2019-06-11 00:39:38 更新

概要

管理職園田海未 (5話)

凛編と花陽編です

研修中の花陽の心配をする海未、そこに雪穂が仕事を持ち込んでくる、凛の説得を試みるも失敗する海未
手段はあるのか?
海外出張どんと来い
頑張れ!!園田海未


前書き

前回の概要

会社の試食品を食べたのがばれていた花陽が研修に駆り出された

番外編の内容
海未母を取るために、海未父が争った


■少し先の未来

凛「あの人は凛のために必死に止めてくれてたのに、」

「凛はあの人の好意を無駄にしてしまった」

「あの人は私達を利用しようとしたことなんてなかったのに」


■ 現在


会社


穂乃果が社長を務めるKコーポレーションの売店に穂乃果母が店番として、手伝いに来ている


穂乃果母「いらっしゃいませ」


格闘技をしているような女性が入店する


女格闘家「饅頭ください」


会計を済ませる


そこに体格のいい男が入ってきた

その男は(管理職園田海未番外編)で海未母を巡って、海未父と争った男


女格闘家「お父さん」


男「試合があるんだから、とっとと行くぞ」


女格闘家が前のめりになる


女格闘家が何をするのか気になる穂乃果母


男にタックルをする女格闘家


男はそれを耐えた


男「そんなんじゃ、勝ち上がれないぞ」

「やっぱり、まだ、早かったか」


女格闘家「そんなことはないよ、他の選手だったら、絶対食らってるよ」

「今まで、だってこれで倒してきたんだから」


穂乃果母(遅いわね)

(ある程度まではいけるけど、このままじゃその先は無理ね)


・社長室前


8:00


穂乃果を起こしに来た海未とことりが社長室の前で立つ


社長室のドアをノックをする海未


穂乃果「後、24時間だけ」


海未「穂乃果!!」

「起きてください!!」


何も返事がない


海未「穂乃果!!」

「起きてください!!」


何も返事がない


海未「穂乃果!!」

「穂乃果!!」


ことり「穂乃果ちゃん!!」


勢いよくドアが開き、パジャマ姿の穂乃果が出てくる


穂乃果「おはよー!!」


海未「穂乃果!!」


口笛を吹きながら、部屋に戻ろうとする穂乃果!


首根っこを摑まえる海未


穂乃果「痛い!!」

「力が強いよ!!海未ちゃん」


海未「貴方っていう人は毎日毎日」


穂乃果「ことりちゃん」


訴えかけるような目でことりを見る穂乃果


ことり「海未ちゃん」

「もう止めてあげて」


海未「ことりは穂乃果に甘すぎます」

「だから穂乃果が」


じーっと海未を見つめることり


海未「うっ」


「もう、解りましたよ」


穂乃果「皆の様子は?」


海未「花陽が副社長から辞令を出され、研修に行ったと連絡がありました」


穂乃果は血相を変え、急いで部屋に入り、携帯で電話する


プルル


雪穂「もしもし」

「お姉ちゃん、起きた?」


穂乃果「花陽ちゃんは?」


雪穂「研修中よ」

「順調に行ってるわ」


穂乃果「花陽ちゃんに何かあったら、許さないから」


雪穂「その件では感謝してほしいくらいね」


穂乃果「何をさせてるの?」


雪穂「まあ、何かあったら、園田さんを恨むのね」


穂乃果「なんのこと?」


雪穂「とりあえず、花陽さんは無事よ」

「心配いらないわ」

「早く、今日の作業に取り掛かるのね」


ガシャ


海未「穂乃果は血相を変えて、何があったんでしょうか?」


ことり「大丈夫かな?」


穂乃果が明るい表情で出てくる


穂乃果「おまたせ」


海未「何かあったんですか?」


穂乃果「ううん、何もないよ」


海未「そうですか」


ことり「またね」


■ 事務所


海未「小泉さんは今週まで研修ですね」


凛「かよちん」


パソコンを見る海未


目を見開き、凛を見る


凛は視線に気づいた


凛「?」


海未の携帯がなり、海未は部屋から出て行った


雪穂は副社長室から海未に電話を掛けていた


雪穂「おはよう」

「メールは見ていただけましたか?」


海未「あんな、危険なことは星空さんには頼めません」


雪穂「あら、会社の方針に逆らうの?」


海未「星空さんの上司は私です」

「他の人材を当たってください」

「では、失礼します」


電話を切る海未


■副社長室


雪穂「無理よ」

「この仕事は星空さんにしかできないわ」

「絶対に断らせない」


ボタンを押す雪穂


雪穂は地面に椅子ごと消えた


■ 事務所


皆、それぞれの持ち場に行く


心なしか、蟠りも薄らいだようだ


最後の凛が出ようとした所、海未が呼び止めた


海未「星空さん」


凛「はい」


海未「最近、いい成績ですね」


凛「はい」


海未「この調子でお願いします」


凛「解りました」

(毎日、同じエリアの繰り返しで、飽きちゃった)

