海未「アンハッピーバード」
穂乃果が拾った不思議な鳥(・8・)にみんなはメロメロになってしまいます。ところが、海未ちゃんだけはどうもこの鳥が気に入らない様子。ちぐはぐした関係は思いがけない事態を招きます…。ホラー展開要注意です。
鳥形態のことりちゃんのイメージは画像検索をかけてみてください。(・8・)
朝 通学路
ことり「海未ちゃん、おはよ~」
海未「おはようございます、ことり」
ことり「穂乃果ちゃんはまだ来てない?」
海未「えぇ、いつものことですが…」
ことり「今日は穂乃果ちゃんも時間通りに来ると思うよ?昨日、あれだけ海未ちゃんに言われたから」
海未「そうだといいのですが、このやりとりは先週もその前にもした気がしますよ」
ことり「そういえばそうだったね」クスッ
――
海未「穂乃果にはもっと責任感を持ってほしいものです…」ハァ
ことり「でも、穂乃果ちゃんも練習の時は頑張ってるよ」
海未「それは私も認めますが、練習以外の場面では気が抜けている気がします」
ことり「それは…しょうがないかなぁ」アハハ
海未「まったく、ことりは穂乃果に甘すぎます。このままでは、μ’sのリーダーとしての矜持が…」クドクド
ワーオクレター ドタバタ
ことり「穂乃果ちゃん、来たみたいだよ」クスッ
海未「そのようですね。角を曲がりきる前からわかるほどの声ですから…」
――
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃ~ん!遅れてごめーん!」ゼェハァ
海未「遅いですよ、穂乃果」
ことり「穂乃果ちゃん、おはようっ」
穂乃果「ふぅっ、間に合ったぁ…」
海未「間に合ってません。5分遅れています」
穂乃果「そんなァ!?5分の遅れならセーフだよね?」
海未「だめです。そんなことを認めていれば、肝心な時に遅刻してしまいます」
穂乃果「うぅ、ごめんなさい…」
ことり「穂乃果ちゃん、次から頑張ればいいんだよ♪」
穂乃果「そうだよね!それじゃ、行こっか!」ケロッ
海未「ことりはまた穂乃果を甘やかして…」ハァ
――
穂乃果「はぁ~、今日もいい天気だな~」ルンルン
海未「相変わらず気楽ですね…」
穂乃果「どうしたの、海未ちゃん?なんだか元気がないみたいだけど…」
海未「穂乃果がしっかりしていれば、私も気に病むことが減って助かるのですが」
穂乃果「えぇっ、私のせいなの?」
海未「私の気苦労の8割は穂乃果が原因ですよ」
穂乃果「まさかの過半数越え!?」
――
海未「そうです。いつも振り回されている私の身にもなってください。だいたいあなたはいつも…」
チュンチュン
海未「なんですか、ことり。これは大事な話ですから、邪魔しないでください」
ことり「えぇっ、何も言ってないよ?」
海未「言ったじゃないですか。チュンチュンと」
ことり「本当なのに…」
チュンチュン
海未「ほら、また言ったじゃないですか!」
――
穂乃果「あれ?でも今、ことりちゃんしゃべってなかったよ?」
海未「そんなはずはありません。ことり以外に誰がチュンチュンなどと言うのですか」
チュンチュン
穂乃果「あーっ!見てあれ!」
ことり「どうしたの、穂乃果ちゃん?」
穂乃果「きっとこの子だよ!」
海未「ことりではないのですか?」
――
(・8・)チュンチュン
穂乃果「ほら、やっぱり!」
ことり「うわぁ、かわいいっ!」
海未「これは…鳥ですか?」
穂乃果「なんだか不思議な鳥さんだけど…でも、すっごくかわいいね!」
ことり「穂乃果ちゃん、とってもふかふかしてるよ!」ナデナデ
(・8・)チューン♪
穂乃果「なでられて喜んでるみたいだね。私にもやらせて!」
海未「だ、だめですよ穂乃果。鳥には雑菌がついています。触るのはやめた方が…」
――
穂乃果「そんなの後で手を洗えば大丈夫だよ。それに、こんなかわいい子が汚いはずないもん」ナデナデ
海未「まったく穂乃果は…」
ことり「この子、段ボールに入ってるけど…捨てられちゃったのかなぁ?」
穂乃果「えー、かわいそう!私たちで飼ってあげようよ!」
海未「何を言っているのですか。そんなことできるわけがないでしょう」
穂乃果「いいでしょ、海未ちゃん。こんなにかわいいんだからさぁ。私、飼う!飼うったら飼う!」
海未「だめです。だいたい、誰が飼うのですか。穂乃果は飼えるのですか?」
穂乃果「えっと…うちは和菓子屋だから…」
海未「鳥なんか飼っては不衛生ですよ」
穂乃果「そ、それはそうだけど…」
海未「なら、この話はもうおしまいですね」
ことり「私が飼うよっ」
――
穂乃果「本当、ことりちゃん!?」
ことり「うちなら飼えると思うよ。後でお母さんに頼んでみるね」
穂乃果「やったー!ことりちゃん、大好き!」ダキッ
海未「またあなたは穂乃果を甘やかして…」
ことり「えへへ。だってこの子、とってもかわいいよ」
穂乃果「よかったね!ことりちゃんなら海未ちゃんと違って優しいから安心していいよ」ナデナデ
海未「穂乃果、それはどういう意味ですか!」
――
(・8・)チューン…
穂乃果「あぁっ、海未ちゃんが怒ったから怖がってるよ!」
海未「わ、私のせいですか!?」
ことり「よしよし、怖くないよ~」ナデナデ
(・8・)チュンチュン♪
穂乃果「へへへー、私とことりちゃんにだけなついてるね!」ドヤァ
海未「くっ、どうでもいいことですが無性に腹が立ちます…」
ことり「海未ちゃんもなでてあげなよ。かわいいよ!」
――
海未「なでません。そんなことより、早く学校に行かないと遅刻しますよ」
穂乃果「あれー、もうそんな時間かぁ。それじゃ、行こう!」スッ
海未「待ちなさい、穂乃果。なぜその段ボールを抱えるのですか」
穂乃果「えっ?だって、この子を連れて行かなきゃ…」
海未「まさか学校にこの鳥を連れて行く気ですか!?」
穂乃果「だって、このままここに置いてたら、帰りに寄るまでに野良猫か何かに食べられちゃうよ!」
海未「だめです!学校に鳥を置いておく場所なんてありませんよ」
ことり「部室ならどうかなぁ?」
――
穂乃果「それいい!とりあえず部室にこの子を置いてあげよう!」
海未「ま、待ってください。そんなことをしたら部室が汚れます!」
穂乃果「だからこの子は汚くないってば」
海未「アイドルグッズを汚しでもしたら、にこに怒られますよ!」
穂乃果「いくら小さいにこちゃんでもそこまで器は小さくないよ」
ことり「海未ちゃん、早くしないと遅刻しちゃうよ」
――
海未「ぐぬぬ…。し、仕方ありませんね。あくまで暫定的な措置ですからね!」
穂乃果「やったー!もうこれで私たちの子だよ!」ナデナデ
(・8・)チュンチュン♪
ことり「穂乃果ちゃん、鞄持ってあげるよ。この子と段ボールを抱えてたら大変でしょ?」
穂乃果「ありがとう、ことりちゃん!」
海未「はぁ…。面倒なことになりそうです…」
――
部室
穂乃果「とりあえず段ボールごとここに置いてあげよう」ヨイショ
ことり「ねぇ、穂乃果ちゃん」
穂乃果「どうしたの、ことりちゃん?」
ことり「朝だからかもしれないけど、部室ってちょっと寒くないかな?」
穂乃果「そういえばちょっと寒いかもしれないね。この子を置いておいて大丈夫かなぁ?」
海未「路上に捨てられていて生きていたのですから大丈夫ですよ。さ、早く教室に行きましょう」
穂乃果「う~ん、でもやっぱり心配だからこれを置いておくよ」ファサッ
ことり「穂乃果ちゃんのタオルだね」
穂乃果「これなら少しはあったかくなるはずだよね」
(・8・)ヌクヌク♪
ことり「気に入ってくれたみたい!」
――
穂乃果「そうだ、食べ物とかはどうしよう?」
ことり「お昼休みまではけっこうあるよね」
穂乃果「よし、こうなったら私のパンをあげよう!」ガサゴソ
海未「穂乃果が自らパンを!?」
穂乃果「だって、何も食べるものがないとかわいそうだよ。それに、私が食べる分はまたお昼に買えばいいし。はい、お食べ」スッ
(・8・)ハムハム
ことり「や~ん、食べてるところもかわいいよぉ!」
――
穂乃果「後は…お水かな?」
ことり「ペットボトルのお水ならあるけど…この子じゃ飲みにくいよね」
穂乃果「何かないかなぁ…そうだ、これ使おう!」
海未「それはにこが大事にしている限定もののマグカップじゃないですか」
穂乃果「背に腹は代えられないよ。にこちゃんには後で私から言っておくから!」トクトク
海未「たかが鳥のためになぜそこまでするのですか?にこに怒られても知りませんよ…」
穂乃果「もうっ、海未ちゃんには生き物を大事にするって発想がないの?ほ~ら、お水だよ」
(・8・)ゴクゴク
――
海未「穂乃果、後5分でホームルームが始まりますよ。学校に着いていながら遅刻するなんて、笑い話にもなりません」
穂乃果「わかってるって!これで必要なことは全部やったかな?」
ことり「一通りのことはしたと思うよ」
穂乃果「それじゃ、教室に戻ろうか。いい子にしてるんだよ~」
ことり「お昼休みにはまた来るからね」
海未「はぁ、まだ朝だというのにどっと疲れが出ましたよ…」
(・8・)チュンチュン♪
――
昼休み 2年生教室
穂乃果「よーし、授業終わったー!」
海未「まだ午後が残っていますよ」
穂乃果「いいの!早くあの子に会いに行こう!」ルンルン
海未「自分が食べる分のパンは買わなくていいのですか?」
穂乃果「あっ、そういえば忘れてた。ねぇ、海未ちゃん。買ってきて部室に持ってきてよ」
海未「な、なぜ私がそんなことを…。私は穂乃果の使い走りじゃないのですよ!」
穂乃果「だってパンを買いに行ってたら遅くなっちゃうし…。それに、海未ちゃんはあの子に怖がられてるでしょ?」
海未「だ、だからといってなぜ私が…」
ことり「海未ちゃあん、おねがぁい」ウルウル
海未「ぐ…卑怯ですよ、ことり」
穂乃果「それじゃ、私とことりちゃんは部室に行ってるからよろしくねー!」
ことり「海未ちゃん、ありがとうっ!」
海未「ぐぬぬぬ…」
――
部室
穂乃果「お待たせ…あっ」
ことり「どうしたの、穂乃果ちゃん?」
穂乃果「この子、お昼寝してるよ」
(-8-)スヤスヤ
ことり「寝顔もかわいいね~」
穂乃果「起こすとかわいそうだから、お水だけ取り替えておこうか」
ことり「そうだね」
ガラッ
(・8・)ビクッ
穂乃果「あっ…」
――
海未「まったく穂乃果は人使いが荒いのですから…ほら、パンを買ってきましたよ」
穂乃果「海未ちゃん、何するの!」
海未「何って…パンを買ってくるように頼んだのは穂乃果じゃないですか」
穂乃果「そうじゃなくて、どうしてドアを静かに開けないの!この子がせっかくお昼寝してたのに…」
海未「な、なんですかそれは!それがわざわざパンを買ってきた私に対する態度ですか!?」
穂乃果「それとこれとは話が別だよ!」
海未「な…も、もう我慢なりません!穂乃果のことなんか知りません!」
穂乃果「いいもーんだ!」ベー
海未「ほ、穂乃果ぁあぁ!」プチッ
ことり「う、海未ちゃん…」オロオロ
海未「ことりは話に入ってこないでください!」
ことり「ご、ごめんなさい…」
海未「まったくことりはいつも穂乃果の肩ばかり持つのですから…」イライラ
ウミチャー
海未「なんですか!?話に入ってこないようにと言ったでしょう!」
ことり「ち、違うよ!今のは私じゃ…」
海未「だったら誰だというのですか!」
――
(・8・)ウミチャー
海未「え…?」
穂乃果「シャ、シャベッタァアァア!?」
ことり「この子、おしゃべりできるんだね…」
海未「確かにインコのようにしゃべる鳥もいますが…」
穂乃果「ねぇ、穂乃果って言ってみて!」
(・8・)ハノケチェン!
