2018-11-28 21:43:56 更新

概要

謎の女の子(綾波)から封筒が届き、悩みつつも重桜鎮守府に赴くが・・・


前書き

参考までにキャラ紹介、

提督:元提督、鉄血からロイヤル、ユニオンと色々回った後、嫁の店に閉じこもるが、
   綾波から”急を要する”の訴えの手紙を読んで止む無く鎮守府に向かう事に・・・

村雨:提督の奥さん、店で女将をしている。

綾波:重桜所属駆逐艦、封筒を出した張本人であり、赤城の野望を止めて欲しいと願う。

赤城:重桜所属空母且つ最高責任者、目的のためなら味方ですら犠牲にしようとする。

加賀:重桜所属空母且つ赤城の妹、姉の行為に不満を持っている。

???:何者かは不明、赤城をそそのかしていた張本人のようだ。


謎の女の子からの封筒、翌朝提督は手に取るが、


提督「もうオレは行く気は無いからシュレッダーに掛けよう。」


と、封筒を開ける事無く、シュレッダーに掛けてしまう。



数日後、再び同じ人間であろう封筒が届く。


提督「しつこい、自分らで解決できない問題なら諦めろ、他人に頼るな。」


またシュレッダーに掛けてしまう提督。



そのまた1週間後に封筒が届く、


しかし、手に取ったのは提督ではなく村雨。


村雨「この染みは・・・もしかして血?」


村雨は封筒を開けて手紙を読む。


村雨「・・・・・・」


そこには・・・


・・・・・・


村雨「提督、あなた宛てに手紙です。」


提督「手紙? またあの封筒か、オレはもうどこにも行く気は無いよ。」


そう言って、顔をそらすが、


村雨「とにかく読んで見てください。」


村雨に言われ、ようやく読む提督。



”重桜鎮守府を助けて欲しいのです 赤城さんを・・・ 赤城さんを 止めて 欲しいのです。”



