2019-11-22 14:20:04 更新

概要

注意事項

エロ本よ

この物語は18禁です
この物語はフィクションです
実在の氏名、団体、あとなんやかんやとは一切合切関係がありません
また、すべてのエロい人達の為に理想と現実の区別は付けてくださいね
まぁ、現実なんてしょーもないものだけど一応ね


前書き

清潔感を四角く切り取ったような部屋
病室でなければ、保健室といった風体の

部屋の隅に置かれた机、そこに腰掛けているのは一人の女
纏っている白衣から、ここの主であるのが容易に想像できた

「はい、こんばんは…。今日はどうしたの?」

あなたに気付いた女が、腰掛けてた椅子を回して立ち上がる
白衣に浮かび上がるような黒く長い髪
白い肌に、赤い唇が弧を描き優しそうに微笑んでいる

「そうよね、日常なんて退屈だもの…」

それじゃあ、と間を置いて、赤い瞳があなたを覗き込んでくる
それから少しして、何か思いついた様に口を開いた

「今回もそう、何処かで見かけた魔法少女の話をしましょう」

正義と愛と、清くて正しいけれど、それも勝てればの話よね




「つまんない~、つまんないーだっ」


夜の街角


真っ白い女の子が、唇を尖らせながら歩いていた


透けるような白銀の髪と抜けるような白い肌

埋もれるほど身の丈に合わない純白のドレスが汚れるのも気にせずに

引きずって歩いては、おぼつかない足元で けん けん ぱっと繰り返す


きっと、この女の子の事を知るものがいたなら こう呼んだはずだ


ありふれた恐怖、あふれでた恐怖


可愛くて、可愛そうなだけの愛しい娘


想像上の怪物と、マムル・リムル…と、その愛らしさに釘付けにされながらも、恐怖のうちに口を滑らせていただろう



「よっ…とっ…」


街灯の下


ぱっと手を広げて立ち止まる


見すぼらしいスポットライトではあったけど、女の子の可憐な姿を際立たせるには十二分に過ぎた


「かえでちゃんのばーか」


ご立腹もご立腹だった


マムルの事なんて放ったらかして、そのへんのおもちゃで遊んでいるなんて


「いいもんいいもん。マムルだって遊んでやるんだから、リムルだって遊んでやるんだもん」


では何をして遊ぼうか?


両手を広げたまま、カカシの様に突っ立ちながらマムルは考えた


考えて、考えて、考えて…?


真っ白になった


真っ白で真っ新で何も浮かばない


見下ろした自分の体は、すとんと落ちて心の中まで底抜けているようで


「ふふっ、あはっ、あはははははっ」


笑った、笑いたくなった、可笑しかった


きっと鏡があれば問いかけていたはずだ


鏡に向かって問いただしていたはずだ


「鏡よ鏡、鏡さん。世界で一番可愛いのはだーれっ」


そ・れ・は・・・


「    」


それが可笑しくってまた笑う


何が可笑しいのか分からなくてもっと笑う


お腹を抱えて、大口を開けて、息も絶え絶えになった頃



ぱしゃり…


乾いた音と同時に目がくらむ程の光


切り取られた街灯の向こうで蠢く人影が「あっ」とか「しまったっ」とか自分の不手際を嘆いているようだった


「お兄さんっ」


暗がりの中にマムルが飛び込んでいく

投げられたボールを追いかける子犬の様に威勢よく、白いドレスが影に沈んでいった





「お、お嬢ちゃん…子供がこんな時間に出歩いてたら…あぶないよ?」


綺麗だった、愛らしかった


街灯の下、それよりも輝いていて霞んで見えて、その儚さが どうしようもなく愛おしい


突然現れた女の子は、気づけば笑顔で自分を見上げていた


吐き気がする、口が回らない


しどろもどろに狼狽えて、その容姿に目眩を覚えてなお、その子から目が話せないでいる


可愛いと…


頭の中がそれだけに埋まっていく、それ以外が否定されていく


「どうして?」


分からないと言った風に女の子が首を傾げている


「マムルはダメで、お兄さんはいいの?」

「ほら、お兄さんは…その、大人だから…。マムルちゃん? は、まだ子供だから…ね?」


そんな在り来たりな事をいうだけで息が詰まりそうだった

早く何処かに行って欲しいと願いながら、もっとこの子と仲良くなりたいと思っている自分に戸惑いを隠せない


ちがうよ…


「え…?」


否定された


言葉の上だけじゃない


首を横に振る


そんな仕草1つで、自分の中の何かを削り取られた様な気分になる


「マムルはリムルだもん」

「あ、ごめんね…リムルちゃんだったのかな?」


名前を間違えたのか


些細なことだ


謝って済む問題なのに、どうしてか彼女の何かを酷く傷つけたような気がして落ち着かなくなる


「何を言っているの?」


「え?」


また否定された


見上げてくる女の子から笑顔が消えている


「マムルはマムルだよ? リムルはリムルだもん」


どうして?


問いかけてくる


どうして、そんな事を言うの?


問いただしてくる


どうして、そんな酷いことを言うの?


「え…あ…」


意味がわからない


てんでんばらばら だ


マムルと名乗りながら、リムルと応える女の子をどう呼べばいいのかわからない

自分が責められている理由が分からない、女の子を慰める方法が分からない



それに気づいたのは、正気に戻ったのは

落としたスマホが立てる音、画面の光が目を眩ましたせいだったかもしれない


でも、たまたまで、偶然で、先に伸ばしにされただけ


「それはなぁに?」

「あ…これは…」


慌ててスマホを拾い上げたがもう遅い


画面を見られてしまった、指を指されている


写っていたのは女の子


マムルかリムルかは分からないけれど、白くて可愛い女の子が写り込んでいた



後ろめたさが胸を掴む


隠し撮りに対する罪悪感もそうだけど

ここでこの子が騒げが自分の立場が危ういと、しょうもない焦りが胸を逸らせる


「どうして?」


また、問いかけられていた


「どうしてマムルが写っているの?」


小さな背を、つま先を、手に隠したスマホを覗き込もうと一生懸命に伸ばしながら聞いてくる


ねーねー? ねーねー? ねーねー?


