No22 提督 『 艦娘達と ウミガメのスープ 』
ある日の午前中。思いの外仕事量が少なく、昼食前に仕事を終えた提督は執務室で秘書艦の那智に、ゲームをしようと持ち掛ける。そのゲームの内容は、水平思考ゲーム……俗にいう 『 ウミガメのスープ 』 だった。
どうも!御無沙汰してます、柔時雨です。
艦これSS、久々に投稿させていただきます!
……まぁ、タイトルから察していただけるように、バトルなんて物は無く、水平思考ゲームで遊ぶ内容となっております。
ちょっと、他のゲームをしていたというのもあるのですが、問題を選んでいる際に、『 何かあまり知られてない方が良いのかな? 』と
某2525動画や、ようつべさんに投稿されている動画を見て、個人的に 『 これは良い問題だ! 』 と思う物を探して、選んできました。
もしかしたら、御存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、『 この問題、知らない! 』 という方は、ウチの艦娘達と一緒に、考えてみてください。
あっ!駄目です、スクロールバーを激しく動かされると、ネタバレになってしまいますよ!
コホン……それでは、覗きに来てくださった方々、どうぞゆっくりしていってくださいね。
鎮守府 ・ 執務室
提督 「んっん~!今日は書類も少なくて、午前中に執務が終わっちまって……皆が戻って来るまで暇だなぁ……」
那智 「なら、図書館から本でも持ってきたら良いのでは?」
提督 「それも良いんだが……なぁ、那智。ちょっと俺とゲームをしないか?」
那智 「また絶対に捕まってはいけない鬼ごっこをするつもりか?それとも、普通にあの機械を使ってか?正直に言わせてもらうが、あの手の遊びはあまり得意では……」
提督 「違う、違う。今回のゲームは罰ゲームも無い。紙とペンさえあればできるゲームだ。」
那智 「ふむ、それなら……で?どのようなルールなのだ?」
提督 「じゃあ、とりあえず問題を出すぜ。タイトルは 【 ウミガメのスープ 】 だ。」
Q. ある男が、海の見えるレストランで、『 ウミガメのスープ 』 を注文した。
しかし、彼はそのスープを1口飲んだところで止め、シェフを呼んだ。
『すみません。これは本当にウミガメのスープですか?』『はい。ウミガメのスープに間違いございません。』
男は勘定を済ませ、帰宅した後、自殺した。
男は何故、自殺してしまったのだろう?
那智 「……え?いや、そんなことを訊かれてもだな……」
提督 「そんじゃ、改めてルール説明。那智は今から俺に何回でも良い、質問を繰り返してこの物語の真相……今の場合は、何故男が自殺したのかを導き出してくれ。」
那智 「ふむ……旦那様に質問すれば良いのか。」
提督 「ただし!その質問は、俺が 『 Yes 』 か 『 No 』 で答えられる質問じゃねぇといけない。そうだな、最初だし……例えば、那智が 『 男が自殺した理由を教えて 』 みたいな感じの質問だと、俺はYes でも No でも答えられないから、受け付けない。でも 『 海の見えるレストランというのは関係ありますか? 』みたいな質問だと、俺は 『 No 』 って答えられるわけさ。」
那智 「なるほど、そういうことか。」
提督 「もちろん!俺は質問に答える以上、絶対に嘘は吐かないから安心してくれ。あっ、後、質問の形式は大丈夫だけど、このストーリーには重要ではない場合は 『 関係ない 』 って答えたり、どちらとも取れる内容なら 『 Yes.No 』 で答えるから、それを踏まえて……とりあえず、質問をどうぞ。」
那智 「承知した。では……『 この男性は、自殺願望があったのか? 』」
提督 「No。自殺願望も、自殺未遂もどっちも無いぜ。」
那智 「死ぬ気は無かった……やはり、このスープが原因か……『 このスープに毒物や薬物は混入されてたか? 』」
提督 「No。毒物も入ってなけりゃ、薬物も入ってない。ドーピング・コンソメスープみたいな代物ではなく、ちゃんとしたウミガメのスープだぜ。」
那智 「いや、その物騒なコンソメスープのことは知らんが……『 ちなみに、そのスープは美味しかったのか? 』」
提督 「Yes。けど、まぁ……味どころの騒ぎじゃなかっただろうな。」
那智 「何かショックなことがあったのか……?あっ……そういえば、旦那様。さっき、海の見えるレストランというのは関係ないみたいなことを言っていたが……『 男がこの店に来たのは、初めてだったのか? 』」
提督 「Yes.No。初めてだろうが、1度来たことがあったとしても、どっちでもいいぞ。ただし!」
那智 「ん?」
提督 「『 男がウミガメのスープを飲んだのはこの時が初めてだ。 』」
那智 「えぇっ!?言っていることが矛盾しているのではないか!?」
五十鈴 「出撃が終わって、報告しに来てみれば……何をしているの?外まで声が聞こえてたわよ。」
那智 「あ……あぁ、すまん。ちょっと今、旦那様とゲームをしていてな。」
五十鈴 「ゲーム?」
提督 「あぁ、実は…………」
~ 提督、再びルール説明中 ~
五十鈴 「……なるほどね。それで、今、判っていることが、この紙に書かれていると……」
提督 「ちょうどいいや。五十鈴も何か質問してみるか?」
那智 「ちなみに今、この男性がレストランに来たことはあまり関係無いが、ウミガメのスープを飲んだのは初めてだ。と、いうトコロで詰まってる。」
五十鈴 「え?それっておかしくない?じゃあ、質問。 『 この男性は、以前にもウミガメのスープを飲んだことがあるのよね? 』」
提督 「Yes!」
那智 「だが、それは普通に考えて当然だろう?ウミガメのスープの味を知らなかったら、料理人を呼び出すこともないだろう。」
五十鈴 「そうよね……じゃあ、『 以前に食べたスープと、今回のスープとでは味が違っていた? 』」
提督 「Yes。ちょっとずつ真相に近づいて来たな。」
那智 「ふむ……『 他の店で食べた時と、味が違う 』 と……」
提督 「No。」
那智 「え?」
五十鈴 「提督、一応訊くけど 『 男性は、他の店でもウミガメのスープを食べたことがあるのよね? 』」
提督 「No。」
五十鈴 「はぁ!?」
那智 「ちょっと待ってくれ。じゃあ、『 この男性は家で自炊してウミガメのスープを作って食べたのか?』」
提督 「No。自宅でウミガメのスープって、逞しいな……」
五十鈴 「店でもない、自宅でもない……『 友達の家で食べた? 』」
提督 「No。」
那智 「『 知らない人の家で食べた? 』」
提督 「No。知らない人の家で食事って、どういう状況だよ。」
那智 「こう、TV番組の食レポのような感じで……」
提督 「あぁ……うん、那智の言わんとしていることは解った。」
五十鈴 「一体、この男性は何処でウミガメのスープを食べたのよ!?まさか 『 外で食べた 』 とでも言うつもり?」
提督 「おっ!五十鈴、Yes!だ。この男は外でウミガメのスープを食べたことがあるんだ。」
那智 ・ 五十鈴 「「外で?」」
提督 「そして、ついでに言っておくと……たぶん、2人が想像しているであろう祭りの出店や、炊き出しで振舞われた……わけではないからな。」
五十鈴 「ちょっと、ごめんなさい。質問を整理させてもらっていいかしら?」
提督 「おう、どうぞ。ゆっくり考えてくれ。」
那智 「では、状況確認から始めよう。『 男性はウミガメのスープが原因で自殺した 』、『 スープは以前食べた時と味が異なっている 』、『 スープを店で食べたことがない 』……重要なのは、これくらいか?」
五十鈴 「それで、『 現実的には起こり得る 』けど、『 毒や薬物の類は無く 』、『 スープを1口飲んだところで、何らかのショックを受けた 』。」
