No7 提督 『 ジュークボックスで遊ぼう 』
鎮守府に人数が増えてきたある日、提督はある我慢の限界を迎える。
今までは場の雰囲気のために耐えてきたが、もう耐えられない。
無音の執務室に耐えかねた提督は、ジュークボックスの導入を決意する。
どうも!柔時雨です。
前回からさほど日を開けずに投稿できたこと……自分でも驚いています。
GWに何も予定が入って無かったっていうのも大きな理由の1つでしょうね……まぁ、1番の理由は『 何か知らんが、ネタが舞い降りた!』……ですかね?
昔の人は 『 良い考えは雪隠 ( せっちん = トイレ )で思いつく 』なんてことを言ったそうですが……俺はベッドの上で、よく思いつきます。
ホント、寝落ちして翌日にネタを忘れた!……なんてことが無くて、心底ホッとしています。
それでは、相も変わらずですが!覗きに来てくださった皆様に、少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。
どうぞ、ゆっくりしていってください。
鎮守府 ・ 酒保
提督 「ん~……」
那智 「ん?司令官?此処で会うのは珍しいな。どうしたのだ?」
提督 「いや、ちょっとな……実は、書類仕事をするのは良いんだけど、無音の空間ってヤツに耐えられなくなってきてな。何か音楽を流そうと思って、ジュークボックスを買おうと思ったんだが……これがなかなか可愛くない値段してやがるんだよ。」
那智 「あぁ……確かに………」
長門 「購入が難しいのであれば、工廠の妖精さんに相談してみたらどうだ?確証は無いし、できるという保証も無いが……鋼材を少し渡せば案外作ってくれるかもしれないぞ?」
那智 「そうだな。私達の艤装の整備や艦娘を1から建造することに比べれば、簡単だろうからな。」
提督 「ふむ……確かに……ありがとう、2人共。ちょっと、工廠に行ってくる。駄目だったら……そん時は自腹で何とかするよ。」
*****
鎮守府 ・ 工廠
提督 「妖精さん。ちょっといいか?」
妖精さん 「はいはぁ~い!どうしたです?ていとくさん。けんぞうするです?」
提督 「いや、今日は建造じゃないんだ……ん?いや、物を作ってもらうから建造なのか?」
妖精さん 「ものづくりですか?なにがほしいのです?」
提督 「えっと、ジュークボックスが欲しいんだ。酒保にも売ってるんだけど、ちょっと手が出せない値段でね……それで妖精さんに作ってもらおうと思ったんだけど、頼めるかな?」
妖精さん 「おやすいごようなのです!かんたんなのです!すぐにできるから、そこでまっててください。」
提督 「ありがとう。さっき酒保でお菓子を買っておいたから、此処に置いておくよ。」
妖精さん 「ありがとうです!うおぉぉぉぉ!やるきがみなぎってきたぁぁぁ!」
~ 数分後 ~
妖精さん 「できたのです!」
提督 「おぉ、ありがとう。早速こいつを執務室に……」
妖精さん 「ちょっとまってほしいのです。すこしせつめいをしておくことがあるのです。」
提督 「説明?」
◇◇◇◇◇
鎮守府 ・ 執務室
提督 「——————……ってなわけで、妖精さんに充電式のジュークボックスを作ってもらいました。」
五十鈴 「それは良いんだけど……まさか、それを自慢するために、わざわざ私達全員を執務室に呼んだの?」
提督 「違う、違う!そんな嫌味な真似しねえっつうの!こいつを使うにあたって、ちょっと説明があるから呼んだんだよ。」
筑摩 「説明……ですか?」
扶桑 「確かに、そもそもそれの使い方自体解らないですし……」
提督 「あっ……そこからですか。まぁ、扶桑には後でゆっくり説明するとして……実はコレ、売られてるヤツじゃなくて妖精さんに作ってもらったヤツだから、本部……大本営?さんが事前に用意してくださっているという曲が1つも入ってない。」
矢矧 「そうなの?ということは、現状ではただの置物状態ということなのね。」
提督 「そういうこと。その代わり、こいつには動画投稿サイトに投稿されている曲なら演歌だろうが、最近流行りの曲だろうが、アニメの曲だろうが、電子の歌姫の曲だろうが……とにかく、何でも入れることができるんだ。」
早霜 「何でも……ですか……」
提督 「おう。曲は最大500曲まで入るらしい。まぁ……そこまで埋まるのはもっとずっと先だけど、MAXまで入ったら、妖精さんがアップデート……えっと、つまり更新してくれて、また何曲か入力 ・ 登録できるようにしてくれるそうだ。」
長門 「随分と大盤振る舞いしてくれたんだな。」
提督 「まったくだ。もう、工廠に足を向けて眠れねえよ……とにかく、曲の入れ方を今から説明するから。気が向いた時にでも何か入れて、俺を楽しませてくれ。」
艦娘達 「「「「「 ( ゚ ∀ ゚ )ゞ 」」」」」ビシッ!