穂乃果「すごーい!もう一回やって!」
(・8・)ホノカチャー
ことり「だんだんうまくなってるよ!」
(・8・)ホノカチャン!
――
穂乃果「すごい!かわいいのにお利口さんだね!絵里ちゃんみたい!」
海未「絵里を鳥と比べないでください…」
ことり「わ、私も呼んでほしいなぁ…」
穂乃果「ことりちゃんって言ってみて!」
(・8・)コトリチャー
ことり「わぁっ、嬉しい!」
――
穂乃果「本当にすごいね。かわいくてお利口さんで…おまけに、お昼までおとなしく待ってたんだよ。誰だっけ?部室が汚れるなんて言ったのは?」
海未「そ、そんなの偶然です。どうせ、パンを食べて今までずっと寝ていたにちがいありません!」
穂乃果「おぉ怖い怖い。海未ちゃんは怖いね~」ナデナデ
(・8・)ウミチャーコワコワー
穂乃果「あははは!この子も怖いって言ってるよ!」
海未「ぐぬぬ…」
――
ことり「そういえば、私たちの名前を呼んでもらってるばっかりで、まだこの子の名前を決めてなかったね」
穂乃果「私が決めたい!」
海未「穂乃果に決めさせると、どうせおかしな名前になりますよ」
穂乃果「おかしくならないよ!ちゃんと考えるもん!」
海未「それでは何か案があるのですか?」
穂乃果「えっとね…とさかがことりちゃんに似てるからことりちゃん!」
海未「何ですか、その身もふたもない名前は…」
ことり「海未ちゃん、その言い方だと私が傷つくよ…」
――
穂乃果「えー、だってとさかがそっくりだし、他人の空似じゃ済まないよ!リボンもついてるし」
海未「だからといって、ことりと名づけてはややこしいですよ」
穂乃果「それじゃあ、ことりちゃん2号で」
海未「まずはことりから離れなさい」
穂乃果「海未ちゃんのけちー。だったら海未ちゃん2号にするよ」
海未「やめてください!こんな薄汚い鳥に私の名前をつけないでください」
ことり「あ、あのぉ穂乃果ちゃん…」
――
穂乃果「どうしたの、ことりちゃん?」
ことり「この子、鳴き声がかわいいからチュンチュンってどうかなぁ?」
海未「これまた安易ですね。もういっそのこと鳥で…」
穂乃果「いいよ、ことりちゃん!それ、すっごくいい!」
ことり「ほ、本当?」
穂乃果「よーし、きみの名前はこれからチュンチュンだよ!」
(・8・)チュンチュン♪
ことり「ふふふっ、早く放課後みんなに見せてあげたいなぁ」
――
放課後 部室
凛「何この子!?すっごくかわいいよ~!」
穂乃果「でしょう?やっぱり凛ちゃんは見る目があるね~」
ことり「凛ちゃん、なでてあげるとチュンチュンが喜ぶよ」
凛「よーし、やってみるにゃー!」ナデナデ
(・8・)チューン♪
凛「ふっかふかのモフモフだぁ。くせになっちゃいそう…」ナデナデ
(・8・)リンチャー
凛「えぇっ!?いま、しゃべったよね!」
穂乃果「かしこいかわいいチュンチュンはしゃべれるんだよ!」ドヤァ
凛「す、すごい!あ~もうかわいくて離したくないよ~」ギュウゥ
(・8・)チュンチュン♪
海未「…」
――
海未「(まったく、穂乃果とことりはいくらなんでも溺愛しすぎです)」
海未「(あんな奇妙な鳥のどこがかわいいのでしょう?理解に苦しみます…)」
海未「(せめて他のメンバーには私の同調者がいてほしいものですが…凛には期待するだけ無駄でしたね)」
海未「(そもそも凛は猫好きですから、ああいうよくわからない鳥でもかわいがることができるのでしょう)」
海未「(だいたい、穂乃果と行動パターンが似ている以上、なんとなく結果は見えていたようなものです)」
海未「(まだです。まだ鳥信者は3人。他のメンバーを引き込めれば大丈夫です)」
花陽「こんにちは~」ガラッ
海未「(おっと、花陽が来ましたね)」
――
凛「かよちん、早くこっちに来て!」
花陽「どうしたの、凛ちゃん?」
凛「ほら、とってもかわいいよ~」
(・8・)チュンチュン
花陽「えっと…鳥さん?」
穂乃果「チュンチュンだよ!」
――
花陽「どうしたんですか、この子?」
穂乃果「捨てられてたから、かわいそうで拾ってきちゃった!ことりちゃんが飼ってくれることになったんだけど、今日はひとまず部室に連れて来たの」
花陽「そうだったんですか…」
凛「ほらほら、かよちん。なでてあげてほしいにゃー」
花陽「えぇっ、でも…」オロオロ
海未「(おっと…)」ニヤリ
――
海未「(どうやら花陽はあの鳥に触りたくないようですね)」
海未「(当然の反応ですね。あんな薄汚い鳥に触ったらインフルエンザが伝染るかもしれませんし)」
海未「(犬や猫ならまだしも、鳥となればいくらかわいいものが大好きな女子高生でも二の足を踏む者は少なくないと思いますよ)」
海未「(ふふふ…鳥に生まれた己の不遇を嘆くことですね)」
海未「(それに花陽はアイドルマニアですからね。プレミアもののグッズを汚しかねないこの鳥を一秒たりとも部室に置いておきたくないにちがいありません)」
凛「かよちんも触ってみるにゃー。全然平気だよ?」
海未「(さてと、そろそろ花陽に助け舟を出してあげましょうか…。これで害鳥反対派は2人ですね。これから十分に挽回可能です)」
花陽「いいの!?」キラキラ
海未「何…だと…」
――
花陽「うわぁあ、こんなかわいい子が私の腕の中に♪」ギュウゥ
(・8・)チュン~♪
凛「かよちんにもなついてるにゃー」
穂乃果「きっと海未ちゃん以外にはなつくんだよ」アハハ
海未「(くっ、私としたことがうかつでした!)」
海未「(花陽はアルパカの飼育委員ではないですか。言ってみれば、凛以上の動物好き!)」
海未「(こ、これで4人が害鳥愛護派に…)」ギリィ
真姫「何やってるの?」ガラッ
――
凛「真姫ちゃーん、早くこっちにおいでよ」
真姫「何それ?鳥…?」
穂乃果「真姫ちゃんも触ってみなよ!」
真姫「ヴェエエ!?わ、私はいいわよ!」
凛「遠慮しなくていいよ~?」
海未「(しめた!今度こそ脈ありです!)」
――
海未「(真姫はペットの類は飼ったことがないはずです。まぁ、あの豪邸では汚れの原因となる動物は飼うはずがありませんよね)」
海未「(それに、綺麗好きな真姫のことですから、どこを歩いてきたかもわからない汚い鳥に触るなんてありえません)」
海未「(ナニソレ、イミワカンナイ!クラミジアガウツルデッショー!医者の娘ならこれくらい言うはずです)」
海未「(ひとまずこれで反対派は2人になりました。μ’sの頭脳派をおさえられたのはラッキーでしたね。穂乃果たちを説き伏せるにはうってつけの展開になりました)」
凛「真姫ちゃんにもなついてるにゃー」
(・8・)マキチャー♪
真姫「わ、私は別に好きでやってるんじゃないわよ。ただ、この子がすり寄ってくるから…//」
海未「…」
――
海未「(真姫のちょろさを忘れていた私がバカでした…)」
海未「(そんなことをしているうちに害鳥愛護派が過半数を超えてしまったじゃないですか!)」
海未「(こうなったら残りの3年生全員を仲間に引き入れて、あの汚い鳥を追い出してやります)」
海未「(KKEの絵里、謎の説得力のある希、そして一応部長のにこがいれば怖いものはありません。勝てる…勝てますよこの戦い!)」
海未「(とにかく3年生を味方につければ勝ちは確定です。先輩禁止?濫用しなくて何が先輩権限ですか!数を頼りにする民主主義なんて衆愚政治です!)」
――
絵里「あら、もうみんな集まってるのね」ガチャ
希「みんなで輪になってどないしたん?」
穂乃果「絵里ちゃん、希ちゃん!見て見て!」
(・8・)チュンチュン
絵里「鳥…かしら?」
希「ずいぶん珍しい鳥みたいやね」
凛「この子、すっごくかわいいんだよ!」
花陽「凛ちゃん、さっきから一人で抱っこしてずるいよ。私にもチュンチュンを抱っこさせてよぉ」
真姫「ちょっと、次は私の番よ!」
絵里「待ちなさい!」
海未「(キターッ!)」
――
海未「(やっとまともなことを言ってくれるひとが来てくれました!)」
海未「(穂乃果たちの反応が続いたせいで正常な感覚というものを見失いかけていましたが…これがまとまな反応です!)」
海未「(さすがは腐っても生徒会長!KKEはダテじゃありませんね)」
海未「(さぁ決めてください。練習の妨げになって部室まで汚すこの害鳥とその愛護者に裁きの鉄槌を…)」
海未「(伝家の宝刀、認められないわァを!)」ワクワク
絵里「まずは私に抱っこさせるチカ」
海未「ってなんでですかー!」ズコーッ
――
絵里「このモフモフ感、たまらないチカ♪」ギュウゥ
