2015-07-25 18:17:43 更新

概要

ふらりと立ち寄ったショップで、心の声が聴こえる不思議なブレスレットを手に入れた海未ちゃん。けれど、聴こえてきた親友たちの心の声は…。途中までは鬱展開が続くので注意です。


休日 駅前


海未「穂乃果…遅いですね」


海未「メールもきていませんし、大方寝過ごしたのでしょう」


海未「まぁ、いつものことです」


海未「穂乃果のことですから、あと30分は来ませんね」


海未「それまで、このあたりを見て時間を潰すとしましょう」


――

海未「おやっ。ここの空きテナント、いつの間にかお店が入ったようですね」


海未「どうやらアクセサリーのお店のようですが…」


海未「そういえば、一人でこういうところを見たことはほとんどありませんね」


海未「たいていは穂乃果やことりたちの付き添いですし」


海未「せっかくの機会ですし、たまには私もおしゃれの一つくらい考えてもいいのかもしれません。仮にもスクールアイドルの一員なのですから」


海未「ちょっと覗いてみましょう」カランカラン


――

アクセサリーショップ


海未「ちょっと薄暗いですね」


海未「店内も狭いですが…品揃えは豊富みたいです」


海未「ペンダントにブローチ、指輪まで…」


キラッ


海未「ん?何でしょう、これは…」


海未「ブレスレットですね。数珠のようですが…いわゆるパワーストーンというやつでしょうか?」


海未「希ならこういうものも詳しそうですが…私にはよくわかりませんね」


――

海未「とりあえず他のものも見て…」


キラッ


海未「…どういうことでしょう。さっきから、どうもこのブレスレットが気になります」


海未「つやがありますね…黒のような灰色のような…」


海未「何という石かわかりませんが…まるで黒真珠のように艶やかです」


キラッ


海未「とても綺麗ですね。私が身に着けても似合うでしょうか」


海未「しかし、どうにも値段が高そうです…」チラッ


海未「え?こんなに安いんですか!ゼロがいくつか間違っていやしませんかね?」


――

海未「これだけ安いということは、イミテーションなのでしょうか?」


キラッ


海未「あぁ…でもそんなことはどうでもいいです。このブレスレットはとても綺麗です…」


海未「良いものが安く買えるのであれば、それに越したことはありません」


海未「決まりですね。買いましょう」


海未「すみません、これを一つお願いします」


キラッ


――

駅前


海未「ケースまで付けてもらいました。どうやらプレゼント用と思われたみたいですね」


海未「そのまま着けてしまった方がよかったかもしれません」


海未「早速開けてみましょうか」


オーイ


穂乃果「ごめーん!海未ちゃん、目覚まし時計が鳴ってるのに気が付かなくて…」ハァハァ


海未「穂乃果、遅いですよ」


穂乃果「だいぶ待たせちゃったよね?ごめん…」


海未「いえ、構いませんよ。これでも穂乃果の幼馴染として慣れていますから」


海未「(そういえば…あのブレスレットに夢中で、他の商品はろくに見ていませんでした)」


海未「(値段もリーズナブルでしたし、穂乃果へのプレゼントも買っておくべきでした)」


海未「(私だけがこの場で買ったばかりのブレスレットを着けるのも、穂乃果に申し訳ないですね)」


海未「(ブレスレットを開けるのは帰ってからにしましょう)」


――

穂乃果「海未ちゃん、今日はどこから見ていこうか?」


海未「今日は新しくできたカフェに行くのですよね。それとショッピングですか」


穂乃果「この間みんなで遊びに行ったときにさ。ことりちゃんが着けてた帽子、すっごくかわいかったよね!私もああいうのがほしい!」


海未「それでは穂乃果の帽子探しから始めますか」


穂乃果「あ、それとね。久しぶりに海未ちゃんと二人っきりだからカラオケにも行きたい!」


海未「穂乃果、慌てなくてもまだ時間は十分にありますよ」


穂乃果「そうだったね。海未ちゃんと一緒だと、つい気分がわくわくしてきちゃって!」


――

夕方 海未の家前


穂乃果「今日は海未ちゃんと一緒でとっても楽しかったよ!」


海未「いつもラブライブに向けての練習が続いていますからね。こうして穂乃果とゆっくり過ごせる時間は私にとってもかけがえのないものです」


穂乃果「えへへ…海未ちゃんにそんな風に言われるとちょっと恥ずかしいな」


海未「また暇があれば二人で出掛けましょう」


穂乃果「そうだね。今度はもっと美味しいお店リサーチしておくから!和洋中、イタリアン、創作、デカ盛りなんでもこいだよ!」


海未「楽しみにしていますよ」フフッ


穂乃果「それじゃあ、海未ちゃん。明日も学校でね!」


――

夜 海未の部屋


海未「今日は一日がかりで疲れましたが…やはり穂乃果と過ごす時間は充実しています」


海未「明日も早いですし、今日はもう寝ましょう」


コトッ


海未「おや、これは…」


海未「穂乃果のことですっかり忘れていました。ブレスレット、開けてみましょう」


キラッ