(配送時間に受取人がいなかったら、再配達しなきゃいけないし、大変だし、もっと、刺激的なことがほしい)


雪穂「おはよう」


海未の後ろの肖像画から顔を出す雪穂


海未「は!!」


身構える海未


雪穂「身構えなくてもいいじゃない」

「私よ」


海未「驚かせないでください」


雪穂「これから、こういう風に出るんだから、慣れてください」


海未「普通にドアから入ってきてください」


海未「(小声で)困らせるとことはお姉さんそっくりなんですから」


雪穂「園田さん、何か言いましたか?」


海未「いいえ」


雪穂「まあ、いいわ」


部屋を出て行こうとする凛


雪穂「星空さん」

「ちょっと待ってください」


立ち止まる凛


凛「何かにゃ?」

「あっ」


言葉づかいを慌てて直す凛


凛「何でしょうか?」


雪穂「実はあなたに頼みたい仕事があってですね」


凛「?」


メールの内容を思い出して、慌てて、止める海未


海未「あの件はうちでは引き受けれないと断ったはずです」


雪穂「園田さん」

「あの件は星空さんには教えてないんですね」


凛「どういうこと?」


海未「星空さん、早く、持ち場に行ってください」


訝しげな表情で立ち止まる凛


海未「凛、早く行きなさい!!」


海未の急な剣幕にきょとんとする凛


雪穂「あなたに重要な仕事があるわ」


仕事に飽きが出ていた凛はこの仕事に興味を持った


凛「何?」


雪穂「あなたに海外へ荷物を届けてほしいわ」


凛「海外?」


雪穂「そうよ」

「見知らぬ土地で、荷物を届けるの」


凛「面白そう」


雪穂「そうですよね」


海未「駄目です!!」


雪穂「行きましょう」


凛「でも、園田さんが」


雪穂「園田さんは星空さんが海外で成功して、配達を依頼ができなくなるのが、怖いんです。園田さんについて、評価する場所が一つ減りますからね」


凛「それじゃ、利用されて」


海未「断じて違います!!」


凛「園田さん、行ってきます」


海未「凛!!」

「その仕事は!!」


雪穂「それじゃ、準備するわよ」


部屋を出る凛の後を海未は追ったが、扉が開かなかった


その後、高所から飛び降りる5点着地を練習する凛


凛「何で、こんな練習するんですか?」


雪穂はマイクで


雪穂「一応の為よ」

「行きたくないの?」


疑問に思ったが、海外に行きたい凛はそれを押しのけた


■一時間後

ヒデコが操縦するヘリに乗り込む凛


ヒデコ「副社長から」


凛はヒデコから時計とリュックを受け取った


凛「重たい」

雪穂「荷物は見ないこと、絶対、落とさないこと」

「必ず、依頼者に荷物を時間内に届けること」

「A○AZONに負けるんじゃないわよ」

「守らなかったら、仕事はなくなるわよ」


凛「はい」


ヒデコ「久しぶりに腕が鳴るわ!!」

「ところで副社長、凛ちゃんは場所のことを知ってるの?」


笑いながらヒデコを見る雪穂


雪穂「もちろんよ」


凛を乗せたヘリは出発した


ヒデコ「何、このヘリ」


ヘリは会社から支給されたもので、今まで乗ったものより、段違いに早かったので、驚いていた。


ヒデコ「私じゃなかったら、墜落してるわ」


■売り場(にこの持ち場)


和菓子を販売するにこ


にこ「新商品です」

「お召し上がりください」


会社の知名度と穂乃果の腕で、売れ残りには困らなかった


5,6歳ぐらいの子供がにこの近くに来た


子供A「もう一人のお姉ちゃんは?」


にこ「あのお姉ちゃんはちょっと、お出かけしてるの」

「近いうちに戻ってくると思うわ」


子供A「ふーん」


にこ「お姉ちゃんが戻ってくる間は私で我慢してね」


子供A「あーあ、あのお姉ちゃんが和菓子食べてるところの幸せな顔でママに買ってもらおうか、決めてたのに」


にこ(花陽、やっぱり食べてたわね)

