2015-03-02 19:02:54 更新

概要

とある せいねんと
とある かんむすのおはなしです。

おしまい♪
…ここまで長くなるとは思わなかった…

※完結作品です。


前書き

しっとりしたの かきたいんです

とある
せいねんと
とある
かんむすのおはなしです。


踏切でまた逢いましょう


-----------------------------------------------------


―雨の日に


踏切で良く会う


とある女のひと


その人は艦娘でした



-----------------------------------------------------




課長「きみさこの会社入って何年目だっけ?」



青年「はぁ…」



課長「や、答えになってないからね?

何度同じ事言えば気が済むのかな?」



青年「はぁ…」



課長「あのさぁ…ここまでくると酷いよ?」



青年「はぁ…」



課長「…やる気ある?」



青年「はぁ…」



課長「…もう下がって良いよ。」



青年「はぁ…失礼します。」




ヒソヒソ

アノヒト マタ オコラレテル

ヒソヒソ



青年「…」


………

……




青年「お先しまーッす」



オウ オツカレサーン



………

……




ザー…



青年(あー、雨降ってんなぁ。結構強いな)



青年(傘…傘…あった)



バサッ


………

……




トボトボ



青年(疲れた)




青年(上京して働いているものの)




青年(今の仕事に中々慣れず)




青年(怒鳴られているばかりの日々…)




青年(早く家に帰って寝よう。

やっと週末だ。)




青年(…あ)




青年(電気料金…まだだった。)




青年(公共料金だし、帰りのファ○マで

払ってこよう。)




青年(あ~踏切…下がっちゃった。)




カンカンカンカン…




青年(ここの踏切…長いんだよなぁ)ハァ




青年(…。)




カンカンカンカン…



スタスタ



ピタッ




青年(?)




???「…」




青年(不思議な髪の色だなぁ。

最近の女の子に

人気の色なのかな?)




???「…」



青年(それにしても綺麗な子だなぁ。

今日は悪い事ばっかりって

思ってたけど…良い事もあるもんだなぁ)




???「…?」



青年(!、目…合っちゃった、どうしよ)




???「…」ニコッ




青年(!)///

ウツムキ



???「…?」



カンカン…



青年(踏切…開いた)



………

……




青年「ただいまー…誰もいないけど」



………

……




青年(はぁ~今週、長ぇ)シャコシャコシャコシャコ




青年(あれの納期いつだっけ?)ガラガラ…ッペ




青年(やめよやめよ、

アパートで仕事の事なんて。

…寝るかね)



………

……




青年「はぁー」ゴロン



青年「…可愛かったなぁ、あの子」



青年「ここの近くに住んでんのかなぁ」



青年「…」ウトウト



青年(なんか忘れてるような…)



青年「あ!電気料金!!」ガバッ


………

……




目覚まし時計「」




青年「zzz」




目覚まし時計「」




青年「zzz」




目覚まし時計「ジリリリ…」



ボタン パァン!


ガシッ!


ブンッッ



ガランガラン…


ガラン…




青年「…。」ボ-




青年「」ゴロン




青年「zzz」グガー



………

……




青年「zzz」ンガッ




青年「う~ん…」ボリボリ




青年「うん?」




時計「10時でっせ」




青年「…」




青年(あ~…お腹空いたなぁ、でも寒い)ブルッ




青年(リモコン、リモコン)ゴソゴソ



ピッ



テレビ「…と鎮守府の提督は会見を開き

『セクハラは文化である』と訳のわからないコメントを

残しており、物議を醸しているようです。」




青年(セクハラはいかんよなぁセクハラは)




テレビ「なお、この提督からセクハラ被害を

受けた艦娘の数は百名を超えており、

その内容も悪質で艦娘のSさんは

『妹のZには手を出さない』と約束を交わしたにも

関わらず、被告はZさんに連日、酷い性行為を強要したと…」




青年(あ~でも、ハーレムだもんな~。同じ男として

わからんでもないよな~。)




青年(…そろそろ部屋、掃除しよ。

あ、あと洗濯しなきゃ。)




………

……




ゴゥンゴゥンゴゥン



青年(洗濯物の回ってる様を眺めるのって

結構、楽しいよな~。)




ピー



青年(あ、眺めてたら終わった。)ヨッコイセ




………

……




青年(よいしょ)センタクモノ ホシホシ



青年(今日は雨降るのかな~)



グゥ~



青年(やっぱり腹減った。…あ、電気料金。)




………

……





店員「ありがとうございました~」





青年(は~、払った払った、

滞納するとえらい事になるからな~)





青年(ビール買ったし、

久々に昼飲みでもしよかね~。)





カンカンカンカンカン…





青年(あ~…もう…またか)




青年(休みの日くらい、

スムーズに通らしてくれても良いじゃんさぁ)ハァ




青年(ん?)




???「…」




青年(あ~、あのときの女の子?)




青年(まつ毛長ぇなぁ。)




カンカンカンカンカン…




スタスタスタ




青年「え?」




???「」スマホカチカチ




青年(遮断機!?壊れてんのか!?下がってない!

しかもあの子音楽聴いてるし

スマホいじってて周りに気付いてない!?)




青年「あ…っぶねぇぇあ!!!」グイィィ




???「いったっ…!」ガクン




…ドサ





プァァァァァァアアアアン


ガタタン

ガタタン

ガタタン


…タタン


……タタン






青年「はっ…はっ…はっ…」




???「」ポカーン




青年「はぁ…だ、だいじょうぶ?」




???「あ、ご、ごめんなさい!!

ぼーっとしちゃってて!!」




青年「は~…あ~良かったぁ。」




ジワァ




青年(なんか…生温かい…?)




???「…ぁ///」




ショワワワ…




青年(oh)




ポツ…ポツ…



ザァァァァ…




青年「えぇ…まじで」ズブヌレ




???「」ズブヌレ




………

……




???「」///




青年「散らかっててごめんね~。

洗濯機と乾燥器、あとシャワーは

自由に使ってよ」



青年(今朝の占い、最下位だっけ?俺?)



???「あ、す、すいません」ハックシュン



青年「まぁまぁ。気にしないで。

冷えるとイカン。さ、早く温まってきなよ。」



???「すいません、御言葉に甘えさせて頂きます。」ペコリ



青年「いいのいいの」チラッ




青年(あ、ブラ透けてる)




………

……




???「あの、ありがとうございました。」



青年「良いの良いの、困った時はお互い様だよね。」



青年「着るものそれしか無くてごめんね~。」



???「あ、いえサイズも丁度良いですよ?

細いんですね?」シロシャツ クロスキニー



青年「貧弱なだけだよ。」



???「いえ、そんなことは…

あ、これ胸と腰回りが…」



青年「あぁ、やっぱソレ男物だからね~。ごめんね。」




???「す、すいません!厚かましかったですね!」




青年「正直な感想だからね。

気にしないよ俺は。」


………

……



青年「温まるよ、コーヒーどうぞ。」



???「すいません気を遣って頂いて。」



青年「いえいえ」ズズッ



???「」ゴクゴク



ザー…



青年(雨、降るなぁ…)



???「あの…」


青年「ん?」



???「お名前、伺ってもよろしいですか?」



青年「俺は、青年です。」




大鯨「青年さん…ですね。私は大鯨と申します♪」



青年(不思議な名前だな~。)



………

……




大鯨「あの、本当にありがとうございました。

日を改めて、お礼に伺いますので!」



青年「良いの良いの。気を付けて帰ってね。

少し、暗くなってきたから。」



大鯨「はい、失礼します。」ペコリ



青年「ん」バイバイ



大鯨「そ、それと…」



青年「ん?」



大鯨「きょ、今日の事は忘れてもらえると///」モジモジ



青年「…」



青年「あぁ、お漏らs…」



大鯨「言わないで下さい!!///」


………

……




青年「はぁ~。」ゴロン



青年(この部屋にまさか、女の子を迎え入れる事になろうとは)



青年(う~ん、なんだか日本人離れした顔立ちと

瞳の色だったなぁ~)ウトウト



青年(なんか…また、忘れてるような…。)ウトウト



青年(…)



青年「あ!洗濯物!!」ガバッ



ザー…



青年「oh…」



………

……



カタカタカタカタ



カタカタ…ッターン!



青年「あ゛~…」ノビー



青年(あれから一週間かぁ…)



青年(また土曜日で休日出勤…)



青年(…切ねぇ)



青年(区切り良いし…帰ろ)


ザー…



青年(…)



青年(無いわぁ)



………

……




青年(あ、そうだ洗濯洗剤、切らしてたんだ。)



青年(今度はメモ帳に書いたもんね)フフン



カンカンカンカン…



青年(なんか俺、帰るタイミングで

これ下りてね?

ところでこれ直ったのかな?)



カンカンカンカン…



青年(雨降ってるせいか

なぁんか、寒いなぁ…身も心も…財布も…)




青年(部屋に戻ったら、

『戦闘機これくしょん(せんこれ)』でもやろ。)




青年(あそこの空域で、

あの子ドロップすんだっけ?)




スタスタスタ



ピタッ…




青年(あ)




大鯨「あ」




大鯨「やっと、会えましたね。」フフッ




青年「なん…で?」




大鯨「あの、以前お借りした。お洋服を返そうと思ってて…。この中に」




青年(あ、だから紙袋持ってるんだ。)




大鯨「実はこの一週間ずっと、この時間に来てたんです。

そうすればまた会えるかなと。」



大鯨「アパートにお邪魔しようかとも思ってたんですけど。

さすがに夜遅くにお邪魔するのも悪いかと。」



青年(ここんとこ、ずっと残業続きだったから

ほとんど、いつも帰れる時間に帰れなかったんだっけ。

あぁ、だからすれ違っちゃったんだ…悪い事したな~。)




青年「なんかすいませんね。かえって気を遣わせちゃったみたいで。」




大鯨「いえそんな!でも、やっぱり雨の日なんですね。」クスクス




青年(カワエエェ…ん?)




青年(雨の日?)




大鯨「ほら、私達、会うときって大体

雨降ってませんか?」




青年(ああ、納得)




青年「そう…ですかね?」




大鯨「はい♪」




青年(午後6時か~。そうだ。)




青年「あの、御夕飯てもうお済みですか?」




大鯨「いえ、まだですけど?」




青年「長い間、待たせてしまったお詫びに

何か奢らせて頂けませんか?」




大鯨「そんな!悪いですよ!」




青年「いや~、さすがに一週間近くも手持無沙汰なまま

ずっとここで待ってもらっていたなんて

、なんか心苦しくって…。駄目ですかね?」




大鯨「いえ、そこまで仰るなら…

断るのも酷い女ですよね。」クスクス




青年(なにこの人、天使?)




青年「じゃあ、俺の馴染みのお店でも?」




大鯨「はい、御馳走になります。

あ、ちょっと待ってて下さいね。

連絡しなくちゃいけない所があるので」




青年(あ、エクス○リアの最新機種)




大鯨「あ、提督ですか?はい、大鯨です。

すいません、ちょっと

今夜はお外でお夕飯食べていきますね?」




青年(ん~?ていとく?)




大鯨「はい。はい。わかりました。

ありがとうございます。

あ、それと潜水艦の子達は

今日はもう休ませてあげて下さいね!

お願いしますよ?」




大鯨「はい、終わりました。さ、行きましょう?」ニコッ




青年(やっぱり天使だ。この子)



………

……




青年「ここ、ここ。

このバルのパスタ美味しいんだよ~。」




※バル…食堂とバー(酒場)が

一緒になったような飲食店だよ。




大鯨「へぇ~!青年さんってお洒落なんですね~!

こんな路地裏にこんな素敵な所あるなんて…。」




大鯨「あ、でも私、

こんな恰好で来ちゃって…恥ずかしいですね///」




青年「気にしないでよ。ここは、俺の

ヤボったい友人が開いてるお店で

そんなに畏まらないお店だから~。

ヤボったい友人がさ~」




友人「ほう?」




青年「…」




友人「…」




青年「HEY!」ハイタッチ




友人「Oh!Yeah!!!」ハイキック




青年「ンホォッ!!!」




大鯨「!?」ビクッ




青年「」ピクピク




………

……




友人「他に言うことは?」




青年「ごめんなちい。」



友人「反省してないね。」カマエ



青年「すいません調子乗りました。」



大鯨「あの…青年さんのご友人の…?」



友人「!」



友人「誰?この赤目の美人さん」ヒソヒソ



青年「おもらs」




大鯨「ほえぇぇ!!!////」




青年「」コマク パァァン




友人(至近距離であんな大声…)ミミフサギ




青年「」ビクンビクン




大鯨「キャァァァ!!!」



………

……





大鯨「あの…青年さん、大丈夫ですか?」




青年「うん。まだ耳の奥キンキンするけど。」




大鯨「すいませぇん。」




青年「大丈夫、大丈夫だから。」




友人「お前、ほんと丈夫な。」





青年「唯一の取り得だよ。」




大鯨「あの、こちらの方は?」




青年「俺の大学の頃の友達。ここのバルのマスター。」




友人「よろしくね…えっと。」





大鯨「あ、申し遅れました。

私、艦娘の大鯨と申します。潜水母艦なんです♪」





青年「艦娘さんなんだ~」




友人「俺、艦娘さんと話すの初めて。」




青年「綺麗だな。」




友人「な。」




大鯨「///」




青年「美人だな。」




友人「な。」




大鯨「ヤ、ヤメテクダサイ///」




青年(かわいい)




友人(かわいい)




他客((かわいい))




青年(!?)




………

……




友人「何たべる?何のむ?」




青年「本日のお薦めパスタ2つと、

大鯨ちゃんをイメージしたドリンク」




友人「うん、かしこまった。」




大鯨「そんなアバウトな注文で大丈夫なんです?」




青年「大丈夫だよ。俺の友達だから。」




大鯨(えぇ~…)




………

……





友人「おまち」




青年「ん、サンキュ。ペペロンチーノ?」




友人「正解、旬の野菜つかってるからおいしいよ。」




青年「大鯨ちゃんのこれは…チャイナブルー?」




※チャイナブルー:ライチリキュール使った青いカクテル。

アルコール度数が強いから注意だよ。




友人「また正解。なんか大鯨ちゃんぽい。」




青年「ああ、なんかわかる。」




友人「な。」




大鯨「そうですか?」




青年「綺麗なとこ」




友人「きれいなとこ」




大鯨「///」




………

……




大鯨「あ、これ美味しいです!」コクコク




青年「良かった。」




青年「大鯨ちゃんは普段、お酒飲むの?」




大鯨「いいえ、実はお酒飲むの初めてなんです///」




青年「…」




青年「大丈夫?」




大鯨「えへへ…『酔う』ってこんな気分なんですね~///」




大鯨「ふわふわして、気持ちいいです///」




青年「うん。」




大鯨「パスタも美味しいですね~///」




青年「良かった。」




大鯨「」コクコク




青年「水、貰ってくるね。」




大鯨「いってらっひゃ~い///」




青年「…」



………

……





青年「もどったよ…?」




大鯨「zzz」スウスウ




青年(あ~…)




友人「あ、寝ちゃった感じ?」ヒョコ




青年「うん、送ってくからタクシー呼んで?」ヨッコイショ





友人「おもちかえり?」





青年「違うよ!?」




………

……







ガチャ…バタン



ゴソゴソ


ゴソ…



パチ





青年(あ、点いた。電気のスイッチって分かりづらい…。)




大鯨(ZZZ)




青年(大鯨ちゃん軽いなぁ。)




青年(大鯨ちゃんをベッドに寝かせ…て)




青年(よっこいしょ。あ、腰にキタ)イテテ




青年(ふぅ…あれ?これっていわゆる、『おもちかえり』?)





ヴィィィ…



ヴィィィ…




青年(なんだこの音?)




青年(大鯨ちゃんの方から?)




