あ・ず・れ・ん 2
流行りものに乗っかってみた。感想のような妄想その2
注意事項
適当なタイトル
誤字脱字、二次創作にありがちな色々と
いつにもまして適当な文章
2章と3章が終わった後の雰囲気で
「随分と…手間を掛けさせてくれたわねぇ、飛龍」
疲れた顔を隠さない所か、これ見よがしに息を吐く 霧里 あかね(指揮官)
そして、その目の前には長い兎の耳が力なく萎れていた
私を含め、指揮官諸兄は一体どれほどこの光景をみたんでしょ?
たらた~♪から始まるBGMは処刑用と化し、エンタープライズの「終わりだ!」の一声で蒸発する光景に最早何にもは感じなくなってたり
そして何より、やっと金色が出たと思ったら、お前じゃねえよってダブついたりね
「殺せば?お前たちに一矢報いたんだ、ぼくは満足だよ…」
自嘲気味な笑顔。満足と口では言いつつも、やはりか届かなかった事は口惜しいらしい
「いいえ、殺さないわ。まだ聞くことが残ってるもの?」
「喋ると思う?」
「赤城と加賀はどこ?」
「沈めておいて…」
「どうかしら?死体がね…上がってないのよ?このままだとドブ浚いをしなくちゃいけなくなるわ」
「お似合いじゃないか、お前たちには…」
「はぁ…」
ダメか…。まあそうだ、交渉ですらないもの、興味本位に聞いてみただけ
これで何かの気まぐれで話してくれれば早かったのだけれど
話さないならしょうが無い、交渉するカードもJOKER(蒼龍)が一枚だけでは…
切るのは簡単だけど、まだ使い用はありそうだし、お話をするだけなら別に
「じゃ、体に聞きましょっかっ♪」
そう言って、赤い髪の少女は微笑んだ
「指揮官様っ…その、捕虜の扱いは…」
あかね の言葉に何を思ったか、気後れしつつも止めに入るレナウン
とはいえ、真面目過ぎる彼女には 袖を引く程度でも一杯一杯のようではあった
「捕虜ね…」
レナウンはそう言うけれど、果たしてコレが捕虜なのか
もちろん捕虜ならば、そういう扱いをするに やぶさかではないのだけど
まぁ、仕方がない。真面目な彼女を納得させるには真面目な理屈が必要のようだ
ぱちんっ
指を弾く。乾いた音が響くと秒と経たずに その影は あかねの隣へ立っていた
「ベル。ベルファスト…」
「こちらに…」
名前を呼ばれると、一歩下がり うやうやしく礼を捧げるメイドさん
「これって捕虜だと思う?」
あかね が雑に指を指してみせると「誰が捕虜なんかにっ」なんて答えが返ってくる
「恐れながら…NO、かと愚考いたしますわ」
「理由は?」
「一重に、本人がそうではないと申してますので」
そういって微笑んだ彼女(ベルファスト)は中々に意地が悪く見えた
「結構よ。では、コレは何かしら?」
「戦利品…あるいは遺留品とでも」
「戦利品の扱いはどうすればよかったっけ?」
「はい。であれば上に回すのが道理でしょうが…」
そこで言葉を1つ区切ると「その前に多少好きに…いえ、調べを進めても文句は出ないかと」
そういって微笑んだ彼女は、やっぱり意地悪く見えた
「だそうよ?レナウン…」
「はいっ。お気遣いありがとうございます」
一通り理屈が揃えばこの通り。軽く礼をすると、後ろに下がるレナウンだった
正直、それで良いんかい、と突っ込みたくなる生真面目さだ
いやさ、ベルファストの忠誠心程ではないかもしれないが
基本的に私(指揮官)の言葉には従う姿勢は、なかなかに危ういもののようにも思えるほどだった
「さてと…」
すっと、あかねの瞳が細くなる
それは、獲物の前の蛇だったり、あるいはただの嗜虐心だったり
「くっ…拷問か…そんな事で ぼくは…っ」
「そう言っていられるのは何時までかしらねぇ…」
それじゃあ…
お・し・お・き、ターイムっ♪♪
ーー
「随分と、汚い手を使ったものだな…」
そう言って、睨みつけてくる白い狐
先の戦闘の傷もあってか、その迫力は虚勢の域をでないようだった
「戦争に綺麗も汚いもあるかしら?それに、勝ったのは、 わ・た・し・よ?」
「お前の力ではないだろう…」
得意げに微笑む あかねに、返された悪態
その通りと言えばその通りで、適当な暴論を掲げようとした所で
ふっと、加賀が肩の力を抜いてしまった
「が、負けは負けだ…好きにするが良い」
「あら、あっさり…」