提督 「それじゃあ、解散。とりあえず、最初は俺に使わせてくれ。」
磯風 「もちろんだ。最初は所有者である司令が使うべきだ。その間に、私達はそれに入れたい曲でも考えるかな。」
祥鳳 「どんな曲を入れましょうか……こうして考えることも、皆さんがどのような曲を入れるのか……それを考えるだけでも、楽しい気分になりますね。」
皆が部屋から出て行った後、俺は椅子から腰を上げ、早速ジュークボックスへと歩み寄る。
那智 「それで?司令官はどのような曲を入れるんだ?」
提督 「そうだな……とりあえず最初だし、何か軍歌っぽい曲でも入れてみるか。」
【 さらば慢心 】
~♪
那智 「これは……どことなく聞き覚えのある感じの曲が……」
提督 「曲も好きだけど、歌詞の内容が教訓というか……共感できるものだからな。個人的にすごく気に入っている。」
那智 「…………独唱している司令官は、なかなか美声だな。」
提督 「那智もそう思うか。とりあえず、こんな感じで曲を入ればいいから。那智も気が向いた時にでも使ってくれ。」
那智 「あぁ……気が向いたらな。」
†††††
翌朝 〇七〇〇
鎮守府 ・ 執務室
提督 「くあぁぁ……さてと、今日も1日頑張りますか……ん?ジュークボックスに新しい曲が1曲入って……ちょっと聞いてみるか。」
【 日本全国酒飲み音頭 】
酒が飲める 酒が飲める 酒が飲めるぞぉ~ ( ゚ ∀ ゚ )o彡゜
酒が飲める飲めるぞぉ~酒が飲めるぞぉ~ ( ゚ ∀ ゚ )o彡゜
提督 「なぁぁぁちぃぃぃぃぃ!!(# ゚ Д ゚) 」
長門 「どうしたのだ!?執務室の外まで声が聞こえていたぞ、提督。」
提督 「長門!今すぐ那智を此処に呼んでくれ!ちょっと話し合わなきゃいけねえ事ができた!」
長門 「う……うむ、事情は解らんが……わかった。すぐに呼ぼう。」
~ 数分後 ~
那智 「」 正座
提督 「いや、確かに俺は皆に好きな曲を入れて良いって言ったよ。どんな曲が入っていても、ちゃんと聞くつもりでもいたさ。けど……俺が下戸だからとか、そういう話は一切関係無くて…… こ こ し つ む し つ!!(# ゚ Д ゚) 」
長門 「これは流石に、提督の意見が正しいな……」
那智 「何故バレた………?」
提督 「何でバレないと思った?はぁ……まぁ、入れちまったモンは仕方ない。お前が来るまでの間に少し、試しにこの曲を流して書類と向き合ってみたが……横でおっさん達が酒飲みまくってる状況で、仕事できるかぁぁぁ!」
長門 「何か言い分があるのなら 『 一応 』 聞いてやるが?」
那智 「……よ……良かれと思って……」
提督 「まったく……とりあえず、お前には2週間禁酒の罰を与える!」
那智 「なっ……!?2週間だと!?」
提督 「当たり前だ!むしろ、それくらいで済んだことを有り難く思え!1ヶ月便所掃除や独房送りに比べれば優しいモンだろうが!」
那智 「それはそうだが……仕方ない。確かに、酔った勢いで登録してしまった私に非があるな。その罰を甘んじて受けよう……」ショボーン
長門 「酔った勢いって、お前……」
提督 「まぁ、花見や宴会の席で流せば盛り上がるだろうからな……移動させ易いように、そのうち妖精さんに取り外しできる車輪を作ってもらうか。」
◇◇◇◇◇
数分後……
祥鳳 「失礼します。提督、ジュークボックスに曲を入れさせてもらっても、いいですか?」
提督 「おう、いいぞ。」
祥鳳 「それじゃあ……あら?もう既に2曲入って…………提督、この2曲目は執務室で流すにはどうかと……」
提督 「俺じゃねえよ!何か言いたいことがあるなら、ウチの最古参の重巡洋艦様に言ってやってくれ。」
祥鳳 「あぁ、那智さんでしたか。それなら納得です……まぁ、この際それには目を瞑るとして、早速……♪」
【 ゆめいっぱい 】
~♪
提督 「おっ……これは知ってるぞ。確かちび〇子ちゃんの初代OPだったよな?」
祥鳳 「はい!曲と歌詞が好きなんです。けど……まさか御存知だったとは意外でした。かなり古い曲ですよ?」
提督 「今は動画投稿サイトやテレビなんかで昔の作品も見れるからな。俺が生まれる前のアニメや歌もそこそこ知ってるぞ。個人的に、主人公とお姉さんと親父の3人で遊園地に行く話が1番好きだ。」
祥鳳 「あぁ……ありましたね、そんなお話。」
提督 「とにかく……ちゃんとした曲を入れてくれて、ありがとう。せっかくだし、満足するまで聞いていくといい。」
祥鳳 「はい。ありがとうございます。」
゜+。:..:。+゜ ◇◇◇ ゜+。:..:。+゜
一五〇〇
扶桑 「提督。先程、厨房で羊羹を作ってみたんです。試食していただけませんか?」
提督 「え?羊羹って一般家庭で作れるモンなのか?ありがとう、ちょうどいい時間だし……うん、いただくよ。」
扶桑から小皿を受け取り、横に添えてあった木製の小さなナイフで羊羹を切り、口へ運ぶ。
提督 「……美味い!店で売られてるのより甘さがクドくなくて、俺はこっちの方が好きだな。」
扶桑 「そうですか。うふふ、喜んでいただけたようで何よりです。」
提督 「皆が出撃や遠征から戻ってきたら、振舞ってやったらどうだ?きっと喜んでもらえると思うぞ。」
扶桑 「はい。そうさせてもらいます。ところで、ジュークボックスに少しは曲が入りましたか?」
提督 「あぁ。今は3曲入ってるぞ。扶桑も入れていくか?」
扶桑 「そうですね……まずはこれらの曲を聴いてから、それから入れさせてもらいますね。」
♪♪♪ 数分後 ♪♪♪
扶桑 「…………あの、提督……2曲目は、ちょっとどうかと……」
提督 「祥鳳にも同じこと言われた……文句や意見は那智に言ってやってくれ。」
扶桑 「あっ、3曲目は祥鳳さんが入れられたんですか。こちらは可愛い曲ですね。それでは、私も……えっと、確か……こうやって……」
【 どんなときも 】
~♪
提督 「これはまた、有名どころを入れてきたな。」
扶桑 「はい。曲や歌手さんの声が綺麗で……何より、この曲を聴いていると、元気が貰えるような気がするんです。」
提督 「わかる。この人の歌は俺も好きだな。カラオケに行ったら、大体1曲は必ず何か入れるわ。」
扶桑 「カラオケですか……私、まだ行ったことないです。」
提督 「そっか……そのうち、皆で行けたらいいな。」
扶桑 「うふふ。そうですね。」
