提督と〇〇37 「提督とクリスマス2」
提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です
注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
アニメとかなんかのネタとかパロディとか
二次創作にありがちな色々
長い
37回目になりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね
※:プロフィールは後書きに移動しました
ーそれでは、本編をはじめましょうー
↑後「提督と初詣」
ー執務室ー
「メリークリスマースっ!」
勢い良く開いた執務室の扉
それ自体は慣れたもので、見なくたって金剛だって分かりはしたけども
「…」
部屋に居たのは4人
提督と皐月、三日月と望月。概ね、いつものメンバーで
からかったり、からかわれたりしながら
仕事を進めていた手は、すっかり止まってしまっていた
金剛「どうですか提督っ!サンタさんですよっミニスカですよっ!」
袖なしの赤い服にミニスカート。端々に飾られた白いふわふわ暖かそうで
それは、本人の言うとおりにサンタさんを想像させるには十分な格好ではあった
「…」
まぁ…
誰かがやるとは思ってたし
何時かはやるとも思ってた
だからって、ほんとにやるとは思わなかったけど
呆れたような困ったような顔をする4人
その沈黙の中身は同じもので、だからこそ
提督「皐月…」
皐月「うん」
名前を呼ぶ、その一言
提督の机に座っていた皐月が
大きな椅子を くるりと回し、背後の窓へと手を伸ばす
途端に飛び込んでくる冬の風
海辺の風はより冷たく、クリスマスともなればなお寒い
金剛「あ、寒いっ、窓、窓閉めてっ」
いつもの制服よりも露出が多いその格好
艤装もなしにそんな格好では、寒いのも当然で
無駄にスカートを引っ張った所で、大胆に露出した太ももを隠せる筈もなく
拭き曝しの腕周りを擦ってみても、冷えた体温を塗り広げるだけだった
望月「せまいっての…」
三日月「もうちょっと寄ってよ…」
皐月が窓を開ける間際
ソファーで寝ていた望月の布団の中に、いち早く潜り込む三日月
潜り込んだ布団から、体がはみ出ないようにと
二人で小さな体を寄せ合っている
皐月「ボクは暖かいから別に…」
皐月にしたって、窓を開けると席には戻らず
たったと、小走りで提督の元まで行くと
膝の上に腰を落ち着け、提督が羽織っていた着物の中に体を滑り込ませていた
提督「ま、いいけどさ…」
冬の風は寒い
確かに着物一枚よりも、こっちの方が全然暖かいと
皐月を抱えなおして暖を取る提督
金剛「あ、あのー…」
寒い、いかんせん寒かった
袖もなければ裾もない、赤い色が温度を吹聴した所で空しいだけで
白いモコモコが暖かそうでもそれだけだ
右へ左へと、物欲しそうに視線を彷徨わせる金剛
暖を取っている二人組がいっそ恨めしい程に
三日月「満員でーす」
皐月「3人羽織は辛いんじゃないかな?」
その視線に気づいた二人だったが
此処は譲れませんとばかりに、それぞれがそれぞれへと抱きついてみせる
金剛「もうっ!ちょっと皆冷たくないですかっ!」
クリスマスですよっ!?サンタさんですよっ!
寒い思いまでして、こんな格好しているのに
もっと構ってくれても良いじゃないっ!
金剛「そんな意地悪する娘達には、プレゼント上げませんからねっ!」
ふいっと、イジケてみせる金剛さん
向けた背中には、大きな白い袋が担がれていた
提督「その袋、何か入ってるの?」
望月「…それ、聞くのかよ」
大体の展開が予想できたのか、面倒くさそうな顔をする望月
金剛「あ、やっぱり気になります?気になっちゃいますよねっ!」
「ほらな…」って顔をする望月を余所に
テンションをアップアップにしていく金剛さん
金剛「この中にはですね、提督の一番欲しいものが入ってるんですよっ!」
金剛が、担いでいた袋を前に持ってきて
チラチラと、開ける素振りを繰り返す
はて?と首を傾げる提督
皐月も気になるのか「なんだい?」と、見上げている
一番欲しいもの、一杯あるようで何も無いような気がする
思いつきはするものの、すぐに解けて無くなるような感覚だ
金剛「うふっ♪そうやってまた金剛を焦らすのね。それとも照れてるのかな?」
提督「いや、単におも…」
金剛「のんのん♪皆まで言わなくても良いのでーす」
否定の言葉を紡ごうとした提督を手で制して
楽しそうに指先を振る金剛さん
「あれ、絶対自分が言いたいだけだよなぁ」
「良いじゃない別に。金剛さん楽しそうだし」
「見てる方は面倒くさいんだけど」
「まぁまぁ…」
金剛「て・い・と・く♪」
1・2の3っと、提督に近づいて行く金剛さん
金剛「この中にはねっ、この中にはですねっ!」
そうして、散々もったいぶった袋の口を、開いて、投げ捨てた
金剛「金剛の愛が詰まってまーすっ!」
きっと金剛の頭の中では
放り投げた袋の中から、愛が溢れて、ばら撒かれ
ホワイトクリスマス宜しく降り注いでいるのだろう
「…」
再びの沈黙
その中身は「よくそんなこと言えるなぁ」と言った
呆れ混じりの尊敬とか羨望だったりしたが
ただ一つ
皐月たちへの愛は勿論だけど
メインターゲットである所の提督が、神妙な顔をしていた
金剛「あ、あれ…う、嬉しくない?」
照れるでも、からかうでもない
どちらかと言えば、寂しそうな悲しそうな顔だった
提督「いや…もう、貰ってるもんだと思ってたからな…」
「いや、すまない」と、頭を振る提督
そんな提督の姿が、彼女の瞳にはどう映ったのか
金剛「てーいーとーくーっ!!!」
皐月「わっ、ちょっ、こんごっ、あぷぅっ!」
巻き込まれたのは皐月だった
目に涙を抱え、短いスカートの端を両手で握りしめ、寒さ以外の何かに体を震わせる金剛
それも束の間。すぐに辛抱堪らなくなり、問答無用で提督に飛びついた
「そんなことありませんよっ、大好きですよっ、愛してますよっ
バーニングラブはビュッフェスタイルでドリンクバー付きですよっ
私はねっ、金剛はねっ、あの日からっ、今までもっ、こらからもっ
ずっと、ずっとずっと、ずっとずっとずーっと、ずーーーーーとっ」
「お慕いしています、提督」
そういって、柔らかく微笑む金剛だった
ー
「あ、姉さんがすっごい困った顔している」
「そりゃな…」
ー海上ー
冷たい海、静かな海、時折見かける深海艦
いつもの様に、当たり前に、群れで、一人で…
彼女たちにもクリスマス、なんてものはあるのだろうか?
漠然と湧き上がった疑問。問いかけるように、その疑問を乗せて魚雷を発射した
ゆー「…Feuer」
3・2・1…どかーん
言ってしまえば その程度
束の間、床の間、僅かな間。魚雷と一緒に海色に消えていく深海艦
同時に、湧き上がっていた疑問も泡沫へと消えていく
自然と、当然だと、それがあるべき姿であるように
ゆー「…ばいばい」
もう何処にもない、影も形も、泡沫でさえ溶けて消えてなくなって
それを見送るように小さく手を振る
天国、なんてものがあるかは置いといて
次があるなら、クリスマス…楽しめると良いね
ゆー「…ん?」
撃ち漏らし?まさか?
ふって湧いた反応に首を傾げる
それがハッキリするにつれ、分かる事は、深海艦というより艦娘の様だった
ゆー「でも…」
知らない娘だ…
提督が言っていた。知らない奴は敵だと思えって
そして、敵は…撃たなきゃ
何も問題はない、そう、何も問題はない…
ゆー「jawohl…Mein Admiral」
ー
「あぁ…ここ、どこですかねぇ」
気づけば海の上に居た
頭がガンガンします、体もふわふわします
これは…飲むしかありませんねぇ
「って…空っぽですぅ…飲まなきゃ…空でしたぁ…ざんねん…」
となれば、お酒を補充しに行かなきゃいけませんね…
「え、なになに?」
微速前進と、機関を動かし始めた所で
妖精さんに耳打ちをされる
妖精「燃料がそろそろ…」
??「あぁ…それは困りましたねぇ…お酒でも入れれば動きませんかねぇ?」
妖精「はっはっはっ。その酒ですらありませんからなぁ、我々には」
??「まぁ、地中海は狭いですしぃ…その内陸に上がれるんじゃありません?」
妖精「で、あれば良いのですが…ここ、日本海ですな」
??「ニーホン?」
妖精「Giappone」
??「おおGiappone.あははははははっ、わかりますわかりますぅ」
妖精「あっはっはっはっ、それは宜しゅうございますな」
二人して「あはははははは」
??「…どうしましますかねぇ、これ」
妖精「なんとも…」
お酒の飲み過ぎでこうなったとあれば、少し…いや、ちょっぴり控えたほうが良いかもしれない
ー
「Halt…動かないで…」
近づくのは簡単だった
むしろ、まったく警戒してないのも逆に尊敬する
罠?とも考えたけど
こうやって、魚雷を背中に突きつている時点でそれもないか
??「ひぅっ…い、いのちばかりはお助けを」
ゆー「それはアナタしだい…答えて…」
アナタはだぁれ?
