ぽんこつ提督が鎮守府に着任するようです。Part4
人類で初めて艦娘に邂逅した現元帥さんと、その養子として育てられ、元帥の思惑によって元ブラックな鎮守府に配属されてしまう仕事だけは出来るボケっとした提督さん。彼らがシリアスな展開の中で艦娘と打ち明けつつ最後にはほのぼのとしたラブコメ展開になれそうもないんですよねぇ…おっと、失礼。初投稿シリーズなので、至らぬところなどありますがご配慮いただけると幸いです。
こちらは『ぽんこつ提督が鎮守府に着任するようです。』Part3の続編になります。もしそちら又はPart1を読んでいない場合は本ページ下部にある、作者の別の作品から飛んでいただけると幸いです。
ちまちま更新していくつもりですのでお付き合いくださいませ。誤字・脱字などの指摘他感想などをいただけると嬉しいです。
また、ハーメルンにて清書版を随時更新中ですのでもしよければ読み直しついでにそちらも読んでいただけると幸いです。
ー前回のあらすじ&作品紹介ー
なにもわからないまま元ブラック鎮守府に着任させられてしまった新人提督。
彼はそこに属する艦娘たちの胸部を全力でガン見していく…なんか違うな。
そんな中彼は様々な出来事を通して、艦娘との距離を縮めた彼は前提督の因縁に蹴りをつける。
また絆を強める提督の前に新たに表れるトラブルとは?艦娘と提督の恋の行方は?
そして、提督がなぜこんな人間になってしまったのかが明かされるPart4!是非お楽しみください。
本当はもう終わるつもりだったんですけどね。はい。頑張りますよ。はい。(ネタ切れ)
ー提督視点ー
親父と話してから約一週間。俺は我らが鎮守府の前まで戻ってきていた。ビバ実家のような安心感!時刻は夕暮れだ。
しかし、敷地内に入っても誰もいない。え!?集団ボイコット!?見舞いにも皆結構来てくれたのに!?
建物の中にも誰もいない…どうしよう泣きそう。集合場所とかに来た時付近に誰もいないと超焦るよね…
とりあえず執務室に入ると、大きな紙に居酒屋に来いとだけ書かれていた。なんだこれは…身代金とか必要な奴…?
落ち着け俺、とりあえずエロ本を読んで落ち着こ…あれ?俺ここに隠してたはずなんだけど…あれ?
あれれ~?おっかしいぞ~。エロ本があったはずのところにデートの心得とかいう謎の本がいらっしゃる。
導かれる結論は一つ…誰かが俺のエロ本を没収した。つまりこれは俺の性癖がその相手に露見したということなのでは…?
考えるのを辞めろ俺。あの本は確か…ツインテの…貧乳の…幼馴染もの…アカン、絶対に一人見つかってはいけない相手がいる。
てか、なんで俺それを選んだんだ!?馬鹿じゃねぇの!?ばーか!ばーか!
まぁ、なにはともあれ居酒屋ということは鳳翔さんのところだろう。俺は重い足をそちらに向けるのだった。
そんなこんなで現在居酒屋前、もうここまで来たら入るしかないですよね。はい。
俺は静かに扉を開ける。瞬間、耳元で大きな音がする。そして次に声が響く。
艦娘たち「提督「司令官「提督さんおかえりなさい!」
大きな音の正体はクラッカーだった。居酒屋内部は様々な装飾で彩られている。なんだこれ。あれ?涙出てきた。
鳳翔「驚かせてしまってすいません。皆さんが提督さんが退院したら祝ってあげたいとのことで今回こうして準備していたんです。」
提督「ははは、そんな俺のためにわざわざこんな。」
陽炎「ほら!提督は主役なんだから真ん中まで来て来て!」
陽炎に腕を引かれ、真ん中の玉座のようなところに座らされる。ついてけねぇ!何が起きてるんだ!?
飛龍「はいはーい、こちら司会の飛龍でーす。」
蒼龍「え、えっと蒼龍でーす。」
居酒屋は、もともとあった施設を改修してできたためかなり広い。それを生かして席などをどけてステージのようなものが出来ている。
俺が混乱していると、長門が声をかけてきた。
長門「すまない提督、最初は冗談半分で提督の退院祝いパーティーでもするかと提案したんだが。駆逐艦と一部がやる気を出してな…」
提督「いや、俺としては凄く嬉しいから構わないけど…何が起きるんだ?」
長門「それは秘密だな。楽しみにしているといい。」
正直、司会に飛龍がいる時点で心配で仕方ないぞ俺は。いずれにせよ、久々に大量の胸部装甲を拝めているので目に焼き付ける。
十秒チャージ。本当は三年くらい見てたいけどね。とりあえず俺は準備されていた飲み物を口に運ぶって酒じゃねえかこれ!あ、居酒屋かここ。
飛龍「それでは最初に今回のスタッフに登場していただきましょう!出てきてくださーい!」
スタッフを紹介するなんて珍しいパーティーもあったもん…ブフォ、ゲハッ、ゴホッ。
飛龍「メイドの皆さんでーす!パーティー中のトラブルや注文は彼女たちにお願いします!」
俺が咽た理由は言うまでもない。メイドがステージ上に登壇したからだ。アカン。鼻血が出るなんて次元じゃねぇ。死ぬ。
ちなみに、メイド服を着ているのは鹿島、鹿島、鹿島、不知火、扶桑、山城、赤城、加賀、瑞鶴、翔鶴、翔鶴、翔鶴、川内、神通、那珂だ。
尊い…なんかもう、あれだ尊い…アカン、絵師の絵を見たツイッタラーみたいになってる。俺の結婚したいって叫んでるGIF貼らなきゃ。
未だにネット世界を出回っている俺のGIF…泣きたくなってきた。って、ん?なんで鹿島と翔鶴を三回言ったかだって?そりゃ最高だからだよ。
不知火「なぜ私がこんな格好を…」
鹿島「ま、まぁ、パーティーですしね…?」
赤城「大丈夫ですか?加賀さん。」
加賀「問題ないわ…えぇ、問題ないわ…」
山城「不幸だわ…」
扶桑「そう言わないで山城。たまにはこういうのも楽しみましょう?」
川内「ちょ、ちょっとだけ恥ずかしいねこれ…」
那珂「ファンの皆☆メイド那珂ちゃんだよ~☆」
神通「うう…もうお嫁にいけないです…」
瑞鶴「いざ着ると恥ずかしいね…翔鶴姉…」
翔鶴「もう無理です…早く着替えたい…」
反応はこんな感じでそれぞれです。いいぞ、その恥ずかしさに満ちた顔を俺にもっと見せてくれ…そして、神通安心しろ俺がもらっちゃる。
不知火と山城はメイドがしちゃいけない顔をしてるけどスルーしましょう。
やっばいねこれ、俺今なら深海棲艦と素手でやりあえる気がする。男ってなんて現金なんでしょう。
飛龍「はいはーい、スタッフ紹介の次は早速パーティー開始の乾杯だ!全員グラスを掲げろ!」
俺はその指示のとうりに横に置いてあるグラスを取り、乾杯の準備をする。
全員「乾杯~!」
全員で乾杯し、とりあえずグラスの中身を飲み干す。あ~うまいんじゃ~^^
この光景を見ていると、とても俺がいないだけで空気が重くなるようには思えない。皆が笑顔で姉妹や他の艦娘たちと笑いあっている。
それを見ていると不意に思ってしまうことがある。なんで俺は彼女たちを戦わせることしか出来ないのだろうかと。
人間は艦娘や深海棲艦の前には圧倒的に無力だ。だから人間が艦娘に頼るのは必然と言ってもいいだろう。
それでも俺は、ここで楽しそうにしている彼女たちの背中を見送ることしか出来ないという現実が酷く憎らしく思えたのであった。
いっそのこと、俺が最強になったりしませんかね?ファン〇ル飛ばせたりサイ〇フィールド出せたりするようにならないもんか。人の心の光を見せなきゃならんだろうがッ
鳳翔「なにか考え事ですか?」
そんなことを考えていると、俺のグラスに酒を注ぎながら鳳翔さんが話しかけてきた。人の心の光について考えてましたとか言えないし適当に返そう。
提督「いえ、ただわざわざこんなパーティーを開いてもらえるなんて俺は幸せだなって思ってただけですよ。」
鳳翔「嘘が下手なんですね。追及するつもりはありませんが、今くらいは皆の為にも楽しんでいただけたら嬉しいです。」
鳳翔さんが笑顔で言う。俺はそのセリフで少し周囲を見渡してみるとチラチラと周りが俺の表情を確認しているのが分かった。
モテ期…?違いますね。はい。よく考えたら…俺モテ期一回も来てなくない!?
提督「鳳翔さんには敵いませんね。今くらいはなにもかも忘れるとしますよ。」
鳳翔「ありがとうございます。それでは引き続き楽しんでくださいね。」
鳳翔さんはそう言って去って行った。大人っぽい後姿に見惚れちゃった☆
実際、ロリかお姉さんかって聞かれたら俺は…どっちも行けるわ…うん。やっぱり幼女は最高だ!
陽炎「司令!司令!ちょっと見てよ!可愛すぎない!?うちの妹!」
そんなことを考えていると陽炎が不知火を連れて話しかけてくる。思わず、あぁ、最高だ。結婚したいと言いかけた。あっぶね!
不知火「ひ、引っ張らないでください陽炎…こんな姿で司令の前に出るわけには…」
おお、顔が真っ赤な不知火ちゃん(メイド姿)の登場です。目に焼き付けとこ。あわよくば待ち受けに…
陽炎「そんなことないって不知火!司令もそう思うでしょ?」
提督「あぁ、似合ってるよ不知火。もしよければ毎日その格好で秘書官をして欲しいくらいだ。」
本当は毎日その格好で秘書官をしてほしいくらいだが、ここは少し褒めるくらいのほうがいいだろう。ってあれ?本音漏れなかった今?
不知火「司、司令がそう仰るのでしたら…わかりました…」
提督「いや、冗談だよ冗談!」
俺は顔を赤らめる不知火にそう言う。やっべこれ、ロリっ子照れさせんの癖になりそう…てか、なっちまった…
黒潮「司令はんもいい趣味やね~、不知火も満更でもないんとちゃう?」
不知火「そ、そんなことは無いです!司令がどうしてもというから仕方なく了承したのであって!」
ん?俺そこまで懇願したっけ?まぁ、いっか。不知火メイドと二人きりとか最高かよ?同人誌ですね。エッチな展開になってしまう。
陽炎「そんなこと言って~本当はそのカッコで司令にご主人様!とか言うんでしょ?」
黒潮「そのままあんなことやこんなことまで…ぬいぬいってば積極的なんやから~」
不知火「……いい加減にしないと、怒りますよ?」
ぬいぬいが怒りそうだったので、二人はそこでからかうのを辞めた。ちなみに、脳内でご主人様呼びのぬいぬいを想像していた俺は必死に鼻血を抑えてました。
不知火「それでは司令、失礼しますね。御用はあればなんなりとお声かけ下さい。」
ぬいぬいはそう言って二人の姉妹を引きずりながら去って行った。二人とも…強く生きろよ。
扶桑「提督、楽しんでもらえていますか?」
提督「あぁ、わざわざこんなパーティー開いてもらえるなんて夢にも思って無かったから…」
俺はタイミングを図るように後ろから話しかけてきた扶桑に振り向きながらそう返す。俺が途中で言葉を斬ったのは視界に女神が写ったからだ。
え?おかしくない?メイド服着た天使が俺の目のまえに、しかも胸だよ胸、胸が最…痛いッ!
扶桑「山城、そんな風に提督を急に叩いたら駄目よ?」
山城「いいえ、姉さま。この男は今姉さまのことを不埒な目で見ていました。それをトレーで叩くので許されるなんて出血大サービスですよ。」
残念だったな山城。俺が不埒な目で見てるのはお前もだ。いつか俺もなにかぎゃふんと言わせてやる。
あ、いいこと思いついた。さっき叩かれてるし多少からかっても罰は当たらないだろう。
提督「山城、メイド服良く似合ってるぞ。凄い可愛い。」
山城「は!?何をそんな藪から棒に…」
提督「いや、正直お前が一番かわいい。思わず見惚れちまうくらいに可愛い。」
山城「な…な、なに言ってんのよこのアホ!」
提督「ヘブッ!?」
山城は俺をトレーで再度叩きその場を離脱していった。あぁ…なんか頭の上にヒヨコが見える。くーるくーるぱー。やべぇ、アホみたいになってる。
とりあえず俺は頬を叩き意識をはっきりさせる。そうすると扶桑さんが少し不満そうな目で俺を見ていた。
提督「えっと、どうしました?」
扶桑「いえ、私の服装は褒めていただけないのかなと思いまして…」
言ってる途中で少し恥ずかしそうにする扶桑さん可愛い。そんなの別に言わなくてもって次元なんですけどね。存在するだけでヴィーナス。
提督「勿論、似合ってますよ。」
扶桑「山城のことはあんなに褒めていたのに私はそれだけなんですか?」
ん?もしかして扶桑さんって意外と対抗心強かったりするのかな?でも、俺あの褒め方全員にすることになったら恥ずかしくて死んじゃうよ???
駄目だ、あんな期待をしているかのような可愛い表情を向けられて要求を拒める男がいるものかッ!
提督「扶桑さんはその…大人っぽい雰囲気のせいでちょっと…直視しづらいというか…その素敵だと思います。」
オートスキルコミュ障発動!ぎこちなくなってしまった!でも、素直に本人にエッチだ…何て言うわけにもいかないし仕方ないよね!?
扶桑「ありがとうございます。でもその少し恥ずかしいものですね…面と向かって絶賛されるというのも。」
扶桑さんはそう言うと、山城のとこに行ってきますね。と言いその場を去った。
どうでもいいけど赤面山城意外とかわいかったな。うん。
朝潮「司令官!」
そんなことを考えていると、朝潮が俺の方へ向かってくる。そして抱き着いてきた。
安心してくれ、俺はロリコンじゃない。朝潮のような年代の子にくっつかれたところで…ふぅ…やっぱり幼女は最ry
朝潮「ご無事で本当に良かったです。本当に本当に…」
俺のくだらない思考は泣きそうな声で言う朝潮の台詞で中断される。
朝潮を見る皆の視線もその感情が理解できるといったような困ったような優しい表情だ。
恐らく相当心配してくれたのだろう。その気持ちはよくわかる。
霞「朝潮姉さん、今日はそういうのは無しってみんなで約束したでしょう。」
朝潮「あ…ごめんなさい。今日は楽しんでくださいね司令官!」
提督「あぁ、楽しませてもらってるさ。心配してくれてありがとな朝潮。俺は全然元気だからさ?」
俺はそう言いながら朝潮と霞を撫でる。朝潮は満足そうにしているが、霞からは鉄拳が飛んでくる。
霞「子ども扱いすんなこのクズッ」
荒潮「そんなこと言って頬が赤いようだけどぉ?」
霞「荒潮姉さんまでからかわないでよ!」
霞はそう言いながら再度俺を殴る。何故に俺!?そして不機嫌になりその場を去る霞を追うようにして、二人もその場を去った。
まぁ、拳であの微妙な雰囲気が上書きされるなら安いもんだろう。二発目は納得いかないけどね!!!
那珂「提督ー!メイド那珂ちゃんだよ☆今ならあなただけの那珂ちゃんだからなんでもしてあげる☆」
俺が起き上がるとすぐに那珂ちゃんが突っ込んできた。なんですかその発言は(意味深)を入れてもいいんですか?股間に悪いですよ?
神通「那珂…提督も疲れてるんですからあまり迷惑をかけちゃだめですよ…」
川内「なんで那珂はこの服でそんな堂々としていられるのさー!」
ウインクをかましてくる那珂ちゃんとは裏腹に二人は恥ずかしそうにもじもじしている。あえて言おう、そっちのがエロいぞ。
提督「二人とも似合ってるからもっと堂々としていいと思うぞ?それこそ那珂ちゃんみたいに。」
自分で言った後に神通が神ちゃんだよ☆とかやってんの想像して酒噴き出すかと思った。
那珂「ほら~、提督もこう言ってるんだし二人も一緒にステージで踊ろうよ!」
川内「そ、そんなの出来るわけないじゃん!?今日は止めないから那珂が一人で行ってきなよ!」
那珂「いいの!?早速行ってくるね!」
那珂ちゃんはそう言うとステージに突っ込んでいった。おお、音楽流れ出したぞ…準備がいいことだ。
神通「提督…似合ってるって本当ですか?」
提督「嘘ついてどうするんだよ。二人とも本当に似合ってるさ。」
本当はその胸のひらひらが最高とか頭に乗ってる謎の三日月形のが可愛いとか言いたいが、照れさせてしまいそうなのでやめておこう。
表現が微妙なのは許してくれ!人生でメイド服とか着たことないんだもん!親父に罰ゲームで着せたくらいだよ!うっ、吐き気が…
川内「まぁ、似合ってるって言ってくれたし?少しくらいサービスしよっかな。」
川内が照れながら不穏なことを言う。エッチなのはいけないと思います。主にツインテに襲われるので。
川内「え、えっと、その、ご主人様…お飲み物のおかわりは如何ですか…?」
俺は目のまえが真っ暗になった。所持金1930円を失ったってポケ〇ンじゃねえか。今なんて言ったこの子?
川内「ほ、ほら!神通もメイドなんだからほら!」
神通「私もやるんですか!?」
川内「当たり前でしょ!ほら速く!」
神通「そ、その、ご主人様…えっと、何かご用件はありますでしょうか…?」
とりあえず、今からベッドで要件を済ませましょうか?駄目だ、死ぬな俺の理性!お前はまだ戦える!なにと戦うかは知らん!止まるんじゃねぇぞ…
提督「そんな無理しなくていいぞ?お前たちはもとから可愛いんだし。」
あぁ、可愛い。本音ぶちまけると艦娘全員可愛い。しょっちゅう思ってんな俺。
でも、あれだな。美少女のご主人様は弾丸よりも怖いわ。これに比べれば拳銃至近距離で余裕で避けられませんね。ハイ。
その後、照れるようにしながらその場を去る二人を見送り、酒を飲む。
そして、親父との会話を思い出していた。
提督「沈んだ艦娘が深海棲艦になるって言うのは本当なのか?」
俺の真面目な問いに親父は表情を歪める。
元帥「それはどこで聞いたんだ?」
提督「あの男だよ。海軍の機密情報を漁ってたら出てきたって言ってたけど?」
親父は俺の台詞に手で目を隠すようにする。この動作は肯定の意だろう。
元帥「嘘を吐いたところで無駄だろうから、真実を話す。その男の言った内容は合っている。」
元帥「過去に愛していた艦を沈めてしまった提督が深海棲艦と共に心中したという事件があるんだ、秘密にされているがな。」
元帥「その光景を目撃した人物がいてな。その時にこう話していたらしい。」
『君がどんな姿になっても愛してる。』『はい、私もです。』
元帥「ロマンチックな話だよな。結末が心中なんてのは面白くねぇが。その事件から俺は調査を開始した。」
元帥「ソースは多々あるが、結論から言うとお前が言ったことが正しいと言っていいだろう。」
親父はそこまで言って俺の肩を拳で軽く小突いて続ける。
元帥「ただ、勘違いすんなよ?深海棲艦は敵だ。例え、前世が艦娘だとしても別の存在だ。いいな?」
提督「そんなのわかってるさ。言われなくても艦娘と深海棲艦を同じだなんて考えたりしねぇよ。」
問題はそこでは無いのだ、俺は深海棲艦『自体』が敵かわからなくなっているのだから。
彼女たちはあまりにも艦娘と同じだった。小さな悩みを持って、他者を愛していて…いや、あれは歪んだ愛と言うべきか。
でも例え、歪んでいたとはいえあの光景は…あの情景は酷く人間のようだった。
愛、嫉妬、独占欲。あの光景を全員人間に置き換えたところでなんら違和感は無いだろう。
元帥「どうした?」
提督「いや、なんでもない。それで?そのことを隠しているのはなんでだ?」
元帥「あぁ、最初はそれこそブラック鎮守府への牽制になると思って開示を考えたんだが。」
元帥「もし、これを知って艦娘たちが心に深い傷を受けてしまう可能性があると考えたら…俺には出来なかったってわけさ。」
親父の言うことに俺は共感した。俺はこの数日で彼女たちがどれだけもろく壊れやすい存在なのか良く知っている。
イメージするなら机の端に置いてあるガラス細工といったところだろうか。
元帥「すまないな、病み上がりなのに暗い話をしてしまって。俺はこれで失礼するよ。」
親父がそう言い隣のベッドにもぐりこむ。親父側のカーテンをしっかりと閉めた後、俺は一人彼女たちのことを考えていた。
漣「…おーい、ご主人様~?」
提督「おっと、どうした?漣」
漣に話しかけられていることに気づき、意識を現在に引き戻す。
そうそう、俺は今パーティーの途…なんか前方をメイド服の白髪天使が横切ったんだけど。
漣「話しかけても反応しないから心配しちゃったぞ☆」
潮「仕方ないよ漣ちゃん、提督も疲れてるんだろうから…」
曙「疲れてなんかないでしょ、寝てただけなんだし。どんだけ心配したと思ってんのよこのクソ提督…」
朧「なんでいつも大事なとこが小声になるんだろう…」
周囲には、漣だけでなく姉妹たちも集まっていていた。
んー、どちらかというと今はロリより巨乳に癒されたい気分…いたわ。潮ちゃんとかいう神が。
漣「それでですね~ご主人様?私たちは今回ご主人様救出のために尽力したわけですよ~」
漣が手をゴマすりするようにしながら言う。お前はサラリーマンかなんかなのか?
漣「つきましては、報酬を頂きたく存じます~」
なんか言い回しがおかしい気がするが、実際俺が彼女たちに救われたのは確かだ。まぁ、金はあるし大丈夫かね。駄洒落じゃないよ?
提督「俺のできる範囲で頼むぞ?あんまし時間かかることとかは無理だぞ?」
漣「さっすがご主人様!話が分かる!愛してる~!」
漣がそう言いながら抱き着いてくる。俺はそれを適当にいなす。別にちっぱいに何か感じたとかないからね???
朧「それで、お願いなんだけど。夏祭りをやってみたいんだけど。いいかな?」
提督「夏祭り?」
俺に抱き着いて離れない漣の代わりに朧が言う。夏祭り?あのリア充が楽しむやつ?俺行けないっすねはい。
行きたいならわかるが、やりたいとはいったいどういうことだろうか。
朧「うん、皆で出し物準備してお祭りやってみたいの。」
つまり、学祭のようなものだろうか。少なくとも俺は休暇を新たに数日もらえているので時間はある。
問題は資金なわけだが。後に親父が二つ返事で支援してくれたことは言うまでもないだろう。
提督「わかった。細かいことは皆に言ってから決めるとしよう。」
朧「うん、ありがと。」
漣「ktkr!」
喜ぶ二人の後ろで、一人ガッツポーズをする曙と嬉しそうに笑顔になる潮を俺が見逃すはずが無かった。
それにしても夏祭りか。あまり好きな響きでは無いな。
その後も、加賀や赤城さんが歌ったり第六駆逐隊が踊ったりしてパーティーは大いに盛り上がった。
途中で酔ったメンツが大暴れしたりなどのハプニングがあったがなんやかんやで時間が過ぎていった。
飛龍「それでは最後は提督からの一言で〆ていただきましょう!」
不意に振られて思考が停止する。え!?何すればいいの!?閉式の言葉ってやつ?