*****
提督 「那智には驚かされたけど、祥鳳も扶桑も真面目な娘で良かった……この調子なら、問題無く仕事ができそうだ。」
早霜 「失礼します……司令官、遠征から帰投しました。」
提督 「おう、お疲れ……って、あれ?五十鈴は?確か、旗艦はあいつだったよな?」
早霜 「五十鈴さんでしたら、成果を工廠へ運び込んだ後、矢矧さんに呼ばれて……代わりに私が報告するよう、お願いされました。」
提督 「あぁ、そういうことか。それで報告は……成果を工廠へってことは成功したみたいだな。」
早霜 「はい……上々でした。定期的に搬入される量の少ないボーキサイトをそれなりに得ることができたのは、大きな収穫ではないかしら?」
提督 「そっか、ボーキを……ありがとう。おかげで当分は悩まされずに済みそうだ。うん、お疲れ様。さっき、扶桑が羊羹を作ってくれているから、食堂で貰うと良い。」
早霜 「扶桑さんのお手製ですか……楽しみです……では、失礼……あっ、司令官。」
提督 「ん?何だ?」
早霜 「私も……ジュークボックスを使わせてもらっていいですか?」
提督 「あぁ、いいぞ。聞いても良いし、登録してもいいぞ。」
早霜 「ありがとうございます。うふふ……何を入れましょうか?…………そうですね、最初ですし……これを……」
【 逆さまの蝶 】
~♪
提督 「…………あの、早霜さん。」
早霜 「何でしょう?司令官。」
提督 「もしかして、この間お前のことを死神って言ったこと……まだ怒ってたりする?」
早霜 「えっ……?それは先日謝っていただいたじゃないですか……どうして、急に……」
提督 「いや、だってこれ……某地獄流しアニメの初代OPだろ?早霜が何で知ってんのかは、この際置いておくとして……ひょっとしたら、まだ恨みを持ってるんじゃねえかと思って……」
早霜 「あっ、いえ……違います……!えっと……私、他の皆さんが聴かれるような速い曲調の歌や音楽にえっと……上手くノる……というのですか?ちょっと付いていけなくて、普段からこういったゆっくりとした曲を聴いているんです。」
提督 「あぁ、そういうことか……納得した。」
早霜 「ですが、提督……あんまり皆さんを困らせるようなことを続けられたら…………いっぺん、死んでみる?」
提督 「早霜……今度、長襦袢を買ってやろうか?」
早霜 「えぇっ……!?えっと……気持ちは嬉しいのだけれど、ちょっと持て余しそうですので、謹んで遠慮させていただきます……あの、ありがとうございます……?」
提督 「そうか?まぁ、とりあえず報告も聞いたし、この後予定が無いのならゆっくり休むといい。扶桑の羊羹も待ってるぞ。」
早霜 「あっ……そうでした。それでは、失礼しますね……」
◇◇◇
二〇〇〇
鎮守府 ・ 執務室
提督 「いやぁ……やっぱり、こいつを導入して良かったな。普段、皆がどんな曲を好んで聴くのか知ることができる。」
磯風 「失礼する。司令、夕食を持って来たぞ。」
提督 「え……っ!?まさか、磯風が……作ったのか……?(((((( ; ゚ Д ゚ ))))) 」
磯風 「何故、顔を引きつらせる?心配するな、私は出来合いの物を持って来ただけだ。だが……今は無理でも、いずれは私も上手くなりたいとは思っているのだ。」
提督 「そう思うことは良いことだとは思うぞ。さてと……それじゃあ、いただきます。」
磯風 「あぁ。ゆっくり食すといい……ん?そういえば、司令。このジュークボックスはちゃんと使われているのか?」
提督 「ごくん……ん?あぁ、使われているぞ。既に5曲入っているだろ?」
磯風 「確かに…………食事中だし、この酒飲み音頭とやらを流してやろうか?」
提督 「来る人の殆どに何かしら言われているな……あいつ……」
磯風 「ふふっ……冗談だ。そうだな……せっかくだし、私も入れさせてもらうとするか。」
提督 「おう。入れろ、入れろ。まだまだ容量があるからな。」
【 お料理行進曲 】
~♪
提督 「くっそ懐かしいな!おい!」
磯風 「ん?知っていたのか、司令。」
提督 「あぁ……まだガキだった頃にアニメを見てたからな。それである程度包丁やガスが使える歳になった頃、試しにこの歌通りにコロッケを作ってみたんだよ。」
磯風 「そうなのか。それで、結果はどうだったんだ?」
提督 「上手く作れなかった……この歌、手順は教えてくれるけど、材料の分量は教えてくれないからな。俺が作ったヤツは塩と胡椒が多くて、肉を炒める時に玉ねぎを一緒に炒めないで生のままジャガイモと混ぜちまってさ……やたらとしょっぱ辛い物ができた。」
磯風 「ふむ……なるほど。教えてくれて、ありがとう。聞かなければ、おそらく司令と同じ間違いをしていた。」
提督 「…………っていうか、この歌をFullで聴くのは初めてだな。……なるほど、2番ではナポリタンを作っているのか。」
磯風 「歌を聞いている限りだと、こっちの方が簡単に作れそうな気がするな。」
提督 「まぁ、極端な話、麺の湯で時間さえ気を付ければ、後は他の食材と一緒にフライパンで一気に炒めるだけだからな。」
磯風 「ふむ……なら、練習するなら、まずはこっちか……」
提督 「今度、お前が非番の時に一緒に作ってみるか?俺も簡単なモンなら、ちょっとは教えてやれる……と思う。」
最悪被害を受けるのは俺1人だけでいい……
磯風 「良いのか?ふふっ……では、次の非番の時を楽しみにさせてもらおう。」
†††††
翌朝 〇九〇〇
鎮守府 ・ 執務室
提督 「いやぁ、昨日1日だけで6曲か。これをループ再生させるだけでも、結構仕事が捗るな。実際、昨日やってみて実感したんだけど……どう思いますか?秘書官の那智さん。」
那智 「ん?あぁ……私が昨日、祥鳳と扶桑に軽く怒られてしまったことを除けば……まぁ、結果的に良い方向に進んでいるんじゃないか?」
提督 「それは自業自得だからフォローの仕様がねえんだよなぁ。さてと……今日は誰が曲を入れてくれるか、楽しみだ。」
那智 「司令官。私もまた使って良いのか?」
提督 「え?そりゃもちろん良いけど……あぁ、いや……ちょっと待ってくれ。」
那智 「心配するな。今度はちゃんと考えて曲を入れる。」
提督 「いや、そうじゃなくて……まだ、曲を入れてない娘が居るからな。先に彼女達優先で使わせてやりたいんだ。皆がまず1曲ずつ入れてくれた後は、もう好きに使ってくれていいからさ。」