(無くなるのが、早いから、おかしいと思ったわよ)


にこ「じゃあ、お姉ちゃんの幸せな顔で我慢してね」


子供「やだ」

「お姉さん、楽しそうじゃないんだもん」


にこ(子供に言われるようじゃ、売り子失格ね)

(じゃあ、これね)


にこ「にっこにこにー」


おなじみのポーズと掛け声をするにこ


子供「あ!!」


にこと同じポーズをする子供


子供「にっこにこにー」

にこ「僕、上手ね」


子供「だって、お父さんがよく見てるんだもん」

「お父さんが大学生の時、就職活動で失敗続きの時に励まされたんだって」


胸が詰まるにこ


子供「画面の人はお姉さんによく似てるけど、画面の人は若かったよ」


にこ(そりゃ、時間が経ってるし、変わるわよ)


子供「じゃあね」


にこ(私もチャンスがあれば、もう一度)

(駄目よ、ここで頑張って、借金を返さないと)


■ぶあいな国


目的地には通常つく時間より、4倍の速さで到着した速さで到着した


ヘリを着陸させようと陸に寄せ、凛が降りようと準備した瞬間


何かがヘリに飛んできた


ヒデコ「あぶない!!」


ヒデコは咄嗟の判断でヘリを急上昇させた


飛んできたのはスティンガーミサイル


ヘリを急上昇させた影響で体勢を崩す凛

時計を見ると受取、指定時間まで4時間


ヒデコ「くそ!!」

「観光地のはずでしょ!!」

「特別報酬、弾んでくれなきゃ、割に合わないわ!!」


時間がない、意を決した凛は飛び降り、5点着地を決めた


ヒデコ「凛ちゃん!!」


ヒデコは地面から立ち上がった凛を見た


ヒデコ「くっ!!」


スティンガーミサイルを避けるヘリ


続けざまに来るミサイルにヘリはその場所から立ち退かざるを得なかった


不本意ながらも報告のため、ヘリは帰投した


ヒデコ「凛ちゃんが危ない」


凛「はあはあ」


場所は紛争地帯ぶあない国

表向きは観光地と宣伝してるが、それはほんの一部で残りは部族間の争いが長く続いている国、外貨獲得のため、自国に不利になる、情報は一切流していなかった


どんな場所でも、指定時間に必ずお届け、そんな、キャッチコピーで通常では配達できないものを運ぶ仕事を雪穂は引き受けていて、今回の依頼は、危険と言われている国に荷物を運ぶ仕事、でも、社員でも適正な人材がいなかったので、運動神経抜群の凛を抜擢した。

海未と雪穂は観光地になったとはいえ、国のそういう情報を聞いていたために、訓練をやらせたが、スティンガーまで飛んでくるのは、雪穂でも予想していなかった


でも、凛が居なければ、この仕事はなくなっていた

雪穂は実績が欲しいので、この仕事を何としてでも引き受けたかった


凛を利用していたのはむしろ、雪穂


今回の依頼は緊急の医療器具を運ぶ依頼で引き受けた


時計から3D映像でマップが飛び出した


マップには現在地と目的地が出ていた


マップをみて、これから自分が行く道を確認する凛

凛「嘘」


森林の中を示していた


後ろから複数の人の足音


凛は慌てて、森の中に逃げ込んだ


■副社長室

雪穂と亜里沙は小原財閥攻略の作戦を練っていた


通信が入る


雪穂「何?」


ヒデコ「星空さんが」


ヒデコは興奮していた


ヒデコ「あそこは観光地じゃなくて」


雪穂「やっぱりね」


ヒデコ「スティンガーが!!」


雪穂と亜里沙は驚愕した


雪穂「何ですって!?」


ヒデコ「星空さんは降下したよ!!」


雪穂は唇を噛みしめる

雪穂「クッ」


雪穂は少し凛の心配にはしたが、それ以上に許せないのは


雪穂「私を騙すなんて」

「許せない!!」


亜里沙「凛さんに何かあったら」

「雪穂を許さないから!!」


雪穂(亜里沙から怒られるなんて、依頼者は絶対に許さない!!)