(・8・)チュンチュン♪
海未「(このポンコツ!あの賢いかわいいエリーチカはどこに行ったんですか!A-RISEを素人呼ばわりするKKEはシベリアで行き倒れでもしたんですかぁ!)」
海未「(ぐぬぬ…こうなったら希が頼りです。9人のμ’sに異物を入れたらよくないとか、何かもっともらしいことを言ってください!)」
希「スピリチュアルやね。まぁ、ええやん。な、海未ちゃん?」
海未「(ハラショー!他人の心を読んでるなら、私を擁護してくださいよ!)」
希「この子を大事にするとμ’sはさらなる高みに向かうって、うちのカードも告げとるよ?」ペラッ
海未「(だぁああぁあ!あなたはいつもそれです!理由づけがいつも強引なんですよ!)」
希「それに、こんなに無邪気なえりちの顔見たら、反対なんて口が裂けても言えんやん?」ニコッ
海未「(くうぅう、のぞえりの絆は鉄壁とでもいうのですか。私にとっては希望を閉ざす鉄のカーテンですよ!)」
にこ「にっこにっこにー☆大銀河宇宙ナンバーワンアイドル、矢澤にこちゃん華麗に登場にこ☆」ガラッ
――
海未「(あぁ…もうおしまいです。後の切り札がにこだけでは勝ち目がありません)」
穂乃果「にこちゃーん!見てみて!この子すっごくかわいいよー!」
にこ「ちょっと、あたしのアイドル力53万の挨拶を無視するんじゃないわよ!」
凛「いいからこっちに来て見てみるにゃー」
にこ「はぁ?何があるってのよ…あっ!」
ことり「ね?かわいいでしょ~」
(・8・)チュンチュン♪
にこ「そ、その鳥の水飲みに使ってるの…あたしのお宝アイドルグッズじゃない!」
海未「!?」
――
穂乃果「ごめんねー。ちょうどいいお皿とかがなかったから…」
にこ「ふ、ふざけんじゃないわよ!これはね、人気絶頂のなかで元彼との写真が流出して芸能界を去った伝説のアイドルのサイン入りなのよ!」
穂乃果「そ、そうだったんだ。ごめんね…」
にこ「ごめんで済むなら警察もヤクザもいらないわよ!このサイン入りマグカップ、いくらすると思ってんの!?あたしが何十回も抽選を外しながらやっと行けたライブ会場で直にサインしてもらったのよ!これと同じものは30個しかないし、今はプレミアが高騰してとんでもない価値になってるわ!」
花陽「そ、そんなに…?」
にこ「だいたい花陽もなんで止めないのよ!あんたならこれがどれだけ価値のあるグッズかわかるでしょう!?それをこんなよくわからない汚い鳥の水飲みにするなんて…アイドルとあたしに対する侮辱に他ならないわ!」
絵里「にこ、落ち着いて。穂乃果だってわざとやったわけじゃ…」
にこ「わざとじゃなきゃ何したって許されるの!?このサインを書いたアイドルはね、あたしが一番尊敬してるアイドルなの!あたしがアイドルを目指すきっかけになったひとなのよ!このサイン入りマグカップはあたしの夢そのものなの…それをこんなことに…」グスッ
――
海未「(これはこれは、意外な伏兵がいたものです)」
海未「(どう見ても、これは穂乃果とあの害鳥が悪いですね。誰の目にも明らかです)」
海未「(ふふふっ、メンバーの夢を愚弄したとなれば、さすがの穂乃果も折れるほかありませんね)」
海未「(さてと、これで清々しい気分で練習ができます)」
真姫「にこちゃん…」
――
にこ「な、何よ…」グスッ
真姫「…ごめんね」ギュッ
にこ「な、何するの真姫ちゃん…?//」
真姫「ごめんなさい。私も、にこちゃんがあのマグカップをそんなに大事にしてたなんてわからなかったから…」
にこ「だ、だからってどうして真姫ちゃんが謝るの…?」
真姫「にこちゃんが悲しい想いをしているのは、私の責任だわ」
にこ「ど、どうして…」
真姫「だって私たち、恋人でしょう?」
チュッ
――
にこ「ま、真姫ちゃん!こんなとこでキスしたらみんなにばれちゃうわよ!//」
真姫「何言ってるの。もうみんなわかってるわよ。私とにこちゃんが付き合ってることくらい」
にこ「うぅう~、いくらなんでも全員いる前ですることないのに…//」
真姫「にこちゃんの機嫌を直すにはこれが一番でしょ?それとも、まだ足りない?」
にこ「も、もう一回してくれたら機嫌直してあげないこともないけど…//」
真姫「しょうがないわね」
チュッ
――
真姫「これでいい?穂乃果たちのこと、許してくれる?」
にこ「も、もういいわよ//」
真姫「それと、あのマグカップだけどね。何とか同じものを用意するわ。パパの友だちに一流のアイドルグッズコレクターのひとがいるから、無理言って頼んでみるわ」
にこ「ほ、本当にいいの?」
真姫「私の大切なにこちゃんにはいつも笑顔でいてほしいの」
にこ「もうっ、真姫ちゃんったら!//」
(・8・)ピュアピュア~♪
海未「何ですか、この茶番は…」
――
穂乃果「にこちゃん、本当にごめんね…」
にこ「もういいわよ。あたしもちょっと言い過ぎたわ。今のあたしには、こんなアイドルグッズよりも、あんたたち仲間の方がずっと大切な宝物だから…」
ことり「にこちゃん…」
凛「にこちゃんもたまにはいいこと言うにゃー」
にこ「たまには、は余計よ!」
真姫「にこちゃんもなでてあげて」
にこ「えっ、あたしが?」
花陽「とってもかわいいよ!」
にこ「だ、大丈夫かしら…」オソルオソル
(・8・)ニコチャー
にこ「ちょ!この子、しゃべるの!?」
絵里「メンバー全員の名前が呼べるみたいよ」
にこ「まったくスピリチュアルね…」
希「そや。にこっち、この子と一緒の写真をホームページにアップしてみたらどうやろ?きっとアクセス数がうなぎ上りやと思うよ」
穂乃果「しゃべってる動画も掲げようよ!チュンチュンをμ’sの新しいマスコットにするの!」
ことり「穂乃果ちゃん、それいいね!」
花陽「とってもいいアイディアだと思います!」
にこ「ゆるキャラ全盛時代、ここでマスコットが増えるのはオイシイわね…。うまくいけばにこにーの名前が全国規模で…」ゴクッ
――
廊下
海未「にこには期待してなかったとはいえ、あれほどひどいとは思いませんでした」
海未「真姫よりちょろいじゃないですか。まったく、にこまき推しとけばいいみたいな昨今の風潮は腹に据えかねます!」
海未「これでμ’s内では害鳥反対派が私だけになってしまいましたが…」
海未「しかし、園田流に敗北の文字はありません!」
海未「勝負は常に大局で行うもの…。ここまでの劣勢を跳ね除けてみせましょう」
海未「とっておきの切り札…女帝のカードを切らせてもらいますよ!」
――
理事長室
コンコン
理事長「どうぞ」
海未「失礼します」ガチャ
理事長「あら、海未ちゃんじゃないの。どうかしたの?」
海未「理事長、一応ここは学院の中なので、その呼び方は…」
理事長「ごめんなさいね。海未ちゃんのことは小さいころから知っているものだから、つい…」
海未「まぁ、それはこの際どうでもいいです。理事長、折り入ってお話したいことがありまして…」
理事長「何かしら?」
――
海未「実は…アイドル研究部が隠れて鳥を飼育しているのです」
理事長「まぁ、鳥を?ことりじゃなくて?」
海未「理事長、仮にもご自身の娘を飼うと表現するのは如何なものかと…」
理事長「でも、海未ちゃんや穂乃果ちゃんにはずいぶんことりの面倒を見てもらってるわけだから、あながち間違ってるとも思わないけれど」
海未「それで話を戻しますけど、穂乃果たちが鳥の面倒を見るのに夢中で、練習にならない状態なのです」
理事長「穂乃果ちゃんやことりならわかるけど、絢瀬さんたちも?」
海未「はい。賢いかわいいエリーチカは死にました。今の絢瀬絵里はポンコツチカです」
理事長「時の流れは残酷ね…」
――
海未「そもそも私たちは廃校阻止のためにスクールアイドルを始め、理事長の許可ももらいました。しかし、今の状態では練習もままならず、ラブライブ出場も夢のまた夢です」
理事長「ふ~ん、なるほどね…」
海未「だいたい、道端で拾ってきた鳥を学院に持ち込むなど非常識極まります。食中毒や熱中症が起きた学校は不手際を叩かれるのがお約束ですが、このままでは音ノ木坂学院も鳥インフルエンザが蔓延したとして叩かれますよ」
理事長「なるほど、なるほど…」
海未「そもそも、なんで私の意見が少数派になっているのかが理解に苦しみます。あんな薄汚い鳥のどこがかわいいんですか?穂乃果たちの感性を疑いますよ。挙句の果てに、正論を通せばやれ血も涙もないとか、動物虐待だとか…愛護派の世迷言はまったくもって耳障りです!私は誇り高き大和撫子として…」ペラペラ
ブシモ!
