2016-06-15 20:04:25 更新

概要

提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です

注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
アニメとかなんかのネタとかパロディとか
二次創作にありがちな色々
長い


前書き

32回目になりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね

以下、ちょっとしたプロフィール。長いので、興味ない人は飛ばしちゃって下さい

提督
練度:神頼み 主兵装:刀
「にひひひ。やはり、可愛いは正義だな」
長髪で黒髪、何時も気だるげな表情をしてる
一応、白い制服を着けてはいるが、上から羽織っている浴衣が全てを台無しにしている、不良軍人
そもそも、軍人どころか人ですら無い、元土地神様
覚えている人もいなくなり、ようやく開放されたと思えば、深海棲艦が湧いてきて…
3食昼寝付きの謳い文句も手伝って、提督業を始めだした
性格は、ほとんど子供。自分でやらないでいい事はまずやらない、明日できることはやらないで良い事
悪戯好きで、スカートめくりが好きなお年ごろ
また、結構な怖がりで、軽度は人見知りから始まり、敵は全て殲滅する主義

皐月ー愛称:さつきちゃん・さっちゃん・さっきー
練度:棲姫級 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「え、司令官かい?そりゃ…好き、だよ?なんてな、えへへへ♪」
初期艦で秘書艦の提督LOVE勢。提督とは一番付き合いの長い娘
その戦闘力は、睦月型どころか一般的な駆逐艦の枠から外れている程…改2になってもっと強くなったよ
「ボクが一番司令官の事を分かってるんだから」とは思いつつも
まだまだ照れが抜けないせいか、ラブコメ時には割とヘタレである

睦月ー愛称:むつきちゃん・むっつー・むっつん
練度:褒めてっ 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「提督っ、褒めてっ!」
わかりやすい提督LIKE勢、「ほめて、ほめて~」と、纏わりつく姿は子犬のそれである
たとえその結果、髪の毛をくしゃくしゃにされようとも、撫でて貰えるのならそれもよしっ
好感度は突っ切っているが、ラブコメをするにはまだ早いご様子

如月ー愛称:きさらぎちゃん・きさら
練度:おませさん 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「司令官?ふふ…好きよ?」
やらかした提督LOVE勢。一昔前、司令官と仲良くなろうと色々頑張ったが
振り返ってみると、かなりアレだったことに気付き、思い出す度に悶絶する毎日
しかし、一度派手なことをやった手前引くに引けず、ラブコメをする度に黒歴史が増えていく毎日

弥生ー愛称:やよいちゃん・やよやよ・やーよ
練度:固い 主兵装:3式爆雷 好感度:★7
「司令官?好きだよ、普通に」
感情の読めない提督LIKE勢。瑞鳳に卯月が取られて、手が空いた反動か結構好き勝手やりはじめた
最近は ゆーにあることないこと吹き込むのがお気に入り
「もちろん、いい娘に育てるよ?」私のようにねっ
ラブコメはするより見るのが好き…て、思ってたんだけどなぁ

卯月ー愛称:うーちゃん・バカうさぎ
練度:ぴょんぴょん 主兵装:超10cm高角砲★MAX 好感度:★7
「司令官?そんなの大好きに決まってるぴょんっ」
ぴょんぴょんする提督LIKE勢。毎日ぴょんぴょんと、あちこちで悪戯しては怒られる毎日
主な対象は瑞鳳、「だって、からかうとおもしろいだもん」なんのかんので構ってくれる瑞鳳が好き
ラブコメというより、騒がしい妹

文月ー愛称:ふみ、ふーみん
練度:ほんわか 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★8
「しれいかん?えへへー…なーいしょっ♪」
ふんわりとした提督LOVE勢。空気を読んでいたつもりが空気に飲まれたここ最近
司令官を見てドキドキするのは、きっと姉や妹の影響だ、きっとそう
そうなってくると、いつものスキンシップでさえ気恥ずかしい上に
弥生お姉ちゃんが変な道に突き進んでいるのを止めたりと、最近は忙しい

長月ー愛称:なつき、なっつん、なっつ
練度:頼りになる 主兵装:5連装酸素魚雷 好感度:★8
「司令官…いや、まあ…いいだろ別にっ」
おでこの広い提督LOVE勢。司令官に ちゅーしてこの方
自分の感情を見ない振りも出来なくなり、最近は割りと素直に好意を見せてくれたりもする
自分の感情に振り回されるくらいにはラブコメ初心者。あと、シスコン(菊月)

菊月ー愛称:菊ちゃん・お菊さん
練度:威張れるものじゃない 主兵装:12・7cm連装砲B型改2★MAX 好感度:★7
「司令官か?好きだが?」
箱入り提督LIKE勢。おもに長月に過保護にされてるせいでラブコメ関連はさっぱり
しかし、偶に見せる仕草はヘタなラブコメより攻撃力は高い。やっぱり如月の妹である
大艦巨砲主義者、主兵装は夕張に駄々を捏ねて作らせた。それとシスコン(長月)

三日月ー愛称:みつき・みっきー
練度:負けず嫌い 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「し、しれいかん…そ、その…好きですっ!」
おませな提督LOVE勢。どこで仕入れたのか変な知識は一杯持ってる
そして、変な妄想も結構してる。すぐ赤くなる、可愛い
提督と望月に、からかわれ続けたせいで、たくましくなってきたここ最近
ラブコメモードは基本に忠実

望月ー愛称:もっちー、もっち
練度:適当 主兵装:12・7cm連装砲(後期型  好感度:★MAX
「司令官?あー、好きだよ、好き好き」
適当な提督LOVE勢。とか言いつつ、好感度は振り切ってる
だいたい司令官と一緒に居られれば満足だし、司令官になんかあれば不言実行したりもする
ラブコメには耐性があるが、やるとなれば結構大胆

球磨ー愛称:ヒグマ
練度:強靭・無敵・最強 主兵装:46cm…20.3cm(3号 好感度:★MAX
「提督?愚問だクマ」
突き抜けてる提督LOVE勢。気分は子グマの後ろに控えている母グマ
鎮守府と提督になんか有ろうものなら、のっそりと顔を出してくる、こわい
積極的にラブコメをすることもないが、昔は提督と唇を奪い合った事もある
大艦巨砲主義者。最近、私製46cm単装砲の命中率があがった、やったクマ

多摩ー愛称:たまちゃん・たまにゃん
練度:丸くなる 主兵装:15・2cm連装砲 好感度:★6
「提督?別にどーとも思わないにゃ?」
気分は同居ネコ。とか言いつつ、なんのかんの助けてくれる、要は気分次第
絡まれれば相手もするし、面倒くさそうにもするし、要は気分次第
特に嫌ってるわけでもないし、いっしょに昼寝もしたりする、要は気分次第
ラブコメ?何メルヘンなこと言ってるにゃ

北上ー愛称:北上様・北上さん
練度:Fat付き 主兵装:Fat付き酸素魚雷 好感度:★7
「提督?愛してるよん、なんちって」
奥手な提督LOVE勢。気分は幼なじみだろうか
このままゆるゆると、こんな関係が続くならそれで良いかなって思ってる
最近の趣味はFat付きをばら撒いて海域を制圧すること

大井ー愛称:大井さん・大井っち
練度:北上さん 主兵装:北上…53cm艦首(酸素)魚雷 好感度:★8
「提督?愛してますよ?」
分かりにくい提督LOVE勢。そうは思っていても口にはしない、絶対調子に乗るから
足と両手が埋まったなら、胸…艦首に付ければいいじゃない、おっぱいミサイルとか言わない

木曾ー愛称:きっそー、木曾さん
練度:悪くない 主兵装:甲標的 好感度:★7
「提督?まあ、アリなんじゃないか?」
カッコイイ提督LOVE勢。提督に赤くさせられたり、提督を赤くしたりと、まっとうなラブコメ組
そういうのも悪くはないが、本人はまだまだ強くなりたい模様
インファイター思考だけど、甲標的を使わせたほうが強いジレンマ

金剛ー愛称:こう・こうちゃん・こんご
練度:Burning Love 主兵装:Burning…46cm3連装砲 好感度:★9
「提督?もちろん、好きですっ、大好きですっ、愛してますっ、Burning Loveデスっ」
分かりやすい提督LOVE勢。提督の為ならたとえ火の中水の中
クリスマス以降、ちょくちょく愛情表現されるようにはなったけど
自分の許容量の低さに、毎回パンクしそうになっている
球磨曰く「使いもんにならなくなるから、やめるクマ」

瑞鳳ー愛称:ずいほー・づほ姉ちゃん
練度:卵焼き 主兵装:99艦爆(江草 好感度:★6
「だれがお姉ちゃんよっ」
気分は数ヶ月早生まれな幼なじみ。ラブコメルートもあった気がしたけど、何処行ったかな
卯月にからかわれて、追っかけまわすのが日課
だからって、別に卯月を嫌ってるわけでもなく実際はその逆である

夕張ー愛称:ゆうばりん
練度:メロン 主兵装:軽巡に扱えるものなら何でも 好感度:★6
「ゆうばりんって…気に入ったのそれ?」
気分は一個上のお姉さん。卯月や菊月の駄々に付き合ったり
球磨や提督の無茶振りで、アレな兵装を作ったりと、信頼と安心の夕張さんである
特に決まった装備は無く、戦況次第でなんでも持ち出すびっくり箱、安心と実績の夕張さんである

大鳳ー愛称:大鳳さん
練度:いい風 主兵装:流星改 好感度:★9
「提督、愛してるわ」
素直な提督LOVE勢。金剛見たいにテンションを上げるでもなく、息を吐くように好意を伝えてくる方
ラブコメに悪戯にと我慢強い方だが、許容量を超えると…
その落ち着いた物腰からは、艦隊の保護者っぽくなっているが、内心は見た目通り歳相応だったりもする

U-511ー愛称;ゆー、ゆーちゃん
練度:ですって 主兵装:WG42 好感度:★5
「はい、Admiralの為にがんばりますって」
助けてもらったご恩返しに今日も頑張る ゆーちゃんです
主兵装は球磨の悪戯 「まさか本気にするとは思わなかったクマ」別に反省はしていない
最近は、弥生に色々と教えてもらって賢くなってきた、不安しかない
今日も順調に鎮守府に馴染んできています

ーそれでは、本編をはじめましょうー


↑前「提督と改2」

↑後「瑞鳳?と提督?」



提督と海外艦(伊


ー執務室ー


睦月「提督っ!ネコ飼っても良いよねっ!」


いきなり執務室に飛び込んで来た睦月

続く言葉は事後承諾を求めるようなものだった


提督「は?ダメに決まってるだろ…」

睦月「そこをなんとかっ!」


優雅に紅茶を嗜んでいた提督が、ゆっくりとカップから口を離すと

睦月の進言を ばっさりと切り捨てた


基本的に、艦娘達の私物については余程でない限りは何も言われない

それこそ、部屋中に銃火器や刀剣の類が飾られていようが

ベッドの下に本やオモチャを隠してようが、それが良識の範囲で手に入れたものであるのなら

だが一つ、例外を上げるとするならば

「後に責任が残るようなもの」であった

具体的に言うならば、今しがた睦月が言った猫と犬とかのペットの類

明日は我が身なお仕事だ、どうしたってそういうこともあるだろうから


金剛「しかし、また唐突ですね…どうして?」


提督の隣で二人のやり取りを眺めていた金剛が口を挟む

睦月だってペットはダメだと分かっているはずでしょう?と


睦月「えっとねっ、門の側で倒れてて…」


それで、こっそり拾って面倒見てたら情が湧いたと

とまあ、良くある話ではあった


金剛「ふむ…提督?」


言外に「猫の一匹くらい良いじゃない?」と視線で訴える金剛

それは確かに、猫の一匹くらい皆で面倒みるからーとか、ただの野良猫だしっ

とか何とか適当に理由付けて押し通す事も出来なくはないが…

だからといって…


提督「はぁ…じゃあ、じゃんけんな」


面倒くさそうにしながらも、拳を握って「勝負だ睦月っ」と、アピールする提督


睦月「ふはははっ、睦月にじゃんけんを挑むとはっ!」


「負けたからって、もう一回はナシだからねっ!」

と、差し出された提督の拳に自分のそれを コツンと小さくぶつける


睦月「それじゃ、か…」

提督「じゃんけんぽんっ」


構えた睦月が、いつもの様に

「かんむすじゃんけん、じゃんけん…」と、決まり文句を口にしようとした隙に

割りこむように、遮るように、グーと拳を突き出した


睦月「え、あ…」

提督「はい。むっつーの負け」


完全な不意打ちに、状況が飲み込めず きょとんとしている睦月


金剛「oh…」


これには金剛さんも苦笑い

紅茶のカップを片手に、やれやれと首を振っている


睦月「あ、あーっ!?ずるいっ!今のはずるいよ提督っ、もっかいもっかいっ!」


一歩遅れて、再起動を果たした睦月が当然の様に食って掛かる

あんな不意打ちで負け扱いにされたのでは納得なんていくはずがない


提督「もっかいは無しなんだろ?」


それはじゃんけんの前に睦月が口にした言葉で

それを、これでトドメだと言わんばかりに ニヤついた表情で送り返す提督


睦月「むぅぅぅっ。いーじーわーるーっ、提督の意地悪っ!」


いーじゃんっ、ネコくらい飼ってよーかってかってかってかってっ!


