2015-04-14 10:21:06 更新

概要

提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です

加筆修正版です
書体の統一が主な目的です。内容も若干修正してはいますが
大筋に変更はありませんので、前回読んで頂けた方はご注意下さい

注意書き
基本艦娘たちの好感度は高めです
今回はすこしだけ提督が艦娘と出撃しちゃうような描写があります
SSにしては長いかもです、お忙しい方はご注意を


前書き

さて、なんか2回めになりましたが
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね
また、前回コメントくれた方ありがとうございます
睦月型、意外と人気あるみたいで私も嬉しいです。水無月・夕月 実装はよ
後、少し設定を書いて

提督・魑魅魍魎の類・黒髪なロング・怖がり
   軍服の上から着物羽織ってる(ロングコートの代わりにと思っていただければそんな感じ
   基本仏頂面なので馴れてない人には怒ってる?とか言われる言われると怒る。
金剛・提督LOVE
皐月・秘書艦・ケッコン艦。ボクっ子可愛い
睦月・むっつー・褒めれば伸びる子でも提督あんまり褒めてくれないから頑張ってアピール
如月・きさら・多分一番お姉さんしてる
望月・もっちー・眼鏡っこ可愛い・提督と三日月で遊ぶのが趣味
三日月・みつき・真面目っ子可愛い
文月・ふみ・人の好意に敏感な方・甘え上手
長月・ちょうちゃん(←言ったら怒る)カッコ可愛い・菊月スキー・シスコン?
菊月・お菊さん・カッコつけしぃ・長月スキー・シスコン
弥生・やよやよ・卯月のお目付け役&被害担当艦
卯月・うーちゃん・トラブルメーカー

こんな感じかな。今さら提督が人外なんて珍しくないし平気だと思いたい

それでは今回の番組は
提督「また駆り出されるとは思わなかった」
金剛「なんでそんな事言うデース、私とのイチャラブがまだなんてありえまセーン!」
文月「今回そんなシーン少ないけどねぇ」
金剛「…おぅふ」
皐月「あははは、次、一杯あったらいいね?」
如月「司令官の怖がりも少しは治ればいいのにね?」
提督「しらんし」
睦月「なにげに長月が目立ってるっぽい?」
弥生「それ、別の娘のセリフ…」
菊月「姉さん、カッコイイ…」(きらきらきら
卯月「卯月より目立つとか許せないぴょん」
長月「お前はもう少しおとなしくしろ」

