提督と○○9
提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です
注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
妖精さんが喋ったりもします
軽く弥生無双だったりします
艦娘達は提督の見てるアニメやら何やらに影響されて妙な事をやりだすかもしれません
SSにしては長いかもです、お忙しい方はご注意を
9回めになりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね
それではこの番組は
皐月「今回はひな祭りだよ」
菊月「私が…」
睦月「睦月達が…」
卯月「お雛様ぴょんっ!」
長月「真面目に始めろよ…」
望月「私が雛であなたが内裏でってどうよ?」
如月「三日月が好きそうな設定ねぇ」
三日月「なんで私…」
球磨「提督、倉庫から雛人形だすクマ」
多摩「隠すとためにならんニャ」
大井「嫌だと言っても良いけれど、明日の朝日は保証しないわ」
提督「脅迫かよ…」
北上「ま、諦めなよ。一日ぐらい付き合いなって」
文月「主役は弥生なの」
弥生「えっと、よろしくお願いします」
夕張「弥生キタっ」
瑞鳳「これで勝つる」
金剛「2人は何を言ってるデース…」
以上のメンバーでお送りします
↑後「提督とホワイトデー」
ー鎮守府近海ー
晴れやかな空と穏やかな波
今日も変わらぬ航海日和だった
卯月「ねーやよやよー、うーちゃん暇ぴょーん、もっと構うぴょーん」(頬ずり頬ずり
弥生「ちょっと、卯月。対潜警戒中何だから、もう少し静かに…」(されるがまま
弥生の都合なんてお構いなしにじゃれついている卯月
弥生の方も口では「やめて」と言いながらも後は好きにさせてる感じだった
瑞鳳「あの二人、ほんと仲いいよね」(しみじみ
夕張「ま、姉妹艦ってのもあるんでしょうけどね」(しみじみ
そんな二人を少し離れた所から眺める二人、なんか保護者みたいな気分なれた
瑞鳳「やっぱり姉妹艦って羨ましかったりするの?」
夕張「少しはね?でも…今は瑞鳳と一緒だし?」
そう言って 夕張がニカっと笑ってみせた
瑞鳳「ぅっ…な、何よいきなり」
突然の告白じみた発言に瑞鳳が狼狽える
夕張「あはははは。どう?少しはドキドキした?」
瑞鳳「それがなければね…」
あっけらっかんとしたネタバレに瑞鳳の思考も一気に冷めた
夕張「でもさ、仲がいいって言えば…あなたと卯月も大概じゃない?」
瑞鳳「私が?卯月と?まさかでしょ?」
突然の指摘に ないないって感じで手を振る瑞鳳
夕張「いっつも二人で追っかけっこしてるのは?」
瑞鳳「それは、あの子が変なことばっかり言うからで」
夕張「それだけ?」
瑞鳳「そ、そりゃ嫌いって事は無いけどさ。可愛げないし口も減らないし馬鹿だけども…」
随分な言われようだった
夕張「ふーん…(ま、自分では結構分からないものなのかな)」
傍から見てる分には仲良さそうにしかみえないけど
瑞鳳「ストップ…」
夕張「ん?ああ…」
瑞鳳の真剣な声が雑談を遮る
それと同時に夕張も事体を察した
カ号さん「みーたーなぁぁぁ…」
瑞鳳「いや、見たのはあんたでしょ…」
無駄におどろおどろしい声音のカ号妖精さんに呆れ気味に返す瑞鳳
聴音機さん「みーたーなぁぁぁ…」
夕張「真似しなくていいから…ていうか あなたは見てないで聞いて」
ともあれ潜水艦がうろついてるのは確実らしい
瑞鳳「って、あの二人まだ遊んで」
瑞鳳の視線の先。卯月が未だに弥生にじゃれついてた
夕張「っ、弥生、敵。潜水艦っ」(←通信中
慌てて夕張が弥生に通信を入れる
卯月「こちょこちょこちょ」
弥生「も、やめってって…え、なに?夕張?」(←通信中
卯月に くすぐられながらでは良く聞き取れずに聞き返す
…
その最中、弥生の耳にノイズが届く
弥生「っ!?どいてっ!」
卯月「へ…」
弥生が卯月を突き飛ばす
