ぽんこつ提督が鎮守府に着任するようです。Part6
人類で初めてとかもうこの流れいらないよね。ポン着シリーズ第六弾でございます。
初投稿シリーズですが、今回で一度一区切りという感じで行こうと思います!シリアスメイン回ですが、ぽんこつのフリした変態提督と艦娘の行き着く先をどうかお楽しみください。
こちらは『ぽんこつ提督が鎮守府に着任するようです。Part5』の続きとなっております。もしそちら又はPart1を呼んでいなかった場合は本ページ下部にある作者の別の作品から順番に読んでいただけると幸いです。
シリアス描写大好きな作者が自由に筆を躍らせ出来上がったPart6、まぁ気楽にやっていきましょう。
では、定番のあらすじから。
提督がモテすぎた…イベント楽しかった…以上。
はい、真面目にやりましょうね。
提督の兄こと、兄貴の登場や吹雪に似たナニカにより不穏な空気に見舞われる提督たち。
様々な試練を与えられる提督であったが、提督は数多の想いを切り捨て瑞鶴を愛することを決めるのだった。
そうして、瑞鶴とイチャイチャしている間に鈴谷の身には異変が起きて…
ということで、不穏過ぎるPart6でございます。兄さんと吹雪に似た誰かの願い、それを知った提督が選ぶものとは。
そして、鈴谷の結末はどうなるのか!お時間の許す限り、お付き合いくださいませ。
ー提督視点ー
鈴谷が病室からいなくなった。
親父からの電話の内容は、要約してしまえばこれだけだ。
その内容を聞いて、俺はすぐに横にいた瑞鶴を見た。
今更何を、なんて言われるかもしれないが俺がここで鈴谷のために動くのは瑞鶴を嫌な気持ちにしないかなんて考えたからだ。
瑞鶴「よくはわからないけど、なにかあったんでしょ?いいよ、行ってきて。でも、ちゃんと帰ってきてね。」
しかし、瑞鶴は俺の表情を見て察したのか仕方ないといったようにため息を吐きそんなことを言った。
提督「ありがとう、世界で一番愛してるぞ瑞鶴!」
瑞鶴「な!?恥ずかしいこと言うな!馬鹿!」
そして、俺はなんの憂いも無く親父のもとに向かうのだった。
元帥「来たか、提督。」
提督「世間話はいいから本題を聞かせてくれ親父。今のあいつは危険だって十分理解しているだろ。」
車を走らせ、親父のもとに来て一番に説明を要求する。
今の鈴谷はどう考えても危険だ。俺に対して何かするってのならまぁ、仕方は無いが。
もし、一般市民を手にかけでもしたら洒落にならない。いや、本音を言おう。俺はただ恐れているのだ。
一度失った彼女をもう一度失ってしまうのではないか…と。
元帥「落ち着け提督、昔からの悪い癖だぞ。いざというときこそ大きく構えておけ。」
提督「んなこと言われたって…」
秋月「落ち着いてください提督。既に捜索隊は出していますから。」
横から聞こえてきた聞き覚えのある声の方を見ると、秋月が心配そうな顔で俺を見ていた。
提督「あぁ、ごめん。少し落ち着かないとな、ありがとう秋月。」
秋月「いえ、確かに大変な状況ですが無理はしないで下さいね。」
元帥「んじゃ、提督の頭も冷えたようだし詳細を話すか。」
親父の台詞を合図に大和さんが部屋に入ってくる。大和さんと秋月の話をまとめるとこうだ。
昨晩、親父と大和さんが俺の鎮守府に来ているタイミングで鈴谷が失踪した。明確な目撃情報は無し。
捜索隊は現在付近で聞き込みなどを続けているがそれらしい情報は未だ入手できず。はっきり言って絶望的な状況だ。
元帥「そして、最後にこの件に関係あるかはわからないが艦娘の艤装が一つ行方不明になっている。」
提督「…つまり、鈴谷は海に出たって言いたいのか?」
元帥「断定するには早いが、ここまで目撃情報が無い以上…そう考えるのが妥当だろうな。」
正直に言おう、この状況で鈴谷を発見するのはほぼ不可能だろう。陸ならまだ目撃情報や憲兵隊などでの物量捜索が可能だ。
しかし、海上は目撃者はおろか道すらない。更に深海棲艦という脅威がある以上捜索できるのは…ほぼ艦娘のみということになる。
提督「親父、船はあるか?俺もそれで捜索を…」
元帥「自殺に貸してやる船はねぇよ。いくら深海棲艦が落ち着いてるとはいえ単身海に出るのは自殺行為だ。」
