No8 提督 『 めでたい席で襲われた俺は、あることを決めた 』
無事に後輩が海軍学校を卒業するという報を得て本部へ赴く提督と那智、磯風。
指揮は無事に終わり、雑談を楽しんでいたところに珍入者が現れ……そこから日常は少しずつ変化を迎えていく。
どうも、柔時雨です。
作業用BGMって、絶対作業できないBGMなのでは?と思うようになってきています。
いや……絶対歌っちゃいますって、ゲームとかのBGMでも鼻歌奏でちゃいますって……
まぁ、その話は横に置いたうえで更に放置するとして、えっと……これで通算、8話目……ですかね?
作品のタイトルに 『 第〇話 』などを付けていないので、時折自分でも分かんなくなります。これ、合ってますよね?
えっと……今回の話は、読んでくださる方 ・ 覗きに来てくださった方によっては胸糞悪い展開になっているかもしれないです。
大事な事なので、ちゃんと前書きに書いておきます。
しかも初レーティングを付けました。これは……合ってるのかな?直接的な描写は書いてない……つもりですが、言葉……単語は使用しましたから、まぁこれでいいと思うことにします。
まぁ、勧善懲悪な話は個人的に好きなので、そっちをイメージして作ったつもりなんですがね……
とにかく!目を通しているうちに 『 この展開、無理だわ 』と思いましたら、遠慮はいりません。すぐに逃げてください!
それでも一向に構わんという方はどうぞ、最後までゆっくりしていってくださいね。
鎮守府 ・ 執務室
五十鈴 「失礼するわよ、提督……って、あら?不在なの?」
長門 「ん?あぁ、五十鈴か。提督なら今、海軍本部へ出向いているぞ。確か事前に報告が……そうか、遠征に出てくれていたのだったな。」
五十鈴 「本部に行ってるって……提督、何かしでかしたの?」
長門 「いや、海軍兵学校の卒業式が今日、本部で行われるそうでな。後輩殿が卒業するらしく、それを祝いに行っているんだ。」
五十鈴 「あぁ……なるほど、そういうこと。」
*****
元帥 「ほっほっほ。やはり来たのぅ。」
提督 「そりゃまぁな……可愛い後輩の卒業式なんだ。一瞬くらいは顔を拝んでやるのも礼儀だろ。」
リア友提督 「めでたい席なんやし、元帥先生もあんま長い話は勘弁したりやぁ。卒業生の皆、絶対にダレるでぇ。」
元帥 「えぇぇ……大事な話をしているのじゃがのぅ……( ´ ・ ω ・ ) おっと、時間じゃ。それじゃあ、儂は会場へ向かうとしようかの。」
提督 「はいはい。無事に終わったら久しぶりに4人と……各々艦娘を連れて集まろうぜ。」
元帥 「いいのぅ。では、また後程な。」
リア友提督 「…………で?君の秘書艦の那智さんはどこに行ったん?」
提督 「ん?あぁ……此処に来た瞬間に、妹の足柄さんに見つかってドナドナされてな……まぁ、場所を教えてあるからそのうち来るだろう。まぁ、あいつが居ない間は、磯風が……」
黒潮 「磯風。あんた、そちらの司令はんに迷惑かけたりしてない?お姉ちゃん心配やわぁ。」
磯風 「心配するな、黒潮姉さん……今のところは迷惑をかけていない……はずだ。」
提督 「……まぁ、もしもの時はちゃんと護衛をしてくれるはずだ。」
リア友提督 「ごめんなぁ、ウチの秘書艦が……この前、演習で会ってるはずやねんけどなぁ……っていうか、艦娘2人連れて来たんやね。」
提督 「あぁ。那智は言わずもがなだけど、最近磯風がすっごく懐いてくれてな。……何か特別なことをした覚えがないんだけど。」
リア友提督 「えぇことやん。2人共大事にしたりやぁ。」
提督 「はっ!言われるまでもねぇよ。」
*****
~ 数時間後 ~
那智 「うぅ……まさか此処に到着早々、足柄に捕まるとは……」
提督 「お疲れ。今回はまた長かったな。」
那智 「あぁ……流れで妙高姉さんともいろいろ話すことになったからな……」
磯風 「お互い、姉妹には苦労するな……那智さん。」
黒潮 「あんたがそれ言う?あんたの料理でどれだけ浦風と浜風が苦労してると思ってるんや?」
リア友提督 「まぁまぁ、黒潮……あっ、式、終わったみたいやで。」
後輩提督 「…………あっ!先輩方!来てくださったんですか!」
扉が開かれて数分後、良く見知った栗色の髪の女の子が証書が入った筒を持って、トテトテと駆け寄って来た。
那智 「ほぅ……司令官の後輩殿は女性だったのか。私達艦娘以外で女性とは無縁だと思っていたのだが……」
磯風 「落ち着くんだ、那智さん。司令にこの人を抱きかかえるほどの度胸があるとは思えない。」
提督 「やかましいわ。」
後輩提督 「そちらが先輩の初期艦という那智さんですか!それと、確か陽炎型の磯風ちゃんですよね?ふふっ……噂通り、2人共美人さんですね!」ニコッ
磯風 「なっ!?やっ……そんな、美人だなど……」/////
黒潮 「うわぁ~磯風、めっちゃ顔赤いやん。可愛いなぁ。」
那智 「……司令官、こちらの御令嬢は中々、素晴らしい御仁だな。」
提督 「那智、お前……社交辞令って知ってるか?」
那智 「貴様……それはいつぞやの高雄の時の仕返しか?」
後背提督 「あの……関西先輩。私、何か失礼なことを……?」
リア友提督 「んぁ?別に気にせんでえぇよ。この2人はこれがデフォルトやからなぁ。あと、黒潮……気持ちは解るが、やめて差し上げろ。」
提督 「それで?事前に配属先は聞いていると思うけど……悪いな、俺の尻拭いをさせちまうような形になって。」
後輩提督 「そんな!先輩の事情は元帥先生から伺っていますし……大丈夫です!なんとかやってみようと思います!」
提督 「あぁ……頼んだ。」
リア友提督 「それで?初期艦はどないするん?希望があるんやったら、ボクんトコか元帥先生んトコに居る彼の艦娘をそっちに送るけど……」
後輩提督 「それなのですが……私も最初は先輩と同じように、建造でスタートしてみようと思うんです!」
提督 「悪いことは言わん!それだけはやめとけ!俺は運良く、ベストパートナーに恵まれたが……必ずしも狙った艦娘ができるとは限らねえんだぞ!」
リア友提督 「……経験者は語る……か。」
後輩提督 「ですが!もしかしたら先輩の那智さんのように奇跡の出会いがあるかもしれないじゃないですか!」
リア友提督 「まぁまぁ。本人がやりたい言うてんねんやったら、好きにさせたろうや。元帥先生の了解も得てるんやろ?」
提督 「あの爺さんは……どんな結果になっても、俺は一切の責任を負わねえからな……ん?」
「見つけたぞ!お前さえ……お前さえ居なければ!【ピー】してやる……【ピー】してやるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
リア友提督 「何や?」
ふっと、怒号が聞こえた方を見ると、同じように軍服を着た男性がピストルを構えていた。その銃口はブルブル震えてはいるものの、どうやら俺に狙いを定めているらしい。
磯風 「あいつの銃口……マズい!下がれ、司令!」
提督 「……いや、下がるのはお前の方だ。」
磯風 「え……?」
男性が引き金を引き、発砲された銃弾は、軸がブレブレだったこともあり、本来の標的だったであろう俺の方ではなく、磯風に向かって飛んできた。
何とか磯風を突き飛ばして彼女への被害は防げた……が、銃弾は俺の左肩を直撃した。
提督 「うぐっ!?」
那智 「「司令(官)!?」」
後輩提督 「先輩!?大丈夫……じゃないですよね!私、医療班の方を呼んできます!」
那智 「あの者……よくも司令官を!!」
提督 「……っ!前に出るな、那智!」
夕立 「提督さんを虐める悪い奴は許さないっぽい。」
男性の背後からゆらりと現れた駆逐艦がこちらに向けて弾を1発撃ち込んできた。
那智 「しまっ……!」
提督 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
この時、自分でも驚くほど、尻餅をついていた状態からは想像もできない跳躍を発揮した俺は、すぐさま那智を抱え……爆風に吹っ飛ばされながらも、何とか彼女の身を守ることができた。
那智 「司令官……?司令官!?」
元帥 「おい!これは一体、何の騒ぎじゃ!?」
リア友提督 「元帥先生!そいつ捕まえてくれ!反逆者や!」
元帥 「……っ!儂の教え子に何をしてくれとんじゃあぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴や怒号が微かに聞こえる……同時に、抱きかかえられるような動きを確かに感じた。
那智 「司令官!何て……何て馬鹿な真似をしたんだ!?私も磯風も艦娘だぞ……多少の傷は入渠で治るというのに!」涙目
提督 「ごふっ……いやぁ……確かにそうかもしれねぇけどな……大事なお前等が狙われてると思ったら……体が勝手に動いて……がはっ!?」 大破!