小学生のときいつもあれを生徒にやらせる意味ってなんだろうって考えていた覚えがあるわ。
とりあえず蒼龍にマイクを渡されたので受け取り、メイド服の一航戦を至近距離で見て吐血しかける。あぶねぇ…
視線が集まる中、俺は口を開く。
提督「俺が着任してから色々あった。最初こそ威厳を保とうとか考えていたけど今じゃお前らのせいでそんなの無いに等しい。」
提督「更に短期間で怪我しまくりだよ。このままじゃ傷跡で厨二臭い男になっちまう。」
提督「でも、俺はお前たちのことが好きだ。守りたいと思う。俺自身はクソ雑魚なんだけどな。」
提督「そんな情けない男で良ければこれからもよろしく頼む。以上だ。」
周囲から拍手が起こる。ちなみに情けないうえに変態です☆
そして、パーティーは解散となった。そのまま飲み続ける娘も多かったが、俺は疲れていたので自室に戻ることにした。
扉を開き、電気をつける。自室に帰るとこう疲れがドバっと来るよね?わかる?
とりあえず、汗を流すために着替えを準備して大浴場向かう。どうして異性の体を見ると興奮するのに自分の体には何も感じないんだろう。
いや、なにかを感じたらそれはそれでやばいな。変態さんだわ。とりあえず体を洗うとしましょう。
その時、扉の開く音が浴場内に響く。
この鎮守府には入渠ドッグとは別に大浴場がある。混浴ではない。あえてもう一度言っておこう。混浴ではない。
だから、今不意に浴場の扉が開くはずが無いのだ。つまり後ろには艦娘の誰かが…
いや、落ち着け俺。期待したら駄目だ。中学んときに女子風呂覗きに行ったらBBAな先生見ちまって目が腐ったのを思い出せ…
あの時泡吹いてたやつ生きてんのかな…元気にしてるといいな。
まぁ、所詮今は振り向くと提督妖精さんがいるとかの落ちだろう。いや誰もいなかったら怖くて泣く。夜鹿島さんに添い寝してもらう。
そんなことを考えながら振り向くと、そこにいたのはタオルで体を隠した瑞鶴だった。
さdしfんdhffんvどsdmdskんcんkmcsjそdsmsdんそdしょうかくかわいい
はい、落ち着きます。現状を整理していこう。俺裸。瑞鶴裸。ここ浴場。浴場で欲情ってか?ワッハッハ。
提督「いやいやいやいやいや、どうしたお前!?」
俺はそんなことを言いながらタオルで下半身を隠しつつ瑞鶴から距離を取る。
瑞鶴「そ、その、提督さんの部屋でそ、そういう本を見つけたからさ…普段酷いことをしちゃってるし…私が…その…」
アカン、これよくある同人誌の導入パートだ!こいつ絶対酔ってんだろ!このままノリでエッチする本多いけど男側はリスクを考えていなさすぎる!
なんで俺は同人誌の主人公に説教垂れてんだ!?畜生…視線が胸とか(自主規制)に向いてしまう自分が情けない!目に焼き付けておこう。
提督「お前な、酔ってるといってもしていいことと駄目なことが…」
瑞鶴「私酔って無いよ。お酒飲んでないもん。」
提督「なら、この状況が不味いことなんてわかんだろ!?」
瑞鶴「わかってるよ…でも、提督さんいつ死んじゃうかわかんないじゃん…だから…」
そんなことを言って瑞鶴は力が抜けるようにその場にへたり込む。大体察した。股間に悪いってマジで。
提督「確かに、俺が危険に突っ込むのは悪いとは思ってる。でも、今ここで俺とお前が何かしたって変わんねぇと思うぞ?」
瑞鶴「だって、これ以外に提督さんを束縛する方法を思い付かなかったんだもん…エッチすれば罪悪感とかで…責任取ったりしてくれるでしょ?」
提督「アホかお前は。そんなことに初めてを捧げようとすんな。あーもーとにかく頭冷やすついでに体洗って湯船入れ。このままじゃ話しにくい。」
そういって、俺は湯船に入った。いくらいいこと言っても下半身が反応してるのがバレたらダサいもんね!
少しして、お互いに背を向ける形で瑞鶴が湯船に入ってくる。
瑞鶴「…提督さんのエッチ。」
提督「いや、どう考えてもおかしいだろ露出狂が。落ち着いたか?」
瑞鶴「うん、迷惑かけてごめんなさい…」
本当だぜ全く。俺が紳士だから問題は起きなかったが…ん?俺が腑抜けなだけだって?黙れ、殺すぞ。
提督「別に反省してるならいいさ。今後はこういうことすんなよ?」
瑞鶴「わかってる…」
暗い声で瑞鶴が返事をする。んー、どうにか元気づけてやりたいがどうしたものか。
ここで俺がセクハラしたら本末転倒ですしお寿司。無難に話すとしますか。
提督「なぁ、お前俺のこと好きなの?」
瑞鶴「うん……って!?なこの馬鹿ッ!」
瑞鶴は俺の頭を思い切りブッ叩く。こいつ普通に素で頷いたぞ。アホだ…アホの子だ。
提督「いてぇよ!何回叩くんだお前はッ!」
俺はそう言いながら振り向く、そうするとあられもない姿の瑞鶴が視界に…痛い!!!
瑞鶴「変態!最低!人間のクズ!ゴミ!馬鹿!死んじゃえ!…」
瑞鶴が人類の思い付く罵詈雑言をこれでもかと言いながらぶっ叩いてくる。うん、今のは俺が悪いわ。うん。
しばらくして攻撃が止む。これ禿げたらこいつのせいだな。育毛剤代請求してやる。
瑞鶴「そうよ、私は提督さんが好き。なにが悪いのよ…」
不意に開き直ったのか瑞鶴がそんなことを小声で言う。うん、ごめん。知ってた。
とはいえ、これは絶好の機会というものだろうか。放置し続けてきた問題に踏み込むための。
提督「それは本当に好きって感情なのか?」
瑞鶴「へ?」
提督「依存とかじゃなくて、お前は俺を『好き』なのか?」
俺の台詞に瑞鶴が黙り込む。この反応からするに本人も少しは分かっていたのだろう。
瑞鶴「……わかんないよ…誰かを好きになるのなんて初めてだもん。自分じゃわかんないよ…」
消え入りそうな声で瑞鶴は言う。こんなことを言っているが俺も好きってのがどんなものかよくわかっていない。
生きてきた中で好きになった人は一人しかいなかったから。そいて愛するのも彼女だけだろう。
兎にも角にも、こいつは俺が死ぬ前に想いを伝えたかったのだろう。健気というかなんというか。
提督「なぁ、瑞鶴。そんなに焦ることは無いのさ。俺は寿命まで死なないって約束したろ?」
提督「自分の中できちんと整理がついてから告白でも何でもしてくれればいいさ。」
まぁ、振るけど。俺最低だな!?
瑞鶴「死んじゃうのも嫌だけど…誰かに取られたくもないんだもん…」
提督「取られる?」
え、なに?俺って取り合いするほど価値あったのか?メル〇リで売れる?
瑞鶴「皆提督さんのこと好きって言ってるもん…私はその…皆に比べて魅力が無いから…」
自分でそんなことを言って落ち込んでいるようだ。世話が焼けますね本当に。
提督「皆の好きは俺が真面目に仕事してるからだろ?前の提督と比べてるだけさ。それにお前は十分魅力的だよ。」
そう言って俺は前提督のことを思い出す。彼の生きる目的は消えたに等しい。彼はそれでも既に存在しない相手を憎み続けるのか…
いや、すでに壊れてしまっている以上こんなことを考えても意味は無いか。
瑞鶴「本当?提督さんは私のこと見てその…そういうことしたいとか思う?」
これセクハラじゃね?ヘルプ!俺は何て言ったらいいんだ!?本音を言えばいいんだろうが…無理!恥ずかしい!
提督「そ、そりゃ、俺だって男ですから…」
葛藤した結果、とてもぎこちない言い方になってしまった。情けない!ここでしたいです!とか言ったら…それはそれで問題だな。うん。
瑞鶴「提督さんのエッチ…」
あぁ…なんともやりにくい雰囲気になってしまいました。私はどうすれば…ララァ、私を導いてくれ…ナラティブ楽しみですね。
瑞鶴「私…先に出るね。色々ごめんなさい…」
不意に瑞鶴が逃げるように浴場を後にする。別に尻を見たりしてませんからね?して…見ました。ゴメンナサイ…
俺は一人瑞鶴のことを考える。なんだかんだいって俺もあいつは嫌いじゃない。好きな方の部類に入る。
ただまぁ、愛してると言えるかと問われればイエスとは言えないだろう。それに情けない話だが俺自身未だに誰かを愛するのが怖い。
それに、瑞鶴が俺を本当に好きなのかは正直わからない。それが依存なのか、恋愛的な感情なのか。
自分で解決させるのは酷なものかもしれないが、前の長門の問題のように当人が解決しないといけないものもあるのだ。
実際、今回の件は瑞鶴の問題を俺が解決してしまった故に生まれた問題に他ならない。
風呂から上がり、服を着て自室に戻る。廊下で数人の艦娘とすれ違ったので挨拶をする。
ってしまった!あいつからエロ本回収すんの忘れた!まだ最後まで読んでねぇ!
そのままエロ本をどうやって回収するか考えながら俺は床に就くのだった。スヤァ…
ー元帥視点ー
はて、どうしたものか。相変わらずこればっかはわからない。
俺は一人PCで通販を漁りながら考える。
相手が提督ならすぐに決められるが、女性が喜びそうなものは…うーん。
大和「どうなされたんですか?元帥。」
元帥「な!?いやなんでもない!なんでもないぞ。」
大和「怪しいですね…あっち系統のものを見るなら私がいないときにしてくださいね?」
元帥「いや、そういうの見てたわけじゃないさ。」
あらぬ誤解を否定し、俺は再度PCに向き合う。お前にあげるプレゼント探してんだよなんて言ってやりたいが、それじゃあ面白くない。
仕方ない、少し癪だが。俺の自慢の息子に聞いてみるとしよう。
俺は大和に少し散歩してくるなんて言い、部屋から出てスマホで電話をかける。
提督「この電話は、現在使われていないかあなたからの電話を受けたくない状況にあります。御用がある場合は、一万年後にどうぞ。」
元帥「そう言わずに少し力を貸してくれよ~。頼む!一生のお願い!」
提督「そこまで言うならいいけど、どしたの。」
元帥「いや、もう少しで大和の着任記念日なんだけどな。プレゼントでも上げようと思ってなにがいいか考えてて…」
提督「指輪渡してとっとと結婚しろこのアホ。」
そう言い切った後に電話を切られた。反抗期かしら…お父さん悲しい!
それにしても結婚か…彼女は俺がプロポーズしたらOKしてくれるだろうか。正直自身が無い。
長い間を過ごしてきたからこそ、情けないところを全部知られてしまっている。うわぁ…恥ずかしくなってきた。
ただまぁ、俺が大和を好きなのも事実だ。今は素直に吹雪より好きと言い切れる。そしてなにより指輪は準備できているのだ。とっくの昔に。
一番の弊害は、艦娘と人間の結婚が認められるかどうかという所なのだろうが。認められなくても別にいいのだ。
元帥「どうしようかなぁ…」
俺は会えて口に出してそんなことを言った。
そしてなにも買わないまま大和の着任記念日になってしまった。異性の扱いが下手なのは変わらないななんて自嘲する。
思えば、俺は様々な葛藤をしてきたがどんな時でも傍には大和がいた。正直、今更プロポーズなんてのが恥ずかしいってのが本音だ。
俺は何も考えずに可愛い可愛い息子に電話をかける。
提督「エー、アイアムビジーナウ。ユーキャンノットテル。アーユーオーケー?」
元帥「なぁ、プロポーズってやっぱ波打ち際とかでした方がいいのか?」
提督「息子にプロポーズについて聞く親とか意味わかんねぇよ。てかボケに突っ込めよ。」
元帥「頼むよぉ、俺の心はぼどぼどだぁ…」
提督「何故急にオンドゥル語…そりゃロマンチックな場所のがいいだろうけど、ゆかりの場所とかでもいいんじゃない?出会った場所とか。」
元帥「台詞は何て言えばいい?」
提督「自分で考えろアホ、こっちは祭りの準備で忙しいんだ。」
そうして電話が切れる。使えない息子じゃ…
とはいえ、作られた告白台詞なんてのも面白くないかと考え直す。もうやるしかないか、もう二度と間に合わないなんてのはごめんだからな。
俺は執務室に大和を呼び出す。
大和「どうされました?元帥。」
いざ顔を合わせてしまうと、プロポーズする必要なんて無いんじゃないかと思ってしまう。
しかし、ずっと昔に大和はこう言っていた。女の子にとって恋愛のイベントは大事だなんて。
だからここまで来て中断なんてのは選択肢にさえないのだろう。さぁ覚悟を決めよう。
元帥「大和、まず着任記念日おめでとう。」
大和「あ、今日だったんですね。忘れてました…よく覚えてましたね元帥。」
元帥「当たり前だろ?愛してる相手の記念日を忘れるはずないじゃないか。俺と結婚してくれないか?大和。」
そう言って俺は指輪の入った入れ物を差し出す。他人のプロポーズなんて知らないから合ってるかはわからない。でも、これが俺の精一杯だ。
大和「へ…?いつもの冗談ですよね…?私は艦娘ですし…」
大和は口を片手で押さえてそんなことを言う。
元帥「違う、俺は本気だ。お前とずっと一緒にいたい。俺はお前が好きだ。」
大和「私でいいんですか…?こんな私で…」
元帥「お前がいいんだよ。お前が好きなんだから。」
俺の使い古されたようなセリフに大和が涙を流す。そして静かに口を開く。
大和「私も…あなたを愛しています。」
そして俺は大和の左手の薬指に指輪をはめた。式でするものなのかもしれないが俺にはよくわからないから別にいい。
いずれにせよ、こんなクサイ台詞はもう言わないで生きていきたいもんだ。
俺はそんなことを考えながら、目の前の妻をそっと抱きしめたのだった。
ー提督視点ー
青葉「いやぁ、あれは盗み切してたこっちが恥ずか死ぬかと思いましたよ本当に!」
提督「流石にそれを盗み聞きすんのは趣味悪くね?」
青葉「だってぇ…気になっちゃうじゃないですかぁ…執務室から愛してるなんて聞こえてきたらぁ…」
提督「まぁ、それは大いに同意するわ。」
俺は今、親父の鎮守府で仲のいい青葉から親父のプロポーズについて電話で聞いていた。
話を聞くとこっぱずかしくてたまらないが、本人たちはきっと幸せなのだろう。一生このネタでからかってやるwwww
提督「あ、そういえば青葉さ。」
青葉「ん?なんですなんです?」
提督「ガッサより胸大きくなった?」
青葉「死にたいようだな…」
提督「悪かったって、今度揉んでやるから。情報提供ありがとな。」
青葉「それセクハラですからね!?ナチュラルにセクハラですからね!?」
そこまで聞いて俺は電話を切る。青葉は俺が変態ということを知っているレアな艦娘だ。
というのも、俺が親父の鎮守府で生活していたころエロ本を読んでいるのを目撃されたからなのだが。ちなみにその後腹いせに胸揉んだ。意外とあるのよね。うん。
ちなみに、本人が言うには衣笠には負けている…まだ伸びしろはあるはずです!だそうだ。ガッサのも今度揉んでみよう。あいつは普通に許してくれそう。
赤城「どなたと電話をしていたんですか?」
くだらない考えをしていると赤城が話しかけてくる。視線が胸に行くのは仕方ないね!
提督「あぁ、ちょっと友人とな。そんなことより作業を再開するとしよう。」
赤城「わかりました。中々に疲れますね、祭りの準備というのも。」
提督「そうだな。でもまぁ、その分楽しめると思えば頑張れるさ。」
俺は今、漣達の依頼で実行することになったお祭りの準備をしている。手伝ってくれる艦娘を募集したところほぼ全員が来てくれたので中々スムーズに作業できている。
普段の町内会の人たちの苦労が良くわかりましたわ。腰がね、痛い。超痛い。
駆逐艦の子達には、より楽しんでもらうために当日のお手伝いは禁止にしておいた。
ちなみに、俺がここまで頑張れてるのは赤城さんや加賀さんの汗やそれで透ける服がエッチだからだ。もう意味わかんないね、俺のエネルギー源とは一体…
そしてなんとか昼前には準備が完了した。
加賀「皆さんお疲れ様です。シャワーを浴びてから昼食にするとしましょう。」
加賀さんの合図で全員が解散する。俺は怪しまれない程度にきょろきょろして汗をかいた娘たちを目に焼き付ける。
その時だった、鎮守府の前にトラックがやってきた。もうトラブルは勘弁☆
宅配の人「すいませんこれ、元帥殿からお届け物です。」
トラックから降りてきた人が俺に声をかけてくる。見覚えのある顔だ、確か海軍内の輸送責任者さんだったか。
提督「えっと、中身はなんでしょうか?」
宅配の人「浴衣ですね。大量の。」
なんてこった、親父最高じゃねぇか…夏祭りといったら浴衣美人、浴衣美人といったら夏祭り。必須アイテムですわ。
俺は最高の笑顔で荷物を受け取った。宅配の人は少し引いてた。泣きたい。
とりあえずシャワーを浴びて皆に浴衣を配布し食堂へ、すると金剛が声をかけてきた。
金剛「テートクー!一緒にランチしましょー!」
提督「おう、とりあえず飯取ってくるよ。」
金剛の周りには姉妹たちもいる。姉妹たちが申し訳ないといった顔で俺を見ていたが、別に気にしなくていいのに。
俺みたいな学生時代に一人で飯を食ってた系男子にはお誘いがあるだけで泣きそうなくらいに幸せなのだ。俺の学生時代悲惨くね?
とりあえず俺は間宮さんのところに食事を受け取りに行く。
間宮「あ、提督さん。」
提督「ご苦労様です、いつものお願いします。」
俺は間宮さんにそう言って注文する。これ、このいつものお願いしますって言ってみたかったんだよね。常連感カッコ良くね?
間宮「はい、少し待ってくださいね!」
少しして間宮さんから牛丼を受けとる。って、量が多くね?周りと明らかに量が違う気がするんだけど?
俺は量を減らしてもらおうと思ったが、めっちゃニコニコしてる間宮さんにそんなことは言えず覚悟を決めて席に向かう。
提督「お待たせ。」
金剛「テートク―!私の横に座って座って!」
提督「んじゃ、失礼して。」
俺は言われたとうりに金剛の横に座る。凄い情けない話なんだけどさ、異性の横に座ると鼻息とか凄く心配にならない?俺だけ?
金剛「テートク~」
そんなことを考えていると金剛が横から抱き着いてくるくるくる。いや、落ち着けもう慣れたもんだ。下半身に関しては自然現象だからね!仕方ないね!
俺が意味もなく必死に脳内で平静を装っていると金剛が取り出したスマホで俺と自分を撮る。
提督「急にどうしたんだ?」
金剛「カメラ機能を昨日発見したから提督とのツーショットが欲しかったんデース!」
金剛はそう言いながらスマホを大事そうに抱える。写真って恥ずかしいよね…横に美少女映ってたらそれこそ俺なんて粗大ゴミじゃね…?
金剛「待ち受けとLINEのアイコンにするデース!」
うわぁ、この子凄く恥ずかしいことしてる!覗き込まれてカップルとかからかわれるやつだわ!って、ん?LINE?
提督「LINEやってるのか?」
金剛「Yes!最近長門が皆に教えて始めてるんデース!提督もやってるですか?」
提督「一応な、追加するか?」
金剛「いいんですか!?すぐに追加するデース!please!」
提督「おうおう、わかったから落ち着け落ち着け。」
そんなこんなで金剛とLINEを交換した。やったね!五人目の友達だ!涙出てきた。
榛名「あ、あの、司令…私も交換してもらってもいいですか…?」
俺が友達の数を見ながら思わず涙を流しかけていると、榛名が声をかけてくる。もうね、俺から土下座して頼みたいくらいだよ。
提督「あぁ、勿論構わないさ。比叡と霧島もどうだ?」
比叡「いいですよ。アイコンが金剛お姉さまなので間違えないように気を付けてくださいね。」
霧島「私も交換させていただきますね。」
そうして、俺は金剛姉妹のLINEを入手した。まぁ、チキンなんで自分から話しかけられませんけどね!!!
そのまま、五人で食事をとる。榛名がなにかともじもじしてたがお花摘みかなんかだろうか。
そんなことを考えながら食事を済ませ、席を立とうとすると榛名が耳打ちしてきた。
榛名「その、私とも、あの、つーしょっとを撮って頂いてもよろしいでしょうか…?」
俺はそれを聞いて榛名の顔を見ると真っ赤になっている。なにこの生命体。守りたい。この子の為なら俺社畜になれる。もう社畜でした☆
金剛を横目に見ると凄い和んだような表情でこっちを見ている。お前は榛名の母ちゃんかっての。
提督「別に構わないぞ。ほら、スマホ貸してみ。」
榛名「へ!?あ、はい。」
俺はなにも考えずに榛名に顔を近づけてスマホの内カメラで撮影しようとする。待って、さっきは金剛だから気にならなかったけどめっちゃ恥ずかしい。
わかりやすく表現すると、式典の祝辞とかで台本無くしたのに気づかずに壇上に出ちまってパニックになってる時並みに恥ずかしい。わかりにくいですね。はい。
俺は耐えきれなくなり、パパっと写真を撮り榛名にスマホを返す。
榛名「あ、ありがとうございます…」
提督「い、いや、うん、気にしないでくれ…」
霧島「撮り終わったようなので私たちは部屋に戻っていますね。司令も夜の準備が忙しいでしょうし。」
提督「ん?あぁ、そうだな。俺はそろそろ行くとするよ。」
とても微妙な雰囲気になってしまったところに霧島が助け舟を出してくれる。空気が読める女って素敵…でも、夜の準備は言い方が卑猥だと思います!
食堂から出るときに比叡が金剛とツーショットを連射モードで撮っていたように見えたが気にしない!カシャカシャカシャカシャカシャカカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカカシャカシャカシャ…
撮りすぎじゃない!?
そして、現在時刻はヒトナナマルマル。祭りをそろそろ始める時間帯だろう。
午後は機材などの最終準備していたのだが、その途中で金剛が自慢したとかなんとかで複数人の艦娘にLINEを要求された。
本人たちには言ってないが、霞と曙が便利だから交換するだけなんだからね!と全く同じセリフで要求してきたときは笑った。
ちなみに後から言いに来た霞になに笑ってんのよクズ!って言われました。幼女にまで罵倒されたら俺はどこに救いを求めればいいんだ…
鳳翔「もう少しで開始ですね。駆逐艦の子たちは楽しんでくれるでしょうか。」
鹿島「私たちも初めてですから少し心配ですね…」
横にいたわ、とっても救ってくれそうな女神達が。そうか、ここが天国か…俺死んじゃったんだね…
提督「きっと大丈夫ですよ、子供は無条件に祭りを楽しんでしまうもんですからね。それに俺はサプライズを用意してありますし。」
鹿島「サプライズですか?」
提督「あぁ、多分皆が楽しめると思うサプライズさ。」
鳳翔「それは楽しみですね。ところで提督は浴衣に着替えないのですか?」
提督「ん?俺ですか?」
鳳翔さんに意外なことを言われる。男の浴衣って需要あるか?動きにくいだけじゃね?
