素直になりたい曙が幸せになる物語
曙と提督が幸せになるだけの物語です。
この作品には多大なキャラ崩壊が含まれています。ご注意ください。
提督が好きな曙と曙が好きな提督が幸せになるお話です。お楽しみください。
完全にシリアス作品書くのに疲れた作者の息抜きですので、お手柔らかにお願いします。
曙「よし、今日こそちゃんと言うわよ。」
私は支度を済ませ、鏡を見ながら決意をあえて声に出す。
朧「あぁ、今日は提督とデートなんだっけ?」
私の声を聴いて相部屋の朧が私に声をかけてくる。
曙「な、デ、デートってそんなんじゃ無いわよ!クソ提督が服を買いに行くのに付き合うだけよ!」
またやってしまった。そう、私は思ったことと反対のことをつい言ってしまうのだ。実際はデートだと思って楽しみにしていたりする。
漣「ケッコンカッコカリまでしといて何言ってんですかねぇこのボノたんは。やれやれ。」
同じく相部屋の漣がうざいくらいの笑顔で自分の左手の薬指を指さしながらからかってくる。
曙「な、ケ、ケッコンカッコカリなんて所詮ただの強化でしょ!」
朧「漣さん、漣さん、こんなこと言ってますがどう思います?」
漣「朧さん、朧さん、曙さんったらケッコンカッコカリした日に指輪を見ながら一日中ニヤケテたんですわよ。」
曙「な、なんで漣がそのこと知ってんのよ!」
私は不意に漣に言われたことに反論してしまう。しまった、これじゃ自分で認めてるようなものだ。
潮「本当なんだ。曙ちゃんも可愛いところあるんだね。」
先程から話を聞いてるだけだった同室の潮にもそんなことを言われてしまう。恥ずかしい。
曙「この覗き魔!プライバシーの侵害よ!」
漣「痛い痛い!ボノたん痛いよ!」
私は恥ずかしさを誤魔化すように漣の頭を両手でぐりぐりする。
潮「そういえば、曙ちゃんさっき言ってた、ちゃんと言うことってなんなの?」
潮が痛いところを突いてくる。
漣「そりゃ勿論ご主人様に、曙はあなたを愛しています。って言うのに決まってんでしょ!」
私が何か誤魔化す方法を考えていると、なぜか漣が決め顔で答える。
曙「な、そんなんじゃないわよ!そ、そうクソ提督に私服がダサいって言うってだけよ!」
私は漣が何気的を射たことを言ったことに焦ってよくわからないことを口走ってしまう。まず、あの人の私服なんて見たことないのに。
漣「おや?おやおやおやぁ?曙さんいつの間に私服を見るような関係に?そこんとこkwsk!」
案の定漣が食いついてきた。
曙「そ、そんなんじゃないわよ!たまたま、そう、たまたま見ただけよ!」
私は苦し紛れにそんな言い訳をする。
潮「なんだかよくわからないけど、頑張ってね曙ちゃん。」
潮が笑顔でそう言う。全くこれだから天然は。
朧「そんなことより、提督との約束そろそろじゃない?時間大丈夫なの?」
曙「あっ、そういえばそろそろね、ありがとう朧、潮。行ってきます。」
朧「うん、気を付けてね。」
潮「頑張れ!曙ちゃん。」
漣「ちょっ!?漣チャンには言ってくれないの!?」
私は漣のセリフの途中で扉を閉める。曙が反抗期だー( ;∀;)なんて中から聞こえてきたが気にしない。
今日であの人とケッコンカッコカリをしてから二週間。未だに夫婦のようなことどころか好きとも言えてない。
ケッコンカッコカリを迫られたとき、あの人に好きだと言ってもらえたが私はしてあげてもいいわよなんて返してしまった。
自分のことながら何様だろうか。本当は好きで好きで仕方ないのに。
あの人と一緒にいたい。話したい。触れていたい。好きって言って欲しい。
でも、口からは反対のことをつい言ってしまう。恥ずかしくてついクソ提督って言ってしまう。
正直、嫌われてると思っていた。でも、あの人はそんな私に好きって言ってくれた。ケッコンカッコカリまでしてくれた。
でも、私は未だに好きのたった二文字さえ伝えられていない。だから今日こそ伝えるんだ。
約束の十時ぴったり、鎮守府の門の前。そこに彼はすでにいた。
彼の私服姿はいつもより魅力的に見えた。
提督「おっ、曙待ってたぞ。ってどうしたんだ?ボーっとして。」
曙「な、ボーっとなんかしてないわよこのクソ提督!」