那智 「スープを飲んでショックを受けて自殺……この男性の過去に何か遭ったのか……それとも、普通に美味しくって浮かれただけか……」
提督 「そろそろ続行しても良いか?いや、正直もっと悩むかと思ってたんだけど、2人共惜しいところまでは出てるぜ。あともう少しだ。」
五十鈴 「それじゃあ、まだよく判っていないこの『 男性 』について質問させてもらうわ。『 この男性は過去に事件、事故、その他何らかのトラブルに巻き込まれたことはありますか? 』」
提督 「Yes。事故に巻き込まれました。」
那智 「『 その巻き込まれたという事故は、この男性の自殺に関係あるのか? 』」
提督 「Yes。間接的に巻き込まれているぜ。」
五十鈴 「つまり、その事故とウミガメのスープとの関連性さえ判れば、解けそうな問題ね。『 この男性が巻き込まれた事故は、交通事故? 』」
那智 「いや、ウミガメのスープとの関連を考えるのであれば、『 海難事故 』ではないか?」
提督 「おっ!那智、Yes!!だ。正確に言うなら、男は船の遭難事故に巻き込まれました。」
那智 「遭難事故……あぁ!そういうことか。だいたい判ったぞ。」
五十鈴 「えぇ。五十鈴も判ったわ。けど、この考えが合っているか確認したいから、もう少し質問させてもらっていいかしら?」
提督 「おう。質問に回数制限は無いからな。自分達が納得するまで質問してくれ。」
五十鈴 「じゃあ、 『 男性が初めてウミガメのスープを飲んだのは、その遭難先だった?』」
提督 「Yes。」
那智 「『 そのスープを作ったのは、男性と同じ漂流者だな? 』」
提督 「Yes。」
五十鈴 「『その男性と一緒に漂流した方々のうち、何名かは残念ながらお亡くなりになられたわね? 』」
提督 「Yes。うん、2人共、もう判ってるみてぇだし……僅差だけど、先に判った那智、この物語の真相……男が何故自殺したのかを説明してくれ。」
那智 「承知した。男性は過去、遭難事故に遭った際に、同じように流れ着いて命を落とされた方の肉を使って作られた 『 ウミガメのスープ 』 を飲んだ。当時、それを本当のウミガメのスープと思っていた男性はその味が忘れられないでいて、ウミガメのスープを提供しているレストランへ赴き、注文して食べてみたが……過去に自分が食べた物とは味が違う。そこで男性はシェフを呼び、『 すみません。これは本当にウミガメのスープですか? 』 と尋ねた。するとシェフは『 はい。ウミガメのスープに間違いございません。 』と返答したため、過去の出来事の全てを悟り、自殺してしまった。……こんなとこだろうか?」
提督 「Yes!!!!!正解だ!」
A. 男は友人と共に船に乗っていた。
ある日、男と友人が乗っているその船が遭難してしまった。
友人と他数名の乗客と共に救難ボートで難を逃れたが、今度は漂流の憂き目に。
何とか無人島に漂着するものの、食糧難に瀕した一行は、体力の少ない者から力尽きていく。そして……残念なことに、友人も力尽きてしまった。
やがて、生きている者は生き残るために、力尽きて世を去った者達の肉を食べ始めるが、男はこれを頑なに固辞した。
当然、何も食べていない男はみるみる衰弱していく。
見兼ねた他の者達が、『 これはウミガメのスープだから 』 と偽り、彼に食べさせて、救難まで生き延びさせた。
男はそのとき飲んだスープの味が忘れられず、訪れたレストランでウミガメのスープを注文して、ひと口啜り……味の違いを感じる。
そこで男はシェフを呼び『 すみません。これは本当にウミガメのスープですか? 』と尋ねた。そしてシェフから『 はい。ウミガメのスープに間違いございません。 』と返答されたとき、彼は全てを悟った。
あの時自分は死んだ人の肉を……自分の友の肉を食べたことを。
男性は勘定を済ませて自宅へ戻ると、自責と後悔の念から自殺してしまった。
提督 「……っていうのが、このウミガメのスープの大まかな真相だ。」
那智 「大まかな?今、旦那様が説明した内容が正解ではないのか?」
提督 「あぁ。このゲームは元々『 水平思考ゲーム 』っていって、今俺が説明した答えの他にも、違う答えがある……かもしれない。とりあえず、さっき那智や五十鈴がしてくれた質問以外によって、正解も変わっていたかもしれない。問題を出す人の思考によって、そこら辺は様々だからな。俺が説明した回答はごく一般的な物だと思ってくれ。」
五十鈴 「なるほどね。それにしても、今回の問題の内容は……五十鈴達的にどうなの?遭難事故って……」
提督 「すまん。けど、この『 ウミガメのスープ 』の話は有名で、水平思考ゲームって言って説明するより、『ウミガメのスープ』と言うだけでゲームのルールが伝わるくらいだからな。俺としてもどうかと思ったんだが、基本的な説明をするのに便利だから使用させてもらったんだ。」
五十鈴 「そう。そういうことなら、構わないわ。ゲームとしては面白かったし……ねぇ、提督。他にも問題があるのよね?」
提督 「あぁ。問題を考える人の数だけ問題があると言っていいほどには。」
五十鈴 「じゃあ、午後からちょうど時間もあるし、他の皆も誘ってもう少しゲームをしましょうよ。」
提督 「お前……気に入ったのか。まぁ、こっちも珍しく書類仕事はもう済んだし……那智も構わないか?」
那智 「あぁ。質問をして答えを考える……良い頭の体操になるからな。私もまた後程楽しませてもらおう。」
提督 「よし。そんじゃあ、決まりだな。丁度いい時間だし……食堂に行くか。五十鈴、今回の報告はそっちで聞くよ。」
五十鈴 「えぇ。構わないわ。それじゃあ、行きましょう。」ニコッ
◆◆◆
鎮守府 ・ 座学室
提督 「最近、この部屋を座学室から多目的室へ変名するべきかまよっている今日この頃……まぁ、それは置いておくとして!ちょっと水平思考ゲームで楽しみたいと思います!」
一同 「「「「「「(* ^ ワ ^ *)」」」」」」」
14 「でも、さっき五十鈴さんに大まかなゲームのルールを説明してもらったんだけど、まだちょっと理解しきれてないんだよねぇ。提督、もう1回説明してくれない?」
提督 「おう、いいぞ。」
~ 提督、本日3度目のルール説明中 ~
提督 「……ってな感じだ。他の皆も大丈夫か?」
一同 「「「「「「( ゚ ∀ ゚ )ノ '`ィ 」」」」」」」
提督 「よし、それじゃあ始めるぞ。問題、【死に至る味 】」
Q. 女が男に食べ物を与えてしまったせいで、男は死んでしまった。
しかし、その食べ物は毒性を持つものではなかった。
男はどうして死んでしまったのか?
那智 「今度の問題文はずいぶん短いな。」
初月 「確かに……情報量が少ないね。とりあえず、この問題の最大の謎は、 『 何で男は死んでしまったのか? 』 かな?」
祥鳳 「そうですね。毒性の無い食べ物なのに、どうして男性はそれを食べて死んでしまったのか……」
14 「とりあえず質問してみよう。 『 男はそれを食べたことで、死んでしまったの? 』」
扶桑 「確かに、食べた物と死との因果関係は、気になるところですね。」
提督 「14の質問に対する答えは、Yes!だ。男はこれを食べなければ、死ぬことはなかったんだ。」
磯風 「質問。『 その食べ物は、男が自分の意思で食べたのか? 』」
提督 「これもYesだな。ただ、女に勧められなければ、食べることはなかったんだ。」
五十鈴 「お餅を食べて餅を咽に詰まらせた……とか、そんな単純な話じゃないでしょうし……『 男はその食べ物のことを知っていたの?』」
提督 「Yes。存在自体は知っていたんだ。」
磯風 「妙な話だな……その食べ物のことを知っていたのに、女に勧められるがままに食べて死んでしまったのか?」
14 「そこだけ聞いたら、ちょっとマヌケだよね……この男の人。」