予想通りの返しに思わず下唇を噛む。全くその通りだ、俺が言ったところで恐らく何の意味もない。
秋月「そ、それでしたら私が提督の護衛に着くというのは!」
大和「いいえ、秋月さん。戦闘になれば一人で提督を護衛するのは困難です。それ以前に護衛するくらいなら秋月さんが一人で捜索に出ればいいだけの話です。」
冷静な大和さんによる説教で秋月は俯いてしまう。恐らく俺のことを見て力になろうとしてくれたのだろう。
彼女の優しいところは本当に昔から変わらない。昔を思い出したからか、少し冷静に慣れた。
提督「ありがとう秋月、その気持ちだけでも嬉しいよ。」
とりあえず、悲しい表情を浮かべてしまった秋月をフォローする。
そして、考える。今俺が出来ることはなにかを。そんなもの、一つしかないじゃないか。もとより提督なんて自分一人じゃなにも出来ないのだから。
提督「鎮守府に戻って俺のところからも捜索隊を編成する。早速で悪いがそれでいいか?親父。」
元帥「合格だ、まだ駄々をこねるようならぶん殴ってやろうと思ってたよ。ほれ。」
親父は安心したように言うと、俺に向かって何かを投げてきた。
提督「これは…俺と鈴谷の写真?」
元帥「最初にここで鈴谷を預かっていた時にあの子がお前に会うため、リハビリしていた時大切にしていたものだ。お前が持っとけ。」
提督「折角落ち着いたのに写真見たせいでまた取り乱しそうだよクソ親父。」
元帥「ありゃ、厚意のつもりだったんだがそれはすまない。」
提督「本気でしょぼくれんなっての、さっきまでの威厳はどうした。秋月、大和さんまた今度。」
俺は最後にしょぼくれている親父以外に挨拶をし、部屋を後にした。
とりあえず、俺は自分の鎮守府に戻り皆に事情を説明した後捜索をお願いした。
問題なく皆協力してくれているが、一向にいい知らせは来ない。こうして執務室でじっとしているのは出撃する前に赤城と瑞鶴に
「提督はここにいてくださいね。絶対に海に出ようなんて考えないように。」
と、念押しされてしまったからだ。更には執務室に監視として間宮さんを置いて行く徹底ようだ。
どうやら俺の信用は底辺のようだ。まぁ、まさに今探しに行きたくてうずうずしているので文句は言えないが。
間宮「提督、気持ちはわかりますが今は皆を信じて待ちましょう。」
俺の内心を察したのか間宮さんがそんなことを言う。
提督「別に信じて無いわけじゃないんです。でも、自分がなにも出来ないっていうのは…どうしてもこう…」
間宮「提督はこれまで頑張ったんですから今回くらい皆に任せましょう。」
頑張りすぎという言葉に違和感を覚えはしたが、素直に間宮さんの言葉にうなずいた。祈るしか出来ないというのはどうしてこうも辛いのだろうか。
その時、通信が入った。
提督「どうした?鈴谷が見つかったか?」
霧島『ご期待に沿えず申し訳ありません司令、敵艦隊を発見しました。戦闘指示をお願い出来ますか?』
通信の無いように思わず眉間に皺が寄る、最近めっきり姿を見せなかったくせにどうしてこうタイミング悪く…
提督「了解した、敵の情報を可能な限り伝えてくれ。」
霧島『はい、敵の編成は…』
伝えられた情報を使い霧島に戦闘指示を出す。撤退も考えたが、恐らくはぐれだろう…
そう考えた矢先だった。
翔鶴『提督、至急応答願います。敵連合艦隊を発見…この数は…不味いです。』
提督「どうした、そんな大規模の敵が展開してるのか?」
翔鶴『はい…確認できるものだけでも戦艦級が十、ヲ級が六…』
戦艦級が十…?しかも翔鶴の言い方はまだ数がいるようなニュアンスだ。
提督「翔鶴、すぐに撤退しろ。絶対に気取られるなよ。」
翔鶴『了解しました。』
一体何がどうなってるんだ、今までそんな数が同時に責めてくることなんて…
提督「本当に嵐の前の静けさだったってわけかよ、畜生が。」
乱暴に吐き捨てた後、俺は即座に全部隊に撤退命令を出す。迎え撃つか?いや、駄目だ。迎え撃ったところで全滅は必須だろう。
言い方は悪いが、鈴谷の失踪が不幸中の幸いだったというわけか。もし鈴谷が失踪していなければこんなに早く敵艦隊を発見できていなかっただろう。