同時に、背中に魚雷を押し付けて
いつでも撃てる事を主張する
ポーラ「えーあー…ぽ、ポーラは怪しいものじゃぁ…」
ゆー「聞かれたことだけ答えて」
ポーラ「はいっ。ポーラですっ、ザラ級重巡洋艦の三番艦、ポーラですっ、はいっ」
ゆー「良い娘。でも、知らない娘ですって…やるか…やっぱり」
ポーラ「待ってっ!」
ゆー「黙って…」
慌てて振り向こうとする彼女を、魚雷を押し付けて押し止める
途端に背筋がピンっと伸び、すぐに大人しくなった
ポーラ「ひぃぃぃっ。ザラ姉様ぁぁぁ」
ゆー「…」
そう言えば…ザラ…何処で聞いた名前
撃ちたくないとか言っていた?いえ、そんなの撃つに決まってますって、はい
じゃなくて…そう、ああ、あれだ…言われれば似ている気もする
ふわふわの銀髪に、白黒赤の制服
何処かポヤポヤしている感じには、まぁまぁ覚えがなくもない
仕方ない…か…
ー鎮守府・厨房ー
睦月「もうっ、卯月ちゃんってばっ。つまみ食いしたらダメなんだからっ」
卯月「つまみ食いじゃないぴょーん。ただの味見だぴょーん」
ぷっぷくぷーっ!っと、ほっぺに白い何かを付けながら
たたっと走り回る卯月と、それを追いかけている睦月
狭いわけではないが、走り回るようには出来ていない厨房内
その内何かにぶつかりそうで、少々危なっかしい
大鳳「こーらっ。あぶないわよって、もぅ…」
かき回される空気に髪を揺らされながら、呆れ気味に息を吐く大鳳
皐月「あははは…。弥生がいないといつも以上に元気だよね、卯月は…」
しかし、とも思う。仮に弥生がいたとして、この状況はどうにかなったのか
最近、どうにも卯月を煽っている節のある あの姉の事だ
むしろ面白がって余計な事になってるのではないかとの不安のが大きい
大鳳「で、その弥生は?」
とっ散らかされる前に、片付けるものを片付け終えた大鳳
オーブンの前に椅子を広げると、皐月と一緒に、中で膨らんでいくスポンジを眺め始めた
皐月「秘書艦、やってるよ?」
温かいオレンジ色の光。オーブンの熱も相まって冬場の空気に心地良い
大鳳「良かったの?」
皐月「良いんじゃない?」
何気ない疑問と、何気ない答え
その間にも膨らんでいくスポンジの生地
それを、ぼーっと見つめている皐月
心なしか赤く見える横顔と、色づいていくスポンジの生地
やいてやかれて、やかれてやいて
大鳳「そ」
皐月「うん」
何でもない一言。返ってきたのは軽い頷き
クリスマスの準備、とは言っても後は焼きあがるのを待つだけだ
それならと、それなら提督の所へと、背中を押そうとする大鳳だったが
結局、口から出たのは、そんな一言だけだった
弥生に悪い?それもあったけど
膨らんでいくスポンジを見ていると、なんとなく大丈夫な気がしていた
結局こういうのは、最後には甘くなるのだからって
「まちなさーいっ!」
二人が、オーブンの熱に温められながら
漂ってくる匂いに、心も体も甘くしていると
不意に聞こえて来る叫び声
いい加減、どこかにぶつかったかと思い振り返ってみれば
泡まみれになっている夕張が、追いかけっこに加わっていた
皐月「何、あれ?」
大鳳「さぁ?」
肩をすくめ苦笑する二人
散乱する生クリームを理路見るに、そういう事なんだろうと納得していた
ー食堂ー
木曾「よしっと…まぁ、こんなんでいいか?」
普段は整然と並んでいる食堂の机が
皆が囲めるようにと一処に纏められていた
その最後の一つを並べ終えると
区切りをつけるように、額を拭ってみせる木曾
長月「うん、良いんじゃないか?」
並んだ机に合わせて、椅子を揃えていく長月
自分たちの仕事の出来に、満足そうに頷いている
北上「せっかくだし、キャンドルでも並べてみるかい?」
何処から見つけてきたのか
古臭い燭台に、やけに長いロウソクを突き刺すと
一つ、二つと、机の上に並べていく北上様
長月「いや、どうだろうなぁ…」
北上「そ?雰囲気出て良いと思ったんだけど」
それには同意する所だった
明かりを落とした室内に燭台の火が灯れば
さぞ、雰囲気は出ることだろうと
そんなロマンティック光景を思い浮かべる長月だったが
直ぐ様、現実がそれを否定してくる
夕張「まーちなさーいっ」
睦月「ちょっとっ!?何で睦月まで追いかけられてるのっ、ぶつかったの卯月ちゃんだよねっ!?」
卯月「うーちゃんは、お姉ちゃんと一緒で嬉しいぴょんっ!」
睦月「ありがとうっ!お姉ちゃん、すっごく嬉しくないよっ」
卯月「ひどいぴょんっ!」
ぐるぐると机の周りを回る喧騒
大きかった軌道が、机を中心に狭まっていく
その内に、誰かが机の角に引っかかり…
ガタっと、大きく揺れる机
同時に、並べていた燭台が頭を揺らして横になった
長月「…な?」
北上「だぁねぇ…」
火がついてないから良かったものの
パーティが始まる前からコレなんだもの
絶対誰かが倒す。そんな確信を確認した二人だった
木曾「おい、多摩…寝てるだけならちょっと止めて来いよ」
机を並べ終えるなり、いち早く机に突っ伏していた姉を突く木曾
自分が止めに行ったほうが早い気もするが
何故か、巻き込まれそうな予感がしてやまない
ならばと、暇そうな姉をけしかける
そんな小賢しい思考に思い至っていた
これを成長と呼ぶか、慣れと言うかは人次第だろう
多摩「や」
木曾「…」
だが、一蹴。にべもない、とはこの事だった
多摩「子供じゃないにゃ…限度くらい分かるだろうよ…」
無言の抗議に、しょうが無さそうに口を開く多摩
理解のある大人っぽい言葉だったが
その実、お茶を濁して誤魔化したいだけだった
ーどんがらがっしゃーんっー
しかし、響いてきた騒音がそれを許さない
北上「あーあーあー…」
呆れるしか無い、諦めるしか無い
使わないからと、隅にまとめていた机の群れの中に
夕張の後ろ姿が埋もれていた
長月「おまえらぁぁぁっ!?」
駆け出す長月
「ごめんなさーいっ」と、食堂から飛び出す3人
夕張「って、何で私まで逃げてるのよっ!?」
睦月「睦月は夕張さんと一緒で嬉しいよっ!」
夕張「ありがとうっ!全然嬉しくないわっ!」
睦月「ひどいっ!」
追うものと追われるものが、数珠つなぎになって廊下の向こうへ消えていった
木曾「限度ねぇ…」
横目で多摩を見下ろす木曾
何か言いたそうに含みを込めるが、それ以上何もは口にしない
多摩「多摩は悪くないにゃ…」
木曾「だろうけど…手伝えよ」
良いか悪いかで言えば、悪くはないだろう
だが、自分の発言には責任を持って貰いたいものである
多摩「しょうが無いにゃぁ…」
しぶしぶと行った具合に体を起こす多摩
まさか…まさかよ、本当にやらかすとは思わなんだよ
ー厨房裏ー
望月「ふぃ…さむさむ」
寒空の下、起こした炭火に手をかざして暖を取る望月
炭火を適当に囲った枠の上
そこにぶら下がった肉塊は、何処かマンガで見るような風体だった
三日月「ほら、望月。回さないと焦げちゃう焦げちゃう」
焦げ付き始めた肉塊を、慌てて回し始める三日月
滴り落ちる肉汁が、ジュワっと音を立てて香ばしい匂いを漂わせた
その匂いに、食欲を刺激されるのはそうなのだが、それより何より
望月「さむぃ…中戻りたい…」