以上のメンバーでお送りします


↑前「提督と睦月型」 後↓「提督と球磨型」




提督と金剛さん
 



-執務室-


金剛「高速戦艦の金剛デース!よろしくお願いしマース!」


開口一番に彼女はそう言い放った

良く言えば威勢が良い、人によってはウルサイとも言われそうな、元気の塊のような娘だった


皐月「…あ、うん。よろしくね、金剛さん」(←提督の机の上


その勢いに気圧されてか、困惑気味に皐月が返事を返す


金剛「貴女が提督ですか?oh、ここの提督はVeryCuteですねっ!」(キラキラキラキラ


そう言うと提督の机の上で仕事をしていた皐月に対面からぐいっと顔を寄せてくる


皐月「あ、いや。ボクは秘書艦の皐月だよ。提督は…あっちで…」(指先をソファーの方へ

提督「…」(←寝っ転がってる


狸寝入り。提督が、そう判断し決断して実行していた

普段かぶりもしない軍帽を目深にかぶり、知らんぷりを決め込んでいた…だというのに


金剛「Good Morning♪て~とく」(ひょいっと軍帽を取り上げながら

提督「…ぇ~ぁ~、おはよ?」


電灯の灯りに目細めつつ、満面の笑みに曖昧に返答する提督


金剛「verygood♪金剛デスよろしくお願いします提督」(にっこり

提督「あ、はい…」

皐月「…(あぁ、どうしよ…司令官おもいっきり警戒してる)」


そんな皐月の心配をよそに一人で話を進めていく金剛


金剛「ところで提督?好きなモノって何ですか?」


寝転がってる提督の視線に合わせるようにしゃがみ込み、彼女はそんなことを聞いてきた


提督「えっと…」


唐突な質問。なんでそんなこと聞かれてるのかと提督が考えてる内に…


金剛「ち・な・み・に。私は…て・い・と・く」


語尾に❤をつけながら金剛さらに続けた


提督「…は?」(←ついてけない

金剛「ひとめぼれ?てやつデスか?」

提督「…」(←知らんがな、とか思ってる

金剛「英語で言うと ワンショットラブ!ですね、うんうん」

皐月「…(なんだろう、間違ってる気がする そこだけ発音雑だし…)」


机の上から様子を見ていた皐月がそんな事を思っていた


金剛「きゃは~♪いっちゃったデース♪」(←なんかもじもじしてる

提督「…」(←まるで意味がわからない

皐月「…(限界…かな)」


見かねた皐月が助け舟を出すように割って入った


皐月「金剛さん、えっとボク達まだ仕事残ってるから、その悪いんだけれど…」

金剛「oh.sorry。それはお邪魔でしたね。それじゃー提督また後でデース♪」


手を振りながら退室する金剛さん。嵐は過ぎた

パタリ…と威勢の良さとは裏腹に、丁寧に閉じられた扉を確認して皐月が口を開いた


皐月「…ふぅ、大丈夫かい?司令官」

提督「…何がさ」

皐月「苦手でしょ?ああいう娘」

提督「苦手じゃねーし、馴れてねーだけだし」

皐月「そういうのを苦手っていうだんよ、知ってた?…まぁ、でも悪い娘でも無さそうだし」


仲良くしてね、なんて言い残すと皐月はまた仕事に戻る


提督「帰りたい」

皐月「ダメ」(即答



-同刻-執務室前・廊下-


金剛「さぁっ、頑張って提督と仲良くするデース♪」(おー

それからしばらくの間、鎮守府各地で金剛の「てーとくー♪」の声が響き渡り皆の耳に木霊することになる


ー深夜ー執務室ー


深夜、だいたいの艦娘たちが寝静まった頃

提督が深夜の見回りという名の散歩から返ってみれば

ソファーによく分からん膨らみができていた

表面は毛布に覆われ、時折もぞもぞ動いている


提督「…」


無言で反対側のソファーに畳んであった毛布を引っ掴みその膨らみの上に乗っけた


「おぅ…」


妙な声の様な音が漏れた

構わずにソファーに座り体をその膨らみに預ける


「て、ていとく、ちょっとおもいネー」


なにか言っている


提督「最近のソファーは喋るのか。一人暮らしもこれで寂しくないな」


さらに体重を掛ける


「そーりー、ど、どきますから、ゆるしてゆるしてぇぇ」

提督「たくっ…」


毛布を引剥がしてみれば、案の定金剛さんが潰れていた



ー数日後-望月と三日月の部屋-


望月「で?なんでここに居るのさ司令官」


机に体を預けて、だらだらしていた望月が口を開く


提督「そうね…そう。みつき に会いたかったから?」

三日月「もう、そんなこと言っても何も出ませんからね…」


言いつつ、人数分のお茶を配っていく三日月

ここ数日に渡る金剛のラブコールのおかげか二人共

「まぁ、金剛から逃げてるんだろうなぁ」とは理解していた


そして、提督の所にプリンが一つ差し出される


提督「…(プリンは出てくるのね…)」

望月「…(あれ…三日月のおやつじゃ…)」


気になって、望月が三日月の方へ視線を向けてみる。心なしか嬉しそうにしていた

姉妹艦だけに姉妹の感がそう告げていた


望月「…(はぁ…あたしゃ心配だよぉ。この娘の将来が…まぁ、でも)」


弄りどころかな、と思い直した


望月「あれぇ、あたしの分のプリンは無いのかな?」

三日月「いや、望月はさっき食べたでしょ?」

提督「…(望月は、ねぇ)」


では今一つだけ出てきたこのプリンは誰のものか…

提督が望月に視線を飛ばしてみれば、ばっちりと目が合った

どうやら考えてるとおりで良いらしい


提督「ふーん。じゃーこれは、三日月のかな?」

三日月「え、あ…はい」


三日月が頬を染めながら小さく同意した


提督「そうか、じゃー三日月も食べるか?」


プリンをスプーンで掬って三日月に口元に持っていく


三日月「へ?い、いえ、良いんです大丈夫ですっそれは司令官が食べて…」


わたわたと遠慮する三日月

その頬を染めていた朱色が、耳まで染め上げていた


望月「ふーん…もしかして、もっちーお邪魔かねぇ?」


望月がにやにやしながら2人のやり取りを眺めていた


三日月「邪魔だなんてそんなわけ、ほら、司令官が変なコトするからっ」(←頬染めて慌ててる


提督「変な事って、まるで私が如何わしいことをしたみたいな…」

三日月「あぁもぅ。いちいち変な言い方しないでぇー」


耐性は無いくせに、知識だけは無駄にある三日月の脳裏に、有る事無い事が流れていく

そうして、1人ドキドキを加速させていく三日月を見ながら

提督と望月、2人してニヤついていた


望月・提督「…(かわいい)」(真理)