筆跡は子供だろうか、文字が幼く所々間隔が空いている。


村雨「明らかに子供、駆逐艦が書いた手紙です。」


提督「・・・・・・」


村雨「明らかに子供が助けを求めているんです、助けに行ってあげて貰えませんか?」


提督「・・・・・・」


村雨「提督もこれ以上関わりたくないのは承知の上です、ですが「助けて欲しい」人間を助ける事が


   提督にとって使命ではないですか?」


提督「・・・・・・」



提督が今まで行動して来た理由、それは村雨の言う通り「助けて」の言葉から来ている。



提督「分かった、でもこれで最後だからな。 これが終わったらもうオレは止めるからな。」


拒否し続けていた提督もやっと心が折れ、重桜鎮守府へ行く準備をする。


・・・・・・


提督「ここか・・・」


重桜だろう拠点へと着くが、


提督「・・・ロイヤルとユニオンと違い、ここは”和”をイメージした拠点だな。」



重桜は分かりやすく言えば、日本の部隊。和のイメージは当然の気がするが・・・



提督「この手紙の主は一体誰だろう?」


手紙の最後まで読んでいくと、


?「正門には近づかないで欲しい、のです。 正門手前の右の生い茂る草むらを掛け分けた先で


  合流するのです。」


提督「正門・・・あれか。」


ロイヤルとユニオンと違って重桜の見張りは厳重だ。


提督「正門手前の右・・・ここかな。」


手紙が示した通り、草むらが生い茂っており提督は草を掻き分けて行く。


提督「・・・・・・」


掻き分けた先は少し広い空間に出て、


?「・・・お待ちしていたのです。」


声がして振り向くと、


綾波「初めまして・・・重桜の綾波です、「鬼神」とよく言われるのです。」


手紙の送り主の綾波と出会った。


・・・・・・


提督「君がこの手紙の送り主か?」


提督は綾波に近づく、


提督「! 怪我をしてるじゃないか、すぐに手当てを。」


綾波の手には血を流した跡が・・・手紙が血だらけだったのが頷ける。


綾波「綾波は大丈夫、です。 時間が無いのです・・・こっちに来て。」


綾波は提督を連れてある場所へと連れて行く。



着いた場所は、駆逐艦寮。


綾波「こっちです。」


綾波が先導して案内する。


綾波「!? 止まって! 待機するのです。」


綾波が歩を止める・・・誰かが来たようだ。


駆逐艦「嫌・・・私、何も悪い事なんてしてない!」


奥の部屋で誰かが怯えながら拒んでいる声が、


側近「赤城様の命令だ、前のユニオン制圧の失敗・・・赤城様は更なる力を得ようとたくさんの生贄を用意するよう


   指示して来た。」


駆逐艦「私は嫌! 生贄なんて・・・死にたくない、私はまだ生きたい!!」


側近「これは命令だ! 拒めばどのみちお前は殺されるんだ。」


駆逐艦「・・・・・・」


急に静かになり、連れて行かれる。


提督「・・・今のは何だ? それに生贄って?」


提督の質問に、


綾波「赤城さんが生贄の儀式を始めようとしているのです。」


提督「? 生贄の儀式?」


綾波「はい、前にも生贄の儀式を行って力を得ていました。」


提督「・・・・・・」


綾波「その力で、各勢力を壊滅し、セイレーンと共に頂点に立つつもりだったのですが・・・」


提督「セイレーン? ユニオンを狙った赤城たち以外の別の勢力の事?」


綾波「はい、ユニオン壊滅の際に赤城さんはセイレーンの一部の勢力を借りて、一緒に襲撃しました。」


提督「・・・・・・」


綾波「ですが、ユニオンの壊滅は失敗、赤城さんはセイレーンに見捨てられ、更なる力を手に入れるため、


   また生贄の儀式を行おうとしているのです。」


提督「・・・・・・」


綾波「綾波も・・・他の皆も、生贄に選ばれて・・・辛うじて身を隠しながら生活しているのです。」


提督「・・・・・・」


綾波「さっきの声も同じ駆逐艦の仲間・・・もう嫌です、生贄とか犠牲とかもう仲間を失いたくない、です。」



綾波の手の血痕、恐らく捕まった際に抵抗した際の傷だろう。


綾波「お願いです指揮官、綾波の仲間を助けて・・・そして赤城さんを・・・止めて欲しい、のです!!」


綾波の悲痛な願いに、