鹿島「私も提督さんの浴衣姿観てみたいですね。」
提督「すぐ着替えてきますね。ヒトナナサンマルになったら駆逐艦達の誘導をお願いします。」
俺は鹿島さんに即答して自室に向かうのであった。
俺は浴衣の中で唯一の男物を着ようとする。あれれ~?おっかしいぞ~?これどうやって着るの?
とりあえずどうしようもないので両手を広げてバサバサしてみる。空を飛べそうだ(棒)
とりあえず、我らがウィキぺにて調べることにする。音声検索してみよ。
提督「浴衣の着方」
ポン、境界の彼方の検索結果はこちらですなんてスマホが言う。いや、何故にそうなった。確かに好きだけどさ。
仕方ないので、手で入力して検索する。そして一番上のページのとうりに着てみる。
数分後、俺は浴衣を着ることに成功した!もう脱ぎたくねえ!着るの面倒くさい!
スマホの電源を切ろうとすると、LINEのアイコンに数字が出ているのに気づく。
LINEを開いて確認すると通知が溜まっていた。一番上は加賀からだった。
加賀『どこにいるのかしら?』
提督『自室にいる。』
俺は適当に返信する。よく返信ってスマホでうつと変身になって馬鹿にされるのって俺だけ?
そんなことを考えていると、すぐに返信が来る。
加賀『あなたは祭りに参加しないの?』
提督『いや、浴衣着ていただけだ。今からそっち向かうぞ。』
加賀『わかったわ。もし予定が無ければ一緒に回らないかしら?赤城さんが提督と回りたいと言っているのだけれど。』
提督『了解、すぐに向かう。』
俺はそう返して、歩きながら他の通知を確認する。歩きスマホは皆はしちゃだめだよ!俺はする。意義は許さん。
すると、赤城からLINEが来る。
赤城『その、さっきの加賀さんからのLINEは私の独り言なので、その無理はされなくても大丈夫ですからね!』
それを見てなんとなく察する。つまり赤城が提督とも回ってみたい的なことを言ったのを加賀がLINEで伝えてしまって焦ってるんだろう。可愛い。
提督『大丈夫さ、特に予定もないし一緒に回ろう。』
そう返してから、グループのほうを見る。LINEをしている艦娘がほぼ全員入っているとかで通知はかなり多い。
俺が入った時に少し空気が不穏になったのは何故だろう。悪口書いてたとか?泣いていい?
(提督は知る由もないが、そのグルにて実は提督の写真のやり取りが行われてたりしたのである。)
チラ見で今の話題を確認すると、ツーショットアイコンを自慢する金剛と祭りの話題が主だった。てか、その、金剛あんまチャットするんじゃない。
お前がチャットすると画面に俺の顔が写るから、恥ずかしいから。どうでもいいけど川内のアイコン夜戦って赤文字で書いてあるのかっこいいななんか。
そんなことを考えながら俺は射的の場所に向かった。それにしても浴衣か。嫌でも思い出すものだ、やはり夏祭りは好きになれそうにない。
提督「お待たせ。」
俺は射的の前で佇む浴衣美人に声をかける。なんかナンパみたいだねこの言い方。
赤城「いいえ、そんな忙しいのにわざわざありがとうございます…」
加賀「私こそ急に呼び出してごめんなさいね。」
提督「気にしないでくれ、せっかく気合い入れて準備したんだし俺たちも楽しもうぜ。」
本当はここで浴衣を褒めるのが真のイケメンなのだろうが。俺は褒めちぎった後にエッチしたいとか言い出しかねんから駄目だ。
赤城「でしたら私わたあめが食べてみたいです!」
提督「それじゃ、わたあめの屋台のほうに行くとするか。」
そして、俺は両手に花…いや、もうこれは両手に芸術な状態でわたあめ目指して歩くのだった。
提督「なんでいるねん…」
元帥「そりゃ祭りなんて楽しそうなもんに来ねぇわけねぇだろ。もぐもぐ。」
親父はわたあめを食いながらそんなことを言う。
赤城と加賀は元帥が連れて来ていた大和さんと話している。
提督「まぁ、別にいいんだけどさ。あ、結婚おめでとう。」
元帥「な!?なんで知ってるんだ!?」
提督「いや、電話であんな相談しといてなに言ってんのさ。」
ちなみに、あの相談してきたときの電話は録音してある。ふっへっへ、いつか俺をからかってきたときに大音量で再生してやろう。
元帥「そういえば…相談したようなしてなかったような…」
提督「それで?どうすんのさ?式とかはするんか?するなら内密にやらないといろいろ不味いだろ。」
元帥「そうだな、でも俺は会えて式をすることを公にするつもりだ。」
俺はそのセリフに思わず表情が強張る。
提督「そりゃいくらなんでも危なくないか?艦娘が結婚なんてそれこそ艦娘反対派が行動を起こすんじゃ…」
元帥「でも、逆にこれが成功すれば艦娘と人間の恋愛が承認されたことと同義になる。案外知られてないが艦娘と恋愛関係になっている提督は少なくないんだよ。」
おお、そりゃ羨ましいこった。俺も鹿島さんに告白してきますね。
元帥「ただまぁ、トラブルが起きるのは目に見えている。だからお前は無理してこなく…」
提督「アホか、親の結婚式に出ない息子がいるかっての。」
元帥「死ぬかもしれないぞ?」
提督「もう死にかけるの慣れたよ。」
慣れたくなかった…死にかけるのに慣れるとかどんな生き方してんだよ。提督だよ畜生。
元帥「そいつぁ頼もしいことだ。いずれにせよ今日は祭りだ。楽しもうぜ?で、どの子がお前の嫁?」
提督「そんな相手はいねぇよ。クソ親父。」
まぁ、嫁にしたい子はいっぱいいるんですけどね。てか、全員嫁に欲しい。ガチで。
そんなこんなで親父と別れ、赤城と加賀に合流する。
赤城「提督と元帥ってどのような御関係なのですか?」
提督「いや、知人が少し偉くてな。それで昔から付き合いがあるだけさ。」
俺は赤城の疑問を適当に誤魔化す。息子だなんて言いたくないもん!あんなのの息子嫌だもん!
そして、赤城と加賀にわたあめを買ってやって俺はまた唐突に建ったトラブルフラグにため息を吐く。
赤城「どうしました?」
提督「いや、なんでもないさ。気にしないでくれ。」
赤城「私たちと一緒に回るのは楽しくないですか…?」
提督「んなわけねぇだろ。最高に楽しいってばよ。」
赤城「ふふふ、それなら良かったです。」
赤城の心配そうな顔を見てとっさに変ないい回しで返してしまったが、赤城が笑ってくれたので良しとしよう。
加賀「提督は自分の分は買わなかったのね。」
提督「あぁ、その量を食いきる自信が無くてな。」
加賀「なら、私のを少しくらい食べたらどうかしら?一口くらいならいいけれど?」
加賀はそう言いながら俺にわたあめを近づけてくる。え?間接キス?多分俺羞恥心で死んじゃうよ?まぁ、食べますけれど。
提督「それじゃ、遠慮なく。」
あぁ、美味い。加賀の味がする。いや、加賀の味知らないけど。気分が高揚します。顔が赤くなってないことを祈る。
加賀「えっと…冗談だったのだけれど…」
加賀が顔を逸らしながらそんなことを言う。冗談?これ俺やっちまったんじゃね!?死ぬ!?飛び降りる!?首釣る!?サッカーする!?何故にサッカー!?
赤城「提督!」
提督「は、はい!?なんでしょうか!?」
赤城「そ、その、私のも一口如何ですか…?」
ずるいぜ…浴衣美人の下から目線に逆らえる男がいたらそいつはホモだね。断言しよう。
提督「んじゃ、一口だけ。」
そう言いながら俺は赤城のわたあめも一口頂く。加賀の味がする。正しくはわたあめの味です。はい。
赤城は自分のしたことを自覚したのか顔を真っ赤にしてお花を摘んできますとその場を去った。
提督「えっと、冗談って気づかなくてごめん。」
俺は二人きりになってしまった加賀に謝ってみる。
加賀「別にいいわ。少し驚いただけだから、それに赤城さんとおあいこですしね。」
加賀さんは髪をいじりながらそう言う。いや、本当に美人だなこの人。結婚したいわぁ…はっ!?俺はなにを!?これが浴衣の誘惑!?
加賀「私は本当は夏はあまり好きじゃないの。」
そんなことを考えていると加賀がそんなことを言う。
加賀「でも、あなたのお陰で少し夏を好きになれた気がするわ。ありがとう。」
加賀は普段あまり表情を変えない。だからこそこういう時に見せる笑顔というものが俺にはクリティカルヒットする。俺のライフはもうゼロよ!
提督「それは良かった。俺は夏は好きだが夏の終わりは嫌いだな。なんか物寂しい感じがして。」
俺はなんとか場に会うセリフを口にする。加賀にここで告白したら振られて終わる!でんじゃらす!
そして、俺と加賀は赤城を黙って待っていた。不思議とその沈黙は気まずいものでは無かった。
ちなみにこの光景を目撃していたGNSIとわたあめを販売していたYUBRは後にこう語る。
GNSI「あいつら想いを告げた俺らより夫婦感出していて凄く羨ましかったです。」
YUBR「人が働いている前でいちゃつくなんて失礼しちゃうわよね。やっぱり胸なんですかね?胸が大き(以下略)
SAKUSYA「誠氏ね」
ー瑞鶴視点ー
時は、祭り開始直後に遡り…
動きにくい…確かに綺麗だとは思うけれど、浴衣というのは本当に動きにくい。
翔鶴「ごめんね待たせちゃって、それじゃお祭り回ってみるとしましょうか。」
遅れて着替え終わった翔鶴姉が部屋から出てくる。浴衣のせいだろうか、いつもより綺麗に見える。
瑞鶴「気にしないで、そんなことより翔鶴姉凄く綺麗!」
翔鶴「ふふふ、馬子にも衣装ってやつかしらね。そういう瑞鶴こそとっても綺麗よ?」
瑞鶴「そんなわけ!翔鶴姉のほうが私の百倍綺麗だよ!」
自分でこう言っといてあれだが、少し落ち込む。これは本心だ。実際私より翔鶴姉や赤城さん…尺ではあるが加賀さんのほうが綺麗なのはわかっている。
だからこそ、私はきっとこの三人には絶対に勝てないだろう。だから提督さんにあんなことをしたのだが、逆に距離が離れてしまった気がする。
翔鶴「そんなこと無いわよ。って、どうかしたの?」
瑞鶴「うんうん、なんでもない!お祭り早くいかないと!」
翔鶴姉の心配を適当に誤魔化し、私と翔鶴姉はお祭りに向かった。
瑞鶴「翔鶴姉他になにかやりたいものある?」
翔鶴「んー、わたあめというものを食べてみたいくらいかしらね。」
瑞鶴「わたあめか、えっとわたあめの屋台はこの辺だから…」
提督さんが皆に配布したマップを見て場所を確認してわたあめの屋台に向かう。
そこには提督さんがいた。一航戦の二人と一緒に。わたあめを楽しそうに食べている。間接キスというやつだろうか。
翔鶴「あそこにいるの提督じゃない?声かけてみましょうか…って、どうしたの?瑞鶴。」
私は提督さんに話しかけに行こうとする翔鶴姉の肩を思わず掴んでしまった。なにやってるんだろう私…
瑞鶴「うんうん、なんでも無いの。少しトイレ行ってくるから、翔鶴姉は提督さんと話してきてていいよ。」
翔鶴「え、ちょっと、瑞鶴!?」
私はそう言ってその場を後にした。走り出した方向がトイレの逆だと気づくのには時間がかかってしまった。
ー提督視点ー
翔鶴「こんばんわ、提督。」
俺が赤城と再度合流して次にどこに行くか相談していると翔鶴が話しかけてくる。浴衣半端ないって、着るなら先に言っといてや。知ってたわ。
提督「あぁ、こんばんわ。浴衣似合ってるよ。」
素直に褒められた自分を頭の中で拍手喝采する。凄いぞ俺!やればできるじゃん俺!左右からの痛い視線は無視!
翔鶴「ありがとうございます、お世辞とわかっていても照れますね…」
お世辞じゃないぞ。俺にとってはグレートバリアリーフや流れ星より浴衣美人のが美しいと思うもん。どうも、人間のクズです。
赤城「あら?瑞鶴さんはどうしたんですか?一緒に回ると聞いていたのですけれど。」
翔鶴「はい、一緒に回っていたんですけど先ほど、提督を見つけた途端急にいなくなってしまって…私も少し探したんですけれど。」
加賀「全く、あの五航戦はトラブルを起こす以外に脳が無いのかしら。」
提督「俺を見つけていなくなった…か。すまない赤城、加賀ちょっと探してくるよ。埋め合わせは後日するから許してくれ。」
赤城「わかりました。私たちも探してみますね。」
そして、俺たちは瑞鶴を探しに散ったのだった。
そんでまぁ、なんとなく知ってたけど見つけたのは俺なわけで。海岸のデジャビュ!つうか多分浴場での一件のせいで顔を合わせにくいだけだろう。
瑞鶴は髪を下ろしていて、ぱっと見ではわからなかったが雰囲気でわかる。てか、こんな寂しげな建物の裏にいるのは瑞鶴くらいだろう。
提督「こんなところでなにしてんだ?折角浴衣着てるんだから祭りの喧騒にいるべきだと思うぞ?」
瑞鶴「なんの用よ…女たらし…」
俺の心に三千のダメージ。ちなみにHPは十五です。オーバーキルなんて次元じゃねぇぞ!?
提督「いや、別に女たらしというわけでは…」
瑞鶴「間接キスしてたじゃん…」
あぁ!俺のHPが千回復!死んだままだなこれ!といえど、いざ実感すると恥ずかしさが半端ない。
提督「あれは加賀と赤城が提案したことだし、わたあめを食っただけでそういう意図ではないからな!」
瑞鶴「な!?加賀さんともしたの!?信じられない!クズ!女の敵!」
瑞鶴はポカポカとか効果音が付きそうな感じで俺を叩いてくる。
凄く場違いなのはわかっているが、髪を下ろしている瑞鶴はとても可愛く見え…騙されるな俺!こいつはツインテナイファーだ!
その時、不意に花火が打ちあがる。これが俺のサプライズだった。
といっても、自分で用意したわけでは無い。付近の町内会のお祭りと日付を合わせただけだ。日付は昔から知っていた。
調べたとおり、この鎮守府の敷地内なら大体どこからでも見える。おー、綺麗なもんだ。
ちなみに初めての花火で怯えた子がパニックにならないように長門などの数人に対応するよう頼んでいる。
瑞鶴「綺麗…」
横にいる瑞鶴がボソッと呟く。二人きりで見る花火、ロマンチックなものだ。横にいる相手に不満が残るが。
瑞鶴「ねぇ、提督さん。」
提督「ん?」
瑞鶴「提督さんはいつも女の子の胸見てるし、いろんな子にデレデレしてるし人には危ないことすんなって言って自分は危険に突っ込んでく最低な男だけれど、」
おお…すべてが的を射ているせいで死んでしまいそうです。泣いてしまいます…
瑞鶴「でもね、私はやっぱりそんな提督さんが好き。依存なんかじゃない。誰にも渡したくない。」
唐突すぎるストレートな告白に思わず無言になってしまう。花火で声が聞こえないなんていう描写はよく見るが、そううまくはいかないものだ。
その瞬間、瑞鶴の顔が急に目の前に来て俺の唇に瑞鶴の唇が重なる。一瞬の接触、微かに感じる自分のものでは無い味。刹那ともいえる時間が永遠に感じた。
提督「お前…なにを…」
瑞鶴はなにも言わずに再度、唇を俺の唇に強く当てる。俺に焼き付けるかのように強く。俺は引きはがすことは愚か、身動きすらまともにできなかった。
数秒の口づけの後、表情を隠すようにして瑞鶴はその場から去って行った。俺は…失礼なのは承知だがその面影を別人と重ねていた。
そして、一人になった物寂し気な場所で今は亡き彼女を思い出すのであった。ファーストキスの相手のことを。
ー瑞鶴視点ー
なにをやってるんだろう。あんな一方的にキスをして逃げ出して。もうどうすればいいのかわからない。頭がおかしくなってしまいそうだ。
頭の中がパニックになってしまっていたためか、走る私は誰かにぶつかってしまった。
瑞鶴「あ、ごめんなさい。ちょっと考え事を…って大和さん?」
大和「いたたたた、瑞鶴さんそんなに急いでどうしたんですか…?」
大和さんは先日の提督救出作戦で一緒に戦い仲良くなった艦娘だ。祭りの話を聞いて遊びに来たのだろうか。
瑞鶴「えと…その…」
大和「なにか悩み事でしたら私で良ければ相談に乗りますよ?」
私の動作でなにかを察したのだろう、大和さんがそんなことを言ってくる。
瑞鶴「……ということがあって。どう振舞えば提督さんに振り向いてもらえるか考えてて。」
私はそうして、大和さんにことの経緯を話し悩みを打ち明ける。
大和「ふふふ、あんなに小さかった提督君にも春が来ましたか。」
瑞鶴「なにか言いました?」
大和「なんでも無いですよ。それにしても随分と積極的なんですね瑞鶴さんは。」
瑞鶴「それは…その、誰かに取られちゃうんじゃないかって思うとつい…」
大和さんは、とても落ち着いた大人な雰囲気を醸し出している艦娘だ。私は彼女にもきっと敵わないな…なんてマイナスな思考に陥ってしまいそうになる。
大和「わかります。男の人ってまるで蝶のようじゃないですか?あっちに行ったりこっちに行ったり。」
瑞鶴「そのとうりだと思います。いろんな子にすぐ鼻の下伸ばしてるし…」
大和「全くです。でも、きっと好きな人の理想を演じて振り向かせたとしても、私は幸せにはなれないと思うんです。」
瑞鶴「幸せになれない?」
大和さんは笑顔のままそんなことを言う。意味が分からず私は思わず聞き返す。
大和「はい、相手のために行動をするのはとても素敵なことだと思います。でもそれはあくまで自分が自分として彼にしてあげたいと思ったからというのが普通です。」
大和「最初から振り向いて欲しい、私を見て欲しい。それだけを考えて起こす行動は言い方が悪いかもしれませんが下心が相手にも伝わってしまうと思うんですよね。」
大和「だからきっと、本当に好きな人にこそ素の自分。すべてを曝け出してしまった方が例え駄目だったとしても清々しいものですよ。」
そのセリフは酷く私の心に刺さった。そう、相手のことを考えるあまり私らしさが消えてしまったらそれはもう壇上で演じているのと変わらないのだ。
だったら、無理せず自分を自分のまま好きになってもらおうと努力しろと大和さんは言っているのだ。私の考えの根本が間違っていると。
瑞鶴「そうなんでしょうか…」
大和「さぁ、どうなんでしょうね。私も正しい恋愛なんてわかりませんからね。」
大和「でも、一つだけわかるとしたらさっき私にぶつかったあなたの顔は、幸せそうには見えませんでしたよ?」
私はその一言であることに気づく、そう私は提督に振り向いて欲しいと思うだけで彼とのキスになにも感じられなくなってしまっていた。
考えるだけでも恥ずかいようなことを私は『手段』として用いってしまったのだ。私はなにかを言おうと大和さんを見る。
大和「恋愛にはきっと答えなんて無いと思います。だからこそ、皆が悩んで自分なりの幸せを見つけなくちゃいけないんです。」
大和「だから、私も一概に瑞鶴さんのやり方を否定はしませんが思うところはあったようですね。」
笑顔でそう言う大和さんに私は肯定の言葉を返す。そして、打ち上がる花火を見ながら大和さんに話しかける。
瑞鶴「それにしても随分その手の話に慣れてるようですけど、過去に大和さんも片思いの経験があったり?」
大和「んー、少し話すと長くなってしまいますね。お恥ずかしい内容ですが瑞鶴さんの話だけ聞くのも不公平ですしお話ししましょうか?」
瑞鶴「大和さんがいいなら是非!」
私の食いつく台詞を聞いて少し驚いたようにした後、大和さんは少し上を見て語りだす。
大和「最初はその人のことを正直嫌いでした。情けないし、話してくれないし、いつも表情が暗くて。顔は悪くないんですけどね。」
大和「だからでしょうか、私はそんな彼をずっと見ていました。苦手だったり嫌いな人って嫌でも視界に写るじゃないですか?」
大和「それが何故でしょうかね、少しづつ変わっていく彼を見ているうちに…惹かれてしまったんでしょうね。」
大和さんはほんのり頬を赤らめながら語る。その姿は普段のイメージとはかけ離れていたが違和感は無かった。
大和「でも、そんなときにその人から好きな人が出来たって相談を受けたんです。全く酷いですよね?私だって乙女なのに。」
少し頬を膨らませ怒ったように大和さんは言う。その言い方はまるで私以外の誰かに言っているかのように思えたのは気のせいだろうか。
大和「それが私の失恋エピソードです。」
瑞鶴「大和さんみたいな素敵な方でも失恋することってあるんですね。」
大和「褒めてもなにも出ませんよ?それに誰が素敵かなんていうのはあくまで個人の主観でしかありません。誰にとって誰が好みかなんて本人にしかわかりませんから。」
こんな話をしている間も花火が空に咲く。大和さんはそれを見て私の背中を軽く押す。
大和「私の言えることはこれで全部です。今はこの綺麗な花火を好きな人と見てきたら如何ですか?」
瑞鶴「ありがとうございます。私も大和さんみたいな素敵な女性になれるように頑張ります!」
そう言って私は好きな人のもとに走った。
大和「乙女の恋バナを盗み聞きするなんて、悪い人ですね。」
元帥「気づいていたのか…盗み聞きするつもりは無かったんだがな。」
大和「でも、本当にいいんですか?私は吹雪ちゃんの代わりにはなれませんよ?」
元帥「言っただろ、俺はお前がいいんだよ。」
花火の上がる少し涼し気な夏の夜に、二人は優しく口づけをするのであった。
ー提督視点ー
ふぁーいやふらーわーきみがー。あ、どうも提督です。今は一人寂しく花火を見ております。
なんか色々起きて状況の理解が追い付かないです。はい。
実際、俺はどうすればいいかわからなくなってしまっている。瑞鶴の想いを受け入れたいと思いはするが過去の爪痕がそれを否定する。
第一、愛する覚悟もないくせに軽率に受け入れていいのだろうか。
なんでこういう時に限って真面目なんだろうね俺!?ここはあれか、すまない俺には鹿島が…いや、翔鶴のほうがいいか?姉妹喧嘩になりかねんか…俺実はホモなんだ…とかは?いや、風評被害がすごそう。
ならいっそ、加賀さんとか!それはそれで痛い目を見る気がするな…もうあれだ潮ちゃんにしよう。待て落ち着け俺、それは社会的に一番まずい!
瑞鶴「提督さん!」
そんなことを考えていると問題の原因が駆け寄ってくる!どうしよう!まだ考えがまとまってない!