海未「やはり美しいですね」


海未「早速、明日から着けていきましょう。校則はそこまで厳しくないですし、問題ありませんよね」


海未「穂乃果たちの感想も聞いてみたいです」


――

翌日 朝 2年生教室


穂乃果「海未ちゃん、おはよー!もう来てたんだね」


海未「今日は遅刻しませんでしたね。穂乃果のことですから、昨日の疲れで寝過ごすかと心配しましたよ」


穂乃果「さすがの私も二度も同じ過ちは繰り返さないよ!」エッヘン


海未「威張れることじゃありませんよ」フフッ


――

穂乃果「わっ!海未ちゃん、このブレスレットどうしたの?」


海未「新しく買ってみました。お店で見てから、とても気に入ってしまいまして」


穂乃果「すごく綺麗!これ、パワーストーンだよね。何の石なの?」


海未「それが、よくわからないのです。一目見て輝きが気に入って、すぐに買ってしまったので」


穂乃果「そうなんだ。でも、海未ちゃんにとっても似合ってるよ!」


海未「ありがとうございます」


――

穂乃果「本当に綺麗だね。高かったんじゃないの?」


海未「いえいえ、それがとてもお手頃な値段でして…」


キラッ


『ふ~ん。だったら、穂乃果にもプレゼントの一つくらい買ってくれてもいいのに』


海未「えっ?」


穂乃果「いいな~。私もこういうのほしいな~」


海未「あ、あの。穂乃果、今何か言いました?」


穂乃果「え?綺麗だから私もこういうのがほしいな~って」


――

海未「(まさか、穂乃果は昨日私があの店から出て来たところを見ていたのでしょうか?)」


海未「(そうだとしたら、自分だけほしいものを買って、これ見よがしに自慢する私に不快をおぼえても当然です)」


海未「す、すみません。実は、昨日穂乃果を待っている間にたまたま入ったお店で見つけたのです」


穂乃果「そうだったの?今度、私も連れて行ってよ!」


海未「えぇ、もちろんです。昨日は穂乃果を待っている時間が長かったものですから…」


『何?今度は私が遅れてきたことが悪いって言いたいの?』


海未「そ、そんなつもりは…」


――

『だいたいさぁ、海未ちゃんがそんなもの着けたって、全然似合わないよ』


『海未ちゃんって、別にμ’sの中で特別かわいいわけでもないし』


海未「な…」


『自分なりにおしゃれしてみたつもりなのかもしれないけど、はっきり言ってセンス悪いよ』


『海未ちゃんって、本当勘違いしてるね。そのくせ、何様って感じな物言いだし…』


海未「ほ、穂乃果!言っていいことと悪いことがありますよ!」バン


穂乃果「え!?」ビクッ


――

海未「やめてください…朝から気分が悪くなります!」


穂乃果「ど、どうしたの海未ちゃん?穂乃果、何か海未ちゃんを怒らせるようなこと言った…?」オロオロ


海未「何をしらじらしい。あれだけ好き放題言っておいて…穂乃果には幻滅しました」


穂乃果「そ、そんな…。ひどいよ、海未ちゃん。穂乃果、何も言ってないのに…」グスッ


ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃんおはよー」ガラッ


穂乃果「こ、ことりちゃ~ん」エーン


ことり「ど、どうしたのホノカチャン!?」


――

穂乃果「私、何もしてないのに海未ちゃんが怒るの…」グスッ


ことり「えぇっ、どういうことなの!?」


海未「ことり、聞く必要はありません。悪いのは穂乃果ですから。あれだけ私のことを悪く言っておいて、何もしてないとはよく言えたものです」フンッ


穂乃果「だから言ってないよ!どうして信じてくれないの!?」


ことり「海未ちゃん、何か誤解してるんじゃないの?穂乃果ちゃんは海未ちゃんのことを悪く言ったりなんてできないはずだよ」


海未「ことりまで穂乃果の肩を持つのですか!?」


ことり「そ、そんな肩を持つとかじゃなくて…二人とも友だちでしょう?」


海未「もういいですよ。穂乃果もことりも知りません」プイッ


キラッ


『あーもう。またメンヘラ海未ちゃんの悪い癖が出たよ…』


海未「何ですって!?」


――

『ほんと、うざいからやめてほしいな。キーキー喚いて、バカみたい』


『こんな人と幼馴染で高校生になっても縁が切れないなんて…情けなくなってくるよ』


『μ’sも海未ちゃんさえいなければみんなで仲良くやっていけるのになぁ』


『どこかに留学でもしちゃえばいいのに』


海未「…ことり。あなたは最低です。私のことを、そんな風に思っていたのですね!」パシッ


ことり「い、痛い!何するの、海未ちゃん!?」


――

海未「二人とも絶交です!もう二度と私に関わらないでください!こっちから願い下げです!」


ことり「ま、待ってよ海未ちゃん!いったいどうしたっていうの!?」


穂乃果「もういいよ、ことりちゃん。海未ちゃん、私たちのこと嫌いみたいだから…」ヒクッ


ことり「ホノカチャン…」


穂乃果「海未ちゃんがそう言うんだから、私たちは…もう友だちでもなんでもないんだよ」エグッ


ことり「…海未ちゃん。なんだか今日の海未ちゃんおかしいよ?何があったの?」


