2015-06-02 22:02:50 更新

概要

小悪魔な真姫ちゃんがヘタレなにこちゃんにひたすらアプローチをかけまくるギャグ短編です。ほのぼの日常モノみたいに、短いエピソードをまとめていきます。


前書き

真姫ちゃんがだいぶアグレッシブでエキセントリックなので、ダメそうだと感じたら閲覧回避お願いします。


【Episode1 リビドーはすべての始まりに】


朝 通学路


にこ「ふわぁあ…昨日はさすがに寝るのが遅すぎたわね」


にこ「寝る前にあんな面白いスレを見つけたのが良くなかったわ…」


にこ「だるい…このまま家に帰って寝たいわ…」


真姫「だーれだ?」ギュッ


にこ「ヴェエエ!?」ビクッ


真姫「にこちゃん、驚きすぎよ」ワシワシ


にこ「いきなり後ろから胸を揉まれたら驚くわよ!」


真姫「にこちゃんならもっと甘々な反応を示すかと思ったのに…」モミモミ


にこ「ていうか、普通は目を隠すでしょ。それと揉みすぎよ!」


――

真姫「しょうがないわね」パッ


にこ「や、やっと解放されたわ…」


真姫「おはよう、にこちゃん」


にこ「切り替え早いわね、真姫ちゃん」


真姫「今日はどんなパンツ履いてるの?」


にこ「朝っぱらからセクハラが炸裂してるわよ」


真姫「答えてよ。授業中も気になっちゃうでしょ」


にこ「そこまで気にする!?」


――

真姫「早く教えてよ」


にこ「(まいったわね…。なんとか真姫ちゃんのセクハラトークから逃れられないかしら?)」


にこ「(そうだ、いいこと思いついたにこ!)」


にこ「いいわよ、特別に教えてあげる」


真姫「ホント!?」ズイッ


にこ「(真姫ちゃん、眼が本気すぎるわよ…)」


にこ「ただし条件があるわよ」ニヤリ


真姫「条件?」


――

にこ「あたしが教える前に、まずは真姫ちゃんのから教えて!」


真姫「何よそれ、イミワカンナイ」


にこ「そう?真姫ちゃんが教えてくれないなら、にこも教えてあげないにこ」


真姫「そ、そんなこと言ったって、言えないわよ…//」モジモジ


にこ「(計画どおりにこ!いくらセクハラ魔の真姫ちゃんでも、自分のこととなると二の足を踏むに決まってるにこ!)」


真姫「だって、今日は履いてきてないし…//」


にこ「ハラショー!?」ズコーッ


――

真姫「冗談よ」


にこ「真姫ちゃんが言うと冗談に聞こえないわよ…」


真姫「にこちゃんが望むなら、ここで脱いでもいいけど」スタンバイッ


にこ「やめて。μ’sのメンバーから逮捕者は出したくないわ」


真姫「…」


にこ「(ようやく諦めたみたいね…)」


真姫「…黒のトップレス、クロッチレス」


にこ「は、はい?」


真姫「ワンポイントの花柄模様は紫」


にこ「ま、真姫ちゃん?」


真姫「今日の私の下着よ。さ、約束どおりにこちゃんのも教えてね!」


にこ「(こいつ…ブレないにこ…)」


――

にこ「…わかったわ。白よ」


真姫「上下おそろい?」


にこ「そうよ」


真姫「なるほどね。貴重な情報提供に感謝するわ」メモメモ


にこ「わざわざメモまでとるのね…」アキレ


真姫「これから毎日聞き込みを続けて統計学的に十分なデータをとるつもりよ」


にこ「努力の方向性が180°間違ってるわよ!その熱意をμ’sのために使いなさい!」


真姫「役には立ってると思うけど?にこちゃんの下着から作曲のインスピレーションが生まれることなんてしょっちゅうだもの」


にこ「音楽に関わるすべてのアーティストに土下座して謝りなさい」


――

真姫「ねぇ、にこちゃん。手をつなぎましょう」


にこ「嫌よ」


真姫「どうして?」


にこ「何が悲しくて朝からバカップルみたいなことしなきゃならないのよ」


真姫「いいじゃない。見せつけてやりましょうよ」


にこ「何を言っても無駄みたいにこ…」ハァ


――

【Episode2 純潔略奪ウェディング】


放課後 部室


希「にこっち~、さっきから全然進んどらんよ~?」


にこ「この古文が意味不明すぎるのが悪いのよ!」


希「そんなん言うても、ここも今度の試験範囲やん?にこっちがやる気出さんのなら、ワシワシするで~?」


にこ「わ、わかったわよ!すぐ終わらせるから!」


真姫「二人とも何してるの?」ガチャ


希「にこっちの試験勉強のサポートや。来週には古典の小テストが控えとるからね」


真姫「希、いつも私のにこちゃんがお世話になってて悪いわね」


希「ええよ、別に。うちもなんやかんやで楽しいし」


にこ「ちょ、あたしっていつの間に真姫ちゃんのものになってるの!?」


――

真姫「にこちゃん、普段からちゃんと復習してなきゃだめじゃない」


にこ「くぅ~、普段は変態なのにこういう時だけ真面目発言されると腹立つにこ~!」


希「ほらほら、にこっち。手ェ止まってるよ」


にこ「わかってるって…。この古語、なんて意味だっけ?」


希「にこっち、古典単語帳は?」


にこ「あっ、そういや教室に忘れてきた…」


希「辞書だけで調べると時間かかるで。取ってこようか?」


真姫「単語帳ってこれのことでしょ?はい、にこちゃん」スッ


にこ「あ、ありがと真姫ちゃん」


真姫「今日は1年生も古典の授業だったからちょうどタイミングがよかったわ」


――

にこ「えぇと、いとけなし…あった、あった。あどけないって意味だったのね」


真姫「現代風に言えばロリってことよ」


にこ「身も蓋もない言い方ね…」


真姫「辞書通りの意味だけじゃなくて、自分なりの言い回しで覚えておくと忘れないわよ」


希「そうやね。真姫ちゃんの言う通りや」


にこ「希が言うなら一理あるのかもね…。真姫ちゃん、アドバイスどうもありがとう」


真姫「ロリなにこちゃん愛してるばんざーい♪」


にこ「前言撤回するわ」


――

15分後


希「なんだかんだで、真姫ちゃんが来てくれてからペース上がったやん」


にこ「そうね、これでちょうど終わりだわ」


真姫「にこちゃんのお役に立てたのなら何よりだわ」


にこ「よしこれで全部っと。真姫ちゃん、単語帳返すわね…あらっ?」


真姫「どうしたの?」


にこ「真姫ちゃんって、教科書や参考書に自分の名前書くタイプなの?」


真姫「えぇ、そうよ。色々書き込んだりしてるから、他人のと紛れないようにね」


にこ「いや、それはいいんだけどこれは何なの?」


希「何が書いてあるん?」ヒョイッ


真姫「私の名前が書いてあるだけよ?」


にこ「おかしいでしょ!何で矢澤真姫になってるのよ!?」


真姫「それは私とにこちゃんが結ばれる運命だからよ//」ポッ


にこ「いやいやいや!どう考えてもおかしいでしょ!」


希「にこっち~、純情な乙女の想いを無下にしたらあかんよ」ニヤニヤ