那智 「あっ……なるほど。そうだな。ちなみに、曲を入れてないのは誰なんだ?」
提督 「……ちょうどいいや。俺とお前以外が入れた4曲を聞いて、誰がどの曲を入れたのか……当ててみな。」
那智 「ふむ……いいだろう。では、司令官が曲を流してくれ。私がそれを操作するときに曲名が見えてしまって、それで判断できてしまってはつまらんからな。」
提督 「いいぜ。それじゃあ、流すぞ。」
♪♪♪ 数分後 ♪♪♪
朝潮 「失礼します!司令官、少しよろし……って、あの……何をされているのですか?」
提督 「おっ、朝潮。いや、ちょっとした暇潰しさ。那智には昨日1日でこのジュークボックスに入力された歌を聞いてもらってな、自分以外の誰がどの曲を入力したかを当ててもらってんだよ。」
朝潮 「なるほど……司令官!朝潮もやってみたいです!」
提督 「いいぜ。それじゃあ、那智。声で答えを言ってしまったら朝潮にもバレてしまうから……この紙に番号と艦娘の誰かの名前を書いて提出してくれ。」
那智 「承知した。………………こうではないか?」
提督 「どれどれ…………那智、3曲目と4曲目正解。」
那智 「む……違ったか。1曲目と2曲目は誰が入れた曲だ?」
提督 「まぁ、待て。朝潮の回答が終わったら、ちゃんと答え合わせするから。」
♪♪♪ 数分後 ♪♪♪
朝潮 「———————……はい。わかりました!司令官、朝潮も回答します!」
提督 「はいはい。それじゃあ、この紙に番号と艦娘の誰かの名前を書いてくれ。」
朝潮 「はいっ!……………こうではないでしょうか?」
那智の答案 : 1曲目 朝潮、 2曲目 矢矧、 3曲目 早霜、 4曲目 磯風
朝潮の答案 : 1曲目 祥鳳、 2曲目 五十鈴、 3曲目 筑摩、 4曲目扶桑
提督 「朝潮、1曲目正解。」
朝潮 「本当ですか!でも……1曲目だけですか。確か、那智さんの回答で3曲目と4曲目が正解だったということは……ここは早霜さんと磯風さんで……」
那智 「では、私達2人がハズレだった2曲目は誰が入れた曲なんだ?」
提督 「2曲目の【 どんなときも 】 は、扶桑が入れてくれた曲だ。」
朝潮 「ここが扶桑さんでしたか。昨日、作ってくださった羊羹が美味しかったので、もしかしたらと思ったのですが……」
提督 「あぁ。あれは確かに美味かった。」
那智 「ふむ……なかなか難しいが、それなりに楽しめた。曲がまた増えたら、是非また挑戦したいものだ。」
朝潮 「私もです!次は全問正解してみせます!」
提督 「そうか……じゃあ、朝潮。とりあえず、何か1曲登録していくか?」
朝潮 「はいっ!その後で、少し座学で解らないところがあったので、教えていただけませんか?」
提督 「ん?あぁ、本題はそっちだったか。悪い、悪い……いいぜ。後で見せてみな。」
朝潮 「ありがとうございます!では、早速……あの、笑わないでくださいね?」
提督 「大丈夫。人の好みはそれぞれなんだし、そんなことで笑ったりしねぇよ。それに……昨日、那智がやらかしたこと以上のモンは無いと思ってるから。」
那智 「笑い話で済ませてもらえると、助かるんだが……」
朝潮 「日本全国酒飲み音頭……あ……( 察し ) 」
【プリキュア5、フルスロットル GO GO! 】
~♪
提督 「いやぁ、女の子してるなぁ、朝潮。」
那智 「祥鳳や磯風の選曲も女の子らしいといえば、女の子らしいがな。これのインパクトの方がやや勝っているといったところか。」
朝潮 「今、放送されているアニメを偶然見たときに、それが凄く面白くって……非番の時に過去作をいろいろ調べたところ、このOP曲が個人的に1番気に入りまして……」/////
提督 「俺、この時間帯の女の子アニメは、明日〇ナージャまでは見てたなぁ……。確か何年か前、このプリキュア?が映画化して、その時の作品が 『 歴代のプリキュアが全員集合! 』 とか何とかでさ……CMの間に、いろんな色の髪の女の子達数人が1つの画面に映ってるわけですよ。…………覚えられるか!」
那智 「…………いや、司令官。貴様の部屋にある唯一のロールプレイングゲームとやらは、確か……『 幻想水滸伝 』って名前だったな?あれって確か、仲間が108人居るんだったよな?」
朝潮 「プリキュアの歴代メンバーよりずっと多いじゃないですか!」
那智 「しかも、1作品目から、2、3、4、5作品目まで持っているよな?つまり、1作品ごとに108人だから、単純計算で540人のキャラクターが居るわけだ。……朝潮に何か言うことは?」
提督 「…………すんませんでした。俺が覚える努力を怠っていただけです。」
朝潮 「いえ、そんな!謝ってもらうほどのことでは……ですが、そうですね……次の日曜の朝、一緒にアニメを観ましょう!そして、私達の初のプリキュアごっこの相手をしてください!」
提督 「それは別に構わないが……私 『 達 』 ?」
朝潮 「はい!五十鈴さんも一緒です!私は 『 キュアモーニングタイド 』です!」
提督 「朝 ( morning ) 潮 ( tide ) か。」
那智 「では、次の日曜は秘書官権限で司令官は非番にしておくから、存分に遊んでもらうといい。」
提督 「丸1日プリキュアごっこですか、那智さん!?」
朝潮 「いいんですか!ありがとうございます!」
提督 「朝潮、本気にしないでくれ……たぶん、途中で絶対に果てるから……」
◇◇◇◇◇
一一〇〇
五十鈴 「失礼するわよ、提督。朝潮に執務室に来るよう言われたんだけど……何か用?」
提督 「来たか、キュアフィフティーベル。」
那智 「待っていたぞ、キュアフィフティーベル。」
五十鈴 「なっ……!?何で提督達がそれを知って…………さては!」/////
提督 「うん。朝潮に聞いた。ついでに……次の日曜日、俺も一緒に遊ぶことになった……」
五十鈴 「……敵役?」
提督 「おそらく……まぁ、それはいいとして……だ。仕事での用事は特に無かったんだが、ジュークボックスにまだ曲入れてなかっただろ?強制じゃねえけどさ、せっかくだし何か入れてみないか?」
五十鈴 「そういえば、まだ使わせてもらってなかったわね。それじゃあ、お言葉に甘えて入れさせてもらおうかしら。えっと、確か……あら?もう7曲入ってるのね。とりあえず、那智さんと朝潮の選曲は解ったわ。」
提督 「…………そういえば、この間本部からの帰り、大型トラックを見たんだけど、そこに…………」