「状況を認められないほど愚かではないよ」
潔の良い事は良い事だ。なんせ手間が省ける
が、省けた手間を楽しめなくなるのはそうなので、一長一短ではあるのだけど
「で、そこの黒いのは?」
その呪詛の様な視線を無視し続けるのも流石に面倒くさかった
いやさ、視線をくれてみれば何かブツブツ言ってるし、実際呪われてやしないかと明日の おやつが心配なくらい
「もちろん。貴女様を八つ裂きにしてやりたくて仕方ありませんわ」
凄惨な笑みを湛えて、随分と物騒な言葉を投げつけられた
「初戦でしなかった貴女が悪い。いわゆる慢心ね?」
「うふふふ…。尾の毛を逆撫でるのがお上手ですこと…」
「ええ、ペットの扱いは得意なのよ…おほほほ…」
「ペット?ああ、あの娘達が?とんだ あばずれ 揃いですわね。いえいえ、貴女にはお似合いの…」
「あーかーぎー…」
その言葉の先に割り込んだ
いや、自分で思ったほどに言われるのは腹が立つらしい
煽って良いのは煽り返される覚悟のある奴だけだとしても、うちの娘たちをそう言われるのは辛抱たまらない
「1つゲームをしましょう?」
なに、何の事はない。一晩私に付き合ってくれればそれでいい
貴女が勝ったら好きになさい?私が勝ったら私を好きになってもらうわ
「不遜ですこと…忌々しい…」
鼻で1つ笑ってみせる
忌々しい事には忌々しいが、言うほど悪い話でもないかもしれないと思考を巡らせていた
受ける利なんてどこにもないのはそうだが、同時に、この状況以上の不利もない
ならばいっそ、一晩の内に小娘の隙きをついて逃げられればそれも良し
ダメで元々、失敗した所で失うものも そうありもすまいと
「それで、勝敗はどのように?」
「夜が明ければ分かるでしょ?」
「ふんっ…。その余裕が血に染まらなければ宜しいですわねぇ?」
「そんなもの、毎月見てるわよっ」
途端、周囲の視線が痛々しくなった。後ろに控えている綾波達もそうだし
二匹の狐さん達の同情の様な視線はいったい何処へ向いているのか
「貴女、口だけかと思ったら、頭も悪いんですのね。お可哀そうに…」
「ありがとうっ」
皮肉を悪態とも受け取らず、素直に礼を言う あかねだった
「…もう、黙ってくださいまし…」
疲れた顔で息を吐く赤城、それは戦闘の傷とはまた別の疲労感だった
「あぁ、それと加賀。貴女もよ?」
「ほぅ…。降伏は宣言したがな、それは慢心ではないのか?」
その問に、ただ静謐を保ってい表情に闘争の火が灯る
「いいえ」と、大仰に首を降って返す
「これは挑戦よ、加賀。「お前の力ではないだろう…」貴女はそういったわ」
「面白い。私を征服するか」
「ええ。賭けるのはプライドって奴?」
「良いだろう。私が勝ったら好きにさせてもらう」
「良いわよ?私が勝ったら好きになって貰うから」
「その時は全部くれてやるさ」
握手こそ結ばないものの、その視線はガッチリと交わされていた
ーー
そうして夜のその途中
「指揮官…」
「どうしたの、二人して?」
立ちふさがったのは、エンタープライズとホーネット
どういう訳か、いやそういう訳なんだろうが、怖い顔ないし難しい顔をしていた
「あの約束本気なのか?」
問い詰めるように、一歩前に出るエンタープライズ
「ええ、本気も本気よ?」
「正気か?」
「そのつもりだけど…。ま、そうは見えないでしょうね」
「ふざけているのかっ」
「本気と言ったわ、エンタープライズ」
「なっ…」
危うくも伸ばされた手をすんでの所で掴み取る
「気持ちは分かる。とまでは言わないけども、ここは1つ任せてくれない?」
「どうして任せられる?」
「ケチャップを撒き散らすだけが戦いじゃないでしょう?」
「…」
その沈黙は肯定とも否定とも取れずに、思い悩んだままでも取り敢えずは拳を下げて貰えた
「ホーネット、貴女は?」
「1つだけ、良い?」
「なになに?ちゅーする?」
「真面目な話よ…OK?」
「はい、ごめんなさい…」
美人に睨まれるのは中々の迫力だった
「指揮官がダメだったら、後は私達が好きにする。これで、どう?」
「ありがとう。愛してるわ」
「はぁ…。みーとぅ」
送られた投げキッスを、肩を竦めて受け止める
ほんとに、コイツの頭の中はどうなってんのか見てみ…たくもないか
なんかSAN値チェックものの中身が詰まってそうだし
