提督と○○18
提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です
注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
アニメとかなんかのネタとかパロディとか
二次創作にありがちな色々
長い
EXパートは思いつき小ネタです
18回目になりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね
それではこの番組は
皐月「近くに新しい鎮守府出来たんだってさ」
望月「お、いいじゃーん。これであたしらも楽できるってもんだね」
三日月「でも、私達の担当海域と被らないみたいだから、あんまり…」
如月「司令官、引きこもってるものねぇ」
提督「…無駄な争いは好まないだけだよ」
大鳳「ものは言い様よね、提督?」
球磨「やろーどもっ、演習(殴り込み)に行くクマー!」
菊月「うむ、任せろっ!」
卯月「ぴょーんっ!」
睦月「にゃしーっ!」
金剛「金剛の主砲が火を吹くネー!」
弥生「私達…女の子…」
長月「そういう問題か…」
多摩「まったく、喧しいにゃ…」
木曾「新人相手に殴り込み掛けてもしょうがないだろうにな」
北上「かわいがりってやつだよ」
大井「何処の体育会系よ…」
夕張「ふぅ、出来た…」
瑞鳳「…また、卯月が調子に乗りそうな装備ね、それ」
文月「こっちは菊月が喜びそうだねぇ」
長門「長門以下、11名。これより貴官の指揮に入る、よろしく頼む提督」
少年「はい、こちらこそよろしくお願いしますね」
もろもろのメンバーでお送りします
設定とか
御影 いつき
最近出来たばっかりのXX鎮守府提督
小柄な体躯と童顔のせいで、必要以上に若く見られる事もしばしば
文武共に普通、性格も至って普通
普通が服を着て歩いているくらいには普通の子…そんな自分をちょっと気にしてたりもする
ちなみに鎮守府の艦娘は、大人の事情で大本営がひと通り揃えた娘達
「男の子が好きそうな娘を集めてみたわっ、喜びなさいっ」とは大元帥閣下の言である
長門
XX鎮守府秘書官(仮
本人は戦場に出たがってはいるのだが
新興鎮守府に、長門型を連用する資材なんてありません
結果として、割りかし手隙になってしまうので、この席に落ち着いている
質実剛健、戦闘意外の事には割りと疎い娘
↑後「提督と七夕」
ー海上 襲撃と救助ー
天津風「ほら、さっさと行く」
島風「うぅぅー…」
時津風「唸られても分かんないっての。雪風もさ、島風引っ張って行っちゃってよ?」
雪風「ですけど…」
海上で4人が立ち往生をしていた
先刻、潜水艦に襲撃されて、大破した時津風と、小破した天津風
小破とはいえ、運の悪いことに足回りをやられて対して速度も出せないでいた
天津風「あんたが一番速いんでしょ?さっさと行って、助け呼んできてって言ってるの」
天津風が島風の肩を掴んで後ろを向かせる
天津風「それまでは持たせるから」
島風「…ほんとだよ?」
肩越しに天津風を見つめる島風
天津風「私があんたに嘘ついたことある?」
島風「…ある」
天津風「…いつよ?」
まさか「ある」なんて言われるとは思わなかった天津風が
怪訝な顔で島風を見つめ返した
島風「まだ駆けっこしてもらってない…いつも、後で後でって…」
天津風「うっ…そうだったわね…」
島風「戻ったらしてくれる?」
天津風「もぅ、こんな時まで駆けっこって…いいわ、してあげる」
島風「ほんとだよ?」
天津風「ええ。だ・か・ら、私を嘘つきにしないでよっ」
優しく、島風の背中を押す天津風
お互いの距離が開く。もう手を伸ばしても届かないその背中
島風「うんっ。直ぐ戻るからっ」
島風が一気にタービンを回して加速した
雪風「島風っ」
雪風の横を通り過ぎ、一直線に進んでいく
時津風「ほーら、雪風も行きなって。島風1人だと迷子になりそうだし」
雪風「…駆けっこ、4人でですよ?」
時津風「あははは。時津風さんがビリッケツな未来しか見えないけど、良いよ付き合ったげる」
雪風「はい」
小さく頷くと、直ぐに反転して島風を追っていった
天津風「ふぅ…やっと行ったわね」
時津風「あまつん も行ってくれて、いいんだよ?」
天津風「1人より2人でしょ?どーせ私も対して速度出せないし」
時津風「すまないねぇ~」
天津風「はいはい」
やる気の見えない謝罪を、適当に流す天津風
天津風「にしても、ここらの海域は安全だって聞いてたけど。付いてないわね…」
時津風「ああそれね。今更なんだけど、もうちょっと向こう側っぽい?」
天津風「はい?ほんとなの、それ?」
時津風「あたしも冗談だと思いたかったかなぁ」
苦笑する時津風。その表情を見るにそれが事実であるのは確からしい
天津風「あっきれた。4人もいて誰も気づかなかったわけ?」
時津風「島風を追いかけるので精一杯だったんだよぉ、勘弁しておくれよぉ」
天津風「…あぁ、そうだったわね」
悩ましげに、眉間を抑える天津風
「おっそーいっ!}
なんて言いながら、グングン先に進む島風の姿が脳裏に浮かんでいた
天津風「とりあえず、動ける?」
そっと、時津風の手を取る天津風
時津風「あまつん がエスコートしてくれるならね?」
天津風「いいわ、それじゃデートにしましょうか」
時津風「わーい、ありがたいな❤」
無邪気に笑う時津風の手を引いて、先へと進む
気休めかもしれないけれど、本来の航路に戻れれば多少はマシにもなるだろうと
時津風「…天津風、先に行きな」
しばらく進んでいると
ふいに、時津風が繋いだ手を振りほどく
天津風「どうしたの?って…ああもうっ」
わざわざ時津風からの答えを待つまでもなく、それらが目に入る
深海棲艦の黒い艦影、青い海原に出来た染みのようなそれらが
ジリジリとこちらに迫っていた
時津風「あたしが引きつけとくからさ、逃げなよ?」
天津風「馬鹿言わないでよっ」
時津風「2人には行けって言っといて、自分は駄々こねちゃうのかい?」
天津風「だからって…」
時津風「2人より1人だよ…」
深海棲艦を見据える時津風
その小さな体が震えているのが目に入り、一瞬言葉に詰まる
効率を考えるなら時津風の言うとおり、ここで2人揃って沈むよりは、自分1人で逃げたほうが良いんだろう
天津風「だからって、ハイそうですかなんてっ」
「言わなくていいよっ」
天津風「え?」
声の元を探して、天津風が振り返る
振り向きざまに、少女とすれ違う
長い金髪の毛先が揺れ、天津風の頬を撫で鼻先をくすぐっていった
皐月「文月、2人をお願い」
文月「はーい。応急修理妖精さーん、出番だよー」
妖精「がってんでさー」
妖精「久しぶりの仕事に涙を禁じえませんなぁ」
妖精「倉庫の肥やしなんて言わないで~」
わいわいがやがやわらわらと
妖精さん達が、時津風と天津風にまとわり付き、艤装の修復を始めていく
天津風「え、ちょっと、なに?」
時津風「ちょっ、くすぐったいってぇ」
状況を飲み込めない2人が、妖精さん達に揉みくちゃにされていた
皐月「それじゃ瑞鳳さん、ダイレクトサポート。よっろしくぅ」
瑞鳳「必要なの、それ?」
皐月「少しは楽させてよ」
瑞鳳「そ、別に全部倒しちゃってもいいんでしょ?」
皐月「もっちろんっ♪」
瑞鳳が弓を引き、九九艦爆(江草)を発艦させる
皐月の頭上を越えて、敵艦隊に突入する艦爆達
突然の空爆に、混乱する敵艦隊
その混乱のまっただ中、未だに空襲が続いてるその戦火の中へ皐月も飛び込んでいった
ー
終ってみれば何のことは無かった
キタ、ウッタ、コワシタ、カッタ
言葉にすればこの程度、どこかの皇帝もびっくりなほどに
戦闘という程の事さえ起こらなかった
皐月「二人とも平気かい?」
事後処理を終えた皐月が、引き返してくると
二人の前で、足を止める
皐月「助けに来たよっ」
金色の髪。差し伸べられる手。満面の笑顔
風に揺られる金髪は、波間に輝く陽の光のように眩しくて
浮かべる笑顔は、陽だまりみたいに暖かだった
時津風「あ、うん…」
天津風「あり、がと…」
差し出された手に、おずおずと手を伸ばす2人
どことなく顔が赤いようにも見えた
文月「あれはオチたねぇ…」
瑞鳳「そんな、ラブコメじゃあるまいに…」
そんな様子を、遠巻きに眺めている2人
文月「えーそうかなぁ。私が女の子だったら惚れてるよぉ?」(←女の子
瑞鳳「なにそれ?ベタぼれってこと?」
文月「きゃー皐月ちゃんかっこいいー♪」
ほっぺに両手を添えて、もじもじし始める文月
瑞鳳「はいはい…」
まあ、分からない話でもない
ピンチの時に颯爽と現れる王子様
乙女ルヘン見たいな話だけれど、憧れるくらいはしても良いだろう…けど
瑞鳳「…うちの提督じゃ、無理か」
そんな憧れに提督の姿を重ねてみるも、直ぐにため息で蓋をする瑞鳳だった
ー鎮守府・執務室ー
金剛「こっちがチーズ入りデース、それでこっちがラズベリー入りデース」
机の上に広げられたティーセット、ソファーの上の提督
その隣でぴったりと提督にひっつきながら、お手製のスコーンを提督のお皿に並べていく金剛さん
提督「…それで、こっちのは?」
飾り気のないスコーンを一つ摘み上げる
提督「プレーンか?」
何もないなら何もないでそれもいい
小麦の香りとバターの風味だけでも美味しいものだし
金剛「そ・れ・は。金剛の愛情が入ってるデース❤」
そんな小っ恥ずかしい台詞とともに「きゃっはー♪」と提督に抱きつく金剛さん
いつにも増してテンションが高かった
提督「ぁーぅー…」
対応に困った提督が、対面に座っていた望月に助けを求めようと視線を投げてみる
望月「…」
首を振られた
そして、その手はそのままスコーンをつまみ上げ、ムシャムシャと食べ始める
提督「…」
望月「…」
今度は、恨みがましい視線を投げてみれば
ニヤっと笑みを浮かべて返される。完全に面白がっていた
三日月「でも…」
そんな水面下のやりとりが三日月の言葉に遮られる
三日月「どうして、それだけ愛情入りなんでしょう?」
素朴な疑問だった。金剛のことなら、全部愛情入りデースくらい言いそうなものなのにと
金剛「ふっふーん。聞きたいデス?聞きたいデスか、三日月?」
三日月「あ、いいです」
ばっさりと切り捨てられた。それはもう、紙で指を切る様にスッパリと
「…」
閉口する3人。割と予想外だったのか、金剛に至っては開いた口が塞がってなかった
そんな中、ムシャムシャとスコーンを食べ始める三日月だった
