No11 提督 『 変動し続けた俺の艦隊、完成の形 』
本部への御遣いを済ませたとき、そこでとある場所で交戦中の艦隊があるとの報を聞く。そこで出会った見知った姿……
その後も、細々とした問題に係わりながらも、提督はついに……自分の艦隊の基礎となる部隊を完成させる。
そして物語は新たに動き出す……
早いもので、1年がもう半年……折り返しの月に突入した今日この頃、皆様いかがお過ごしですか?
どうも、御無沙汰してます!柔時雨です。
……梅雨ですね!こんなジメジメした季節は艦爆を思いっきり壁に叩きつけてやりたくなります。
え~……意外と早く、無事に11話を投稿させていただくことができました!
飽きっぽい俺がここまで1つのシリーズで続けられるということは稀で……正直、自分自身が1番驚いてます。
これも私の作品を覘きにきてくださっている皆様や、応援して感想まで書いてくださる心優しい皆様のおかげだと感謝しております!
10話で……はい。そして、この11話からまたゆるゆると……俺自身、ちょっと終わりの見えない物語を続けさせていただこうと思います。
それでは、相も変わらず稚拙な内容ではございますが、どうぞごゆっくりなさってくださいね。
レイテ沖
山城 「扶桑姉さま!これ以上は無理です!……撤退して、態勢を立て直しましょう!」中破!
扶桑 「えぇ……でも、私はもう……山城、皆を連れて逃げなさい。」大破!
満潮 「ちょっと!何を言ってるのよ!扶桑さんを置いて私達だけ逃げ帰れって言うの!?」
扶桑 「満潮……これは旗艦命令です。何を最優先にすべきかを考えなさい。今のあなた達なら……自分の意思でそれができるはずよ。」大破!
時雨 「……っ!扶桑さん!危ない!」小破!
凶悪な深海棲艦の禍々しい艤装と呼んでもいいのかすら判らない武装が全て、扶桑の方に向けられる。
扶桑 「ここは私が囮になります!さぁ、行きなさい!」大破!
時雨 「くっ……!行こう、満潮……」小破!
満潮 「ちょっと!時雨!?」
扶桑 「(そう……これで良いの。誰かが残ってくれさえすれば、次はきっと……嗚呼、結局私はまたレイテ沖を突破できななかったのね。できることなら……こうなる前に、提督の姿を一目見ておきたかったわ……)」
最上 「……!?大変だよ!艦載機が、物凄いスピードでこっちに向かっている艦隊を確認したみたい!」
山城 「何ですって!?くっ……敵の増援が来る前に、この海域から離脱するわっ!扶桑姉さま……」中破!
扶桑 「山城……皆の事、よろしくね。」ニコッ
山城 「……っ!はいっ!」涙目
優しく微笑む扶桑1人に向かって、深海棲艦達の攻撃が一斉に放たれる。
扶桑は覚悟して瞳をゆっくりと閉じたが、いつになっても自分の所に砲弾が落ちてこない……それどころか、何やら前方から破裂するような音が聞こえたような気がした。
那智 「友軍として参った!これより、扶桑達の撤退を支援するっ!」
扶桑 「………っ!?那智さん……!どうして此処に!?」
那智 「司令官と本部に少し資材を届けに行った時に、この海域でお前達が戦闘していると聞いてな……帰る道中、救援に来たというわけだ。」
扶桑 「では……提督もこちらに?」
那智 「あぁ。少し離れた処にあるボートが見えるか?あそこに居る。」
提督 「てめぇ等、こらぁぁぁ!よくも扶桑をここまで追い詰めやがったな!……よし、このボートに火を点けて、あのデカい奴に突っ込むぞ!赤壁の戦いをこの時代で再現してやるわぁ!!(# ゚ Д ゚ ) 」
磯風 「待て!司令官!」
提督 「何だ、磯風!?」
磯風 「今は東南の風が吹いていない……この状況で火計を使用しても、こちらに被害が出るだけだ!」
提督 「くそっ……この作戦は失敗だっ!」
蒼龍 「おっ、落ち着いて!提督!ほら、扶桑ちゃん!まだ無事みたいだから!ね?砲撃戦は大和さんや那智さん、磯風ちゃんに任せて安全な場所で……」
提督 「扶桑が無事なのは最優先事項だ!おっ……山城も無事みたいだな、良かった。磯風!砲撃は2人に任せて、彼女達を安全な場所へ誘導してやってくれ!」
磯風 「承知した!」
大和 「殿は私と那智さんで努めます!さぁ、早く非難なさってください!」
山城 「えっ……えぇ!さぁ、扶桑姉さま。」中破!
扶桑 「提督………」/////
提督 「扶桑……本当に無事で良かった。那智!大和!連中を適当にいなして牽制した後、俺達も舞鶴鎮守府に向かうぞ!蒼龍も!艦載機での援護を頼む!」
那智 ・ 大和 ・ 蒼龍 「「「了解!!」」」
◇◇◇
舞鶴鎮守府 ・ 執務室
リア友提督 「ホンッマにありがとう!おかげで誰も轟沈させずに、無事に帰投させたることができたわぁ。」
提督 「困ったときはお互い様だろ。俺だって此処に艦娘達を数名保護してもらってんだから。」
リア友提督 「せやったな。まぁ、とにかく!ありがとう。せっかくやし、今日は泊まってって。今、黒潮に部屋用意してもらってるから。」
提督 「ん?悪いな。すぐにお暇するつもりだったんだが……」
リア友提督 「えぇって、えぇって!それに君には聞きたいこともあるし……」
提督 「聞きたいこと?」
リア友提督 「那智さんとヤったみたいやな。おめでとー!」
提督 「ありがとー!……って、ちょっと待て。え?俺、電話でもまだ話してなかったよな?つうか、今日まで電話すらしてなかったのに……何で知ってんの?」
リア友提督 「そんなん……さっき、君の艦隊がウチの港に入った時……元君んトコの青葉が……早かったでぇ。」
提督 「マジか……」
リア友提督 「何か君んトコにほら、鬼ごっこの罰ゲームの時に呼ばれたやん?あの時、君の部屋に隠しカメラを仕込ませたか何とかで……その、君と那智さんの情事の内容もバッチリ……そっちは今、ウチの秋雲が同人誌にしてるわ。」
提督 「俺自身が初耳の案件が出てきたぞ……知ってたんなら、止めさせろや。」
リア友提督 「ごめんて!面白そうやったんでつい……というのは建前で、実際の話……君の下を離れてウチや本部、後輩ちゃんトコに居る娘等にとっては、君と那智さんの話は興味の的になるんよ。」
提督 「……それで青葉の新聞と……秋雲さんの本か。」
リア友提督 「知ってて君に何も言わんかったんは悪かったとは思てる。でもな……君のことを想うてる娘、ウチに居る娘やったら特に扶桑さんやな。彼女のこと考えたら、言い出せんかったんよ。」
提督 「扶桑が?……何、ヤンデレ拗らせたのか?」