海未「…言いましたよね?もう私には話しかけないでください」


ことり「…」


――

昼休み


ことり「穂乃果ちゃん、大丈夫?」


穂乃果「うん…」


ことり「私がパンを買ってくるから、一緒に食べよう」


穂乃果「ありがとう、ことりちゃん…」


ことり「…」チラッ


海未「…何ですか、その顔は」


ことり「穂乃果ちゃん、今日はテラスのところで食べよう」


穂乃果「そうだね。私、先に行って待ってる…」


海未「まったく…いらいらします」


海未「こんな状態では食欲も出ません。私も場所を変えることにしましょう」


――

廊下


海未「と、いってもどこで食べましょう」


海未「とにかく穂乃果とことりの顔を見なければどこでもいいですが…やはり一人では味気ないです」


凛「あっ、海未ちゃんだにゃー。こんなところでどうしたの?」


花陽「今からお昼ですか?」


海未「凛に花陽。ちょうどいいところで会いました。私と一緒にお昼にしませんか」


凛「凛たちもこれからお昼だから、ちょうどよかったにゃー」


花陽「穂乃果ちゃんたちも一緒ですか?」


――

海未「いえ、今日は穂乃果とことりは都合が悪いので…」


凛「それなら、早く食べよう!凛、もうおなかぺこぺこだよ!」


花陽「海未ちゃんさえよければ、私たちの教室でどう?ここからならすぐだから」


海未「いいですね」


キラッ


『良かった…今日は園田先輩の機嫌良さそうだね』


『本当だね。急に会ったときはどうなることかと思ったけど…』


海未「…二人とも?」


――

『凛は正直、園田先輩が怖いよ。練習のときもいつも厳しいし…きっと凛のことが嫌いなんだ』


『そうだね。凛ちゃんはいつも目の敵にされてるし…。私だって、いつ園田先輩に目をつけられるかと思うと、部室に行く足取りが重くなるよ』


『凛、もうμ’sなんてやめたいな…。こんなつらい思いまでして、スクールアイドルとして活動するの、疲れちゃったよ』


『凛ちゃん、いつも無理して元気に振る舞ってるもんね…。私も、自分がなんでスクールアイドルをしてるのかわからなくなってくるときがあるよ』


海未「ま、待ってください。私は別にそんなつもりは…」


海未「はっ!?」


――

海未「(二人の口が動いていない…?)」


海未「(どういうことです?今の声は…二人のものではないのですか?)」


海未「(しかし、明らかに二人の声です。と、いうことは…)」


海未「(私に聴こえているのは、心の声?)」


凛「海未ちゃん、どうしたにゃー?」


花陽「大丈夫?なんだか顔色が悪いよ」


海未「い、いえ。何でもありません。さ、行きましょう」


――

放課後 2年生教室


穂乃果「ことりちゃん、早く部室に行こう」


ことり「そ、そうだね」チラッ


海未「…」


穂乃果「海未ちゃんのことならもういいよ。早くしないと、また怒鳴られるよ…」


ことり「そうだね…。行こっか、穂乃果ちゃん」


海未「(今朝の一件も、私が聴いたのは穂乃果たちの心の声?)」


――

海未「しかし、いったいなぜ心の声が聴こえたりするのでしょう…」


キラッ


海未「原因は…このブレスレットにあるとしか思えません」


海未「他人の心が読み取れるなんて…恐ろしいことです」


海未「こんなもの、外してしまいましょう」


キラッ


海未「うっ…」


――

海未「し、しかし…せっかく似合っているのに外すのも勿体ないです」


海未「気に入ったからこそ買ったんじゃないですか。これでは何のために買ったのかわかりません」


海未「それに、他人の心が読めることは、そう悪いことばかりではありません」


海未「口に出していないとはいえ、穂乃果たちがあのようなことを考えていたのは事実ですし…」


海未「そういう人間とは関わりを持たないためにも、このブレスレットは有用です」


――

海未「それにしても、あんな風に思われていたなんて…。穂乃果もことりも、μ’sの仲間だと思っていたのに、がっかりです」


海未「穂乃果…昨日私と過ごしたときにも、あんなことを考えていたのでしょうか?ぞっとします…」


海未「もう穂乃果やことりとは関わりません」


海未「…しかし、これからどうしましょう」


海未「部室に行けば穂乃果たちがいますし…気分が悪くなるだけです」


海未「かといって、μ’sとしての活動をやめるつもりもありませんし…」


――

海未「…そうです。なにも私が悩む必要はありません」


海未「仲間に対してあんなことを想っている穂乃果とことりに出ていってもらえばいいのです。それで万事解決です」


海未「そうとなれば、早速他のメンバーを説得しましょう」


海未「早くしないと、穂乃果たちが適当なことを吹き込むかもしれませんしね」


――

廊下


海未「おや、この音は…」


海未「真姫のようですね。部室に行く前に音楽室で練習でしょうか」


海未「聴いたことのない旋律です。新曲のようですね」


海未「早速、真姫から説得しましょう」


――

音楽室


海未「真姫、練習熱心ですね」


