2021-04-26 00:19:42 更新

概要

【血のバレンタイン】と呼ばれる惨劇の日から、世界に“異形のモノ”が出没して全てが狂い始める。その“異形のモノ”は人の手では倒れず、各国が一斉に核を使用しても傷一つ付けられず全く歯が立たなかった。そんな世界になっても、人類は内陸に移り住み、少しずつその数を減らしながらもしぶとく生き残っていた。 そんな中、一筋の希望が見え始める。かつての世界大戦で活躍した軍艦の力と魂をその身に宿し、“異形のモノ”を蹴散らして人々を救う者達が現れたのだ。 女性である事と軍艦の力を宿したその姿から、人々はその者たちを“艦娘”と呼び、“異形のモノ”は深い海の底から現れることから“深海棲艦”と呼ぶようになった。 これは、艦娘とそれを率いる提督の“絆とキセキの物語”である。


前書き

初投稿です。文才はあるわけではないです。思い付いた内容をつらつらと書いていくスタイルです。
FF7Rをやってたらこんなのが降りてきました。艦これはスマホ、vita、アーケードとプレイしていますが、自分が持っていないキャラや史実の出来事に関しては勝手なイメージや独自設定を貫きます。

キャラ崩壊、独自解釈、独自設定、作者の趣味が前面に出てきますが、それらを受け入れられる寛容な方は是非読んでください。
尚、この作品はこれから書く(予定の)物語の序章にあたり、艦これ要素はほぼありません。


※この作品は、様々な面で作者の趣味が前面に出てきます。どこかで見聞きしたことのある設定やネタを見かけた方は、作者に近い感性or何かを愛する心を持っているのかもしれません。


 全てのはじまり




20XX年

ーとある海辺ー



ザーン……ザザーン………



??「もう、迷いは断ち切れたよ。」



??2「本当に…良いんだね?」



??3「ま、アンタがそう決めたんなら…良いんじゃない?」



??4「さぁ、行きましょう!!」










幸せな時間



199X年 2月14日

世界は、炎と悲鳴に包まれた。

これが後の世に語られる【血のバレンタイン】である







2月12日 10時30分 【血のバレンタイン】まで

あと48時間


終わらぬ戦争、歯止めのきかない環境汚染、治安の悪化による凶悪犯罪の増加といった問題に各国首脳は頭を悩ませていた。


しかし、ここ永世中立国エデンでは様々な人種の人々が平和な日々を送っていた。


これから起こる出来事で世界が大きく変わってしまうことも知らずに…。









英寿(ひでとし)「三里(みさと)~」コンコン



三里「…」



英寿「ミサ~?」コンコンコン



三里「……」



英寿「入るぞ~?」コンコンコンコン



三里「………」



英寿「沈黙は了承とみなしま~す」ガチャ






勝手知ったるといった様子で英寿はドアを開ける。

普通異性の部屋に入るときはもう少し緊張したり、失礼の無いように気を付けるものだが、赤ん坊の頃からの付き合いである二人の間には"遠慮"の二文字など最早存在しなかった。






英寿「ノックしてもしもーし」






既に入室しているので、ノックもへったくれもない。






三里「…Zzz」



英寿「…やっぱり」ハァ






部屋の主、三里は布団の中で寝ていた。

それはもう幸せそうに、涎を垂らしながら…

あまりにも予想通り過ぎてため息が出る。






英寿「ミサ~」ユサユサ



三里「むにゃむにゃ…」






英寿は声を掛けながら三里を揺する。






英寿「起きろよ~」ユッサユッサ



三里「う~ん…アチョ~!」ガバッ



英寿「ぐえっ!」バキッ



三里「エヘヘ~…Zzz」






しかし三里は一度熟睡すると簡単には起きない。不用意に起こそうとすると理不尽に反撃を食らうのだ。

現に今も、寝惚けた三里が突然寝返りを打ちながら飛び蹴りのようなポーズを取り、その足が英寿の顎にクリーンヒットした。






英寿「やったなぁ!」






しかし英寿もやられたままでは終わらない。こんなこともあろうかと、三里ママから対三里用の武器を借りてきたのだ。

そう、伝家の宝刀ことおたまとフライパンである。

右手におたまを、左手にフライパンを装備して

力の限り打ち鳴らす。対三里用の必殺技、通称"死者の目覚め"である。






英寿「いい加減に起きろ!川中(かわなか)三里!!」ガン!ガン!ガン!ガン!