五十鈴 「……何を言っているのか、理解しているけど……その期待には絶対に応えてあげないわよ。」
【 Love so sweet 】
~♪
提督 「これは……あのアイドルグループの曲か。」
那智 「ふむ……私はあまり、こういうアイドルグループの曲を聴かないのだが……良い曲だな。」
提督 「俺もファン……ってほどじゃないけど、男性グループでも、女性グループでも、アイドルさんの歌う曲は好きだな。好きなメロディやリズム、歌詞の曲が多いんだよ。」
五十鈴 「あら、そうなの?ちょっと意外……ねぇ、提督さん。他の曲もちょっと教えてくれないかしら?」
提督 「あぁ……今、執務中だから、昼飯の時か……まぁ、終わってからな。」
五十鈴 「えぇ。それでいいわ。それじゃ、また後でね。」
五十鈴 退室。
提督 「さてと……曲も増えたし、昼飯までもう少し頑張るかな。……って、おい、那智!Love so sweetだけをループ再生しねえでもらえます!?」
那智 「あっ……いや、すまない。良い曲だったのでな。メロディと共に歌詞を覚えようと思って……」
提督 「あぁ、なるほど……じゃあ、仕方ない。飯の時間までループ再生を許可する。」
那智 「すまないな、司令官。」
゜+。:..:。+゜ ◇◇◇ ゜+。:..:。+゜
一四〇〇
矢矧 「失礼するわ。提督、駆逐艦の子達の様子を纏めた訓練の報告書、ここに置くわよ。」
提督 「ん、ありがとう。どれどれ……」
矢矧 「ふぅ……疲れた。そういえば、ジュークボックス……フル活用してるのね。今、流れているのは何て曲?」
提督 「今流れてるのは、【 逆さまの蝶 】 だな。誰が入力したかは、予想してみな。」
矢矧 「そうね…………曲の雰囲気的に、早霜かしら?」
提督 「おっ!鋭いな、正解だ。」
矢矧 「やった!そうだ、提督。私も使わせてもらっていいかしら?」
提督 「ん?あぁ、そういえば矢矧はまだだったな……いいぞ、好きな曲を入れてくれ。」
矢矧 「そうね……じゃあ……最初はこれにしましょうか。」
【 便所サンダルダンス 】
~♪
提督 「………?……!? えっ?随分とロックな曲を聴くんだな。」
矢矧 「どう?テンション上がるでしょ?」
提督 「……あぁ、うん。リズムやメロディは好きな方だな……っていうか、この男の人は、マジでどこから声を出してるんだ!?いきなりでビックリしたわ!これが俗にいうデスボイスってヤツか。」
矢矧 「ホントにねぇ。私も覚えようと思って、投稿されている動画を流して一緒に歌ってみたんだけど……声帯が潰れるかと思ったわ。」
提督 「これもまた、1つの人体の神秘……しかし、この曲のタイトル……便所って……まぁ、公式で許されてるみたいだから、敢えて何も言わんが……」
矢矧 「提督……理屈で考えちゃ駄目。感じるのよ。」
提督 「いや、何かそれっぽいことを言われましても……こういうジャンルの曲はあまり聞かなかったからな。デスボイスがどうこう言う以前に、歌詞を覚えるのが大変そうだ。」
◇◇◇◇◇
一七〇〇
筑摩 「失礼します。提督、こちらに矢矧さんは来ていませんか?」
提督 「え?矢矧なら、ちょうど3時間前に来たけど……此処から退室したあとはどこに行ったか、ちょっと解んねえな。」
筑摩 「そうですか……此処でないなら、演習場でしょうか?」
提督 「急ぎの用じゃねえんなら、ちょうどいい時間だし……夕食の時でいいんじゃないか?」
筑摩 「あっ、そうですね。私的な用事なので、そうします。」
提督 「そうだ……せっかく来たんだし、筑摩もジュークボックスに何か曲を入れていかないか?」
筑摩 「え?あっ、そういえば昨日から置いてありましたね。他の皆さんはもう入れられているのですか?」
提督 「おう。かなり個性豊かだぞ。そうだな……まだ時間があるし、何曲か聴いてみるか?」
筑摩 「そうですね。では、少しだけ……えっと、1番最後に入力されている、ちょっとよく解らない名前の曲ってもしかして……3時間前に来た矢矧さんが?」
提督 「正解。それを聴くにはかなりの勇気がいるぞ。」
筑摩 「一体、どんな曲なんですか!?まぁ……いいです。これを含めて少し聴かせてもらいましょう。」
提督 「(あっ……聴くんだ。)」
♪♪♪ 数分後 ♪♪♪
筑摩 「なるほど……曲の調子的に、おやつやくつろぎたい時というより、盛り上がりたい時に聴く感じの曲が多いですね。」
提督 「ん……言われてみれば……そう、なのかな?まぁいいや。どうだ?筑摩も何か入れておいてくれないか?」
筑摩 「そうですね。では、私も失礼して……えっと、確か……ここを……こうして……」
【 ユーフォリア 】
~♪
提督 「あぁぁぁぁ……癒されるんじゃぁぁぁ……」
筑摩 「ですねぇ……先日、非番の際に町の本屋で偶然漫画を見つけて、絵がとても綺麗だったので購入してみたんです。そしたら、とても素敵なお話で……視聴覚室のパソコンで検索してみたら、アニメ放送もされていたそうなので、それで……」
提督 「これは2期のOPだったな。確か、【 ウンディーネ 】 → 【 ユーフォリア 】 → 【 スピラーレ 】 の順番だったはずだ。」
筑摩 「3期まであるのですか?先の展開が楽しみです。」
提督 「ネタバレになるから結末は言わないけど……3期の最終回で挿入歌として流れる 【 横顔 】って曲も良いぞ。俺はちょうどその場面を見た時……本気で泣いたからな。」
筑摩 「提督が涙を……!?それは……まず、その場面を見てから、その曲を覚えさせてもらいます。それまで、このジュークボックスにその曲を入れないでくださいね?」
提督 「わかった、約束しよう。最終回を見終えたら教えてくれ。」
゜+。:..:。+゜ ◇◇◇ ゜+。:..:。+゜
二〇〇〇
提督 「ふぅ……今日の業務、終了っと……」
長門 「お疲れ様、提督。珈琲でも淹れてやろうか?」
提督 「あぁ……頼む。」
長門 「わかった。それで?そのジュークボックスの効果は如何程のものなんだ?」
提督 「マジで重宝してる。今はまだ少ないけどいろんな曲を聴けるのは、やっぱり楽しいし……今日の一五〇〇には朝潮と早霜が此処に来ておやつ食ってたしな。」
長門 「そうか。食堂付近でお菓子を持って歩く朝潮の姿を見かけたが……此処に来ていたのか。ほら、入ったぞ。」
