あ・ず・れ・ん 7
流行りものに乗っかってみた。感想のような妄想その7
注意事項
適当なタイトル
誤字脱字、二次創作にありがちな色々と適当な文章
夕立捕まえた
メイドが増えた
「いけません。拾ってきた犬じゃないんですよっ」
レナウンは頭を抱えていた
指揮官の奇行にも慣れたつもりではいたのだが、案外とまだ付いていけてないようだ
拾ってきた犬、ならまだ良かった
きっと自分が面倒を見ることになるのだとしても、実際 いーぐるちゃん なんかはそうだったし
その癖に、しっかりと手懐けてはいるのだ。何処か腑に落ちなくても それぐらいならまだ良かった
「良いでしょっ! しつけはちゃんとするもんっ」
指揮官、あかね さん が吠えている。赤い髪を揺らして、目尻に涙を浮かべる様は 年頃の少女の様ではあった
だが、実際はそんな可愛いものではない。感情の振れ幅が大きいんだこの娘は
こうやって すぐに涙を浮かべて見せて、次の瞬間には笑っている。おおよそ平時というものがない
嘘泣きなのだと疑った事は何回も、けれど本気だった。少なくともその時点では本気で涙を流していた
どんな時でも全力で…といえば美点にも聞こえるが
全力でぶつかって自分か相手が壊れるまで…正しくトラブルメーカーの在り方でもあった
「しつけ以外はっ」
「親は無くても子は育つっていうじゃない?」
そう言って、あっけらかんと笑ってみせる あかねさん
「ちなみに私がそうよ」
「急に重い話をしないで下さい…」
そこそこの付き合いになってはいたが、そんなものは初耳だった。泣き落としに持っていく気なのかと疑いさえする程
「なに? レナウン◯◯なの?」」
「引っ叩きますよ」
「やだ怖い」
頭が痛い。もう少し慎みを持って…いや少しじゃ到底足りないか
焼け石所か火口に水をかけたようなものだ、それでさえ水蒸気爆発の遠因にされかねない
この手の手合は付き合わない、重桜では触らぬ神に…とも言うだろうが。どうしてか、自分はこの娘に甘かった
「ねぇ、レナウン?」
「なんですか…」
泣き落としは やめたのだろうか。取って付けた様に真面目になる あかねさん
「捨てて来てもいいけど。また敵に回られたら厄介よ?」
「それは…」
本当に、もっともらしい事を言うのが得意な娘だ
しかし、現実的な話ではあった。確かに彼女は手強かった、それを見す見す見逃すというのは、今後に影響が出ないとも限らない
「ね、鹵獲したってことにしときましょ? 初めてでもないのだし?」
「初めてじゃないから困るのですが…」
上に報告する身にもなって欲しい
たださえ立場の難しい重桜出身の人が、同じ重桜の娘たちを集めてるって…
そう考えたい人たちには、その準備にしか見えないだろうに…
「大丈夫よ…」
「え?」
顔を上げる。その時の あかね さんの表情は何か とても悪い顔をしていた
「危険分子は一纏めにして置いた方が安心する方達も多いから…ね?」
声音だけは可愛らしく少女の様に、けれど言ってる事は悪魔か魔女の類であった
ー
「やったーレナウン大好きっ」
飛びついてきた あかね さん に キスをされて、そのままパタパタと部屋を出ていってしまった
「はぁ…」
溜め息の1つも出していいだろう
自分の指揮官の調子の良さに、分かっていても甘やかしている自分にも
「ご心配なく、レナウン様。 些事は全てこのベルファストが…」
恭しく頭を下げるメイド長。確かにこの娘が来てからの仕事の捗りようは目を見張る物がある
特に指揮官回りの…あかねさん の面倒が減った分は大きく、上との折衝は随分と楽になっていた
「いえ、余り任せっきりにするのも…」
「感謝を。ですが、好きでやってる事ですので…」
頭は下げたまま、表情は読めない
けれど、確実に読み取れることが一つだけ
「貴女は彼女に甘すぎる…」