海未「理事長、話が長いのは認めますが、スクフェスをしないでちゃんと聞いてください」
理事長「あら、ばれてた?」
海未「バレバレですよ」
理事長「私ってどうも要領が悪いのよねぇ。学生のころも、カップ焼きそばで早弁しようとしたらすぐ見つかっちゃったわ」
海未「むしろ、それでばれないのなら特殊部隊にでも配属されることをお勧めしますよ。というか、どこにお湯を捨てようとしたのですか」
――
理事長「それで、海未ちゃんは私に何をしてほしいの?」
海未「単刀直入に言います。部室での鳥の飼育を禁止してほしいのです」
理事長「でもねぇ、校則には鳥を飼育してはいけないってことは書いてないのよ。それに、そんなことを言ったらことりもこの学院にいられなくなるわ」
海未「それはまともな発想なら鳥を飼育するなんてことは考えないわけですから、校則も想定していないだけです。それと、またことりを鳥扱いしていますよ」
理事長「どうしようかしらねぇ。正直、どうでもいいんだけど…」
海未「それでも理事長ですか…。そうだ、ことりはあの鳥を南家で飼育しようとしているんですよ」
理事長「それ本当?」
海未「本当です」
理事長「私がこっそり隠してるおやつも食べられちゃうかしら?」
海未「えぇ、きっとそうなるでしょうね。あの卑しい鳥ならやりかねません」
理事長「それは困ったわ…」
海未「ですから、あの鳥を追い出しましょう。これは理事長にとっても利益になるんですよ。協力してくれますよね?」
理事長「えぇ、わかったわ。ってことは、私が認められないわァをするのね。あれ、一度やってみたかったの!」ルンルン
海未「(勝った…!)」
――
部室
凛「見て、チュンチュンがマカロン食べてるよ!」
(・8・)ムシャムシャ
花陽「チュンチュン、おいしい?」
(・8・)ウミャー
絵里「か、かわいいチカ…//」
穂乃果「ことりちゃん特製マカロンだもん。おいしいに決まってるよね!」
ことり「チュンチュン、もう1個食べる?」
(・8・)プワーオ♪
真姫「次は私にさせてよね」
にこ「あたしが先よ!チュンチュンとPV共演して、にこにーの知名度を急上昇させてやるわ!」
希「にこっち、焦らんでもチュンチュンは逃げんよ」
ワイワイ ガヤガヤ
――
ガラッ
(・8・)ビクッ
海未「ふふふ、ついに引導を渡す時がきましたよ…」
穂乃果「海未ちゃん、ずいぶんトイレ長かったね」
海未「違います!その鳥を追い出しにきたんです!」
真姫「ナニヨソレ、イミワカンナイ」
にこ「ちょっと、にこのシンデレラストーリーを邪魔したら承知しないわよ!」
海未「えぇい、静まれ静まれ静まれぇ~い!」
絵里「何か始まったわね…」
希「海未ちゃん、ストレスたまってたんやろか?」
海未「こちらにおわする方をどなたと心得る!恐れ多くも音ノ木坂学院理事長、ことりママンに有らせられるぞ!」
理事長「こんにちは♪」
絵里「理事長!」
ことり「お母さん!?」
――
海未「理事長の御前である!一同、頭が高い!控えおろ~!」
理事長「海未ちゃん、もういいわよ」
海未「あ、失礼しました。一度はやってみたかったもので」
ことり「お母さん、どうしてここに…」
理事長「あぁ、この子ね。海未ちゃんが言ってたのは…」
(・8・)チュン…
ことり「お母さん、うちで飼ってあげてもいいよね?」
理事長「う~ん、残念だけど認められないわァ」ドヤァ
絵里「トラナイデ!」
真姫「絵里こそトラナイデ!」
――
ことり「そ、そんな…この子、捨てられてたんだよ。かわいそうだよ…」
理事長「でもねぇ、私のおやつの安全保障には代えられないわ」
ことり「そ、それじゃあせめて部室で飼うことだけでも…」
理事長「それもだめよ。学院内で感染症でも広まったら、お母さんまいっちんぐよ」
ことり「うぅ…」
海未「やはり正義は勝つということですね」ドヤァ
穂乃果「海未ちゃん、ずるいよ!どうせまた、ことりちゃんのお母さんに変なこと吹き込んだんでしょ!」
海未「何のことでしょう?」スットボケ
理事長「さぁ、ことり。早くこの子を元いた場所に返してきなさい」
ママァ…
理事長「!?」
――
(・8・)ママァ…
理事長「えっ、この子いましゃべって…」
海未「わー!何でもありません。聞き流してください!」
(・8・)ママァ…
理事長「わ、私のことを呼んでるの…?」
海未「ち、違いますよ!空耳です!空耳アワーです!」
ことり「お母さん!チュンチュンもお母さんのことをママだって思ってるんだよ!」
理事長「この子が私のことをママだと…」
(・8・)ママー
――
理事長「(そういえば、この子。どことなくことりの小さいころに似てるわ…)」
理事長「(目がさめて私がいないと、すぐに泣き出してたわね。ママー、ママーって)」
理事長「(捨てられてたってことは、この子には親がいないのかしら?)」
理事長「(だから、私のことをママだと思って…)」
理事長「(そうね。母親に愛される権利は誰にも奪えないものね…)」
――
海未「理事長、早く決断を。こんな子供だましに引っかかってはいけません」
理事長「…そうね、決めたわ」
ことり「お母さん…」
理事長「これが私の答えよ」ギュッ
(・8・)ママ!
海未「な…!?」
ことり「お母さん…!」
理事長「私は理事長である以前に一人の母親…。母親を求めるこの子を見捨てたら、私には母である資格がなくなるわ」
海未「そ、そんな…!」
ことり「お母さん、ありがとう!」
穂乃果「やったー!最後は愛が勝つんだよ!」
海未「く、悔しいです!」キィイィ
――
理事長「新しい家族ができたことだし、今日はお祝いのパーティね。ことり、みんなをうちに招待してあげて」
ことり「みんな、来てくれるよね?」
穂乃果「もちろん行くよ!ことりちゃんのおうちのパーティ、豪華だからだーい好き!」
凛「ごちそうもあるのかにゃー!?」
ことり「凛ちゃんの好きなラーメンでも、何でも用意するよ」
凛「にゃー!凛、今すぐ行きたいにゃー!」
花陽「白いご飯もありますか!?」
希「パーティゆうたら、焼肉もあるんやろなぁ…」
にこ「もしもし、こころ?今日はご馳走が食べれるから、みんなで外に出る支度をしておきなさいよ」
真姫「ちょっと、食べ物目当てで集まるようでみっともないわよ」
絵里「理事長、こんな大人数で押しかけてはご迷惑では?」
理事長「いいのよ、パーティは大勢で楽しむものでしょ。それに、あなたたちもいずれわかるわ。母になる歓びというものをね…」
――
穂乃果「海未ちゃ~ん。もちろんパーティに来るよね」ニヤニヤ
海未「い、行くわけがありません!どうして私が汚い鳥のいる場に…」
穂乃果「もぅ~、素直になりなよ~」ベタベタ
海未「やめなさい、穂乃果!」
穂乃果「ちぇっ、海未ちゃんのツンデレ!」
海未「何とでも言えばいいですよ。さぁ、練習を始めますよ」
穂乃果「えー!?海未ちゃん、空気読んでよ!今からパーティの買い出しでしょ!」
海未「な…害鳥を飼うどころか、練習までさぼる気ですか!」
凛「たまには休憩も必要だよー」
にこ「そうね。真のアイドルは切り替えができてナンボよ」
海未「あなたたちはさぼりたいだけでしょう!」
絵里「海未、次のライブまで時間もあるし、今日くらいゆっくりしましょう」
海未「絵里まで…。私のレッスンは厳しいわよキリッとか言ってたあなたはどこにいったんですか!朱に交われば赤くなるとはよく言ったものです!」
希「まぁまぁ、海未ちゃん。あんまり気ぃ張りすぎるともたんよ」
真姫「部室の戸締り済んだわよ」
理事長「それじゃあ、出発しましょうか。先に私のうちに寄ってから買い出しに行きましょう」
ことり「私が案内するよ~」
穂乃果「みんな、帰り支度が済んだら門のところに集合ね!」
(・8・)チュンチュン♪
海未「ちょ、何ですかこの強制スクロール展開は!」
花陽「海未ちゃん、もうみんな行っちゃったよ?」
海未「私は行きません!これは意地です!大和撫子、園田海未の意地です!」
――
翌日 朝 通学路
海未「昨日はあの鳥のせいで練習ができずに散々でした」
海未「まったく、見た目だけでなくやり方も汚いです。媚びるようにして自分の味方を増やしていくのですから」
海未「あれが鳥ではなく人間だとしたら、間違いなく私が軽蔑するタイプです。自称愛され系女子とかいうやつですか?吐き気がしますよ」
海未「挙句の果てに、理事長の母性本能までくすぐるとは…。完全に人たらしじゃないですか」
海未「まぁ、いいです。あの鳥はことりの家で飼うことになったのですから、これでもう憎たらしい顔を拝まなくて済みます」
海未「練習を妨げられるおそれもないですからね」
ウミチャーン
海未「…と、ことりが来たようですね」
――
ことり「海未ちゃん、おはよう♪」
(・8・)ウミチャー
海未「な…!?なんであの鳥がここにいるんですか!」
ことり「それがね、うちでお留守番してもらおうと思ったんだけど、チュンチュンがさみしがって…」
海未「だからといって、連れて来たんですか!?」
ことり「うちは日中は誰もいないし…。チュンチュンが一人だとかわいそうなんだもん」
海未「待ってください、ことり。おかしいですよ。どうしてこんな鳥のためにそこまでするんですか」
ことり「だって、チュンチュンはかわいいんだもん♪」
海未「は、話が通じません…」
――
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃんおはよーっ。あーっ!チュンチュンがいるー!」
ことり「えへへ、チュンチュンがさみしがったから連れて来ちゃったぁ」
穂乃果「それじゃあ、日中は部室がチュンチュンのお部屋だね!」
海未「ま、まさかこの鳥をずっと部室に置くのですか!?」
ことり「他にチュンチュンがいられる場所もないし…」
穂乃果「いいでしょ、海未ちゃん。夜はことりちゃんのおうちに帰るわけだし、海未ちゃんの迷惑にはならないよ」
海未「私はこの鳥の存在自体が不快です!」
――
(・8・)ピイィィィ!