三日月「あ、美味しい…」
素直な感想が口から溢れる
金剛「Thank youネー。じゃないデスっ、どうして聞いて来ないネっ、もっと食いついてっ!もっと構ってっ!」
パタパタと抗議を始める金剛さん
三日月「だって…」
だって、面倒くさそうなんだもの…なんて言えるはずもなく
望月「あーもーめんどくせーなー、言いたいなら早くいいなよ」(←言える方
三日月「…ほっ」(←お茶飲んでる
金剛「面倒臭いってなんですかっ」
ガバっと身を乗り出して、対面に座っていた望月に顔近づける金剛
皐月「なに騒いでるのさ…」
皐月が執務室の扉を開け中に入ってくる
提督「ん、戻ったか。首尾は?」
皐月「ご覧の通り」
皐月が扉を大きく開いて見れば、後ろに控えていた2人の姿が目に入る
天津風「駆逐艦、天津風です」
時津風「同じく、時津風だよ」
ビシッと、軍隊のそれがするように綺麗な敬礼をする2人
そんな2人の目の前には、テーブルの上に広げられたティーセット
そして、それらを跨ぐように身を乗り出して、望月に顔を近づけてる金剛さん
三日月に至っては、そんな光景もどこ吹く風とお茶を嗜む余裕ぶりだった
提督「おまえら、少しはあの2人を見習ったらどうだ」
どうもこうも、言ってる本人がソファーの上でだらけているのだけれど
「提督が言わないで下サイっ」「司令官が言うなって」「司令官に言われても」
3対1勝ち目は無いようだった
皐月「あははは…はぁ」(←恥ずかしい
力なく息を吐く皐月
毎度の事とは言え、よその娘に見られるとこうも恥ずかしいものだと、自覚した皐月だった
皐月「とりあえず…食べるかい?」
時津風「たべるたべる~♪」
天津風「あ、えと…それじゃあ…」
勧められるままに、時津風達がティータイムに加わった
ーXX鎮守府・執務室ー
島風「ていとくっ!」
執務室の扉を蹴っ飛ばし、島風が中に飛び込んでくる
長門「島風っ、執務室に入るときはノックをしろとあれほどっ」
少年「いいんですよ、長門。今回は場合が場合です」
長門「しかし…」
まだ何か言いたそうにしている長門を、片手をあげて制する
少年「雪風は?」
雪風「はい…ただいま、もどりました…」
島風から遅れて、雪風も肩で息をしながら執務室に入ってくる
矢矧「これで、みんなの無事が確認出来たわね」
ほっと胸をなで下ろす矢矧
雪風「無事って…」
島風「皆ってっ、天津風と時津風がっ」
天城「はいはい、二人共落ち着いて。はい、お水」
2人をなだめつつ、水の入ったコップを手渡す天城
長門「今しがた、隣の○○鎮守府から連絡があってな…」
少年「時津風と天津風、2人を保護したそうです」
「明日にでも迎えに行きましょう」と、笑顔で2人に伝える少年
雪風「そう、ですか…よかった…」
天城「おっと…」
安心したのか、力が抜けてその場にへたり込みそうになった雪風を、そっと天城が支える
島風「それじゃ、おっそーいっ。今行くっ」
ガバっと水を飲み干して、出口へ駆け出す島風
矢矧「待ちなさい」
島風「おぅっ!」
矢矧が島風の首根っこを、ひっ捕まえてその足を止める
島風「やーだーはーなーしーてー、今行くの直ぐ行くの行くったら行くのっ」
矢矧「あなた、戻ったばっかりでしょう、補給もせずにどうするの」
島風「まだ走れるもーんっ」
長門「島風っ!」
島風「ひぅっ…」
ダダを捏ね続ける島風を長門一喝する
その剣幕に押されて島風の動きがぱたりと止まる
天城「長門さん、そんなに大声を出さなくても」
長門「甘やかせば良いというものでもあるまいよ…」
島風「…でか女」
ぽつりと、島風の口から恨み事が漏れた
長門「…」
少年「まぁまぁ、長門さん。落ち着いて落ち着いて」
長門の拳が握りこまれたのをみて、少年が慌てて止めに入った
ちなみに、この少年の身長は長門の肩くらいまでしかありません…
少年「島風も、明日は朝一で行きますから、ね?」
島風「はーい…」
矢矧「それじゃ、私はこの娘が勝手に行かないように、一緒に入渠して来るわね」
少年「はい、お願いします。矢矧」
島風の首根っこを掴んだまま、執務室を出て行く矢矧
少年「あの、長門…」
長門「なんだ?」
少年「僕は大きい女性も、格好良くて良いと思いますよ?」
長門「ありがとう…だが、そういうフォローはいい…余計に痛い」
少年「あ、はい…」
意気消沈する少年と長門
天城「とりあえず、一件落着ですね」
雪風「はいっ」
ー母港ー
そんなこんなで、日が沈み夜が明ける
水平線の向こうから日が昇り、世界に色が戻り始めた頃
天津風「…にしても」
朝日を見ながら、天津風が港を歩いていた
特に何が用があるわけでもなく、言ってしまえば、ただの散歩だった
歩きながら考える。もう日は昇ってるっていうのに、総員起こしのベルが鳴らない
時津風を起こそうとしてみれば
「総員起こしはまだでしょ~」
などと言って起きやしない
天津風「誰もいないわね…」
しばらく歩いていたけれど、他の艦娘と出会うなんて事はなく
初めてのお早うございますは、その辺をうろついていた妖精さんとだった
昨日、ここの提督に合った時も思ったけれど…
天津風「規律とかどうなってるのかしら…」
自分の鎮守府だって特別厳しいわけではないけれど
厳しいか、緩いかの問いの前に、有る無しの確認をしたほうが早い気もしてきた
大鳳「あら、おはよう。早起きなのね」
後ろから声をかけられて、天津風が振り向いてみれば
大鳳がランニング中だった
天津風「お早うございます」
ペコリと、丁寧に頭を下げる天津風
大鳳「体はもういいの?」
天津風「はい。お陰様で」
大鳳「そう、大事がないなら良かったわ」
そう言って、優しく微笑む大鳳
天津風「大鳳さんは、その…早いんですね?」
大鳳「ふふ、そうね。この鎮守府だと私が一番早いかしら」
前の鎮守府の名残というのもあるんだけどね、とも付け加える
大鳳「といっても、早い娘達はそろそろ起きてくると思うけれど」
天津風「…ちなみに、遅い娘達は」
大鳳「そうね、お腹が空けばって感じかしら。ちなみに、一番遅いのは提督よ」
小さく微笑む大鳳。ダメな子ほど可愛いとでも言いたげだった
天津風「あははは…なんというか、そうですか」
突っ込む気も失せたのか、曖昧に笑う天津風だった
大鳳「そういえば、あなたの姉妹艦の娘は?」
天津風「遅い娘達の仲間入りみたいです…」
大鳳「あらあら、すっかり馴染んだのね」
天津風「はい…」
事情を察した大鳳が小さく微笑んだ
島風「あーまーつーかーぜーっ!!」
天津風「え?」
大鳳「あら?」
向こう側からもの凄いスピードで走ってくる人影
天津風「え?島風…」
大鳳「お友達?」
天津風「はい、同じ駆逐隊の…」
島風「とうっ!」
話してる間に、みるみる近づいていた島風が、その勢いのままに天津風に飛びついた
天津風「きゃっ!?」
島風「おうっ!?」
ざっばーん…朝の静かな海に大きな水柱が上がる
大鳳「怪我はない?」
天津風「はい、ありがとうございます…けど…」
島風がぶつかる瞬間、大鳳が天津風を自分のもとに引き寄せていた
受け止めてくれるはずだった天津風をなくした島風は、見事海面にゴールイン
島風「ぉぅっぉぅっ…」
海面で島風が暴れている…
大鳳「…泳げないのね」
天津風「…普段は艤装があるので」
大鳳「…なるほど。助けましょうか」
天津風「はい…」
感動の再開はそれどころではなくなっていた
ー執務室ー
少年「朝早くから失礼します」
ビシっと、姿勢を正して敬礼をする少年
歳の程ほどは、元服したかどうかといった所に見える
身につけている提督用の制服は、真っ白いままで眩しいくらいで、着ているというより着られているといった印象を受ける
物腰こそ落ち着いてはいるが、立ち居振る舞いが綺麗すぎて逆に浮いていた
一言で言ってしまえば、若いな、とか、年季が足りんなとか、そういう表現になりそうだった
少年「XX鎮守府より参りました。御影 いつき です。先日はこちらの、艦娘を助けていただき…(以下略…」
などと、ものすっごい丁寧な挨拶を始めた少年
提督「さっちゃん、さっちゃん…あの人だぁれ?」
ソファーの上で転がってる提督。体の大半を毛布に隠して、頭だけを覗かせながら
隣に来ていた皐月に耳打ちする
皐月「天津風さん達の所の提督さんだよ。最近着任したばっかりなんだってさ」
提督「なにそれ聞いてない…」
皐月「言ったら逃げるだろ、司令官は?」
提督「…ふん」
皐月「…まったくもう」
隠れるように布団に潜り込む提督だった
いつき「まだまだ若輩の身ではありますが、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします」
最後に綺麗な一礼をして話を閉める
皐月「えと、いつきさん、でいいかな?司令官って呼んじゃうと紛らわしいし…」
いつき「はい、大丈夫です」
皐月「わかったよ、いつきさん。ボクが秘書官の皐月さ、よろしくね」
いつき「はいっ」
皐月「ふふ、そんな固くならなくても良いよ?秘書官って言っても、艦娘なんだし?」
いつき「いえ、そんな。艦娘でも先輩は先輩ですので」
皐月「真面目だねぇ…うちの司令官も見習ってくれないかな?」
提督「…」
毛布の中に逃げ込んでる提督に視線を落とす皐月
いつき「あの…こちらの提督は?」
皐月「え?ああ、コレだよ?」
いつき「コレ…え?コレですか」
毛布の塊を指差す皐月
反対側のソファーで丸まってる毛布(望月)が、ピクピク震えているが今は無視しておく
皐月「大事なことだから2回言うよ?これがボクらの司令官さ」
バッと毛布を剥ぎ取る皐月。丸まっている提督が露わになり、いつきと目が合う
提督「みーたーなー…」
いつき「失礼しましたっ」
ギロッと提督がにらみつけると、慌てて目をそらす いつき
提督「…ビビりすぎた、ばーか」
のっそりと起き上がる提督
提督「天津風 達を引取に来たのはいいけどさぁ…」
寝起きのせいか殊更目つきを悪くして、いつきの方に目を向ける提督
いつき「なんでしょうか…」
提督「あの程度の練度で外に出すなよ…沈める気かっての」
いつき「…それに関して、一つお願いがあります」
一瞬、怯んだ表情を見せたものの、直ぐに表情を締め直して、提督を真っ直ぐ見返す いつき
「僕達の艦隊と演習をして頂けませんか」
ー母港ー
提督「どーしてこうなった…」
皐月「いいじゃん?ボクは結構楽しみだよ、他の娘たちとの演習なんて初めてだし」
金剛「ていとくー、お茶が入ったデース」