提督 「ありがとう。」ごくっ……
長門 「そういえば……昨日の朝、此処を訪れたが、その時は那智の説教をしていて、結局まだ使ってはいなかったな。」
提督 「そうだったな。もう長門以外の皆は曲を入れたぞ。長門も何か入れてみたらどうだ?」
長門 「ふむ……では、使わせてもらうとするかな。…………おい、提督。」
提督 「ん?何だ?」
長門 「先程、朝潮と早霜が此処で音楽を聴きながらお菓子を食した……と言っていたな?」
提督 「あぁ、言ったけど……もしかして、呼ばなかったことを怒ってんのか?」
長門 「違う、そうじゃない。【 便所サンダルダンス 】という曲の登録時刻が一四〇〇なのだが……2人はこれを聞いて食べていたのか?そもそも、これは誰が入れた?」
提督 「え……?あぁ、そういや聞いてたな……頭に浮かべた 『 ? 』マークが目視できるかと思ったぜ。ちなみに、その曲を入れたのは矢矧だ。」
長門 「あいつは……まぁいい。では、私も入れさせてもらうが……正直、提督が知っている曲かどうかは保証できないぞ?」
提督 「別に構わねえよ。知らなかったら知らなかったで、此処で聴いて覚えるから。」
【 Dear 】
~♪
提督 「この声……電子の歌姫か?」
長門 「あぁ。最初に提督が使用説明の際に言っていたのを聞いて、どういうものか……昨日、時間のあるときに少し調べたんだ。それで、数多ある中で幾つか聴いて……とりあえず、今はこれが気に入っている。」
提督 「そっか。電子の歌姫は1人だけじゃないからな……曲の種類も様々だし……まぁ、時間は掛かるだろうが、好きな曲を増やしてくれ。」
長門 「あぁ。今回は電子の歌姫の曲を入れたが、私だってテレビで流れるような普通の歌謡曲を知らないわけではない。また気が向いたら、これに登録させてもらうとするよ。」
提督 「うん、楽しみにしてる。それにしても……うん、いい歌だと思う。俺もこの機に電子の歌姫の曲を幾つか聴いてみようかな。」
長門 「ふふっ……では、何か提督が良いなと思う曲を見つけたら、是非私にも教えてくれ。」
提督 「わかった、その時は教えるよ。気に入ってもらえるかは別としてな。」
†††††
こうして鎮守府の全員がまずは1曲ずつジュークボックスに好きな曲を入れた後、鎮守府の至る場所で登録された曲を口遊んだり、鼻歌で歌う艦娘達の姿が見られるようになった。
少し前までは移動も黙々としていたので……目覚ましい雰囲気改善になったのでは?と、俺は自負している。
鎮守府 ・ 執務室。
那智 「このジュークボックスの導入は、私も正解だったと思うぞ。歌を通して、皆の会話の幅も増えたようだしな。」
提督 「そうか。そいつぁ良かった。」
那智 「しかし……ぷっ、くく……」
提督 「ん?どうした?」
那智 「いや、先程此処へ来る途中、出撃前の長門とすれ違ったのだが……その際、朝潮の入れたプリキュアの曲を御機嫌な鼻歌で歌っていてな……」
提督 「マジで!?うわっ、何それ……ちょっと見たかったんですけど。」
那智 「私も思わず 『 え? 』 っと思って、振り返ってみたら……偶然、朝潮にもその現場を見られて、少し戸惑っていた。」
提督 「まぁ……曲は良いからなぁ。この歌詞を声に出して歌えと言われると、俺も少し困ってしまうんだが……メロディだけなら、俺もそのうち鼻歌で熱唱してそうだ。」
磯風 「失礼するぞ、司令。」
提督 「おっ、どうした?磯風。」
磯風 「那智さんも居たか。いや、大したことではない。今日は非番でな……たまには読書をしようと思ったのだが、せっかくだし音楽を聴きながらと思ったのだ。構わないか?」
提督 「もちろんだ。ソファに座ってゆっくりしていくといい。」
磯風 「すまない。では、失礼して……おぉ!増えているな。」
那智 「とりあえず、全員1曲ずつ入れたそうだから、今は11曲か。」
提督 「全員とりあえず1回ずつ使ったから、ここからは自由だ。各々好きな時に曲を自由に入れてくれてもいいし、曲を聴きに此処へ来ても良い。」
磯風 「そういえば、昨日早霜が言っていたな。 ジュークボックスができる前までは報告以外で足を運ぶ機会があまり無かった執務室に行きやすくなった……と。」
提督 「そうか。そういうトコロでもちょっとずつ改善されてるのか……ありがとう、磯風。いいこと聞いたよ。」
那智 「せっかく来たのだ。磯風、また曲を入れていかないか?」
磯風 「良いのか?では、また使わせてもらおう。」
提督 「今度はどんな曲が入るか……」
【 ハッピーハッピーダンス 】
~♪
提督 「うおぉぉぉ!磯風、何でお前は……久しぶりに聴いたなぁ。うわ、懐かしい……!」
磯風 「これも知っているのか!?昨日、料理アニメで検索して、偶然見つけたのだが……」
提督 「これもガキの頃見ていて……内容はちゃんと覚えてないけど、コンビニで総集編として売られていた漫画は何冊か買って持っているぞ。持って来てやろうか?」
磯風 「本当か!?是非、頼む!」
提督 「おう、ちょっと待っていろ。すぐ戻る。」
♪♪♪ 数分後 ♪♪♪
提督 「持って来たぞ。」
磯風 「ありがとう、司令!」
那智 「これが磯風が入れた曲が主題歌の作品……題名から考察するに、この顎が出っ張っている屈強な男性が料理するのか?」
提督 「あぁ。もちろん、彼だけじゃなくて他のキャラクターも料理するけどな。」
那智 「漫画の合間にレシピが……おぉ!この焼き鳥は美味しそうだ!」
磯風 「なん……だと?アイスクリームは自分達で作れるのか!?」
提督 「俺もちょっと読み返してみたんだが……先日、扶桑が羊羹作ってくれただろ?あれも作り方載ってたわ。それと、確か……これだったか……ほら、バーベキューをするための土台の作り方も載ってたりする。」
那智 「おぉぉ!本格的だな!」
扶桑 「失礼します……って、あら?ずいぶん賑やかですね。どうされたのですか?」
提督 「おっ、扶桑。いや、ちょっとな……さっき、磯風が新たにジュークボックスに入れてくれた曲が、たまたま俺の持ってる漫画がアニメ化した時の主題歌だったんだよ。」
磯風 「それで司令にその漫画を持って来てもらって……此処で読ませてもらっているのだ。」
扶桑 「まぁ……!提督、後で私にも読ませていただけませんか?」
提督 「おう。もちろんいいぞ。」
那智 「それで、扶桑……本題は何をしに来たのだ?」