その途端に爆発が起こり二人の間を隔てるように水柱が上がった
卯月「…や、やよい?」
事体を飲み込めずにきょとんとしている卯月
立ち上った水柱が海面に帰り辺りに水煙をまき散らす
弥生「卯月、怪我は?」
水煙の向こう側から弥生の声が聞こえる
そして、桜色の光の粒が水煙と入れ替わる様に一気に広がり視界が晴れる
弥生の左手には指輪が輝いていた
卯月「へ、平気ぴょん…」
弥生「ん、じゃあそこにいて。直ぐに片付けるから…」
卯月の無事を確認すると直ぐに思考を切り替える
意識を足元へ、海中に海底に深く広く流していく
…
一呼吸の間。その間にだいたいの状況を把握する
どうやら1隻2隻の話では無いらしい
弥生「はぁ…」
ため息一つ。卯月が邪魔だったとはいえ、魚雷撃たれるまで気づかないなんて
もう敵にこっちの位置もバレてるし
弥生「ま、いいか…」
右足を踵から海面に叩きつける
それと同時に海中にソナー音が盛大に響き渡る
弥生「っ…」
同時に叩きつけた右足にズキリ…と痛みが走る
弥生「…(やっちゃった、かな?でも、今は…)」
痛みを無視して反響するソナー音を収集する
弥生「ん…」
いつの間にか弥生の両手その指の間に爆雷が収まっていた
バンザイをするような軽い感じで両手が上がり、指の間から爆雷が離れ空中に広がる
それらはすべて放物線を描き、方方に飛んで行く
爆雷が陽の光をキラリと弾き一つ、また一つと水面に落ちていった
それを確認して弥生が背を向け、最後に一つ。その肩越し爆雷を放り投げた
…
数瞬の後、沸騰したように海面が盛大に泡立つ
水中から何かだったものや何かの残骸が浮かび上がっては海に溶けていった
夕張「二人共無事?」
と、そこへ夕張たちが合流する
弥生「ん、平気…」
卯月「やってやったぴょん♪」
瑞鳳「ぴょん、じゃないっ」
コツンと瑞鳳が卯月の頭を小突く
卯月「いたいぴょん、叩くこと無いぴょん」
瑞鳳「うっさい、少しは反省しろバカ」
卯月「バカっていうほうがバカぴょん」
瑞鳳「じゃーやっぱり あんたがバカじゃない、バーカ」
卯月「じゃーやっぱり瑞鳳もバカぴょん、バーカ」
瑞鳳「こんの…」
瑞鳳の怒りのボルテージが上がっていく
夕張「はいはい、じゃれないじゃれない」
ぽんぽんっと夕張が手を叩いて二人の間に入る
卯・瑞「じゃれてないっ(ぴょん」
夕張「あーきこえませーん」
夕張が耳を塞いで聞くきのないアピール
卯・瑞「ぐぬぬぬぅ」
夕張「ほら、バカやってないで一旦戻りましょ」
卯・瑞「あ、バカだ」
卯月と弥生、2人が一緒に夕張を指さした
夕張「…」(にこ
卯・瑞「い、いたい(ぴょん)」
夕張が笑顔のままで2人のほっぺをひっぱった
弥生「…(ほんと、バカなんだから)」
口には出さない弥生だった
ー
その帰り道
弥生「…あれ?皐月…ちょっ、きゃっ!?」
皐月の姿が見えたと思ったらいきなり飛びつかれた
皐月「弥生!無事!平気だよねっ!」
弥生「だ、大丈夫、こ、ここにいるから、おち、おちついて…」
ガクガクと体を揺さぶられ しどろもどろになんとか返答する
皐月「はぁ…よかったぁ…」
ほっと息をはく
夕張「どうしたの?そんなに慌てて」
皐月「どうしたって、司令官が飛び起きていきなり出撃しろっていうんだよ?そりゃ焦るよ」
夕・弥「あー…」
二人の頭の中にソファーで寝っ転がってる提督の図が浮かんでいた
普段サボってる人が突然飛び起きるとか、そりゃびっくりもする
皐月「ま、その様子じゃ平気みたいだけどさ」
卯月「ふふん、敵は勇猛果敢であったがうーちゃんの力の前に…」
瑞鳳「あんたはなんもしてないでしょ」
えっへんと無い胸を張った卯月の言葉を瑞鳳が遮った
卯月「瑞鳳だって見てただけぴょん」
瑞鳳「う、それはまあ…今回は」
卯月「今回も?」
瑞鳳「こ・ん・か・い・はっ!」
卯月「だといいぴょーん。頑張らないとノー戦果のネタキャラ街道ぴょん」(ぷっぷくぷー
瑞鳳「決めた、次の戦果は卯月だわ」(ぷっつん