適当な所にレジャーシートを広げて、すっかり観戦モードの3人
いつき「それでは皆さん、演習とはいえ気を抜かずにお願いしますね」
雪風「はいっ、雪風にお任せ下さい」
時津風「でもさー、私達で相手になるのかなぁ」
時津風の脳裏には、深海棲艦を一層した皐月の姿が浮かんでいた
天津風「大丈夫じゃない?皐月さんなら、ほら…あそこでお茶飲んでるし…」
時津風「あれれー…私達じゃ役不足と仰せかい」
島風「大丈夫っ私が一番はっやいんだからっ」
時津風「あー、うん。島風はそうだよねー」
よしよーしと、島風の頭を撫で回す時津風だった
ー海上ー
菊月「あれか…私達の相手というのは」
長月「艦型だけなら、雲の上の相手だな…」
菊月「ふっ、型が良いだけで戦いが出来るものかよ」
長月「そうだな…だが、油断はするなよ?」
菊月「ああ、任せろっ」
どこから湧いてくるのか、無駄に自信満々の菊月だった
睦月「それじゃーみんなー、張り切ってまいりましょうっ」
如月「そうね、司令官に良い所みせて、褒めてもらわないとだしね?」
睦月「しかりっ。たとえ相手が大鑑巨砲の彼方であろとっ、提督の賛辞は我らにっ、そして睦月はにっこり だしっ!」
天高く拳を突き上げる睦月
菊月「なんだ…それだと、睦月しか得しないんじゃ…」
睦月「えっ!?菊月は嬉しくないのっ、提督に褒めてもらえるんだよっ」
菊月「いや、嬉しくないわけでは…」
睦月「だよねっ!」
菊月「むぅ…」
睦月のテンションに押され気味の菊月だった
如月「はいはーい。それじゃそろそろ真面目にしましょうか?」
長月「まったく…こいつらは…」
楽しそうな睦月を笑顔で眺める如月と、開始早々頭の痛い長月だった
ー
皐月「それじゃ、いつきさん。開戦の狼煙を」
いつき「え、僕で良いんですか?」
ちらりと、提督の方を見る いつき
「はーい、提督あーんするデース」「あーん…」
皐月「ね?」
いつき「はい…」
なにが、とは言わないけど、意味は伝わったようだった
いつき「それでは皆さん。この演習を次の為に、次の次の為に、活かせるよう頑張ってください。それでは…」
一旦言葉を区切り、大きく息を吸う
「始めっ!」
隠して火蓋は落とされた
ー
菊月「では、私から行こう」
長月「…大丈夫か?」
菊月「任せろ」
すっと、菊月が前に出る
時津風「お、威勢の良い子が出てきたかな?」
島風「ふん、どうせ一番速いのは私だもんっ。連装砲ちゃん一緒にいくよっ」
お供の連装砲を引き連れて、島風が菊月に向かって突撃する
雪風「ちょっと、1人で飛び出したら危ないですってっ」
天津風「いいわ、私も一緒にいく。雪風達は他の娘達をお願い」
時津風「あいよー。まずは1隻だね」
天津風も島風の後を追って前に出る
天津風「島風っ」
島風「おぅっ!連装砲ちゃんお願いっ」
天津風「連装砲くん、撃ち方初めてっ」
2対1だと思っていたら、その実その倍くらいの頭数の差ができていた
景気良く撃ちまくる連装砲ちゃんと連装砲くん
そこに一発、雨あられ と続く砲火の音の全てを黙らせて、砲弾が撃ち込まれる
島風「連装砲ちゃんっ!?」
その迫力は小口径主砲の域を軽く超えていた…
空気を引き裂き、海面を引き千切りながら、直進する砲弾が連装砲ちゃんの側面を掠める
その衝撃に煽られ連装砲ちゃんが行動不能に陥った
天津風「掠めただけででしょ…今の」
菊月「ふっ…夕張、良い装備だな」
さらりと、手にした主砲を愛しそうに撫でる菊月
その手に輝くは、12.7cm連装砲B型改二★MAX
現状、駆逐艦が手にできる最高レベルの主砲だった
単純な威力だけなら、重巡のそれに手が届きそうな程の代物だった
ー
夕張「うん。我ながら良い出来だわ」
自分の仕上げた作品を、満足そうに眺める夕張
提督「ゆうばりん…いつの間にあんなもの」
夕張「しょうがないじゃないの、会う度にせがまれるんだもの…」
提督「そんなに資材あったっけ?」
夕張「すっからかんよ、当然でしょう?」
提督「…ま、いいけどね。お菊さん、楽しそうだし」
夕張「そうねぇ…」
二人の視線の先、楽しそうに主砲を撃ちまくる菊月の姿があった
夕張「ていうか、ゆうばりんってなによ?」
提督「え?可愛くない?」
夕張「かわいくない」
お気に召さなかったらしい
ー
長月「睦月、如月…お前たちはあの速いの、頼めるか?」
睦月「任せるしっ」
睦月が勢い良く飛び出し、島風の方へ進路を取った
如月「良いけれど、残りの娘達は?」
長月「あんなの見せられたら、菊月に集中するだろう…」
如月「ああ…」
2人で、あんなものを振り回している菊月をみやる
これが駆逐艦どうしの演習だって、忘れそうになるほどの迫力だった
ー
天津風「ちょっと、あなたっ。なんなのよっ、その主砲はっ」
砲弾が撃ち込まれる度、その音に肩を竦めながらも、天津風がなんとか応戦する
菊月「そちらこそ、随分と多芸ではないか…なんだ、そのちんまいのは」
対する菊月。直撃こそ無いにしろ、相手の手数の多さに至近弾が増え、次第にダメージが嵩んできているようだった
天津風「連装砲くんよっ、可愛いでしょっ!」
半ばヤケクソ気味に答える天津風
菊月「そうか、ならば私のは連装砲「様」だな。カッコいいだろうっ」
天津風「何が様よっ、偉そうにっ」
菊月「別に偉くはないがな、強いぞ?」
天津風「ひぃっ」
天津風の直ぐ横を砲弾がすり抜けていく
その余波で艤装が軋みを上げ、引きずられるように体が仰け反る
菊月「そう怯えるな。所詮演習弾だ…死ぬほど痛いだけさ」
不敵に笑みを浮かべる菊月が、さらに砲弾を追加していった
天津風「こんの、好き勝手してっ。連装砲くんっ」
叩きつけられる恐怖を押しのけながら、天津風が前に出る
菊月「自棄になれば良いというものでもないがな…」
ー
時津風「ゆきかぜぇ。あの銀髪、どうにかしたほうが良くなくない?」
雪風「ええ、それもそうなんですけど」
雪風の視線の先には、長月の姿
雪風「時津風は、天津風の援護をお願いしても?」
時津風「一応聞くけど、島風は良いのかい?」
雪風「逃げまわるだけなら、しばらくは持つでしょう」
時津風「辛口だねぇ…ま、私達2人であの銀髪をさっさと倒せば済む話だね」
雪風「私は残りの、あの娘を…」
多分、あの娘が一番怖い。と、雪風の感が告げていた
時津風「それじゃ、幸運をってね」
雪風「はいっ」
ぽんっと、お互いの手の平を軽く合わせて散開する2人だった
ー
睦月「こらー待てー」
島風「へっへーん♪あなたって遅いのねっ」
島風の迎撃に付いた睦月が追いかけていた
それは良いが、速力の差は如何ともしがたく、なかなか追いつけないでいた
睦月「にゃししし、睦月が遅い?バカな、たかだが数ノット、睦月の無理でこじ開けるしっ!」
睦月の気合に応えるように一陣の風が吹き、睦月のジャケットを旗めかせる
睦月「いでよっ、我が妖精達よっ。上がれ蒸気、回れタービンっ、睦月の睦月による睦月の為にっ」
艤装切り替え、新型高温高圧缶、改良型艦本式タービン
睦月の足元。その海面が爆ぜた
如月「…姉の影響なのかしらねぇ、やっぱり」
睦月の口上を聞き流しながら、横目で菊月の方をちらりと見る
如月「ふふ…。ま、追いかけっこは2人でやってもらいましょうか」
艤装切り替え:33号水上電探x2
電探を起動させ、未来位置を予測。主砲にデータを送り、射角を合わせる
如月「さあ、いくわよっ♪」
ー
長月「まさか、こっちに来るとはな」
雪風「妹を囮にするなんて、結構いい度胸してますねっ」
お互いに牽制の様な撃ち合いをしながら、間合いを図る
おそらく狙いは一緒、必殺の酸素魚雷
それがわかっているのだろう、付かず離れずのまま戦いは平行線ままだった
長月「適材適所だよ。出たがりだからな、あいつは。それに目立つ装備も付いているし、ちょうどいい」
雪風「そうですか。とはいえ、2対1そう長くは持たないんじゃありません?」
お互いの砲門が、両者を捉えて火を吹いた
長月「それもいい。身の程ってものが分かるだろうさ」
砲弾が長月の頬を掠めて、髪を焦がす
雪風「おや、胸を借りるつもりでしたが、遠慮しないで良さそうですね」
肩を掠めた砲弾が、制服を引き裂く
長月「遠慮か…随分と余裕だな」
雪風「確かにっ、練度は低いかもですがっ。舐められたままじゃ終われませんからっ」
長月「そうか、なら採点してやろう」
雪風「っ!?」
長月が酸素魚雷を一斉にばら撒いた
5連装酸素魚雷x2、10射線にも及ぶ魚雷群
雪風「そんなに魚雷ぶら下げて、警戒してないわけ無いじゃないですか」
雪風が直ぐに機銃を動かし、主砲と合わせて魚雷を迎撃する
長月「そうだな、警戒されてないはずがない…だからだ」
パチンッ…長月が指を弾くと、乾いた音を導火線にして、放たれた魚雷が一斉に爆発した
雪風を取り囲むようにして、9本の水柱が一斉に立ち昇る
雪風「なっ!?」
長月「手動だよ…そして、この程度で足を止めるんじゃあない」
長月の主砲が放たれる
上がる水柱を突き破り、狙い過たずに雪風に直撃した
雪風「つうっ。でも、不沈艦って言われたこともあるんです、そう簡単に」
長月「気を抜くな馬鹿者。追撃が一度だけと思うんじゃない」
雪風「へ?」
雪風の足元に、魚雷が一つ置かれていた
魚雷に誘導され、魚雷で足を止められ、魚雷でトドメを刺されるなんて
爆発が起こり、雪風が水柱に飲み込まれる
艤装より大破判定のお知らせ…
雪風「あははは…やられちゃいましたか。生意気言った手前、格好付きませんね」
長月「これからだろう。悔しいと思うなら先に進めるはずだ」
力なく笑う雪風に、長月が手を伸ばす
雪風「はい…ありがとうございました」
長月「ああ、どういたしまして」
雪風が長月の手をとり、しっかりと握りしめた
ー
睦月「にゃししししししっ!」
島風「ゔゔー。ちょっと速くなったくらいでーっ」
既に、島風と併走するまでに追いついて来ている睦月を
突き放す様に島風が更に加速した
睦月「ほほぅ、まだ速くなるかっ」
島風「連装砲ちゃんっ」
島風の掛け声と共に、連装砲ちゃんが散会して、睦月を取り囲む
島風「せーのっ!」
睦月「笑止っ!」
睦月がジャケット脱ぎ捨て上空に放り投げる
島風「なにっ!?」
睦月の動きに集中していたせいか、投げ捨てたものの正体を確かめようと、釣られる様に視線を上げてしまう
睦月「何処見てるしっ」
島風「おぅっ!連装砲ちゃん、撃って撃ってー!」
島風が気づいた時には、既に随分な距離まで踏み込まれていた