那智 「う~ん……今のままだと、この男性の死因も、食べた物もちょっと解らないから……ちょっと保留にしておくか。旦那様、質問だ。『 その女性は、男性のことを殺そうとしたのか? 』」
提督 「No。女に殺意はありませんでした。」
祥鳳 「つまり、その食べ物を男性に渡したのは、善意の行動だったのですね。」
扶桑 「女性に殺意が無いのに、それを食べて死んでしまった……ということは……『 男性が死んでしまったのは、偶然の事故だったのですか? 』」
提督 「これもNoだな。『 事故 』 と言って良いものではありませんでした。」
14 「ますます解らなくなってきた……提督、ちょっと整理してもいい?」
提督 「どうぞ。」
14 「えっと……『 その食べ物に毒性は無かったが、それを食べてしまったために男は死んでしまった。 』」
磯風 「『 それを差し出した女性に殺意は無く、男性は自らそれを食べた。しかも、この男性が死んだのは偶然の事故ではない』 だったか。」
五十鈴 「支離滅裂な話ね。」
初月 「…………提督。 『 女もその食べ物を食べた? 』」
提督 「Yes。女も男と同じく、その食べ物を食べました。もしかして、初月……もう解ったか?」
初月 「うん。でも、他の皆が答えを考えてるから、僕もまだ答えは言わないよ。」
14 「えぇっ!?初月、もう解ったの?」
五十鈴 「女性も男性と同じ物を食べたということは……『 その女性も死んでしまったの? 』」
提督 「Yes!女も自分の意思でそれを食べ、もちろん何であるかを知っていたということを補足しておくぜ。」
那智 「旦那様、『 それは本当に食べ物なんだな?食べられない物を食べたなどということはないな?』」
提督 「あぁ~……これはYse.Noだな。食べ物と呼べるものではないんだろうが……もしかしたら、という説の意見を採用するなら、スーパーマーケットで普通に売られてる。」
那智 「???」
祥鳳 「提督。当たり前のことを訊きますけど、『 男性はそれを食べるまでは、生きていたんですよね? 』」
提督 「Yes。男はそれを食べた後に亡くなってしまったんだ。」
14 「ねぇ、提督。これって 『 男であることが重要?男性と女性の順番が逆だったら、ダメなの?』」
提督 「Yes!!14の言う通り、これは必ず男でなければいけないし、順番は女性から男性の順番じゃないと成立しない話だ。」
扶桑 「旦那様。 『 この男性が食べた物は重要ですか? 』」
提督 「もちろん、Yes!だ。何を食べたかは、非常に重要になって来るぞ。」
磯風 「司令、これは 『 時間は関係あるのか? 』」
提督 「それもYes!だな。少なくとも、どの時代でも成り立つ話ではないな。」
那智 「そうか?食べ物を食べて誤飲したりして亡くなるという話は、割と聞くが……」
五十鈴 「初月はもう判っているのよね?」
初月 「うん。ちなみに、この問題はある物語を主軸にしていて、その本はこの鎮守府の図書館にもあるよ。」
磯風 「そうなのか?ふむ……物語……」
初月 「皆、物語の内容をちゃんと知ってなくても、名前くらいは聞いたことがあると思うけど……提督、 『 この男性は自殺した? 』」
提督 「Noだな。」
那智 「ちょっと待ってくれ。女性に殺意が無い……他殺でもない、事故でも、自殺でもないとなると……まさか、『 この男性は殺されていない? 』」
提督 「おっ、那智。察しが良いな。その問いに対する答えはYes!だ。」
扶桑 「自殺していないのに、殺されていない?それは矛盾しているのでは……?ある食べ物を食べたので、死んでしまったのではない……もしかして、『 男性は寿命で亡くなったのですか? 』」
提督 「Yes!!そう。男は天寿を全うした後に亡くなったんだ。自ら命を絶ったわけでも、女に殺されたわけでもなかったんだよ。」
祥鳳 「とある食べ物を食べたせいで死んでしまったのに、寿命で亡くなられたのですか?」
14 「ねぇ、提督。 『 その食べ物って、たくさんあった? 』」
提督 「Yesだな。量でいうならたくさんあっただろうな。」
五十鈴 「量がたくさんあった……なら、『 誰でも食べることができたの? 』」
提督 「No!それを食べた人間はこの世には居ないな。食べたのも、この男と女だけだ。」
五十鈴 「……!そう、ありがと。今の提督の説明で五十鈴も答えが解ったわ。」
那智 「あぁ、私も解った。なら、この質問でより確実に……『 それを食べることは禁止されていたか? 』」
提督 「Yes!!それを食べることは絶対に駄目だと言われていました。うん……さて、皆もう答えが解っているだろうから、早々に答えが解った、初月。この物語の真相を教えてくれ。」
初月 「うん。この男性の名前はアダム、女性の名前はイヴ。2人はエデンの園と呼ばれる場所で、何不自由なく暮らしていたけど、ある時イヴが蛇に唆されて、神様が絶対に食べちゃ駄目だと言っていた 『 知恵の実 』 を食べてしまって、しかもそれをアダムにまで勧めてしまう。イヴから勧められた知恵の実をアダムも食べてしまい、2人は楽園を追放された。しかも、それまで寿命という物が無かったのに、その木の実を食べてしまったことによってアダムにもイヴにも寿命というものができてしまい、2人は寿命で死んでしまった。……どうかな?」
提督 「Yes!!!!!正解だ!」
A. 男の名前は 『 アダム 』 、女の名前は 『 イヴ 』 。
2人はエデンの園と呼ばれる場所で何不自由なく楽しい日々を過ごしていた。2人共、全裸ではあったが、そのことを恥ずかしいとは思っていなかった。
そして、アダムとイヴを作った神様は2人に、『 この園にある食べ物は何を食べても良いが、園の真ん中にある 『 知恵の実 』 だけは絶対に食べてはならない 』 と、予め言いつけておいた。
しかしある日、イヴは園に居た蛇に唆され、知恵の実を食べてしまい、あろうことかアダムにも知恵の実を食べることを勧めてしまう。
そして……アダムも知恵の実を食べた瞬間、2人は自分達は全裸であることを急に恥ずかしいと思うようになり、イチジクの葉で大事な場所を隠すことに。
もちろん、そのことはすぐに神様にバレてしまい、2人はエデンの園を追放。同時に、それまで不老不死だった体には寿命が与えられ、更に男性には労働の苦しみが、女性には出産の苦しみが与えられたという。
提督 「……っていう、旧約聖書の創世記の本当に最初の方の物語をベースにした問題だな。」
那智 「なるほど。これは、この物語を知らない人には難しい問題だな。」
磯風 「初月は早い段階で判っていたようだが……」
初月 「うん。提督が図書館に置いた本は、一通り読んだからね。ちょっと内容を覚えていて良かったよ。」
五十鈴 「そういえば、提督……さっき、那智さんが食べ物は食べられる物かどうか質問したとき、『 食べ物と呼べるものではないんだろうが……もしかしたら、という説の意見を採用するなら、スーパーマーケットで普通に売られてる。 』 って言ってたけど、どういうこと?架空の食べ物じゃないの?」
提督 「あぁ。知恵の実は確かに架空の物だけど、本の挿絵とかを見ると、リンゴみたいな形で描かれていること、そのままリンゴとして描かれてることが多いんだ。まぁ、諸説様々だけどな。」
14 「なるほど。だから 『 スーパーマーケットで普通に売られてる 』 なんだね。」
提督 「そういうこと。それじゃあ、ゲームのやり方が判ってきたところで、2問目いくぞ。問題 【 ビクトリア湖の不思議 】」
Q. 多くの魚が住むアフリカ最大の淡水湖であるビクトリア湖。
湖周辺諸国の多くの民が、この湖での漁業で生計を立てている。
ところが、ケニア政府の政策によって、ビクトリア湖で漁業資源が激減することとなった。
しかし、その政策は漁業とはまったく無関係のものだった。
一体、どのような政策で漁業資源が激減したのだろう?