瑞鳳がさっと弓を構えた
皐月「ストーップ、瑞鳳さんすとーっぷ」
皐月が体いっぱい使ってなんとか瑞鳳を抑える
夕張「あの娘達は…」
弥生「二人共、楽しそう…」
夕張「まあ、そうね」
ー鎮守府ー入渠ドッグー
ブクブクとジャグジーみたいに泡立つ湯船の中に皐月と弥生が浸かっていた
皐月「まったく、足ケガしてるなら早くいいなよ」
弥生「うん、ごめんね?」
皐月「ま、無事だったから良いけどさぁ…」
皐月が弥生に擦り寄り、顔近づける
弥生「皐月?ちょ、ちょっと」
弥生が距離を開けようとしても
大人1人分は余裕で入るとはいえ、少女2人では少々手狭な感じのする浴槽内では
直ぐに壁にぶつかって行き止まった
コツン…と、皐月と弥生のおでこが触れ合う
ともすれば唇が触れ合いそうな距離だった
皐月「ほんとに心配したんだからな…」
弥生「あ、うん。ごめんなさい…」
真剣な皐月の目に射竦められる
皐月「ま、無事ならいいんだけどさ…それで」
ひょいっと弥生から離れると今度は左手を手にとった
皐月「司令官が慌てた理由はこれかな…これ、卯月の指輪でしょ?」
弥生「あ、うん。ちょっと慌ててて」
あの時、卯月を突き飛ばした時。偶然指に引っかかっていた卯月の指輪
自分のものをつける時間も勿体無くてそのまま使ってしまっていた
皐月「司令官にも謝っときなよ、すっごい心配してたんだから」
弥生「うん…それで、皐月?」
皐月「んー?」
弥生が付けっぱなしだった指輪を外し皐月に差し出す
弥生「これ、卯月に」
皐月「なに?喧嘩でもしたの?」
弥生「そうじゃないけど…なんか、その…」
突き飛ばしちゃった手前、気まずいとまでは言えなかった
ー次の日ー鎮守府ー食堂ー
今日は楽しいひな祭りってな感じで皆で用意をしていた
提督は「やるのかよ」ってめんどくさそうだったけれど
圧倒的な男女比では拒否権など有り様もなく
弥生「はぁ…」
ため息一つ。弥生のポッケには卯月の指輪が入りっぱなしだった
結局皐月には受け取ってもらえず。いっそ寝てるときに指に嵌めてしまえ、なんて考えたけれど
気恥ずかしくて、それも断念してしまっていた
如月「弥生、なんか、元気無さそうね…」
いつも仏頂面ではあるが、今日はそれに加えて 全体的にうつむき加減だった
睦月「きっと恋煩いだしっ」
如月「あらあら、それじゃあ今日はお赤飯ね」
気が早いにも程があった
文月「恋煩いっていうかぁ。失恋って感じがするねぇ」
望月「それも全部 司令官ってやつの仕業なのさ」
菊月「なんだって…」
三日月「それ、ほんとなの?」
皐月「いや、濡れ衣でしょ」
長月「びしょ濡れのな…」
瑞鳳「まちなさーいっ!このバカウサギ」
なんてやっていると瑞鳳の怒声が食堂内に響き渡る
卯月「待てと言われて待つ奴なんていないぴょーん♪瑞鳳ってば、頭’も’貧相だったぴょん?」
瑞鳳「’も’ってなによ’も’ってっ!」
卯月「自分のw胸にw聞いてw見るぴょんwww」
瑞鳳「聞くほどあったらねぇ…苦労しないわよぉぉぉっ!」
開き直った瑞鳳さんだった
瑞鳳「って。卯月、前っ前って!」
突然、瑞鳳の声が慌てたものに変わる
卯月「ぴょん?」
弥生「あ?」
言われて前を向いてみれば、弥生と目が合った
弥生も弥生でぼーっとしてたせいか今になるまで気づかずに卯月と視線を重ねた
卯月が慌ててブレーキをかけるも間に合わずそのまま弥生と衝突する
弥生「きゃっ!?」
卯月「ぴょんっ!?」
2人がぶつかり倒れこむ。後ろにあったひな壇や雛飾りまで巻き込んで
小さな悲鳴もその後の何かが折れる音や割れる音に飲み込まれていった
しばしの後「やっちまったかぁ」って空気が食堂内を満たしていた
パシーンっと、そこに乾いた音が割り込む
頬を引っ叩けばちょうどそんな音がなるだろうか
弥生「卯月のバカ」
たっと、弥生が駆け出し食堂を出て行った
卯月「あ、あははは…やっちまった、ぴょん」
卯月の頬が赤くなっていた