青年(あ…携帯…)





青年(これ、全部提督さんからだ)





青年(…着信件数がべらぼーな数、着てるよ。)





青年(出なきゃだよな)





ピッ






提督『大鯨…』





提督『…何時だと思ってる』





青年「…あの~」





提督『…』





提督『誰かな?』





青年「あの…大鯨さんと一緒に

お食事をしていた者です。

大鯨さんが、お酒を飲んで眠ってしまったので、

今、家で介抱しているんです。」





提督『…』





提督『…それは、申し訳ない事をしました。』




青年「いえ、大丈夫です。

それで、大鯨さんなんですけど。

今、熟睡中でしばらく

起きそうに無いんです。

このまま朝まで、眠らせてあげた方が

良いと思うんですけど。」




提督『良いのですか?』





青年「はい。明日は丁度休みですし。」





提督『すいません。お言葉に甘えさせて頂きます。

では、明日、御迎えに上がります…場所は―』



………

……






大鯨(…ん)





大鯨(あれ?わた…し、お酒飲んでて…あれ?)





大鯨(ここ…たしか…青年さんの…部屋?)





大鯨(なんか…良い匂い…します。)クンクン





大鯨(お味噌汁の…におい?)




トントントントン


トントントン






青年「おはよー」




大鯨「へ!?」




青年「簡単なもんだけど、朝食作ったよ。」




青年(ご飯に味噌汁、目玉焼きとサラダ…うん、本当に簡単。

お客様用の食器とかあって良かった。)





大鯨「あの…まさか…私…///」





青年「うん。」





大鯨「酔い…潰れて?」




青年「御名答」




大鯨「///」ウツムキ




青年(かわいい)





大鯨「あの…青年さん?」




青年「なに?」




大鯨「あの、あんまり…今、近づかないでもらえませんか///」




青年「なんで?」




大鯨「あの…たぶん、昨日…シャワー浴びてないので…」




青年(…あぁ…。

でもそれはそれで…)




大鯨(なんか…恥ずかしいこと考えてませんかー///)




………

……





青年(朝食食べて、お互い、

とりあえず簡単な身支度して

あの踏切に来たけど…。)





青年(今日は…晴れてるな~…。)






青年(今、10時か~。)ウデドケイ チラリ







青年(約束の時間まであと30分か~。)






青年「大鯨ちゃん?」






大鯨「はい?」






青年「提督さんてどんな人?」






大鯨「え~っと、『くーる』な性格と言えば良いんでしょうか」ウーン






大鯨「あ、でも決して冷たい性格という訳では無いんですよ?」





大鯨「良く親身に…『とても』親身になって

みんなの…相談に乗ってくださったり…。」





青年「良い人なんだね~。」





大鯨「…っ…はい」





カンカンカンカンカン…

カンカンカン…



プアァァァン


ガタタン

ガタタン

ガタタン



…タタン


……タタンタタン




カンカンカン…





青年(ん?踏切の向こうに…誰かいる?)





大鯨「あ、提督…」





青年(あ~…あの人が。)





提督「…」





青年(こっちに歩いてくる、俺らから行かなくても良いのかな~、

迷惑かけたのに、申し訳ないな…。)






ツカツカツカ…





パァン





大鯨「!?」






青年(…へ?)





青年(大鯨ちゃんを…ビンタした?)





提督「…人様に迷惑をかけて…」





提督「…艦娘として恥ずかしく無いのか?」





大鯨「すい…ません」





提督「…以後、気をつけるように。それで…」





青年「青年って言います。元はと言えば、

自分が誘わなければよかったんです。

大鯨さんは悪くありませんよ?」





大鯨「青年…さん」





提督「…優しいですね。」





青年「いえ臆病なだけです」





提督「…」





提督「この度は、大鯨が御迷惑をおかけしました。

以前も、服を貸して頂いたというのに。全く。」





大鯨「…」





青年「自分は、全く気にしてないので。」





提督「…お詫びにと言ってはなんですが

今度、御食事にでも?」





青年「ありがとうございます。」





提督「連絡先はこちらにメモをしておきました。

あとで登録をお願いします。」





青年「はあ、どうも。」





提督「また、後ほど、詳細な日程をお知らせしますので。

帰るぞ大鯨。」





大鯨「はい…。あ、青年さん!ありがとうございました。そして

すいませんでした!」






青年「」マタネ





提督「…」ギロリ





大鯨「…ッ」






青年(なぁんか…怖い人だなぁ)




………

……







青年「今日、休みで良かった…ん?昨日の上着の

ポケットになんか入ってる?」






カサカサ





メモ用紙「洗濯洗剤」ヤァ





青年「…」




青年「あ゛ぁ゛!!洗濯洗剤!!!」




………

……





………

……






提督「…何か言う事は?」





大鯨「申し訳ありませんでした…」





提督「…」





提督「それだけか…?」





大鯨「ッ…」





提督「約束を破っておいて…」





提督「私は君に言われた通り潜水艦の子達に休みを与えたぞ?」






提督「なのに、君は一方的に約束を破ったんだ。」





提督「誠意を形にするのが…」






提督「礼儀じゃないか?なぁ?」






提督「大鯨?」






大鯨「て、提督!お、お言葉ですが…、

潜水艦の子達に与えた休暇って…

あ、あれじゃ…あれだけじゃ…

全然、体なんて癒えません!」






提督「大丈夫だよ。『艦娘は丈夫』だからさ。」






大鯨「…」






カチャカチャ…






提督「…咥えろ」





大鯨「…い」





提督「ん?」





大鯨「いやぁ…です…。」グスッ





パシン






大鯨(痛っ…!)





提督「…大鯨」





提督「君は…何のためにここにいる?」





大鯨「か、艦娘とし…て、深海棲艦から…

国民の…皆さんを…お守りするためで…す。」ポロポロ







提督「そうだね。それが、『艦娘たる』姿だ。

でも君はどうだ?」






提督「…まともに『攻撃』も出来ず、

かといって『特殊な技術』が有るわけでない。」






提督「でもまぁ…」






提督「慰安ぐらいには貢献できるよなぁ」






サスリ…





大鯨(ヒッ…!む、胸を…

撫でまわして…!?)






提督「『お国』のためだぞ?大鯨?」






大鯨「…ぅ」グス






提督「何も、難しいことでは無いだろ?

その気持ちを証明してほしいだけだ。」






提督「さぁ。『可愛い』大鯨?君は私に如何してほしい?」






大鯨「…くだ…い」






提督「ん?…聞こえないな。」






大鯨「たい…げいに…提督の…『―』を…下さい」ポロポロポロ







提督「よく出来ました。さあ…」









提督「お い で」ニタァ







大鯨「ぅ……」



………

……




二週間後…







青年(最近ずっと晴れで天気良いなぁ~)ノビー



青年(なんか…この二週間…

大鯨ちゃんに会ってないような気がする。)




ガチャ…





青年(あ、コーヒー…切らしてたんだ。

仕事帰りに…買ってこよ。)





バタン



………

……







青年(週の始めってだるいよね~…)シャコシャコシャコ



青年(はやく今日の仕事が終わりますよ―に)ガラガラガラ…ッペ




………

……




青年(傘って今日いるかな…)



リモコン ポチッ



テレビ「…県では、曇り後、所により雨となるでしょう。

次は『今日のニャンコ』のコーナーです。」



青年(久々に雨降るな。傘持ってこ。)




………

……





課長「…」ペラ





青年「」ドキドキドキ





課長「…」ペラ




青年「」ドキドキドキドキ




課長「ふん、君にしては

ミス無く処理できたようじゃないか。」パタン




青年(…あれ?)




課長「ま、これぐらいできて普通だけどね。」



係長「はい、承認のハンコ。

ほれ、さっさと次の仕事に取りかかった!」




課長「あ、はい。有難うございます。」



………

……




青年(なんか、珍しく今日怒られなかったな~)




青年(なんか良い事ありそ。)




青年「お先しまーす」




オツカレー


キィツケテナ




青年(雨…降ってるな…大鯨ちゃん…いるのかな)




ザァァァァ




………

……






コンビニ店員「ありあとやしたー」





青年(うん、…コーヒー

買えた。)ゴソ






テクテク






青年(もうすぐ踏切だな~…。)






ザァァァァ







青年(大鯨ちゃん、今日はいないんだ。

まぁ毎回、雨の日に会ってたら、

それはそれでちょっと怖いよね~。)




テクテクテク…






青年(あ、踏切…)




カンカンカンカン…

カンカンカンカン…


カンカンカンカン…



プァァァァン



ガタタン

ガタタン


…タタン


……タタン





青年(……あれ?)








大鯨「…。」







青年(あ、大鯨ちゃん…いた。何だか久々…だけど、

踏切の向こう側に行っちゃった。)







青年(あれ?なんかまた大荷物持ってる?)







青年(こんな時間にどこ行くんだろ?)







青年(大鯨ちゃん、歩いてる方向って、あんまり人が

行かないようなとこなんだけどな~…)






青年(あ~あ~、どんどん暗がりの道行っちゃってるよ…。)






青年(…)







青年(…着いてこ)





………

……







ザァァァァァ…







青年「」ハァハァ





青年「」フゥフゥ





青年(大鯨ちゃん…案外タフネス…)





大鯨「…」スタスタスタ…





青年(ここって、街外れの丘に向かってるよね…)





青年(こんな、わざわざ足場が悪くなるようなときになんで

こんなとこに…それに)





大鯨「」スタスタスタ…





青年(どんどん、登って行ってる。)







青年(…頂上…着いちゃった…。)







青年(あ゛~腰痛ぇ…)コシトントン





青年(なぁんか…

すっごい道通ってきたな…)






青年(大鯨ちゃんは?)キョロキョロ





青年(あ、いた…けど。)




青年(なんで…あんな、木の下にしゃがみこんで…)




青年(…!?)




青年(…なんで大鯨ちゃんの前に…あんないっぱい…)





青年(あんなに…汚れた小さい板が…)





青年(なんだか…まるで、『お墓』みたいだ…。)




………

……






大鯨(…埋めなきゃ…)





サク…



サク…




大鯨(ごめんね。こんなことしか出来なくて…。)





ザッザッザッザ…




大鯨「!?」




大鯨「だ、だれですか!?」





青年「俺だよ、大鯨ちゃん」





大鯨「青年…さん?」






青年「大鯨ちゃん…これって…?」





大鯨「…お墓」





青年「…」





大鯨「…お墓…なんです」





青年「…うん」





大鯨「…私…艦娘なんですけど…ちからが弱くって」





青年「…うん」





大鯨「雨の日とか…地面が…

濡れてて柔らかくなった時しか

深く掘れないから…」







青年「…うん」





大鯨「…」






大鯨「那珂ちゃんさんも、神通さんも、夕張さんも……五月雨ちゃんも…」







大鯨「…みんな…私の大切なお友達でした…。」






青年「…うん」






大鯨「…提督は、

沈んだ艦娘の部屋をすぐに片づけちゃいますから…。」






大鯨「あんまり、遺品とか残らないんです…。」






大鯨「でも、なんとか…運び出して…ここに…っ」ポロ






大鯨「あ、雨の日に」





大鯨「こ…こに…埋めるん…です」






青年「…」






大鯨「沈んだ…艦娘は…

書類手続きだけで…済んじゃいますから…」







大鯨「あくまで…艦娘は…『軍の兵器』『軍の物』…物扱いなんです…。」






青年「…うん」






大鯨「だから、弔うか否かは…

責任者の判断、提督の意向に委ねられるんです…。」







青年「…つらかったね。」






大鯨「…ッ」






大鯨「私は…なにも…出来ない…から、だから

せめて、遺品だけでも…」グスッ





大鯨「誰も、彼女達を

弔ってくれないんです…

悼んでくれないんです…」





青年「…」





大鯨「沈んで…たった一時、たったその時だけですよ?

『国のために頑張った』と称賛されて…」





大鯨「必死で…戦ってくれたのに…」





青年「うん。」





大鯨「轟沈を当たり前と思って…

誰も何も思わないで…そのまま、

忘れられるなんて…あんまりじゃないですか…。」






大鯨「私の所属する鎮守府では…提督はもちろんのこと…

艦娘にも…『そんな事をする暇があるなら資材を稼いでこい』と…

暇を与えてくれません…」






大鯨「だから…」






大鯨「一番、何もできない私が…」






大鯨「じゃないと…頑張った皆が沈んで…

頑張ってない私が…何も出来ない私が

『この世にいる』意味なんて…無いんです…。」






大鯨「『艦娘』としてこの世に…生を受けたのに…」






大鯨「こんな思いを…するくらいなら…いっそ」






青年「大鯨ちゃん」






大鯨「…」





青年「それ以上はいけないよ」



………

……




ザァァァ…




青年「じゃあ、俺と初めて会ったあの時も…」






大鯨「はい…青年さんと別れたあとに…ここに」





青年「…」





大鯨「あのときは…春雨ちゃんでした…」






大鯨「時間を見つけるのは中々、難しいんですけど…」





大鯨「なんだか…慣れちゃって…」





青年「大鯨ちゃん…」






大鯨「慣れちゃったから…お墓参りにも…来られんですよ?」






青年「大鯨ちゃん」





大鯨「はい…」






青年「ここは…冷えるよ…」







………

……




ギィ…バタン





青年「あがってあがって。」





大鯨「お邪魔します…。」





青年「はい、タオル。髪、少し濡れてるよ?」





大鯨「すいません…」グシグシ





青年「…ソファ座って待っててよ。今、温かいのなんか

淹れるから。」





大鯨「はい…」





………

……






コポコポコポ…





青年「こんなのしか無くてごめんね。」





大鯨「あ、コーヒー…ありがとうございます…。」






大鯨「…」コクコク





青年「…」ゴクゴク







青年「豆から挽いてるから美味しいでしょ?」







大鯨「…はい、とっても…」





ポタ…




ポタポタ…




大鯨「ぅ…ぅぅ…」ポロポロ





青年「温かいと安心するよね」ズズズ






大鯨「は…ぃ…」ポロポロ






青年「…」ズズズ






青年「それ飲んだら…お帰りよ。遅いと提督さん、心配するよ?」ズズ







大鯨「はい…すいません」クスン





ザァァァァ…



………

……





大鯨「それでは、私はここで。」






青年「この踏切までで良いの?」






大鯨「はい。お世話になりました。何度も、すいません」ペコリ






青年「ん」キヲツケテネ







大鯨「では…あ。」






青年「あ…踏切」





カンカンカンカン…

カンカンカンカン…


カンカンカンカン…







大鯨「あの!」





青年「ん?」






プァァァァン




ガタタン


ガタタン



…タタン


……タタン









大鯨「時々で…時々で良いんです…」







青年「…うん」







大鯨「お時間があるときに…」







大鯨「あの子達のところに

行ってあげてくれませんか…?」






青年「…」






大鯨「厚かましいお願いだとは思います…でも」






大鯨「でも…私以外にも

少しでも悼んで、思ってくれる人が

いると彼女達も喜んでくれるはずなんです…」






青年「…うん」






大鯨「…駄目でしょうか?」







青年「…」







青年「良いよ」







大鯨「…」キョトン






大鯨「…あ」








大鯨「…ありがとう…!