本音が口をついて漏れる程には寒かった
三日月「もう、しょうが無いんだから…」
やれやれといった風に、首に巻いていたマフラーを望月の肩へ掛ける三日月
暖まっていた首筋を、ひんやりした風に撫でられ震えそうになるも
望月に言った手前、此処はぐっと我慢の娘
「ひゃっ!?」
可愛らしい悲鳴
同時に、ビクッと体を震わせる三日月
如月「うふふ。可愛い悲鳴ね?」
如月の細い指が、三日月の露わになった首筋を、すぅっとなぞっていく
冬の空気に冷え切った指先
隠すもののなくなったそこに押し当てられると
いっそ氷の様にも感じられる
三日月「ちょっ、姉さん。冷たいから」
如月「私は温かいわよ?」
三日月「私が冷たいんだって…」
口を尖らせた三日月が
抗議の意味も込めて、姉の方へと肩越しに振り返る
如月「じゃあ…」
三日月「へ?」
三日月の瞳に映るのは、悪戯っぽく微笑む姉の顔
如月「コレならどう?」
三日月「ぇ、ぁ…」
伸びてきた姉の腕
気づけば、その腕に包まれて、胸元へと抱き寄せられた
三日月「どうって…恥ずかしい…」
如月「いや、かしら?」
頬擦りをしながら、三日月の顔を覗き込む如月
柔からな髪の感触も相まって、くすぐったそうに目を細める三日月
三日月「やじゃないけど…なに、司令官みたいな事…」
如月「さぁ?うつったのかもね…」
微笑みはすれど、一向に開放する気配の無い姉
温かい…
思い浮かぶのはそんな言葉
照れている。自分でも分かるほどに頬が赤くなっている
けれど、それ以上に体から抜けていく力が
自分が安心しているのだと教えてくれていた
姉に抱きしめられて安心するなんて
子供じゃないのに…、子供じゃないけど…たまには良いか…
そうして、身を任せてしまえば
確かに合った羞恥心も、不思議と溶けてなくなっていった
三日月「…動きづらいです」
如月「しりませーん」
弱々しい抗議の言葉には、からかうような声音が返ってきた
望月「はぁ…」
なんとなく感じる疎外感
しかし、そこに突っ込んでしまえば、矛先はこっちに来るだろう
それは何というか、とても面倒くさそうな光景だ
望月「焦げるっての…」
三日月に貰ったマフラーを首に撒き直し
肉塊と向かい合う望月だった
ー
大井「仲のいい事…」
いっそ羨ましいくらい
3人一緒くたになって、もぞもぞしている絵は
新手の深海艦なんて風にも思えてくる
球磨「私も北上さんとイチャイチャしたいのにー、てか?」
からかうような、呆れるような球磨の声
大井「別に…」
その言葉を否定するように、ふいっと大げさに視線を外してみせる
球磨「別に、な…」
大井「何よ…」
撫でるような球磨の視線を、真っ直ぐに見返す
球磨「別に、だクマ」
くっくっくっくっまっまっまっまっ♪
妙な笑い声と一緒に、何でもねーと大井から視線を外す球磨
大井「ふんっだ…」
分かった風な顔をして…いっつもそう…
どうせ姉離れしろとか思ってんでしょ…わかってるわよそのくらい
提督には人見知りを直せだ、云々言っておいて
自分がこれでは、しようがない事くらい
けど、イ・ヤ・よ
身内が、家族が、姉が、北上さんが大好きだと言って何が悪い
シスコンと言いたければ言うが良い、賛辞として受け取ってやる自信はある
言われて治るくらいなら、こんな事にはなっていないのだから…
そう、言われて直るくらいなら…提督だって…
大井「ぅぉぉぉ…」
そこに思い至った途端、頭を抱えたくなった、ていうか実際抱えていた
結局、結局、同じ穴だと、類友だと、ドングリが50個も100個もってそういう…
球磨「だから直せと言うんだよ。でなければ認めるんだな…」
大井「うっさい、バカ…」
ー
長月「で、なんだこれは…」
3人を追いかけて、長月が建物の角を曲がると
そこには、不思議な空間が広がっていた
「うーちゃんも混ぜるぴょーんっ」と、一人が加わり
「お姉ちゃんもまーぜーてっ」と、妹団子に突っ込む姉
そうして出来上がったのは
睦月・如月・卯月・三日月・望月と
一緒くたになって、もぞもぞしている光景で
さらなる深海艦の予感をも感じさせている
夕張「私に聞かれても…」
逃げていた事も忘れて、立ち尽くしていた夕張
奥で睦月達が団子になっているかと思えば
手前の方では、大井が頭を抱えている
説明を求めるように、隣にいた球磨に視線を投げてみても
「食うか?」と、焼きたての肉を差し出されるだけで
この状況には我関せずといった具合だった…肉は美味しかったけど
長月「まぁ…いい…」
何が良いのか分からないが
手の打ちようのない大井と、近づけば巻き込まれるであろう団子
どうして良いのかわからないし、どうしようもないので取り敢えずは置いておく
夕張「ん?」
長月の小さな手が、夕張の手に重なる
走り終えたばかりか、冬空の下でも暖かい二人の手
夕張「あぁ、そうだったわね」
長月「あぁ、そうだ」
そっと頷くように握られる手
「つかまえたぞ、夕張」
ー食堂ー
金剛「あのぉ…」
クリスマスツリーの その隣
サンタ姿のまま、正座で待機している金剛さん
文月「おヒゲ…いるかな?」
菊月「そう、だな…あ、綿でも乗せてみるか」
ぽんっと、飾り用の綿を鼻の下に置いてみる二人
金剛「くしゅんっ」
むず痒さに、思わずくしゃみをする金剛
その勢いで、綿が明後日の方向に飛んで行くと
「あーあ」と、残念そうな二人の声が返ってきた
金剛「なんで金剛が悪いみたいになってるの…」
諦めるようにうなだれる金剛
自分の飾り付けより、ツリーの飾り付けをとも思うが、もはや言いますまい
二人が飽きるまで付き合わされるのだろうと、覚悟を決めかけていた
文月「でも…」
菊月「どうせするのだろう?」
顔を見合わせた後、二人して金剛を見つめると
文月「プレゼントは~…」
菊月「わ・た・し…」
最後に「て?」っと、声を揃えるのだった
金剛「…いけませんか…」
それはやるだろう
こんな格好だ、誰だって考えるはずだ
考えたならやるべきだ、少なくとも私はそうだ
菊月「いや、どうせやるなら最後までやるべきだ」
金剛の覚悟を称えるように、何度も頷く菊月
文月「そうそう、我慢は良くないよー」
言いながらも、帽子の先っちょに星の飾りを取り付けてみる文月
金剛「ですよねっ。じゃあ、そろそろっ」
こんな所を球磨にでも見られたら
プレゼントをする前に、ゴミ箱にでも引きずられていきそうだ
文月「やーだ」
だが、笑顔の否定
金剛「何でっ!?」
文月「面白そうだからっ!」
金剛「なんてこったいっ!?」
「それに…ねぇ、金剛さん?」
金剛の耳元に、そっと口を寄せる文月
そうして、囁く様に語りかけ始める
誘うように、誘なうように、誘惑するように…
ぽつり、また ぽつりと…言葉を重ねていく
クリスマスプレゼントが置かれるのは何処かな?
「ま、枕元…でしょうか?」
…そうだよね?
じゃあ、司令官へのプレゼントは?
「私…です…はい…」
…そうだよね?
それじゃあ、金剛さんが行かなきゃいけないのは?
「ま、枕元…」
…そうだよね?
想像してみて?
暗い部屋、布団の上、プレゼントは金剛さん
どうかな?
その後どうなるの? その後どうしたい? その後どうされたぁい?