真姫「あら、海未じゃない。聴いてたの?」


海未「えぇ、耳に心地よい音色が聴こえてきましたから」


真姫「そう言ってもらえると嬉しいわ。考えていた新曲のアイディアが浮かんだから、ちょっと部室に行く前に試してみたの」


海未「落ち着いた感じで、とても良いですよ。μ’sとしては、こういう曲調もレパートリーにほしいところです」


真姫「ありがとう。なんとか曲として披露できるレベルに構成してみせるわ」


海未「頼みますよ」


キラッ


『ま、天才の真姫ちゃんにすれば、こんなこと造作もないんだけどね』


海未「真姫…」


――

海未「(まぁ、そのくらいは思うでしょう。真姫は実際に天才肌ですし)」


海未「(少しナルシスト気味なところもありますが…)」


『どこぞの海未ちゃんの作詞とはレベルが違うんだから』


海未「なんですって…」


『μ’sの楽曲担当は私だけで十分よ』


『海未ちゃんにやらせると、中途半端で稚拙な歌詞しか作らないんだから。まったく、μ’sの名前に傷がつくわ』


『さっさと私に役目を譲って、隅っこでおとなしくしてなさいよね』


真姫「海未?どうしたの、さっきから黙り込んで…」


海未「真姫、ずいぶんと言ってくれますね…」ギリッ


真姫「え、何?どうしたのよ、そんな顔して…」ビクッ


海未「私だって我慢の限界です!」グッ


真姫「きゃっ!?ちょ、やめて!髪を引っ張らないで!」


――

海未「少し才能があるからって、いい気になるんじゃありませんよ!」


真姫「や、やだ!痛い!離して!」


海未「それが仮にも先輩に対する態度なのですか!?」


真姫「イミワカンナイ!いったいどうしたのよ!?」


海未「前から生意気だと思っていたんです!あなたはμ’sにふさわしくありません!」


真姫「い、痛い痛い痛い!助けてェ!」


にこ「ちょっと!何やってるのよ、海未!」


――

海未「邪魔しないでください!真姫が悪いんです!」


にこ「何言ってるの!何が原因か知らないけど、それでも暴力を振るうなんて、どうかしてるんじゃない!真姫ちゃんから手を離しなさいよ!」


海未「私に指図しないでください!」


にこ「いいから離しなさい!」グッ


海未「くっ…」パッ


真姫「うっ、ううぅ…痛いよぉ…」グスッ


にこ「真姫ちゃん、大丈夫?怪我してない?」


真姫「わ、私本当に何もしてないのよ?海未がいきなり…」グスッ


にこ「とにかく…何があったか話してみなさいよ、海未」


にこ「こんなことするなんて、あんたらしくもないじゃない」


にこ「何か嫌なことでもあったの?それなら、こんなことしないで、直接話してよ。そのための仲間でしょう?」


キラッ


『ったく、なんでこいつはこうも問題ばっかり起こすのよ…』


『こいつのせいで、μ’sはバラバラじゃない!』


『こんなやつ、どこでもいいからさっさと消えてよね!』


『μ’sは8人で十分なのよ!』


海未「…そうですか、よくわかりました」


――

部室


絵里「お待たせ、みんなもう集まってる?」


穂乃果「…」


ことり「…」


希「どないしたん?穂乃果ちゃんとことりちゃん、元気ないで?」


絵里「どうしたのよ、穂乃果。ことりとケンカでもしたの?」


穂乃果「…違うよ」


絵里「それなら、どうしてそんなに沈んでるのよ」


穂乃果「…」


絵里「参ったわね。こんな時に海未がいてくれると助かるのに」


穂乃果「…海未ちゃんならもう来ないよ」


希「へ?どういうことなん、それ」


――

穂乃果「海未ちゃん…穂乃果とことりちゃんのことが嫌いだから…私たちのいる部室には来ないよ…」グスッ


絵里「えっ、ちょっと。穂乃果、泣いてるの…?」


希「と、いうことはケンカの相手は海未ちゃんちゅうことか」


ことり「ケンカじゃないよ。その、何て言えばいいかわからないけど…海未ちゃん、急に私たちのことが嫌いになったみたいなの」


絵里「どういうことよ?ケンカもしてないのに、嫌われたってこと?」


ことり「うん。私たち、何もしてないのに、突然海未ちゃんが怒りだして…」


凛「にゃ?だから海未ちゃん、お昼に穂乃果ちゃんたちと一緒じゃなかったのかにゃー」


花陽「そいういえば、海未ちゃん。お昼にも何か思いつめたような表情をしていたような…」


絵里「何かあったのかしら?とにかく、私は海未を探してくるわ」


――

音楽室


海未「…わかりました。そちらがそういう考えなら、私にも覚悟はあります」


にこ「な、何を言ってるのよ」


海未「今日かぎりでμ’sは辞めます。それではこれで」スタスタ


にこ「はぁ!?何よそれ、唐突すぎるわ!」


海未「もう決めたことです。悔いはありません」


にこ「バカなこと言ってんじゃないわよ!待ちなさい!」


海未「近寄らないでください!」キッ


海未「もう…何もかも終わりです。こんなメンバーたちには、信頼のかけらもありません」


海未「μ’sなんて最低です。どうにでもなればいいですよ」フンッ


にこ「…どうしちゃったのよ、海未」


――

廊下