ありがとう…ございますぅ」グス







青年「大鯨ちゃんは泣き虫さんだね」ヨシヨシ






ザァァァ…





………

……







………

……





青年「あ、そうだ、ちょっと教えて?」





大鯨「はい、なんでしょう?」





青年「なんで、あの丘にお墓を?」





大鯨「…昔ですね」






大鯨「ちょっと前に、

きまぐれで提督が休暇を与えて下さって

艦娘の皆であそこまでピクニックに行ったんです。」






大鯨「晴れててとっても気持ちが良くって、街が見渡せて、

海もちょっとだけ見えて…人目に中々つかない穴場で」







大鯨「一回だけしか行った事無いんですけどね」







青年「うん」







大鯨「とっても楽しかった唯一の思い出なんです。思い出の場所なんです。」






大鯨「だから…」






青年「うん」




大鯨「…」





青年「大鯨ちゃん、これ」





大鯨「これは…?」





青年「俺の携帯の電話番号、なんか…ん~。」





青年「あ、暇なときにでもかけてよ」





大鯨「…ありがとうございます…♪」ニコ





青年「あ、笑った」





青年「うんカワイイカワイイ」ウンウン





大鯨「ヤメテクダサイ///」





………

……







加賀「…以上が、今回の作戦の戦果報告になります。」






パンパンパンパン…






提督「」ハァハァハァハァ





白露「…」カクカクカク





加賀「…」






加賀(今日の『デザート』は白露なのね…)






白露「…」






加賀(…目に光がないわね)






加賀「尚、小破1、中破2、大破3です…」






パンパンパン…






提督「…敵は?資材は?」








加賀「ノルマの半分にも満たないかと」








提督「そうか」







パンパンパン…







提督「白露…すっかり緩くなったなお前、反応も鈍くなったしな。

最初はあんなにキツくて、泣き喚いていたのに…」






パンパンパン…






提督「随分と可愛げが無くなったもんだ。」





白露「ッ」カクカクカク







加賀(…ロリコンめ)







提督「出すぞ…っ」






ドプドプッ






白露「…!」






加賀(な、中に…!?)







提督「ふぅ…」








ズルン







提督「さぁ白露、私の『―』を綺麗にしてもらおうか」






白露「ぅ…ぃゃ」





バシン





白露「ぃ…」






提督「おとなしく咥えろよ」







加賀「…」







加賀「提督、司令室で

そのような行為はあまりお勧めできません。」








提督「加賀、『アレら』が戻ってきたらすぐに出撃させろ、

ただでさえペースが落ちてるんだ。」








加賀(都合の悪い事は

聞く耳持ちませんか…)








加賀「作戦効率が下がると思いますが?」








提督「構わん。どうせ沈んだらすぐに空いた枠を補填

させれば良いだけだろう?今まで通りで良いんだよ。」









加賀「畏まりました。」








加賀「…下衆が」ボソッ






………

……






加賀「失礼します。」





バタン





加賀「…クソッ」ボソッ





ツカツカツカ…





加賀(気分が悪い…早く休まないといけないわね)





加賀(…)






加賀(…私たちは互いに監視し合っている…)





加賀(互いが互いを、数々の不正を外部に漏洩させてないか…)




加賀(見つけ次第、それを報告しなければ。

ばれてしまえば、酷い罰をうける…)




加賀(むしろそんな事を考えさせてくれる暇すら与えてはくれない)





加賀(誰かが、外部にこの事を漏らせば…)





加賀(…誰かが…一人でも告発すれば、他の仲間達がどうなるか…)






加賀(上手く、自分だけ逃れられても…そんなの、出来るわけないじゃない…。)







ツカツカツカ…






加賀(?)






大鯨「…あ、加賀さん」






加賀「…今日は雨ね」






大鯨「は、はい」






加賀「…また、行ってたの?」






大鯨「…はい」






加賀「ごめんなさいね…本当は私も行きたいのだけれど…」






大鯨「い、いえ!気にしないで下さい!」






大鯨「加賀さんは秘書もやって、その上前線にも出てて…

、これは私の役目ですから」







加賀「…」







大鯨「それに…」






加賀「…?」






大鯨「…もう、一人で行く事も少なくなりそうなので…♪」






加賀「?…そう。」






大鯨「はい♪」






加賀「…」






加賀「提督は今月は外出する予定はあまりなさそうよ。

出かけるときは気を付けて…」






大鯨「あ、有難うございます」ペコリ





………

……







青年(土曜日に天気が良いと、得した気分になるよね~。)






提督「いかがですか?ここのリストランテは

良く利用しててシェフとは知り合いなのですよ?」





※リストランテ…イタリア語のレストランの意。

高級だよ。コース料理だよ。






青年(高級そうな…一回きたら

俺の一カ月分のお給料なんて

吹っ飛びそうだね~。)






青年「すごい…なんていうか…セレブリティな感じがします。」








提督(語彙が貧弱だな。貧乏人めが)








提督「たいした事ありませんよ、

むしろとても『リーズナブル』ですとも」







青年「はあ。そういうもんですか。」







………

……








青年(赤絨毯に、たぶん高級インテリア、

上品なターコイズの壁…う~ん

ますます俺に縁がないようなイタリアン)






提督「まぁ、楽にして下さいよ」








青年(提督さんの両脇に…

あの子達も艦娘なのかな~。

やっぱり綺麗な人達だよな)







青年「あの~」







青年(でも…)






提督「何か?」






青年(なぁんか…両手に花なんだろうけど)






青年「そのお二人も艦娘なんですか?」







青年(目が死んでるような…虚空を見つめてるというか)






提督「おっと、失礼しました。

まぁ、『コレら』は私の護身用の道具として

見て下さいな。外出時は何があるかわかりませんのでね。」






青年(『コレ』…かぁ…)






古鷹「…」





加古「…」コックリコックリ






青年(直立不動でお人形さんみたいだ。

片方の子、やたら寝むそうだな~かわいい。)






………

……





スタッフ「お下げ致します。」





青年「ありがとうございます」






提督「はは、一々お礼なんて言わなくても結構ですよ」





青年(ワイン美味しかった)ケプ





青年「すいません、なんか癖で」





提督「…」





提督「今日は満足していただけましたかな?」





青年「はい…とっても」





青年(コース料理だったな~。

正直、高級すぎて緊張して味とかわかんなかった)





青年「あの~」





提督(ちっ…またかよ)





提督「なんでしょう?」






青年「彼女達は食べなくても良かったんですか?」






提督(そんなことか)





提督「大丈夫です、御心配にはおよびま…」





グゥ~…





青年「…」


提督「…」


古鷹「…」





加古「///」







提督「…」



ツカツカツカ…


ドスッ






加古「!…ぅ…ぉぇ!」






青年(!?)





青年(…いきなり、お腹を殴るなんて…)






青年(しかもあんなに、めり込むまで…)





加古「」ゲホゲホ





提督「これはこれは恥ずかしい、粗相を。」






青年「いえ…」






提督「…」




提督「どうでしょう?重ねてお詫びになってしまうんですが

このあと食後の『デザート』は?」






青年(あれ?さっきデザート…ドルチェだっけ?あれ出てきたような)






※ドルチェ…デザートと同意義






青年「さきほど頂いたような?」






提督「いえいえ、私が言う『デザート』は…」





提督「『コレら』の事ですよ?」





古鷹「…ッ」





加古「…」オナカサスリ





青年(…あ~、そういう)







提督「『相応しい』場所があるのですよ?ここを出てそこに向かいましょう」






提督「一度味わえば、これがいやはや。

中々クセになりますよ?」





………

……





青年「あの」





提督「ん?」





青年「せっかくのお申し出、大変嬉しく思います…ですが」





提督「ふむ」





青年「自分、『ゲイ』なもので」






提督・古鷹・加古「「「 ! ? 」」」





提督(…は?)





提督(……はぁ!?)






青年「あ…ゲイって御存じですか?いわゆる、男が男を」






提督「いや、言わなくて結構」アタマカカエ







提督(こいつと話すと頭痛がしてくる…)ズキンズキン







提督(確かに…以前、大鯨がこいつの部屋に

『一晩』泊まったというのに。

こいつは大鯨に…女に手を出さなかった…そういうことか)







提督「これは失礼しました。まさか男色だったとは。」







提督「…」






提督「この事は忘れて下さいな」






青年「はあ」





………

……






青年(この時期の夕方は綺麗だな~。

あ、そうだ。歯磨き粉、もう少ないんだっけ。帰りに買ってこ。)






提督「お気をつけて、お帰り下さい。」






青年「はい。今日は御馳走様でした。失礼します」ペコリ







スタスタスタ…







提督「…」





提督「私たちも帰るぞ。」





古鷹・加古「はい」





青年「あ、そうだ」





提督「 ! 」ビクッ





提督(こ、こいつ!いつの間に後ろに!?)





提督「な、なんでしょう」ドキドキドキ





青年「…名前わかんないけど、

艦娘ちゃん達も、バイバイ」オテテ フリフリ







古鷹「」カオ ミアワセ

加古「」カオ ミアワセ






古鷹「は、はい。バイバイ…です」オテテ フリフリ






加古「ん、ん~…バイバイ」オテテ フリフリ







青年「うん。

呼びとめてしまってすいません。では、失礼します」ペコリ






提督(なんだこいつ?)





提督「は、はあ」






バイバ~イ


スタスタスタ…



………

……





店員「いらっしゃいませぇ~↓」





青年(え~っと…アレ?)





青年(う~ん…)ウデクミ





青年(アレ?何買うんだっけ?)





………

……






ガチャ …バタン






青年「ただいまー」






青年(結局、ビールだけ買ってきちゃった)ゴロン






青年(本当は何買うんだっけ?)






青年(う~ん…)






青年(…)






青年「あ゛!!歯磨き粉!!!」ガバッ




………

……






古鷹「変な人だったね。」




加古「な。でもアタシは嫌いじゃないよ?」






提督「…」ギロ





古鷹「あ…」





加古「う…」



………

……





ガヤガヤ


コッチ ビール ツイカ!


ハイヨー!


ガヤガヤ





青年「どうしよう」グラスユラユラ





友人「どうしたい?」




青年「大鯨ちゃん、泣いてたんだよね」グビッ





友人「珍しくウィスキー飲みに来たと

思ったら…話が重い重い」





友人「もっと明るい話題プリーズ」





青年「…」





青年「昨日、『ゲイ』って嘘ぶっこいちゃった」







友人「…」






友人「はっはっは!このぉ!本当は女の子大好きなクセに~」






青年「はっはっは!こりゃまいったまいったぁ!」






HAHAHAHAHAwww









友人「…」グラスフキフキ






青年「…」グビッ






友人「あんまりおもしろくないな」






青年「ごめん」






友人「いやいい」






友人「で?ほんとにどうしたいんだ?」






青年「どうしたもんかね」






青年「大鯨ちゃんさ、すごい悲しそうだったんだよね」






青年「昨日会った、

艦娘ちゃん達もさ…なぁんか

心ここに在らずみたいなさ」ゴクゴク







青年「あの提督さんの鎮守府の子達がさ」








青年「皆が皆ってわけじゃないかもわかんないけど」






青年「少なくとも、あの子達は…幸せそうじゃなかったなぁ…」






青年「…」





青年「笑ったらさ…」





友人「ふむ」グラスフキフキ






青年「笑ったらさ、すごくかわいいと思うんだよね~、みんな」






青年「あんな悲しそうな顔は似合わないよ…」ハァ






友人「うむ…」







青年「一介の会社員が…どうすりゃ良いもんかね…」








友人「本音は?」








青年「たいげいちゃん すき たすけたいの」









友人「Wow!」










青年「一目惚れってホントにあるのね~」フゥ








友人「酔ってて口軽いねお前さん」







青年「」フヘヘ







ガヤガヤガヤ


エダマメ オモチシマシター


ガヤガヤガヤ





………

……







青年「う~ん、駄目だな今日は…頭が回んないや」






青年「ねぇ、カウンターの奥のさ。テレビ点けてよ。」






友人「はいはい」





リモコン ポチ








テレビ「すいません!お話だけでも!

この件についてはどうお考えですか!?

何か罪悪感とか感じてないんですか!?」





テレビ「もう!しつこいですよアンタ達!その件については

謝ったじゃないですか!さっさとウチの前から消えてよ!」





テレビ「あ!いま『消えてよ』って仰いましたね!?

言いましたね!?

番組をご覧の皆さん!

さっきの暴言をお聞きしましたか!?」









友人「あー、これってあれだろ?けっこう前の異物混入事件。

この人て責任者だろ?暴言とか…『マスコミの良い餌』だよな」








青年「なー」








青年(ん?…マスコミの餌…?)







スイマセーン マスター!






友人「あ、はーい!ただいまお伺いしまぁ↑す!」






友人「まぁ、ゆっくり飲んでけば?ちょっとオーダー取ってくる」







青年「」イッテラッシャイ







青年「ふむ…」






青年(あれをこーして…これをあーして…あれはどーすんのかな…)






青年(…もう少し考えよっか~)ゴクゴク





………

……





カタカタカタッターン



カタカタカタ






青年「部長…すいません」







部長「ん?青年君からなんて珍しいね?どうしたんだい?」






青年「すいません、今日の13時頃にお時間頂けませんか?

会議室予約しておきますので、ちょっと御相談が」






部長「うん、13時頃なら特に予定も無いからね、大丈夫だよ。」






青年「ありがとうございます」







………

……







部長「それで?話しって?」






青年「突然、すいません。」





青年「これは…部長にしか御相談出来そうになくて…」





部長「うん?」






青年「確か部長の奥様は…元『艦娘』ですよね?」







部長「ああ、そうだが?現役の時は『鳳翔』と名乗っていたかな?」







部長「いやー当時から非常に…非常に!気立てが良くてね~!」キラキラキラ







部長「あれは、晴れた日の日曜日だったな~。

うん、友人の紹介で妻と知り合ってねぇ」トオイメ








部長「若い頃の私はね~、いやぁ、

もう目の前に天使が現れたかと思ったよぉ」トオイメ









部長「艦娘であろうと、私は気にしなかったねぇ、

いやむしろ、そこが燃えたというか萌えたというか」









青年「あ、すいません。勘弁してください。

今、話し出したら定時までかかりますよ。」







青年(この前の飲み会とおんなじ話しになりそう…)








部長「う~ん、そうかね残念だ」







青年(ほんと奥さん好きな。この人)







青年「実はですね」







青年「会社を辞めようかと思いまして…」







部長「…」






部長「詳しく、理由を聞かせてもらえないかな?」






青年「…はい」




………

……






大鯨「お・そ・う・じ♪

お・そ・う・じ♪」パタパタ





大鯨「お・りょ・う・り♪

お・りょ・う・り♪」トントントン





大鯨「そろそろ皆さん、帰ってくる頃かな~」






ヴィィィィ


ヴィィィィ






大鯨「あ♪青年さんです♪」






大鯨「はい♪」






大鯨「青年さん♪」










大鯨「え…?」






ポツ…



ポツポツ…



ザァァァァァ…




………

……








ザァァァァァ…






青年「」フゥフゥ






青年「よいしょ…」






青年(やっと着いた)






青年(お線香ってこれで良かったかな~…あ、でも線香濡れちゃうか)








青年(俺あたまワルいな~)






ゴソゴソ





青年(お供え物って…何が良かったのかな~。

みんな女の子だから、甘いものが

良いかと思って羊羹かってきたけど…)






青年(やっぱり流行りの『すいーつ』の方が良かったのかな~?