ー
両脇に下がる二人の間を軽い足取りで去っていく 指揮官(あかね)
その背中を何とも言えずに見送っていた
「良かったのか…あれで」
無理矢理にでも止めるべきだったんじゃないかとの不安が未だに拭えないでいた
「良くはない。けど、ケチャップをぶち撒けたいわけでもないのはそうでしょ?」
「それは、そうだが…」
そうして、表情を隠すように目深に帽子を被り直すホーネット
「それに、あんな勝負。出来るとは思わないっしょっ?」
踵を返す。夜が明けるにはまだ長い、この後を考えると少しでも休んでおきたかった
「それはそうだが。何故だろうな…やってしまいそうな不安があるのは…」
未だ短い付き合いなれど。滅茶苦茶言って、好き勝手やってるくせに、どういう訳か事を成している
運が良いだけ、とも言い切れるが。それだけで戦場を生きていくには余程の事だろう
でなければ、それも全て計算ずくの可能性も考えられるが…
どうみても、不真面目が服を着てあるてるようにしか見えないんだよなぁ…
「その時はアレよ。私達も、好きになって上げても良んじゃない?」
そう悪戯っぽく言う妹は、平時の笑顔を取り戻していた
とんとんとんとんとんとんっ…
部屋に響くのは まな板を叩く包丁の音
漂うのはお米の匂いに、焼ける魚の良い香り
そんな背景を和室に収めてしまえば、古き良き重桜の一コマだった
「指揮官様…あかね様…もう、困ったお方…」
ゆさゆさと 赤城がその寝姿を揺すってみても まるで起きやしなかった
zzzz…とでも表しましょうか
分かりやすい程に愛らしく、綺麗で可愛い、ね・が・お…
このまま永遠と…いっそ氷室に閉じ込めてでも保存しておきたくなる
「ほぼ徹夜だったからな…正直、私も少し眠い…」
包丁片手に割烹着をまとって台所に立つ加賀
あくびをギリと噛み殺しながらも、なんとか普段の表情を保っているようだった
「ほんと、完敗ですわね」
「だな。朝がくれば分かるとは言われたが…朝まで掛からなかったか」
忌々しいことに忌々しいが…約束は約束だった
負けを認めてしまった以上、この赤城の全てを一切合切を捧げるのもやぶさかではなかった
そしてもちろん、この方の、あかね様の、一切合切を貰い受けるは この赤城
でなければ ふぇあ じゃありませんもの、そうですとも、ええ、ええ…
「あぁ…あかね様…」
うっとりと、吐いた吐息は熱を帯び、身を寄せるほどに顔が惚けていく
あと一秒、後寸刻、一寸先の鼻先まで…
「ん…お腹すいた」 「ちっ…」
目覚めた あかねの第一声がそれだった
その影で赤城の舌打ちがなるのも捨て置いて、ぱっと身を起こすと
「お早う加賀。食事にしましょうっ」
「お前は本当に自由だな」
「ありがとう」
「褒めては…いや、褒めてやっても良いか」
少なくとも美点とは言える、同じくらい欠点だとも思うが
「ねぇ、どうして…どうしてなの…赤城が目の前にいるのに、どうして加賀の名前を呼ぶの…」
二人のやり取りの向こう側で、何かブツブツと呪詛を唱え始めている赤城
「…」
正直、面倒くさいやつだなっと加賀が思った矢先
「お早う赤城。愛しているわっ」
「はいっ。赤城もお慕い申し上げておりますわ」
そんな朝の挨拶1つで、死んだ瞳はぱっと開き、大陽よりもさんさんと輝き出した
「…」
正直、現金なやつだなっと加賀は思っていた
ー
「おはようございます、あかね様」
執務室に戻ると、敬々しく礼を捧げるベルフェスト
それに「はぁい」と軽い返事を返すと引かれた椅子に腰を下ろす
「赤城様…」「ぐぇ」
名前を呼ぶと同時、首根っこが掴まれていた
「あかね様はこれから お仕事に掛かられますので…」
ハッキリと「邪魔」と言ってしまうのは簡単だったが
しかしそれでは、この方(バカ)を抱き込んだ主ごと避難することにも繋がりかねないので ここはぐっと我慢の娘
ベルファストは良きメイドだった
「あらあら、ロイヤル娘が出しゃばる ものじゃ無くてよ。そもそも秘書艦はこの赤城ですので、お下がりなさいな?」
「…あかね様?」
まったくなんの酔狂か、我が主はたまに良くも分からないことを始めるから困る
ただの危険分子ならともかく、ど変態は扱いに困るというのに…
そんな考えなど おくびに出さずに あかねの方を伺うベルファスト
