥ずかしさも手伝って首を傾けると、空いた肩に頭を預けてくる


提督「なに?」

大鳳「なに?」


オウム返しに返ってくる言葉

何が楽しいのか、くすくすと微笑んでいる大鳳


からかわれている

いや、そんなの最初から分かっていたけれど認めてしまえば負けた気がするし

ならばと、そのまま体を倒してソファの上に寝っ転がる提督


流石に…


一緒になって倒れてきたら、なかなか刺激的な絵面になるだろうし


そこまでは…


天井が遮られ影が落ちる

肩に手が触れたと思った時には、柔らかく重みが重なってくる


大鳳「次は…どうするの?」


肩に掛かる手に力が篭もると、だんだんと近づいてくる彼女の顔

うっすらと色づく頬、瑞々しい唇と…

何より、その真っ直ぐな瞳に吸い込まれそうになる


大鳳「ん?」


ふと、大鳳の動きが止まると

外れた視線が提督に握る写真に注がれる


大鳳「何か、書いてるわ…」


言われるままに写真をひっくり返してみると…



ー占守達のお部屋ー


択捉「し、し、心霊写真だこれっ!」


写真を机の上に投げ捨て慌てて距離を撮った

もしや呪われたりはしないだろうかと、額に背中に冷や汗が流れ出す


投げ捨てられた その写真


モヤッとしている、それに映ってない人がいる

ぞわりと、何か薄暗く発光する靄のような霧

提督に脅かされ、びっくりして背筋を伸ばす占守を囲うように漂っている


それの何がイヤって、


心なしか、今でも、明滅してるような、広がってるような、錯覚?


占守「お、脅かしっこなしっすよ…マジで…これ…」


靄のせいだと思いたい、霧のせいにしておきたい

映ってる自分の姿がうっすらと透けてさえ見える


国後「あ、あいつは…ほんとに…」


手を握りしめてもまだ足りぬ。足りない分だけ肩が震える

今からでも、あそこに戻って一発ぶん殴っても良いレベル

居なくなっても追いかけてくるとか、性質の悪い幽霊そのものじゃない


写真を裏返して、乱暴にペンのキャップを投げ捨てる


ホントのホントに


「ばっかじゃないのっ!」


たまった鬱憤と一緒に書き殴っていた



ーおしまいー




文月とてるてる坊主


ー執務室ー


しとしと…しとしと…


窓の外でゆっくりと落ちる雨

曇天は切れることもなく、雨足はのんびりと歩き続けている


文月「~♪」


そんな雨の日だ

てるてる坊主の一つも作りたくもなる

というのは建前で、持て余した暇の行き着いた先というのが本音だった


ティッシュを丸めて上から包む

根本を縛って紐で吊るす


作りながらに思うのは「これ冷静になると結構怖いよね…」

人形の首をくくったり逆さにしたりして、神事に生贄はつきものだったり

あるいは古事記でも紐解けば、元ネタの一つでも見つかるのかな…


そんな夢のない発想も、顔を付け足して可愛らしく纏めた頃にはすっかりと薄れていた


三日月「出来た?」


書類を片手に覗き込んでくる三日月


文月「うん、かんぺきっ」


ぐっと、胸を張る。我ながら上手に出来た

流石に全員分ともなれば達成感もひとしおだ


望月「そんなんで止んだら苦労しねーけどなぁ」


寝返りを打つと、頭をソファの手すりに乗せて窓の外を見上げる

相変わらずに厚い雲と止まない雨、今日一日はこんな天気だろうと予感させるには十分だ


文月「もっちってば。今日もしけってるね」


あまりのだらけぶりに、そのうちカビでも生えやしないかとお姉ちゃんは心配だよ


皐月「で、そんなに一杯どうするのさ?」


ボクらの分だけでも両手じゃ足りないのに

更に球磨さんたちや金剛さん達と窓一つに飾るには余りにも多い気がする


文月「適当に?」


窓なんて鎮守府に一杯あるし

それこそ、廊下一面に飾り続ければそれですら足りなくなるほど


しかし、問題はそこじゃなくて


文月「とりあえず、司令官はこっちだよねー」


当然と言えばそう

執務室なんだし、司令官のてるてる坊主が飾ってあっても良いだろう


皐月「まぁ…ボクは秘書艦だし?」


だからしょうがない、だから良いよね?