リア友提督 「違う!違う!ほら、君の鎮守府、襲撃されて……あん時、鎮守府を守ってた君の艦娘達が誘拐されて変な薬の犠牲になったやろ。その後君と元帥の計らいで、妹の山城さんを既に預かってたウチにカウンセリング目的で来たんやけど……ホンマは彼女、君と一緒に居たかったんちゃう?」
提督 「……どうだろうな。大体、お前んトコで保護してもらってるのは扶桑だけじゃない。山城……はまぁいいにしても、青葉や曙に矢矧……五十鈴に筑摩もそうだ。他の皆はお前んトコに既に着任している姉妹艦や同型艦の娘と上手くやってるんだろ?何で扶桑だけ……」
リア友提督 「それはボクにも……ただ、時々物寂し気に空を眺めている時はあるで。」
提督 「まぁ、時々 『 空はあんなに青いのに…… 』 って呟いてた時はあったけど……ふむ。ありがとう、後で扶桑とちょっと話してみるよ。」
リア友提督 「りょーかい!ほな、時雨の入渠はもうすぐ終わるか……山城さんには悪いけど、高速修復材使って……これでしばらくドックには誰も入らんやろから、扶桑さんと2人で話して来ぃ。」
提督 「時々とんでもねぇこと言い出したり、実行したりするよな、お前……」
◇◇◇
舞鶴鎮守府 ・ 入渠ドック
扶桑 「………」
提督 『てめぇ等、こらぁぁぁ!よくも扶桑をここまで追い詰めやがったな!……よし、このボートに火を点けて、あのデカい奴に突っ込むぞ!赤壁の戦いをこの時代で再現してやるわぁ!!(# ゚ Д ゚ ) 』
提督 『扶桑……本当に無事で良かった。』
扶桑 「~~~~~♪ 」/////
時雨 「珍しく御機嫌だね。何を1人でモジモジしてるんだい?扶桑。」
扶桑 「えっ……!?えっと、何でもないわ。気にしないで。」/////
時雨 「そうかい。それで……さっきボートに乗ってた人が、前の提督さんかい?」
扶桑 「えぇ。とっても良い人よ。」
山城 「まぁ、時々物凄くバカなことしますけど。この間の鬼ごっこの時とか!」
高速修復材 → 山城 ザバー
山城 「…………」びしょ濡れ
扶桑 「やっ……山城、大丈夫?」
山城 「まだまだ扶桑姉さまとお風呂でゆっくりできると思ったのに……不幸だわ。」フコォォォォォ……
時雨 「まっ、まぁまぁ!怪我が早く治ったんだから、良かったじゃないか。」
山城 「……それもそうね。それでは扶桑姉さま、時雨、お先に失礼しますね。」
— 山城 退室 —
時雨 「さてと……僕も終わったみたいだから先に出るよ。扶桑、ゆっくり休んでね。」
扶桑 「えぇ。ありがとう、時雨。」
— 時雨 退室 —
扶桑 「…………1人になってしまいました。誰か話し相手になってくださる方はいません……よね?」
提督 『此処に居るぞ!壁の向こうだけどな。にしても、薄い壁っていうか、防音対策が甘いって言うか……この壁1枚越しに、扶桑の声がちゃんと聞こえるぞ。』
扶桑 「!?」
提督 『怪我の方は大丈夫なのか?扶桑。』
扶桑 「提督!?あぁっ……やはり夢ではなかったのですね!」ザバァ!
提督 『ん?今、湯船の中で立ち上がったのか?駄目だろ、ちゃんと浸かって傷を癒さねぇと。くっ!俺もそっちに行けたらなぁ……今、扶桑の一糸纏わぬ姿を拝めただろうに……残念だ。』
扶桑 「うふふ。そのようなことを言っては、那智さんに怒られますよ。ですが……ありがとうございます。」ザブン……
提督 『扶桑……此処の提督から聞いたぞ。どうした?此処には山城や、西村艦隊……だっけ?そのメンバーが何人か居るそうなのに、元気がないみたいじゃねぇか。』
扶桑 「…………皆が居るからでしょうか。また同じことを繰り返してしまったらと思うと、少々不安になりまして……」
提督 『なるほど、それで精神的に滅入っていると……すまん!俺が良かれと思ってやったことが裏目に出ちまったのか。悪いな、浅慮なことしかできねぇバカで……』
扶桑 「そんな!提督は、私のことを思って最善だと思われたことを実行なさっただっただけで……問題なのは、私の気の持ちようでして……!」ザバァ!
提督 『だから立つなって!ちゃんと湯に浸かれ!……でも、それを踏まえてもやっぱり、お前の気持ちや考えを考慮しきれなかった俺が悪いよ。扶桑……ごめんな。』
扶桑 「提督……あのっ!こんなことを言える立場でないのは重々承知しているのですが……もし、可能であるのなら……私はまた、提督のお傍で戦いたいです。」
提督 『扶桑…………』
扶桑 「図々しいですよね、私だけ……提督、今の発言はやはり忘れてください……。」
提督 『……わかった。ちょいと難しいが、此処の提督と元帥には、俺から何かテキトーにウマい感じで話をしておこう。』
扶桑 「本当ですか!?」
提督 『ただし条件がある!』
扶桑 「条件……ですか?」
提督 『今、攻略してると思われるレイテ沖……まぁ、きっと怪我はするだろうから完全に無事ってのは難しいだろうけど、とりあえず……西村艦隊の皆とちゃんと突破してくること!それと、無事にそれが済んだら、ちゃんと山城や他のメンバーさんにウチに戻ることを伝えること!その2つが条件だ。』
扶桑 「提督……」
提督 『俺もそれなりに勉強中でな……レイテ沖での戦いがどんなモンだったのかも、『 艦 』だった頃の扶桑の壮絶な最期も知っている……つもりだ。扶桑や山城の大破したあの……えっと、壮絶でちょっと官能的な姿ってのは、そこからきてるんじゃねぇかと俺は思ってる。』
扶桑 「…………」
提督 『前世が前世なだけに、扶桑の心配事……不安な気持ちも解る。だからこそ!その因縁とか負の感情諸々全部ひっくるめて、深海棲艦共をブッ飛ばしてスカッとしてこい!……って、難しい事言ってるよな、俺。』
扶桑 「いいえ……ありがとうございます、提督!必ず……レイテを突破して、戻って来ます!だから……那智さん達と一緒にあの鎮守府で、待っていてください。」
提督 『あぁ……まぁ、今日は此処に泊っていくことになったんだけどな。扶桑、入渠は……今日中に終わりそうにないよな。まぁ……とりあえず、今は風呂にゆっくり浸かって休め。さっき立ち上がってから湯船に浸かった音が聞こえてねぇぞ。』
扶桑 「え……あっ、はい……///// 提督、私……頑張りますから。」ザブン……
提督 『おぅ。お前や西村艦隊の皆がレイテ沖を突破するの……楽しみに待ってるぜ。』
*****
数日後
鎮守府 ・ 執務室
那智 「……ん?司令官、本部の元帥殿から入電だぞ。」