割りといつもの光景だった


提督「んー…」


そんな三日月を眺めながらプリンを食べる提督

それも残り少なくなった頃…


提督「なぁ、望月…」(←スプーンでプリンを掬いながら

望月「なにさぁ…むぅっ!?」


お茶を飲んでいた望月が、湯のみを机に置く

その隙を狙って、提督がスプーンを望月の口に押し込んだ


望月「む…んっ」(ごっくん


なんか甘いモノを押し込まれた、喉元を過ぎる頃には それが司令官が食べてたプリンだってのも理解した

理解したら自分の顔が赤くなってるのに気付いてしまった


望月「あ、え、しれい、かん…なにやって…」

提督「なにって…間接キッス?」


望月の口に押し込んだスプーンで残りのプリンを自分の口へ運ぶ提督


提督「ごちそうさま」

望月「…ば、か」


それに気付いた瞬間、望月の顔が沸騰したみたいに赤くなった

顔を隠すように横にそらしてみれば

さっきまで自分と同じ様に真っ赤になってた三日月と目が合った


三日月「…かわいい」


くすり と微笑まれた


望月「っぅぅぅぅ…」


妙な声を零しながら望月が机に突っ伏す


望月「…(あぁ…もぅっ。急にこっちに矛先むけんなよぉ…)」


両腕を枕にして顔を隠す望月

どうにも不貞寝の様相で逃げ切るつもりらしかった


提督「…」

三日月「…」


三日月に視線を投げる提督、それを受け取る三日月

二人で小さく微笑みを交わした後は静かなティータイムと相成った



ー深夜ー大浴場ー


だいたいの艦娘たちが寝静まった頃

無駄にだだっ広い浴槽に提督が1人体を伸ばしていた


提督「はぁ…」


視界が湯気で霞む。ともすればお湯の中に投げ出している体ごと溶け出しそうだった


提督「ん?」


そんな中。提督の頬を冷気が撫でる、どうにも浴室の扉が開いたらしい


提督「…(こんな時間に?)」


気になって視線を向けるその前に


金剛「HEY、ていっとくー。金剛が背中流してあげるデース」


その声を聞いた途端、冷気が寒気に変わり提督の背中をゾワリと駆け上る


提督「おまえ、なにやって…」

金剛「裸の付き合いデース♪」

提督「はぁ…」


ともすればご褒美シーンか、薄い本なら夜戦でも出来そうなタイミングだけれど


提督「そんな台詞はその体に巻いてるバスタオル、外してからにしろ…」

金剛「Wow。提督、そんなに気になりますか?」

提督「人並みには、と言いたいが…」


提督が湯船から立ち上がり脱衣所に向かっていく


金剛「ぉぅ…て、ていとく、すとっぷすとっーぷ」


慌てて金剛が両手で顔を隠しす。その横を提督が素知らぬ顔で通り過ぎていった


提督「あまり、そういう冗談はするものではないよ?」


脱衣所の扉が閉まり。金剛1人その場に残された


金剛「んー、提督はshy なのでしょうか?」



-更に別の日-母港-


提督「はぁ…」


「てーいーとーくー。何処ですかー」なんて言葉から遠ざかるように足を港に向けていた


睦月「おりょっ?提督、どしたのこんな所に?」

如月「まだ、金剛さんに追い回されてるんですか?」

提督「…そんな所。そいや出撃だったかな…文月も一緒だったと思うけど」(←くるりと視線を回してみる

睦月「うん、ちょうど文月を待ってるところなのさ…お、来たかな?」


睦月の見てる方から足音が聞こえてくる。が、足音の主は


金剛「oh提督やっと見つけたデース♪」(てとてとてと

提督「…(あ、やば)」


そうは思ってみても体が逃げていた

抱きついてこようとする金剛。いつもならとりあえずやり過ごしていたけれど…こうも連日となると…

