2020-12-08 12:18:25 更新

概要

この作品は犯罪者に救いの手 7の続きです ゆっくり見ていってくださいね


前書き

蒼野夜一

【過去に人を何百人も殺めた犯罪者 現在は四季達と仕事して罪を解している】
【過去、天龍遥を佐久間グループから守る為に人を殺めていたが最後の最後で遥に守られ守りきれなかった…】
【体力、剣術、知識が高い万能型的存在(作者は頭悪いですがそこは置いておいてください…)】
【蒼野は死んだのかは不明 佐久間グループ殲滅後謎の人間?らしき者が突如出現し、その謎の人間が出したと思われる謎の空間によって蒼野は裁判所の目の前に居た】
【キレるとかなり危ない】


四季映姫

【幻想郷の閻魔を務める閻魔大王】
【蒼野と一緒に仕事をしている】
【蒼野は犯罪者だが四季映姫は蒼野が行為を持って人を殺してたとは考えられず、四季映姫と共に仕事の手伝いなどをして罪を償う刑にした】


小野塚小町

【四季の部下で亡くなった者の霊を裁判所まで運ぶ死神…だが、よくサボっている】
【よくサボって人里の団子やミスティアの夜雀に居る】


大閻魔

【四季達の上司…だけ(ひどい!)】












輝夜 「まぁそんなことはもういいとして!ヒマだからなにかおもしろいことはないかしら?」


鈴仙 「いやおもしろいことって…そんな急に言われましても」



ーっれ 鈴仙さーん!!


鈴仙 「っん?」


妖夢 「たっ助けてくださーい!!」タッタッタッ!!…


鈴仙 「どうしたんですか?もしかしてまた…」


輝夜 「……また?」


妖夢 「そのもしかしてです!また夜一さんが動こうとしてるんです!!」











魔理沙 「よっ夜一やめろ!動くんじゃねぇ!!」ググッ…


蒼野 「はなせっ!行けねぇだろ!!」ウググ…


菫子 「いかなくても私がやってあげるから!だから動いちゃダメ!」ググッ…


蒼野 「絶対いやだ!!人にやらせられるか!!」


阿求 「ですが動いてはキズが…!」


蒼野 「恥を捨てるぐらいならキズ開かした方がよっぽどいいわ!!」


小鈴 「だっダメですよ!キズが開いたらまた治るのに時間が…」



ガラッ!!


妖夢 「呼んできました!」


鈴仙 「夜一さん!」


蒼野 「っげ!鈴仙…」


鈴仙 「もう夜一さん あなたは何度言ったら気が済むんですか!」


鈴仙 「【トイレの時は無理せず私を呼んでくださいと言ってるじゃありませんか!】」


蒼野 「呼べるかバカヤロウ!!いくら動けないからってトイレの時に看護婦呼んで手伝ってもらうなんてできるか!」


蒼野 「呼ぶぐらいならムリしてでもひとりで行くわ!!」


鈴仙 「それで何度もケガが開いては元の子もありませんよ ムリされてケガが開く度に入院日を延ばされても困るんですが」


蒼野 「恥を捨てるぐらいなら伸ばした方がさすがにいいわ!てかお前らはなせ!!」ググッ…


菫子 「ムリしないと約束してくれるなら離してあげるわ!」ググッ…


蒼野 「ムリなんてしてねぇ!!恥を捨てたくないだけだ!!」


魔理沙 「それが無理してるっつうんだよ!マジでおちつけって!!」ググッ…


蒼野 「ーっ…てか、そろそろマジでやばいから離してくれ さすがにトイレをガマンするのは無理だから……」プルプル…


鈴仙 「…はぁ まったく仕方ありませんね?」タッタッタッ…


鈴仙 「本来なら尿瓶使わないといけないんですがトイレまで運びますよ 昨日もそうやってやったのでそれでいいですよね?」ガシッ…ヨット 左肩から肩を貸して起き上がらせる


蒼野 「ホントはそれもしたくないんだが…わかった 悪いが連れてってくれ」


鈴仙 「はいはい?」


タッタッタッ…


小鈴 「…」


菫子 「…やっぱり夜一も年頃の男子だね 看護婦=女子にやらせたくないなんて」


阿求 「すっ菫子さん 言い方がオヤジくさいです…」


魔理沙 「でもわからなくもないけどな?さすがに女と一緒にトイレ行くのはなぁ…?」


魔理沙 「これが逆の立場だったら私だって恥ずかしいな…」


妖夢 「いやそれはさすがに変態かと思いますが…」












次の日



昼間ー永遠亭中庭



ヒュンッ!!シュンシュンッ…ヒュオンッ!!


妖夢 「………」 ヒュンヒュン…サンッ!!


魔理沙 「…なぁ これは…止めた方がいいのかな?」 ヒュオンッ!!…スタッ


菫子 「えっと…わたし的には止めた方がいいような気がしますが……」 ビュンッ!!…タタッ


阿求 「…言ってやめますかね?」 …ダンッ!!


小鈴 「やめないと思う…」 ブォンッ!!



蒼野 「ーっと!」ヒュンッ!! 足と体だけを動かして運動をしてる


蒼野 「…ーっそら!」ブォンッ!!!!


蒼野 「…ふぅ これくらい動ければなんとかなるな?まだ体は重いがこれなら雑魚相手程度なら対抗できる」


蒼野 「よし 退院しよう!」ドンッ!!


全員 「「いやいやまずい(ですよ!)から!」」


蒼野 「もう平気だよ 足さえ動ければなんとかなる」


菫子 「いや足が動いても手がまったく動かないじゃん!そんな状況で退院したらまずいから!」


魔理沙 「またムリするとあの頭硬いやつに怒られるぞ?」


蒼野 「…まぁ 怒られたら怒られただ?なんとかなるだろ」


小鈴 「いや絶対なんともならないと思うけど…」


阿求 「蒼野さん ムリしてはまた入院日を延ばしてしまいます まだ身体を休めていた方が…」


蒼野 「そうしたいのは山々だが、俺もやることがあるんだ 早く退院してやることやらないと?」


妖夢 「そのやることと言うのはどういったことで?なんなら私が承りますが」


蒼野 「いや、他のやつには任せられないんだ …借りてた刀を折っちまったから……」ハァ…


妖夢 「借りてた刀…?」


菫子 「…そういえば 夜一が持ってた刀いつもと違ったね しかも二本持ってたよね?」


蒼野 「あぁ 闇の刀は今修理してもらってるんだ その間、草薙の剣というものを借りてたんだが……」


魔理沙 「…っえ それってたしか、こーりんの剣じゃ……?」


蒼野 「あぁ…だから早めに行ってあやまんねぇと あと修理に出してる刀もそろそろ終わってるだろうから取りにも行かないといけないからな?」


蒼野 「妖夢 昨日一昨日はありがとな?おかげで助かったよ」


蒼野 「俺は先生のところに行って退院手続きしてくるからお前も自分の仕事場に戻ってくれ それじゃ?」タッタッタッ


妖夢 「いやいやまずいですから!なに平然と退院しようとしてるんですか!!」ガシッ


妖夢 「さすがに早すぎますよ!まだ完全どころか腕まったく治ってないじゃないですか!足だけじゃ危ないです!!」ギュゥゥ…


蒼野 「イダダダダッ!!!!よっ妖夢!!手痛い痛い!!」ビキビキッ 左手を掴まれて激痛が走る


妖夢 「あっ!?すっすみません!」パッ


蒼野 「いててて…!い、今のはちょっと痛かったよ さすがにあの強さで握られるのは……」アイタタタ…


菫子 「…それで痛いならまだ入院してた方がいいよね?」


阿求 「そうですね 今のだけで、蒼野さんがあそこまで悲鳴をあげるなんて…」


蒼野 「俺があそこまでって…人が人間離れしたみたいな言い方だな?」


魔理沙 「現にその通りだぜ 永琳も普通の人間なら死んでたって言ってたぜ?」


小鈴 「うんうん」


蒼野 「……まぁそれはいいとして?」


菫子 「いいんだ…」


蒼野 「俺はやることがあるから今すぐにでも退院しないといけないんだ 休んでる暇ないんだ」


阿求 「いやだとしても…」


妖夢 「…わかりました では夜一さんの用足し、私もご一緒させていただきます」


蒼野 「……っえ」


魔理沙 「ならわたしも行くぜ!妖夢だけだと不安だからな 夜一の身は私が守るぜ!」


菫子 「なら私もいくわ!超能力は幅広く使えるから何かあっても必ず役立つはずよ 安心して!」


小鈴 「えっえと わたしは、その……」アタフタ


阿求 「ーっ…よっ妖怪の種類ならまかせて!なんの妖怪が出てもすぐわかるから、その……」


蒼野 「いやべつに俺一人でいいんだが…」


妖夢 「今の状態でひとりで行かせるなんてできません!無理やりでもご同行させてもらいます」


魔理沙 「そうだぜ!夜一の安全は保証するぜ!」


蒼野 「…」


蒼野 「(…これはなに言ってもムダなパターンだな 来なくていいと言ってもついてくるな)」


蒼野 「(あまりみんなを危険な目に遭わせたくないんだよな?これ以上俺に関わってると佐久間グループのやつらが目をつけてくるから…)」


蒼野 「(もしそれで誰かがケガでもしたら問題だ ケガだけで済めばいいけど、もし命を落としたりなんてしたら……)」


妖夢 「夜一さん 拒否権はないと思ってくださいね?今の状態で退院して用足しに行くというならついて行きますからね」


蒼野 「…」


蒼野 「わかったよ それじゃ悪いけど、みんなについてきてもらおうかな?」


小鈴 「みんな!?っえ てことは…私たちもいいんですか!?」パァァ


蒼野 「あぁいいよ ただし、なにかあったときは小鈴と阿求はすぐ逃がすからな?」


蒼野 「菫子と魔理沙辺りに逃がしてもらって安全な場所まで連れていかせるからそれだけはわかってくれ いいな?」


阿求 「はい!ありがとうございます!」


蒼野 「というわけだふたりとも わるいがその時はたのむぞ?」


魔理沙 「おう!任せとけ!」


菫子 「了解!任しといて!」


蒼野 「それじゃあとは先生に退院することを伝えないとな?」タッタッタッ…








診察室



永琳 「ダメに決まってるでしょ バカなの?」キッパリ


永琳 「腕のケガどころか全身衰弱状態だってまだ治ってないのに その状態で退院なんてできるわけないじゃない?」


永琳 「とてもじゃないけど今の状態で退院なんて無理よ おとなしく休んでなさい!」


蒼野 「そこをなんとか…」


永琳 「却下よ あきらめなさい」


妖夢 「私からもお願いできないでしょうか?永琳さん わたしも付き添いで夜一さんの用足しをしますので」


魔理沙 「わたしも行くぜ!だから安心だぜ!」


永琳 「それで何度もムリして退院し、間もないうちにまた入院してるのよ?」


永琳 「そんなことを繰り返してたらキリがないわ それこそ、今度こそ命を落とすわ!」


永琳 「だから退院させることはできないわ あきらめなさい」カリカリ…


蒼野 「うっ…やっぱりダメですか」ガクシ…


菫子 「よいち……」



コンコンッガラ…


鈴仙 「師匠 ちょっといいでしょうか?」


永琳 「なにかしら?」


鈴仙 「えっとですね…部下のうさぎたちが食器を落として割ってしまったので香霖堂に行きたいのですか?」


永琳 「いいわよ あと良さげな日用品があったらそれも買ってきてもらえるかしら?」


鈴仙 「わかりました!それじゃ行ってき……」


蒼野 「ちょっとまて看護婦 今香霖堂に行くって言ったか?」


鈴仙 「っえ?はい 言いましたが…」


蒼野 「先生 看護婦と一緒ならダメですか?何かあってもすぐ治療できる人がいれば…」


永琳 「ダメよ いくら鈴仙が一緒にいても今の状態で退院はさせられないわ」


永琳 「それに閻魔様にも指摘されてるからなおのこと無理よ いい加減あきらめなさい」


蒼野 「なら一時退院だけでも!」


永琳 「そんな状態で一時的も出せるわけないでしょ!はやく部屋に戻って休みなさい!!」バンッ!!


蒼野 「うぐ……」


蒼野 「(ダメだ…やっぱり足だけ動かせたても退院はさせてもらえないか しかも今回に関しては四季に釘刺されてるからな)」


蒼野 「(どうにかしていく方法は……)」



ガラッ


四季 「失礼します 蒼野のお見舞いに来たので…って なんですか?この状況は」


蒼野 「あっ四季…」


永琳 「いいところに来たわね?閻魔様 今この子が騒いでたところよ」


四季 「騒いでた…?蒼野 まさかとは思いますが、また無理して退院しようとしてるんですか?」ギロッ


蒼野 「っえ えっとだな?今回は理由が……」タラー…


四季 「理由…?」


蒼野 「じつは……」



蒼野説明中…


四季 「…なるほど そういうことですか」


蒼野 「だから一時的でもいいから退院許可をもらおうとな…?」


魔理沙 「四季 わたしからも頼むぜ?夜一の身は私が守るから」


菫子 「わたしも守ります!なのでお願いします!」


四季 「………」


永琳 「…どうするのかしら?閻魔様 それによっては一時退院を認めるわ」


四季 「…いいんですか?一時退院しても」


永琳 「本来ならダメだけど 閻魔様が付き添いなら特別に許可するわ」


永琳 「閻魔様が一緒ならさすがに安全だと思うから もしそれでいいなら?」


四季 「…わかりました」


四季 「蒼野 今回だけ、特別に許可してあげます」


蒼野 「…っえ ほんとか!?」


四季 「えぇ 今回は理由が理由なので特別です 二度はないと思ってください」


蒼野 「おう!ありがとな」


魔理沙 「よかったな夜一!許可もらえて!」


菫子 「よーし!それじゃ夜一の安全を確保するために私たちも気を引き締めていかなくちゃ!」


四季 「あなたたちは来る必要ありません 帰りなさい」


全員 「「……っえ」」


四季 「最近、蒼野と一緒に居すぎです あまり蒼野と一緒にいると事件に巻き込まれる可能性があります」


四季 「現にあなたたちは何度も巻き込まれた前例がありますよね?これ以上巻き込むわけにはいきません おとなしく帰りなさい」


魔理沙 「今さらなにいってんだよ?別に巻き込まれたら そいつらを倒せばいいだけじゃないか」


菫子 「そうですよ 私たちだって戦えるんですから平気です!」


小鈴 「わ、わたしだって!あの巻物さえあれば…」


阿求 「やめなさい 洒落にならないわ」


妖夢 「閻魔様 私はだめでしょうか?私はいま夜一さんの看病を任されてる身なので、私だけでも護衛をつかせて欲しいんですが」


四季 「だいじょうぶですよ 護衛など必要ありません あとのことは私に任せてください」


妖夢 「ですが…」


蒼野 「…えっと、妖夢だけはお願いしようかな?まだ完全に治ってないから補助をたのむ」


妖夢 「っ! はい!」


魔理沙 「おい夜一!なんで妖夢だけ許可すんだよ!私達もいいじゃないか!」ギャーギャー


菫子 「そうよそうよ!差別だ!!」ブーブー


蒼野 「差別って…」


鈴仙 「…あのー そろそろ行きたいんですか?」


蒼野 「あぁわるい それじゃ行くか?」


魔理沙 「こら待て!まだ話しは終わって…」


蒼野 「魔理沙 しつこいと嫌われるぞ?」


魔理沙 「っえ」ピクッ


蒼野 「菫子 おまえは前に霧の湖でやらかしたよな?あの時のこと、まだ許してないぞ?」


菫子 「っえ」ピクッ


蒼野 「小鈴と阿求は…うん 自分たちのこと理解してるから何も言わない」


阿求 「ほっ…」


小鈴 「よ、よかった なにも言われなくて…」ハァ…


四季 「それでは行きましょう 刀は病室ですか?」


蒼野 「あぁ 置きっぱなしだ ベッドの下に置いてある」


妖夢 「わたしが運びますので夜一さんは無理しないでください」


蒼野 「悪いがたのむよ」


鈴仙 「それでは師匠 行ってきます!」


永琳 「えぇ 夜一のことは任せたわよ?」


四季 「わかっています それでは」


タッタッタッ…ピシャンッ


魔理沙 「…しつこいと……嫌われる………」ズーン…


菫子 「あぁぁ…あの時のこと、まだ怒ってるなんて…!!」アワワワ…


小鈴 「…なんか、ふたりともすごいことになってるね?」


阿求 「そうね 菫子さんが慌ててる理由はわからないけど、魔理沙さんはしつこいと言われて落ち込んでるわね」


永琳 「…てか、ここで落ち込まないでもらえるかしら?仕事の邪魔なのだけど」













迷いの森ー香霖堂近く道中



ザザァ…ザザァ……


蒼野 「…今日は風が吹いてるな?木がかなり揺れてる」


四季 「そうですね いつもより吹いてますね」


妖夢 「でも森の風っていいですよね?強すぎるのはさすがにいやですが、このくらいの風なら心地よいです!」


鈴仙 「夜一さん 今のところ痛みなどはだいじょうぶですか?」


蒼野 「あぁ 今のところはへいきだ?足も普通に動くし、手も動かさなければ痛みはない」


鈴仙 「ムリだけはしないでくださいね?少しでも無理したら傷開きますからね」


蒼野 「わかってるよ できるだけムリはしないから?」


鈴仙 「いやできるだけって…」


四季 「無理はしないでくださいね?蒼野」


蒼野 「…わかったよ」



…ガサッ


蒼野 「っ…」ピクッ


四季 「…みなさん そこから動かないでくださいね?」


妖夢 「…っえ?」


鈴仙 「なんでですか?」


蒼野 「…誰かそこにいるな 茂みの中に隠れてる」


妖夢 「っ! 敵ですか!」スチャッ


四季 「いいえ 敵ではありませんが妖怪です 出てこないと…裁判しますよ?」ギロッ



ワーッ!!やめてやめてー!!