卯月「皆は休んでて…ここは私が片付ける、から」(カタカタカタカタ
乾いた笑顔を貼り付けながら卯月が壊れた雛飾りを手に取るも
震えた手では上手く掴めずに直ぐに取り落としてしまっていた
卯月「あ、あはは。おかしいな」(カタカタカタカタ
球磨「はぁ、休むのはお前の方クマ」
球磨が卯月の首根っこを捕まえる
球磨「金剛、こいつ頼むクマ」
金剛「OK,任せるデース。て・い・と・くーお部屋借りるデース」
提督「ま、好きにしろ」
差し出された卯月を抱き上げると金剛が食堂から出て行った
多摩「さ、あとはここニャ」
壊れた人形、折れたひな壇、割れた雛飾り
大井「もう、雛人形なしでやりますか?」
北上「でもそれだと…」
北上がそっと瑞鳳の方をみると気まずそうにしていた
多摩「夕張、直せるニャ?」
夕張「ひな壇だけならね…飾りものとか人形はちょっと…」
提督「人形ならこっちでどうにかするからいい、北上、大井、手伝って」
くいくいっと提督が2人を手招き
大井「別にいいけれど、なんで私達?」
提督「裁縫とか出来そうだから?」
北上「そりゃ、まあ。人並み程度にはねぇ」(←セーター編める
大井「それはまあ、嗜み程度には」(←服作れる
女子力の高い2人だった
提督「うん、結構。球磨達はこっち片しといてねー」
球磨「分かったクマ」(←服破る
多摩「しょうが無いにゃぁ」(←毛糸で遊ぶ
ー鎮守府周辺ー川辺ー
舗装された道が砂利道に、さらに獣道に変わっていく
伸び放題の雑草や、木の枝が体に引っかかるのも気付かずに弥生が歩いていた
弥生「んっ…」
水面を反射した光が目に刺さり、ようやっと自分の回りに意識が向いた
弥生「ここ、どこ?」
森の小道から抜けて見れば視界が開けて大きな川が流れていた
木曾「ん?弥生じゃないか」
弥生「木曾さん?」
呼ばれてみれば、木曾が岩場に腰掛け 釣り竿を握っていた
木曾「どうした、こんな所で?」
弥生「どうって…どうなんだろ?」
木曾「なんだそれ?」
分かるわけがない、今の今までぼーっと歩いていただけなんだから
木曾「ま、いいさ。座れよ」
岩場の端により場所を開ける
弥生「うん、じゃあちょっとだけ」
その隣にちょこんと腰掛け膝を両手で抱え込んだ
木曾「お前もやるか?」
すっと釣り竿が弥生に差し出される
弥生「え、でも私…」
木曾「何悩んでるのか知らないが、行き詰まった時は別のこと考えるのも手だぜ」
にっと笑って再度弥生に釣り竿を薦める
弥生「じゃ、じゃあ…」
木曾「餌はついてるから適当に放り込め」
おずおずと受け取り、言われるままに仕掛けを水面に投げ込んだ
弥生「…」
木曾「…」
しばしの沈黙…さらさらと流れる水の音が2人の耳を撫でていた
弥生「…卯月の事、叩いちゃった」
木曾「お前がなぁ…」
沈黙に耐えかねたのか、もしくは川の流れに口を滑らせたのか弥生が話し始める
弥生「うん。謝らないといけないのに…なんか」
木曾「怖いのか?」
弥生「うん。嫌われてたらどうしようって、思うと…結構」
木曾「卯月が弥生を嫌いだなんてあり得んだろう…」
弥生「そう、かな?」
木曾「そうだろ?」
弥生「そう、だといいな」
弥生の釣り竿の先が小刻みに震えていた
それは川の流れによるものか、あるいは弥生自身の不安のせいか
木曾「…じゃーよ、勝負しようぜ?」
弥生「へ?」
唐突な木曾の提案に弥生がきょとんとする
木曾「いっぱい釣った方が勝ちだ、簡単だろ?」
弥生「えと、まあ…それくらいなら」
木曾「んで、俺が勝ったらお前は卯月に謝ってくる」
弥生「じゃあ、私が勝ったら?」
木曾「そんときゃ、俺も一緒に行ってやるよ」
弥生「それって…」
少し考える
どっちにしろ謝ってこいって事らしい…
まあ、でも…踏ん切りは付くのかな…
弥生「ん、わかった…」
木曾「よーし、じゃあ勝負だ」
弥生「うん…」
だというのに、弥生が釣り竿を置いて立ち上がる
木曾「どうした?」
その手には爆雷が一つ握られていた