嫌われるだけならまだいいけど、傷つけるのはちょっとなぁ…とはいえ、逃げに徹した体を止めるほどの気力はもう無かった


文月「しれいか~ん♪」(だきゅ~

提督「ふみ…づき」

金剛「oh」


なんて色々諦めかけた時。茶色の髪のポニーテールがすっと金剛との間に入ってきた


金剛「sorry.Prettygirl.」(ととっと足を止める

文月「ぷり?わたしは文月だよ?」

金剛「うふふ。OK文月ですね」

文月「えへへへ」


金剛に頭を撫でられ笑顔を返す文月


金剛「提督もこんな可愛い娘に好かれちゃって隅に置けないデス、このこの」(肘でつっついてる」

提督「まあ、うん」(助かった…か


とりあえずはと、胸をなで下ろす提督


如月「金剛さん?そろそろ演習の時間だったような…」

金剛「oh、もうそんな時間でしたか。提督といると時間が立つのが早いですね。それじゃあ、SeeYou♪」

睦月「ほーい。またねー金剛さん」

提督「ふぅ…たすかった」


金剛を見送った後ひとしきり文月の頭を撫でてやる


文月「しれいかん は、もう平気?」

提督「お陰様でな」


どうにも いらない気を使わせてしまったらしい


文月「うん、じゃぁ良かった」(ひょいっと離れる

如月「はぁい、それじゃあ私達もそろそろ行くわよ」


ぱんっと両手を合わせて場の空気を入れ替える如月


睦月「提督、帰ったらいっぱいいっぱい褒めてね♪」(←手振ってる

提督「褒めて伸びるタイプだから?」

睦月「おうともさっ♪」


笑顔で応えた睦月達を見送る


提督「はぁ、金剛は向こうか…」(回れ右


初対面でああもガツガツ来られるといっそ怖いと思うのは変かね?なんて言い訳は通じるのかな

きっとああいうのが肉食系ってやつだな最近流行りの…


-鎮守府近海-海上-


如月「文月ちゃん、ナイスフォローね」(なでなで

文月「あのままだと、司令官。ふんがーってなってたもん、きっと」(えがおえがお

如月「司令官もそうだけれど。金剛さんにも困ったものね。もう少し落ち着いてくれれば…」


はぁっとため息をつく如月、どうしたものかといった具合だった


文月「しれいかん そろそろ慣れる頃だと思うんだけどねぇ…」

如月「慣れた所で、今度は距離の詰め方が分からなくなってそうなんだけれど…」

文月「あはは…そうだね、うん」


こまった司令官だって、2人で苦笑する


睦月「その時は睦月たちでキューピットになって上げれば良いのさっ」

如月「うふふ、それもそうね」

睦月「それじゃあっ!気を取り直して、睦月の艦隊いっきますよー!」

如月・文月「はーい♪」


-夕方-母港


黄昏の夕日が水辺線の彼方へ沈み始め、静かな波が護岸に寄せては返すそんな時


卯月「ふふふ、逃げにずによく来たな…ぴょん」(キリッ


出会い頭にそんな事をのたまわれた…そして、とって付けられた様な「ぴょん」って言葉提督の耳に響く


提督「…」


今度は何?って感じで一緒にいた弥生を見てみれば


弥生「えっと。なんか、そんな漫画読んだみたいで…」

提督「そう…」


申し訳無さそうに、弥生がそう答えた

まあ、いつものことかと一思案して…


提督「逃げる?路傍の草を避けて歩く人がいると思う?」(ノッてみた

卯月「……ろ、ろぼ?」

提督「?」


頭に疑問符を浮かべた卯月が、こそこそと弥生に耳打ちを始める


卯月「…(ねね、やよやよ。今のどういう意味ぴょん?)」

弥生「…(はぁ…その辺の雑草を避けて歩く人はいないよね?卯月が雑草だって言われてるの)」

卯月「おおっぴょんっ」(←合点がいった