提督 「はい、それじゃあ質問を繰り返して、真相を導き出してくれ。」
祥鳳 「なかなか難しそうな問題ですね。」
14 「政治の問題とか、絶対に難しいよ……」
提督 「政策は大まかな内容が合っていれば良いぞ。まぁ、ちょっと知識が必要だろうけどな。」
初月 「その知識は、僕達もちゃんと持ってる?」
提督 「ちゃんとニュースを見ていれば、1度くらいは聞いたことがある……と思う。」
扶桑 「まぁ、とりあえず質問をしていきましょう。 『 その湖では、外来魚の放出がありましたか? 』」
提督 「関係無い。いや、事実としてはYesで、ナイルパーチっつう外来魚の問題もあるそうなんだが、今回の問題とは関係無いな。」
扶桑 「あら、そうなのですか。残念です。」
那智 「だが、扶桑のおかげで外来魚は考慮しなくて良いようになったからな。少し視野を狭めることができたと思えば、今の質問は良かったと思うぞ。」
扶桑 「うふふ。ありがとうございます、那智さん。」ニコッ
五十鈴 「ねぇ、そのビクトリア湖の具体的な場所はちょっと分からないけど……『 この問題って、アフリカのケニアでなければ成り立たないの? 』」
提督 「Yes.No。同じアフリカのウガンダって土地では同じ問題が起きている。タンザニアはちょっと分からないけど、同じ問題が起きている可能性があるかな。」
初月 「じゃあ、『 その問題は日本でも成り立つ? 』」
提督 「No。これは、ちょっと日本じゃ考えにくいな。」
14 「じゃあ、はい!『 この政策っていうのは、その国民のためになる政策でしたか? 』」
提督 「Yes! まぁ、国民のためにならない政策ってのは、そうそう無いけどな……」
那智 「ふむ……税金が上がった、箱物を建てる、賄賂の類ではないということか。」
提督 「あぁ。今、那智が言ったものは、この問題とは何の関係も無いな。」
磯風 「なるほど。では、『 善政だった 』 ということだな?」
提督 「Yes。誰が見ても間違いなく善政だ。」
祥鳳 「政策は善政なのに、結果的にビクトリア湖の漁業物資……お魚が獲れなくなってしまったというわけですか。」
14 「良かれと思ってやったことが、裏目に出ちゃったパターンだね。」
那智 「たった今、祥鳳が言ってくれたが、 『 漁業資源の減少というのは、単純に魚の数が減ったということで良いのだな? 』」
提督 「Yes!その通り。」
祥鳳 「『 湖の水質汚染で、お魚が大量に死んでしまいましたか? 』」
提督 「No。いや、これも扶桑が言ってくれた外来魚問題と同じく、Yesで進行しちまってるんだろうけど、魚が死ぬほどのものでもないし、今回はミスリードってやつになるから考えなくて良いぞ。」
五十鈴 「なら、『水質ではないけれど、環境汚染は起こっていたのかしら?』 」
提督 「No。環境汚染になるような政策じゃないな。」
初月 「ということは、工場を建てたとか、土地を開拓した……というのは、無さそうだ。」
磯風 「しかし、それを否定されると……後は何があるだろうか?」
扶桑 「そうですね……『 単純にお魚を撮りすぎた 』 とかでしょうか?」
提督 「扶桑、Yes!だ。」
扶桑 「え?そんな簡単な理由なのですか?」
提督 「まぁ、減った理由そのものは簡単なんだけどな。何で獲りすぎたのか、そこを考えるのがこの問題の大事なところで、そこが難しいんだよ。」
14 「ちなみにそれって、『 政府が獲りすぎた 』 ってことなの?」
提督 「No。政府の人が、国民の収入源を奪っちまったら、善政じゃねぇだろ?」
14 「あっ、そっか。」
祥鳳 「では、『 国民が獲りすぎた 』 とかですか?」
提督 「Yes!」
那智 「ちょっと待ってくれ。旦那様、今出ている情報を整理させてもらっても構わないか?」
提督 「おう、いいぞ。」
那智 「では……簡単にまとめると、『 政府の政策のせいで、漁民が魚を獲りすぎて、魚の数が減少した 』 ということだな?」
提督 「Yes、合ってるぞ。」
初月 「う~ん……難しいね。それって、どういう状況なんだろう?」
扶桑 「政策は善政ですし……例えば、国から助成金が出たとか、技術的な支援があったから……とかでしょうか。」
初月 「なるほど。」
祥鳳 「でも、それだと、問題文の 『 しかし、その政策は漁業とはまったく無関係のものだった。 』 と、矛盾しませんか?」
扶桑 「あぁ。そう言われると、そうですね。政策そのものは漁業とは関係無いのでしたね。」
那智 「では、扶桑が挙げてくれた2件について、旦那様に質問だ。 『 助成金は出たか? 』」
提督 「No。」
那智 「『 技術支援があったか? 』 」
提督 「No。」
那智 「ふむ、やはりそうなるか。」
14 「あと、他に何があるかな……?」
五十鈴 「そうね……『 その政策は観光事業だった? 』」
提督 「No。個人的に、アフリカの動物達を見に行くツアーってのには憧れるけどな。」
磯風 「観光じゃない…… 『 その国の輸出は関係あるか? 』」
提督 「No。輸出のために魚は獲ってるけど、問題とは関係無いな。」
磯風 「これも違うのか……」
祥鳳 「質問です。『 政府はその政策によって、漁民さんが魚を獲りすぎることは想定していましたか? 』」
提督 「No!良い質問だな。政府の人達からしてみたら、本当にまったくの想定外だったと思うぞ。」
14 「そんな難しい問題を、本当にイヨ達に解けるのかな?」
扶桑 「そうですね……では、考え方をちょっと変えてみましょうか。」
初月 「考え方を変える?」
扶桑 「私達は今、『 結果までの過程 』 を知っているので、どうしても過程から原因を推測してしまっていますよね?例えば、 『 魚をたくさん獲らせる政策は何か? 』 を考えたときに、私が言った 『 漁業に関する助成金が出る 』 といったような感じです。」
那智 「なるほど。この状況ならそう考えるのは仕方ないとしても、問題の時点で 『 政策は漁業とはまったく関係ない 』 といっているうえに、先程の祥鳳の質問に対しての旦那様の答えが 『 政府でさえも、漁民の魚の獲りすぎは想定外 』 だったわけだしな。」
磯風 「つまり……どういうことだ?」
那智 「頭の良い人達が原因から過程と結果を予測できなかったのだから、その逆も然り。私達が結果から原因を特定するのは、到底無理だということだ。」
14 「えっ!?無理なの!?」
祥鳳 「だからこそ、考え方を変えるわけです。」
五十鈴 「でも、それって……具体的には、どう変えるの?」
扶桑 「それは簡単です。要するに、今は 『 過程 』 と 『 結果 』 が邪魔しているので、それに関しては一旦置いておくとして、今は政策のことにだけ集中して考えましょう。」
磯風 「政策か……助成金でも、技術援助でもなく、観光業でも貿易でもないが、善政ではある……だったな。」
初月 「そうだね。問題なのは、『 その善政っていうのが、どう人の役に立ったか? 』 だと思う。」
那智 「ふむ……質問。 『その政策は、経済に役立つか? 』」
提督 「No」
五十鈴 「なるほど、そんな感じに質問すれば良いのね。じゃあ、『 その政策は福祉関係なのかしら?』」
提督 「おっ!五十鈴、Yes!だ。この政策は社会的援助になる。」
五十鈴 「あら?そうなの?うふふ、ちょっと進展があるっていうのは嬉しいわね。」
磯風 「なるほど。政策は福祉関係なのか……福祉というと……介護や少子化問題などか?」
14 「でも、問題の舞台はアフリカで、日本じゃあんまり当てはまらない問題みたいだから、高齢化や少子化はあんまり関係ないかも……」
那智 「……!今、ふっと思ったのだが……アフリカで福祉というと、『 政策は医療関係だったか? 』」
提督 「あ~……Noだな。この政策自体は医療にはならないんだが……うん、これくらいのヒントならいいか。那智の今の質問に対してちゃんと答えるなら、『 この政策自体は医療にはならないが、病気に関係がある 』 だ。」
那智 「そうか!病気が関係するんだな。」
祥鳳 「やっと、何か前進した気がしますね!」
五十鈴 「でも、ちょっとおかしな話ね。病気は関係あるのに、医療は関係ないなんて……」
14 「そうだね。治療とか、ワクチンとか……そういう話じゃないってことだもんね。」
扶桑 「あふりか……病気……もしかして、『 政策というのは、予防対策ですか?』」
提督 「Yes!」
初月 「そっか。なるほど、予防対策なのか。」
扶桑 「そして……『 その病気は、『 まらりあ 』ですね? 』」
提督 「Yes!だ。どうやら、扶桑は何となく解ってきたみたいだな。」
扶桑 「はい。何となくですが。」
那智 「マラリア!?蚊で媒介するあの病気か。」
祥鳳 「この病気で大勢の人が亡くなられていますね……」
初月 「でも、マラリアの予防対策というのは解ったけど、それが魚の獲りすぎに繋がらないんだよね……」
扶桑 「では、皆さん。この病気を予防するためには、どうすれば良いと思いますか?」
磯風 「ワクチンは医療行為に当たるから、それ以外ってことだな?」
14 「じゃあ、『 蚊を全滅させる 』 とか?」
提督 「一応言っておくとNoだな。蚊を全滅とか……さすがに、ちょっと現実的じゃないな。」
14 「だよね。ちょっと言ってみただけ。」
那智 「マラリアの予防対策……『 その政策は、蚊取り線香や虫避けスプレーを支給するというものだったか? 』」
提督 「No。だけど、うん!凄くいいとこまで来てるぞ。そういうことなんだけど、まだ予防できる物が残ってる。」
祥鳳 「……あっ、わかりました!『 蚊帳 』 ですね!」
提督 「おっ!祥鳳、Yes!!だ。政府から支給されたアイテムは蚊帳だ。」
初月 「蚊帳?……あぁ、そういうことか!質問、『 漁民達は網で魚を獲っていましたか? 』」
提督 「Yes!!おそらく、皆もう気付いただろうから……最初に気付いた扶桑、真相を説明してくれ。」
扶桑 「はい。『 政府の政策というのは、『 まらりあ 』対策のために蚊帳を配布するというものでした。しかし、漁民の方々は悪知恵を働かせてしまいました。普通に蚊帳として使用するのではなく、漁業用の網として使用してしまいました。蚊帳の網目は蚊を通さない程の小さな網目……普通の魚は当然のこと、魚の稚魚まで逃さず獲ってしまったのです。そのようなことを続けていれば、魚の数が減るのは当然といえるでしょう。これがこの物語の真相です。」
提督 「Yes!!!!! 正解だ!じゃあ、ちょっとした補足を付け加えて……」
A. ケニア政府の政策は、マラリア対策のために蚊帳を支給するというものだった。
特にマラリアの感染が深刻な地域の住民で、妊婦や5歳以下の子どもを持つ家庭には無償で蚊帳を配布しており、ビクトリア湖周辺の漁村地域には2万張の蚊帳が支給された。
しかし、目先の利益に目が眩んだ一部の漁師が、複数の蚊帳を繋ぎ合わせて魚を獲ることを思いついた。
その蚊帳が正常に使われていないことで、現地ではマラリアが蔓延し、さらに蚊帳は普通の漁網より網目が細かいため、通常では網に掛からない稚魚までも文字通り 『 一網打尽 』 にしてしまい、湖の漁業資源も減少することとなった。
提督 「……っていうのが、この物語の真相だ。」
祥鳳 「2万張は凄いですね。」
提督 「ちなみに、補足では言わなかったが、元々蚊帳は漁網に使うなんて想定は無いから、半年くらいで使い物にならなくなったんだが……政府が2万丁以外にも、安価で蚊帳を購入できるようにしたから、特に困ることはなかったらしい。しかも、それが漁網より安いってんだから、余計に裏目に出ちまったんだろうな。」
磯風 「こんなことをしていたら、結局マラリアで苦しむことになるうえに、自分達の獲る魚も減ってしまうというのに……愚かなことだな。」
那智 「だが、こんなことを続けて……政府も黙ってはいないだろ?」
提督 「もちろん。蚊帳の色を漁網と区別するために白から緑にしたそうだが……効果は無かったらしい。あと、最初の方に祥鳳の質問で水質汚染について訊かれてNoって答えたけど、実際は蚊帳についている防虫剤が湖に溶け出すことによって、水質汚染が進んでいるとも言われてる。今回の問題とは関係が無かったので敢えて触れなかったが。」
14 「なるほど。考えさせられる問題だったね。うん!良い問題だったと思うよ。」
提督 「喜んでもらえたなら、何よりだ。それじゃあ、この調子で3問目、いくぞ。問題 【 強盗の要求 】」
Q. とある一軒家に強盗が入った。
強盗の男は覆面をして家に押し入り、住人を脅迫した。
住人は強盗に従い、命までは奪われなかったが、強盗はまんまと目的を果たし、足早にその家から立ち去った。
強盗はまだ捕まっていないが、それは家の住人が警察に通報しなかったためである。
住人は何故、警察に被害届けを出さなかったのだろう?