小傘 「出てきます!出てきますから裁判しないでください!!」ガサッ 茂みの中からでっかい傘を持って現す


蒼野 「…でかい傘だな よくそんなもの持って隠れられてたな?」


妖夢 「なんだ 小傘さんでしたか なら平気ですね?」スゥ…


小傘 「なんだとはなんですか!わちきだって妖怪のはしくれなんですよ!」


蒼野 「害ある妖怪なのか?」


四季 「ないわけではありませんがとても些細なことなので気にすることはありません」


四季 「あるとしたら人を脅かすだけなのでほぼほぼ害はありません むしろこの方のほうが脅かされて泣きます」


蒼野 「…脅かした側が泣くのか?」


小傘 「泣きませんよ!わたしは立派な妖怪なんですから!」フンッ


蒼野 「(りっぱな…)」チラッ


小傘の乳 「」ドォーン!!


蒼野 「…」フイッ 何かを考えたがすぐに考えるのをやめた


四季 「それで小傘さんはなぜここにいるんですか?まさかこの閻魔である私を脅かそうと…?」


小傘 「ちがいます!!そんな恐ろしいことできません!!ある人が来たら知らせて欲しいって言われてるんです!」


妖夢 「あるひと?」


小傘 「えっと…そこの人、蒼野って言いましたか?」


蒼野 「っん?あぁ そうだが」


小傘 「森近さんからの伝言です 刀が治ったから来客するようにと言ってました」


蒼野 「やっぱり治ってるか 治る予定日過ぎてるもんな?」


四季 「ですが なぜこの場所で待っていたんですか?ここから香霖堂は近いのに」


小傘 「名前と見た目を教えられただけでどのような人かわからなかったので この近くによる方を片っ端から脅かして聞いていたんです」


蒼野 「はた迷惑なやつだな!脅かした後に聞くとかおかしいだろ!」


小傘 「それがわたしのお仕事ですから!」(`・v・´)ドヤァ


蒼野 「…退治、したほうがいい?」


四季 「しなくていいです 退治したところでたかが知れてます」


蒼野 「…そうか」


小傘 「たかが知れてるってどういうことですか!たしかにわちきはそこらの人喰い妖怪と比べたらペーペーですが、私だってやる時はやるんですからね!」


四季 「そうですか?なら私と手合わせしてあげましょうか?」


小傘 「ごめんなさい それはご勘弁ください」土下座


蒼野 「おい四季 さすがにそれは…」


四季 「冗談です さすがに妖怪相手にケンカなんて売りませんよ」


蒼野 「今完全に売ってたよな…?」


四季 「蒼野 無駄口は立たなくていいです」


蒼野 「…」


四季 「それじゃ香霖堂に行きましょう」


蒼野 「あっあぁ…」


小傘 「…えっと、私も行っていいですか?」


蒼野 「っん?別にかまわないけど」


妖夢 「小傘さんもなにか用があるんですか?」


小傘 「はい えっと…闇の刀、でしたっけ?その修理箇所の説明をしたいので」


蒼野 「…説明する?」


小傘 「はい わたしはこう見えても鍛冶師なんです 森近さんが治した刀を再検査して細かいところを治したのでその説明をしたいんです」(茨歌仙参照)


蒼野 「っえ!?お前鍛冶師なのか!?」


小傘 「はい!あっそういえば自己紹介がまだでしたね」


小傘 「わちきは多々良小傘(たたらこがさ)!からかさお化けです!」


蒼野 「俺は蒼野夜一 よろしくな?」スゥ… 握手をしようと手を前に…



ズキィッ!!!!


蒼野 「ーっ!!!!」ビキィッ!!!!!!


小傘 「…っえ?」


四季 「蒼野っ!?」


鈴仙 「だっだいじょうぶですか!?」


蒼野 「おぉぉ…!!て、手が……!!激痛がっっ…!!!!」ビリビリ…


鈴仙 「傷が開いてないか見せてください!」


蒼野 「あぁ…」イテテ…



小傘 「…え、えっと ケガしてるの?長袖着てるからわからなかったけど」 シュルシュル…


妖夢 「はい 両腕断裂して繋げたばかりなので少しでも動かせば激痛が走るんです」 …アー チョットヒライテル…チガニジミデテマスネ


小傘 「両腕断裂!?大ケガじゃないですか!!」 コレクライナライマモッテキテルクスリデトメルコトハデキマスガ、オウキュウショチナノデカエッタラシショウニミテモラワナイトイケマセンネ


四季 「えぇ ですが、この方はどんなにケガをしてようとすぐ退院したがる問題児なんです」 ワカッタ


小傘 「えぇっ!?」


鈴仙 「…っと これで応急処置は完了です これ以上動かさないでくださいね?」シュルシュル…キュッ


蒼野 「あぁ…気をつけるよ」ズキズキ…


蒼野 「わるいな小傘 見苦しいところを見せて?握手しようとしたんだが、腕ケガしてたの忘れててな」


小傘 「ううん気にしてないよ それよりも手ケガしてるなら無理しないでね?」


蒼野 「あぁ 心配してくれてありがとな?」


四季 「それじゃ行きましょう」


蒼野 「おう!」













香霖堂



カランカラン…


霖之助 「いらっしゃい …っと 君か?待っていたよ」


霖之助 「頼まれていた刀はもう治ってるよ 昨日で治ったんだが…」チラッ


蒼野 「…」プラーン… 腕に力を入れないでプラーンとさせている


霖之助 「…なにかあったようだね それに永遠亭の兎さんと一緒にいるということはそういうことだね?」


鈴仙 「…まぁ 半分まちがってはいませんが」


小傘 「森近さん 治した刀を見せてあげてください」


霖之助 「わかった それじゃお願いされてた刀だけど」ゴソゴソ…


蒼野 「あっその前にいいかな?」


霖之助 「なんだい?」


蒼野 「…えっと、だな あんたから借りてた刀なんだが……」


四季 「…もうしわけありません 佐久間グループの一員を倒すためにお使いした結果、折れてしまったんです」スゥ…


霖之助 「…っえ 折れた?」カチャッ


クンッスー…カタンッ 刀を抜いて傾けると刃部分がズレて落ちてくる


霖之助 「…おっおぉ これはまたひどい……」


小傘 「完全に折れてるうえに刃こぼれすごいですね…なにをどうやったらこうなるんですか?」


蒼野 「この世界にはないんだが、俺の世界にチェーンソーって木を切る機械があってな」


蒼野 「そいつとやりあってる時にその機械にぶつけて…」


霖之助 「…なるほど」


蒼野 「お前の愛刀だって言ってたのに折ってすまない 修理代などは全部出すから…」


霖之助 「あぁ別にいいよ 刀は壊れてなんぼ、刃こぼれや折れることなんて普通さ」


霖之助 「貸した時点でそうなることは覚悟してたさ 現に君は闇の刀を折ってるんだからね?」


霖之助 「…でも、君は間違った使い方をしないとわかっていたから貸したのさ そうでもなければ、初めてあった人に刀を貸したりなんてしないよ?」


蒼野 「それは…まぁ たしかにそうだが」


霖之助 「それに小傘くんもいるんだ 小傘くんがいればすぐに治るからへいきさ!」


小傘 「刀や金物に関しては任せてください!」


蒼野 「…そうか?ならもう一本やって欲しいんだが」


小傘 「はい!何本でもいいですよ!」


四季 「こちらです」スゥ… 折れてる蒼の刀を小傘に渡す


小傘 「はいはーい!…っと おぉ…これもまた刃こぼれとぽっきり折れてる」クンッスー…


霖之助 「でもまだ生きてるね 輝きが全然劣ってないよ」


小傘 「ですね まだいけると言ってますね?」


小傘 「…それと、そのもうひとつの刀は…?」


蒼野 「っん 光の刀か?これは折れてないよ」


小傘 「そうなんですか?なぜその刀は無事なんですか?」


蒼野 「光の刀は使えないんだ 抜こうと思っても俺には抜けないんだ」


小傘 「…っえ あなたには抜けない?」


蒼野 「あぁ 罪あるやつには抜けないようになってんだ 俺は過去に何百人も人を殺してるから、刀が抜かせてくれないんだ」


小傘 「…いっ生きてるんですか?その刀」


蒼野 「ある意味生きてるかもしれないな 試しに抜いてみるか?」


小傘 「…それじゃ、ちょっと見せてもらいます」


四季 「どうぞ」スゥ…


小傘 「…」カシッ


クンッスー…


蒼野 「…ほぉ?抜けたか 人を脅かしてるから意外にも抜けないと思ってたが」


妖夢 「ちょっ夜一さん…」


小傘 「………」ボー…


蒼野 「…あれ 小傘?」


小傘 「…すごい この刀……今まで見てきた中でいちばんキレイ」ボー…


小傘 「仕上げもちゃんとできてるし かすみがかっててすごくいいよ」ウットリ


小傘 「しかもまったく汚れてないし なによりこの輝き…素敵すぎる!」///ハァァ


蒼野 「…そんなに、すごいのか?たしかにその刀は一度も使ってないけど」


小傘 「すごいよ!!もう言葉に表せないぐらいすごい!!」///


小傘 「こんなに釘付けになる刀なんて見たことないよ!!もう凄すぎるよ!!」


蒼野 「そっそうか」タジッ


霖之助 「んー…たしかに美しいね?前回来たときは見せてもらってなかったけど これは上等な刀だね!」ウーン


霖之助 「…っと 見惚れてる場合ではなかったね?約束の刀だよ」スゥ…コトッ


蒼野 「おぉ…!!柄糸がキレイになってる!しかも鞘入れの傷もなくなってる!」


小傘 「それで、肝心の刃なんですが?」カタッスー…


蒼野 「おぉっ!?折れてたのがちゃんと治ってる!しかも長さも変わってない!」


小傘 「鉄を付け足しましたからね?折れた刃部分にも鋼を足しましたので切れ味はだいじょうぶです!」


妖夢 「美しいですね 綺麗に仕上がっていて、同じ刀を持つ私も胸が高鳴ります!」


小傘 「えへへー!満足してもらえてなによりです!」スチャンッ


小傘 「どうぞ!」スッ


四季 「ありがとうございます お預かりします」カチャッ


小傘 「それじゃ新しく二本の刀を治しますね?」


蒼野 「あぁ 悪いがたのむ 修理費の方はいくらぐらいだ?」


霖之助 「んー…そうだね?刀二本分だと…」ウーン…


小傘 「…その前に、あなた外の世界の人なのにお金もってるの?」


蒼野 「あぁ持ってるよ 以前ここで外の世界の通貨を換金したんだ」


小傘 「そうなんですか?」


霖之助 「あぁ まさか君が外来人だとは思わなくてね?外来人だと知った時は驚いたよ」


霖之助 「しかも外の世界の通貨なんて珍しいからそれなりの値段で取引したんだ あとこの辺に置いてある外の世界の物を詳しく教えてもらったりしてね?」


小傘 「そうなんですか」


霖之助 「今回は小傘君がいるから早く終わると思う 料金の方は直してからじゃないとちょっとわからないかな?さすがにここまでひどいとね…」


蒼野 「そうか…わかった ぼったくらない程度でたのむぞ?」


霖之助 「わかってるよ 適正な値段で直すよ?」


四季 「すみませんがよろしくお願いします」


鈴仙 「霖之助さん こちらをもらえますか?」コトコトッ


霖之助 「まいど!えーっと この商品は…」


蒼野 「…っん?」チラッ


妖夢 「? どうしましたか?」


蒼野 「…これ なんだ?」タッタッタッ



封印された対魔剣 「」キラーン 商品棚の上に堂々と禍々しく飾られている


四季 「…刀ですね しかも御札貼られて封印されてますね」


妖夢 「禍々しいです…」


霖之助 「あぁ それは対魔剣だよ?封印されてるけどね」


霖之助 「無縁塚に落ちてるのを見つけてね 今度霊夢に頼んでお祓いしてもらおうと思ってるんだ」


四季 「あなたはほんとに懲りないですね?あそこは危ないと何度も説明してるじゃありませんか」ハァ…


霖之助 「僕は半妖だからへいきだよ ある程度わね?」


妖夢 「ある程度って……」


蒼野 「………」


小傘 「…蒼野さん?」


蒼野 「(…なんだ?この感じ 刀に呼ばれてるような感じが……)」


蒼野 「(…呼んでるのか?おれを)」


封印された対魔剣 「」カタッ


霖之助 「っ!」


妖夢 「っえ 今、刀が動いた……?」


蒼野 「…なぁ この刀、いくらだ?買いたいんだが」


霖之助 「…その前に、ひとついいかな?(まさか…!)」


霖之助 「いま刀が動いた気がしたんだが…もしかして、声とか聞こえた感じかい?」


鈴仙 「…こえ?」


蒼野 「声は聞こえてないが、なんか呼ばれてる感じはしたんだ 頭ん中で呼んでるのかと念じたら反応したんだ」


霖之助 「…へぇ なるほどね(やっぱりか これはすごい!)」


霖之助 「(まさか刀の声を聞ける人がいるなんて思いもしなかった しかも今目の前にっ!!)」ニヤリ


蒼野 「それでいくらなんだ?この刀」


霖之助 「…そうだね 値段よりもその刀に触れてみてもらえないかな?」


霖之助 「もしかしたらその封印…選ばれた人にしか解除できないかもしれない

解くことができるかやってみてくれ?」


蒼野 「…わかった」


鈴仙 「ちょっ!?ダメですよ!まだ動かしては!」


蒼野 「わかってるよ 手に触れる程度にするから?」スゥ… 身体を横に向けて右手で対魔剣を触れようと…


封印された対魔剣 「」ピクッスゥ… 自ら動いて蒼野の手に触れようと向かう


霖之助 「っ!!」



キィンッ!!


封印が解かれた対魔剣 「」シュゥゥ…!!!! 封印の御札が黒ずんで焦げたように灰になり、刀の鞘の色が黒から黄色になる


小傘 「っえ!?鞘が黄色くなった!?」


妖夢 「しかも封印も解かれました…夜一さんの手が触れたと同時に」


蒼野 「…へぇ?ずいぶんとキレイな刀じゃないか しかも光の刀みたいに黄色い」


蒼野 「四季 刃を見たいから抜いてもらってもいいかな?」


四季 「わかりました」スゥ…カタッ


クンッスー…


対魔剣 「」キランッ 刃の部分は霞みがかっていていかにも切れ味の良さそうな輝きを放ち、切れない部分は薄く黄色に染まっていて輝いている


小傘 「ーっ…すっすごい また、今までにないぐらいの刀だ……!!」


霖之助 「…すごいね 刀だって人を選ぶとは聞くけど、まさか目の前でそれを見れるなんて…貴重な光景を見せてもらったよ!」


蒼野 「それはよかった …それで、この刀はいくらだ?」


霖之助 「…そうだね まだ封印を解く前だったし、値段も安い値段でつけてたから……」ウーン


霖之助 「…うん タダでいいよ!」ニコッ


蒼野 「……っえ タダ?」


霖之助 「うん!いいものを見せてもらったからタダでいいよ もう二度と見ることが出来ないものを目の前で見せてもらったんだ?むしろこっちがお金払いたいぐらいだよ」


蒼野 「いやそれはおかしいから…」


鈴仙 「…ほんとに、タダにするんですか?」


霖之助 「うん するよ?」


鈴仙 「……あのドケチな店主が?」


霖之助 「うん!」


鈴仙 「………ほんとに?」


霖之助 「いい加減にやめないと怒るよ?」


鈴仙 「いやだって…今までにそんなことありましたか?私が知る限りでは一度もないので…」


霖之助 「たしかにないね 僕も商売してる身だからね?売り上げが経たないとこっちも困る」


霖之助 「でもそれとは別に 僕は今目の前で貴重な光景を見せてもらったんだ その刀分の対価は確実にあった」


霖之助 「むしろそれ以上の対価があったと僕は思ってるよ それほど貴重な光景だったからね?刀が人を選ぶ瞬間なんて 一生に一度でも見れればいい方だよ!」


霖之助 「僕に選ばれなかったのはくやしいけど、刀は蒼野君を選んだんだ 選ばれたものからお金を貰うというのもちょっと気が引けるしね?」


蒼野 「…そういう、ものなのか?」


霖之助 「そういうものだよ 蒼野君は見た感じ、かなり真面目だね?自分の意思を曲げない性格…そうじゃないかい?」


蒼野 「…真面目かと言われたら まぁ…」


霖之助 「だからタダであげると言ってもおかしいと判断した まぁそれが普通だよね?しかもそのタダであげるものが刀だからよけいに戸惑うよね」


霖之助 「ならこちらも言わせてもらおう 封印を無理やり解く前に解いてくれてありがとう」


霖之助 「選ばれてもいない僕に保存される前に選ばれたものが現れて僕も感謝してる だから大切に使ってほしい!」


蒼野 「…そうか わかった!あんたがそう言うならありがたくもらうよ 大切に使うから安心してくれ?」


霖之助 「たのむよ それと修理代も貴重な光景を見れた分の対価から引いておくよ もちろんこっちも無料でね!」


蒼野 「いや そっちは払わせてくれ 修理代は修理代だから引かなくていい」


霖之助 「ほんとにまじめだね …わかった それじゃ修理代の方は安くしておくよ それならいいかな?」


蒼野 「あぁ それでかまわない」


四季 「話がまとまりましたね それではそろそろ帰りますよ」


蒼野 「あぁ それじゃ悪いけどたのむ」


小傘 「受けたわりましたー!二本合わせて4日ぐらいかかると思うので4日後以降に来てください!」


蒼野 「わかった 綺麗に仕上げといてくれよ?」


小傘 「了解です!」(・ω・´)ゞビシッ!!