提督 「爺さんから?何だろ?つい先日、本部に行ったばかりなのに……もしもし?爺さん、どうした?」
元帥 『おぉ!何度もすまんのぅ!実は……君に無理を承知でお願いしたいことがあるのじゃ。』
提督 「あんた、いっつもそんなんばっかだな……まぁ、俺も無理を聞いてもらってるから、大抵の事には協力させてもらうけど……今回は何だ?」
元帥 『その……君の所に居る蒼龍を、譲ってはくれんじゃろうか?』
提督 「蒼龍を?ちょっと待て、爺さん。そういう話は本人を踏まえて直接したほうがいいだろ?明日、蒼龍……もう面倒だから、また皆でそちらへ伺うから、時間を作っておいてくれねぇか?」
元帥 『うむ、尤もな意見じゃ。承知した。では明日、すまんがまた本部まで来てくれ。』
提督 「はいはい。」
— 通話終了 —
磯風 「蒼龍さんを……というのは、どういうことだろうか?こんなことを言えば蒼龍さんに申し訳ないが……純粋な戦力で考えるなら、大和さんの方が重宝されるはずだ。」
提督 「うん、俺もそう思う。まぁ、とりあえず……明日本部に行くぞ。面倒だとは思うが、また同行してくれ。」
那智 ・ 磯風 「「承知した!」」
***†◇†***
翌日
海軍本部 ・ 元帥の部屋
提督 「……で?蒼龍を譲ってくれって話だったけど……何が遭ったんだ?」
元帥 「うむ……実はのぅ。この本部で空母達の訓練の主な指揮を執っていた一航戦の赤城と加賀が……先日、轟沈した。」
提督 ・ 蒼龍 「「!?」」
大和 「それは……あの、赤城さんと加賀さんを指揮されていたのは元帥殿……だったのですか?」
元帥 「いや、本部に駐屯しておった少尉の指揮下にあったんじゃ。そこそこの練度を持っておったのじゃが……新しく着任した艦娘の随伴をさせておった時に……な。」
提督 「己の地位と実力に自惚れて、危険海域に突っ込んだ……か。」
元帥 「まさにその通り。しかも、そいつは 『 メインの艦娘が無事だったから、問題無い。失った艦娘は建造で補う 』 と堂々と言いおってのぅ。」
提督 「那智!俺のロンパイアを持て!今から一緒に、これから一緒に、そいつを殴りに行くぞ!!(# ゚ Д ゚ ) 」
那智 「承知した!」
提督 「Урааааа!рааа рааааа! ра! рааааа рааааа рааааа!!(# ゚ Д ゚ ) 」
元帥 「まぁ、まぁ!落ち着きなさい!その者は降格処分にしておいたから!」
提督 「降格なんて生ぬるい!磯風、俺の青龍偃月刀を持て!やっぱり、そいつを殴りに行くぞ!!!(# ゚ Д ゚ ) 」
磯風 「承知した!」
元帥 「だから落ち着きなさいって!やれやれ……血の気が多いのは相変わらずじゃのう。それでな……本題に戻って良いかの?」
提督 「納得いかねぇけど……まぁいいや。今、話さなきゃならねえ本題はそっちじゃないからな。」
元帥 「うむ。それでのぅ、元少尉はこの際放っておくとして……問題なのは、その時旗艦になっておった艦娘と、今後の空母の指導要員の件なのじゃが……」
那智 「なるほど……蒼龍を譲ってくれというのは、その指導要員として迎えたいということなのだな?」
元帥 「そういうことじゃ。事前に飛龍にも話しておいたのじゃが……」
飛龍 『1人じゃ流石にキツいです!多門丸だって、こんな無茶言いませんでしたよ!せめて蒼龍が居てくれたら、何とか頑張れますけど……』
元帥 「……と、言われてしまってのぅ。」
提督 「ふむ……ということらしいが、どうする?蒼龍。」
蒼龍 「そんなの、放っておけないわよ!赤城さんや加賀さんの代わりが私にできるのか、わからないけど……でも!必要とされてるなら、力を貸してあげたいの!ごめんね、提督。」
提督 「何を謝ることがある?立派な心掛けだと思うぞ。ただ、爺さん……条件がある。」
元帥 「聞こう。」
提督 「飛龍は知らないけど……蒼龍は、あんたの指揮下で尽力させてやってくれ。どっかの無能野郎の下に配属されて、先の一航戦2人のような悲運な最期を遂げさせないように!責任を持って守ってやってくれ。それが、俺があんたに蒼龍を譲るたった1つの条件だ!」
蒼龍 「提督……」/////
元帥 「うむ!約束しよう。」
提督 「……頼んだぜ。あんたのことは信頼してんだからよ。それじゃあ、蒼龍……同じ鎮守府で戦うことはできなくなったけど、共に海の平和のために頑張ろうぜ!」
蒼龍 「うん!何か遭ったら、遠慮しないで呼んでね?すぐに駆け付けるから!那智さん、磯風ちゃん、大和さん。私の分まで提督を守ってあげてね。」
那智 「あぁ。任せておけ!」
磯風 「心配せずとも、司令はこうして呼び出されることが多い。運が良ければまた此処で会えるから、蒼龍さんの目で司令の安否が確認できるさ。」
蒼龍 「あはは♪ 確かにそうだね。」
大和 「蒼龍さんも、空母の皆さんと一緒に頑張ってくださいね。」
蒼龍 「うん!」
提督 「さて……それじゃあ、もう1件……さっき、爺さんが言いかけてた 『 例の艦隊の旗艦 』についてだが……こっちはどういう状況なんだ?」
元帥 「酷い状況……とでも言っておこうかのぅ。元少尉とは正反対で、『 赤城と加賀が沈んだのは自分のせいだ 』と、ずっと自責して、すっかりやつれておる。悪いのは元少尉の指揮と判断で、彼女は何も悪いことなどないというのに……」
磯風 「元帥殿。その旗艦の名を教えていただいても、よろしいだろうか?」
元帥 「そういえば言っておらんかったのぅ。その娘は……大和型 2番艦、武蔵じゃよ。」
大和 「武蔵が!?」
提督 「マジか……最近俺が注目して憧れてる鎮守府の……名前が判らないから、仮に 『 CQC鎮守府 』 とでもしておこうか。」
磯風 「CQCとは確か……軍隊や警察に属する方々がする近接戦闘の呼称……ではなかったか?」
提督 「だったような気がする……まぁ、今は格闘技のことは置いといて!そこの人間離れした能力を持つ提督さんは、武蔵を相棒として日夜頑張っておられ、硬い信頼関係を築いているというのに……所変われば、こんなにも変わるもんか。」
大和 「それで、武蔵は今どこに!?」
元帥 「君達が来る少し前についに倒れてしまってな……今は医務室で集中治療を受けておるよ。」
大和 「……っ!提督、貴方の下で戦いたいと、私の我儘を快く受け入れてくださった恩は今でも感謝しております。ですが……本当に、我儘で勝手なお願いなのですが……私も、元帥殿の指揮下に加わっても宜しいでしょうか?」