慌てた島風が、連装砲ちゃんに射撃の指示を出した所で
「きゅ~」っと声を上げて、連装砲ちゃんが砲弾に倒れた
島風「連装砲ちゃんっ!」
如月「ダメよー、視界は広く持たないと」
睦月と島風が競り合ってる地点より少し後ろ
如月のレーダー射撃による、援護が正確に連装砲の頭数を減らす
睦月「言った傍からまた油断するし…バカは死ぬ前に治さないとっ」
島風「おぅっ!」
これは余裕だ。なんて返す余裕は既に無く、睦月の砲口がしっかりと島風に突き付けられていた
睦月「ごめんなさいは?」
睦月が砲口を突きつけたまま、暗に負けを認めろと口にする
島風「うううううっ…」
余程言いたくないのか、恨みがましい視線を睦月に投げ返しながら唸り声をあげる島風
睦月「ごーめーんーなーさーいー」
島風「うーうーうーうーうーうー」
グイグイと島風のほっぺたを引っ張る睦月
もう、唸ってるのか謝ってるのか分からなくなっていた
島風「それじゃ喋れないよっ」
睦月「おっと失礼」
島風が睦月の手を振りほどくと、ふいっとそっぽ向いてしまう
睦月「にゃししししししっ」
島風「ぅぅぅぅぅぅ」
ニコニコしながら島風を撫で回す睦月と、唸りながらも大人しくしてる島風だった
ー
菊月「回りは片付いたようだが?」
撃ち合いの最中、気付けば雪風と島風が制圧されていた
天津風「あなただって、そろそろキツイんじゃないのっ」
時津風「まさか、ここで全員で掛かるなんて、大人げないことはしないよねぇ」
菊月「ふむ…それもそうだな。確かに此処は私の戦場だ」
その言葉に、内心ほっと胸をなで下ろす2人
このタイミングで4対2なんて一矢報いる事もできやしなくなる
菊月「それとて、お前たちの勝利に繋がる事はないがな…」
天津風「言ったわねぇ…連装砲くんっ」
菊月「その手品なら見飽きたぞ…」
菊月が機銃を動かして、連装砲くんに機銃弾をばら撒く
射撃位置に着こうとした連装砲くんの足が止まり、その場から慌てて逃げ出した
菊月「便利に動き回ろうが、所詮そいつは砲塔だろう…装甲など、程度が知れるらしいな」
天津風「ちっ」
時津風「だったらっ」
時津風が距離を詰めて、主砲を構える
菊月「遅いな。牽制射ならさっさと撃つべきだ」
時津風が主砲を放つ前に、菊月の主砲が放たれる
時津風「こっちだって、そんなに撃たれたら流石になれるよって」
菊月「なるほど、それもそうだ」
時津風が射線から距離をとって、大きく弧を描いて回避する
菊月「だが、牽制射ならと言ったはずだがな…」
時津風「ほえっ!」
時津風が気づいた頃には既に、12cm30連装噴進砲の砲口が複眼の様に時津風を睨みつけていた
蜘蛛に襲われる羽虫と言うのは、きっとこんな気分にでもなるのだろうかと、うっすらと考える
菊月「そこから動くなよ、熱いぞ?」
そして一斉に火を吹く噴進砲
本来空中に向けられるはずのそれが、海面を水平に突き進む
そして、一気に炸裂して海面を焼きつくした
広がる爆炎と、立ち昇る水蒸気で視界が霞む
時津風「あちちちっ。無茶苦茶するなぁもぅ…」
菊月「球磨型家家訓。一つ、相手の懐にある勝利をもぎ取ってでも勝て…だそうだ」
爆炎と水蒸気の雲の中から、菊月が立ち昇る陽炎の様にゆらりと姿を見せる
時津風「いやいや、君は睦月型でしょうよ」
菊月「ふむ、それもそうだな…それで?」
それがどうしたとばかりに、主砲を突きつける菊月
時津風「あーはいはい。降参でーす」
両手を上げて負けを認める時津風
菊月「さて、貴様はどうする?」(←シャフ度
肩越しに天津風の方を見やる菊月
気付けば天津風の主砲がこちらを向いていた
天津風「…」
無言のままに天津風が主砲を発射し、それを答えとした
菊月「…」
砲弾が菊月を掠めて綺麗な銀髪を弾き飛ばす
菊月「これまでだな…」
天津風「みたいね…」
気付けば、周囲を囲まれていた天津風
最後の一発を外してしまえば為す術もなくなり、素直に主砲を下げる
菊月「いや…久々に楽しかったよ…」
長月「はしゃぎ過ぎだ、バカもの」
菊月の体から力が抜けて、その場に倒れこむ
それを、長月がすんでの所で抱きとめた
近くで見てみれば、大きな怪我は無いものの。割りとあちこちがボロボロになっていた
虚勢だけで、よくもここまで立っていられると感心する程に
ー
いつき「思っていたよりも、戦闘になりましたね」
場合によっては瞬殺なんて展開も予想はしていたけど
戦闘と呼べる程度には張り合えていたかなと
長門「いや、あれは艤装の性能差で保たせたようなものだろう…」
辛口な評価な長門さんだった
いつき「それはそうでしょうけど。あちら側の装備も最新のものが揃っていましたし、お互い様では?」
B型改2★MAXに新型高温高圧缶まで持ちだされて、艤装の性能差も何も無いだろうと
長門「ん、それもそうか。さて…」
いつき「長門?」
話を切り上げて、歩き出そうとした長門を呼び止める
いつき「反省会ならまた後日でお願いします」
長門「む、しかしこういうのは熱いうちにと…」
いつき「長門がやると、凹んで戻らなくなりそうなので」
長門「むぅ…加減くらい弁えてるつもりだがな」
心外だなと、顔にだしつつも。思い当たる点はあるのか、考えこむ素振りを見せる長門
いつき「ふふ、まあそれは冗談だとしても。人前でやるような事でも無いでしょう、ね?」
長門「わかった」
ひとつ頷いて、同意する長門
いつき「さて、次は…」
ー
金剛「わーたし達の出番ねー、Follow me!!」
卯月「みーっ!」
弥生「みー…」
金剛の掛け声に、元気に応える卯月と淡々と応える弥生
天城「では、雲龍姉さん、葛城、準備は良いかしら?」
葛城「いつでもいいわっ」
雲龍「ええ…良いのだけれど、あれは何かしら?」
すっと、静かに腕を伸ばし、問題の地点を指さす雲龍
金剛「ふっふっふっ。よくぞ聞いてくれましたっ」
卯月「これが、うーちゃん達の切り札ぴょんっ」
金剛に肩車されている卯月。そんな2人が胸を張って宣言する
「防空戦艦のっ、金月デース(ぴょーん」
弥生「よっ、いっぽんいち…」
なにゆえ用意していたのか、紙吹雪をパラパラとばら撒く弥生さん
葛城「真面目にやりなさいよっ、あんたらっ」
至極まっとうな意見である
雲龍「凄いわね…最近の戦艦はあれが主流なのかしら」
天城「いえ姉さん。そんな事は決してあり得ませんので、どうかお気を確かに…」
雲龍「そう…」
ちらっと長門の方を見る雲龍
雲龍「…(防空戦艦の…長風?風門?かしら?)」
などと、謎の強化計画に胸を膨らませる雲龍さんだった
金剛「真面目に(防空戦艦)やってるデースっ」
卯月「そっちだって、軽空母が1隻混じってるぴょんっ。雲龍型は正規空母って聞いてたのにっ」
弥生「…卯月卯月」
くいくいっと、ぶら下がっている卯月の足を引っ張る弥生
弥生「あれでも正規空母…」
そして、こっそりと真実を伝える
卯月「…まさかの瑞鳳改2ぴょん…」
金剛「おいたわしや…」
およよよよ…と、わざとらしい涙を流す防空戦艦
「私はあんなに小さくないわよっ」
目の前と、そして後ろの観客席側から、同じような台詞が重なった
天城「葛城、落ち着いて。雲龍姉さんもそろそろ戻ってきて下さい」
真面目な娘に被害が行く、そんな世の中だった
ー
そんなこんなで始まった、防空射撃演習
流石に正規空母が3隻そろえばそれなり以上の艦載機が飛んでくる
ざっと見積もって、100以上は軽くありそうだった
金剛「卯月、諸元よろしくぴょん」
卯月「まかせるネー」
何故か口調を入れ替えてる2人、余裕綽々だった
卯月「これぞ、駆逐艦の夜明け。出るぴょんっ、超10cm砲」
注※超10cm砲→10cm連装高角砲+高射装置付き
卯月の両手に握られた主砲が火を吹いた
ー
夕張「うん。我ながら良い出来だわ」
自分の仕上げた作品を満足そうに眺める夕張
提督「ゆうばりん、いつの間にあんな装備を」
夕張「しょうがないじゃないの、会う度にせがまれるんだもの」
提督「そんなに資材あったっけ?」
夕張「すっかんぴんよ、決まってるじゃない?」
提督「ま、いいけどね。うーちゃん楽しそうだし」
夕張「そうねぇ…」
二人の視線の先に、楽しそうに撃ちまくる卯月の姿があった
夕張「ていうか、ゆうばりんって…気に入ったの、それ?」
提督「すこし…」
夕張「はぁ、もぅ…」
ため息吐きつつも、やめろとは言わない夕張だった
ー
菊月のそれに比べて一撃の威力が劣る分、発射速度と連射速度で上回る超10cm砲
ものすごい数の砲弾が、ものすごい速度で次々とお空に送られていく
そして、その情報を元に金剛が46cm砲の狙いを付ける
金剛「OK,だいたい把握しました。撃ちますっFire!」
ハートの海域に恋の弾丸がバラ撒かれる
炸裂した三式弾が、艦載機群を次々に飲み込んでいく
葛城「ちょっとっ、なんで金剛型が46cm砲なんて積んでるのよっ」
金剛「Why?戦艦ですもの、46cm砲くらい積みます。レディの嗜みデース」
さも当然の様に、しれっと答える金剛
葛城「そんな訳あるかーっ!」
納得行かず、じったんばったんと地団駄を踏む葛城
海面がぴちゃぴちゃ跳ねて、水たまりで遊ぶ小学生みたいになっていた
天城「葛城落ち着いて…いちいち反応していたら」
雲龍「でも、うちの長門さんは積んでないわね。レディーではない?じゃあ…やっぱり、鉄の女(アイアンマン)とかかしら?」
ふむふむと、1人考察を始める雲龍
天城「雲龍姉さんも戻ってきて下さいぃ…」
天城の心労が増大していった
弥生「卯月、そろそろいい?」
防空戦艦の影に隠れていた弥生が、ひょっこり顔出す
卯月「ぴょん?やよやよ も七面鳥撃ちするぴょん?」
弥生「うん」
状況は既に、金剛達の側に倒れこみ
三式弾の網から抜けてくる艦載機もまばらでしかなく、卯月に落とされるか、サクッと避けられるかといった具合だった
弥生「追い詰めます…任せて」
12・7cm後期型、大人の事情で改修はされなかったけれど
それでも十分優秀な駆逐用主砲が、仰角を上げ照準を定める
狙うは艦載機よりも、その奥に鎮座する空母
そして、まずは一発。空中に向かって放たれる砲弾
放物線を描きながら、前に前にと飛んで行く
葛城「ん?何あの娘、何処狙って…」
主砲を構えたものだから、こっちを狙ってくるのかと思えば
あさっての方向へ放たれる砲弾。そこに艦載機がいるわけでもないのに
それにしても、主砲弾にしては随分とゆっくりと、放物線を描いて、なにゆえこちらに?