にこ「希も面白がって煽らないの!」


真姫「にこちゃんさえよければ、いつでもこの婚姻届にサインしてね」スッ


にこ「常時持ち歩き!?しかも真姫ちゃんの部分は全部書き終わってる…」


真姫「こころちゃんたちから、お義姉さんと呼ばれる日も近いわね…」キラキラ


にこ「ちょっとー、真姫ちゃん戻ってきてー」


――

【Episode3 恋はいつでも強襲モード】


昼休み 3年生教室


モブ「矢澤さーん、1年生の子が呼んでるよ」


にこ「ありがとっ、今行くわ…って、真姫ちゃんじゃないの」


真姫「こんにちは、にこちゃん」


にこ「あたしに用があるなら勝手に教室入ってくればよかったのに。知らない仲じゃないんだから」


真姫「この呼び出し方にあこがれてたのよ」


にこ「まぁ、学園ラブコメなんかじゃ定番よね。ところで、何の用?まさか、これがしたいがために呼んだんじゃないでしょうね」


真姫「ソ、ソンナワケナイジャナイ?」カミノケクルクルー


にこ「思いっきり図星のようね…」ハァ


真姫「わかったわ。壁ドンもしましょう」


にこ「流行りに乗りゃいいってもんじゃないわよ」


真姫「すいません。今から壁ドンするんで、そっちの場所を空けてもらえますか?」


ワーヤザワサンダイターン


コンナカワイイコウハイトツキアッテタノネー


スクールアイドルドウシノキンダンノアイネー


にこ「ちょ、真姫ちゃん何やってんの!?」アセアセ


真姫「学年差呼び出し→壁ドン→ギシアンが私の理想なの//」


にこ「おいコラ、西木野ォー!//」


――

廊下


真姫「そんなに怒ることないじゃない…」


にこ「公衆の面前であんな小っ恥ずかしい芝居やられた身にもなりなさいよ!公開処刑もんよ、あんなの!」


真姫「ひどい…これってDVだわ」シクシク


にこ「真姫ちゃん、DVの意味わかってるの?」


真姫「だって、にこちゃんと私は恋人同士だし…」


にこ「事実のねつ造にもほどがあるわよ!」


真姫「にこちゃんと結ばれるためなら、論文10本分でもねつ造するわ」


にこ「まともに結ばれようって発想はないわけ!?」


真姫「あら、まともに告白したら受け入れてくれるの?」


にこ「そ、それは言葉のあやってもんよ…//」


ナーンダ、ヤザワサンノヘタレー


コウハイノコガカワイソウジャナイ


トウフノカドニアタマブツケテシンジャエー


にこ「あんたらはのぞいてんじゃないわよ!//」


――

【Episode4 響き渡るは百合の音色】


朝 1年生教室


花陽「真姫ちゃん、おはよう~」


真姫「おはよう、花陽。あら、今日は凛は一緒じゃないの?」


花陽「待ち合わせてたんだけど、寝坊しちゃったみたい。15分待って来なかったら先に行って待ってることにしてるんだ」


真姫「花陽も大変ね」


花陽「真姫ちゃん、さっき何を聴いてたの?」


真姫「あぁ、これのこと?ヒーリングミュージックよ」


花陽「ヒーリングミュージック?」


真姫「そうよ。波の音や鳥のさえずりが入っているのよ」


花陽「へぇ、どんな感じなの?」


真姫「よかったら聴いてみる?」


花陽「いいの?」


――

真姫「はい、イヤホン。ちょっと待ってね…」フキフキ


花陽「どうしたの?」


真姫「イヤホンってけっこう汚れやすいのよ。花陽に汚れたままのイヤホンは渡せないわ」


花陽「そこまでしてもらわなくても…。真姫ちゃんが使ってるものなら、汚れてるはずないのに…」


真姫「そう言ってもらえると嬉しいわ。はい、どうぞ」スッ


花陽「ありがとう、真姫ちゃん。うわぁ、なんだかとっても癒されるね!」


真姫「リラックス効果があるから、眠れないときなんかは役に立つわよ。反対に、やる気をもたらすものもあるわ」


花陽「そっか。だから真姫ちゃんは朝に聴いてたんだね」


真姫「そういうこと。脳波に効くものもあるから、勉強のときも集中できるわよ」


花陽「それなら凛ちゃんにもおすすめできそうだね」


凛「かーよちん、遅れてごめんにゃー!」ガラッ


――

花陽「凛ちゃん、おはよう」


真姫「凛、あんまり花陽を待たせたら悪いわよ」


凛「ごめ~ん。昨日はなんだか寝付けなくて、そのせいで寝過ごしちゃったんだ~」


花陽「それなら凛ちゃんもヒーリングミュージックを聴いてみたら?」


凛「なぁに、それ?」


花陽「よく眠れるようになったり、勉強に集中できるようになるんだって」


凛「本当!?今すぐ聴かせてほしいにゃー!」


花陽「真姫ちゃん。凛ちゃんにも聴かせてあげてもいい?」


真姫「もちろんよ。はい、どうぞ」スッ


凛「真姫ちゃん、ありがとっ!」


――

花陽「気分はどう?凛ちゃん」


凛「波の音が聴こえるにゃー。海にいるみたいで気分が落ち着くよ」


真姫「ちなみにこれはストレス予防の効果があるわ。まぁ、凛にはあまり必要じゃなさそうだけど…」


凛「そんなー。凛にだって悩み事くらいあるよー!」


真姫「たとえば?」


凛「えぇっとね。待って、今考えるから…」


真姫「普通はわざわざ考えるようなものじゃないわよ」


凛「う~ん、やっぱり思いつかないや…」


花陽「凛ちゃん、ストレスがないことはいいことなんだよ」


――

真姫「やっぱりこの曲は凛より私が聴くべきね」


凛「真姫ちゃん、ストレスたまってるの?」


真姫「そういうわけじゃないけど、この曲は胎教にもいいのよ」


花陽「た、たいきょう…?」


真姫「もちろん、にこちゃんと私のベイビーのためよ」オナカナデナデ


凛「…ちょっと怖くないかにゃー?」


花陽「凛ちゃん、深入りしたらだめだよ…」


真姫「うふふ、うふふふ…」


――

【Episode5 ヘヴィラブチェーンメール】


放課後 部室


真姫「に~こちゃん!」ダキッ


にこ「びえっ!」


真姫「そんなに驚かないでよ」


にこ「部室のドアを開けた瞬間に抱き付かれたら驚くわよ!」


真姫「恥ずかしがらなくてもいいの。私たちは両想いなんだから」ミミカプッ


にこ「ちょ、やめっ!くすぐったい!」


真姫「ほらほら、ここがいいんデッショー?」ハムッ


にこ「あひゃぁっ!?や、やめッ…!」


――

翌日 昼休み 1年生教室


真姫「昨日はあれからにこちゃんに口を利いてもらえてないわ」ハァ


凛「自業自得じゃないかにゃ?」


真姫「何よそれ!私の愛情表現が間違ってるとでも言うの!?」ガシッ


凛「にゃー!真姫ちゃん、苦しいにゃー!」ジタバタ


花陽「(たぶん自業自得だよね…)」


――

真姫「はぁ…。それにしても、何とかにこちゃんと仲直りしたいわ…」


凛「(謝罪の間違いじゃないかにゃ?)」