聞かれても無い言い訳を理由にして、自分の分を手にとって司令官の隣へと


三日月「あ、ずるいっ。そんなの私だっていつも手伝ってるじゃない」


先行する姉に待ったをかける三日月と

その後ろでこっそりと、手にしたてるてる坊主を飾ろうとする望月


「望月っ」


望月「ちぇっ」


バレた。姉2人に咎められ、手を引っ込める妹


三竦み。互い違いに牽制しあって、思うように動けないでいる3人


文月「ふふふっ…」


これぞ、悪戯の醍醐味である

マッチ一本。火種を投げ込むだけで、面白いように燃えてくれる

対岸の火事を眺める愉悦。そして犯人は あたし…。司令官の気持ちも良く良く分かるというものだ


大鳳「何騒いでるの、あなた達?」


そんな中、顔を覗かせる大鳳


文月「あ、大鳳さんのもあるよ?」


何でもない風を装って、てるてる坊主(燃料)を差し出す


大鳳「てるてる坊主?」


それで納得したのだろう。窓にかかった一つと、牽制しあう3人

そう、理解した上で、ゆっくりと歩いていき


大鳳「ありがとう…。それじゃあ、私のは此処ね」


あまりにも、あんまりにも自然だったから

誰も彼もが止めるタイミングを見逃して


「あ…」声が漏れた頃、窓には2つのてるてる坊主


大鳳「それじゃあね」


「あーっ」皐月達の声が重なる

それが抗議に変わる前には、微笑みと一緒に部屋の扉が閉まっていた




提督「それで、文月が隣を勝ち取ったわけだ」


ぶら下がった てるてる坊主。大鳳の反対側には文月のものがぶら下がっている

姉妹たちの意識が大鳳に向いた隙きに、さくっと自分の分を設置していた


文月「うんっ。すごいでしょー」


二人っきりの執務室

ソファの上、提督の膝に落ち着いている文月


提督「美味しい所は持ってくよな」


そつがないというかなんというか

なんのかんので いつも美味しい所を摘んでいるような


文月「そりゃ美味しいもんね」


誰だって欲しい。あたしだってそうだもん

球磨さんみたいに一等賞とは言わないけれど、負けるよりは勝つほうが良いに決まっている


理想は大鳳さんかな

あの時、てるてる坊主を仕掛けに行った あの動き

驚くほどに無駄がなかった、信じられないほど大人気もなかったけど

まぁ、便乗した あたしも大概なので、その辺は見なかったことにする


隙間風の悪戯か、てるてる坊主が揺れている

文月のと提督の、揺れた拍子に顔と顔が触れ合っていて…


提督「お、なんか ちゅーしてるみたいだな」

文月「それ言っちゃうかぁ…」


気にしないつもりだったけど、改めて言われるとちょっと恥ずかしい

司令官からすれば、からかうついでの冗談なんだろうけど

少しばかりドキッとした、この乙女心の行き先はどうすればいいのやら


あんまり、揺らさないで欲しい

時折吹く隙間風が、背中を押すように てるてる坊主を揺らしている

その度に触れ合う顔と顔。ちゅー…なんて司令官の言葉が頭の中を巡っている


どきどき…どきどき…


ピンボールみたいに跳ね回る


どきどき…どきどき…


頭の中だけじゃ飽き足らず、胸を心を打ち始める


どきどき…どきどき…


分かってない、何も分かってない

こんな二人っきりで、ちゅーだの何だの言われたら どうしたって気になってしまう


どきどき…どきどき…どきどき…どきどき…


「ねぇ、してみる?」

「は?」


・・・・・


目を開けたときには

困ったような照れたような司令官の顔が何だか可愛いかった



ーおしまいー



大鷹とみつよ様


ー廊下ー


窓から見下ろす港。静かで静かで暗くて黒い

見ているほど、見つめているほどに吸い込まれそうで、飲み込まれそうで…


みつよ「大鷹っ」

大鷹 「っ…みつよ、様…?」


突然の呼びかけに驚きながらも、現実に戻ってきた意識に安堵を覚えていた


みつよ「何か見てたの?」


首を伸ばし窓の外を覗き込む彼女

長い黒髪と、凛々しい横顔、好奇心に満ちた瞳が暗い海を見つめている


大鷹 「いえ…なにもは…ただ、海が…」

みつよ「海?」


首を傾げて、私を見つめてくる


情けない


同じ背格好をした少女が同じように海を眺めている

それで怯えることなんて無いのに、艦娘である私はどうだろうか


ただ、ただただ、海が黒くて、暗くて、怖い…そんな弱音を吐いている


みつよ「ふーん」


好奇心は鳴りを潜め、再び海に視線を落とす彼女


大鷹「ご、ごめんなさい、変なこと言ってしまって…」


余計な事を言ってしまった

艦娘にそんなことを言われたって提督は困るだけだというのに


みつよ「大鷹っ!」

大鷹 「は、はいっ」


いつもの大きな声

僅かな後ろめたさと、咎められはしないかという不安が背筋を固く伸ばす

自信の塊のような彼女が少し眩しく、視線を落としてしまった


みつよ「私の髪をみなさいっ、どう思うかしら?」

大鷹 「どうって…?」


珍妙な質問だった


咎めるでもなければ、慰めるでもない

ただただ、自分の髪を横に流してその感想を問われている


大鷹「それは…綺麗な、御髪かと…」


面食らった頭では何も考えられず

途切れ途切れに素直な感想を答えていた


みつよ「ありがとうっ。でもそうじゃないわっ」


真っ直ぐに礼を返すが、たちまち違うと首を振る

声も大きいが態度も大きい、存在感が服を着てるみたいだ


大鷹 「はぁ?」

みつよ「ほら、色とかあるじゃないっ」


煮えきれない私の生返事に業を煮やしたのか

踏み込んできた一歩と一緒に顔を近づけてくる


大鷹「色…ですか…黒い、ですね?」


大げさに退く訳にもいかず、顔と背中を逃しながら

見えている答えを望まれるままに返した


みつよ「そうねっ」


私の答えに満足したのか、たちまち笑顔を浮かべると

大げさに腕を広げて、窓の外を指し示す


みつよ「あの海とおんなじだわっ」

大鷹 「はぁ?」


何が言いたいんだろう?