三里「うわぁあああ!?!?」ガバッ






三里もこれには堪らずに飛び起きた。






英寿「おはよう、ミサ」



三里「ふわぁ~…あ、ヒデちゃんおはよう~」ムニャムニャ



三里「…あれ?何でヒデちゃんがあたしの部屋に居るの?」キョトン






ようやく起きたと思ったら、三里は状況を理解しておらずキョトンとしながら首を傾げている。






英寿「また夜更かしか?」



三里「あんなの夜更かしのうちに入んないよ?」



英寿「最後に時計を見たのは?」



三里「4時だったかな?」



英寿「今日は何日?」



三里「2月12日」



英寿「何の日?」



三里「皆で映画見に行く日」



英寿「待ち合わせは?」



三里「10時に噴水公園」



英寿「今何時?」



三里「6時くらいでしょ?」



英寿「ん」つ時計



三里「ん?」ウケトリ



英寿「もう一回聞くぞ?」



三里「…!」サーッ



英寿「今何時?」ニッコリ



三里「えー…と」ダラダラ



英寿「イ マ ナ ン ジ ?」(^ω^#)



三里「じゅ…10時半…デス」ガクブル



英寿「40秒で支度しろぉ!!」



三里「ハイィ!」バタバタ




そこからの三里は早かった。流石に40秒とはいかないまでも、ものの2分で全ての準備を終えて自転車に乗るところまでやってのけたのだから。



三里「ほらヒデちゃん、早く行くよ!」テマネキ



英寿「まったく誰のせいだよ…あ、おばさん。おたまとフライパンありがとう。」ハイコレ



三里ママ「良いのよ~、こうでもしないとあの子ったら起きないんだから。英寿君もいつもゴメンね?」ウケトリ



英寿「流石に15年やってたら慣れたよ(笑)」



三里「ヒデちゃん!」



三里ママ「あの子ももうすぐ高校生になるのに、ちっとも成長しないんだから」ハァ…



英寿「いいヤツなんですけどね(汗)」



三里「早く!」カムォン!



三里ママ「お嫁に行けるのかしら…英寿君、どう思う?」



英寿「将来ミサの旦那になる人は絶対苦労すると思う」



三里「なんだとー!?」プンスカ



三里ママ「昔は『ヒデちゃんのお嫁さんになる~♪』なんて言ってたけど…英寿君、うちの子どう?」



三里「ちょっ」



英寿「う~ん…確かに俺も『絶対ミサと結婚するんだ!』って言ってたけど…」



三里「二人とも何言ってんの!?」Σ(゜Д゜)



三里ママ「結婚は男女問わず16才からだけど、婚約は年齢関係ないじゃない?」



三里ママ「今でも寝言でひd」



三里「もう先に行くからね!!///」ピューン



英寿「からかい過ぎたかな(笑)」



三里ママ「あらあら照れちゃって。ほら、英寿君も早く行かないと。」



三里ママ「今夜はご馳走いっぱい用意するから、みんなお腹空かせて帰ってきてね?」



英寿「オッケー、みんなにも伝えておくよ。」



英寿「んじゃ、改めて行ってきまーす!」ピューン







三里ママ「さてと、そろそろ今夜の買い出しn」



TV『臨時ニュースです』



三里ママ「あら?」クルッ






その時、それまでEHKによる生活の豆知識特集が突然ニュースに切り替わる。アナウンサーの張り詰めた表情から、深刻な内容であることを感じさせる。






アナウンサー『つい先程、パキスタン近海にてアメリカ軍の軍艦が撃沈されたとのことです。』



三里ママ「え!?」



アナウンサー『ほぼ同時刻に、日本海付近ではロシアのクルーズ船、南シナ海では中国国籍のタンカーがそれぞれ撃沈されており、米中露の3国と現場周辺の各国の間には緊張が走っています。』



アナウンサー『船体の損傷が酷く、新エネルギーの“ラルヴァ”が兵器として使用されたのではないかと見られています。』



三里ママ「なんだか物騒なニュースね〜。沈められた場所も悪意を感じるし、それに“ラルヴァ”は人が直接触れると体調が悪くなるらしいし乗ってた人たちは大丈夫なのかしら…」