木曾「…おい、一応聞くが、そいつをどうする?」
弥生「どうって?」
おおきく振りかぶって
木曾「やめろ…」
木曾が弥生の手をつかむ
弥生「?」
木曾「不思議そうな顔をするんじゃあない」
3式爆雷さん「演習弾ですの?」
ひょっこりと爆雷妖精さんが付け加える
木曾「ですの、じゃねーよ」
木曾さんが自分のこめかみを抑えている
弥生「一網打尽…」
「ですの」っと弥生と爆雷妖精さんの声が重なる
木曾「じゃねーっていってるだろ、釣りをしろ釣りをっ」
弥生「うん、だから…」
こほんと わざとらしく咳払いをする弥生
弥生「木曾さんが釣れました…クマ?」
3式爆雷さん「ですの」
木曾「…ぜってー勝つ」
悪戯っぽく笑う弥生と
釣り竿を固く握りしめた木曾さんだった
ー鎮守府ー執務室ー
金剛「HEY卯月。Letts.Tea Timeデース」
机の上にズラーっとお茶会の用意が整っていた
その机を挟んで金剛と卯月が向かい合って座っていた
卯月「金剛…でも、私、おかたづけ…」
金剛「あっちは球磨たちが何とかするデース、人形は提督がどうにかするデース
そして卯月は私と一緒にお茶を飲むデース♪」
卯月「でも…」
金剛「ふむ…弥生がきになる?」
卯月「…」
ピクリと卯月の肩が震える
紅茶に口を付け金剛がさらに続ける
金剛「悪いと思うなら、ごめんなさい、これで解決ネ」
卯月「でも…嫌われてたら…」
コレ以上嫌われるのは嫌だった
会いたいけど会いたくない、なんてジレンマがグルグル回る
金剛「それでも、言わないとこのままですよ?いいんですか?」
良い訳がない、良い訳はないが…
卯月「それは…でも…」
金剛「卯月、でもはナシです」
身を乗り出して金剛が卯月の唇を人差し指で塞ぐ
金剛「謝りましょう、一回でダメなら二回。それでもダメなら何度でも、ね?」
金剛が笑顔を向ける
卯月「で…むぐぅ」
今度は後ろから卯月の口が塞がれる
瑞鳳「でもはナシだってば…」
卯月「瑞鳳…」
瑞鳳「ほら、その、私も半分くらいは…あ、いや4分の1くらいは悪かったからさ、一緒に謝りに行こ?」
笑顔を浮かべて上から卯月の顔を覗きこむ瑞鳳
卯月「瑞鳳…広かったのは胸だけじゃなかったぴょん…」(うるうるうる
目に涙を貯めて卯月が瑞鳳を見上げていた
瑞鳳「ふふふ、そうよ。でもね、私の胸は広くて浅いからね」
がちっと笑顔の瑞鳳が両手でげんこつを作り卯月のこめかみを挟み込む
そして、そのままグリグリとねじり込む
卯月「い、いた、いた。やめるぴょん、いたいぴょん」(じたばたじたばた
瑞鳳「お前もまっ平らにしてやろうかぁぁぁ」
卯月「ヤーメー、これ以上平たくならないぴょん、瑞鳳とおそろいぴょん」
さらに締め上げが強くなった
卯月「ぴょーんっ!こ、金剛たすけるぴょん」
金剛「sorry。Tea Timeは静かにする主義ネ」
すーっと優雅に紅茶を飲む金剛さん
金剛「んーverygood♪」
それはお茶に対してか、卯月たちに対してなのか
ー食堂ー
~♪
笛の音が響く、ひな祭りの時期にはすでに定番となっていた曲だった
流れるように長月が旋律を奏でる
それに合わせて、文月と望月が鼓でコロコロと拍子を入れ
菊月が太鼓の音を響かせていた
それに後押しされるように三日月が歌いだす
鈴のように透き通った歌声が食堂内に広がった
~♪
北上「いやぁ壮観だねぇ」
大井「提督もこんな衣装よくもってたわね」
三日月・長月・文月・望月・菊月が5人囃子の格好をしていた
提督「ま、大昔の残り物だ。役に立つとは思わなんだが」
何にせよと
提督「助かったよ、さすがに裾合わせなんて私はできんしな」
北上「どういたしまして」
大井「ほんとなら北上さんにお雛様の衣装着せたかったけれど…」
北上「やだよぉ、さすがにこの容姿であれは恥ずかしいって」
ちょっと口惜しそうな大井さんだった
睦月「提督、提督。どう?似合う?」
3人官女の格好した睦月が提督の前にくるりと回ってみせた