祥鳳 「また難しい問題ですね……強盗に襲われたのに、被害届けを出さなかった理由ですか。」
14 「あ……イヨ、解っちゃったかも。」
磯風 「何だと!?」
14 「提督!答え言っちゃっていい?」
提督 「随分な自信だな。まぁ、水平思考ゲームをやってると、たまにこういうこともあるから……いいぜ、言ってみな。」
14 「それじゃあ……強盗が入ったのは、別の泥棒の家だったんだよ!それで、強盗に持って行かれた物は実は盗品だったから、警察に通報したくてもできなかった。どう!?」
提督 「No。」
14 「えぇぇぇぇぇぇ!?自信あったんだけどなぁ……」
提督 「いや、今回俺が用意した問題の答えとは違うってだけで、出題者の方が違っていたら、その答えが正解だっただろうさ。だから気を落とすな、14。」
14 「うん、そうだね。皆もごめんね、付き合わせちゃって。」
扶桑 「いいですよ。そうやって正解を求めようとする姿勢は、私達も見習わないといけませんね。」
那智 「そうだな。そのためにも、まずは質問しないと。」
祥鳳 「では、私から。提督、『 その一軒家というのは、一般的な家でしたか? 』」
提督 「Yes。どこにでもあるごく一般的な住宅でした。」
五十鈴 「『 押し寄せた強盗は1人だったの? 』」
提督 「あ~……これはYes.Noだな。強盗は単独犯でも複数犯でも成り立つ問題だ。」
磯風 「ふむ……つまり、強盗の数はこの際、特別意識する必要はないということか。」
初月 「じゃあ、『 その強盗と、家の住人は顔見知りだった? 』」
提督 「おっ、良い質問だな。答えはNoだ。まぁ、相手が覆面をしてたんだ。相手を特定するのは難しいだろうな。」
初月 「あっ……そっか。そうだったね。」
提督 「けど、『 強盗は家の住人のことを知っていたんだ。 』」
祥鳳 「えっ!?そうなんですか?」
14 「そういえば、問題で命は奪われなかったって言ってたけど……ということは、『 殺人は行われなかったんだね? 』」
提督 「Yesだ。」
那智 「ということは、純粋に犯行は物取りだけということになるのか。」
扶桑 「あと、脅迫というのもありましたね。」
磯風 「脅迫の内容が気になるな……司令、『 その脅迫の内容は、『 通報するな! 』 というものだったか? 』」
提督 「No。けど、良い質問だぜ。脅迫の内容は 『 要求物を出せ!さもなくば 』 というものだったんだ。」
初月 「さもなくば命を……か。それで住人さんは要求通りの行動をしたから殺されずに済んだんだね。」
五十鈴 「……ちょっと気になったんだけど、『 強盗の目的というのは、『 要求物 』 を手に入れたこと? 』」
提督 「Yes。」
扶桑 「この要求物の内容が気になりますね……」
五十鈴 「刑事もののドラマとかだと、真っ先に要求されるのはお金よね……」
14 「それで通報されなかったということは……『 この問題は、強盗しても許される架空の世界のお話? 』」
提督 「No!強盗は立派な犯罪として罰せられる、現実の問題です。」
磯風 「それなのに通報しない……あっ、そういえば司令。問題で 『 犯人は捕まっていない 』 と言っていたな?」
提督 「あぁ。言ったぞ。」
磯風 「こんな凶悪犯が野放しにされているんだ……『 他の家は被害に遭わなかったのか? 』」
提督 「おぉ!良い質問だ。答えはNoだ。実はこの一軒以外にも近隣で、同一犯による犯行が相次いだんだ。」
那智 「一体どうなっているんだ?その町の治安は……旦那様 『 その町には警察はあるのか? 』」
提督 「Yes。ただ、この強盗に関する通報は1件もありませんでした。」
初月 「ますます解らなくなってきた……それって、つまり町の人達がその強盗の犯行を許してることになるんじゃ……?」
祥鳳 「あの、提督。先程出て来た要求物についてなのですが……『 その強盗は、最初の家以外でも同じ物を要求したのですか? 』」
提督 「Yes!赴いた家で強盗は同じ物を出すよう、住人を脅迫していました。」
五十鈴 「……あっ!もしかしたら、五十鈴……答え判ったかも。」
14 「本当!?凄いね、五十鈴さん。」
磯風 「司令。『 その要求物というのは、ズバリ、金品だったか? 』」
提督 「No。強盗に襲われたが、金品の被害は1軒も無かったんだ。」
14 「金品の被害は無い……?他に要求してまで欲しい物って……『 食料 』な、わけないよね。」
提督 「Yes!!だ、14!強盗が要求した物は食べ物だったんだ。」
14 「えっ!?食べ物だったの?」
祥鳳 「あっ!なるほど。私も答えが解りました。」
扶桑 「五十鈴さんも答えが解っておられるのでしたね?よろしければ、何か回答に繋がるような質問をしていただけますか?」
五十鈴 「そうね。もう殆ど答えが出ちゃってるんだけど……提督。 『 犯行が行われた日は、何か特別な日だった? 』」
提督 「Yes!!だ。その日は秋のある日の出来事だったんだ。」
磯風 「!そうか、そういうことか!私も判ったぞ!」
提督 「他の皆も今の質問で解ったみたいだし……それじゃあ、最初に判った五十鈴。真相を教えてくれ。」
五十鈴 「えぇ。強盗は覆面をして住人を脅迫した。このままだと、確かに立派な事件だけど……覆面は覆面でも、その強盗が装着していた覆面はオレンジ色のカボチャを模した覆面だった。そして脅迫の内容は 『 トリック オア トリート 』。確か、『 お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ! 』 だったかしら?問題文の『 男 』 というのが 『 男の子 』 だったとしたら、通報するわけにはいかないわよね。だって……その日は10月31日、ハロウィンだったんですもの。」
提督 「Yes!!!!! 正解だ!」
A. ある日の夕方。家の住人がくつろいでいると、玄関のドアがノックされる音が聞こえて来た。
住人が対応するためにドアを開けると、目線より少し下あたりにカボチャを被った珍妙な姿の『 強盗 』が立っていた。
カボチャ頭の『 強盗 』は、まだ声変わりもしていない可愛らしい声で『 おかしをだせ!さもないと、イタズラするぞ!』と、脅迫しながら既に幾つかのお菓子が入っている小さな籠を差し出してきた。
住人は微笑みながら 『 お菓子をあげるから、悪戯しないでねぇ。』と、家にあったお菓子を幾つか持って来て、その『 強盗 』が持つ籠の中に入れてやった。
『 強盗 』は元気な声で 『 ありがとう! 』 と言うと、次に襲う家に向かって足早に去っていった。
10月31日、ハロウィンの夜の出来事である。
提督 「……ってな感じの、ちょっと可愛らしい問題でした。」
14 「最近、日本にも馴染んできたよねぇ、ハロウィン。」
祥鳳 「『 強盗の男 』というのも、錯覚させられましたね。『 強盗 』 と聞くと、大抵は『 大人の男性 』を想像してしまいますから……」
那智 「なるほど、強盗が単独犯でも複数犯でも大丈夫というのは、そういうことか。あまり遅い時間だと、単独犯より複数犯の方が安全なのだろうな。」
提督 「ハロウィンってのは元々、古代ケルト人が起源と考えられている秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だったんだけど、現代では特にアメリカ合衆国で民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いは殆ど無くなっちまってるんだよなぁ。まぁ、収穫祭で悪霊を追い出すってことだけど、先祖や祖先の魂を迎え入れるという話もあるから、日本だと 『 お盆 』 が1番近い行事かもな。」
扶桑 「あっ、そうだったのですか。そう言われると、何だか急に身近に感じますね。」
提督 「ジャック・オ・ランタンや他のモンスターに仮装するのも、そういう怖い存在になって他の悪霊を追い払おうって意味があるわけで……日本みたいに、ハロウィンだからってアニメのキャラにコスプレすんのは間違ってるんだよ。……間違ってるんだよ!」
初月 「大事なことだから、2回言ったんだね。」
提督 「まぁ、ハロウィン本来の意味が廃れて、楽しむこと重視になってるみたいだから、仕方ねぇんだけど……時の流れって、残酷だよな。」
磯風 「司令。元気を出して。ほら、次の問題をしようではないか。」
提督 「あ……あぁ、そうだな。じゃあ第4問、【 意外なダイイングメッセージ 】」
Q. 男が殺された。
即死ではなかった男は、最後の力を振り絞ってダイイングメッセージを残した。
それは自分の真っ赤な血で、犯人の名前をズバリ書いたものだった。
しかし犯人はダイイングメッセージを隠蔽することなく、現場から逃走した。
犯人は何故、ダイイングメッセージを消さなかったのだろう?