「うふふ。指揮官の幸せが私の幸せですので…」
ベルファストは微笑んだ
そうして、遠まわしに邪魔をするなら上の連中だろうが何だろうが 掃き捨てると そう言っていた
「では、お部屋の準備も御座いますので。失礼いたします…」
ー
「甘い、か…」
退室したベルファストを見送った後、深々と椅子に座り直すレナウン
呟くのは自分が吐いた言葉。ああ は言って見たものの、それは自分も大概に同じであった
いや、あそこまで極端にもなれないが、少なくとも…彼女に害意が向かないように
頭を1つ振る…
受話器を持つ手が重くも感じるが
何、女の子1人抱えられないでと、それを持ち上げた
ー
朝
「朝だーっ!!」
元気な声が あかねの部屋に響き渡る
あかねの 眠る傍ら、布団を弾き飛ばして起き上がる 夕立
「起きろ指揮官っ、朝だぞっ。あーさーっ」
ゆっさゆっさと、乱暴に あかねを揺り起こそうとするが それっきり
寝言の様な唸り声を上げるばっかりで、まるで起きやしなかった
「ん、もぅ…まだ朝じゃない…」
昨日は遅かったのだ。せめて昼までは寝かせて欲しい
「もう朝なんだよっ。おーきーろーっ、ごーはーんーっ!」
「むぅ…」
ごはん、か…。ああ、言われれば空腹も感じてきたけど、その程度なら惰眠を貪ったほうが良い
「夕立…おすわり」
「おうっ」
あかね の言葉に すかさず正座をする夕立
「ふせ」
「おうっ」
言われるままにゴロンと横になる
「おやすみ」
「おうっ」
一緒になって目を閉じた
すー…すー…
しばらくは可愛らしい寝息が2つ、規則正しくも聞こえていたが
また思い出した様に夕立が目を開くと
「はっ!? 起きろっつてんだろーっ!」
「いったぁぁっ!?」
ついには あかね ベッドがから蹴り出した
「もう、何するのよ…」
「何じゃないっ。朝だっ、ご飯だっ、ごーはーんーっ!」
「お盛んねぇ…。なんだったら私を…ん?」
きゅっと、シーツで体を隠し、誘う様な視線を彼女に送ってみる
「スケベかっ!」
「スケベよっ!」
吠えられたので、吠え返した
「ご主人様、朝食の…」
「おうっ! 飯だーっ!!」
朝食、その一言に反応してベッドから飛び降りる夕立
そのままベルファストの傍を走り抜け、廊下の向こうへと飛び出していった
「おはよ、ベル」
「はい。おはようございます あかね様」
寝ぼけ眼に、ふにゃっとベルファストに笑いかける あかね
「お召し物はこちらに…」
手際よく着替えの準備を始める彼女を見ながら ふと思う
そう言えば、裸だったなぁっと…。飛び出していった 夕立はどうだったけ?
「ちょっ!? 夕立さんっ、服ぐらい着て下さいっ」
そんな疑問は 廊下を通り越して聞こえてくるレナウンの声に掻き消された
「レナウン も大変ねぇ」
「そうでございますね」
ベルファストは思う、その要因の半分以上は あかね様に起因するものだと
だが、思うだけで口にはしない。ベルファストは良きメイドであった
ーおしまいー
「やっほーシェフィールド♪」
「ごきげんよう あかね様…」
廊下で顔を合わせた二人
掃除をしていた手を止めると、壁際に寄り丁寧に頭を下げるシェフィールド
「そこ、掃除をしたばかりですので…」
それは、単純に主への配慮…だったら良かった
そもそも、掃除道具が隅に寄せられているのだ、見て分からないはずもない
だからこれは警告だ。綺麗にした傍から汚す事のないようにと、釘を刺す意味合いの方が強かった
「そっか」
あかね が1つ頷く視線の先
鏡面、それと見紛うほどに磨き上げられた廊下
そんなにして 汚れたら余計に目立つのに。適当に汚しておけば手間も少なくと良いとは思う
だが、それを言ってしまえばメイドは務まらないか。少なくとも シェフィールド自身が認めはしないだろうし
「お掃除がんばってね♪」