その声に、真っ白な声に、何度も耳朶を叩かれて、胸を揺さぶられ続けて


「それは…」


キミが可愛かったからだと、たまらずに白状してしまっていた


「ねーねー?」


声がする、目が話せない、見つめられている


気づけば、女の子の興味はスマホから離れていて、僕の顔を、瞳の奥を覗き込んでいた


「マムルは可愛い?」


頷いた


頷くしかなかった


頭を抑えられたというよりも、頭を支えて居られなかった


それで、女の子から視線が外せるなら どれほど楽だった事か


頷いた首はただただひたすらに、女の子との距離を縮めてしまう



白い肌に浮かんだ赤い瞳


その奥に映る自分の姿と、その瞳に宿る女の子の笑顔


こびりついた様に焦げ付いていく


赤い瞳に映った自分に見返され、そこに宿る女の子に微笑まれる


続いていく視線と笑顔


合わせ鏡のように何処までも広がって、女の子の笑顔に蝕まれていく


白くて、可愛くて、可愛そう


それが愛らしくて愛おしい


愛おしくて狂おしい、狂おしくて堪らなくて、耐えられなくて



思考が巻き戻る


最初の質問にまで言い訳を求めていく


子供が夜に歩いちゃいけない理由


それは、悪い大人がいるせいだと、教えてあげなくちゃいけなかった



気づけばマムルを押し倒していた


此処が路上だとか、相手は子供だとか、ひたすらにどうでも良い


マムルは悪くない、悪いのは僕だ、でもキミだって悪い


なんてことだ、触れただけで射精しそうになる


自分の指がマムルの肌を撫でている、その程度のことが今まで重ねてきたどんな自慰よりも刺激的だった


頬をなで、首筋をなぞり、胸元に爪を立てて、純白のドレスは以外にもあっさりと裂けていく


まるで初めからこうなるみたいだったように胸元をさらけだし

指に残る些細な抵抗は、嗜虐心を一層と煽っていた


膨らんでもない、膨らみかけてまもない

それが胸と分かるのは淡い乳首が辛うじて色づいているおかげ


白い肌に浮かぶ桜色


そんな筈はないのに、それがまるで目印のように、誘われるように手を伸ばしてしまう


指が触れる、固く押し返される感触


性的に、でもなく、生理的に


ただ、夜気に晒された素肌が縮こまっている

あるいは恐怖で固まっているだけなのかもしれなかったが、そんな事など構いもしなかった


沈み込む指先で、マムルの肌をなぞっていく


素肌は柔らかく、滑らかだったけれど、すぐに骨の硬い感触に行き当たる


でこぼこ…ぼこぼこ…


波打つ指先で、マムルの胸を、脇腹をなぞっていく



小さく呼気を打つ胸、身じろぎに揺れる乳首、冷えた肌に滲んでいく体温


その全てが毒だった、甘い甘い猛毒だった


それが分かっていて、乳首に吸い付く


冗談でも、本気で死んでもいいと考えていた


蜜のようだとか、甘い果実みたいだとか、言い方ならいくらでも、言い換えて何度でも


徒に甘美な刺激を運んでくるマムルの乳首。唇に潰される感触も、舌先を嫌がる抵抗も

味覚とは違う、下腹部を膨らませて、全身をめぐる性欲が膨れ上がり、その甘さに震えていた


「ぁっ…」


声が聞こえた


違う、痛みに呻いただけかもしれない、伸し掛かられる重さに耐えかねたのかもしれない

それでも、マムルの声は耳から染み渡り、忘れていた行為を思い出させる


胸への執着が解かれると


舌は上へ、手は下へと、マムルの体を確かめるようになぞっていく


首筋に吸い付き、浮かんだ汗さえ甘露に思えた

纏わりつくドレスを剥がす様に手を滑らせて、ついにはお腹に太ももに、マムルの幼い体を顕にしていた


美しかった、可憐で、愛おしく思えた


街灯の下、その向こうの暗がりに、ぼんやりと浮かぶマムルの体

白かった肌は色づき始め、汗ばんだ吐息が聞こえ始めている


幼い体、ではあったが、確かに女の子の体でもあった


染みもない傷もない、純白で真っ白の幼い体


唯一の出来た汚点は、幼い胸元から落ちる唾液の雫

それは乳首を濡らし、うすぼやける灯りの下でも嫌に目を引き付けられる


ああ、そうだ自分でやったんだ、自分が汚したんだ


自分の唾液が綺麗だった女の子の体を汚している


その事実こそが、より下腹部に貯まる熱を騒ぎ立てた



マムルが体を捩らせる


背中をくねらせ、隠すような太ももの動きに視線を煽られる


分かっているのだ


自分が何をされているか理解している、自分が何をされるのか期待しているようにも見える


指先がマムルの下着に触れる、吸い込まれるように伸びていく

閉じられた太ももの隙間に、隠された布地の上を、押し込んだ指先に滲む湿り気と、マムルの体温


抜きとった指先に、なぞりあげた下着の上に


つーっと、線を引く透明な雫


ほら、なんのことはない


見知らぬ男に押し倒されて、大した抵抗も大げさに声を上げるでもない

最近の子供はというが、後で幾らと迫れるかとか、一瞬だけ過る不安も興奮の前に溶けていく


ほら、指先を見つめて


女の子の雫が 指先に絡みついている


甘い匂いがする、そんな訳がなくても、それを舐め取りたいという衝動が近づいてくる


舌をのばす、雫が落ち来る、伸びて、垂れ落ちながら、糸を引いて


ぷつり…



切れていた


何か、最後の一線がそれで切れてしまった


マムルの下着を剥ぎ取る


強引に脱がせたのか、破り取ったのか、それさえもどうでもいい


肝心なのは、目の前にある女の子と、熱り立った性欲だけ


ほら、太ももを抱えて、逃さないように押さえつけて


小さな足の間に自分を押し込んで、閉じた割れ目に肉棒を押し込んでいく


「ぁっ…ぁっ…」


流石に苦しいのか、マムルが声を漏らしている


けど、やめられない、やめたくない


その声に女の子を犯している背徳感をなぞられて、背中を押されているみたいだった


行き止まりは以外にも深かった


強引に開かれた割れ目は、根本まで肉棒を咥えながらも、物欲しそうに蠢き出す


力を抜けば、押し返されそうなほどに狭いマムルの中

逆にそれが肉棒への刺激を増し、逆らって押し返すと 押し上げた膣奥の向こうに届きそうな予感があった


マムルを犯す動きが止められない


逃げる腰を捕まえて、閉じる太ももを抱え込み

ただただ、熱り立った肉棒を 女の子の奥へと押し付ける


包み込まれる肉の感触


狭くてきついはずなのに、乱暴な肉棒の動きを柔らかく受け止めて 撫で回すように締め付けてくる


「はぁ…はぁ…ああっ!?」


もう隠しもしない


紛れもない嬌声がマムルの喉から転がりでていた


膣の奥を裏側を、熱い肉棒に掻き回されるほどに声は艶をましていき

腰を震わせて、押し付けるように背筋が反り返る


ほら、肉棒に溜まった熱が爆発しそうになる

ほら、マムルの腰を抱く手に力が入る


行き場のなくなった彼女の小さな手が、快楽の逃げ場を求めるように伸ばされる

それは、押し付けられる肉棒から逃げるようでもあり、さらに深くと懇願しているみたいでもあった


ほら、その手をとって彼女を抱きしめて


抱きしめて、抱きかかえて、膝の上に座らせるとより深く肉棒が マムルの中へと入り込んでいく

小さな膣では収まりきらず、たまらず開いた子宮口に肉棒の先端が押し込まれた


「ふぁぁっ」


嬌声が耳元に響く


その声に思考が惚けていく


もっと彼女を味わいたくて、抱きしめた両手に力が入る


捕まえた彼女の腰を肉棒で押し上げると、強引に下へ落とし込む


扱いとしてはオナホと変わらない


自分が気持ち良くなるように、気持ち良くなるためだけに

マムルの体を掻き抱いて、爪を立てるくらいに掴んで、乱暴に肉棒を打ち付けていく


細い腕に抱きしめられる


小さな胸が押し付けられ、しこりの様な幼い乳首が腰を打ち付ける度に肌をくすぐっていく

呼吸に押さられ、閉じることのない小さな唇。頬を伝うよだれの奥に、真っ赤になった舌先なめまかしく目に焼き付いた


はたして、視線に気づいたのだろうか


少し開いた口元から、ゆっくりと舌が伸びてくる


柔らかそうな舌先、ねっとりと糸を引く唾液

口の中から湧き上がる熱が、吐息と一緒になって顔に掛かる


キスなんて綺麗なものじゃない


ただ、唇を重ねて、その舌を貪った

唾液を啜って、唾液を送り込んで、混ざって混ぜ合わせて


そうしているうちに、マムルと1つになったようでとても気持ちが良かった


忘れていたのはどっちだろう?