言葉欲しかった、ただ一言「邪魔」と、言ってもらえればすぐにでも排除出来るのにと
「指揮官(あかね)、委託完了したのです、が…」
部屋に入るなり、ツカツカと一直線に歩きだす綾波
そして一撃。なんの躊躇いも無くブレードの柄を赤城の横腹に打ち込んだ
「邪魔なのですよ、赤城」
「ぐはぁっ」
しかしそこは一航戦、無敵艨艟の赤城様。膝をつくこと無く、たたら踏んでも1歩2歩と踏みとどまる
「小娘が…調子に乗っていると…」
「赤城邪魔…」
ガッシリと掴まれた
インディアナポリスの艤装に据え付けられた巨大な手が、赤城を鷲掴みにすると
そこに重さなんて無いように軽々と…その辺に投げ捨てた
「二人共、朝の残りで悪いが…とっ…」
綾波達に遅れて盆を片手に部屋に入ってくる加賀
その足元にゴロゴロと転がってくる黒い塊を慌てて横に避ける
「はぁ…。姉さま、少しは真面目にやって下さい」
ため息1つに呆れが全部
足蹴にしないのが最後に優しさとばかりに、邪魔な姉を跨いで歩くと、委託から戻ってきた二人に おにぎりを差し出すのだった
「どうして…どうしてみんな赤城の邪魔をするの…赤城はただ指揮官様と一緒にいたいだけなのに
どうして、指揮官様は赤城を求めてくれないの…こんな、こんな思いをするなら愛なんて…」
さめざめと、部屋のど真ん中で着物の裾を濡らす赤城は邪魔以外の何者でもなかった
「赤城もおにぎり食べる?」
ふと、頭の上から降り注ぐ あかねの言葉。それは晴天の霹靂のごとくに彼女の中に鳴り響いた
「いただきますわぁ♪」
ぱっと顔を輝かせ、濡れた袖を振り払い あかねの傍へと駆け寄っていく
どこまでも現金な女だった
ー
「変われば変わるものだな…」
部屋の片隅でそんな様子を見ていたエンタープライズ
思わずと、そんな感想が漏れていた…
「ぷふふっ、見てよあの一航戦が…可笑しいったら…」
なんとか笑いを抑えてはいるものの、我慢できなかった分だけ身体を くの字に曲げてお腹を抱えるホーネット
「いや、しかし…これはどうしたものかな?」
「まー…。しゃーなしだっ」
一時、悩む素振りを見せたホーネットだったが
約束は約束、遺恨がなくなった訳でもないが、取り立てて混ぜっ返す必要もないと結論し
顔をあげると「少しは好きになって見ても良いかもね?」そう言い残して、たっと駆け出していった
「かーがー。私にもちょうだい?」
「ん、まぁ構わないが」
「あんた意外と面倒見いいのね、アレと違ってさ」
「返す言葉もないな…」
「ねぇ、ちょっと待って…なんで今 赤城を見たの?どうして皆目を伏せているの、ねぇ?ねぇ?」
そんな、妹の背中を少しばかり羨ましく思う
「私とて、ケチャップをぶち撒けたいわけではない…が」
争いの無い日を…そう願っていても…
「たべるか?」
「な…」
思い悩むエンタープライズの前に、さっと差し出される おにぎり
何を考えている?怪訝に、相手の、加賀の顔を伺っては見るものの、澄まし顔からは何も読み取れなかった
「私を信じろとは言わない」
そんなエンタープライズの様子を察したのだろう、目も合わせずに独り言のように口を開く加賀
「だが、指揮官の あかねの事は信じてやってくれないか?」
「それは…」
一理はあった。加賀達を直接信じられなくとも、こんな滅茶苦茶を通した人の事ならば
それに、願っていても始まらないか
素直に誠実に…そう、少なくてもこの おにぎり は加賀の気遣いなのだから
「頂こう…」
「ん…」
争いのない世界。その第一歩は…
「すっぱっ!?なんだこれっ」
「梅干しだが…?」
とても酸っぱかった
ーおしまいー
「みてみて綾波、応援の札を貰ったわ」
「どうも、ありがとうなのです。ですが、意外だったのが…」
「何よ?」
「どうして続いたんですか?」
「興が乗ったからよ?」
「あかね が調子に乗るとロクなことがない…」
「でも最後に勝つのは私よ?」
「でしょうね…。泣きを見るのは綾波達なのです」
「でも楽しかったでしょう?」
「否定まではしませんけど。それ以上に疲れるんですよ、この おバカ」
最後までご覧いただきありがとうございました
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