■事務所

仕事をしながら、凛を心配する海未


バンと勢いよくドアが開く


ビクっと、する海未


海未「ドアから入ってきたと思ったら」

「ビックリさせないでください」


カツカツと雪穂が歩く


雪穂の殺気に警戒する海未


海未「どうかしたんですか?」


雪穂「出張するわよ」


海未「どういうことです?」


雪穂「星空さんが配達先で行方不明になったわ」


海未「何ですって!!」


雪穂「依頼者に騙されたわ」


海未「だから、私はあれほど、反対したんです」


頭を下げる雪穂


雪穂「申し訳ないわ」

「私の落ち度よ」


海未「凛は今、どういう状態に?」


雪穂「腕時計から、バイタル信号が流れているけど、まだ、生きているわ」

「歩きながら、話しましょう」


カツカツ


雪穂「ヒデコさんの情報だと、現地は紛争状態で非常に危険な状態よ」


海未「凛、、、」


車で空港に移動する


雪穂「本来なら、じっくり、練習しなきゃいけないけど」

「移動中にこれを見てて」


海未はDVDプレイヤーを渡された


高高度落下方法


一瞬、目が点になる海未


海未「これは」


雪穂「ヘリでは接近は無理よ」

「だから、上空からパラシュートで降下してもらうわ」


海未「流石にこれは無理では」


雪穂「あなたも部員に無理を言ってたでしょ」


海未「わたしはそんなことは」


雪穂「そんなことより、空港に行ったら、練習は一度きりよ」

「それを見て、勉強しておいてよね」

「それしか方法はないわ」


議論しても、無意味だと気づいた海未は大人しく、DVDを鑑賞した


空港に着いて、一度きりの練習


海未は見事に合格した


雪穂「流石、園田さんね」

(味方ながら、恐ろしいわ)


ヒデコが帰投していた


ヒデコ「ゴメンナサイ」


海未「そんなことより、早く行きましょう」


輸送機に乗り込む海未とヒデコ


雪穂「これを持って行って」


ゴーグルと電撃棒、どこにも販売されていない折り畳み式の弓矢と服を渡す


雪穂「ついでにこれも」


本で(よくわかるぶあいな国の言葉)を渡す

雪穂「後で、行くわ!!」


ヒデコが操縦する


ヒデコ「飛ばすわよ!!」


海未「早く頼みます!!」


雪穂「私を嵌めた奴をどうしようかしら」


パソコンにメールが届く


雪穂「これは」


■ぶあいな国

凛はマップを頼りに歩いていた


凛「はあはあ」


住民「たいぞ!!」


必死で走る凛


凛は荷物を時間通りに届けるという意志だけで動いていた


■ぶあいな国(上空)