「ねぇ、こんごうさん?」
金剛「…」
目をぐるぐる回して顔を真っ赤にしている金剛さん
文月「あははは。金剛さんは素直で可愛いなぁ」
正直、弥生お姉ちゃんの気持ちが分からなくもない
金剛さんは素直で可愛い…が
此処まで素直だと、暴走しないか怖くもある
菊月「なぁ、金剛?」
金剛「は、はいっ!何でしょうっ」
菊月「いや、どうしたんだ?そんなに顔を赤くして?文月に何を?」
不思議そうに首を傾げる菊月
金剛「なっ、なにもはっ!?菊月は知らなくてもいいのっ!?」
菊月「むぅ…。ぁ…」
不満そうに唇を尖らせる菊月だったが
ふと、思いついた様に声を漏らすと
文月がそうしたように、金剛の耳元に口を寄せていく
「司令官の布団の上で何をする気なんだ?」
呟いたのは、途切れ途切れに聞こえてきた言葉の一節
確かこの後、金剛の顔は真っ赤になったのだ
突っつき続ければ、その内口を滑らせるんじゃないかと
姉の真似をしてみるのだった
ー
水無月「ねぇ、瑞鳳先輩。この飾りはこっちで良いかな?」
ツリーの前、緑一色だった植木に彩りが添えられていく
瑞鳳「…」
水無月「せんぱい?」
何故か呆けている瑞鳳を、心配そうに覗き込む水無月
瑞鳳「へ?あ、うん…良いんじゃない?」
水無月「?」
とりあえずは再起動した瑞鳳に
疑問符を浮かべながらも、植木を飾っていく水無月
瑞鳳(せんぱい…せんぱいかぁ)
そういえば、と思う
着任してこの方、年上、目上扱いなんてされた事あったろうか
そりゃ、艦齢で数えても、艦娘歴から数えたって、此処じゃあ下から数えたほうが早いけどさ
瑞鳳(ちょっと、新鮮かも…)
ドキッと、胸が高鳴る
調子に乗って、お姉さん風でも吹かせたくなるし
実際、目一杯張った帆で風を受けてもいた
つまりは調子に乗ったのだ
瑞鳳「ねぇ、水無月?」
水無月「ん?」
言うべきか、留まるべきか
ほんのりと頬を染め、最後の一線で口ごもる瑞鳳
そんな彼女を、見上げてくる視線は
素直で、純粋で、真っ直ぐで、愛らしい
「お姉ちゃん、て…呼んでみて?」
口に出してみれば、あっけなくも、やっぱり照れくさい
水無月「ん?じゃあ…」
「瑞鳳、お姉ちゃん?」
不思議そうな顔を浮かべたものの
請われるままに口にする
水無月「にひひひ…なんか、恥ずかしいね、これ?」
頬を染めながら、照れくささを笑って誤魔化す水無月
瑞鳳(かわいい…)
素直にそう思った
いつも卯月と追いかけっこをしている自分
かまって欲しい卯月と、それに応じている自分
嫌という訳じゃない。回りくどいけど、懐かれてるのは分かるし
気苦労も、気疲れもあるけれど。まあ、慣れた
ただ、なんだろう
類は友を呼ぶなのかな?あるいは、朱に交わったせいなのか
どこかズレた愛情表現が飛び交う中で
下心も、打算もない、真っ白なその笑顔は…
瑞鳳「…」
水無月「えへへへ…くすぐったいってば…」
そっと、水無月の頭に手を置く
くすぐったそうにしながらも
されるがままに頭を撫でられ続ける水無月
瑞鳳「ねぇ、水無月?」
ふと、手を止める瑞鳳
そして、その手を横に向けて一言
瑞鳳「貴女は、ああなっちゃダメよ?」
本来、ツリーに付けるはずの飾りを盛られて
いっとう綺羅びやかになっている金剛さん
かと思えば、文月に何か唆され、真っ赤になってあたふたしている
水無月「あ、うん…そだね」
素直に頷く水無月
それはそう、それは確かにそうみえた
ー執務室ー
弥生「…あ」
執務室の窓から外を見ていた弥生
提督「どしたの?」
弥生「何でもないよ…」
とは言いつつも、動かした足をソファに向けて
提督の隣…では不満だったのか、改めて膝の上へと腰を落ち着かせる
提督「…」
最近はずっとこんな調子だった
いやに引っ付いてくる。ひっそりと、ぺったりと、あるいは ひったりと
別にいやでもないけれど。何というか、対応には困っていた
くすぐるなり、スカート捲るなり、あるいは…とも考えた
しかし、弥生がどこまで本気なのかが分からない
からかってるだけなら、やり返せばいいし、冗談でもやりかえす
けどこれが、特に他意もなく戯れてるだけなら…
そう考えると、なかなかに手が出なかった
弥生「…」
力を抜き、提督に体を預ける弥生
相も変わらず無表情ではあったけど、その表情からは力が抜けていた
実際 有頂天ではあった
これが睦月だったら、訳もなく頬ずりしまくってたろうし
皐月なら意味もなく司令官を突っついてただろう
長月なら妙に しおらしくなっているはずだし
如月ならきっと雰囲気に流されて、歴史にページを追加している頃だろうか
でも…
弥生はどうしたら良いんだろう?
睦月みたいに?皐月みたいに?長月みたいに?如月みたいに?
どれも違う気がした…
どれをやっても、司令官は喜んでくれるだろうけど…
どれをやっても、悪戯の延長にしか思われない気がする
それに…
それなら弥生じゃなくても良いし
弥生じゃなきゃ出来ないこと…弥生らしいことって
なんだろう?
でも…今はいい
弥生は知っている、この時間はそう長くは続かないって
だから良いの
今だけは、残り時間で言い訳をして、司令官を困らせるんだ…
ー
「あどみらーる。入りますって?」
程なくして、聞こえて来る ゆーの声
開いた扉の隙間から、その小さな体を覗かせた
かと思えば、隙間が広がり、ゆーの後ろから誰かが引っ張られてくる
提督「弥生?」
弥生「なぁに?」
提督「なんでもあるじゃん?」
弥生「何でもないの、弥生にとってはね?」
「逃げちゃダメだよ?」の言葉の代わりに
さらに提督に体重をかける弥生
知らない娘だった
何処かで見たような白黒赤な制服の色
気だるげというか、ゆるゆるしてそうで
そのせいか、綺麗な銀髪もふわふわとウェーブが掛かっている
そしてなにより、酒臭い…
提督「ゆー…誰?」
弥生の体に手を回し
その影に隠れるようにしながら、ゆーに問いかける提督
そこまで織り込み済みだったのか
盾にされながらも、何処か満足そうにしている弥生
ゆー「…」
つんっと、ポーラの背中を突っつくゆー
暗に、答えろと、仰せのようだった
ポーラ「ポ、ポーラですっ、ザラ級重巡洋艦の三番艦、ポーラですっ」
背筋をピンっと伸ばし、しっかりはっきりと答えるポーラ
小さな娘に怯える その姿は傍目からでも哀愁が漂っていた
ゆー「良い娘。それで?」
どうするの?と、首を傾げるゆー
提督「ザラ級って確か…」
弥生「うん、イタリアの重巡だね。こないだ来てたでしょ?」
提督「ああ…あの苦労人か」
弥生「そう、それ」
だとして、それが何でこんな所に?
首を傾げた所で弥生は無表情のままだし
ゆーにしても大差がない
ポーラと名乗った その艦娘に至っては、気が気じゃないように震えていた
ポーラ「あ、あのー…ザラ姉様は…」
恐る恐るっと言った言葉が似合うほど
ゆっくりと手を上げ発言するポーラ
ゆー「黙って」
だが、途端にゆーに睨まれて、その先を言えなくなる
ゆー「発言は許可してないって、遺言にしたいの?」
ポーラ「はい、ごめんなさい」
ゆー「良い娘」
自分より頭一つも小さい娘に睨まれて怯む重巡
何とも情けないことだけど…それ以前に
提督「ねぇ、弥生?」
こそこそと、「ゆーってあんなだったっけ?」の言葉を乗せて耳打ちを始める
弥生「球磨さんの血統…」
提督「ぁぁ…」
言われて思い出す
戦闘関係は球磨に任せてたかと
ゆー「あどみらーる?」
提督「ん?あぁ…」
まっすぐに覗き込んでくる青い瞳
それはいつも見ているあどけない視線で
さっきまで、脅しをかけていた娘とは別人のようにも思えた
ゆー「やっぱり…連れてきたらダメ、だった?」
困った顔をする提督につられて
だんだんと、不安そうな顔を浮かべる ゆー
弥生「…ん?」
ふと、不自然な光の反射が弥生の目に留まる
ゆーの、ポーラの後ろ側
ちょうど、提督からは影になって見えないだろうその位置に
WG42(ロケットランチャー)が設置されていた
弥生(球磨さん…違うかな…)
一概にそのせいだけとはいえないかもしれない
確かに球磨は戦闘ともなれば、容赦もないけれど…
「敵は撃たなきゃ…」司令官がよく言ってることだ
ゆーはそれを忠実に守ってるだけなのだろう
素直すぎるのも考えものだ…きっと、きっと多分
ここで司令官「ダメ」と口にすれば大惨事かな…
ゆー(やーよ。しー…ですって)
弥生の視線に気づいた ゆーが
指先を立てて、お静かにのポーズをとる
弥生「…」
なるほど。あくまで、あくまでも
司令官の前では、良い娘、でいたいんだね…
ー食堂ー
ケーキの甘い香りと、焼けた肉の匂いがお腹を揺さぶる頃
メリークリスマースと、誰が言い出したのか
そんな掛け声と一緒に、肉とケーキとが切り分けられていく
菊月「あ、そう言えば長月?」
綺麗になった骨を皿に置くと
思い出したように、口を開く菊月
菊月「さっき金剛がな…」
「けほっ!?」
その先を聞いた姉妹たちの大体は吹き出していた
長月「こ、金剛っ!おまえっ!」
金剛「ち、ちがいますっ、金剛はっ、文月の口車にっ!」
文月「てへっ★ミ」
やっちゃったと、舌を出してみせる文月
長月「やっちゃったじゃないだろーっ!?」
ー
瑞鳳「…」
水無月「瑞鳳…姉ちゃん?」
卯月「ずいほー?」
思わず抱え込んでいた
なんとなくこの二人に聞かせるのは気が引けたから
だけど、使える手は二つしか無くて、結果的に抱きしめる様に胸元に抱え込む事になっていた
見上げてくる二人の視線
赤と青で、それぞれの、それぞれに、真っ直ぐに
瑞鳳「いや、その…」
卯月「ていうか、さっきのどういう意味だぴょん?」
水無月「…(以下略)?」
菊月が、いやその前には
金剛が口を滑らせていたであろう言葉をリピートする水無月
意味が分かってないのか、特に淀むこと無く言い切った
瑞鳳「わーわーっ!?」
水無月「むむむぅっ!?」