卯月「って、誰が雑草だぴょん。その言葉 後悔させてやるぴょんっ!」


ようやっと理解したのか、雑草扱いされた卯月が 憤慨していた。意外と沸点は低かった


提督「やってみろ」(ちょいちょい

卯月「ぴょいやぁぁぁっ!」

提督「おとといきやがれ」


威勢よく飛びかかってきた卯月の首根っこを引っ掴み海面へ放り投げる


弥生「あ…」

卯月「へ?」


ざばーん。お約束通りな水音共に大きな水柱が上がった


卯月「へるぷへるぷ…」(じたばたじたばた

提督「…(艦娘が溺れてる…)」

弥生「ちょっ卯月、なにやってるの落ち着いて」


助けようと手を伸ばした弥生の手をガッチリと卯月が掴み


弥生「え、そんなに引っぱったら…あ…」(ざばーん


もはや伝統芸能のような絵面


提督「はぁ、お前らなぁ」

卯月「ふふっ。司令官もこっちに来るぴょん♪」


助けようと伸ばされた提督の腕を卯月がガッチリと掴む


提督「…えい」

卯月「あばばばば…」(じたばたじたばた


ならばと、開いた手で卯月の頭を海面に押し付けてみれば

ぶくぶくと海面が泡だった


弥生「し、司令官。その、へんで?ね?」(心配そうに

提督「ほら、弥生もつかまれ」


弥生に言われて仕方なく手を放し、開いた手で弥生を引き上げる


卯月「ぷはぁっ、へるぷへるぷ」(じたばたじたばた


海面に頭を突き出した卯月が空気を求めてじたばたと…


提督「はぁ…」


もう面倒臭いから無理やり引き上げて救出完了


-同刻-執務室前-


皐月「金剛さん?」


金剛が窓枠にもたれ掛かって母港の方を見ていた。その視線を追ってみれば

卯月が海面に放り込まれていた…


皐月「…(えー、何やってるの)」(←呆れてる

金剛「おぅ、皐月ですか…」

皐月「あれ…どうしたの?なんか元気ないみたいだけれど」


短い付き合いでも分かるほど落ち込んだ声に、皐月はそう聞かずにはいられなかった


金剛「いえ…すこし、羨ましいなって」


そう口にする金剛は卯月達を見つめていた、その視線はちょっと寂しそうにもみえる


皐月「羨ましいって…あれが?」


卯月達の方を指差す皐月。金剛さんも投げ込まれたいのかと一瞬考えてしまう


金剛「YES。仲が良くないとああ言うこと出来ないネ」

皐月「ああ、うん。それはそうだね…」

金剛「…なにが、いけなかったんでしょうね。提督は私を避けてるみたいで」

皐月「ああ、うん…司令官、あれで結構 怖がりでさ」


喋りながら金剛の隣によって卯月達の方を眺める皐月


皐月「金剛さんが、あんまり元気良すぎるみたいだから、ちょっとびっくりしちゃってるんだよ…」


話を続ける2人の視線の先で卯月が引き上げられていた


金剛「oh.そうでしたか。approachを間違えていたのね。それは、悪いことをしました…ね」

皐月「司令官だって、金剛さんが嫌いとかそういうんじゃなくて、さ?ほら?」


って、ボクが言い訳してもしょうが無いんだけど。何か言わなきゃなのになんて言ったらいいのか

そんな風に皐月が言葉を探していると、金剛の方から口を開いた


金剛「OK.だいじょうぶデス。問題が分かれば解決するだけネ」


ぐーっと背伸びをした後、金剛が皐月に笑顔を見せる


金剛「Thank you.皐月、後は私に任せるネ♪」

皐月「あ、うん、がんばって金剛さん」


結局ありきたりな応援の言葉だけが口から出ただけで


金剛「YES.がんばって提督のハートを掴むデース」

皐月「おー♪」


最初の印象に比べればまだ空元気な感じもしたけれど、笑顔の金剛さんをみてとりあえず一安心かな?