ヘルメットを装着し、迷彩仕様のスーツを着る海未


輸送機のハッチが開く


ヒデコ「幸運を」


頷く海未


海未は輸送機から飛び立った


落下中


海未「そろそろですね」


海未はパラシュートを開き、きれいに着地した


海未「凛」


腕時計のマップを開き、現地に向かう海未


■荷物受け渡し場所

凛「着いた」


集合時間ぎりぎり


受け渡し場所には民家が示されていた


木で作られた家


凛は中に入った


凛「荷物、届けに来ました」


木造の家ので内装は木のままで、中は手作りで作られた家具があり、どれも素晴らしい出来だった


凛「誰もいない」

「場所間違えたのかな」

「狭い」


その時、内装が動き出した


凛「何これ」


木でできた内装は木の迷彩をした原住民だった


凛は取り押さえられ、荷物を引きはがされた


凛「それは大事な荷物」


原住民は急いで中を確認した

原住民は片言の日本語で


原住民「どうも、ありがとうございした」


凛「貴方たちなの?」


凛の質問には答えず、リュックの中身を取り出した


中からは手りゅう弾と銃、銃弾が出てきた


凛「中は医療器具のはずじゃ」


自分の働きで人の命を救う使命感を持って、必死で届けた凛は愕然とした


ぶあいな語で話す住民


原住民A「こいつはどうします?」


長老「用済みだ」

「女だと聞いてたから、おまえらので好きにしろ」


胸を見る原住民A


凛「どこ見てるにゃ!?」


原住民A「こいつは男です」


長老「まあ、女だったら、ここまでたどり着くことはできなかっただろう」

「女が来ると聞いて、おかしいと思ったんだ」


ぶあいな人は男が多い部族で外国の女が来れば、飽きるまで貪る民族

胸がないことが凛の危険を救った


かと思われた


長老「儀式の生贄にしろ」


ぶあいな人は人柱を立てることで、災難から逃れられるという、迷信を信じている民族

凛は連れて行かれた


凛「離して!!」


■森林


原住民A「どこ行きやがった」


原住民B「パラシュートが捨ててあったから、この森の中にいるはず」


原住民たちは森の中を歩いている


原住民A「見逃したら、俺達まで叱られるぞ」


バチ


ドサ


原住民A「油断するなよ!!」


返答がない


原住民A「おい、聞いてるのか」


原住民Aは振り返った


そこには全身に木の迷彩を施した海未


スタンガンを当てる


バチ


ドサ


海未「ふう」

「もう少しですよ、凛」


■広場


十字架に掛けられる凛


長老「さて、遠くから来た東洋人よ」

「わが部族繁栄のためにその身を捧げてもらおう」


長老はナイフを持って凛に近づいた


凛は何を言っているか、解らなかったが、長老が殺す気だっていうのが、分かった


凛「止めてー」


長老「無駄じゃ、この周りには見張りが大勢いる、入れんよ」


■見張り台


見張り台の上で原住民Cと原住民Dが話している


原住民C「女、来ねえかな」


原住民D「ああ、もう数か月も見てねえ」


原住民C「ああ、神様」


原住民Cは手を組んで上空を見上げる


ザク


ドサ


原住民Cは手を組んだまま倒れていた


肩に弓矢が刺さっていた


原住民D「なんじゃ!!」

「こりゃあ!!」


ドサ

原住民Dは倒れた


海未は弓矢を持ち、見張り台の下を通り過ぎた


海未「麻酔成分が弓に塗ってあるだけですので、死ぬことはありません」


■広場

長老「そろそろ、時間じゃ」

「皆、そろそろ時間じゃ、集まれ!!」

「我が、主君を喜ばせようぞ!!」


シーン


長老「どうした!?」

「皆、来い!!」


シーン


長老「何が、あったんじゃ」


海未が歩いてくる


凛「海未ちゃん」


海未「星空さん、仕事中は名字で呼ばなきゃだめですよ」


ぶあいな語

長老「じゃだれ!!」

翻訳(誰じゃ!!)


海未「こそののうじょしです」

翻訳(そのこの上司です)


長老「まえお、とばこがるわかかの」

翻訳(お前、言葉が解るのか)


海未「そゆきうのでかな、んぶうぽをぼえおしまた」

翻訳(輸送機の中で文法を覚えました)

海未「とあは、じゅんうんみでげりべしゃたかをぼえるおとこしあで」

翻訳(後は、原住民でしゃべりを覚えました)


