アズレン短編⑩ ジャン・バールの悩み
アズレン短編10作目は初のヴィシアからジャン・バールです。
ある日、ロビーでジャン・バールがなぜか悩んだ表情をしていたのを見つけたダンケルク。話を聞くと…。
午前11時頃 ヴィシア・アイリス寮
ロビーでジャン・バールとダンケルクが
なにやら話していた。
ジャン・バール[以下、ジャン]
「オレって怖いのかな?」
ダンケルク「どうして?」
ジャン「ある日、重桜の駆逐艦がぶつかって来て、オレを見て泣き出したんだ。なだめてはやったがそれでも泣き止まなくてな…。おまけに指揮官の愛娘にも挨拶をしようと試みたけど、怖がられてな。」
ダンケルク「そういうことだったのね。」
ジャン「どうしたらいいのだろうか、わからなくてな…」
そこに指揮官と、ル・マラン[以下、マラン]がやって来た。
マランがジャンが悩んでいる事を指揮官に言ったらしい。
指揮官「ジャン、どうした?」
ダンケルク「あら、指揮官?」
ダンケルクはジャンが今まで明かしたことを全て話した。
指揮官「うむ、そういうことか。」
ジャン「オレがひねくれていることはオレだってわかる。」
指揮官は答えを出した。
指揮官「自分から話しかけてみたらどうだ?相手から話しかけられるよりも自分から話しかけてみれば相手だってわかってくれるさ。時に自然としたにこやかな表情を作ることも大切だぞ。」
ジャン「しかしどうしたら出来ると言うのだ?」
マランがジャンの隣に座った。」
マラン「私がよしよししてあげる。」
マランはジャンの頭をなではじめた。
マラン「怖がられて辛いよね。」
ジャン「うん…。」
マラン「嫌だったよね…。」
ジャン「ああ……。」
マラン「困っちゃうよね…。」
ジャン「うっ…うぅ…ひっく…」
ジャンの目から涙がこぼれた。
ジャン「マラン…済まない。」
マラン「いいんだよ。こうしたら少しは気持ち落ち着くし、自然と微笑めるんだよ。」
指揮官は少し微笑んだ。
翌日
母港執務室にて
ジャンがやって来て秘書艦任務に当たった。
しばらくすると、睦月がやって来た。
睦月「おはよう、しゅきかん。」
指揮官「睦月、おはよう。」
睦月「あ、昨日のお姉ちゃんだ。お…おはようございましゅ…。」
ジャンは少し笑みを浮かべて
ジャン「ああ、おはよう。昨日は怖がらせて済まなかったな。これをあげる。」
ジャンはポケットから飴を取り出して、睦月に渡した。
睦月「お姉ちゃんありがとう。」
睦月がジャンに手を振るとジャンも手を振り返した。
指揮官「ジャン、よかったな。」
ジャン「ああ。」
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