真姫「ねぇ花陽、何かいい方法はないかしら?」


花陽「え、えっと…。ありきたりかもしれないけど、メールで伝えてみるのはどうかな?直接顔を合わせると、また言い合いになっちゃうかもしれないし…」


真姫「そうね、それは名案だわ。さっそく撮ってくるわね」ダッ


花陽「え?撮る?」


――

生徒会室


希「ほな、まだ真姫ちゃんと仲直りしとらんの?」


にこ「仲直りじゃなくて謝罪がまだなのよ!あたしは一方的な被害者よ!」


希「にこっち、さっきの話も言うてみればのろけやん…」


にこ「あたしは真剣よ!?真姫ちゃんの暴走を許してればあたしの貞操が危ういわ!」


希「せやから、昼休みもこんなところに隠れてるいうん?」


にこ「そうよ。あたしもむざむざ真姫ちゃんのおやつにされる気はないわ」


――

希「にこっちの方から真姫ちゃんを受け入れてしまえばええのに…」


にこ「で、できるわけないでしょ、そんなの!」


希「とにかく、にこっち自分で何とかしたらええやん。うちもこう見えて忙しいんや。ほら、カードもそう告げとるし…」ペラッ


にこ「こ、この薄情者ぉ~!」


ニッコニッコニー


希「にこっち、メールきとるよ」


にこ「あら、誰かしら?」カチャ


希「(着信音を自分の持ちネタにしとるんか…。ちょっと寒うない?)」


にこ「あっ、真姫ちゃんからだ…」


希「どうやら問題解決のようやね。真姫ちゃんの方からアプローチしてくれたやん」


にこ「そうね…。にこちゃん昨日はごめんなさい、って書いてるわ」


希「後はにこっちが大目に見てあげられるかどうかやな」


にこ「すぐ返信しないと…あらっ?何か画像が添付されてるわね」


――

1年生教室


花陽「真姫ちゃん、メールはどうだった?」


真姫「ばっちりよ。さっき送ったから、これでにこちゃんの機嫌も直るわ」


凛「大丈夫かにゃー?」


真姫「失礼ね。ちゃんといつもの写真も送ったから大丈夫よ」


花陽「待って、真姫ちゃん。写真って何のこと?」


真姫「私がいつもにこちゃんに送ってる写真よ。画像フォルダにあるから見る?」スッ


凛「にゃっ!?」


花陽「ま、真姫ちゃん。これ、いつもにこちゃんに送ってるの…?」


真姫「そうよ。私はにこちゃんのものだから、包み隠さずの私を送るの…//」ポッ


凛「(少しは隠した方がいいにゃ…。というか、さっきはどこで撮ったんだろ?)」


花陽「(はわわわ…。真姫ちゃんの生まれたままの写真がこんなに…//)」


――

【Episode6 志高く、本は薄く】


放課後 体育館倉庫


真姫「ふふふ…とうとう追い詰めたわよ、にこちゃん」ハァハァ


にこ「待って。突っ込みたいところが山ほどあるんだけど」


真姫「にこちゃんになら突っ込まれるのは本望よ//」


にこ「これあかんやつや…」ドンビキ


真姫「今からえっちなことをするわ。エロ同人みたいに」ハァハァ


にこ「それ、使い方間違ってない?」


――

真姫「ここなら助けを呼んでも誰も来ないわ…」ジリジリ


にこ「真姫ちゃん、今からでも遅くないから人生やり直そう?」


真姫「諦めなさい、にこちゃんはもう詰んでるのよ。完全にフルハウスだわ」ニヤリ


にこ「それも使い方間違ってるわよ!」


真姫「さぁ、覚悟を決めて私と一つになるのよ!」ガバッ


にこ「…仕方ないわね。これを使わせてもらうわ」サッ


ピピピピピピ


――

海未「何事ですか!?」ガラッ


真姫「海未!?どうしてここに…」


にこ「それはこれのおかげにこ☆」スッ


真姫「なっ、防犯ブザー!?」


にこ「海未の世話焼き習性を利用した頭脳プレーにこ☆」


真姫「くっ、考えたわね…」


にこ「さ、練習に戻るわよ。海未」


海未「え?あぁ、そうですね」


にこ「こころたちのために買った防犯ブザーがこんなかたちで役に立つとは思わなかったわ…」ハァ


――

廊下


海未「それにしても、あんな所で何をしていたのですか?」


にこ「いつものことだけど、真姫ちゃんに襲われそうになってたのよ」


海未「心中お察しします。しかし、なぜあんな危険な場所に?」


にこ「そ、それは…」


海未「言いたくなければ無理には聞きませんが…」


にこ「いや、そのね。アイドルグッズが廊下に落ちてて、それを辿って行ったら体育館倉庫に追い詰められたのよ…」


海未「何ですか、その子どもだましは…」


にこ「で、でも限定レアモノだったのよ!?ほら、A-RISEが駆け出しの頃の生写真もあるし…」サツ


海未「まるでヘンゼルとグレーテルですね。真姫も真姫ですが、騙されるにこも大概ですよ」


にこ「しょうがないじゃない。あたしはアイドルには弱いのよ…」トホホ


海未「風紀の乱れは取締りますが、にこも自己防衛を図ってくださいね」


にこ「わかってるわよ、そのために防犯ブザー用意してたんだから。でも、さっきは助けてくれてありがとう。海未みたいなしっかり者だけがメンバーなら問題ないんだけど…」


海未「そう言っていただけると光栄です」


――

翌日 放課後 廊下


穂乃果「さ~て、今日も練習、練習っと♪」ランラン


穂乃果「ん?あれって…」


穂乃果「見間違い…じゃないよね?」ゴシゴシ


穂乃果「やっぱり!ランチぱっくだー!」ワーイ


穂乃果「えへへ、何でこんな所に落ちてるんだろ?ま、いっか!」


穂乃果「わっ!あっちにも落ちてる!」


穂乃果「すごーい!このまま集めちゃおうっと!」トコトコ


海未「(ふふふ…相変わらず真姫の発想は優れていますね。私も体育館倉庫で穂乃果とお楽しみといきましょうか…//)」ハァハァ


――

【Episode7 情欲の裏工作】


放課後 生徒会室


絵里「それで、相談っていうのは?」


にこ「まぁ、真姫ちゃんのことなんだけどね…」


絵里「そんなとこだろうと思ったわ…。もう付き合っちゃえば?」ハァ


にこ「ちょっと、希みたいなこと言わないでよね。こっちは真剣なのよ!」


絵里「だいたい、にこはどうしたいのよ?」


にこ「あたしは…真姫ちゃんの犯罪まがいなセクハラを何とかしたいだけよ」


――

絵里「でも、真姫のやってることは恋人同士ならそれほどおかしなことじゃないわ」


にこ「だからあたしは真姫ちゃんとは恋人じゃないの!」


絵里「…そういえば、にこって恋人はいるの?」


にこ「い、いるわけないデッショー!?アイドルは恋愛厳禁よ!」


絵里「待って。いいことを思いついたわ」


にこ「何よ、もったいぶらないで教えて」


――

絵里「私がにこと付き合うのよ」


にこ「はぁ!?ま、まさかあんたもソッチ系じゃ…」アトズサリ


絵里「違うわよ。これはあくまでも作戦よ」


にこ「作戦?」