穂乃果「あー!海未ちゃんがチュンチュン泣かしたー!」
ことり「よしよし、大丈夫だよチュンチュン」ナデナデ
(・8・)チュン…
穂乃果「海未ちゃん、チュンチュンに謝って!」
海未「ば、バカなことを言わないでください!なんで私がたかが鳥に頭を下げる必要があるんですか!」
穂乃果「そんなの差別だよ!海未ちゃんの差別主義者!」
海未「鳥を人間と区別しても差別にはなりません!」
穂乃果「もうっ、海未ちゃんの分からず屋!行こう、ことりちゃん!」
ことり「チュンチュン、早く部室に行っておいしいおやつを食べようね~」
(・8・)チュンチュン♪
海未「ぐっ…。わ、私よりもそんな鳥が大事なのですか…」ギリィ
――
二度と顔を拝まなくてもいいと思ったあの害鳥は、日中の部室に常駐するようになりました。
穂乃果とことりは昼休みに我先にと部室に行き、あの害鳥と昼食をとります。他のメンバーも部室に集まっています。私はそんな光景が腹立たしくて仕方ありません。昼食は一人で食べるようになりました。
穂乃果たちは相変わらず黄色い声をあげて害鳥にじゃれています。どうせすぐに飽きるかと思いきや、いつまでたっても飽きる気配がありません。放課後は私がどれだけ声を大にして練習を呼びかけても、のらりくらりとかわされて、結局何の価値もないじゃれ合いタイムになってしまいます。
とうとう私は我慢ができず、怒鳴り散らしました。すると今度は、当てつけのように練習に力を入れます。文句の言いようがなくなってしまうと、練習終わりにこれでもかと害鳥を愛でます。練習後となれば、私にもどうしようもありません。
害鳥がちやほやされるのと反比例に、私はμ’sの中で孤立していきました。今では私に積極的に声をかけるメンバーは誰もいません。普段の指導は絵里が中心になり、歌詞作りはことりと真姫が中心になりました。穂乃果やにこは、私がいないところでは平気で私の悪口を言うようになりました。
もはや部室に私の居場所はありません。代わりに、あの害鳥がμ’sの一員にでもなったかのようにふんぞり返っています。部室には害鳥のためのブランケットやお菓子、ペットボトル、おもちゃが溢れるようになりました。真姫なんかは、空気清浄機やヒーターまで持ち込みました。
こうなったのも、すべてはあの害鳥のせいです。
私は決めました。
私を不幸にするあの害鳥を、この手で追い出してやろうと。
――
練習終わりには、ことりが害鳥を連れて帰ってしまいます。なので、部室に連れて来てから、練習が終わるまでに連れ出す必要があります。
もっとも、昼休みにはすぐに穂乃果たちが集まって来てしまいます。放課後も同様です。時間の都合上、合間の休み時間も厳しいといえます。
頭を悩ませていると、来週には絶好のチャンスがめぐってくることがわかりました。
来週には学院全体の大掃除の日があります。各生徒は普段の掃除場所以外も担当するため、時間がかかります。それゆえ、放課後すぐに部室に集まられる心配もありません。
――
計画はこうです。この掃除中に、何か理由をつけて私が持ち場を離れます。そして誰もいない部室に行き、あの害鳥を箱か何かに詰め込んで連れ出します。こうしてしまえば、傍目にはゴミを片付けているように見えますからね。もちろん、あの忌々しい声で鳴かれてばれないように、防音処理も施しておきます。
そして弓道場に行きます。弓道部の私が弓道場を訪れても何の不思議もありませんからね。弓道場には部員各自にロッカーが割り当てられているので、私のロッカーに害鳥の入った箱を隠します。もちろん、鍵も掛けますよ。
後は素知らぬ顔で持ち場に戻ればいいだけです。そうそう、部室の窓も開けておかないといけませんね。あの鳥が自分から出て行ったと思わせるためにも、これは欠かせません。鍵の掛かった部室から消えたとなれば、あの鳥を目の敵にしている私が真っ先に疑われますからね。穂乃果なんかは、こういう時にかぎって鋭いですから、用心するに越したことはありません。
穂乃果たちのことですから、血相を変えてあの鳥を探すでしょうね。どれだけ探しても見つかりはしませんが。穂乃果たちが諦めて帰ってから、弓道場から箱を取り出せば私の勝ちです。後はどこか遠いところに捨てておきます。いかにも愚かそうな鳥頭ですから、部室にもことりの家にも、元々捨てられていた場所にも帰れるはずがありません。
これで私の充実したスクールライフが取り戻せます。ふふふっ、来週になるのが楽しみですね…。
――
大掃除の日 放課後 2年生教室
穂乃果「あ~あ、大掃除なんて疲れるからやだよ~」グデー
海未「だらしがありませんね」
穂乃果「大掃除なんて大晦日だけでいいんだよ」
海未「大晦日は学院も閉まっていますよ」
穂乃果「むぅっ、海未ちゃんいちいちうるさいよ!」
海未「それは失礼しました」
穂乃果「早くチュンチュンと会いたいなぁ~」
――
海未「(首尾は上々ですね。穂乃果とことりは私とは別のグループになりました。これなら怪しまれずに部室に行けます)」
海未「(これまであの害鳥のせいで堪え難い日々を送らされてきましたが…)」
海未「(今日で年貢の納め時ですよ)」
海未「(ふふふ、最後に正義は勝つのです)」ニヤリ
ことり「海未ちゃん、何かいいことでもあったの?」
海未「いえ、何でもありません。それでは私は持ち場に移動しますね」
――
資料室
海未「(さっきは危なかったですね。うっかり歓びが表情に出てしまいました)」
海未「(ですが、私の勝ちは決まったようなものです)」
海未「(私の持ち場は部室に近い資料室…。穂乃果とことりは部室からも弓道場からも遠い事務室です。これなら邪魔が入ることもなく、迅速に計画を遂行できます)」
海未「(それに、組んだパートナーも御しやすい…)」チラッ
――
海未「あの、モブさん。ちょっとよろしいですか?」
モブ「は、はい。何ですか、園田さん」
海未「申し訳ないですが、しばらくこの場をお願いできないでしょうか。先生から弓道場の掃除も頼まれているのです」
モブ「わ、わかりました。園田さんの役に立てるなら…//」
海未「ありがとうございます(ちょろいです)」ニコッ
――
廊下
海未「ふふふ、μ’sでは孤立していますが、私の女生徒に対する人気は抜群ですからね」
海未「私のラブアローシュートでハートを撃ち抜いてあげます!」バキューン
海未「さて、茶番はこのくらいにして早速計画に取りかかりましょう」
海未「例の箱は…ありました。ふふ、大掃除の日なら廊下に箱が置いてあっても誰も怪しみません。朝のうちに置いておいて正解でした」
海未「中には軍手と綿を入れておきました。あの汚い鳥を素手では掴みたくないですからね。綿は音漏れを防ぐためのものです」
海未「さぁ、部室の前に着きましたよ」
海未「これであの忌々しい鳥ともおさらばです」ニタァ
――
部室
海未「鍵を開けて…と」ガラッ
(・8・)ムシャムシャ
海未「いましたね、薄汚い鳥畜生」
(・8・)ウミチャー
海未「どうやらエサを食べていたようですね。何ですかこれは?チーズケーキ…ことりはこんな害鳥ごときに人間様のスイーツを施していたのですか」
海未「鳥のくせに生意気です!軍手をつけてっと…」スッ
海未「分不相応なスイーツは没収です!」ヒョイ
(・8・)ピイィィィ!