色だけの話をしたいなら、確かにその通りではあるのだけど


みつよ「あ、そうね…悪かったわ」


疑問の晴れない私に落胆されたのか、その表情に陰りが出来る


大鷹 「いえ、そんな…私が…」

みつよ「ストップよっ」

大鷹 「ぅっ…」


人差し指で唇を抑えられ、その先の言葉が縫い付けられる


みつよ「言葉はキチンと伝えるべきだわっ。今のは私が悪い、いいわね?」

大鷹 「ん…ん…」


唇を縫われたまま首を動かして同意を返す


みつよ「いけないわねっ。大和達に甘えてたわっ。それじゃ、もう一度っ」


1人、自嘲し首を振る

そうして、気合を入れ直した彼女の言葉は、それでも難解だった


曰く…あの黒い海と、私の黒い髪、同じだと思えば怖くもなくなるでしょう、と…


見比べる。みつよ様の髪と静かな海と


黒く、それでも瑞々しい彼女の髪と

黒く、沈んでいくような静かな海


黒い、確かにどちらも黒いが、あの全部が髪の毛だと思えって…


なんて乱暴…


ただ、励ましてもらっている

その気持ちは嬉しかったから、素直な感想を返すことにする


大鷹「いや、余計に怖いです…」


ホラー映画もかくや

一度足を踏み入れたら最後、髪の毛に飲み込まれそう


みつよ「…それもそうね…」


自分でもそうしてみたのだろう

青ざめた顔で少し、窓から距離を取っていた


大鷹 「…ふふっ。だめ、じゃないですか…」

みつよ「あ、笑ったわねっ?」

大鷹 「へ?」


指摘され、口元に手を当てる。確かに笑っていた、多分ココに来て初めて


もじゃっと、波に髪の毛が纏わり付くようなイメージを取り払い、もう一度海を見下ろす

やっぱり、怖い。肩の荷は降りた気もするけども、それで今までの積み重ねが消えるわけもない


「それじゃ行きましょうかっ」

かっと、軍靴を打ち鳴らす音に顔をあげると


みつよ「お茶が飲みたいわっ、熱っい やつがっ」


肩越しに付いてきなさいと、笑顔を向けてくる彼女の背中

私とそう変わらない、小さな背中だというのに

それ以上の、もしかしたら大和さん以上に大きく見える


大鷹「はい、おひい様」


なるほどと、大和さん達がそう呼んでいる理由が分かった気がした


怖いものは怖い

けれど、この子に付いていけばもしかしたら…そんな期待が胸の中で踊っていた



ーおしまいー




ポーラと提督



ー食堂ー


ポーラを掻っ攫ってきた日の深夜

ゆーが寝付いたのを見計らって、部屋を抜け出してきたポーラ


ポーラ「でーも。正直、提督さんが迎えにくるとは思いませんでしたよ」


机の上には お酒とお酒とお酒の瓶…それと、提督


迎えを期待してなかったわけじゃないけども

それでも、自分で動くような人だったとは意外だと思う


提督「余計なお世話だった?」


ポーラに習って、ワイングラスを傾ける提督

ただ違うのは、飲んでるというより舐めている程度で

ポーラに付き合って、あるいはポーラの真似をしている感じだった


ポーラ「いえいえ。むしろぐっじょぶです。お酒が美味しくなりました」


その気持だけを受け止めて

グラスワインを水みたいに飲み干していくポーラ

提督は提督で、ポーラはポーラで

2人で飲むお酒は、いつもより美味しく どんどんと手が進んでいく


提督 「でも、白状すれば半分くらい ゆーの為だったりするんだけどな」

ポーラ「ゆーさんの?」


ポーラが一瓶空ける頃

ようやく空になった提督のグラスに、自分のグラスを傾けて残りを移す

そして、代わりに並々と瓶から酒を追加していく


提督「お前が勝手にどっかいくから…」


グラスを受け取ると、また ちまちまと飲み始める提督


ポーラ「やだっ、ポーラちょっと泣きそう…」


ポーラが居なくなると、取り乱す程懐かれていたなんて

嬉しくなって美味しくなったお酒を一気に煽った


提督「おろおろして可愛かったな。もう少し見てても良かったけれど…」


空になったポーラのグラスに酒を注ぐ提督

「ととっ…」溢れそうになった所にポーラが口を付けると、減った分だけ酒を注ぎ続ける提督


ポーラ「あはははっ。凄いですよ提督、このグラスお酒が湧いてきますってっ」

提督 「って、もう切れたな」

ポーラ「はぁ…。夢が醒める時って呆気ないですよねぇ…」


その悲しみを流すために、またまたグラスを飲み干した