あ、でも俺すいーつとか良くわかんね。)











青年(良し…と、この『さみだれ』ちゃんのお墓で最後だね)





カチッ



シュボッ





青年(まぁ、線香、濡れちゃうかもだけど形だけでもね~)






パンッ



パンッ






青年(今までお疲れさまでした、どうか安らかに)ナム~






ザッ…ザッ…ザッ…ザ…






青年「あ」






大鯨「あ」





………

……







ザァァァァァ…





青年「急に呼びだしてごめんね~」





大鯨「いえ!大丈夫です」






大鯨「でも?どうしたんですか?御用件なら、携帯電話で」





青年「ちょっとね、これはね周りに人がいない

事が保証できる場所じゃないと

安心して話せないんだ」






大鯨「?」








大鯨「え!よ、四ヶ月半!?」






青年「大体、それぐらいが目安なんだって」






青年「上手く、事が運べばね~」






大鯨「でも、ばれないでしょうか?」







青年「ダイジョーブ。最近の『―』はとっても小さいから」






青年「それに、出撃しない代わりに鎮守府の家事、雑用全般は

大鯨ちゃんが管理してるんだよね?」






青年「だからダイジョーブ」







大鯨「分かりました…ではこれを…」







大鯨「仕込んでくれば…」







青年「よろしくね」







青年「俺は俺で、もーちょっとやることがあるから…」







青年「でも、話しを聞いたら…やっぱりそうだったんだね。」







青年「今まで、良く頑張ってきたよね、皆」








大鯨「はい、本当に…あんな環境ですから…」







青年「…」







青年「あと、もうちょっと、

もうちょっとだけ…耐えて…ね?」







大鯨「ありがとう、ございます」





………

……






コソコソ…





大鯨(誰も…いませんよ…ね?)キョロキョロ





ゴソゴソ

ゴリッ…ゴリッ…

パチン





大鯨(これで…あと数カ月…青年さんを信じて…)





キィ…パタン





大鯨(…お待ちしています)





………

……




一ヶ月後…




青年「ん~…これは…こうで良いのかな?」









提督「おいで…五十鈴」




五十鈴「ヒグ…グスッ…」





加賀(…ッ)





大鯨(五十鈴ちゃん…!)



………

……





二ヶ月後…




青年「えー!!まだこんなの書くのー!?」







青年「う~…先は長いな~…でも」






青年「やんなきゃだよねぇ」ハァ










提督「ふん、艦娘でも『犯れば』、『孕む』んだな…」





提督「金はやる。」






提督「ほれ、これで『堕ろし』てこい」






羽黒「あ、あなたの…子なん…ですよ?」






提督「…」






提督「…知るか」






羽黒「ひ…どい…あ、あんまり…です…ぅ」ボロボロ






提督「…無駄金か…」ボソ





加賀(ッ~!)ブルブルブル





大鯨(あと、もうちょっと…もうちょっとだから…)





………

……






三か月後…





青年「…」ゲッソリ






青年「え…と、次はあそこ行って…

申請して…あれ?次、どこだっけ?」






青年「これで…もう半分過ぎたかな~…」






青年「これ…出したら…お墓参り…行こう…」フラフラ






青年「…ちょっとリフレッシュ…」テレビテレビ





リモコン ポチッ











テレビ「今回は番組1000回記念ということで!」






テレビ「見事あの海域を制圧した我らが英雄!

『提督』さんにインタビューしてみたいと思います!」







テレビ「提督!あの海域でも

艦娘の皆さんは奮闘されたんですよね!?」







テレビ「ええ。そうですね。

彼女達の頑張りのおかげでなんとか

勝つ事が出来ました。

やはり、今日における国の平和は彼女達

艦娘に起因するものが非常に多いですね。しかし…」グスッ






テレビ「て、提督!?どうされました!?」







テレビ「グスッ…あぁ、すいません…

私の…私の無責任な進軍によって

儚(はかな)い!なんとも儚い命が…!!」メガシラ オサエ





テレビ「いくつも散ってしまっていったと思うと…」グスグスッ




テレビ「そ、それは今までに

沈んでいってしまった艦娘のことでしょうか?」







テレビ「はい…。いや失敬。

私にとっても…酷く辛い思いででして」ハナミズ ズビー








テレビ「なんと!提督は、その抜群な指揮能力に加え…

そこまで…そっこまで!慈(いつく)しみの

心の持ち主だったとは…!」







テレビ「私!感動して涙がぁ…!」ボロボロボロ







テレビ「グスッ…

すいません…そこまで仰ってもらえるなら

名誉の戦死を遂げた彼女達も喜ぶでしょう…!

いや、お恥ずかしい姿をお見せしました…」メガシラオサエ






テレビ「あぁ、カメラさん一旦止めて、

もう駄目…私

涙で顔面崩壊しちゃってるからぁ~…」ズビー






テレビ「しばらくお待ちください」ピンポンパンポーン








青年「…」







青年「提督さん…演技うまいな」カンシン









提督「」ハァハァ




パンパンパン





利根「い、痛いぞ!

も、もう…もうやめるのじゃ!!」






提督「良い声だ」






提督「御褒美だ。中に出してやるよ…」






利根「そ、それだけは…!」






利根「ならん!だめじゃ!

はやく…はやく抜かんかぁ!!」





ドクッ


ドプン…






利根「ぅうああぁぁ!」ポロポロポロ






加賀(外道が…!)ギリギリギリ






大鯨(あと…もう少し待って…!)





………

……





四ヶ月半後…



青年「はい…、はい、ありがとうございます…あ、大丈夫です。

人材はちゃんと確保できる当てはあるので…はい。失礼します…。」




ガチャン…


ツー


ツー



青年「フ…ゥ」ギシ






青年(あ゛~…)ノビー







青年(準備…)







青年(…おっけー))






青年(あとは…今日の…

約束の時間まで…少し…寝よ…ぅ)




………

……





ザァァァァァ…





青年「zzz」





ザァァァァ





青年「ん…?」





青年(あ…結構、寝ちゃってた…時間は?)トケイチラリ





青年(うん、丁度良いね…)ヨッコイショ





ザァァァァァ…



………

……






大鯨「…」





大鯨「五月雨ちゃん、春雨ちゃん…」





大鯨「なんで、あの人は、ここまでしてくれるんでしょうね?」





大鯨「『あの踏切』で出会うまで…面識なんて無かったのに」






大鯨「他人なのに…」







大鯨「本当に…不思議で…変な人ですよね」







青年「あ、大鯨ちゃーん!遅くなってごめんね~」







青年「?、御墓の前でしゃがみこんでどうしたの?」







大鯨「いいえ、なんでもありませ…ん…!?」







大鯨「せ…青年…さん…なんですか?」






大鯨(こんなに…痩せて…こんなに隈を作って…こんなに憔悴して…)







青年「あ、ごめんね~…

なんか、ちょっと夢中になりすぎちゃったみた…い」フラフラ





青年「あれ?大鯨ちゃん、ちょっと痩せた?

だめだよ?ちゃんと…ご飯食べ…ない…と」






大鯨「!?せ、青年さん!」ガシ







青年「ちょっと…眩暈しちゃった、

駄目だね~、アタマ悪いね~」







大鯨「駄目じゃ…駄目じゃないです…!」グス






青年「?」







大鯨「こんなに…ボロボロになって…

疲れてますよね…眠いですよね…

お腹だって…ペコペコですよね…

そんな…私達のために…頑張ってくれた人を…」ポロポロ






大鯨「駄目だなんて…

言う訳ないじゃないですか!!」





青年「…」





大鯨「」グスッ






青年「たいげいちゃんは…泣き虫さん…だなぁ」ヨシヨシ





………

……






青年「それで…うまく回収できた?」






大鯨「はい!こちらに!」





青年「…」ガサガサ






青年「うん、たしかに」





青年「あとはコレを『あそこ』に送って…」







青年「最後は『コレ』を持って、執務室に突撃だね」






大鯨「これは…また、すごく小さいですね?」






青年「ね~、科学の進歩ってすごいね。」







大鯨「じゃあ、日程の確認は」







青年「そのためにも教えて?…提督さんて大体、

どれくらいの頻度でそういう行為をするの?」







大鯨「そうですね…大体―」






………

……







青年「そっか…だったら…この日に」






大鯨「はい…この日に…」






青年「もしかしたら、時間かかるかもだから、

時間稼ぎお願いできる?」






大鯨「はい!任せてください!」






大鯨(これで…やっと…)





青年(終わる…)





………

……







部長「―以上が、当時の妻が退役するまでの流れだよ。」







青年「ありがとうございます。

『解体』用の薬を飲むと…人になる代わりに

艦娘の頃の記憶を無くしてしまうなんて…」






部長「うん。これが中々やっかいだったね。

私が妻に出会ったのも彼女がまだ『鳳翔』の時だったからね~。」







青年「じゃあ、そうやって解体を免れたんですね。」








部長「私と過ごした記憶がなくなるとか…勘弁してほしいよ。

ぶっちゃけ超大変だった。」








青年「デスヨネー」






青年「でも、色々教えて下さって、

本当になんてお礼を言ったら良いか…。」







部長「なに、気にしないでよ。

君も艦娘を好きになってしまった

『同じ穴の狢(むじな)』だろう?」







部長「むしろ協力させてくれ」








青年「///」エヘヘ








部長「人権獲得までの流れは追って資料を送らせてもらうよ」








青年「そこまでして頂いて申し訳ありません。ほんと」








部長「まぁまぁ」






部長「しかし…艦娘のための『NPO(非営利団体)』の設立とはね…」







青年「」アハハ






部長「仕事を辞めても…」






部長「たまには家に遊びにでも来なさい」





部長「妻も喜ぶだろうからさ」




青年「恐縮です」





………

……






コソコソ




???1「ここから入れば良いの?」ヒソヒソ





???2「はい!ここからなら、

執務室まで一直線ですから

迷わずにこられるはずです!」ヒソヒソ





???1「うん、おっけー。じゃあ」ヒソヒソ





???2「はい、また後ほど…」ヒソヒソ





コソコソ




………

……






提督「あぁもう!」イライラ






提督(…ここのところ…制圧ペースがまるで上がらん…)







提督(忌々しい深海棲艦どもがぁ…!)







提督(英雄と呼ばれた私が…このままでは信用に関わるか…)







提督(まぁ…金をだせば…書類上の結果なんてものは

幾らでも捏造可能だから気にすることはないか…)







提督(そう、結果は…金で買うもんだ…)





提督「…」






提督(それにしても、アイツめ…なにが『セクハラは文化』だ!)







提督(せっかく、翔鶴と瑞鶴という『玩具』をやったというのに)








提督(会見でもっと、うまくは出来んかったのか…)







提督(しかも調子に乗って、あんな幼稚な発言をしおって…)







提督(口封じも楽ではないんだぞ…まったく。)







提督(考えたら…ムラムラしてきたな…)







提督(今日の昼食の『デザート』は…)







提督(利根にするか…)







PiPiPi…







提督「利根…」







提督「…今すぐ執務室にきなさい」







???『…はい』






提督「…ん?」





………

……







ガチャ





???「失礼します…」






提督「遅かったな。と…ね?」





大鯨「…」







提督「…」







提督「なんで…お前が?」







大鯨「…」





スタスタスタ…





大鯨「て・い・と・くぅ♪」ズイ








提督「な、なんだ」ドキ







大鯨「利根さんに変わってもらったんです///」






提督(なん…だと?)






提督「な…なぜだ?」ドキドキ






大鯨「もう…がまんできないんですぅ///」ハァハァ





ギュム





提督(な!?胸を自分から押しつけてきた!?)








提督「ど、どうした大鯨?今日は随分と積極的じゃないか?」








大鯨「もう…

『ここ』があなたのカタチになってるんです

欲してるんです///」







大鯨「欲しくて欲しくて…

火照ってたまらないんです」ハァハァ







提督「 」ゴクリ







提督「そ、そうか…それじゃあ、如何してほしい?大鯨?」








大鯨「今日は私をデザートに」エプロン パサリ








大鯨「召し上がれ♪」ササヤキ








提督(いいぞ!良いぞ良いぞ!!そうだこれだ!

これを待っていたんだ!!)






提督「そんなに私の『―』が欲しいのか?」






大鯨「はい♪」






提督「めちゃくちゃにしても?」






大鯨「構いません♪」






提督「」ゴクリ






提督「それでは」コホン







提督「頂きまs」






青年「たのもぉぉぉ」






扉バーン!








提督「…」







提督「…は?」







大鯨「」ホッ







提督「…はぁぁぁ!?」








青年「」コンニチハ








大鯨「せ、青年さん…

怖かったのと恥ずかしかったですよ~///」パタパタパタ








青年「大鯨ちゃん時間稼ぎGOOD JOB」ヨシヨシ









大鯨「」ワーイ










青年「おかげで準備できたできた」









提督「…何を…」









提督「君は…ここで…何をしているのかな?」ワナワナ










青年「『ゲス提督』にお聞きしたい事があって参りました」








提督「あ゛?」








青年「なんで、艦娘にこんな酷いことを?」







提督「…おい」







提督「どこで…その情報を?いや…それ以前にだなぁ…」









提督「今…私を…馬鹿にしたか…?」









提督「英雄である…私を…?」









提督「」ブルブル…






提督「はぁ~…」






提督「一々…一々不愉快だなぁ…お前?」ギロ






青年「…」





大鯨「」ビクッ






提督「あ の な ぁ!!」






提督「良 く 聞 け よ!」






提督「艦娘はなぁ!兵器だ!歩く武器庫だ!それを管理、運用してんのはなぁ」








提督「俺ら軍関係者なんだよ!!だったら俺らのもんだろ!?」







提督「自分の『玩具』をどう扱おうがなぁ!!」







提督「自分の『道具』を!自分の『○○○』を○○○しようとなぁ!」







提督「俺らの勝手だろうがよ!」






提督「しかも兵器が『女の体』だぁ?だったらやる事は一つだろうがよぉ!!!」







提督「ゲイのテメェにはわかんねぇだろうがなぁぁ!!」







提督「○○○で○○○だろうがぁぁ!!!」







提督「このク○レ○ン○ポ野郎がぁ!!!!」







ハァ…ハァ…ハァ…










青年「うわぁ」ドンビキ1



大鯨「うわぁ」ドンビキ2







提督「はぁ…はぁ…はぁ…」






提督「これ…で…わかった…か?あ?クソガキ?」ゼェゼェ






青年「提督さん」






提督「あ゛?」






青年「大変申し上げにくいんですが」






青年「これ」ゴソゴソ







青年「全国ネットなんです」ヒョイ








小型マイク「」ヤァ

















提督「は?」






















提督「はぁぁぁぁぁん!?!?」












青年「右手をご覧ください」マド ユビサシ






ザワザワザワ…



ナンダナンダ


イマ ノ テイトクサンノ コエ?



ザワザワザワ…









提督(なんだ!?鎮守府の外が騒がし…いぃ!?)








ザワザワザワ…







提督(…なんだ…)







ザワザワザワ…

ガヤガヤガヤ…

ザワザワザワ…





提督「なんだこの人だかりはぁぁぁぁぁあああああああ!?」





………

……






テレビ局スピーカー「ナンダ コノ ヒトダカリハァァァァァ!?」






スタッフ1「スタッフ1さんや?今の声、拾った?」






スタッフ2「うん、っていうか全部。」






スタッフ1「そっか安心。しっかし、本当だったんだな~。」






スタッフ2「な~。差出人不明のあの封書に入ってた

『艦娘が犯されまくってる映像データ』が

テレビ局に送られてきた時は何事かと思ったけど…

しかも日数にして4ヶ月近くの濃密な内容のな…」






スタッフ1「こういう事だったんだな~」







スタッフ2「しかも、ご丁寧にメモ紙入ってて

この鎮守府の住所書いてあったんだろ?

普通は信じられないよな?まして、あの提督さまだぜ?」







スタッフ1「な~。んでさ、そのメモ紙の裏にさもうひとつ書いてあったんだぜ?」







スタッフ2「?、何だよ?」







スタッフ1「今日の日付と一緒によ、

『高視聴率モノです。全国ネットの準備をしてて下さいな。

ついでになるべくメーカーが○○○製の大型のスピーカーもネ♪』だとよ。」





スタッフ1「んでさ、現場に行ってみりゃ、なんか鎮守府の前にメモと一緒に

無線用のアンプ置いてあっただろ?

『このアンプを取り付けくださいネ♪』だとかふざけたメモがよ。」







スタッフ1「でも、スピーカーと同じメーカーだったから取り付けられたんだよな~。」







スタッフ1「んで、取り付けてみりゃ、あんな放送がウチのスタジオにも届いたし

現場じゃあ、いきなりスピーカーで大演説会だろ?」







スタッフ1「びびるよなぁ」







スタッフ2「まぁね…」







スタッフ2「っていうか、良くそんなメモで上が動いたもんだ…」






スタッフ1「な。でもさウチの局もさ…

ぶっちゃけ藁にもすがる思いじゃん?