カランカランッ…


咲夜 「…あら これはまた珍しい集団ね?しかもこんな所で」


妖夢 「咲夜さん!」


霖之助 「こんなところとは失礼だね?僕のお店をこんな扱いとは」


咲夜 「いつ来てもガラクタしかないじゃない 多少マシなものがあるぐらいだしね」


霖之助 「僕からしたらぜんぶ売り物だけどね?まぁ使い方がわからないものばかりだけど」


咲夜 「それ売る気ないでしょ…」ハァ…


蒼野 「…(…メイド?この世界にメイドなんているのか ほんとよく分からない世界だな)」


咲夜 「…なに?私の顔になにかついてる?」


蒼野 「いや まさかこの世界にメイドがいるとは思わなくてな?ちょっと意外だった」


咲夜 「そう この世界でいちいちそんなことで驚いてたらキリがないわよ?この世界でありえないことが起きるなんて普通なんだから」


蒼野 「そうだな たしかにその通りだ」


四季 「蒼野 行きますよ?」


蒼野 「あぁ 今いく」


咲夜 「…蒼野?」ピクッ


蒼野 「妖夢 わるいが警護頼むぞ?」


妖夢 「はい!おまかせください!」


鈴仙 「帰ったらケガの治療しますから無理はしないでくださいね?」


蒼野 「わかってるよ それじゃ行こ…」


咲夜 「ちょっと待ちなさい そこの少年」


蒼野 「っん 少年って俺のことか?」


咲夜 「あなた以外に誰がいるの ここの店主は明らかに少年には見えないでしょ?むしろ老けてるわよ」


霖之助 「失礼だねキミ」


咲夜 「あなた 蒼野というの?」


蒼野 「そうだが?」


咲夜 「今この世界で騒がしてるひとりかしら?」


蒼野 「…まぁ 騒いでるのは別のやつだけどな?俺も騒いでるけど」


咲夜 「…そう ならちょうどいいわ」スッ


咲夜 「初めまして わたしは十六夜咲夜 紅魔館のメイド長を努めさせてもらってるわ」


蒼野 「紅魔館?どこだそれ」


四季 「霧の湖近くに赤い洋館があるのを知っていますか?そこが紅魔館です」


蒼野 「…なんかあったな でかい建物が」


咲夜 「レミリアお嬢様があなたに興味を抱いて 見つけたら連れてくるようにと申されています」


咲夜 「すみませんがご同行お願いできますでしょうか?」


蒼野 「いや急にそんなこと言われてもな…」


四季 「咲夜さん すみませんがそれはできません 蒼野は今現在、両腕をケガしているんです」


四季 「このような状況でレミリアさんのところに連れていくのは危険だと判断します すみませんがお引き取りを」


咲夜 「そうしたいのは山々だけど わたしもお嬢様の頼みであるため、引き下がるわけにはいきません」スゥ…チャラッ ポケットから懐中時計を取り出す


蒼野 「…?(時計…?なんでそんなものを…)」


咲夜 「時間はわたしの味方…時間は止まる」


キィンッ!!



四季 「」


妖夢 「」


鈴仙 「」


小傘 「」


霖之助 「」


咲夜 「…あまり誘拐みたいなことはしたくないけど しかたないわね」


咲夜 「さてと 早くこの子をお嬢様の所に連れていかないと………」


蒼野 「…へぇ あんた、時間を止める能力か すごいな?」


咲夜 「…ーっな!?」ギョッ!!


咲夜 「(なっなんで、この子動けるの!?)」


咲夜 「(他のみんなは止まってるのになぜこの子だけ…!!)」スッ すぐさまナイフを構えて戦闘態勢に入る


蒼野 「おいおい待ってくれ いきなり臨戦態勢に入られても困るんだが?」


蒼野 「今俺は両手が使えないんだ 普通に動けるあんたと戦ったら負ける 俺を連れていくみたいなこと言ってたが理由を聞かせてくれ」


咲夜 「…なんで、あなた私の能力が効かないの?」


蒼野 「っん?あぁ それはおそらく、俺の能力だと思う」


蒼野 「俺は結界を操ることができるんだ 今はおそらく、無意識で発動してると思うがそれのおかげで効いてないんだと思う」


咲夜 「わたしの能力は結界じゃないわ 全ての時間を止めてるなぜあなたに効かないの?」


蒼野 「いやそこまで聞かれても…」


咲夜 「…まぁいいわ それよりも理由だったわね」スッ…


咲夜 「先程も言った通り 私の主、レミリアお嬢様があなたに興味を抱いてるの」


咲夜 「見つけたら連れてくるようにと申されたからあなたを連れていこうとしたの だから着いてきてくれるかしら?」


蒼野 「…おれ、ケガしてんだが」


咲夜 「構わないわ 死んでなければ来てちょうだい」


蒼野 「むちゃくちゃなやつだなおまえ…」


蒼野 「…」チラッ


全員 「「」」


蒼野 「(今俺とこの人以外は止まってるから戦うとなると俺一人で戦うことになる 今この状態で戦うのは不利に近い)」


蒼野 「(だれかの援護も期待できない状況で、しかも佐久間グループの一員でもないやつと戦うのは俺にメリットがない むしろこれで命を奪っちまったらデメリットしかない…)」


蒼野 「(足だけでしか攻撃できない分 手を抜くことはできない…となると、ここは争わないで従った方が吉か?)」


蒼野 「…なぁ お前の主が俺を興味持ってるって言ったよな どういう意味で興味を持ったんだ?」


咲夜 「おそらく閻魔に認められた殺人鬼で興味を持ったのかと 本来は罰を受けて地獄に落とされるはずの者が幻想郷の地に立たされることを許された人物」


咲夜 「さらに佐久間グループという連中を始末する許可まで下りてると聞いてるので その方がどんな方でどのくらい強いのかを確かめたいのかと思います」


蒼野 「…行って争ったりしないよな?」


咲夜 「【お嬢様なら】平気かと思います そちらが何もしなければ下手なことしないかと」


蒼野 「…お嬢様なら?他のやつはまずいのか?」


咲夜 「約一名だけあぶない方がいます その方に会わなければ平気です」


蒼野 「会ったらどうなる?」


咲夜 「出会い頭にこっぱみじんにされます」キッパリ


蒼野 「………」


咲夜 「それでは着いてきてください」


蒼野 「…わかったよ(ここは従っておくか こいつも悪いことをするようなやつじゃなさそうだし)」


蒼野 「(行く先に鬼が出るか蛇が出るか…まったくわからねぇな)」


タッタッタッ…













紅魔館ー門前



咲夜 「着きました ここがお嬢様の御屋敷です」


蒼野 「…真っ赤だな 霧の湖から見てもわかってたが」


咲夜 「…そして、時は動き出す」



キィンッ!!


美鈴 「すやすや…」スピー…


蒼野 「…なんだこのひと?こんな所で寝てるが」


咲夜 「門番よ ここのね?」スゥ… 太ももに刺してあるナイフを取り出して構える


蒼野 「…っえ」


咲夜 「起きなさいバカ門番!」シュンッ!! 美鈴のおでこに目掛けてナイフを飛ばす


蒼野 「ーっな!?おまえなにやって!!」ダッ!!


蒼野 「(くそっ!!間に合え!!)」スゥ…


蒼野 「うらァっ!!!!」バシンッ!! 身体を一回転させて足でナイフを蹴り飛ばす


咲夜 「っ!」


咲夜 「(ウソでしょ?この距離から間に合った!?かなり距離あったのに!)」


美鈴 「…んぁ?なにか騒がし……」パチンッ


蒼野 「ーっ!!!!…」ズキズキッ!!!!


蒼野 「(うっ腕が…!!勢いつけすぎて傷がっ!!!!)」ダラダラ… 腕の傷が開いて血が流れ出る


美鈴 「っ!? だっだいじょうぶですか!腕から血が!?」


咲夜 「あなたそこまで大ケガしてたの!?軽いケガ程度だと思ってたわ!」


蒼野 「だからケガしてるって言っただろ!いてて…!!」ズキズキッ…


美鈴 「さっ咲夜さん!どうすれば…!?」アタフタ


咲夜 「…ちょっとまってて 今医者を呼んでくるわ」チャラ… 懐中時計を取り出して時間を止めようと…


蒼野 「時間止めても俺には効かないから意味ないんだが…!!」ダラダラ…


咲夜 「…能力制御できないの?」


蒼野 「まだ制御の仕方がわからないんだ 少しはわかるが…」


咲夜 「……じゃあガマンしてて 今連れてくるから」


蒼野 「あんた最低だな…」


咲夜 「…時間は私の味方 時よ止まれ」キィンッ!!


美鈴 「」


蒼野 「…この人は止まったな 俺は止まらねぇけど」ズキズキッ…


咲夜 「そのようね それじゃ今から医者を連れてくるから待っててちょうだい」


蒼野 「なるべく早くたのむよ かなり血が出てるから貧血や失血死はしたくない」ハァ…ハァ…


咲夜 「善処するわ」ザッザッザッ…



蒼野 「…くそ 手が……痺れてきた……」ダラダラ…


蒼野 「(思った以上に痛みがひでぇ…しかも、傷も勢いよく開いたのか血の量も多い……これはちょっとまずいかな?)」スゥ…ドサッ 紅魔館の塀に寄りかかり座る


蒼野 「(無理するつもりはなかったんだが今の状況で動かないわけにはいかなかったからな…あのメイド 容赦ないな)」


蒼野 「………」ダラダラ…


蒼野 「(…なんとかして血止めたいけど 両腕動かせないから無理だな まいったな……ただでさえ病み上がりなのに……)」ズキズキ…


蒼野 「(これで痛みを感じなくなってきたらまずいな 激痛の痛みで感じなくなるならまだいいが、痛みがある状態での痛みを感じなくなるのは気を失うときだから死ぬ可能性が………)」クラァ…



…ドサッ………













…ーの お……!


あな…はまだこ……にくる…きじゃな……!


まだや…こと……るでしょ?


……あおの!!






蒼野 「ーっは!?」パチッ


蒼野 「………ここっは?」ムクッ 手を使わずに起き上がる



四季 「すぅ…すぅ……」蒼野のベッドに寄り添って寝てる


妖夢 「すー…すー……」椅子に座って寝ている


小町 「…っお 気がついたようだね?」


蒼野 「小町…ここ、病院か」


蒼野 「(…そうだ おれ…あのとき意識失って……)」


小町 「覚えてるかい?あんた出血多量で気を失って運ばれたんだよ 咲夜が鈴仙連れてあんたの治療してもらうために連れてきたはいいけど…もうその場で治療できる状態じゃなかったんだ」


蒼野 「あぁ 覚えてるよ 腕の傷が開いて血がめっちゃ出てたよ」ハァ…


小町 「四季様は咲夜に対して激怒してたよ けが人を無理やり連れて、挙句の果てには意識不明の重体にまでさせるとは何事だ!ってね」


蒼野 「まぁ怒られるだろうな?四季は俺に過保護すぎる もっと使い捨てのコマのように使ってくれても構わないのに」


小町 「……あんた まだ四季様のために死のうとしてるのかい?」


蒼野 「死ぬ気はないよ 死ぬ気では守るけどな?」


小町 「なら使い捨てのコマのように使ってくれなんて言うんじゃないよ 四季様怒るよ?」


蒼野 「…怒るだろうな 確実に」


蒼野 「だけどな?小町 よく考えてみろ?俺は…」


小町 「犯罪者だからとか関係ないよ 四季様はあんたのことを信頼してる。ただそれだけだ」


小町 「信頼して私たちの部下の一員として扱ってくれてるんだ …そんなこと言うんじゃないよ」


蒼野 「……わかったよ わるいな?気を悪くさせて」


小町 「わかってくれればいいさ それより身体の方は平気なのかい?永琳はそこまで重症じゃないって言ってたけど」


蒼野 「今のところはな 腕が動かせない以外べつに…」スゥ…


蒼野 「…あれ 腕が……うごく?なんで」グッ…グッ…


小町 「治療薬を使ったからだよ あんたが寝てる間に打ったんだ」


蒼野 「……っえ でもたしか、四季からは止められてたはず……」


小町 「その四季様が許可したんだ 無理はさせたくないけど、あんたのことだからまたケガした状態でどこかに行ったりしたら またここに戻ってくるかもしれないからと言ってね?」


小町 「現にあんたは何度もケガしてる状態でどこかに行くとほぼの確率で傷を増やして戻ってくる…それはあんた自身もわかってるよね?」


蒼野 「………」


小町 「だから許可したんだよ 正直、これに関してはあたいも賛成だったけどね?四季様の考えもわからなくはなかったけど、この状況じゃ仕方ない」


小町 「でも無理させる気はないって言ってたから無理はするんじゃないよ?無理してまたケガしたら元の子もない …いいね?」


蒼野 「わかってるよ 無理は基本しないようにしてる」


蒼野 「…けど、誰かを守るときはどんな時でもムリはするけどな それだけは絶対にやらないわけにはいかない」


蒼野 「俺のせいでみんな巻き込んでるんだ 俺がみんなと関わらなければ…小鈴や阿求、魔理沙やミスティアは……」


小町 「…戦えない人間たちは人質に最適だからね たしかにそれに関しては否定できないね」


小町 「…でも佐久間グループのことだ 関わってなかったとしても非戦闘員を利用する手はなかっただろうからいつかは狙われてたかもしれないけどね?」


蒼野 「だが佐久間グループをこっちに呼び寄せたのは俺だ 俺がこっちの世界に来たばかりに呼び寄せちまったんだ」


蒼野 「俺のせいでみんなに迷惑かけてる…ほんとに、俺は罪深いやつだな?外の世界でも人を殺して、こっちでもみんなに迷惑かけて……」ハァ…


小町 「夜一…」


蒼野 「…小町 今何時だ?」


小町 「っえ えっと…もう少しで明日になるね?」チラッ


蒼野 「そうか それじゃ少し運動でもするかな?」スゥ…スタッ


小町 「…っえ」


蒼野 「ずっと腕を動かしてなかったんだ 腕が鈍ってたらまずいからな?今からでも少しずつ慣らしていかないと」スゥ…カタッ ベッドの下に置いてある刀を全て手に取る


小町 「ちょっ!まっまちなよ まだ病み上がりなんだからもう少し休んでたほうが…」


蒼野 「あの薬を使ったらすぐ治るからへいきだよ 無理はしてないから安心してくれ」


小町 「…そうかい?」


蒼野 「あぁ それじゃわるいが四季のこと頼むよ?起きたら俺は中庭にいるって言っといてくれ」


小町 「わかったよ 何かあったらすぐ逃げてくるんだよ?無理して戦おうとなんてしないでおくれよ」


蒼野 「わかってるよ」タッタッタッ…


小町 「…」








永遠亭ー中庭



ヒュンッ!!ヒュヒュンッ シャンッ!!!!


蒼野 「…壱ノ太刀 瞬殺 かまいたち!!」シュンッ!!スチャンッ 刀を鞘から抜き取り、瞬足で1m先まで進み刀を鞘に収める


蒼野 「…弐ノ太刀 貫通 通刀斬!!」スチャ…ヒュンッ!! 刀を突き構えにして1m先まで進み突撃する


蒼野 「…参ノ太刀 抜剣 灯篭流し」ユラァ… 刀を上にゆっくりあげて上段構えをする


ヒュンッ!!…スチャンッ 1m先まで一瞬にして進み、緩やかな風のようにゆっくりと刀を振り下ろして鞘に収める


蒼野 「……ふぅ これくらい動ければへいきかな?灯篭流しも使えてるし」


蒼野 「(まぁ灯篭流しは切りつけるための技じゃないからできなくてもいいんだけどな?万が一、人質を盾にされた時に流す技だから…)」


蒼野 「…」スゥ…スチャッ 鞘から対魔剣を抜いて眺める


蒼野 「(対魔剣…重さも長さも闇の刀と一緒で扱いやすい 手の持つところも握りやすくて振りやすい)」


蒼野 「(振ったときの刃音もなかなかいい 振ってていい気分になる …まぁ、人を殺すときはいい気分にはならないが)」


蒼野 「(これなら闇の刀と同じ扱いしても平気そうだな この前みたいなことをさせなければいけるな)」スゥ…スチャンッ


蒼野 「…」



? 『あおの!』


蒼野 「(…あのときの声、一体誰だったんだろう?どこかで聞いたことあるような ないような……)」


蒼野 「(あの声のおかげで俺は目覚ますことができたけど…誰かまでは思い出せない)」


蒼野 「………」



よいちー!!