慌てて、水無月の口を塞ぎに掛かる瑞鳳
卯月「ずいほー?」
瑞鳳「あ、ごめん…つい…」
水無月「ぁぁ、びっくりした。なにさ、急に…」
瑞鳳「いや、べつに…なんでも、ないけど…」
取り繕うに繕えず
二人の視線から逃げるように顔をそらす瑞鳳
意味のわかってない二人には奇行にしか映らないだろうし
説明なんて…説明なんて…やだった
卯月「ずーいーほー?」
水無月「瑞鳳お姉ちゃん…?」
瑞鳳「うぅぅ…」
単純な好奇心だろう
皆が変な反応をする言葉の意味を知りたがり、瑞鳳にせがむ二人
卯月「って、お姉ちゃんって何だぴょん?」
水無月「え?いや、お姉ちゃんがお姉ちゃんって呼んでほしいって言うから?」
話題がそれた、助かった、けど矛先はこっちだった
卯月「じー…」
訝しむ様に、瑞鳳を見上げる卯月
瑞鳳「じょ、冗談で言っただけだから…」
水無月「冗談だったの?そか…なんか、ごめんね?」
意外と、自分が思っていた以上に気に入っていたのか
しゅんっと、寂しそうに肩を落とす水無月
瑞鳳「ああっ!?べつに、嫌とかじゃなくてっ」
むしろ嬉しいくらいだったが
卯月「じー…」
言い繕おうとすると、卯月の視線が邪魔をする
瑞鳳「もうっ、うっさいなっ!」
卯月「まだ、何も言ってないぴょん…」
まだ何もは言ってないが…
そうして、ひとつ間を置いた後。にっと、口の端を釣り上げて
「ずいほー姉ちゃん」
瑞鳳「むぅぅぅぅぅっ…」
顔が熱い
恥ずかしいし、照れくさい
それでも浮かれている自分が腹立たしい
「もうっ!あんたも水無月見習って、可愛げの一つくらい覚えなさいよっ!」
「そっちだって、大鳳見習って、大人げ の一つくらい身につけるぴょんっ!」
「あの人だって大概大人げないわよっ!」
「あ…それ言っちゃうんだ…」
ー
望月「…」
グラスに口を付け、味わう様に口に含んだ後
ほぅっと、息を吐くと抜けていく香気の心地良さ
周りの騒ぎの割に、一人落ち着いている望月
三日月「べつに…なんでもないから…ちょっと、お酒飲んでて…」
その隣では、顔が赤いのは酒のせいだと
聞いてもない言い訳を始める三日月
望月「なんも言ってねーだろ」
三日月「うん…」
妹の優しさが心に刺さる反面
金剛さん、本気でやるつもりなのかと、気が気じゃない三日月だった
ー
「だいたい、司令官は何時だってそう…」
そんな前置きから始まった弥生の小言
グラスの底に溜まる赤い液体
同じように赤くなっている弥生の白い肌
執務室に居たときのように、提督の膝の上に収まってはいるものの
その表情は、眉根を寄せて少し不機嫌そうにさえ見える
「怒ってる?」と、問いかけても
「怒ってないよ…見て分からないの?」と、やっぱり怒ってる風に見えた
それからが長かった
「人の気も知らないでさ?ううん、分かっててやってるんでしょ?知らないふりをしてるんでしょ?そうやって弥生を困らせて喜んでさ、そりゃ弥生だって司令官がそれで喜んでくれるならいくらでも付き合うよ?おはようからおやすみまでだって一緒にいてあげるけど、って司令官きいてるの?ちゃんと弥生の話を聞いてっ、いい?だからね、司令官は弥生にどうして欲しいの?わかんないんだもん、いっつも皆のことからかってあそんでいるけどさ?弥生にはあんまりしてくれないよね?くすぐったり、スカート捲くったり、キスだって…その…だからっ、一日中アピールしてたのに、困った顔するだけで…別に、弥生は…それでもさ…だって、ひっく…こんな、弥生のこと…ひっく、ぐすっ…困らせて…だから、やよ、いも…ぅっ…司令官のこと、うぅぅ…困らせてやろうって、さ、だって、しれいかん…やよいは、ひっく…ふぇっ…ぇ…やよいだって…しれいかん、みててくれるって…でも、あぁぁ…もうっ、しれいかんのばかっ、なんなんだよもうっ、やよいばっかりやよいばっかりやよいばっかりっ………うわぁぁぁぁぁぁっぁっ、あっ、うっ、ひっくっ、えぇぇぇぇっん、ふえっっ、ばかっ、なんで、やよい、なみだなんか、ないてなんか、もうっ、しらないったらっ、あぁぁっぁぁぁぁっ、あっあっ、ひうっ、ぐすっ…ぅぁぁぁぁぁぁぁ…」
提督「…」
針の筵だな…
両サイドからの、如月の、皐月の視線が痛すぎる
提督「なに?」
皐月「別に?」
如月「そうね?」
端的な問いかけに、端的な返答
別にと言いつつも
机の下ではつま先で蹴られるし、かかとで踏まれるし
提督「酒でしょ…」
空になったグラスに目をやる提督
怒り上戸か、泣き上戸か、絡み酒かは置いといても
皐月「本気で言ってるのかい?」
如月「ないとは言わないけど…」
「ねぇ?」と、提督を間に挟みながら顔を見合わせる二人
提督「どうしろってんだよ…」
皐月「分かってて言ってるんでしょ?」
如月「知らないふりしちゃって?」
提督「…あぁ、もう…」
泣き疲れたのか、酔いのせいなのか
いつの間にか寝入ってしまった弥生を二人に預けると、一人席を立つ提督
「頑張ってね、司令官?」
その背中に、二人の声が重なるのだった
ー
大鳳「なーにやってるんだか」
夕張「さぁ?いつもの事っちゃそうだけど」
睦月「にゃぁぁ…ふへへへへへ…たーいほーさーんっ、ふえへへへ…」
酔っ払って机に突っ伏してる睦月
思い出したように動きだしては、大鳳によりかかり甘え始める
大鳳「もぅ…ほら、睦月ちゃん?そろそろ部屋戻りましょう?」
睦月「むにゅぅ、やーだーしー…えへへへへ…」
大鳳に抱きつき、離れようとしない睦月
夕張「すっかりお姉さんね?」
大鳳「周りがしっかりしてくれないんだもの」
夕張「あはははっ。そりゃ大変だ」
大鳳「あなたも含まれてるんだけど?」
夕張「んー?良いじゃない、たまには…」
言いながらも、淡黄色に染まっていく夕張のグラス
大鳳「後で知らないんだから…」
呆れるように息を吐く大鳳さん
夕張「弥生…起きたら記憶とんでるかな…」
はっと目が覚めて、オロオロする弥生
そっと体を起こして、いつもの澄まし顔の弥生
どっちもありっちゃありだけど
大鳳「どっちにしろ…起きてからが大変ね」
夕張「そうね…」
弥生が覚えて無くても、提督が何かしら動くでしょうから
ー
「あはははははっ、ごっちそうさーまっがきこえないぃぃ、あははははははっ」
何というか、酒宴と言うより酒乱だった
完全に楽しくなってきてるパターンだった
「くーまくまくまくまっ♪いっただきま~すだくまぁぁぁ」
「おーおぉ、良い飲みっぷりですねぇー。ポーラもまけませんよー」
「あはははははは」
肩を組み、ワインだのシャンパンだのの瓶を転がして回る二人
大井「ちょっと、木曾さん。いい加減リタイアなさったら?」
木曾「お前だって…さっきから、グラスのもんへってねーじゃねーか…」
大井「よっぱらいましたの?私なんて3本めよ?」
木曾「はっ、俺なんて…あー、4だよ…」
大井「盛ってんじゃないですわよ、お馬鹿さん。まだ2本目じゃない」
木曾「お前のだって、2本にみえるけどなぁぁ…」
しばし睨み合う二人の隣で
しゅっぽっと、何度めかの栓が抜ける音が聞こえる
木曾「くっそ…」
大井「ばけねこめ…」
ばたんっ…諦めたようにグラスを置き、机に突っ伏す二人
その隣では、悠々と多摩のグラスが空になっていく
多摩「ふぅっ…。多摩になら勝てるって?ありえないにゃぁ…」
「にゃはははははっ」と、勝ち誇る多摩
真っ赤になってる二人に比べ、その表情はいつも通りに近い
精々が、いつもより饒舌なくらいだった
大鳳「変な飲み方して…」
夕張「なぁに張り合ってんだかね」
ー
一人、建物の壁に背を預ける提督
白んだ吐息が風に流れて消えていく中
隣の窓からは、祭りの明かりと喧騒が
てんやわんやと漏れてきていた
提督「ふぅ…」
思い返すのは弥生の言葉
酔った勢いとは言え、あれを冗談で済ませて良いのかどうか
提督「な訳ないよなぁ…」
北上「お疲れさん」
ふと、後ろから掛けられる声と同時に肩を叩かれる
横目に見てみれば、食堂の窓から北上が身を乗り出していた
提督「ほんとに…」
北上「自業自得じゃん?」
提督「でしょうけど…。どうするかな?」
北上「決まってるくせに」
提督「だな…」
今更も今更か
「頑張ってね」と、背中を押されたのだし…
北上「そいや提督?金剛さんのサンタさんどうだったよ?」
提督「あれ、用意したのお前か?」
北上「そっ。せがまれちゃってねぇ…」
特に悪びれるでもなく「やっちゃったぜっ」と得意げな顔の北上様
提督「んー…80点」
北上「おや、手厳しい…自信作だったんだけど?」
提督「露出があればってもんでも?」
北上「ミニはお嫌い?」
提督「時と場かな…」
北上「捲りたい?」
提督「無くはない」
北上「素直だぁねぇ…。じゃあ、ああいうのも苦手かい?」
提督「ん?」
北上が見やる後ろ側
暖かそうな室内と、煩いまでの喧騒
「もうっ、皐月っどうして邪魔するのっ、ポーラ暑いのっ」
「邪魔するよそりゃ!いいから、服着けなって」
「くまくまくまくま♪」
「球磨さんも笑ってないでっ」
「いっそ球磨も脱ぐかっ」
「やめてっ!」
「おー良いですねー。やぁきゅーけぇん?とかなんとかっ」
「こーらーっ!」
提督「まぁ…見るだけは見るんじゃない?」
北上「素直だこと」
ー
ゆー「金剛さん、あーん」
金剛「あーんっ」
電飾や装飾でキラキラに輝くツリーの隣
長月に怒られ、球磨に袋詰にされ
今は白い袋に頭だけを覗かせている金剛に、ゆーが ご飯を運んでいた
ゆー「おいしい?」
金剛「はいっ。つぎは、つぎはですねっ」
ゆー「それは、さっき食べたでしょう?」
金剛「年寄り扱いっ」
ゆー「くすっ。言ってみたかっただけ…」
金剛「なんか…弥生に似てきましたよね?」
ゆー「そうかな?」
金剛「ですよ」
ゆー「そう…。そうかもね?」
「もうっ、皐月っどうして邪魔するのっ、ポーラ暑いのっ」
金剛「だいたん…デスネ…」
提督…ああいうのは趣味に入るんでしょうか?