噂話でもなんでも飛びつくのも無理ないかもな」






スタッフ2「ん~、ずっと番組の視聴率とか鳴かず飛ばずだったからな」







スタッフ1「…」






スタッフ2「…」








スタッフ1「…おれ、転職しよっかな…」







スタッフ2「それさ…ちょっと俺も思ってた…」







スタッフ1「世の中、世知辛いよな…」







スタッフ2「マジで生き辛ぇ」







スタッフ2「それにしてもさ…」






スタッフ1「あんだよ」






スタッフ2「この提督さんの声って今、どうやって録ってんだろ?」






スタッフ1「…あ」



………

……







鎮守府前の大型スピーカー「ナンダ コノ ヒトダカリハァァァァァ!?」







キャスター「番組のご覧のみなさぁん!!

そしてぇ!今鎮守府前に居る市民のみなさーん!!

聞いたでしょうかぁ!?信じられません!あの…提督が!」







キャスター「我らが英雄!提督がぁ!!あのような暴言を吐くとはぁ!!」






キャスター「信じられまっせん!!!しかし!否!!」






キャスター「こ れ が!現実なのです!」






キャスター「英雄かと思いきや!その実体はぁ!!」






キャスター「狼です!!飢えに飢えまくった!狼!!いえ!」






キャスター「その姿は!艦娘を狙わんとする

『深海棲艦そのもの』ではぁありませんか!?」






キャスター「そしてぇ!!なんとなんと!!

差出人不明の人物から届いた映像には!

執務室のPCが写っており!!そこには不正!

上層部との癒着!!等々を匂わせる内容の証拠!

非常に気になるものが多々

見受けられました!!!」






キャスター「んん!これは非常にクサいです!!」






キャスター「警察沙汰は免れません!!」]






キャスター「中には!あの!『セクハラは文化だ』と問題発言をした提督との関連性も疑われ…!!!」






ガヤガヤ


トテモ コドモ ニ キカセル ナイヨウ ジャ ネーナ


ママー?

ゴウカン テ ナーニ?


キイチャ イケマセンッ!!


ガヤガヤ


………

……








提督「…ど」





提督「どうやって…」






青年「?」






提督「どうやって…証拠を…?」







青年「最近のカメラって小さいんですよね」







提督「?」








青年「小さすぎるのも問題で」







青年「どこに置いたか…分かんなくなると困っちゃいますね♪」








提督「まさか…カメラを…」








提督「どうやって…忍び込んだ…」ギロ






青年「ヒ・ミ・ツ」






大鯨「…」





大鯨「て、提督、その後ろに飾ってある絵画…少し変だと思いませんか?」







提督(?…良く見たら…この絵の額縁の下の方に穴が…?)







提督(!?、こ、ここにカメラなんて仕込まれたら…

PCの中身も…執務室での出来事も…丸わかりじゃないか!!)





提督「まさか…いつ…それに…仕掛けたとしても…どうやって回収を…」







提督「 ! 」







提督「た…大鯨ぃぃ!」ギロ








大鯨「」ビクッ







提督「それに…」







提督「お、お前は…どうしてそんな物を持っているんだお前は!?」








青年「a○azonで買いました」シレッ







提督「ふ…」









提督「ふざけるなぁぁぁああ!!」








提督「こんの、クソガキィ!!」バシィ








青年「おぅ!?」







小型マイク「」イテッ








提督「ふん!」ベキィ








小型マイク「」ツブレマシタ








青年「あぁ!高かったのにぃ!!」








大鯨「言ってる場合ですか!?

提督の目がマジですよ!?に、逃げましょう!」








提督「殺す…」ボソ








提督「ぶっ殺してやる!!」ハンドガン








青年「あ、ずるい!!」







大鯨「あ」






ズガン!






提督「」






青年「あれ?」






大鯨「か…」







加賀「ふぅ…。」






加賀「やりました」







大鯨「加賀さぁ~ん!」







加賀「まったく…コソコソ何をやってるのかと…着いてきてみれば」







加賀「何のお祭りが始まったのかと思ったわよ」








大鯨「こ、怖かったです~」








青年「はぁ…あとは…」






………

……





キャスター「さ~て、帰っかね~、お疲れさ~ん」



カメラマン「あ、お疲れース」








警察「ほら、頭下げて。パトカー入んないでしょ。」







提督「殺す殺す…」ブツブツブツ…







警察「いきなり、署に通報があったと思ったら…」






警察「まったく…人が多すぎて、

パトカー入りづらいったらありゃしなかったぞ…。」







警察「あ~ぁ、また、

あれを掻きわけながら帰るのかぁ、めんどくせ。」







警察「ほら、早く入んなさいよ。」グイ






提督「あの…男…絶対…○○して○○○だ…ははは…」ケタケタケタ







警察「うわぁ…」ドンビキ






バタン…





青年「」バイバーイ



大鯨「」テ フリフリ





………

……






大鯨「青年さん…」






青年「なに?」





大鯨「今後、あの鎮守府には…新しい提督が着任されます…。」






青年「うん」





大鯨「でも…結局、私はどこに行っても…

私なんです…戦う事はできません」






青年「うん…。」





大鯨「私は…このままで良いんでしょうか?」





青年「大鯨ちゃん…」





青年「話があるんだ…」






大鯨「はい…?」





………

……





青年「俺が、会社を辞めて4ヶ月半

コソコソ動き回ってた理由…

前にも話したよね?」







大鯨「はい…NPO(非営利団体)の

設立のために必要な期間だったんですよね?」








青年「書類との戦いだったよ」







青年「まず枚数が多いし、申請しても却下されたりで

なんども書き直したし」







青年「もう申請書とか見たくも無いッス」ウンザリ








青年「頭も下げ過ぎて、しばらく首が痛かったよ。」ゲンナリ








大鯨「それで出来たのが…」







大鯨「この組織…」









青年「うん。特殊な条件なんて無くても

艦娘にもちゃんとした人権が必要って事を知ってもらうためにね。」









青年「今でもさ…あの提督さんみたいに…

『道具』みたいに…君達を扱ってしまう人達も

いるんだよね…。」








大鯨「『ブラック鎮守府』ですよね?

噂には聞いた事があります…私達の所だけじゃないと…」









青年「ね~、悲しいけどこれが現状だから…。でもさ…」







青年「結局、君達も俺達も…変わんないよね。」







青年「怒って、泣いて、喜んで、悲しんで、

考えて、動いて、喋って…俺達と何にも変わんないじゃん」








青年「変わんないんだよ…何にも」







青年「だったら、なんで

持ち得る権利にこんなに差があんのかな~ってさぁ」







青年「そんな権利、『いっせーの!』で変えちゃえば良いよね。」







青年「それが出来るようにもっと、

いろんな人たちに『艦娘』の事を知ってもらう必要があるんだ。」







青年「そのための活動をするのが俺が立ち上げたNPOなんだ…。」







大鯨「…」








青年「…大鯨ちゃん…一緒に…来てくれないかな…」






青年「その…う~んと…」






青年「う、うまく言えないけど…んと」






青年「き、君が来てくれたらさ…」






青年「傍にいてくれたら…頑張れそうなんだ…。」







大鯨「…」







大鯨「…はい♪」







大鯨「喜んで♪」







青年「…」







青年「ア、アリガト///」








青年「~///」








青年「うん、大鯨ちゃんはやっぱりカワイイ///」ヨシヨシ






大鯨「ヤメテクダサイ」///



………

……





ガラッ




部長「あれ~?どこやったっけ?」ガサガサ



部長(結構前にしまったからな~…

間違って捨てちゃったかな?)ゴソゴソ






パタパタパタ…






部長妻「いきなり昔のファイルをひっくり返して

どうしたんです?あなた?」






部長「あぁ、艦娘退役のときに参考にした

資料ってどこにしまったかな~と思ってねぇ…」ガサガサ







部長妻「その資料って…私のときの?」








部長「うん。ほら、前に話した青年くんにさ、

送るためにちょっと必要でさ」ゴソゴソ








部長妻「」エ~ット








部長妻「あ!確かあなたの所属オフィスにいるっていう

不思議な青年くんの事ですか?」






部長「そ。なんでもね…ちょっと

艦娘に『気になる子』がいるらしくってね~…」ニヤニヤ







部長妻「ま。一途で可愛らしいですね♪」







部長「ついつい、私たちの姿を重ねてしまったよ」トオイメ








部長妻「あなたったら///」









部長「はは、あの頃は若かったな~。

お?あったあった!」ガサガサ









部長「今、思うと資料と言ったって

法規の重要な部分の

一部のコピーだからペラ紙一枚だけ

なんだがね。」






部長妻「あの///」ソデクイクイ







部長「なんだい?」







部長妻「今夜は…その、精のつくものを作りますので///」







ムギュ






部長妻「ずっと残業続きでしたし…久しぶりに///」









部長「お、おいおい、休日とはいえまだ昼間だぞ?」








部長妻「久しぶりに言っちゃいますね♪」







鳳翔(部長妻)「お疲れ様です♪

ご飯にしますか?

お風呂にしますか?

それとも…

…ふふっ『本気』ですよ♪」








部長「…」







部長「」ゴクリ







部長「す」







部長「据え膳喰わねば男の恥ィィィ!!」ガバッ







アーレー♪



ウォォォ! ホウショォォォ!!!ホウショォォォ!!!!




……






ハラリ…




パサ…





資料『-第12条 第1項-


艦娘は艤装の操作の可をもって

艦娘たるものとする。


之に反する場合、対象の『解体』を要検討の事

ただし非営利団体及びボランティア団体等

社会奉仕関連に従事する場合この限りではない。


また、性別問わず『人間』との婚約によっても

配偶者とし人権の範囲に対象者を含めるとともに同上とする。』





………

……





ザァァァァァァ…



………

……




ザァァァァァァ…



………

……







ザァァァァァァ…





カチッ



シュボ





大鯨「」ナムナム






大鯨(春雨ちゃん…みんな…あの日から早いもので一年です)






大鯨(あの事件以降、あそこには新しく若い提督が着任されたそうです…)





大鯨(でもちょっと抜けてる所もあって

色々と皆から注意を受けつつ

執務をしているようです。)






大鯨(でも、純粋で…まっすぐで…)






大鯨(…とっても素敵な方だそうですよ?)





大鯨(提督…いえ、元・提督は上層部や

外部の企業との癒着が発覚して

社会的に多分、抹殺されました。)






大鯨(…あれから鎮守府に残る子達は加賀さんを含め

数人残りました…やはり艦娘の使命は貫くべきだと…)







大鯨(元・提督から暴行を受けた子達は、

メンタルケアを受けたあと青年さんが設立したNPOに参加して下さいました。

そこで主に署名活動や広報活動で『艦娘への人権』の必要性の認識を広めています。)







大鯨(おかげで、私達への味方もとっても増えたんですよ?)







ザァァァァァァ…







大鯨(雨…)






大鯨(青年さんと…初めて出会ったときの…)






ザァァァァァァ…






大鯨(思い出の雨…)





ザァァァァァァ…





大鯨(…なんだか…とっても…幸せだなぁ…)






青年「おーい、たいげいちゃーん」オテテ フリフリ






大鯨「あ、青年さーん」オテテ フリフリ






青年「こっちのお参り終わったよー、お買い物して帰ろー?」






大鯨「はーい」






大鯨(またね、また来るね♪)






ザァァァァ…






………

……






ザァァァァ…






カンカンカンカン…




青年「もう一年か~…早いね~…」カイモノブクロ カカエ




大鯨「はい、本当に」トイレットペーパー カカエ





カンカンカンカン…






青年「今思うと…全部、ここの踏切から始まったんだよね~」




大鯨「はい…」





カンカンカンカン…







大鯨「青年さん…」




青年「なんだい?」





カンカンカンカン…






大鯨「ありがとうございます」




青年「どういたしまして」





カンカンカンカン…





ザァァァァ…





ァァァ…







大鯨「あ」




青年「あ」







カンカンカンカン…








青年(雨が…)




大鯨(あがった…)





カンカンカンカン…






青年「…晴れたね」



大鯨「…はい」






カンカンカンカン…







青年「俺さ…雨上がりの独特の匂いって好きだな~」



大鯨「…はい」





カンカンカンカン…






青年「…」



大鯨「…」






カンカンカンカン…





青年「ねぇ…大鯨ちゃん…」




大鯨「…はい」






カンカンカンカン…







青年「…俺とさ」




大鯨「…はい」






カンカンカンカン…




ガタタン


ガタタン


ガタタン


青年「   」


ガタタン



…タタン



…タタタン



……タタン



………タタン


…………






大鯨「…」






青年「…駄目…かな…?」







大鯨「…」







大鯨「///」







大鯨「こ、これからも…」








大鯨「この先も…ずっと…ずっと…!」








大鯨「よろしくお願いします♪」








大鯨「『ア・ナ・タ』♪」







踏切でまた逢いましょう -完-

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以下 外伝

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踏切でまた逢いましょう

Another Story



-その手が伝える温もり-


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カリカリカリ…


カチャカチャッ…ターン





係長「―以上が今月、

私と社員の取り掛かる物件の予定件数です」





係長「何か質問は?」








係長「無ければ、これで会議を終わります。

お疲れさまでした。」




ガタ…ガタン…


オツカレサーン


メシ クイニ イコーゼ


タバコ タバコ


ガタ…ガタ…








社員「ふぅ~…」ギシ






係長「よっ、お疲れ」トナリ イイ?






社員「あ、係長。お疲れ様です。

今月ってあんまり物件無いんですね。」ドウゾ








係長「まぁ…不景気だからなぁ…」









社員「なんか昔っから不景気、不景気…

ずっと言われ続けてるような気がします…」








係長「好景気だ好景気だ…

なんて飽きるほど言ってみたいよな

一度くらい…。」








係長「深海棲艦から

襲撃受けた地域の復興事業とかさ、あるにせよ…」








係長「海路が限定されちまってるせいで

原材料の回転が上手くないからなぁ今さ」







係長「モノが無いと何も作れないもんなぁ、

日本ってそういうトコ不便ね」








社員「缶コーヒーでも買ってきます?」







係長「お?ありがとう、ほい、お金…あ、100円の自販機?」






社員「あ、いえ。110円の方の」






係長「あ、あっちね。じゃ、ほい110円」チャリン





社員「どうも」






社員「はい。」










カシュッ


カッカシュ…パコン




係長「」グビッ






社員「」グイッ






係長・社員「「 プハァ 」」







係長「そういや、知ってるか?経理課のアイツ?」






社員「○○の事ですか?確か結婚されたんですよね?

めでたいですよね。ホント。」






係長「本音は?」





社員「憎たらしいです」






HAHAHAHA…












ラジオ「―というわけで深海棲艦の体液からは高濃度の

『ほうしゃせいぶっしつ』が含まれているという可能性が高いという事が」




ラジオ「近年、学者の間で

まことしやかに囁かれているようです。

未だ調査中とのことですが…」




ラジオ「つまり、

最近になって運用が本格的になった『艦娘』

も『ひばく』している可能性もあると」










係長「…これって実際の所どうなんだろな…」






社員「さぁ。私には

難しい事はわかりませんし興味ありません…」グビー








係長「相変わらずクールだな、お前さん」







社員「この会社のなかで色恋沙汰とかの浮ついた話し

には一番縁が無い方だと自分で思ってますよ私は」






係長「まぁまぁ、恋をすれば『人って変わる』もんだよ?」






社員(そんなもんなのか?)