蒼野 「…っん?」


菫子 「よっと!こんばんは夜一!もうケガは治ったの?」


蒼野 「菫子 あぁ 寝てる間に治療薬を投与されたみたいでな?起きたら治ってたよ」


菫子 「それならよかった!夜一が元気になってくれて!」


菫子 「それじゃケガが治ったお祝いとして…」カパッスゥ… 肩にぶら下げているカバンを開けて手を入れる


菫子 「はい!夜一の大好物 大きなコロッ〇パン!!」スッ


蒼野 「っ!! ありがとう菫子!これほんとに美味いから嬉しいよ!」スゥ… 菫子からパンを受け取ろうと…


菫子 「…」スゥー… 差し出したパンを後ろに戻して遠ざける


蒼野 「……えっと 菫子?」


菫子 「…ねぇ夜一 ちょっとお願いしたいことがあるんだけど いいかな?」


蒼野 「おねがい?なんだよ」


菫子 「………」キョロキョロ…


菫子 「…っん」///唇を突き出してキスを要求する


蒼野 「っ!? おっおいまて お前なにを…?」///カァァ


菫子 「見てわからない?夜一ならわかると思うんだけど」///


菫子 「パンが欲しければして?おねがい」///


蒼野 「…菫子 俺は好きな人が……」


菫子 「女子にここまでさせておいてそれはないんじゃない?ここで手を出さなかったら男としてすたるよ!」


蒼野 「っ…でも浮気になるだろ?いくら今はいないからって……」


菫子 「……だめ?」///ジッ…


蒼野 「ーっ……」///グッ…


蒼野 「(上目遣い…やめろ そんな目で見るな 断れなくなる……)」///フイッ


菫子 「…なら、また私からするよ?男として情けなくていいなら……」///ドキドキ…


蒼野 「…ほんとに、お前はずるいよ 俺の痛いところをついてくるの」///


蒼野 「(しかも菫子のことはきらいじゃない むしろ好きだからよけいに……)」///


菫子 「………」///モジモジ…


蒼野 「……わかったよ」///スゥ…


クイっ…


菫子 「ーっ!!」///ドキッ!! 顎クイされて顔を真っ赤にさせる


蒼野 「ーっ…この、悪ガキが」///スゥ…



チュッ…


菫子 「ーっ…」///キュッ…


菫子 「(よっよいちから…キス……っ)」///トローン…


蒼野 「っ…こっこれで いいよな?満足しただろ?(すっすみれこの唇…めっちゃやわらかかった……)」///スゥ…


蒼野 「これ以上はしないからな 満足したよな?」///


菫子 「………」///ボー…


蒼野 「…おっおい 菫子?これでいいんだよな?これ以上はしないからな」///アセアセ


菫子 「…うん だいじょうぶ ありがとう夜一 わたし…すごくうれしかった♡」///ウットリ


菫子 「もしかしたら断られるんじゃないかなって思ってたんだけど 夜一は男としてのプライドを捨てずにしてくれたことがすごくうれしいの♡」///


菫子 「夜一からしてもらえるなんて…もう一生ないと思う 今日のことはぜったい忘れないからね!」///ニコッ


蒼野 「…そっそうか 別に忘れてもいいよ(むしろ忘れてくれた方が次会ったとき 恥ずかしくならずに済むから忘れてくれ……)」///


菫子 「えへへ〜!!いやだよーだ!ぜったい忘れないもんね♪」///


蒼野 「…まったく 最近のこどもはわがままで困るよ……」///


菫子 「夜一も同世代じゃん わたしと変わらないよ!」


蒼野 「…ちくしょう お前に口で勝てる気しねぇ……」///


菫子 「わたしに口で勝てると思ったら大間違いだよ!なんたってわたしは成績優秀だからね!!」<( ¯﹀¯ )>


蒼野 「聞いたよその話し ほんと、頭いいやつと口で言い争いたくねぇな?」


菫子 「夜一だって頭いいじゃん こっちに来てから教師代行もやってるんでしょ?」


蒼野 「ほんとにたまにな?慧音さんが人里の警備を強化するときに教えられる人がいない時に選ばれるだけだ」


蒼野 「それに頭がよかったのも中学の頃の話しだ 現役高校生で成績優秀なお前と比べたら劣るよ」


菫子 「普通にわたしより頭いいような気がするけど…」


菫子 「…まぁいいか それじゃはい!約束のパンだよ!!」スッ


蒼野 「…なんか キスするためにパンを手に入れるっていやな感じだな 変な取引した気分だ」


菫子 「それは言わないで わたしも同じこと思ってたから…」


蒼野 「…まぁ、うん ありがとう あとで食べるよ」スゥ…ゴソッ パンを受け取って懐にしまう


菫子 「なるべく早めに食べてね?パンは賞味期限早いから」


蒼野 「わかってるよ なるべく早めに食べるよ」


菫子 「それならいいわ!ねぇ夜一 ケガが治ってるなら少し散歩しない?この近くだけでもいいから!」


蒼野 「散歩か?別に構わないけど」


菫子 「やったー!それじゃいこ?」


蒼野 「おう!」


ザッザッザッ…








迷いの竹林



ホー…ホー…


ザザァ…カサカサ…… 笹の葉が風でなびいて葉っぱどうしが擦り合う


蒼野 「…やっぱり夜の竹やぶは不気味だな?菫子の火がなければなにも見えねぇな」ザッザッザッ…


菫子 「一応スマホにライト着いてるけど スマホのライトじゃ心許ないもんね?」ボゥゥ… 空中に火を出して灯りを灯している


蒼野 「っえ ついてるのか?そんな機能」


菫子 「ついてるよ でもあんまり灯り強くないけどね」


蒼野 「…どうやって使うんだ?使い方ぐらいは覚えておきたい」スッ


菫子 「教えるよ まずスマホの電源つけて?」スゥ… 蒼野に渡してある携帯の画面を覗こうと近づいて…


蒼野 「あぁ 付けたぞ」ポチッ


菫子 「ーっ!?」///ボッ!! 蒼野の顔がすぐそこにあることに気づき顔を真っ赤にさせる


菫子 「(ちっちか…!!夜一のかおがすぐそこに……!!)」///ドキドキ


蒼野 「…? どうした?菫子 顔赤いぞ」


菫子 「っえ!?あっえと…その……」///カァァ


蒼野 「…っあ 顔が近いのか?わるい 少し離れるよ」スゥ…


菫子 「あっ…だめ!」///ガシッ 蒼野の腕を掴んで引き寄せる


蒼野 「っ! おっおい菫子」


菫子 「離れちゃダメ!もっと夜一と密着したい!!」///


蒼野 「いや密着したいって…」


菫子 「…だめ?」///ジッ…


蒼野 「ーっ…だから その目やめろっ!そういう目で頼み込むな!!」///


蒼野 「俺はそういう目にがてなんだよ!!ましてお前や彼女にそういう目で見られたら…断るものも断れねぇ!!」///


菫子 「知ってる だから上目遣いでお願いしてるんだよ?さっきもそうだけど、上目遣いでお願いしたら聞いてくれたもんね」///


菫子 「…ごめんね 卑怯なことして でも、これも戦略のひとつだよ?」///


蒼野 「いや戦略のひとつって…」


蒼野 「…はぁ わかったよ?多少密着する程度ならいいよ(さっきキスしたけど…)」


菫子 「わーい!ありがとー!!」///ギュー


蒼野 「(まったく…おれも甘いな?数少ない仲間がいることに自惚れてるのかな 菫子といい、他のやつにも甘くしちまう…)」ハァ…


蒼野 「(これ以上俺と関わらせないようにしたいのにそれができねぇ もし誰かが命を落としたり、一生消えない傷を負ったりしたら……)」


蒼野 「………」 ソレデネ?ライトヲツカイニハネ


菫子 「…? 夜一聞いてる?」


蒼野 「…っえ あっわるい 聞いてなかった もう一回いいか?」


菫子 「もう!ちゃんと聞いててよ?まずは上画面を下にスライドして」


蒼野 「上画面を下にスライド…?」


菫子 「こうだよ」スゥ-


蒼野 「あっそうか それで…この、ライトみたいなマークに斜め線がついてるやつか?」


菫子 「そう これをタッチすれば…」タンッ


スマホのライト 「」ペカー


蒼野 「あっこれが光るのか ずいぶん小さいな?こんな小さいのにけっこう明るいな」


菫子 「LEDだからね!それなりには明るいよ!」


蒼野 「へぇー?今のスマホってLEDが入ってるのか それは明るいわけだ」


蒼野 「…ちなみに、どのくらい持つんだ?このライトは」


菫子 「っえ え、えっと……」


菫子 「………。かなり持つよ!」

(๑•̀⌄ー́๑)b


蒼野 「わからないならわからないって言っていいよ 無理しなくても…」


菫子 「うぅ…ごめん」


蒼野 「でも明かりがあるのはありがたい この世界に電気がないから明かりが松明やロウソクぐらいしかなかったからな」


蒼野 「これなら夜遅くに外出ても見渡せるな?夜目が効くけど限度があるからな」タンッ


菫子 「役に立ちそうでよかったわ!」



…ガサッ


蒼野 「っ!」バッ すぐさま菫子を守るように手を出して前に出る


菫子 「っ!」



てゐ 「おっと?敵じゃないから安心しろウサ ちょっと様子を見てただけだウサ」ガサガサ…


蒼野 「てゐか おどろかすな?佐久間グループの奴らかと思ったよ」スゥ…


てゐ 「すまないウサ お前が病院から出るのを見かけたから様子を見に来たウサ」


てゐ 「いちおうあのヤブ医者から監視するように言われてるからなウサ 無理してるようなら半殺しにしてでも連れ戻せってなウサ」


蒼野 「容赦ないな…」


てゐ 「しょうがないだろウサ おまえよく無理してるんだからそのくらいしないと」


蒼野 「…なんも言い返せねぇ」


てゐ 「しかしお前たちがそういう関係だったとはねぇウサ?わかいねぇ」クスクス


菫子 「ーっな!?」///ボッ!!


蒼野 「別にそういう関係じゃねぇよ 少なくともお前が思ってるような関係じゃない」


てゐ 「隠さなくていいウサ もう分かってるからウサ?」


蒼野 「いやわかってないから…」


菫子 「ーっだ 誰にも言わないでくださいね!とくに閻魔様には…!!」///アワワワ…!!


てゐ 「えぇー?どうしようかなぁウサ」ニヤニヤ


蒼野 「やめないかバカタレ 菫子をいじめるな」バシッ


てゐ 「あだっ」


蒼野 「菫子もいちいち挑発に乗るな 別に弱みを握られるような事でもないし バラされたところですぐ誤解は解ける」


蒼野 「相手の思いどおりに動いてたら思うつぼだぞ?よく考えてから発言しろ」


菫子 「……夜一はいやなの?わたしと付き合ってるって情報が流れるの」シュン…


蒼野 「べつにいやじゃねぇよ てか、付き合ってもないのに落ち込むな」


蒼野 「…てかよ おまえ俺らに若いって言ったがお前も若いだろ?見た目的に…小学生か?」


てゐ 「妖怪は見た目じゃないウサよ わたしはお前らよりずっと年上だウサ」


蒼野 「そうなのか?ちなみになんさ…っんん!わるい 野暮なことを聞いたな」


てゐ 「ほんとだウサ 女性に年齢は聞くもんじゃないウサ」


てゐ 「ちなみにあのヤブ医者は何歳だと思うウサ?素直に言ってみなウサ」ニヤニヤ


蒼野 「今おまえ女性に年齢は聞くなって言ったばかりだろ…」


蒼野 「…見た感じだと20前半に見えるかな?不老不死は置いといて」


てゐ 「へぇー 不老不死は置いといて…ねぇ?」クスクス


蒼野 「そろそろそういう話をするのやめないか?まだ続けるなら…その減らず口 塞ぐぞ?」ゴキゴキッ


てゐ 「塞ぐ?…まさか おまえの唇で!?」バッ


菫子 「っえ!?」///


蒼野 「んなわけあるか!!なんで俺の口で塞ぐんだよ!普通に考えて手でだろ!」


てゐ 「いいや?わからないウサ 男はいやらしいことになるといろいろ考えるから 口では手と言ってるが実際には口でやるつもりじゃ…」


蒼野 「そうかそうかー?口でして欲しいのか おれ兎って食ったことなかったからどんな味するのか楽しみだなー?」

(╬^∀^)


てゐ 「わるかったウサ 私を見てどんな味がするとか言うなウサ シャレにならん…」ゾクッ


蒼野 「なら変なこと言うな 俺だってこういうこと言うのは嫌なんだから?」


蒼野 「…見張るならコソコソと頼む 堂々と見張られてるとちょっと…まぁ 雰囲気的にな?」


てゐ 「了解ウサ それじゃコソコソと見張らせて…」



ーッバサ!!


レミリア 「…こんばんは?閻魔の使いよ」バサッバサッ…


蒼野 「ーっ! だれだ!」スチャッ 刀に手を乗せて構える


菫子 「レミリアさん!なぜここに?」


蒼野 「っえ レミリア?」


てゐ 「おやおや これは紅魔館の主様じゃないかウサ 何用でここにウサ?」


レミリア 「今日はそこの人間に用があってきたの 咲夜が迷惑をかけたわね?」


レミリア 「もし時間があれば話がしたいのだけど こんな夜更けからでもいいかしら?」


蒼野 「…」


菫子 「…レミリアさん すみませんが夜一は今私と遊んでるのでお引き取りを……」


レミリア 「あら?ならあなたも来る?ふたりを歓迎するならいいかしら」


菫子 「…っえ」


てゐ 「ならついでに私もウサ こいつの監視を頼まれてるウサ」


レミリア 「いいわよ 監視なら仕方ないわね?その人間が無理をしてる話は聞いてるわ」


レミリア 「何度も無理しては入院する常連者とか?」クスッ


蒼野 「…それ、あの新聞屋の情報か?」


レミリア 「えぇ あなたのこと、大きく一面に載っていたわ 異変解決者、閻魔の使いおよび優しい殺人鬼とね?」


蒼野 「いらんことを…」ハァ…


菫子 「あはは…でも間違ってはないよね?」


蒼野 「優しいかと言われたらわからんが…まぁそれ以外は間違ってない」


レミリア 「それじゃあなたたちを我が紅魔館に案内するから着いてきなさい」


蒼野 「わかったよ いくぞ?みんな」


菫子 「はーい!」


てゐ 「わかったウサ」













紅魔館ー門番前



美鈴 「…っ! お嬢様!おかえりなさい あの人を連れてこれたようですね?」


レミリア 「えぇ 目当ての人間以外のお客さんも増えたけどね?」


美鈴 「賑やかでいいじゃないですか!」


美鈴 「…それと」チラッ


蒼野 「?」


美鈴 「…ケガはもう平気なんですか?数時間前まで大ケガをしてましたが」


蒼野 「もう平気だよ ケガはもう完全に完治してるよ!」


美鈴 「っえ?さっきまで大ケガをしていたのにですか?」


蒼野 「あぁ!先生の薬を使ってな すぐ治したんだ」


美鈴 「…っえ 永琳さんの薬って……」


蒼野 「察したようだな そういうことだ」


レミリア 「美鈴 早く門を開けてもらえないかしら?入れないのだけど」


美鈴 「あっはい!今開けます!」ガチャガチャ…


美鈴 「よいしょっと!…どうぞ!」ギィィ…


レミリア 「それじゃ入るわよ?着いてきなさい」


蒼野 「おう」


菫子 「おじゃましまーす!」


てゐ 「あいかわらずでかい城だウサ これは見応えがありそうだウサ」


レミリア 「…っあ そうだ?」


レミリア 「美鈴 紅茶の用意を任せてもいいかしら?咲夜はもう寝てるからたのむわ」


美鈴 「あれ?先程庭を歩いてましたが…」


レミリア 「…っえ」



キィンッ!!