間宮「提督、簡単なものですが…ってどうなされたんですか?」
簡単ななんて言いながらしっかりした朝食を持ってきてくれた間宮には悪いが事情を説明している暇はない。
提督「ごめん間宮さん、今度朝食はおいしく頂くことにするよ、今は付近の鎮守府に敵の大規模艦隊が接近してることを伝えて欲しい。
あ、あとここ周辺の避難指示も出してもらわないといけないから諸々への連絡も頼めますか?」
間宮「わかりました、可能な限り早く行います。」
俺の早口の頼みを、聞き返すことも動揺することもなく実行してくれる。流石は間宮さんと言ったところか。
次に連絡すべきは親父だ。対策を取ろうにもたかが提督一人ではなにも出来ない。
元帥「どうした、提督。」
提督「用件だけ言う、敵の大規模艦隊が接近中だ。申し訳ないが、艦娘の安全を優先したため進行目標は不明。少なくとも戦艦級が十以上。」
元帥「冗談にしては…あぁ、そんなこと言ってる暇もなさそうだな。少し待て。」
元帥「大淀、聞いてたな。今すぐに付近の鎮守府及び今海域に出てる艦娘の撤退指示を。他のことは捨てていい。」
元帥「それで提督、お前はどうするつもりだ。」
提督「………」
思わず口ごもる。さきほど翔鶴から二度目の報告があったが、その時に伝えられた戦力はまず間違いなく俺たちで勝てる量じゃない。
頭の中がごちゃごちゃになる。どれだけ考えても、俺たちに出来ることはここで皆殺しにされることだけだ。
元帥「この際後のことは考えてられない、逃げていい。艦娘全員連れて内陸に逃げろ。」
提督「ちょっと待ってくれ親父…なに言ってんだ?」
親父の言葉に思わず本気で驚いたような声を出してしまう。
元帥「別にお前たちを贔屓してるわけじゃない。単純にここで無駄死にさせて戦力を削るのは愚策だと判断しているだけだ。
それだけの規模の艦隊だ。目標はまず間違いなくここだろう。とはいえ、道中で逸れて来ないとも言えない。
戦闘放棄になりかねねぇのは確かだが、今は全力で戦力を集めるべきだ。内陸の被害は避けようが無いだろうからな…ちッ」
親父の舌打ちなんて聞くのは初めてだった。あの人は常にいっぱいいっぱいでいるようで、実際はなにか策を残しているような人だ。
だが、今の舌打ちで今回ばかりは本当に手が無いというのが嫌というほど分かった。
提督「とりあえず、内陸に避難でいいんだな。信じるぞ親父。」
元帥「余裕があるなら市民の避難を手伝ってやってくれ。生きてたらまた連絡する。」
親父との電話はそこで乱暴に切れた。生きてたらなんて言葉を本気で聞く日が来るとは思わなかった。
赤城「提督、全艦隊帰島しました。事情は全員理解しています、どうなされますか?」
提督「内陸に避難する。承認しがたい命令だとは思うが、今は話している暇はない。と全員に伝えてくれ。」
赤城「……了解しました。鎮守府正面にて待機しておきます。」
少し間があったのは、やはり艦娘としてのプライドだろうか。
ここの鎮守府の艦娘たちは、自分達が艦娘である即ち艦であるという自覚が比較的少ない。
それは恐らく、ブラック鎮守府というものを経験して負のものも含め様々な感情を得ているからだろう。
とはいえ、彼女たちは「艦」だ戦うために生まれた存在だ。ならば敵を目前にして逃げるという選択に…思う所が無いはずがない。
だが、俺がそれを理解したうえで言っていると赤城はわかってくれたのだろう。執務室を出るときには覚悟を決めた表情をしていた。
とりあえず、大事なものだけ回収して俺も執務室を後にする。とにかく急がなければ…ポケットからなにかが落ちたが気にしていられない。
何故かその時、もうここには戻れないのだろうなんて予感がしたのだった。
一時間後、俺たち一行は内陸の海軍基地にお邪魔していた。ここの責任者は園雄武志さんと言う。
園雄さんは眼鏡をかけた少し小太りなおじさんだ。見た目はいい人っぽい。良かった良かった。怖い人無理だもん俺。
逃げる際、一部の艦娘が反論してきはしたが何とか説得できた。
説得と言っても、俺がただ誰にも死んでほしくないと駄々を通しただけなのだが。