それを上から下までゆっくり眺めて一言
提督「馬子にも衣装?」
睦月「ひどいっ」
明快な抗議だった
如月「もぅ、司令官。素直に可愛いって言えないんですか?」
提督「…」
並んだ2人を見比べる
さすがに落ち着いた感じの如月はしっかり着こなしてる風はあるけれど
睦月にはもうちょっと活発な格好のが良さそうだなと
提督「如月は合格」
如月「うふふ、ありがとうございます」
如月の語尾にハートマークが付く
睦月「睦月は睦月は?」
提督「馬子にも衣装」
睦月「2度も言ったっ」
明確な抗議だった
睦月が頑張ってアピールしてるその後ろ
皐月「…」
皐月がなんかこそこそしていた
球磨「皐月?なに隠れてるクマ?さっさと提督にみせにいくクマ」
皐月「え、いいよボクは…ちょっと球磨ったら」
ぐいぐいと球磨に押し出されて提督の目の前まで連行される皐月
球磨「提督、こっちもちゃんと褒めてやるクマ」
皐月「い、いいからって」
ぽんっと背中を押されてさらに一歩前にでる皐月
提督「…ふむ」
皐月「な、なにさ…似合ってないんだろ?こんな女の子した格好」
じーっと提督に見つめられ居心地悪そうに顔をうつむかせる皐月
提督「…」
皐月「な、なにかいってよさ…」(もじもじ
提督「…可愛い」
提督が耳元で囁く
すると皐月が耳元まで目に見えた真っ赤になった
皐月「も、もー変な事いうなぁっ」
ふいっと顔そむける皐月
睦月「あーずるいー睦月にもー睦月にもー」
提督「はいはい、かわいかわいい」
言いながらクシャクシャと睦月の頭を撫でる
睦月「なんか適当だしぃっ」
そんな3人のやりとりを眺めつつ
多摩「お節介ニャ?珍しい」
球磨「そんなでもないクマ」
如月「手のかかる子達だものねぇ」
多摩「如月は混ざらなくてもいいのかにゃ?」
如月「私はもう褒めてもらいましたから」
多摩「達観してるにゃ」
球磨「ま、如月は提督大好きだからな、しょうがないクマ」
如月「うふふふ」
なんか大人な会話だった
-母港-
木曾と弥生、それぞれバケツに魚を抱えて歩いていた
夕張「あ、見つけた見つけた。やーよーいー」
夕張が手を振って弥生に駆け寄る
弥生「ん?夕張さん」
夕張「何処いってたの?」
弥生「どこって…釣り?」
魚の入ったバケツを掲げてみせる弥生
夕張「弥生がねぇ…」
そこで夕張の視線が2人のバケツに向く
夕張「ねえ、木曾さん?」
木曾「言うな…」
ぱっとみ、だれがどう見たって弥生のバケツの方が大漁だった
夕張「弥生…もしかして…」
ちょんちょんっと夕張が自分の耳を指先で叩いてみせる
弥生「…」
それに応える様に弥生の人差し指が唇の前で立てられる
お口にチャックのサインだった
夕張「…(ああ、そういうこと)」
探信儀とソナーを魚群探知機代わりに使ったなこの娘
知らぬは木曾さんばかりなり
夕張「木曾さん、弥生借りてきますんでバケツはお願いしますね」
弥生「あ?」
夕張が弥生のバケツを奪って木曾に握らせる
木曾「お、おい。何処に連れてく気だ」
夕張「お雛様が魚臭いんじゃダメだから…まずは、お風呂かな?」
弥生「お風呂って…あ、木曾さん。その、ありがと…」
夕張に引っ張られながらなんとか弥生がお礼の言葉を口にした
木曾「おぅ」
それに軽い方のバケツを持ち上げて応える木曾さん
木曾「ふぅ…俺も廃業かねぇ」
もう片方のバケツのずっしりとした重みを感じ1人ごちる
初心者相手にボロ負けだった
-食堂-
卯月「こ、これは何ぴょん?」
瑞鳳「さぁ?」
金剛「おう、Wonderful」
食堂に戻ってきた金剛達には雛人形が歩いてるようにも見えただろうか
多摩「卯月ニャ、逃すニャ捕まえるにゃ」
睦月・文月「あいあいさー」
多摩「さーじゃないにゃマムッて言うにゃっ!」
睦月と文月がきゃーきゃー言いながら卯月を拘束する
長月「多摩、お前も結構細かいな」
菊月「サーの方がカッコイイと思うんだが?」
多摩「長月、菊月を女性提督に近づけちゃダメニャ…」