扶桑 「え……?あっ、そうでした。工廠の妖精さんが、そのジュークボックス用の滑車ができたので伝えてほしいと仰られたので、その報告に。本当はお願いされた初日に出来たそうなのですが……すっかり忘れていたそうです。」
提督 「そっか。わかった……じゃあ、ちょっと酒保でお菓子を買ってから、工廠へ行ってくる。那智、もし出撃中のメンバーから何か連絡があったら、すぐに繋いでくれ。まぁ……何も無いのが1番なんだけどな。」
那智 「あぁ、承知した。」
♪♪♪♪♪ 更に数分後 ♪♪♪♪♪
鎮守府 ・ 執務室
提督 「戻ったぞー。これでジュークボックスを食堂や、屋外で宴会するときに持ち運べるようになりました。」
那智 「食堂にはテレビがあるから、持って行くことは少なそうだが……宴席に持って行けるというのは嬉しいな!」キラキラ
扶桑 「そうですね。随分と賑やかな曲も増えているようですし。」
磯風 「先程、扶桑さんが入れてくれた曲も、なかなか盛り上がる曲だったしな。」
提督 「おっ!また入れてくれたのか、扶桑。さて、今回はどんな曲なのかな……っと……」
【YATTA! 】
~♪
提督 「おっ……おう、まぁ確かに盛り上がる曲だよな!」
磯風 「司令?歯切れが悪いが……何か問題でもあるのか?」
提督 「…………なぁ、扶桑。これを歌っているのは、どんな人達か知ってるのか?」
扶桑 「いえ……お笑い芸人さん達ということは存じているのですが……映像は見たことないですね。」
提督 「そっか。えっと……ほら、動画があったから、ちょっと見てみな。」
俺は自分のパソコンのキーボードを叩き、動画投稿サイトで曲名を入力して動画を見つけたので、そのまま扶桑に見せる。
扶桑 「はい……えっ!?」/////
那智 「どうした?ほぅ……これは……」
磯風 「裸の男性達の急所に葉っぱが張り付けられているな……」
提督 「正確には肌と同じ色……近い色の男性用下着の上に張り付けてあるんだけどな。っていうか、動画投稿サイトでこの曲を知ったんなら、少なからずこの姿がどこかに映っているかと思ったんだけど……」
扶桑 「あのっ……あの……っ!違う動画で効果音として流れていたので……それで、その動画の最後に曲名だけが表示されて……」/////
提督 「あぁ、効果音じゃなくてバックグラウンドミュージックな。なるほど、それじゃあ知らなかったとしても無理ないか。」
扶桑 「あうぅ……恥ずかしいです。」/////
磯風 「だが、曲や歌詞の内容は良いからな。歌い手さんの姿を知らなかったとしても、別に恥じることはないだろう?」
提督 「磯風の言う通りだ。扶桑の選曲は元気が出るからな。この程度の事を気にしないで、また何か良い曲を知ったら入れてくれ。」
那智 「それでも、どうしてもというのであれば……そうだな。私も似たような曲をジュークボックスに入れておこうかな。」
提督 ・ 扶桑 「「似たような曲?」」
那智 「えっと……確か、あれの曲名は……」
【 ニホンノミカタ - ネバダカラキマシタ - 】
~♪
提督 「あっ……あぁ、そういうことか。」
磯風 「どういうことだ?この曲も芸人が歌っているのか?それとも、また男性が裸で歌っているのか?」
提督 「裸じゃねえけどな……女装して歌ってるんだよ。確か、3人共ちゃんとした歌手……だったはずだ。いや、2人は芸人なのか?」
俺はそう言いながら、また検索して見つけた動画を3人に見せる。
扶桑 「あら……ですが、なかなか綺麗な衣装ですね。」
提督 「日本に初めて来た 【 日本の知識をちょっと勘違いした 】 外国人さんをイメージしながら聴くと、共感できたりするぞ。」
磯風 「なるほど……本部に居たプリンツ・オイゲンがこんな感じだったな。」
那智 「グラーフも日本語を覚えようと頑張っていたな……」
提督 「しかし、ここ3曲で一気に盛り上がれるな。今度宴会するときまでに、今那智が入れた曲の踊りを覚えるのもありか……」
那智 「やるのであれば、徹底するべきではないか?」
提督 「お前……それは俺に女装しろって言ってんのか?」
磯風 「司令が……女装……ぷっ!くく……」
提督 「見ろ!普段微笑むようにしか笑わない磯風が、顔を赤くして笑ってんじゃねえか!」
那智 「磯風の期待を裏切らないためにも……頑張れ、司令官!」
提督 「くっ……扶桑さん!何とか言ってやってください!」
扶桑 「……私も見たいです。」
提督 「扶桑さんっ!?」
◇◇◇◇◇
一六〇〇
鎮守府 ・ 執務室
提督 「さてと……もうすぐ出撃メンバーが戻って来る頃かな。」
那智 「緊急の通信も無かったし、特に問題が無かったのだろう。」
提督 「そいつは重畳……って、電話だ。もしもし?」
リア友提督 『もしもし?ボクや、ボク。』
提督 「はて……?俺にはボクボク詐欺をするような親友は居ないんでね。切るぞー。」
リア友提督 『ちょっ!?解ってるやん!待ちぃや!』
提督 「まぁ、お約束はこれくらいにして……どうした?」
リア友提督 『明日、演習でそっち行かせてもらうやろ?とりあえず……利根と山城は連れて行けばえぇかな?』
提督 「しれっと山城も入ってんのな。まぁ、そうだな……あっ、お前んトコの秘書艦って、確か黒潮だったよな?あの子も連れてきてくれないか?」
リア友提督 『りょーかい。ほな、その3人と他の子数人連れて、お酒と食材持ってそっち行かせてもらうわぁ。』
提督 「…………ん?酒と食材?」
リア友提督 『どうせ数時間の演習終わったら皆自由行動にして、夜は宴会するんやろ?こっちも1泊2日のつもりで行くから、部屋の用意だけよろしく~( ・ ∀ ・ )ノ 」
提督 「いや、宴会って…………あぁ~……ウチの秘書艦が隣ですっげぇ嬉しそうな表情でキラキラしてるから、よろしく頼む。」
リア友提督 『はいはぁ~い。ほな、また明日ぁ~。』
— 通話終了 —
提督 「ふむ……演習か……」
那智 「どうしたのだ?何か不安要素が?」
提督 「いや……ちょっと試したいことがあるんだ。明日、演習するときに改めて説明するから、今は何も訊かないでくれるか?」
那智 「ふむ……?承知した。」
提督 「それと!少し早いが、執務態度も特に問題無かったからな……禁酒を解いてやる。明日の演習後は存分に楽しむと良い。」
那智 「……っ!すまないな、司令官!礼を言う!」キラキラッ!