絵里「そう。もし私とにこが付き合っていると知ったら、真姫はどうするかしら?」


にこ「それは…そっか!にこのことを諦めるかもしれないわね!」


絵里「ご名答。真姫の反応を見るためにも、とりあえず形だけでも付き合ってみましょう」


にこ「さすが絵里ね!KKEはダテじゃないわ!」


絵里「もっと褒めてもいいのよ」ドヤチカ


――

にこ「でも、付き合うってどうしたらいいのよ?」


絵里「難しく考える必要はないわ。一緒に帰ったり、休日に遊べばいいのよ。要するに、真姫に見せつけてあげればいいの」


にこ「なるほどね」


絵里「明日は休日だし、私の家に来ない?私と一緒なら、真姫に追いかけ回される心配もないわ」


にこ「そうさせてもらうわ。真姫ちゃんのストーキングは平日も休日もないもの…」ドンヨリ


絵里「それじゃあ、明日は10時にうちに来てちょうだい」


にこ「わかったわ。やっぱり絵里は頼りになるわね。それじゃ、あたしは教室に戻るわ」


絵里「気を付けて戻るのよ」


ギィッ バタン


――

絵里「行ったわね…。もう出て来てもいいわよ」


真姫「うまくやったわね、絵里」ヒョコッ


絵里「もちろんよ。私は賢いかわいいエリーチカよ!」ドヤチカ


真姫「これでにこちゃんを絵里のうちに誘き出せるわね。はい、報酬の高級ベルギーチョコ詰め合わせよ」スッ


絵里「やったチカ!エリチカ、チョコ大好きチカ!」ワーイ


真姫「うふふ、明日はとびきりの勝負下着で行かないとね…//」


絵里「このチョコおいしいチカ!エリチカのほっぺた落ちるチカ!」モグモグ


――

【Episode8 可愛さ余って裏切り百倍】


翌日 絵里の家 玄関


にこ「絵里のおかげで今日は真姫ちゃんの束縛から解放されそうだわ」ピンポーン


絵里「時間通りね。ささっ、上がってちょうだい」ガチャ


にこ「お邪魔しまーす」


絵里「私の部屋は2階の奥だから先に行ってて。私は飲み物とお菓子を用意するから」


にこ「なんだか気を遣わせて悪いわね」


絵里「私たちの間で余計な気遣いは不要でしょ?遠慮しないで、ゆっくりくつろいでいって」


にこ「ありがとう、絵里。そうさせてもらうわ」


――

絵里の部屋


にこ「2階の奥って、ここのことよね」ガラッ


真姫「お帰りなさいませ、ご主人様!」キャピッ


にこ「…」バタン


真姫「ちょっと、無言で閉めないで!」ガラッ


にこ「あたし、疲れてるのかしら?どうして露出狂がここに…」


真姫「露出狂じゃないわよ!ほら、よく見て。下着エプロンでしょ?」チラッ


にこ「十分すぎるほど露出狂よ!何で真姫ちゃんが絵里の部屋にいるのよ!」


真姫「にこちゃんのいるところに私ありよ」


にこ「頭痛くなってきた…」


――

絵里「あらあら、二人ともお熱いわね」


にこ「絵里ぃー!これはいったいどうなってんのよ!?」


絵里「何のことチカ?エリチカ、日本語よくわからないチカ」スットボケ


にこ「こんなときだけ外人ぶるんじゃないわよ!」


真姫「さぁ、にこちゃん。私と一緒に愛の主従関係を結びましょう。もちろん、にこちゃんがご主人様ね。私はにこちゃん専属の奴隷になるわ」ハァハァ


絵里「チョコおいしいチカ~」モグモグ


――

にこ「そ、そのいかにも高級そうなチョコレート…さては真姫ちゃん、絵里を買収したわね!」


真姫「M&Aは経済の基本よ」


にこ「くぅ~、金持ちキャラを如何なく発揮してくれるわね!てゆうか、絵里もあっさり買収されるんじゃないわよ!」


絵里「外交を甘く見た者は敗者になると相場が決まっているチカ」ムシャムシャ


にこ「欧州情勢は複雑怪奇ね…。さすが外交上手なロシアの血だわ」ゴクリ


真姫「に~こちゃん、この首輪を付ければ私は未来永劫にこちゃんのものよ」ハァハァ


にこ「こうなったら…」


――

にこ「逃げるが勝ちにこ!」ダッ


真姫「逃がさないわ!絵里も追いかけて!」


絵里「いやチカ。今はエリチカのおやつタイムチカ」ハムハム


真姫「手伝ってくれたら、みしゅらん三ツ星のパティシエが作ったチョコをあげるわ」


絵里「本当チカ!?」キラキラ


真姫「虫歯になるほどあげるわ!さっ、にこちゃんを追いかけるわよ!」


絵里「わかったわ!しらみつぶしに探すわよ!」ガゼンヤルキ


――

真姫「に~こちゃん、隠れてないで出て来てよ」キョロキョロ


絵里「どうにも室内には気配がないわね。外に逃げちゃったのかしら?」


真姫「今から追いかければ十分間に合うわね。追うわよ、絵里!」ダッ


絵里「待って、真姫!その格好で外に出たら警察のお世話になるわ!」


――

亜里沙の部屋


亜里沙「もう大丈夫ですよ。お姉ちゃんと真姫さんは外に出て行きました」


にこ「助かったわ…」


亜里沙「靴も持ってきたので、ばれないはずです」スッ


にこ「ポンコツな絵里と違ってあなたは優秀ね」


亜里沙「これでもお姉ちゃんを陰ながら支えていますので」


にこ「ありがとう。それじゃあ、あたしは様子を見て帰るわね」


亜里沙「待ってください。まだ話は終わっていませんよ」ギュッ


にこ「な、何のことにこ?」


亜里沙「とぼけないでください。にこさんの窮地を救ったんですから、それ相応の報酬をいただきませんと」


にこ「うっ、足許見るのね…。何が欲しいのよ?」


亜里沙「そうですね、海未さんの私物をいくつかお願いします。特に練習後のものであれば、今後もにこさんとは良好な関係が築けそうですね」ニッコリ


にこ「あの姉にしてこの妹ありね…」ハァ


――

【Episode9 Raputure-Playing Game】


放課後 部室


ことり「今回の衣装はファンタジーの世界をイメージしてみたよっ」ジャーン


穂乃果「うわ~、かわいい!ことりちゃん、着てみてもいい?」


ことり「どうぞ、穂乃果ちゃん」


穂乃果「そっちで着替えてくるね~」


――

穂乃果「準備オッケー!どうかな、似合ってる?」クルクル


ことり「やっぱり!穂乃果ちゃんなら似合うと思ってたよ」


穂乃果「なんだか、RPGの勇者みたい!」


ことり「そのイメージで作ってみたんだよ。みんなを引っ張ってくれる穂乃果ちゃんにはぴったりだと思ったから!」


穂乃果「嬉しい!これなら世界の危機も救えそうだよ!」ルンルン


ことり「穂乃果ちゃんに喜んでもらえてよかった~」


ガチャ


海未「失礼、遅れました…なっ!?」


――

穂乃果「あっ、海未ちゃん!どう、この衣装似合ってる?」


海未「なんですか、このかわいいプチ勇者は。私を仲間にしたさそうな眼でこちらを見ていますね…。これは夜には宿屋でMPが尽きるまでお楽しみという誘いでしょうか。きっとそうに違いありません(とても似合っていますよ、穂乃果)」ハァハァ