海未「あははは!悔しいですか?ざまあみろです!」
――
海未「害鳥、チーズケーキがほしいですか?」
(・8・)チュンチュンノチーズケーキ!
海未「わかりました、あげますよ」
(・8・)ウミチャー!
海未「はいどうぞ。あげましたよ~」スッ
(・8・)ピイィィィ!
海未「嘘はついていませんよ。上にあげたじゃないですか」ニヤニヤ
――
海未「さてと、お遊びはこの程度にして計画を進めましょう。本当ならこんな汚い鳥に触りたくはないのですが…」ヒョイッ
(・8・)ヤン、ヤン!
海未「えぇい、じたばたするんじゃありません!こうしてやります!」パッ
ドテッ
(・8・)ピイィィィ!
海未「手を離したら床に落ちるとは情けないですね。鳥なら飛んでみたらどうですか?」
海未「まぁ、そんなみすぼらしい羽では飛べないでしょうけどね」
海未「さぁ、この箱に入って大人しくしていなさい」ギュムッ
(・8・)ウミチャー!
海未「うるさいですね。ふたを閉めてやります」パカッ
――
海未「綿を詰めておいて正解でした。これなら鳴き声が漏れません」
海未「後は部室にあるガムテープで密封しましょう」ビッ
海未「これで中から出ることは不可能です」
海未「窓も開ければ完璧ですね」ガラッ
海未「今日は換気のために穂乃果が窓を少し開けていましたからね。あの鳥が隙間を押し開けて飛び出しても何の不思議もありません」
海未「それでは弓道場に向かいましょうか」
――
アルパカ小屋前
海未「ふふふ、あまりに順調に計画が進んで笑いが止まりません」
海未「あの害鳥のいない部室を考えるだけで胸がすっとしますよ」
海未「ここからなら弓道場は目と鼻の先です。資料室にも予定より早く戻れそうですね」
海未「チェックメイトです…」ニヤリ
オオソウジハメンドウダニャー
ショウガナイヨ、リンチャン
海未「こ、この声は…!」サッ
――
海未「(凛に花陽…。しまった、2人はアルパカ小屋の掃除担当ですか)」
海未「(穂乃果とことりの分担だけ考えていて、他のメンバーの持ち場は想定外でした…)」
海未「(ま、まずいです。こっちに来ています…)」
海未「(ここでは隠れる場所もありません。アルパカ小屋に隠れてもすぐに見つかってしまいますし…)」
海未「(花陽はともかく、凛は鼻が利きますから、害鳥が箱に入っていることに気づくかもしれません)」
海未「(かといって、今から部室に戻るわけにも…)」
海未「(な、何か。何か使えるものは…)」キョロキョロ
海未「(こ、これは…!)」
――
海未「(焼却炉!そうです、ここに隠せばわかりません)」
海未「(時間はありませんね。急ぎましょう)」
海未「(ずいぶん古いですが、開くでしょうか?)」
ギイィ
海未「(開閉に問題はなさそうですね。開け口も箱が十分に入る広さです)」
海未「(ひとまず、ここに箱を隠しましょう)」ポイッ
ドサッ
海未「(後はふたを閉めて…)」
ガコンッ
――
海未「(ふぅ、なんとか間に合いました…)」
海未「(これだけ古い焼却炉ですから、どうせ誰も使いませんよね。中を覗かれる心配もないはずです)」
海未「(弓道場に移すのは練習が終わってからにしましょう)」
海未「(凛たちに顔を見られると厄介です。早く持ち場に戻った方がよさそうですね)」
――
数分後 焼却炉内
(・8・)ウミチャー!ウミチャー!
シ~ン…
(・8・)ピイィ…
ガコンッ
(・8・)チュンッ!?
――
焼却炉前
ヒデコ「これが先生の言ってた焼却炉かな?」
フミコ「たぶんそうだと思うよ。アルパカ小屋の近くだって言われたから」
ミカ「ずいぶん古そうだけど、本当に使えるのかな~?」
ヒデコ「音ノ木坂で昔から使ってたみたいだから、大丈夫でしょ」
フミコ「それじゃ、ゴミを入れるよ。けっこうあるね」ヨイショ
ドサドサドサ
――
(・8・)チュン…
ドサドサドサ
(・8・)チューン!?
グラグラ
(・8・)ピイィィィ!
ガタッ
(・8・)ママー!
ドサッ バタバタバサッ ガタンッ
(×8×)キュウ…
――
ミカ「よ~し、点火するよ!」
ヒデコ「ミカ、ちゃんとフタは閉めなきゃ」
ミカ「あっ、そうだったね」
フミコ「フタが開いたままだと燃えにくいわよ」
ミカ「いやぁ~、うっかりうっかり」
ガコンッ
――
ミカ「それでは、気を取り直して点火!」
ボッ
フミコ「おおげさねぇ」
ヒデコ「ミカは花火でもなんでも、火遊びが本当に好きだよね」
ミカ「ちょっとぉ~、火遊びが好きな女子高生って、なんかイメージ悪いよ…」
フミコ「火遊びも何も、ミカってそんなにもてたっけ?」
ヒデコ「そっち方面はからっきしでしょ」
ミカ「ちょ、なんか私のことバカにしてない!?」
――
(・8・)ハッ!
チリチリ
(・8・)チュン…?
ボオォ
(・8・)チュンッ!?
ゴオオォ
(・8・)ピイィィィ!?
――
ミカ「はいはい、どうせ私はモテませんよ…」ケッ
ヒデコ「ミカも穂乃果たちと一緒にスクールアイドルやればモテるんじゃない?」
フミコ「なれればだけどね」
ミカ「ちょっとー!さっきから私のことバカにしすぎでしょ!」
ヒデコ「あはは、ごめんってば」
ミカ「もういい!私は焼却炉で火の番をやってるのがお似合いだよ…」マーイムマーイム
――
(・8・)ピィー!ピィー!
メラメラ
(・8・)アチュイィイ!
ゴオオオォ
(・8・)ママー!ママー!
パチッパチッ
(・8・)コトリチャー!
バサッ パチパチッ
(・8・)ホノカチャーン!
――
ヒデコ「焼却炉のアイドル(笑)」
フミコ「それってコピペだっけ?」クスクス
ミカ「こうなったら私だけ独立してアイドルになってやるぅ!ヒデコとフミコはただのモブキャラになっちゃえ!」
ヒデコ「あー、言ったなー!」
ミカ「だいたい、2人は名前も似てて無個性なんだよ!わかりづらいモブなんてただのモブだよ!」
フミコ「見た目なら私の方がミカより上でしょ!」
ギャーギャー ワイワイ
――
(・8・)チューン!チューン!
ゴオオオォ
(・8・)ゲホッ、ゲホッ!
バンッ パチパチッ
(・8・)ピィ…ピィ…
シュウゥゥ
(・8・)ヨロヨロ…
――
ミカ「よーし、それじゃ各自の魅力をアピールすること!三本勝負だよ!」
ヒデコ「私はこの3人のなかでもリーダー格だからね。やっぱりアイドルはみんなを引っ張る力がなきゃだめっしょ!」
フミコ「私は何と言っても癒し系だもんね。ヒデコとミカは活発イメージでかぶるからNG」
ミカ「わ、私だって需要あるよ!そ、その…ロリ枠?とか」
ヒデコ「ミカ、それ自分で言う…?」
フミコ「だんだん矢澤先輩みたくなってるわよ」
――
(・8・)チュン…チュン…
グォオオォ
(・8・)アチュイ…アチュイ…
ボッ
(・8・)ピイィィィ!?アチュイィイ!
ゴオオオォ
(・8・)ヤン、ヤンッ!
ジュウウゥゥ
(・8・)ピイィィ!チュンチュンアチュイィイ!
パチッ ゴオオッ
(・8・)ウミチャアァアアァァァァア!