初月 「不謹慎だけど……こういう推理物小説みたいな謎解きは、ワクワクするね。」
那智 「だが、この問題は犯人を推理するのではなく、『 何故、犯人は自分の名前がズバリ書かれたダイイングメッセージに気付かなかった 』 その理由を導き出さねばいけないのだな。」
14 「それじゃあ、はい!質問。『 この亡くなってしまった男性と、犯人は知り合い? 』」
提督 「Yes。知り合いだからこそ、男は犯人の名前を書き残すことができたんだ。」
磯風 「なるほど、確かに。そうでなければダイイングメッセージというものを残せないだろう。」
五十鈴 「この男性の死因が気になるわね……『 男性は毒殺だった? 』」
提督 「No……いや、関係ない。だな。」
扶桑 「つまり、男性の死因と問題の答えとは、直接関係が無いということですね。」
提督 「そういうことだ。まぁ、自分の血でダイイングメッセージを残せるくらいの出血をするような殺され方だったんだろう。」
祥鳳 「犯人はメッセージを隠蔽せずに逃走……『 犯人は、そのダイイングメッセージに気付いていましたか? 』」
提督 「祥鳳、良い質問だ!答えはNo。犯人はダイイングメッセージに気付いていなかったんだ。」
初月 「えっ?気付いてなかったの?だから隠蔽しなかった……」
14 「……あれっ!?これってもう、答え出ちゃったんじゃ……」
提督 「そうだな。『 犯人はダイイングメッセージに気付かなかったから隠蔽せずに逃走した。 』 確かに答えはこれで正解なんだが、『 何故、気付かなかったのか? 』 この部分の真相を含めて教えて欲しい。」
那智 「何故気付かれなかったのか……暗号化とか分かりにくくしているのであればともかく、犯人の名前をズバリ書いていたのに……」
扶桑 「旦那様。『 男性は床や壁が真っ赤な部屋で殺害されましたか? 』」
提督 「No。」
五十鈴 「じゃあ、『 ダイイングメッセージは、気付かれない……隠された場所に書かれていた? 』」
提督 「それもNoだ。ダイイングメッセージは犯行現場のカーペットの上に大きく書かれていました。」
磯風 「五十鈴さんの質問に対する答えはNoだったが、問題文では語られなかった新しい言葉がでてきたな。」
初月 「うん。カーペット……『 そのカーペットの色が赤だった? 』」
提督 「No。カーペットは無地の緑色でした。」
14 「無地ってことは、何も柄が描かれてないんだよね?犯人の名前と柄が一緒になっちゃったのかと思ったけど……」
祥鳳 「少し、情報を整理してみましょう。『 男性の血文字は緑色のカーペットに書かれていた。 』 それも 『 大きく書かれた 』 ということなので、普通は気付かないハズがないんです。」
扶桑 「気付かない…はずがない……?それはつまり、『 気付くのが当たり前 』 ということですね?」
14 「それでも気付かなかったってことは……提督、『 犯人は、目が見えていたの? 』」
提督 「良い質問だ、14!答えはYes。犯人の目はちゃんと視えていました。それでも犯人はダイイングメッセージに気付けなかったんだ。」
那智 「……なるほど、そういうことか。旦那様、この問題の答えが解ったぞ。」
提督 「ほぅ?ちょうど今、質問が途切れてるし……いいぜ。さっきの14みたいに答えの発言を許可する。俺に真相を聞かせてくれ。」
那智 「あぁ。殺害された男性は犯人を知っていた。だから名前をはっきりと残すことができたんだ……緑のカーペットに真っ赤な血文字で。しかし、犯人はそのメッセージに気付けなかった。何故なら犯人は……『 色覚異常 』だったからだ。これは本で読んだのだが、世界には特定の色が見えない目の病に苦しんでいる人が居るそうだ。その1つに 『 赤 と 緑 』の区別がつかない人が居るらしい。この問題の犯人はそういう目をしていたのではないか?」
提督 「那智。残念だが、Noだ。14にも言ったとおり、出題者が俺意外だったら、その答えが正解だったんだろうけど……今回は違うな。」
那智 「むっ?自信があったのだが。」
提督 「さっきも言ったけど、結論からして犯人は色覚異常で見えなかったわけじゃねぇんだ。日本ではその色覚異常に関して大きな誤解があるそうでな、この機に説明させてもらうと……確かに、那智の言う通り赤と緑の区別が曖昧な色覚異常っていうのはあるらしい。」
五十鈴 「実際に、そういう症状があるのは事実なのね。」
提督 「うん。だが、まったく区別がつかないわけじゃないんだ。何て言えばいいのかな……世界がモノクロに見えているって感じで、完全に同じ明度の色なら区別はつかないけど、違う明度の色彩なら区別することができるんだ。それが何色かは置いておくとしてな。」
那智 「なるほど。血の色とカーペットの色の濃さが違えば、その色が何色かはともかく、何と書かれているかは解るということか。」
提督 「そういうこと。奇跡的に男性の血の色とカーペットの緑色が同じ濃さだっていうなら、那智のさっきの答えもアリだったんだけど……流石に、まったく同じ明度と濃さで!っていうのは、あるんだろうけど、ちょっと難しいだろう。」
那智 「ふむ。確かに……」
提督 「もう1度、皆で先入観を捨てて考えてみてくれ。」
初月 「先入観を捨てて……か。『 被害者の男というのは、実は動物だった? 』」
提督 「No。ちょっと、先入観を捨てすぎたかな……被害者はちゃんとした人間です。」
五十鈴 「確認するような質問になるけど……『 そのダイイングメッセージは、本当に犯人の名前で間違いないのよね? 』」
提督 「Yesだ。」
14 「自分の名前が、それも大きく書かれていたら、普通気付くよね……ねぇ、提督。 『 犯人の名前って重要? 』」
提督 「14、良い質問だ!答えはYes!!犯人の名前はとっても重要だぜ。」
扶桑 「ということは、『 かなり特殊なお名前の犯人 』 だったのですね。」
提督 「扶桑、Yesだ!ちなみに、犯人は日本人だ。」
祥鳳 「日本の方なのですか!?犯人は違う国……西洋の方で、英語……もしくは母国語と思っていたのですが、これで選択肢が大きく絞れましたね。」
初月 「日本人……基本的に使われているのは、ひらがな ・ カタカナ ・ 漢字だけど……『 ダイイングメッセージはひらがなで書かれていた? 』」
提督 「No。だけど良い質問だぞ、初月!ダイイングメッセージは 『 漢字1文字 』で書かれていたんだ。」
14 「漢字1文字で、かなり特殊な名前……朧、曙、漣、潮……とか?」
磯風 「確かに、漢字や軍艦に詳しくない人が 『 漣 』 の文字を見て、何人この文字を 『 さざなみ 』 と読むことができるだろうな?」
提督 「発想はそういう感じだけど、第7駆逐隊のメンバーを犯人にしてやるな。」
初月 「『 電 』 と書いて 『 いなずま 』 と読むみたいな?」
提督 「おっ、初月!Yes。うん、そういうことだ。」
磯風 「……はっ!そうか、そういうことか!いや、しかし何故犯人は気付かなかったんだ?」
提督 「おっ!磯風は何かに気付き始めてるな。じゃあ、ちょっとだけヒントだ。『 血文字のダイイングメッセージ 』、そう聞いて真っ先に思い浮かんだ物を疑ってみな。」
磯風 「………そうか。判った!おそらく、こういうことだろう。」
那智 「おぉ!解ったのか、磯風。」
磯風 「まだ少し、確証できるものか不安だがな……司令、質問だ。 『 そのダイイングメッセージは 『 大きく 』 て 『 小さい 』 ものだったか? 』 」
14 「え?何を言ってるの?磯風。問題出してる提督になぞなぞ出してどうすんの?」
提督 「…………本当に解ったみてぇだな。答えはYes!だ。他の皆はまだちょっと疑問符を浮かべているみたいだけど、磯風……真相を皆に教えてやってくれ。」