葛城「ちょっとっ!?あれ爆雷じゃないのっ!?あ、え、と、落として落としてっ」
天城「葛城っ、そこで爆発させたら…」
不足の事態に慌てた葛城が、慌てて対空砲を起動させて、飛んできた爆雷を叩き落とす
空中で炸裂する爆雷。その破片やら熱風やらが葛城の頭の上に降り注ぐ
葛城「あつっ、あっついってっ」
そんな中、さらに2発3発と爆雷がどんどん降ってくる
葛城「ちょっとっ!?そこの駆逐艦っ、なんで空母に爆雷なんてっ!?」
弥生「?」
不思議そうな顔をして首を傾げる弥生
葛城「そんな顔すんなっ、私がバカみたいじゃないのっ!」
天城「どーどー」
地団駄を踏む葛城を抑えてなんとか宥めすかす天城
弥生「落ち着いて欲しい。空母に爆雷を使ったって良いじゃない、自由とはそういうもの」
すっと手を上げて、止まれをする様に手の平を晒す弥生が、そんな事を宣った
金剛「Freedom♪いい言葉デース」
卯月「まさに、うーちゃんの為にあるような言葉ぴょんっ」
雲龍「そうね、何者にも縛られない、雲のような言葉だわ」
しれっと、混ざる雲龍。雲と自由に自分の名前を重ねていた
葛城「うおおおおお…」
ついには頭を抱えて蹲る葛城。弥生が追い詰めていた、精神的に
天城「ああ…葛城。雲龍姉さんも、どっちの見方なんですかぁ…」
雲龍「天城…相手の肩を持ったって良いじゃない?自由とはそういうものよ」
天城「あーんもー…」
ついに天城も折れた、精神的に。そして雲龍は金剛達の肩をもち、戦意喪失に付き戦闘終了
ー
長門「…」(←鉄の女
長門が頭を抱えていた
負けること事態は別に良い、もとより練度の差はかなり開いている
だとしてもそうだとしてもだ…
いつき「あははは…これは、相手に飲まれちゃいましたか」
さすがの いつきも言葉に詰まっていた
矢矧「ま、気を取り直しましょう。最後は私達ね…」
長門「ああ、そうだな…提督、行ってくる」
いつき「はい、お気をつけて」
ー
海上にて、相対する
長門と阿賀野型軽巡。それに対しては球磨型軽巡が勢揃いだった
長門「しかし、正気かお前たち?」
まさか戦艦無しで演習に入ると思っていなかった長門が、疑念を口にする
球磨「球磨はいつだって常識人だクマ」
長門の問に胸を張って返す球磨
多摩「…どの口が言ってるにゃ」
北上「常識とは何だったのか…」
などと、ぽつりと呟く妹達
球磨「木曾、大井。後で工廠裏」
木曾「おいっ!」
大井「何も言ってないじゃないのっ!」
完全な濡れ衣だった。というか、球磨が弄りたいだけだった、理由なんてどうでも良かった
長門「お前たちは…」
矢矧「長門さん、今はそういう事を言う場所ではないわ」
小言を連ねようとしていた長門を、矢矧が制する
矢矧「文句は勝ってから言いましょう、真正面から、ね?」
長門「了解した」
そっと耳打ちする矢矧。その言葉に長門も頷いた
矢矧「今日は宜しく頼むわね」
阿賀野「阿賀野でーす♪」(きらりーん
酒匂「酒匂だよー」(ぴゃぁ
能代「二人共挨拶くらい真面目に…」
球磨「…そっちも大概だクマ」
長門「うぐ…」
やれやれと首を振る球磨ちゃんだった
ー
球磨「さて、先攻はもらったクマ」
20.3cm・15・5cm3連装砲x2と、小柄な体にこれでもかと過大な砲を積み上げる
球磨「ぶっとべぇぇぇっ!」
躊躇うことの無い一斉射
開幕の狼煙にしては、十分すぎるほどの轟音が響き渡った
長門「それで終りか?」
球磨「ほぅ…」
球磨の斉射を真正面から受け止めた長門
避けるつもりなどハナからなかった様で、その場からは一歩も動いてはいなかった
球磨「…くくくく、流石は戦艦だクマ。しかしそれだけクマ」
球磨が小さくほくそ笑む
なるほどどうして長門型だ。中口径主砲程度じゃ傷をつけるのもやっとか
最初から受け止める気だった、というのも分かる話だが
ならば仁王立ちでもして、球磨達にプレッシャーでも掛けてれば良かったものの
長門「なんだと…」
長門の左腕が真横に真っ直ぐ伸びていた
そして、その後ろには酒匂。轟音に驚いたのか、怯えたように半歩後ずさっていた
球磨「球磨型家、家訓。一つ…相手の懐にある勝利はもぎ取るクマ」
木曾「了解した」
北上「そいじゃ、そのデカブツは頼んだよ。あーおっかないおっかない」
大井「あ、北上さん。私も一緒に」
多摩「にゃぁぁ…」(←あくび
家訓が物騒な割にはゆるゆるな当人達だった
ー
矢矧「どういうつもり?あなた雷巡でしょう?」
木曾「どーもうこうもねーよ。姉貴達の獲物を取る気はないってだけだ」
矢矧「慢心で負けました、なんて聞きたくはないけど、ねっ」
構わず主砲を撃ちこむ矢矧
木曾「はっ、安心しろ。人の心配より自分の心配が先だ」
矢矧が放った主砲弾を、木曾がサーベルを一振りして切り払う
矢矧「ちっ、伊達でそんなの持ってるわけじゃないわけね」
木曾「いや、下手の横好きさ。ほら、お返しだ」
反撃に転じた木曾が主砲を2発3発と撃ち込んでいく
矢矧「そんなものにっ」
木曾「それなら足元にも気をつけな?」
矢矧「魚雷っ!?」
矢矧の足元より水柱が上がり爆音が響く
木曾「へぇ、バルジか。上手く避けるじゃないか」
バルジを展開してなんとかダメージを逸らす矢矧
矢矧「はぁはぁ…そうね、確かに人の心配してる暇は無さそう」
横目で長門達の方を確認する
矢矧「…(一緒にいるのは酒匂か。阿賀野姉達は?)」
視界を広げると更にその後方。自分と同じように、雷巡2隻に囲まれてる阿賀野と能代
矢矧「あなた達、まさか…」
そこで気づく。長門と一緒とはいえ、まだまだ練度の低い酒匂
援護どころか、身を守るのもおぼついてない感じだった
だからといって、私達は雷巡に抑えられて動けない
木曾「おいおい、何処に行くんだ?」
急に進路を反転して長門たちの方へ戻る矢矧
矢矧「っ!?」
だが、その進路上で魚雷が炸裂して道を塞ぐ
矢矧「いつから…」
相談なんてしてるようにはとても見えなかったのに、と
木曾「いつから?最初からさ、球磨が馬鹿みたいに一斉射したあの瞬間な」
矢矧「そう…長門さんが酒匂をかばったせいね?」
木曾「察しが良いじゃないか」
挑発するように木曾が両手を広げて、正解だとアピールする
矢矧「…なら、どうして私を直ぐに沈めなかったの?あなたなら、出来たはずでしょう?」
木曾「俺達だって、長門型と正面からやりやいたい訳じゃねえよ…今の長門には油断があるからな」
矢矧「…」
確かに、思い当たる節はあるけれど
木曾「軽巡2隻くらいってな?ビッグ7の誇りか知らんが。だが、ここで矢矧。お前やあそこの姉妹たちがやられたら、いい加減本気を出すだろう?」
それでは面倒だと
矢矧「ふん。勝利をもぎ取るなんて言う割に、随分せせこましいじゃない?」
木曾「相手の懐が開いてるんだ、取りやすい内にとっとくもんだろう?」
矢矧「そう…じゃあ、私の勝利は今此処ね」
矢矧が木曾に向き直り主砲を向ける
長門の援護に戻ろうかとも思ったけど、先にこいつを倒す
ここまで乗せられてしまって、今更って気もするけれど
鼻っ柱くらい折ってやりたくなっていた
木曾「ははっ、正解だっ♪」
球磨達が長門を落とす前に、お前は俺を落とせ
矢矧に提示された勝利条件がこれだった
矢矧「雷巡…私を沈めたいなら、魚雷の5,6本くらい用意することね」
木曾「はっはっはっ。安心しろ、その倍はくれてやる」
再び交わされる砲火。先程よりも熱く激しく燃え上がっていった
ー
能代「…不味いわね、大分長門さん達から離されてる」
北上「へぇ…そっちの彼女。察しがいいじゃん」
ナンパでもしてるのかって気安さで北上が声をかける
阿賀野「うひゃぁぁっ。の、能代、魚雷が魚雷がぁぁ」
自分の足元に来た魚雷。それに気づき慌てて足を上げて難を逃れる阿賀野
能代「むむむ…」
能代が眉根を寄せる。状況は最悪だった
北上と大井に囲まれた2人
さっきから引っ切り無しに魚雷が行き交い、逃げ場なんて何処にもなく
その場に釘付けにされていた
北上「君らが負けを認めてくれるなら、北上様達も楽でいいんだけど?」
阿賀野「みっとめるわけ無いじゃないっ。バカにしてー、もう怒ったんだからぁ」
能代「あ、ちょっと阿賀野姉っ」
魚雷発射管を動かし北上に向けて発射する阿賀野
だが、迷路の壁は厚かった。魚雷が魚雷にぶつかり、北上のもとに届く前にドミノ倒し宜しく爆発が連鎖していく
阿賀野「ひゃぁぁぁぁ!?」
能代「もうっ、阿賀野姉なにやってんのよっ」
阿賀野「ごめんなさーいっ」
次々と立ち昇る水柱で、見えなくなっていく姉妹の姿
大井「はぁ…何やってんのよ」
北上「長女は曲者、どこでも同じだねぇ」
現在進行形で嬉々として長門と撃ちあってる姉の姿を横目に見ながら、ぼやく北上様だった
ー
長門「どうしたっ、大口を叩いた割にはその程度かっ」
球磨「やれやれ、コレだから戦艦は…」
41cm砲の砲弾をなーなーで避けながら
反撃に自身の主砲弾をばら撒いていく
時折、魚雷を混ぜ込みながら、長門の動きを牽制するのも忘れずに
多摩「…しかし、あの軽巡」
球磨と一緒に長門を相手取りながらも、酒匂の方に目をやる多摩
酒匂「てぇってぇってぇぇぇっ」
長門の後ろから、砲撃をしてるまでは良いが
狙いが甘すぎて、止まってても当たる気にはなれなかった
実戦経験の無さが露骨に現れた、哀れなほど薄っぺらい砲撃だった
多摩「論外」
そう結論して、酒匂の存在を切り捨てる
多摩「やっぱり、問題はあれか…にゃぁぁ」
41cm砲を前にして、よくもまあ あれだけ撃ちあってられる、多摩まで巻き込まないで欲しい、ほんと
長門「この距離なら避けられまいよっ」
長門が球磨に肉薄し、眼前に41cm砲を突きつける
球磨「バカがっ、近すぎるクマっ」
長門「なっ…かはっ!?」
突き付けられた41cm砲を掻い潜り、球磨が長門の懐に潜り込む
その勢いのまま背中から長門に体当たりをかまして、再び距離が開く
そして、長門が体勢を立て直す前に主砲を撃ち込み、ダメージを加速させていく
長門「ちぃぃ。その程度の砲弾、何発撃ち込まれようが…」
球磨「いいや、そろそろ限界クマ」
そう言って、球磨が仕上げとばかりに20・3cm砲を撃ちこむ
長門の艤装が軋みをあげ、小さな爆発が起こる
しかし言ってしまえばその程度、小破になったくらいで直ぐにどうこうなるものでもないのだが
長門「なにっ!?」
艤装から火の手が上がったことで一瞬長門の意識が逸れる
多摩「そう、欲しかったのはそこ…」
今まで適当に援護していた多摩の照準が、キッカリと酒匂を抑えた
間髪入れずに、多摩の主砲弾が酒匂に向かって放たれる
長門「酒匂っ!」
酒匂「へ?ぴゃぁぁぁっ!?」
飛んで来る砲弾に、酒匂の足がすくみ動きが止まる
一直線に飛んで行く砲弾。だがしかし、本来なら酒匂に直撃してたであろうそれは長門の体に阻まれる
長門「随分と、小賢しい真似をしてくれるじゃないか」
ギロリと、長門が球磨たちを睨みつける
気が逸れていたせいで反応が遅れた長門
間に合ったは良い物の、無茶な体勢で砲弾を受け止めたせいか、主砲が損傷していた
球磨「くまくまくまくま♪」
だが、そんな怒気を孕んだ視線もどこ吹く風で
多摩「本当に小賢しいのはここから…」
多摩がニヤリと微笑んだ