咲夜 「おかえりなさいませお嬢様 紅茶の用意が出来ておりますのでどうぞ客室まで足をお運びください」


レミリア 「咲夜 あなた夜なのになぜ休んでないのかしら?夜は休みなさいと言ったでしょ」


咲夜 「私のことならだいじょうぶです 時間を止めて休んでますのでご心配なく」


レミリア 「そういう問題じゃ…」


咲夜 「蒼野 先程はごめんなさい でも反省はしてないわ」


蒼野 「いや反省しろよ」


咲夜 「それじゃ中へどうぞ 全員分の紅茶を用意してあるので」


菫子 「はーい!」


てゐ 「わたしはお茶のほうがいいウサ」


蒼野 「…」チラッ


咲夜 「…? なにかしら?」


蒼野 「…」ジッ…


レミリア 「? どうしたのかしら?」


蒼野 「…もう少し休んだ方がいいんじゃないか?若干だが 顔に疲れが出てるぞ」


咲夜 「っ!」ドキッ


レミリア 「あら あなたわかるの?」


蒼野 「だいたいな 余裕ぶってそうにしてる奴ほど顔に出やすい あんたあまり表情を変えないだろ?」


蒼野 「表情を変えにくいやつほどわかりやすいものだ 僅かな崩れを見抜くのはさほど難しくない」


咲夜 「…あなた なかなか厄介な方ね?新聞とかである程度の情報は知っていたけど」


蒼野 「相手の表情を読み取って動きを見抜くのは殺人鬼として身につけないといけないからな これを覚えられなくちゃ生きていけない」


蒼野 「頑張るのはいいけど館の主が休めって言ってるんだから休んだ方がいいんじゃないか?無理して倒れられても困るだろうしな」


咲夜 「…」


レミリア 「…咲夜 命令よ 休みなさい」


咲夜 「……わかりました では時間を止めて少し休んで…」


レミリア 「普通に休みなさい いいわね?」


咲夜 「………わかりました」


蒼野 「あっちなみに時間止めて寝ようとしてもムダだぞ?俺はお前の能力が効かないからな」


菫子 「っえ!?夜一 咲夜さんのタイムマジック効かないの!?」


蒼野 「あぁ 他のみんなは止まるけど俺だけは止まらないんだ 俺の能力が発動してるのかはわからないが」


てゐ 「化け物ウサね やっぱりお前は妖怪だったかウサ」


蒼野 「いや普通に人間だから…」


咲夜 「…」スゥ…



キィンッ!!


全員 「「」」咲夜の能力で全員時間が止まる


蒼野 「…なにしてんだ?咲夜 なんで時間を止めた?」


咲夜 「…あなた、少し調子に乗りすぎじゃない?お嬢様の前だからあえてなにも言わなかったけど」


咲夜 「わたしは自分の意思でお嬢様を見てるの だから部外者が口出ししないでくれるかしら」


蒼野 「でもお前の主は命令で休めって言ってきたじゃないか 時間を止めずに普通にと?」


蒼野 「それを無視しようとしてるのはどこのどいつだ 誰が言うまでもなくお前だろ」


蒼野 「ちがうか?メイドさんよ」


咲夜 「…」


蒼野 「…まぁいい 別に喧嘩を売ってるわけじゃない 俺はふつうに思ったことを言っただけだ」


蒼野 「もしそれでイラついたようなら謝るよ すまん」


咲夜 「……なんか、釈然としないわね 謝られても謝ってもらった気がしないわ」


蒼野 「じゃあどうしろと…」




…ははっ!!ずいぶんとおもしろいことになってるじゃないか



蒼野&咲夜 「「ーっ!!」」


? 「はっはー!キミの能力はずいぶんとおもしろいねぇ 時間を止めるなんて実におもしろい!」


? 「まぁこの俺様には効かないがな?同系統の相手には効かないようだからな!」ニヤリ


咲夜 「同系統…?まさか あなたも時間を!!」


蒼野 「誰だおまえ まさか佐久間グループのひとりか!」スー…スチャッ


? 「ははっ!!そうだ おまえが蒼野夜一か?初めましてだなー」


クロック 「俺はクロック 佐久間グループ新三幹部の下 すべての時間を操る者だ!!」キヒッ


蒼野 「新三幹部!?」


蒼野 「(こいつ 新しい幹部か!!前の幹部より強い奴らを用意したって言ってたが、まさかここで現れるとは!!)」


蒼野 「(しかも時間を操るとはまたやっかいな…咲夜の能力が効かないなんて)」


咲夜 「…あなたが佐久間グループの一員 しかも幹部なのね」スゥ…スチャッ 太ももにセットしていたナイフを取り出して構える


クロック 「おぉ!!なんとも美しい足!!興奮するねぇ?」ニヤニヤ


クロック 「もしお前を止められたら その生足を舐めてぇぐらいだ!しかもメイドさんだからよけいにそそるぜぇ?」グヘヘ


咲夜 「きもちわるい わるいけど貴方のような人間は論外よ むしろ殺してあげるわ!」シュンッ!! ナイフを投げて殺そうと…


クロック 「おそいよ」ヒュン…



ザッ!!スチャッ


咲夜 「ーっな!?」背後を突かれて首元にナイフを構えられる


蒼野 「咲夜!!」


クロック 「いいねぇ?その威勢 すごく興奮する!」スリスリ 咲夜の太ももを撫でるように触る


咲夜 「ーっこの!!」シュンッ!! 背後にいるクロックの首元にナイフを突きつけ…


クロック 「ムダムダ」ヒュン…ガバッ!!


咲夜 「ーっきゃあ!?」/// クロックにスカートをめくられてあらわになる


クロック 「っお!黒のバタフライパンツ!!エロっ!!」


咲夜 「〜っ死ねぇ!!」///ヒュンッ 再び首元にナイフを突きつけ…


クロック 「だから無駄だって言ってるだろ?」ヒュンッ…



ガブッ!!


咲夜 「いーっ!!」背後から首元を噛まれる


蒼野 「咲夜!!ーっこの!!」スチャッ


蒼野 「壱ノ太刀 瞬殺 かまいたち!!」ビュンッ!!


クロック 「おっと?そいつはさせないぜ」グイッ 咲夜を前に出して盾にする


蒼野 「(盾にしてきたか だけど予測済み!!)」スチャッ 壱ノ太刀から参ノ太刀に変える


蒼野 「参ノ太刀 抜剣 灯篭流し」ヒュンッ… 咲夜に刀を振るうが通り抜けて切られない


クロック 「…っえ(刀が…通り抜けた?)」


蒼野 「(背後をとった これなら!!)」スチャッ


蒼野 「オラァ!!」ヒュンッ!!


クロック 「あぶねっ!?」ビュンッ!!タタッ 異常な速度で横に身を投げて攻撃を避ける


蒼野 「ーっち!咲夜 だいじょうぶか!」


咲夜 「っ…え、えぇ 平気よ ただ噛まれただけで……」


ぐにゃぁ〜…


咲夜 「ーっ!!」グラッ…


蒼野 「咲夜!?」ガシッ よろける咲夜を支える


咲夜 「(…な、なに?急にめまいが……)」ハァ…ハァ…



クロック 「おやおやぁ?どうしたのかなー まさか俺様の毒に侵されたのかなー?」


蒼野 「…どく?」


クロック 「さっき俺に噛まれただろ?俺の歯には毒が仕込まれてんだ」


クロック 「トリカブトの毒って言えばわかるか?植物界の頂点って言われてる毒だよ!」ニヤッ


蒼野 「なにっ!?トリカブトの毒だと!!」


蒼野 「(じょうだんだろ!?トリカブトの毒はシャレにならないぞ!!)」


蒼野 「(アコニチン系アルカロイドは人体に3mg以上摂取すると死に至るって言われてる!!もしその量を咲夜の体内に入れられたとしたらーっ!!)」


クロック 「あーっと?ちなみに毒の量だが、そのメイドに入れた量はたったの1mgだ 致死量ではないよ」


クロック 「まぁ1mgでも体を動かすことはできなくなるけどな!致死量ではないにしろ致死性のある毒だから…」



蒼野 「ーっ!!」ガブッ!! クロックに噛まれた咲夜の首元を噛み付く


咲夜 「ーっ!!」ビクッ!!


クロック 「ーっな!?」


蒼野 「ーっ…!!」ヂュゥゥ…!!!! 噛まれた部分を思いっきり吸い上げて血を吸い上げる


蒼野 「(噛まれてから少し時間経ってるがまだ間に合うはず!!今からでも血を吸い上げれば!!)」ヂュゥゥ…


咲夜 「うっうぅ…!!」ズキズキ…


クロック 「…おいおまえ、まさか毒抜いてんのか?しかも口で?」


クロック 「バカなんじゃねぇか?おまえいくら血で薄まった毒だからって口に含んだら お前まで毒くらうぞ?」


クロック 「(まさかこいつ そんなバカなのか?俺はトリカブトの毒だって説明したのに…)」


クロック 「(でも親方様はこいつを要警戒しろと言ってた そんじゅそこらの殺し屋、組織の奴らとは比べ物にならないと真剣に言ってたんだぞ?)」


クロック 「(そんな奴が今自分の手で毒に侵されようとしてる…なぜ なぜ?)」


蒼野 「ーっ…っぺ!!」ビチャッ!!


蒼野 「…毒食らう?この俺が?」グシッ


蒼野 「バカ言ってんじゃねぇ 俺が毒食らうわけないだろ」


蒼野 「【だって俺には植物毒の抗体を持ってんだからな!!】」ニヤリ


クロック 「なにっ!?抗体持ってるだと!?」


蒼野 「あぁ 俺は過去に何度も植物毒を打ち込まれたことがあってな?そのせいで抗体が自然に出来ちまったみたいだ」


蒼野 「本来何年もかかるところを俺はたった数ヶ月で作ることが出来た 人間の体って不思議だよな?」


蒼野 「…まぁ その他の抗体は持ってねぇけどな 魚類の毒や動物の毒はあまり使われなかったみたいでな」


クロック 「(…なるほど だからトリカブトの毒だと説明しても吸い出したのか 抗体持ってるなら納得だ)」


クロック 「(毒の攻撃は喰らわないか…なら俺の能力を駆使するまでだ!)」スチャッ


蒼野 「…」チラッ


咲夜 「はぁ…はぁ……」ゼェ…ゼェ……


蒼野 「(…まだ動けるわけないよな トリカブトの毒を打ち込まれたんだから抜いてすぐ動けるわけないか)」


蒼野 「(となると咲夜を守りながらやらねぇとな せめて能力を切って欲しかったが…)」


蒼野 「(…いや これはあいつが使ってるのか?あいつも同系統と言ってたからおそらくあいつだな)」


蒼野 「(…でもひとつ解せないな なんであいつ、一瞬にして咲夜の背後にまわれた?)」


蒼野 「(俺の目でも追いつけなかった 俺は時間を止められても動けるから止めて背後に回ったはありえない)」


蒼野 「(しかも咲夜が時間を事前に止めてたからあいつも使ったとしても同じなはず ならどうやって…?)」


クロック 「いくぜ!!」シュンッ!! 一瞬にして蒼野の背後に回る


蒼野 「ーっ!!」


蒼野 「(やっぱり背後に!でも!!)」スチャッ


蒼野 「オラァ!!!!」シャンッ!!


クロック 「あぶねっ!?」ガキィンッ!!!! ナイフですぐさま防ぐ


蒼野 「ふんっ!!!!」ボスゥ!!


クロック 「ぐふぅっ!!!?」ゴフッ がら空きの腹に蹴りを入れられて飛ばされる


蒼野 「」ダンッ!! すぐさま蹴り飛ばしたクロックの元に駆け込む


クロック 「ーっち!」シュンッ!!…タタッ 一瞬にして蒼野から遠くへ距離をとる


蒼野 「(…またか 一瞬にして俺から距離をとったな)」スゥ…スチャッ


クロック 「(おいおいマジかよ!あいつ背後についた俺に攻撃してきただと!?)」


クロック 「(どんな反射神経してんだよ!!俺に攻撃できたやつは親方様と三幹部の上と中だけだぞ!!)」






佐久間 『クロック 蒼野の反射神経はずば抜けてる わたしはあの男以上の反射神経を持つやつは知らない』


佐久間 『お前は佐久間グループ新幹部の下を与えたものだ 私を失望させるなよ』






クロック 「(親方様が要警戒しろって言ってた理由がわかったよ こいつ、今まで殺してきた中でダントツで強い!!)」


クロック 「(しかも植物毒の抗体持ちとなると俺のお得意 ポイズンノックアウトができない 元気な状態で殺すのは久しぶりだ!!)」ニヤッ


クロック 「…おもしれぇ いいねぇいいねぇサイコウだねぇ!!こんなやつは初めてだっ!!」


クロック 「植物毒の抗体持ちなんて今まで見たことがねぇ!!どんな奴でも俺の前に立ちはだかったやつは毒に侵されて死んでったのに お前は生きてる!!」


クロック 「しかもだ!!俺の能力をも無効にするほどの反射神経を持ってるなんてすげぇよ!!お前マジですげぇよ!!」


蒼野 「…能力を無効にする?」


クロック 「あぁ!俺の能力は時間を止めることじゃねぇ 本当は速度を操る能力だ!!」


クロック 「この時間停止は無効石を使って効かなくしてるだけだ 嘘ついて悪かったな」


クロック 「俺はお前みたいなやつが現れるのを待ってたんだ!!毒も効かない 一瞬にして死なない!そんなやつを俺はずっと待ち望んでた!!」


クロック 「ただ殺すだけの殺し屋をやってた時と比べたら 今佐久間グループに入ってよかったと思った!!だってお前みたいなやつに出逢えたんだからな!?」


クロック 「オレは強いやつが好きなんだ!!強いヤツと戦って勝つのが俺の趣味!!決まり!!希望!!」


クロック 「強いヤツに勝ってこそ!真の殺し屋というもの!!お前は確実に俺よりもつよい!!」


クロック 「だから俺を殺す気で来いよ?そして俺に殺されろ!!俺もお前を殺す気でやるからよォ!!」


蒼野 「…おまえ、強者殺し趣味か また変わった趣味だな?」


クロック 「よう言われるぜぇ 強いやつと戦ってなにが楽しいんだって言われるよ?」


クロック 「でもよ 考えてみろよ?強いやつを倒して強者が決まるんだぜ?そう思うと心が踊らねぇか?」


クロック 「俺は自分より強いやつを何人も殺してきた!!その度に俺は強くなったと実感した!!」


クロック 「実感が湧く度に心が踊らされた!!胸が張り裂けそうな感じがした!!」


クロック 「そんな楽しいことがあるなんて知りもしなかった!だから俺は強者を殺し 自身の腕が上がったと実感を湧かせることが趣味となった!」


クロック 「俺よりもつよいお前を殺して さらに俺が強くなった実感を湧かせたいんだ!!だからたのしぃ殺し合いにしようぜ!!」スチャッ


蒼野 「…たのしい殺し合いねぇ」


蒼野 「……わるいけど 楽しい殺し合いにするのはムリだ やる前に断言しておく」


クロック 「…なに?」


蒼野 「おまえはそれで楽しいかもしれないが俺からしたら…」スゥ…


蒼野 「【まったくもって楽しくないからだ】」スチャッ


蒼野 「壱ノ太刀 風神 鎌鼬!!」ビュンッ!! 刀を思いっきり空振りさせてかまいたちを飛ばす


クロック 「ーっな!?」ヒュンッ!! 能力を駆使して飛ばされてきたかまいたちを瞬時に避ける


クロック 「(かまいたちを作って飛ばしてきただと!?こいつ、どんだけ刀振るの早いんだよ!!)」


クロック 「(…でも こういうやつほどやりがいがある!!こんな化け物みたいなやつを俺が殺せば…!!)」ニヤッ


蒼野 「いちいち笑ってんじゃねぇよ」スチャッ


蒼野 「弐ノ太刀 貫通 通刀斬!!」シュンッ!! 刀を突きつけてありえない速度で突き進む


クロック 「うぉっと!あぶねぇ すげぇ速度だ!!」ヒュンッ!! 能力を使いすぐさま横に移動して避ける


クロック 「だが速度なら負けないぜ!!うらァっ!!」シュンッ!! ナイフを蒼野の胸部に向けて突きつける


蒼野 「んなもん効くか!!」ガシッ!! 突きつけられたナイフを手で掴み受け止める


クロック 「っ!!(掴んで止め…!!)」


蒼野 「ふんっ!!」ヒュンッ!!


クロック 「おぉっと!!あぶねぇ」ヒュンッ!! ナイフから手を離して遠くに逃げる


蒼野 「ほら 返すぜ!!」ビュンッ!!!!


クロック 「サンキュー」パシッ


蒼野 「(…今のをすかさず取るか 回転させて投げたのに見えてたかのように取りやがった)」


蒼野 「(どうやら殺し屋としての腕は本物みたいだな 名乗ってるだけのことはある!)」スチャッ 闇の刀を構えて警戒をとる


クロック 「たのしいねぇ?やっぱり骨のあるやつと戦うのはたのしいよ!!」


クロック 「もっとたのしもぉぜぇ?蒼野夜一!!」シュンッ!! 蒼野の目の前に一瞬にして立ちはだかる


蒼野 「(今度は目の前…だが!)」スゥ…


蒼野 「ふんっ!!」ヒュンッ!!


クロック 「(かかった!!)」シュンッ!! 刀を振りかざしたと同時に蒼野の正面から背後に一瞬にしてまわる


蒼野 「っ!」


クロック 「ひひっ!振りかざしたから隙だらけだぜ!」


クロック 「オラァっ!!」ヒュンッ!!