そして、別の瓶に手を野ばし指先一つでコルク栓を弾き飛ばすと

もう何度目かの、新しいワインの香りが周囲に立ち込めていく


ポーラ「おろおろしてる ゆーちゃんさん…いいですねぇ」


新しく空いた瓶を、ウキウキしながらグラスに注いでいく


ポーラ「ねぇ、提督。ちょっと家出するんで写真撮っててくださいよ?」

提督 「あとが怖いが?」


素直にできてる分だけ、手が出るのも素直に早い

バレたらきっと折檻がまってるだろう


ポーラ「あーん…それならそれでぇ…いいかも…」


うっとりと何処か遠くをみるポーラ


提督 「なに、そういう趣味?」

ポーラ「気質…なんですかねー?お姉ちゃんに世話やかれてばーっかりだったから。嬉しくってつい」

提督 「ほーむしっく?」

ポーラ「離れてみると分かることもあるのねって…そういう話です」


細くなる瞳、ほぅと、吐く息と一緒に頬の赤みが抜けていった

今度あった時は、少しくらい素直に言うことを聞いてみても良いかも知れませんね


提督 「そうか」

ポーラ「そうです」


なんの事もない。愚痴のような感傷に ただ頷きを返される

それでよかったし、それがよかった

下手に慰められたり同情されてもポーラも困る

まぁ、この人に限って そんな器用な事を考えてる訳もないでしょうけど


はい、シリアスお終い

再びお酒を煽れば元通り、アルコールの流れに身を任せていく


提督 「それ、何もそんな所に付けること無くない?」

ポーラ「あぁ、これですかぁ」


左手を広げてみせると

僅かな照明に、きらりと輝く銀の指輪


確かに面白半分に付けたのは自分だけど

そのままにされたらされたで、ちょっとくすぐったいものもある


ポーラ「なぁんか、抜けなくなっちゃいました…」

提督 「…」


だらしなく笑うポーラ

けれど、一度入ったものが抜けなくなるってつまりは…


提督「太った?」


嫁が妻になると見違えるとは言うけれど、まさか自分が体感する事になるとは


ポーラ「あぁん。はっきり言わないでぇ、ぽーらしょっくですぅ…」


ぐだり、机のうえに崩れるポーラ


ポーラ「まぁ、でも…これでキッチリカッキリあなたの艦娘ですし?」


にへらぁと、机の上に溶けたまま笑みを浮かべるポーラ


提督 「おまえが良いなら良いけどさ…」

ポーラ「あはははは。なぁんか夫婦みたいですねぇ、あなたぁ…」

提督 「それ、私のセリフだろう」

ポーラ「いいえ、もうポーラのものでーす。返して欲しければお酒を下さいっ」


空になったグラスを差し出してくる


提督 「まぁ、いらないし良いや」

ポーラ「あん。夫が冷たいですっ、早くも倦怠期なの?」


「およよよよ」わざとらしく その場に泣き崩れるポーラ


提督「安心しろ。わたし、自分の物とられるの大嫌いだから」


差し出されたグラスを横に

代わりに、最後の一口だけ残った自分のグラスを差し出す提督


ポーラ「残りの半分はそれ?」

提督 「うん」


素直に頷かれると もう何も言えませんね

ゆーのため?いや、それでさえ自分のためと言ってるようなもの


ポーラ「これは、やっかいな人に貰われましたねぇ…」


「あー…」顔を傾け口開く

あんまりにも だらしない格好な自覚はあれど

この人の前で取り繕ってもしょうが無い気もする


提督「ほら…」


グラスが傾き、残ったワインがポーラの口の中に零れていく


ポーラ「んくんく…。はぁ…楽ちんですぅ…」


なにより、こうやって付き合ってくれるのは嬉しかった

でもこれダメですね。だって、本格的にダメになりそうです

やっぱり、ザラ姉様やゆーさんに怒られとかないと何処までもダメになれる気がします


ポーラ「ていとくぅ…ポーラがダメになったら アナタのせいですからねぇ…」

提督 「おまえな…」

ポーラ「なぁんでーすかぁー…あ・な・たぁ…ふへへへへ…くぅ…」


それっきり、動かなくなるポーラ

寝顔に掛かる前髪を指で払ってみても、まるで起きる気配がない


提督「これ以上ダメになるって…」


それはそれで興味が無くはないけれど…




チリン…


グラスの擦れる音がする。何時の間にか寝てしまったのだろう…

ポーラとしたことが飲みすぎたのか、重い目を開けようとしても上手いこと開いてくれません


「おやすみ、ポーラ…」


聞こえてくる提督の声、ふわりと体にかかる暖かいもの