唇の甘さか、肉棒への快楽か


どっちにしろ動きは止まらなかった


唇を貪りながら、マムルの中を掻き回し、マムルを犯しながら、舌を絡めていく



ぎゅっ…と


縮こまるマムルの体


跳ねる体に唇は上を向き、堪らない快楽が嬌声にと変わっていく


膣の中が締まる、両腕と一緒に肉棒までも抱きしめられているようでいて、息苦しさも覚える


求められるように膣の中が蠢いて次の瞬間を期待されていた


ほら、下腹部に熱が溜まっていく


ほら、肉棒の根本が快楽で融けていく


限界まで伸びたゴムみたいに、いっぱいまで膨らんだ風船みたいに


強引に、乱暴に、その瞬間を目掛けてマムルの中に打ち付けて


ほら、次の瞬間に期待して、そのことしか考えられない





ふっと、力が抜ける


頭が真っ白になる


下腹部で押さえつけられていた熱が一気に吹き出すと、その開放感で胸が満たされる


肉棒を締め付けていた膣の力が緩み、勢い余ってその奥へと突き刺さっていた

子宮口を押し開き、雁が鍵となって引っかかり、逃げ場のなくなった子宮の中へ送り込まれる大量の白濁


ビクビクと…ドクドクと脈を打ち


もっともっとと欲しがる膣の動きに誘われて、一滴残らず女の子の子宮の中へと注いでいく



おおよそ、人が得られる快楽ではなかった


性欲どころか、生きる活力まで吐き出したみたいだった


消える、消える、風前の灯火と、風に揺れるロウソクの様に自分が消えていくのを理解する


それを恐ろしいと感じる前に、快楽が体を支配していった


心が慄き、体が満たされる


ちぐはぐになった心と身体は、やげて悲鳴を上げると同時に倒れ込んでしまった




それを見届けてマムルが立ち上がると

小さな割れ目の向こうから、余った精液が太ももを伝って落ちていった


「ふふっ…あははははっ…」


笑う、笑って、笑いこける


単純に満たされていた、お腹も、心も、愛された事が、求められた事が素直に喜ばしい


「だって、マムルは可愛いもんね?」


赤い瞳が男を見下ろす


けれど、そこに生気はすでになく


抜け殻になった体には、いつの瞬間からか恐怖の色が張り付いていた




ぴりりりりっ…ぴりりりりっ…


「ん? なにかな?」


粗雑な電子音と、地団駄を踏むスマホの音


拾い上げ、目を向けると、さっき撮られたであろう自分の姿


「やっぱりリムルは可愛いね」


ボタンを押す、上機嫌だった


きっと電話の向こうの誰かに優しくできると、訳もなく微笑んでいた


「もしもし…マムルだよっ」





四角く切り取られた部屋の中


会議室よりも事務所といった風ではあるが、何処か息苦しさを感じる部屋だった


1つは部屋の窓だろうか


だが、それがカーテンで仕切られているのは、夜半という時間も合わせれば大きくは気にならない



もう一つは棚か


そこは本棚か書類棚といった形をとってはいるが、利便性の結果か引き戸の1つ1つがレールの上から無くなっている



次は黒板か


ホワイトボードこそが似合う部屋の作りなのに、どうしてか古めかしいそれが正面に飾られている



更に言うならパソコンの1つも置いて有りそうな机の上には、

紙束が積み重なるばかりで、いかにもデジタルといった電子機器は見受けられない



そんな部屋の隅には少女が一人


つける明かりもそこそこに、手元の資料だけが分かればいいと提灯の様にデスクライトが光っている


そう、光っているが光っているだけ


概ね、息苦しさの原因はそれだった


普通であれば、何がしか光が反射しそうなものが何もない

それを嫌ったかのように映り込むものがなにもないせいで、必要以上に部屋が狭苦しく見えていた



少女が顔を上げる


部屋の暗がりにようやく気づいたように周りを見回し

撫でさすったお腹が鳴ったことで、随分と時間が立ったことを自覚する


「あいつどこまでいったのかしら…」


いつも手伝ってくれている彼の姿がない


なんとなく出ていった様な気はするが、食事の買い出しにしては時が経ちすぎてる気がしていた


「ま、子供じゃないんだし…」


しかし、そこで思考を打ち切った


そんな行方の知らない助手よりも、今の自分には調べるべきことがある



住宅地に発生した謎の霧


光学的な手段では確認できず、機械的にも無いと言うしか無いそれは

どうしてか、人前には浮かんで見えている


そしてそれは、実害を伴って人々を蝕んでいるようには見えるが、因果関係が立証出来なかった


そろそろ科学的な側面からの検証は限界が来ていた


人の視界にだけ映り込み、それを珍しい程度に済ませる霧の正体


「…ぅ」


手近にあった、ゼリー状のドリンクを押し込んだつもりだった


けれど空


その辺を見回しても、空、空、空…そろそろゴミが鬱陶しくなる頃合いで

栄養の足りなくなった頭で次の思考を回すのもためらわれた


「…ったく」


忌々しげに床を蹴ると、キミの悪い音を立てて、座っていた椅子が後ろに転がっていった



白衣の少女、金髪をツインテールに纏めた可愛らしい女の子


さっそうと廊下を歩く姿は それらしく、様にはなっていたが

常に周囲を警戒するような雰囲気も板に付いているようだった


下に降り、自販機から適当に甘いものを引きずり出す


「コーラかぁ…」


ディスプレイに浮かんだ自分の顔から目をそらしたときに、1つ横にズレてしまったようだ

買い直そうとも思ったが、それでまた自分の顔を覗き込むのにも嫌気がさして、そのままプルタブを引き上げる


「うへ…」


甘い


それは疲れた脳にはちょうど良かったが、あとに来る刺激に喉を鳴らす


こんなものを有難がって飲む人たちの気もしれないが

こんな刺激でもないと毎日が退屈だというなら少し哀れにも思うだろうか



エリカ 水瀬


ハーフで、金髪で、色白で、それだけでも目立つのに


彼女は賢くて、頭が良かった


小学生の間に高校を卒業し、通っている大学でさえも片手間みたいなものだった


最初のうちは両親も鼻高々で、周りからも期待こそもあったけど


気づけば一人きり


いや、正確には彼も入れれば二人だが…そんな事を言って調子に乗らせることもないかと首を振る


「それでも、お金があれば生活できるのが現代の良い所よね…」


そう自分に言い聞かせなければやってられなかったのは認めるが

意外と最近は寂しさよりも気楽さの方が得なんじゃないかと思い始めてもいる



何度も喉を震わせながら、なんとかコーラを飲み干す


空き缶を捨て、部屋に戻ろうとした所で、公衆電話が目に入った


「…」


緑色で、赤色のランプが不気味に浮かぶ機械

携帯電話の普及も手伝ってか、最近では数こそ減ったが

ある所にはある、ここもそんな1つだった


一応は一応だ…今まで手伝ってくれた義理もある


夜中にでかけて帰ってこない助手を心配したって損は無いだろうと、いやいやながらも受話器を持った


ずっしりと重い


たかだか受話器なのに、最新のスマホ比べるべくもない重さ


それを耳に掛けると、腕が疲れてしまう前に、使い古されたテレホンカードを投げ込んだ



ぷるる…ぷるる…ぷるる…


何回目かの電子音


おそらく ごめんなさいで始まるであろうと予想した電話口からは、予想外の声が聞こえてきた


「もしもし…マムルだよっ」


知らない声だった、知らない女の子の声だった


番号を間違えたはずもない。何度もかけて、掛け直すまでもなく、指に染み付いたその番号


有り得そうな仮定に頭を回す


勝手にでかけた挙げ句に女遊びかと鼻白んだが、そういうタイプではなかったし

そもそも声が若すぎる。なんなら途中であった親戚の子にスマホを取られたとか言う方が有り得そうな展開だ


「あーっと、このスマホの持ち主に代わって頂戴」


どっちにしろ子供の遊びに付き合う気もなく、さっさと代われと促すが


「ねぇねぇ、お姉ちゃんはお名前は? 今何処にいるの?」

「はぁ? 何処って、研究室だけど…それより」


まるで話を聞かない、これだから子供は嫌いなんだ

それでも癇癪を起こさないように、努めて冷静に声をかけようとして


「そっか、じゃあ今から行くねっ」


ぷつんっ…


「なによ…いったい」


それっきり、それまでだった


掛け直しても、電源が電波がと機械音に返されるだけ


仕方なく部屋に戻り、調査こそを再開したが、結局彼が戻ってくることはなかった



ぷるる…ぷるる…ぷるる…


その日からだった


夜になると決まって電話が掛かってくる


私はスマホなんてもってないし、部屋にも電話なんて無い

あるのは下の公衆電話の1つきりで、毎晩毎晩、それは騒ぐ子供の様になり続けた


最初こそ、無視を決め込んでいたが


静かな建物の中に響く音、締め切った部屋の中であっても耳障りに聞こえ

思考を邪魔するその音に、たまらず電話を取り上げれば 同じ声が返ってくる


「もしもし…まむるだよっ。今はねぇ、3丁目って書いてる曲がり角だよ」


毎度この調子で、こっちの話も聞かずに電話を切られる


それの何が嫌って、毎晩毎晩毎に近づいてきていた


スーパーから病院、公園を通って公民館を横切る、ついには手前の曲がり角だ


何のつもりかと地図を広げれば、そこは全て公衆電話のある地点で

おそらくだが、次の公衆電話はこの建物、なんなら明日の晩にでも辿り着くことになる



ぷるる…ぷるる…ぷるる…


今夜も電話が鳴っている


そうだろうと思って、そこの椅子で待っていたら案の定だ


犯人が誰かは分からない、けれど人間で無いのは確かだろうと思っていた


人の手によらない不自然な産物、偶然ではないなにか


昔からそういうのを神とか精霊と言って崇める一方、悪魔と蔑みおそれていたもの


非科学的…


オカルトの世界だと無視しても無視しきれずに、ついには暴いてしまったのが不幸の始まりだったのかもしれない


いや、もっとか


幸せだったのは、何も知らないでいられた子供時代なもの


「もしもし…まむるだよっ」


今日も元気な女の子の声だった


可愛らしいと、白々しくも平時なら思っても良かったんだろうけど

今はとてもそんな気分にならずに、ただ淡々と「居るんでしょ」とだけ応えておいた


「っ…」


受話器を取りこぼす


その拍子に電話が途切れ、途切れた筈の自分の声が反対側から聞こえてきていた


ディスプレイが光っている


通話中の文字が浮かんでいる


その四角い板には見覚えがあった


あの日居なくなった彼が使っていたスマホ

宛先は間違いなく、この公衆電話の番号で、息を呑む私の声まで拾い上げているようだった



「こんばんは、お姉ちゃん。やっと会えたね?」


微笑む女の子


白い女の子、白くて、真っ白で、白々しい女の子


透けるような白銀の髪と、抜けるような白い肌

埋もれるほどにサイズの合わない純白のドレスが、女の子の小ささを際立たせているようだった


「彼はどうしたの?」


無駄だと思える質問を、それが彼への最後の気遣いとして聞いておく


「どうって? マムルはどうもしてないよ?」


子供らしい笑顔を浮かべ、子供のように愛らしく小首をかしげている


嘘は言ってない、嘘はついてない


確かにそうは見えるのに、何一つ正しくない


届いているのに聞こえてない言葉、一方通行な会話の中どうしても聞き流せない言葉があった


「あ、でも、最後に見た時は動いてなかったかな? 生きてたら良いね?」


どうして笑っているんだろう


人一人を殺しておいて


いや、違うか


これにしてみれば、結果として動かなくなっただけ


遊んでたら死んじゃったって、イジメっ子以下の言い訳もあるかどうか


「それで…この霧もあんたの仕業ってわけ?」


いつでも変身できるようにと手鏡を握り込む


「きり? ちがうよ、まむるじゃないもん、ほんとだよ? だってそれ 楓ちゃんだもの」

「楓…ね…」


まだいるのか、こんなのが


それが分かっただけ良しとするべきか、だとしたらこんなのにこれ以上関わってもいられない


「あんたは その楓ってやつの差し金なわけだ?」

「おねえちゃん、怒ってるの?」

「怒ってない」


流石に嘘だ


けれど、怒りは思考を鈍らせるから

わざと言葉にしてででも、気持ちを落ち着ける事に集中したい


「うそ…」


その時が初めてだった


今まで浮かべていた笑顔が鳴りを潜め、一瞬で不機嫌が顔に張り付く


「うそうそうそうそうそうそっ、嘘つきなお姉ちゃん」


知ってるんだよ? 


女の子が微笑んだ、邪悪を湛えて微笑んだ


「…コンパクト・オープン」


最後まで聞く気はなかった、付き合う気はもっとなかった


ただの作業のように鏡を覗き込み、向こうの私に問いかける


「綺麗な私、可愛い私、素敵な私…貴女は私、私は貴女、強い私に私はなる」


鏡が光る


その光に包まれると、無数に浮かぶ鏡の中心に私は浮かんでいた


私が私を見ている


どれもこれも私で、私達で、その1つ1つがあったかもしれない可能性の私だと

この手鏡をくれた私が言っていた。いつかの私が繋いだ未来と繋がる装置だと


卑怯な話だと思う


レベル上げが終わった私を未来から引っ張り出してくるってんだから


だから魔法なんて言うんだろうけど、科学で証明できない理不尽を魔法って呼ぶんだろうけど


選んだのは強い私


魔法の鏡を受け取って、魔法少女として成長したはずの私


今よりもっと強い自分になれる、そんな高揚感にわずかにも胸が高鳴っていた


おはよう私


私は私に頷いて、手を取り抱き合って、溶け合って


黄色のドレスを身に纏い、いつかの私が作った銃を引き出す


「魔法少女プリズム・マキナ。私があなたを解明するわ」



紫電、そして轟砲


マキナの手にした銃から放たれた弾丸は、マムルの肩から先を吹き飛ばしてもなお有り余る威力だった


マムルの小さな体が壁に打ち付けられ

潰れたような声が上がると、肩から向こうへ赤い血が壁に張り付く

それでさえすぐに黒ずみ焼け落ちて、ようやく床に倒れ込む事を許される程だった


白いドレスの半分が赤く染まり、それでもまだ血溜まりを作ってマムルを溺れさせていく



そこに違和感があったすれば、まだマムルが生きていることくらいか

確実に頭を心臓をと思っていただけに、肩から先程度に収まったのは計算外


避けたのか?