長月「ああ、そうだな」
菊月「?」
そうこうしてる内に卯月が身ぐるみ剥がされていく
北上「さーお着替えしましょうねぇ」
手をワキワキさせながら北上が近づいていく
卯月「ちょ、卯月をどうするぴょん?やめ、やめ服、服を脱がさないで-」
大井「いいから静かになさいっ」
卯月「ぴょんっ!?」
大井にデコピンされて卯月が一時大人しくなった
金剛「HEY提督。提督は見ちゃダメデース」
提督「えー折角のサービスシーンなのに」
金剛が卯月との間に割って入る
球磨「提督は幼女の裸見て楽しいクマ?」
提督「下限ではあるが、いけるな。アレくらいなら」
真顔で答える提督
金剛「お、おぅ。嫌なComing outネ」
球磨「聞きたくなかったクマ」
如月「あらあら、良かったわねぇ二人共」
如月が皐月と三日月を見ながら微笑む
皐月「どういう意味さ…」
三日月「さ、さあ?」
頬を染めつつも精一杯知らんぷりをしてる2人
望月「2人とも司令官と夜戦出来るってことさ…」(にまにま
望月が2人の肩を抱き耳元で囁いた
皐月「ばっ!?何いってっ」
三日月「や、やせんって…」
二人の顔が一気に赤くなる、それはもう白粉塗っても隠せそうにないぐらい
望月「にひひひひ」
そんな2人をみて にまにま笑う望月
如月「ダメよ、望月。あんまりからかっちゃかわいそう」
望月「如月はどうなのさぁ?」
如月「望月ほどじゃないわよ?」
望月「私?私だって如月ほどじゃないさ」
如月「うふふふ。はいはい」
ニコニコ笑う如月。関係無さそうに言ってる望月はどこか顔をそむけていた
卯月「こ、これはっ…お、お内裏様ぴょん」
見事に卯月がお内裏様の格好をさせられていた
瑞鳳「まぁ、馬子にも衣装ってやつね」
瑞鳳がからかい混じりに笑う
卯月「ま、衣装すら無い瑞鳳には手の届かない領域ぴょん。ほれ、お内裏様ぴょん崇めると良いぴょん」
睦月・文月「ははー」
2人がノリノリで頭を下げる一方
瑞鳳「だ、誰が…」
多摩「瑞鳳はちょっとこっち来るにゃ。今暴れられると面倒ニャ…」
瑞鳳「うっ…」
先ほどひな壇を大破させる片棒を担いだ手前強くは反論できず
ずるずると引きずられていった
夕張「はーい、おまたせ?お雛様、連れてきたわよっ」
食堂の扉が勢い良く開かれ、夕張が入ってくる
そして、その後ろから綺羅びやかな装束に身を包んだ弥生がゆっくりと入ってきた
一同「お、おぅ…」
場が静まり返る…いっそ神々しいとさえ言えるほどに弥生の姿が輝いて見えた
弥生「やっぱり、変?」
皆で一斉に首を振った
急に静かになったの気にしてか、弥生が自分の姿を見回している
如月「司令官。あれも馬子かしら?」
提督「いや…あれは、なんだ…」
正視出来ずに提督が眼をそらす
皐月「うわぁ…」
三日月「…」
望月「あぁ、勝てないなぁ…あれには」
感嘆のため息を漏らす3人と
睦月「ま、負けた…」
文月「あははは。大丈夫だよ、勝負にすらなってないから、ノーカンノーカン」
睦月「ひどいっ」
明朗な抗議をあげる睦月と
フォローしてるようでトドメを刺しに行く文月
菊月「だが、動きづらそうだな」
長月「…あんな格好で滅茶苦茶動きまわったらかっこ良くないか?」
呆れ気味に長月が付き合う
菊月「おお、それだっ。さすが長月」
長月「はぁ…(もう少しまともな感想は無いのか)」
長月の視線が弥生を向く
長月「…(羨ましいなんて言ったら からかわれるだろうか)」
なんて
球磨「北上の趣味クマ?」
北上「んにゃ、私の作品はお内裏様だよ。お雛様は大井っち」
大井「ま、綺麗なのはどうぜんよ。私が北上さんのために作り上げたんだから」
えっへんと胸を張る大井
多摩「でもあれ、北上が着るとちょっとあれな気がするにゃ」
大井「そんなことないわっ絶対似合いますぅ」
北上「いやぁちょっと恥ずかしいかなぁ、あれを着けるのは」
大井「北上さんまでっ」
確かに綺羅びやかで華やかではあったお雛様の衣装には多分に少女ちっくな意匠が増えていた