まぁ、良いか…


諦めた

まどろみと、その温もりに抗えず肩から力を抜いた途端に一気に眠気が襲ってくる

あぁ、でも一つだけ、せめてポーラに言わせて欲しい…


「…Grazie」


上手く、上手く言えたでしょうか…


手放した意識はそれ以上何も答えず…眠りの心地よさに落ちていった




翌朝


ゆー 「おはようポーラ…」

ポーラ「あ…」


バッチリ目が覚めました



ーおしまいー



後書き

はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです



卯月「うーちゃんのーっ」
ゆー「やってみたかっただけのこーなー」
弥生「ぱちぱちぱちぱち」

ポーラ「はーい。今回はポーラが担当しますよぉ」
ゆー 「…」
ポーラ「ぁぁ、ゆーさんが不審そう目で見てますねぇ」
卯月 「信用ない?」
弥生 「たぶん逆…」

ポーラ「そんな変なことはしませんって」
    せっかく考えたのにボツにするのも何ですからねぇ…」
ゆー 「良いけど…」
ポーラ「許可も出ましたので早速…」(←ポンっと手を胸の前で合わせて

体はお酒で出来ている
血潮はぶどうで、心はグラス

幾度のバーをハシゴしてワイン

ただ一度の泥酔もなく
ただ一度の二日酔いもなし

彼女は1人、バーの片隅で酔いどれる
故に、空き瓶の数に意味はなく

ポーラ「その体はきっとお酒で出来てました…っと」
弥生 「一体どれだけ改変されたんだろうね。この詠唱」
ゆー 「こないだ菊月が満足気に唱えてました…」
卯月 「せっかくだし金剛も呼んでくるぴょん…」
弥生 「悪意しか感じないけど…」

金剛 「あ、あいあむぼーんおぶまいそーど…」(←かんぺあり
ポーラ「あははははは。いえてねーですよ、この娘」
金剛 「うっさいわよっ、イタリアンっ。あなたが言ってみなさいよっ」
ゆー 「だめ、こんご…。傷が広がるから」(←袖引いてる
金剛 「しょ、勝負は預けたわ…」(←袖引かれてる
ポーラ「おほほほほっ。いつでもどうぞ~」

弥生 「弱い…」
卯月 「よえーぴょん…」


ー以下蛇足に付き


♪皐月ちゃんラジオ♪ 

提督「からかってみると どんどん可愛く見えてくるね あの娘たち」
皐月「満足したかい?」
提督「とってもっ」
皐月「良いけど、この心霊写真どうにかしなよ?」
提督「不幸の手紙にして送り返そうか」
皐月「…やりすぎ」
提督「怒った?」
皐月「少し…」
提督「そう…」
皐月「そう…」



皐月「司令官?…あーあ、どっか行っちゃった
   仕方ない、このままコメント返しするよ」



・海防艦

択捉「不幸の手紙まで用意してたんですね、あの人…」
占守「あ、危うく呪いが拡散してたっす…」
国後「ごめん。やっぱり殴ってくるっ」
占守「おやおや、わざわざ会いに行くなんて…」
択捉「あ、少女漫画でこういう展開見たことあります」

正式に入れるかは、ちょっと気になることもあるので様子見
少なくとも、この話を書いてる間に普通に可愛いから面白かわいいにまでランクが上がりました

・太鳳

大鳳さんごめんなさい、今回は大丈夫なはず

・愛宕さん

流石に移動までは…ごめんなさい
何かの拍子に絡む機会か、小ネタ思いついた時にでも

・腹黒い文月

文月 「酷いなぁ。大福餅みたいに可愛いのに文月は。しろくてー、ふわふわでー」
水無月「でも中黒いよね」
文月 「…みーちゃんは、どうして余計なことを言うんだろう?」(←威圧
水無月「ごめんなさいっごめんなさいっ」

・瑞鳳の

瑞鳳「だから、物の弾みだって…」
卯月「胸は弾まないのに…」
瑞鳳「…」
卯月「…」
瑞鳳「気にするようなのってあの人くらいだし…」
弥生「気にはなってるんだね…」
瑞鳳「…」
弥生「…」
瑞鳳「大鳳さんには負けてないと思う」

「全機爆装…」

卯月「もうっ、どうして瑞鳳は余計なこと言うのっ」
瑞鳳「うっさいわねっ、みんな纏めて巻き込まれればいいのっ」
弥生「爆発オチなんてさいてい…」

・葛城

葛城 「事故だから…ノーカンだから、忘れなさいってっ」
いつき「あ、はい…」

雲龍 「そうね、お風呂で裸なのは当然よね。むしろ見せて然るべき」
阿賀野「ノーカン…つまり何回やっても初めて…」
葛城 「見せんなっ、初めてとかいうなっ」
雲龍 「あら、赤くなったわ。可愛い顔して むっつりね」(←意気
阿賀野「もっと胸を張りなさいっ、女も大概変態よっ」(←投合