金剛「流石に大人気なくないですか?」


ついには駄々を捏ね始めた睦月を横目に

空になった提督のティーカップにお茶を注ぐ金剛

真っ当にやったのなら兎にも角

あんな騙し討ちでは あんまりじゃない?と、提督を窘めてはみるものの


提督「何時から私が大人だと思っていた?」


小さく礼を言って、金剛からカップを受取る提督

悔しがっている睦月の姿に、ニヤつく頬を隠すようにカップに口を付けた


金剛「そうね…そうだったね…」


そう言われては仕方がない

思い返すのは提督との思い出の数々…

残念ながらラブロマンスよりも、からかわれた記憶のほうが多いのは確かだ

これでは走馬灯なんて見れたものじゃない、未練が多すぎてヴァルハラに旅立ってる暇なんて無さそうだ


金剛「ほんと、しょうがない人」


愚痴でもこぼすかのような、小さな小さなその言葉


提督「ん、なにか言った?」

金剛「Nothing…」


提督の瞳に映るのは、優雅にカップを傾ける金剛の姿


金剛「…ふふっ」


その裏で小さく微笑む金剛

それでも好きだと思っている辺り、自分も大概しょうがない娘だろう

ただ、しょうがない者同士で丁度いいかもしれない、と

そう考えれば、それもなかなか悪くは無いね




如月「ねぇ、司令官…ネコ、飼っても良いかしら?」

提督「今度は如月か…」


「これで勝った思うなよーっ」なんて捨て台詞の余韻が掻き消えて少しの後

選手交代とばかりに、今度は如月が睦月と同じようなことを言い出した


如月「やっぱり、ダメ?かしら…」

提督「そりゃな…。けどまぁ…鳴かぬならって言うじゃない?」


すぅっと細くなる提督の瞳。そこに灯る微かな期待

私を鳴かすために君は何をしてくれるんだい?と、暗に伝えていた


如月「ふーん…それじゃあ、にらめっこでもしましょうか?」

提督「笑うと負けよ?」

如月「あと、目をつぶったり顔を逸らすのもダメよ?」


そう言って、柔らかく微笑みながら提督に身を寄せる如月

肩に手を置き、首に手を回し、そしてそっと…




三日月「…」


仕事の手は完全に止まっていた

見ちゃいけないと、見ない振りをしようとしても

どうしたって視線が吸い込まれてしまう

あの後どうするつもりなんだろう?