提督「ふぅ、分かった・・・出来る限りのことはしてみる。」


提督は綾波の願いを受ける。


・・・・・・


提督「しかし、そもそも生贄の儀式と言うのが気になる・・・」


綾波によると、過去にも生贄で何人もの仲間を犠牲にした代わりに強大な力を手に入れた、と聞く。


提督「もし、それが本当なら赤城は神の使いとか、何かなのかな。」


提督は赤城と面識がないため、あくまで赤城個人が特殊な力を持っているのだと予想。


提督「でも、綾波によると赤城は”空母”としか聞いていない、艦船である赤城が1人特殊な力を得るだろうか?」


提督は考える・・・過去に犠牲を持って力を得る、そして赤城に一時的に加わったとされるセイレーンの存在、


提督「セイレーンねぇ・・・ロイヤルのネルソンから聞いた話だと昔は”重桜もセイレーン殲滅側にいた”と聞いたけど・・・」



後に互いの方針の違いから、アズールレーンは2つに分裂、


レッドアクシズ(重桜・鉄血)とアズールレーン(ロイヤル・ユニオン)の2つに分かれたらしい。



提督「でも、鉄血とロイヤルはどちらかと言うと両者に加担しているような状況でも無かったなぁ・・・一体何故?」



その答えとなるのが、恐らく前の重桜とユニオンの戦闘だと提督は推測する。



提督「エンタープライズの話だと、「赤城には相当恨まれている」と。しかも、最近になって「敵味方の区別も


   つかなくなって来た」とも言っていたな。」



味方であるはずの鉄血にも若干ながら被害が及んだのだろうか、鉄血は重桜との関係を断ち、


ロイヤルはエンタープライズから「重桜の問題は自分で解決する」と言って、敢えてロイヤルと関係を断ったと聞いた。



提督「・・・まとめると、赤城は普通の空母だが、ユニオンには相当恨みを抱えていた。」


綾波から聞いたもう1つの内容では、”アズールレーン結成時の時の赤城と比べて別人のように変わった”と。


提督「それらから考慮すると、赤城は何者かに操られている? もしくは騙されている?」


そこから出る1つの結論が、


提督「謎の勢力セイレーン・・・どうやら黒幕はセイレーンの可能性が高いな。」


予想が確信に変わり、


提督「過去の戦争後、今は人として生まれ変わり互いに休戦をして連合艦隊を結成。セイレーン殲滅を目的として動いたが、


   赤城にも因縁であるエンタープライズを僅かに敵として忘れられなかったのだろう・・・そこをセイレーンに


   隙を突かれてそそのかされた、と。」


セイレーンが元凶と分かるが、


提督「でも今は、セイレーンの問題よりも赤城を何とかしないと・・・放って置けば綾波だけでなく重桜の人間が


   どんどん犠牲になって行くぞ。」


赤城を止めるため、提督はすぐに行動に移す。


・・・・・・


見張り「!? 貴様何者だ、どこから侵入した!?」


見張りに見つかる提督、


提督「ごめんね~、適当に歩いていたら迷い込んじゃって・・・出口はどこかな?」


のんきに語る提督に、


見張り「取り押さえろ! 侵入者だ、すぐに捕縛しろ!!」


提督はすぐに捕まってしまう。


見張り「牢屋へぶち込んで置け! 今は大事な儀式の前、終わってから尋問しても良かろう!」


見張りの指示で牢屋へと連れて行かれる提督。



見張り「ここで大人しくしていろ、逃げられると思うな!」


鍵を掛けられ、出口も厳重に閉ざされた。


提督「やれやれ・・・とんだ災難だ。」


取り敢えず、壁に持たれてのんびりし始める提督。


綾波「・・・指揮官。」


天井の穴から綾波が出てくる。


提督「おっ、綾波。 何だ、この場所へも移動できるのか?」


赤城たちの追手から逃げ切るために、各逃亡場所を開拓しているようだ。


綾波「何故捕まったのです? しかも、わざと掴まりましたよね?」


提督「ああ、隠れているより敵に存在を知らせた方が逆に動きやすいんだ。」


綾波「・・・そうなのですか?」


提督「うん、その内責任者らしき人間やその他の目的で誰かがやって来るだろうよ。」


「それまで待ってる」と言いつつ、静かに寝息を立てる提督。


綾波「・・・変わった指揮官なのです。」


綾波は少し経った後、その場から去る。