瑞鶴「別になにもしないから大丈夫だよ。一緒に花火が見たいだけ。」
瑞鶴はそう言って俺の横に座る。信じられるわけねぇだろお前!ナイフ突きつけてきたかと思ったらキスしてくるような女怖すぎだわ!
しかし、瑞鶴は特に何もすることもなく花火を見ている。黙ってりゃ可愛いんだよな。うん。翔鶴の五分の一くらい。いや、八分の一くらいの可愛さ。
花火の音だけが響く。まるで世界に二人しかいないかのように錯覚してしまう。
提督「綺麗だな。」
瑞鶴「そうだね。」
一言だけ会話する。不思議と居心地は悪くない。そして、無言で花火を見上げる。
しばらくして、花火が終わり瑞鶴が俺のことを見る。キスか?キスカ島撤退作戦か???
瑞鶴「提督さん、私反省したんだ。もうこれからは無理して提督さんの気を引こうとしたりしない。だからさっきのキスはノーカン。」
瑞鶴「あんなのキスじゃないもん、私のファーストキスはまだとっておくことにする。」
なにその言い方、ファーストキスってストック制でしたっけ?
瑞鶴「素のままで提督さんを堕として見せるから、覚悟しといてね?」
瑞鶴はそう言ってご機嫌そうに去って行った。
その姿は、先ほどとは違って誰とも重なりはしなった。花火という喧騒を失った夏の夜は、物寂しげな雰囲気を一人の俺に抱かせる。
先程瑞鶴に彼女の面影が重なったのは瑞鶴が無理をしていたからだったのだろうか。今思えば、彼女も無理をしていたのかもしれない。今となっては真実はだれもわからないのだが。
それにしても相変わらず情緒不安定な女だ。俺を堕とす?もう翔鶴という穴にスカイダイビング済みだぜ俺は!
陽炎「あー!やっと見つけた!司令ってばどこ探しても見つからないから心配したんだからね!」
不意に陽炎がそう言いながら近づいてくる。試しに陽炎にもキスして…落ち着け俺!頭のネジが外れかけているぞ!
提督「心配かけてごめんな。」
俺はそう言ってまだ終わる気配のない祭りの喧騒に戻るのだった。
ー提督(17歳)視点ー
おっす、おら提督!現役高校生にして友達がいないクソボッチ!やってられるか畜生。
学校からの帰り道、そんなことを考えながら歩く。自宅が鎮守府な学生とか他にいるのだろうか…
そんな時、ふと海岸に人影を見つけた。てかおいおいおい、半裸の女性じゃないですかヤダー!落ち着け俺の股間!
俺の中で明らかに危険な香りがすると思いつつも近くで見たいので話しかけてみる。
その人は緑の髪で少し容姿からギャルっぽい雰囲気を醸し出している女性だった。服の破れ方が絶妙!いいとこが見えそうで見えない!逆に興ry
そんなくだらないことを考えている俺だったが、女性の顔が死人のような表情をしているのを見て、心配になり声をかけてみる。
提督「あの…大丈夫ですか?」
女性「あなたは…?」
提督「えっと、提督と言います。ただの通りすがりの一般人ですよ。」
俺の返答を聞いて、女性が自分を見る。そして顔を赤くしたと思ったらとっさに体を隠すようにする。
へっへっへ、そういう反応いいですぜぇ…抵抗しても無駄だぜ嬢ちゃん…もとからなんもする気ないしね。
提督「あー、別に襲ったりはしないんで安心してください。とりあえずこれ羽織っといてください。」
俺はそう言いながら電車のクーラーに対応するために持っていた上着を渡す。俺イケメンじゃね?
女性「ありがとうございます…」
ちなみに、襲いはしませんが胸とかガン見しました。許してください。
提督「詳しいことは聞きませんけど、艦娘の鈴谷さんですか?」
俺は女性の容姿に見覚えがあったので聞いてみる。見覚えと言っても別人なのだろうが。好みの容姿だったので覚えてた☆
女性「え…海軍の関係者なんですか…?」
俺の台詞を聞いて、女性が酷く怯えたように言う。どうしたものか、元帥の息子ですなんて言ったら逃げられそうだな。
提督「いや、偶々知ってるだけですよ。ただの学生ですからね俺は。」
女性「そうですか…私は鈴谷。艦娘なんですが作戦行動中に艦隊とはぐれちゃって、深海棲艦から逃げ回った後に気づいたらここにいました。」
さて、俺はどうするべきか。先ほどの反応から見て海軍に対して何か悪いイメージがあるのは確定だ。
親父に相談すれば簡単に済む話ではあるが、それではいけない気がする。俺の下半身もそう言っている。いや、そろそろ落ち着けやお前は。
提督「とりあえず、鈴谷さんはどうしたいんですか?」
鈴屋「その…鈴谷は…記憶を失っていて。自分で記憶を取り戻すまでは少し軍に戻るのは怖いです…」
記憶少女の美少女かぁ…危険な匂いしかしない。とはいえ乗り掛かった舟だし仕方ないか。
提督「ここの近くに俺が一人で暮らすように準備してある家があるんで、とりあえずそこに来ますか?」
鈴谷さんは少し怯えるようにしている。別に襲わないのに、というか襲う程の度胸が無いです☆
提督「もし何か俺がしようとしても艦娘のほうが力強いですし大丈夫ですよ。」
提督「それに何かが起きて鈴谷さんの存在がバレたら俺も艦娘を誘拐したに近いですから下手なことは出来ないんですよ。」
俺の台詞を聞いて鈴谷さんが後ろをついてくる。俺はつくづく面倒ごとを拾うもんだ。
俺の自宅。というか去年誕生日プレゼント何がいい?って親父に聞かれたから家って言ったら渡された家。アホだよねあの親父。今年は彼女って言ってみることにしよう。
ちなみにこの家、今は俺の自由スペースとなっている。流石は元帥といったところか。
とりあえず、鈴谷さんにはシャワーを浴びてもらっている。覗きてぇ…でもあんなこと言った手前覗けねぇ…今度青葉を一緒に風呂に誘おう。
時間を持て余した俺はニュースを見る。深海棲艦の襲撃でマンションが倒壊ねぇ、親父が昨日から忙しそうにしてた原因はこれか。まぁ、今は親父が忙しいのは好都合か。
艦娘を万能の存在と勘違いしている奴が多すぎる。海岸付近にマンション建てるやつらがどう考えてもアホだろこの話題。
そんなことを考えていると、鈴谷さんがシャワーを終えて出てくる。彼シャツという文化は知っているがチキンな俺はズボンも貸しました。優しいね。
下着は仕方ないから同じものを使ってもらった。俺が女物の下着持ってたらびっくりだもんね。ん?俺ならありえる?やめなさい。
鈴谷「わざわざ服まで貸してくれてありがとうございます…」
提督「いやいや、男物しか無くてすいません。とりあえず話したくないことは省いていいんで状況説明してもらってもいいですか?」
そして鈴谷さんは語りだす。記憶喪失というより断片的に記憶が無いようだ。まとめるとこうだ。
深海棲艦からの本土防衛作戦中になにかしらのトラブルが発生し、そこから気づいたら海上に一人きりで突っ立っていたらしい。
それでとりあえず深海棲艦をいなしながら逃げ続け、あそこの海岸に辿り着いたとかなんとか。それ以上のことはいまいち要領を得なかった。
提督「そういうことなら、海軍に戻って話を聞いたりした方がいいんじゃないですか?」
鈴谷「鈴谷もそうするべきだと思うんですけれど…でもなんだか嫌なんです…」
なにか海軍で嫌なことがあったのだろうか、失われた記憶の中にそれがあるとか?まぁ、仕方ないか。毒を喰らわば皿までってね。
提督「まぁ、隠れることになるんであまり自由に行動されたら困りますけどここは自由に使っていいですよ。」
鈴谷「…どうして艦娘である鈴谷にそこまでしてくれるんですか?」
俺の台詞に鈴谷さんが問う。特に理由は無いってか単純に俺が艦娘と人間を分けて考えてないってのもあるが。一番は親父の影響だろうか。
あのクソ親父はどんな時も艦娘を思っている。駆逐艦に優しくしてる光景はどう考えてもロリコンの変態だけど。今度喧嘩したら写メって通報するぞって脅迫してやろう。
とはいえ、それは鈴谷さんには言えないので、適当にわかりやすい理由をつけるとしよう。
提督「一目惚れでもしたからじゃないですかね。」
鈴谷「鈴谷…艦娘ですよ?」
提督「別に人間も艦娘も変わらないですよ。」
鈴谷「そ、そうですか…ふーん…」
なんか微妙に好感触だなおいおい。これは俺にも春が来たか?いや、無いか。
俺はそんなことを考えながら、今後どこでエッチなビデオを見ようか真剣に考えていたのだった。
そして、時間は流れ。艦娘は食事を必要としないが、余っていたカップ麺を食べさせてあげた。
親父には旅に出ます。探さないでくださいと送っておいた。大和さんに家にいますねと送ってあるので問題ないだろう。
目のまえでカップ麺をすする鈴谷さんは昼から特に何もしていない。ちなみに俺はマンガ読んでた。
提督「そういえば、寝るときは二階にベッドがあるから使ってもらっていいですよ。」
俺は鈴谷さんにそう言う。ベッドはこの家には一つしか無いのだが、余計なこと言って遠慮させるくらいならこう言っといて、鈴谷さんが寝てから俺はソファで寝るとしよう。
鈴谷「なにからなにまでありがとうございます。」
提督「申し訳ないですけど、女性用の生活用品は無いんでその点は許してくださいね。」
鈴谷「ここまでしてもらって文句なんて言わないですよ。」
異性と二人きり屋根の下だというのに煩悩が生まれないのは鈴谷さんの表情が暗いからなのだろうか。
食事をとり終え、順番に風呂に入る。こういう時は男が後ってのが定番よね。別に鈴谷さんの入った湯船だ…とか考えてないからね?これが最早自白に近いっすね。
鈴谷さんは疲れているようで、すぐに寝ますといって二階に行った。現在時刻は夜の十時、寝るには早いかなぁ…あ、課題やんなくちゃ。
正直に言わせてもらうぜ、高校で習う内容の中で社会に出て使うのって百分の一くらいだと思うんですけどどうですかねぇ?
こんなん教えてくれるくらいなら女の口説き方を教えてくれ、少子高齢化対策だ!保健体育実技でも大歓迎!
なんてくだらないことを考えていると、リビングの扉が開く。なにごと!?勉強の精霊が俺の甘ったれた思考を叱りに来たのか!?
しかし、そこにいたのは泣いている鈴谷さんだった。え?俺襲って無いよ?え?まさか…下半身だけ勝手に…?いや、ついてるわ。
てか、俺の下半身自立稼働できんのかよ…衝撃の事実だよ…Vガンかな?
そんなことを考えていると鈴谷さんがその場にへたり込んでしまう。何事なの!?
提督「なにがあったんですか?」
鈴谷「わからない、わからないけど、怖くて。迷惑ってわかってるけど…鈴谷と一緒に寝てくれない…?」
我、夜戦に突入す。いや、すんなアホ。とりあえず状況的に添い寝という意味だろう。
提督「わかりました。でも鈴谷さんが寝たら俺は退散しますからね?」
鈴谷「それでいいから…一人にしないで…」
そうして俺は鈴谷さんと一緒にベッドに入る。いや、めっちゃ手を握られてるんですけど。全く俺じゃなきゃ襲われてるぞこんなん。
俺がチキ…ゲフンゲフン、善良なチキンで良かったよ本当に。といっても、先ほどの涙を見たら俺以外の人でも多分そんな気は失せるのだろうけれど。
鈴谷さんはもう寝ているようだ。まぁ、手を握られてて離れられないんですけどね。って待てよ、なんか勢いに任せてたから大してなんも感じなかったけれども…
俺今、異性と一緒にベッドにいるんだよねこれ。心臓が急にテンポアップ!下半身も元気に!寝れねぇよこんなの!
落ち着け…別のことを考えるんだ…そうだ、羊を数えよう。羊が一匹…羊が二匹…執事が三匹…執事?執事ってなんだっけ。あれかメイドの男版だ。
つまりメイドと執事は本質的には同じ…?うっ、おっさんのメイド服想像しちまった!あーもう寝る!
そして、俺はなんも考えずにその場で眠るのであった。
翌朝でございます。寝相が良くて本当に良かった。本当に。
とりあえず鈴谷さんはまだ寝てるので、今のうちに…え、手が離れないんだけど。ずっと握ってたの?マジで?手汗ガガガ…
鈴谷「ん?んん…、ふぁ~」
鈴谷さんがかわいらしい声を出して起きる。そして俺と目が合う。
鈴谷「な、なんでここにいるの!」
そしてよくわからんまま俺は思い切りビンタを喰らう。痛いです、意識は覚醒したけど。
鈴谷「あ…ごめんなさい。つい…」
提督「えっと、昨日の夜のこと覚えてます?」
鈴谷「昨日の夜…?」
鈴屋さんは少し考えるようにした後、みるみるうちに顔が赤くなっていった。こんな反応を現世で見る機会があるとは。
提督「落ち着いてください、別になんもしてないですから。横で寝てただけです。」
口をパクパクしながら何かを言おうとする鈴谷さんに俺はそう言う。なんだこの可愛い生物は。
とりあえず、二人とも落ち着いてから朝食を取る。
鈴谷「なにからなにまでごめんなさい…」
提督「気にしないでくれ、あと別に無理して敬語使わなくていいぜ。俺も外すし。」
鈴谷さんはうつむきながらパンを食べている。俺としては全然いいイベントだったので謝るどころか金払ってもいいくらいなんだが。
それから、そんな日々が何日も続いた。俺はいつかこの生活が終わるなんてのは理解していたが、それでも楽しかった。
鈴谷「提督、リモコン取って~」
提督「ほいよ、ってチャンネル変えんのか?俺それ見てんだけど。」
鈴谷「むーだってつまんないじゃんこれ。鈴谷他のが見たい~」
時間がたてば慣れるもので、今はお互いこんな風に話せるくらいになっていた。鈴谷も元気を取り戻し始めたようで一安心といったところだ。
提督「お前本当にあった時から変わりすぎだろ。最早別人なんだけど。」
まぁ、今のほうが好みなんですけどね。絶対口には出さないけれど。知られんの恥ずかしいじゃん?
鈴谷「提督のお陰だよ。お礼にエッチなことしてあげよっか?にっひっひ~」
提督「懲りないねお前は、それでするって俺が言ったら前赤面してたじゃねぇかよ。」
ガチにした俺に謝ってほしいね。大体不順異性交遊禁止とか言っといて高校生で童貞なのが馬鹿にされるって矛盾しすぎだろ!ふざけるなッ
鈴谷「そ、そりゃまぁ鈴谷は冗談で言ってるわけだし…?ガチにしちゃう提督が悪いって言うか…」
提督「襲うぞアホ。」
鈴谷「最初に襲ったりしないって言ったじゃん!」
提督「気が変わった、もう我慢ならねぇ。」
俺はそう言って適当にソファに座る鈴谷を押し倒す。少しくらい痛い目見せてやる、焦ってる童貞をからかった罰だ!
といっても艦娘のが力強いので余裕で抵抗されるんですけどね。悲しいね。
しかし、鈴谷は抵抗することは無かった。へ!?どういうこと!?
鈴谷「本当に…しちゃう…?」
それどころか下から目線で誘うようなことを言ってくる。ダメ!理性が死んじゃう!落ち着けマイアンダー!
提督「冗談だよ冗談。そんな勢いでしてたまるかっての。」
鈴谷「やーい、チキンチキン。」
提督「責任感が強いと言って欲しいもんだな。」
鈴谷「ところで提督さん。私は今あなたに襲われました。」
提督「いや、待て。何もしてないぞ俺。」
鈴谷「いいえ、鈴谷は押し倒されただけでも十分襲ったと言えると思います。」
それは確かに…いや待て誘ったのは鈴谷だし俺悪く無くね?無いよね!?いや、痴漢冤罪とかあるし駄目かもしれない…
鈴谷「だからさ、お詫びということで明日これに鈴谷と一緒に行って欲しいのです。」
鈴谷はそう言いながら俺にチラシを見せてくる。そこにはお祭りの紹介のようなものが描いてある。
提督「お前仮にも海軍から隠れてるってこと忘れてないか?」
鈴谷「人がいっぱいいるらしいしわかんないって!指名手配されてるわけでもないんだし。」
提督「はいはい、わかりましたよ鈴谷お嬢様。」
鈴谷「最初からそう言えばよいのです。」
提督「もうお前ひとりで寝ろ。俺は知らん。」
鈴谷「それだけは嫌だ…意地悪しないでよー」
提督「冗談だよ。ただ手を強く握んないでくれよ?昨日めっちゃ痛かったかんな?」
鈴谷「うっ…気をつけます。」
鈴谷は何故か夜一人になることを極端に嫌がる。それがなぜなのかはわからないが、そこだけは変わらないのだ。
ということで今日も鈴谷とベッドで寝る。なれれば楽なもんだ、どちらかというと子供の寝かせつけイメージ。
嘘です、色々たわわなもののせいで酷く不眠症に悩まされています。助けてください。寝れるわけねぇじゃん!?でも誰にも譲りたくねぇなここは!
そんな俺の考えは裏腹に鈴谷はすやすや寝ている。前に試しに手を離してみたときがあったが、様子を見に来た時酷くうなされていた。
正直、見てられなかったので手を握ってやったのだがその瞬間に落ち着いたのを見て人間の体温ってのも馬鹿にならないなと実感した。
まぁ、その分俺の体調が不味いんですけどね!
そんなこんなで翌日午後、ちなみに俺は夏休みです。ヒャッハー!
鈴谷は朝からお祭りお祭り騒いでいたが、昼頃から疲れたのか静かになった。祭りの前に疲れてどうする。
提督「んじゃ行くか。」
鈴谷「オッケー!出発!」
そんなこんなで俺と鈴谷はお祭りに向かうのであった。
お祭りなんて何年ぶりだろうか、小さいころ少ない小遣いでやりくりした覚えがある。小さき俺よ、その金魚すくいと焼きそばを我慢するとエッチな本買えるぞ。
鈴谷「本当に人がいっぱいだね。」
提督「そりゃ、それなりに規模の大きな祭りだしな。ほれ、はぐれないように手を握っておこうぜ。」
鈴谷「そ、その、人前なのに大胆だね…」
提督「毎晩握らせといてなに言ってんだお前は…」
鈴谷「ま、まぁ、鈴谷は手を握るくらい余裕だけど?」
そう言って鈴谷が手を握ってくる。俺はその手を強く握り返す。
そのまま俺たちは祭りを楽しんだ。二人で型抜き勝負したり金魚すくいで勝負したり射的で勝負したり。勝負しかしてないじゃないですかヤダー
提督「中々やるじゃねぇか…」
鈴谷「提督こそやるじゃん…」
そんなやり取りをしていると、不意に鈴谷がどこかを見ながら立ち止まった。視線の先にいるのは浴衣姿の集団のようだ。
提督「どうした?浴衣が気になんのか?」
鈴谷「うん、浴衣鈴谷も着てみたかったなぁって。」
提督「おかしなことを言うんだな、来年にでも着ればいいだろ?俺は付き合うぜ?」
鈴谷「ふふふ、提督は来年まで鈴谷と一緒にいるつもりなんだね~?」
提督「な、もしも、もしもの話だよ。」
そんなやり取りをしていると、鈴谷が一瞬とても悲しい表情をした気がした。しかし、それを隠すかのように花火が打ちあがる。
鈴谷「綺麗…」
提督「お前のほうが綺麗とでも言えばいいか?」
鈴谷の溢すように漏れた台詞に俺は冗談めかしてそんな風に返す。
しかし、鈴谷は俺をまっすぐ見つめて何も言わない。え!?なんか俺地雷踏んだ!?
鈴谷「ねぇ、提督さ。そういうの冗談で言っちゃダメなんだよ?」
そう言って、鈴谷は俺の唇に自分の唇を合わせる。驚きはしたが、俺も鈴谷のキスを優しく受け入れる。
提督「冗談じゃないさ、俺は本気でそう思った。好きだよ鈴谷。」
何の飾りもない平凡な告白。でも、今の俺にはこれが一番だろう。下手な飾りつけは邪魔でしかない。
そうして、幾度もキスをする。どうでもいい話だが、初めてのキスは焼きそばの味がした。ロマンの欠片も無いなおい!
二人とも無言で家に帰る。しっかりと手は握ったまま。
家に帰ってからも会話は発生せず、目が合うとお互いに逸らしてしまう。
痺れを先に切らしたのは俺だった。
提督「なぁ、鈴谷。お前から返事きちんともらってないんだけど…」
あえて、鈴谷も喋らないといけないような内容で会話を切り出す。
鈴谷「な!?あんなことしといて何言ってんのさ!」
提督「きちんと口で言ってもらいたいというか…」
鈴谷「そ、そりゃ勿論…鈴谷だって…好きだよ馬鹿…」
提督「そ、そっか…」
そしてまたなんともいえない雰囲気が広がる。今度は鈴谷が先に話しかけてきた。
鈴谷「ねぇ、提督。私さ今提督の一番になれてる…?」
少しぎこちない聞き方に俺は目を逸らして当たり前だろなんて返す。
その返しに鈴谷が涙を流す。俺はそれが喜びの涙だと思ってしまった。罪悪感による涙だったというのに。
そのまま二人は口づけを交わす。この時の俺は、それが二人の最後の夜になるなんて思いもしなかった。
翌日、俺は所用で学校に行くことになっていた。
提督「それじゃ、行ってくるな。」
鈴谷「うん、行ってらっしゃい。あ・な・た」
提督「気が早いにも程があるだろ…」
鈴谷「ねぇ、キスしてくれない?」
提督「どうした急に、朝から様子がおかしくないか?」
鈴谷は朝からなにか思いつめたような表情をしている。なに?実は俺と付き合いたくなかったとか?泣くよ?
鈴谷「そんなことないよ!ほら可愛い鈴谷にキスするチャンスなんだからありがたくキスしなさい!」
提督「はいはい、わかりましたよ。」
そして俺は彼女と最後の口づけを交わす。もし過去に戻れるなら俺は絶対にここに飛んで俺を止めるだろう。彼女を一人にするなと。
俺は少し嫌な予感がしていたので、用事を早急に済ませ自宅に帰る。
しかし、自宅の前には親父がいた。
元帥「よぉ、提督。」
提督「バレちまったか、さぁ煮るなり焼くなり好きにしてくれ。俺が全部悪いんだからな。」
そう言って、俺は自宅の中に入ろうとする。一年どころか一日でバレちまったぜよ。しかし、それは親父によって止められる。
元帥「あんまり俺を舐めるなよ?ずっと前から知ってたさ。だからこそごめんな。」
提督「は?何言ってんだ?」
元帥「彼女の行動を止められなかったことへの謝罪だよ。」
俺は親父の台詞に全身の産毛が逆立つのを感じる。いや、そんなわけ…彼女がそんなことをする理由が無い…
俺は制止する親父を振り払い、家の中に入ろうとする。しかし、家から出てきた大和さんに気絶させられた。
意識が覚醒する。ここはどこだろうか、白い天井が視界に広がっている。
元帥「目が覚めたか。」
ベッドの横にいる親父が声をかけてくる。
提督「鈴谷は?鈴谷はどこだよッ」
俺は体を強引に起き上がらせ、親父を問い詰める。
元帥「……これが置いてあった。お前当てだから誰も開封してねぇよ。」
親父は少しの沈黙の後、手紙を渡してきた。それには提督へ愛する鈴谷より何て書いてある。
『最後まで自分勝手な女でごめん。私のアレな姿は見られてないといいな、見たなら忘れてね? 私ね、提督に好きって言ってもらえて幸せだった。
幸せすぎて、このまま生きたいとも思った。でもね、私にはそんなことが許されるはずがないんだ。全部思い出したから。
私はね、自分のミスで姉妹や仲間を沈めちゃったんだ。それにそのままおかしくなって本土へ砲撃しちゃって死者も出たんだってさ。
結構前から思い出してたんだけど、これを言ったらきっと提督は私のこと嫌うって考えると言い出せなくて…だから償いに死のうと思ったんだ。
思考がおかしいのは自分でもわかってる。でも他に償いを思い付かなくって…最後に大好きな提督に想いを告げて未練を無くしたってわけ!大好きなのは本当だからね!