にこっと笑顔を向けて踵を返す
それは、邪魔をしたら悪いなんて思ったわけではな決してなかった
「…?」
上機嫌? シェフィールドの目にはそう見えていた
顔を合わせた時からそうなら良かった
けど実際は向けられた背中が浮かれていた。それこそ、いらん事を思いついた子供の様にも見えるほど
嫌な予感。それは現実を呼び込むとはよく言ったものだが
叶ってしまうと、それほど面倒なことは無かった
最初に聞こえたのは駆け足、顔を上げれば あかね様
向けられていた背中は翻り、一直線に駆け込んできた
モップの柄を握りしめる
アレがやる事なんて大体が想像の付くものだったから
勢いを付けたまま飛び込んでくる
掃除をしたばかりだと言ったのに。いや、そう言ったからこその行動だ
磨き上げた廊下はまだ乾ききっておらず、極端に摩擦の下がった床はきっと氷の上の様だろう
だからそうする、誰だってそうする、子供心に考える
滑ったら楽しそうだなと
「ヒャッホーっ♪」
ついにはバカが滑走を開始した
蹴躓くこともなく、滑り込んでくるバカは自分の仕事の丁寧さを保証してはくれるが
全く嬉しくもなく、このあと増える手間で頭が痛くなりそうだ
カーリングという競技があったろうか
きっと、ベルファストなら喜んで付き合ったろうけど、残念ながら自分はアイスホッケーの方が好きなようだ
「…ふんっ」
握りしめたモップを振り抜いた
どんがらがっしゃーん!
間の抜けた、綺麗な擬音だった
口にすれば そう表現するしか無い程に、綺麗な どんがらがっしゃん だった
わざわざ避けた掃除道具に、わざわざ頭から突っ込んで…
帽子の代わりにバケツを被り、おっぴらげに広がった太ももと、見せつけられたスカートの中身
嬉しくもなんとも無い上、増長する はしたなさに呆れるばかりだ
「あいたたた…」
「掃除したばかりだと申し上げましたのに…」
生ぬるい視線を向けながら、あかねの頭からバケツを取り除くシェフィールド
「また汚れちゃったけどね♪」
冗談めかした笑顔。普段であれば可愛らしいとも思うが、今やられるとイラつく以外に何もなかった
がしゃり…
金属質な音、向けられた銃口、その先に ご主人(おバカ)様
「まってっ! 私も手伝うからっ」
「結構。日が暮れます」
「あんっ、辛辣」
「選んでください。今すぐ黙らせられるか、黙って立ち去るか…」
そっと、引き金に指先を置く
「今日のおやつはっ」
引いた。銃身が火を吹いて壁に穴を開ける
「チーズケーキですよ、ご主人様」
「やったー♪」
両手(もろて)を上げると、その場で身を翻す あかね
同時に、さっきまでいた場所に穴がまた1つ増えていた
「やーいっ、シェフィールドのおこりんぼーっ♪」
「ちっ!」
その捨て台詞にフルオートに切り替えた
…
「まったく…」
かんらかんら と、空薬莢が床一面に転がっていた
これだけ撃って かすりもしないとか…
「まるで、バ。グス・バニーですね…」
痛い目の1つも見てもらうつもりで撃ったのに
そう広くもない廊下を縦横無尽に駆け抜けて角に消えていく背中…
本当人の子かと疑いたくもなる。まぁ、だからこそ撃った…そういう側面もある訳だが
とりあえず、仕事が増えた
壁に空いた穴もそうだし、床に散らばった薬莢の問題もある
だがそれ以上にチーズケーキの準備をしないといけない
「ほんとうに…」
手のかかる方だと、なんとも複雑な息を漏らすシェフィールドだった
ーおしまいー
夕立 「がるるる…」(←おやつの前
あかね 「ぐるるる…」(←おやつの前
いーぐる「きぇぇぇ…」(←おやつの前
ホーネット「あはははっ」
エンター 「いや、笑い事か…」
ホーネット「で、でも…。猛禽類とケンカしてる人間なんて初めて…ぷふふふっ」
エンター 「かもしれないが…。どうするかなぁ…」
このSSへのコメント