どちらにせよか。それが面倒な能力だったにせよ、動けない今のうちにもう一発


再び銃に紫電が奔る


こんな威力も手伝ってか、あまり乱射をしたい武器ではないが

戦いを長引かせないという意味では、これが一番効率が良くもある


弾丸に込められたのは無力化の呪紋


これで相手の超回復や防御・転移系の回避を封じ込め

それを物理的な防御を無視できるほどの威力で叩き込む


精密射撃にこそ向かないが、相手に何もさせないという点だけを突き詰めればこうもなった


「終わりね」


そして、時間も体力も一番消耗しない方法でもあった


ぐすっ…ぐすっ…


マムルが泣いている、痛みに泣いて蹲っている、なくなった腕を抱いて震えている


だからどうした


あなたが殺してきた一人にお前もなるってだけの話

自分だけ許されようなんて思うな、自分だけ助かろうなんて考えるな


「私はあなたを許さない」


引き金に指を置き、その遺言に私は固まっていた


「でも、なんでお姉ちゃんは許されてるの?」


引き金を引く指が止まる


頭を過ぎったノイズに完全に体を縛られてしまった


私が許されている


その心当たりに指を指された気がして、思わず視線を反らしてしまった


「なぁーんてねっ」


その瞬間、その隙きを狙ったのか

無邪気に飛びついてくるマムルを、避けることも出来ずにそのまま受け止める


抱きつかれ、押し倒され


それが、やぶれかぶれでも自棄の突撃でもなく

ただの口づけだと気づいたのは、重なった唇に息苦しさを覚えてからだった


「んっ…ちゅっ…ぅぅっ…!?」


顔をそむけ、体を暴れさせる


けれど、だんだんと体から力が抜けていき、次第にマムルの力に押し返されるまでになっていく


唇を必死に閉じても、無理やり割り込んでくる舌


小さな女の子の柔らかい舌の感触

触れた唇から妙な胸騒ぎを感じて、だんだんと落ち着かなくなってくる


初めてでも、知らない訳でもない感触


胸騒ぎは次第に大きくなり、私の中から何かを引き出すみたいだった


「んっ…んっ…」


入ってくるマムルの舌を押し返そうと、私も舌で押し返すが

何の技術もない私では、すぐに舌を絡め取られて逆に弄ばれしまっていた


それからどれほどか、長かったようで短いようなキスの時間


鼻息は荒くなり、酸素の足りなくなった頭はぼやけてくる

口に溜まった唾液が行き場を求めて垂れ始め、それでも喉に詰まる苦しさに堪らず


ごっくん…


飲み込んだ、飲み込んでしまった


マムルの唾液と一緒に。その舌に、優しく喉の奥まで流し込まれて

一度飲み込んでしまえば、二度も三度も変わらずに

何回も喉を鳴らして、その度に言いようのない胸騒ぎに力を奪われていくようだった


「へんなの? お姉ちゃんの中にお姉ちゃんがいっぱいるんだね?」


私の上に跨ったまま首を傾げているマムル


「どいてっ!」

「おっととっ」


それよりも、私はそれどころじゃなかった


馬乗りになるマムルを強引に押しのけ立ち上がる

なんとかそれだけの力は戻ったことに安堵はするが、その程度で体の違和感は消えてはくれない


立っているだけでもやっと


お腹の奥を混ぜ返されたような単純な吐き気


吐き出そうと折れ曲がる体を無理やり抑えようとして、バランスを崩して床に手をついてしまう


「ごほっ…がはっ…」


いっそ吐いてしまえば楽になるか

マムルの唾液を体の中にとどめておくなんて、何があるかもわからないのならと


どしゃ…


盛大にはいた吐瀉物は、酷く黒ずんでいた


胃の中のものなんて、彼がいなくなってからはゼリー系の何かでしかないのに

こうも見た目に悪いのは、マムルの唾液のせいって事で良いのだろう


毒でも仕込まれていたのか


そう頭が考える頃には、それは脈打ちだしていた


湧き上がり、浮き上がった油の様に玉虫色に揺らぐ表面が、不規則に起き上がっては崩れていく

それが一瞬、人の顔にも見えた時、さらにそれは明確に人の形のように纏まっていった


まずい


本能的に反射的に、思考と同時に転がっていた銃を拾い上げ引き金を引く


轟砲と共に吹き飛んで、その上でなお動きを止めず、また1つに寄り集まっては嫌な形を確かにしていった


「おねえちゃん、おねえちゃん。それ、何に見える?」

「…なにって…?」


見てしまった


あとになって思えば、これが 彼女の引き金だったと気づいた所でもう遅い


黒ずみは、人影になり、人形になり、等身大にその身を置き換える

足ができて手ができる、付いた頭に顔が浮かび、開いた目が私を見つめていた


「エリコ…」


口が裂け、漏らした言葉に堪らず私は引き金を引いていた





「いひっ! あはっ、あははっ、あはははははははっ!!」


絶叫している、叫んでいる


一心不乱に引き金をひいて、その恐怖から逃れようとする姿は滑稽以外の何物でもなかった


やかましい轟砲が都度繰り返され、BGMの様な絶叫が耳に障る


そんな中でさえ、マムルは一頻り笑って、笑って、お腹を抱えていた


新しく生まれでた恐怖を称えるように、悍ましく生まれ落ちた恐怖を祝うみたいに

笑って笑って、お腹を抱えて手を叩き、喝采の拍手でそれを迎えていた


その度に血が飛ぶ、血しぶきが上がる


なくなった片腕なんて気にもとめず、血で張り付いたドレスを引き剥がしながら

ありもしない手を叩き、笑い転げるマムル


流れ弾の1つが頬を掠めようが、巻き込まれたドレスが更に千切れようがそれが楽しくって仕方がない


「あれは何かな? 父親? 父親ってパパだよね? パパが怖いの? 変なの?」


悪魔にだってそれくらいは分かる

分かるだけに、父親に向かって怯えて叫んで銃を乱射する姿は、愉快で愉快でしょうがない


そのうちに轟砲が止んでいた


ついには魔力が切れたのか、ボロボロになった部屋の中に少女が膝をついて怯えている


「なんで…なんでよ…」


近づいてくる人影から、必死に距離を取ろうと手足を動かす

けれど恐怖ですくむ体は上手くは動かず、ついには尻もちを付いて後ずさるので精一杯になっていた


「だってそれ、お姉ちゃん自身だもの。お姉ちゃんの中から生まれた恐怖だもの」


誰も自分からは逃げられない、出来るわけがない

人が恐怖を克服するなんてあり得ない、私はいつでもそこにいる、貴女の中に私はいるの


「さあ見せて? お姉ちゃんの怖いの全部 マムルにちょうだい?」





恐怖、私の中の恐怖とマムルは言った


じゃあ、あれはやっぱり、あの人はやっぱり…


「えりこ…えりこ…」


父親の形をしたそれが、母親の名前を呼びながら迫ってくる


「いや…来ないで…」



初めにお母さんがいなくなった


失言だったと思う、得意げだったのだと思う


母親の疑問を解決した子供、解決し続けた子供、母親より賢かった子供

教えるものがなくなった母親は、次第に自分の無知に惨めさを覚えたようだった


まあ、そうだ…


可愛げのない子供なんて誰もいらないだろう

私はきっと工学の勉強をするまえに、心理学の勉強でもしているべきだったのだ


何も言わなかった


旅行かばん1つを抱えて出ていった背中だけが記憶に残っている

きっと、私と会話をするのが怖かったのだ。また論破されるんじゃないかって、自分の惨めを晒すだけなんじゃないかと


それでも、お父さんは愛してくれた


お母さんが居なくなった分、お母さんの二人分


私が寂しくないよう、なるべく一緒に居てくれて

誕生日には一杯のプレゼントで祝ってくれて


私は寂しくなくなっていたし、お父さんが心配しないようにって私も泣かなくなっていた


初めて研究室をもって、初めての助手ができて

お父さんに紹介したらいっぱい喜んでくれて、私も嬉しくなって


その日の夜、私はお父さんに犯された


泣きながら、涙を流しながら、お母さんの名前を呼びながら


そこで初めて私は気づく


お父さんは私のことなんて見てなくて、ただ居なくなったお母さんの代わりを私に求めていただけだった



「やめっ、はなしてっ」


ついには足首を掴まれてしまった


もう下がる場所なんてなくなって、冷たい壁の感触に恐怖を後押しされていた


足をバタつかせて逃げようと試みても

掴んでくる手は解けずに、蹴り飛ばそうと伸ばした足はすり抜ける


暴れながらもあの日の恐怖ばかりが浮かび上がっていた



ベッドで寝ている私


こっそり開く部屋の扉に、お父さんの気配を感じて目を覚ます

何のよう? なんて考えもせず、子供心に脅かしてやろうと息を潜めていると

唐突に布団を引き剥がされた、驚いて脅かすのも忘れて、忘れている間に足を掴まれて


浮かび上がるほどに人影はより父親に近づいてきて、あの日の父親のままに母親の名前を呼びながら私に迫ってきていた


あの日の私と重なる姿


足を広げられて、スカートを捲られる私と、パジャマのズボンを剥ぎ取られ、乱雑に下着を毟られた幼い私


「お父さん止めてっ!」


叫ぶ、あの日と同じ様に叫んで、暴れて、それが父親だと思えなくなっても、お父さんと呼びかけ続けて


熱り立った肉棒が私の膣を貫いていた


「ひっ…」


痛いとか苦しいとか、肉体的なものはもちろんあったけど


それ以上に心が辛かった


信じていた父親に裏切られた。いや、それ以上に最初から私のことなんて見てもいなかった

ただ母親の面影を求められているだけで、ああ、きっと、紹介した助手に私を取られるとか思ってしまったのかもしれない