にらめっこ、なんては言っていたけれど…

あんなに顔を近づけて…あんなの…そんなの、だって…

するのかな、やっぱり…


望月「なに羨ましそうにしてんだよ」

三日月「してないっ!」


その声に勢い良く振り向くと

ソファに寝っ転がっていた望月が、意地の悪い笑みを浮かべていた


皐月「でも三日月…顔、真っ赤だよ?」


提督の机で書類を纏めていた皐月が、ひょいっと顔を上げると

どこまで想像していたのか、予想がつくほどに真っ赤になった妹の顔があった


三日月「ぁぅ…だってぇぇ…」

皐月「ふふっ…まあ、分かるけどさぁ」


抱えていた書類の中に顔を埋める三日月

その様子に小さく笑みをこぼしながらも、提督たちの方へ視線を移す皐月


皐月「何やってんだが…」


随分と官能的なにらめっこをしているその横で

チラチラと様子を伺っている金剛さんの方が、気になる皐月だった





如月「へ…」


ふわりと触れた感触は、胸を跳ねさせるには十分なものだった

触れ合った所を指で抑えながら、慌てて寄せていた顔を離そうとするも

直ぐに提督に抱き寄せられて、触れ合いそうな程近くに顔を寄せられる


如月「し、しれいかん…貴方、いま…」

提督「ん?違った?」

如月「ちがうとかじゃなくて…これ、その、にらめっこ、よね?」

提督「にらめっこで しちゃいけないという事も無いだろう?」

如月「そう、だけど…」


そうだけども…。完全に予定が狂っていた

ちょーっと顔を近づけて、恥ずかしがった提督が少しでも顔を背けてくれたら

それで私の勝ち。少なくとも如月の中ではそのプランだった

まさかほんとにされるなんて…嬉しいけども…

けども、そこまでの心の準備はしていない…こんなんじゃ私、私…


提督「嫌だった?」

如月「嫌とかは、ないけど…だって…」


恥ずかしさのあまりに、如月の顔が横に向きそうになる

ほんとなら、ここでジャーッジッと、勝利判定を入れても構わないのだけど

せっかくなのでもう少し…


提督「きさら…」

如月「っ!?」


如月の体がピクッと震える

無防備になっていたその耳元に、投下された「あいらーびゅー」の類の言葉

たったそれだけの事に、首筋までみるみると朱に染まり


「もう良いわよ…私の負けで…」


それだけ言うと、火照った顔を両手で隠し

きゃーっと執務室を後にする如月だった


提督「よしっ、勝ったっ」


結局あんなものはチキンレースだ

先に相手の許容量を突破した方の勝ちなのだ

ヘタに不意を打たれるくらいなら、自分からしてしまった方が手っ取り早いのだ


提督「ふぅ…」


胸の高鳴りを抑えるように、そっと息を吐く提督

相変わらず、良くやるとは思うけど

自分からしてくる割に あれで意外と防御力がない


皐月「で、司令官は何と戦ってるんだい?」


机の上からジトーと、呆れ顔で提督をみている皐月


提督「ん?皐月もする?」

皐月「いいよ、ボクは。だいたい仕事中なの忘れてない?」

提督「忘れてない」

皐月「だったら良いけどさ」


いつものことかと、仕事に戻る皐月

真っ赤になってる三日月が、しばらく使い物にならなさそうなので、さっさと進めなければ


望月「別にネコの一匹や二匹くらい良いんじゃねーの?」

提督「そうだけどさぁ…ま、あれだ」


そう、結局の所そうなのだ


提督「人の頼みを素直に聞いたら負けかなって」

望月「…子供か」

提督「なはははは。かもね」


端的な望月の結論には笑うしかなかった

これで諦めるなら それも良い。けども、そうじゃないのなら

次はどんな手段で私を籠絡しに来るのかが楽しみではあるし

それがダメだった時に、捏ねられる駄々も口惜しそうな表情も

想像するだけでも胸が踊る


そう、結局の所そうなのだ

好きな娘に悪戯がしたいだけ…

結論はそこに収束し「子供か」と言われればそのとおりだった


金剛「ずるいっ」

提督「は?」


突然声を上げる金剛

同時に、押し倒しそうな勢いで提督に詰め寄る


金剛「提督っ、金剛にもっ私にもして下さいっ!」


私だって、金剛だって、して欲しいのを我慢してるのにっ

あんな風に見せつけられては、もう知ったことではない

常識なぞ、Poi to the trashだ


金剛「さぁさぁさぁっ!」


余った勢いに乗って、さらに提督に擦り寄る金剛さん


提督「ちょっと、こう…ちかいちかい…てか、あたってるって」

金剛「もーんだーいナッシーング!」


だって当ててるんだもの、とても良い言葉ダネっ

はしたない、なんてのは引きこもりの言い訳ヨっ

イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばないのデスっ


金剛「きゃはーっ♪」

提督「あーもう…」


こりゃダメだな…と、諦めて押し倒される提督

ここまでネジが外れてしまったら、締め直すのも面倒だ


金剛「てーいーとーくー♪んー…」


自分で提督を押し倒し、さらに唇まで奪おうと顔をよせる金剛さん


コンコンコン…


そんな中、響いたのは扉を叩く音

それは、此処が執務室だと思い出させるには十分な音だった


大鳳「提督…ちょっと良い、かし…ら?」


その音に続いて扉が開く

だが、その扉は開ききることはなく、その場で固まってしまった


提督「ん、大鳳?どうした?」


金剛に押し倒されながらも、顔だけを動かして扉の方を見る提督


大鳳「あー…おほんっ。それはこっちのセリフよ?」


扉の隙間から、するりと体を滑り込ませ、後ろ手に扉を閉める大鳳さん


提督「いつものことでしょ?」

大鳳「だとしても…時間と場所くらい…」


珍しく、金剛さんが攻勢に回ってはいるが

きっとまた、提督が悪戯か何かやり過ぎたのだろう

うん、あれはきっと自棄っぱちだ


金剛「真っ昼間の執務室っ。一体何の問題デスカっ!」


ガバッと顔を上げて、大鳳に抗議する金剛さん

いやだがしかしそれは…


大鳳「問題しか無いじゃない…」


どうしてイケると思ったのか問いただしたいくらいだ


大鳳「良いから、今は離れなさいな…お客様が…」

金剛「イヤだねっ。提督にちゅーして貰うまで金剛は動かないよっ」

大鳳「あぁ…もぅ…」


頭の痛い大鳳さんだった

もういっそ、ちゅーっとさせてしまったほうが早い気もしてくるくらいには



ー執務室前ー


「イヤだねっ。提督にちゅーして貰うまで金剛は動かないよっ」


少し待っててと、大鳳に言われて少し

扉の向こうから聞こえてきたのはそんな言葉だった


ローマ「はぁ…大丈夫なのかしら、この娘達…」


正直不安しか無い

肩を落とし、小難しい顔に寄った眉間を解すように、ずれたメガネを持ち上げるのは

イタリアからの使者、V.Veneto級 4番艦のローマだった

正直な所、こんな所で油を売ってる暇など無い…

いっそこのまま部屋に突入しようかと考えなくもないが


にゃぁ…


ローマ「ん?」


不意に聞こえた鳴き声…

まさか、さっきの艦娘じゃないだろうし、素直に考えればネコの声だけど


不意に足元に掛かるふわりとした感触

そこに視線を落とすと、案の定というべきか、ネコであった

白くて茶色で黒くて、日本のネコを形にしたようなネコだった


ローマ「此処の子、かしら?」


足元に擦り寄っているその子をそっと抱き上げる

それを当然の様に受け入れると、ローマの腕の中で満足そうに丸くなる


ローマ「ふふっ。可愛いわね…」


そんな様子に微笑むと、眉間に寄っていたシワが少しずつ和らいでいく


如月「あ、いたいた…って、あら?」

睦月「もうっ。勝手にいなくなったら…にゃし?」

ローマ「あら…えーっと…」


パタパタと廊下の向こうから聞けてくる足音

顔を上げてみれば、鉢合わせるように3人ともに目があった


如月「お客様かしら?」


しかし困った、この辺りで見ない娘な上に

どうにも、日本の艦娘という感じもしないし


睦月「如月ちゃん、どうしよう…英語で良いのかにゃ?」


対応に困った睦月が、こそこそと如月に耳打ちを始める


如月「そうね。試しにやってみたらどうかしら?」


多分ダメだと思うけど…面白そうなので、そのままGoサインをだしてみた

そんな妹の悪戯など露知らず、「まっかせてっ」なんて頷くと


睦月「は、はろー…」


手を振って、たどたどしい発音でコミュニケーションを開始する睦月


ローマ「…」


まあ、言いたいことはある

最初に言わなきゃいけないのは、日本語喋れます、だろう

次に言うなら、私イタリア艦なのだけど…

とはいえ、頑張ってコミュニケーションを取ろうとしてくれる気概は汲むべきかもしれない


ローマ「…Buon giorno」


ローマの口から出たのはイタリア語だった

睦月に合わせて、英語を口にするでもなくイタリア語だった

というか、あのたどたどしい発音じゃ、ガチに英語を喋った所で期待は出来そうにない

だからこれは、自分の出自を説明する意味合いと、ちょっとした意地悪だった


睦月「…」


目を点にして、小首を傾げる睦月

ぶ、ぶおん、なんぞや??あ、ああ、たしか、英語じゃない奴だ、それくらい睦月にだって分かる


如月「イタリア語ね…」


そんな睦月に、こっそり耳打ちする如月

しかし、ドイツの次はイタリアか…艦娘業も随分と国際化が進んだものだ

けども、先任のドイツ艦の事を考えればこの娘も多分…


睦月「ごめんなさいっ!イタリア語はさっぱりなのっ!」


大げさに頭を下げてみせる睦月

だからといって英語もさっぱりなのだけど


ローマ「はぁ…こんにちはって言ったのよ…」


と、ここでローマも種明かし

当たり前のように日本語を話してみせる


睦月「おおっ。いける口かっ!」

如月「あははは…。ごめんなさいね、イタリア語は馴染みが薄くて…」

ローマ「良いけど…」


英語もだいぶ怪しそうだったけど


ローマ「それで、この子は貴女達の?」


気持ちよさそうに抱きかかえられているネコに視線を落とすローマ


睦月「その予定っ」

ローマ「予定って…」

如月「提督が素直じゃなくて…」

ローマ「ふーん…」


なるほど。たしか、鎮守府はペット禁止だったはず

拾ったは良いけど扱いに困ってるってことね…


ローマ「ぁ、ちょっと、くすぐったいわ」


もぞもぞと、ローマの腕の中で動くネコ

ふわふわとした毛やらヒゲやらがこそばゆい


睦月「いいなぁ…睦月には懐いてくれないんだよ…」


そんな様子を、羨ましそうに見つめる睦月


ローマ「そう、なの?こらって…もぅ…」


調子に乗ったのか、今度はほっぺに顔を擦り付けたり

ペロペロと舐めだすネコ、誰がどうみたってすっかり懐いていた


如月「ふふ。えっーと、それで…司令官に御用?」

ローマ「ええ…その筈だったのだけれど…」


その問いに答えるように扉に目をやると

ローマの眉間に再びしわが寄る


「あ、わかりました。大鳳っヤキモチですねっ!」

「誰がヤキモチなもんですかっ」


そうして、扉の向こうから聞こえてきたのはそんなやり取りだった


如月「あははは…」


恥ずかしい…。人に見せられたものではないが

見られてしまってはしょうがない、恥ずかしい…


ローマ「何時もなのこれ?」

睦月「で、あるな」


呆れをふんだん含んだローマの問いに、鷹揚に頷く睦月だった



ー執務室ー



大鳳「誰がヤキモチなもんですかっ」

金剛「おやおやぁ?違うんですかぁ?」


「違うんなら良いですよねぇ?」と、からかうように大鳳を下から覗き込む金剛さん


金剛「さぁっ、提督っ!」

大鳳「だからやめなさいってっ」


そして再び提督に迫る金剛、しかしそれは大鳳の手で止められる


金剛「もうっ!なんで邪魔するのっ!こうなたら、大鳳っ!」


「勝負よっ!」と、宣言してピシっと指先を突きつける金剛さん


大鳳「…はぁ」


疲れたように息を吐く大鳳

そうね、そうよね…事ここまで来たら、とっとと片付けたほうが早いわよね

なんて、いい加減お冠だったりもする


大鳳「良いわよ…」

金剛「OK!勝ったほうが提督にキスをするっ、understand?」

大鳳「はいはい…」


別に私がしたいわけじゃないのだけれど…

でもまあ…うん、せっかくだ…

さっさと片付けて、そうしてそうしましょうか…


三日月「ふ、二人共落ち着いて…」

望月「にひひひっ。聞こえてねーなありゃ…」


バチバチと火花を散らして睨み合う金剛さん と 大鳳さん

そんな様子に、オロオロする三日月と愉しそうに眺めている望月


皐月「はぁ…三日月、アレに混ざるかい?」

三日月「へ?」


不意の姉の問いに、きょとんとする三日月だったが

すぐに「アレ」の意味を理解すると「ないないない!」と

体中をパタパタさせて、全力で遠慮しはじめる


皐月「そう?勝ったら ちゅー出来るらしいよ?」


赤くなっている三日月に微笑み掛ける皐月


三日月「もうっ、からかわないでよっ」

皐月「あはっ、ごめんごめん。で、望月は?」

望月「あたし?後でしてもらうから良いよー…」


なんだ、こっちにも聞くのかと

意外そうな顔をするものの、適当に言葉を返す望月


三日月「あとでって…」


返答自体は適当だったが、内容は適切だったろうか?