蒼野 「…ふぅ」ポロッ…


蒼野 「」クルッ…ガシッ!! 刀から手を離して身体を回転させてクロックの振りかざしてきた腕を掴む


クロック 「ーっな!?」ギョッ


蒼野 「ーっしねぇ!!」シュンッ!! 指を突き立ててクロックの心臓部に目がけて刺そうと…


クロック 「(ヤバいっ!!)」ガシィッ!! 突きつけられた蒼野の腕を掴んでお互い片手が取られた状態になる


蒼野 「…」ググッ…


クロック 「っ…お前、ほんとにすごいな?まさか刀を捨ててまで掴んでくるとは」ググッ…


蒼野 「そうしないと止められなかったからな いくら相手が武器を持ってようとやられそうなら武器を捨ててでも止めるまでだ」


蒼野 「それにしても お前と俺は相性が最悪みたいだな?毒は喰らわない 能力を生かせられなくて動きを封じられる」


蒼野 「まぁでも 一応それなりの経験は積んでるみたいだな?毒で殺せなかった場合の接近戦術も様になってたし」


クロック 「…」ジリ…


蒼野 「」ピクッ



ダァンっ!!!!


クロック 「ぐぅぅっ!!」ミシミシッ 足を踏まれて完全に身動きを封じられる


蒼野 「…今、なにかしようとしたな?まぁだいたい予想は着くが」


蒼野 「この靴…仕込み靴だろ?踏んだ感じ もし胸ぐらとかをつかまれた時に上に毒針が出るような仕組みかな?」グリグリ…


蒼野 「ほんとに毒針使うの好きだな しかも俺には毒喰らわないと言ってるのにまだ使おうとするか?」ググッ…!!


クロック 「くぅぅ!!」ミシミシ…!!


クロック 「(まっまずい!!このままだとやられる!!はっはやく振りほどかしないとーっ!!)」グィッ!! 掴まれてる腕を後ろに引っ張り解こうとするが…


蒼野 「動くんじゃねぇよ」ググッ!!…



グシャァッ!!!!


クロック 「ガアァァッ!!!!」ズキィッ!! 掴まれてる腕を握りつぶされて激痛が走る


蒼野 「無駄な抵抗すんじゃねぇよ 楽に殺せねぇだろ?」


蒼野 「俺は苦しませながら殺すのは好きじゃないんだ 殺すならなるべく一撃で仕留めることを望んでるんだ」


蒼野 「だから楽になれよ 暴れないでよ?」スゥ…スチャッ 折った腕を離して懐にしまっている短刀を握る


クロック 「ーっく!!」スッ!!


蒼野 「はぁっ!!」シュンッ!!



ズバァァァッ!!!!


クロック 「ガアァアァァアァァァッ!!!!!!」ブシャーッ!!!! 折れた腕を盾にして喉に切りつけられた攻撃を防ぐが貫通して上腕から縦に真っ二つにされる


蒼野 「っ…おいおい 抵抗するなって言ってんだろ?抵抗したらうまく殺せねぇだろ」ビチャッ


蒼野 「しかも腕まっぷたつにしちまったよ さすがにここまでする気なかったぞ」


クロック 「ギィィッ!!!!ガァァー!!!!」ビクビク!!!!…


蒼野 「…痙攣も起こしたか これはもう死ぬな」スル… クロックから手を離して身動きを解放させる


クロック 「グゥゥ…ヴァァ……!!!!」ビクッ…ビクッ……


蒼野 「…苦しませずに殺したかったが仕方ない 悪く思うなよ?」ガシッ…スチャッ 懐刀を置いて落とした闇の刀を拾い上げる


蒼野 「じゃあな クロック」シュンッ!!



タンッ…パシンッ!!


蒼野 「っ!!」


? 「…ちょいと待ちな 蒼野よ」ググッ… 蒼野の振り下げた刀を真剣白刃取りで受け止める


蒼野 「ーっおまえはリキ!!やっぱりおまえもこっちの世界に!!」グググ… 刀を引き抜こうとするがビクともせず抜くことが出来ない


リキ 「っふ!その通りだ 地獄に落とされた俺を親方様は助けてくださったんだ 二度目のチャンスも授けてくれてな!」


蒼野 「ーっち!(ちくしょう!刀が抜けねぇ しかたねぇ…対魔剣で切るしか!!)」スゥ… 刀から片手離して対魔剣に手をかけようと…


リキ 「おっと それはやめてほしいな 無駄なケガなどはしたくない」タンッ!!…タタッ すかさず後ろに飛び跳ねて蒼野の攻撃を事前に避ける


蒼野 「…あいかわらず動きがはえぇな 俺の動きを読んでくるやつなんてお前ぐらいしかいないぞ?」


リキ 「そんなことはない 俺以外にも親方様もすぐ読むことができる あの方は天才だからな!」


蒼野 「…天才ねぇ」



クロック 「ウゥゥ…!!グギギ……!!!!」ビクッ…ビクッ…


リキ 「…まったく このバカにはあれほど、蒼野と戦うのは相性が悪すぎると伝えておいたのに」


リキ 「新三幹部の下に選ばれたから浮かれていたのだろう バカなやつだ」


蒼野 「…そいつをどうすんだ?始末するのか?」


リキ 「あいにくだがそれはできん これでも新三幹部のひとりに選ばれたものだ むやみやたらに始末はできんよ」


リキ 「ただ降格はさせてもらうがな このようなやつに新三幹部の下は預けられん」


蒼野 「…となると、お前が新しく下に入るのか?元々三幹部の上にいたお前が」


リキ 「それでもいいんだが、俺は一度お前にやられている やられているものは再び幹部にはなれん」


リキ 「それに幹部に選ばれず 俺より強い者がひとりいる 四番手として幹部の誰かがやられたら補助で用意していた者がな」


蒼野 「…お前より強いのか 俺はお前の実力を知ってるが相当なものだと思ってる」


蒼野 「お前以上に強いとなると…ほんとに達人クラスだぞ?暗殺や人を殺すことの」


リキ 「あぁ あいつは凄い、凄すぎる

俺を遥かに超える腕を持ち、能力も強い あんなやつ見た事がない」


リキ 「正直、なぜそのものを四番手にしてるかがわからない 俺的にはそいつが新三幹部の上に選ばれるべきだと思っている」


リキ 「…まぁ おそらくそういうのに興味がないから事前にやらないと言ったのだと思うがな ただ純粋に人を殺すことだけを好むやつだからな」


リキ 「しかもちょっと変わったヤツでな 弱者には興味なく、強者にしか興味を引かないんだ この男と一緒にな」


蒼野 「…強者のみにしか、な」



…ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!!!!


大剣 「」ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!!!! 蒼野に目掛けて大剣が横向きに回転して飛んでくる


蒼野 「っ!!」スッ!!…ドスゥ!!!! しゃがみこんで避けて、大剣は木に思いっきりぶっ刺さる


蒼野 「(だっ大剣!?なんでこんなものが飛んできた!?しかもかなり早い速度で飛んできたぞ!!)」


リキ 「なんだ 来てたのか 来てたなら言えよ」



…スゥゥ……


? 「…」スタッ どこからともなく、刺さった大剣の手を握る部分に直立して立っている


蒼野 「ーっ!? いっいつの間にそこに!?」


蒼野 「(物音や気配とかまったく感じなかったぞ!こいつ、どうやってそこに!?)」


? 「…小僧よ お主が我らの最強の敵と知られている者か?名は蒼野 夜一と聞いたが」


蒼野 「…お前らが俺のことを最強の敵と呼んでるかは知らないが蒼野夜一は俺だ」


? 「…ふむ お前が蒼野夜一か」


? 「御館様がその者とならいい勝負になると言っていた 年齢はかなりの若僧も聞いていたが…まさかここまで若いとはな」


? 「お主、ほんとに強いのか?我にはそう見えん」


リキ 「なら睨みを聞かせてみな そうすればわかるはずだ」


? 「…ふむ 試してみよう」スゥ…


? 「」ギンッ!!!!



ブワァッ!!!! ?の鋭い眼光が周囲全体的に降りかかる


蒼野 「ーっ!!」ゾクゥ!!


蒼野 「(なんつー眼光だ!!ただ睨みつけられただけで、ここまで気迫を出すとは…!!)」


蒼野 「(リキが頂点にしてもいいと言うだけのことはありそうだな …でもよ!)」ニヤッ


? 「っ!」


蒼野 「睨みだけで俺を倒せると思ったら大間違いだぜ?新人さんよ」


蒼野 「たしかにすげぇ眼光だな 思わず背中が凍りつきそうだったぜ」


蒼野 「でも残念だったな 俺はいろんなやつから睨みを聞かされて何度も殺されかけてきた 今さらそんなもの効かねぇよ!」ニヤリ


? 「………」


リキ 「…流石だな 蒼野夜一 あ奴の睨みをものともせずとは……」ブルッ…


蒼野 「…っえ」


蒼野 「(リキが震えてる…?嘘だろ?あいつが震えるなんてありえねぇぞ!!)」


蒼野 「(元とはいえ、仮にも三幹部の上だぞ!!あいつの実力も相当なものだ そんなやつが震えるなんて…!!)」


? 「…ふふ ふふふ…ふふふふふ!!」クククッ…


? 「あーっははははは!!ははははははっ!!!!」


蒼野 「っ!」


? 「くくくっ…まさか こんな小僧相手に喰らわぬとは予想外 全くもって予想外!!」


? 「おもしろい…おもしろい!!おもしろ過ぎるぞ!?蒼野夜一」ニタァ


? 「我の睨みつけを真に受けて震えなかったものは誰一人いない!お前以外、皆震え上がったのだ!!」


? 「このようなことは初めてだ!!我の睨みつけが聞かぬ相手がまだこの世に存在するなんて…!!」


? 「歓喜だ!我は嬉しすぎる また強いものと相手ができる!!強いものではなくては興味がない!!」


ソルト 「我が名はソルト!ソルト・ティオウルス・アイクトローズ!!」


ソルト 「世界の殺人鬼と呼ばれ 各国に恐れられている最強にして最悪の殺人鬼だ!!」


ソルト 「そしてお前は日本内で知れ渡っている殺人鬼 日本人なら誰もが知ってるほどの人物!」


ソルト 「多少の違いはあるものの お互い有名には違いない…いいぞ 最高だ!まさかお互い有名同士で戦うことができるなんて夢のようだ!!」


ソルト 「蒼野夜一 改めて自己紹介せよ 我はお主の口から名を聞きたい!」


蒼野 「…ほんと、変わったヤツだな?おまえ」


蒼野 「俺は蒼野夜一 日本国内で誰一人知らないものはいない冷酷非道の無差別殺人鬼だ!」


ソルト 「冷酷非道…?お主が?しかも無差別殺人鬼?」


蒼野 「あぁ 俺は相手が誰だろうがお構いなしに斬り殺していく無差別殺人鬼だと世間には広まっていたんだ」


蒼野 「実際は佐久間グループの一員の奴らしか殺してないのに…まぁ殺人鬼の時点で無差別だの冷酷だって言われても仕方ないけどな」


ソルト 「…なるほど お主結構な過去持ちのようだな その気持ち、我にもわかる」


ソルト 「おなじ殺人鬼ならなんらかの過去は持っていよう 人によって異なるがな」スゥ…ザザッ 大剣から下りて地面に足をつかせる


ソルト 「…お主と相手できて光栄だ!今ここでお主と戦うことができるなんて最高すぎる!」ググッ…ズボッ


ソルト 「さぁ始めよう!我の大剣 アブルソードの生贄になってもらう!!」スチャッ


蒼野 「そいつは嫌だな 生贄になるのは勘弁願いたいぜ」スチャッ 闇の刀を構えて戦闘態勢に入る


蒼野 「来い!今ここで蹴りをつけてやる!」


ソルト 「ふはははは!!行くぞーっ!!」ダッ!! 大剣を構えながら蒼野に突っ込んで…



…ーッシュン!!


ソルト 「っ!」キキキキィン!!!! 横から飛んできたナイフを大剣で全て受け止める



咲夜 「っ…これ以上、お嬢様の前で好き勝手はさせないわよ……?」フラ…スチャッ


蒼野 「咲夜!!」


リキ 「おや 娘もう動けるのか?いくら致死量ではないトリカブトの毒を摂取したと言っても猛毒には違いないのだぞ なのに動けるのか?」


ソルト 「汝よ 我はお主と戦う気などない 今目の前にいるこの者と戦うのだ!」


ソルト 「それに我は汝と戦うことはしない 邪魔はしないでくれ」


咲夜 「わるいけどそういうわけにはいかないわ 今あなたたちは停止してるお嬢様の前で戦いあってるのだから放っておくわけにはいかないわ」


咲夜 「それに佐久間グループはこの世界に住む住民を脅かしてるとも聞いてるわ そんなやつを野ざらしになんてできない!」


蒼野 「…咲夜……」


ソルト 「ふむ…我とこの者の決闘を邪魔するか ならば仕方あるまい」スゥ…


ソルト 「では邪魔者から排除するとしよう」スチャッ 大剣を咲夜に向けて構える


蒼野 「ーっな!?」


ソルト 「いくら汝とはいえ 決闘の邪魔されるのはいささかイラつく わるいが死んでもらう」ダンっ!!


咲夜 「(はやいっ!でも…)」スゥ… ナイフを飛ばそうと腕を持ち上げ…



グニャァ〜…


咲夜 「ーっ…」ヨロ… 視界が揺れて力が抜ける


咲夜 「(まずい…力が……)」


ソルト 「死ぬがいい!!」ブォンっ!! 咲夜の胴体に目掛けて大剣を振る…



蒼野 「…はぁ 少しは見込みのあるやつだと思ったんだが」ダンっ!!


蒼野 「」ザッ!! 一瞬にして咲夜の目の前に現れソルトの前に立ちはだかる


ソルト 「ーっな!?」


ソルト 「(この者、一瞬にして我の目の前に!?)」


蒼野 「二刀流 肆ノ太刀 刀崩し!!」ギンギィンッ!!!! 左下から右上に闇の刀と対魔剣を思いっきり振りアブルソードに傷つける



パキィンッ!!!!…


ソルト 「ぬぉぉっ!!!?あっアブルソードが、折れただと!?」


ソルト 「(バカなっ!!鉄を何重にも重ね付けしたアブルソードがたったの二回切られただけで!!)」


蒼野 「…お前なら正々堂々、一騎打ちでやってくれると思ったんだが……期待が外れたよ」スチャッ 二刀の刀を真上に持ち上げて構える


蒼野 「二刀流 時ノ太刀 零時 大刀剣!!」ザンッ!!!!


ソルト 「(まずいっ!!)」タンッ!! 横に身を投げて回避する



ズドォォォン!!!!!!