こんど金剛も…
ゆー「こんご…ちょっとまってて」
金剛「え、あ、はい…」
フラフラと騒ぎの方へと向かって行くゆー
その後ろ姿からは、薄っすらと桜色の輝きが漏れ出していた
「何をやっているのアナタは?」
「ひぃっ…」
「え、あ…ゆ、ゆーっ!?魚雷はダメだってっ」
「?」
「不思議そうな顔しないでさっ」
「大丈夫ですって。選んで?全部脱がされるか、服を着るか?簡単でしょう?」
「はい…ごめんなさい。ちゃんと着まーす」
「うん、良い娘」
金剛「…止めときましょう」
少なくとも、ゆーの前では
ゆー「おまたせ…」
金剛「あなた、球磨にも似てきましたね…」
ゆー「そうなの?」
金剛「ですよ…」
ゆー「そっか」
今年も騒がしいクリスマスだった
「あれ、大鳳さん?どうしたの?急に後ろから抱きついて…」
「んー?瑞鳳は可愛いなって?」
「え、そんなの、べつに…って、いたっ、いたいたいたい、ぎぶぎぶぎぶ…」
「骨が軋む音が聞こえるぴょん…」
「水無月しーらないっと…」
本当に騒がしかった
ーおしまいー
ー廊下ー
いつもの朝だった
顔を洗って、着替えて、卯月を起こして
弥生「おはよ、司令官…」
すれ違った司令官に、おはようと言ったら…
言ったら…
弥生「…」
ぼぅっとしていた。酷く考えがまとまらない
それからどうなったっけ…ううん…そうじゃない
そうじゃなくて…どうしてこうなったの?
そっと唇に触れてみる
残っているのは仄かな温もり
高鳴っている鼓動が、その温度をかき消していくようで口惜しい
でも、何で急に?
悪戯にしたって、ほっぺやおでこで済ますだろうに…なんで、なんで…
だめ…
思い出しただけでドキドキしてくる
ほんとなら、まだ余韻に浸って夢を見ていたい
けどその度に、あの人の温もりが遠のいていくのは
寂しい…
意外だ…。こういう事も考えてはいた
こうされたい、ああしたいって
念願叶ってしまえば、落ち着くと思っていたのに
意外だ、本当に…
余計に苦しくなるなんて思わなかったな
弥生「司令官のばーか…」
意味のない罵倒だ。八つ当たりと同義だ
けど、それでも、少しは胸が軽くなっていた
「司令官がどうしたの?」
ふと、声が聞こえたと思えば
腕を回され、耳元で囁かれる
弥生「如月…」
如月「何かされちゃった?」
そう聞いては来るものの
その顔は、もう答えを知っているようで
きっと、弥生の反応を見て面白がってるんだろう
何か悔しい…
したり顔で、訳知り顔で
弥生の知らない事を私は知っていますって、そんな顔
からかうように微笑んでいる如月
そっぽを向きたくても、首に回されている腕が邪魔でそれも出来ず
視線だけでもと逸してみれば、その唇に目がいってしまう
意識しすぎだ…
そんなんだから からかわれるのに…
分かっていても目が逸らせない、見ているだけでドキドキしてくる
艷やかで、柔らかそうな彼女の唇
司令官としたことだってあるんだろうその唇
それも一回や二回じゃないんだろう
ずるいなぁ…
弥生は初めてだったのに
それも不意打ちだなんて…ほんとうにずるい
また…してくれるかな?
これっきり、なんてのは嫌だけど…
その時は、上手に受け止められるだろうか
如月「弥生?」
覗き込んでくる如月
相変わらず、その唇から目が離せないでいるけれど
あぁ、そっか…
こうすれば、多分こうすればいいと
そう思った頃には、もう体が動いていて
ちゅっ…
音にすればとても軽かった
触れている彼女の唇、柔らかくて、温かい
良くは覚えていないけど、あの人の唇もこうだったのかな?
そうだといいな…けど、そうじゃないともっといいな
如月「ぁ…ぁ…」
弥生「ん?」
ゆっくりと、ゆっくりと
余韻を楽しむように、名残惜しむように唇を離す
目の前には、顔を真っ赤にした如月が
一歩二歩と、体を震わせながら後ずさっている
やりました…と
無表情のままに、弥生は内心ガッツポーズを決めるのです
如月「あ、あなた…なに、を?」
弥生「何って?」
唇に指をあて、考え込むように首を傾げてみせる
何って言われても色々あるけど
意趣返しとか?キスの練習とか…とか?
あれ、思ったよりないな
まぁ、いいや と、顔を上げ
弥生は、からかうように小さく微笑むんだ
「おすそ分け、かな?」
ーおしまいー
ー執務室ー
ある日の昼下がり
大鳳「提督?一緒に食べない?」
そう言って、大鳳が机に置いたのはお菓子の箱だった
提督「…」
不思議そうな顔をする提督
何を改まって?と、立ち昇る疑問は
すぐに、視界の端に映ったカレンダーによって掻き消えた
11月11日
世間的にはそういう日らしい
お菓子会社が始めたイベントにしては良く良く浸透したほうだろうか?