少しして、親父と連絡を取ってくれていた園雄さんが俺たちが待機している場所にやってきた。
園雄「とりあえず、元帥は無事のようです。艦娘も全員問題無いとのことです。」
提督「良かった…それで、深海棲艦の動向は?」
園雄「それが問題のようでして…なんと、提督君の鎮守府に進路を向けているようなんです。」
そのセリフに思わず絶句した。絶句するほどの理由はあるかなんて問われそうだが、簡単な話だ。
俺の鎮守府に向かっているということは目的はその付近にあるということ、そしてそれは恐らく俺だろう。
そして、深海棲艦が俺を目標にしている理由なんて一つしかない。
提督「兄さん…」
思わず、小声で呟く。これだけの数の深海棲艦が出てきた時点でなんとなく予感はしていた。
本来、深海棲艦というのは指揮系統を持たず強きものが自身より劣るものを集めて海上を彷徨っている。
そのため、こちらが攻める際は深海棲艦は基本少数艦隊で、連合艦隊が稀にいる程度だ。
つまり、あの大規模艦隊には指揮官がいる。そんなの、思いつくのは一人しかいない。
そのまま、しばらく時間が経過した。遅すぎる。とうに深海棲艦が内陸への攻撃を始めていておかしくない状況だというのに、なにもしてこない。
そんなことを考えていると、どこかから元気のいい音楽が聞こえてきた。
音の聞こえる方を見ると加賀が怪訝そうな顔でスマホを見つめている。
加賀「提督…これ。」
俺のもとに寄ってきた加賀が俺にスマホを見せてくる。そこには提督から着信と書かれていた。
おかしい、俺は加賀にかけていない。つまりこれは…
提督「俺が出るよ、借りてもいいか?」
加賀「えぇ、別に構わないけれど。」
少し困惑したような声を出しながら加賀が俺にスマホを差し出す。
俺はそれを受け取り、全員で聞こえる状態にして着信に出た。
提督「はい、こちら提督です。」
兄貴「久しぶりだな、提督。元気にしていたか?」
警戒する俺とは裏腹に、兄さんはまるで数年ぶりに電話した仲のいい友人と話すような口調で言う。
提督「一体、何をしに来たんだ。兄さん。」
兄貴「なにをもなにも、お前を迎えに来たんだよ。なのに留守だったもんでな少し勝手にお邪魔っさせてもらってる。」
兄さんはあくまでも、優しい声で言う。あまりにも普通のトーンなのでこちらがおかしいのではないかと錯覚してしまう程に。
兄貴「あの島であったときに話しただろ?きちんと聞いたかは知らないが私利私欲の為に人を犠牲にする。海軍なんていてもいいことはないぞ。いずれ、お前も誰かの欲望の為に使い捨てにされるだけだ。だからこっちに来い、提督。」
この人は、本気で言っている。本気で深海棲艦と手を組むのが、俺のためになると思っている。
なんて気持ちの悪い状況だろうか、俺のことを本気で案じてくれる人が敵にも味方にもいるだなんて。
提督「兄さん、俺はそっち側につく気は無い。それに元帥から全部聞いた、それでも俺はまだ海軍にいたいと思う。それじゃダメか?」
兄貴「お前は強情だからな、そういうと思っていたよ。なに、少し昔話をしようか。」
提督「昔話?」
兄貴「あぁ、ある報われなかった男の物語さ。」
死んだと思ったか…いや、実際死んでました。お久しぶりです。かなり不定期でゆっくりですが書いていきますので再度よろしくお願いします( ;∀;)
続きはですね、まずは提督が・・・(以下略)
応援してます。
全裸待機不可避
提督を全裸にry …
楽しみにしてます!
考える暇があれば思うがままに書けばいいと思います()
つ、続きを…続きをお願いします🙇
続きが気になりすぎて遠征と演習と出撃しか出来ないです(T-T)
お久し振りです。コメントは初めてですが、part1よりずっと追っております。
この時期は方々忙しいことでしょうし、更新もほどほどにご自愛下さい。
ここの元帥立場の割にかなり生き生き動いてて好きです(隙自語)
てっきり消えたのかと思ってたからよかったです←半年近く消えてたやつが何言ってんですかねぇ
コウシンガンバッテネ!
更新頑張れぇ
part1から一気に読ませていただきました。
更新お待ちしております。