提督 「武蔵の傍に居てやりたいんだな。わかった!たぶん、武蔵のカウンセリングは姉であるお前が1番上手くできるだろう。武蔵を元気にしてやってくれ……それで、姉妹揃って爺さんを助けて、海の平和のために尽力してくれ!」
大和 「提督……はいっ!ありがとうございます!」
提督 「すまねぇな、爺さん。勝手に決めちまって。」
元帥 「いや!それに関しても儂からお願いしようと思っておったんじゃ……本当にすまん、そしてありがとう!君達の決断に、感謝しておるよ。」
大和 「それでは提督、申し訳ありませんが私はこれで……蒼龍さんも仰っていましたが、何か遭った時は元帥殿に連絡してください。すぐに駆け付けますので!」
提督 「ありがとう、大和。それより、早く武蔵の所に行ってやれ。」
大和 「はい!失礼します!」
— 大和 退室 —
提督 「それじゃあ、爺さん。2人のこと、くれぐれも!よろしく頼んだぜ。」
元帥 「うむ!儂の目が黒いうちは君から預かった艦娘達を絶対に守り抜くと誓おう!……ありがとうのぅ。」
提督 「……那智、磯風、鎮守府に戻る……ん?」
那智 「どうしたのだ?司令官。」
提督 「いや、マナーモードにしてた携帯が……着信あり?」
後輩提督 ・不在着信 10:00
後輩提督 ・不在着信 10:00
後輩提督 ・不在着信 10:00
後輩提督 ・不在着信 10:01
提督 「何事Σ ( ゜ ロ ゜;)!? 」
磯風 「とにかく、すぐに返信してはどうだ?」
提督 「お……おう!……………って、あいつ!自分から掛けておいて、いざって時に通じないとか、ふざけてんのか!?」
蒼龍 「提督!早く行ってあげた方がいいんじゃない?」
提督 「そうだな。こりゃ直接行った方が早そうだ……それじゃあ、ドタバタして悪いが、蒼龍……頑張れよ。大和にも伝えておいてくれ。」
蒼龍 「うん!提督もしっかりね。那智さんと磯風ちゃんを困らせちゃ駄目だよ?」
提督 「あ~……その約束は守れそうにないかも。現に今、困らせてる。」
*****
翌朝 〇五〇〇
ボートを夜通し運転して、明朝にはパラオ泊地に到着することができた。
提督 「後輩!無事か、何が遭った!?」
磯風 「……誰も居ない。くっ!手遅れだったか……」
那智 「いや……ただ単に、まだ総員起こしが掛かっていないのではないか?まだ〇五〇〇だぞ。」
提督 「でもなぁ……あんな切羽詰まったような着信してくるくらいだ、のん気に寝てるとは思えないんだけど……」
高雄 「あら?提督に那智さん、磯風ちゃん……どうされたのですか?こんな朝早くに……」
提督 「高雄!無事だったか!?他の皆はどうだ?生きてるのか!?」
高雄 「え?えぇ……おそらく、まだゆっくり休まれてるかと……」
高雄のその言葉に、俺は膝からその場に崩れ落ちた。
高雄 「あの……本当にどうされたのですか?」
那智 「実は司令官の携帯に、後輩提督殿からの不在着信が4件届いていてな……緊急の用事かと思って、急いで駆け付けたのだが……」
高雄 「そうでしたか……わざわざ来ていただき、ありがとうございます。おそらくですが……こちらの提督が相談したいことは、祥鳳さんのことかと……」
提督 「ん?祥鳳はもう来てるのか?確か、妹の瑞鳳さんが着任してからで良いと伝えてあったはずなんだけど……」
高雄 「えぇ。ですが、瑞鳳さんが着任するまで少しでも戦力になれれば……と、少し前からこちらに来てくださったんです。」
提督 「良い子だな……祥鳳のやつ……」
磯風 「しかし、その祥鳳さんの様子がおかしいと……」
高雄 「はい。あくまで私の憶測ですが、その件で提督に相談されようとしていたのかと……」
提督 「なるほど……高雄、どこに行けば祥鳳に会える?」
高雄 「もう少ししたら、こちらに艦載機を飛ばしに来られますよ。この鎮守府近海に異常が無いかを調べてもらっているんです。簡単に言えば、朝のパトロールですね。」
提督 「なるほど……わかった。俺は此処で直接祥鳳と話するから、那智と磯風は補給をさせてもらってこい。」
那智 「わかった。高雄……すまないが、燃料を少し分けてもらえないだろうか?」
高雄 「もちろん、構いませんよ。普段は私達が頂いてますし……」
磯風 「では、司令。祥鳳さんのことは任せたぞ。」
提督 「おう。やれる範囲で何とかしてみるよ。」
~ 数分後 ~
祥鳳 「………… 」
提督 「よう。こんな朝早くから、ご苦労様です。」
祥鳳 「提督!?え……?どうして、こちらに……?あぅ……」アワアワ……
提督 「おっ、おぅ……とりあえず、落ち着け?まずは当初の目的通り艦載機を発艦したらどうだ?」
祥鳳 「あっ……そうですね。第1次攻撃隊、第2次攻撃隊、編成できる?じゃあ、随時発進してください!」
祥鳳の弓から放たれた矢が艦載機へと変化し、朝焼けの空へ飛んでいく。
祥鳳 「ふぅ……それで、提督……本当に、どうしてこちらに?」
提督 「いや、まぁ……先日の件のこと、改めて礼を言いたくてな。俺が拉致られた時、千歳とグラーフと一緒に助けに来てくれて、ありがとな。」ナデナデ
祥鳳 「あっ……///// いえ、だって……その前は私も、鎮守府を守り切れずご迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした。」
提督 「ん?その謝罪は先日聞いたような気が……まぁ、祥鳳も後遺症がないみたいだし、俺も生きてる!それでいいじゃねぇか。」
祥鳳 「提督……」
提督 「それより、本題なんだけど……実は昨日、本部で元帥に会ってる時にな……マナーモードにしてた携帯に、こんな感じで不在着信が……」
後輩提督 ・不在着信 10:00
後輩提督 ・不在着信 10:00
後輩提督 ・不在着信 10:00
後輩提督 ・不在着信 10:01
祥鳳 「これは……新手の嫌がらせですか?( ゜ ロ ゜;) 」
提督 「俺達は『 パラオ泊地で何か緊急事態勃発したのか!?』 とか思って、慌てて本部から此処まで来たんだが……実際、来てみたら総員起こし前で、まだ殆どの娘が夢の中という現状でな。」
祥鳳 「そうだったんですね。」
提督 「……で、ついさっきまで此処に居た高雄から、もしかして……という話を聞いたんだ。祥鳳の様子がおかしい……いや、元気が無いって。どうした?未だ瑞鳳に会えないのが、そんなにショックか?」