「おいていかないで」「すてないで」「一人にしないで」


そんな事を言いながら、涙を流しながら、謝罪を口にしながらも、そのはけ口は私に向けられている

愛した日のことを思い返しながら、愛した日々に溺れながら、私を変わりに自分を慰めるお父さん


私も一通り泣いて叫んで、暴れて逃げ出そうとして


殴られていた、痛みに目が白黒と切り替わり「お前のせいだと」今度は罵倒されている


「お前のせいで母さんが居なくなったのだからお前が代わりになれ」


理屈としては最低だ


以前に理屈にすらならない八つ当たり


それでも逃げようとする私を、大人しくなるまで殴りつけると

やがて、満足したように、腰の動きを再開していた


痛い


といえば、体中がそうだった

押し倒され、押さえつけられ、顔を、お腹を殴られて、膣に肉棒を押し込まれている


前戯も無ければ愛情もない、恐怖に縮む体にこわばった膣の中は、愛液に変わって血液が代わりを勤めていた

鈍い痛み、不快な熱さ。下腹部の違和感は増していき、断続的な腰の動きは激しさを増していく


やがて、一方的な性交は高みに到達すると、私の中に精液を吐き出した


「あ、あぁぁぁ…やぁ…っ」


私の初めては最悪の形で終わっていた


まったくの他人ならまだ泣きようもあった、お父さんに慰めてもらって、がんばれたかもしれないのに

愛していたはずの父親に奪われたことに全てがどうでも良く思えてしまう


最後に肉棒が震え、ようやくと射精が終わったことに安堵を覚える私


けれど、飽きることなく腰を振り始める父親を前に、私は体を投げ出すしかなかった

抵抗なんて出来ない、したって痛い思いをするだけで

それならまだ、こっちのほうがいくらかマシだと理由をつけて、不快な時間が続くの黙ってやり過ごす


それが賢いやり方だと信じていても

目の前に見つけた希望は嫌に現実的に見えてしまった


暗がりの中、廊下からの光に覗き込まれるベッドの上

それが物騒だと思うかもしれないが、結局、こういう時のためにと父親から渡されていたものには違いなかった


私に夢中になる父親は気づきもしない


サイドテーブルの引き出しを開く音も、伸ばした私の手が握っているものも


いいさ、最後の手向けだ


一度も二度も変わらない


というよりも、相手が確実に油断をする瞬間だと理屈を考えればこうもなる


不快なうめき声と一緒に、下腹部がまた熱くなる

ドロドロと注ぎ込まれる何かに顔をしかめ、それを最後にするために引き金を引いていた


ぱんっ…


意外と簡単な音だった


人を殺すのなんてこんな簡単なんだと恐ろしくも思ったが

こんな簡単に、この恐怖から逃げられたならと、今更な諦観の方が強かった



気づけば父親が倒れている、父親だったものが転がっている

私に伸し掛かり、頭から血を流し、肉棒からは余った精液を垂れ流しながら絶命している


その日私は父親を殺した、この日は私は父親を殺した

2度も父親を撃つ娘はきっと親不孝なんだろうけど、私は笑って引き金を引いていた


「ねーねーお姉ちゃん。どうしてお姉ちゃんは許されているの?」


気づけばマムルが私を見下ろしていた


赤い瞳を光らせて、白い笑顔で私を嗤っている


「人を殺すのは悪いことなのに、家族を殺すのはもっと悪いことなのに」


私は結局罪には問われなかった


父親に暴行された哀れな娘

その一点だけで社会は私に同情し、事件は事故という形で包み隠された


「許してくれなんて言わないし、思ってもない」


ただ、1つ言い返せることがあるのなら


「あんたの撒き散らす恐怖なんてのは…」


銃口を向ける


今度は父親にではなく、目の前の恐怖の塊に向けて

こんな暴力1つで解決できるほどの、つまらないものだと突きつける


「無理だよ? 無駄だよ? ぜーったいのぜーったいっ」


銃口を前にマムルが踊る


両手を、抉れた片腕から血が流れるのも構わず


ふわり…器用にドレスを翻す



人は恐怖を無くせはしない


あの暗がりを、あの日の記憶を、蓋をしたって、克服したつもりになったって

愛とか勇気に背中を押されても、怒りとか憎しみとかで塗りつぶしても、無くなったわけじゃない


「マムルはね? お姉ちゃんの中にいるんだよ?」


消したければ自分を殺せ


けれど、自分を殺そうとする恐怖にこそ彼女は巣食っていた


「だからさ、お姉ちゃん。もっとマムルと遊んでよ?」


女の子は微笑んだ、無邪気に、真っ白に、白々しい笑顔だった





銃声が鳴り響く室内


踊る、踊る、くるくると、回り、踊っている


頬をかすめる弾丸と、ドレスを蹴散らす銃弾の中

突き刺すようなスポットライトを一瞬に受け止めて、鮮血に彩られたマムルが踊っている


こつんっ…


ふと、つま先で蹴っ飛ばしたものに視線が落ちる


拾い上げた手鏡を見つめ、そう言えばと、お姉ちゃんが使っていたものだったと思い出す


偶然か、たまたまか


流れ弾の1つがマムルの手元で弾けた


あっけなく、手にしていた鏡が割れてヒステリックな音を立てて床に散らばっていく



きらきら、きらきら、きらきらと…


万華鏡の様に、崩れた鏡が床に降り注ぐ


きらきら、きらきら、きらきらと…


その1つ1つが、お姉ちゃんの可能性に彩られ、どれもが輝かしい未来を映し出している


きらきら、きらきら、きらきらと…


眩く映る未来に目を細め、子供のようにマムルが微笑んだ



可能性の具現化、未来の前借り、運命の糸を纏う力


皮肉かな?


理屈屋のお姉さんが、そんな不確定な力を使ってるなんて


それとも、未来は無限大だなんて本当に信じているのだろうか?


ありえない、ありえない


未来は何処にも繋がらない、未来は1つに朽ちていく


人の運命は、人の終わりはいつだってそう



「ねーねーおねえちゃん…」


割れた鏡の欠片を拾い上げる


映っているのはやっぱり希望


なんて素晴らしい未来、なんて幸せな世界


「だけどね? それだけじゃないはずだよ? そんなわけがないんだよ?」


お姉ちゃんはズルをしている


人一人の希望がこんなに明るいわけがない、なんの影も映さないなんてありえない


お姉ちゃんはズルをしたんだね


自分の絶望に蓋をして、自分の絶望に胡座をかいて、絶望を踏み台する

影が消えた後の綺麗なだけの光を浴びて、きっと幸せだったんだろうね


くるくる、くるくる、くるくると…


マムルの小さな手の中で、拾い上げた鏡の欠片が、希望の残滓が揺れている


「でもね? 確かにあったはずでしょ?」


幸せなだけの可能性なんてあり得ない


誰にもマムルを否定させやしない


いつだって私はそこにいるんだもの


「ふふっ…みぃーつけたっ」


微笑む、笑う、嘲笑う、真っ白な笑顔に紅血に染めて、マムルが笑みを貼り付けていた





ある日、見慣れない手鏡がそこにはあった


自分と彼以外が居ない研究室で、転がっていたのは女性用


自分のじゃないとすれば彼のもので、自然と選択肢は絞られていく


「ふんっ…」


鼻を鳴らして無視をした


これみよがしに不機嫌に、自分に見せつけるようにして不満を呈する


なんだったら家族の持ち物がって可能性もあったけど、近くに住んでる訳じゃないし

そうなれば残る可能性は、誰かへのプレゼント…そんな程度のものだった


だって僕は助手ですから


そう言って、事情をしった後も付いてきてくれた日の言葉を思い出す

嬉しかったし、一人じゃないってそう思えたのは心底安心した


なのにこれは…


この不快な胸のざわつきは…


ああ、そうだ


私は知っている、母親においていかれた時の不安と…捨てられた事への…



「ひぃっ…」


忘れていた、思い出した、目を覚ましたのは恐怖心だった

投げつけられた鏡の欠片から、逃げるように体を強張らせる


私の未来の可能性


そう言えば聞こえは良いが、なにも輝かしいだけが未来じゃない


強い光の下に暗い影が落ちるように、暗い影の裏に強い光があるように


私は絶望に蓋をした、希望だけを未来に取り残して


マムルの言う通り、私はズルをした


鏡が、私の中に滲んでいく


胸に空いた光は酷く薄暗く、私の未来を曖昧にしていった





捨てられたくなかった、もう置いていかれるのだけは嫌だった


たとえお父さんが私に代わりを求めているだけでも、それでも私は愛情が欲しかった


目に映る鉄の塊


指先1つで人を殺せる道具


こんな悲しいだけの現実を終わらせるのには都合が良くて、それが手を伸ばせば届く距離にある


私を犯しているお父さんの動きが荒くなってきた


多分そろそろなんだろうとぼんやりと考える


射精の瞬間


多分その時ならバレずに、外すこともなく、終わらせることも出来るんだろう


私は指先を伸ばし、それを閉まっている引き出しに鍵をかけていた



今日もお父さんに呼び出される


あれから毎日、ずっと呼び出され続けている


お母さんの服を、付き合っていた頃に着けていた服を、何着も着せ替え人形のごとくに回されて回される


それはそれで都合が良かった


私じゃない、居なくなったお母さんの代わりになるには、それくらいの方が良かった

なまじ、自分を見て欲しいなんて思えば余計に辛くなるだけだから


制服の袖を通すのにもそれほど違和感もなく

むしろ、母親の感触を思い出して安心する


高校の時のものだろうか?