――
ミカ「これからはロリの時代だよ!」フンス
ヒデコ「断じてそんなことはないね!」グヌヌヌ
フミコ「ねぇ、何かいま聴こえなかった?」
ミカ「え、何が?」
フミコ「その、何か小さな子どもの声みたいな…」
ヒデコ「子ども?ここには子どもなんかいないでしょ。あ、ミカがいたね」
ミカ「ちょ!ロリはいいけど子ども扱いはやめてよ!」
ヒデコ「何それ、矛盾してない?」
――
フミコ「気のせいかしら?それに、何か焦げ臭くない?」
ミカ「ゴミを燃やしてるんだから、当たり前じゃないの?」
フミコ「でも、何だか普通じゃないわよ。肉が焦げたみたいな…」
ヒデコ「ここの焼却炉で死んだ幽霊の祟りだったりして!」
ミカ「や、やめてよ!私、そういうのダメなんだから!」
ヒデコ「あははは!やっぱりミカは子どもだなぁ」
フミコ「ちょっと、これって…!」
ヒデコ「どしたの?って、うわぁ!」
ミカ「け、煙がこんなに出るってやばくない!?」
フミコ「さっきまではこんなどす黒い煙なんて出なかったのに…!」
――
凛「は~、アルパカ小屋の掃除も疲れるね」
アルパカ(白)「メェエエェ」
アルパカ(茶)「フンッ!」
花陽「凛ちゃん、もう少しで終わるよ。きれいになればアルパカさんも喜ぶよ」
凛「それじゃあ、もうひと踏ん張りするにゃ…にゃー!?」
花陽「ど、どうしたの凛ちゃん!?」
凛「向こうの焼却炉から煙がすごく出てる!まるで火事みたいだよ!」
花陽「た、大変!」
――
ヒデコ「こ、これってどうしたらいいの!?ミカ、あんた火の点け方間違ったんじゃ…」
ミカ「わ、私のせいじゃないよ!さっきまでは問題なかったじゃん!」
フミコ「と、とにかく何とか火を止めないと…」
ミカ「だ、ダメ!火が強すぎて全然消えない!」
花陽「大丈夫ですか!?」
凛「うわぁ、煙が目にしみるよ!」
フミコ「花陽ちゃんに凛ちゃん!ごめん、いきなりで悪いけど先生を呼んできてもらえない?私たちじゃどうしようもできなくて…!」
花陽「わかりました。凛ちゃん、職員室までお願い!私は近くに先生がいないか探してみる!」
凛「わかったよ!」
――
資料室
海未「お待たせしました。後は私がやりますから、モブさんは休んでいてください」
モブ「園田さん、大丈夫でしたか!?」
海未「大丈夫…とはどういうことですか?」
モブ「アルパカ小屋の近くにある焼却炉が火事みたいなんです!園田さん、弓道場に行く時に見ませんでした?」
海未「焼却炉ですって…!?」
モブ「ほら、ここの窓からも煙が立ち昇ってるのが見えますよ!」
海未「そんな…!?」ガラッ
――
海未「(ま、まさか焼却炉が使われるなんて…)」
海未「(そういえば、ヒデコたちは枯葉集めの作業をしていましたね。完全に見過ごしていました…)」
海未「(あの鳥が入ったまま火を点けたのでしょうか…?)」
海未「(いいえ、そんなはずはありません!きっとゴミを入れる時にヒデコたちが気づいて箱ごと取り出してるはずです)」
海未「(そうです。きっとそうです…)」
海未「(私は悪くありません…)」
海未「(私は…)」
モブ「園田さん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」
海未「い、いえ。何でもありませんよ…」
――
30分後 廊下
穂乃果「いやー、まさか焼却炉が焼けるなんてびっくりだね!」
ことり「なんとか消火したからよかったけど…表面まで黒焦げになってたよ」
穂乃果「まったく、ミカも危なっかしいよねー。きっと火を強くしすぎたんだよ」
ことり「焼却炉自体が古くなってて、火の調整ができなくなってたみたいだね」
穂乃果「そうなんだ?それにしても、火事騒ぎのおかげで掃除が長引いて大変だったよ。早くチュンチュンと遊ぼーっと!」ガラッ
――
部室
穂乃果「チュンチュン、ただいまー!」
ことり「遅くなってごめんねぇ…あれ?」
穂乃果「どうしたの、ことりちゃん?」
ことり「どうしたんだろう。いつもならすぐ駆け寄ってくるのに…」
穂乃果「お昼寝してるんじゃないの?」
ことり「でも、毛布のところにはいないよ」
穂乃果「わかった!きっとかくれんぼしてるんだよ。よ~し、チュンチュンのいそうなところを徹底的に探すよ~」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん!」
穂乃果「どうしたの?チュンチュンいた?」
ことり「窓が開いてるよ…」
――
穂乃果「う、嘘っ!?お昼に寄った時はこんなに開いてなかったのに…」
ことり「もしかして、チュンチュンが外に出ようと思って開けたんじゃ…」
穂乃果「いけない!学校で迷子になったら大変だよ!私、探してくる!」
ことり「私はみんなに伝えてくるよ!」
穂乃果「ことりちゃん、お願い!チュンチュン、無事でいてね…」ダッ
――
2時間後
凛「だめだよ、全然見つからない!」
絵里「窓の下を中心にしらみつぶしに探したけど、手がかりがまったくないわ」
花陽「誰かチュンチュンを見ていないか聞き込みをしたんですけど、誰も見てないそうです…」
希「おかしいなぁ。チュンチュンはまだ小さいから、そんな遠くには行けへんはずなのに…」
にこ「他の部活にも聞いてみたけど、それらしい情報が何一つ出てこないわ」
ことり「お母さんのところにも行ってないみたい…」
真姫「まいったわね。本格的に迷子になったみたいだわ…」
海未「…」
穂乃果「…私のせいだ」
――
ことり「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「私のせいだよ。窓に鍵をちゃんと掛けてれば、チュンチュンは迷子にならなくて済んだのに…」グスッ
絵里「穂乃果のせいじゃないわ。今日は湿度も高かったし、換気のために窓を開けておくのはやむを得なかったわよ」
にこ「そうよ。自分を責めたってしょうがないわ。それより、チュンチュンを探すことを考えましょう」
――
希「今日はもう遅いし、ひとまずみんな帰った方がええんやない?焦った状態ではいくら探してもチュンチュンは見つからんよ」
真姫「私も希に賛成。もう暗くなってるし、これ以上は探すのが難しいわ」
穂乃果「チュンチュン、おなか空かしてないかな。一人でさみしくないかな…」
絵里「大丈夫よ、穂乃果。きっとチュンチュンは見つかるわ。だから今日はひとまず帰りましょう」
穂乃果「うん…」
凛「もしかしたら、今ごろことりちゃんのおうちにいるかもしれないよ」
花陽「チュンチュンも本能で自分の居場所に戻ると思います。今はチュンチュンを信じて待ちましょう」
にこ「今のところ、他に方法はなさそうね」
ことり「もしチュンチュンが見つかったら、すぐにみんなに連絡するよ」
海未「…」
――
夕方 通学路
海未「まさかこんなことになるとは…」
海未「私が…あの鳥を殺したのでしょうか?」
海未「いいえ、違います!焼却炉が使われるなんて思いもしなかったんです!私のせいじゃありません!」
海未「あのずる賢い鳥のことです。きっと、焼却炉から抜け出して逃げおおせたに違いありません。そうです、きっとそうです!」
――
海未「きっとそう、きっとそうです…」
海未「…待ってください。そういえば、あの箱は何重にもガムテープを巻き付けましたね」
海未「それに、重い鉄製の焼却炉のふたを、あの小さな鳥が内側から押し開けるなんてできるのでしょうか?」
海未「…」
海未「き、きっとヒデコたちが火を点ける前に箱を取り出したに違いありません!」
海未「あの鳥の行方を穂乃果が聞いた時には、何も知らなさそうでしたが…」
――
海未「あぁああぁ!こんなことを考えていたら気がふれてしまいます!」
海未「もういいんです。すべては終わりました。あの鳥のことを考えるべきではありません!」
海未「な、何か別のことを考えないと…」チラッ
海未「…公園がありますね。何か飲み物でも買って、少しベンチで休みましょう。このまま家に帰っても気が晴れません」
――
公園 自販機前
海未「とりあえず、コーヒーにでもしましょうか。気分を落ち着けるのが第一です」
海未「ん?何でしょうこれは。新発売のジュースでしょうか」
海未「チーズケーキシェイク味?ことりが喜びそうな味ですね。私は遠慮しますが」
海未「そういえば、あの鳥もチーズケーキが好物でしたね…」
海未「…いけません。またあの鳥のことを考えてしまっています」ブンブン
海未「さっさとコーヒーを買ってしまいましょう」ガコンッ
――
海未「なかなか手を入れづらい取り出し口ですね…」ゴソゴソ
ジュッ
海未「あっ熱ぅッ!?」ガタンッ
海未「な、なんですかこれは。いくらホットでも缶が熱すぎですよ!機械が壊れているんじゃないんですか?」
海未「ぐっ、ちょっと触れただけで手が赤くなってしまいました…。少し待ってから取り出しましょう…」
――
海未「さてと、ベンチにでも座って心を落ち着けましょう」スッ
チリッ
海未「きゃあああぁ!?」ガバッ
海未「あぁああぁ熱いです!何なんですか!?」
海未「煙草の吸殻がベンチに…」
海未「だ、誰ですかこんなマナー違反をしたのは!」
チュン…
海未「ひっ!?」ビクッ
――
海未「い、いまのは…あの鳥の声?」ビクビク
海未「そ、そんなはずはありません!きっとカラスか何かの声を聞き間違えたんです!」
海未「そうです。あの鳥がここにいるはずがありません…」
海未「そんなことは…」
――
夜 園田家 海未の部屋
海未「あんなことがあったせいか、食事もほとんど喉を通りませんでした…」
海未「いったい何なんですか。どうして私がこんな目に…」
海未「…まさか、あの鳥が私を恨んでいるのでしょうか?さっきから火傷ばかりするのも、焼け死んだあの鳥の恨み…?」
海未「そ、そんなはずはありません!こんなオカルトめいたこと…希ならともかく、私は信じませんよ」
海未「そうです、あの鳥は死んだのです。私に仕返しをしようにも、できるはずがありません」
海未「あははは!私も弱気になったものです。死んだ鳥など、恐れるに足りません!」