祥鳳 「それもあるのですが……梅雨の季節になると、いろいろと思い出してしまうんです。この季節は 『 私 』 が生まれ……そして、沈んだ季節ですから……」
提督 「……っ! そうか……すまん。知らんかったとはいえ、軽口を叩いてしまって……」
祥鳳 「いえ、そんな!提督は何も悪くありません!私も判っている……つもりなんです。過去は過去、今は今……そう、割り切ってしまうことができれば楽なんですけどね。」
提督 「そんな簡単に割り切れるモンじゃねぇだろ。昔のお前が沈んじまった季節なんだろ?そんなトラウマもんの史実……俺が祥鳳の立場だったら、梅雨が来る度に鬱状態になって、梅雨明けまで引き籠ってしまうだろうな。」
祥鳳 「提督……」
提督 「何とかこの……ただでさえジメジメした鬱陶しい季節に、楽しい思い出を残せりゃいいんだけど……そうだ!」
祥鳳 「どうされました?」
提督 「いや、気にするな。俺はちょっと那智達の様子を見てくるから、祥鳳はこのまま朝のパトロールを続けていてくれ。」
祥鳳 「はい……解りました。」
◇◇◇
パラオ泊地 ・ 工廠
提督 「妖精さん達、起きてるかな……?」
妖精さんA 「あっ!ていとくさん!すごくひさしぶりなのです!」
妖精さんB 「はわぁ~!げんきにしてたです?」
妖精さんC 「ていとくさんがここにきたということは、けんぞうなのです!」
提督 「うん、そう……建造したいんだ。実はな……」
~ 提督 事情説明中 ~
提督 「……てな訳で、建造が運任せなのは解ってる。でも、俺の運を使って、瑞鳳をこちらにお招きしたいんだ。祥鳳のためにも。」
妖精さんA 「なるほど~。それでしょうほうさん、げんきなかったんですね。」
妖精さんB 「そういうことなら、おまかせなのです!ていとくさんのうんと、ボクたちのちからで、ずいほうさんをおまねきするです!」
妖精さんC 「この1かいのチャンスにすべてをかけて……くうぼけんぞうレシピ、いくです!」
建造時間 : 02:40:00
提督 「………!この建造時間は見覚えがあるぞ!確か、祥鳳もこの建造時間だったはずだ。これで残す課題は祥鳳が2人にならないことだが……」
妖精さんA 「ていとくさん!じぶんのうんをしんじるです!」
妖精さんB 「ガスバーナーつかっちゃうです!ふぁいやー!」
— 建造終了 —
「瑞鳳です。軽空母ですが、錬度があがれば、正規空母並の活躍をおみせできます。」
提督 「っしゃあおらぁぁぁぁぁ!!」
妖精さんA 「やったですぅー!」
妖精さんB 「いまのきぶんですか?さいこうにハイってやつだアアア!」
瑞鳳 「うわっ、びっくりした!えっと……あなたが此処の提督?」
提督 「あぁ……いや、すまん。今、妖精さんに本当の提督を呼びに行ってもらってるから、ちょっと待っててくれるか?」
瑞鳳 「う……うん。( じゃあ、この人……誰なんだろう? )」
妖精さんC 「ていとくさん。こうはいさんよんできたですぅ!」
俺達が瑞鳳の着任にMAXまでテンションを上げていた時に不在だった妖精さんが、寝間着姿の後輩を工廠へと連れて来た。
後輩提督 「ふあぁ……って、先輩!?」
提督 「お前な……アホみたいに留守電入れてんじゃねぇよ!まぁ、たぶん祥鳳のことで相談があったんだろうけど……」
後輩提督 「はっ、はい!そうなんです。いえ、今はそれよりも……何で建造を?その子が新しく着任した子なんですか?」
提督 「そうだ。ほら、あちらさんが君の提督だ。もう1度、挨拶してやってくれ。」
瑞鳳 「うん!初めまして、瑞鳳です。軽空母ですが、錬度があがれば、正規空母並の活躍をおみせできます。」
後輩提督 「はい。私が此処の提督です!……って、瑞鳳ちゃん!?」
瑞鳳 「そうだけど……皆、ちょっと驚きすぎじゃない?」
後輩提督 「先輩、もしかして………」
提督 「……もう総員起こしも終わる頃だろ?彼女は既に起きてたけど……食堂で瑞鳳ちゃんを紹介してやれ。」
後輩提督 「はい!それじゃあ、瑞鳳ちゃん。食堂に案内するね。」
瑞鳳 「うん!お願い。」
†††
パラオ泊地 ・ 食堂
後輩提督 「というわけで、今日から新しく着任してくれる、瑞鳳ちゃんです!」
瑞鳳 「瑞鳳です!よろしくお願いします!」
阿武隈 「ちょっと、てーとく!?いつの間に建造したんですか!?」
後輩提督 「違うの!私も妖精さんに言われるまで知らなくって!建造していたのは……」
食堂に居た全員の視線が一斉に俺の方に向けられる。
那智 「司令官………貴様、いくら此処が元々自分の鎮守府だったとはいえ、好き勝手なことをするのはどうかと思うぞ?」
提督 「はいはい、以後気をつけるよ。とにかく疲れた……殆ど寝てないし。ちょっと仮眠室借りるぞ。」
後輩提督 「はい!先輩、お疲れ様です!」
— 提督 退室 —
瑞鳳 「えっと……まだ、よく解ってないんだけど……あの人は一体?」
後輩提督 「先輩は元々、此処で提督をしていたんです!その時の初期艦がそちらの那智さんです。今は少しワケがあって、違う鎮守府で提督をされていますが……」
瑞鳳 「そうなんだ……」
高雄 「提督も気になるかもしれませんが……ほら、瑞鳳ちゃん。」
瑞鳳 「え……?」
祥鳳 「瑞鳳?やっと……やっと会えた……」涙目
瑞鳳 「もしかして……祥鳳お姉ちゃん!?本当に祥鳳お姉ちゃんなの!?久しぶりだね!」
祥鳳 「えぇ……本当に……会えて嬉しいわ、瑞鳳。」涙目
阿武隈 「え?えぇ!?祥鳳さんの妹さんなんですか!?それじゃあ、那智さん達の提督さんは………」
高雄 「おそらく、祥鳳さんと話された後で、工廠へ直行したのでしょう。」
那智 「そういえば以前、瑞鳳の姿を本部か舞鶴鎮守府で見かけたら真っ先に連絡するとか……そんな感じの約束をしていたな。それをまさか、こんな形で有言実行するとは……」
磯風 「よかったな、祥鳳さん。今日が妹さんと再会できた記念日になるのだな。」
祥鳳 「えぇ!今日が記念日…………っ!提督……」/////
◇◇◇
パラオ泊地 ・ 仮眠室
提督 「………」
祥鳳 「失礼します。提督、起きてますか?」
提督 「……ん?祥鳳か……どうした?せっかく妹さんに会えたんだから、こんな野郎の所に来なくても……」
祥鳳 「提督、ありがとうございます!ちゃんと瑞鳳に会わせてくれて……約束を守ってくださって。」
提督 「ん?あぁ……そういや何かそんな約束もしてたような気がする……まぁ、何にせよ、良かったな。梅雨にまた1つ思い出ができたじゃねぇか。」