・・・・・・


数日後、


生贄の儀式がもうすぐ始まろうとしていた矢先、


見張り「こちらです、加賀さん。」


奥の扉が開き、「加賀」と呼ばれる人間が入って来た。


提督「ん? 誰か来たか。」


提督は欠伸をして、現れた人間を見る。


加賀「お前1人か?」


提督「えっ、何だって?」


加賀「お前だけか、この拠点に侵入してきたのは?」


提督「・・・見れば分かるだろう? 牢屋にオレ以外誰がいる?」


挑発的な態度で加賀に接する。


加賀「ふふ・・・今まで牢屋に入れた人間を何人か見てきたが、お前の様な人間は初めて見る。


   その態度は何だ? 助けて貰えると期待しているのか?」


提督「別に、死ぬ前に黒幕の顔位、一目見ておきたいと思っていただけだ。」


提督の言葉に、


加賀「そうか、残念だったな、私はこの拠点の副責任者の加賀、責任者である赤城姉さまは今忙しい。


   代わりにこの私が出向いたまでだ。」


提督「それはどうも。」


加賀「それで? この拠点には何の目的で侵入したのだ?」


提督「だから、そこの見張りにも言ったはずだ、迷い込んで気づいたらこの場所に来たと。」


加賀「とぼけるなぁ!」


加賀の口調が荒くなる。


加賀「嘘をつくな、この厳重な拠点への侵入・・・ただの迷い猫が安々侵入できる程簡単ではない。」


提督「いや、だから現に簡単に侵入出来たんだが?」


加賀「ふふ、どうせ内通者がいるのだろう? 今からでも遅くない、他の人間はどこにいる、答えろ!」


提督「だからぁ、いないって言ってるでしょ? 大きい割に耳が遠いのかお前は?」


加賀「ほほぅ?(怒)」


加賀の表情が鬼のようになり、


加賀「お前から口を割っても何も出ないようだ、お前は明日の生贄に選ばれた。


   選ばれたことを光栄に思って死ね。」


そう言って、加賀は出て行く。


提督「それは好都合だ、明日まで待てばいいのね。」


提督は焦ることも無ければ、嘆くこともない・・・ただ床に寝転んでそのまま床に着く。


・・・・・・


翌日、


提督は手錠を掛けられ、牢屋から出される。


見張り「こっちだ、さぁ付いて来い!」


見張りに先導されて提督は連れて行かれる。


綾波「・・・指揮官。」


連れて行かれる姿を綾波はじっと見つめている。



ここは、生贄が集まる地下倉庫。


見張り「時間が来るまでここで大人しくしてろ!」


提督は倉庫に放り込まれる。


提督「ふぅ~、もう少し丁寧に扱って欲しいものだ。」


提督は汚れた服を手で払う、


?「? 誰かしら?」


?「さぁ、どうせ赤城さんの儀式に選ばれた生贄でしょ?」


暗闇に聞こえる他の生贄として選ばれた人の声がして、


提督「暗くて分からない・・・明かりをつけるか。」


そう言って、持っていた蝋燭を台に乗せてマッチで火を付けると、明かりが完成する。


提督「・・・生贄はてっきり駆逐艦だけかと思っていたけど、艦種は関係ないのか。」


見たところ、駆逐艦以外に重巡や空母も一部倉庫内にいて、


提督「・・・負傷しているな、赤城にやられたのか?」


提督の質問に、


愛宕「いえ、前のユニオン襲撃作戦時に負傷したのよ。」


生贄である1人が答える。


提督「・・・・・・」


飛龍「赤城さんから「お前はもう必要ない!」と切り捨てられて今はこの有様よ。」


提督「・・・・・・」


愛宕「戦いに負けたら私たちに待つのは”死”のみ。 ずっとそうやって今までたくさんの人間が死んで行ったわ。」


提督「赤城は仲間想いのない、結果しか求めない冷酷な人間なのか?」


提督の言葉に、


愛宕「・・・いえ、昔はあんなに酷くなかった。 昔は仲間想いで強く、誰もが赤城さんを慕っていたもの。」


提督「・・・・・・」


愛宕「でも、何故か急に変わった・・・「私は強大な力を得た」とか言って、次々に仲間を生贄にして・・・


   まるで、”何かに憑依されている”みたいに人格が変わってしまって・・・」


提督「・・・やはりな。」



提督の予想通り、赤城は何者かによって操られている、もしくは騙されている。 


相手は恐らくセイレーンの仕業だろうが。

 