金剛「さ、卯月。行ってくるデス」
卯月「ぴょ、ぴょんっ」
金剛が優しく卯月の背中を押す
卯月が弥生と並びお雛様とお内裏様が式場にそろった
卯月「弥生…あの」
弥生「卯月」
卯月が何か言う前に弥生の手が卯月に頬触れる
卯月「うっ…」
また叩かれるのかと卯月が少し身構えるも
そんなことはなく、優しく頬撫でられる
弥生「ごめんね、痛かったよね…」
卯月「ち、ちがうの。あれは私が悪かったから…」
弥生「うん、そうだね。人のスカートめくったり、人のおかず横から取ったり、人がやめてって言っても聞かなかったり
走り回ってもの壊したり、一緒に寝てたら人の布団取ってたり…」
随分とたまってらっしゃったようだ
卯月「う、ま、まだあるの?」
弥生「うん、いっぱいある。いっぱいあるけど…それでも、私は卯月の事が大好きだから、ね?」
弥生が卯月の左手を取る
卯月「弥生?」
弥生「ごめんなさい、ありがとう、あと、これからも仲良くしてね…」
そう言って、あの時使ったままだった指輪を薬指に嵌めた
卯月「や、やよぉぃぃ」
弥生「ふふ、泣かないの?」
卯月の眼に涙が溢れだす
それを弥生の指が優しく拭っていく…
卯月「ぴょーんっ!」
弥生「きゃっ、そんなにしたらっ、っと、やっ」
卯月「ぴょ、ぴょんっ!?」
感極まったのか卯月が弥生に抱きつくと、勢い余ってそのまま2人で倒れこむ
卯月「いたぁ…あ」
弥生「…」
気付けば卯月が弥生に馬乗りになっていた
下から弥生の抗議の視線が向けられる
卯月「や、やっちゃったぴょん…」
苦笑いでなんとかごまかそうとするも
弥生「もうっ!卯月のバカっ!」
卯月「ごめんぴょーん」
結局いつも通りだった
はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです
それでは今回の番組は
木曾「おい、お前ら飯だぞっ」(チラシ寿司どーん
球磨「さすが木曾クマ、気が聞くクマ」
多摩「木曾がいなかったら皆飢えてたニャ」
睦月「木曾さんかっこいー」
如月「素敵よー」
望月「よっ、料理長」
菊月「私も見習わなくてはな」
大井「何…これ」
北上「ほら…本編の最後のシーン…」
三日月「出番、なかったから…」
夕張「まぁ、ほら。お魚持ってたし…」
長月「弥生が風呂入って、着替える時間はあったんだろう…」
文月「お魚は鮮度が命だから、ね?」
瑞鳳「弥生が釣り過ぎたのよ、きっと」
卯月「やーよーいー」(すりすりすり
弥生「動きづらい…」
提督「次回はホワイトデーだな…この男女比でホワイトデーとか拷問だと思う
世の提督諸兄も頑張ってください」
金剛「そんな事言わずに男を見せるデース」
以上のメンバーでお送りしました
教えて皐月ちゃんのコーナー
皐月「さて、今日はどうする?」
提督「もう、言うほど説明しなきゃいけない内容も…」
皐月「ないよー…内容がないよー」
提督「…」
皐月「なにか言って…恥ずかしいから、なにか言って」
提督「まあ、そうなるな」
提督「ああ、それじゃあ…7回目辺りで、金剛と卯月が「エンゲージ」とか叫んでたやつ
皐月「ああ、結婚ならマリッジとかウエディングでも良かったんだろうけど…」
提督「ま、予想はつく」
皐月「うん、エンゲージの方が語感が、ね?かっこいいから、ね?」
提督「婚約だし、軍事的には接敵だとか敵対とかだっけか」
皐月「いうほど間違ってもないし、良いんじゃない?」
提督「ちなみに皐月は叫ばない?」
皐月「叫ばないよ。そんなことしなくても使えるんだから、恥ずかしいじゃんかさ」
提督「言いそうなのは、後は菊月くらいか」
皐月「ああ…うん、そうだね」
提督「こんな所か…」
皐月「うん、それじゃあ。最後まで読んでくれてありがとう
良かったまた見てね、ばいばーい」
提督「ばいばーい」
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