後で、後で何をしてもらうというのか、いや、そりゃあれなんだろうけど

そう考えれば考えるほどに、赤面していく三日月だった


望月「にひひひ」


また、妙な想像にでも行き着いたのか

もじもじし始める姉の様子に満足そうにニヤつく望月


皐月「さて…となると…」


この事態はどうしたものか

可愛い妹が そう言うのなら、もう少し見ないふりもしたんけど…

さすがにこの痴話げんかもそろそろお開きかな


皐月「金剛さん、大鳳さん?」


二人の名を呼ぶ皐月

一応はと、最後通告のつもりではあった


「後にしてっ」


あったんだけど、二人から返ってきたのは仲良く拒否と来たもんだ

そっかそっか、そういう態度にでるのなら…


皐月「そか…。じゃあボク、怒るけど良いよね?」


答えを聞く気はなく、そのまま…



ー廊下ー



突然、扉が揺れ、その隙間から桜色の光が溢れ出した


ローマ「な、なに…」

如月「あらあら…」


その欠片が、ひとひらひらひらゆらゆらと、ネコの所へと流れていき

「にゃ」と、ローマに抱かれたまま、釣られて手を伸ばしてみるが

その手が触れた途端、粉雪のように呆気無く消えてしまう


睦月「およ、ざーんねん」


伸ばした手のやり場探すように空中を引っ掻くネコ

そんな子を、わしゃわしゃと撫で回す睦月

なるほど、撫でる側はこういう気持ちなのかと、感慨にふけったりもする


如月「さて終わったみたいね。いきましょうか」

ローマ「不安しか無いのだけれど…」


光が収束し、扉の揺れが収まった頃

何でもないように、扉を開ける如月の後に続くローマだった



ー執務室ー



如月「皐月、終わったかしら?」

皐月「ん?ああ、うん…ごめん、お客さんだったっけ」


ひょっこりと扉から顔を出す如月に

今片付いたよと視線を返す皐月


大鳳「なんで私まで…」

金剛「大鳳が頑固だから…」

大鳳「私のせいにしないでよっ」

金剛「だってそうでしょっ」


と、思ったらまた騒ぎ出す二人


皐月「なに?まだ騒ぐの?」


そんな彼女たちに皐月が視線を突き刺せば


「ごめんなさい」と、肩を落として小さくなるお姉さま方だった


ローマ「あのっ!」


そんな様子に、このままじゃ日が暮れると強引に割って入るローマ


ローマ「もう、そのままで良いから…話し、聞いてくれないかしら?」

皐月「あ、うん。ごめんなさい…どうぞ…」





ローマ「と、言うわけなんだけど…」


簡潔かつ丁寧に状況を説明するローマ。だったのだけれど…


もう何でも良かった

たとえ部屋の隅で、主力艦と思しき娘達が セイザをさせられていようが

たとえ提督と思しき人物が、茶髪の眼鏡っ娘を膝の上に抱きかかえていようが

話を進められるという点においては些細な事だった


提督「つまり…遭難した娘を探しに行ったら、そいつも遭難したと…」

ローマ「恥ずかしい話だけれど…そう、ね」


一言で言ってしまえばそういう事だ


提督「ふーん…いま、そうなんですって思ったやつ挙手」


下らない、下らないといえばそうだが、誰もが一度は考えるはず


ローマ「…」

望月「いや、流石にそんなやつ…」


いるわけねーだろと、言いたい所ではあったけど


睦月「すごいっなんでわかったのっ」

三日月「いちゃった…」


しかも姉だった


提督「睦月のことならなんでも知ってるのよ、提督は…」

睦月「さすが提督っ!」

如月「はいはい、二人共口を閉じましょうね…」


はしゃぎだしそうな二人をたしなめる如月

本当なら大鳳さんの仕事のような気もするけど…

そっと横目で見た彼女は絶賛反省中だった…


皐月「それで「どうせ暇してんでしょっ」って、事か…」


その間に、手元の書類に目を通し終わった皐月が ぽつりと呟く


提督「便利に使ってくれるな…」

望月「ま、実際 暇だけどな…」


少なくとも、主力艦が部屋の隅で正座している余裕はある


提督「ん…」


不意に入る違和感、雑音の様なノイズ

それに小耳を傾けてみれば、ゆーからの通信だった



ー小島ー


そこら辺に浮かんでいる小さな島

ちょっとした岩場と砂浜だけで出来たような その場所に

一人、ゆーが佇んでいた


ゆー「それで…」


もはや日課になっている鎮守府周辺のクルージング

見かけたイ級をナイナイすることはあるけれど、概ね今日も平和な海だった

こうして、見慣れないものを見つけるまでは


ゆー「やりますか?」


肩越しに、後ろで大人しくさせている二人を見やる


リオ「まぁこわい」


なんかぽよぽよした娘が、両手を胸の前で合わせてニコニコしている

たしか…リットリオとか言ってたっけ…イタリアのどーとかこーとか…


ザラ「怖い、じゃないでしょっ!」


あと、なんかふわふわした娘が騒いでる

こっちはザラとか言ったかな…イタリアのあーとかそーとか…

まあ、いいです。不審者には変わりませんから…


ザラ「ちょっと待ってっ、聞こえてるっ、そこの提督さんっ、ザラ達怪しい者じゃないからっ!ねぇっ!」


本当にうるさい…


ゆー「黙って。Admiralの声が聞こえません…」


半身だけ振り返ると、じとっと睨みつける

足元にはWG42が設置され

その上では妖精さんが、バームクーヘンを頬張りながら発射スイッチを見せびらかしていた


ザラ「うっ」


ゆー「はい、すみません…いま、静かにしてもらいました…え、格好?」


何でそんな事を聞くんだろう…

でも、Admiralに聞かれたのならと、今一度振り返る

なんというか…そう…


ゆー「えーっと…紅白です…おめでたいね?」


そう、赤と白で随分とおめでたい格好だ、それに何かとっても


ゆー「あとは…はれんちです」


リオ「あら、ザラったらハレンチなんですって」

ザラ「リットリオに言われたくないわよっ!」


少なくとも、肩丸出しのミニスカートなリットリオに比べれば

タイツの分だけ貞淑ではある…かもしれない



ー執務室ー


提督「ふーん…紅白でハレンチな…」


随分とざっくりとはしているが…

で、どうなのと?問いかけるように、視線をローマに移す提督


ローマ「あ、うん。多分それだわ…」


合ってるらしい…

実際、ローマだって紅白だし…ハレンチかどうかは人によるか


提督「ゆー…それじゃあね…」



ー小島ー


ゆー「はい、はい…分かりましたって、けど…」


今でこそ気づかれてはいないものの

遠くには敵艦隊の陰が見えている…

一人で帰るのなら うさぎさんなんだけど…


中破程度とは言え、損傷している娘を引き連れて行くには

潜水艦には少々手が余る…そう、じゃあ、そうだ…


ゆー「10…ううん、5分下さい。片付けますって…」


球磨が言ってました。邪魔なら退かせばいいと、簡単ですって


ゆー「…むっ。ゆー、一人でできるもん…」


心外です。確かにまだまだ練度は低いかも知れないけど

あの程度の艦隊追っ払うくらい…


ゆー「はい…それは、はい…jawohl、了解ですって…では…ふぅ」


仕方ない。確かにそう言われてしまえば その通り

「敵は討たねば…」Admiralがそういうなら仕方ない

それは確かに、ゆー一人でやるには少々厳しいか…


ゆー「えーっと、ザラ?…それにリットリオ?」


静かに振り返る ゆー


リオ「はーい」

ザラ「な、なによ…」


何か御用でしょうか?と、微笑むリットリオに対して

何を言われるのか…と、萎縮するザラ


ゆー「はい…。ここで亀みたいに大人しくしてて下さい、迎えが来るみたいです…」

リオ「良かったわね、ザラ。お迎えがくるんですって」

ザラ「良かったじゃないわよ…」


ザラ一人連絡が切れたくらいで、ホイホイ飛び出してきて…

挙句、敵艦隊に追われてこれだ…良いはずがない…

たまたま この娘が通りかかったから良いものの…いや、よかったのかな

未だにロケット砲がこっち向いてるのだけれど、そろそろ引っ込めてくれないのかな…

身の潔白は証明出来てるはずなんだけど…


リオ「あ、私にもバームクーヘンいただけます?はい、ありがとうございます…」

ザラ「…」


なんか仲良くなってるし…もぅやだ…

会話にならない、話を聞いてもらえないことがこんなに辛いなんて…

早く来て、言葉が通じる人なら誰でも良いから…



ー母港ー


提督「いってらっしゃーい…っと」


という訳で、救出及び殲滅用の艦隊を見送った後


長月「で…その、これは何だ?」


抱きまくらよろしく、提督の腕の中に収まっていた長月から抗議の声が上がる


提督「猫だね…」

長月「そうだな…」


長月の頭の上には、三毛猫が一匹乗っかっていた

睦月達が出かけてる間くらい良いでしょっと、半ば強引に押し付けられたネコだった


提督「…」

長月「…」


それを、こうして長月の頭に乗せてみると…

これはこれでアリな気もしてくる


提督「うん、可愛い…」


満足そうに頷く提督だった


長月「人の頭に勝手に…」

提督「にゃがつきだっ。みたいな?」


今度、猫耳でも用意してみようか


長月「言わないからな…」


ニャーニャー言うのは多摩と睦月で十分だ

ていうか、重いし、動きづらい…


提督「…」

長月「ん?司令官?」


どうしたものかと思っていると

不意に、頭から重みがなくなり、ネコが一匹 足元にすたっと降りてくる


長月「お、おぃ…」


かと思えば今度は提督から、ぎゅぅっと抱きしめられた


提督「いや…ネコにくれてやるには惜しいなと…」

長月「自分で乗せて置いてなにを…」

提督「そんな、邪魔だなんて…提督かなしい…」

長月「そうは言ってないだろう…」


そんなはず無いし…むしろネコよりはこっちのほうが…


提督「にゃふん…体は正直なのね?」

長月「変な言い方してるんじゃないよっ!」

提督「なははははは」


抗議のつもりで小突いてみるが、からから笑うばかりなり


長月「まったく…まったくもぅ…」


嬉しさと気恥ずかしさに、顔を背けて口を尖らせる長月

そんな彼女の足元では、ネコが丸くなって暇そうにあくびをこぼしていた



ー工廠ー


夕張「主砲に、主砲に、主砲に、副砲と、水偵か…なかなか豪華ね」


作業台の上にずらっと並んだ、イタリア製の艤装の数々

イタリアって聞くと、なんか不安なイメージが付きまとっていたけれど

こうしてみれば、中々どうして優秀なものだった

しかし…この妖精さん達、なんで皆して何か食べてるんだろう…

ちょっとお腹すいてきた…お昼は洋食が良いかもしれない…


菊月「なぁ夕張。私、これがいい…」


妖精さんたちを食い入る様に眺めていた菊月

別にお腹が空いたとか言い出すでもなく

期待の篭った眼差しが、装備品と夕張の間を右往左往していた


夕張「いや、これって…」


381mm/50 三連装砲

とてもじゃないが、とてもじゃない


夕張「無理でしょ…」


乗るわけがないし、乗るはずがない


菊月「えー…」


ご不満そうだった


いくらこれをいじり倒して、重量削ってっても限界がありすぎる

じゃあ船体をっても、沈まないようにバルジ張って、バルジ張ってって

重くなったからって、機関増設して増設して…もう戦艦でいいじゃんてなるじゃん


夕張「そんな顔してもだーめ。駆逐艦用になんて作らないんだから、こんなの…」


そうして、めっと菊月のおでこを軽く小突く夕張さん


菊月「…?」


おでこを小突かれ、その勢いで首が傾く

文句の一つでも言われるかとおもいきや、傾いた首のままに疑問符が浮かべていた


菊月「なぁ、夕張?」


それは些細な違和感で、もしかしたら屁理屈や言葉遊びの類かもしれないが…


夕張「なぁに?」

菊月「作れはするのか?」

夕張「…」


まずった、と思う

「駆逐艦用になんて作らないんだから」

それは先の自分の言葉…作れない、じゃなくて、作らない

そんな言い方をすれば、今の菊月のような疑問を持たれても仕方がない

何より実際の所…だとしても、ちょっとまって欲しい


流石にそれは駆逐艦の仕事じゃないだろう…


菊月「夕張?」

夕張「菊月…」


ゆぅっくりと、伸びる夕張の両の手

それが優しく菊月の頬を包み込むと…


夕張「世の中には知らなくても良い事があるの…ね?」


菊月に視線を合わせ、まっすぐに目を合わす

そして、暗にそれ以上は追求するなと念を押しておく


菊月「…そうか」

夕張「そうよ」


良かった、素直な娘で本当に

場合によっては口封じも視野に入っていたけれど


北上「へ~い菊月。駆逐艦なら魚雷を使いなよって」


水雷屋としてなら真っ当な意見だが

「たーのーしーいーぞー」なんて、付け加えられた日には

ただバラ撒きたいだけにしか聞こえなくなる


菊月「魚雷は…だって、あれ…当たらないし…」


ぷぅっと頬を膨らませる菊月


思い出すのは演習の成績で、下から数えたほうが早い

なんて言い方をすればマシにも聞こえるが、卯月と最下位争いをしてるのが現状だった

下手をすれば提督のほうが上手いくらい


そう、いくら火力があるからって当たらなければ意味は無いのだ

いっそ、ホーミング魚雷とか、多弾頭魚雷とか、クラスター魚雷とかあれば捗るのに


大井「そりゃ、あんたの使い方が悪いんでしょうよっ」


すっと、伸びてきた大井の指先が こっつんと菊月のおでこを弾く


菊月「った…。なにを…」

大井「罰ゲームよ、罰ゲーム…」


題目はそう…いままで外した魚雷の数だけデコピンする、とか?