提督「質問だけど、お前たちは生贄にされたい? もしくはここから脱出したい?」


提督の言葉に、


愛宕「・・・当然後者に決まっているじゃない! でも、こんな場所から逃げ延びるなんて無理よ。」


生贄の皆の意見は同じだが、逃げる事なんて不可能だと言い張る。


提督「まぁ方法はあるけど、オレに賭けて見る?」


愛宕「? 方法って・・・脱出する方法があるの!?」


提督の言葉に諦めかけていた人間たちが急に提督の近くに集まり出す、


提督「ああ、オレを信じてくれ。 この狂気の実験を終わらせたいんだ。」


そう言って、提督は皆に案を述べる。


・・・・・・


見張り「時間だ、扉を開けろ!」


数人の見張りが一斉に扉を全開にする。


提督「よし、今だ!」


提督の号令と共に、


見張り「!? 何だお前たち・・・ごはぁっ!!」


見張りを全員殴り倒して鍵を奪う。


愛宕「これで、私たちは自由に動けるわ!」


手足に掛けられた錠を解くと、他の皆の錠も解いて行く。


愛宕「それで指揮官! 次に私たちは何をすれば?」


次の指示を待つ皆に、


提督「拠点内で騒いで時間を稼いでほしい、何なら攻撃しても構わん。」


愛宕「了解、指揮官・・・あなたの武運を祈るわ。」


そう言って、倉庫から皆が逃げ出して行く。


提督「さて、ここから正念場だな。」


事前に教えて貰った赤城の部屋に向けて提督は走り出す。



見張り「な、何だお前たち!!」


突然の出来事に混乱状態になる拠点内、


見張り「生贄組が脱走したぞ! すぐに取り押さえろ!」


サイレンが鳴り非常事態に、拘束組と逃亡組との衝突が始まる。


提督「・・・あいつら良くやってくれるなぁ。」


騒ぎは皆に任せて提督は赤城の元に急ぐ。



側近「大変です加賀さん!!」


見張りが勢いよく扉を開ける。


加賀「何だ、騒々しい。 今から赤城姉さまの生贄の儀式が・・・」


側近「そ、それが生贄組が全員脱走を始めてしまって!」


加賀「! 何だと!!?」


加賀は立ち上がり扉を開くが、


提督「おっと、お前たちは行かせないよ。」


提督が扉の前で立ちはだかる。


側近「! 何だお前は!!」


見張りが提督に殴りかかるが、


提督「遅い。」 バキィッ!!