磯風 「承知した。犯人は男性を殺害した。そこはカーペットの上だった。被害者は大量の出血をしたが、『 最後の力を振り絞って 』 ダイイングメッセージを書いた。ただし!それは手を……指先を使って書いたのではない。血まみれの身体を文字通り 『 最後の力を振り絞って 』 カーペットの端から端へ……真っ直ぐに這いずりながら、『 一 』 という漢字を書いたんだ。おそらく、この犯人の名前は 『 ハジメ 』 とか、『 ニノマエ 』とか言うのだろう。当の犯人からしてみれば、被害者が這いずって逃げようとしていただけに見えた……だから、犯人はその血で作られた一直線が自分の名前とは解らなかったんだ。被害者が残したダイイングメッセージとは気付かなかったのだろう。」
提督 「Yes!!!!! 正解だ!」
A. とある屋敷のリビングで、家主の男性が知り合いの犯人に殺害された。
即死ではなかった被害者の男性は出血で意識が朦朧とする中、自分はもう助からないと悟り、それでも何とかダイイングメッセージを残そうと決心する。
男は何とかうつ伏せになると、激痛に耐えながら床に敷いてあった緑色のカーペットの端から端まで一直線に這いずって移動し……そこで力尽きた。
犯人は『 被害者は苦し紛れの逃走を図ったのだろう 』 と思い、凶器だけ持ってその場から逃走した。
後日、通報を受けて駆け付けた警察により、被害者の身体が別の場所へ運ばれた後、現場検証のため様々な場所や角度から撮影した部屋の写真の中に1枚、緑色のカーペットを真上から写真を撮った物が出てきた。
最初は警察もこのカーペットの真ん中に血で引かれた一直線は、被害者が何とか逃げようとしたときに出来た物だろうと思っていたのだが
被害者の身元や知人・交友関係を聞き込み捜査しているうちに、漢字で 『 一 』 と書いて 『 ハジメ 』 と読む人物が浮上し
ここでようやく、あのカーペットに書かれていたモノが漢字の一というダイイングメッセージだったことに気付いた1人の警察により、犯人逮捕に乗り出したのだった。
提督 「……っていうのが、この問題の真相だ。」
那智 「なるほど!犯人が気付かなかった理由は 『 見えなかった 』 のではなく、『 大きすぎて気付かなかった 』 のか。」
祥鳳 「灯台下暗しというやつですね。」
14 「そっか。磯風がさっき言ってた 『 大きい 』 けど 『 小さい 』 って、そういうことだったんだ。」
五十鈴 「文字そのものは大きいけど、数字としては確かに小さいものね。」
初月 「それに、『 ダイイングメッセージは指先で書くもの 』 みたいな先入観があったから……『 体全体で書く 』 って発想には、なかなか辿り着けなかったよ。」
扶桑 「体全体を使って書く漢字一文字……犯人の名前が 『 一 』 と推理できれば、おのずと答えが見えてきたのでしょうけど、それをいかにこの水平思考で導き出せるかが重要ですね。」
提督 「いや、これは純粋に磯風、お見事だと思うぞ。やるなぁ、磯風。」
磯風 「そんな……ようやく、このゲームに慣れてきただけだ。」/////
提督 「そっか。それじゃあ、キリも良いし……今から出す5問目で、今日は終わっておくか。タイトルは【 はじめまして 】。」
Q. 「やぁ、はじめまして。」
彼女を初めて見た瞬間、男は彼女のことを生涯助けていこうと固く決心した。
一体、何故?
14 「問題文、短いっ!」
祥鳳 「はい!質問です。『 これは典型的な一目惚れというやつですか? 』」
提督 「Noだな。」
那智 「ふむ、一目惚れではないと……」
初月 「提督。これって 『 お互いが人間の話なんだよね? 』」
提督 「おっ!良い質問だ。今まで人間関係の話をしていたから、引っ掛かるかな?とは思っていたが……初月の質問に対する答えはNo!だ。」
五十鈴 「あら?人間同士の恋物語じゃないのね?」
磯風 「ということは、男性か女性のどちらかが人間ではないと……司令、問題文の通り『 男性は人間なんだな? 』」
提督 「Yes。」
扶桑 「ということは、女性の方が人間ではないと……『 その女性の方は植物ですか? 』」
提督 「No。」
祥鳳 「なるほど。よく聞く 『 植物は語り掛けるとよく育つ 』 という話ではないのですね。」
那智 「旦那様。この男性が言っている助けるというのは『 財政的な意味での援助か? 』」
提督 「あ~……まぁ、Yesだろうな。」
那智 「ん?すまない。YesともNoとも取れない質問だったか?」
14 「そうじゃなければ、『 彼女を物理的に助ける 』 とか?」
提督 「あぁ、すまん。普通にYesだ。ちなみに、14が言った物理的に助けるっていうのも当てはまる。」
初月 「提督。『 その彼女さんは生きてるの? 』」
提督 「Yes。まだ生きているからこそ、最期のその瞬間まで助けてやろうと、男は固く決心したんだ。」
五十鈴 「ねぇ、提督。『 その彼女さんが何の生き物かって、重要なこと?』」
提督 「おっ!五十鈴、良い質問だ。答えはYes!だ。彼女が何なのか、どういう状況なのかは重要になってくるぞ。」
磯風 「なら、まずは彼女が何の生き物なのかを特定しようか……司令、『 彼女は猫だったか? 』」
提督 「No。」
扶桑 「『 では、ワンちゃんでしたか? 』 」
提督 「おっ!扶桑、Yes!だ。彼女は犬だったんだ。」
初月 「なるほど……メス犬か……」/////
提督 「言い方が生々しいな!でも、実際そうだから何とも言えねぇ……ってか、何で頬を御赤らめてるんだよ?」
五十鈴 「『 男性は人間、女性はワンちゃん。この関係が大事なのね? 』」
提督 「ワンちゃん。」
那智 「ワンちゃん。」
14 「ワンちゃん。」
五十鈴 「いっ……いいでしょ!?私も扶桑さんみたいに、好きな風に呼んだって!!それで、どうなの?提督!」/////
提督 「あぁ、Yesだ。この男と犬との関係は重要だぞ。」
磯風 「ふむ……重要ということは、普通のペットではないと?」
提督 「まぁ、俺個人としてはペットも家族だと思っているから、重要じゃないとは言い切れないが……今回の話は違うかな。」
初月 「ねぇ、提督。 『 その犬は捨てられていたの? 』」
提督 「No。」
扶桑 「質問です。『 そのワンちゃんはどこか体が不自由でしたか? 』」
提督 「あ~……これはYes.Noかな?最初は健康だったんだが、これから歳のせいで病に掛かったりしていくだろうな。でも、扶桑の質問に直接的な意味で答えるならNoだ。この段階ではどこも問題無い。」
扶桑 「そうですか。少しホッとしました。」
14 「でも、捨てられていたわけでもない……今、体に不自由があるわけでもない……それに、提督が補足した情報だと、そこそこいい年齢みたい。」
初月 「それに、男性は何を思ってこのメス犬を 『 生涯助ける 』 と固く決意したんだろう?」
提督 「初月……メス犬はやめなさい。」
磯風 「それは普通に 『 飼う = 助ける 』 ということではないのか?」
那智 「確かにそうかもしれんが……旦那様、 『 この男性は、ペットショップでこの犬を見てそう思ったのか?』」
提督 「Noだな。偏見かもしれねぇが、ああいう所に居る動物達って、だいたい赤ちゃんじゃないのか?」
磯風 「では 『 保健所で折に入れられていたこの犬を見て、保護してやったのか? 』」
提督 「Noです。」
祥鳳 「捨てられていたわけでもない、ペットショップでもない……では、『 誰か他所の御宅から貰われて来たのですか? 』」
提督 「Yesだ。この犬は男性のためにある場所からやってきたんだ。」
五十鈴 「男性とワンちゃんの関係が重要……男性のために……!ねぇ、提督。もしかしてこのワンちゃん……『 盲導犬? 』」
提督 「おっ!五十鈴、Yes!!だ。この犬は盲導犬だ。」
扶桑 「え?え?待ってください。それだと、このワンちゃんは盲導犬ですので 『 ワンちゃんが男性を生涯助ける 』 のであって、『 目が見えない男性がワンちゃんを生涯助ける 』 のは、少々難しいのでは?」
14 「言われてみると確かに……エサやトイレのこととか、お散歩も難しそう。」
提督 「いや、正直良いトコまで来てるんだ。俺からヒントを出そうにも出せねぇところまで。その『 何で男が犬を助けられるようになったか 』が解ればクリアだ。」