そんな言い訳を前に、更に2度3度とぺしぺしと弾かれる菊月のおでこ


菊月「いた、いた、いたっ」


弾かれる度、赤べこのように揺れる菊月の頭

正直、ちょっと楽しくなってきているのを自覚する大井さんだった


北上「ほどほどにしてやんなよー大井っち」

大井「ええ、わかってますわ北上さん♪」


浮かれるようなその声音に「だめだこりゃ」と、首をふる北上様だった





北上「おや…こいつは…」


北上様の目についたのは一つの装備品


夕張「ああ、それ?使ってみる?」


名をプリエーゼ水中防御壁…

理屈の上なら、速力を落とさずに防御力をあげられる優れものだが


北上「しかしこいつぁ…」


こんこんこんっと、ノックでもする様に叩いてみれば

頭の先からつま先まで、音が乱反射していくのが良く分かる…


北上「大丈夫なんかね?」


魚雷で叩けばエグいことになりそうな気もしないでもない


夕張「んー…兵装なんてピンキリだからねぇ…」


根っこから間違ってない限りは時と場ってやつだろう

防御は欲しいが、速力は下げたくないとか…


妖精「だいじょうぶ、こんどはきっと、だいじょうぶ…」

妖精「いいとこだけをえらびました…」

妖精「わるいとこはみないふり…」


白衣姿の妖精さんが胸を張ってはいるものの


夕張「きっとって…」


不安しか無い上に、悪いとこ直してないんかーい


妖精「あたらなければよいのですっ」


その発言に「それなっ!」と、周りの妖精が一斉に反応する


夕張「水中防御の必要性は…」


ともすれば、存在意義を根底から覆しそうなそ発言だった


北上「ん、よしっ。じゃあ、試してみようかっ!」


よっこらせっと、魚雷を振りかざす北上様

振り下ろす先はもちろん…





菊月「こっちくるなぁー。このっ、魚雷お化けっ!」

大井「ぎょ…だれがっ」


魚雷を振り回している大井に追われて、菊月が工廠から飛び出してくる


菊月「魚雷に酸素回す前に、頭に酸素まわしたらどうなんだっ!」

大井「あはははは…」


菊月の罵詈雑言に、乾いた笑みを浮かべたいのも束の間

それが、すっと鳴りを潜めると


大井「面白い冗談じゃない…舌引っこ抜かれる覚悟はあるのかしらぁぁぁぁ」


丑の刻参りに来た鬼女の如き表情でもって、割とマジで追いかけていった




装備品の確認にと工廠へ向かっていた提督と長月

その前を駆け抜けていく菊月と大井さん

仲が良いのは良いことだ


提督「あはははははは」

長月「…はぁ…」


頭の上で司令官が大爆笑している…。まあ、それはいい…それよりも…

あんな罵倒どこで覚えたんだ…いや、心当たりはそう多くはないが…


どっかーん


提督「んあ?」

長月「な、何だっ」


控えめ、とは言っても爆発は爆発だ

伝わってきた衝撃と風に煽られ二人の髪が揺れる


何事かと顔を上げてみれば、もくもくと工廠の隙間から煙が立ち昇っていた


長月「…あぁ、もぅ…」


へたんっと、その場に座り込む長月


「にゃぁ」


そんな彼女の頬に触れる柔らかい感触


長月「ん…ありがとう…」


ネコにまで慰められてしまってはしょうが無い

残った気力を動員して立ち上がる長月


提督「行くか…」

長月「ああ…」


行きたくはないが放置もできん

二人一緒に溜息をついて工廠に向かっていった


「ごめんよ…演習用ならいけると思ったんよ…」

「けほけほ…爆発オチなんて、さいていよ…」


一応、プリエーゼ自体は割と無事でした



ー海上ー


リベ「Ciao!駆逐艦、リベッチオです。リベでいいよ。今日はよろしくねっ」


はーいっと、元気よく手を振ってご挨拶

健康的に焼けた小麦色の肌と、風に揺れる茶色のツインテールが

その快活さに拍車をかけていた


如月「リベッチオ?イタリア語よね…」


どんな意味だったかしらと、小首を傾げてはみるものの

分からないものは分からない


リベ「ん、リベの名前?南西の風って意味だよっ」


それに気付いたリベッチオが、これまた元気に答えてくる


睦月「風…風といえば…」


島風だの、天津風だのと、駆逐艦の名前は何処も似たようなものなのか…

なんてことはどうだっていいっ、そんなことよりもっ


文月「メキシコに吹く…」


文月と睦月。二人して背中合わせに並んだ後…


睦月「サ◯タナっ!」


ビシっと、リベに向かって指を突きつけた


リベ「リベだよっ。それに南西だよっ、なに一つあってないよっ!」

文月「やりたかっただけだよっ!」

リベ「そうかっ!」

睦月「そうさっ!」


「いぇーい」と、3人でハイタッチ

すっかり意気投合していた


ローマ「…貴女達って…」


心情的にずり落ちそうになったメガネにそっと手で触れるローマ

大丈夫、ずれてはいない


如月「あら、リベちゃんはすっかり馴染んでるわよ?」

ローマ「そう…そうね…」


なんかもう頭痛い…



球磨「さてと…ローマ、とか言ったクマ?」

ローマ「ええ…」


眉間に皺を寄せたまま、球磨へと振り向くローマ


球磨「やれるな?」

ローマ「当然よ…」


その端的な問いに頷いて答える

試すようなその言葉に、引っ掛かりは覚えるけども

この手の輩には、言葉より態度で示したほうが早いだろうと溜飲を下げる


球磨「なら、主砲準備だクマ」

ローマ「今から?」


分かってて言ってはいるのだろう

ちょうど観測機からの情報も来たところだし


球磨「届くんだろう?そいつは?」

ローマ「わかったわよ…」


また人を挑発するみたいに…良いけど…


ローマ「言っとくけど…」


こんな所から撃ったって…

「構わんクマ」

続く言葉は、その一言に塗りつぶされる


球磨「一発でも多く当たればそれでいいクマ」

ローマ「…貴女、バカなんでしょ?」


少なくとも、戦艦の主砲はそんな乱雑に撃ちまくっていいものじゃない


球磨「クマクマクマクマ♪ローマ、一つ言っておく…」




「意外と優秀な球磨ちゃんって、良く言われるクマ」


ローマ「嘘でしょ、絶対…」


敵陣に突っ込んでいく球磨達の背中に思わず呟くローマ

あんな「クマクマクマ」いってる軽巡(不思議生物)がそんな…


如月「そうね、冗談の類なのは認めるわ」


訝しげにしているローマに頷いて見せる如月

だって、優秀というにはちょっと違うと思うから


如月「どっちかていうと…凶暴よね…」

リベ「きょーぼー?」


独り言のような呟きに首を傾げるリベ


如月「うふふ。とっても可愛いって意味よ?」

リベ「そっかっ。じゃあ、如月もきょーぼーだねっ」

如月「…」


ちょっとからかうつもりが、ちょっと後悔した如月だった


「ごめんなさい、今のナシで」

「えー…」



ー小島・周辺ー


卯月「ずいほー…まだ見つからないのー?うーちゃんそろそろ飽きてきたぴょーん」


ゆーの情報を頼りに、捜索に出ていた卯月達ご一行

それも今や昔の話で、そろそろ暇を持て余した卯月が悪戯の一つでも始めそうだった


瑞鳳「あんたねぇ…」


いつもの事とはいえ

作戦中に良くもそこまで気を抜いてられるものだと、ある意味では感心できる


木曾「暇なら周り見てろよ…」


なんかあってからじゃ遅いんだってのに


卯月「周りって…海しか見えないぴょん…」


右も左も前も後ろも…


弥生「卯月…足元…」


ちょんと、卯月の肩を突く弥生


卯月「ぴょん?」


潜水艦でも居たのかと、言われるままに卯月が視線を落としてみれば


弥生「美少女発見」

卯月「いやん、照れるぴょん…」


水面に映るのは桜色の髪の美少女…というか、自分自身なんだけど


木曾「…」


頭いてぇ…

突っ込むべきなのか、怒るべきなのか、放っとくべきなのか

様々思いが渦を巻いた結果として、木曾の口を縫い付けていた


百面相をしている木曾

そんな彼女の言いたいことは、まあ分かる

だってそれは、私もそう思っているところだろうから


瑞鳳「あれ、自分も含まれてると思う?」


あれ、とは「美少女発見」のそれであり


木曾「たぶんな…」


こっそりと、自分もアピールしてくる度胸は感心するが…


瑞鳳「よね、やっぱり?…っと、見つけた」


彩雲から覗いてみれば、手を振っている ゆーの姿が良く良く見えた


木曾「無事そうか?」

瑞鳳「…たぶん」


生きている。という意味では、ぜんぜんクリアしている条件なんだけど

あれ、なんであの娘だけ あんなぐったりしてるんだろ…


木曾「?…まあいい。卯月、弥生、遊んでないでいくぞっ」


「はーい」と、返事だけは元気よく返った来たのだった



ー小島ー


木曾「…」


島についてみれば、なんとも言えない光景が広がっていた

方や、妖精さんと仲良く お菓子を頬張っている。かと思えば…

方や、疲れた顔してヘコタレている

そうして、そんな二人を睥睨している ゆー

ほんとになんだこれ…


卯月「しれいかんっしれいかんっ!ハレンチなの見つけたぴょんっ!」


と思えば、提督に向かって良くも分からん報告を始める卯月がいたり


リオ「また、言われてしまいましたね」


あらあら、なんて言って気にも止めないリットリオ

もしかしたら、ハレンチって意味が分かってないだけけも知れないけれど


卯月「え…んー…」


ちらっと、リットリオに視線を向けたかと思えば

さらっと、瑞鳳に見てみたりして


卯月「…5倍はあるぴょん…」


なにが?と言いたくなるような、その一言


瑞鳳「何で私をみた?」


がしっと、卯月の肩を捕まえる瑞鳳


卯月「後にするぴょん、いま司令官とー」

瑞鳳「ちょっとっ提督!あんた今何をっ」


瑞鳳が通信に割り込み、掴んだ卯月の肩をガタガタと揺さぶり始める


リオ「うふふ。いつもこうなの?…そう」


そんな様子を微笑ましく眺めながら、傍らの妖精さんに話掛ける

返ってきたの小さな首肯


リオ「それはまた、地中海的な…」


良くも悪くも、ね




木曾「えっと…お前は、平気なのか?」

ザラ「…」


隅っこで ぐったりしていたザラに、恐る恐る声を掛けてみる木曾さん


ザラ「…」

木曾「お、おい…」


顔を上げたその相貌は…涙目だった


ザラ「うわぁぁぁぁん」

木曾「落ち着けって…」


おまけに泣きつかれた


ザラ「だって、だってぇぇぇ…」


深海棲艦に襲われるわ

リットリオは ぽやぽやしてるわ

潜水艦には睨まれるわ

もう散々だったんだもん、粘り強くたって限度はあるんだもん


そして、ようやく まともに話せる娘を見つけたのだ

もう、泣くなってのが無理な話だ


木曾「ったく…ゆーのやつ…」


脅かしすぎだろ…


ザラ「聞いてよっ!あの娘ったら、ほらっあの潜水艦のっ!」

木曾「分かった、わかったから落ち着けって…艤装もなおさねーと」

ザラ「そんなのは後で良いのっ!」

木曾「…」


「よかねーだろ」と、言いたい所だが

こりゃ、話し終わるまで何もさせてくれそうにないな…

そうしてしばらく、YESマン…YESウーマンをさせられる木曾さんだった




弥生「あれ…ゆー?どこへ行くの?」


姿が見えないと思えば

波間に足をつけ、今にも潜航を始めそうだった


ゆー「ん、やーぼよう、ですって」


肩越しに振り返ったゆーが、何でも無さそうに答える


弥生「一緒にいく?」

ゆー「へーき。潜ってくから…」

弥生「そう…夕飯までには帰ってね?」

ゆー「はい…」


行ってきますと軽く手を振ると、そのまま消えるように潜っていく

向かった先は恐らく…球磨さん達の所か…


弥生「ふむ…」


どうにも、作戦行動中のゆーは頑張りすぎる、かな

彼女が潜っていった後を見つめながら、なんとなくそんなことを考える


「ずいほっ、やめっ、うーちゃん、もぅ…きもちわる…」

「ぼいんぼいん」

「やめんかっ」


弥生「…」


少しは見習ってもいいと思…


「あの娘ったら、ザラの話全然聞いてくれなくてねっ」

「あー…なるほど、そうだな、悪いのはお前じゃないな…」


弥生「…」


思ったけども…いや、どうだろう

そのままの君でいてってのは、ある意味至言なのかも?



ー海上ー


睦月「おっとと」


突然に上がった水柱

外れたとは言え大口径主砲ともなると、その衝撃は結構なものだった


文月「きゃーあたっちゃうー」


そんな中を きゃいきゃい言いながら

水柱の間を縫うように、駆け抜けていく


これが敵からの攻撃ならまだ良かったのだけど

なにぶん味方からの、もっと言えばローマさんの主砲だったりする

彼女が下手っぴか、と言われれば そういうわけでもなく

単に、文月達が突っ込みすぎてるだけなのと

主砲の散布界がヤタラメッタラに広いだけである


それでも球磨が、構わずに撃ちまくれとか言うもんだから

戦艦の主砲が降り注ぐ中、敵も味方も大混乱という様相を呈していた


ローマ「…」


内心気が気ではない

381mm/50 三連装砲、ローマに搭載されたその主砲は

射程はあるが、距離が開けば開くほどブレが大きくなるのが欠点だった

そもそもこんな、狙撃手みたいな使い方をするようなものじゃないし…

いっそ、自分も突っ込んだほうが良いんじゃないかと思いもする


リベ「き、如月…リベ達も突っ込んだほうが良いのかな」

如月「行きたいの?」

リベ「いやぁ…」


良いとか悪いとかは置いといて、怖いとか怖くないとかも置いといて

戦艦の主砲が降り注ぐ中での乱戦なんて

誰がいきたいものかとは思う、けども放っておいて良いのかどうかとも


ローマ「ちょっと、あんた達。私達も…」

如月「だーめでーす」


いい加減痺れを切らしたローマが

戦場に踏み込もうとするも、それを如月に制される


ローマ「なんでよ…」


このままじゃ埒が明かないんだけど


如月「髪が傷んじゃうから」


さっと手で広げて見せれば

海風に煽られて、彼女の長い髪が綺麗に流れていく


ローマ「…」

如月「…」


あ、すっごい顔してローマさんが睨んでるわね

しかしだってしょうがないのだ、艦娘は強いだけじゃ成り立たないのだ

司令官の気を引くのだって楽じゃないのだ

なんて、冗談は聞いてくれそうにないわね


如月「貴女を無傷で返せって球磨さんに言われてるのよ」


頼りないかもしれないけれど、意地でも付き合ってもらうわね?


ローマに微笑み掛ける如月


ローマ「アイツ…バカにしてるのかしら」


戦艦が敵と殴りあわないでどうするってのよ…


如月「と言うよりは…」


球磨の方へ視線を向ける


リベ「わわっ、クマーがんばれー」


響いてきたリベの声援

それは、ヒーローショーの子供のようなそれであった


如月「…邪魔するなって感じかしら?」

ローマ「…Fighting mad…戦闘狂か…」


まるで怪獣映画ね

と、後にローマはそう回想することになる

そういうのが好きな国だとは聞いていたけれど、戦場で見ることになるとは





「クマァァァァァっ!」

「ヴェアァァァァッ!」


交わされる絶叫、飛び散る汗と水しぶき

続々と着弾する砲弾が水柱を上げる中

お互いがお互いに手の届く距離で殴りあっていた


「クマァァァァァっ!」

「ヴェアァァァァッ!」


方や鎮守府のヒグマで、もう片方は

蛇を纏った女、白い肌と頭には不揃いな2本の角


「クマァァァァァっ!」

「ヴェアァァァァッ!」


呼称は、何だったかな…重巡の…まぁ良いクマ

沈めれば何だって同じだクマ、そしてそれをするのはクマだクマ


重姫「イマイマシイ…イマイマシィィィ…ソノヒカリダ、ソノヒカリハ…」


眩しかった、目を開けているのが辛いほどに

その桜色の輝きは、この海上に置いては太陽の光よりも尚輝かしい

それは私が、本当は私も…そんな考えが脳裏を過るが

それを掴む前に泡沫のごとく消えてしまう


それが余計に腹立たしい

分からない、思い出せない事が神経を逆なでして余計に苛立たせる


重姫「シズメェェェェェっ!!」


苛立ちは絶叫へと変換されて、憎悪は暴力を伴って放たれる


白い蛇のような艤装が、大口を開けて球磨に突っ込んでくる

それを殴り返すように、腕に括りつけた15・5cm砲の砲身を叩き込む


衝撃で砲塔が歪み、砲身なんかは折れたり曲がったりと

しかしそんな事は関係なく、そのまま発射…


重姫「ヴェアァァァァッ!」

球磨「クマァァァァァっ!」


上がる絶叫は、爆音にかき消される

その衝撃に、たたらを踏んだ二人の間に少しの間が出来た


球磨の主砲が動く。不安定な体勢のままに、肩の20,3cm砲を構わず撃ちこむ

1発…2発、砲弾が重巡棲姫の白い肌を掠める

切り裂かれた肌からは、赤黒い光が血の様に滲み出し

壊れた艤装の奥は、生物的な外見とは裏腹に黒々とした機械的なものが見えている


重姫「ナゼダ…」

球磨「クマ?」

重姫「ナゼワタシハモッテイナイ…ナゼオマエハモッテイル…ソレハ、ホントウハ、ワタシノ、ワタシガ…」


重巡棲姫の口から漏れる呪詛のようなその呟き


球磨「くだらん…そんなものは…」


それを口にする前に、球磨の周囲にローマの主砲が着弾する


球磨「ちっ…ほんとに当てる気か、アイツは…」


「ちょっと貴女っ、射線開けなさい…軽巡がどうやったってそんなの」


通信機からは、ややヒステリックなローマの声が聞こえてくる


球磨「はっ…だったら球磨ごと撃てばいい。当てられるならな」


結果として女神を消費しようが、それは戦争のための致し方ない犠牲だクマ

コラテラルなんちゃらだクマ


次の瞬間


球磨「っと!」


球磨の頬を砲弾が掠めていく

あと少しズレてたらと思うと中々恐ろしい


球磨「てめぇぇぇっ!当たったらどうする気だクマァァ!」


「あんた言ってること無茶苦茶じゃないのっ!」


それは御尤もな御意見だった


「ヴェアァァァァッ!」


とはいえ、球磨を掠めた砲弾はしっかり重巡棲姫に当っていた

どこか、とばっちりを受けたように見えなくもない


球磨「ったく、後で説教だクマ…」


だが今は、いい加減とどめを刺すか


直撃を受けたせいで動きの止まった重巡棲姫に

ゆっくりと距離を詰めていくクマ

あと一撃、ゼロ距離で20・3cm砲でもぶち込めばそれで終わりだクマ


重姫「フヒッ…」

球磨「ん?」


あと一歩、そんな距離でニヤリと重巡棲姫が笑みを溢す

それは随分と気色の悪い笑い方で


「クマッ、あしもとあしもとっ!!」


不意にリベから通信が入る


球磨「ああ、そういう…」


ソナーに意識を向けてみれば、伝わってくるその感触

潜水艦にしては小さすぎるか…なら、甲標的か

ああ、そうだ。この感覚はよく知っている、木曾がよく使っているな

で、あるなら…


球磨「舐めんなクマァァァァっ!」

重姫「ナッ!?」


発射される魚雷、同時に踏み込む球磨

伸ばした腕が、重巡棲姫の角を引っ掴むと

そのまま海面へ引きずり倒した




文月「お姉ちゃんっ、酸素魚雷を使うよっ!」

睦月「うむ、よいぞっ!」


背中を合わせる姉と妹

そうしてみれば、360度 敵の姿がよく見える

後は声を合わせて、せーの!でドーンッ!