特にイベント事のない11月と、どんどんと人肌恋しくなっていく季節
そこに暇なカップルとか、そのやっかみやら妄想やらが重なった結果もあるか
大鳳「お茶、淹れるわね?」
提督の返事も聞かない内に、お茶の準備を始める大鳳
その後ろ姿は終始ご機嫌で
提督の隣に座る頃には、鼻歌でも歌いだしそうだった
ぽりぽり…ぱりぽり…
しばし無言のまま、ぽ。きーを食べ続ける二人
変化らしい変化といえば、時折お茶をすする音が聞こえるくらい
提督「…」
大鳳「ふふっ。どうしたの?私の顔に何かついてる?」
いつからだろうか、大鳳の横顔を伺っていた提督
その視線に大鳳が気づくと、にこっと微笑みを返していた
提督「…何かされると思ったけど」
そういう腹づもりなのかと構えていたが
何もされないならされないで落ち着かない
大鳳「したかったの?」
提督「…そっちがでしょ?」
覗き込んでくる大鳳の視線と
催促したみたいになった気恥ずかしさから
逃げるように目を逸すと
残っていたぽ。きーを、ぶっきら棒に咥える提督
大鳳「そうね。それはそうだけど…」
指を伸ばす
その先を、提督の咥えているぽ。きーへ向けると
押し込むように力を加えていく
どんどんと押し込まれていくぽ。きー
チョコの部分がなくなり
いい加減に根本まで近づいてくると、ようやく指を離す大鳳
そして、不意に顔を寄せると…
ー
「さ、提督。残りの仕事も片付けましょうか?」
満足そうに微笑む大鳳さんでした
ーおしまいー
はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです
ーそれではこの番組はー
卯月「うーちゃんのーっ」
弥生「やって見たかっただけのコーナー…」
ゆー「ぱちぱちぱちぱち…」
ポーラ「で…あのぅ、ゆーさん?ポーラはなぜ此処に?」
ゆー「さぁ?やーよが呼んできてって?」
弥生「うん、ちょっとね…」
ポーラ「嫌な予感しかしないっ」
弥生「卯月」
卯月「ぴょんっ♪ミュージックスタートだぴょんっ」
♪ーKir○r○ 未来へー♪
弥生「ぽ~ら~、あしもとをーみーてごらん…」
ゆー「お酒の瓶がいっぱい…」
卯月「リサイクルだぴょん」
弥生「ぽーらー…まーえーをーみーてごーらん、あれが、あーなたのみらいぃぃ」
ザラ「ポーラっ!あんたって娘はもうっ。余所の家でまで迷惑かけてっ!」
ポーラ「ザラ姉様っ!?どうしてこちらにっ!?あ、まってちがうのっ、これはっ!?」
ザラ「言い訳しないっ!」
ゆー「いっちゃった…」
卯月「ていうか、元の歌分かる人どれだけいるぴょん?」
弥生「さぁ?知ってる人は年齢層が特定されるんじゃないかな」
弥生「さ、満足したし…おやつでも食べよっか」
卯月「はいっはいっ!うーちゃんプリンがいいぴょんっ」
ゆー「ゆーは、シュークリームが良いですって」
ー諸々のメンバーでお送りましたー
ー
ー以下蛇足に付き
ー
♪皐月ちゃんラジオ♪
金剛「なんてことっ、ぽ。きーの日を忘れるなんて金剛一生の不覚…かくなる上はっ」
弥生「司令官…んっ」(←ぽ。きー咥えてる
提督「…んっ」(←ぽ。きー咥えた
金剛「…」
皐月「おつかれ、金剛さん」
金剛「皐月…あれ…」
皐月「うん」
金剛「いいの?」
皐月「良いんじゃない?」
金剛「そ、それが正妻の余裕ってやつのなのっ」
皐月「そんなんじゃないって…。もう済ましてるだけだよ」
金剛「ですよねっ!羨ましいなっもうっ!」
ー
金剛「コメント返しっ、提督っ、コメント返しっ!」(←ガタガタ揺さぶってる
提督「なに?なに、いきなり?」(←ガタガタ揺さぶられてる
弥生「ふふ…。金剛さん可愛い」
ー
・北上と大井さん
・弥生ちゃん
・睦月型可愛い
・初めまして
ー
金剛「さっ提督っ、どんどん行くよっ!」
提督「え、あ、うん?」
弥生「金剛さんが乗っ取ってる…」
皐月「仕方ないなぁ…もぅ…」
・北上と大井さん
金剛「楽しんで貰えたみたいですねっ」
弥生「けっこう強引だったけど…」
提督「仕方ないじゃない…私、それしか知らないんだもの」
皐月「球磨さんが適当なこと言うから…」
弥生「魚雷撃たれたら、撃たれたで…面白かったかな?」
金剛「面白くないよっ!ただの大惨事だよっ!」
弥生「司令官がそれで死ぬとは思えないけど…」
提督「何いってんの、吹けば飛ぶ程度のメンタルだよ?」
皐月「メンタルは、ね?」
皐月「あ、司令官。困った人とか言われてるけど…」
金剛「全くもって」
弥生「正しい認識…」
提督「君らも大概だと思うんだけどなぁ…」
・弥生ちゃん
弥生「弥生はいつでも、側にいたつもりなんだけどな」
皐月「やっぱり、司令官はこっちからいかないとダメってことだね」
金剛「ですです」
・睦月型可愛い
皐月「罰として、もっと可愛く書いて下さい、だって」
提督「もっとか、要努力だな」
弥生「ん、今なんでも…」
金剛「non.しないって言ってます」
提督「良いんじゃん。喜んでもらえてるならそれで十分。コメント貰えたらもっと嬉しいぐらいで」
・はじめまして
提督「初めまして。それとお待たせしました37回目、どうだったかな?」
ここまで付き合って頂けたこと、楽しんでもらえたこと嬉しく思います
穴だらけの設定に、何処に向かっているか分からない鎮守府ですが
お気の済むまで、お気に召すままに、楽しんで頂ければ嬉しく思います
ー
さて、最後までご覧いただき有事うございました
前回の話を書いてる間、建造で弥生が連続出てきたり、ドロップしたりと
うちの鎮守府は弥生祭りでしたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
前回は、コメント・評価・応援、オススメまでありがとうございました
早くも雪が振り始めていますが、体調など崩されぬよう、気をつけてお過ごしください
皐月「それじゃ、よかったらまた遊ぼうな。まったねー」
ー
提督「山風ちゃん見てると、わーって脅かしたくなるよね」
皐月「止めたげなよ…」
弥生「本気で泣かれて困惑する司令官、まで想像できたよ?」
提督「そんなだから困った人って言われるんですよ…」
ー
ー
以下、ちょっとしたプロフィール。長いので、興味ない人は飛ばしちゃって下さい
提督
練度:神頼み 主兵装:刀
「えぇ…。やだよ、めんどくさい」
長髪で黒髪、何時も気だるげな表情をしてる
一応、白い制服を着けてはいるが、上から羽織っている浴衣が全てを台無しにしている、不良軍人
そもそも、軍人どころか人ですら無い、元土地神様
覚えている人もいなくなり、ようやく開放されたと思えば、深海棲艦が湧いてきて…
3食昼寝付きの謳い文句も手伝って、提督業を始めだした
性格は、ほとんど子供。自分でやらないでいい事はまずやらない、明日できることはやらないで良い事
悪戯好きで、スカートめくりが好きなお年ごろ
また、結構な怖がりで、軽度は人見知りから始まり、敵は全て殲滅する主義
皐月ー愛称:さつきちゃん・さっちゃん・さっきー
練度:棲姫級 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「え、司令官かい?そりゃ…好き、だよ?なんてな、えへへへ♪」
初期艦で秘書艦の提督LOVE勢。提督とは一番付き合いの長い娘
その戦闘力は、睦月型どころか一般的な駆逐艦の枠から外れている程…改2になってもっと強くなったよ
「ボクが一番司令官の事を分かってるんだから」とは思いつつも
まだまだ照れが抜けないせいか、ラブコメ時には割とヘタレである
睦月ー愛称:むつきちゃん・むっつー・むっつん
練度:褒めてっ 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「提督っ、褒めてっ!」
わかりやすい提督LIKE勢、「ほめて、ほめて~」と、纏わりつく姿は子犬のそれである
たとえその結果、髪の毛をくしゃくしゃにされようとも、撫でて貰えるのならそれもよしっ
好感度は突っ切っているが、ラブコメをするにはまだ早いご様子
如月ー愛称:きさらぎちゃん・きさら
練度:おませさん 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「司令官?ふふ…好きよ?」
やらかした提督LOVE勢。一昔前、司令官と仲良くなろうと色々頑張ったが
振り返ってみると、かなりアレだったことに気付き、思い出す度に悶絶する毎日
しかし、一度派手なことをやった手前引くに引けず、ラブコメをする度に黒歴史が増えていく毎日
弥生ー愛称:やよいちゃん・やよやよ・やーよ
練度:無表情 主兵装:3式爆雷 好感度:★8
「司令官?好きだよ、普通に」
感情の読めない提督LOVE勢。瑞鳳に卯月が取られて、手が空いた反動か結構好き勝手やりはじめた
最近は ゆーにあることないこと吹き込むのがお気に入り
「もちろん、いい娘に育てるよ?」私のようにねっ
ラブコメはするより見るのが好き…て、思ってたんだけどなぁ
卯月ー愛称:うーちゃん・バカうさぎ
練度:ぴょんぴょん 主兵装:超10cm高角砲★MAX 好感度:★7