その場で気絶させる。


加賀「くっ・・・」


今の加賀は何の武器も添えていない、加賀にとって今の事態は一生の不覚であろう。


提督「・・・・・・」


提督は加賀に詰め寄る。


加賀「どうした? 覚悟は出来ている。 私を殺すのだろう? さっさとやれ!」


加賀は最早抵抗する気はないようだ。


提督「・・・・・・」


提督のは腕を上げる。


加賀「そうだ、早くとどめを・・・それでお前の気が晴れるなら。」


提督「・・・・・・」


加賀「さぁ早くしろ! さぁ!!」


加賀は目を閉じて覚悟を決めたが、


提督「・・・怪我をしているな。」


提督はとどめを刺さず、むしろ加賀の負傷した箇所を気遣う。


提督「動くな、包帯を巻いてやる。 しばらくじっとしてろ。」


加賀「!? 貴様、敵である私の治療だと!?」


加賀は隙を見て反撃をしようとするが、


提督「・・・お前もか?」


加賀「えっ?」


直前で反撃を止める。


提督「お前も・・・生贄の対象か?」


加賀「・・・・・・」


提督「この傷、見るからに誰かに刺された後だ・・・赤城に刺されたのか?」


加賀「・・・・・・」


提督「妹まで生贄にするのか? お前の姉は?」


加賀「・・・・・・」


加賀は無言のままだ。


提督「力を得るために仲間どころか妹の命まで奪おうとするなんて、おかしいだろ!」


提督の言葉に、


加賀「・・・仕方がない、それが赤城姉さまの出した命令だ。」


加賀はあくまで”命令”だと割り切る。


提督「ならお前はどうしたい? 本当はこんなことを望んでいるのか?」


加賀「・・・・・・」


提督「姉の生贄にされ、姉が力を得てそれで満足か?」


加賀「・・・・・・」


提督「仲間を散々奪い、挙句にお前まで生贄と言って殺されて・・・お前は本当に満足なのか?」


加賀「・・・・・・」


提督「お前の本音を聞かせてくれ! 本当は、お前は赤城にどうして欲しいんだ?」


加賀「・・・・・・」


提督の言い分に、加賀は静かに口を開く。


加賀「昔に戻り、皆と共に生活がしたい。」


提督「・・・・・・」


加賀「お姉様は間違っている、過去に力が無く、負けてしまったとはいえ、セイレーンにそそのかされて以来


   姉さまは力を求めるようになった。」


提督「・・・・・・」


加賀「次第に仲間を犠牲にして姉さまは完全に普通じゃなくなった。あれは異常だ・・・


   あれは姉さまではない、ただの殺人鬼だ!」


加賀の本音を聞いた提督は、


提督「オレが赤城を止めて見せる、加賀・・・オレに力を貸してくれないか?」


加賀「! お前が、赤城姉さまを止める?」


提督「ああ、もうこんな犠牲で得る力なんか欲しくは無いだろう? なら少しでいい、


   オレに力を貸してくれ、頼む。」


加賀「・・・・・・」


少しの沈黙、そして、


加賀「姉さまを殺さない、それが出来るか?」


提督「・・・・・・」


加賀「確かに姉さまは今まで大勢の仲間を犠牲にしてきた、でも私にとって姉さまは姉さまだ。


   死んで欲しくない、それを条件に出来るか?」


加賀の願いに、


提督「当然、別に殺す気は無いから・・・安心しろ。」


提督の言葉に加賀は協力を決意する。


・・・・・・


赤城「遅い! 生贄共は何をやっている!」


祭壇の中心で赤城が待機している、そこへ、


赤城「おおっ? 加賀よ・・・生贄は準備出来たか?」


加賀が祭壇に現れ、赤城に近づく。


赤城「遅かったぞ加賀、しかし、これでやっと私の望みが叶う。」


加賀「・・・・・・」


赤城「今度こそ私はより強大な力を経て、エンタープライズを必ず滅ぼす! そして他のロイヤルと鉄血も全て


   私の手で全滅させて見せるわ!」


加賀「・・・・・・」


赤城「生贄が揃ったら後は加賀、お前もその中に入るの。 姉の儀式に参加出来てさぞ光栄でしょう。」


加賀「・・・・・・」


赤城「何を思い詰めておる? さぁ加賀、時間よ。 生贄をここに連れて・・・」


加賀「・・・ごめんなさい。」


赤城「? 加賀、今何と?」


加賀は赤城に詰め寄り、



”本当に、ごめんなさい”