◇◇◇◇◇
翌日 一〇〇〇
リア友提督 「来たでぇ~。」
提督 「んぃ~。それじゃあ、さっそく演習始めるか?」
リア友提督 「ん~……できれば30分ほど休ませてあげてくれへん?」
提督 「把握、承知。」
那智 「司令官。演習場の準備は整ったぞ。」
提督 「おう、ありがとう。それじゃあ、30分経ったら全員演習場に集合な。」
那智 「了解。」
*****
鎮守府 ・ 演習場
リア友提督 「なぁ……提督。」
提督 「何だ?リア友提督。」
リア友提督 「此処、演習場やろ?何でジュークボックスが此処にあるん?」
提督 「ちょっとやりたいことがあってな。滑車を付けて事前に運んでおいたんだ。」
リア友提督 「やりたいこと?」
那智 「司令官。こちらの参加者は全員揃ったぞ。」
黒潮 「司令はーん。こっちも準備できたでぇー。」
提督 「よし、それじゃあ……皆、俺との通信は絶対に繋がるようにしておいてくれ。」
磯風 「わかった。常に司令の声が聞こえるようにしておこう。」
朝潮 「はい!いつでも、どのようなことでも対応できるようにします!」
リア友提督 「あっちの駆逐艦の子、元気やなぁ。まぁ、ボク等提督は勝敗に拘らんけど……皆、真面目に日頃の訓練を相手に見せつける勢いで頑張りやぁ~。」
漣 「了解です!ご主人様!」
提督 「それじゃあ……演習、開始!…………さてと。」
皆が海上へ移動したのを見計らい、俺はジュークボックスを起動する。
【 未来への咆哮 】
~♪
リア友提督 「また懐かしい曲やな。BGMのつもり?」
提督 「それもあるんだけど……」
那智 『司令官。音楽を流しているのか?』
提督 「ん?あぁ。ちゃんと聞こえてるみたいだな。個人的な趣味嗜好はあるだろうが……何か変わったことないか?」
那智 『変わったこと……そうだな、強いて言うならこの曲を聴いていると、胸の内から何やら熱いものが込み上げてくるな。』
提督 「じゃあ、その調子のまま演習を続行してくれ。」
那智 『了解!皆、私の指示に従って戦えーっ!』
提督 「…………いやぁ、BGMってやっぱ大事なんだな。」
リア友提督 「せやなぁ。それで、君んトコの艦娘達は今、これ聴いてテンション上がってる状態なんやろ?士気を上げるって目的があったんやったら、成功なんちゃう?」
提督 「そうだな……。」
漣 『もしもし、ご主人様!?相手の士気が凄く高いんですけど!?』
黒潮 『さっき、朝潮ちゃん中破してしまったんやけど……そしたら、磯風が凄い勢いで突っ込んで……きゃああぁぁぁ!』
漣 『 ( ヾノ ・ ∀ ・ ` )ムリムリ ちょっ……私じゃ那智さんと磯風さんを止められ……グワーッ!』
提督 「……………何か、ごめん。」
リア友提督 「えぇよ、えぇよ。演習やから誰も沈まんし。でも、凄いな……元々の士気にBGM加わるだけで、こんなに変わるんか……」
提督 「元々、俺が無音の執務室で作業するのが苦に思えるようになって導入したんだが……思わぬ方向で色々と役立ってくれてるよ。もう、あれだ……こいつは此処の家宝だね。」
†††††
その日の夜
ウチと舞鶴鎮守府の艦娘達による食事会 ( 宴会 )が行われ、ここにきて初めて那智の入れた 【 日本全国酒飲み音頭 】 が空気を読んで場を盛り上げることに貢献した。
今はまだ20曲にも満たないが、今後はもっと増える……はず。それに伴い、このジュークボックスの活用法も色々と増えるだろう。
まぁ、とりあえず……皆が楽しそうで、本当に良かった。
こういう曲の伏字有りと無しの境界線って、どこなんでしょうか?
俺個人としては
楽曲、ゲームのタイトル = 伏字無し
アニメ ・ドラマのタイトル、歌手さんやアイドルグループの名前 = 伏せなければならない
みたいな考えなのですが……今回は特に、曲名を伏せてしまっては何をしていることか、分かんないですしね。
まぁ、用途用途で使い分ける方向性で……何やかんや
このジュークボックスの話は、結構前からやりたいと思っていたのですが、俺自身楽曲をあまり知らないということもあり
実際にいろんな曲を聴き、作品に登場した艦娘達と組み合わせるなら……みたいなことも考えているうちに
この時期の投稿になりました。
曲の選択はあくまで俺の趣味、偏見や、ネタのためによるものだったりするので……『この子にこの曲は合わない!』とか『この曲の方が合う!』という意見もあるでしょうが
何卒目を瞑っていただければ……ですが、コメントの方に記載などしていただければ、その曲を実際に聴かせていただき、共感できると思います。
それでは、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!
また不定期更新な自作で御会い出来たらと思います。 お疲れ様でした!
タイトルにつられてやってきました。
私の書いている作品もまさに同じ問題をはらんでいるのですが、商業でないものにそこまで神経質になる必要もない、と思います。
まるまる他作品を載せたり、ネガティブイメージを持たせることがないのであれば引用の範囲内ではないでしょうか(そも嫌いなものを作品内に登場させるのは明確な目的あってのことでしょうし、それはそれで価値があるものになったりしますけれど)。
商標を登場させている商業作品だって山のようにあるわけですし。ダメだと言われて初めて修正すればよいものの一つと考えています。
長々とでしゃばり失礼いたしました。
……この異様なまでの伏字文化、なんなんでしょうね。
コメントありがとうございます!
んなちぃさんの意見、本当にありがたいです!
ホントに何なんでしょうねこの伏字文化……
こういった他者さんの漫画や曲の題材を伏せてしまったら、解る人には解るけど
解らない人にはさっぱり解らんですからね……
題材を調べようにも、『それ』を全く知らないので、正式名称で調べられんし……
貴重なご意見、ありがとうございました!
俺も何か指摘があるまでは、このままでいこうと思います。
問題があれば訂正すればいい……ですしね。
どうせなら「地〇少女シリーズ」の主題歌は、声優繋がりでまるゆ、或いはあきつ丸が入れたら良かったのに・・・。
と、思ったけれど、この鎮守府にはどちらも居なかったんですね、少し残念。
いや、純粋にそれは知らんかったです!そうだったんですか!?あのあきつ丸とまるゆが……そうだったんですか。
あきつ丸はいずれ出したいキャラですねぇ。
普通に可愛いと思いますし、あの『~であります』口調は中々いいなぁと思うであります。
面白いですね!
最後に出てきた【未来への咆哮】はどことなく第二次大戦中の日本軍のことを歌ってるようなところもあるし、それで皆の士気が上がったんですか?
>> ジェラルジョンさん
コメントありがとうございます!そう言っていただけると、とても励みになります。
未来への咆哮は元々MAD動画で聞いて存在は知っていたので、『あの歌詞と内容、ふつうに使えるんじゃね?』と
あんまり世界大戦とか意識しないで、投与しましたです。