係長「まぁ、まずはそのポーカーフェイスを直さなくちゃな」カタポンポン






係長「んじゃ、お先」







社員「あ、はい、お疲れ様です。」





社員(恋なんて…)





………

……




ガチャ…




アレ?



ガンッ…

ガンガンッ!


ガチャ…ギィ…



…バタン




社員(やっと…開いた、このドア建付け悪すぎだろ…。)





社員(あ゛~…疲れたぁ…)





社員(ん?留守電?)




ピッ



ヨウケン 1ケン サイセイ シマス…




ピー




電話『もしもし○○だが?母ちゃんだげんどよ?

前の見合いの話してどうすんだべ?

向こうの御嬢さんもオメさ会いでぇ会いでぇ言ってるんだど?

会ってみるだげでも良いんねが?』




(訳:もしもし○○ですか?お母さんだけど、

この前のお見合いのお話はどうします?

向こうのお嬢さんもあなたに会いたい会いたいと

仰ってるんですよ?会ってみるだけでも良いのではないでしょうか?)





社員「…」ネクタイ シュルリ






社員(そっちが勝手に進めてる話だろうが…)







電話『オメも良い年なんだがらよ?良い加減、

彼女の一人や二人いでもおがしぐはねぇべ?』


(訳:あなたも良い年なんですから、いい加減

彼女の一人や二人、いてもおかしくはないんですよ?)





電話『返事まっでっがらな?』


(訳:返事待ってますからね?)




ピー



サイセイ シュウリョウ シマス…








レイゾウコ ガチャ…



ゴソゴソ…



バタン







カシュッ…



グビグビグビ



プハァ





社員(ビール美味い…)グビグビ








社員「はぁ~あ…」ソファ ニ ゴロン








社員(恋愛なんて…)







社員(面倒くせぇ…)ウトウト




………

……





チチチ…チュンチュン




社員(…ん?)





社員(…朝…か)





社員(…休日の朝から晴れるなんて…珍しく良い事があるかもな…)





リモコン ポチッ





テレビ「―申し訳ありません!今日の最下位は○○座のあなた!今日一日は最低な運勢!

今日はおとなしく家に籠ってた方が『吉』かも!」






社員(…)






社員(んな事は無かったか…)






テレビ「ラッキーカラーはアイボリー!

それでは良い休日を♪」






社員(…送れるかよ…)ウンザリ




………

……





ワイワイ

ガヤガヤ

ワイワイ

ガヤガヤ





社員(最下位とは言われたものの)テクテク





キャッキャッ♪

ウフフ♪





社員(さすがに家にずっと引きこもってるつもりは無いな、

ただでさえデスクワークで運動不足なんだ…)テクテク







社員(あの、占いを『決して』信じている訳ではないが

アイボリーのシャツを着てきてしまった…)





社員(…)






社員(いや、『断じて』信じている訳ではないのだが、

なんか…そう!今日はこのシャツが着たかったんだ!そう。そうなんだ。)ウンウン






ヤイノヤイノ

ワンヤワンヤ






社員(しかし…とくに何をするわけでもなく…公園に散歩に来たわけだが…)テクテクテク






ワイワイ

ガヤガヤ





社員(なんか…こう…『浮く』なぁ)テクテク







キャッキャッ♪


スタタタタ…


ズデンッ!



ウゥゥ ゥァァァン !


マ゛マ゛ァ゛ァァ!


ビェェェェン!






社員(あ~…ありゃ痛いよな…頑張れ少年。

立ち上がれ少年、男はそうやって強くなるもんだ)テクテク





タッタッタッタ…





社員(ん?)クル







???「あらあら、ボクどうしたの?転んじゃったの?」







男の子「う゛あ゛ぁぁん!!いだいよぉ゛ぉ゛!」ビェェェン






男の子「マ゛マ゛ぁ゛~!」






???「あらあら…ボク、良く見せてね?

…うん、擦り傷…にはなってませんね…。」






???「大丈夫、大丈夫ですよ。ホラ、ここ撫で撫でしたら…」ナデナデ






???「痛いの痛いの飛んでいけ~♪」






男の子「…?」グスッヒグッ





???「ハイ、痛いの痛いの飛んでいけ~♪」






男の子「…」






???「痛いの痛いの~……飛んでいけ~♪」






???「…ほら♪痛くなくなったでしょ?」ニコリ






男の子「…うん」グスッ







社員「」ドキッ!








???「立てる?」






男の子「…うん」ヨタヨタ







???「ボクは強い子ね♪」ヨシヨシ





男の子「///」






???「ママはどこ?」





男の子「…わかんない…」クビカシゲ






???「そう、ちょっと困ったわね…」






母「あ、○○!」





男の子「あ!ママァ~!」ダダダ





母「どこ行ってたのよもう!心配したんだから!!」





男の子「ごめ゛ん゛な゛ざぁぁい」ビエェェン






???「あ、お母さんですか?理由はどうあれ、子供から

目は離しちゃいけませんよ?」





???「そのぐらいの男の子はヤンチャな盛りなので、

どこでも走って行っちゃいますからね。」ニコリ







社員(なんだ…?)






社員(なんだ…あの『和服の天使』は?)ドキドキ







母「あぁすいません、ご迷惑をおかけ…し…て…!?」






母「そ、その『ハート型ペンダント』…!」






母「あ、あなた…か…『艦娘』!?」






???「…ッ」







社員(…)






社員(…へ?)








???「…はい、いかにも…私は…艦娘です…!」






母「ち、近寄らないで!『ほうしゃのう』がうつるわ!!」






母「は、はやくここから逃げるわよ!『ひばく』しちゃうわ!!

ほらはやく来なさい!!」





男の子「ママァ?ボクまだお姉ちゃんに、お礼言ってな」







母「良いから逃げんだよ!!!」グイグイ








男の子「いたいっ!まま…痛いよぉ!!」







ザワザワザワ…


オイ カンムス ダッテ?


キャァァ ヒバク シチャウ!!


ニ、ニゲロ!!


ザワザワザワ!!






???「そ、そんな…ッ!」





グイッ





???「えっ…?」







社員「こちらへ…!」







???(私の…手を…?)







社員「はやくここから離れましょう…

とりあえず人目の着かない所まで…」ボソッ





???「は…はい!

どなたか存じませんが有難うございます!!」ダッ





タッタッタッタッタ…






オイ アノ オトコ カンムス ニ チョクセツ サワッタゾ!?


アリャ ヒバク シタナ


デモ ドッカ イッテ クレテ ヨカッタワ~


ホント ホント



………

……





ハァ…ハァ…




社員(なんとか…公園を離れて、路地裏まで逃げて来れたが…)ゼェゼェ






社員(私…体力落ちたな~、本格的に運動不足だコレ)ゼヒューゼヒュー







社員(ウッ…走り過ぎて気持ち悪いッ…)ウプ







???「あ、あの…大丈夫ですか?」サスリサスリ







社員(なんでこの人、息切れ一つしてないの?)







社員(なんでそんな体力あるんですかお嬢さん?)







社員(というか、私カッコ悪いなぁ)







???「す、すいません。私のために…

あなたまで巻き込んでしまって…!」サスリサスリ







社員(あ、落ち着いてきた)







社員「いえ…大丈夫です。」






???「あ、あの…ちょっとここで待ってて下さいね」テテテ





社員(あれ…?どこへ?)







???「すいません、戻りました」




社員「あ、いえ、早かったですね…?」





???「あの、お水…近くの自動販売機から買ってきたんです。

よろしければどうぞお飲みになってください」ニコ






社員(…)







社員(ヤマトナデシコは実在した…)








???「?」












???「あの…」




社員「?」ゴクゴク




???「あなたは…怖がらないんですね?私…私達、艦娘を…」







社員「ん…」ゴクン





社員「プハッ…『放射能』が

どうだのこうだのってやつですか?」





???「は…い」







社員「火の無い所に煙は立たないとは言いますが…

これを広めているのはゴシップ誌やラジオなどメディアですからね」






社員「もし、本当に深海棲艦の体液にそんな危険物質…

そんなものを撒き散らすような事態になっているというのに

なぜ、政府は大々的に公表しないんです?」







社員「大体、近海の四方八方をそんなものに

包囲されているという時点で、

もう日本国民全員が所謂(いわゆる)…

言葉は悪いですが『被曝』しているのでは…」






社員「それに、あくまでまだ

噂話程度の情報でしょう?

私は信じてないだけです。」






社員「たとえそれが本当だとしても、そんな逃れようの無い

事実に直面したら受け入れるしか無いでしょう…今更です」







???「」クスッ






社員「…!すいません!…私の悪い癖が…」






社員「この口は批評ばかりで…」





社員「聞いてて…不愉快でしたよね?」





???「いえ、そんなお若いのに

とても器が大きい方だなぁと

思いまして、驚いただけですよ♪」クスクス





社員「…」






社員(なんだ…この…ムズムズするような…もどかしい感じ…)







???「あ!す、すいません!今って何時ですか!?」







社員「今…は、13時25分…です。」







???「あぁイケナイ!20分以上も遅れちゃってる…、

すいません!私、待ち合わせがあって…し、失礼します!」







タタタタ…






社員「あ!」






???「」

タタタタ…クルリ






社員「?」








???「あ、あの!あそこから連れ出して下さって…

本当に…本当にありがとうございました!!」ペコリ






タタタタタ…





社員「あ、あの…!」







社員「…行ってしまわれた…」







社員(名前…聞きたかったんだが…)







社員(あの…『麗しき和服の天使』から頂いた水…)ペットボトル ミツメ







社員(艦娘って…)








社員(…)







社員(良いなぁ…!)ペットボトル グシャッ




………

……






カチャカチャ…


カタカタタ…





社員「」ポケー




係長「…で、ここで

この機器の不具合が報告されていてな

他メーカーの機器を使っているものの

製造しているのはウチだからな。」




係長「休日出勤になってしまうが…

明日の日曜日の午後まで現場に赴いて処理してほしいと

お客様から要望があったわけだが…」






社員「はあ」ポケー






係長「…おい社員?」






社員「はあ」ポケー






係長「お前の意見を聞かせてくれないか?」






社員「はあ」ポケー






係長「おーい…」






社員「はあ」ポケー






係長「おいオッパイ星人」






社員「はあ」ポケー






係長「…」






社員「はあ」ポケー






係長(あ、だめだこりゃ)





………

……






係長「」ジー







係長(昼休憩だというのに…)








社員「」ポケー








係長(トイレにも行かず、飯も食わず…ずっとデスクに座ったまま…どうしたんだ?)







社員「ハァァァ…」ガックシ







係長(いきなり落ち込んだように肩を落としたかと思うと…)







社員「フヘヘwww」クネクネクネ








係長(突然体をクネクネさせたり)








社員「う゛ぉ゛ぉ゛…!」アタマ カカエ







係長(頭を抱えて悶絶したり…)







係長「」ウ~ン







係長( ! )






係長(ま…さ…か!)





………

……







社員(いかん…頭の中が…『あの方』の事でいっぱいだ…)









社員(仕事が手に着かないなんて…)








係長「そんな素敵な彼女は」








社員「『慈悲深い麗しき和服の天使』…」








社員「…っは!!」クルッ








係長「」ニヤニヤニヤニヤ









社員「…」









係長「…」ニヤニヤニヤ









社員「///」カァァァァ









係長「なるほど」ニヤニヤ









社員「///」ブルブルブル…









係長「社員はぁ」ニヤニヤ








社員「///」ワナワナワナ










係長「和服美人に弱い…と」ニヤニヤニヤ










社員「きょ、今日は早退させて下さいぃぃ!!!///」








係長「だ~め☆」




………

……







パコッ…プシュッ





係長「」ゴク







社員「///」カオ オオイ








係長「」チラリ







社員「///」イッソ コロセ






係長「さ…て?」ゴク






社員「///」







係長「いつ どこで 誰が 何を どうした?」






社員「こないだ こうえんで わたしが かのじょを つれてにげました///」







係長「ほぅ」ニヤニヤ








社員「うっ///」







係長「そのなんだっけ?」






係長「『慈悲深い麗しき和服のt」







社員「うぁああああぁ!!!////」アタマ ブンブン!




………

……





係長「落ち着いたかい?」





社員「Yes boss.」





係長「うん、よろしい」






係長「いや、なに、良かったじゃん、係長安心したよ」







係長「お前、結構、人間っぽくない所があったからさ」






係長「そんなお前がちゃんと恋愛感情抱いてくれて良かった良かった」






係長「ま、詳細はまた追々

飲み会でシッポリと聞く事にして今は仕事の話しだ」






係長「さっきも話したが、日曜日な。

悪いが休日出勤を頼みたいんだ…お願いできるか?」





社員「あ、はい。大丈夫です。場所と

その機器の資料もお願いします。」





係長「助かるよ。場所は―」





………

……






キキィッ…





ガチャ…バタン






チュウシャジョウ テ ココデ イイノカナ?






ザッザッザッザ…






社員「ここ、か」






社員「ここって…鎮守府?」







社員「ウチの会社って…軍施設まで顧客にしてるのか…」







社員「連絡は入ってるって言ってたよな…」







社員(あの子も…こういう鎮守府に所属してるんだよな…)







―はい、いかにも…私は…艦娘です…!




―あなたは…怖がらないんですね?私…私達、艦娘を…







社員「」ポケー







社員「っは!いかんいかん!

今は仕事中…仕事中OK…」ウンウン







社員(…それにしても…綺麗な海だな…)







ザザーーーン


ザザーン







社員「入り口は…この正門を通って…右に曲がって」






社員(ここか?)






社員「すいませーん…」








社員(静かだな…だれもいないのか…)






ジャリッ






???「あの…どちら様でしょうか?」







社員(後ろから?だれか来たのか?)







社員「あ、これは失礼しました、

私○○株式会社の…社員と…申しま……!!」






???「あ、あなたは!」






………

……







提督「まぁまぁ、御座り下さい。」







社員「恐縮です。私はただ、仕事に来ただけだと言うのに…。」







提督「『鳳翔』を野次馬集団から助けて下さった

恩人に『ただ仕事をさせて』帰らすなんて事はできませんって」







社員「は、はぁ」ギシッ







社員(あ、これ、すごい良いソファだ)







社員「それで…あの…ほ…ほほ、ほしょ…『鳳翔』さんは?」








提督「」プッ







社員「?」








提督「アハハハハ!噛み過ぎですよぉ♪」








社員「むぅ///」カァァァァ







提督「はぁ…はぁ…いやすいませんすいません。

なんだか『良いなぁ』と思いまして。」





コンコンコン…







提督「ああ、開いてるよ。はいりたまえ。」





カチャッ…




キィ…





鳳翔「失礼しますお茶をお持ちしました提督♪

それと…えと…」






社員「しゃ、社員でひゅ!!」





提督「…」


社員「…」


鳳翔「…」






鳳翔「」クスッ





提督「」クフッ





社員「///」





社員(消えて…原子レベルで消えたいぃ!)




………

……





ガサ…ゴソッ



ケーブル シュルシュル…



ガコン…



社員(これは…使ってる製品の型式が若干違う…製品注文のときに

購買課が間違って手配したのか…報告書書いて…正しい物を注文しよう)ウンウン





社員(機器が手元にないから今日は手の施しようが無いな…

とりあえず現場の写真だけ撮って…)






―社員さん♪




社員「…」






社員「」エヘヘ






パシャ




アッ! ヘンナ トコ トッチャッタ!




………

……





提督「お疲れさまでした。どうでした?」




社員「こちらの手配間違いで別の製品を取り付けてました。

申し訳ありません。電気系統に問題は無かったので、後日

製品の入荷出来次第に改めてお伺いしますので」






提督「そうでしたか。いやいや、有難うございました」





社員「いえ…」





鳳翔「社員さん、お疲れ様です。」






社員「イ…イエ///」ドギマギ









提督「 ! 」







提督「ほう…♪」ニヤァ






鳳翔「?」ドウシタノ?