加賀は赤城の周りに結界を張る。


赤城「!? 加賀! これは一体何なの!?」


突然の事態に驚く赤城。


提督「ありがとう、後は任せてくれ。」


後ろから提督が出て来て、


赤城「お、お前は一体何者だ!!」


提督を見て睨みつける赤城。


提督「そうか、今日で初対面か・・・そう言えばそうだったな。」


赤城「・・・・・・」


提督「お前たちがユニオンの拠点を襲撃した際にロイヤルと鉄血に防衛を命じた張本人だよ。」


赤城「何!? まさかお前があいつらが言った指揮官か!!?」


加賀「!? お前が指揮官だと!?」


赤城と側にいた加賀は驚く、


提督「どうする加賀? 生贄に選ばれる元凶を作ったのはオレでもある。 オレを殺すか?」


加賀「・・・・・・」


少し考えるも、


加賀「いや、そんな事はもういい。後は頼む、指揮官。」


そう言って、後ろに下がる加賀。


赤城「加賀!? ・・・貴様、こんなことをしてただで済むと・・・!?」


赤城が言い終える前に提督は彼女の首を掴む、


提督「もちろんただで済むと思ってない、周りから恨まれても仕方がないだろうね。」


赤城「・・・・・・」


提督「赤城、お前のやった事に関して同情する点がいくつもある。無力故に仲間を守れなかった・・・


   力が欲しくて魂を悪魔に売った気持ちはオレには痛いほど分かる。」


赤城「・・・・・・」


提督「でも、やり方が間違っている。仲間を守るはずの力を事もあろうに、仲間を犠牲にして力を得た。


   そんなのは結局、守るためではない、自分にとって都合のいいただの言い訳だよ。」


赤城「・・・・・・」


提督「お前を一時的に殺す・・・目が覚めたら自分の行った行為を悔い改め、そして改心しろ。」


そう言って、提督は掴んだ赤城の首に一層の力を入れる。


赤城「!! な、何をする、のだ・・・ぐええっ!!」


赤城の苦しそうな表情が見え、


提督「・・・さようなら、赤城。」


その瞬間、



ボキイィィィィッ!!!! 