提督「そりゃ失敬。んじゃ、行こうか。」
私の怒ったようなセリフを笑顔で流して彼は歩き出す。こういう風に流されるとまるで全部見透かされているようで少し恥ずかしくなる。
私がこんなに緊張しているのに余裕そうな彼に少しムカついてくる。それと同時に彼にとっては一緒に出掛ける程度何とも思わないのかもと心配になる。
少しだけ頑張ってみようか。そう思って私は彼の左手を握ってみる。
彼は少し驚いたようにこちらを見たが、すぐに手を握り返してくれた。
私と彼は手を繋いだまま、暑い日差しと蝉の声を聞きながら人気の少ない道を歩いていた。
俺は彼女が好きだ。普段からクソ提督なんて呼んできたりするが、いつも俺のことを助けてくれる。
実際に彼女に好意を抱き始めたのはいつだったか、今ではもう覚えていない。気づいたら好きだったなんてやつだ。
二週間前、駄目もとでケッコンカッコカリを頼んだらなんとOKしてくれた。我ながら情けないが少し泣いてしまいそうになった。
ケッコンカッコカリをしてから不器用ながらも彼女も俺に少しづつ好意を見せてくれるようになった。
昨日買物に誘った時も最初こそ毒を吐かれたが、去り際に楽しみにしてるなんて言ってくれた。わかりにくいというかわかりやすいというか。
ちなみに、俺はその後陸奥や愛宕に彼女をがっかりさせるわけにはいかないと思いデートプランを相談しに行ったのだが自分で考えなさいと怒られてしまった。
徹夜で考えてみたが、結局近くのショッピングモールに落ち着いてしまった。情けないもんだ。
そんなことを考えていると後ろから足音が聞こえてくる。
提督「おっ、曙待ってたぞ。ってどうしたんだ?ボーっとして。」
俺は近くまで来て俺をボケっと見ながら立ち止まった曙に声をかける。
曙「な、ボーっとなんかしてないわよこのクソ提督!」
提督「そりゃ失敬。んじゃ、行こうか。」
早速怒られてしまった。でも、これは多分何かの照れ隠しだろう。それくらいは分かるようになってきた。仮にも嫁なのだ。
俺は彼女の前を歩く。男がリードしないと駄目だもんな。
少しして、急に彼女が俺の左手を握ってきた。俺は驚きで声を上げかけたが真っ赤になった彼女を見て不思議と落ち着いた。
俺はそっと握られた手を握り返す。
俺と彼女は手を繋いだまま、暑い日差しと蝉の声を聞きながら人気の少ない道を歩いていた。
私と彼は、特に会話が無いまま目的地のショッピングモールに着いた。冷房が効いていて涼しい。
そこで、私は手汗がひどいことに気づく。思わず手を放そうとするが、彼は逃がしてくれなかった。
ここまでくる最中、何回か彼が私に話しかけてくれたが、恥ずかしくて適当に流してしまった。
彼は怒っているだろうか。私以外と来た方がよかったなんて思っていないだろうか。
私は彼の顔を横目に見る。少し頬が赤くなっている。彼も手を繋いでドキドキしているのだろうか。そうだったらいいな。
提督「曙、最初に買い物済ませちゃっていいか?」
曙「へ!?べ、別に勝手にすればいいじゃない。」
突然話しかけられ、間抜けな声を出してしまう。それにしても最初にとはどういうことだろう、買いもの以外にも何かあるのだろうか。
提督「おう、勝手にさせてもらうよ。」
そう言って彼は強く握った私の手を優しく引く。こんな小さなことで好きだと思ってしまうのは恋のせいなのだろうか。
彼に連れられ着いたのはショッピングモールの二階にあるしま〇らだった。
提督「曙、俺何着か試着するから似合ってるやつ選んでくれないか?」
曙「ま、まぁそのくらいならしてあげてもいいわよ。」
提督「ありがとな。」
彼はそう言って繋いだ手を放す。服を選ぶのだから当たり前なのだが。
曙「ぁ…」
私は手が離れると同時に声を漏らしてしまう。慌てて口を押える。
提督「後でいくらでも握ってやるよ。」
彼はその声が聞こえていたらしく、そんなことを言う。
曙「べ、別に手なんて握らなくてもいい…わよ…」
私はなんでいつもこうなんだろう。気持ちを素直に伝えることすらも出来ない、せっかく二人きりになれてるのに。