最後まで迷惑かけてごめん、恨まれてもいいけれどどうか忘れないでね。約束守れなくてごめんなさい。愛してるよ、鈴谷より。』
提督「フザケンなよ…なんだよこれ…なんなんだよ…」
俺は思い切り壁を叩く。痛みなんて気にならない、このどうしようもないくらいの心の痛みに比べれば。
元帥「作戦自体は簡単だったんだがな、艤装が不調だったらしく鈴谷が動けなくなってそれをかばう形で艦隊が鈴谷を残して全員轟沈したんだ。」
元帥「その後パニックに陥った鈴谷が無差別に砲撃し…まぁ、細かいことを言う必要は無いか。」
提督「なぁ、親父。」
元帥「なんだ?」
提督「誰かを愛するってのはこんなにも辛いもんなのか?」
親父は何も言わない。
提督「ちょっと出かけてくるよ。」
俺はそんな親父を横目に部屋を出た。
ー元帥(過去)視点ー
何て言うのが正解だったのだろうか。俺は吹雪が沈んだ時にあいつと全く同じことを思った。
そして同時に神を恨んだ。なんでこんなつらい目に合わなければならないのかと。
そんな俺がなにを言ったところであいつの心には届かないだろう。だって、俺はその解を知らないのだから。
大和「提督君が走って行きましたが、いいんですか?」
元帥「あいつは後を追うようなタイプじゃねぇよ。まぁ、それ以前の問題だが。彼女の容体は?」
大和「植物状態ですね。息はありますが息があるだけと言って過言では無いでしょう。」
元帥「あいつには伝えるなよ。永遠に帰らない待ち人を待つなんてのは酷なものだからな。」
大和「そうですかね?愛の力は時には奇跡なんかも起こしますよ?」
元帥「それは俺とあいつが一番信じられない迷信だよ。」
そう、鈴谷は生きている。かろうじて間に合ったというのが正しいが。とはいえ、植物状態で一生目を覚まさないと診断された。
正直、どうするのが正解か俺にはわからない。ただ、提督に鈴谷のことを教えないのは単純に鈴谷への嫌がらせだ。
俺は鈴谷の病室に向かう。後ろを無言で大和がついてくる。
病室で緑の髪が綺麗な艦娘が眠っている。大和が心配そうな顔で俺を見ているが、別に何もする気は無いさ。
元帥「人の息子にトラウマ植え付けやがって、早く起きねぇとあいつは意外とモテるんだぜ?」
元帥「誰かに取られたくないならとっとと起きて俺の前に二人で挨拶に来るんだな。」
俺は最高にウザったらしい笑顔で嫌味を言ってやるのだった。
ー提督(十七歳)視点ー
病室を飛び出した俺は、彼女と初めて会った海岸に来ていた。
俺が愛してると言った彼女はもういない。そう理解するたびに心が壊れそうになる。
理由もなく砂に愛してるなんて書いてみる。しかし、すぐに風で掻き消える。
思えば、本当に一目惚れだったのかもしれない。初めて会った時から俺は彼女に何かを感じていた。
その結末がこれだ、もしこの世に作者がいるなら恨んでやる。いいから俺が幸せになるだけの駄作を書けと命じてやりたい。
唇にはまだ今朝の感触が残っている。それは酷く現実味の無い感触で、もう二度と…
そんなことを考えると、涙が流れ出す。泣くのなんていつぶりだろうか、俺はその一粒一粒が彼女との記憶のように見えた。
彼女が涙と共にいなくなってしまうようで、必死に涙を堪える。意味の無いことであるととっくにわかっている。でも、俺にどうしろというんだ。なにをすればいい?幸せにしたいと望んだ相手はもういない。いないのだ。
どれくらいの時間がたっただろうか、涙も枯れ俺はすっかり暗くなった夜空を見上げる。
空には流れ星が流れていた、流星群というやつだろうか。願いを叶えるにはどうするんだっけか。
俺は夜空にもう一度彼女と会いたいと願う。何も起きないのは当たり前といってしまってはいささか面白くないだろうか。
人を愛するのが苦しみを産むというのなら、俺はもう愛なんてものを求めはしない。
何かを恐れ心が弱ると愛に付けこまれるというのなら、俺はもう何も恐れはしない。
自己愛ですらも捨て去ろう。俺は誰かのためにだけ生きよう。愛されるのは構わない、俺は傷つかないから。
そんな人間になってやる、俺はそう決意し海に向かって吠えるのであった。
今思えば、あの流星群は俺の願いを叶えてくれたのかもしれない。
ー提督視点ー
一人きりの執務室で昔を思い出す。時間が解決するなんてよく言ったもので、思い出しても多少の悲しみはあれど泣き叫んだりなどしない。
難しくなる思考をさり気無く撮っておいた皆の浴衣写真で癒す。あぁ~癒されるんじゃ~
不意に写真フォルダに瑞鶴が写る。畜生!いい気分だったのに!
まぁ、結局のところ怪我よりも心の痛みのほうが俺は怖いからこういう性格になったというわけだ。あんな思いをするのはもうごめんだ。
怪我はいつか治る。後遺症などが残ったところでたかが知れている。
しかし、心は違う。永遠に蝕み続ける、まるで紙にしみこむ絵の具のように浸食してくるのだ。俺はそれが怖かった。ただただ怖かった。
元帥「お邪魔しまーす!」
提督「死ね!」
突然部屋に入ってきた親父に俺は思い切り回し蹴りをかます。
元帥「そろそろ反抗期終わってもいいんじゃない…?」
蹴られた腰をさすりながら親父がそんなことを言う。
長門「失礼するぞ。」
陸奥「失礼します。」
大和「失礼しますね。」
元帥に続いて三人が入ってくる。不味い!長門たちの前で親父に蹴り入れちまった!
大和「安心していいですよ提督君。前の作戦の時に二人には話してありますから。」
提督「そうでしたか、良かった。元帥、あまり急に出てこないで下さいね?」
元帥「急じゃない登場ってどうすればいいんだ!?」
提督「百年前に伝達しておくとか。」
元帥「俺…多分死んでんだけど…」
提督「じゃあ、出てこないでくれ。」
元帥「酷くないか!?」
俺と親父のそんなやり取りを聞いて陸奥が噴き出す。長門も堪えているようだが口もとが緩んでしまっている。
陸奥「その、ごめんなさい。でも、本当に親子だったのね。」
提督「隠すつもりは無かったんだが、下手に伝えると距離を置かれると思ったんだ。とはいえ、言わなかったのはごめん。」
長門「そんなことで謝らないでくれ。提督はつまり私たちに気を使ってくれたのだろう?それに怒りを覚えるほど物分かりは悪くないさ。」
俺の謝罪に長門がそんなことを言う。やめるんだ!そのイケメンオーラは俺を殺すには充分すぎる!
提督「ところで、何しに来たんだ?」
大和「あぁ、それは色々とお疲れであろう提督君を誘おうと思いまして。」
大和さんはそう言って、持っていた鞄からお酒を取り出す。すげぇ、あの鞄四次元ポケットかよめっちゃ出てくる。
元帥「それで道中に二人を見つけてな、誘わせてもらったというわけだ。」
親父が長門と陸奥を見ながら言う。なるほどなるほど。お酒×美女=エッ…うっ、なにか危険な予感がする。
元帥「なにはともあれ、祭りの成功と提督の帰還に乾杯!」
親父のそのセリフを合図に少人数での密かな宴会が開始されたのだった。
まぁ、予想どおりというか案の定というか最初に親父が酔いつぶれる。長門と陸奥に止められたが額に肉と書いてやった。ザマァねぇなぁ!
そして次に長門と陸奥が同時にダウン。姉妹だと酒の強さとかも似るのだろうか?とりあえず着崩れてる胸がエッチなんで俺が治してあげましょう。
変なことしてないかって?大和さんに見られている中でそんなことしたら股間が無くなるのでしてません。
長門が寝言で私だって女なんだぞ…とか言ってるけど違うぞお前はイケメンだ。新性別だ。なんて脳内で突っ込む。
大和「あのことを、思い出したんじゃないですか?」
そんなことを考えていると、大和さんが俺に不意に話しかけてくる。
提督「あのことってなんですかね?思い当たる節が多すぎてわからないですよ。」
俺は適当に誤魔化す。過ぎたことは…いや、終わったことはどんなに考えても無駄なのだから。
大和「わかりやすいですね、提督君は。」
提督「そうですかね?意外とミステリアスでクールだと思ってるんですけど。」
俺の返しに大和さんが軽く笑う。馬鹿にされた!名誉棄損だ!訴えてやる!
大和「確かに何考えてるかはわかりにくいですけど。クールとは程遠いと思いますよ?」
提督「どうすればクールになるんですかねぇ…」
俺は両手の手のひらを上に向け、大袈裟にわからないといったポーズを取る。
大和「どうでしょうかね、少なくとも瑞鶴さんにとってはクールなんじゃないですか?」
俺は大和さんの台詞に酒を吹きかける。あぶねぇ、俺の朝日ィスーパードルルルルァイが!
提督「な、なんでそのことを!?」
大和「さっき、本人から相談を受けたもので。全部知ってますよ?」
恥ずかしいよぉ…身内にキスエピソード知られるとか死んじゃう!もういい!鹿島の胸揉んで死ぬ!
おいおい、俺。そんなふて寝するみたいに死なないでくれ。
提督「本人に言うとか趣味悪いですよ大和さん。」
大和「そう怒らないでください。それで結局どうなったんですか?」
提督「それ言わないとだめですか?」
大和「どうしましょうかね?大本営の皆も提督の色恋沙汰が気になってるかもしれないですし…」
提督「はいはい、わかりましたよ。全部話すんで拡散するのだけは辞めてください。」
大和「物分かりが良くて助かります。」
そうして、俺は女狐にすべてを話す。意外なものだ、大和さんは他人の恋愛には関与しないタイプだと思っていた。
大和「つまり、提督君はまだ考えているってことなんですか?」
提督「考えているって言うか…なんつうか…」
大和「鈴谷さんのことが、忘れられませんか?」
俺は図星を突かれ思わず表情を強張らせてしまう。やっちまった。
大和「やっぱり、そうだったんですね…」
大和「私も瑞鶴さんを応援したいので、もしうまく行っているようなら言うつもりは無かったのですが…」
大和さんはそう言いながら親父のことを見る。いつの間にか目を覚ましていた親父は、大和に向かってうなずく。額に肉って書いてあるけど。
ん?ちょっと待てよ?これ親父にもキスエピソード聞かれたってことじゃね?もうマジ無理リスカしよ。
大和「鈴谷さんは生きています。」
そんな俺のふざけた思考は大和さんの次の台詞ですべて吹き飛んだのだった。
気怠い体を無理やり起こす。今日からは執務が再開だ、お仕事タノシイナー。
昨晩、俺は大和さんの台詞を聞いて彼女を問いただした。
まとめるとこうだ、鈴谷は四年前俺の家で手首を切った状態で発見された。
鈴谷は自殺を行う際、携帯を使い海軍に自分の居場所を自分でリークし死体を発見してもらうつもりだったようだ。
しかし、前日のことがあったため俺の留守の間にたまたま大和さんが鈴谷さんと話すために俺の家に向かっていたらしい。
そのため、鈴谷の想定より早い段階で発見され大和さんの適切な処置のお陰で一命はとりとめたのだという。
といっても、寝たきりの状態で目覚めたのはつい最近だという。目覚めたのも奇跡に近かったらしいが。
俺は親父の彼女に会うか?という問いに答えることが出来なかった。出来なかったのだ。
はー駄目だ、暗いことを考えるな。あー、かしまかわいーしょーかくかわいー(脳死)
おし、気合入った。今日も一日頑張ろう!
とりあえず俺は朝の支度を済ませ、執務室に向かう。
朝潮「おはようございます!司令官!」
提督「あぁ、おはよう。朝潮」
なんか久々に会ったような気がする朝潮に挨拶をして執務を開始する。ってあれ?八割型仕事終わってない?
朝潮「司令官がお疲れだと思って先に済ませておきました!」
えぇ…お前無能設定じゃなかったの!?てか、やっぱり俺この鎮守府に要らない気がしてならないんだけど!?
とはいえ、どや顔でそう言う朝潮を責めるほど俺は鬼ではない。とりあえず頭撫でてやろう。癒されるなこれ、流石忠犬朝潮公。
流し目で艦娘の任務を確認するが、今日は演習と鎮守府近海の警備が主なので特に問題は無いだろう。
警備と言っても、前の騒動。あの俺の誘拐事件からめっきり深海棲艦は進行してこなくなった。あの男は…あぁ、もう暗い話題が多すぎる!
特に理由もなく朝潮を撫でる。本人は困惑してるが知らねぇ!撫でられとけ!
その時、執務室のPCが間抜けな音を発する。出たなトラブル、さぁかかってこいよ。俺は今五体満足だからどこでも犠牲に出来るぜ。あ、首は勘弁。
朝潮「メールですか?」
提督「そうみたいだな、えっと内容は…」
内容っていうか、そのメールは結婚式の招待状だった。来週式を挙げるから艦娘一人と共に来いだそうだ。
おっしゃ!翔鶴誘いに行こう!そうしよう!
提督「朝潮、俺は大事な用が出来ちまった。少し待っててくれ。」
朝潮「わかりました!この朝潮命令とあらばいつまでも待ちます!」
俺は朝潮に決め顔でそう言い、執務室を後にした。
そして、現在鶴姉妹の部屋の前。俺これ中々クソみたいなことしようとしてるよね。うん。
好きって言ってくれた相手の姉と二人っきりで出かけるとかどんな修羅場だよ。
しかし、どうしよう…瑞鶴を誘うと絶対に俺死にかける気がするし…かといって、駆逐艦を連れて行くのは…通報されちゃう!
翔鶴「どうされたんですか?提督。」
提督「ひょひょひょい!?」
そんなことを考えていると、部屋からいつの間にか出てきた翔鶴に声をかけられる。
どうしよう、どうしよう。仕方ない、ここは好きですとか言って誤魔化すか?いや、それ言ったら本末転倒じゃねぇですか!
翔鶴「提督?」
提督「あ、あぁ、なんでもないんだ。気にしないでくれ。」
瑞鶴「翔鶴姉置いてかないでよー、ってあれ?提督さん?」
俺が翔鶴とそんなやり取りをしていると、部屋から瑞鶴も出てくる。瑞鶴は俺に気づいた後昨日のことを思い出したのか顔が赤くなる。
それに気づいたらしい翔鶴が瑞鶴を見ている。
翔鶴「瑞鶴?昨日もしかして提督となにかあったの?」
瑞鶴「へ!?えっと、その、なんというか…」
翔鶴「提督、なにかあったんですか?」
提督「えっと、なんと言いますか…その…」
怒ったようにしてても可愛いとか天使かよ。畜生写メりたい!スマホ置いてきちゃった!
てか、これどうしよう。本当のこと言うわけにもいかないし…もう面倒だから二人とも誘っちまえ。自棄だ自棄。
提督「と、とりあえずさ今週末に元帥に結婚式に呼ばれてるんだけど誰か艦娘連れて来いって言われてて二人とも一緒に来ないか?」
翔鶴が誤魔化しましたねといったような視線を俺に向けてくる。残念だったな!そんな顔も可愛いぞ!おういえ!
しかし、瑞鶴はどうやら乗り気では無いような顔をしている。どったのさ。
瑞鶴「私はいいよ、翔鶴姉と二人で行ってきなよ提督さん。じゃないと私ばっかりずるいもんね…」
瑞鶴はそう言い、最後に小声でなにかを言う。
提督「別に遠慮しなくていいんだぞ?」
瑞鶴「いいの!私は週末はごろごろしてるから!」
瑞鶴はそう言ってどこかに行ってしまった。本当にわからない女だことです。
提督「それじゃ、翔鶴はどうする?」
翔鶴「折角のお誘いですし是非!でも、私正装を持っていなくて…」
提督「それなら大丈夫さ、手配してもらうから。それじゃ細かいことはLINEするよ。」
翔鶴「わかりました。楽しみにしてますね!」
この後、俺が自室で狂喜乱舞したのは言うまでもない。あ、朝潮のこと忘れてた!
そんなこんなで、式の当日。スーツの首元ってきつくない?なんでわざわざ苦しむデザインにしたの?アロハシャツで良くね?駄目ですね。
ちなみに今は鎮守府の前で翔鶴さん待ち。着替えって女性のほうがかかるよね。男はスッパッポンみたいに終わるのに。
翔鶴「お待たせしました。提督。」
そんなことを考えていると、後方から声をかけられる。
提督「いや、別に対して…」
俺の言葉が途切れたのは、心臓が騒がしくなったからだ。ちょっとロマンチックに表現しようかと思ったけど無理。しんどい。
これが推しを見ている腐女子の気持ちか。最高だ。ベージュの服に少し暗めのスカート。
提督「可愛い、結婚したい。」
翔鶴「へ!?提督!?」
俺は照れえる翔鶴を見て思わず口を塞ぐ、ヤッベ口に出てた!死んじゃう!いや、覚悟を決めてダブル結婚にしてもらうか!?
提督「あ、いや、その気にしないでくれ…」
翔鶴「へ…?は、はい。」
そして、少し気まずいまま親父の用意してくれたタクシーに乗り込む。俺は悪くないぞ!翔鶴が可愛すぎるのが悪い。そうだ。うん。
翔鶴「それにしても、艦娘と人間の結婚を公にやってしまって危険は無いのでしょうか…」
不意に翔鶴がそんなことを言う。俺は君と結婚するためなら危険なんて人差し指でどうにかして見せよう。おっと、口に出してないよね?大丈夫だな。
提督「確かに、危険だとは思うけどこの結婚さえうまく行けば艦娘軽視の世の中も少しは変わるかもしれない。それに賭けたいんだってさ。」
翔鶴「そんな意図が…もしもの時は私が提督をお守りします。何事も無いのが一番理想ですけれどね。」
提督「あぁ、頼むよ。まぁ、今はそうなることを祈っていることしか出来ないな。」
ここで俺が守るよとか言いたいけれども、実際はヒィヒィ言うことしか出来ないので素直にお願いする。頑張れよって?無理に決まってんだろ☆
まぁ、結婚が成功するのは艦娘否定派にとってはなんとしても防ぎたいだろうから、なにかしらのトラブルは起きるだろう。
どうしよう、そろそろ首が飛ぶ気がするwww翔鶴さんが可愛いからいいか。いや、良くねぇよ。
そのまま、俺たちは式場に向かうのだった。
そして、式場ナウ。え?なんか口調がチョベリバじゃないかって?
だって、完全に場違いなんですもん。皆綺麗に着飾ってるし俺なんてこれ花畑に突然投下されたゴミみたいな気分だよ卍ィ!
翔鶴「凄いですね…映像で見たことはありましたが、百聞は一見に如かずとはよく言ったものです。」
提督「本当だな…なあ、翔鶴。俺おかしくないか?場違いだったりしない?」
翔鶴「そんなこと無いですよ、スーツ姿もとても素敵です。私こそ場違いでは無いでしょうか…?」
素敵…だと?つまりそれは俺がかっこいいということですか?ここで告白してダブル結婚ありですか?いっそ結婚だけでなく子作…落ち着け!パニックになってはいかん!
いくら周囲がリア充空間と言えど飲まれたら終わりだ…自己を保て…
翔鶴「あの…提督?やはりどこかおかしかったでしょうか?」
提督「へっ!?いや、そんなことは無いっていうか翔鶴はどんな格好でもめっちゃ可愛いから全く問題無…」
そこまで言って俺は慌てて口を閉じる。アッカーン!色々口走った!普段妄想で済ませていたものをすべて口に出してしまったァ!
青葉「新人提督、元帥の結婚式場にて艦娘をナンパする。これはスクープですね。」
赤くなる翔鶴に俺が弁明をしようあたふたしていると、横からそんなことを誰かが言う。カシャカシャ聞こえる時点で青葉確定。
提督「やぁ、青葉。久しぶりだね。少し二人きりでお話でもしないかい?」
青葉「え、嫌です。」
さわやかに青葉を誘ったが二つ返事で断られた。そこは一緒に移動して話す流れだるぅお?そのままエッチ展開…駄目だ、マジで落ち着けどうした俺。
翔鶴「提督、そちらの方は?」
提督「あぁ、紹介が遅れてすまない。俺が前にいたところで仲良くなった艦娘の青葉だ。」
青葉「ども!恐縮です。重巡洋艦の青葉です!」
翔鶴「私は提督の鎮守府に最近着任した正規空母の翔鶴です。以後よろしくお願いします。」
青葉「こちらこそ、よろしくお願いします!少しインタビューしてもよろしいでしょうか?」
翔鶴「いんたびゅー?」
青葉「はい!簡単に言うとお話を聞きたいという意味です!」
俺はその青葉の台詞を聞いて青葉に全力で余計なことは喋るなよ?と目だけで伝える。青葉は馬鹿にするようにこっちを見た後、翔鶴と共に歩いて行ってしまった。
はっ!?こんな空間にボッチだと!?不味い死んでしまう!?ふぇぇん…むりぃ…誰かぁ…
秋月「もしかして…提督ですか?」
その時、目の前に天使が舞い降りた。お洒落しているせいでいつもと雰囲気は違うが間違えるはずがない。
提督「秋月か!久しぶりだな!」
そう、駆逐艦秋月。親父の鎮守府にいたころ仲が良かった艦娘の一人だ。しっかり者でいつも色々助けてもらっていた。
秋月「はい、提督がそんな服装をしているのを初めて見たもので人違いかと思ってしまいました。」
提督「ははは、最近は常に軍服に身を包んでるんだぜ?俺みたいなのには似合わないよなこういうの。」
秋月「いえ、そのいつもよりかっこいいというか…そのいつももかっこいいんですけど…」
秋月がなにかを小声で言う。昔から俺と話しているとよく小声になるのだが、なに言ってるんだろう?
提督「おーい、大丈夫か?秋月。」
秋月「あ、大丈夫です!そんなことより横の部屋見ましたか?凄いお料理がたくさんあって。どれもこれも素敵で手を付けるのが勿体ないと思ってしまいました。」
提督「結婚式だからな、そら豪華になるだろうさ。確かに見るのもいいけど食べないと別の意味で勿体ないんじゃないか?」
秋月「それもそうですね…でもやっぱり、あんなお料理私には…」
涼月「秋月姉さん、誰と話しているんですか…?って、提督。お久しぶりです。」
俺と照月が話していると、秋月の姉妹艦であり俺と昔から付き合いがある涼月がやってきた。この子長女に見えるってか長年の付き合いだけどいつ見てもエッチ!