-翌日-昼-鎮守府近海-沖合-


菊月「んで?なんで司令官までこっちに来ているんだ」


提督が菊月の肩から腕を回して、おんぶされるような形で曳航されてた

身長差のせいか…足は海面に引きずってはいるが


提督「菊月と一緒にいたかったから」

菊月「そ、そうか…なら、共に征こう」


耳元で囁いてみれば、くすぐったそうに菊月が肩をすくめる


提督「…(あ、耳赤くなってる)」

長月「おい、あまり人の妹で遊んでくれるな」


なんてやってると、長月にじろりと睨まれた


長月「というか、あんたもいい加減慣れろよ。金剛が来ていい時間経つだろうに」

提督「まぁ、そうなんだけど。逃げ回ってたら今度はどんな顔していいか分からん」

長月「…あんたも大概面倒臭いよな、司令官」


呆れ混じりにそんな事を言われる


提督「あははは…。あんまり言うなよ凹むぞ」(苦笑い

菊月「ん?ふたりとも…」


菊月の真面目な声に会話を打ち切る。レーダーに感あり…敵か、まだ遠いが


長月「ほら、ここまで来たんだ。少しは働いてこい」

提督「提督使いの荒い娘ね…ま、いいわ。全周警戒よろ、他に湧いてこないとも限らんし」


長月が自分の主砲を提督に投げ渡す。それを受け取った提督が霧のようにその場から消え去り

気付いた頃には、敵駆逐艦と砲撃戦を始めていた


菊月「司令官も、なんであんなに金剛から逃げるんだ?」

長月「あれで怖がりだからな、司令官は」

菊月「あれが?」


菊月が指をさしてみれば

その先には至近距離で駆逐艦に主砲撃ちこむは刀を突き刺してるわ

やりたい放題やってる提督がいた


長月「聞いた事なかったか?司令官の戦う理由」

菊月「…(こくり)」

長月「怖いから。それだけだ」

菊月「…」


そう言われてもと、怪訝な表情を長月に向ける菊月


長月「まぁ、気持ちはわかるよ。あんな得体の知れないものに、菊月たちがどうにかされると考えると確かに怖い

   カッコ悪いと言ってやりたいが。私だってそうなんだ人のことは言えないな」


そういって、苦笑する長月の顔にはどこか自嘲気味でもあった


菊月「むぅ…長月も、か」

長月「だから、菊月も怖かったりしたら何時でも言っていいんだぞ?」

菊月「べ、べつに怖くなど、ない」

長月「ふふ、そうか」


予想通りの言葉に微笑みを返すも。いつか菊月も怖いと思う日がくるのか、と思うとなんとも言えない気になる

知らずに済むならそれでもいいが、それを知った上でさらに先に進んで欲しくもある…が


提督「ただいまぁ」


どっかに行った時と同じように提督が急に現れて長月に後ろから抱きついた


長月「っと、まったく…人には抱きついてくるのにな」

提督「嫌なら離れますん?」

長月「イヤとは言っていないだろう」


呆れ気味に応対するも、提督に好きにさせてる長月

しまいには頬ずりまでされていた


提督「そんな司令官大好きだなんて」

長月「そこまでも言ってないっ…って、おいこれ?」


提督が長月に主砲を返す…渡された主砲が軽い、というか残弾がない…

それに気付いた長月が提督をひと睨み


提督「ほら、ゼロ距離で全弾発射ってカッコイイじゃない?」

菊月「わかる」(こくこく

長月「分からんでいいっ」

菊月「むぅ…」(←不満そう


きらんっと言い切ってみせる提督に菊月が同意した

それをピシャリと切って捨てる長月


長月「どうするんだよ、他に敵が出てきたら」

提督「そんときゃ…」

菊月「その時は私が護ってやる」(キリッ


提督の言葉を遮って菊月がそんな事を口にした


菊月「さぁ二人共行くぞ、私についてこい」(キラキラキラキラ

提・長「…」


自信満々意気揚々と言った具合に先に進む菊月の背中を2人で見送る


提督「…おい、長月。なんだあれ…」(ほっぺつんつん

長月「いや、すまない…余計なことを言ったかもしれん」

菊月「ほら、二人共早く行くぞ」(キラキラキラキラ


いつも以上にカッコつけしぃになってる菊月に促されとりあえずついていく

敵が出たら菊月引きずって全速離脱だなってのは暗黙の了解と相成った


長月「…まぁ、とりあえず。曳航されるならちゃんと捕まれ」