斉射される酸素魚雷、そしておまけに主砲も持っていけと発砲すれば

彼女たちを中心にして、水柱が1つ2つと立ち上り、ある種の噴水を作り出す


睦月「ふぅ、作戦完了のお知らせなのですっ!」

文月「うんっ、いい感じぃ」


「やったー」と、ハイタッチを交わす二人


だったのだが、突然の爆発に身を竦める


睦月「にゃ、にゃしぃ…」

文月「あのあたりって…球磨さん?」


結構な爆発だった

いまだ水煙で奥がどうなっているのか見通せない


もしかすると、もしかするのか?

棲姫級だったし、指輪使っててもやっぱりキツかったのだろうか?

時間が過ぎるほどに、そんな嫌な予感が鎌首をもたげてくる


球磨「だぁぁぁぁっ!」


絶叫に吹き飛ばされる様に水煙が晴れる

その中からは、割と元気そうな球磨の姿


球磨「にーがーしーたーくぅぅぅぅまぁぁぁぁ!」


追いかけて背後から一突きしたいが、予想以上に足回りがやられていた

踏んづけて盾に使ってやったつもりだが、そうそう上手くはいかないものらしい

オマケに噛みつかれたな…まったく、往生際の悪い…

いっそ46cm砲で狙い撃つか…いや、この足じゃ支えきれんか…

よしんば撃てたとしても、当たるか?

ローマは…いい加減射程外か…いや、あの散布界じゃどの道…となると


文月「ほっ、よかったよかった」

睦月「もぅ、あんまり心配させないで欲しいしー」


球磨が敵を沈める算段をしている中

ほっと、胸を撫で下ろす二人


球磨「あん?人の心配してる暇あったら自分の心配するクマ」


てめーらケガしてねーな?

と、球磨が問いかければ「おうさっ」「もっちろん」と、元気な返事が返ってくる


文月「それより球磨さん…あいつ、やっちゃっていい?」


すぅっと細まる文月の瞳

その先には、ボロボロの重巡棲姫の背中


球磨「ま…放っとくクマ。どの道あの損傷じゃ」

睦月「でもそういうのって、後で元気になって戻ってくるしぃ…」


お約束、フラグとはそ言うものだし


文月「良いの?いま討たなきゃ、次に討たれるのは…」


静かに主砲を棲姫の背中に向けて見せる


球磨「ふむ…じゃーこうするクマ」





重姫「ハァ…ハァ…」


蛇に引きずられるように海上を移動する重巡棲姫

あの艦娘に引きずり倒された挙句、足蹴にされて、自分の魚雷とご対面

そのお陰で逃げる隙が出来たようなものだが、そのお陰でこの様でもある


そうこのザマだ

無理に動かした体はそろそろ限界に達しつつある


シズム…


そんな予感が脳裏をよぎる…それはとても嫌だなと


「ねえ…」


不安と焦燥、恐怖と絶望…そして諦め

そんなものに支配されかけた心に、ふいに響く鈴の音のような声


重姫「ッ!」

ゆー「怖い顔…」


いつのまにそこにいたのか

銀髪で白い肌の少女が、氷のような青い青い瞳で重巡棲姫を見下ろしていた


重姫「カン…ムス…」

ゆー「はい。潜水艦U-511ですって…」

重姫「センスイカン…センスイカンダト…」


バカな…ふざけるな…潜水艦だと、センスイカンガ


重姫「ノコノコトカオヲダシテェェ!」

ゆー「…」


ズドン


たった一発、それでおしまい

それだけで、苛立ちと絶望にまみれた叫びは、あっけもなく掻き消える

音もなく、容赦なく、海中から飛び出した榴弾が重巡棲姫を貫いていた


重姫「ァ…ぁぁぁぁ…」


体から力が抜けていく、止まらない止められない、もうこれで終わりなの?

頭を支える力もなくなり、ガクンと首が垂れる

ズブズブと足元から沈んでいく自分の体

海水の冷たさが、喪失感となって心を冷やしていく…


ゆー「球磨からの伝言…」


「お前には無くて、球磨には合った、それだけのことだクマ」


沈みゆく重巡棲姫に

冷たい視線を向けたまま淡々と口を動かす


重姫「ふっ…ふふっ、何よ…それ…」


そんなもので納得しろっていうの?

出来るわけがないじゃない、出来るわけがないのよ…

私だって本当は…


重姫「あははは…ほんと、アイツ、死ねばいいのに…」


最後の呪詛

それは、言葉の割には朗らかなものだった


沈みゆく彼女の姿が見えなくなり、最後の気泡が消える頃


ゆー「ばいばい…Bis bald…」


別れの言葉をかけると

鎮守府に向かって、進路を取るゆーだった



ー執務室ー


皐月「…ふぅ」


これで一段落っと

ペンを置き、書類を纏めて、ソファに体を沈める


そう言えば、皆は大丈夫だろうか

そろそろ言い時間だけど…


提督「なぁネコよ、今ならネコマタになって、退屈な毎日を送る権利をやるぞ?」


皐月の隣には膝の上にネコを乗っけた提督

何の影響だろうか、こうやってネコを乗せていると

マフィアのボスだとか、なんか秘密結社のボスみたいに思えてくる


「にゃっ…」


提督に撫でられるがままだったネコが、その手を尻尾で弾く


提督「はっ。ネコ舐めんなってか…」


不老不死に喜ぶのは人間くらいかねぇ…

それとも、気ままに生きて死ぬのは野良の矜持か…


皐月「司令官さぁ…家(鎮守府)をお化け屋敷にでもする気かい?」

提督「今更だろうそれは…」


艦娘だけならまだしも、妖精さんが普通に闊歩してるのだ

見た目が愛らしいのを除けば、十二分にお化け屋敷の部類だろう


皐月「そうかもだけどさ…」


いつもの他愛もないやり取り、中身の無い会話

そんな中、ふと思い出す


そう言えば、ボク…勝ったんだよね…


遡ること数時間前

「勝ったほうが提督にキスをするっ」なんて金剛さん達が騒ぎ出して


参加したというか、鎮圧しただけだけど、勝つには勝ってる筈だ

だったら、賞品くらいもらったって良いじゃん?

だいたい、いつもボクが書類仕事変わったげてるんだし…

少しくらい、ご褒美が合っても良い気がするし…


照れくさいだとか、気恥ずかしいのを

あーだこーだと理由をつけて、だからしょうが無いよね、仕方ないと誤魔化して

理論武装は完了した


皐月「ねぇ…司令官?」

提督「んー?」


ちゅゅ…


ネコに夢中になってた提督に

そうやって、そっと触れてみた


提督「…」

皐月「賞品…ボクが貰っても良かった、よね?」

提督「…いい、けど」

皐月「にひひひ…なぁに赤くなってるのさ?」

提督「…」


からかう様に覗きこんでる皐月

その頭を、わしゃわしゃと乱暴に撫で回して無理やり視線を外させる

正直、今はあんまり顔を見られたくなかった


皐月「ちょっ、もぅ…くすぐったいって」


こそばゆいのも相まって、知らず知らずに はにかむ皐月だった





リットリオ「どーもお世話になりました」


ぺこりと、丁寧に頭をさげるリットリオ


それから少しの後、艦隊は無事に任務完了となった

損害というほどの損害もなく

せいぜい球磨が中破したから、さっさと風呂に入ったくらいか


ザラ「…ザラは早く休みたい…」

ローマ「分かるわ…」


そんな風に苦労人二人が頷き合う中


リベ「まてまてー」


執務室内でネコと追いかけっこを始めるリベッチオ


ローマ「っと…もぅ、またこっちなの…」


2周3周と回っている内に、最終的にローマの腕の中に収まるネコ


リベ「良いなぁ…ほぅら、よしよーし」


撫でられる分には良かったのだろう

伸ばされたリベの手に、逆らうこと無く好きに撫でさせているネコ


ザラ「あら、可愛いじゃない」


少女に撫でられるネコの絵

そんな心温まる光景に、先程までの疲れが細やかに解けていく気がしてくる

触れられればもっと癒やされるのだろうか?


ザラ「よーし、良い子だねぇ…」


好奇心に勝てなくなり、そそっと手を伸ばす


ぺしっ


しかし弾かれた、猫パンチで弾かれた


ザラ「…」

リベ「あらら…」

ザラ「えーっと…」


試しにもう一度


ぱしっ


しかし弾かれる、同じように弾かれる


ザラ「なんでぇぇぇ…」


不満を視線に乗せてローマに訴えるザラ


ローマ「知らないわよ…」


自分にやたら懐いてくる理由もわからないのに


リオ「うふふ。可愛らしいネコですね」

提督「そうね…」


可愛いというか、好き嫌いの激しいネコだとは思うけど


睦月「ねぇ、ていとくー。やっぱりネコ飼っちゃダメ?」


提督の膝の上で

頭をワシャワシャと撫でられていた睦月が不満そうに声を上げる


リオ「おや?ここのネコちゃんじゃ?」

如月「ええ、こないだちょっとね…」

文月「家じゃネコ飼えないしねぇー」


提督の膝を枕代りにソファに転がる文月

その足は、つまんなそうにパタパタと揺れている


リオ「そうでしたか…」


ネコの方に視線を戻してみれば

ローマの上から退こうとしないネコと、撫でようと躍起になってるザラ

その光景に、ぴんっと閃くリットリオ


リオ「私にいい考えがあります」


両手をポンっと胸の前で合わせて、ニッコリと微笑むリットリオだった



ー大本営・執務室ー


大きな机に、小さい体を押し込めて、如何にも偉そうな格好をしている少女

一言で言えば、黒髪ロングのちんちくりん だが

勝ち気な瞳に宿る自信と、キラキラと常時戦意高揚してそうな存在感

こんなんでも、大日本帝国の大本営の大元帥だと納得出来そうではあった


みつよ「Zara’、Littorio’。無事の帰還何よりだわっ」


それはいい、そこはいい、とても喜ばしいところだが


みつよ「んで、そのネコは何よ?ペットショップにでも寄ったの?」


ザラとリットリオを拾って来いとは言ったが、まさかネコまで拾ってくるとは想定外だった


リオ「いえいえ。向こうの娘達が拾ったは良いが鎮守府では飼えないというので…」


ローマに懐いてるみたいだし、ザラ達も気に入ってるようだからと


みつよ「ふーん。それで?」


そのネコはどうするのよ?と、みつよ様


リオ「?」


が、意図は伝わらなかったようで、首を傾げているリットリオ


みつよ「はぁ…これから貴女達が籍を置く場所はどこかしら?」

リオ「鎮守府、でしょうねぇ」


海外のとは言え、艦娘であるのなら当然そうなる


みつよ「ええ、そうね。それで、鎮守府で猫は?」

リオ「飼えませんねぇ」


覚えていて何よりだ

そうなれば、もう一度問いただしましょ?


みつよ「それで?」


さっきと同じニュアンスで言葉を紡ぐみつよ様


リオ「…あら。あらあらあら…だめじゃない、ローマ」


悪戯をした子を叱るような声音で、ローマに視線を向けるリットリオだった


ローマ「あのね…私は言ったわよ…」


聞いては貰えなかったけど


みつよ「で、どうする気?」


じっと、ローマとその腕の中のネコを見据える みつよ様


ローマ「ちょっとまって…下さい…」


着任早々規則に背くのはどうかと思う、思うけども…

腕の中の温もりを手放すのは…何より、姉さんのせいとはいえ

連れて来ておいて、捨てるなんて…そんな無責任な


けれど、責任の話をするのなら

規則に背くのは無責任ではないのだろうか?