海未「まったく…どうして私の周りにはこんな連中しかいないのですか…」イライラ


海未「何がスクールアイドルですか。くだらなくてやってられませんよ」


海未「仲間のふりをして、結局みんなで私のことをバカにしていたのですから…」


絵里「あっ、こんなところにいたのね」


海未「…」スタスタ


絵里「ちょっと、待ちなさいよ。穂乃果たちと何があったの?」


海未「話す必要はありません。私はもうμ’sの一員ではありませんので」


絵里「何ですって!?」


――

海未「後は好きにやってください。私はもう疲れました」


絵里「ど、どういうことなのよ。辞めるだなんて、そんなの認められないわァ!」


絵里「と、とにかく理由を教えて!いったい何があったのよ?」


絵里「みんな心配してるのよ」


キラッ


『いい加減にしてよね。何か揉め事があれば、私の責任になるんだから…』


海未「心配…ですか。笑わせてくれますよ。そんなことを言って、本当は面倒事に巻き込まれたとでも思っているのではないですか」


絵里「は、ハラショー!?」


海未「絵里のそのいい子ぶりには吐き気がしますよ。まぁ、いかにも生徒会長らしいとも言えますが」フッ


絵里「な、何でそんなこと言うのよ!」


海未「大方、穂乃果たちに言われて私を呼び戻しに来たのでしょうが…戻るつもりはありません。不快です。今すぐ目の前から消えてください」


絵里「そ、そんな…。も、もう知らないチカ!エリチカ、おうちに帰るチカ!」ワーン


――

部室


希「それにしても、海未ちゃんいったいどないしたんやろなぁ」


穂乃果「わからないよ。もう、海未ちゃんとは友だちじゃないもん…」


希「海未ちゃんが怒るような心当たり、本当に何もないん?」


ことり「それは本当だよ。私も穂乃果ちゃんも、何も海未ちゃんを怒らせるようなことはしてないよ」


希「ますますわからんなぁ…」


にこ「ほら、真姫ちゃん。もう泣き止みなさいよ」ガラッ


真姫「だっでぇ、海未があんなことするんだもの…」エグッ


凛「今度は真姫ちゃんが泣いてるにゃー」


花陽「もしかして、また海未ちゃん?」


――

にこ「海未のやつ、最低よ。何もしてない真姫ちゃんの髪をいきなり引っ張って怒鳴るんだもの」


希「真姫ちゃんもかいな…。いったい海未ちゃんは何に怒ってるんやろ。ことりちゃん、何でもいいから、海未ちゃんが普段と違う様子やったとか、そんなんない?」


ことり「そういえば…私は黙って聞いていただけなのに、海未ちゃんは悪口を言われたって怒ってたよ」


真姫「私の時もそうよ。いきなり、いい気になってるとか言われて…」


希「言われてもないのに、悪口を言われてると感じる、か…」


穂乃果「はぁ…どうしてこんなことになっちゃったんだろ。昨日までは海未ちゃんと楽しく遊んでたのに…」


ことり「ホノカチャン…」


穂乃果「今日だって、ブレスレットの話をしてた時までは、いつもどおりだったのに…」


希「ブレスレット?」


――

希「穂乃果ちゃん、ブレスレットって何の話や?」


穂乃果「海未ちゃんが新しく着けてきたブレスレットだよ。パワーストーンが数珠みたいに付いてるやつ」


凛「そういえば、海未ちゃんそんなものを着けてたような気がしたにゃあ」


希「パワーストーンか…。穂乃果ちゃん、どんな石か覚えてる?」


穂乃果「確か、黒か灰色で、とっても綺麗な石だよ」


凛「そうだにゃ。黒い真珠みたいな石だったよ」


希「黒のパワーストーン…そうか、それや!」


花陽「な、何かわかったの?」


――

希「わかったで、海未ちゃんが突然怒りだした理由が」


にこ「いったい何なのよ?その石が関係してるわけ?」


希「詳しい話は後や。うちは海未ちゃんを探してくるで」


絵里「うわぁあ~ん!希ぃ~!」ガラッ


希「うわっ、どないしたんやエリち」


絵里「海未が、海未がいじめるチカー」エーン


希「こうしちゃおられへん。にこっち、悪いけどエリちのこと頼んだで」


絵里「ま、待って!行かないで、希ぃ~」ビエーン


にこ「あーはいはい、いい子だから泣き止みなさい」


――

屋上


海未「思えば…ここで練習したこともありましたね」


海未「今となっては関係ありませんが…」


海未「たとえ短い間でも、私は本当の仲間だと思っていたのですよ。それなのに…」グスッ


海未「バカにされ、恐れられて…見下されて、厄介者扱いをされるなんて…」


海未「私がこれまでやってきたことに、何の意味があったんでしょうか?」


海未「いえ、きっとこれからも何の意味もありはしません…」


海未「もう疲れました…。ここから飛び降りたら、すべて忘れて楽になれるのでしょうか…」フラフラ


希「あかん!海未ちゃん、早まったらあかん!」


――

海未「希ですか…。私は、もう疲れたのです。園田海未でいることが…」


海未「これほどつらい思いをして、生きている意味があるのですか?」ポロポロ


海未「さようなら…」フッ


希「海未ちゃん!」ガシッ


――

海未「…あれ、私まだ死んでないんですね」