ここからは翻訳の会話になります


長老「短期間で覚えるなんて」


海未「文法は日本語によく似ていたので、習得するのは容易でした」


長老「ここまで、辿り着くなんて、なんて奴だ!!」


海未「皆は仲良く眠っています」


凛「何を言ってるか、解らないにゃ」


胸を見る長老


長老「お前、身なりから女かと思ったら、男か」


海未は長老の視線の先に気付いた


海未「言ってくれますね」

「日本だったら、セクハラで訴えられますよ」

「凛も私も女です」


驚きの表情で凛を見る


長老「まさか」


凛「何言ってるか解らないけど、フォローしてくれてる気がするにゃ」


海未「星空さん、早く帰りますよ」


長老は凛にナイフを突き立てる


長老「来るとこいつを殺すぞ」


海未「わが社の副社長は依頼の内容に嘘があったから、大層ご立腹です」


長老の後ろに何かが降りてくる


気配に気づく、長老


長老「誰じゃ!?」


背後にはヘリから降りてきた縄を腰に括り付けている亜里沙長老の足に紐を括り付けていた



亜里沙「終わったわ」

「園田さんのおかげで、安全に来れました」


海未「わが社の副社長は怖いですよ」


長老の足に付いた、紐が引き上げられ、さかさまに宙に浮く長老


ぶあいな語で


亜里沙「貴方を待っている人がいますよ」

「その人たちに凛さんに危害を加えた貴方の処分を任せます」


段ボールを置いてく亜里沙


腰の紐が引き上げられ、ヘリに戻っていく亜里沙


長老「なんのことじゃ?」


上空に引き上げられる長老


長老「ダレカ、タスケテー」


海未は凛の縄を解いた


海未に抱き着く凛


凛「ゴメンナサイ」

海未「貴方が無事でよかった」


■ヘリの中

雪穂「まさか、本当に一人でやり遂げるとは」


亜里沙「あなた本当は園田さんだったら、やれると解ってたでしょう?」


雪穂「まあ、私の見込んだ部下だったら当然よね」


ヘリの下では逆さづりになった長老が、声を上げている


雪穂「五月蠅いわね」

「そろそろ、いいかしら」


森林の真ん中にさしあたったで所で雪穂はロープを切った


雪穂「これで、依頼完了だわ」

「後、園田さんの幸せを奪おうとした相手も」

「依頼があってよかったわね、園田さん」

「本人は望まないでしょうけど」


■森林中央


長老「死ぬかと思ったわ」

「ここは?」


死以上の恐怖はここからだった


辺りを見渡す長老


長老「ここは、、、」

「まさか」


周りを複数の人達が囲んできているのを感じ取った


この国では死の危険に敏感でなければ、生き残れない


長老は自分の置かれた状況を瞬時に理解した


ここは敵対勢力の中心地


雪穂は敵対勢力から依頼を受けて、自分を引き渡すように依頼されて嘘の報復を兼ねて、この依頼を引き受けたんだと


奴らに捕まったら、なぶりものにされ、死ぬことさえできなくなる


長老は必死に逃げた


■ヘリの中


雪穂「後は、もう一人の違反者に罰を与える番ね」


海未と凛を引き上げ、帰投した


■事務所

海未は凛と話しながら戻ってきた


そこには引き締まった顔の女性が立っていた


海未「どなたですか?」



女性はくすっと笑った


??「太ってた時は解ったのに、痩せたら判らなくなんて」



凛「かよちん!!」


花陽「ただいま、凛ちゃん!!」


海未「小泉さん!!」


太っていた時の顔で見慣れていた海未は急に痩せたので、一瞬、誰かわからなかった


海未「よかったです!!」

「心配してたんですよ!!」


花陽「(小声で)園田さんのおかげで大変な目に遭ったんですよ」


海未「?何か言われましたか」


花陽「いいえ、」


「おかげさまで痩せることができました」


海未「?」


海未は入社のときに撮影された、準備運動が花陽に使われていたこと、それにより、花陽が命の危険にあったことなど、知らなかった


仕掛けを作ったのは雪穂だが


放送がかかる


雪穂「皆さん」

「お帰りなさい」


海未「副社長」


雪穂「皆さんに見せたいものがあります」

「外の車に乗ってください」


海未「何でしょうか?」


3人は外の車に乗って、ドームに着いた


3人は長いタオルを貰った


■会場


会社が所有するドーム


収容人数1万人の大きさで既に満席の状態


リングがあり、そこの最前列に3人は招待された


凛「何の試合があるのかにゃ?」


会社の社員はこの放送を無料で見ることができる


その様子を穂乃果、海未、ことりの家でも見ていた


対戦カードが発表される


ナレーション


「総合格闘技で世界を目指す少女」


観客が沸く


■穂乃果の家


穂乃果母「あの娘は」



そこには穂乃果の母が見た少女


■海未の家


TVで海未の姿を発見する海未母


海未母「あれ、海未さん」


そこに海未父が帰ってくる


海未父は何気なしにテレビを見て、出て行こうとする


が、リング横のセコンドを見て、海未母の横に座る


海未母「あら、いつもはこんな野蛮なものは見ないって、真っ先に出ていくのに」


海未父が見ていたのはかつて、海未母を賭けて戦った対戦相手


■ことりの家


足を投げ出し、台の上に乗せる

台はプルプルと震えている


ことり母「格闘技なんて最近はめっきり、見なかったけど」

「タダだし、見てみようかしら」