磯風 「もういい!分かった、分かったから……今は何も喋るな!司令!」涙目
黒潮 「磯風……そこのぽ犬!よくもウチの妹、泣かせてくれたな!覚悟しぃやぁ!」
後輩提督 「医療班の方、呼んで来ました……って、傷が更に酷いことになってるじゃないですか!?お願いします、すぐに先輩を運んであげてください!」
医療班 A 「わかりました!おい、すぐに他の者に連絡して手術の準備を!」
医療班 B 「はっ!」
◇◇◇◇◇
数時間後…………
那智 「…………」
磯風 「…………」
元帥 「那智、磯風……大丈夫じゃ。あやつはそう簡単に死なん!何せこの儂が直々に鍛えたのじゃからな。それに……お前達があやつの無事を信じてやらんで、どうする?」
那智 「元帥殿……ありがとうございます。」
磯風 「そうだ……私達の司令が、あのような凶弾に負けるわけが……」
那智と磯風が元帥に励まされていたとき……手術室のランプが消え、冷たい鉄の扉がゆっくりと開いた。
那智 「…………!先生!司令官は、司令官は無事なのか!?」
主治医 「はい。手術は成功しました。銃弾も取り除き、体内の様子も隅々まで確認しましたよ。幸い、内臓破裂や内出血の類はありませんでしたが……左腕と両足、あばら骨を3本骨折していまして、そちらの完治とリハビリに数日かかると思います。」
那智 「そうか……よかった……司令官は、まだ生きているんだな……」涙目
元帥 「すぐに彼に会いたいのだが……」
主治医 「今は薬で眠っておられますので、目が覚めるまでは面会を控えていただきたいのですが……」
那智 ・ 磯風 「「そんなの待っていられるか!目が覚めるまで、私達が付き添う!!」」
主治医 「わっ……わかりました!提督殿をお部屋に運びますので、その後でしたら御好きになさってください!」
*****
更に数時間後……
海軍本部 ・ 病棟個室
提督 「………………ん?ここは……」
磯風 「……!司令、目を覚ましたのか!」涙目
那智 「心配したんだぞ!馬鹿者っ!」涙目
提督 「那智……磯風……あれ?俺は……何でベッドの上で…あぐっ!?」ズキッ!
磯風 「司令!大丈夫……ではないな。急に動くからそうなるのだ。」
提督 「そういや何で俺は……俺の左腕と両足にギプスが……?」
磯風 「薬のせいでまだ意識が朦朧としているようだな……覚えているか?数時間前、司令は銃で撃たれたのだ。」
那智 「その時に私と磯風を庇って守ってくれた引き換えに、司令官は左手と両足、あばら骨を骨折したんだ。」
提督 「……銃で?……2人を庇って?……あぁ、何となく思い出して来た……それで結局、あいつは何者だったんだ?」
元帥 「君は曙を助けるためにブラック鎮守府を摘発したのを覚えておるか?あやつはそこの提督じゃよ。海軍内の何者かが手引きしたのであろう、憲兵の元から解放された矢先……このようなことをしでかすとは!」
提督 「あぁ……そういや、何か見覚えのある顔だなぁとは思ってたんだけど……そっか、あいつか……じゃあ、一緒に居た夕立は?あいつの艦娘じゃねえだろ?」
元帥 「それは今、調査中————……」
リア友提督 「提督!大変や!」
元帥 「何じゃ!?騒々しい!」
リア友提督 「あっ、元帥先生も居ったんやな、ちょうどえぇわ!たった今さっき、君んトコの朝潮ちゃんから通信がウチの鎮守府にあったそうでな……君の鎮守府が、知らん艦娘に襲われたそうなんや!」
那智 ・ 磯風 「「何だと!?」」
提督 「くっ……!」
リア友提督の報を聞き、右手を支点にベッドから起き上がろうとしたが両足に激痛が走り、前のめりに倒れそうになったところを那智が抱き寄せるように受け止めてくれた。
彼女の胸の部分に顔が埋まっていく。
那智 「気持ちは解るが、無理をするな司令官!」
提督 「くそっ……!動けこのポンコツが……動けってんだよ!!」
鎮守府が襲われているのにその場へ駆けつけられない悔しさに、包帯が巻かれた自分の足を右手で殴ろうとしたところを、今度は磯風に止められる。
磯風 「やめないか、司令!そんなことをすれば、回復がより遅れるぞ!もっと自愛してくれ……」涙目
提督 「那智……磯風……」
リア友提督 「心配いらへん。ウチから何人か超特急で君んトコに向かわせてる。君の艦娘はちゃんと保護したるさかい……」
元帥 「すまんが儂はこれで失礼する。大淀に頼んで、すぐに君の鎮守府へ援軍を送ろう。那智、磯風!彼から目を離すでないぞ!」
那智 ・ 磯風 「「了解!」」
~ 数時間後 ~
再び個室に入って来た元帥の表情は……曇っていた。
提督 「その様子だと……助けられなかったのか。」
元帥 「いや、救助できたのは朝潮だけ……他の艦娘は、君の 『 後輩 』 を名乗る提督に連れて行かれたと……」
後輩提督 「そんな!私、そんなことしてませんよ!」
リア友提督 「言わんでも皆、解ってるって。提督が襲われた時、一緒におって医療班の人呼びに行ってくれてたやん。何より……今日、卒業したばっかりやのに、艦娘……艦隊を持ってるわけないやろ。」
後輩提督 「そうでした……」
提督 「それで……朝潮は?」
元帥 「酷い怪我をしておってな……入渠させておるが、あれでは……解体、してやったほうが幸せかもしれん。」
提督 「そんな酷い状況なのか!?くっ……那智!車椅子だ!俺を朝潮の所に連れて行ってくれ!」
那智 「司令官……」
提督 「入居ドックが艦娘達の風呂みたいなモンだってことも理解している!けど……今回だけは大目に見てくれっ!」
那智 「……わかった。元帥殿、少しだけ……司令官の我儘を許してやってください。」
元帥 「この程度、我儘にも入らんよ。いいから行ってあげなさい。」
提督 「ありがとうございます……磯風、お前も来い!皆で朝潮に会いに行くぞ!」
磯風 「もちろんだ!」
海軍本部 ・ 入居ドック
那智と磯風に連れてきてもらい、中へ入ると……複数ある浴槽の1番奥で、見知った小さな体が……全身傷や痣だらけ、右目の焦点が合っていない虚ろな瞳で風呂に入っていた。
朝潮もこちらに気付いたらしく、ゆっくりと口を開く。
朝潮 「し……れい……かん……」
提督 「朝潮……お前っ!こんなになるまで頑張ってくれたのか……」
両足が動き、左腕も動かせるのならば、全身で今、目の前にいる裸の彼女を抱きしめてやりたかったが……それも叶わない。
朝潮 「司令官も……酷い怪我……ごめんなさい……私、司令官の鎮守府を……皆さんが集う大切な場所を……守れませんでした!」涙目
提督 「謝らなくていい!お前はよくやってくれた!悪いのは……俺の不在中に鎮守府を襲撃し、お前や皆をこんな目に遭わせた奴等を指揮している奴だからな。だから、お前は何も気にしなくていいんだ……」
朝潮 「ありがとうございます……あの……司令官、お願いが……あります……」
提督 「何だ?言ってみろ。甘い物でも食いたいのか?可愛い服やぬいぐるみが欲しいのか?お前が望むことなら何でも……」
朝潮 「私を……那智さんの……近代化改修に使用してください……」
3人 「「「!?」」」
朝潮 「那智さんが駄目なら……磯風さんに……おそらく、私はもう戦えません……かといって、このような状況で解体をしても……普通の女の子に戻れる見込みもありません……ならば、私は……」