祥鳳 「………!そういうことですか。提督!私、判りました!」
提督 「おっ!気付いたか、祥鳳。えっと……他の皆は迷走しているみたいだし、祥鳳。真相を言って、皆をスッキリさせてやってくれ。」
祥鳳 「はい!……この物語の男性は盲目で、彼にはメスの盲導犬のパートナーが居ました。しかし、最近は高齢からか、既に何かの病気にかかったのか、男性を誘導することが上手くできず、『 盲導犬 』 の役割を果たせなくなってきていました。そんなある時、男性は最先端の手術によって光を取り戻し、この時初めて、長年自分に寄り添い、導いてくれていたパートナーの姿を見ることができたんです。そして男性は決意しました。『 今度は自分がこの子を生涯をかけて助ける 』 と。」
提督 「Yes!!!!! 正解だ!」
A. ある目の見えない男性の下に、1匹の若い盲導犬が責任者の方と共にやって来た。
それからというもの、移動するときと寝るときは何処でも一緒。食事の時は足元に寄り添い、お風呂やトイレの時はドアの前で常に待機してくれていた。
そんな優しい彼女がある時から、自分を上手く導いてくれなくなった。
『 もしかして、病気なのか?怪我したのか? 』そんな風に思っていた男のところに、偶然友人が遊びに来た。
この友人は盲導犬の彼女が来る前から、男に 『 腕の良い医者が居る。その人なら、お前の目も治せる!俺と医者を信じろ! 』 と言ってくれていた。
最初は手術に踏み込む勇気が足りなかったが、今、自分にずっと寄り添ってくれていたパートナーの不調が気になる。1度、自分のこの目で確かめたい。
そう思った男は、友人に頼んでパートナーと一緒にその病院へ連れて行ってもらった。
どれくらい時間が経っただろう……お医者さんの 『 手術は成功しました。ゆっくり目を開いてみてください 』 という言葉に従い、恐る恐る目を開いてみた。
久しく見ていなかった眩い光が刺し込んで来るのを感じる!少しぼやけていた視界が、徐々にハッキリと見えてくる!
病院のベッドの上で、感激した男はふっと、自分の傍で舌を出しながら、ハッハッ!と呼吸して、尻尾を左右に激しく振っている黒いパートナーの姿を初めて見た。
『 やぁ、はじめまして。』
男はハッキリと見えるようになった目で、ずっと自分をいろんな場所に導いてくれていたパートナーを見て、優しく頭を撫でた。
心配していた病気や怪我をしているわけではなかった。ただ、黒い体の所々に白い毛が見える。
そう。自分を導いてくれていたパートナーは、歳をとっていたのだ。
このパートナーが初めて自分の所に来てくれた時の姿は知らないけれど、今、自分の目の前に居るパートナーを見て男は固く決意した。
『 今まで、俺を助けてくれてありがとう。これからは俺が生涯をかけてお前を助けてやるからな。 』 と。
提督 「……っていうのが、真相……あれっ!?お前等、目を潤ませて……」
那智 「いや……純粋に良い話だなぁと思って。」
初月 「うん……良い話だったよ。」
扶桑 「心が温かくなりますね。」
提督 「まぁ、うん。俺もこの問題を見つけた時は、良い話だなぁ……って、思ったからな。さて、満足してもらえたかな?」
磯風 「あぁ。良い頭の体操になったよ。」ニコッ
祥鳳 「こうして皆で話し合って、1つの問題に取り組むというのは、良いですね。」
14 「提督!また今度、機会を見つけてやろうよ!次こそは、ちゃんと正解して見せるよ。」
提督 「そうだな。あっ……そうだ。もし、興味が出たならパソコンで 『 水平思考クイズ 』 で検索してみるといい。他にもいっぱいあるから。」
五十鈴 「そうなの?じゃあ、後で調べてみるわ。今日は提督が問題を出していたけど……今度は五十鈴が問題を出してあげるわ。」
提督 「そりゃいいな。その時を楽しみにしてるぞ。」
その翌日から……執務室で作戦を練る時、秘書艦以外の娘も来てくれて、いろんな意見を様々な角度から出し合い、時間は掛かるものの内容の濃い作戦を立てることができるようになった。
ちょっとした息抜きでやったゲームが、ちょっと良い方向に結果を残すことになったので、俺は満足している。
ハロウィンの時、TVのニュースで東京の方が仮装行列のようになっている光景を見て、人口密度高いなぁ……と思ってました。
アニメキャラのコスプレねぇ……俺ができるのは、魔人ブゥくらいだと思います。
さて!ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
ウミガメのスープが初めてという所見の方……何問くらい、那智達より先に答えが解りましたか?
そして、私が綴った答えは、貴方の答えと一緒でしたか?
作中に提督の言葉として書きましたが、この水平思考クイズは問題を出す出題者の数だけ、素直だったり、ひねくれた回答が存在するゲームです。
その辺は、以前投稿させていただいた 『 意味が解ると怖い話 』 のように、解釈が何通りもできると思っていただけると納得していただきやすいかと。
今回は問題を探している時に見つけた問題とその答えをそのまま採用しましたので、『 自分の思ってた答えと違う! 』 と思われても、『 こういう解釈もある 』程度に捉えていただければ幸いです。
ではでは、長々と此処までお付き合いいただきありがとうございます。
また、ネタが思いつき次第の投稿になりますので……ちょっと、読み手になってまた何か探さないとですねぇ。
ポケモンのSSを投稿していたり、欲望に負けてゲームで遊んだりして、不定期投稿になりますが
気長に待っていただければ幸いです。
それでは、ここまで読んで頂いた皆さん、お疲れ様でした。また次話で御会いしましょうです。
いかりや長介が『世にも奇妙な物語』で主演していた。『海亀のスープ』
あと天本英世
いかりや長介の怪演が見事だった。
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もう一つの回答
Q. 女が男に食べ物を与えてしまったせいで、男は死んでしまった。
しかし、その食べ物は毒性を持つものではなかった。
男はどうして死んでしまったのか?
A.実は男はただの一般人で、女は戦艦・比叡。基地公開のイベント中で、食べた物は比叡カレーだった。海軍が総力を挙げてカレーを調査するも、毒物の類は一切検出されず。結果、毒性を持つ食べ物ではないと判断せざるを得なかった。
比叡も死んでしまったのは、男が死んだ事による強烈な思い込みから自家中毒症(強烈な暗示をかける事によってですが、起こり得るそうです)の為。
コレで間違い無しだと思ってたのぜ・・・
SS好きの名無しさん
コメントありがとうございます!
いかりや長介さんのウミガメのスープ。youtubeさんにあったので見てきました。
独特な雰囲気ですが、さすが……役者としても立派だった長介さんの演技、見事でした。
かなり以前になりますが、本当に惜しい人を亡くしたものです……心よりご冥福を祈りつつ、合掌。
㈱提督製造所さん
コメントありがとうございます!
俺が見つけたのは、たまたまアダムとイヴだったので、そちらを使用させていただいたのですが
そっかぁ!艦これだったら、その発想があったか!!
某ニコニコさんで見る艦これMMDで登場する比叡カレーは緑色だったり紫色だったり
ジャガイモが皮をむかずに芽が生えた状態で投入されていたり……
あきらかに相手を仕留めに掛かってるとしか思えないモデルなんですよねぇ。
それを使うのも有りだったなと思いつつ、違う思考の回答は見ていて面白いですね。
どうもです。
お久しぶりでございます。
受験期のピークと重なって、
しばらく気づかずに、
コメント出来ずにいました。
すいません。
水平思考ですか...。
俺が知ってるのだと、
「ある女性が鉄砲突きつけられて、
その男に感謝した」ってやつですかね。
また自分もぼちぼち投稿していこうかな
と思ってます。
今後ともまたよろしくお願いします。