思わず私は泣きそうになってしまう。しかし、彼がそんな私の頭を撫でて言う。
提督「大丈夫だよ、わかってるから。」
そう言って彼は服を選びに行った。
曙「子供扱いするんじゃないわよ…このクソ提督。」
私は一人、小声でそう言いながら。頬が緩むのを感じていた。
しばらくして、彼が何着か服を手に戻ってきた。
提督「それじゃ、着てみるからお前の意見を聞かせてくれ。」
そう言って試着室に入って行く。どうしよう、どの服でもかっこよく見えてしまいそうだ。
それに彼が今、この布の裏で服を脱いでいるのだ。そう思うと少し…
私は可笑しな方向に向かう思考を慌てて止める。これじゃまるで変態じゃない。
それから、私は彼の服の感想を伝えていった。結局素直に伝えることは出来なかったが、私の反応を考えて彼は見事に私がいいと思ったものを選んだ。
素直に伝えられたならもっと楽なのだが、それじゃ面白くないし今だけは私の性格に感謝しておこう。
提督「それじゃ、次行こうか。」
彼はそう言いながら私の手を取る。私は無言で頷いて着いていく。
きっと今、私の顔は真っ赤なんだろうな。不意にそう思った。
俺は服を買うという第一目標を達成した。
彼女はあれよりはマシだとか、何色のが好きと回りくどい言い方をするので中々時間がかかってしまった。
でも、今隣で手を繋いでいる彼女は満足そうな顔をしているのでいいとしよう。
提督「そろそろ昼だし飯にしようか。」
俺は彼女に提案する。
曙「そうね、でもどこで食べるの?」
提督「それはもう決めてるんだ。」
俺はそういって彼女の手を引く。昨日のうちに漣に曙の好物を聞いておいたのだ。
渡された紙にはびっしりと文字が書かれていて少し戸惑ったが、それを参考にショッピングモール内に店を探してある。
やがて着いたのは、スパゲッティがうまいと評判の店だった。
提督「ここで昼にしようと思うんだがいいか?」
曙「…いいわよ。」
彼女は少し俺を不審そうに見ていたが、漣か…と小声で言った後、OKを出してくれた。
店内に入り、席に座る。俺はメニューを開き体面に座った曙に見やすいように自分と反対向きに机に置く。
彼女は小声でありがとうと言った後、メニューを見た。俺はうまそうだったのでペペロンチーノを食べることにし、店員さんにオーダーする。彼女も同じものを頼んだ。
注文が届く前に俺は曙に声をかける。
提督「なぁ、曙。午後って時間あるか?」
曙「まぁ、空いてないことはないわよ。」
相変わらず紛らわしい言い方をする彼女に思わず表情が緩んでしまう。
曙「何笑ってんのよ、クソ提督。人の好みを他人から聞くなんて本当にクソね。」
曙は笑った仕返しとばかりに続ける。彼女はふんっなんて言ってそっぽを向いてしまう。
そんな動作の一つ一つが可愛いと思ってしまう俺は病気なのかもしれない。それとも彼女に酔っているだけだろうか。
提督「悪かったよ、今度からはきちんと曙に聞くから今回は許してくれ。」
曙「ま、まぁ許してあげる。でもその代わり…いや、なんでもない。」
彼女は不意に口ごもってしまう。俺は何て言おうとしたのか聞こうとしたが、タイミングよく注文が届いて聞きづらくなってしまった。
仕方ないので、雑談をしながら二人で昼食を食べる。
特に何もなく、昼食を済ませレジで会計を済ませようとする。
店員「仲がいいんですね。兄弟ですか?」
不意に放たれた店員の言葉に俺は少し戸惑う。ここで嫁というわけにはいかない、艦娘である彼女は容姿と年齢が合致しない。
ケッコンカッコカリはしているが、本人たちが結婚と変わらないつもりでいても、それは正式な結婚ではないのだ。
彼女は中学生程度の容姿で俺は大人。法的な証明があれば別だがそれは無い。
兄弟、そう思われるのが妥当なのだろう。嫁だなんて言ったら通報されかねない。
提督「あはは、そうですかね。」
俺は仕方なくそんなことを言って誤魔化す。
しかし、そのセリフを聞いて彼女は下を向いてしまった。
俺は店を出て彼女に手を出すが、握ってはくれなかった。
仕方ない、予定より早いけど今はそんなのどうでもいい。
提督「曙、ついてきてくれないか?」
俺はそう言い、彼女と歩き出した。