赤城の首の骨を折った提督。


加賀「!? 赤城姉さま!!」


加賀は赤城の側に駆け寄る。


加賀「赤城姉さま・・・」


揺らしてみるが、赤城は動く事は無い。


加賀「どうして、約束したはずだ? 姉さまを殺さず解決させると!!」


加賀は提督を怨恨難き目で睨みつける。


提督「はぁ? 殺してないぞ、鼓動を確認して見ろ。」


加賀「えっ?」


赤城の胸に耳を当てると、


加賀「!? 心臓の鼓動がする! ああ、姉さま!!」


赤城が無事と知って、加賀は涙を流した。


・・・・・・


赤城が倒れた事で、儀式は中断。


拠点内は責任者が倒れた事で、静けさを増す。


加賀「赤城姉さま・・・」


赤城の側で加賀含む大勢の仲間たちが見守る、その中には生贄にされるはずだった仲間まで。


赤城「・・・・・・」


しばらくして、赤城の目が開き、


加賀「!? 赤城姉さま! 聞こえますか? 加賀です。」


加賀は赤城に語り掛けるが、


赤城「・・・あなたは誰?」


加賀「なっ、何を言って・・・私は加賀、姉さまの妹ですよ!」


加賀は説明するも、


赤城「私の妹? それに私の名前は赤城と言うのですか?」


その場にいた全員は一体何が起きているのか見当がつかない、


加賀「どう言う事? まるで記憶がないみたいに・・・はっ!」


加賀は気づき、


加賀「指揮官! まさか!」


提督「そのまさかだ・・・記憶を無くした。」


提督は率直に答える。


加賀「何と言う事を! これでは今後の重桜の行方が・・・」


加賀は提督に言い寄る、


提督「・・・じゃあいっその事、生贄にされた方が良かったと?」


加賀「・・・・・・」


加賀は何も答えられない、


提督「約束通り、赤城の命は助けた。 だが、目が覚めればまた同じ行為を繰り返すのは目に見えた。


   だから記憶を消したんだけど?」


提督の言い分に、


加賀「でも、これから重桜の指揮は誰が・・・」


加賀が悩んでいると綾波が突然、


綾波「加賀さんが、指揮を執って欲しいのです。」


加賀「えっ、私が指揮を!?」


加賀は驚き、


飛龍「・・・そうです、赤城さんの次の責任者は加賀さん、貴方だ!」


綾波の願いと共に、皆からも声が掛けられる。


駆逐艦「加賀さん、お願いします!」


空母「今、指揮が執れるのは加賀さんだけです! お願いです、皆を導いてください!」


皆からの願いを受け、加賀も遂に決意し、


加賀「・・・分かった。赤城姉さまみたいに上手く出来るかわからないが、


   姉さまが記憶を取り戻すまでの間、私が指揮を執ろう。」


加賀は皆の願いに応じる。


・・・・・・


提督「じゃあオレは帰るよ。」


重桜正門で綾波と話す提督。


綾波「ありがとうございます、指揮官。」


綾波は深く礼をする。


提督「加賀なら皆と上手くやれるだろう・・・後はお前と皆が加賀を支えておやり。」


「それじゃあ」と言って提督は重桜鎮守府から去る。



加賀「そうか・・・指揮官は去ったか。」


加賀は考える、



あの指揮官に歯向かわない方がいい、彼の行動と周りを味方につけるあの能力は目を見張るものがある。


どの道、反撃しようとも残りの勢力(鉄血・ロイヤル・ユニオン)が一斉に攻撃してきたらそれこそ重桜の存続が


危ぶまれる・・・ならば、



加賀は皆に向かって指示する。


加賀「ユニオン及び他勢力との休戦協定を結ぶ・・・立合い人は、あの指揮官に願い出よう。」


加賀の指示に一瞬戸惑う皆だが、これからの未来を考慮し、全員が彼女の指示に従った。


・・・・・・

・・・



後日、4つの勢力の責任者が召集。


エンター「まさか重桜から休戦協定を結ぼうと言うとは・・・」


ネルソン「ふん・・・まぁ、私はそれで構わないけど?」


ネルソン・エンタープライズ・ヒッパー・加賀の各鎮守府責任者の立会いには、指揮官が同席していた。


提督「・・・つまり、4つが休戦協定を結ぶって事は本来のアズールレーンに再結成するという事かな?」


提督の質問に、


加賀「ああ、そうだ。」


ヒッパー「はっ! そんな事言って隙を見て裏切ろうとしているんじゃないの!?」


ヒッパーが横から苦言を発し、


提督「ヒッパー、お前の気持ちは分かるが私語は慎め。今はこれからの行方について話し合っているんだ。」


ヒッパー「ふん、分かってるわよ!」


提督の言葉にヒッパーは改める、


提督「オレが立会人を受け持っているから、皆に指示をする。4つの勢力を再結成し、


   本来のアズールレーンとして戻り、敵であるセイレーンの完全殲滅を計る! 分かったな?」


ネルソン「ええ、分かったわ。」


ヒッパー「いいわ、やってやろうじゃない!」


エンター「了解、まさか再び重桜と共に行動できる日が来るとは・・・」


加賀「ふん、セイレーンを滅ぼしたらその時はまた敵同士、それを忘れるな。」


相変わらずユニオンと重桜の関係は良くないが、


提督「まぁ、そこはご自由に。 オレもセイレーン殲滅までの立会いしかしてないからな。」


こうして4つの勢力は共に再結成し、本来の”アズールレーン”へと戻る。


・・・・・・

・・・



?「あらあら、何か面白い事になったわね・・・」


誰も来ることのない暗い海域で、複数の影がそこにいた。


?「赤城を騙せた所までは計画通りだったけど、まさかそれを阻止する人間が現れるとは・・・」


舌打ちをしつつ、何故か笑い始める、


?「まぁ、ここまでは予測範囲内。逆にあのままで終わったら私たちの新たな楽しみが無くなってしまう所だったし。」


?「そう、私たちの技術は奴らのもっと上を行く・・・この程度で苦戦していたら到底私たちの足元に及ばない。」


1人が手を挙げると、後方に無数の部隊が現れ始め、


?「見せて貰おうじゃない、再結成したお前たちの力を・・・最も本気すら出していない私たちに勝てる可能性は


  まず無いだろうけどね~。」


無数の軍勢に囲まれ、その前方に君臨する謎の本隊。


?「あははは! これからが本当の戦争! お前たちは私たちに成すすべもなく、滅びるがいいわ!!」


既に勝敗が決まっているかの様に、狂気にあざ笑っていた。






 







「重桜鎮守府を救え!」 終













 


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2019-10-29 00:36:41

SS好きの名無しさんから
2018-12-02 18:07:37

SS好きの名無しさんから
2018-11-29 02:05:48

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