ことり「海未ちゃん、本音が漏れてるよ…」アハハ…


穂乃果「そうだ、ことりちゃん。海未ちゃんの衣装はどんな感じなの?」


ことり「海未ちゃんの衣装は戦士をイメージしてみました!」ドン


穂乃果「海未ちゃんにぴったりだね!魔物が出て来てもあっさり倒しそうだし…」


海未「穂乃果と結婚して子どもができればパーティが増えますね。いっそのこと、私と穂乃果のファミリーパーティを作ってしまいましょうか…//」グヘヘ


ことり「(この状態だと、海未ちゃんの方が魔物だよね…)」


――

穂乃果「こっちの衣装は魔法使いかな。ってことは、希ちゃんだね!」


ことり「希ちゃんといえばスピリチュアルだからね。今はまだ3人分しか作ってないけど、これから残りのみんなのも作る予定だよ」


穂乃果「それじゃあ、みんなにぴったりなイメージで作らないとね!ことりちゃんなら、僧侶って感じかなぁ」


ことり「どうして?」


穂乃果「だって、ことりちゃんがいるとみんなが癒されるもん!」


ことり「えへへ。ありがとう、穂乃果ちゃん!」


穂乃果「凛ちゃんはすばっしこいから、盗賊ってイメージかなぁ」


ことり「じゃあ、絵里ちゃんは賢者だね」


穂乃果「なんといってもKKEだからね!」


――

ことり「花陽ちゃんは…」


穂乃果「お米が大好きだから農民?」


ことり「でも、それだとRPGっぽくないような気がするけど…」


穂乃果「それじゃあ、モンスターテイマーは?」


ことり「花陽ちゃんが!?」


穂乃果「だって、アルパカも花陽ちゃんにはなついてるし」


ことり「そっか、そういう意味では合ってるかもね」


穂乃果「それに、凛ちゃんもなついてるもんね」


ことり「あはは、確かにそうだね」


――

穂乃果「にこちゃんは…遊び人かな」


ことり「にこちゃんが聞いたら怒るよ?」アハハ


穂乃果「真姫ちゃんは…名前のとおり、お姫様かなぁ」


ことり「穂乃果ちゃんもそう思う?」


穂乃果「真姫ちゃんの衣装はゴージャスなドレスで決まりだね!」


真姫「そうね。高貴な私にはそれがぴったりだわ」カミノケクルクルー


――

穂乃果「うわぁっ、びっくりした!真姫ちゃん、いつの間にいたの?」


真姫「さっきからいたわよ」


ことり「穂乃果ちゃんとの話に夢中で全然気づかなかったよ~」


真姫「ところで、さっきの話は新しい衣装のことでしょ。だったら要望があるんだけど」


穂乃果「あれ?真姫ちゃん、さっきは自分でぴったりって言ってなかったっけ?」


真姫「コンセプトには何も文句はないわよ。できればこんな風にしてほしいの」スッ


ことり「それは…?」


真姫「私のお気に入りの漫画よ」


穂乃果「真姫ちゃんも漫画なんか読むんだ!?」


真姫「私だって漫画くらい読むわよ。それより、このキャラクターが着ているようなドレスにしてほしいの」


――

穂乃果「うわぁ、なんだかゴージャスでセクシーだね」


ことり「かわいいけど、変わったデザインだね。ドレスと鎧が合体してるような…」


真姫「これが話題の姫騎士ドレスよ」


穂乃果「姫騎士?何それ?」


真姫「高貴な身でありながら、理想のために死地にも赴く…。戦場に咲く可憐な一輪の花、それが姫騎士よ」


穂乃果「わかったような、わからないような…」


真姫「わかりなさいよ!私が丁寧に説明してあげたデッショー!」


ことり「要するに、お姫様なんだけど、騎士として戦う女の子ってことなんじゃないかな?」


穂乃果「なるほどー、そっか!」


真姫「それでわかるなら、さっきので理解しなさいよ!」


――

穂乃果「それにしても、わざわざ戦わないといけないなんて大変だね」


真姫「それが姫騎士の宿命なのよ」


穂乃果「私がお姫様だったら家来を戦わせるけどね」


ことり「穂乃果ちゃんらしいね」アハハ


真姫「それじゃ姫騎士じゃなくなっちゃうでしょ!ただのぐうたら王族よ!」


――

穂乃果「それに、こんな格好で本当に戦えるの?」


ことり「確かに、ちょっと厳しそうだね」


穂乃果「鎧をつけてるのに、おへそ出しちゃってるし。これじゃ防具の意味がないんじゃないの?」


ことり「それに、ちょっと露出が多いような気がするけど…。真姫ちゃん、本当にこんな感じの衣装でいいの?」


真姫「当然よ!可憐で繊細、だからこそ姫騎士は蹂躙のしがいがあるのよ!」


穂乃果「え、蹂躙?」


真姫「こんな格好をしているのは、お楽しみをされるからに決まってるでしょ。美しいものは汚されるのが運命なのよ。これは絶対の定理と言っていいわ!」


ことり「ごめん、ことりにはちょっと難しくてわからないかな…」


真姫「それならいいものがあるわ」スッ


穂乃果「真姫ちゃん、それは何?」


真姫「姫騎士の素晴らしさを布教するために、私が作った紙芝居よ」


穂乃果「なんだか手が込んでるね」


ことり「真姫ちゃん、その努力と才能を別の方向に使った方がいいと思うよ」


真姫「それじゃあ、姫騎士布教紙芝居を始めるわよ!括目しなさい!」


――

真姫「昔々、とある王国にそれはそれは美しい姫騎士マッキーがいました」ペラッ


穂乃果「真姫ちゃんがモデルなの?」


ことり「なんで姫騎士になったのかとか、そういうのは省くんだね」


真姫「ところが、王国は戦争で敗けてしまい、騎士団長のマッキーは囚われの身になってしまいました」


穂乃果「縛られてる真姫ちゃんの絵が無駄にリアルだね」


ことり「これは凛ちゃんたちには見せられないね…」


真姫「マッキーは敵軍の長の前に連れてこられました。長はオークの一族で、マッキーの身体を舐めるように眺めまわしています」


穂乃果「あのオーク、にこちゃんがモデルだよね?」


ことり「オークというより、コロポックルだね」


真姫「オークはマッキーに襲いかかり、あられもない姿にしてしまいました。嫌がるマッキーをオークは無理やり…あぁん、これ以上はだめだめだめぇ//」クネクネ


穂乃果「真姫ちゃん、一人で楽しそうだし帰ろうか」


ことり「そうだね。真姫ちゃんの衣装は当たり障りのないものにしておくよ」


穂乃果「ほら、海未ちゃんも帰るよ」


海未「…穂乃果ならきっと元気のいい子をたくさん産んでくれるにちがいありません。バツグンの安産型ですからね。そして、私と穂乃果の子どもたちが国を治めることになり、うみみん王国はますます繁栄を…//」ブツブツ