海未「死んでくれてせいせいしましたよ。これで邪魔者もとい害鳥は消えました。μ’sはこれまで通り練習に打ち込めます。穂乃果たちとの関係も元通りになるはずです」
海未「ただ死ぬだけではなく、じわじわと焼き殺されたわけですからねぇ。あの汚らしい鳥にふさわしい最期です。私をコケにした罰ですよ。たっぷり恐怖し、苦しんで死んだんでしょうからね!」
海未「ははははっ!あははははははっ!」
海未「…だいぶ気分が落ち着いてきました。今日はシャワーを浴びて早く休むことにしましょう」
――
バスルーム
シャアアアァァ…
海未「軍手越しとはいえ、あの汚い害鳥を触ってしまったわけですから、入念に身体を洗う必要がありますね」
海未「あの鳥のにおいがつきでもしたら大変です。手だけではなく、まんべんなく穢れを落としましょう」
シャァ…
海未「ん?シャワーの調子がよくないですね」
ピトッ…
海未「止まってしまいました。おかしいですね、故障するほど古くはないのですが…」
海未「放っておけば直りますかね?それとも、少しいじってみた方が…」
ジャアアアァアアァァァ
海未「ぎやあああぁああぁッ!?」カランッ
――
海未「うぁあああぁ!熱いぃいいぃい!」ジタバタ
海未「そんな…どうして急に熱湯が出てくるんですか!」
海未「ぐぅっ、肌が痛みます…」ズキズキ
ウミチャー
海未「ひいいいぃぃッ!?」ビクゥ
――
海未「ま、まさか…!そんなことが…!い、いるのですか!出て来なさい!」
シ~ン…
海未「そうですよね、いるはずがありませんよね…」ドキドキ
海未「あの鳥は死んだのですから…」
海未「気味が悪いです。早くあがってしまいしょう…」
――
海未の部屋
海未「ひとまず火傷の処置はしましたが…まだ痛みます」
海未「忌々しいです…。どうして私があんな鳥に振り回されなくてはいけないのですか…」
海未「鳥の幽霊?そんなものが存在するわけないじゃないですか」
海未「そう割り切ることができるなら簡単ですが…さっきまでのことはとても偶然とは思えません」
海未「気分が重いです…。何か気が紛れるものは…」
海未「そうです。真姫が作曲した新曲の歌詞づくりでもしましょう」
――
海未「パソコンを起動して…」ウイーン
海未「歌詞づくりは真姫とことりが中心になってしまいましたが、私が素晴らしい歌詞を作れば、また私を頼ってくるにちがいありません」
海未「そうとなれば、最高のものを作る必要がありますね」
~♪
海未「さすが真姫が作った曲だけあります。これならインスピレーションはいくらでも湧いてきますよ。この曲調なら、明るいフレーズがよさそうですかね」
ザ ザザッ
海未「ん?なぜかノイズが入りますね。前に聴いた時には、こんな雑音は入っていませんでしたが…」
ザザザッ ザザッ
海未「ひどいノイズですね。電波が悪いのでしょうか?しかし、ラジオならともかく、パソコンの音楽再生に電波は関係しないと思いますが…」
ザザッ ザッ チュン チュン
海未「なっ…!?」
――
ママー
海未「あ、あの鳥の声!?」
ホノカチャン コトリチャー
海未「そ、そんなわけ…疲れてるんです。疲れているから、こんな幻聴を…」
アチュイィイ
海未「ひっ!?」ビクッ
アチュイィイアチュイィイウミチャアァアアァァァァアアチュイィイ
海未「や、やめてくださいぃいいぃ!」
――
海未「はぁ、はぁ…。いったい何がどうなってるんですか…」
海未「くっ…どうして画面が消せないんですか!」カタカタカタ
海未「イヤホンさえ外せば音は聴こえませんが…こんな気味悪い画面は早く消してしまわないと…」カタカタカタ
プワーオ
海未「ひぎぃっ!?」ガタッ
シ~ン…
海未「何なんですか!何なんですかぁあああぁぁあッ!」
――
海未「と、とにかくパソコンを閉じないと…」
海未「どうして電源ボタンを押しても消えないんです!」
海未「そうです、コードを抜いてしまえば…」スッ
バチイッ
海未「ぎゃあっ!?」
――
海未「し、ショートしたとでもいうのですか?このタイミングで?」ヒリヒリ
海未「ど、どうすればいいんですか…」ガタガタ
海未「け、携帯です。携帯電話でメンバーにパソコンの閉じ方を聞くしかありませんね」
海未「穂乃果…お願いですから出てください」カチカチカチ
ツーツーツー
海未「なんでこんな時に限って出ないんですかぁ!」
――
海未「こうなったらことりに…。いえ、さっきからの怪現象もありますし、希に相談した方がいいでしょうか?」
ジュウウゥゥ
海未「みぎゃああああぁああぁああッ!?」
海未「がはぁ…。ぐっ、どうして携帯電話が熱く…」
ジュルリ
海未「え、液漏れ?どうしてさっきからこんなトラブルばかり続くのです!」
海未「害鳥、おまえのせいですか!?どこに隠れているんです、出て来なさい!もう一度焼き殺してやります!二度と化けて出られないように殺してやりますよ!」
――
海未「くっ、騒いでも何も解決しませんね…」
海未「まずは冷静になることです。冷静さを欠いては危険です」
海未「焦っているからこそ、何でもないことが怪現象のように感じるのです…」
海未「今日あったことはすべて合理的な説明がつくじゃありませんか?自動販売機の故障、煙草のポイ捨て、シャワーの不具合、パソコンの不調、携帯電話のトラブル…単に不運が重なっただけです」
海未「あの鳥の声はもちろん幻聴です。恐れているからこそ、ありもしない幻に苛まれるのです」
海未「今日はもう休みましょう。パソコンはどうせ放っておけば切れるでしょうし…」
――
深夜
チリッ
海未「ん…?なんですか、暑い…いや、熱いです」ムクッ
海未「こ、これは…!?」
ゴオオオォ
海未「パソコンから火が…!バッテリーがおかしくなったとでもいうのですか!?」
海未「と、とにかく火を消さないと。いえ、まずはお母様を呼んで…ぐっ!?」
海未「か、身体が動きません…」
――
ピュアピュア~♪
海未「どうして、身体に力が…」ググッ
ゴオオオォオォ
海未「ひ、火が強くなってます…!」
チュンチュン♪
海未「げほっ、げほっ!煙が…」
パキッ
海未「早く逃げないと、火がもうすぐそこまで…!」
ウミチャー♪
海未「ぐうぅっ…!」
ボッ
――
海未「ああああぁあぁああぁああああ!熱い熱い熱いあついぃぃいっぃぃぃ!」
チュンチュンアチュイィイ♪
海未「だ、誰か助けてくださいぃぃいぃ!死んでしまいますぅぅうぅ!」ジタバタ
ウミチャーアチュイィイ♪
海未「ひぎぃぃいぃいッ!熱い熱い熱いよぉおぉぉぉお!」
ウミチャーイッショ♪チュンチュントイッショ♪
海未「げほっ、ぐほぉ!い、痛い痛い痛いよぉぉおぉ!皮が剥がれるうぅぅぅぅう!」
ダカラウミチャー
イッショニシンデ?
――
海未「あぁあああぁあぁああ!悪かったです、私が悪かったですぅううぅぅう!」
海未「もうあなたに意地悪したりはしませぇええぇん!許してくださいいいいぃいぃ!」
海未「熱い、熱いよおぉおおぉ!あなたの苦しみはわかりましたあぁああぁ!だがら許じでぐだざあぁああい!」
海未「ひぎぃぃぃ!熱い熱い熱いぃいぃぃぃぃ!」
海未「はっ…ここは?」
真姫「ようやく目がさめたのね」
海未「真姫?私はいったい…さっきのは夢ですか?ぐっ…」ズキッ
真姫「ここはうちの病院よ。夜中に救急搬送で送られてきたんだから…。今はもう昼過ぎだけどね。海未、あなたは自宅で火事に巻き込まれたのよ」
海未「火事に?すると、さっきのは夢ではなかったのですね…」
真姫「部屋にあったパソコンのバッテリーが異常に高熱化して出火したみたいね。だめじゃない、寝る前にちゃんと電源を消さなきゃ…。あなたのお母様が部屋から連れ出すのにもう少し遅れていたら、もっとひどい火傷を負っていたわ。ヘタをしたら、焼け死んでいたかもしれないのよ」
海未「焼け死んで…?」ゾクッ
真姫「とりあえず、しばらく入院してもらうわよ。幸い、大掛かりな皮膚移植とかまではしなくてよさそうだけど、すぐに治るほどの軽傷でもないわ。まぁ、ラブライブ出場には影響しないと思うけど」
海未「そうですか…」
チュン
海未「ひいぃッ!?」ビクゥ
――
真姫「あら、ついてきちゃったのね」
(・8・)チュンチュン♪
海未「ま、真姫…。どうしてその鳥が…?」ガタガタ
真姫「昨日の夜中にあなたが運び込まれてどたばたしているときに、ナースセンターで見つかったのよ。まったく不思議よね。ことりのうちならともかく、私のところの病院に戻って来るなんて」
海未「お、お願いですから私にその鳥を近づけないでください!」
真姫「ずいぶん嫌ってるのね。でも、この子が見つかってから急にあなたの容態がよくなったのよ。希じゃないけど、もしかしたらこの子は何かの守り神なのかもしれないわね」
海未「そ、そんなわけないじゃないですか…」
真姫「火事に巻き込まれた海未を救ったんだとしたら、さながらこの子はフェニックスね。フェニックスは火の中で燃え尽きて死んでしまっても、新たな生命を得て復活するそうよ?」
海未「ま、まさかそんな…。だいたいあの火事は…」
(・8・)ウミチャー♪
海未「ひぃっ!?す、すみませんでした!悪いのは私です!だからもう許してくださいぃ!」
おわり
真姫「なんというか…B級ホラーね」
にこ「これでも一生懸命書いたのよ!?」
海未「私の扱いが最低ですね。途中からは完全に死亡エンドかと思いましたよ…」
穂乃果「ちなみに今現在、焼却炉を置いてある学校はないみたいだよ。ダイオキシンが出るとかなんとかで」
理事長「時代の流れねぇ…。今の若い子には焼却炉って言っても通じるかしら?」
(・8・)チューン♪
めっちゃ面白かったです!!
海未がゲスだなぁ…
穂乃果たちの溺愛っぷりから狂気を感じるぜ!
これはなかなか今後の展開が気になりますね……
(海未ちゃんの1人ツッコミとかにはめちゃくちゃ笑いましたがw)
ホラー展開がきになります……
これからも頑張ってください!!
チュンチュンが憎たらしいほど可愛いです!
今後の展開が楽しみです( ´ ▽ ` )
なかなかおもしろかった! レズ描写が無ければもっと良かった
おもしろかった