提督「はーい」


担ぎなおすように肩を揺すられる。それに促されてしっかりと抱きつき直す


長月「って、変なところを触るんじゃないっ」

提督「にひひひ」


-夕方-母港


結局その後は何も無く、無事に母港にたどり着く。それ自体は良かったのだが


金剛「てーとくー。長月、菊月」


パタパタと犬が尻尾を振るみたいに全力で手を振ってる金剛さん

しかも超笑顔だった


提督「うっ…」(顔そむけ

菊月「ただいま、金剛。出迎えご苦労」

金剛「おかえりデス菊月。怪我はないですか?」

菊月「問題ない」(キリッ

金剛「verygood。長月はどうです?」

長月「こちらも平気だ。出迎えありがとう」

金剛「OK大事がなくて何よりデース」

長月「後、あんたはもう降りろ。陸じゃ支えきれん」(振り解き

提督「…あん、ひどい」


ペタリと護岸にへばりつく提督

このまま長月に引きづられてけば誤魔化せるかなって儚い期待は波に流されていった


金剛「提督?」

提督「そいじゃ、私も…」


むくりと起き上がり、提督が金剛の横を通り過ぎようとする

そして、提督が金剛に背を向けた所で、服の裾を掴まれ提督が足を止めた

しかしそれは、掴むというより摘むと言った具合で、普段抱きついて回っていた彼女の行動にしては 随分と弱々しかった


金剛「STOP!待って…まって、ください…」


最初の一声からだんだんの小さくなる声、そろそろ泣きそうにも聞こえてくる

そんな声音に提督の中にどうしても罪悪感が募っていく




菊月「長月…いいのか、あれは?」

長月「構わん、行くぞ」


心配そうに振り返る菊月の手を引いて長月がサクサク歩いて行く

金剛の声に一旦足を止めた二人だが、そのまま見ないふりをしてその場を去った


長月「明日からは、一段と騒がしくなるかもな」

菊月「そう、なのか?」

長月「でなければ、いい加減 私が殴る」

菊月「お、おぅ…」


姉の覚悟にちょっと怯える菊月だった




提督「…」


摘まれた服の端からも金剛が震えているのが伝わってくる


金剛「sorry.もう、驚かせたり、だきついたり、大きな声出したり、お布団に隠れたり、お風呂に入ったりしませんから…」

提督「…(散々だな、あらためられると…)」


しかし、それも好意の上にたっている以上無碍にも出来ず

中途半端にあしらっていた結果がこれだというなら

責めらるべきはどっちなのかと…


金剛「だから、その。にげ、ないで…そんな風に逃げられると私…」


すすり泣く声が提督に耳に届く

もう最悪だった。泣きそうだと思っていたらほんとに泣き始めて

おまけに泣かせたのは自分だったりで


提督「…ああ、もう」

金剛「てい、とく?…きゃっ!?」


提督が自分の頭を掻き毟ったあと、急に振り返りそのまま金剛を抱きしめる


金剛「あ、の?」

提督「わるかった…」


一言だけ謝って、抱きしめる手に力を込めた


金剛「うぅぅぅ、てぇぇいぃぃとぉぉくぅぅぅ…」


金剛がぎゅっと抱きかえす

すすり泣きが、本格的に泣き始めるが


提督「…(まあ、いいか)」


と思わなくもない提督だった



-それから少しの後-執務室-


チクタクチクタク…

かっこぅ…

時計の音がなる


皐月「…そろそろかな?」


提督の机の上に座っていた皐月が、時計を見ながらそんな事をいうと


金剛「ていっとっくー。戦果Resultが上がったよー。確認するデース」(扉バーン


最初合った時と同じかそれ以上か、元気よく金剛が入ってきた


皐月「おかえりなさい金剛さん。どうだった?」

金剛「もーんだーいNothing!鎮守府は今日も平和デース

   それで、て・い・と・く~♪はまたおサボりデース?」


金剛がソファーに目を向けてみると提督が寝転がっていた


皐月「そ、金剛さんから何か言ってあげてよ、ほんとにもう」

提督「…」

金剛「HEY提督♪Good Morning!」

提督「ん、あぁ。おはよ?」


提督が電灯の灯りに目細めつつも、満面の笑みに返答する


金剛「verygood♪…んっ」

提督「…」


提督に顔を近づける金剛…そしてそのまま頬に口付けた