希「海未ちゃん、そんな風に考えたらあかん!誰も海未ちゃんのこと、バカにもせえへんし、見下してもないんや!」


海未「そんなことを言って、希も内心では私のことを…」


海未「…」


希「海未ちゃん、信じてや!うちのことを、μ’sのみんなのことを!」


海未「き…こえ、ない…?」


――

海未「ど、どうしてですか。希の心の声が聴こえてきません…」


海未「希の言っていることは…本心からだとでも言うのですか…?」


海未「わかりません…」ヘナヘナ


希「海未ちゃん。誰も海未ちゃんを責めてなんかおらん。海未ちゃんは、大切な親友やし、仲間なんやから」


海未「の、希…」ウルッ


――

海未「う…うわぁ~ん!」ギュッ


海未「希だけ…希だけです!私に…こんな温かい言葉をかけてくれるのは…」


海未「私は…一人ぼっちじゃなかったのですね…」ヒクッ


希「そうや。海未ちゃんは一人やない。みんな、海未ちゃんの味方やで」


海未「うぅっ、うう…」グスッ


――

希「海未ちゃん、落ち着いた?」


海未「はい…でも、もう少しだけ、こうしていたいです」ギュッ


希「うちでよければ、いくらでもええよ」


海未「ありがとうございます…」


――

希「海未ちゃん。そのパワーストーンの持ってる意味、知っとる?」


海未「これですか?いえ、わかりません。大体の予想はつきますが…」


希「これはヘマタイトいうんや。持っとる意味は、秘めた想い」


海未「なるほど…確かにそのとおりですね。だから、みんなの心の声が聴こえたのですね」


希「それは違うで」


海未「えっ。しかし、そうとしか考えられませんが…」


――

希「秘めた想い…。それはみんなの想いやない。海未ちゃん自身の想いなんや」


海未「わ、私のですか?」


希「そうや。さっき部室で聞いてきたんやけど、海未ちゃんが聴いた心の声。あれは海未ちゃん自身が心の奥で秘かに抱えている不安なんや」


海未「私の…不安…」


希「穂乃果ちゃんは海未ちゃんの一番の親友。だからこそ、どこかで嫌われていないか、相手に尽くせているのか、不安に思うんやな」


海未「穂乃果…。確かにずっと心残りでした。穂乃果に黙って、私だけこのブレスレットを買ったことを…」


希「ことりちゃんは心を許せる海未ちゃんの大切な幼馴染。せやから、時々機嫌の悪いところを見せてないか、気になるんやろなぁ。海未ちゃんは繊細で我慢強いから、知らず知らずのうちに、ことりちゃんには不満をぶつけてしまってるかもしれんしな」


海未「そうです…。私はいつもことりの優しさに甘えてしまいます。ことりに迷惑がられていないか、いつも気がかりでした」


――

希「凛ちゃんと花陽ちゃんは、海未ちゃんのかわいい後輩。μ’sは先輩も後輩も関係あらへんけど、海未ちゃんは真面目やし、後輩とうまく付き合えてるか悩んでたんやな」


海未「はい…。練習のときはつい厳しくしてしまう気がして…。後になって、しまったと思うときが何度もあります」


希「真姫ちゃんもそうや。練習前の短い時間にも音楽室で新曲を考えとるけど、あれは海未ちゃんっちゅう憧れの先輩に追いつきたい、μ’sの一員として、役に立ちたいっていう想いの表れなんや」


海未「私がバカでした…。妬んでいたのです、真姫の才能を。真姫がいれば、私の存在意義がなくなってしまうと…」


希「海未ちゃんは大切な仲間や。海未ちゃんが必要ないなんて思うとるメンバーはμ’sの中にはおらへんよ。にこっちもエリちも、海未ちゃんが辞める言うたら、必死に止めたやろ?」


海未「うぅ…」


希「海未ちゃんがいて、9人そろって初めてμ’sなんやから…」


――

海未「私は…とんでもない過ちを…」


海未「自分の心の弱さを棚に上げて…大切な仲間に当たり散らしてしまいました…」


海未「もっと早く、自分の心に向かい合っていれば、こんなことには…」グスッ


海未「でも、もう遅すぎました…」


希「そんなことはあらへんよ。ほら、見てみ」


ことり「海未ちゃん!」


海未「こ、ことり!」


にこ「まったく、心配かけるんじゃないわよ!」


海未「にこも…」


凛「凛たちもいるにゃー」


海未「凛!花陽に真姫、それに絵里も…」


穂乃果「…海未ちゃん」


海未「穂乃果…」


――

希「さて、みんなもそろったことやし…海未ちゃん、誤解してたってこと伝えとこ」


希「もう、こんなもんに惑わされないで、みんなを信じて正直に気持ちを伝えるんや」スッ


コトッ


海未「…はい」


ことり「海未ちゃん、もう大丈夫なの?」


海未「ことり…。さっきは叩いてしまって申し訳ありませんでした。私の妄想で、口汚く罵ってしまって…」


ことり「もういいんだよ。海未ちゃんが元気になれば、ことり、他には何もいらないよ」


海未「ことりは…優しいのですね、いつも。その優しさに気を許して、ことりの重荷になっていないか、いつも不安だったのです。さっきの怒りは、私の不安感の表れでした」


ことり「もう、海未ちゃん。どうしてそんなことを言うの?ことりは海未ちゃんとずっと友だちだし、これからもそうだよ。だからこそ、何かあったときはいつでも頼ってほしいのに…」