提督「そうだ、鳳翔、お見送りして差し上げなさい。」






鳳翔「はい!」





………

……




鳳翔「それでは、こちらへ」




社員「ア、ハイ」




社員「?」



タタタタタ…





「鳳翔さん遊んで遊んで♪」

「ずるいー‼私もぉ鳳翔さぁん♪」



鳳翔「はい♪ちょっと待ってて下さいね♪

いま、お客様をお見送りに行きますから♪」



ホウショウサァン♪





社員「彼女は…頼られてるんですね…」




提督「はい本当に助かってます…」






提督「海域で発見された艦娘、彼女たちには両親がいません…もちろん鳳翔にも」





提督「私は父親のような存在の代わりは出来ますが…」





提督「母親の代わりは、出来ませんから」




提督「いつもいつも鎮守府に籠ってる訳には

いきませんし」




提督「人が母の温もりを求めるように」




提督「母のように自分を受け止めてくれる

存在を彼女達は求めているんだと

時々感じることもあります」





提督「ここでは、それを鳳翔が担ってくれているんです。…鳳翔には感謝してもしきれませんよ…」






社員「…」





社員(頼られて悪い気をする人はいない)






「鳳翔さん!こちらインタビューお願いします!」

「今日の夕飯は何でしょう!?」



鳳翔「はい♪今夜は鯖の味噌煮ですよ♪」


「鳳翔さん、あとでこっち手伝ってぇ!」

「鳳翔さん、この資料なんだけど」




―鳳翔さん

―鳳翔さん

―鳳翔サン

―ホウショウサン





社員「…」





社員(でも、あれじゃあ…)




―『彼女』は『誰に』甘えれば良いんだ?



………

……




鳳翔「今日は遠くからわざわざ、ありがとうございました。」ペコリ




社員「イエイエ、トンデモナイデス」カチンコチン





鳳翔「すっかり、日が暮れてしまいましたね」





社員「ハイ、ソーデスネ」




鳳翔「改めてお礼申し上げます♪

あの時は、本当に助かりました。」ペコリ





社員「…」






社員「…あの、一つお聞きしたいんです。」





鳳翔「はい?」






社員「その…首の

『ハート型のアクセサリー』って…あの他の

小さい子達も身につけてましたが」



チャリン…



鳳翔「私達…艦娘は『軍の物』なんです。

御存じですよね?」





社員(答えづらい…)





社員「あの…ぅ…」





鳳翔「あなたは、やっぱりお優しい方ですね。

言葉を選んで喋ろうとしてくれているのが…わかりますよ?」クスクス





社員「…」





社員(なんて切ない…笑顔なんだ…)





鳳翔「ちょっとお話ししましょうか…」





鳳翔「これは…この首輪は、

『艦娘は軍の所有物である』事の証です。」




鳳翔「…」





鳳翔「…数年前に艦娘による『殺人』事件が

起きたことは知っていますか?」





社員(!?)





社員「…え…?」





鳳翔「知らないのも無理は無いと思います。」






鳳翔「表沙汰にならない情報ですから」






鳳翔「人間の世界でいう所の『不倫』というものでしょうか?」






社員「…え」






鳳翔「とある男性と、とある艦娘はお互いを求めるように出会い、

恋に落ちました。」






鳳翔「でも…」





鳳翔「男性は既婚者だったんです…」





鳳翔「これがばれて、男性の奥様は艦娘を

訴えましたが、あくまで当時は本当にただの

兵器として扱われ、明確な権利の線引きなんて

ありませんでした」





鳳翔「そんなただの『兵器』に『人』の法律が通用する訳もなく、訴えは取り消されました」





社員「…」





鳳翔「奥様は、酷くその艦娘の事を恨んでいたそうです。艦娘に何のペナルティも課さない判決が下った瞬間、『取られた取られた』と泣き崩れたそうで…」





鳳翔「激昂した彼女は隠し持っていた、刃物で艦娘に

斬りかかったそうなんです」






社員「…」






鳳翔「…ですが、そのとき偶然…そう偶然だったんです…あ、いえ!

ぐ、偶然だったそうです…」






鳳翔「艦娘は、その奥様の命を…

『奪って』しまったんです…」





社員「…ッ!」





鳳翔「人って本能的に自己防衛機能が

ありますよね?」





鳳翔「転びそうになったら受け身をとるように…」





鳳翔「私達艦娘も同じなんです…」





鳳翔「身を守ろうとした彼女は…」





鳳翔「艤装を展開し…」





鳳翔「…」





鳳翔「そのような事件もあり本部は管理責任問題を

問われて、その対処として『人』と『艦娘』の

差別化を図ることにしたんです」





社員「…」





鳳翔「そして今まで、曖昧にしていた艦娘への

法規を定めました」





鳳翔「ある程度の自由は許されているものの

艦娘は、このアクセサリーを身につけ

『自分は兵器』『軍の所有物』であることを

周囲に主張しなくてはいけないんです」





鳳翔「これをつけてるのが艦娘だっていうニュースも流れたんですが…」





鳳翔「その事もご存じありませんでしたか?」





社員「その…昔は艦娘とか…自分には縁遠い話しだと思って…」





鳳翔「そう…ですか」





鳳翔「…」





鳳翔「『コレ』で私達は『拘束』されているんです」






社員(ハート型のアクセサリー…)





鳳翔「なんでそんな意味を持つ『拘束具』がこのような

愛らしい形をしているのか…」





鳳翔「もしかしたら皮肉なのかもしれませんし…」





鳳翔「…」





社員「なんで…なんでそんな話しを…私に?」





鳳翔「これを抱えて、この先、艦娘として生きていくには

辛くて…誰かに聞いて欲しかったんです」






鳳翔「提督はこの事はもちろん知っています、ですが

違うんです…」





鳳翔「もっと砕けた関係というか…親しいと言いますか…」




―本当に助かってます

―鳳翔さん

―鳳翔さん






―ああそうか



―彼女は





鳳翔「提督のような目上の方ではなく…」





鳳翔「でも、理解があって器が大きい方に…」






―甘える存在が欲しかったんだ…





鳳翔「そう…あのとき周りを気にせず私を助けてくれた

貴方のような殿方にお話しして…」





鳳翔「受け止めて欲しかったのかもしれません…」





社員「…」





鳳翔「…あらやだ私ったら!お見送りに来たのに、

すっかり長話ししちゃって…」





鳳翔「すいません…帰り道どうかお気を付けて」





社員「…また、来ますね」





鳳翔「お待ちしております…」





社員「はい…失礼します、提督さんにもよろしくお伝え下さい」





鳳翔「はい」





鳳翔「…」

社員「…」






社員「鳳翔さん!」

鳳翔「社員さん!」





社員・鳳翔「あ…」




社員「お、お先にドウゾ!」




鳳翔「あ、イエイエ!社員さんからどうぞ!」





社員「…あの」




社員「今度、二人でお食事にいきませんか!」




鳳翔「…」




鳳翔「はい♪私も同じことを思ってました♪」ニコ



………

……





社員(鳳翔さんと…親しい関係になって二ヵ月ちょっと…)





社員(他の鎮守府はわからないが

あそこは提督さんがオープンな性格のため

遊びに来るように誘ってくれる。)





社員(今では、提督さんとも友人という

関係になり鎮守府の子達とも親しくなった)





社員(私のような存在が珍しいのかどうかはわからないが、あの子たちも

良く私に絡んできてくれる。困ったような嬉しいような微妙な気持ちではある。)





社員(なんせ、子供と言えど立派な女の子なのだから、

色々と…その理性的な面とか…

第三者から見たらきっと私は『おっきなお友達』であろう。)




社員(なんだったか…『卯月』『弥生』だったか?あの子達は?

二人に膝枕をしていたら鳳翔さんがなんだか切ない顔でこちらを

みていたから何だか悲しくなった。

いや違う、私は幼児に劣情を催す趣味はない!!……はず)





社員(…)





社員(あの日からよく二人で色々な所に行った。)





社員(彼女がまだ、行った事の無かった動物園、

私が一人では絶対行かないであろう、雑貨屋さんや、

キッチン用品のお店、女性物の洋服店…)





社員(鳳翔さんは…なにを着ても似合う、

これは自信を持って言える)




社員(特に、白いワンピースの上に

桜色のカーディガンの組み合わせは…悶えた)




社員(ただ…どこに行っても…白い目を向けられている事は、

私も彼女も気づいていた…でも気付かないふりをして、とにかく二人の時間を楽しむ事に集中していた)






社員(その間、今まで関心など無かった艦娘についての情報に耳を傾けるようになった)





社員(すると、とあるニュースが流れ始めた。)





社員(それは『深海棲艦体液には放射性物質は含まれていなかった』という報道だった)





社員(深海棲艦には艦娘の使用する『艤装』によってしかまともなダメージは与えられない)





社員(つまり現代兵器が通用しない事を意味する)





社員(海軍はそれまで運用してた現代兵器による火力を最低限に抑えた)





社員(コストのほとんどのウェイトを『艦娘』に割り振ったのだ)





社員(それによって、売り物が役目を果たさなくなった

兵器の製造元は窮地に追いやられ)





社員(大手製造元が『艦娘』に対する『金による』情報操作を行ったのだ)





社員(研究機関に『艦娘は危険』であるという

情報を後にばれても構わないからと『圧力』をかけたのだった)





社員(自暴自棄になった人間はどう行動に出るかわからない、それはメーカーも同じだった)





社員(研究機関が艦娘の立場が危うくなるような情報を公開するかわりにメーカーから多額の

援助金がもらえるという…なんとも身勝手な傲慢な行いが裏で行われていた)




社員(それが内部告発で明らかになった)




社員(とある研究員の一人が良心の叱責に耐えられなかったと申し出てくれたのだった)




社員(とても大きなニュースで世間を騒がせた…)




社員(もちろん私は、嬉しくなり提督さんに連絡した)




社員(これで少しは、偏見の目も少なくなるだろうと…)




社員(私が………甘かった)





………

……




社員「あ、もしもし母さん?」





社員「うん…うん…好きな『人』が出来たんだ…うん、ありがとう」





社員「だから…お見合いの話しは…うん」





社員「ただ…驚かないで聞いて欲しいんだ…」





社員「その人…」




社員「『艦娘』…なんだ…」






社員「どういう話し…って…言葉の通りだよ、俺が好きになった人は艦娘ってだけの…」





社員「…!」





社員「ま、待って!!俺の話を…!……!?」





社員「そんな言い方、無いだろ!!そんなの偏見だ!!」




社員「会ってみれば…わかるって!」





社員「…」





社員「良いよ…母さん達が…親戚が…

『議員の叔父さん』達が認めなくても…!」





社員「…理解してくれって…電話した俺が…馬鹿だったよ…!」





社員「…」





社員「…ごめん…言い過ぎたよ…また、近いうちに実家に戻ってゆっくり話ししよう…。」




社員「うん…じゃあ」





ガチャン…



ツー



ツー





社員「…」




………

……





あなたは艦娘についてどう思いますか?


―カンムス?ああ、最近、軍で本格的に運用されるようになった兵器だっけ?

怖いよな、人の姿した『化け物』だろ?



あなたは艦娘についてどう思いますか?


―教育に悪いわよ!

なんであんな女の子があんな危険な目にあわなきゃならないの?

あの子達のせいでね!

ウチの娘まで「将来の夢は艦娘です」なんて言うようになったのよ!?



あなたは艦娘についてどう思いますか?


―はてカンムスとは?テンムスなら知っとるがの…テンムスと言えば

最近、天ぷらの美味しいお店がの(略



あなたは艦娘についてどう思いますか?


―さぁ?興味ありませんね。

あのもう良いですか?

急いでいるんで…



あなたは艦娘についてどう思いますか?


―…榛名たんは俺の ○メェェェ!




あなたは艦娘についてどう思いますか?


―ああ、あの○ッ○集団?あれって本当に軍が運用してんの?





あなたは艦娘についてどう思いますか?


―…



あなたは艦娘についてどう思いますか?


―…私は…



あなたは艦娘についてどう思いますか?


―…私は彼女達は人と変わらないと…思います。





以上、「特集!艦娘への印象」でした。引き続きニュースをご覧ください。



………

……




―一家の恥さらしめ!お前なんぞ息子でも何でもない!




…うるさい




―○○家の長男がこれとは…落ちたもんだな



…うるさい…!




―オメぇのせいで母ちゃんも親戚から批判者だ!ご近所さんに何て言えば良いんだ…!




…うるさい!!




―従兄といえど…さすがに擁護できんな…





…うるせぇ!!!





―『兵器』に欲情するなんて…頭オカシイんじゃないのか?これだから最近の若者は…





…うるせぇんだよ!!!




………

……





カタカタ…


カタッターン…




係長「なぁ…」



係長「ちょっと良いか?」



社員「はい?なんでしょう?」



係長「まぁ、あとで二人っきりで話したい事があんだよ…時間とっててくれ」



社員「はあ…」




………

……




社員「話しとは…?」





係長「…」





社員「係長?」





係長「お前…、『艦娘』と付き合ってんだって?」





社員「…」





社員「どこから…それを」






係長「…会社の奴がさ…お前と『艦娘』が一緒に並んで歩いているのを見たんだと…」






係長「もっぱら…社内の噂だよ…」






社員(…そうならないように…最善の注意を払ったというのに…)





社員(失敗した…)





社員「…」





係長「…どうなんだ?本当なのか?それが聞きたいんだ」





社員「…はい」





係長「そうか…」





社員「係長…も…ですか?」





係長「…なにが?」





社員「係長も…艦娘と人間の交際は…認めないと…?」





社員「家族や…親族からも…咎められました…認めないと…狂っていると…」





係長「…」





社員「…」





係長「お前が好きになった相手はその『艦娘』なんだろ?」





社員「…ッ!…はいッ」





係長「…」





係長「お前が好きになった相手だ、

誰が相手だろうと俺は気にしないよ」





社員「…!」





係長「…ただ、もう少し上手く隠れながら付き合えよ?

あの情報がデマでだったとしても艦娘への風評被害は大きいままだ。」





係長「これがウチの会社のスポンサー様の耳に入りでもしたら、さすがに

俺でも庇いきれないからな…。」





社員「係長…」





係長「よし、この話しは終わり!さて、仕事に戻るか!」





社員「…ッ…はい!」






係長「あ、そうだそうだ、

そのお前の『彼女さん』は何て名前なんだ?今度俺にも『会わせてくれよ』!」





社員「…!」




社員「彼女は―」




………

……





私の家は、いわゆるエリート家系というものだった


親戚の大半は「政治」に何らかの影響を与える重役達ばかり。


昔は政治のやりかたの汚さに、親戚の汚さに息苦しさを感じたが…


このとき、ばかりは自分の境遇に感謝した…



だって…




―法改正案って…どういう事だ…!!



―社員…貴様、親戚を敵に…議員を敵に回すのか!?



―そんな情報…どこから…!ふざけるな!私を…私達を脅して…



―お前はどうする気だ…!