酒匂「長門ちゃんっ下っ!?」
長門「なっ!?」
足元には甲標的の影。もうどうしようもない程の距離から魚雷が放たれた
ー
矢矧「ちぃっ」
時間だけが過ぎていく。それに比例して焦りも塵積もっていた
本当に時間を稼がれている、ただそれだけの戦闘だった
打開策が欲しいけれど…あの外套がどうにも気に入らない
不用意に近づけば、サーベルの刃が伸びてくるし
距離を取ったなら取ったで、いつの間にか魚雷が射出されている
外套の下で次は何を仕込まれているか分からない
そんな疑心暗鬼が矢矧の攻撃の手を更に鈍らせていた
木曾「頑張ったが、時間みたいだな」
矢矧「え?」
木曾が外套を翻し、サーベルの刃を鞘に収める
そして、その切っ先を海面に叩きつけた
遠くの方。長門達のいる地点で上がる水柱
そう、魚雷でも直撃すればあんなふうになるだろうかと
矢矧「あなた、何をしたのっ」
木曾「後ろだ」
矢矧「え?」
振り向けば海中に甲標的の影
木曾「下手の横好きだと言ったろう。俺は、そういうのの方が向いてるんだよ、忌々しいがな」
サーベルを収納する頃には、片が付いていた
ー
木曾「動けるかい?」
海の上にぷかぷか浮かんでいる矢矧に手を伸ばす
矢矧「一応は…死ぬほど痛いけどね」
木曾「それだけ言えれば十分だ」
木曾の手を取る矢矧
その手をしっかりと握りしめ引っ張り起こす
矢矧「はぁ…負けたわね」
木曾「ああ、俺の勝ちだな」
握った手を握手の形に変えて、どちらからでもなく手を放した
矢矧「次は負けないから」
木曾「おうっ、俺にコレを使わせないくらいにはなっとけよ?」
そう言ってサーベルを掲げて見せる木曾
矢矧「ふふ…。ほんと、忌々しいわね」
木曾「あはははは。諦めろ家柄だ」
ー
阿賀野「とつげきーっ!」
能代「ちょっとっ、阿賀野姉っ!?」
魚雷の爆発が収まり、水煙が晴れるかどうかというタイミングで
何を思ったのか阿賀野が急に飛び出した
隣にいた能代でさえ、その動きについて行けず背中を見送るばかり
北上「おっと…やるじゃない」
大井「計算してたとは思えませんけどね…」
北上「天然ってのは一番怖いよねぇ」
阿賀野が不用意に爆発させた魚雷群
怪我の功名とでも言うべきか、そのおかげで魚雷の迷宮が崩れていた
その1点を付いて飛び出す阿賀野
阿賀野「あー、後でまた能代に怒られるのかなぁ…はっ、きっと矢矧にも…助けて酒匂っ」
末妹に頼るお姉ちゃんだった
といっても、逐一説明してる暇もなかったし
北上「そこでボーナスステージの時間ですよーん」
阿賀野「ひぃっ、でたぁぁぁ」
北上「…人をお化けみたいに言ってくれるねぇ」
先行していた阿賀野に北上が追いつき並走する
阿賀野「みたいじゃなくて、そのものじゃないっ。この妖怪魚雷お化けっ」
北上「いや、お化けなのか妖怪なのか、はっきりしておくれよ。北上様困っちゃうよ」
阿賀野「どっちも一緒でしょっ」
北上「いやぁ…そうなんだけどねぇ」
阿賀野「…で、ボーナスステージってなによ?」
先ほどの言葉の意味を問いただす
北上「ここで北上様を倒せば、お叱りから逃れられるんじゃないのかい?」
阿賀野「それだっ」(ドーンっ
叫ぶと同時に阿賀野の主砲が火を吹いた
北上「ひゅぅぅ~…おっかないなぁ」
不意打ち気味に放たれたそれを、紙一重で躱す北上
阿賀野「あーもー外したじゃないっ。なんで動くのよっ」
北上「…」(←ちょっと面倒くさくなってきてる
魚雷発射管を起動させ、無言のままに魚雷をばら撒く北上様だった
阿賀野「きゃーっ、やっぱり妖怪じゃないのよっ、このこのこのこの」
大量に迫り来る魚雷を、機銃やら主砲を使って何とか捌く阿賀野だった
ー
大井「それで?あなたは追いかけなくて良いんですか?」
能代「そんな事言って、行かせてくれないじゃない」
大井「それはまあ♪」
大井の主砲が能代にグリグリと押し当てられている
「うごいたらうつうごいたらうつうごいたらうつ…」
などと呪いの言葉のセットでついて
能代「…妖怪魚雷お化け」
ポツリと能代が恨み言を口にする
大井「あははは、面白い冗談ねぇ」
能代「ああ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい(以下略」
主砲がさらに強く押し付けられ、恨み言は実力行使で返された
ー
阿賀野「こっちにだって、魚雷くらいあるんだからっ」
北上「それって、今そこで爆発したやつかい?」
阿賀野「ふぉぉぉぉぉっ!?」
北上に向けて魚雷を放った阿賀野
はずだったのだが、一瞬のうちにして全て迎撃されていた
阿賀野「こ、こうなったら…」
阿賀野の肩がふるふると震えだす
北上「ん?」
それを怪訝な顔で眺める北上
阿賀野「とつげきーっ!」
そんなに姉妹に怒られるのが嫌なのか
ヤケクソなのか、ヤブレカブレなのかは分からないけれど
阿賀野が全力で北上に向かって加速した
北上「えぇぇっ、ちょっとっ、えぇぇぇ…」
そんな予想外の阿賀野の動きに北上の動きが固まる
そして…2人がごっつんこするのにそう時間はかからなかった
北上「いつつつ…無茶するねぇ、あんたも」
阿賀野「はらほれひれはれ~☆※○△□×」
北上の上に覆いかぶさる様に倒れこむ阿賀野
完全に目を回していて、すぐには起きそうにはなかった
大井「あらあら~この娘は北上さんに何をしてくれてるのでしょう?」
そこへ黒い笑顔の大井が現れる
北上「ま、いいじゃん?こうやって、あたしから一本取ったんだし?」
そういって、無遠慮に阿賀野の頭を撫で回す北上
大井「ちょっと、能代っ」
能代「なんで私なのっ」
大井「あなたの姉でしょうっ、早くどうにかなさいなっ」
能代「そんなこと言われてもぉ…」
真面目な娘ほど苦労する、そんな世界だった
ー母港ー
演習が終わり、参加メンバー集まってわいわいがやがやと騒がしくなっていた
睦月「提督っ!勝ったよっ!褒めてっ!」
演習を終えた睦月が、提督の前に転がり込んでくる
尻尾でも付いてたら、ぶん回してそうなテンションだった
提督「え?」
睦月「え?」
そんな睦月に何それって顔で返す提督
思わぬ返答に睦月がきょとんとした顔になり、しばし2人で見つめあう
睦月「え、じゃないよっ、頑張ったんだよっ、ほめてほめてっ」
提督「おー、えらいえらい」
棒読みのまま睦月の頭を撫で回す提督
睦月「適当だしっ!」
ご不満の様だった、そりゃそうだ
如月「もう、司令官ったら。たまには褒めてあげても良いんじゃない?」
提督「ん?そうは言うがなぁ…はい、出来た」
如月「あら…」
睦月「ほへ?」
提督が撫で回していた睦月の頭から手を離す
ぼっさぼさ だった。くせっ毛が絡み合い押しのけ合って毛羽立っていた
提督「な、面白いだろ?」
如月「ふふふっ…もう、ズルいわ…」
口元に手を当てる如月。笑い声が端から漏れていた
睦月「え?なになに?」(←気づいてない
如月「はいはい、睦月はちょっとこっち来ましょうね」
進化したら、レデ。ガガにでもなれそうな状態の睦月の頭を直し始める如月だった
ー
いつき「皆さん、お疲れ様でした」
戻ってきた天津風達に いつきが労いの言葉をかける
時津風「ごめーんしれぇ。まけっちゃったー」
いつき「良いんですよ」
軽く微笑んで時津風の頭に手を置く いつき
いつきの手が乗っかると、嬉しそうに目を細める時津風だった
いつき「睦月型の皆さんも、本日は演習のお相手ありがとうございました」
律儀に頭を下げる いつき
菊月「ん、いや」
長月「ああ、こちらこそ…」
そんな いつきの態度に困惑する2人
雪風「どうしたんですか?変な顔をして…」
長月「あ、いや…すまない。素直に礼を言われるとは思ってなくてな」
いつき「なにか、変だったでしょうか?」
菊月「変では無いが…普通なんだな」
いつき「あはは…普通ですか」(←ちょっと気にしてる
率直な菊月の感想だった。自分の司令官しかり、どこぞの大元帥しかり
提督なんて、不条理の塊の代名詞だとさえも思っていたものだから
あまりにも普通な対応の いつきに少し違和感を覚えていた
「あー…」
なんて同意するような声が天津風達から漏れた
天津風「ま、確かに家の司令は普通よね」
時津風「良くも悪くもねぇ」
島風「足おっそーい」
言いたい放題だった
雪風「あ、でもっ。雪風は司令の事好きですよっ」
いつき「あははは。ありがとう雪風…しかし、普通ですか」(←割と気にしてる
雪風の小さなフォローが、いつきの胸に染みていた
ー
金剛「Congratulations♪Penalty timeのお時間デース!」
卯月「さあ、3人共っ。3回回ってぴょんっていうぴょんっ」
いわゆる罰ゲームの時間だった、敗者に口無しとは球磨の教えである
葛城「なんでそんな事しないといけないのよっ」
雲龍「ぴょんぴょーん♪」
金剛「HAHAHAHA♪雲龍はノリが良いデスネ!」
卯月に食って掛かる葛城とは対照的に
両手で頭に耳を作って、兎になりきってる雲龍さんだった
ー
弥生「…うさ耳もあるよ?」
天城「…えーと」
出来ればやり過ごせないかと、遠巻きに眺めていた天城の元に、届けられるコスプレグッズ
天城「…ぴょん」
うさ耳を装備した天城が、小さく消え入りそうな程のか細い声で「ぴょん」と口にする
真っ赤になる天城の顔、それを隠すように両手で顔を覆ってしゃがみ込んでしまった
弥生「ふふ…かわいい」
そんな天城の頭を満足そうに撫でる弥生だった
ー
卯月「はぁ…これだから胸が小さい奴は。心までも小さいぴょん」
はーやれやれぷっぷくぷーと、卯月が呆れるままに首を振る
葛城「小さくなんて無いわよっ、普通よっ標準よっ標準、回りが大きいだけなんだから」
周りが大きいだけ、それは確かにそうなのだけど
葛城ものが、体型の割に控えめな事実が変わるわけでもなかった
卯月「うぷぷぷぷ…ねえ、葛城?お前は今までに測った胸のサイズを覚えているのか?」
葛城「こんの…忘れられるわけ無いじゃないのっ!」
忘れられるわけなんて無い、それはそう…それはだって…変化してないのだから
葛城の中で何かが破れる音がした
すぐさま弓を構え、艦載機を発艦させる葛城
卯月「ふははは。貧乳貧乳っ」
飛んでくる艦載機をあっさり迎撃していく卯月
葛城「貧乳っていうなバカうさぎっ」
逃げ出す卯月を折って、葛城も走る
卯月「無駄無駄無乳無駄無駄ぁぁぁ」
葛城「いま無乳っつたなぁぁっ!?」
卯月「うぷぷぷぷ♪最高に無いって奴だぁ!」
葛城「泣かす…絶対に泣かしてやるんだからーッ!」
言ってる本人が泣きそうだった
そんな葛城の艦載機が全部落とされるのに、そう時間は掛からなかった
いつき「あの…あの分のボーキサイトって…」
あの分→ボーキ255
備考:卯月の弾薬消費量:15
提督「自前に決まってるだろう」
いつき「ですよねぇ…」
資材の管理に頭を悩ませる少年だった
ー
球磨「罰ゲームの時間だクマーっ!」
阿賀野「いえーいっ♪」
球磨の掛け声に何故かノリノリの阿賀野姉
長門「罰ゲームだと…何故そのような」
露骨に嫌そうな顔する長門
球磨「敗者に口無しクマ」
多摩「郷に入れば郷に従え…此処ではそういうルール」
長門「…しかし、な」
とはいったものの中々首肯しない長門