提督「涼月も久しぶりだな。元気にしてたか?」
涼月「はい、提督も元気なようで安心しました。私も手の届かないところまではお守りできませんから…」
提督「自分の身くらい自分で守って見せるさ。いや、まぁ戦う力なんて無いんだけどな~」
涼月は昔からなにかと誰かを守ろうとする。いわゆる艦の記憶というのの影響らしいが正直自分の身を挺してまで他人を守ろうとするのはいただけない。
ん?ブーメランだって?黙りなさい。俺は死なないからいいんです。主人公補ry
提督「そういえば、照月と初月は一緒じゃないのか?」
秋月「はい、二人は今結婚式の準備のお仕事をしているんです。」
提督「そっか、それなら邪魔するわけにはいかないな。って、どうした?涼月。」
俺と秋月の会話を聞いて少し笑う涼月に俺は問いかける。なになに?俺どっかおかしい?羽生えてたりしてる?それやべぇな。生えるなら髭だな。
涼月「いえ、昔大和さんに叱られていた提督が立派になったものだなと思いまして。」
提督「俺だってもう一鎮守府を任される提督なんだぜ?どうだ、カッコよくなったもんだろ?」
涼月「えぇ、本当に見違えました。ですよね、秋月姉さん。」
え?マジで?冗談半分でてっきり全然変わって無い的なセリフを期待してたんだけど?俺イケメンになってんの?
秋月「え!?えっと、そうだね。前より男前になったと思います!」
唐突に振られた秋月までそう言ってくる。やめろ!お世辞とわかっていても思わず調子に乗って翔鶴に告白するか考えちまう!
青葉「うわぁ…またナンパしてる。って、秋月さんたちでしたか。」
秋月「青葉さん、確か式のレポートを任されてるんでしたっけ?」
青葉「そうなんですよ~、久々の青葉っぽい仕事でモチベガン上がりですよ!」
翔鶴「提督、すいません勝手にお傍を離れてしまって。」
青葉と秋月が話し始めたと思ったら、後ろから翔鶴が話しかけてくる。
提督「気にしないでいいさ、青葉に連れ去られたようなもんだしな。」
翔鶴「それにしても、提督は随分と艦娘の知り合いが多いのですね。確か私たちの鎮守府が初着任と聞いていたのですが…」
提督「あぁ、まぁ親父の仕事の関係上元帥の鎮守府にいることが多くてな。それで仲良くなったんだよ。」
翔鶴「そうだったんですか。」
もういい加減、本当のことを伝えてもいいような気がしてきたがここまで隠したのをばらすのも勿体ないと思い適当に誤魔化す。
秋月「あ、そちらの方が提督の鎮守府の艦娘さんですか?」
そんな風な話をしていると、青葉との会話を終えたらしい秋月と涼月がこちらにやってくる。
翔鶴「はい、提督の鎮守府に所属している正規空母翔鶴です。よろしくお願いします。」
秋月「私は防空駆逐艦の秋月です。それと…」
涼月「その姉妹艦である涼月といいます。以後よろしくお願いします。」
三人が自己紹介を済ませて頭を下げる。なんかこう知り合いと知り合いが挨拶してると変な気分になるね。うん。
秋月「そ、それでその、翔鶴さんは提督の彼女さんだったりするんでしょうか…?」
翔鶴「へ!?いえいえ、そんな私はただの護衛ですよ!彼女だなんて…」
翔鶴の返しに秋月が少しほっとしたような表情をする。なんだなんだ俺に彼女が出来てはいかんのか!
司会「皆さま、盛り上がっているところ申し訳ございません。まもなく新郎新婦の入場となりますのでご着席くださるようお願いいたします。」
青葉「どうやら、時間のようですね。提督、私たちの席はあっちなんでまた後で話しましょう。」
提督「あぁ、了解。ガッサとも話したいしな。それじゃ翔鶴俺たちも席に行こうか。」
翔鶴「はい、提督。」
そうして、俺と翔鶴は名前の書いてある席に向かった。
ー隊長視点ー
『第一分隊、目標地点アルファを制圧しました。』
『第二分隊、目標地点ブラボ―を制圧しました。制圧の際、交戦状態に陥りテロリストのうち一人が死亡。こちらは一人が足に銃弾を受け負傷しました。』
『第三分隊、式場内の怪しい人物を確保。所持品から凶器を確認直ちに連行します。』
『第四分隊、目標地点チャーリーにて三名を確保。対象の銃器の保持を確認。こちらの被害はゼロです。』
隊長「了解した、現状大方作戦どおりだ。第五分隊及びそれ以降の分隊各員は指定ポイントの防備を固めろ。」
隊長「第二部隊は待機している第十三分隊と持ち場を変われ。今回ばっかは失敗なんて許されねぇから気合い入れろよ。」
『了解しました。』
少し小太りの男「お前は一体…」
先程俺が捕縛した男が俺に話しかけてくる。ここは式場の近くにある見晴らしのいいビルだ。
隊長「ただの憲兵隊長だよ。お前らみたいな下らねぇことしようとする奴らを懲らしめんのが仕事さ。式のごちそうを我慢してな。」
俺はそう言って手錠で行動を制限している男を思い切り蹴る。汚い声がその場に響く。
隊長「いい加減全部ゲロッちまったらどうだ?そうしてくれたらもう痛い目には合わなくて済むんだぜ?」
少し小太りな男「だから、さっきから言ってんだろ!俺は雇われただけゲフッ…」
隊長「雇われて人を殺そうとするところから気に喰わねぇんだよ。お前らこいつをどっかで尋問しとけ。」
分隊員「了解しました。おい、こっちに来い。」
隊長「はぁ、こんな仕事俺の管轄じゃねぇだろ絶対。憲兵は警察じゃねぇんだぞ…」
部下と男がいなくなるのを確認してからそんな風に愚痴をこぼす。といっても旧友の頼みじゃ断るわけにはいかなかった。
ことの発端は三日前にかかってきた電話まで遡る。
元帥「俺を守ってくれないか?」
隊長「は?なにするつもりなのお前?」
元帥「結婚式。」
隊長「なにから守れってんだよ。」
元帥「俺が結婚するのは大和だ。これで理解できるか?」
俺は元帥の一言ですべてを理解する。なんでこうこの男は毎回厄介ごとを運んでくるんだろうか。
隊長「別にいいけど、上に話を通すのは相当難しいと思うぞ?完全に憲兵の仕事の範疇を超えてる。」
元帥「それなら問題ない、憲兵司令には許可を取った。」
隊長「そいつぁ仕事が早くて結構なことで。一応、言っとくが絶対とは言えないぞ。」
元帥「そんなのわかってるさ。もしどうしようもなくなったなら大和と提督のことだけ頼む。」
隊長「はいはい、請け負いましたよ。それで俺が使える人数は?」
元帥「百だ。」
俺は元帥の返答に思わず吸っていた煙草を落としかける。
隊長「な、お前、百!?そんな数俺動かせねぇぞ!?」
元帥「大丈夫だろ、そんじゃ当日は頼むぞ。ボディーガードさん。」
そこまで言って電話が切れた。これもしかしてやばい案件引き受けたのでは…?と気づいたのはその直後だった。
隊長「でも、いざやってみると百人でも足んねぇもんだな…」
武蔵「そんなことを言いつつ随分とうまく制圧してるじゃないか。相棒よ。」
俺の独り言に武蔵が答えてくる。武蔵は以前戦闘中に艤装を失い艦娘として戦えなくなった艦娘だ。
最初は解体のために元帥のもとに送られてきたのだが、元帥がその運動神経や判断力の有能性を見抜き俺の部下として配属した。
俺は立場上実際に艦娘と接する機会は少なかったので最初は戦えるのかなんて心配したが、実際に作戦を共にした結果俺なんかより全然優秀だった。
それで少し自分に自信を失ったのは仕方ないのだろう。
隊長「こちら側に負傷者が出ている時点でうまいかどうかはわかんねぇけどな。」
武蔵「そう言うな、死んでいないなら問題ないだろう。とりあえず付近の指定ポイントは制圧したぞ。」
隊長「まぁ、確かにこんな仕事していたら、生きてるだけでも儲けもんなのかもな。ありがとよ。」
俺はそう言って煙草に火をつける。先に準備しておいた式場を狙撃できそうなポイントは制圧が完了した。
上空もレーダーで確認しているうえ、爆破物の点検も済ませている。これなら恐らく問題は無いだろう。
武蔵「相棒よ、火をもらってもいいか?」
隊長「ん?ライター持ってないのか?ほれ。」
武蔵「いや、ライターは必要ない。そこに既に火があるじゃないか。」
武蔵はそう言って俺の煙草の先端に自分のくわえた煙草の先端をつける。いわゆるシガーキスってやつだ。中々火がつかないので長時間煙草を近づける羽目になった。
そうして、二人で煙草を吸いながら式場を見る。俺はふと思ったことを口に出してみる。
隊長「まぁ、俺たちみたいな手が汚れちまって洗い落とせないやつらはこういうとこのがお似合いなのかもな。」
武蔵「ふっ、私と二人きりでは不満か?」
隊長「いや?俺としては大歓迎だね。」
そのまま、俺と武蔵は煙草の煙を吹かすのだった。
ー提督視点ー
盛大な拍手の中、新郎新婦っつうか親父と大和さんが入場してくる。
え、待って?大和さん滅茶苦茶綺麗なんだけど?え、結婚したい。いや、落ち着け俺あの人これから俺の義母になる人だよ!?
親父の方は…うん。親父だわ。うん。いや、まぁ別人だったらびっくりだけどね?
二人が並んで歩いて行く。なんだか俺の想像していた結婚式とは違う気がするがまぁいいとしよう。
そのまま前のほうに歩いて行き。神父のような人の前で立ち止まる。
そして神父が色々あーだこーだ言っている。永遠の愛を誓うだのなんだの。いったい何人の人間が誓いを破っているのやら。泣きたくなるわ。
元帥・大和「はい。」
そうして、元帥は大和さんの左手薬指に指輪をはめ誓いのキスをする。ヒューヒュー!とか言いたいけどさすがにこの空気では無理ですね。
俺はその光景が少し羨ましく思えた。誰かと互いに特別な存在になるということ、それが結婚だ。
他は知らないが、あの二人はきっと離れることは無いだろう。あの照れたようでとても幸せそうな笑顔が全てを物語っている。
不意に瑞鶴が脳内を過ぎる。いやいや、待て俺ナイフ常備の妻と屋根の下で二人きりとか怖すぎだっての。
しばらくして、式は場所を移し披露宴へと切り替わった。
司会「それでは、披露宴を開始させていただこうと思います。最初に新郎新婦から一言ずついただきましょう。」
結婚式とは違い、料理などの準備された披露宴会場は少し柔らかい雰囲気が広がっている。
元帥「えー、その、こう改めて言うのも変な話ですが。この度はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。」
そうして始まった元帥の挨拶は一言どころか大和さんとの馴れ初めから現在までを長々と語っていた。
誰もが一言じゃないんかい!と心の中で突っ込んでいたが恥ずかしそうに話す親父にそんな野暮なことを言う人間は誰もいなかった。
話し終えた元帥が大和にマイクを渡す。しかし、大和さんは言いたいことは全部夫が言ってしまいましたのでなんて皮肉を言って笑いを取っていた。
司会「では、早速夫婦でケーキカットをしていただきましょう!」
司会の合図に合わせて大きなケーキが二人の前に運ばれる。いやぁ、なんか複雑な気分ですね。俺完全に蚊帳の外にいる気分で寂し…
俺がそんな風にくだらないことを考えていると、部屋の端に不審な男性を発見した。見た目は不審では無いのだが、ナイフを今隠し持ったような?
表情も場にそぐわない、思いつめたような顔をしている。嫌な予感しかしないねぇ…ちょっと近づいておこうかね。
俺は目立たないように不審な人物のほうに近づく。その時、照月が不審人物に話しかけた。
照月「あの、ナイフ持ってどこに行くんですか…?」
話しかけられた男性の表情が一変し、照月に向かってナイフを!?って待て待て待て!
提督「照月ッ!」
俺は思い切り地面を蹴り、照月を庇うように押し倒す。ナイフは誰にもあたることは無かった。
丁度新郎新婦のケーキカットで盛り上がっているため、誰も気づいていないようだ。
提督「おい、あんた。なんのつもりだ?」
男性「お前らのせいだ…お前らのせいで俺の息子が…」
こいつはなにを言ってるんだ?息子?そこまで考えて俺は一つ思い当たる節があった。そう、あの少年だ。
俺は思わずあの光景を思い出し、吐き気を催す。そのせいで再度襲い掛かる男に対応できなかった。
少将「元はと言えばお前が悪いん……」
しかし、男性が振り上げたナイフは俺に刺さることは無かった。何故なら男性が手刀で気絶させられたからだ。
初月「大丈夫か?提督。」
提督「あぁ、助かった。ありがとうな。」
俺は差し出された初月の手を取り、体勢を立て直しながらお礼を言う。
初月「照月も大丈夫か?怪我は?」
照月「提督が庇ってくれたから大丈夫。でも、この人どうしたんだろう息子って言ってましたけど…」
提督「とりあえず、警備の人に引き渡すとしよう。俺も心当たりが無いしな。」
実際は心当たりが大いにあるのだが、ここで下手に騒ぐのも愚策だと判断し倒れている男の身柄を警備の人に引き渡す。
提督「久しぶりの再開だってのに、こんなことになるとはな。」
初月「あまり驚きはしないがな、昔から提督はなにかとトラブルを起こしていたし。」
提督「俺としては平和に生きていたいんだがねぇ…」
照月「さっきは助けてくれて本当にありがとうございます!物凄い剣幕で押し倒されて少しびっくりしましたけど…」
提督「驚かせたのならごめんな、俺も焦っちまってさ。」
照月「いいのいいの!守ってくれてありがとね!」
この二人は秋月の姉妹艦で俺の昔から仲がいい艦娘だ。特に初月の方は物静かで話しやすく悩みなどを聞いてもらったりした間柄だ。
逆に言うと、俺の黒歴史を知っているということになる。
司会「それでは、一度新郎新婦のお色直しを挟んでから乾杯としていこうと思います。それと、提督さんはホール裏手の方に来ていただくようお願いします。」
そのまま、少し話そうとしていると司会の人に呼び出された。恐らくさっきの件だろう。
提督「ごめんな、ちょっと呼び出されたから行ってくるよ。積もる話はあとで秋月たちも一緒に話そうぜ。」
照月「はい!お気をつけて!」
初月「了解した。」
そして俺は呼び出しを喰らった場所に向かうのだった。ちなみに、翔鶴は突如姿を消した提督を探し回っております。
隊長「よう。久しぶりだな坊主。」
提督「隊長さんも来てたんですね。お久しぶりです。」
隊長「まぁな。つっても仕事なわけだが。」
提督「なるほど、やけにスムーズに式が進行してたのは隊長さんたちのお陰だったんですか。」
隊長「まぁな、んで外の見回りしてたら突然呼び出されたってわけさ。まあ、結婚式中あいつに変な話させんのも悪いし仕方ないんだろうがな。」
この人は親父の親友で憲兵の隊長だ。小さい頃から遊んでもらったりしていたので叔父さんのように思っている。
隊長「まぁ、なんとなく察してるかもしれないがさっきお前たちを襲ったのは少将だ。えっと、どこまで聞いてる?」
提督「例の件で少将の息子が死んだことくらいですかね。」
隊長「あぁ、まぁあんまこの祝いの場でそういう話はしたくないからちゃっちゃと言っちまうと少将が言うにはその息子の死がお前さんや元帥のせいだと考えてるみたいだ。」
提督「まぁ、一番恨むべき相手は死んじまってますからね。」
隊長「そうだな、まぁ少将のことは適当に理由つけて牢にでも入れて置くさ。悪いな呼び出したりして。」
提督「気にしないでください。こちらこそわざわざありがとうございます。」
隊長「そう肩に力を入れなくていいぜ?お前は俺にとっても息子みたいなもんだしな。それで、最近は元気にやってるのか?」
提督「なんか色々ごちゃごちゃでもうお手上げな状態なんだよね…」
隊長「ほれ、おっさんに話聞かせてみなされ。」
提督「いーや、遠慮しとくよ。話して解決するもんでもないしね。」
隊長「それ気になって眠れなくなるやつじゃねぇか。まあ頑張れよ坊主。お前は俺たちと違って先は長いんだからな~」
提督「肝に銘じておくよ~」
俺は手をひらひら振りながらそう言い、その場を後にした。
少将の息子、俺の目のまえで殺されたあの少年。やはりこればかりは永遠になれないのだろう。心を蝕むような無力感は。
提督「畜生が。」
俺は一人歩きながら、小声でそう溢すのであった。
司会「それでは、新郎新婦のお色直しも終わりましたので乾杯の挨拶を頂きましょう。お願いします。」
元帥「ええ、ごほん。今日は皆さま遠慮せずに食べて飲んでください。乾杯!」
一同「乾杯!」
親父の合図で一斉に食事を始める。俺は賑わう集団の中から翔鶴を探し、声をかける。
提督「翔鶴、一緒に何か食べないか?」
翔鶴「あ、提督!もう勝手にどこかに行ってしまったので心配したんですよ!」
提督「ははは、そいつはごめんな。懐かしい顔を見つけたもんでなつい…」
俺は翔鶴から離れた行動に適当な理由をつける。もし自分が見失っていた間にあんなことがあったと知れば翔鶴は自分を責めるだろう。
翔鶴「ご無事ならそれで結構です。とはいえ、次からは一声かけてくださいね?」
提督「あぁ、了解した。」
いっそ、嫁として俺を束縛してくれて構わないんですよ?ヤンデレ翔鶴とかちょっと見てみたい!
翔鶴「では、私たちもお料理を頂くとしましょうか。」
そうして、俺と翔鶴は適当な食べ物を置いてある紙皿にとって席に着く。すると誰かが肩を小突いてきた。
衣笠「提督おっひさ!ガッサさんだよ覚えてる?」
提督「おお、ガッサか。忘れるはずないだろ?久しぶりだな。青葉は一緒じゃないのか?」
衣笠「青葉もすぐに来ると思うよ~なんかあっちからいい匂いがします!なんて言ってチキンのほうに走ってったから取ったら戻ってくると思う。」
提督「そうか、んじゃ一緒に食って待ってるとしようぜ。こちらが俺の鎮守府の翔鶴だ。」
翔鶴「正規空母の翔鶴と申します。よろしくお願いします。」
衣笠「私は重巡洋艦の衣笠さんです!気軽にガッサなんて呼んでください。」
そして、ガッサが円形テーブルの丁度俺の正面に座る。なんつうかガッサさんってこう謎の魅力があるのよね。男ならわかると思うの。
とはいえ、長年一緒にいる相手に今更変な感情が沸くことも無いので適当な世間話をして青葉を待つ。
すると、また後ろから声をかけられる。
秋月「提督、ご一緒してもよろしいでしょうか?」
提督「ん?」
俺がピザを加えながら振り向くと、そこには秋月たち四姉妹が揃っていた。
提督「別にいいけど、席足りるかね。」
初月「近くの空いてるテーブルから拝借すれば問題は無いだろう。」
涼月「では、私がお借りしてきますね。」
そうして、七人席が出来上がった。俺以外全員女!これハーレムやないかい!誰でもいいなら俺は全員選ぶ。選んでないですね。はい。
まぁ、各々適当に話していると待ち人がやってきた。
青葉「おお、これが女たらしの形成したハーレム…」
提督「なんちゅうこと言ってんだお前は。俺なんかがハーレム作れるわけないだろうが。ほれ、とっとと座れっての。」
秋月「はーれむとはなんですか?」
不思議そうに言う秋月に横に座るガッサが耳打ちをする。すると秋月が少し恥ずかしそうに俺を見てきた。
いや、誤解だ。俺はそんな女たらしじゃないぞ。てかガッサさんなんでにやけてんの?なにを教えたの?
照月は秋月と似たような反応だが、初月と涼月はなんかこっちを笑顔で見てる。なんぞ!?なんぞ!?
提督「そんなことより、お前たちは皆仲良くやってんのか?」
青葉「特に変わりないですね。一部の艦娘が提督に会いたいとか騒いでるくらいじゃないですか?」
提督「俺に会いたいやつね?物好きな奴もいるもんだな。」
青葉「その物好きな奴ならここにもひと…もごもご…」
なにかを言おうとした青葉の口を秋月が塞ぐ。え?なになに?気になる。
秋月「そ、それより提督ですよ!提督こそ新しい鎮守府でなにかトラブルがあったりしませんか?」
秋月が何かを誤魔化すようにそんなことを言う。なるほど、俺に会いたがってたのはお前か。意外だな。
提督「トラブルなぁ…なんかあったっけ?翔鶴。」
翔鶴「逆にトラブルしかない気もしますね…提督をお守りできなくて不甲斐ないです。」
提督「んなことは無いさ、今ここに五体満足で生きてんだからいい方だろう。翔鶴はよくやってくれてるさ。」
俺は少し落ち込んでしまった翔鶴にそう言う。完璧な励ましじゃね?これ好感度上がったっしょ!といっても周りに身内がいるからこそできる芸当なのだが。
翔鶴「そう言ってもらえると気が楽になります。」
そうして食事してるうちに、披露宴のプログラムが終了した。
司会「これにて、結婚式及び披露宴を閉式とさせていただきます。写真撮影などはご自由に行っていただいて構いません。」
司会「長い時間お付き合いいただき誠にありがとうございました。スタッフ一同新郎新婦の幸せを祈っております。」
そうして、式は終わった。どちらかというと同窓会にでも参加した気分だったな。途中から結婚式って忘れてた☆
秋月「提督、今日は久しぶりにお話しできて楽しかったです。」
式場を後にしようとする俺に秋月が話しかけてくる。
提督「俺も楽しかったよ、これからはちょくちょく顔を出すことにするさ。」
秋月「本当ですか?」
提督「嘘はつかないさ、また昔みたいに一緒に人生ゲームでもしようぜ。」
秋月「はい!」
俺は秋月の笑顔に手を振って式場を翔鶴と共に後にする。別に秋月の笑顔に惚れかけたとかないからね?本当だよ?
とはいえ、実際に親父をあまり祝えなかったのは申し訳ないな。
まぁ、海軍の関係者も多く参加しているこの場で俺が下手に親父と接すると贔屓に見られたりと問題があるので仕方がないのではあるが。
どうでもいいけど、これ親父と大和さんが今後パコパコすんだよね…なんて考えながら俺は翔鶴と共に親父の手配した帰りのタクシーに乗り込むのだった。
車窓から外を眺めながら先ほどの少将のことを思い出す。愛するものを奪われた悲しみを誰にもぶつけられないことの苦しみは知っている。
それが、どれだけ人を狂わせてしまうかということも。俺は誰よりも知っているのだ。
だからこそ、このどうしようもない胸の痛みが消えない。もっとなにか方法があったんじゃないかと、少年を生き延びさせる方法もあったんじゃないかと。
でも、もしそれを思い付いたとしても今更後の祭りなのだ。俺はタイムマシンなんて持っていないのだから。
翔鶴「提督?どうかされたんですか?」
提督「ん?いや、別になんでも無いさ。」
翔鶴「そうですか、その差し出がましいお願いなのですが。少し寄り道してもよろしいでしょうか?」
提督「どっか行きたいとこがあるのか?」
翔鶴「はい、少し夕日を見たいと思いまして。」
俺は運転手さんにルームミラー越しにアイコンタクトを取る。すると運転手のおじいさんは静かに頷いてくれた。
すげぇ、なにこの意思疎通感。いやまぁ、おじいさんと意思疎通できてもあんま嬉しくないけどね?