多少サイズは大きいようであったが、お父さんはそんな事は見えていないようだった

それにどうせ、最後は脱がされるんだから、着心地とかは重要じゃない

母親の服を私が着けている、私が母親の代わりになってお父さんに愛される


今の私に必要なのは、嘘みたいな愛情、それだけだった



部屋に入り、お父さんの名前を呼ぶ


すると、さっきまで沈んでいたお父さんが

嘘みたいに明るくなり、昔の私を、私達を愛してくれていたときみたいな笑顔を向けてくれた


それだけでよかった、それだけで嬉しくって仕方がない

自分を見てくれている、嘘みたいな愛情を受け止めて私は幸せを感じていた


さらけ出された肉棒、父親の性器


すでに固くなり、脈打ち、物欲しそうに先から透明な汁を漏らしている


胸が切なくなる、お腹が熱くなる、求められていることが嬉しくて幸せで


私は膝を付いた


肉棒の前に顔を近づけ、結んでいたツインテールの1つを手に取る

そのまま、お父さんの要望通りに肉棒に巻きつけた後、ゆっくりと手で扱き始める


両親の、二人の関係がどうだったかは分からない


ただ、これが一般的な行為でないこと位は理解していた


私の髪の毛に包まれた肉棒が嬉しそうに震えている

射精でもしたんじゃないかってほど先走りの液を垂らして、次第に手の中が ぐちゃぐちゃになっていった


当てつけか、八つ当たりか


いつもより興奮しているお父さんをみるに、多分そんな所なんだろう

居なくなった母親の代わりに私を使って、母親に出来なかった事を私にぶつけている


それでもいい、だからもっと私を見て欲しい



肉棒を扱いている手の中

先走りに促され早くなっていく手の動き

指先と肉棒との隙間から、滑り出してくる金色の髪の毛にどんな感想も抱けずに

ただ、目を背けるように肉棒の先端に口づけをする


抵抗もなにもない、すでに慣れてしまうほどに重ねた口づけ

感じていた嫌悪感は押し込まれ、いまはお父さんが喜んでくれる事が素直に嬉しい


嬉しくなってお腹がざわつく


口の中でも、顔に掛けるでも、体にでも良い

早く射精して欲しくて、肉棒の先端を啄みながら手の動きを早めていく


褒められた、頭を撫でられた


呼ばれた母親の名前を受け止めて、母親の代わりになってお父さんの肉棒に奉仕をする

もはや、まともな親子の関係じゃなくたって、それ以上に私は愛情が欲しかった


欲しくて欲しくて喉を鳴らし、熱くなったお腹を誤魔化すみたいに太ももをすり合わせる


「あっ…」


唐突に飛び出した精液

堪らず お父さんの腰が引かれると、私の指と髪を振りほどき精液が注がれた


髪に顔に胸元に、制服を汚して染みを作る


何処か残念に思っていた


ちゃんと咥えて置けばよかったと


頬を垂れ落ちる精液を指で掬い上げ、ぺろりと舐め取る


ただ、それだけの行為に酔いしれた


見下ろした体は精液に塗れていて、肉棒を包んでいた髪は重く床にへばり付いている



それはきっと、とても扇情的に映ったんだろう


少女の体を好きに出来る


それは、少年の頃には叶わなかった夢


考えなかった訳じゃないはずだ、きっと一人の夜に慰めても居ただろう


それでも理性や背徳感、照れくささ や 周りの目が邪魔をして、大人になるまで出来なかった行為


そりゃ誰だって、好きにしていいって言われたらそうするだろう


私を母親の代わりに思い込む、そんな盲目的な大義名分の前では尚更に



気づけば、ベッドの縁に体を預けていた

腰を持ち上げられると、寄る辺の無くなった体は支えを求めてベッドにしがみつく


スカートを捲られる


恥ずかしさに熱くなる頬とは裏腹に、部屋の空気が濡れた太ももを冷やしていった


そう、濡れている、濡らしている


生理反応なのは、肌寒さに重なった太ももの動きくらいなもので

期待に一段と熱くなるお腹は、さらに太ももの間を濡らしていたくらいだ


泣いた夜はもう遠く


どれだけ嫌がっても、叩かれ、教え込まされて


抵抗するより受け入れたほうが楽なことに気がついて

自覚した性感が快感に変わっていくほどに、だんだんと行為に溺れていった


お父さんの好きにされていく、お父さんの好きな私に変わっていく


どうでも良かった、どっちでも良かった


殴られても、叩かれても、上手に出来たと褒められて、嘘みたいに愛されることのほうが大事だった



割れ目に息が吹き掛かる


間を置かずに唇が押し付けられると、ディープキスの様に舌がねじ込まれてきた


「んっ…ふぅ…ぁぅっ…」


燻るような快感


割れ目の入り口を舌が這い回り、溢れでた愛液を吸われていく


腰が跳ねる、太ももが震える


抜けていく力を必死にかき集めてシーツに皺を寄せる



お腹が熱くなる、ぐるぐると渦を巻いていく様だった

こんなことでさえ私は受け入れてしまっている。どころか、もとして欲しく体をよがらせていた


それでも、わずかに残った羞恥心は漏れ出る声を抑えさえ

唾液で汚れるのも構わずに、シーツを咥えこんで高まってくる快感を必死に堪える


耐えて、堪えて、湛えて、溜め込んで


ふっと、体が軽くなった


「あ…あ…?」


絶頂にはまだ遠く、むしろその入口で去っていく感覚が口惜しいほどだ


どうして止めたしまったんだろう?


上手に出来なかったのかな?


また叩かれるのかな?


嫌だな、怖いな…


立ち上がるお父さんの気配に体を竦ませて、恐る恐ると振り返る


「あ…」


良かったと、漏れ出た声は安堵のそれ


大きなお父さんの手に腰を掴まれて、熱り立った肉棒が私の割れ目に近づいて来ていた


腰を持ち上げ、軽く足を開いて、お父さんが挿れやすい様に体を整える


頭を撫でられた、良い子だって褒められた


胸の奥が温かく、お腹の奥は熱くなる


深呼吸をして、意図的に体から力を抜くと、大きなお父さんの肉棒が私の小さな割れ目を押し開いていった



まだ息苦しくはあったが、たくさん濡れる様になったせいか痛みは然程でもなくなっていた

少なくとも、出血が愛液の代わりになっていた最初の夜に比べればスムーズに

けれど、少女の小さな割れ目を一杯に広げる肉棒は、それでもぎこちなく奥へ奥へと進んでいく


「はぁ…ぁぁ…」


お腹が押し上げられる感触

肉棒の先端が私の膣の奥にたどり着くと、待ちかねたように子宮がざわついたようだった


私が上手に出来るとお父さんは優しかった


ゆっくりと肉棒が引かれていくと、そこに出来た隙間に慌てて息を吸い込む

そうしてまた、入り口から押し込まれていくとそれに合わせて息を吐き出した


それを何度も繰り返す


繰り返し、繰り返して、解れてきた膣の中は次第に お父さんの肉棒を追いかけ始めていた



鼓動が高鳴る、興奮に心臓が暴れだす

血液に快感が混ぜられたみたいに体中が熱くなり、全身が火照り始めていた


肉棒に掻き回される膣の中はもちろん、お父さんに掴まれている腰も

シーツに抱きつく肌も、火照った体を撫でる部屋の空気も


全部が全部、気持ちよく感じてしまっている


気持ちよくって、また鼓動が高鳴って、それが順繰り重なって快感がどんどんと密度をましていく


ぼぅっとしていく頭の中、白く融けるような快感に満たされていく

無くなっていく酸素を求めて呼吸が荒くなり、それを自覚しながらも、よだれを垂らして息を弾ませる


抵抗も何もない、何も出来ない、したくない


愛されて、気持ちよくされて、これ以上無いくらい幸せで


早く、もっと、私で、私の中で気持ちよくなって欲しい、気持ちよくさせて欲しい

そう願うほどに、お父さんの肉棒が愛おしく、与えられる快楽が愛情に重なって見える



お父さんの手が、私のお腹を滑っていく


舐めるようにゆっくりと、おへその形を確かめて制服の中へと忍び込んでいった


ブラを上にずらされて、顕になった私の胸に お父さんの太い指が食い込む


「あっ…」


変な感触だった


おっぱいがこんな感じになるなんて知らなかった

体を洗う時、なんとなく引っかかる様な気がする程度だったのに

快感が高まれば高まるほどに、その胸の膨らみは、小さな蕾の様な乳首は、膣とは違う刺激を体に与えてくれる


胸が熱い


お父さんの両手に包まれて気持ちが良い

形が変わるくらいに揉みしだかれて、揉みしだかれるほどに鼓動が高まって

お父さんに伝わっているんじゃないかって、私が喜んでいるのがバレるんじゃないかって恥ずかしくもなる


無骨な手のひら


硬い肌の上を乳首が転がされていく

胸を揉まれ、押し出されて、行き場の無くなった乳首と手のひらが擦れていく


引っ掻かれるような短い刺激、それが何度も繰り返されて、次第に痺れたようになってくる

痺れるような快楽、甘い刺激、膣への快楽と一緒になると、それはより強く全身を満たしていく


膣から突き上げられ、胸から痺れさせされる


上から下から責められて、熱くなったお腹から溶けていく見たいに体から力が抜けていった



ぱちんっ…!


「ああっ!!」


それが気に触ったんだろう


快楽に力が抜けて、腰が落ちる、太ももがだらりと垂れ下がる


私だけが気持ちよくなって、お父さんを気持ちよくする事を忘れてしまっていた


ぱちんっ…!


「ひぃっ、ご、ごめんな…さいっ」


お尻を叩かれていた


何度も、何度も叩かれて、慌てて腰に、足に力を入れ直す


それでもお父さんは止めてくれなかった


痛いのと怖いので体が強ばっていく


それが余計に気に入らないのか、さらに叩く力が強くなっていった


ぱちんっ…! ぱちんっ…! ぱちんっ…!