みつよ「なにかしら?言いたいことがあるならハッキリなさい?」

ローマ「ぅっ…」


睨まれている、訳ではないが…

規則に背く後ろめたさも手伝って、すっかり気圧されてしまっていた


リオ「でも、野良猫にエサあげてるくらい良いですよね?」

ローマ「へ?」


リットリオの言葉は、硬直していた空気を溶かすように柔らかいものだった


リオ「それで、たまたまネコちゃんが懐いちゃっても仕方ないですよね?」

みつよ「…」


みつよの視線がローマからリットリオへと移り

静かに交わること数秒の後


みつよ「ふふっ。野良猫じゃ仕方ないわねっ」


広い鎮守府だものネコの一匹入り込んだりもするだろう


ローマ「えっと…Grazie」

みつよ「やめなさい。野良猫なんでしょ、それ?」


お礼なんて言われたら、あなたの子飼いだと思っちゃうじゃない


ローマ「あ、うん…」


軽く頭を下げると、抱いていたネコを抱えなおすローマ

心なしか頬が染まり、見る人が見れば嬉しそうにしてるのが分かるだろう


リオ「うふふ。良かったわね、ローマ」

ローマ「なにを…だいたい姉さんが」

リオ「はいはい」

ローマ「もぅ…」


ニヤついている姉に、文句の一つも言ってやりたかったけど

お姉さまの方は、お小言なんてどこ吹く風だった


ザラ「良かったわねぇ、お前…」


もう何度目か、そそーっと手を伸ばすザラだったが


ぱしっ


やっぱり弾かれる、どうやったって弾かれる


リベ「ざんねんっ!」

ザラ「なーんーでーよーっ!」



ー〇〇鎮守府・食堂ー


睦月「えへへ~。たーまーちゃーん」

如月「あ、お菓子食べる?」

多摩「何なのにゃ…いったい…」


食堂の隅で、いつもの様に丸くなっていた多摩

しかし、いつもと違ったのは

何故か、睦月と如月がやたらと構ってくることだった


多摩「まったく、ネコじゃないというに…」


溜息をつきつつも、その後しばらく

睦月達にネコっ可愛がりをされ続ける多摩だった




ーおしまいー



こっから先はオマケだにゃ

本編にするにも入れるにも中途半端だったから

オマケにして隅っこに置いとくにゃ

本編よりアクが強いから苦手な人は注意するといいにゃ



EX: フェレンゲルシュターデン現象



ー食堂ー


ゆー「たま…何見てるの?」


食堂の片隅。目に入ったのは部屋の隅をぼーっと見つめている多摩の姿だった


多摩「ん?お子様には見えないモノにゃ…」


実際何か見えてるわけではなかった、ただぼーっとしてただけで

無理に理由を付けるなら、ちらっと視界の端に映ったカレンダー

その日付がそんな言葉を口にさせたのだろう


ゆー「むっ。ゆーにだって見えるもん…えっと、あれ、でしょう…??」

多摩「そうそう…あの赤いやつにゃ」


何をムキになっているのやら…


意地を張って多摩の見つめる方へと視線を合わせる ゆー

そんな彼女に、適当にそれっぽい事を伝えてみる


ゆー「そ、そうだねっ、しってます…はい」


え、赤なの?どれのことなの?


古い建物だ、壁紙だって張られてはいない

赤などと言われても目に付くのは木の色ばっかりで…

しかし、見えないとお子様だと言われてしまいます


ゆー「むぅ…」


しかし、どれだけ目を凝らせども赤いものなんて何一つ


菊月「ゆー?何を見てるんだ?」


そうしていると、先ほどのゆーと同じように

奇妙な光景に足を止めた菊月が、部屋の中へと入ってくる


ゆー「あれを、みてるの…」


部屋の隅を指差す ゆー

もしかしたら、菊月が答えてくれるかもしれないという、期待があったりもする


菊月「あれ?」


しかし、何のことだと首を傾げるばかりなり


ゆー「…きく はお子様だから分からないって」


やっぱりダメでした…


菊月「むっ。私にだって…あれ、だろう?」


お子様にはって…それなら私に見えないはずが…

しかし、なんだ…とりあえず、適当に話を合わせて…


菊月「その、緑の?」

ゆー「…へ、そ、そう…緑のですって…」


え、見えるの…というか、緑、なの?

え、合ってるのか緑で?


と、内心を表に出さないように、静かな攻防が繰り広げられる食堂内だった


卯月「ぴょん?二人して何してるぴょん?」


ネクストチャレンジャー…じゃないけれど

食堂に顔をだした卯月、目に入ったのは当然

部屋の隅を凝視する二人の姿


菊月「お子様には見えないモノを見てるんだ…まあ、卯月にはわからないだろうな」


そんな風に、あくまで、あくまでも、自分は見えてますアピールをする菊月


卯月「むっ、失敬なっ。うーちゃんにだって…その…あの…」


目を凝らして見る卯月、しかし部屋の隅意外に見えるものなんてあるはずもない

だがしかし、お子様だと言われて、黙ってられるほど うーちゃんは子供じゃない


卯月「き、きいろいやつだぴょんっ!」

菊月「…そ、そうだ、それだ…さすがだな、姉さんは」


黄色…だったのか…

え、黄色だったの

うそ、今度は黄色…なの


誤報が誤報を呼び、さらに錯綜していく子供には見えない何か


瑞鳳「…なにやってんの、あんたら?」


さらに犠牲者は増え続ける


卯月「はいっ、ずいほーはお子様だぴょんっ!」


いろいろショートカットした卯月のお子様宣言に、瑞鳳の眉根が寄った


瑞鳳「ちょっ、誰がお子様よっ


だいたい何の話を…


ゆー「づほ姉さんには、アレが見えますって?」


そっと、部屋の隅を指差すゆー


瑞鳳「アレって…」


いや、どれよ…


卯月「ぷふっ」


困惑する瑞鳳に、卯月の嘲笑が飛び込んでくる

それと同時に発動する瑞鳳の意地っ張り


瑞鳳「わ、わかってるわよ…あれでしょ、あの…青いのっ!」


え、青なの…とは、だいたいこの場の全員の疑問だった

例外は、傍観している多摩くらいか


そうしてしばらく無言で部屋の隅を凝視する4人


提督「なぁ、多摩にゃん…なんだこれ?」


不意に音もなく、提督が多摩の隣に現れる

それに驚くでもなく、とりあえずの状況を口にする多摩


多摩「ただの意地の張り合いだにゃ…」


しょうもないとは思うけど、どうオチが付くのかだけは気になるか


提督「ふーん…なるほど…」


赤、青、緑、黄色か…なんだろうな、つまりこうか


ぱっちんっ


提督が指を鳴らしてみる

その時から異変は始まりだした


多摩「…なにを?」

提督「本業だよ、本業…」


まあ、見てろ…と、多摩の肩を突っつく提督

その顔は、すごくすごく楽しそうだった



最初はただの染み、だったように思う

その場の全員が凝視し続け、ようやっと見つけた違和感

それは、誰もがそれであると期待し、安堵し、理解しようと、さらに視線を釘付けにする

確かに、それは赤であり、青であり、緑であり、黄色であった…

あるいは、紫であったり、金色であったりと、次第に光沢を帯び色味は一向に定まらない


なんだろう?


そんな疑問が空間を支配していた

だが、その間にも染みは滲み出し

凝視すればするほど、分からない程にゆっくりと広がりを続ける


誰かが瞬きをする。一瞬途切れる視界

そのお陰だろうか、暗転した先にようやっと染みが広がっているのに気づく

それから、数秒も立たない内に全員がその異変に気づいた


卯月「ぴょん…」

ゆー「ねぇ、あれ…」

菊月「広がって…」

瑞鳳「水漏れ…でしょう?」


常識が思考の邪魔をする

天井から滲みだすもの、日常的にそれは水漏れだと考えても良い

しかし、だがしかし、刻々と色味を変化させ続けているのは何故だろうか?

そんな疑問に不安が広がっている


シャボン玉みたいな、きっとそうだ、洗剤とかだってだってあんなふうに…


ぼこっ…


そして誰もが聞く…いや、聞きたくはなかった筈だ…染みが泡立つ音なんて

同時に、潤いを増して、湿り気を増やし、染みが膨らみ、広がって…


「ひっ」


最初に悲鳴を上げたのは誰であったろうか?

わからない…わからないけれど、その理由だけ分かってしまう

目が合った…ありえないはずだ、あってはならないはずだ

天井から滲み出した染みと目が合うなんて…


だが分かる、分かってしまう

自分が見られていることが、見つめられていることが、狙われていることが

否応にもなく理解してしまう

それは、戦いに身を置いているがゆえに事更に感じ取れてしまった


ぼこっ…


染みが泡立つ。さらに視線が増える

1回2回と、1つ2つと…

泡立ち、波打ち、鳴動して、脈動して、胎動を繰り返し…

気づけば、部屋を埋め尽くし…気づけば、周囲から見つめられ…



卯月「ぴゃぁっぅぅぅっぁぁぅあ!!!」

瑞鳳「ひゃっ!?う、うづきっ!?」

卯月「ずいほっ、ずいほぅぅぅぅっ!?」

瑞鳳「ちょっ、も、もぅっ、なんなのよぉぉぉぉぉっ!!!」


しがみついてくる卯月を抱え上げ

自分が泣きたいのを我慢して、全力で逃げ出す瑞鳳


ゆー「…ねぇ、きく…これは?」


何か良くわからないものが蠢いている、それは分かる

けど、逆に言えばそれしか分からないし…

そんな中で、何時も通りな多摩と…なにより…

お腹を抱えて笑っている、Admiralの事が気にかかる


菊月「すぅ…はぁ…だ、大丈夫、これは、多分…」


震えそうになる背筋を押さえつける菊月

大きく深呼吸をしてみれば、なんとか体の震えは止まり始めた

ああ、そうだ。分かる、この感じは、覚えがある…これはきっと


菊月「司令官…」


案の定だ、気づけば多摩の隣にそれはいた、笑っていた





提督「あははははははっ!」

多摩「ふふっ…趣味の悪い」

提督「言うなよ、昔はこれが生きがいだったんだ」


それに、多摩だって、ニヤけているじゃないか?

と、そのほっぺを突っつく提督


多摩「やめるにゃ…多摩はそこまでお子様じゃないにゃ…」


そうして、あくびを一つこぼす多摩

まあ、面白いものはみれたかにゃ?


そんなエイプリルフールの一日だった




「ちょっと卯月…いつまでしがみついてるのよ…」

「何言ってるぴょん…ずいほーが離してくれないだけ…」



ーおしまいー




とあるアニメの第3話



ー食堂ー


時刻は昼下がり

手の空いた娘達が何ともなしに食堂に集まり

テレビを見ながらダラダラしてたりと、そんな頃


菊月「なぁ、長月…」

長月「ん?」


そう難しい内容でもなかったと思うが

なにか気になることでもあったろうかと、意識をテレビから菊月の方へと傾ける


菊月「これは…ちゅーでも良いのだろうか?」


かちゃっと、茶器が擦れるような音と共に誰かが咳き込む

同時にほんの一瞬、食堂の空気が固まった気がした


長月「…おまえは、なにを…」


何を急に…

辛うじて吹き出すのだけは堪えたが、その質問の意図がわからない


菊月「いや、DNAが受け取れるなら何でも良いというしな…」


ちがったろうか?と、小首を傾げる菊月


長月「あぁ…まぁ、良いんじゃないか…」


そんなラブコメ見たいな話ではなかったが、理屈としてはそうなんだろう

いやでも…


テレビに視線を戻す長月

画面に映ってるのは、アメコミ・ヒーローな逆三角形の男と髪がもじゃもじゃの少年…

そんな構図誰が得するんだ…


菊月「そうか、やはり平気なのだな」


同意が得られたのが嬉しかったのか、満足気に頷く菊月


菊月「…あ、司令官…私にもっ、むっ、うっぅぅぅ」

長月「ちょっとまてぇぇぇっ!」


その時の長月の行動は早かった

司令官のいる方へ振り返ろうとする菊月の口を塞ぎ、首をこっちに向けさせる


長月「お前は何をっ!」

菊月「何をって…分けてもらおうかと…」

長月「いやいやいやっ」


そんな菊月の発言に、首を横に振りまくる長月


いくらアニメの真似をするのが好きな年頃だからと言って

その、あれだ、なんだ、やっていいことと悪いことがな…


しかしそれを菊月にどう説明したものかと思いはするが

突拍子もない状況に、思考は空転するばかりなり


如月「うふふ。お姉ちゃん、菊月にはそういうのまだ早いと思うなぁ?」


慌てる長月に変わり、如月が口を開いた


菊月「早い、のか?」


いやしかし、これ以上後になれば夕方になってしまう

それに…


菊月「皆、貰っているだろう?」

如月「…」

長月「…」


二人して口を噤む、そりゃだって貰ったことあるのだから


えーっと、どうしましょう?

そりゃ、司令官と ちゅーしたことはあるけれど…

いやでもだからって、皆してるからしてもいいと言う理由には…


如月「え、えーっと…」

長月「いや、それは、しかしだな…」


その時の事を思い出したのか

二人の頬がほんのりと色づき始める


菊月「それとも、私は食べたらダメなのだろうか?」

如月「たべっ!?」

長月「お、おい…ちょっと、まってくれ…」


食べるって何を…そうなの?どうなの?