海未「ことり…」


ことり「私の方が海未ちゃんにいつも助けてもらってるんだもん。たまには海未ちゃんの役に立たせてよ、ね?」


海未「はい。これからもよろしくお願いしますね、ことり」


――

凛「海未ちゃんが元に戻ってよかったにゃー」


花陽「本当だよ。さっきはどうなることかと思ったから…」


海未「凛に花陽…。一つ聞いてもよいですか」


凛「何、なに?」


海未「普段の練習で、私の指示はきつくありませんか?もし傷つけてしまったのなら、謝ります」


凛「そんなことないよ。海未ちゃんが頑張ってるから、凛たちも頑張ろうって気になれるもん!」


花陽「そうだよ。海未ちゃんがリードしてくれるから、私たち頑張れるんだよ」


凛「それに、練習が大変なのは当たり前だよね。だって、凛たちは世界一のスクールアイドルを目指してるんだもんね!」


花陽「凛ちゃん、それはスケールが大きすぎるような…」


海未「二人とも…」


――

絵里「μ’sを辞めるだなんて、もう言わないでよね」


海未「絵里…。私はもう迷いません。μ’sが私の居場所です」


にこ「本当、人騒がせなんだから…。こっちはどれだけ心配したと思ってんのよ」


海未「にこ…。改めてわかりましたよ。にこたちは本気で私のことを心配してくれました。私の心の弱さを許してください」


真姫「びっくりしたわよ、本当に…。もうあんな手荒なマネはごめんだわ」


海未「真姫…。先ほどは申し訳ありませんでした。真姫の才能に、私は嫉妬していたんです。私はμ’sに不要なのではないかと不安になって…」


真姫「海未がいなくなったら、μ’sはどうなるのよ。海未にしかできない、あの繊細な歌詞。私なんかじゃ真似できないわよ?」


にこ「そうよ。真姫ちゃんだと肝心なときにスランプになったりするから」


真姫「ちょっと、にこちゃんってば!」


にこ「本当のことを言っただけにこー!」


――

穂乃果「海未ちゃん…」


海未「穂乃果…。私は最低です。一番大切な穂乃果を傷つけて…。穂乃果の想いを信じること、そんな簡単なことすらできないほど、臆病な私を許してください」


穂乃果「…良かった。海未ちゃんに嫌われたと思って、私、どうしていいかわからなかったんだよ」


海未「申し訳ありませんでした…」


穂乃果「もう二度と、海未ちゃんが戻って来ないと思ったんだから…」グスッ


海未「穂乃果…。私は決してそんなことはしません。穂乃果は、誰よりも大切な存在です。これまでも、これからも、ずっとです…」ギュッ


穂乃果「海未ちゃん…」


希「これで一件落着やな」


ことり「海未ちゃん、ちょっと穂乃果ちゃんを独占しすぎちゅん…」


――

休日 駅前


海未「おかしいですね、確かにここにあったのですが…」


にこ「何にもないじゃない。ただの空きテナントよ」


絵里「張り紙がしてあるけど…。ずいぶん前から空いてるみたいよ。不思議なこともあるものね」


花陽「海未ちゃんが見つけたお店は幻だったのかな…?」


穂乃果「お店といいブレスレットといい、スピリチュアルだね…」


希「そうそう、あのブレスレット…妙に輝きが強かったやん?あれはヘマタイト本来の輝きを超えとったよ。たぶん、邪気をはらんでたんやろなぁ」


海未「確かに、値段と釣り合わないほど、妖しい美しさを醸していました」


希「作られた過程か、それとも前の持ち主が原因かはわからへんけど…。とにかく、強烈なマイナスオーラがヘマタイトの持つ秘めた想いを具現化したんやろなぁ」


凛「何だか怖いにゃあ…」


ことり「心の奥…自分の想いに惑わされて、海未ちゃんは傷ついたんだね」


――

海未「そういえば…なぜ希の時だけ、私の心の声は聴こえなかったのでしょうか?」


希「あぁ、それならこれのおかげや」スッ


穂乃果「わっ、海未ちゃんの持ってた数珠ブレスレットみたい!色はだいぶ違うけど」


ことり「綺麗な紫色だね~」


希「これはアメジストエレスチャルゆうて、魔除けとして最強の力を持つパワーストーンや。特に人の想いが織りなす邪気を払うにはうってつけなんや」


海未「なるほど、だから私の弱い心が生み出した妄想をはねのけたのですね」


絵里「効果もすごいけど、本当に綺麗な石ね」


希「うちのイメージカラーにもぴったりやし、スピリチュアルやろ?」


――

穂乃果「海未ちゃんや希ちゃんのブレスレットを見てたら私もほしくなっちゃったよー!」


花陽「確かに綺麗だけど、高いんじゃないのかな?」


穂乃果「あっ、でも海未ちゃんが買ったのは安かったみたいだし、どこかに売ってないかな~」キョロキョロ


にこ「そんなこと言って、海未みたいになっても知らないわよ…」


希「そや、ならこれはどうやろ?」


穂乃果「わー!これも綺麗!」


海未「ブローチですか?」


真姫「目の覚めるような碧ね」


希「うちがよく行くパワーストーンのショップでセールやっててな。つい買いすぎたんよ」


にこ「ずいぶんあるわね」


凛「あっ、ちょうど9人分あるよ」


――