大量の木々 「「」」ガサガサガサガサ…ドスゥゥン!! 蒼野が刀を振った直線上の木々が大量に切れて倒れる


ソルト 「ーっな!?」


ソルト 「(ちょっ直線上の木々が伐採されただと!?こいつ、衝撃波を出すことができるのか!?)」


蒼野 「っち!避けられたか まぁいい」スゥ…


咲夜 「っ…」クラクラ…


蒼野 「咲夜だいじょうぶか?まだ毒抜けてないんだから無理するな」


蒼野 「あとの事は任せて今は休んでろ いいな?」


咲夜 「…でっでも……」ハァ…ハァ…



ソルト 「………」


ソルト 「(我のアブルソードを断ち切る者 衝撃波を出すことができる者…このような者、今まで見たことがない!!)」


ソルト 「(何者なんだこの者は!?まだ二十歳も越えん者がここまで強いとは…!!)」


リキ 「これでわかっただろう?あの者がどれほど強いのか」


リキ 「俺たちを一度滅ぼしたのだ 手を抜いたり、甘く見てるとやられるぞ」


ソルト 「………」



蒼野 「…お前なら正々堂々、一騎打ちしてくれるって思ったんだが…所詮、他の殺人鬼と一緒なんだな?」


蒼野 「邪魔されても手を出さず、まして女ならなおのこと 出さないと少し期待してたんだが…やっぱり期待するだけ無駄だったよ」


ソルト 「…」


蒼野 「…? おい 聞いてんのか?事実だからなにも言いかえせねぇってか?」


ソルト 「…汝に手を出そうとしたのと 深く謝罪する」


蒼野 「…っえ」


ソルト 「たしかにお主の言う通り 邪魔されたとしても、その者を殺していいことにはならない」


ソルト 「お主と一騎打ちをするために我は来たのに 邪魔されたことでイラつきを出してしまった 世界の殺人鬼として名が恥ずかしい」


ソルト 「汝よ すまない 手を出そうとしたこと深く謝罪する」


咲夜 「っ…この場から居なくなりなさい」


ソルト 「そうさせてもらう 剣が折れてしまっては我の本領を発揮できない」


ソルト 「蒼野夜一 今回は引かせてもらう お主ほどの腕を持った者とは正々堂々、本領発揮して戦いたい」


ソルト 「我はこの後、正式に幹部として採用してもらいに願う 最初は幹部などどうでもよかったのだがお主と相手するなら幹部になろうと思う!」


ソルト 「幹部になり次第、お主と一騎打ちしたい その申し入れを受け入れてもらえるか?」


蒼野 「…へぇ?世界の殺人鬼様が日本の殺人鬼に宣戦布告するとは おもしろいことするな」ニヤッ


蒼野 「なら俺からも言わせてもらう お前に所詮他の殺人鬼と一緒と言ったことを謝る」


蒼野 「失態を謝罪するやつはそんじゅそこらの殺人鬼とは言わない 申しわけない」


ソルト 「構わん 我のしたことはそこらの殺人鬼と一緒のこと 違いはない」


蒼野 「そうか なら改めてその宣戦布告、受け入れよう!お前が幹部になって俺の前に現れたときは正々堂々、一騎打ちで全力を出して戦いたい!」


ソルト 「宣告成立!たしかに聞いた!」


リキ 「話がまとまったようだな?蒼野 これを」ポイッ


蒼野 「っ! これは?」パシッ


リキ 「解毒剤だ このバカが使ったトリカブトの解毒液だ 飲み薬だから飲ませればすぐ効くだろう」


蒼野 「…本物か?」ジッ


リキ 「俺が嘘をつくとでも?」


蒼野 「思わない お前もソルトと一緒で嘘をつかないしバカ真面目だと判断してる」


リキ 「ーっははは!!そのとおり 俺はど正直でバカ真面目だ!お前と一緒でな?蒼野」


蒼野 「褒め言葉として受け取っておくよ 咲夜飲めるか?」


咲夜 「っ…ほんとに、ほんものなの……?」ハァ…ハァ…


蒼野 「安心しろ 敵だがあいつは信用できる 俺が保証する」キュポッスッ…


咲夜 「…わかったわ」ツカミッ…ゴクッ


リキ 「あっ言い忘れてたが 飲んだらすぐ効くが眠たくなるからそれだけは気をつけてくれ」


蒼野 「飲む前に言えよ!!」


咲夜 「ーっ…」フラァ…


蒼野 「…ーっと!」ポスッ


咲夜 「ふぅ…ふぅ……」スゥ…スゥ…


蒼野 「…ほんとにすぐ寝たな」


リキ 「即効性だからな だがすぐ良くなる」


リキ 「それじゃ行くぞソルト お前を幹部に招待してやる」


ソルト 「すまないが頼む 我は一度断っているからな 仲介人がいると助かる」


ソルト 「では蒼野よ 幹部になり次第、お主の元に再び現れよう!その時こそ お互い正々堂々と戦うときだ!」


蒼野 「あぁ!楽しみに待ってるよ お前と戦える日をな!」


ソルト 「ではさらばだ!」スゥ…


リキ 「蒼野 また会いに来るぞ!」スゥ…



シュゥゥ…… ふたりはその場から物音も出さずに姿を消す



蒼野 「…」


蒼野 「…はぁ 変な約束しちまったなぁ?殺し合うために約束するとか変だろ」ハァ…


蒼野 「まぁでも、あいつと一騎打ちするのはいやじゃないな むしろ早く相手したくてたまんねぇな?」ニヤッ


蒼野 「あんなにも真面目なやつはすくねぇからな やっぱり正々堂々と戦う方が好きだ!」


蒼野 「楽しみにしてるぞ?ソルト」


蒼野 「……てか、未だに時間が止まったままなんだが 咲夜寝てる状態でも時間止めることできるのかよ…」


蒼野 「解除してほしいが無理に起こすわけにもいかないしな ならどうすれば…」ウーン…


蒼野 「………」


蒼野 「(俺は能力で時間停止を食らってないみたいだが もしかしたら咲夜の能力、操れるのか?)」


蒼野 「…ちょっとやってみるか」スゥ…ピトッ 咲夜の頬に触れて能力が操れるかを確かめる


蒼野 「(能力解除)」



キィンッ!!


レミリア 「ならあなたに見張ってもらった方が効果的……って なにこれ?」


菫子 「なにこれ!?なんかめちゃくちゃ荒れてるんだけど!!」


てゐ 「しかも血溜まりもあるウサ…なにが起きた?」


美鈴 「地面がえぐれてるーっ!!」

(o゚□゚)o



蒼野 「…どうやら思った通りみたいだったな 咲夜の能力も操れるみたいだな」


蒼野 「(まだまだわかんないことだらけだなこの能力 結界はもちろんだが咲夜の時間止める能力まで操れるとは…)」


蒼野 「(操れるのは結界だけじゃないなら あと他になにが操れるんだ?もう少し調べてみないとな)」


レミリア 「…蒼野 一体何が起きたの?咲夜も体調悪そうに寝てるけど」


蒼野 「ぜんぶ話すよ 咲夜が時間止めてる間に何があったか」


蒼野 「ただ説明すると長くなるから立ち話だと疲れる 話すなら座りながら話したいんだが?」


レミリア 「…わかったわ 美鈴 咲夜を部屋まで運んであげて」


美鈴 「はい!」













客間



レミリア 「…なるほど 時間止めてる間に佐久間グループに襲われてたのね」カタッ


蒼野 「あぁ 咲夜はトリカブトの毒にやられちまって今の状態にいる 解毒剤は飲ませてるからすぐ治ると思うが…」


菫子 「私たちが止まってる間にそんなことが起きてたなんて…」


てゐ 「おどろきだウサ」


美鈴 「…それで、結局その佐久間グループは帰ってったんですか?」


蒼野 「あぁ また俺のところに来ると言って帰ったよ むしろ帰ってもらえてよかったけどな」


蒼野 「みんなが止まってる状態で、しかも止まってるから避けることも攻撃することもできない状態だったからあの場で帰ってもらえなかったらみんなまで巻き込んでたかもしれない」


蒼野 「それだけは避けたからったから助かったよ いくら始末対象とはいえ、周りに被害出すことはしたくないからな」


蒼野 「俺のせいで誰かが死んだりなんてしたら……それこそ、重大責任だ それだけは絶対あっちゃいけない」


レミリア 「……真面目ね?あなた 話に聞いてた通り、超がつくほど大真面目だわ」


レミリア 「まぁでも そのおかげで私たちは助かったことには違いないわね 礼を言うわ」


蒼野 「別に礼を言われるようなことはしてない 当たり前のことをしただけだ」


レミリア 「ホントまじめね…そういうときは普通にどういたしましてと言えばいいのよ」


蒼野 「いや 現に俺自身のためにやったことだから…」


レミリア 「………」


美鈴 「…わたしは素直で真面目な方好きですよ?しかも強くて優しいですし!」


レミリア 「…いやめんどくさくない?さすがにここまで真面目すぎると」


菫子 「あはは…それは私も同意します 夜一は真面目過ぎますよね」


てゐ 「病院にいたときもものすごく真面目だったウサ 主にトイレの時とか…」


蒼野 「てゐ 紅茶飲んでるときに下品なこと言うのはやめろ」


てゐ 「すまんウサ」


蒼野 「…まぁ俺がバカ真面目なのは否定しない 現に自分でもそう思ってる」


全員 「「(あっそれ自分で言うんだ……)」」


蒼野 「それで俺と話しがしたいって言ってたが 具体的になんの話をしたいんだ?」


レミリア 「簡単な話しよ 主にあなたのことを聞かせてくれればいいわ」


レミリア 「いくつか質問するからそれを答えてちょうだい いいわね?」


蒼野 「話せる範囲でいいなら」


レミリア 「それじゃまずは…」



ーッバタン!!!!


フラン 「お姉さまー!お客さんが来てるってメイド妖精から聞いたんだけど!」


レミリア 「フラン!?あなた夜は寝なさいと…」


菫子 「あっ…やばい 夜一逃げた方がいいかも」


蒼野 「っえ …なんで?」



フラン 「あれ?めずらしい 人間がふたりもいるなんて」タッタッタッ…


フラン 「ねぇねぇ あなたはだれ?私はフランドール・スカーレット!」


蒼野 「俺か?俺は蒼野夜一 よろしくな!」


フラン 「よいち…?よいちって 新聞に載ってた人間の殺人鬼?」


蒼野 「あぁ でも関係ないやつは殺さないけどな あくまでも佐久間グループってやつだけを対象としてる」


フラン 「あっ 知ってるー!この世界で悪いことをしてる人達でしょ?いろんな人を困らせてるって新聞に書いてあったー!」


フラン 「あなたはその人たちを殺してるんだよね?」


蒼野 「あぁ 俺の使命とも言えるからな」


フラン 「てことは強いの?」


蒼野 「強くはないよ 素人が刀を持っただけのそんじゅそこらにいる殺人鬼と変わらない」


フラン 「でも新聞には人類最強って書いてあったよ?人間の化け物だって」


蒼野 「それはあの新聞屋が勝手に書いたでっち上げの情報だ 刀を持っただけの人殺しが強いわけないだろ?」


フラン 「でもお姉さまも興味湧いてるって聞いたし…やっぱり強いんだよね?」


蒼野 「いやだから 強くはないって…」


レミリア 「…フラン 大人しく部屋に戻りなさい」


フラン 「いや!久々のお客さんなのに部屋なんかに居たくない!わたしも遊びたい!」


レミリア 「遊びで呼んだわけじゃないわ いいからおとなしく…」


蒼野 「…なんだったら少しあそぶか?俺は別にいいけど」


フラン 「いいの!?」

.。.:*・'(*°∇°*)'・*:.。.


菫子 「夜一!?ダメっフランちゃんとあそぶと危ないよ!!」


蒼野 「だいじょうぶだよ 小さい子と遊ぶのは慣れてる まして遥と同じくらいの女の子ならな?」


レミリア 「待ちなさい!人間の少女と比べたらシャレにならないわ!フランはなにがなんでもぶっこわすの!!」


てゐ 「しかも情緒不安定だからいつ切れるかわからんぞウサ」


蒼野 「…っえ」


フラン 「あははっ!それじゃ外行って遊びましょ!今は夜だから外で遊べるわ!」(^^♪


蒼野 「っえ あっえと…ちょっとまて」


フラン 「? なーに?」


蒼野 「…おまえ、なにがなんでもこわすのか?さすがに壊されるのはごめんなんだが」


フラン 「んー…たぶん大丈夫だと思うよ?私が暴れなければ」


蒼野 「気まぐれかよ!しかも暴れなければって…」


フラン 「……いや?」シュン…


蒼野 「……暴れないと約束してくれるならいいぞ」


フラン 「…なるべくしてみる」


蒼野 「な、なるべくか…うん わかった それじゃなるべく暴れないでくれ」


フラン 「うん!がんばってみるね!」


蒼野 「レミリア 悪いが少しフランと遊んでくるから話しはもう少し待っててくれ」カタッ


レミリア 「ちょっ!?あなた本気で言ってるの?遊んでるうちに本気になるわよその子!」


蒼野 「そしたら全力で避けるまでだ なんとかなるだろ?それじゃ行くか」


フラン 「うん!」


タッタッタッ…



レミリア 「………」


美鈴 「…行っちゃいましたね フラン様とあそびに」


菫子 「だいじょうぶかな?バラバラにされなければいいけど…」


てゐ 「…だいじょうぶじゃないかうさ あいつ不老不死だし」


菫子 「いや不老不死じゃないから…」








中庭



フラン 「あははー!まてまてー!!」パタパタ…


蒼野 「ほーら!捕まえてみな 捕まえられるならな!」タッタッタッ…


フラン 「捕まえてやるー♪」パタパタ…


蒼野 「(…うん 普通に遊ぶ分に関してはなんも警戒しなくてよさそうだな そこまで危険って感じしないし)」


蒼野 「(情緒不安定って言ってたが…そんな風には見えないけどなぁ なにかの弾みで表すのか?)」


蒼野 「(…まぁ 一応警戒しておくか あまり警戒しなくていいと思うが)」


フラン 「わーい!捕まえたー♪」ガバッ


蒼野 「おっと!捕まっちったか 早いなー?」ポンッ


フラン 「えへへー!いつも美鈴と遊んでるから早くなったんだよ!」


蒼野 「そうか いつも遊んでるのか それなら早くて当然だな!」ナデナデ


フラン 「ふみゅぅ〜♪」///


蒼野 「(やっぱり子供だな 扱い方は遥と同じくらいだな 種族は違くても所詮は子供)」


蒼野 「(これなら安心して遊べるな もう少し遊んだらレミリアのところに戻って…)」


フラン 「…ねぇお兄さま」


蒼野 「…っえ お兄さま?」


フラン 「うん!名前で呼ぶよりそっちの方が呼びやすいからお兄さまって呼んだの!」


フラン 「いいでしょ?お兄さまでも」


蒼野 「それは構わないが…」


フラン 「やったー!それじゃもっとあそぼ!お兄さま♪」


蒼野 「あぁ いいぞ!次はなにして遊ぶんだ?(お兄さまか…あまり、どころか呼び慣れてない名前で呼ばれるとわかんないな)」


蒼野 「(まぁそのうち慣れるだろ?慣れるまでには時間かかると思うが…)」


フラン 「えっとねー それじゃ次は【お医者さんごっこやりたーい!】」


蒼野 「………。っえ?」


フラン 「最初はフランが患者さんやるからお兄さまはお医者さんやって!」


フラン 「ここだとあれだから…そうだ!わたしの部屋でやろー!」ガシッ


蒼野 「いやちょっまぁぁ!?」グイッ!!


フラン 「はやくはやくー!」タッタッタッ…


蒼野 「いやいやちょっとまて!!(力つよっ!!気抜いてたら一瞬にして持っていかれる!)」グッ!!


フラン 「ん?なーに」(・・ )?


蒼野 「さすがにそれはまずい お医者さんごっこはまずいから!!」


フラン 「なんでー?」( ˙ㅿ˙ )


蒼野 「いやなんでって…俺は男だぞ?しかも俺が医者役って」


フラン 「それがどうかしたの?」


蒼野 「いやどうかしたのって…あぁそうか まだ小さい子だからわかんねぇか」


フラン 「?」


蒼野 「…まぁとにかくだ お医者さんごっこはダメとして、べつの遊びにしような?」


フラン 「えぇー お医者さんごっこがいーい!フラン患者さんやりたーい!」


蒼野 「べつの遊びならなんでもいいから!お医者さんごっこだけはやめてくれ(俺を性犯罪者にしないでくれ…)」


フラン 「ぶー!じゃあかくれんぼ」

(。˘•ε•˘。)


蒼野 「かくれんぼならいいよ!それじゃ俺が鬼やるからフランは隠れていいぞ」


フラン 「うん!それじゃかくれるねー」タッタッタッ…


蒼野 「あんまり遠いところに隠れのはダメだからなー?」


フラン 「はーい♪」タッタッタッ…


蒼野 「…はぁ 助かった もう少しで性犯罪者になるところだった」フゥ…


蒼野 「16歳の少年がロリコンで手を出して逮捕されるなんて今まで聞いたことがない それだけは絶対にしたくねぇ……」


蒼野 「…いやでも、16歳ならロリコンにはならないか?年齢的にはアウトだが」


蒼野 「……まぁしないからいいか 早く数えるか」


蒼野 「いーち、にーぃ、さーん…」













数時間後…



客間



菫子 「それでですね 夜一はここでこういう行動を取ってですね!」ペラペラ


レミリア 「へぇ あの人間なかなかやるじゃない?それはすごいわ」


てゐ 「てかもう人間じゃないうさ あいかわらず人間離れしてるなうさ」


美鈴 「あはは…ですね 話しを聞く限りではぜんぶ人間離れしてますね」


美鈴 「…しかし、あの方は無事でしょうか?フラン様とお遊びしてから時間経ちますが」


レミリア 「たぶん今のところは平気よ 爆発音や奇声が聞こえてこないからまだ暴れてないわ」


菫子 「いやまだって…」


てゐ 「(これで大ケガとかしたら…私のせいなのか?ずっと見張ってなかったから私のせいにされそうだな あのヤブ医者に)」


美鈴 「……様子を伺ってきてもよろしいでしょうか?」


レミリア 「いいわよ そろそろこっちに来て話したいから連れてきてちょうだい」


美鈴 「わかりました!それでは行ってきます」タッタッタッ…


レミリア 「あとフランに部屋に戻るよう言っておきなさい もう寝る時間だってね」


美鈴 「了解です!」ガチャッ


パタンっ…
















フラン 「ふふーん!お兄さまの居場所なんて丸わかりなんだから!」(☆∀☆)キラーン


フラン 「お兄さまはー…ここだ!」ガバッ!!