少しして、丘の上にある静かな展望台のような場所に着く。やべぇよタクシーのおじいちゃん。あんたイケメンだよ…
翔鶴がタクシーから降りて展望台を見上げている。俺はタクシーの窓をノック運転手さんに声をかける。
提督「わざわざありがとうございます。」
運転手「いえいえ、ここは若いころ私が告白に使った場所なんですよ。お若いんだから頑張んなされよ。」
そう言った後、運転手さんはここで待っていますねと言って窓を閉めてしまった。え?おじいちゃんなんかすごい歴戦の猛者っぽいけどモブだよね…?
翔鶴「提督ー、速く登りませんか?」
提督「悪い悪い、今行くよ。」
そうして、俺と翔鶴は展望台を登るのだった。
展望台と言っても大きなものじゃない、少し古臭い階段で少し登れるだけの場所だ。
とはいえ、そこから見える景色は綺麗なものだった。なるほど確かに告白にはもってこいといったところか。
翔鶴「やっと二人きりになれましたね。」
人気のない展望台で翔鶴がそんなことを言う。え?待って?心の準備がまだ…いや、全然ウェルカムなんだけどさ?
提督「そうだな。」
俺はなにを言えばいいのかわからず不愛想に答えてしまう。あぁぁ、またコミュ障になるぅ…もう本当に学校で数学よりコミュニケーション教えてくれよ…
翔鶴「今日は提督と二人きりになる時間が多いと思って結構気合い入れておめかししたんですよ?」
翔鶴「それなのに、提督ったら綺麗な人を次から次へと連れてくれるんですもん。」
提督「それは、なんか…ごめんな。」
待て待て、完全に翔鶴ルートやん。そのまま裏ルート解放姉妹修羅場endですねわかります。アカン!俺大ピンチ!
翔鶴「だから、少しだけ私の質問にまじめに答えてください。」
翔鶴は俺をまっすぐに見つめてそう言う。その表情は決意に満ちたような表情だった。
翔鶴「提督は、誰かを愛する気持ちはありますか?」
提督「それは、どういうことだ?」
翔鶴「見当違いでしたらすみません、提督はどこか私たちとの関係に境界線を引いているように感じるのです。」
翔鶴「どこか、親密になりすぎるのを拒んでいるような…」
脳内ではそんなことは無いぞ。俺は翔鶴と結婚したいなんていつものテンションで思考回路が回っているが、その言葉は俺の心に刺さった。
まぁ、翔鶴になら話してもいいかと思い。俺はわざとらしく咳ばらいをし、初恋の話をした。
提督「まぁ、なんだ。恥ずかしい話ではあるが。翔鶴がそう感じたのはこれのせいだろうな。俺は単純に誰かを愛するのが怖いんだよ。」
不思議と少し、気が楽になる。最近はなにかとため込んでいたので秘密を話してしまって楽になったのだろうか。
翔鶴「すいません…そんなことがあったとも知らず、ずけずけと…」
提督「気にしないでくれ、俺も話せて楽になったしな。それについ最近知ったんだが鈴谷は生きているらしいんだ。」
翔鶴「へ?」
提督「なんでも昏睡状態で入院していたらしい、最近リハビリが終わったんだってさ。」
翔鶴「それは…喜ばしいことですが、個人的には少し困りますね…」
提督「ん?どうした?翔鶴。」
俺は小声でなにかを言う翔鶴に問う。いやぁ、夕日に照らされる翔鶴って最高だね。待ち受けにしたい。
翔鶴「は!?い、いえ、なんでもありません!それで、提督は鈴谷さんに会うんですか?」
俺は翔鶴の問いに思わず口ごもってしまう。会いたい…というのが本心だ。だが俺は、会ってなをするんだろう。
いっそ会わずにいた方がいいんじゃないかなんて思ってしまう。過去は忘れてお互いに新しく始めた方が…
翔鶴「私は会うべきだと思います。そうしないと提督は誰も愛することが出来ないように思うんです。」
そう言う翔鶴を俺は無言で見つめる。誰かを愛するというのは、心を預けるようなものだ。嫌なことに愛が強ければ強いほどリスクも高まる。
だったら、俺は愛なんていらない。それが今の俺の考え方だ。それが一番楽だから。
提督「誰かを愛することってのは必要なのかね。」
俺は呟くように言う。すると、翔鶴は優しい表情で言う。
翔鶴「必要不必要じゃないんです。どんなに辛くても、どんなに怖くてもそれを上回るくらいの幸せを得られるのがきっと愛なんだと思います。」
翔鶴「そうじゃないと、誰も愛することなんてしませんよ。それに…」
翔鶴は不意に俺の耳元に口を近づけて小声で言う。
翔鶴「提督が誰も愛してくれないなら私も瑞鶴も困ってしまいますからね。」
提督「それって…」
翔鶴「それを聞くのは野暮ですよ?あまりお待たせしては申し訳ないですし車に戻りましょう。」
翔鶴はそう言って展望台を下っていく。俺は無言でその背中を追うのであった。
そして現在自室ナウ。いややばいって!あれ告白でしょ!?もうOKした後にプロポーズまでしちまいたいくらいだ!
といっても、俺の好きと翔鶴の言う所の愛は別のものなのだろう。その『愛』とやらを俺は忘れてしまったということだろうか。
愛ってなんだ(哲学)いやまぁ、大体わかってるんですけどね。
いずれにせよ、鈴谷には会わないといけないだろう。俺はスマホで親父に電話をかける。
元帥「はいはい、パパだよ。」
提督「結婚おめでとうパパ。末永く幸せに爆発しろ。」
元帥「爆発し続けろと!?」
提督「そんなことよりさ、一つ頼みがあるんだけどさ。」
元帥「親の結婚をそんなことで済まさないでくれよ…なんだ?」
提督「鈴谷に会いたいんだけど。」
俺は真面目な声でそう親父に頼むのであった。
その、翌日。夕暮れの仕事後、俺は親父に指定されたカフェに来ていた。一人でカフェにいるとなんか気まずくない?
カフェにしては広く、カウンターからちょうど死角になる二人掛けの席に座る。
店内は少し暗めの明かりで照らされていて、思わずうとうとしてしまいそうだ。
とりあえず適当に頼んだコーヒーを少しづつ口に運んで鈴谷を待つ。あー嫌だなぁ…会いたくないなぁ。
どれくらい嫌かというと、家で腹痛でトイレにいるときに目の前の壁に得体のしれない虫がいるときくらい嫌だ。わかりにくいかな?
俺はため息を吐きながら周囲でお茶の時間を楽しんでいる美人を探す。完全に痴漢ですねわかります。
鈴谷「久しぶり、提督。」
そんなことを考えていると、待ち人が声をかけてくる。あの日となにも変わらない。表情も仕草も容姿も。
俺は初めて彼女が生きていると実感する。変な話、嫌なのと同時に会いたいとも思っていたのだ。初恋ってそんなもんじゃない?
提督「あぁ、久しぶりだな。鈴谷。」
鈴谷は俺の対面側に座る。
鈴谷「へへへ、驚いたでしょ?」
提督「驚いたでしょじゃねぇよ、散々苦しめやがって。これでも怒ってんだぜ?」
鈴谷「ははは…それは本当にごめん…」
提督「なんで、死ぬつもりだったのに俺に好きなんて伝えたんだ?」
俺は昔の謎を一つずつ解き明かすことにする。わからないなら本人に聞くのが一番だ。
カンニングは学生では禁止されているが、社会に出てしまえば答えがあるのなら見るのが正しい生き方だ。
鈴谷「なんでだろうね、多分提督に忘れないで欲しかったんだと思う。インパクトにはなったっしょ?」
提督「なったっしょじゃねぇよ、本当に人がどんだけ…」
俺は鈴谷にチョップしながらそんなことを言う。目から何かが溢れそうになる。あぁクソ、止まれ。
鈴谷「本当にごめんね…鈴谷自分のことしか…って提督?」
提督「うっせぇ、こっち見んな。」
情けない話だが、俺は少し泣いてしまっていた。これまた情けない話だが、俺は嬉しいらしい。鈴谷と再度こうして話せることが。
たったそれだけのことが。
鈴谷「ははーん?鈴谷とまた話せて感極まっちゃったのかな…ってあれ…?」
俺がパパっと涙を拭って鈴谷を見ると、鈴谷も泣いていた。ははーん?俺とまた話せて感極まっちゃったのかな?
甲斐性の無い俺は、鈴谷が泣き止むのをただ静かに待つのであった。
しばらくして、鈴谷も落ち着いたようなので俺は会話を再開する。
提督「これは返答次第ではぶん殴るけど、もう死のうなんて考えてないよな?」
俺の質問に鈴谷は少し悲しそうな顔をする。そして、口を開く。
鈴谷「結論から言うともう死ぬ気は無いよ。都合のいい話なんだけど聞いてくれる?」
提督「いいぜ。真面目に聞くかは内容次第だな。」
鈴谷「じゃあ、話すね。鈴谷さ結構危ないところまでいったじゃん?」
鈴谷「だからなのかわからないけれど、トンネルみたいなところに行ったんだよね。そしたら片方からは熊野たちの声がして、もう片方からは提督の声がしたの。」
人は死にかけるとトンネルに行くなんて言われている。そこで死者の声がする方に向かうと死。生者の声に向かうと生き残れるらしい。
これはただの都市伝説だが、生と死の狭間を経験した人が数人が似たようなことを言っているため信憑性が高いなんて言われている。
ちなみに、俺も経験あり。
鈴谷「それでね、提督には合わせる顔が無かったから鈴谷は久しぶりに熊野たちに会いに行こうと思ったんだ。」
いや、なにしてんだお前。なに死ににいってんだおいおいおい。
鈴谷「…でもね、そしたら熊野やもがみんがこっちにはまだ来ちゃダメって言ってた気がしたの。」
鈴谷「ただの夢で、本当は自分勝手な妄想なのかもしれない。でもね、鈴谷はそう思えなかったの。だから必死に呼んでくれてる提督のほうに向かったんだ。」
べ、別に必死に呼んだりしてないし?それお前の妄想だし?脳内ツンデレとか誰得…
鈴谷「そしたら、目が覚めて。鈴谷は生きてたの、提督ってば凄く遠くて時間いっぱいかかっちゃったけどね。」
鈴谷はそう言って俺に笑顔を見せる。かつて俺が魅入られた表情。守りたいなんて思って自分の無力を実感させられた表情。
俺は今、彼女になんて声をかけるべきだろうか。いや、迷う必要なんて無いか、思いつくのは一つだけだ。
提督「おかえり、鈴谷。」
鈴谷「うん、ただいま、提督。」
そうして、俺と鈴谷は再開を果たしたのだった。
とりあえず、俺は今俺がなにをしているのかを鈴谷に話す。それ以外に話題が無いんです☆
鈴谷「大変そうだね、鈴谷が寝てる間にそんなことに。よくよく見ると確かに提督も前より男前になったような気がする!」
提督「三、四年じゃ大して何も変わんねぇよ。」
鈴谷「それで?提督は鈴谷以外の女を好きになったのかな~?」
提督「好きとは言い切れねぇけど気になる子はいるぞ。お前はもう嫌いだ嫌い。」
鈴谷「ははは、嫌われちゃったか…気になる子ってどんな子なの?」
鈴谷は少し暗い表情を見せるが、すぐに切り替えそんなことを聞いてくる。
提督「んー、常にナイフ持ち歩いて俺に攻撃してくるツインテと、頼りになって優しい白髪ロングと、めっちゃ可愛い白髪ツインテ。」
鈴谷「後の二人はわかるけど最初の人って気になるの意味が違くない!?」
提督「確かにな、つっても正面切って好きだなんて言われたら気になるもんだろ。」
鈴谷「へ、へぇ~…告白されたんだ。ま、まぁ、提督優しいからモテるのは当たり前だよね…うん。」
わっかりやすいなこいつ!絶対お前俺のこと好きやん!ってまぁ、寝たまんまだったんだから当たり前なんだけれども。
提督「モテてるわけじゃないと思うけどな。さっきも言ったが単純に皆優しくされることに慣れてないだけだろ。」
鈴谷「でも、好きなもんは好きなんだよ。」
提督「確かにそうだな。そう理論をまき散らしても無意味ってことか…」
そんな風に俺が返すと、鈴谷は黙り込んでしまう。え?地雷踏んだ!?いや、今の内容地雷になりそうなことなくね!?
鈴谷「ねぇ、提督。私さ提督の鎮守府にいっちゃダメ?」
少しの沈黙の後、鈴谷はそんなことを言う。本音を言うと俺は嫌だ。超嫌だ。だって歩いて喋る黒歴史が近くにいるなんてメンタルきつすぎる。
とはいっても、無言で俺を見つめる鈴谷の表情はそんなネタを期待しているわけではあるまい。最近ネタ少なくない?疲れてきたよ?
どう答えるべきか。断れば簡易的に俺は鈴谷を拒むということになるだろう。受け入れれば要らぬ期待を持たせることになる。
いずれにせよ、傷つけることになるなら早い方が…
鈴谷「提督、鈴谷は諦めてないからね。」
俺が口を開こうとすると、鈴谷がそんなことを言う。後出し反対!てか、人の思考を読まないでくれ!
提督「わかったよ、いいぜ。勝手にしろよ、だけどお前の期待する結末にはならないからな?」
鈴谷「ふふふ、ありがと。してみせるよ!鈴谷の魅力で提督なんてイチコロだもん!」
提督「もう耐性がついたっての。」
そして、まるで昔に戻ったように二人で話に花を咲かすのだった。
親父に鈴谷がうちに着任したいらしいとメールしたら『もう手続き済んでるよ、明日正式に着任ね。』と帰ってきたのだった。エスパーかお前は。
提督「んじゃ帰るか。」
外もすっかり暗くなってしまったので、会計を済ませてカフェから出る。やべぇ…飲みすぎた腹痛い…
しかし、鈴谷が急に俺に抱き着いてくる。
提督「あ、あの鈴谷さん?俺お腹…」
鈴谷「ねぇ提督。やっぱり鈴谷耐えられないよ。提督は鈴谷のものだもん。」
俺がお腹痛いと言おうとすると鈴谷がそんなことを言う。いやね?かなりロマンチックなんだけど腹がね?台無しだね!?
鈴谷「今夜さ…駄目…?鈴谷のこと好きじゃなくてもいいからさ…」
鈴谷はそんなことを言ってくる。すまねぇ、俺は今夜戦よりトイレに行きたいんだけど…
とはいえど、ここでトイレなんていう程俺だって空気が読めないわけでは無い。って、ん?今なんつったこの子。
駄目だ、ここはどうにかそれっぽいことで説得してトイレに行かなければ!
提督「鈴谷。」
俺はそう言って鈴谷を引きはがし、肩を両手で押さえる。その行動に鈴谷が悲しそうな顔をする。
提督「その、なんだ、さっきは嫌いなんて言って悪かった。正直、俺にもわかんねぇんだ。」
提督「少なくとも、俺は今誰かを本気で好きになったりすることは無いと思う。怖いからな。」
提督「ただ、こんな中途半端な気持ちでお前を抱きたくは無いんだ。だから情けない話ではあるが俺を惚れさせてみてくれ、そしたら心置きなく抱いてやるよ。」
鈴谷は顔が真っ赤になっている。うわぁ、こんなん俺のキャラじゃねぇ…いや、背に腹は代えられぬ。今の優先事項はキャラよりトイレだ!
鈴谷「そ、そんな正面切って抱くとか馬、馬鹿なんじゃないの!…絶対鈴谷に惚れさせてみせるから…覚悟しといてね!」
真っ赤になった鈴谷はそう言ってその場を去った。トイレトイレトイレ!
はぁ…良かった良かった。下手したら例の弁護士みたいになるところだったぜ…
俺はそんなことを考えながらトイレを後にする。どうでもいいけどあんなこと言っといて俺童貞なんですよ?ヤベェ恥ずかしくなってきた。
あぁ、死にたい…穴があったら飛び込みたい!なんてこと言ってんだ俺は!?
と言っても、過ぎたことをあーだこーだ言っても仕方が無いので俺は一人帰路に就くのだった。
まぁ、あれだ。今日はいい日だったな。
どうして朝は来るのだろう。永遠に夜ならずっと寝ていられるのに。
いや、夜に働くことになるだけだろ?とかいうマジレスは聞きたくねぇんだ!俺は寝る!
って、今日俺休みだから寝てていいじゃん…やったぜ、生きててよかった、休日万歳!
陽炎「司令!プール行きましょ!プール!」
しかし、俺の休日は扉をぶっ壊しそうな勢いで訪ねてきた陽炎によって消されるのであった。もうやだ、僕提督辞めりゅ。
提督「どうしてこうなるのか。」
長門「まぁ、そう言うな提督。あの子たちも楽しそうだしいいじゃないか。」
陸奥「海の時は色々あって楽しめたとはいえなかったものね。」
長門と陸奥が目の前で水着で準備体操している駆逐艦達を見ながら言う。
まぁ、現状を解説しておこう。現在俺と長門、陸奥、他駆逐艦達でプールに来ている。
それなりに規模が大きいところだ。小さいころ流れるプールで逆走とかしなかった?俺メッチャしてた。
朝、俺を訪ねてきた陽炎がプールに行くって約束したじゃんなんて言ってきて、俺は大事な大事な超大事な休日を返上してプールに来たのだ。
まぁ、瑞鶴いない分トラブルは少ないと信じてる。いや、瑞鶴の代わりにまた面倒なのがいるんだけれど。
鈴谷「鈴谷プールとか初めてなんだよね。楽しみー!」
提督「なんでいるんだお前は…」
鈴谷「着任早々プールに行くなんて聞いたら着いていくに決まってるじゃん!」
昨日の今日であんなこと言っといてもう元気とかどうなってんの?羞恥心どっか捨ててきちゃったの?
提督「さいですか、とりあえずお前ら絶対に一人にならないようにな。他の人の迷惑にもならないことと、なんかあったら俺か長門か陸奥に声をかけるように。」
駆逐艦s「了解!」
提督「おーし、んじゃ一回昼飯まで自由行動だ。」
さて、とりあえずこれで俺の仕事は完了だ。鈴谷が鈴谷に声かけるんじゃだめなの!?とか言うてるけど気にしない。
さて、折角来たんだし水着のお姉さんをよく目に焼き付けていきましょうか!水着のお姉さん万歳!ポロリしろゴラァ!
どうでもいいけど、滅茶苦茶足の裏熱い。プールサイドってもう少し冷やしたりできんのか!?
提督「そういえば、休日だってのにわざわざ付き合ってもらっちまって悪かったな。」
俺は長門と陸奥にそんなことを言う。いやぁ、長門さんイケメンなのに胸部装甲は凄いですね。陸奥さんは言わずもがな。
長門「気にしないでくれ、特に予定もなかったしな。あの子達も楽しそうだし保護者役というのも悪くは無い。」
陸奥「長門は子供大好きだものね~。私も気にしてないから大丈夫よ。」
提督「そう言ってもらえると助かるよ。二人も折角着替えてるんだし駆逐艦達と泳いできたらどうだ?」
長門「いや、私にはそれは似合わないさ。それに駆逐艦達も私が一緒じゃ楽しめないだろうよ。」
提督「そんなことは無いだろうよ、俺としてはプールで無邪気に遊ぶビッグセブンってのを見てみたいしな。」
というか、そんな混ざりたくて仕方ないみたいな顔されたらこっちが申し訳なくなるから行って来いよもう。
長門「そうか?そ、それじゃあ私も少し泳いでくるとしようかな。提督が言うなら仕方なくだがな。」
長門はそう言って駆逐艦達のほうに歩いて行く。あ、飛び込みおった。
監視員「そこの方、飛び込みは辞めてくださいね。」
怒られとるぞ、それでいいのかビックセブン。別にいいかビックセブン。どうでもいいわビックセブン。
陸奥「長門が心配だから私も行ってくるわね。」
提督「あぁ、長門もだが駆逐艦達もお願いするよ。」
陸奥「えぇ、お姉さんに任せといて。」
陸奥さんはウインクをしながらそう言って歩いて行く。後姿エッロ、思わず周囲の男の視線確認しちまったぜ…あれは俺の尻だかんな!違うけど!
鈴谷「提督~水着の鈴谷と二人きりだよ?ふっふっふ、魅力的でしょ?」
提督「なにが魅力的だよ。昨日顔真っ赤にして逃げてったやつが。」
まぁ、魅力的ですよ?はい、だから股間が反応しそうなのは仕方がない。でも水着で反応したら人生終わるから耐えてくれ頼む。
鈴谷「な!?それは提督が変なこと言うから!」
提督「はいはい、そうですね。んなことよりお前は泳がなくていいのか?プール初めてなんだろ?」
俺は駆逐艦達のほうを見る。え?なんでみんなしてうつぶせで浮かんでんの?集団死んだフリかなんか?どうしたの?おぉ、皆起き上がった。いや、マジで何してたの?
鈴谷「鈴谷は…プールなんかより提督と一緒にいたいもん…」
なにこいつデレすぎじゃない?あれか?デレインってやつ?コーヒーはどこ?
提督「そうですか。んじゃ、一緒に泳ぐか?」
鈴谷「うん!」
鈴谷の見せる満面の笑みに少し鼓動が早くなる自分が憎いと思いつつも、情けない話だが俺は隣に鈴谷がいることに幸せを感じているのだった。絶対に本人には言わねぇけどなぁ!!!
鈴谷と軽く泳いだ後、俺は漣たちのところに来ていた。
漣「ご主人様~、そっち行きましたよ~」
提督「お前な、公共の場でその呼び方は辞めろって言ってんだろうがっ」
俺は漣にそんな風に言いながら曙い向けてボールを軽く打ち上げる。あのプールで良くやるボールが水に着いたら駄目な奴。名前なんて言うんだろ?
曙「な!?もう少し正確に狙いなさいよこのクソ提督!」
潮「へ!?私!?あ…」
文句を言いながらボールをかっ飛ばした曙のボールを潮が水面に落としてしまった。
朧「これは曙が悪いんじゃないかな、明らかにオーバーパスだったし。」
漣「そだね、んじゃぼのたん罰ゲームってことで☆」
曙「な、確かに私が吹っ飛ばしちゃったのはあるけれどもとはと言えばクソ提督のパスがいい加減だったから!それとぼのたん言うな!」
漣「それじゃ、二人とも罰ゲームということで~」
徐々にぼのたん言うなが決め台詞みてぇになってんな。って、あれ?なんか俺も罰ゲームな流れになってない?