多摩「おやぁ、ビッグ7といってもデカイのは体だけみたいにゃ」
長門「ぬぐっ…」(←でか女
球磨「人に合わせることも出来ないガッチガチの艦娘クマ」
長門「ぬぅ…」(←鉄の女
折れた。案外と脆かった
長門「わかった…良いだろう、何をすればいい」
「くまくまくまくま♪」「にゃししししし♪」
キラ付が完了した球磨ちゃんずだった
球磨「さて、そうと決まれば…ほぅ」
なにか面白いネタはないかと周囲を見渡す球磨
酒匂「ぴゃ?」
その目が酒匂の所で止まった
球磨「くまぁ♪」
ニヤリと良い物を見つけたと、意地の悪い笑みを浮かべる球磨だった
球磨「これだクマっ」
長門「…何をバカなっ」
多摩「ビッグ7がデカイのは…」
拒否しようとした所で多摩が長門に耳打ちする
長門「むぅ…」
球磨「ほら、早く「ぴゃー」って鳴くクマ」
球磨に2・3小突かれ、ようやっと観念した長門。そして…
長門「ぴゃ、ぴゃー…」
赤くなる長門の顔
「…」
普段は絶対言わない人が変な事口走っている
そんな状況に一瞬場が静まり返った
長門「…ど、どうせ似合わないだろ…ぴゃぁ」
阿賀野「ぷふっ、あはははははははwwwwwww」
そんな沈黙のダムを決壊させ、阿賀野が大声で笑いだす
阿賀野「長門ちゃんが、ぴゃーってっくくくくく、むりむりむり、お腹痛いお腹痛い」
地面の上を転がりまわる阿賀野姉
能代「ちょっと、阿賀野姉…笑い過ぎだって…」
阿賀野を宥めようとする能代。なんだかんだ言いつつも、その肩が小刻みに震えていた
長門「いいんだ能代…笑え、せめて笑ってくれ。ここまでして笑いも取れんようでは、やりきれん…ぴゃあ」
能代「ごめん、長門さん…ふふふふふwwww」
阿賀野「やだやだやだ、ちょっとやめてってば…ほんとに、笑いじぬぅぅwww」
笑い出す能代の声も聞こえなくなるほどに、大声で笑ってる阿賀野姉だった
矢矧「はぁ…はぁ…」
木曾「大丈夫か?」
orz←よく見るこんな体制で、地面に手をつき肩で息をしている矢矧
顔は赤く、体は小刻みに震えていた
矢矧「ごめんなさい、木曽さん…ははは…はぁ、はぁ…少し耳を塞いでくれないかしら…これ以上聞いたら私」
木曾「お、おぅ…」
言われるままに矢矧の耳を塞ぐ木曾さんはきっと優しい
きっと阿賀野姉さんみたいに、大声で笑えれば楽なんだろうけれど…
プライドや自制心が邪魔をして、中々それが出来ずにいる矢矧
その結果。飲み込んだ笑い声が体中をかき回して沸騰しそうになっていた
長門「ん…まて、罰ゲームと言うならこれは、お前たちも」
ふと、そんな事実に気づく長門
北上「おやおやぁ?連合艦隊旗艦どのは、敗戦の責めを部下にも取らせるつもりかい?」
大井「ダメですよ北上さん、「元」です「元」今はただデカイだけの…」
長門「ええい、皆まで言うなっ。朝までだろうっ、いいさっやってやるっ」
「ぴゃあああああっ!」
長門の中で何かが壊れた
酒匂「…」
そんな皆の輪の中から少し外れて、酒匂が1人丸くなっていた
酒匂「あ、あたし…いつもあんななの…」
自分の口癖を真似されるのが、とっても恥ずかしいことを身を持って実感した酒匂
変な所にまで余波が飛んでいた
ー
ーおしまいー
ー
初めまして、御影いつき です
此処から先は、ちょっとした小ネタになります
僕の鎮守府の一幕ですね
よろしければ、もう少しお付き合い下さい
ー廊下ー
「がるる~♪」
廊下に響く可愛い唸り声
なんともなしに、いつき によじ登った時津風が
肩に手を回し、足をぷらぷらさせながら、おぶさっていた
割といつものことなのだろう
いつきも、じゃれつく時津風に何を言うでもなく好きにさせていた
いつき「すみません、酒匂にまで手伝ってもらって」
酒匂「ぴゃぁ♪司令、もっと酒匂に頼ってくれてもいいんだよ。酒匂、なんでもしちゃうからっ」
いつき「あはは。ありがとうございます」
力いっぱい応える酒匂
その手の内にある書類に少し皺がよっていた
「がるる~♪」
時津風の唸り声が、ネコが喉をならしそうな音程に入っていた
雪風「もぅ、時津風…そろそろ降りなって」
苦言を呈す雪風
みんなで司令の手伝いをしよう、なんて話にはなったのだけれど
約一名は遊んでるご様子で
時津風「えー楽ちんなんだもーん、これ」
降りる気はないらしい
いつき「良いんですよ、雪風。時津風の1人ぐらい、平気ですから」
時津風「ほほぅ…それじゃ、時津風さんが2人や3人だったらどうかね?」
いつき「あぁ、それは困りますね…流石に埋もれてしまいそうです」
苦笑する いつき
鍛えてないわけでも無いけれど、筋肉モリモリマッチョマンには程遠い体型
それに加えて、童顔なせいかどうにも頼りない印象が拭えない
時津風「そう、つまり わたしは司令の筋トレに付き合ったげてるんだよっ」(ドヤァ
雪風「また、そんな適当言って…」
時津風「雪風もこっちきなって~」
雪風「司令にそんな事出来るわけ無いじゃないですか…」
ちらっと、いつきの方をみる雪風
その視線にはちょっとした期待が含まれていた
いつき「ん?構いませんよ?」
すっと、雪風の方に手を差し出す いつき
雪風「え、ええとそれじゃぁ…」
何度か、いつきの顔と差し出された腕に視線を彷徨わせた後
おずおずと、その腕を抱え込むようにして雪風が いつきに体を預ける
ふわっと、雪風の足が板張りの床から少し浮き上がる
雪風「わわっ…」
いつき「…(ちょっと、きついかな)」
自分で言い出した手前、そんなすぐにハイお終いと何て言い出せず
震える腕を意地で維持する いつき君
酒匂「あっ、ずるいっ、あたしもあたしもー」
いつき「えぇっと…どうしましょうか」
空いてる方の腕に、ぴゃんっと酒匂がしがみつく
流石に軽巡1人を片手で持ち上げるだけの余裕はなく
いつきが困ったよう顔で笑みを浮かべる
「天津風、おっそーい」
「こら、待ちなさいなっ」
とったかとったか と、聞こえてくる足音と、子供の喧嘩のようなやり取り
それらが酒匂のすぐ横をすり抜けて、風のような速さで走り去っていく
酒匂「ぴゃぁ!?」
いつき「おっとっ」
その風に煽られ、酒匂がバランスを崩していつきの方へ寄りかかる
いつき「二人とも、廊下を走るときは気をつけて下さいね」
走り去る背中二つに呼びかける いつき
天津風「ごめんなさいっ、司令っ」
謝りつつも足は止めずに、島風の背中を追っていく
島風「へっへーん。そんな所でゆっくりしてるから行けないんだよーだ」
走り去る島風、謝るつもりは無いらしかった
いつき「…」
そんな2人の背中を見送る いつき
走り去る少女の背中
短いスカートが走る度に揺れて、いろいろ見えそうになっている
…見える見えない以前に、どうしようもない格好の島風なんて娘もいるけれど
時津風「どったの司令?」
急にぼーっとしたまま固まってしまった いつきの顔を、時津風が覗き込む
いつき「ああ、いえ何でも…」
軽く頭を振って、邪念を振り払う少年
まあ、お年頃だった
酒匂「こらー、司令が怪我したらどうするのさー」
などと抗議しつつも、これ幸いとばかりにガッチリ いつきに抱きつく酒匂
わりと抜け目なかった
いつき「あの、酒匂…少し離れて頂けると、その?」
酒匂「やーだ♪今日は酒匂が張り付いちゃうからね。ぴゅう♪」
退く気は無いらしかった
いつき「…」
自分の顔に血が集まってくるのが嫌でも分かる
だって、しょうがないじゃない、気になるんだもの、当たってるんだから…
そりゃ、他の姉3人に比べれば、ささやかなものだけれど
こんなに抱きつかれて、押し付けられては、否が応でも意識してしまう
時津風「どったの司令?」(Take2
時津風の目からして、みるみる首筋が赤くなっていく
いつき「ああ、いえ…だいじょう、ぶ…」
時津風の方へ、笑顔を向けようとした いつきの顔の動きが止まる
近い…単純に近い…
いつきの肩から、覗きこむように首を伸ばしてる時津風
振り返ろうと、いつきが顔を動かしてみれば、頬ずりでも出来そうなほどに
いや、平時であれば気にもしなかったろうけれど
酒匂のそれが当たってる、それが気になる…
一つが気になってしまえば、連鎖的にあれもそれもと気になってくる
ぶら下がってる時津風、腕にしがみ付いてる雪風
柔らかい、小さくたって、柔らかい…
いつき「す、すみません皆さん。ちょっと疲れたので離れてもらえると…」
それが少年の最後の理性だった
これ以上、続けられたら羞恥で頭が爆発しそうだった
時津風「しょうがないにゃぁ」
雪風「あ、ごめんなさい司令…」
酒匂「ぴゃぁ…」
3人が素直でとても助かる
いつき「すぅ…はぁ…」
大きく息を吸って、なんとか気持ちを落ち着ける
いつき「それでは、執務室にもどりましょうか」
「はーい」
仲良く声を揃える3人だった
ー
長門「ふむ…」
そんな一部始終を廊下の角から見守っていた長門
長門「やはり、気になるな…しかし…」
考えても答えが出ない…
手前味噌ながら、鉄火場のことならば多少の造詣があるのだが…
人の事になると途端不器用になる長門だった
ー雲龍達のお部屋ー
長門「と、言うわけなのだが…」
結局、1人考えていても埒が明かずに
素直に人に頼ることにした長門だった
天城「なるほど…」
なるほど、なんて言うけれど長門さん…
提督が私達の事を見て顔を赤くしたり、挙動不審になったりしてる…
そんなの、今更な話でもあるんだけれどそれ以前に…
天城「でも、それは…」
雲龍型に阿賀野型、そして、長門に駆逐艦の娘達
程度の差こそあれ、おへそは見えてるは、谷間は見えてるは、スカートは短すぎるは
ああ、そういえば「男の子が好きそうな艦隊にしてみたわっ」なんて言われていたっけ
雲龍「天城…」
「提督だって、男の子でしょう…」なんて、開きかけた天城の口を雲龍が手を上げて制する
天城「姉さん?」
雲龍「気づいてないなら、それでいい…へたに教えても拗れるから…」
天城の方に顔を寄せて、そっと耳打ちする雲龍
長門「どうした?なにか思い当たるのなら教えて欲しい」
天城「あーいえ、そう…あれです」
真剣な眼差しの長門
姉の言う事も一理はあるけれど…そうなると、適当な良い訳を考えなければならず
天城が視線を彷徨わせる
雲龍「そうね、体調でも悪かったのでしょう」
天城「…」
しれっと答える雲龍
素知らぬ顔で誤魔化す姉に、ちょっと白い目を向ける天城だった
長門「そうか…確かに、提督は夜遅くまで仕事をしてることもあるしな…よく休むように言って置かなければ…」
信じた
雲龍「…(ふふ、ちょろ)」
天城「…(ごめんなさいごめんなさい)」
心の中で平謝りの天城だった
葛城「なになにー、なんの話してんのよ。私も混ぜなさいよ」
部屋に戻ってきた葛城が、皆の輪に飛び込む様に入ってくる
雲龍「胸の話よ」
葛城「げふっ」
叩き落とされた
長門「いや、まて…そんな話はしてないぞ」
注:そんな話です
葛城「なによっ、そんなの6つも並べちゃってさっ。どうせ、肩こるわーだとか、動くと揺れて痛いわ~とか言うんでしょっ」
天城「葛城…ちょっと落ち着いて」
天城が宥めようとするけれど、頭に血が昇った娘の耳には届かずに
葛城「そうよっ、私のは軽くて動き易いわよっ、羨ましいでしょっばーかばーか」