馬にでもなったみたいだ


息を切らせて腰を持ち上げて お尻を叩かれる


叩かれて、叩かれて続けて…


痛みと快楽、刺激に敏感になった体は、より楽な方へ、気持ちが良い方へと流れていった


叩かれたお尻に、じんわりと塗り広がっていくような快楽

さらに叩かれ続けて、快楽が滲み出してくる


正しく調教されている


叩かれて教え込まされて、腰を振って、気持ちよくなっていく


自分が壊れていくような、壊れてもいいと思えるような


「ああっ!!」


また1段と強く叩かれて、叩きながら、お父さんがすすり泣いていた


どうして…どうして…と繰り返し、私に母親の幻影を求めて追いかけている


その姿が哀れにも思える反面、自分もそうであったと思い出す

捨てられて、置いていかれる、恐怖と悲しみを私は知っていて


その傷を舐めるように声をかける


大丈夫だよと、私は何処にもいかないからって


「お父さん…」


その時、久しぶりに私を見てくれた気がした、母親じゃない自分の名前を呼んでくれた



「お父さんっ…お父さんっ…」

「エリカっ…エリカっ…」


何度も名前を呼び合って、傷をなめ合いながらお互いを慰めあった


もはや親子と呼べる関係でなくなっても、恋人とも言える代物でなくても

この快楽だけを求めるように、体を重ねていく


ぎゅっと抱きしめられて、ベッドから体を起こされる


何年かぶりにお父さんの膝の上に座れたことに、小さな日の記憶を思い出してしまう

それと同時に、肉棒がより深く膣の奥を押し上げてくる


深まる愛情と快楽はもう止められなかった


お父さんにお腹を抱えられ、肉棒で下から突き上げられる


逃げる場所なんか何処にもなくなって、たまらず声を上げて快楽を逃がす

けどそれもすぐに口を塞がれて、息も絶え絶えになってくる


溢れる唾液が首筋をなぞり、そのじれったさに背筋を震わせる

唾液をおって、お父さんが唇を滑らせていく、舌で首筋を舐められ、なんども啄まれるのがくすぐったくもなった


けれど、そのくすぐったさも、すぐに快楽に飲まれると、そんな刺激の一部へと成り代わる


もう何をされても気持ちが良かった、お父さんに愛されているのが幸せだった



「あっ、あっ…わた、し、もうっ…」


膨らんだ風船みたいに快楽がお腹の中で弾けてしまいそうだった

それを針で突くように肉棒で付いて欲しかった、快楽を弾けさせて欲しい

もう堪らなくて、我慢が出来なくて、お父さんの腕にしがみつく


耳元で名前を呼ばれた


よく頑張ったねって、イッていいって、気持ち良くなっていいって



声を上げた


今まで一番大きな声だった様に思う


喉を鳴らし、背筋をそらし、目いっぱいに快感を歌い上げる


掻き回され、絶頂に達した膣が肉棒を締め上げる


そんな吸い付いてくる様な柔肌を振りほどき、なおも乱暴に突き上げられる


「だめっ、お、おとうさんっ、とまっ、わたし…これ…あっあっ…!!」


絶頂


イッたばかり、快楽で一杯になった体にさらに押し込まれる快楽


心も一杯で、頭も一杯で、快楽に弛緩するまもなく、次の快楽に備えて体が反り返る


抱きしめられた


より強く、一杯に、離さない様に、逃さないように抱きしめられると

一際強く、お父さんの肉棒が私の中を突き上げる


「あぁぁっぁっ…!?」


お腹が熱い、膣より更に奥へ、子宮の中が熱く、熱く満たされていく

吐き出された精液に、体が満たされて、心が満たされる


幸せだった


射精を続ける肉棒に膣を掻き回され


幸せだった


再び絶頂に達した体に酔いしれる


幸せで、こんなにも愛された事が幸せだった





「はっ…あっ…あぁぁ…」


冷たい床の上、母親の制服を纏った私は、お父さんに犯されていた


それを見下ろしながらマムルが愉快げに嗤っている


「あはははははっ。やっぱり、やっぱり、あるんじゃない、こんな幸せもあったじゃない」


幸せ…こんなのが幸せなの


父親に犯されて、どん底の幸せを噛みしめるなんて、何が、なんて…私はそれでも


「ちが…わたし…」


手をのばす、転がった銃に指をかける

暴力で解決することに嫌悪はあれど、暴力でしか解決しないこともあると私は知っていて


「みてみてお姉ちゃん」


降りかかるマムルの声に顔を上げる


その小さな手には鏡のかけら、私の可能性の一つまみ

今度は一体どんなものを拾い上げたのか、母親に虐待されている未来でも見つかったのか


だったら、そんなものはいらないと、銃を掴む手に力を込めて


それが止まる…


映っていたのは紛れもない幸せだった


彼と私とが、仲睦まじく手を繋ぐ未来、もう叶わない未来


「あっ…ぁぁぁ…」


涙は流れても、いうほど声は出なかった


お父さんに体を抱えられ、下から突き上げられている

嫌悪感しか感じない筈の行為に私の体は、未来の私は喜んでいた


やっと愛されたと、やっと愛し合えるって、嘘みたいな愛情に縋って


彼との未来が薄れていくようだった


だって今幸せなんだもの、そんな届かない未来の話なんて想像出来なくって


「良いよ、マムルは良い子だからね」


無邪気に微笑むマムル


その笑顔が意味する所は知れないが

きっとより酷い恐怖を、それも私の中から溢れさせて、溺れさせるつもりなんだろうとは想像がついた


「やめっ、お父さんっ、離して、にげ、にげないと…っ」

「それがお父さんに見えるんだもんなぁ…」


マムルの目には何も映ってはいなかった

せいぜいが汚泥の様な汚濁のような、なんでも無いなにか

恐怖を絵にした抽象画が形になってるような何かでしかない


「ほら、お姉ちゃん変身しよ、幸せの未来に向かってね?」


手鏡に、鏡の欠片が嵌められる


「やめっ」


その向こうの私と目があった、その目の向こうに私がいて、私の向こうに私がいた





結局、お父さんを殺せずに、隙きをみて逃げ出すしかなかった


彼に事情を離して、二人で遠くに逃げ出した



ベッドの上、私は彼と寄り添い合っていた


求めていた愛情は確かに満たされて、それでも不安は消えずに彼により掛かる


甘えていたのだ


事情を知ってそれでも良いと言ってくれた彼に


「んっ…」


初めてのキスは切なかった


涙の味がしたようにも思う


ただ、不思議と彼の体温が私の唇から伝わる感覚が甘く溶けていくようで

息苦しさも忘れて、ずっと重ねていたくなる


「うん…いいよ…」


どちらからでもなく体勢を崩すと、彼に押し倒されていた

その先は、分かっているつもりだった

いくら若くても、むしろ若いから、より強く異性の体に引かれてしまう

彼は男で私は女で、初めての不安はあったけれど、それでも彼にならと身を委ねる


シャツのボタンを外されて、晒されたブラを両手で隠す

その手を彼に掴まれると、優しくどかされてしまった


視線を避けようと身じろぎをした所で逃げられる訳もなく、隠すものの無くなった胸の膨らみにそっと触れられた


恥ずかしさとくすぐったさと、言われるほど気持ちよくは無いけれど

強くなる鼓動は確かに、体を火照らせていくようだった


そのうちに、ブラを外されて殆ど裸の様な格好になってしまっていた


私の体を撫でる手は、愛撫を続けながらゆっくりと下に降りていき、スカートのホックを外すと中に忍び込んでいく

太ももを撫でられ、内側から股間に向けて指が伸びる


恥ずかしさに加えて、くすぐったさとはちがう感覚に閉じる太もも


嫌かと聞かれればそうではないけど、そういった私に頷くと

太ももを割り開いた彼の指が、下着ごしに私の割れ目をなぞっていく


「んっ…」


切ないと、言って良いのだろうか

お腹の奥をくすぐられたような感覚が体を震わせていた


初めての感覚なのに、もっとして欲しいと何処かで思う

そんな甘い誘惑を重ねられ、次第に太ももから力が抜けていく


私が落ち着いたのを確認すると、彼の唇が私の胸を啄みだす

上に下に、右と左に、乳首の回りを、乳首を避けながらキスを重ねる

口づけは長くなり、伸びた舌が胸を舐め始める頃には、私の息はすっかりと上がってしまっていた


くすぐったくて、気持ちが良い

それも確かにあったけど、彼に求められているのが素直に嬉しい

というよりも、これくらいしか彼に返せるものがないと、何処か卑屈になっていた部分もあったかも知れなかった


ついには彼の唇が乳首に吸い付いていた

赤子みたい、なんて考える前に私は訪れた刺激のやり場に困っていた


気持ちが良かった


他に言いようがない。甘くて、切なくて、もっとして欲しい

そんな錯覚に目眩がするみたいに酔っていく


舐められている乳首から、なぞられている割れ目から


なんとも言えない浮遊感みたいなものが、体中を浮き上がらせているようだった

絶頂が、どういうものかはわからないけど、きっとこの感覚が目いっぱいにまで浮き上がって


そこから落ちてしまった時


噴水に持ち上げられた体が、転げて落ちてしまった時の事を想像して私は体を震わせていた


直接見られるのは恥ずかしいからと、スカートはそのままに私の下着が脱がされれる

けれど今更になって、見えないことの方がより気になってしまっていた


彼の前に足を開いている私


彼の肉棒 はすでにスカート下に消えていて、私は次の瞬間を今か今かと落ち着きなく待つしかない


「ぁっ…」


肉棒の先端が割れ目に触れる


そのまま少し先まで入り込むと、また外へと出ていった


遠慮されている、気を使われている


そこに繋がるのは、捨てられることへの恐怖心だった


此処まで付いてきてもらって、エッチの1つもさせて上げられないなんて

見捨てられても仕方がないと、置いていかれても仕方がないと、心の何処かで焦りが芽生えていた