そんなの知るわけ無いだろう、誰だこんなこと教えたやつはっ


菊月が一人、不満そうに目を細める中

慌てふためく姉二人、頭の中はお花畑が咲き乱れていた


弥生「はい、菊月の分」


そこへ、そっと弥生の手が伸び

菊月の前にシュークリームが置かれる


菊月「ん、ありがとう。私の分はないのかと心配したよ」


配られたシュークリームに、不満の色は消え

変わりにキラキラと輝き出す


「へ…」


その様子に言葉をなくす姉二人

シュークリームの出処に目を向けてみれば


「あーっ!それ、うーちゃんのっ」

「にゃししし。早いもんがちだもーん」

「お前ら…私の分なくなる…」


司令官が持ってきたシュークリームに、姉妹たちが群がっていた


ゆー「…ねぇ、やーよ」

弥生「なぁに?」


ちょんっと、軽く弥生の袖を引く ゆー


ゆー「どうして、二人は赤くなっているの?」


事情を知らない ゆーからすれば当然の疑問で

ともすれば、体調でも悪いのかと心配もしていたりする


弥生「んー…」


ゆーの顔を眺めた後、ちらっと長月と如月に視線をやる弥生


長月「おい、弥生…」

如月「…あんまり、ゆーちゃんに変なこと…」

弥生「大丈夫、まかせて…」


気が気でない二人を横目に、「えっとね」と ゆーに耳打ちをする弥生さん


かんかんこれこれ…


ゆー「ふーん…」


良く言えば呆れられている、だろうか

すぅっと細くなる ゆーの目。その奥に湛えられた青い瞳も相まって、いっそう冷たい印象を受けた


如月「あの、ね?ゆー、これは、ちがうのよ?」

長月「いや、まて、だいたい弥生に何を言われたのかは知らんが…」


などと供述しており…


ゆー「…えっち。しりません…」


しかし、あえなく断罪された


ふんっと、そっぽを向いた ゆーは、そのままとっとこ席に戻ってしまった


弥生「ああ、そうだ…はい、これ…」


如月と、長月の分と、残りのシュークリームを配る弥生

それは、平然と淡々といつものように、そして何事も無く去っていった


如月「ふっ…ふふふふ…」

長月「お、おい…姉さん?」


突然、肩を震わせて笑い声をこぼし始める如月


如月「そうね、そうよね…どうせ私なんて…」


すけべぇな駆逐艦よ、睦月型のエロ担当よ、ただの破廉恥艦なんだわ…


長月「いやいや、まてまて、落ち着け、誰もそこまで言っていないだろう…」


大破炎上中の姉を宥めようにも、こんな時何を言えばいいか分からんし


菊月「なんだ、二人共食べないなら私が…」


最後の一口を頬張り、指についたクリームをペロッと舐めとると

放置された姉二人のシュークリームに手を伸ばす菊月


長月「だーっ!だいたいお前が変なこと言うからっ!」


なんて、菊月に言った所でしょうが無いの分かっていた

菊月からすれば、おやつを分けて貰おうって話をしようとしただけなのだし

勝手に桃色の勘違いしたこちらが悪いのはその通りだ、紛らわしかったのは確かにあったにせよ

それでも、言わずにいられなかった…他に感情のやり場がなかったから


菊月「なぜ、怒られてるんだ…私は」


そんな姉たちの葛藤など露知らず

その理不尽に首を傾げる菊月だった




そんな大惨事の その横で


大鳳「ねぇ、金剛さん?」

金剛「聞かないでっ!」


真っ赤になった顔を、両手で隠して小さくなってる金剛さん

いつもの白い制服、その胸元には茶色の染みができてたりもする


「これは…ちゅーでも良いのだろうか?」


その時、運悪く紅茶を飲んでいた金剛さんは…以下略と相成った

机の上は同席していた大鳳が既に片付けを済ませはしたが

あられもない想像をした当人は、もうしばらくかかりそうであった


大鳳「まだ、何も言ってないのだけど…」

金剛「じゃあ言わないでっ!」


紅茶を吹き出した事でさえ恥ずかしいのに

あまつさえ、勘違いして変な想像してっ、これじゃ欲求不満みたいじゃないっ


いけませんいけませんいけません

私は、金剛は、まだまだ ぴゅあでいたいのデースっ


大鳳「…いいけど。紅茶、冷めるわよ?」


自分の分に口を付けながら、食堂を見渡してみる


あっちもこっちも大惨事だった


大鳳「菊月…恐ろしい娘…なんて、言えば良いのかしらね」



ーおしまいー



後書き

はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです

それではこの番組は

リベ「あ、そうだっ。この子名前決めないとねっ」
ザラ「それもそうね…それじゃあ、ネコだけにボローニャ(←イタリアの都市名)とか?」
ネコ「ふぅぅぅ…」
リベ「あ、怒ってる…」
ザラ「なんでよぉぉぉ…。そんな嫌うこと無いじゃないぃぃぃ」
リオ「じゃあ、イタリア…。ええ、イタリアにしましょう」
ローマ「姉さん…それ」
リオ「え?ヴァチカンとかヴェネチアとかのが良かったかしら?」
ローマ「…イタリアで良いわ」
リオ「これからよろしくね、イタリア」

イタリア「にゃぁ…」

ー諸々のメンバーでお送りしましたー


ー以下蛇足に付きー


♪教えて皐月ちゃんのコーナー♪

提督「そろそろこのサブタイトルが用を成さなくなってる今日このごろ」
皐月「多分最初からだと思うんだけど…」
提督「良いの思いついたらこっそり変えとこう」

皐月「と、言うわけで。イタリア艦のお話と小ネタ2つ、どうだったかな」
提督「書いてる途中でさ、あれ、これ…ポーラ来てからのが良くないって思ったの…
   けどね、気付いた時には8割方完成してたの…」
皐月「イタリア艦何時出そうかって話してたの結構前だったしね…」
提督「良いよもう、ポーラ来てから小ネタでも作るから」
皐月「ザラさんとローマさんの胃が心配」

提督「ちなみに、リットリオの名前はきっと改装されてもリットリオのままの予定
   単に私がこっちのほうが好きだからってだけだけど。縮めてリオって読んだら可愛いよね」
皐月「イタリアにしろーって人がいたら ごめんね」

提督「小ネタ2つは、本編で使いようがなかったからね」
皐月「2つ目は、投稿する直前に書き出してたよね…」
提督「だって、菊月が…」
皐月「そうだけどさ…」


♪皐月ちゃんラジオ♪ 

皐月「皆いつもコメントありがとう。早速コメント返ししていこっか」
提督「それじゃーねー…」



・皐月
・長月
・文月
・ビス子
・間宮さん
・はっちゃん
・棚から牡丹餅
・提督病
・簡単プロフ
・登場する娘について



提督「こんな感じだな…それじゃあ、上からGO」



・皐月

提督「皐月改2は可愛い」
皐月「ま、まあねっ。司令官の艦娘だもんね、そりゃ…かわいいよ?」
提督「ふふふふふ…」
皐月「ちょっ、なんで笑うのさっ」
提督「可愛いから」
皐月「うぅぅぅ…」

皐月「し、司令官だって、男冥利に尽きるってさ」
提督「そりゃもう。好きな娘が自分のために右往左往してる姿なんて、堪らんよなっ」
皐月「いや…司令官がそんなだから右往左往する事になったんだけど…」

・長月

皐月「長月の改2は何時になるかな」
提督「文月の方が先になりそうよな、なんとなく
   けど、あの柔らかそうな左手が見れなくなるのも惜しいな」
皐月「まーた変なこと言ってるよ…」

弥生「そこで気になるのは長月のそっち方面の知識の出処だよね?」
長月「ならんし、知らんと言ってるだろう…」
弥生「うそ…。だって何時も赤くなってるじゃない、ん?」
長月「あ、あれは…」
弥生「何も照れることはない、弥生だってそう言うのは好きだから」
長月「だから違うって…」
弥生「大本営出版…提督に好かれる10の秘訣…」
長月「…」
弥生「…」
長月「如月のだろう…」
弥生「うん、ベッドの下にあったの、長月の」
長月「…」
弥生「…」

弥生「このように、長月の好感度が8止まりなのは
   胸のドキドキの置き場所がよく分かってないからだよ、可愛いね」
長月「…いいじゃんか、べつに…」
弥生「うん、良いよ。じつに良い…」

・文月

文月「えー、本性ってなぁに?文はこんなに可愛いのに~」
菊月「いや、アレは怖かったぞ…」
文月「…」
菊月「…」

・ビス子

ビス「しょぉぉぉほぅぅぅぅっ」
祥鳳「はいはい…今日はどうしました?」

・間宮さん

提督「ごめんなさい、紛らわしかったかな。ゲストのつもりだったのだよ
   何で次は何時になるかっちょっと…磯風と比叡に苦労する間宮さんも見たくはあるけど」

・はっちゃん

提督「いえいえ、我儘って事はないですし。リクエスト貰えるのも嬉しいですが
   ただ、次の話を考える時に参考にはさせて頂きますが、確約まではできない旨をご了承下さい」
皐月「司令官、はっちゃんとあんまり話したこと無いから余計に時間掛かるかも」

・棚から牡丹餅

マックス「大丈夫。母国語なんて覚えたての外国人の方が詳しいものよ」

・提督病

提督「病気だったのか…」
金剛「恋の病デースっ!」
皐月「金剛さんは重病だよね」
金剛「え、それ皐月が言うの?」
皐月「ボクのは、ほら…」
提督「手遅れだしな」
皐月「そう、それっ…で、良いのかな」
金剛「もーんだーい、なっしんぐー」

提督「でもまあ、大した理由も無く好き好きしてりゃそうも言われるか」
夕張「それに、私達の場合はあれよ…」
瑞鳳「世話のやける…が、先に来ちゃうから」
夕張「うんうん」
提督「じゃあ、今度ラブコメしてみるか」
瑞鳳「出来るの?」
夕張「どうだか?」

・簡単プロフ

皐月「簡単なので良い言われてたのに…」
提督「最初に書いたのより長くなったな…文字数制限に掛からないか心配だったよ」
皐月「でも、喜んでもらえてよかったね」
提督「それはね」

・登場する娘について

皐月「ゆーちゃんと、金剛さんだけだとちょっと寂しいだって」
提督「分からなくもないんだよね…最初は、ごった煮状態にしようかとも思ったんだけどさ
   これ人が多くなると、出番とか何とか大変なことになるのに気付いたのだよ」
皐月「最低でも後二人…実装されるなら、だけど」
提督「今でも四苦八苦してるのにね
   というわけで、オマケとかゲストでたまーに出てくる感じに落ち着きそう」
皐月「でもさ…特殊艦はともかく、戦艦や潜水艦より、重巡のほうが出てきてないんだよ…このシリーズ」
提督「青葉が一コマ程度と、オイゲンちゃんたまにくらいっていう」



皐月「はい、それじゃあ、今回はここまでだよっ。ここまで読んでくれてありがとなっ」
提督「今回もたくさんの、閲覧、コメント、評価、お気に入り、応援と、誠にありがとうございます」

提督「そういえば最近「にゃしぃフォント」なるものを見つけました
   PCの文字が睦月が書いたっぽく変わります、丸っこい字で割りと読みやすいです」

提督「さて、それじゃあそろそろお開きだ」
皐月「うん、良かったらまた遊ぼうな」
提督「いい加減暑くなってきた、クーラーさんに仕事してもらおう
   とはいえ、冷過ぎて体調など崩されぬように、それではまた」


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SS好きの名無しさんから
2017-01-04 11:45:36

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2016-06-19 00:14:20

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2016-05-03 00:53:47

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このSSへのコメント

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1: SS好きの名無しさん 2016-05-03 01:58:13 ID: GoP_vonO

伊艦登場の巻、楽しく読ませてもらいました。

イタリア艦は持ってないのですが、可愛らしい娘が多そうですね(*^^*)

大鳳さんが叱られてるのは超新鮮。
しかも駆逐艦に正座させられてる…?い、イメージが(苦笑)
けどかわいいから良し(≧∇≦)b

そして菊月。
大井さんの逆鱗に触れる一言、お見事(笑)
小ネタといい、無自覚に周囲を振り回す彼女は確かに恐ろしい娘の異名が相応しい(^^;)

ここからはリクエストです。
北上さんloveな大井さんを「提督も愛してますから」とまで言わしめた過程がとても気になってます。
もし話を考えていたら、皐月や如月達のように個別エピソードとして書いてもらえると嬉しいです。

最後に、簡単プロフをお願いした者ですが、想像以上にしっかりした物を作って頂いたが為に文字数を増やさせてしまったようですね…。
申し訳ありません<(_ _)>
もし障るようなら短縮、もしくは削除して下さい。

長文失礼しました。
霧里さんも体調にはお気をつけて(^^)/


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