雲龍「はいはい、いい子いい子」
雲龍が ぷんすかしている葛城に手を伸ばし、よしよしと優しく撫で回す
葛城「撫でるなら、頭にしなさいよっ、なんで胸を撫でるのよっ」
が、その伸ばされた手は頭ではなく、細やかな双丘に触れていた
雲龍「…ごめんなさい、大きいほうが胸かとおもって、つい」
葛城「その理屈だと私の頭は二つになるじゃないのよっ」
雲龍「…たしかに、この理屈だと葛城の胸が一つになってしまうわね」
葛城「これ以上減らさないでよっ。もうっもうっもうっ、天城ねぇっ…雲龍がー」
天城「ああ、はいはい。悪いお姉ちゃんですね」
泣きついてきた葛城を、天城が優しく受け止めて、あやすように頭をなで始める
雲龍「反面教師よ…」
天城「正面を向いて下さい、お願いしますから…」
雲龍「そう…リバーシブルな女を目指していたけれど、上手くは行かないものね」
「…」
自分達の長姉の事が、時々分からなくなる妹達だった
長門「…」
いや、じっさい邪魔なんだが…
とは思うものの、流石にこのくらいの空気は読める長門だった
ー阿賀野達の部屋ー
阿賀野「あはははは、そんなのお姉ちゃんに見惚れてるに決まってるじゃなーい」
これである
長門「そう、なのか…」
折角だからと、阿賀野達にも話を聞きにきた長門だったのだが
クッキーの食べかすを口元に付けたまま、大口開けて笑う阿賀野姉
そんな風にそんな事を言われても、疑問しか浮かばないというものだった
能代「…」
矢矧「…」
顔を見合わせる妹2人が軽く頷き合う
まあ、間違ってはいない
提督だってお年ごろだ
必死に見ないようにしながらも、ふと目に入って頬を染めてたりするのも
それはそれで可愛いものだと、微笑ましく見てはいた
だがしかしだ…
この姉の言葉を認めてしまえば、調子に乗るんじゃないかと
妹達はそんな懸念をしていた
矢矧「それ、見惚れてるんじゃなくて、呆れてるんじゃないの?」
阿賀野の脇腹に指を伸ばし、その余ったお肉を摘む矢矧さん
阿賀野「ちょっ、いたいいたい、つねらないでよ矢矧ぃ」
能代「はい没収」
ひょいっと、阿賀野姉(だらし姉)の前からクッキーの入ったお皿を取り上げる能代さん
阿賀野「あーん、能代ぉ。それ、お姉ちゃんの~」
だらしない声を上げて、クッキーに縋りつく阿賀野姉
矢矧「ねえ、阿賀野?」
阿賀野「な、なによ…」
矢矧「次、体重増えてたら私と演習しましょうかって話、覚えてる?」
にこっと微笑む矢矧さん
笑顔で威圧が出来る素敵なお姉さんだった
阿賀野「…あーお姉ちゃん、お腹いっぱいになったし、ちょーっとお散歩に…」
そろそろ~と、逃げ出そうとする阿賀野
矢矧「そう、それじゃあ。ついでにお風呂の掃除もお願いね」
阿賀野「えっ!?私がっ、今日は矢矧の番でしょっ」
能代「あれぇ、でもこの前…阿賀野姉の体重って」
これ見よがしに音量を上げて声にだす能代
矢矧「あら?気になるわね、どうだったのかしら?」
微笑みながらも先をうながす矢矧
阿賀野「あー!あー!私がやりますっ、やらせて下さい矢矧お姉さまっ」
能代の言葉を遮る様に声を荒らげ、自分がやりますと割り込んで宣言する阿賀野姉
必死だった、とてもとても必死だった
矢矧「そう?悪いわね」
能代「手を抜いたら、ダメだからね、お姉ちゃん?」
良い顔して笑う妹2人だった
阿賀野「あぁ…もぅ、ついてないなぁ…」
トボトボとお風呂場に向かう阿賀野だった
長門「…なるほど」
1人頷く長門
確かにこれだと、見惚れてると言うより、呆れてるの方が正しそうだ
だがそれだと、阿賀野に対する視線は良いとして、他の娘の事の説明が…
結局、自分が女の子扱いされているのに、長門が気づくのは大分先の話だった
ーEX:新米少佐の業務日誌 おしまいー
はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです
それではこの番組は
菊月「夕張、主砲が壊れたぞ」(主砲ベコベコ
卯月「夕張、主砲が壊れたぴょん」(主砲ボロボロ
夕張「あんたらねぇ…資材もただじゃないんだから…」
金剛「HEY!夕張っ今度は46cm砲を46cm砲を改修するデス!」
夕張「いや、そんな資材あるわけ…」
睦月「いけるいけるっ、夕張なら出来るよっ」
如月「きゃー夕張さん素敵よー❤」
夕張「煽てたって、無理なものは無理だからっ」
提督「しかし、いやに露出高い艦隊だったな、あいつら…」
大鳳「あら、提督だって好きでしょう?ああいう格好」
提督「自分の胸に聞いてみたら?」
大鳳「ふふ、セクハラよそれ?」
瑞鳳「…」
文月「瑞鳳さん、あれが大人の対応」
瑞鳳「うっさい…」
弥生「こっちは子供の対応」
瑞鳳「やかましい…」
皐月「次はボクも演習したいかな」
長月「いじめになるんじゃないかそれは…」
望月「皐月はもう、睦月型のような何かだもんなぁ…」
三日月「うん、私達も頑張らないと」
球磨「ふはははは、工廠裏の時間クマー!!」
木曾「ちょっ!?マジかっ」
大井「き、北上さんっ助けてっ」
北上「あー頑張って、大井っち」
多摩「ドナドナドーナーにゃーにゃー♪」
いつき「あれ、長門さんは?」
天津風「そんなの、返った途端に部屋に向かって走ってったわ…」
島風「すっごい速かったよねっ」
雪風「そうですね…多分朝まで出てこないかと…」
時津風「あははは。面白かったんだけどねぇ、見納めかぁ」
いつき「そうですか…阿賀野達は…」
雪風「笑いすぎて、お腹壊してます…」
天津風「矢矧さんまでアレだったものね…ちょっと意外だったわ」
いつき「…葛城は?」
島風「あっちで白くなってるよ」
葛城「…」(←駆逐艦に艦載機全部溶かされた人の顔
いつき「…何故でしょう…戦闘以外の部分での被害が多いのは…」
もろもろメンバーでお送りしました
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ー以下蛇足に付きー
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♪教えて皐月ちゃんのコーナー♪
皐月「さて、それじゃあさっそく、ごめんなさいから始めようか」
提督「長門好きな人ごめんなさい、球磨たちほっといたらあんな事になりました」
皐月「面白がって止めなかったの司令官だけどね」
提督「葛城好きな人ごめんなさい、卯月をほっといたらあんな事になりました」
皐月「面白がって止めなかったの司令官だけどね」
提督「DIOの真似してるのは、ジョジョの最終回見てたせいです、しょうが無いよね、真似したくなるよね」
皐月「まあ、多少はね…」
皐月「それじゃ、今日のゲスト…いつきさん?」
いつき「あ、はい。よろしくお願いします」(一礼
皐月「そんな固くならなくても良いよ、欄外編だし、ここ。それじゃ、解説宜しく」
いつき「はい、承りました」
他所の鎮守府の提督枠って事で呼ばれました、便宜上XX鎮守府って事で落ち着きそうです
名前の由来は、DQNネームDQNネーム言われてるけど
自分ならどんな名前を付けるのかと、考えた時に出来た案を採用しました
漢字で書くと「樹」ですね。男の子にも女の子にも使える上に
説明するときは屋久杉の写真でも見せればいいという訳です
性格的には、普通オブ普通を目指していますね
言ってしまえばギャルゲの主人公でしょうか…
露出の多い艦娘達に囲まれて、あたふたする少年の図
…おねショタが結構好きみたいです…
皐月「おねショタってなにさ…」
提督「奥が深くて底の浅い話だよ」
いつき「はい…さつきさんは知らなくても良いかと」
皐月「ふーん。ま、良いけど…」
いつき「えと、それでは次のコーナーです」
♪皐月ちゃんラジオ♪
いつき「コメント返しですね、有難いことです」
皐月「うん、そうだねっ」
提督「ほら、いつきが普通に始めるから。会話が弾まないじゃないか」
いつき「あははは…ごめんなさい」
皐月「ああ、いつきさんはそのままでいいんだよ。みつよ様が出てくると、弾むどころかすっ飛んでくんだから」
いつき「…まあ、たしかにあの方は…」
皐月「それじゃ今回はこんな感じだね」
・文月可愛い
・文月可愛い
・文月可愛い
・マジ天使
・次は9月のお二人?
・毎回面白いです、次回も楽しみにしてます
提督「…なんだこれ?」
皐月「文月教の教えじゃない?」
いつき「なんですか…その宗教は」
文月「世に文月あらんことをー♪」(←フェードイン
皐月「…そうだね。文月お返事宜しく」
文月「はーい」
・文月可愛い
文月「ありがとう、お兄ちゃん♪」
・文月可愛い
文月「ありがとう、パパ♪」
・文月可愛い
文月「ありがとう、司令官♪」
・マジ天使
文月「生きるのが辛い時は文月が一緒にいるからね♪」
提督「それって…」
皐月「新手の拷問にも見えてくるね…」
いつき「ほら、でも、そのうち馴れるでしょうし…」
提督「自分の艦娘の前でそれが言えたら、みとめてやんよ」
いつき「あー…あははは」
・9月のお二人
提督「そのうちやるけど、9月頃だろうな」
皐月「今後の予定は…」
七夕・肝試し・木曾さん・夏休み
皐月「こんな感じになってるかな」
文月「季節のイベントは大事にしないとね」
いつき「とはいえ予定ですので、話が纏まらないなら、繰り上げもあるかもしれません」
・毎回面白いです、次回も楽しみにしてます
皐月「こちらこそ、いつも読んでくれてありがとう」
文月「次はもーっと楽しくなるように、頑張るからねぇ、司令官が」
提督「ちょっと、さりげにハードル上げるのやめてもらえません?」
いつき「なにぶん、思いつきに脚色してるだけですので。濃度にバラつきがあるかもしれませんが」
皐月「書いてる時はすっごいニヤついてるけどね、司令官は」
文月「面白い顔してるよねー」
提督「…ふん」
皐月「それじゃあ、今回はここまでかな」
文月「ここまで読んでくれて、ありがとうね~♪」
いつき「少しでも、この娘可愛いと思って頂ければ幸いです」
提督「きゃーいつき君かわいいー」(棒読み
いつき「やめてくださいっ」
皐月「…なに、司令官ってそっちの趣味もあるの?」
文月「…ぽっ」(頬染め
提督「ねーよ。真に受けるんじゃないよ、バーカ」
皐月「あはは♪それじゃ、まったねー」
文月「ばいばーい♪」
いつき「時節がら暑くなってきましたが、どうかご創建で」
提督「ん、縁があればまた次回」
次は七夕か。皐月や三日月のお願い事は、なんとなく予想出来る。
MI作戦が終わった後、しばらく睦月型と顔合わせられなかった…。
なぜかって?「海が暗いよ」で察して。
↑そんなことここで書くなよ。感想を書けよ。
面白かったです。19も待ってます!
毎回毎回、面白く拝見させていただいています。これからも期待しています!
ちょくちょく入ってるガンダムネタがおもしろい。
撃ちたくない撃たせないで、を何処かで言わせて。
連装砲ちゃんはぜかまし親衛隊、と
菊月の主砲めっちゃ弾薬使いそう(こなみ)
みんな戦闘のプロやなぁ...
怖すぎる
XX鎮守府は将来強くなりそうですね
最近ここの皐月ちゃんにたまに野獣の幻影が写るんですがそれは...
世に文月のあらんことを
次回も楽しみに待ってます