提督が視線を逸らすも、赤くなってる頬までは隠せていない


金剛「おはよーキッスデース♪なんなら続き、してもいいのよ?」(ニヤニヤニヤ


ニヤリと笑い金剛が自分の服の合わせ目に指を掛けて見せた

それ自体だれがどう見てもからかってるだけではあったし

金剛もそのつもりだったのだろうけど


提督「…」

金剛「へ…?」


気付けば提督が金剛の胸を鷲掴みにしていた

それに気付いた金剛の顔が見る見る赤くなっていく


提督「さすがに柔らかいな…」


ついでに1揉み。それは見た目を裏切らない豊かな感触であった


金剛「て、提督のえっちぃぃぃっ!」


子供のような捨て台詞をを残して執務室を飛び出していった


皐月「…」(じとー


視線を感じて目を向けてみれば皐月に睨まれていた


提督「なにさ?」

皐月「そりゃね?仲良くしてとは言ったけどさ…」


皐月が呆れ気味に一呼吸吐き出して


皐月「時間と場所は弁えようよ」



-同刻-執務室前-


金剛「~♪」

長月「金剛?どうした、なにか嬉しそうだな」


遠征の報告に来ていた長月と菊月が、傍目にも心がぴょんぴょんしてるであろう金剛と遭遇する


金剛「YES♪わかりますか?わかっちゃいますか?」

菊月「なにか良いことで、むぐぅ」

長月「やめろ菊月」


気持ち悪いほどに上機嫌の金剛に

良い事でもあったのか?と言い出しそうな菊月の口を長月が強引に塞いだ

それは、絶対長くなるか、ろくなもんじゃないって長月の予想ではあるが

そんな事は関係なしのお構いなしに金剛が続けた


金剛「聞きたいデス?聞きたいデスか?」(きらきらきら

長月「しらん、いくぞ菊月」(スルースルー

菊月「あ、あぁ」(←口周り擦ってる

金剛「STOP!Please、お願いデス、聞いて、聞いて下さーい」

長月「はぁ…言いたいなら早く言え、面倒臭いやつだな」


通り過ぎて行く長月に縋りつく金剛さん

それに嘆息交じりで長月が先を促した


金剛「OK.私、提督に…セクハラされましたぁ♪」

長月「そうか…良かったな」


超笑顔の金剛に冷めた声音で返す長月


金剛「はい、デース。おっと、邪魔しましたネ。SeeYou♪」


言いたいことだけ言って去っていく金剛の背中を二人で見つめる


菊月「長月、セクハラとはなんだ?金剛があんなに喜ぶようなことなのか?」(真顔で

長月「しらんでいいっ」(←ちょっと顔赤い

菊月「むぅ」(←不満そう


真顔でそんな事を聞かれて、菊月の耳に詰め物でもしたくなる長月だった


それから少しの間、金剛のセクハラ発言が鎮守府内を歩きまわり

如月と弥生の視線がきつくなったとかならなかったとか


後書き

はい、というわけで最後まで読んでくれた方本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです
金剛一人増えただけで前より長くなってもうた

それではこの番組は
金剛「セクハラされたデース♪」
如月「…司令官ってばもぅ、すきなんだからぁ…」
弥生「…怒ってなんかないよ?」
睦月「てーとくー睦月出撃頑張ったんだから、ほめてー」
菊月「長月、セクハラとは…ぅぉっ!?」
長月「もうあそこは見るなっ、目に毒だ」(菊月の眼を隠し
皐月「そりゃ皆にちょっかい出すな、とかは言わないよ?ボクだって構ってほしいわけだし、でもね?って聞いてる司令官?」(←説教中
提督「はぁ…いつ終わんだこれ」
卯月「へっくちぃ」(←ずぶ濡れ
文月「はーい、うーちゃんはお風呂いこーねー」

以上のメンバーでお送りしました
なにげに、ここで金剛から逃げ回ったせいで書類が溜まってたりします
あ、多分次は球磨型になるかも?


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1: 楽園の素敵な巫女 2015-01-21 16:12:41 ID: 4HeVHdxQ

睦月型を愛しているロリ〇ン提督ち勿論それ以外の提督でも十分楽しんで読める作品だと思います。


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