兄弟ですか?私はその言葉がずっと頭の中でグルグルしていた。
きっと周囲から見たら私と彼は兄弟か何かにしか見えないのだろう。
でも、彼にだけは嫁だってきちんと言ってほしかった。
我ながら何て小さいことを気にしているんだろう。あそこでそんなことを言ったらややこしいことになるのなんてわかり切っているのに。
スパゲッティを食べながら浮かれて好きって言って欲しいなんて頼もうとしていた自分が憎たらしい。
今は彼と一緒に電車に乗っている。目的地はわからないが彼には聞きにくい状況だ。
彼は私の知らない駅で降りる。私もそれに着いていく。
かなりの時間電車に乗っていたため、既に夕暮れ時になっている。
私は彼の後ろを着いていく。
ここはどこなんだろう。田舎という程田舎では無いけど全く見たことが無い場所だ。
彼は無言で山道を上っていく。
提督「ふぅ、やっと着いた。」
彼がそう言ったのはその山の頂上だった。とても景色のいいところだ。夕日がよく見える。
彼はこれを見せるためにここに連れてきたのだろうか。
提督「急に変なとこに連れてきてごめんな。ここは俺の故郷なんだ。」
曙「ふーん、で?なんのためにこんなとこに連れてきたの?」
私はぶっきらぼうにそう言う。本当は謝りたいのに…どうしてこうも…
提督「それはな、曙にこれを渡すためだよ。」
彼はそう言い小包を渡してくる。
曙「これは…指輪?でも私もう持って…」
提督「それは、ケッコンカッコカリの指輪だろ?それは俺からの個人的な指輪だ。」
彼は私をまっすぐに見つめて言う。
提督「曙、ケッコンカッコカリじゃなくて、俺と結婚してくれないか?」
私の思考が一瞬停止する。それを気にせず彼は続ける。
提督「ずっと昔にな、家に帰りたくなくてこの山に一人で登ったんだ。その時に不思議と凄く寂しくなってな。」
彼は笑顔で私を見る。
提督「誰か好きな人でもいればそんな気分にならないんじゃないかなって思ったことがあったんだ。それで今、お前とここに来て思ったんだ。」
提督「ずっとお前と一緒にいたいって。いつまでもそばにいて欲しいって。」
彼は少し恥ずかしそうに鼻下をこする。
提督「さっきはごめん、ケッコンカッコカリは海軍内でしか通用しないからさ。でも、これを受け取ってくれたら俺はいつでも胸を張ってお前を嫁と言える。」
提督「今はまだ不器用でお前のことを幸せにする自身は正直無いんだけど、いつかお前を幸せにできるような男になって見せる。」
提督「これは命令でもなんでも無い。だからお前の気持ちを聞かせてほしい。受け取ってくれるか?」
私は頬を涙が伝うのを感じる。私は口を開く。今だけでもいい、今だけでいいから本音を伝えさせて。
曙「私もあなたが大好きです。」
私は自分でも驚くほど簡単にそう口にする。なんだ簡単なことじゃないか。
曙「私みたいな面倒な女で良ければ…同じ苗字にしてください。」
私は溢れる涙を拭いながら伝える。こんな時ですら素直に結婚して欲しいと言えない自分に思わず笑いそうになる。
提督「面倒でも俺は曙がいいんだよ。」
彼はそう言って私の唇に口づけをした。
happy end
シリアス作品書いたりサイコパス作品書いてたら心が折れそうになったのでこれでもかってくらい二人を幸せにしてやりました。やりました。
少しシリアス気味になっているのは許して…
作中で大きく間が空いているところが視点切り替わっている合図です。わかりにくくてすいません。
完全に俺が曙を幸せにしようと思って三時間クオリティで仕上げたにしてはいいのではないでしょうか?(疑問形)
面白かったです!
出来ればアフターストーリー的somethingがよみたいです!
本編の息抜き程度にチマチマ更新していただけたら嬉しいです!
1コメ様、コメントありがとうございます。
現状本編でいっぱいいっぱいで後になってもいいのでしたら書かせていただきます(›´ω`‹ )
やっぱりSSにでてくるぼのたんは可愛いですなぁもちろんSSじゃない方も可愛いけど!
ばんせー様、毎回コメントありがとうございます。
ぼのたんはサイコウですわ…原作ボノもSSボノも愛でていたいですわ。