希「なーんてな、本当はμ’sのみんなでお揃いにしたくて買うてきたんや」


穂乃果「えー、もらってもいいの!?」


海未「いいのですか、希?高かったのでは…」


希「平気や。うち、得意客やし、だいぶサービスしてもろたから」


絵里「ありがとう、希。早速みんなで着けてみましょう」


凛「綺麗だにゃー」


希「気に入ってもらえたなら嬉しいわ。みんな、こういうのに興味あるかちょっと心配やったんやけど」


ことり「こうやってお揃いだと、1個ずつより、もっと綺麗に見えるね!」


――

にこ「そうね。なんか、私たちのことみたい」


花陽「一人一人が集まって、もっと輝きを増す…。素敵だね」


穂乃果「μ’sのイメージにピッタリだよ!次のライブはみんなでこのブローチ着けていこうね!」


ことり「それなら、ブローチに合った衣装づくりもやらなくちゃ」


真姫「待って、この石のイメージから新曲のアイディアができそうだわ」


海未「ところで希、この石は何という名前なのですか」


希「これはな…ラピスラズリいうんや。永遠の誓い、って意味があるんよ」


凛「永遠の誓い…」


絵里「私たちの絆、ってとこかしら」


――

穂乃果「あぁ~、もう次のライブが待ちきれないよ!」


希「穂乃果ちゃん、ほんま気に入ってくれたみたいやなぁ。うちも嬉しいわ」


ことり「永遠の絆…か。素敵な意味だね」


海未「そうですね。穂乃果の言うとおり、μ’sのためにあるような意味かもしれません」


ことり「ふふふっ、意味ならもっとありそうだよ」


海未「どういうことですか?」


ことり「この石の色…海未ちゃんのイメージカラーみたいに、深くて落ち着いた、それでいて力強い碧だよ」


にこ「そういえばそうね」


凛「海未ちゃんにピッタリだにゃあ」


ことり「いつもみんなのことを考えていてくれる、海未ちゃんの優しさ。この石にはそんな意味も込められてるかもね!」


海未「ことり…」ウルッ


にこ「ちょっと、そのへんにしておかないと泣き虫海未ちゃんが泣いちゃうわよ」


海未「だ、誰が泣き虫ですか!//」


穂乃果「あれー?海未ちゃん、泣いてるの~?」


海未「泣いてなんかいません!」


絵里「あら、そんなこと言って、目がルビーみたいに真っ赤よ」


海未「うぅ…わ、わかりましたよ!正直に言えばいいんでしょう。泣いてますよ!」ヒクッ


海未「(泣かないなんて、どだい無理な話じゃないですか)」


海未「(どんなことがあっても揺らぐことのない、永遠の絆で結ばれた)」


海未「(そんな、かけがえのない親友たちと一緒にいるのですから…)」


おわり


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SS好きの名無しさんから
2018-09-14 09:31:29

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2018-01-28 00:41:12

ばーむくーへんさんから
2015-07-25 22:19:18

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2015-04-19 16:14:19

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1: SS好きの名無しさん 2015-01-12 17:41:30 ID: ySqsBBdc

乙乙
よかった

2: SS好きの名無しさん 2015-03-28 10:10:49 ID: C_zvX7GH

最初海未ちゃん孤立しちゃうかと思ってハラハラした

3: SS好きの名無しさん 2015-07-25 19:44:53 ID: HaLxjA8S

.................

4: ばーむくーへん 2015-07-25 22:25:06 ID: bRN-GCVn

「アンハッピーバード」も読ませていただきました。xxxvさんの海未ちゃんのお話は本当に個性があって好きです。これからも書いてほしいです!

5: SS好きの名無しさん 2015-09-11 23:11:35 ID: 3LHvlDzK

パッピーエンド!!

6: SS好きの名無しさん 2015-09-23 23:06:04 ID: p9TJmbon

藍井エイルのラピスラズリって良い曲だよね。

7: SS好きの名無しさん 2015-11-13 00:36:12 ID: 6rrJzR10

良かったなぁ

8: SS好きの名無しさん 2015-11-13 00:37:04 ID: 6rrJzR10

良かったなぁ


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1: SS好きの名無しさん 2015-01-12 17:41:17 ID: ySqsBBdc

わかりやすくて面白い


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