「司令官?そんなの大好きに決まってるぴょんっ」
ぴょんぴょんする提督LIKE勢。毎日ぴょんぴょんと、あちこちで悪戯しては怒られる毎日
主な対象は瑞鳳、「だって、からかうとおもしろいだもん」なんのかんので構ってくれる瑞鳳が好き
ラブコメというより、騒がしい妹
水無月ー愛称:みぃ
練度:うん、わかるよ 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★6
「司令官、呼んだかい?」
鎮守府の新人さん。遊び回ってる姉妹たちに安心したのも束の間
その練度の差には、内心もやっともしている。あと球磨ちゃん怖い
提督に対しても好意的で、可愛がってもらいたいお年頃
文月ー愛称:ふみ、ふーみん
練度:ほんわか 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★8
「しれいかん?えへへー…なーいしょっ♪」
ふんわりとした提督LOVE勢。空気を読んでいたつもりが空気に飲まれたここ最近
司令官を見てドキドキするのは、きっと姉や妹の影響だ、きっとそう
そうなってくると、いつものスキンシップでさえ気恥ずかしい上に
弥生お姉ちゃんが、変な道に突き進んでいるのを止めたりと最近は忙しい
長月ー愛称:なつき、なっつん、なっつ
練度:頼りになる 主兵装:5連装酸素魚雷 好感度:★8
「司令官…いや、まあ…いいだろ別にっ」
おでこの広い提督LOVE勢。司令官に ちゅーしてこの方
自分の感情を見ない振りも出来なくなり、最近は割りと素直に好意を見せてくれたりもする
自分の感情に振り回されるくらいにはラブコメ初心者。あと、シスコン(菊月)
菊月ー愛称:菊→菊ちゃん→お菊さん→きっくー→くっきー
練度:威張れるものじゃない 主兵装:12・7cm連装砲B型改2★MAX 好感度:★7
「司令官か?好きだが?」
箱入り提督LIKE勢。おもに長月に過保護にされてるせいでラブコメ関連はさっぱり
しかし、偶に見せる仕草はヘタなラブコメより攻撃力は高い。やっぱり如月の妹である
大艦巨砲主義者、主兵装は夕張に駄々を捏ねて作らせた。それとシスコン(長月)
三日月ー愛称:みつき・みっきー
練度:負けず嫌い 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「し、しれいかん…そ、その…好きですっ!」
おませな提督LOVE勢。どこで仕入れたのか変な知識は一杯持ってる
そして、変な妄想も結構してる。すぐ赤くなる、可愛い
提督と望月に、からかわれ続けたせいで、たくましくなってきたここ最近
ラブコメモードは基本に忠実
望月ー愛称:もっちー、もっち
練度:適当 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「司令官?あー、好きだよ、好き好き」
適当な提督LOVE勢。とか言いつつ、好感度は振り切ってる
だいたい司令官と一緒に居られれば満足だし、司令官になんかあれば不言実行したりもする
ラブコメには耐性があるが、やるとなれば結構大胆
球磨ー愛称:ヒグマ
練度:強靭・無敵・最強 主兵装:46cm…20.3cm(3号 好感度:★MAX
「提督?愚問だクマ」
突き抜けてる提督LOVE勢。気分は子グマの後ろに控えている母グマ
鎮守府と提督になんか有ろうものなら、のっそりと顔を出してくる、こわい
積極的にラブコメをすることもないが、昔は提督と唇を奪い合った事もある
大艦巨砲主義者。最近、私製46cm単装砲の命中率があがった、やったクマ
多摩ー愛称:たまちゃん・たまにゃん
練度:丸くなる 主兵装:15・2cm連装砲 好感度:★6
「提督?別にどーとも思わないにゃ?」
気分は同居ネコ。とか言いつつ、なんのかんの助けてくれる、要は気分次第
絡まれれば相手もするし、面倒くさそうにもするし、要は気分次第
特に嫌ってるわけでもないし、いっしょに昼寝もしたりする、要は気分次第
ラブコメ?何メルヘンなこと言ってるにゃ
北上ー愛称:北上様・北上さん
練度:Fat付き 主兵装:Fat付き酸素魚雷 好感度:★7
「提督?愛してるよん、なんちって」
奥手な提督LOVE勢。気分は幼なじみだろうか
このままゆるゆると、こんな関係が続くならそれで良いかなって思ってる
最近の趣味はFat付きをばら撒いて海域を制圧すること
大井ー愛称:大井さん・大井っち
練度:北上さん 主兵装:北上…53cm艦首(酸素)魚雷 好感度:★8
「提督?愛してますよ?」
分かりにくい提督LOVE勢。そうは思っていても口にはしない、絶対調子に乗るから
足と両手が埋まったなら、胸…艦首に付ければいいじゃない、おっぱいミサイルとか言わない
木曾ー愛称:きっそー、木曾さん
練度:悪くない 主兵装:甲標的 好感度:★7
「提督?まあ、アリなんじゃないか?」
カッコイイ提督LOVE勢。提督に赤くさせられたり、提督を赤くしたりと、まっとうなラブコメ組
そういうのも悪くはないが、本人はまだまだ強くなりたい模様
インファイター思考だけど、甲標的を使わせたほうが強いジレンマ
金剛ー愛称:こう・こうちゃん・こんご
練度:Burning Love 主兵装:Burning…46cm3連装砲 好感度:★MAX
「提督…Burning Loveです♪」
分かりやすい提督LOVE勢。提督の為ならたとえ火の中水の中
何時からだったのか、出会った時からか
ならそれはきっと運命で、この結果も必然だったのだろう
けれど、鎮守府ではオチ担当、艦隊の面白お姉さん
取り戻せ、お姉さん枠
瑞鳳ー愛称:ずいほー・づほ姉ちゃん
練度:卵焼き 主兵装:99艦爆(江草 好感度:★6
「だれがお姉ちゃんよっ」
気分は数ヶ月早生まれな幼なじみ。ラブコメルートもあった気がしたけど、何処行ったかな
卯月にからかわれて、追っかけまわすのが日課
だからって、別に卯月を嫌ってるわけでもなく実際はその逆である
夕張ー愛称:ゆうばりん
練度:メロン 主兵装:軽巡に扱えるものなら何でも 好感度:★6
「ゆうばりんって…気に入ったのそれ?」
気分は一個上のお姉さん。卯月や菊月の駄々に付き合ったり
球磨や提督の無茶振りで、アレな兵装を作ったりと、信頼と安心の夕張さんである
特に決まった装備は無く、戦況次第でなんでも持ち出すびっくり箱、安心と実績の夕張さんである
大鳳ー愛称:大鳳さん
練度:いい風 主兵装:流星改 好感度:★9
「提督、愛してるわ」
素直な提督LOVE勢。金剛見たいにテンションを上げるでもなく、息を吐くように好意を伝えてくる方
ラブコメに悪戯にと我慢強い方だが、許容量を超えると…
その落ち着いた物腰からは、艦隊の保護者っぽくなっているが、内心は見た目通り歳相応だったりもする
U-511ー愛称;ゆー、ゆーちゃん
練度:ですって 主兵装:WG42 好感度:★6
「Danke…ありがとうって…」
鎮守府のこと、皆のこと、Admiralのこと
いろんな事があって、知らないことも知ってることも増えてって
それが明日も続いてく…明日は何をしようかな?
睦月型に癒されるんじゃぁ…
更新待ってます!
楽しみです!
個人的な我儘を受け入れてもらえるなら
できればでいいんですが
愛宕を真似ていれてほしいなー!!
上のコメント間違えました…
本当にすみません。
更新待ってます!
楽しみです!
個人的な我儘を受け入れてもらえるなら
できればでいいんですが
愛宕を仲間にしてほしいなー!!
2016のクリスマス話、読ませてもらいました。
クリスマスは金剛さんがやらかす時…と思っていたら前回に引き続き弥生ちゃんのターンでした。
うーちゃんとの絡みを瑞鳳に取られて以来、ゆーちゃんをアレな方向へと導くアレなキャラになってた弥生ちゃんでしたが、前回と今回で秘められていた本来のかわいさが大爆発してますね。うんかわいい。
瑞鳳、そんな迂闊な発言を大鳳さんに聞かれたらフェニックスの丸焼きに…あ、絞められた。そっちかぁ。
そして何より、睦月姉妹が団子になってるのを想像して萌えた…(^^)
うん無理。萌え不可避、です。
あと、気になった点が1つ。
大本営の頃から引っ掛かっていたのですが、窓や机が綺麗に並んでる様を表すなら理路を抜いて『整然と』で良いかと思われます。
毎度コメが長くなってすみません…。
寒さが厳しくなってきていますね。
作者さんもお元気で。
読まさせて貰ってる身でなんですが誤字?が、三日月と如月が望月、球磨、大井と肉焼いてるところですが頬釣り→頬擦りですかね?
あまーーーーーーい!!
瑞鳳が可愛すぎた。卯月と水無月で両手に花の瑞鳳、修羅場とかあったら面白そうwww
北上様と提督の友達感覚っぽいの良すぎです!!でも提督から迫られたらいつもの余裕が崩れて赤面しちゃいそうですねw(それもいいと思う)
北上様幸せになって!
なんだかんだやることはやってる大鳳さん流石っすwwぽ。きーゲームしたいってやっぱり大鳳さんも乙女!めっちゃかわいい!大人っぽさとのギャップが最高です!!!
長文失礼しました!これからも楽しみにしてます!!
更新待ってます!