…揺するだけの情報があれば、どうとでもこちらの要求を呑んでくれるからだ。



裏取引、不正、出所不明の資金…その他数々の情報を


私は知人、探偵、闇ルート…etcを通じ、多額の借金をして突き止めた…


それを『餌』に今度は…


政治に接点を持ち、尚且つ重要スポットにあたる親戚を


『脅して』『脅して』『脅しまくった』



目的はそう…


艦娘への…法改正…


『人間と艦娘の婚姻を認める事』


『対象となる艦娘に配偶者と同等の人権を与える事』


『艦娘の自由を奪う拘束具の撤廃』


それを否定するなら、情報をリークすると脅したんだ…。


もみ消そうものなら、それよりも先に情報機関に売り渡すことだってできる。


仕事は早い方なんだ…。







こうして生まれた…


-第12条 第1項-


艦娘は艤装の操作の可をもって

艦娘たるものとする。


之に反する場合、対象の『解体』を要検討の事

ただし非営利団体及びボランティア団体等

社会奉仕関連に従事する場合この限りではない。


また、性別問わず『人間』との婚約によっても

配偶者とし人権の範囲に対象者を含めるとともに同上とする。



この法案。







そして…


………

……






社員(法改正が認められて…3年…長かった…この時をずっと)





鳳翔「社員さん…鎮守府から…ここから眺める夕陽…やっぱり綺麗ですね」





社員「…はい」





鳳翔「3年前のあの日と…何も変わってません…いえ、変わりましたね…」





鳳翔「突然、艦娘に対する法律が変わった時は、驚きましたが…

そのおかげで…私達艦娘は…あの『拘束』から解放されました」





鳳翔「どうして…なんでしょうね…」





社員「さぁ…私には難しい事はわかりません…」





社員「ただ一つ…はっきりしている事があります」





鳳翔「なんでしょう?」





社員「前と違って、

あなたと長く、一緒にいられるようになった事です。」





鳳翔「…」





社員「…」





社員「鳳翔さん…私と…『 』して下さい…」





鳳翔「…」





鳳翔「社員さん…以前のお話し覚えてますか?」





社員「…艦娘の…殺人事件…」





鳳翔「その艦娘…私なんです…」





社員「…」





社員「…はい」





鳳翔「私…汚れているんです…」





社員「…はい」





鳳翔「汚れた私が…、

人を殺めた私が幸せになる権利なんて

あるんでしょうか…?」





社員「そんな事、考えないで下さい…」





社員「私は…『私が』あなたとずっと…一緒にいたいんです…私の望みを」





社員「あなたとこの先、共に生きたいという私の望みを…」





社員「叶えて下さい…」





鳳翔「ずるいです…そんな言い方…」





鳳翔「大好きなあなたに…そんなお願いされたら…」





鳳翔「断れないに…決まってるじゃないですか…!」





鳳翔「私なんかで…良ければ…」





鳳翔「どうか…よろしくお願い致します。アナタ♪」





社員「…」





鳳翔「アナタ…手を貸して下さいな?」





社員「…」





鳳翔「やだ、泣かないで下さい♪…アナタの手は…冷たいですね」





鳳翔「知ってますか?手が冷たい人は―」


















鳳翔「心がとても温かい人なんですよ♪」





………

……






部長「―とまぁ、こんな感じかなぁ…私と鳳翔の出会いは」シミジミ





青年「けっこうヤンチャだったんですね」クッキー ウマウマ





部長「はっはっはぁ!人ん家に来ておいて辛辣だな青年くん!」





大鯨「はぁ~///部長さん素敵です♪」





鳳翔「その、法律のおかげで私は

『解体』を経ずに記憶を保持したまま退役できたんです♪」





部長「今、思うと無茶したな~…私」トオイメ





青年「ぶっちゃけ政界に入った方が良かったのでは?」





部長「ヒント『借金』」





青年「アッハイ」





部長「ところで…青年くん、大鯨ちゃん…」





青年・大鯨「「はい?」」





部長「久しぶりに会えたなと思ったら…」チラリ




息子(青年似)「ぱぱぁ、おはなしおわったぁ?」


娘(大鯨似)「息子だめだよ、まだパパ達忙しいの!」


息子(青年似)「えぇ~!やぁだぁ!つまんないぃ!」


娘(大鯨似)「しょうがないわねぇ、じゃあお姉ちゃんが遊んであげる♪向こうで遊びましょ♪」




キャッキャッ♪





部長「きみら…」






青年「やりました」キリッ


大鯨「///」ムゥ…







部長「頑張ったなぁ~」カンシン







その手が伝える温もり-完-

-----------------------------------------------------


後書き

これで ほんとうに おわりです

あんていの 「しゅっさん」ENDです。

思いのほか長くなりました。
ここまでこの作品が続いたのも
皆さんのおかげです。
本当にありがとうございました。

アニメで鳳翔さんと大鯨さんが活躍する日を願って


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2022-02-26 00:19:30

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2015-06-13 14:52:34

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Kerryさんから
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ワッフルさんから
2015-02-20 19:19:59

ポテトチップスさんから
2015-02-19 18:47:42

あっぽるさんから
2015-02-18 20:12:31

SS好きの名無しさんから
2015-02-17 20:53:55

このSSへのコメント

41件コメントされています

1: あっぽる 2015-02-18 19:50:05 ID: R3jQBbP0

(´・Д・)大鯨だったのか…

2: らんぱく 2015-02-18 20:05:11 ID: oGzKYj7o

あっぽるさん
はい、大鯨さんでした。
大鯨さんかわいいよね。

3: SS好きの名無しさん 2015-02-21 23:52:13 ID: H4fsy3lV

ちょっと悲しい話ですね、いつか提督に天罰が下ることを祈ってます
他の方のSSと違った感じがして好きです

4: らんぱく 2015-02-22 09:23:58 ID: qQZ1P5bk

3コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
お気に召して頂けたら幸いです。嬉しいです。
バッドエンドにする予定はないので御安心ください。

他の方々のように密度のある文章は書けないんです私
そのため空白を多用してスッカスカだから、そう感じるかもです。

5: SS好きの名無しさん 2015-02-23 20:45:47 ID: Thi9IPHt

おっおっおっ!提督、転落までのカウントダウンきた!?

6: らんぱく 2015-02-23 21:58:51 ID: CxfLeak-

5コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
「転落」までのプロットは出来ています。
あともう少しですよ。

7: ポテトチップス 2015-02-23 22:54:59 ID: FbNtjSDI

やっぱりこの人の書くssはおもしろいなぁ。

8: らんぱく 2015-02-24 08:17:40 ID: ehsyo2Na

ポテトチップスさん
うれしくて はなみず ふきました。
冗談抜きで嬉しいです。
ありがとうございます。

9: SS好きの名無しさん 2015-02-24 18:57:42 ID: UEnzl9Ea

すべてのゲス提督に天罰のあらん事を・・・・

10: らんぱく 2015-02-24 19:21:35 ID: ehsyo2Na

9コメのSS好きの名無しさん
そうですよねー。
皆さんは艦娘は大事にしましょうね!
オジサンとの約束だゾ!
…コメントありがとうございました。

11: かぐや 2015-02-25 15:06:18 ID: b7_GMBPX

部長と鳳翔さんの話も書いてほしいです。この話の結末も期待してます。

12: SS好きの名無しさん 2015-02-25 18:21:42 ID: lFHIqlfL

ようやくこいつの末路を拝めるのか。
いいぞ、もっとやれ!!!

13: らんぱく 2015-02-25 19:39:20 ID: v1vWbR7t

かぐやさん
コメントありがとうございます。
部長と鳳翔さんのお話しですか。
短編で外伝的に書いてみますね。

14: らんぱく 2015-02-25 19:48:20 ID: v1vWbR7t

12コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
エンディングを迎えたら思う存分、盛大に「ザマァァァ!」と
言ってやりましょう。

15: SS好きの名無しさん 2015-02-25 20:42:43 ID: dvQRvwxn

このスレ見て捕鯨しようと思いました

16: かぐや 2015-02-25 20:49:58 ID: b7_GMBPX

11の者です。この話を読んでいて部長と鳳翔さんはもっと大変だったのかなーとか思ってコメしました。
クソ提督ザマァー

17: SS好きの名無しさん 2015-02-25 21:09:56 ID: 3QrUapIU

是非続けてほしいです。一作とはいわずたくさん…

18: らんぱく 2015-02-25 21:12:30 ID: v1vWbR7t

15コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
ああ~、そういうの聞くとほんとに
嬉しくなります。
大鯨さんに会えるように応援しておりますね。
轟沈にお気を付け下さい。

かぐやさん
当時はもっと艦娘への偏見が強かった風潮に
しようかと思います。
YESクソ提督ザマァ。

19: らんぱく 2015-02-25 21:22:40 ID: v1vWbR7t

17コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
むぉぉ…なんか、嬉しくて涙腺が…!
他にも艦娘で色んなシチュを書いてみたいので
ネタが思いつく限り続けるつもりですよー。
生ぬる~く見守って頂けたら幸いです。

20: みいにゃん 2015-02-25 22:56:34 ID: EkEDMRaD

初コメです、更新毎に読ませていただきました

流石にこの提督は抹殺されておかしくないな・・・というか、標的にしてしまえと思うくらい・・・

部長と鳳翔さんの外伝もだけど、この青年と大鯨のその後もみたいな~~(チラ)

ちなみにうちのところでは、大鯨と龍鳳ちゃんが在籍中です♪

21: SS好きの名無しさん 2015-02-26 00:04:09 ID: Ld3U8UvN

3の者ですが完結おめでとうございます!もっと提督を懲らしめて欲しかったけど最後まで読んだらどうでもよくなりました!
次は日常系のほのぼのーっとしたものを書いてほしいです、らんぱくさんならやってくださると信じてます(´-ω-`)

22: 葉っぱの妖怪 2015-02-26 03:21:31 ID: fCftjDg6

5コメ改め葉っぱの妖怪です。
完結お疲れ様でした。
提督は社会的に殺され、大鯨と青年はhappy end
大鯨と龍鳳を嫁にしてる俺としては末永く轟沈せずに幸せにしろ!という言葉を贈りたいです。

そして、部長。最初はただのモブ上司かと思っていたら、かなり美味しい役。さらに鳳翔さんは奥様。羨ましいんじゃ!!

最後に改めてお疲れ様でした。
長文失礼しました

23: らんぱく 2015-02-26 08:56:14 ID: RqsChHi8

>みいにゃんさん
コメントありがとうございます。
どうせなら書いてる本人も憎たらしく思うくらいの清々しい程の
クズにしようと思って書いてました。
う…ガ、ガンバリマス(震え声
私の貧困鎮守府にはまだ大鯨さん、龍鳳さん
がいないので羨ましい限りです。

>21コメのSS好きの名無しさん
コメントありがとうございます。
本当は「ちょん切って」しまおうかとも思いましたが
さすがにやり過ぎかと感じこちらの「信用抹殺」EDに変更したんです。
日常『ほのぼの』ですね。貴重なご意見ありがとうございました。

>葉っぱの妖怪さん
素敵なお名前に変更されましたねw
大鯨さんと龍鳳さんの旦那様でしたか。
そちらも末長く爆発し続けて下さいませ。
なんだか、部長・鳳翔夫婦に対してのコメントが多くてびびってます。
長文コメントありがとうございます。

24: あっぽる 2015-02-26 12:17:06 ID: 3Ds-yeuU

完結乙です
次回作期待してます(・ω・)b

25: かぐや 2015-02-26 15:13:51 ID: I6fx85Dk

すごい部長がかっこいいイメージだ。次の更新がワクワクです。更新頑張ってください!

26: 葉っぱの妖怪 2015-02-26 19:55:08 ID: fCftjDg6

部長、いや社員よ。GJ!
それにしても疑いがあるって言ってるだけで実際はないかも知れないのにアレはないわ〜

リクエストは雲龍でお願いします。ジャンルはグロ系じゃなければなんでもいいです

27: らんぱく 2015-02-26 19:58:59 ID: RqsChHi8

>あっぽるさん
いつもコメントありがとうございます。
次もどうかよろしくお願い致します。

>かぐやさん
いつもコメントありがとうございます。
いえ部長はただのヘッポコです(キッパリ

28: らんぱく 2015-02-26 20:35:27 ID: RqsChHi8

>葉っぱの妖怪さん
いつもコメントありがとうございます。
実際、メディアの情報とかこんなもんなんじゃないかな~とか思って書いてました。
『雲龍』『ジャンル不問』ですね。ご意見有難うございます。

29: みいにゃん 2015-02-26 23:09:09 ID: I87cq_rT

機会があったらでいいので、意外性のある間宮さんとか・・・・(人気有るんかな・・・)

でも、へっぽこだとしても、社員さんは凄いと思うな、今の日本で同じようなことが起きたとしたらどうなることやら・・・

30: らんぱく 2015-02-27 09:00:56 ID: HAnH9tH2

>みいにゃんさん
コメントいつもありがとうございます。
『間宮』さんですね。ご意見ありがとうございます。
こういうときにちゃんと動ける人は素晴らしいですよね。

31: 葉っぱの妖怪 2015-02-27 21:15:44 ID: zsSC4wJt

ヤバい。何がヤバいって?
部長改め社員に萌えたところだよ
というかどういう会社だったら鎮守府と関わり持てるんですか!?教えてくださいなんでもしまかぜ!

32: らんぱく 2015-02-27 22:54:31 ID: HAnH9tH2

>葉っぱの妖怪さん
コメントいつもありがとうございます。
萌えて頂いたようでなによりです。
電気、ガス、水道とか生活に必要なもの、
つまりインフラ関係だったら関わり持てると思いますが…
ん?今なんでもしまs…あ、しまかぜか…っち。

33: SS好きの名無しさん 2015-03-01 17:37:35 ID: EKUB73Qo

憲兵「主さんこちらでちょっと話を聴きたいのでご同行お願いします」

憲兵「話というのはですね、どうすれば艦娘と仲が良くなれるのかと言うことなのですよ」

憲兵「出来れば榛名さんとかと・・・もじもじ」

34: らんぱく 2015-03-01 19:01:15 ID: TbwCvhFO

>33コメのSS好きの名無しさん
コメント有難うございます。
押すのです!ああいう清純系は愛を囁いて
押して押して押しまくるのです!最後は無理やり
既成事実をt(血で汚れて読めない

リクエストと
受け取って良いんでしょうか?

35: みいにゃん 2015-03-02 18:55:11 ID: SYnOjDDO

とりあえずは、リクエストの人数をある程度までにしたほうがいいかも?

それを消化してからでも・・・・じゃないと・・・そのうち全員!とか(笑)来るかも?

36: らんぱく 2015-03-02 19:10:19 ID: vhw6nf1y

>みいにゃんさん
そうですね、ちょっと整理しますか。
とりあえず、現状のテーマを書き切るまで
リクエストは締め切りとさせて頂きますかねぇ。
アドバイスありがとうございました。
それにしても全員…出来たら書きたいものですけど。

37: 葉っぱの妖怪 2015-03-03 03:55:19 ID: ZyUa8F1I

完結お疲れさまで・・・えぇぇぇぇぇ!!!
子供!?大鯨の子供ナンデェ!?
きっと俺に似てる子なんですね〜(錯乱)
リクエストの方はゆっくりと消化していってください。

38: らんぱく 2015-03-03 20:10:59 ID: 466NnlYD

>葉っぱの妖怪さん
コメントありがとうございます。
はっはっは、寝取ってしまえば良いんやで(ニッコリ
いつも応援して頂いて本当に励みになります。
ありがとうございます。

39: SS好きの名無しさん 2015-11-23 15:53:06 ID: AkXuMWtJ

ああ、どっかに大鯨さんか鳳翔さんみたいな人いないかな~?二人がうらやましい・・・。SSで泣いたのは、久しぶりでした。素晴らしい傑作です。よし、誰かこの人にノーベル文学賞を。

40: らんぱく 2015-11-26 04:23:29 ID: awM_D8Wv

〉39コメのSS好きの名無しさんへ
コメントありがとうございます
私も大鯨さんか、鳳翔さんのような恋人が欲しいです(血涙
うわぉ!嬉しい感想です!
あわばばばば!!!!!!じ、自分には恐れ多いです!他の素晴らしい作品を書かれてる方も多いので……その賞はその方々に……

41: SS好きの名無しさん 2018-09-06 22:28:00 ID: jwiH6_2w

●イプされた子達全員孕んだのだろうか・・・。
白露とか見る限り中出しされまくってるし。幼い少女相手に胸糞悪い


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