能代「…」(←頭の痛い2番艦
天城「…」(←頭の痛い…

滅茶苦茶な姉達に囲まれる彼女の運命は如何に

・修羅場

水無月「修羅場っていうか、すれ違いっていうかだったけど」
弥生 「卯月のヤキモチ」
水無月「それだっ」
弥生 「弥生もヤキモチ…。みんなでやけば怖くない」
水無月「そ、そういうの修羅場って言わないかな…」

ネタの提供ありがとうございました。及び、昔のコメントでも有り難いものです
ただ、何分遅筆な分、2・3話前のネタでも大昔になりがちなのはご容赦を
そもそも実現できるかどうかも…

・ながもんの所

球磨「あれでも自分家ではしっかりやってるクマ」
木曾「姉貴と、家に関わったのがそもそもなんだよ」
球磨「他人事みたいに言うなクマ。お前とてその一人だろうが」
木曾「俺はまともだよ」
多摩「まとも→まだマシな方。言葉はただしく、だにゃ」
木曾「ぜってー普通だろっ俺はっ」

普段は頼りになる秘書艦です、ほんとうなんです

・ポーラ

ポーラ「どうもポーラでーす。これからよろしくお願いしますって」
ゆー 「なんで真似するの…」
ポーラ「可愛さアピールですっ」
ゆー 「知ってる。そういうの あざといって言うんです」
ポーラ「良いですか ゆーさん。それでも可愛いって言われたら勝ちなんですよっ」
ゆー 「言ってません。あざといって言ってます」
ポーラ「ぁん、なんて辛辣な」

好感度の件は確かに、冒頭ででもイチャイチャしておけば まだマシだったかもしれません
やりたいことを優先しすぎましたね、もう少し気をつけてみようと思います

・北上様

多摩「良いのかにゃ、急にちくわ大明神とか言い出す女だぞ?」
北上「おっと、笑いも取れるのが北上様の良いところだよん」
多摩「使い古されたネタだにゃ」
北上「枯れた技術ってやつだよ」

普段のらりくらりしてるのに、妙に察しが良いのはきっと多摩の血統
自分のことになると急に見ない振りをするのもまた可愛い

・大鳳さん

大鳳「それはそう。艦娘だもの、頼って欲しいでしょう?」

けれど大人のお姉さんは期間限定で
家にいると名乗るのが難しくなってくるんだ



最後までご覧いただきありがとうございました
コメント・評価・応援・オススメも合わせ、重ねてお礼申し上げます

最近レベリングの次いでに伊13をからかって遊ぶのが楽しくてしょうが無い私です
「あのね…」とかいって困らせるのが良いのです、ゆーに見つかって蹴られるのも楽しいのです
そんなことを言ったら性癖がバレそうですが、もうバレてるだろうから関係ない気もする

さて、梅雨がすぎれば夏の時期
暑いからってクーラ全開にして風邪など召されませぬよう お気をつけてお過ごしください

次はそう、夏といえば水着か…無難すぎるけど思いつかない時は便利なネタ

占守「次回もよろしくっす」
択捉「お疲れ様でしたっ」


ー以下プロフィール(長いー


提督
練度:神頼み 主兵装:刀
「触らぬ神に祟りなしって、言うだろう?」
長髪で黒髪、何時も気だるげな表情をしてる
一応、白い制服を着けてはいるが、上から羽織っている浴衣が全てを台無しにしている、不良軍人
そもそも、軍人どころか人ですら無い、元土地神様
覚えている人もいなくなり、ようやく開放されたと思えば、深海棲艦が湧いてきて…
3食昼寝付きの謳い文句も手伝って、提督業を始めだした
性格は、ほとんど子供。自分でやらないでいい事はまずやらない、明日できることはやらないで良い事
悪戯好きで、スカートめくりが好きなお年ごろ
また、結構な怖がりで、軽度は人見知りから始まり、敵は全て殲滅する主義

皐月ー愛称:さつきちゃん・さっちゃん・さっきー
練度:棲姫級 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「え、司令官かい?そりゃ…好き、だよ?なんてな、えへへへ♪」
初期艦で秘書艦の提督LOVE勢。提督とは一番付き合いの長い娘
その戦闘力は、睦月型どころか一般的な駆逐艦の枠から外れている程…改2になってもっと強くなったよ
「ボクが一番司令官の事を分かってるんだから」とは思いつつも
まだまだ照れが抜けないせいか、ラブコメ時には割とヘタレである

睦月ー愛称:むつきちゃん・むっつー・むっつん
練度:褒めてっ 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「提督っ、褒めてっ!」
わかりやすい提督LIKE勢、「ほめて、ほめて~」と、纏わりつく姿は子犬のそれである
たとえその結果、髪の毛をくしゃくしゃにされようとも、撫でて貰えるのならそれもよしっ
好感度は突っ切っているが、ラブコメをするにはまだ早いご様子

如月ー愛称:きさらぎちゃん・きさら
練度:おませさん 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「司令官?ふふ…好きよ?」
提督LOVE勢。良い所も悪い所もあるけれど
むしろ、悪い所の方が目立つけど、それでも あなたが大好きです
だから、何度でも言いたいし、何度でも言われたいの、ね?司令官?