ことり母「あなたは試合が終わるまで、その格好でいなきゃだめよ」


足を乗っけているのは四つん這いになった下着姿の男


ことりの父


ことり母「あなたがいけないのよ」

「若い、娘をホテルに誘おうとするから」


中々、辛いこの格好、でも、ことり父はこの格好は嫌いじゃなかった


ことり母「あら」

「もしかして、興奮してるの?」


目線を下半身に向けることり母


ことり母「あらあら」

「元気ね」


キッとことり母を見ることり父


ことり母「まあ、あなたの誘いを拒んでたのは、少しは私に責任があるかもね」

「でも、それと浮気は別よ」


■会場

対戦相手が紹介される


花陽はびっくりして、立ち上がった


花陽「お父さん?」


リング上には花陽の父がブリーフ姿でセコンドには花陽母の姿があった


花陽「えっと、どういうこと?」


花陽の携帯が鳴る


雪穂「小泉さん、見てくれていますか?」


花陽「どういうことですか?」


雪穂「試食品を食べて、会社に損害を与えた」

「更に今回の研修で費用が掛かったから、その資金の回収にね」

花陽「だったら、私が」


雪穂「あなたはこれからの分を働いてもらわなきゃ困るわ」


花陽「お父さんにだって仕事が」

「そんな無理やり、出場させるなんてよくないと思います」


雪穂「それだったら、心配ないわ」


花陽「え?」


雪穂「この興行の利益で、損害分を補え、そのうえ、利益も出るわ」

「小泉さんのお父さんの会社はわが社の子会社よ」

「小泉さんは勤続何年で有給を消化できていないから、長期休暇を取ってもらうことにしたの」

「慰労金として、お母さまと一緒に海外旅行をプレゼントすることにしたわ」


花陽「どういうこと?」


雪穂「小泉さんにはこの試合に出てもらう代わりに貴方の損害分とお父様の有給の消化も兼ねてご夫婦の旅行の費用を出させていただくことにしたわ」

「お父さんは優秀ね」

「育成がしっかりしているから、休んでいる間も仕事は滞りなく進むわ」

「部下たちは不安でもお父様のために頑張るって言ってたわ」


ナレーションが対戦相手の紹介をする


雪穂「リングに上がってもらうについて、お父様の肉体にはわが社から少し手伝いをさせていただいたわ」


花陽父の体は同年代と比べて、筋骨隆々になっていた


対戦のゴングが鳴る


女格闘家が前のめりになる


雪穂「スパーリングは相手が見つからなかったから、いい試合ができたらいいわね」


雪穂電話を切る


肉体を鍛えたところで対戦経験がないと動き方が解らない、いい調理道具を揃えたのに作り方が解らない、まさしく、宝の持ち腐れ


海未を含め穂乃果母と海未母とことり母は花陽父の瞬殺を確信した


女格闘家は花陽父をタックルで崩し、マウントをとった


ボコボコに殴られる花陽父


勝ち目がない花陽父を見守る花陽母


花陽父はタオルの投入を目で訴えた


花陽母は冷たく見つめる


■ことりの家


ことり母「勝負はついてるのに、何でタオルを投げないのかしら」

「奥さまは旦那に恨みがあるのかしら」

「まさか、あそこも浮気だったりしてね」


画面を見つめることり父


その時、ことり父が思っていたことは


あんな衆人環視の中で、自分の娘と変わらないくらいの若い女性から殴られ、皆に見られれ、羨ましい


ことり父はあの状況が自分だと考えると興奮していた


嫉妬だった



海未は席を立った


何故、止めないのか。女格闘家は困惑の表情で花陽母を見つめた


そこにリングへタオルで顔を覆ったロングヘアーの女性が現れ、海未の関係者は全員がその人が海未だと理解した


■穂乃果家

同時電話で海未母とことり母に連絡をする


穂乃果母「久しぶり」

「会社のテレビ見てる?」


いつもの敬語がなくなる海未母


海未母「見てるわ」


ことり母「見てるわよ」


穂乃果母「あれ、海未ちゃんよね」


海未母「そうかしらね」


ことり母「恍けちゃって」


穂乃果母「あの娘とどっちが強いかしら?」


海未母「どうでしょうね」


ことり母「照れちゃって」


■会場


突然の乱入に困惑する女格闘家


女格闘家「顔をみせなさい!!」


海未「しょうがないですね」


カメラの見えない位置で一瞬だけタオルをとる、海未


女格闘家「貴方は」


学生時代の時


大学に進んだ海未は通える限りの武道の部活に通った


剣道で培った、足腰と本人の要領のよさで各部活ではめきめきと上達した


強い娘がいる、その噂が広がり、腕に覚えのある女達が連日、海未に挑んだ


結果は連戦連勝


いつの間にか他の大学からも海未に挑戦者が現れた


海未の学生時代は武術というよりは喧嘩の毎日を送っていた


その為、海未に声をかける勇気ある男は居なかった


この女格闘家も学生時代に海未に挑んで負けた一人


海未「?」

「何処かでお会いしましたか?」


女格闘家(倒した大勢の一人なんては覚えてないでしょうね)

「絶対、倒します!!」


海未「はあ?」


女格闘家は女格闘家が前のめりになる


■穂乃果の家

穂乃果母「10秒」


海未母「30秒」


ことり母「自分の娘なのに採点厳しすぎない?」

「15秒」


海未父が喋る


海未母「え?」

「貴方も参加するんですか?」

「あの娘が勝つほうに賭けるんですか?」


海未父は覚えていた、あの女格闘家の父親の強さを


■会場

女格闘家(あの時の恨みを晴らしてやるわ)