祥鳳 「やっぱり、気にかけてくださっていたんですね。」
提督 「そりゃまぁな。確かに梅雨の季節に 『艦 』 だった祥鳳は沈んだ……これは揺ぎ無い事実なんだろう。けど、今のお前はまだ梅雨の季節をこうして生きていて……その季節に瑞鳳に会えた。それに、このまま生きて来年を迎えれば、妹さんに誕生日だって祝ってもらえる……ほら、良いことづくめだ。」ナデナデ
祥鳳 「提督……」/////
提督 「過去のことを忘れろ……とか、そんなことを言うつもりはないけど、祥鳳……今をもっと楽しめ!まぁ、戦時中だから楽しいだけってわけにはいかねえけど……」
祥鳳 「そうですね……瑞鳳にも会うことができましたし、他にやりたいことができましたので、今度はそちらに力を入れてみようと思います。」
提督 「おっ!新しい目標ができたのか。内容は敢えて訊かないけど……前向きになれたみたいだな。その調子で頑張れよ、祥鳳。」
祥鳳 「はいっ!」ニコッ
*****
更に数日後……
鎮守府 ・ 執務室。
提督 「はぁ……ここ最近、いろいろありすぎて、流石にちょっと疲れたな……」
那智 「ふふっ、お疲れの様だな、旦那様。幸いと言って良いのか、今は特に急ぎの用事はないからな、少しゆっくりするといい。」
提督 「あぁ……そうさせてもらうとするかな……」
磯風 「失礼する。司令、御客人だ。」扉開け
提督 「客人?はて……今日は誰とも会う約束は無かったはずだけど……」
扶桑 「失礼します。」
提督 ・ 那智 「「扶桑!」」
扶桑 「提督。約束通り、レイテを突破して参りました。」
提督 「そうか。単調な誉め言葉になるが……よく頑張ったな、お疲れ様。」ニコッ
扶桑 「はい。そして、約束通り……本日より、提督の指揮下戦列に復帰させていただきます。改めて、宜しくお願いしますね。」ニコッ
那智 「約束?司令官、舞鶴で何かあったのか?」
提督 「……悪い。説明すんの忘れてた。実は……」
~ 提督 事情説明中 ~
その間、扶桑の頬がほんのり朱に染まっていた。
那智 「……なるほど。そんな話をしていたのか。」
磯風 「それで無事にレイテ沖を突破した扶桑さんが戻ってきてくれたというわけか。それは嬉しいのだが、しかし……」
那智 「あぁ。元帥や司令官の友人である舞鶴提督はともかく、よくあの山城が許してくれたな。それに、西村艦隊の仲間も居たのだろう?」
扶桑 「えぇ、実は…………」
***†††***
舞鶴鎮守府 ・ 食堂
最上 「それじゃあ、レイテ沖突破を祝して……」
西村艦隊 「「「「「かんぱーい!!」」」」」
時雨 「それにしても、今回の扶桑は本当に大活躍だったね。」
最上 「うんうん。敵のボスを轟沈させたんだもんね。」
山城 「さすが、扶桑姉さまです!見事な戦いぶりでした!」
扶桑 「そんな……運が良かっただけよ。」
満潮 「こんな時まで謙遜しないの!……扶桑の頑張りは、ちゃんと認めてるんだから。」/////
扶桑 「うふふ。ありがとう、満潮。あなたも立派だったわよ。」ナデナデ
満潮 「……ふん!」/////
青葉 「どもっ!青葉です!皆さん、レイテ沖突破、おめでとうございます!」
山城 「あら?祝福してくれるの?ありがとう、青葉。」
青葉 「えぇ。かなり過酷な戦線だと伺ってますので。それで!?ラストアタックを決めたのは……」
時雨 「扶桑だよ。さすが旗艦だといった戦いぶりだったよ。」
青葉 「やはりそうでしたか!おめでとうございます、扶桑さん!これで司令官の下に戻れますね!」
扶桑以外 「「「「…………え?」」」」
扶桑 「青葉さん……御存知だったのですか?」
青葉 「はいっ!先日、司令官と入渠ドックの壁に背中合わせで……ロマンチックですねぇ。……って、あら?もしかして、皆さんに説明はまだでしたか?」
時雨 「扶桑……どういうことか、説明してくれるかい?」
扶桑 「……そうね。実は………」
~ 扶桑 事情説明中 ~
時雨 「そっか……山城と僕がドックから出た後、そんな話を……」
扶桑 「ごめんなさい。でも、どうしても提督の力になって差し上げたくて……」
最上 「扶桑の言ってる提督って、この前ボク達を助けてくれた艦隊を指揮してた人だよね?」
満潮 「ふぅん……まぁ、いいんじゃない?作戦は無事に終わったんだし。鎮守府が変わっても、お互いに生きていればまた会えるでしょ?」
最上 「そうだね。何より、扶桑が自分で決めたことだもん。ボク達は全力で応援するよ。」
時雨 「うん。正直に言うと、ちょっと寂しい気はするけど……満潮の言う通り、お互いに無事ならまた会えるんだ。僕も扶桑があの提督に戻ることに賛成するよ。」
青葉 「そして、当然のように物静かな山城さんですが……やっぱり反対ですか?」
山城 「え?いえ、そんなことないわよ。扶桑姉さまはあの提督の下へ戻られるのでしょう?あの提督ならギリギリ及第点といった感じかしら……まぁ、安心して任せられるのは確かだから、特に心配をしてないだけよ。」
満潮 「山城にそこまで言わせるなんて……本当に心配いらないみたいね。」ホッ……
扶桑 「みんな……ありがとう。」ニコッ
青葉 「はいは~い!それじゃあ、司令官の下へ行く扶桑さんに、餞別があります!」
扶桑 「餞別?」
〇 餞別品A : 扶桑改二設計図
〇 餞別品B : 秋雲力作!司令官と那智さんの情事を忠実に描いた同人誌
青葉 「どうぞ!こちらをお持ちください!」
扶桑 「あ……ありがとう。設計図は解りますけど、この本は……?」
青葉 「ふふふ……司令官と那智さんのアンアンキシムサウンドをノンフィクションで描いた、オウタムクラウド先生渾身の作品になります!」
満潮 「没収!」/////
青葉 「あぁっ!?」
山城 「あぁっ!?じゃないわよ!あんた、扶桑姉さまに何持たせようとしてんのよ!?」/////
青葉 「あわよくば、御本人達の目にも入れておく必要があるかな~?と思いまして……それに、気になりませんか?司令官と那智さんの夜の営みの内容……」
山城 「気にならないわよ!他人の情事の内容なんて……ですよね?扶桑姉さま!」
最上 「うわっ……これは……凄いね。」/////
時雨 「うん……なかなか……純愛っていうのがまたいいね……」/////
扶桑 「そんなに?」///// チラッ……チラッ……
山城 「扶桑姉さま!?Σ ( ゜ ロ ゜;) 」ガビーン!