弥生ー愛称:やよいちゃん・やよやよ・やーよ
練度:無表情 主兵装:3式爆雷 好感度:★9
「司令官?好きだよ、普通に」
普通の提督LOVE勢。変わらない表情をそのままに平気で悪戯をしてくる娘
表情が変わらないならと、大袈裟なリアクションも いつもの澄まし顔で本気に取ってもらえない
結局は卯月の姉、卯月絡みで何かあったら半分くらいは弥生のせいと思っていい

卯月ー愛称:うーちゃん・バカうさぎ、うーちゃんねーさん
練度:ぴょんぴょん 主兵装:超10cm高角砲★MAX 好感度:★7
「司令官?そんなの大好きに決まってるぴょんっ」
ぴょんぴょんする提督LIKE勢。毎日ぴょんぴょんと、あちこちで悪戯しては怒られる毎日
主な対象は瑞鳳、「だって、からかうとおもしろいだもん」なんのかんので構ってくれる瑞鳳が好き
口が滑る水無月と違って、一言多いタイプそれもわかった上、いらん事をよく言う2人である

水無月ー愛称:みぃ
練度:うん、わかるよ 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★7
「司令官、呼んだかい?」
よく笑う提督LIKE勢。艦娘として姉として妹として仲間として
頼って欲しいと自己アピールは欠かさない。欠かさないけど裏目にでる
胸を張った途端の平謝りが板についてきた
一言多い卯月と違って、よく口が滑るタイプ、いらん事を良く言う2人である

文月ー愛称:ふみ、ふーみん、文月さん
練度:ほんわか 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「しれいかん?えへへー…なーいしょっ♪」
ふんわりとした提督LOVE勢。ちゃっかりと美味しい所はいただくタイプ
ラブコメをする姉妹たちの背中を押したり、喧嘩の仲裁に入ったり
緩衝材みたいに立ち回りつつ、実際はプロレスのロープみたいに跳ね飛ばしてくる
二人っきりになるとそこはしっかりと、ラブコメだってやってみせる
本人曰く「大福餅」白くて甘くて…その先は内緒

長月ー愛称:なつき、なっつん、なっつ
練度:頼りになる 主兵装:5連装酸素魚雷 好感度:★8
「司令官…いや、まあ…いいだろ別にっ」
おでこの広い提督LOVE勢。司令官に ちゅーしてこの方
自分の感情を見ない振りも出来なくなり、最近は割りと素直に好意を見せてくれたりもする
自分の感情に振り回されるくらいにはラブコメ初心者。あと、シスコン(菊月)

菊月ー愛称:菊→菊ちゃん→お菊さん→きっくー→くっきー
練度:威張れるものじゃない 主兵装:12・7cm連装砲B型改2★MAX 好感度:★8
「ながなが?ながなが ながなが」
箱入り提督LIKE勢。おもに長月に過保護にされてるせいでラブコメ関連はさっぱり
しかし、偶に見せる仕草はヘタなラブコメより攻撃力は高い。やっぱり如月の妹である
大艦巨砲主義者、主兵装は夕張に駄々を捏ねて作らせた。それとシスコン(長月)
最近、司令官との共通言語が出来た。合言葉は「ながなが」

三日月ー愛称:みつき・みっきー
練度:負けず嫌い 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「し、しれいかん…そ、その…好きですっ!」
おませな提督LOVE勢。どこで仕入れたのか変な知識は一杯持ってる
そして、変な妄想も結構してる。すぐ赤くなる、可愛い
提督と望月に、からかわれ続けたせいで、たくましくなってきたここ最近
ラブコメモードは基本に忠実

望月ー愛称:もっちー、もっち
練度:適当 主兵装:12・7cm連装砲(後期型  好感度:★MAX
「司令官?あー、好きだよ、好き好き」
適当な提督LOVE勢。とか言いつつ、好感度は振り切ってる
だいたい司令官と一緒に居られれば満足だし、司令官になんかあれば不言実行したりもする
ラブコメには耐性があるが、やるとなれば結構大胆

球磨ー愛称:ヒグマ・球磨ちゃん
練度:強靭・無敵・最強 主兵装:46cm…20.3cm(3号 好感度:★MAX
「提督?愚問だクマ」
突き抜けてる提督LOVE勢。気分は子グマの後ろに控えている母グマ
鎮守府と提督になんか有ろうものなら、のっそりと顔を出してくる、こわい
積極的にラブコメをすることもないが、昔は提督と唇を奪い合った事もある
大艦巨砲主義者。最近、私製46cm単装砲の命中率があがった、やったクマ

多摩ー愛称:たまちゃん・たまにゃん
練度:丸くなる 主兵装:15・2cm連装砲 好感度:★6
「提督?別にどーとも思わないにゃ?」
気分は同居ネコ。とか言いつつ、なんのかんの助けてくれる、要は気分次第
絡まれれば相手もするし、面倒くさそうにもするし、要は気分次第
特に嫌ってるわけでもないし、いっしょに昼寝もしたりする、要は気分次第
ラブコメ?何メルヘンなこと言ってるにゃ