「いいから、お願いっ、一気に…」


彼の体に手を回し、無理矢理に私の腰へと落とし込む


痛い


思っていたよりも痛かった


彼の優しさを、今になって思い知らされるが、それで張り詰めた鈍痛が消える訳もない


1つ、キスをされる


肉棒を中に収めたまま、彼に体中を愛撫されていく

頭を撫でられ、首筋を舐められ、胸を乳首を、お腹に太もも優しく指がなぞっていく


「ひゃっ…」


声が出てしまった


割れ目の頭、クリトリスを撫でられて明確な快楽が全身を走り抜ける


指の腹で優しく撫でられる、ただそれだけの事に体が言うことを効かなくなり

触れられれば触れられるだけ、無意味に腰が跳ねて背筋が震えてしまい

抑えた手の隙間から溢れ出した嬌声は次第に上ずっていった


「あ、ちょっ、まって…これっ…」


堪らなかった堪えられなかった


何かが限界を迎えたみたいに膨れ上がって、お腹の奥が痺れだす

ふわりとした浮遊感が全身に広がると、一気に下に向かって落ちていくみたいだった


落ちて、落ちて、落ちていって…


気付いたときには彼にしがみついて声を上げていた


「はぁ…はぁ…っ」


彼に頭を撫でられながら、しばらくして落ち着いてくる


絶頂


その高揚感と達した時の落差

他に変えようのない快楽を反芻して、私は体を震わせる


だけど、落ち着くほどに一人だけ気持ちよくなってしまった罪悪感がだんだんと大きくなってきていた


「ねぇ…」


縋る、縋り付く


一人になりたくなくって、愛して欲しくて彼に縋る


優しく頬を撫でられ、甘く口づけを交わす

再び彼に押し倒されると、ゆっくりと腰を動かし始めた


一度達した後だからだろうか


挿れられた時程の痛みもなく、膣の中を広げる異物感が主立っている


体はすっかり出来上がっていた


肉棒が膣の中を広げていく、溜まった愛液を外に掻き出していく

そして、愛液が無くなった分だけ先走りの液が肉棒を包み込むと再び溢れ出した愛液の中へと押し入ってくる


異物感が違和感へと変わっていく

もどかしい違和感は切なさへと繋がって、だんだんと燻るような快楽が大きくなってきていた


肉棒を動かしながらも続けられる愛撫

次第に、肉棒に膣奥を突かれる度にそれが気持ちいいと思い始めていた

膣を掻き回されながら乳首を舐められる、クリトリスを弄られながら奥を突かれて快感に身悶える


だんだんと高まってくる快感は、次第に絶頂の予感へと変わっていく

あの感覚に手を伸ばして上り詰めていく途中。もう一つ、別の欲望があることに気がついた


射精してほしい


彼のものになりたくて、彼のものにされたくて、私は彼のものを受け止めたくて


お腹が疼く、絶頂の予感がより強くなっていく


「出して…お願い…」


震える声で、恥ずかしさを押し込めても私は彼のものが欲しかった

理性以上に本能が、もっと気持ちよくなりたいと貪欲にもとめているみたいで止められない


それが彼の琴線に触れてしまったのだろう


愛撫の手が止まり、優しかった腰の動きが激しさをましていく

腰を抱えられ、抱きしめられて一、心不乱に腰を振り始める


もう此処までくれば、私も素直に感じられていた


乳首とクリトリスと、一緒になって快感を覚えていった膣の中は

肉棒の激しさに悲鳴を上げるみたいに震えだす


突き上げられる事に愛しさを覚えて、雁首で膣壁を掻き分けられると言いようのない刺激に身悶えた



耳元で、彼に囁かれた


待ちかねていた瞬間に期待して身構える

お腹に力が入り、反らした背中に反して腰が浮いてしまう


同時に肉棒が突き入れられると、一気に奥まで突き上げてお腹の奥が熱くなった


「ふぁぁっああっ…!?」


じんわりと広がる熱さ、それに比べて突き抜けた快楽は暴力的だった

高まって高まって、高止まりをして、そこから一気に蹴落とされるように


頭が真っ白になった


必死に手を伸ばして彼に抱きついても収まらない

腰が跳ねて、膣の中がざわついている、必死に肉棒を締め付けて吐き出される精液の全てを受け止めたがっている


どくどく、どくどくと、肉棒が膣の中で暴れている


吐き出された精液で真っ白に染められて、子宮が満たされた事が幸せで仕方がなかった



知っている


私は知っている


満たされる感覚を、満たされる喜びを、その幸せを知っていた


「ごめんなさい、ごめんなさいっ…」


私は彼の与えてくれる快感に酔いしれながら、誰にでもなく謝り続けていた


大丈夫だよ、彼が優しく撫でてくれる


頭を、背中を、私が落ち着くまで優しく撫でて擦って、目眩がするような優しさに身も心も彼により掛かってしまう


「大丈夫だよ、エリカのお父さんも一緒だから」

「へ…?」


その言葉に首を傾げる暇もなく体が軽くなる

後ろから誰かに持ち上げられると、すぐさまにお尻に感じた違和感に声をあげた


「ひゃぁぁっ!?」


悲鳴というより嬌声だった


絶頂したばかりの体は、お尻に入ってきた熱い塊を快楽だと理解して


なんで?


私が知らないのに、私は知っている


いつかの私が、あの日の私が、その快楽を覚えていた



視界が滲んでいく、記憶が混ざっていく


あの日の私と、いつかの私がぐちゃぐちゃに彩られ


確かなのは、心と身体が満たされて幸せだったこと


愛した人と、愛していた人に求められて幸せだったこと



二人の肉棒が再び動き出していた


私は、彼の上に跨って、後ろからはお父さんに犯されている


意味が分からない、訳がわからないのに、その状況を受け入れてしまっている私


お父さんに犯されたことも、彼に愛されたことも私はどっちも覚えていて


二人に愛されている異常が、より強い幸福に変わっていた



お父さんの太い指が、私の胸を覆うとあの日の様に揉みしだき始める

揉みしだかれ、無骨な肌に乳首が擦られるだけで声を抑えられなくなっていた


「やっ、だめっ、お父さん…今は…彼と、なんで…」


それでも気持ちよかった


状況に流されていく


彼の目の前でお父さんに犯されているのに、乳首を弄られる快感はあの日を境にして増していく


「あああっ!?」


背筋が反り返る


乳首を指先で摘まれて、どうしようもなくお腹が熱くなってしまった


初めてのはずなのに、乳首で絶頂に達する


その感覚を私は覚えている


それが堪らなく気持ちがいい、彼に見られながらお父さんに愛されて幸せだった



幸せに浸りながら、今度は彼にクリトリスを弄られる

乳首よりも強い、より直接的な快感は、私の腰を泳がせるのに十分だった


「やっ、おねがいっ、もっと…あっ…」


もっと、もっと? もっとなんだろう?


もっと優しくなのか、もっと激しくだったのか


どちらにせよ、止めて欲しいなんて言葉は出てこなかった


彼にクリトリスを弄られながら、快感を逃がすために腰を動かしている

ただそれだけのはずなのに、自分から腰を振って快楽を求めてしまっているような行為は次第に私を追い詰めていった


だって気持ちが良かった


二人に愛されながら、二人を求めて体を揺らす


愛情と愛情が重なって、より強い快感へと変わっていく



お尻の穴から、精液が溢れてくる


お父さんの精液を恍惚と受け入れながらも、私も一緒に絶頂に達してしまう


休んでる暇なんてなかった


絶頂に達して、快感に落ちていき、その途中でまた突き上げられる


今度は彼の精液が、私の膣を満たしていく


どうしようもない快楽に涙を流しながら声を上げる私


膨らんでいく快感に押し上げられて、落ちる度にまた押し上げられて

終わることのない快楽が、延々と高みへと続いていく


終わりの見えない恐怖、足元の見えない恐怖、未知への恐怖


今達してしまったら、私はどうなってしまうんだろう?


私が私で無くなってしまうような、もう後には戻れないような


「もっと…もっとぉ…」


なのに、感じている恐怖とは裏腹に、言葉は先へとせっついていた


だからって止めて欲しいわけがない


求めていた愛情をなくすくらいなら壊れたって構わないと、やっぱり私は何処かで思っていたんだろう


「あ…」


訪れた絶頂は呆気なく


私はどん底へと落ちていく


力強く抱きしめられ、奥へと突き上げられながら

子宮に、お尻にと感じる精液の脈動に押し流されていく


白くなっていく様だった


体も、心も、真っ白に塗り替えられていくような感覚


何も考えられなくて、何も考えなくて良い、そんな曖昧な快感の中に私は落ちていく






「ふふっ、あはっ、あはははははっ」


マムルが笑っていた、楽しそうに笑っていた


「もう怖いのはなくなったかな、お姉ちゃん?」


見下ろす彼女は、裸のままぐったりと横たわり、ただ薄笑いを浮かべて白濁の中に沈んでいる


何も悪いことは無い、むしろ良いことをしたとさえ思っている


悩み多き年頃の少女から、恐怖という概念を根こそぎ無くしてしまったのだから


彼女は幸せに浸り続ける


「ああ、死にたくなったらまた会おうね、お姉ちゃん…ふふっ」


白々しい笑みを残してマムルは闇に溶けていった



後には何も残らない


散らばった鏡の欠片は白く霞んで


唯一、幸せな少女が微笑んでいるだけだった



ーおしまいー



後書き

「マムルは楽しかったですっ」

反省点は、メリーさんとシンデレラ、合わせ鏡とごちゃごちゃになってしまったことね

さぁ、今日は此処までよ。右手はまだ元気かしら?出すものは出した?
少しでも興奮してくれたのなら、これ幸いね

それじゃあ、また次の夜にでも ちゃぉ~♪


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