蒼野 「っと!見つかっちったか バレないと思ったんだけどな?」ガサッ 草木の中に隠れているのをフランにバレて捕まる


フラン 「へへーん!お兄さま隠れるの下手すぎるよ 頭が出てるんだもんバレるよ」


蒼野 「頭が出てたか そりゃバレるな」


蒼野 「フランは見つけるの上手いな 降参だよ」ナデナデ


フラン 「えへへ〜♡」///


蒼野 「(…そろそろ切り上げてレミリアのところに行くか これ以上待たせるのも悪いし)」


蒼野 「フラン そろそろ俺…」



…ポツッ


蒼野 「…っん?」


フラン 「? どうしたの?」



ポツポツっ…ポツポツっ……


蒼野 「…雨か まだ振り始めだから強くない 早く中に戻るぞ」


フラン 「……あめ?」


蒼野 「? どうした?そんな不思議そうな顔して」


フラン 「…おかしいわ この辺はパチェが魔法かけて雨降らないようにしてるのに なんで雨が降ってるの?」


蒼野 「……っえ」



ザァー……



…雨は振られ、雨降られ 濡れては滴る、いい男……



蒼野 「ーっ!」バッ!! フランの前に出て守るように手を伸ばす


フラン 「っ!」



雨は濡れ、人は濡れ、妖怪は濡れ…吸血鬼も濡れ……滴る 水の音



雨に濡れるは良き汗に似り、気持ちよいかと思いけり



…だが、その雨は不幸の源と化す あなたの過去 思いだしけり……



蒼野 「だれだ!どこにいる 隠れてないで出てこい!!」



雨は僕の味方…誰にも邪魔させない




? 「…邪魔させないよ 蒼野夜一」スゥ… 雨に紛れて飛んで姿を現す



蒼野 「…だれだ お前みたいなやつ、過去に見た事ないが?」スゥー…スチャッ


? 「だれ?それは聞く必要があることかな 雨は降ってるんだから名乗る必要なんてない」ザァー…


蒼野 「あぁ?お前なに言って…」



フラン 「ーっ…」ガクンッ…バタッ 急に地面に膝をつかせて倒れ込む


蒼野 「…っえ フラン!?」ガバッ


フラン 「っ…お、おにぃ さま……」ハァ…ハァ…


蒼野 「どうした!一体なにが…っ!」ハッ


蒼野 「(そういえば吸血鬼って雨ダメだったか?流れる水近くに行くのはダメだとは聞いたことあるが…)」


蒼野 「(となるとまずいな 急いでフランを屋根のある所に連れていかないと!)」ヒョイッ フランを持ち上げて屋根のある所に走ろうと…



? 「させないよ」スゥ…


? 「【レイン・トルネード!!】」



雨つぶの竜巻 「」ザバァァァンッ!!!!!! 雨粒の竜巻が蒼野に目がけて横向きな軌道で襲いかかる


蒼野 「っ!!」タンッ!!ザバァァァン!!!!!!… 横に身を投げて竜巻を避ける


蒼野 「(なんだあれ!?魔法か?すげぇ軌道で竜巻が向かってきたぞ!)」


蒼野 「(あんなの食らったらフランが死ぬ!!ぜったいに当たるわけにはいかない!)」



? 「…避けたか まぁそうだよね あのくらいじゃ避けれるよね」


? 「それで、今の技で僕の名前はわかったかな?もう名乗る必要もないと思うけど」


蒼野 「しつけぇな!!だからてめぇの名前なんざわかるかってんだよ!!」


蒼野 「なんだ まさかレインなんて言わねぇだろうな?自分の技名に付けてたが」


レイン 「その通りだよ 僕はレイン 雨を好み、雨を操る能力を使う者だ」


レイン 「だから最初に雨が降ってるからわかるよねと言ったのに…物わかりの悪い人だよ」


蒼野 「わかるか!!普通に名乗れアホ!!」


フラン 「っ…っ……」ハァ…ハァ……


蒼野 「…フラン だいじょうぶか?」


フラン 「……うん まだ…へいきっ」ガクガク…


蒼野 「もう少し待ってろよ すぐに片付けるから!」


フラン 「……っ」コクンッ



レイン 「…スコール」



ザザァーッ!!!!!!


蒼野 「ーっ!!」ザバァーッ!!!!!! スコール並の大雨が蒼野たちに襲いかかる


蒼野 「(まずいっ!!フランが!!)」ガバッ!! フランに雨が当たらないよう身体を屋根にして覆い被さる


フラン 「ーっお兄さま…!!」


レイン 「やっぱり優しいんだね?きみ 話に聞いた通りだよ」


レイン 「殺人鬼なのに優しいなんてどうかしてるよ 殺人鬼なのにね」スゥ…


レイン 「【レイン・ボール】」ボゥンッ!!!!


蒼野 「ーっち!(片手で使えるか!?いややるしかねぇ!!)」スチャッ


蒼野 「参ノ太刀ー抜剣 水路促し!!」シュン… 上段左上構えから刀を水の玉にゆっくり切りつける


蒼野 「ーっふん!!」グイッ!!



バシャァンッ!!!!…ビシャァン 水の玉を弾き飛ばし軌道を変え地面に受け流す


レイン 「っ!」


蒼野 「…フランはやらせねぇぞ 絶対にな」ザァー…


蒼野 「こんな小さい子を狙うたァいい度胸してんじゃねぇか てめぇはぜってぇ許さねぇ!」ギロッ!!


レイン 「…別に許さなくていいよ どうでもいい」


レイン 「今から殺されるやつのことなんかどうでもいい 許す許さない関係ないからな」


蒼野 「あぁそうか なら殺してやるよ 楽に死ねると思うなよ?」ニヤッ


レイン 「やってみなよ 落ちこぼれ」



…神槍 スピア・ザ・グングニル



レイン 「っ!」スゥ… 雨に溶け込んで姿を消す



ズドォォォンッ!!!!!! レインがいた場所に槍が飛んできて地面をえぐり突き刺さる


蒼野 「ーっな!?」


蒼野 「(やっやり!?しかも熱っ!!雨降ってるのに燃えてる!?一体誰が…)」



レミリア 「…外したか 次は当てるわ」バサッバサッ…


菫子 「雨濡れさせないようにするのってけっこう難しいわね 範囲的に超能力使わないといけないから」フワー…


美鈴 「蒼野さん!妹様!」


蒼野 「レミリア 菫子 美鈴!!」スタッ


レミリア 「蒼野 フランは無事かしら?」


蒼野 「…なんとかな 一応すぐに身体使って屋根がわりにしたがいくらかは当たってる」


蒼野 「どのくらいで吸血鬼は死ぬのかわからないが見た感じ死にかけてはない 苦しんでるだけで…」


レミリア 「…フラン 生きてるなら返事しなさい」


フラン 「…っ ……お、ねぇ…さま」ハァ…ハァ…


レミリア 「よかった…生きてたわね 死んでなくてよかったわ」


レミリア 「美鈴 フランを安全なところまで運びなさい」


美鈴 「はい!」タッタッタッ…


レミリア 「菫子 蒼野たちのまわりの雨も弾いて」


菫子 「はい!」ヒューッ!!



美鈴 「蒼野さん 妹様をお預かりします」


蒼野 「あぁ 悪いがたのむ」スゥ…ポスッ フランを抱き抱えて美鈴に渡す


フラン 「…おにい、さま……」ハァ…ハァ…


蒼野 「…元気になったらまた遊んでやるからな?それまでゆっくり休んでろ」


フラン 「っ…うん やくそくよ?」


蒼野 「あぁ!」


美鈴 「…すみませんがあとはお願いします」


蒼野 「任せとけ 必ずあいつを始末する!」


美鈴 「たのもしいですね では!」


タッタッタッ…



蒼野 「…さてと 待たせたな?クズ野郎 よくも関係ないやつにまで危害を加えようとしたな」スチャッ


蒼野 「ましてあんな小さい子相手に殺す気で来やがって…痛みつけて殺してやるよ!」



…やってみろ 僕は死なないから


レイン 「僕は雨のように身体をバラバラにできるんだ 君の刀攻撃なんか効かないよ」スゥ…パシャッ 姿を現して地面に足をつける


菫子 「っえ!?あなたも超人系(パラミシア)の能力を使えるの!?」


レミリア 「超人系…?」


レイン 「ぱ、パラミシア…?えと、君がなにを言ってるかわからないけど とにかく僕には効かない」


レイン 「そして先ほどの炎の槍と僕は雨を操るから相性が悪い そこの吸血鬼も最悪だね」


レミリア 「あら なら水をも蒸発させるほどの熱さでやればいいだけよ 簡単なことよ」


レイン 「やってみな できるならね」


蒼野 「…そうか できるならやっていいのか?」ニヤッ


レイン 「…っえ」


蒼野 「菫子 俺のところだけ雨を降らせてくれ レミリアのところは解除しないで」


菫子 「っえ な、なんで?」


蒼野 「雨の日しか使えない技があるんだ それならあいつを倒せる!」


菫子 「…そんなのあるの?わかった!」スゥ…



ザァー… かなり強めの雨が蒼野の真上から降り注ぐ


蒼野 「…よしこれで使えるな!」スチャッ


レイン 「一体何をする気だ?雨の日しか使えない技なんて…そんなのあるのか?」


蒼野 「あぁ 俺のオリジナルだがあるんだよ!雨は俺も好きだからな 覚えるのに一苦労したんだよ」


蒼野 「いくぜ!」スゥ… 闇の刀を真横に手を伸ばして構える


レイン 「?」


レイン 「(なんだあの構え 真横に刀を構えた…?)」


レイン 「(あんな構えは見た事がない オリジナルと言ってたが一体どんな攻撃だ?)」



ザァー…


蒼野 「…雨ノ太刀 水龍 渦潮!!」グルンっ!!


蒼野 「」ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!!!!!!… その場で刀を構えながら回転して徐々に勢いを増させていく



雨 「」ザァー……グググッ 雨の軌道が徐々に変わり始め、刀を回す蒼野の方向へと落ちていき 周りに水のリングが出来ていく



レイン 「ーっな!?バッバカな 刀をぶん回して雨を集めてるだと!!?」


レイン 「(じょうだんだろ!?雨を集めるなんて普通の人間が出来るわけがない!!)」


レイン 「(しかも俺みたいに能力を使ってないのに…やっぱりこいつ、化け物だ!!)」ゾクッ



菫子 「…すっすごい 雨を集めて水のリングができてる」唖然


レミリア 「へぇ やるじゃない?たった刀一本で雨を操ることができるなんて」


レミリア 「もしあいつが敵だったら恐ろしいわね 敵じゃなくてよかったわ」



蒼野 「」ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!!!!!!


蒼野 「(よし これくらい集まればいける!あとは狙いを定めれば)」ヒュンヒュンヒュンヒュン!!!!!!


蒼野 「ーっオラァ!!」ヒュンっ!!!!



雨の激流 「」ザバァァァッ!!!!!! 集めていた雨を一気に放射させてレインの元に勢いよく飛んでいく


レイン 「(まずいっ!!)」スゥ… すぐさま体を雨と化して攻撃を逃れようと…



ザバァァァッ!!!!!!


レイン 「うおぉぉぉーっ!!!!!?」バシャァァァッ!!!!!!


レイン 「(なっなぜ 攻撃が透き通らない!!?雨に化けたはずなのに…!!)」


レイン 「ぐわぁぁぁっ!!!!!!」ザァアァァッ!!!!!



バシャァァン!!!!!!


レイン 「がはぁっ!!!!」ビチャァッ!!!! 水の勢いで木に思いっきりぶつかり肋骨や腕や足の骨が折れる



蒼野 「うん 予想通り!」ニヤッ


蒼野 「お前みたいな能力を持ったやつは一度あったことがあるんだ 同じものでぶつければ攻撃が通ると思ったが…その通りだったみたいだな」パシャッパシャッ…


レイン 「ーっ…くそ!」スゥ… 負傷しながらも雨と化して逃げようと…


蒼野 「雨ノ太刀 水神 水鼬」バシャンッ!! 水溜まりに刀を付けて水を勢いよく飛ばす



ズバンッ!!!!


レイン 「がぁぁっ!!!!」ブシャァァッ!!!!… 体に水の刃が入り血飛沫を上げる



菫子 「ーっ」フイッ


レミリア 「(また水を使った技…)」



レイン 「っ…ウソ、だろ…?おまえ……どんだけ強いんだよ………」ハァ…ハァ…


レイン 「(雨になれば倒せると思ったのに…なんで……)」ダラダラ…


蒼野 「…じゃあなレイン 地獄で罪を償え」スゥ…スチャッ


レイン 「(…そうか もとから……倒せるわけなかったんだ こんな化け物………)」


レイン 「(……でも 同じ雨好きに会えてよかった みんな雨を嫌うのに………)」


レイン 「(……雨ノ太刀 美しかったよ………)」スゥ…


蒼野 「っ!」ピクッ


レイン 「」ザァー… 目を閉じて木に寄り添いながら息絶える


蒼野 「……死んだか トドメを刺す前に」スゥ…カタッ


蒼野 「(眉間にシワ寄せてた顔が幸せそうな顔して死にやがって…さっきまでの怒りがどっか行っちまったよ)」ヒュンッ!!スチャン 刀に付いた水を弾いて鞘に収める


蒼野 「…敵だが最後は悪い気しなかった 来世はちゃんとした人生を送れ」スゥ… しゃがみこんで片手を立てて祈りを捧げる



菫子 「…夜一……」


レミリア 「ずいぶんとあまいのね?あなた 敵であるそいつに祈りを捧げるなんて」


レミリア 「わたしは妹が殺されそうになったのだからバラバラにしたいのに…今からでもしていいかしら?」ゴキゴキッ


蒼野 「死体を痛ぶるのはやめろ いくらイラついてても死体をバラバラにしたところでなんの意味がある?」


蒼野 「ストレス発散にしかならないことをするな いいな?」


レミリア 「あら わたしがあなたの言うことを聞くとでも?」ニヤッ


蒼野 「…ならどうする?さすがの俺もやる気はないが やるなら相手してやるぞ」スチャッ 刀に手をかけてレミリアに鋭い眼光を向ける


菫子 「ちょっ!?よっ夜一!さすがにレミリアさん相手じゃまずいよ!」アワワワ


レミリア 「…」


蒼野 「…」


レミリア 「…ふふ!ほんとにおもしろいわね やはり私が目をつけただけのことはある」


レミリア 「イラついているけど今日のところはやめとくわ あなたにはわたしの妹を守ってくれた恩がある」


レミリア 「命の恩人を痛みつけるのは紅魔館の主としてそれはいただけないわ …なら聞くけど、その死体はどうするつもり?まさかここに埋めるなんてことしないわよね」


蒼野 「…そうだな できれば死んだ場所で埋めたかったんだが…まぁダメなら仕方ない 場所を移そう」パシャッパシャッ…ズシッ レインの亡骸を持ち上げて場所を移そうと…


レミリア 「ちょちょちょっ気が早いわよあなた 誰もダメだなんて言ってないでしょ」


蒼野 「…っえ」


レミリア 「まぁさすがに敷地内には立てたくないから屋敷近くでよければそこに立てるわ それでいいかしら?」


蒼野 「…いいのか 近くにあるとイラつかないか?主に思い出して苛立ちが湧くとか」


レミリア 「さすがの私もそこまで大人気なくないわ 普通に立ってる分に関しては問題ない」


蒼野 「そうか ならいいんだが」



ザァー………


……… 先程まで降っていた雨が止んで夜空が星を満点にして現れる


蒼野 「…やんだか レインの能力が切れて星が見えてきたな」


蒼野 「それじゃ死体を埋める穴でも掘るか ちょっと掘って埋めてくるから話しは少し待っててくれ」ヨイショット


レミリア 「…あなた掘るもの持ってるの?」


蒼野 「んぁ?そんなもんはない 手で掘るに決まってるだろ」


レミリア 「いや手で掘るって…」



てゐ 「なら私が埋める穴掘ってやるうさ」パシャッパシャッ…


蒼野 「てゐ お前どこにいたんだ?屋敷の中で待機してたのか?」


てゐ 「そうだうさ わたしは戦力としては全然だから戦いは避けてたんだうさ まぁ私が行ったところでなんも役に立たないけどな」


菫子 「せめて援護ぐらいはしてよ…戦えなくはないでしょ?」


てゐ 「無茶言うなうさ あんな化け物と一緒にされたらこまるうさ」


蒼野 「その化け物って俺のことか…?」


てゐ 「お前以外に誰がいるうさ 人間であそこまで強いヤツはお前以外居ないうさ」


てゐ 「ましてさっきみたいに雨を操って攻撃するやつを普通の人間だなんて呼ばないうさ 化け物の中の化け物うさ」


蒼野 「……まぁ たしかに普通のやつは雨を操ることはできないな コツとか力があればできるようなことじゃない」


蒼野 「雨ノ太刀…俺しか使えないだろうな こんな特殊な刀技」


蒼野 「まぁそんなことはいいとして 早くこの死体を埋めるぞ」


蒼野 「てゐ お前なにか掘るもの持ってきてるのか?見た感じなにも持ってなさそうだが」


てゐ 「へいきだ 私はこの手でよく落とし穴を作って鈴仙を落としてるから掘るものがなくてもすぐ掘れる」


蒼野 「…鈴仙を落としてる?」


菫子 「まだそんなことして遊んでるんですか…懲りないですね しかも毎度怒られてるのに」


てゐ 「それが私の楽しみだ あいつが落ちる瞬間は無様で滑稽なんだ!あれほど楽しいものはない!!」ケケケ!!


蒼野 「性格が外道だなおまえ…」


てゐ 「それでどこに埋めるんだ?埋める場所決めてくれればすぐ掘るうさ」


蒼野 「っん それじゃ埋める場所決めるか 敷地外に埋めないといけないから出るぞ」


てゐ 「了解」


パシャッパシャッパシャッ…



レミリア 「…あの子血まみれね あとでお風呂に入らせた方がいいわね」


菫子 「あっそれな