提督 「何を言ってるんだ!助かるに決まってるだろ!」
那智 「司令官の言う通りだ!諦めるな、朝潮!」
朝潮 「私だって……!できるなら、まだ……那智さん達と戦場を駆けたいです!司令官の指揮の下戦い……皆さんと楽しく過ごしたかったです!ですが……私の体は……もう待ってくれない……それを許してくれそうにないんです……」涙目
磯風 「朝潮!気をしっかり保て!」
朝潮 「司令官……もし、私が目を覚まさなくなったら……私の力を……培った経験を……それで……海の平和のために……頑張ってください……」涙目
提督 「朝潮?おい、朝潮!」
朝潮の……目に涙をいっぱい浮かべながら微笑んだ彼女の頬を、留めきれなかった涙が1筋伝い、湯船へと落ち……同時に、彼女はそれ以上話さないし、動かないし、表情も変えなくなった。
那智 ・ 磯風 「「朝潮ぉっ!」」
提督 「…………っ!那智……朝潮の最期のお願いだ。元帥に頼んで、此処の工廠で……近代化改修をしてもらう。磯風は……悪いな。」
磯風 「構わない……那智さん。朝潮のためにも、近代化改修……してやってはくれないか?」涙目
那智 「あぁ……わかった。朝潮が培った力と経験は、私が責任を持って引き継ごう!」涙目
◇◇◇◇◇
翌日
憲兵 「失礼します、提督殿。」
俺の個室に珍しい客が訪れてきた。彼は憲兵ではあるが、曙の件の時に共闘し、以来親しく接する友人のような関係になっていた。
提督 「おう、どうした……?」
憲兵 「駆逐艦 朝潮の件、元帥殿から伺いました……心中御察しします。本日此処を訪れたのは、貴下にあった残りの艦娘の件で報告があるからです。」
提督 ・ 那智 「「他の皆の居場所が分かったのか!?」」
憲兵 「はい。では、順を追って説明しましょう。まず……貴殿の鎮守府を襲撃したのは、最近中尉に昇格したという優男が所有する艦隊です。」
彼はそう言いながら、中尉の写真を俺に手渡して来た。
提督 「こいつが……ん?こいつの顔、どこか見覚えが……あぁ!そうか。最近、艦娘との悪質な淫行が原因で捕まった大佐と目つきなんかがそっくりなんだ!」
憲兵 「奴はこいつの父親だということが判明しました。そして、血は争えんのでしょうな……そいつもまた、艦娘を用いて悪質な淫行をしているということが判明しました。」
磯風 「その様子だと……憲兵殿は具体的な内容も把握しておられるのか?」
憲兵 「はい。この中尉は自分の所有する艦娘を使い、自分の鎮守府をキャバレークラブのように扱っては、自分の知人である一般市民を鎮守府へ呼び込んでいるのです。」
那智 「一般市民を!?確か、軍の機密に触れさせないようにするため、観艦式や祭りなど特別な行事の時を除いては、一般の市民は原則立ち入り禁止だったはずだぞ!?」
提督 「それだけでも許せないが……続けてくれ。」
憲兵 「では……先程も申しましたが、この者は艦娘に接客用のコスチュームを着せては、客に酌をさせる……それだけならまだどこにでもあるクラブなのですが……此処は追加料金を支払うと、艦娘と性交ができる場所なのです。」
3人 「「「何だとっ!?」」」
憲兵 「しかも、その追加料金の制度を知っているのは、その中尉と数名の友人のみ……つまり、こいつ等は自分達のグループ内だけで艦娘を使って淫らな行いをしているのです!」
提督 「クソがっ!そんな所に長門達が……!」
那智 「そもそも、この中尉はどうやって司令官の不在を知ったのだ?余程のことが無い限り、常に執務室に居るであろうということは、本人も知っているものだと思ったんだが……」
憲兵 「おそらくですが……この本部で提督殿が元帥殿か友人提督殿と話、もしくは提督殿が電話しているのを偶然聞いたのでしょう。 『 後輩殿の卒業式に参加するので鎮守府を留守にする 』 と。」
磯風 「なるほどな……それで?仮に憲兵殿が仰った理由で司令が不在になるというのを知ったとして……何故、私達の鎮守府を襲撃した?司令は中尉から恨みを買うようなことをしたのか?」
提督 「いや……この写真を見ても、特に接点があったなんてことを思い出せずにいるんだが……」
憲兵 「はい。ですが……こいつは提督殿の鎮守府を襲撃して、貴下の艦娘を強引に手に入れたのです。理由は……こちらは私も見当がつかないのですが、何らかの方法で提督殿が指揮している艦娘の中に、自分が所有していない艦娘が居ることを知ってしまったから……という感じではないでしょうか?」
提督 「だったら、俺みたいに建造をやりまくるか……自分の艦娘達に厭らしいことをお願いする前に、どこかの海域へ探しに行ってもらうよう頼めばいいだろうに!こんな真似しなくてもよぉ……」
憲兵 「おそらく、他人の所から略奪すれば、1から鍛える手間が省ける……とか思っているのでしょう。そして、昼は海へ……夜はいかがわしい店に艦娘達を出撃させるのです。」
磯風 「では……連れて行かれた長門さん達は……」
提督 「その夜の店に出されて……最悪、どこのモブ野郎とも知らねえ奴等と肌を重ねる可能性があるってことか……」
憲兵 「提督殿。動けない貴殿の代わりに、我々が行ってこいつを連行してきましょうか?」
提督 「……いや、俺も連れて行ってくれ。磯風、車椅子を頼む。」
磯風 「承知した!」
憲兵 「しかし、提督殿は負傷されて……」
提督 「たとえ両足の骨が折れていようとも……左腕やあばら骨も折れていようとも……俺にはまだ、この黄金の右手が残ってる!上官を殴ったことで提督の地位を失うことになるとしても!俺が直々に……このふざけた野郎の顔面に拳を減り込ませてやるわっ!」
那智 「司令官ばかりに責を負わせない……司令官が提督をやめることになったら、私も解体してもらって普通の女性に戻ろう。」
磯風 「むしろ、この上官を殴ったことを罰せられて、提督の地位をは剥奪される……くらいなら、司令は自ら海軍を去るだろ?」
提督 「まぁな。」
憲兵 「……わかりました。一応、元帥殿には報告させていただきますからね。」
*****
その日の夜……
俺は憲兵隊の方々や那智、磯風と共に件の鎮守府近辺で待機していた。
そして今回も、頼れる仲間 ・ 天龍も同伴してくれている。
天龍 「まさか、マジでその状態で来るとは思わなかったぜ。」
提督 「今の鎮守府の仲間がエロい事目的で誘拐されたんだぞ……保護者が助けに来なくてどうする?」
天龍 「その気持ちは解るけどよぉ……おい、那智。終盤まで提督が突っ込んで来ねぇように、手綱をしっかり握っておいてくれよ。」
那智 「承知した。」
憲兵隊員A 「むっ……!早速、軍服を着ていない者が姿を見せました!」
憲兵 「始まったか。」
提督 「だが、おそらく最初は酒を飲むだけ……その淫行の直接的な現場を取り押さえるなら、私服姿の憲兵を潜ませるべきだ。」
憲兵 「私もそう思っていたので、中尉の友人と昼間のうちに接触しまして……服と招待状を入手しておきました。」
提督 「招待状はともかく、服って……」
憲兵 「どうせ、あの者にはもう必要のない物です。では、お前!これに着替えて、招待状を持ち、あの鎮守府内へ潜入せよっ!」
憲兵隊員B 「はっ!」
憲兵 「1人でも、艦娘との性交を始めた者を確認したら、すぐに連絡せよっ!」
憲兵隊員B 「了解でありますっ!」
提督 「なぁ……憲兵殿……」ヒソヒソ
憲兵 「ん?何でしょう、提督殿。」ヒソヒソ
提督 「やはり人間と艦娘が……その……するのは問題なのだろうか?」ヒソヒソ
憲兵 「……?……!あぁ……大丈夫です。私は悪意のある一方的な性交、凌辱、輪姦の類の現場を取り押さえるのであって……双方が合意しているのであれば、特に口出しはしませんよ。」ニコッ
提督 「そうか……よかった……」ヒソヒソ
憲兵 「一応、間違えて凸しないよう、他の者にも後日伝えておきましょう……」ヒソヒソ
提督 「助かる……」ヒソヒソ
磯風 「ん?2人共、何を話しているのだ?」
提督 「何でもねぇよ……ちょっとした大人の話だ。」
憲兵隊員A 「隊長!内部へ潜入した隊員より報告。優男が1人、艦娘の服を……なっ!?いきなり下着に手をかけたそうです!」
憲兵 「疑いも……同情の余地無しだな。全員!速やかに鎮守府内へ突撃!」
天龍 「よっしゃあ!切り込み番長、天龍!出るぜ!」
提督 「那智、磯風。お前達も憲兵さんや天龍と共に先行してくれ。俺は何とか自力であそこへ向かうからさ。」
那智 「いや、貴様の車椅子は私が押そう。磯風は皆と共に先行してくれ。」
磯風 「承知した。では……行ってくる!」
中尉の鎮守府 ・ 内部
憲兵 「憲兵だ!動くな!貴様等が艦娘を使用して淫行をしているという情報は得ているのだ!無駄な抵抗はせずに、両手を頭の後ろで組んで腹這いになれっ!」
中尉 「なっ!?何故、憲兵が……ひっ!逃げ……」
天龍 「おっと!逃げられると思うなよ!」
天龍が足払いで中尉を転倒させ、叩きつけられた顔面のすぐ横に刀を突き刺す。
中尉 「くっ……!貴様、艦娘の分際で……こんな真似をして、ただで済むと思っているのか!?」
天龍 「てめぇこそ、艦娘相手に随分な事してくれてんじゃねぇか。まぁいいや……今回のオレは付き添いなんでね。てめぇに直接物申したいって奴を連れて来てるから、会わせてやるよ。」
中尉 「なん……だと……?」
提督 「よぅ……。」
中尉 「ひっ!?お前、なぜ生きて……あいつは……夕立のヤツ、しくじりやがったのか!?」
提督 「まぁ、それに関しても色々言いたいことはあるが……それ以前に、だ……俺の鎮守府を襲撃してまで連れて来た艦娘達はどこだ?」
中尉 「知らんっ!ボクはお前の鎮守府など……ごふっ!」
あくまでもシラを切ろうとする中尉の後頭部を磯風が掴み……そのまま床へ叩きつける。
提督 「中尉ともあろう者が……嘘はいけねえなぁ……もう一度言う……長門達はどこだ!?」
中尉 「がっ……!?そんな……に、会いたいなら……見せてやるよ! 『 ボクの 』艦娘の姿を!」
磯風の拘束を振り切った中尉が、鼻血を垂れ流した状態のまま、部屋の奥にあった鉄の扉を盛大に開く。
薄暗いその空間に……俺達のよく見知った艦娘達が 『 それは下着として機能しているのか? 』 と思うような下品な下着を着用しており、虚ろな眼差しで鎮座していた。
提督 「おい…………これはどういうことだ?てめぇ!こいつ等に一体、何をした!?」
中尉 「はっ!自分の道具をどうしようと、ボクの勝手だろ?そいつらはボクに対してやたら反抗的でね……ちょっと薬を使って調教してやったのさ。それで、ようやく出来上がってきたから本日お披露目しようとしたところを……この騒ぎだ!」
憲兵 「それは貴様の自業自得だろうがっ!」
提督 「とにかく、どこの屑とも解らねぇ馬鹿野郎共と肌を重ねる前に助けられたようだが……薬を使って、こんな状態にしたことに対する落とし前は付けさせてもらうぞ。那智!磯風!」
那智 ・ 磯風 「「承知っ!」」
俺の合図を受けた那智と磯風に背後から腕を掴まれた中尉は、人間に捕獲された宇宙人のような姿で俺の前に顔を突き出す形になる。
中尉 「おいっ!離せ!お前等、このボクに何を……待って!お願い、やめて!」
提督 「うおぉぉぉぉぉぉ!このクソ野郎……目を食いしばれぇぇぇぇぇ!」
中尉 「嫌だぁぁぁぁぁ!……って、え?えぇ??目……?」
俺の渾身の力を込めて降り抜いた右の拳は見事に中尉の顔面中央に減り込み……同時に那智と磯風が掴んでいた腕を話したことにより、殴られた中尉が部屋の奥まで吹っ飛び、壁に背中を叩きつけた。
提督 「俺はこの程度で済ませてやるが……まだ体も痛いし……今度は憲兵さんがてめぇに用があるらしいぜ。」
憲兵 「随分好き勝手していたようだな。貴様も、貴様の友人という一般人も……二度と日の光を拝めると思うな!死んで地獄へ堕ちるまでの間、死なない程度に可愛がってやるから覚悟しておくが良い!」
中尉 「ひぃっ!?い……嫌だ!お願いだ、助けてくれ!もうこんな真似はしない、必要なら金も払う!だから、艦娘共は解体しようがどうでもいいが……生身のボクだけは助けてくれっ!」
提督 「こいつっ……!憲兵さん。こいつが泣き喚こうが関係ねえ……この世の地獄を見せてやってくれ。」
憲兵 「無論。元よりそのつもりです!徹底的にやってやりますよ。」
中尉 「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
こうして中尉と仲間の一般人達は憲兵さん達に連行され、男共にその身を捧げていた艦娘達は海軍本部の医療班やカウンセラーの元、元に戻るか……手遅れの者は、そのまま解体という方向で話が進んでいった。
海軍本部 ・ 病棟提督用個室
元帥 「また無理をしたのぅ。」
提督 「それでも……やらなきゃいけねえと思った。反省も後悔もしてねえ。それより、あいつ等は……」
元帥 「君の艦娘達なら、心配いらん……とは言い切れんな。連中の使用した薬が性質の悪いものでのぅ。後遺症は残らんようにするが……」
提督 「そっか……なぁ、元帥の……此処の技術班の連中の腕は確かか?」
元帥 「え?それはもちろん!毎日数十人という艦娘本人や艤装のメンテナンスをしておるのじゃ。人間も工作艦も腕は確かじゃぞ。」
提督 「じゃあ……俺のちょっとした無茶な頼みも聞いてもらえるな。」
元帥 「無茶な頼み……じゃと?」
提督 「あぁ。……長門、扶桑、矢矧、五十鈴、祥鳳、筑摩、早霜のメンテナンスをどんな感じでするかは知らねぇが……後遺症と……俺と関わった期間の記憶も残らねえようにしてやってくれねえか?」
那智 「なっ!?司令官、それは……」
元帥 「できんことはないじゃろうが……良いのか?それは彼女達を手放すということになるのじゃぞ?」
提督 「人道に反するっていう意味じゃ、俺も中尉も何も変わらんのだろうな……けど、記憶を消せるのであれば、嫌な事を全て忘れて……何も知らない状態で、姉妹艦や縁のある艦娘達と共に、正義と平和のために貢献してもらいたいと思っている。」
元帥 「なるほど……」
提督 「皆には申し訳ないと思ってる……けど、俺に関わっていたら、いつまた何があるか分からない……朝潮のような犠牲者がまた出るかもしれない……戦争以外のくだらねえ理由でそうなる状況を未然に防ぐためにも!あいつ等には内密に……できれば麻酔か普通に眠っている間にお願いしたい。」
元帥 「それが君の考えか……まったく、どこまでも不器用で優しい男じゃのう。わかった……そのように手配し、儂か彼の鎮守府へ派遣しておこう。」
提督 「ありがとうございます。」
元帥 退室。
提督 「お前達も……俺のやり方が気に入らないのであれば言ってくれ。元帥に直訴して、何とか異動を……」
那智 「司令官、貴様……まだ寝ぼけているのか?私が司令官を見捨てるはずがないだろう?司令官がどのような考えで行動しようと、私は最後まで司令官の味方だぞ。」
磯風 「私も……司令以外の元で武を振るうつもりはない。那智さんと共にいつまでも司令を支え続けよう。」
那智 「……以前から気になっていたのだが、何故磯風は司令官にそこまで懇親的なのだ?もちろん、それが悪いことだなんて微塵も思っていない。むしろ同じ志を持つ者として嬉しいんだが……少し気になってな。」
提督 「確かに……磯風の気持ちは素直に嬉しいんだけど……先日、異動で来てくれたばっかりだろ?何でそこまで……」
磯風 「そうか……まだ話していなかったな。いい機会だ、簡単に説明するとだな……先日、司令に銃口を向けたあの男……司令が摘発した、あの者が治めていた鎮守府に、私も居たのだ。」
提督 ・ 那智 「「!?」」
磯風 「かつてブラック鎮守府と呼ばれていた場所で、駆逐艦である私達は碌に補給もしてもらえないまま、大破状態で放置、出撃させられ……いつ沈むか解らない恐怖を抱き続けながら日々を過ごしていた。」
那智 「驚いた……曙が居たという鎮守府に、お前も居たのか……」
磯風 「曙があそこを脱出したのは知っていたが、その後はどうなったか知らなかった……希望すら見えず、ただ命令に従うだけの日々に転機が訪れたのは、本当に突然のできごとだった……私達の鎮守府に、憲兵隊の人達と天龍さんが武装した状態で突撃してきたのだ。」
提督 ・ 那智 「「…………」」
磯風 「ワケの判らないまま、暗い部屋の隅で怯えていた時……」
~ ブラ鎮摘発当日 ~
磯風 「……何だ?一体、何が…………」
提督 「うぉぉらぁぁぁ!ダイナミックエントリー!!(# ゚ Д ゚) 此処のドス黒く汚れきった最高責任者はどこだぁぁぁ……ん?お前は……」
磯風 「ひっ……!あの……」
提督 「悪い、悪い。驚かせちまったな……いや、その怯えは俺だけの責任じゃねえな。」ナデナデ
磯風 「あっ……」/////
提督 「補給がどうこう言う以前に、食事すらまともにって感じだな……待ってな。こんな悪夢、早急に終わらせてやる。艦娘がいかに過去の軍艦の力を宿しているとはいえ、平時は可愛い女の子達だ。こんな風に虐げられている現実……許せるものか!」
~ 回想終了 ~
磯風 「…………そう言って部屋を出て行った司令が憲兵隊の人達や天龍さんと共に、あの者を取り押さえたのは、それからまもなくのことだった……」
提督 「思い出した……あの時、あの部屋に居た艦娘……あれが磯風だったのか……」
磯風 「その時、私も司令の顔が見えなくてな……だが、声は覚えていた。それから……あの鎮守府から保護された後、この本部で日々を過ごしていた時……司令や那智さん達が鬼ごっこをしていたDVDを視聴覚室で見て、記憶の中の声と司令の存在が一致してな……そちらへ異動したいと元帥殿に頼んだのだ。」
提督 「そうか……それで早霜と一緒に……」
磯風 「司令にとっては大勢の助けた艦娘のうちの1人に過ぎないのだろうが、当事者である私にとっては……本当に、感謝してもしきれない出来事だったのだ!あの時の恩を未だ返せたとは思えない……だから!私も那智さんと共に、司令の下にずっと置いてくれないだろうか!?」
提督 「那智……磯風……ありがとう。お前等は本当に……俺にはもったいねえくらい、美人で気立ての良い艦娘だよ。」
那智 「なっ……!?いきなり何を言い出すのだ、司令官!」/////
磯風 「いきなり微笑みながら、そのようなことを……うぅ、反則だぞ!」/////
主治医 「提督さん、よろしいですか?面会時間の終了をお伝えに来たのですが……」
提督 「あっ、すいません。ほら……お前等2人の気持ちは解ったから、今日も姉妹の部屋にでも泊めてもらえ。」
那智 「わかった。明日、面会できる時間になったら、また2人で来るからな。」
磯風 「絶対安静を心掛けるのだぞ、司令。」
那智、磯風 退室
元帥 「…………愛されておるのぅ。」
主治医 「これは、元帥殿。」
提督 「いつから聞いてたのかは不問にしておくよ……ったく、抜け目のねぇ爺さんだぜ。それで?皆の手配は済んだのか?」
元帥 「うむ。まだ目は覚ましておらんがのう。殆どが姉妹の居る方へ異動したが、まだ瑞鳳が居ないということでな、祥鳳は時期を見てパラオ泊地へ行ってもらうことにした。」
提督 「そっか……罪悪感がまったく無いといえば、嘘になるが……皆には是非とも、姉妹艦と共に頑張ってもらいたいもんだ。それで……元帥、那智と磯風の件なんだけど……」
元帥 「解っておる。儂もそこまで野暮な真似はせんよ。まぁ……彼女達の姉妹艦には遅かれ早かれバレるじゃろうがな。まぁ、おめでとうと言っておこうかのぅ。」
提督 「本当に………何から何まで世話になるな。」
元帥 「構わんさ。儂もいろいろ力になってもらっておるし……大事な教え子の頼みじゃからのう。では、面会時間も過ぎているようじゃし、儂も失礼しよう。ゆっくり休むのじゃぞ?」
提督 「あぁ……ありがとう。」
†††††
あれから数日後……
ようやく車椅子での退院が許可され、那智に車椅子を押してもらいながら俺達3人は本部を後にした。
提督 「久々のシャバの空気は美味いなぁ……」
磯風 「ふふっ……その表現はどうなのだ?」
那智 「お勤めご苦労様でした!……とでも言えば満足か?」
提督 「そうだな……悪い気はしなかったな。それじゃあ、出所祝いに……どこかで飯を食って帰るか?」
那智 「いや……このまま真っ直ぐ帰ろう。長く鎮守府を空けてしまっていたからな……いろいろと大変なことになっているだろう。」
磯風 「そういえば……鎮守府は結局どうなったのだ?襲撃を受けたと聞いたが……損害の規模は?修繕できたのか?」
提督 「あぁ。リア友提督んトコと元帥んトコ、それとウチに元々居た妖精さんが結託して、急ピッチで直してくれたらしい。」
那智 「そうか。では、戻ったら改めて妖精さんに礼を言うとして……司令官には溜まっている書類仕事を頑張ってもらおうか。」
提督 「まぁ、右腕だけでも書類は見れるし判も押せますし?何も問題無いですし?(((((( ; ゚ Д ゚ ))))) 」
磯風 「心配するな、司令。私達も手伝う。なぁに、皆で手分けすれば、すぐ終わるさ。」
提督 「すまん、助かる……」
那智 「しかし、骨折というものは本当に厄介だな……司令官も自由に動けなくて辛いだろ?」
提督 「まぁな……けど、左腕も足も少しずつなら動かせるようになってきているから、完治まではもう少し……のはずだ。」
磯風 「そうか。それはよかった……。」
~ 数時間後 ~
鎮守府 ・ 本館
提督 「うわっ……本館の中にスロープができてる……」
那智 「妖精さんの粋な計らいというやつか……何にせよ、ありがたい話だ。遠慮なく使わせてもらおう。」
磯風 「……やはり、他の皆が居ない分、建物……いや、鎮守府全体が広く感じるな。」
提督 「すまねぇな……勝手なことを言って……やはり皆には残ってもらうべきだったか。今すぐにでも呼び戻す……」
那智 「いや、そうすると今度は彼女らの姉妹から不平不満が飛んでくると思うぞ。確かに艦隊の皆が離れ離れになるのは寂しいが……おそらく、これで良かったのだろう。」
磯風 「司令は何も悪くない。悪いのはこうなる原因を作った、あの元司令と元中尉だ……!」
提督 「……ありがとう、2人共。」
◇◇◇◇◇
鎮守府 ・ 執務室
提督 「さてと……とりあえずの方針なんだけど……しばらくは、この鎮守府という名の俺の 『 国 』 で資材を貯めつつ、2人の練度を重点的に上げていく。」
那智 「なるほど、富国強兵というやつだな。いいだろう……この那智に任せておけ!」
磯風 「私達の力量に合った相手と戦闘を繰り返すのだな。少数精鋭、大いに結構!いいだろう、この磯風に任せてくれ!」
提督 「ははっ、頼もしいな。まぁ……しばらく俺も建造は控える。今はお前達2人のことを大事にしたいからな……」
那智 「司令官……」/////
磯風 「司令……」/////
提督 「お前達の出撃中のことは気にするな!さっき見たスロープもあるし……早く元通りの生活を送れるよう、できることは自力でなんとかやってみるさ。」
*****
数日後
提督 「那智の練度が65……磯風が63か……よしっ!那智、ちょっと良いか?」
那智 「ん?何だ、司令官。」
提督 「これを持って工廠へ行ってくれ。妖精さんに話はしてある。」
那智 「……これは?」
提督 「お前の改二の申請書……とでも言えばいいのか?とにかく、更なる改造でより強くなってもらおうと思ってな。」
磯風 「おめでとう、那智さん。」
那智 「司令官……磯風……礼を言う。すぐに工廠へ行って、強化してもらって来るとしよう。」
— 那智 退室 —
磯風 「ところで、司令……怪我の方はどうだ?」
提督 「おかげさまで順調に回復しているよ。そうだな……次の土曜にでも、また本部へ出向くとするか。」
磯風 「そうだな。できるだけ早く、その車椅子は卒業した方が良い。私達はともかく、司令自身がいろいろと不便な思いをしているだろ?」
提督 「あぁ……まぁな。」
◇◇◇◇◇
数分後
那智 「司令官、失礼する……」
提督 「おう、改造が終わったのか。お疲れ…………」
執務室の扉を開け、中に入って来た那智の姿を見て、俺は思わず言葉を失った。
出会った当初から俺を支え続けてくれていた彼女は……凛とした姿に更なる磨きがかかり、制服も紫色から青へと変わり……胸が大きく、太ももがはち切れんばかりに立派になっていた。
那智 「ど……どうだ?その……似合うか?」/////
提督 「……ありがとうございます!」お辞儀
那智 「どうした、司令官!?」
提督 「いや……いろんな意味で立派になって……感慨深いな。とにかく、凄く似合ってる……おめでとう!これからの活躍、より一層期待しているぞ。頑張ってくれ、那智。」
那智 「司令官……あぁ!任せてくれ!」ニコッ
提督 「磯風の次の改造は熟練度68か……もう少しだな。よし、磯風の改造が終わってから本部の医療班の所へ行こう。」
磯風 「気持ちは有り難いが……先延ばしにして良いのか?司令……」
那智 「磯風のことを気にかけてやるのも良いが……やはり、早く司令官自身の体を元に戻してくれ。」
提督 「お前達がそう言うなら……ここはおとなしく言うことを聞いておくか。」
†††††
数日後
海軍本部 ・ 医務室
主治医 「…………うん。お疲れ様でした、提督殿。無事に全ての骨が完治しました。これでもう、自由に動けますよ。」
提督 「お……おぉぉぉ!この包帯やギブスで拘束されてない自由な感じ……久々だなぁ。」
天龍 「…………!提督!もう、包帯を外して大丈夫なのか!」
提督 「おう、天龍!久しぶりだな。見ての通り……今、やっと完治したところさ。」
天龍 「そうか……よかったな。皆心配してたんだぜ!これに懲りたら、もう無茶な真似すんじゃねえぞ!」
提督 「うっす!以後、気を付けます。」
天龍 「まったく。ところで………那智と磯風は一緒じゃねえのか?」
提督 「ん?あぁ、2人共、姉妹の所に行ってるぞ。特に那智は改二になったからな。その報告もあるんだろう。」
天龍 「おっ!ついに那智が……そりゃ祝わねえとな。オレも後で冷やかしに行ってやろっと。」
提督 「冷やかすな。ちゃんと祝ってやってくれ。」
天龍 「まぁ、以前は同じ鎮守府に居た仲間……しかも先輩だからな。心配しなくてもちゃんと祝ってやるよ。」
提督 「あぁ……是非そうしてやってくれ。ところで……お前はどうするつもりだ?一応、後輩がパラオに着任したが……」
天龍 「それなんだけど……いや、オレも当初はちあそこに戻るつもりでいたんだけどよぉ……憲兵の人達とブラック鎮守府を摘発すんのが楽しくてな。何より……龍田が解放してくれねぇ。」
提督 「おっ……おう。まぁ、形はどうあれ頑張ってくれてるみたいだし……あの約束も別に強制じゃねぇしな。此処で頑張ってるんなら、引き続き此処でもがんばれよ、天龍。」
天龍 「おうっ!任せとけ。」
那智 「司令官!ついに包帯が取れたのだな!よかった……」
天龍 「……おっ!聞いた通り、確かに雰囲気が変わったな。」
那智 「天龍も一緒だったのか。何の話をしていたのだ?」
提督 「ん?あぁ……那智がより美人になった……って話してた。」
那智 「そっ……そうか……」/////
天龍 「ナチュラルに惚気てんじゃねぇぞ。ったくよぉ……けど、おめでとう!那智。オレ達に代わって、提督が二度とあんな馬鹿な真似をしないよう守ってやってくれよ。」
那智 「承知した。皆の思いの分まで、私と磯風が責任を持って司令官を守ると約束しよう。」
*****
那智が改二になった報は、本部に居た元帥や元々俺の所に居た艦娘達に知れ渡ることになり、しばらく那智は祝辞の言葉を次々に送られていた。
磯風 「ふふっ……慕われているな、那智さん。」
那智 「いや……まぁ、うん……ところで、司令官。これからどうする?このまま帰るのか?」
提督 「……いや、これからパラオ泊地に向かう。後輩とは結局、あれっきりだったからな……ちゃんと祝い直してやりたいし、ちょっと……気になることもあるからな。」
磯風 「気になること?」
提督 「まぁ……あれから数日経ってるんだし、たぶん大丈夫だと思うんだけど……………」
◇◇◇
パラオ泊地鎮守府
提督 「いやぁ!此処に来るのも久しぶりだな。」
磯風 「此処が……司令と那智さんの始まりの地か。」
那智 「それで、司令官……気になることというのは……?」
「もぉー!どうするんですか!てーとく!」
磯風 「今の声は……工廠からか……」
那智 「あぁ……( 察し )」
提督 「……行こう。」
パラオ泊地鎮守府 ・ 工廠
後輩提督 「ぐすっ……えぐっ……」正座
提督 「まぁ、大体想像はつくけど……どうした?」
後輩提督 「……!せんぱいぃぃぃぃ!助けてくださいぃぃぃ!・゜゜・( / □ \ * )・゜゜・」
提督 「だぁぁぁっ!抱き着く前に涙と鼻水を拭け!……大方建造で殆どの資材を消費しちまったんだろ。」
後輩提督 「はぅっ!何で解ったんですか!?Σ( ゜ ロ ゜ ; ) 」
那智 「ふふっ……流石、司令官の後輩殿だな。」
??? 「あの、提督……この人達は……?」
後輩提督 「あっ……ごめんね。この人は私の先輩で、元々此処の提督をしていた人とその初期艦さん。それと、先輩の主戦力の駆逐艦ちゃんよ。」
提督 「俺はともかく、こいつ等2人はちゃんと名前で紹介してやってほしいもんだがな……。」
那智 「初めましてになるな。重巡洋艦 妙高型2番艦の那智だ。貴様は……後輩殿の初期艦か?おそらく、これから大変だろうが……頑張れ。」
磯風 「陽炎型駆逐艦12番艦、磯風だ。よろしくお願いする。」
??? 「あわわ……これは、どうもご丁寧に……長良型軽巡洋艦6番艦 阿武隈です!よろしくお願いします!」
提督 「ん?見た感じ、そちらの阿武隈ちゃんはお前の初期艦っぽいんだが……初建造がいつだったかは知らんが、それから資材が自動搬入されてるだろ?」
後輩提督 「それが……その……」
阿武隈 「聞いてくださいよ!提督ったら、私の武器を開発しようとして、闇雲に資材を費やして……結果がこれですよ!」
ペンギンと謎生物の山 × 多数
提督 「お……おう。1回も成功しなかったのか……」
那智 「これは……司令官とは違う意味で悲惨だな……」
磯風 「ということは、今この鎮守府に居る艦娘は阿武隈さんだけというワケか……」
提督 「こりゃ、早いうちに高雄にでも来てもらわないとマズいな……人のことは言えねえが、このままじゃそのうち内部崩壊しちまうぞ。」
後輩提督 「うぅぅぅ……先輩、どうしましょう?」
提督 「とりあえず、お前は元帥に電話して、重巡洋艦の高雄に異動して来てもらうよう死ぬ気でお願いしろ!消費しちまった資材は……ウチの鎮守府から少しだけだが分けてやる。」
阿武隈 「そんな……いいんですか!?」
那智 「あぁ。今、私達の鎮守府はちょっとした事情があって私と磯風しか居ないんだ。だから、それなりに資材が余っている。」
磯風 「申請してもらった量にもよるが……こちらにとって無理のない量なら、提供できるはずだ。」
阿武隈 「ありがとうございます!ありがとうございます!」
提督 「改めて後輩の卒業を祝いに来たが……それどころじゃなくなったな。すぐに鎮守府に戻るぞ!阿武隈ちゃん、後日必要な分を電話で伝えてくれるか?」
阿武隈 「はいっ!わかりました!」
◇◇◇◇◇
鎮守府 ・ 執務室
提督 「さてと……阿武隈ちゃんからいつ電話があるか解らんが……とりあえず、2人共。いつでも遠征できるよう準備だけはしておいてくれ。」
磯風 「承知した。」
那智 「しかし……阿武隈は大丈夫だろうか?私のように司令官に対して強気で発言できるとは思えんのだが……」
提督 「まぁ、そのうち高雄にも行ってもらうし……大丈夫だろう。」
~ 数日後 ~
那智 『司令官、聞こえるか?』
提督 「あぁ、ちゃんと聞こえてるぞ。何かトラブルでも遭ったか?」
那智 『いや、パラオ泊地に物資はちゃんと輸送できたのだが……高雄が貴様と話したいことがあるそうだ。』
高雄 『提督。御無沙汰しています、私の声が聞こえますか?』
提督 「おう、聞こえてるぞ。悪いな、無理言って……」
高雄 『気になさらないでください。元々、後輩さんが着任して私達が希望すれば此処に戻れるという約束でしたから。まぁ……事情を聞いて戻って来たと同時に、こんな大役を任されるとは思いませんでしたが……』
提督 「本当にすまん!俺と同様に至らないところが多々ある奴だけど、心が挫けない程度に支えてやってくれ。」
高雄 『うふふ。了解です。こちらの提督さんと阿武隈ちゃん2人に、1から色々と教えて差し上げるつもりです。』
提督 「…………ほどほどにしてやってくれよな。」
那智 『とにかく、輸送は無事に完了した。これより磯風と共に帰投する。』
提督 「わかった。道中、くれぐれも気を付けてな。深海棲艦との戦闘は……状況に応じて2人の判断に任せるが、無理はするなよ。」
那智 『承知した。』
— 通話終了 —
那智 「ふぅ……では、高雄。こちらのことは任せたぞ。」
高雄 「はい。お任せください。」
後輩提督 「ごめんねぇぇぇ!本当にありがとう!那智さん、磯風ちゃん!おかげで助かったよ!」
高雄 「もうっ!これに懲りたら、ちゃんと計画して建造や開発をしてくださいね!……とにかく、2人共。本当にありがとうございました。帰路の道中、気をつけてくださいね。」
磯風 「ふふっ……ありがとう、高雄さん。」
阿武隈 「…………」ポヘ~
高雄 「どうしたの?阿武隈ちゃん。」
阿武隈 「あっ、いえ……先輩提督さんの初期艦の那智さんも、磯風ちゃんも凛として格好良いなぁ……って。私もあんな風になれるかな……?」
高雄 「阿武隈ちゃんが……那智さんや磯風ちゃんみたいに……?ぷふっ!」
阿武隈 「ちょっと!高雄さん、失礼じゃないですか!?」
高雄 「うふふ……ごめんなさい。まぁ、目標を高く持つことは良いことですよ。」ナデナデ
阿武隈 「どういう意味ですか!?」/////
†††††
鎮守府 ・ 執務室
那智 「戻ったぞ、司令官。」
提督 「おう、お疲れ。那智は特に慣れない遠征で大変だったんじゃないか?」
那智 「いや、そうでもないさ。幸いなことに、深海棲艦と遭遇しなかったからな。」
磯風 「だが……いつまた予期せぬ出来事が起こるか分からない。司令の心境や考えも理解してはいるが……やはり、せめて後1人、空母は必要だと思うのだ。」
提督 「なるほど……磯風の言う通りだな。今回は上手くいったが、毎回そうとは限らないしな……うん、よく言ってくれた!そういう意見具申は本当に助かるよ。」
那智 「ふむ。では、久しぶりに建造するのだな。」
提督 「あぁ。でも、今は少数精鋭、富国強兵を心掛けたいからな。建造は1人だけ……でも、来てくれた子には、俺に出来る可能な範囲で最大限尽くそうと思っている……つもりだ。」
那智 「ふふっ、良い心掛けだな。」
鎮守府 ・ 工廠
提督 「本当、いろいろとありがとうございました。妖精さんには感謝してもしきれねえです。」
妖精さん 「きにしなくていいのです!こちらもいろいろさいしょからあたらしくつくったり、リフォームしたりして、たのしかったですし!」
提督 「そう言ってもらえると、気持ちが幾分か楽になります。」
妖精さん 「それで?きょうはなにをさせてくれるのです?」
提督 「今日は久しぶりに建造を頼む。また新たに此処からスタートするために……今回は空母、資材は400 / 200 / 500 / 700 で頼む。」
妖精さん 「りょうかいです!ちょっとほんきをだして、いいところをみせてあげるです!」
建造時間 : 04:10:00
提督 「今回は誰が来てくれるのか……楽しみだ。」
妖精さん 「ちょっとじかんがかかりますが……どうします?」
提督 「そうだな……一度、執務室に戻るよ。こっちでも時間を見計らって来るようにするけど、もし忘れてて俺が此処に来る気配が無かったら、手間かけさせることになるけど、執務室まで呼びに来てくれ。」
妖精さん 「りょうかいです!( ゚ ∀ ゚ )ゞ 」
~ 数時間後 ~
提督 「そういえばさ……俺は入渠ドックの中を見てないんだけど……やっぱり変わってたのか?」
那智 「ん?そうだな、何て言えばいいんだろう……傷を治すための場所と、普通の大浴場が合体したというか……」
提督 「あれか?TVのCMでたまに見る、スパリゾートみたいなもんか?」
那智 「あぁ……!プールという物は無いがな、概ねその認識で問題は無い。」
提督 「そいつは豪勢で羨ましいな。」
磯風 「それより、司令……建造をしていたのだろう?完了の時間は把握しているのか?」
提督 「やべっ……たぶん大丈夫だろうけど、執務も終わって今は特にやることも無いしな……酒保でお菓子や飲み物買って行って、皆で工廠で待つか。」
◇◇◇
鎮守府 ・ 工廠
妖精さん 「ふぁっ!ふぇいふぉふふぁん、ふぇんふぉふふぁふぉふぁっふぁふぃふぁふぃふぇふ。」モグモグ
磯風 「司令……今のは何かの暗号か?」
提督 「うん。初めて聞いたらそうなるよな。とりあえず、建造が終わったようだな。」
那智 「今回はどんな娘が来るのか……楽しみだ。」
妖精さん 「ごくん……ふふっ、なちさん、ていとくさんとまったくおなじことをいっているのです。」
那智 「え……?そうなのか?」
提督 「どうだったかな……やべぇ。ほんの数時間前の事なのに、割とマジで思い出せない。それより、ほら……出て来たぞ。」
「航空母艦、蒼龍です。空母機動部隊を編成するなら、私もぜひ入れてね!」
提督 「なっ……!?正規空母で二航戦だと!?」
蒼龍 「そうだよ~。二航戦だよ~♪」
提督 「今まで建造でウチに来てくれたのは、皆軽空母だったからなぁ……ちょっと興奮してしまったぜ。」
蒼龍 「そうなの?嬉しいなぁ♪ そんなに喜んでもらえて、着任した甲斐があったよ。それで?その他の娘達はどこに居るの?」
提督 「…………すまん。ちょっとウチはいろいろと訳ありでな。そこの2人を紹介する前に、先日までのことを話しておこうか……」
~ 提督 蒼龍に事情説明中 ~
蒼龍 「はぇぇ……ありきたりな言葉しか言えないんだけど……大変だったんだねぇ、提督。」
提督 「そうなんです。大変だったんです。てなワケで!今、ウチにはそこの2人……いや、蒼龍を入れて3人しか居ないんだ。」
那智 「着任早々苦労を掛けることになるだろうが、了承してもらえると助かる。」
蒼龍 「もちろんです!私も提督や2人の力になれるよう頑張りますね!これからよろしくお願いします、えっと………」
那智 「あぁ、すまん……私は重巡洋艦 妙高型の2番艦、那智だ。よろしく、蒼龍。」
磯風 「駆逐艦陽炎型12番艦の磯風だ。よろしくな、蒼龍さん。」
蒼龍 「うん!よろしくね、2人共。特に磯風ちゃんにはまた迷惑をかけないようにしなきゃね………」
提督 「ん?磯風とは面識有りなのか?」
蒼龍 「はい。ミッドウェー海戦の時、浜風ちゃんと一緒に航行不能になった私から、生存者を助けてくれたんです。あの時はありがとね♪ 」
磯風 「そんな……困った仲間を助けるのは当然の事………礼なんていらないさ。」/////
提督 「それじゃあ、明日から蒼龍にも早速頑張ってもらうよ。俺も俺なりに頑張るけど、3人で俺を支えてくれると心強い………頼んだぜ、皆。」
3人 「「「了解!」」」
紆余曲折有り、2回目の 『 振出しに戻る 』 を経験し……俺と3人の艦娘で1から始める艦隊運営。
出会いと別れを繰り返し……そして、もう繰り返さないように、今はできることだけに力を注いで平和への貢献。
人間の俺にできることなんて本当に限られた物だし、今回のように馬鹿な真似をするかもしれないが……まぁ、馬鹿は馬鹿なりに足掻いてみようと思っている。
少なくとも、手の届く場所に居て俺を支えてくれるこの艦娘達を守るくらいには……
やりたいことやった感が自分を襲う今作です。
『また、お前やらかしやがったな!』 という声がそろそろ俺の耳に幻聴……いや、確実に聞こえてくるような気がします。
いや、正直ここまで提督の元に着任させた艦娘達は全員好きです。
実際のゲームでは現役バリバリですよ!……磯風も早霜も矢矧もまだ居ませんが……轟沈は今のところnothingです!
ただ、この創作品では損な役回りに廻ってもらってしまっていますが……この先の展開をちょっと考えて
『 あっ……これ、動かせるの最大でも3人やわ。』という結果になってしまい、急遽少数精鋭方針へ移行させていただきました。
本当に行き当たりばったり、その場の勢いで作っている作品なので人員の異動が、他の皆様の作品よりも激しい作品となっておりますが
それでも、このシリーズを覗きに来てくださる方々に楽しんで頂けるよう
今後も四苦八苦、試行錯誤しながらいろいろ手を出してみようと思っています。
此処まで見てくださった方々、ありがとうございます、お疲れ様でした。
次の投稿も未定ですが、やりたいことはある程度決まっているので……またそう遠くないうちにお目にかかるかと思いますが
その時はまた、宜しくお願いしますね。
お疲れ様でした。
突然のシリアスには驚かされました。
長門や祥鳳、矢矧たちは大変不憫ではありますが、転属先で姉妹たちと仲良くやっていくことを切に願います。
それにしても提督宜しく、不器用な優しさを持っている男って、かっこいいですね。
(モテない男の嘆き)
コメント!おぉ……コメント!ありがとうございます、ありがとうございます!
ホントに……勧善懲悪でコメディを意識してたのにねぇ……後でタグにシリアス追加しておきます。
ウチの提督さんは人間を捨てない分、あまり人に気付かれない優しさ増し増しで艦娘や平和のために頑張ってもらおうと思ってます。
……まぁ、最近は鬼ごっこしたり、ジュークボックスで遊んでばかりですが。
(長門達は……ふふ……)
クソ中尉よ、命乞いは聞かぬぞ...。
艦娘たち(特に自分の好きな矢矧)に
手を出した罪、貴様の臓物と血で償ってもらおう...。これは脅しではない。
確t......賢者タイム
悪ふざけではあっても
楽しかったあの雰囲気がどうして...。
(長門達は...ふふ.....)?
一体何があるのか楽しみです。
那智も磯風もいい女性(性格面です。
他意はありません。)過ぎっすね。
自分もそんな彼女が欲s......(吐血)
長々と失礼しました。
前作のジュークボックスをみたあとなのでびっくりしました笑
しかし続きがたのしみです
おっほう!コメントが……コメントが来てます!ありがとうございます、ありがとうございます!
皆さんの意見は楽しく読ませていただき、励みにさせていただいてます!
磯風ー!早く(ゲームの方の俺の艦隊に)来てくれー!(クリリン風に)
那智、磯風は大好きです!そして……一度着任した蒼龍を近代化改装に使用した過去の俺を殴ってやりたい。
居なくなって、サイトや漫画などを読んで改めて知る蒼龍の可愛さ……蒼龍もまた来てほしいです。
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いやぁ面白いです(*´・∀・)ノ
更新頑張って下さいね♪
!?Σ(゜ロ゜;) 感想ありがとうございます!恐縮です!
CQC中毒さんを初めとする皆さんの面白い作品に触発され、自分も今意欲が湧いている状態だったりします。
更新、投稿はまちまちですが……皆さんに少しでも楽しんで頂けるよう、やれるだけ頑張らせていただきます!
夕立ぃぃ!誰を撃っている...!ふざけるなぁ!