――

【Episode10 百年の恋は露と消え】


放課後 部室


穂乃果「はぁ~、やっと練習終わったよ…」ヨロヨロ


凛「どっと疲れが出たにゃー…」フラフラ


絵里「確かに、今日は朝からハードな練習だったもわね」


希「これまでの総まとめやったもんなぁ」


にこ「こ、こんなものでへばってるようじゃアイドルとしては3流よ…」ゼェハァ


海未「そういうにこが一番やつれて見えますが…」


――

穂乃果「もう今日はすぐに帰って休みたいよ!」


凛「凛も今日は寄り道してラーメン食べないでまっすぐ帰る!」


花陽「凛ちゃんがラーメンを諦めるなんて、よほどこたえたんだね」


にこ「あ、あたしもさっさと帰らせてもらうわ…」ヨタヨタ


ガシッ


にこ「こ、この胸を揉みしだくやらしい手つきは…!」


真姫「ん~、練習終わりのにこちゃんの胸は格別だわ♪」モミモミ


――

にこ「やっぱり真姫ちゃん…」


真姫「はぁ~、ほんのり汗に濡れたシャツをつたって、にこちゃんの桃源郷が私の手の中に…」モミモミッ


にこ「真姫ちゃん。今日は疲れてるからやめて、本当に」


真姫「よーし!マッキー、にこちゃんのユメノトビラ開いちゃうわよー」カハンシンタッチ


にこ「やめて!」


バシッ


――

真姫「あっ…」ヒリヒリ


にこ「やめてって言ってるでしょ!」


真姫「に、にこちゃん。どうして…?」


にこ「わからないの?あたしは嫌なの!真姫ちゃんがいつもしてくることが!」


真姫「こ、これは私なりの愛情表現で…」


にこ「される側の身になりなさいよ!愛情表現?笑わせないでよ。頭おかしいんじゃないの!?」


真姫「わ、私は…」


にこ「言い訳しないで!」


真姫「うぅ…」


にこ「はっきり言うけど…あたしは嫌いなの!真姫ちゃんなんか嫌い!」


真姫「えっ…」


にこ「二度とあたしの前に顔を見せないで!大っ嫌い!」


ガラッ バタン


――

真姫「…」


希「これはやってもうたなぁ…」


絵里「にこ、本気で怒ってたわね…」


真姫「に、にこちゃん…」


穂乃果「だ、大丈夫だよ真姫ちゃん。にこちゃんのことだから、明日にはきっと…」


真姫「うっ、うぅ…」グスッ


ことり「穂乃果ちゃんの言う通りだよ。あんなこと言ってたけど、にこちゃんは真姫ちゃんのことが…」


真姫「うあぁああぁああああぁん!」


――

凛「真姫ちゃんが泣いちゃった!」


真姫「うぅっ、にこちゃん…。にこちゃんに嫌われたぁ…。もう嫌ぁ…」ビエーン


花陽「ま、真姫ちゃん落ち着いて…」アタフタ


真姫「もう…もう終わりよ。もう生きていけない…。うちの病院の研究棟からボツリヌス菌を拝借して天国に行くわ…」フラフラ


海未「真姫、早まってはいけませんよ!」ガシッ


真姫「離して!私にはもう生きていく希望がない!」バッ


ことり「あぁっ、真姫ちゃんが走って行っちゃった!」


穂乃果「私が追いかけるよ!」


――

【Episode11 ご注文はほのまきですか?】


通学路


真姫「うぅ…にこちゃんに嫌われたぁ…」グスッ


真姫「にこちゃんのいない人生なんて、トマト味じゃないナポリタンと同じようなものよ…」


真姫「早く死に場所を探しましょう…」


真姫「と、言っても走りっぱなしで疲れたわ。ちょうど公園があるから、休憩しましょ…」


――

公園


真姫「思えば、私の人生って何だったのかしら…」


真姫「そうね、考えるまでもないわ。にこちゃんよ。にこちゃんが私の人生そのものだったわ」


真姫「そのにこちゃんに嫌われたんだから、私の人生はおしまいね」


真姫「何であんなことしちゃったんだろう…」


真姫「もうちょっと我慢すれば…いや、にこちゃんのかわいさは私の理性をオーバーキルするわ」


真姫「にこちゃんも罪な女の子ね…」ハァ


――

穂乃果「あっ、真姫ちゃん!こんなところにいたんだね」


真姫「穂乃果…」


穂乃果「隣…座ってもいい?」


真姫「勝手にしなさいよ…」プイッ


穂乃果「それじゃ、失礼するよー」ヨイショ


――

真姫「…で、何の用?」


穂乃果「用っていうか、真姫ちゃんが泣きながら出て行っちゃったから、心配してついて来ちゃった」


真姫「海未か絵里にでも呼び戻すよう言われたの?」


穂乃果「ううん。真姫ちゃんを追いかけるなら私がいいかなって。ほら、私なら足が速いし!」


真姫「それなら凛に任せた方がよかったんじゃないの」


穂乃果「あっ、そうか」


真姫「素で気づかなかったのね…」


――

穂乃果「ま、まぁそれはこの際どうでもいいよ。ところで真姫ちゃん、喉渇かない?」


真姫「別に…」


穂乃果「私は喉渇いたかなー。真姫ちゃんも飲まない?」


真姫「いらないわよ」


穂乃果「もうっ、遠慮しないで。穂乃果がおごってあげるから!そこの自販機で買ってくるから、ちょっと待っててね~」


真姫「ちょっと…って、もう行っちゃったわ」


――

穂乃果「え~と、あれ?財布忘れたー!」ガビーン


真姫「何やってるのよ」


穂乃果「真姫ちゃんごめん~」


真姫「ほら、私が買ってあげるわよ」


穂乃果「え、いいの?」


真姫「ここまで追いかけさせておいて、何もなしってのも気が引けるから」


穂乃果「それじゃあ、この苺ミルクオレがいい!」


真姫「はいはい。私はコーヒーにしておくわ」ガコンッ


――

穂乃果「ぷはぁっ、この苺オレ最高だね!」


真姫「たかだか缶ジュース一つでよくそんなに喜べるわね」


穂乃果「だっておいしいんだも~ん」


真姫「それで…穂乃果も私が悪かったと思う?」


穂乃果「え、何のこと?」


真姫「にこちゃんのことよ」


穂乃果「あぁ~、そういえばそれで真姫ちゃんを追いかけたんだっけ」


真姫「追いかけてきた目的を忘れてたの!?」


穂乃果「だって、この苺オレがあんまりおいしくて…」


真姫「はぁ…本当に単純ね」


――

【Episode12 恋愛道師範ハノケチェン】


穂乃果「ところで、真姫ちゃんはどうしてにこちゃんに積極的なの?」


真姫「そ、それを私の口から言わせるの!?//」


穂乃果「真姫ちゃんから直接聴かないとアドバイスもできないよ」


真姫「そ、それは…その…す…//」ゴニョゴニョ


穂乃果「え、何?聴こえないよ」


真姫「す、好きなの!大好きなのよ!にこちゃんのことが大好きなの!これでいいでしょ!?//」


穂乃果「(真姫ちゃん、顔真っ赤にしちゃってかわいいなー。それにしても、にこちゃん本人には大胆なのに、どうしてこういう時は恥ずかしがるんだろ?)」


――

真姫「私はにこちゃんのことが好きで好きで好きすぎるから…だから、えっちなことも考えちゃうのよ!医学的にも仕方ないデッショー!?//」


穂乃果「そうだね」


真姫「え?ずいぶんとあっさり肯定するのね…」


穂乃果「だって、それってそんなにおかしいことかな?」


真姫「にこちゃんにこんなことカミングアウトしたら、間違いなく変態呼ばわりされるのに…」


穂乃果「好きなひとのことを考えると、大胆にもなっちゃう。女の子ってそういうものじゃないかな?」


真姫「穂乃果…」


――

穂乃果「だけど、どんなことにも順序ってあるよね」


真姫「順序?」


穂乃果「いくら真姫ちゃんがにこちゃんのことが大好きでも、いきなり激しいアプローチをするのはよくないと思うよ」


真姫「そ、そうなの?」


穂乃果「たとえばの話だけど、メインディッシュの前にデザートが出されたら、真姫ちゃんはどう思う?」


真姫「それは困るわ。せっかくのフルコースが台無しよ」


穂乃果「真姫ちゃんのやり方だと、前菜もメインディッシュもなしにデザートを出してるようなものだよ」


真姫「そ、そんな…。私はにこちゃんにそんな無粋な真似をしていたっていうの!?」


――

穂乃果「それと、やっぱり無理やりはよくないかなぁ」


真姫「そうなの…?」


穂乃果「真姫ちゃんはトマトが好きだけど、おなかがいっぱいの時に、無理やり口に詰め込まれたらどう?」


真姫「いくらトマト好きな私でもそれは嫌よ」


穂乃果「にこちゃんも同じ気持ちだと思うよ」


真姫「にこちゃんが!?」


――

穂乃果「口には出さないけど、にこちゃんも真姫ちゃんのことが大好きだと思うよ」


真姫「ほ、本当に!?」


穂乃果「うん。でも、真姫ちゃんはどんな時でもお構いなしににこちゃんにすり寄ってるよね?そんな時の真姫ちゃんは、おなかがいっぱいの時のトマトと同じなんだよ」


真姫「…」


穂乃果「いくら大好きでも、誰だって一人になりたい時はあるよね?真姫ちゃんが本当ににこちゃんのことが大好きなら、にこちゃんの気持ち、もう少しだけ考えてあげようよ」


――

真姫「…私がバカだったわ。私のやり方は、おなかがいっぱいなにこちゃんに、順序をふっとばしてデザートを振る舞ってるようなものだったのね」


穂乃果「そういうことになるね。でも、にこちゃんも真姫ちゃんのことが好きなのは間違いないと思うよ。今からでも遅くないから、やり方を変えてみようよ」


真姫「穂乃果…」


穂乃果「これで真姫ちゃんがやるべきことは決まったね。大丈夫、明日にはきっとにこちゃんと仲直りできてるはずだよ!」


真姫「…ありがとう。穂乃果のおかげで何だか元気がわいてきたわ」


穂乃果「真姫ちゃん頑張ってね。私も応援してるから!」


――

【Episode13 天然タラシとNTR】


翌日 昼休み 生徒会室


希「それで、真姫ちゃんとはまだ仲直りできとらんの?」


にこ「そんなもんする必要ないわよ」


希「にこっち、本当にそれでええの?」


にこ「えぇ、むしろせいせいしたわ。これで真姫ちゃんにセクハラされずに済むもの」


希「強情やな…」


にこ「何でよ!これがあたしの本音よ!」


――

希「それやったら、何でこないなところまで来てるん?真姫ちゃんが追いかけてこないんなら、ここに隠れる必要もないやろ」


にこ「そ、それは…気分よ!今日はここで昼を過ごしたい気分なのよ!」


希「にこっち…ほんまは真姫ちゃんと仲直りしたくてうちに相談しに来たんやろ?」


にこ「そ、そんなわけ…」


希「それ以外に何の理由があるっていうんや」


にこ「あ、あう…」


希「図星のようやね」


――

にこ「ったく、あんたには本ッ当かなわないわ…」


希「これでもうちは、にこっちのことなら他のみんなより知っとるつもりやからね。昨日は真姫ちゃんのこと考えて眠れなかったんちゃう?」


にこ「そうよ。昨日は勢いであんなこと言っちゃったけど、帰ってから後悔したのよ。一晩中、真姫ちゃんと仲直りする方法を考えてたんだけど、何も思いつかずに希に相談しに来たってわけ」