女格闘家は海未をタックルで崩した


と思った


掴んだと思った場所に海未は居なくて代わりに自分が倒れていた


女格闘家は暫くしたら、落ちた


■穂乃果の家


穂乃果母「私の勝ちね」


■会場

女格闘家がタックルをした後、捕まる寸前で海未は避け、そのまま、腕で首を挟み、フロントチョークスリーパーを決めた


ゴングが鳴り、勝負が決まる


女格闘家のセコンド、海未の母をかけて、父と争った男はリングの海未を見た


顔が隠れているため、解らない


男「誰かに似ているような」


汗を拭くために一瞬顔を出す海未


男は一瞬呆気にとられる、海未母の面影を見た


男「園田、、、」

「いや、違うあの眼はあいつの眼だ」


意識を取り戻した女格闘家


海未「思い出しました」

「当時、対戦相手の中では結構、手こずった方ですね」

「昔だったので、忘れていました」


女格闘家「また、一から鍛えなおす」


男「そうだな」


リング上では、花陽父がリング上でダメージの為、起き上がれない


花陽母はリングに上がり、夫の横に立った


勢いをつけて、花陽母は夫を蹴った


花陽父「ぐふ!?」


花陽母「浮気なんかして、しかも、よりによって、あの女と」


花陽父「何のことだ」

花陽母「恍けないでよ」

「元カノと二人で会うなんて」


凛母「止めてよ!!」

「誤解だよ!!」


花陽母「あら、元カノのご登場よ」


凛母「確かに私とこの人とは二人で会ってたでも、不純な動機じゃない」


花陽母「へえ、理由を聞かせてもらおうかしら」


凛母はリング状の花陽父を見る


凛母「ごめんね」


凛母は木でできた作り物を出す


花陽母「これは?」


その木は花陽母に似ていた


凛母「あなたに気に入ってもらえるか、確認してもらうために二人で会ってたの」

「確かにあの人には惚れてたけど、それは昔のこと、今はお互いのパートナーが好きなんの後、娘」


花陽父を抱きかかえる花陽母


花陽母「ごめんなさい」

「これからしばらくは二人で水入らず、楽しみましょう」


花陽父は花陽母に耳打ちする


顔を赤らめる花陽母


花陽母「あなたったら」

花陽母「花陽!!」


花陽の元に駆け寄る花陽母


花陽「お母さんだ」

「何?」


花陽母「遅いけど、貴女に兄弟ができるかもしれない」


花陽「!?」


顔を真っ赤にする凛


鼻血を流す海未


暫く、時間が経ってから


■ことり家


ことり母「さあ、よく我慢したわね」

「ご褒美よ」


ことり父は獣の様に嫁に飛び掛かった


■外

海未父は外を散歩していた



道に誰か立っている


男「久しぶりだな」


身構える海未父


男「ドームの試合お前も見てたんだろ?」


黙る海未父


それは肯定と同義


男「まんまとやられたよ」

「流石は園田の子供だ」


男「お前、もう少しで娘を差し出すところだったじゃないか」


園田家の娘が悪徳社長の所に嫁に行く


業界内ではその社長の所に女が行ったら、まともではいられないというのが業界の専らの噂だった


その噂を聞いたとき、助けるため男は賞金を全部つぎ込もうとか必死で考えていた


男「お前だったら、大丈夫だと思ったんだぜ」


右ストレートが海未父に飛ぶ


海未父にクリーンヒットした、倒れる海未父、男は海未父にまたがり、連打した


暫く殴った後、立ち上がり


男「園田を傷つけたら、その時は今度こそお前を倒して園田を奪いに行くからな」


立ち去る男


■ぶあいな国

段ボールの中から男が出てきた


それは海未を性奴隷にしようとした男


男はかつて、破産させた人たちに捕まった


辺りに人が回り込んできているのがわかる


原住民が顔を出した


男「おい、助けてくれ」

原住民は男を背に抱えている


それは長老、


全裸で全身無数に殴られた後で虫の息だった、恐らく、これからもっと酷い目に遭うに違いない


その目は弱者を嬲り者にし、楽しむ目


かつての自分と同じ目だった


男はこれから自分の身に起こることを察知し、高らかに笑った



後書き

宜しくお願いいたします


このSSへの評価

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください