2019-04-22 00:00:54 更新

2017年10月13日(金) PM:15:00


佐張大学(さわりだいがく)


小咲 「さーて、今日の講義も終わったし、

弥柳(みやなぎ)君と、大学祭でやるケーギ屋さんの準備、今日から始めなきゃ。」


小咲 (あ、でもまずはケーキのレシピを考えたり、試作品を作ったりしなきゃいけないから、

キッチンがいるよね………)


弥柳 「小野寺さん、

そっちも講義終わった?」


小咲 「あ、弥柳くん。」


小咲か大学祭の準備の事を考えていると、

丁度(ちょうど)弥柳 蓮が話しかけて来た。


小咲 「うん。

私も今日の時間割に入れてた講義、

全部終わったよ。」


弥柳 「よし、

それなら今日から講義後に、俺たちが学祭でやるケーキ屋の準備を始めるけど、

いいか?」


小咲 「私は良いけど、

ケーキの試作品とかはどこで作るの?

私の家にもキッチンはあるけど、

ウチは和菓子屋だから、

洋菓子を作るのにはそこまで向いて無いし………」


弥柳 「ああ、それなら………」




その後、弥柳宅


小咲 「まさか、弥柳君の家にこんなに洋菓子を作る為の設備が整ってるなんてね。」


弥柳 「俺は昔から、菓子職人(パティシエ)を目指してたから、こんくらいは自分で少しずつ買い揃えてたんだ。」


蓮の家のキッチンには、クリームなどを混ぜる為のボウル、おたま、

焼き菓子を焼く為の専用のオーブンなどの、

菓子職人(パティシエ)の器具一式(きぐいっしき)が揃っていた。


小咲 「凄いね………自分で買い揃えるなんて。」


蓮 「自分で決めた夢を自分で追いかけるなら、これくらいは当然。」


小咲 「今、家に他の人はいないの?」


弥柳 「両親は2人ともまだ仕事だし、

2つ下の弟は、まだ高校だよ。」


小咲 「へーー、弥柳君って、弟がいるんだ。」


弥柳 「………まあ、親もそうだけど、

普通の人には余り言えない事も裏でしてるけどな。」


小咲 「え?」


弥柳 「いや、なんでも無い………。」



弥柳 「さて、じゃあ気を取り直して、

料理を始めるか。

まずは、クリーム作りからだ。」


小咲 「え?クリーム?

まずは、レシピを考えないの?」


弥柳 「クリームは、イチゴケーキにせよ、チョコケーキにせよ、他のケーキにせよ、

ケーキならほぼ全品に使う食材だ。

レシピを作る前に、

いいクリームを作る練習から始めた方がいい。」


小咲 「そ、そうなんだ………。」


弥柳 「菓子職人(パティシエ)を目指すなら、上手いクリーム作りくらい必須だ、

覚えて方がいい。」


小咲 「は、はい………。」


小咲は蓮と一緒に、バニラクリームを混ぜ始めた。


マゼマゼ マゼマゼ


弥柳 「………小野寺さん、中々筋がいいね。

クリームが良く泡立ってる。」


小咲 「そ…そう?ありがとう………」


弥柳 「ん?」


蓮は、小咲の顎(あご)に飛び散ったクリームが付いてるのを見つけた。


弥柳 「………おい、小野寺さん。

顎(あご)にクリームが付いてるよ。」


小咲 「え?」


弥柳 「ったく………」


スッ


小咲 「ひゃっ!」


ペロッ


蓮は小咲の顎のクリームを人差し指ですくいとって、クリームの味見(あじみ)も兼ねて、

口に運んだ。


弥柳 「………やっぱり、中々いい味だね。」


小咲 「あ、ありがとう………」


小咲 「弥柳くん………」


キュンッ


ドキッ


小咲の例の言葉に、蓮はドキッとした。


蓮 「お、おう………。」


小咲 (な、なんだろうこのドキドキ………。

いや、ドキドキはしたけど、

もし一条君にされてたら、多分、顔が真っ赤になって、

心臓のバクバクが止まらなくなるのに、

弥柳くんになら、そこまで動揺しない………

私、男の子にこんな事されたの、

初めてなのに………。」


第1巻 第188話 完


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