潮「ごめんなさい、提督。私が取れなかったせいで…」
提督「気にすんな、確かに俺のパスが悪かったのもあるからな。」
こんな健気に謝る少女に罪を押ししつけるなんて俺にはできないよッ。ついでに頭を撫でてあげよう、別に下心とか無いからね!ついでにその豊満な胸も…下心しかないじゃん☆
漣「それじゃ、罰ゲームはあちらです☆二人っきりで行ってらっしゃいませ!」
そう言って漣が指さしたのはここいらで一番長いと評判のウォータースライダーだった。うぉーすっげーでっけー(脳死)
曙「え…」
漣「おやおやぁ?ぼのたん怖いんですかなぁ?別にギブってもいいんだぞ☆」
曙「な、なによ、ウォータースライダーくらい余裕よ!」
俺はその力強い台詞を聞いてとりあえず、入り口付近に移動する。
こういったものは良く行列が出来ているものだが、ここはそのような長い列が見られない。待って、そんなにやばいの?俺死んじゃう?
散々色々生き残ってきたのに遊具で死んだら絶対成仏できないと思うわ。ははは。
とりあえず、少し並んでいる列の最後尾に着く。ばっしゃーん!列のすぐそばにあるスライダーの終了地点でとんでもない水しぶきが発生する。
は?いや、お前隕石か?は?落ちてきたカップル男の方白目向いてんぞ、これ遊具として大丈夫なんか???
それを見て流石に動揺したのか、曙が俺の手首を握ってくる。
提督「大丈夫か?怖いようなら漣に言えば多分無理にやらせたりするような奴じゃないと思うけど。」
曙「べ、べつに大丈夫よ。これくらい、クソ提督こそ実は怖がってんじゃないの?」
あー、しまったこういう子にあの言い方は不味かったな。ちなみに曙さんとっても顔色が悪いです。足も震えていらっしゃいます。隠せてると思ってんのがびっくりだよ。とりあえず手を握っててやるかね。
そんなやり取りをしている間も短い列はどんどん進んでいく。どうしたもんかねぇ…
そんなこんなで順番が来てしまった。おいおいおい、死ぬぜ俺たち。
職員「親子でのご利用ですね、ご一緒に滑られますか?」
曙「な!?別に一人で…」
提督「はい、一緒でお願いします。」
俺はとりあえず曙の言葉を遮るようにして職員の人に言う。ここで強がったって意味無いだろうに面倒な生き方してんなぁ。
職員「わかりました。では、二人ともあまり離れないようにしてくださいね。行ってらっしゃーい!」
曙を足に収めるように座って曙に声をかけようとすると職員に背中を押される。鬼か!?いや、ここでやっぱ無理とか言われると面倒だから押すのか!?
どうでもいいけど自分より動揺してる人が目の前にいると落ち着くよね。ぼのたん変な動きしてんぞ。
って、痛い。俺を蹴るんじゃない。どうしよう口開けたら舌噛みそうだしとりあえず後ろから肩をつかんでみる。お、落ち着いたみたいだ。
そのままスライダーを滑る。どうでもいいけど水少ないところって滅茶苦茶お尻痛く…ばっしゃーん!
提督「おへ、ごふぉ、おべるぁ、ぐほっ…」訳(最悪だ、鼻と口に水入りやがった。)
とりあえず、俺は目の前で茫然自失としている曙をお姫様抱っこで回収してスライダーの最終地点である小さめのプールから出る。
提督「ごほっ、ごほっ、曙?大丈夫か?」
とりあえずこれ頭おかしいわ、もう絶対に滑りたくないものランキング俺ん中でナンバーワン。とりあえず美人なお姉さんでも見て英気を養おう。
あ、不味い目が合った。軽く会釈されたぞ?返しとくか。ってなんだ!?
俺が会釈を返すのに失敗したのは、突然なにかが俺に抱き着いてきたからだ。いや、まぁぼのたんなんですけど。
提督「大丈夫か?曙。」
曙「うっさい、クソ提督。もう少しだけこうさせて。」
俺は随分と弱気な声で言いながらお姫様抱っこの状態で俺に引っ付く曙の頭を撫でながら、遠方に見える申し訳なさそうな漣に今はなにもするなとアイコンタクトするのであった。
あれ?漣達こっち来ちゃったぞ!?アイコンタクト失敗!
提督「いてぇよぉ…腰がいてぇよぉ…」
あの後、突然曙に理不尽な蹴りを腰に食らった俺は、長門と駆逐艦数人のところに来ていた。
長門「なにかあったのか?」
提督「いーや、別になんでもないさ。それにしても流れるプールっていいよな。なんもしてないのになんか楽しい。」
長門「そうだな、自分がなにもしなくても体が動くって言うのは新鮮なものだ。」
昔から流れるプールは好きでした。なんでかって?そりゃね?他の人に当たってもゲフンゲフン。これ以上は黙秘します。
時雨「提督、提督もこれに乗ろうよ。」
話しかけてきた時雨は、夕立と一緒にボートのようなものに乗っていた。
提督「おお、そんなのどこから持ってきたんだ?」
村雨「このプールのそばで貸し出ししてたんですよ。夕立がそれを見てたら貸してくれたそうです。」
提督「そっか、んじゃ俺も失礼し!?」
村雨・時雨「へ!?」
夕立「ぽい!?」
皆が悲鳴を上げたのは、俺が乗ろうとしたらボートがひっくり返ったからだ。幸い周囲の人に被害は無いよう…ひっくり返ったボートをちょうど長門が被ってるわ…
提督「四人とも、ごめんな。大丈夫か!?」
俺が皆の安否を流れながら確認しようとすると、時雨が俺に抱き着いてくる。なに!?なんなの!?
提督「急にどうし…時雨「ごめん提督、今は僕から離れないで…」
時雨は顔を真っ赤にさせながらそんなことを言ってくる。なんで!?股間的にすぐに離れた…その時俺は気づいた。気づいてしまった。
時雨の水着が無い。つまり~これは俺に触れてる子の感触は~………………あぶねぇ!一瞬意識なかった!
提督「あーっと、状況は理解した。本当にごめんな。」
時雨「提督のエッチ、こんなことさせたんだから責任は取ってよね。」
責任?あぁ、胸隠すのを手伝えってことだよな。まぁ、何が問題かというと現状俺明らかに年下抱きしめてる変態おじさんなんだよね。
しかも、流れてるから下手にはなれたりできんし。まぁ、周囲の注目はボートを頭にかぶって流れてる長門に行ってるからまだ問題なさそうだ。
なんでボートどかさないんだろう。
時雨「村雨、村雨、僕の水着を探してくれないかい?」
村雨「時雨ったらだいたーんなんて言ってる場合じゃ無いみたいね。少し待っててね。」
とりあえず、とてもやりにくい空気になってしまう。うおお、落ち着けマイ下半身。ここで欲情するとか人間のクズだぞォォオ!
時雨「ね、ねぇ、提督。その、当たってるんだけど…」
あ、死んだ。いい人生でした。てかよぉ?生乳当てられて立たないやつなんていたら病気だよなぁ?俺は正常だぁ!(開き直り)
提督「ごめん。」
時雨「い、いや、そりゃ提督も男の人なんだから仕方ないよ…それに僕としては僕でも興奮してくれるのは嬉しいというか…」
村雨「時雨、持ってきたよ。夕立が見つけてたわ。」
時雨はなにか不穏なことを言っていた気がするが、周囲に隠れて器用に水着を着なおすと俺ににっこりと微笑むのであった。
あえて言おう、あの子が駆逐艦で本当に良かったと。
ふぅ、最高な目に…散々な目にあった。
とりあえずいい時間になったので皆を集めて昼食を取ることにする。人数が人数なので長門たちにも買うのを手伝ってもらった。
そして全員に焼きそばを配布してから食事を開始する。時雨と曙の視線がなんか強いのは何故だろう。ワカラナイナー
鈴谷「ねぇ、提督!なんで鈴谷のこと置いてすぐどっか行っちゃったの!」
おお、お怒りですよ。この人誰が怒られてるんだろう?俺なんだけどさ。
提督「んなこと言ったって、今日はお前は着いてきただけだろ?」
鈴谷「ま、まぁ、そりゃそうだけどさ?放置なんてされたくないじゃん?」
提督「別に放置なんてしてねぇよ。ちゃんと最初に一緒に泳いだじゃねぇか。」
長門「二人は随分と仲がいいんだな?どういった関係なんだ?」
俺と鈴谷のやり取りを見て、長門が言う。なんて言えばいいんだろう、死別した仲?いや、生きてましたね。
陸奥「もしかして、元カノとかかしら?」
その会話を聞いていた陸奥が冗談っぽく聞いてくる。
提督「違う違う、ただ昔少し縁があっただけで。なぁ、す…」
俺が口を紡いだのは、陸奥にドンピシャで言い当てられて顔を赤くする鈴谷が視界に入ったからだ。アカン、その反応はアカン。
陸奥「あら?もしかして正解だったのかしら?ごめんなさいね、冗談のつもりだったんだけれど。」
提督「気にしなくていいさ、まぁ事実だしな。」
陽炎「へぇ?二人はどんなお付き合いをしていたんですか?」
黒潮「うちも気になるな~」
突然どっかから現れた二人にそんなことを聞かれる。不味いな、あまり掘り返されると話が暗くなってしまう。
提督「別に普通の付き合いだよ、ちょっとした事情であまり長くは続かなかったけれどな。」
俺はそう言いながら鈴谷を見る、案の定表情が暗くなってる。全くもうだよ全くもう。化〇語見返そうかな。
長門と陸奥はそれを見てなんとなく察したようだが、陽炎たちは色々聞き出そうとしてくる。
不知火「二人とも、あまり人の過去を掘り返すのは控えた方がいいですよ。それに食事もまだ済んでいないでしょう。」
俺が少し困っていると、不知火がそんなことを言って二人を連れて行ってくれた。イケメンかな?少女ですね。
そういえば、おれあのこのブラ被って胸揉んだんですよね。人間のクズじゃね!?
少し場の雰囲気が悪くなりはしたが、長門や陸奥が話を逸らしてくれたおかげで鈴谷も笑顔を取り戻したうえ、他の艦娘とも喋れるくらいにはなったようだ。
食事を終えた俺たち一行は少し休憩を挟んで再度プールで遊び始める。
俺は一番に不知火のもとに向かった。
提督「不知火、さっきはありがとうな。」
不知火「いえ、誰しも人に言いたくない過去なんてものはありますからね。」
提督「そんなもんかね。」
不知火「はい、でももし司令がそれを話していいと思うようなことがあれば不知火はいつでもお聞きしますよ。」
あぁ、なにこの超絶理想の彼女。もう少し見た目が大人ならプロポーズしてたかもしれん。なんで艦娘って成長しないの!おこだよ!
いや、お婆ちゃんの艦娘が大量とかそれはそれでちょっと嫌だな。うん。
不知火「不知火になにか落ち度でも?」
提督「ん?あ、いや、なんでもなッ…」
俺が最後まで言葉を言えなかったのは、突然上から水が大量に流れてきたらだ。流れるっつうかもう滝レベル。
提督「げほっ、ごほっ、大丈夫か?不知火。」
声をかけながら上を確認する。ここはちょうどあの遊具の上にあるデカいバケツみたいなのから水が大量に流れてくるところだったらしい。
さっき逆側にバケツが傾いてるのを見て勝手にそっち側に流れるものかと思っていたが、どうやら流れる方向はランダムだったようだ。
不知火「私は大丈夫です。司令こそ大丈夫ですか?」
提督「あぁ、俺は大丈…って、お前本当に大丈夫か?滅茶苦茶震えてるけど。」
不知火「少し驚いただけです。心配をおかけして申し訳ありません。」
え?水浴びただけで震えすぎじゃないですか?大丈夫かな?とりあえず、頭を撫でてあげましょう。下心は無いぞ?
しばらくして、不知火が落ち着いた。
提督「どうしたんだ?本当に大丈夫か?」
不知火「はい、お気になさらないでください。」
陽炎「不知火~早く泳ぐ練習の続きをしよって、司令と一緒にいたのね。」
黒潮「それなら司令はんに教えてもらったらええんとちゃう?」
俺が不知火と話していると、陽炎と黒潮が近づいてくる。って、ん?泳ぐ練習?
俺は思わず不知火を見る。すると、不知火は恥ずかしそうに顔をそむけた。なんてこったなにもかもを完璧にこなすぬいぬいにも出来ないことがあるとは…
まぁ、さっき大量の水を浴びて怯えてた原因はそれだろう。
陽炎に練習を手伝ってくれないかと誘われたが、不知火が嫌がっていたので俺は参加せずに三人を見送った。
この後、俺が再度バケツの水を被ったのは秘密にしておこう。
そして現在ヒトロクマルマル、そろそろいい時間だろう。
提督「朝潮、ちょっとシートをたたむのを手伝ってもらってもいいか?」
朝潮「わかりました!」
とりあえず皆を集めるよう長門と陸奥に頼んで俺は荷物をまとめる。
提督「霞と荒潮はそっちの荷物を鞄に詰めてもらってもいいか?」
霞「仕方ないわね。」
荒潮「それくらい朝飯前よぉ。」
まぁ、人数が多かったのであまり一人一人を見てやることは出来なかったが、つうか俺は綺麗なお姉さんを探すので一杯一…ゲフンゲフン…
とはいえ、皆楽しそうだったしあの霞ですら満足そうな表情をしているので来てよかったのだろう。
俺も俺で最近は少しある一人のせいで疲れがたまっていたので良い息抜きになった。
これで鹿島と鳳翔さんと翔鶴がいたら多分俺にとっては天国だったね。
いずれにせよ、もうそろそろ夏が終わる。この寂しいようなまるで何かが終わってしまうような雰囲気が今年は不思議とあまり嫌には感じなかった。
そんなことを考えているときだった。
男性「提督…?」
聞き覚えのある声がした気がして、俺は後ろを振り向く。
提督「兄さん…?」
それが、俺と兄の約十六年ぶりの再開だった。
ー完ー
Part4完結になります!(/・ω・)/
今後は総集編と題した、今までのまとめを投稿した後に続きのほうを書いていこうと思います。
新たに提督のお兄さんが登場、彼はどのように物語に関与してくるのか。そして何より提督と艦娘たちの恋愛の行方は!正直自分も未だに決めかねてますがPart5の方でお会いしましょう!(*'ω'*)
1コメ失礼します!
そっちの本が見つかった提督に同情するよ…
そして川内さんのメイド服いいですね(*´ω`*)
私も更新頑張らないとなぁ…
この時を待っていた
パート4ktkr!
そんでもってメイド服だと…
なんてけしからん!(いいぞもっとやれ!)
更新楽しみに待ってます!
>>風見けいさん、コメントありがとうございます…身内にエ○本見つかった時って真顔になりますよね。
艦娘メイドに癒されたい人生だったです…
>>2コメ様、コメントありがとうございます。待っていてくださるなんて光栄です!これからも頑張るんで、是非よろしくお願いします!
>>3コメ様、コメントありがとうございます。メイド服艦娘に癒されたいです←
頑張って面白い話を提供できるように頑張りますね!
川内のメイド服姿...!?
つまりメイドNINJA!!
メイド服なんてそんなの羨ま、けしからんな!
この前ので一段落ついたけどネタは…あるよね?なかったらやだぞ
あー、最初に飛龍が出てたとこのセリフは誤字?それともあえて?
「飛竜」
≫7コメ様、コメントありがとうございます。メイド忍者最高ですね…しかし、メイド服で忍者のような動きをするとあんなとこやこんなとこが…けしからん!
≫ばんせーさん、誤字指摘ありがとうです!直しときました!
ネタがですねぇ…とりあえず思い付いたの頑張って書きます。面白くなくなったらすいません…
フゥゥウ!
≫11コメ様、ヒャッハー!(錯乱)
今までもネタが…って言うのあっても面白かったから信じてるぞ!(プレッシャー)
あ、あと漣のキタコレはktkrですぞ
≫ばんせーさん、頑張りますよぉ…厳しいですけどぉ…
プレッシャーは駄目…自分死んでしまいます…
漣のも時間あるときかくにんして直しときますね!
ズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイかわいいですね!一緒にお風呂に入りたいだけの人生だった
お仕事の合間に見てるけど瑞鶴可愛い…私の書いてるSSにはきっと書かないと思うからこちらで補充をしますね!
>>15コメ様、一緒にお風呂に入るだけで終わるんですかねぇ…(意味深)
>>風見けい様、コメントありがとうございます。SSで多くのキャラ書きすぎると大変になってしまいますしね(^^;)
補充になるくらい可愛い瑞鶴を頑張って書きます!
>>風見けい様、コメントありがとうございます。SSで多くのキャラ書きすぎると大変になってしまいますしね(^^;)
補充になるくらい可愛い瑞鶴を頑張って書きます!
ズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイズイ (((ง˘ω˘)ว))ズイ
失礼いたしました
>>ばんせーさん!落ち着いてくださ…ズイ (ง˘ω˘)วズイズイ (ง˘ω˘)วズイズイ (ง˘ω˘)วズイズイ (ง˘ω˘)วズイズイ (ง˘ω˘)วズイズイ (ง˘ω˘)วズイ…はっ!?私はなにを!?
艦娘達の浴衣ktkr
これで私も思い残すこと無く…あっちの世界で見守るとします…
そして提督の切り替えの速さは…赤い彗星のザクくらいですかねっ?イヤ以上かな…
今回の更新もお疲れ様でした^^
最後に、川内のアイコンのところの「夜戦」って赤文字かっこいいと思います!
艦娘の願いを叶え隊の方はブラックコーヒーが欲しいよね←ここで話すやつじゃねぇよ
まだ見てない人、見ろよな!(なぜか宣伝)
GNSIがマジなほうでわからん
前作19です。やっぱりツンデレは最高だぜ!加賀さんようやく来たのにズイズイが来ないぃぃぃ(血涙)。今回の更新も面白かったです。次も楽しみにしてますね。
>>風見けいさん、返信遅れました!赤い彗星の提督…三倍速で動くんですかね(錯乱)
アイコン作ってみるとしますかぁ!
>>はんぜーさん!あっちはさらに砂糖マシマシでやって行きますよ( ̄▽ ̄)
宣伝ありがとです!ちなみにGNSIは艦娘ではなく…
>>25コメ様、再度コメントありがとです!自分は翔鶴姉来ました!!!
無心で建造すればきっと来ます…信じるのです…更新は頑張りますん!
さっすが元帥家上げるとかやばスギィ
ていうか瑞鶴云々の所で出てくる彼女って言う表現はもしや夜(意味深)がこれからな人だったり?と思ったけどわからんので推測はやめた
サバゲーマンです
久しぶりです更新ご苦労様です。最近は、雨が多くなりましたね~ゲリア豪雨がありましたね。雷もすごかった。
体調に気を付けてください。次回の更新楽しみにしています。
おつかれ様です!相変わらずの更新頻度には驚きです!無理しないようしてゆっくり休んでください。そしてまた面白いssを書き続けてくださいね。
>>ばんせーさん!返信遅くなりました!
彼女が誰なのかは、今後の展開にご期待くださいませ!元帥って実際年収いくらくらいなんでしょうね?
>>サバゲーマン様、お久し振りです。天気が不安定でなかなか服装などにも困ってしまいますね。
自分でも無理のない程度に…とは思ってるんですけどやはり皆さんに楽しんでいただけると思うと頑張りたくなってしまって(笑)
>>Nerine様ありがとうございます!執筆の速さのみが自分の強みだと思ってるくらいです!
休んでしまうと時間が減って面白くなくならないか心配ではありますがそう言われると身にしみますね…今後も無理の内容頑張らせていただきます!
お?更新されてる(嬉しい
続きも頑張ってね!
1から4まで見てしまった
面白い!続き期待してます!
そして愛宕が登場する予定はありますか…?
更新お疲れ様です~
なんだか鈴谷といい雰囲気が出てるけど、ただの添い寝だから健全ですねっ!
>>叢雲 改さん、コメントありがとうございます。毎日更新していくのでこれからも是非読んでみてください!
>>36コメ様、ありがとうございます!一気読みお疲れ様です<(_ _)>
愛宕姉さんですか、今書いてるところに出せないか少しやって見ますね!
>>風見けいさん、コメントありがとうございます。今回の更新で鈴谷は…いや、まぁ自分で書いてるんですけどね(TT)
読み返してて気づいた不順異性交遊禁止←順じゃなくて純じゃね?と
歯はぶつからなかったけど焼きそばの味ってwキスとかキスカ撤退くらいしか知らんけど
やっぱ彼女ってのは鈴谷なのか…
元帥は知らんけど大将は1200万くらいもらってたんだってさ
えいさーいはらますこーい
↑絶対流行る
更新お疲れ様です。
ズイ₍₍ (ง ˘ω˘ )ว ⁾⁾ズイはゲーム版でも提督love勢でいいと思うんだ(唐突
少しずつ話が深くなりそうで…
更新頑張ってください!応援しています!
えいさーいはらますこーい
↑ちょっと自由の女神行ってくる
≫42コメ様、是非流行らせましょう。(確信)
≫43コメ様、コメントありがとうございます。
提督love瑞鶴…決戦イベでは愛してると言ってくれましたが、それ以降はデレマセンネェ応援ありがとうございます!頑張りますね!
>>ばんせーさん返信遅れました!すいません!
誤字は家でゆっくり出来るタイミングで確認しますね。焼きそばのキス…ロマンの欠けらも無い。
鈴屋さんにはこっから本編にガンガン絡んでもらいますよ!
羨ましい!自分もそれくらい給料欲しい!!!
キスが焼きそばの味って、でもなんかこう言うのもリアルにありそうでほっこりとしました。鈴谷にも元気になってほしいものですが…
でもこちらの提督には瑞鶴と仲良くなってほしいって思うし…ぐぬぬ…
更新お疲れ様でした!
≫風見けいさん、コメントありがとです!焼きそばキスって祭りの感じがあって自分もお気に入りです。
鈴谷、瑞鶴、提督の三人がどうなっていくのか…楽しみですねぇ(作者)
そういえばこれ鈴谷戻ってきたら大変だね何角関係になるんだw
ワンチャン瑞鶴の失恋(さすがにないか?)
>>ばんせーさん、コメントありがです!
提督が誰を選ぶのかはわかりませんねぇ〜とはいえ、これからまた恋愛なんて言っていられない事態になったりしたりしなかったり…
サイコォオだったぜぇ!!
ああ、翔鶴姉にパフパフされたい...
>>51コメ様、ありがっとうごぜーまさぁ!
>>koro様、コメントありがとうございます。同じく翔鶴姉に甘えていたいです…
お?翔鶴も気持ちを前に押し出してきたぞ?よくツイッターで五航戦のアンチbotあるけどそんなの関係ねぇ五航戦かわいい天使だ
≫ばんせーさん、下らんことする奴もいるんですね。(適当)
好きな人は好き、嫌いな人は嫌いでいいんですよ。そういえば、作品読みましたよ!!!
見るなぁ!SS初めてだったんだよ?小説とSS違いすぎるだろって実感したわ
書いてみてわかったけどほんと書くペース早すぎるでしょ俺のより全然面白いしw
鈴谷は普通に着任するんだなここからどうなるのか楽しみだぜ!
>>ばんせーさん、いえいえ多分最初はみんな自信ないですよ…かく言う自分もまだまだ初心者ですしね!
普段ssのことばっか考えてるんでそれも時に起こすだけなんで早いだけです٩( 'ω' )و
えっ、最後に兄が出てきたぞ予想の斜め45度をついてきたな
ご主人様って言ってるぬいぬい想像したらヤバイ。
でも、やっぱりメイド服着させたらって想像すると(以下略)
更新頑張ってください。