希「始めから素直にそう言えばええのに。まぁ、うちにできることなら何でもするけどね」


にこ「頼むわよ、希。こういう時はあんただけが頼りなんだから」


希「ほな、希パワーでプシュッと解決したろかな」


――

にこ「早速だけど、何かいい案はない?」


希「せやなぁ、ここはもうシンプルに真姫ちゃんに会った方がええと思うよ」


にこ「それってハードル高くない?」


希「大丈夫やって。真姫ちゃんはにこちゃんに嫌われた思うてショックなんや。そんなら、にこちゃん本人が会って、嫌ってないってことをはっきり伝えるのが一番や」


にこ「そういうもんかしら…」


希「これが一番の解決方法やと思うよ?」


にこ「希がそう言うなら、そうかもしれないわね。カードはどう告げてるの?」


希「カード?そんなん使わなくても、にこっちと真姫ちゃんの仲ならこれが一番やってうちは自信持って言えるで」ニコッ


にこ「希…」


――

希「そんなら、今からでも真姫ちゃんに会ってあげたらどうやろ?まだ昼休みは十分あることやし」


にこ「そうね。今から真姫ちゃんに会って伝えてくるわ」


希「それが一番やね」


にこ「あの、希…」


希「どないしたん?」


にこ「…ありがとね、相談に乗ってくれて」


希「そんなかしこまらんでもええよ。うちとにこっちの仲やん?それより、早く真姫ちゃんに会ってあげてや」


にこ「わかったわ。今すぐ会ってくる!」


――

3階廊下


にこ「真姫ちゃんがいるとしたら1年生の教室か音楽室よね」


にこ「たぶん教室にいると思うから…もう1階降りる必要があるわね」


にこ「あらっ、あれは…」


真姫「…」スタスタ


にこ「真姫ちゃん?どうしてこんなところに…」


――

真姫「…」スタスタ


にこ「誰か2年生に用でもあるのかしら?」


真姫「…」ピタッ


にこ「穂乃果たちの教室の前で止まったわね」


真姫「…」


にこ「入らないのかしら?」


真姫「…//」モジモジ


にこ「よくわからないけど…とりあえず隠れて様子を見てみようかしら」コソッ


――

穂乃果「あれ、真姫ちゃん。どうしたの、こんなところで?」


真姫「ほ、穂乃果…//」


穂乃果「もしかして、海未ちゃんかことりちゃんに用事かな?」


真姫「ち、違うわ…」


穂乃果「そうなの?それじゃあ、どうしてここに?」


真姫「…ニ…ノヨ」ゴニョゴニョ


穂乃果「なぁに、聞こえないよ?」


真姫「ほ、穂乃果に会いに来たのよ!//」


にこ「ニコッ!?」


――

穂乃果「え、私に?μ’sのことで何かあったっけ?」


真姫「違うの!穂乃果に会いたかったの!それだけよ、悪い!?//」


穂乃果「そうなんだ?えへへ、真姫ちゃんにわざわざ会いに来てもらえるなんて嬉しいな」ニコッ


真姫「…//」カオマッカ


穂乃果「そうだ、真姫ちゃん。せっかく来てくれたんだから、一緒にお昼食べない?」


真姫「ヴェエエ!?わ、私は…//」


穂乃果「海未ちゃんは弓道部のことでいないし、ことりちゃんもお母さんに呼ばれてるから、ちょうど私ひとりだたんだよね」


真姫「わ、私が穂乃果と二人で…//」


穂乃果「天気もいいし、外で一緒に食べよう。ね、いいでしょ?」


真姫「ワ、ワカッタワヨ…//」


にこ「え、何これ…。と、とりあえずついて行こうかしら…」


――

木陰


穂乃果「いやー、お日様の光を浴びて食べるパンは格別だね!」モグモグ


真姫「穂乃果のお昼はパンだけなの…?」


穂乃果「私はパン好きだもん♪」


真姫「炭水化物だけじゃ栄養バランスが良くないわよ。ほら、私のお弁当のおかずを分けてあげるわ」


穂乃果「いいの?」


真姫「と、特別よ…//」


穂乃果「わーい、ありがとう真姫ちゃん!あ~ん」


真姫「ち、ちょっと!箸は貸してあげるから自分で食べなさいよ!//」


穂乃果「え~?面倒だし、真姫ちゃんがこのまま食べさせてよ?」


真姫「ヴェエエ!?//」


穂乃果「ほら、早く早くぅ」アーン


真姫「し、仕方ないわね!こんなこと、誰にもはしないんだから!//」スッ


穂乃果「はむっ。ん~おいしぃ~!」


――

真姫「もうっ、何なのよ…//」


穂乃果「真姫ちゃんのお弁当おいしー!自分で作ってるの?」


真姫「ま、まぁね。栄養学の勉強ってことで作ってるわ」


穂乃果「そうなんだ。それじゃ、真姫ちゃんと一緒にいたら、毎日ご飯作ってもらえるね!」


真姫「な…//」


穂乃果「どうしたの、真姫ちゃん。顔が紅いけど…」


真姫「ナ、ナンデモナイワヨ!//」


にこ「」


――

放課後 生徒会室


にこ「ケッ…」ヤサグレ~


希「にこっち、どないしたん?真姫ちゃんとはうまく仲直りできたはずやろ?」


にこ「真姫ちゃぁん?あんなやつ知らないわよ!あンの浮気モンがぁ~!」イライラ


希「何があったって言うんや…」


にこ「さんッざんあたしのことを愛してるとか言っておいて、何よアレは!?結局あたしは真姫ちゃんに弄ばれてただけだったんだわ!」キィー


希「ようわからんけど、これは重症やなぁ…」


――

【Episode14 万物と少女は流転する】


放課後 屋上


真姫「ね、ねぇ穂乃果ってば…」


穂乃果「どうしたの、真姫ちゃん?」


真姫「き、今日の練習、私と組んでほしいんだけど…//」


穂乃果「いいよ。真姫ちゃんと組むのも久しぶりだね!」


にこ「…」ジトーッ


希「なるほどなぁ、これが原因ってことやね」


にこ「浮気モン…」ブツブツ


――

穂乃果「それじゃ柔軟しよっ!」


真姫「そ、そうね…//」


穂乃果「真姫ちゃん、身体固いよ~」グイグイ


真姫「(穂乃果と私の距離がこんな近くに…//)」


にこ「…」


希「にこっち、うちらも始めようか?」


にこ「えぇ、そうね。バカップルは放っておいて、さっさと練習するわよ」イライラ


――

夕方 練習後


穂乃果「疲れたねー。帰りにどこか寄って行こうよ」


真姫「わ、私が一緒に行くわ//」


穂乃果「さすが真姫ちゃん、付き合いいいね~」ギュッ


真姫「ト、トウゼンヨ//」


にこ「…」ムスーッ


――

ことり「なんだかドロドロした感じになっちゃったね…」


凛「凛知ってるよ。昼ドラだと、このまま血を見ることになるって」


花陽「そ、そんなことになったら困るよぉ…」


絵里「希、何とかならないの?」


希「そうゆうても、真姫ちゃんが誰にくっつくかは真姫ちゃんの自由やしなぁ…」


海未「真姫、ちょっといいですか」


――

絵里「海未…そうよ、海未ならこういう時も何とかしてくれるわ!」


ことり「ここは海未ちゃんに任せよう」


花陽「うまくいくといいね…」


凛「海未ちゃんなら大丈夫だと思うにゃー」


希「そうやね。ひとまず様子を見よか」


――

真姫「何よ、海未」


海未「真姫、今日は穂乃果にくっつきすぎではないですか?」


真姫「別にいいでしょ。私が誰と一緒にいようと」


海未「よくありません」


真姫「どうしてよ?」


海未「私が穂乃果の近くでほのほのする機会が減るじゃないですかァ!」


――

ことり「海未ちゃん…」


絵里「この海未はポンコツね。見てられないわ…」


凛「ちょっと痛くないかにゃー?」


花陽「信じて送り出した海未ちゃんだったのに…」


希「あかん、海未ちゃんと真姫ちゃんがヒートアップしとる…」


――

真姫「何よほのほのって!私の穂乃果でいやらしいことを考えないで!」


海未「何を抜かすんですか!私は穂乃果の幼馴染、大正義なんですよ!高校から知り合ったポッと出の後輩に言われたくはありませんね!それにほのほのは破廉恥な意味ではありません!」