金剛 「Hey!西村艦隊のみなサーン!enjoyしてますカー!?」
満潮 「あっ、金剛さん。」
金剛 「What?みなサン、何読んでるデスか?」つ本 取り上げ
時雨 「あっ……それは……」
金剛 「~~♪……!?なっ……ななな!?こっ、これ……もしかして、テートクの友人さんと、ナッチーですか?」/////
最上 「そうらしいよ。どうやって、その内容を入手したのかは謎だけれど……」/////
金剛 「うぅ~~~っ!羨ましいデース!私もテートクとこんなことしたいデース!バーニング・ラヴしたいデース!」
山城 「まぁ、あの2人がこうなるのは必然だったのよ。あなたと此処の提督とはまた違うのだから……諦めなさい。」優しい目
金剛 「嫌デース!こうなったら、仕方ありまセン……今から提督に抱いてもらうデース!!」
満潮 「え?あっ、金剛さん!?……嵐のように来て、嵐のように去って行ったわね……」
時雨 「しかも、ちゃっかり本まで持って行っちゃった……」
扶桑 「とっ……とにかく、皆、本当にありがとう。私、あちらでも頑張ってくるわね。」
山城 「はい!応援してます、扶桑姉さま!」
~ 回想終了 ~
***†††***
扶桑 「……ということがありまして。」
提督 「青葉ぁ……」
那智 「あいつめ……今度会ったら、ただじゃ……それより、舞鶴の提督殿は……その、大丈夫なのだろうか?」
提督 「リア友もあれでタフだからなぁ、きっと大丈夫だろ。……念のため、後で安否の確認の電話を入れておくか。」
扶桑 「そうですね……私があちらを発つときは、音沙汰が無い状態でしたので、おそらく……」/////
提督 「マジか……まぁ、とにかく!改めてよく戻って来てくれた。また……もう1度、那智と磯風と共に俺を支えてくれ、扶桑。」
扶桑 「はい、お任せください!ところで……蒼龍さんと大和さんは?」
提督 「ちょいと訳ありでな……今、本部で元帥の指揮の下、頑張ってくれているよ。だから、此処に居るのは俺達4人だけだ。」
扶桑 「そうでしたか。」
「なら、私も入れてもらって5人ですね。」
全員 「「「「……え?」」」」
その場に居た全員が執務室の扉の方へ向けると、また良く見知った姿がそこに立っていた。
提督 「祥鳳!?お前、何で此処に……」
祥鳳 「瑞鳳に会うことができて満足しましたので。あちらは妹に任せて、私は提督の力になるため、戻って参りました。」
提督 「戻って来たって……もしかして、先日言った 『 他にやりたいことができました 』っつうのは……」
祥鳳 「はい♪ 軽空母、祥鳳型 1番艦 祥鳳。提督……改めて、また皆さんと一緒に戦うこと、許していただけますか?」
提督 「…………俺には断る理由なんて、どこにも無いが……皆はどうだ?」
那智 「私も断るつもりも、祥鳳を追い返すつもりもない。また、私達に力を貸してくれ、祥鳳。」ニコッ
磯風 「今日は嬉しいことが続くな。扶桑さんと祥鳳さんが戻ってきてくれた……あなた達とまた共に戦えることを光栄に思う。」ニコッ
扶桑 「私に祥鳳さんを悪く言う権利などありません。あの件以降、御会いできていませんでしたが……祥鳳さん、あなたも無事で良かった。これからはまた共に提督を支えてさしあげましょう。」ニコッ
祥鳳 「皆さん……ぐすっ……ありがとうございます!」涙目
提督 「しかし……扶桑の方はまぁ、そういう約束をして、リア友提督とも話をしていたけど……そっちはよく許してもらえたな。あいつのことだ……そうとうゴネたんじゃねぇか?」
祥鳳 「えっと、実は……」
***†††***
パラオ泊地鎮守府 ・ 食堂
瑞鳳 「お昼です!提督、お弁当広げましょ♪ 私の作った玉子焼き、食べるぅ? 」
後輩提督 「食べりゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
阿武隈 「食べりゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
高雄 「あらあら……元気ですね。」
祥鳳 「えぇ、すっかり打ち解けているようで安心しました。……あの、提督さん。」
後輩提督 「ふぁい?ふぉうふぃふぁの?」
祥鳳 「……口の中の玉子焼き、飲み込んでから話してください。こほん!改めて……提督さん、こちらの空母は妹の瑞鳳が居れば大丈夫ですよね?」
後背提督 「ふぇ?」
瑞鳳 「お姉ちゃん?」
祥鳳 「提督さん……お願いがあります。私が提督の下へ戻ることを許可していただけませんか?」
後輩提督 「ん?先輩の所へ?」
高雄 「そういえば、那智さんから聞いたのですが……現在、諸事情により大和さんと蒼龍さんが海軍本部へ異動されたため、現在あちらには那智さんと磯風ちゃんしか居ない状況になってなっているそうです。」
阿武隈 「え?空母と戦艦の戦力が一気に居なくなっちゃったの?それは大変ですねぇ。」
祥鳳 「え?私もそれは初耳なんですけど………とっ、とにかく!私は蒼龍さんのような正規空母ではありませんが、提督の力になってあげたいんです!」
後背提督 「なるほど……確かに先輩の所はいろいろ大変だからねぇ。うん!そういうことなら、是非とも先輩や那智さん、磯風ちゃんの力になってあげて!大丈夫!こっちの執務は私と……うん、高雄さんがメインで何とかしてみせるから!」
高雄 「Σ ( ゜ ロ ゜;)!? 」
祥鳳 「はいっ!……瑞鳳、ごめんなさいね。せっかく再会したのに、我儘な姉で。」
瑞鳳 「ううん。私も提督と同じ意見だよ。あの提督さんの所には今、空母の方が居ない状況なんでしょ?だったら、私のことは心配しないで!お姉ちゃんは向こうの提督さんの力になってあげて♪ 」
祥鳳 「えぇ……ありがとう、瑞鳳。」涙目
~ 回想終了 ~
***†††***
祥鳳 「…………といった感じで、『面倒な手続きは私と高雄さんに任せて!』と、快く送り出してくださいまして……」
提督 「シレっと面倒事に巻き込まれてる高雄が不憫でならねぇ……。・゜・ ( / Д ` ) ・゜・。 」
祥鳳 「あはは……あっ!瑞鳳から餞別として頂いた玉子焼きがあるのですが、よろしければ皆さんで召し上がりませんか?」
提督 「おっ……良いのか?」
祥鳳 「はい。最初から気遣ってくれたのか……単に作りすぎたのか、いっぱいありますから。」
那智 「ふむ……ならば、私も頂いこうかな。」
磯風 「じゃあ、私も。」
扶桑 「では、ありがたく頂きますね。」
提督 「もぐ……うん、美味いな。ほんのり甘くて……」
那智 「……司令官。部屋から酒を持って来ても……?」
提督 「駄目に決まってんだろ。勤務中だぞ。」
那智 「うぅ……絶対に合うのに……」
磯風 「しかし、本当に美味しいな……これが、プロの技というものか。」
祥鳳 「本職は軽空母なんですけど……」
扶桑 「うふふっ、御馳走様でした。瑞鳳さん……でしたか?美味しかったと御伝えください。」
那智 「あぁ。可能なら、酒のつまみに定期的に送ってもらいたいものだ。」