北上ー愛称:北上様・北上さん
練度:Fat付き 主兵装:Fat付き酸素魚雷 好感度:★7
「提督?愛してるよん、なんちって」
奥手な提督LOVE勢。気分は幼なじみだろうか
このままゆるゆると、こんな関係が続くならそれで良いかなって思ってる
最近の趣味はFat付きをばら撒いて海域を制圧すること

大井ー愛称:大井さん・大井っち
練度:北上さん 主兵装:北上…53cm艦首(酸素)魚雷 好感度:★8
「提督?愛してますよ?」
分かりにくい提督LOVE勢。そうは思っていても口にはしない、絶対調子に乗るから
足と両手が埋まったなら、胸…艦首に付ければいいじゃない、おっぱいミサイルとか言わない

木曾ー愛称:きっそー、木曾さん
練度:悪くない 主兵装:甲標的 好感度:★7
「提督?まあ、アリなんじゃないか?」
カッコイイ提督LOVE勢。提督に赤くさせられたり、提督を赤くしたりと、まっとうなラブコメ組
そういうのも悪くはないが、本人はまだまだ強くなりたい模様
インファイター思考だけど、甲標的を使わせたほうが強いジレンマ

金剛ー愛称:こう・こうちゃん・こんご
練度:Burning Love 主兵装:Burning…46cm3連装砲 好感度:★MAX
「提督…Burning Loveです♪」
分かりやすい提督LOVE勢。提督の為ならたとえ火の中水の中
何時からだったのか、出会った時からか
ならそれはきっと運命で、この結果も必然だったのだろう
けれど、鎮守府ではオチ担当、艦隊の面白お姉さん
取り戻せ、お姉さん枠

瑞鳳ー愛称:ずいほー・づほ姉ちゃん
練度:卵焼き 主兵装:99艦爆(江草 好感度:★6
「だれがお姉ちゃんよっ」
気分は数ヶ月早生まれな幼なじみ。ラブコメルートもあった気がしたけど、何処行ったかな
卯月にからかわれて追っかけまわすのが日課。弥生に唆されてモヤモヤするのも日常
だからって、別に卯月を嫌ってるわけでもなく実際はその逆である

夕張ー愛称:ゆうばりん
練度:メロン 主兵装:軽巡に扱えるものなら何でも 好感度:★6
「ゆうばりんって…気に入ったのそれ?」
気分は一個上のお姉さん。卯月や菊月の駄々に付き合ったり
球磨や提督の無茶振りで、アレな兵装を作ったりと、信頼と安心の夕張さんである
特に決まった装備は無く、戦況次第でなんでも持ち出すびっくり箱、安心と実績の夕張さんである

大鳳ー愛称:大鳳さん
練度:いい風 主兵装:流星改 好感度:★9
「提督、愛してるわ」
素直な提督LOVE勢。金剛見たいにテンションを上げるでもなく、息を吐くように好意を伝えてくる方
ラブコメに悪戯にと我慢強い方だが、許容量を超えると…
その落ち着いた物腰からは、艦隊の保護者っぽくなっているが、内心は見た目通り歳相応だったりもする
最近は大人気ないと周知の事実、本人は一応否定してるつもり

U-511ー愛称:ゆー、ゆーちゃん
練度:ですって 主兵装:WG42 好感度:★7
「Admiral…提督さん、次は何をすれば良い?」
好きとか甘いは良く分からないけれど、Admiralの お手伝いが出来ればいいなって思います
素直、とても素直、素直すぎてすぐ手が出るくらい素直
如月に貰った三日月型の髪飾りは宝物

ポーラ-愛称:ポーラさん
練度:赤ワイン 主兵装:白ワイン 好感度:★7
「提督さん?面白い人ですよねー」
ゆーの舎弟。あんまりな言い方をすれば、そういう立場
酒は飲んでも飲まれるな。口も態度も緩くなるが、意外と理性は残ってる
酔が醒めると口も態度も固くなるのを気にしてか、平時はもっぱら酔いどれている


このSSへの評価

2件評価されています


SS好きの名無しさんから
2017-07-18 11:10:16

SS好きの名無しさんから
2017-06-30 11:22:35

このSSへの応援

2件応援されています


SS好きの名無しさんから
2023-01-06 19:46:10

SS好きの名無しさんから
2017-06-30 11:22:33

このSSへのコメント

1件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-06-30 11:29:22 ID: NdfhHOl1

提督は平常運転だし、皐月は
いつも通りだし、水無月は苦労人だし、弥生は卯月に染まりかけてるし、文月はわっふるだしで、あいも変わらず最高だな。

海防艦たちとの交流も見てて楽しかった。

次の睦月型改ニは誰かな?文月が有力らしいけど。

43話もろくろ首になって待ってます。


このSSへのオススメ

1件オススメされています

1: SS好きの名無しさん 2017-06-30 11:23:01 ID: NdfhHOl1

今回は海防艦が出るよ!


オススメ度を★で指定してください