真姫「うるさいわね!穂乃果は私といた方がいいって言ってるわ!」


海未「すぐそうやってねつ造ですか!」


ワーワー ギャーギャー


穂乃果「ふ、二人ともやめてぇええ」アタフタ


にこ「…帰るわ」ムスッ


希「あぁ、もうメチャクチャや…」


――

夜 矢澤家 にこの部屋


にこ「真姫ちゃんのバカ!本ッ当バカ!」


にこ「何よあれ?たかだか一日でどうしてあんなに心変わりできるっていうの!信じられない!」


にこ「バカバカバカ!勉強はできるのかもしれないけどバカ!」


にこ「あたしがいる前で穂乃果といちゃいちゃするなんて…最低!もう知らないッ!」


こころ「お姉さまが大変にこ…」


ここあ「そっとしておくのが一番にこ」


虎太郎「しつれーん…」


――

【Episode15 にこ想う、ゆえに真姫あり】


翌日 朝 通学路


にこ「ったく、昨日は散々だったわ…」


にこ「イライラして全然眠れないし、目許は赤くなっちゃうし…」


にこ「それもこれも全部真姫ちゃんのせいよッ!」


にこ「真姫ちゃんのバーカ!このにこにーを弄ぶなんて万死に値するわよ!」


にこ「今日もどこかに隠れたりしてないわよね?」キョロキョロ


――

にこ「って、いるわけないか…」


にこ「そうよね、真姫ちゃんは今ごろ穂乃果と一緒に登校してるわ。きっとそうよ」


にこ「途中で出くわさないようにしなきゃ。あのバカップルぶりは見てて吐き気がするわ」


にこ「さっさと学校に行きましょ…」スタスタ


真姫「にこちゃん」


――

にこ「真姫ちゃん!?どうしてここに…」


真姫「にこちゃん、ちょっとだけいい?」


にこ「お、お断りよ!あんたの顔なんか見たくないわ!」スタスタ


真姫「待って!話があるの!」ギュッ


にこ「離しなさいよ!」


真姫「お願い、すぐ済むから!」グググ


にこ「いだだだ!強く引っ張りすぎよ!」


真姫「ご、ごめん…」パッ


――

にこ「ったく、何てばかぢからよ…」ジンジン


真姫「ごめんなさい。長くピアノをやってると握力が鍛えられて…」


にこ「鍛えすぎよ!それで…話って何よ?」


真姫「そ、それは…」


にこ「穂乃果と付き合い始めましたってご報告?悪いけどご祝儀は払う気ないから」


真姫「ち、違うわ!そんなんじゃないの!」


にこ「じゃあ何だっていうのよ?」


真姫「あ、謝らせてほしいの!にこちゃんにこれまでしてきたことを…」


――

にこ「謝る?今さら何を言うかと思ったら…。あれは愛情表現なんでしょ?」


真姫「確かにあの時の私はそう思ってた…いえ、誤解してたのよ。あんなものは愛情表現でも何でもないわ。ただのセクハラよ…」


にこ「ずいぶんな心境の変化ね」


真姫「にこちゃんに嫌われたあの日に教えてもらったの。いくら私がにこちゃんのことを好きでも、独りよがりじゃダメなんだって」


にこ「常識あるお友だちがいたものね。希にでも教えてもらったの?」


真姫「いいえ、穂乃果よ」


――

にこ「誰かと思えば、真姫ちゃんの新しい恋人の穂乃果から?」


真姫「穂乃果は私に教えてくれたわ。私のやり方は間違ってるって。私のやってたことは、おなかいっぱいの出し抜けスイーツトマトだったわ」


にこ「何それ、意味わかんないけど…」


真姫「とにかく…私は間違ってた。にこちゃんに嫌な思いをさせてしまったわ。そのことをまずは謝らせて」


にこ「ふん、まぁ好きにすれば?」


真姫「にこちゃん、ごめんなさい…」


――

にこ「今さらどうだっていいわよ…。今は穂乃果と付き合ってるんでしょ?」


真姫「違うわ。私と穂乃果は付き合ってない」


にこ「見え透いた嘘ね。あれだけベタベタしといて、付き合ってないとはよく言えたもんだわ。どうせあの後、すぐ告白したんでしょ」ケッ


真姫「確かに告白はしたけど…」


にこ「って、本当にしてたの!?」


真姫「えぇ、そうだけど…」


にこ「ごめん。真姫ちゃんにはマジで幻滅したわ。ここまで尻軽だとは思わなかったわ…」


――

真姫「にこちゃんに嫌われたあの日、私は堪えられなくなって部室から逃げ出したの。その時、追いかけてきてくれたのが穂乃果だったのよ」


にこ「今度はノロケ?」


真姫「穂乃果は私を慰めてくれた。さっきのアドバイスもその時にもらったの」


にこ「穂乃果はあたしと違って気が利くでしょーね」フンッ


真姫「絶望してた私は、穂乃果の優しい言葉に舞い上がっちゃったのよ。その時の気持ちを恋だと勘違いしてた」


にこ「まぁ、真姫ちゃんならいかにもありそうね」


真姫「それで、思い切って穂乃果に告白したのが昨日の帰り道よ。けど、穂乃果の返事はあっけなかったわ。ごめんね、ってただ一言」


にこ「いい気味よ。尻軽な真姫ちゃんにはいいクスリだわ」ケッ


真姫「最後まで聞いてってば。穂乃果が私を振った理由、それは私にはもっとふさわしいパートナーがいるからだって教えてくれたわ。にこちゃんのことよ…」


にこ「へっ?」ドキッ


――

真姫「穂乃果はわかってたのよ。私が本当に愛してるのはにこちゃんだってことを。そして、こんな私を愛してくれるのは、他でもないにこちゃんだってことを…」


にこ「か、勝手なこと言ってんじゃないわよ。穂乃果のやつ…//」


真姫「私はずっと自分の気持ちに嘘をついてた。にこちゃんのことが好きで好きでたまらないのに、拒絶されるのが怖かったの。だから、正直に自分の気持ちを伝えることもしないで、あんなセクハラまがいのことばかりしてたのよ」


にこ「いや、あれは立派なセクハラだけど…」


真姫「過激なことをしてる分には、そのせいで嫌われたって自分に言い訳ができるから…だから、いつもあんなことをしちゃってたのよ」


にこ「何よ、好きな娘には意地悪しちゃうあれと同じって言うの?」


真姫「とにかく…私はもう自分の気持ちに嘘はつかない。だから、いまここで伝えるわ…」スゥ


にこ「え、ちょっと。何をするつもりよ…」


真姫「にこちゃん」


にこ「な、何よ?」




















真姫「好き!好きなの!大好きなの、にこちゃんが!世界で一番愛してる!だから…私と付き合って!」


――

にこ「な…//」


真姫「はぁー、はぁ。と、とうとう言っちゃったわ…//」


にこ「に、にこは用事思い出したにこ…」スタコラ


真姫「待って!何逃げようとしてるのよ!ちゃんと返事を聞かせなさい!」ガシッ


にこ「い、意味わかんないわよ!ど、どうしてあたしが真姫ちゃんと…//」


真姫「何よ!私のどこが不満なの!?この真姫ちゃんに告白されて断るなんてどうかしてるわよ!」


にこ「べ、別に不満はないわよ!あたしだって真姫ちゃんのことが…あっ//」


真姫「何?いま何か言ったわよね。もう一回言いなさいよ」


にこ「言ってない!何も言ってないわよ!//」


真姫「私が聞こえなかったんだから、もう一回言うのがスジってもんでしょ!」


にこ「どこの難聴系主人公よ!いいわよ、だったら言ってやるわ!あたしも真姫ちゃんのことは大好きよ!セクハラさえしてこなければ世界一愛してるわよ!」


――

真姫「に、にこちゃん…//」ウルッ


にこ「ちょ、真姫ちゃん泣いてるの!?」


真姫「私たち、やっぱり両想いだったのね。信じてたわ。この世界は希望に満ち溢れてるって…」グスッ


にこ「お、大袈裟ねぇ…。ほら、ハンカチ貸してあげるから涙拭きなさいよ。せっかくのかわいい真姫ちゃんの顔が台無しよ」フキフキ


真姫「に、にこちゃああぁあああん!」ギュッ


にこ「ちょ、危ない!いきなり抱き付かないで!」


真姫「もう離さない!誰にもにこちゃんは渡さない!私が…私が一番にこちゃんのことを愛してるんだもの!」ムギュウ


にこ「く、苦しいわよ真姫ちゃん…」グググ


――

穂乃果「いやぁ、これでハッピーエンドだね!」


にこ「ほ、穂乃果!?どこからわいたのよ!」


穂乃果「真姫ちゃんの告白がうまくいくか心配で、みんなでこっそり見てたんだよねー。まぁ、最後はうまくいくって信じてたけど!」


ことり「これで一件落着だねっ♪」


海未「まったくです(これで穂乃果をめぐるライバルが一人いなくなりましたね)」


凛「素直になった真姫ちゃんはかわいいにゃー」


花陽「本当だね。二人とも、お幸せにね」


絵里「遅かれ早かれこうなるとは思っていたけれどね」


希「うんうん。いい画になるやん」パシャパシャ


にこ「ちょ、希!何撮ってんのよ!見せ物じゃないわよ!」


真姫「いいじゃない、にこちゃん。見せつけてあげましょうよ」スリスリ


にこ「あーもうッ、本当イミワカンナイ!」


おわり


後書き

凛「これでこのお話も終わりかにゃー?」

にこ「まぁね。だいぶ更新遅れたこともあるし」

真姫「そんなこと言って、気が向いたらエピソード追加する気なんじゃない?」

にこ「そ、そんなことないわよ?」アセッ

凛「図星だにゃ…」


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1: SS好きの名無しさん 2015-03-09 22:18:51 ID: e2XKyNN6

この真姫ちゃんもありですね……(新たなユメノトビラを開きそう)
更新頑張ってください~!

2: ギョタン 2015-03-12 22:11:54 ID: WZm1R9rG

前作とかなり雰囲気が違うので、割と驚いてたり……
ですが、積極真姫ちゃんいいですね~w

面白いです!

頑張ってください!

3: いまてる 2015-03-20 14:01:52 ID: saEfcZVp

この後の展開に期待します!

4: SS好きの名無しさん 2016-07-15 19:34:35 ID: 6hd319In

やっぱにこまきっていいね!


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1: SS好きの名無しさん 2016-07-15 19:35:37 ID: 6hd319In

にこまきかわいすぎ!


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