磯風 「ふふっ、パラオ泊地に行く楽しみが1つできたな。」
祥鳳 「そんなにですか?うふふっ、きっと瑞鳳も喜びます。ちゃんと伝えておきますね。」
提督 「………それにしても、2人のウチへの異動が思ったよりスムーズにいって良かったな。……おかえり。扶桑、祥鳳。」
扶桑 ・ 祥鳳 「「はい。ただいま戻りました、提督 ♡ 」」 /////
*****
その日の夜 二二〇〇
鎮守府 ・ 執務室
提督 「ふぅ……本日の業務、終了っと……」
那智 「お疲れ様、旦那様。最後に見ていたのは……扶桑の改二の設計図か?」
提督 「俺もいずれは自分で手に入れようとしてたんだが……ずいぶん、大盤振る舞いしてくれたなって、思ってな。今度、改めてリア友提督には礼を言わないと。」
那智 「ふふっ、そうだな。とりあえず、艦隊の編成はこれで完了するのか?」
提督 「あぁ。那智 ・ 磯風 ・ 扶桑 ・ 祥鳳 の4人を俺の自慢の艦隊の基本要員とする!まぁ、他の皆を蔑ろにするつもりはないから、今回の扶桑や祥鳳みたいに、こっちに来たいって意見があれば随時聞くようにするけど……皆、各地で姉妹艦や気の合う娘達と仲良くしているみたいだからな……強制をするつもりは微塵も無いさ。」
那智 「承知した。しかし……ふふっ、『 自慢の艦隊 』か。ならば、その栄誉に恥じぬよう尽力せねばな。」
提督 「紆余曲折あったけど、ようやくスタートって感じか……俺も自分でそう豪語したんだ。もう少し、しっかりしねぇとな……」
那智 「頼りにしているぞ、旦那様。……さて!本日の業務も終わったことだし………」
那智に手を引かれ、ソファの上に座らされると……隣に彼女が座り、俺の左側面にしな垂れ掛かってくる。
提督 「えっと…………那智さん?まさか……」
那智 「察しが良いな。旦那様が他の3人とこういう関係になるのは、まだ時間が掛かるだろうからな……今だけはまだ、私を愛でてもらわねば……」/////
提督 「……せめて、俺の部屋に行かねえか?」
那智 「…………待てない♡ 」/////
◇◇◇
翌朝 〇七〇〇
鎮守府 ・ 食堂
提督 「」チーン
磯風 「司令……もしかして、またか?」/////
提督 「」コクン……
扶桑 「提督も大変なのですね……お疲れ様です。」/////
祥鳳 「あ……提督が朝食のオムレツにかかってるケチャップに指を付けて、それで文字を……えっと、『 もう出ない 』……ですか。」/////
磯風 「これは……ダイイングメッセージのつもりなのだろうか?」
扶桑 「えっと……今、提督に倒れられると困るのですけれど……」
提督 「大丈夫……日常業務……できる……」
祥鳳 「何で片言なんですか……?とりあえず……少し休まれてはどうですか?急ぎの業務は今のところ、ないのですよね?」
提督 「いや、そんなことで休んでられねぇよ。あれだ……後で酒保でそういう用途のドリンクを買って飲むよ。」
磯風 「司令がそれで大丈夫なら、問題無いのだろうが……」
そう……こんなところでヘバっていられない。たとえ那智に絞り採られようとも……
こんな俺のために力を貸してくれるうえに、慕ってくれる彼女達のためにも、ちゃんと執務はしないと……
そう思いながら、俺は自分の自慢の艦隊を運営するため、軋む体を動かしながら酒保へと足を運んだのだった。
艦これのゲームで1-4……南西諸島防衛線で、最近着任した蒼龍の練度を上げていた時……ボスをS判定でクリアした瞬間、ドロップした幼子……
彼女の名は 『 松輪 』
Twitterのフォロワーさんによると、潜水艦相手に強く出られるそうなので、ある程度練度を上げたら1-5で潜水艦を倒しまくり
扶桑さん改二の設計図を得るために、あと3つ……頑張って勲章を持って帰って来てもらいたいものです。
……さて!ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!そして、お疲れ様です。
本作でも述べましたが、紆余曲折を経て、那智・磯風・扶桑・祥鳳を基本メンバーとして今後物語を綴らせていただこうと思います。
もちろん、他の艦娘の場面・状況に応じて登場させるつもりです……なかなか出し辛い娘も正直、居るのですが……
この4人に絞ったのは……ぶっちゃけ、俺の好みです!那智と磯風は言わずもがな、扶桑さんと祥鳳さんってマジで美人だと思うんですよねぇ。
……運営さん。確かに妹の瑞鳳は可愛いと思います。が、時報や改二と妹ばっかり優遇しないで、祥鳳さんにもそろそろ何かあげてください。
梅雨のイラストだけじゃ、俺は満足できないです。ほら!艦爆を投げていじけてるじゃないですか!
……こほん。そういうわけですので、今後は提督と上記4名をメインに時に戦い、大いにふざけて、そしてゲームでも作中でも絆を深めていければいいなと思ってます。
ではでは!最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。また次回……不定期ですが、また何か思いついて投稿した時に、御会いしましょう。
それでは!お疲れ様でした。
どうもです。お疲れ様です。
扶桑・祥鳳が、思慕を寄せる提督の元へ戻ることができて、本当に良かったです。
と思いきや、今度は大和と蒼龍が抜けてしまいましたか...苦労が尽きないですね、
提督?
那智はお酒に加えて、別の"こと"にも酔い始めたということでよろしいですね?
(ニヤニヤ)
また現在の仲間や、前の仲間たちと
おふざけして、仲良くやって行くことのを楽しみにしています。
失礼しました。
コメントありがとうございます!ありがとぉございますぅぅぅ!
とりあえず、提督の苦労……艦娘の変動に関してはこれで一段落ですが
他のことで……エナジードリンクは提督の友達。
扶桑と祥鳳、無事復帰です!個人的に美人で可愛いといこの御二方の魅力を
微力ながらに、表現していければなぁ……と思います。
提督と那智の 『 関係 』 は、より強固なものになっていってますです!別の意味のエナジードリンクも提督の友達。
今後も提督や彼女達のゆるぅい日常物語を、気長にのんびりと楽しんで頂ければ幸いです!
お久しぶりですぅ!
いやぁ体調が回復してきたので
復活いたしました( ´∀` )b
名前が出てきた時は嬉しくてにやけましたよw
この作品で是非とも活躍させてあげてくださいね(*´・∀・)ノ
また更新楽しみにしています(゚∀゚ 三 ゚∀゚)
おぉぉ!コメントありがとうございます!
体調を崩されていたのですか!?ですが、無事に回復されたようで何よりです。
自分で武蔵を話題に出そうとした時、真っ先にCQC中毒さんの提督と武蔵が頭の中を過ったので使わせていただきました。
現在、扶桑さんと祥鳳さんとの仲を深める話をちょっと優先していますが、それが済み次第
またありがたく使用させていただきたいと思います!
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