三里ママ「…っと、ニュースも気になるケド早く買い出しに行かなきゃ。今夜はご馳走いーっぱい用意しなきゃね!」ピッ



アナウンサー『また、不確かながら今回の襲撃事件に関して“クジラのような生物が火を吹いた”とのs』プツン



三里ママ「さぁ、待ってなさいよスーパー!」ギラン


            ・

            ・

            ・


2月12日 11時00分 【血のバレンタイン】まであと47時間30分


??「遅い!」イライラ



??2「落ち着きなよ雲雀(ひばり)ちゃん。」ドウドウ



雲雀「一吹(いぶき)!アンタは何でそんなに落ち着いてられんのよ!?」



一吹「ミサちゃんの寝坊はいつもの事だし…(汗)」






その頃、噴水公園では雪野(ゆきの)一吹と五代(ごだい)雲雀のふたりがそんなやり取りをしていた。一吹は雲雀を宥めているが、雲雀の怒りはもっともだろう。何故なら






雲雀「あのふたり!『雲雀達が中学生になるからお祝いだ』なんて言ってたクセに寝坊するってどーゆーことよ!?」ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!



一吹「アハハ…(汗)」






そう。雲雀と一吹のふたりは間もなく中学生になる。そのお祝いの筈なのだが、幼馴染でもあり先輩でもある英寿達は遅刻してしまっていたのだ。1度集合していた英寿も遅刻者として扱われるのは完全にとばっちりではあるのだが…






一吹「寝坊したのはミサちゃんだけなんだけどなぁ…」



雲雀「そんなのは些細な問題よ!」



一吹「理不尽だなぁ…、トシくんゴメンね(泣)」



一吹「もー雲雀ちゃん、少しおちつ…ハッ!?」ピシャーン!







その時、一吹に電流が走る。







一吹「ねぇ、雲雀ちゃん。私いい事思いついちゃった。」



雲雀「何よ!?」ギロッ



一吹「そんなに睨まないでよ、雲雀ちゃんもきっと気に入るよ?」



雲雀「ふぅん?随分と自信がありそうじゃない。言ってみなさいよ?」



一吹「今日1日はさ、ふたりにうーんと甘えちゃおうよ!」



雲雀「甘える?ハンッ、なんでそんな子供みたいなことを…」



一吹「雲雀ちゃんはトシくんに甘えたくないの?」



雲雀「何でアイツ限定なのよ!?///」



一吹「だって雲雀ちゃんはトシくんの事大好きじゃん!」ニッコリ



雲雀「そんなんじゃないわよ!」ウガー



一吹「じゃあ嫌いn」



雲雀「嫌いとは言ってないじゃない!!」



一吹「なら私がトシくんもらうね?」



雲雀「それはダメ!たとえ一吹でも絶対ダメ!!」



一吹「即答するほど好きなんでしょ?」



雲雀「それは…ゴニョゴニョ…」モジモジ



一吹「言っちゃえば楽になるよ?」ニコニコ



雲雀「…すっ、すきぃいい〜〜〜!!!!///」カオマッカ&ゼッキョウ



一吹「雲雀ちゃんカワイイ♪」



通行人たち(若いってイイなぁ)ホッコリ






裏声になりながらも素直な気持ちを吐き出す雲雀とそれにときめく一吹の様子を見て、周囲の人達は温かい気持ちになっていた。






雲雀「…って、何言わせるのよ!?」



一吹「雲雀ちゃんのホントの気持ちだよ。」



雲雀「まったく…アンタ、風穴あけるわよ!?///」





街頭ビジョン(CM)『1/60ガンダーロボ、明日発売!リアルなフレーム、多彩なポージングと惚れ込むこと間違いなしだ!!』



CM『みんな、明日はお店に急げ!』シャキーン!





瓶底眼鏡「やっぱりガンダーロボはカッコイイでやんす!今夜から徹夜で並ぶでやんす!!」キラキラ



野球帽「お店に迷惑だよ(汗)」



瓶底眼鏡「今すぐ長戸模型に連絡でやんす!」ピポパ



雲雀「いい歳してあんな玩具の為に徹夜とか…アホなんじゃないの?」



一吹「アハハ…(汗)」






雲雀がそう言って瓶底眼鏡達を遠目に見ながら呆れていると、CMが終わって街頭ビジョンの映像がニュースに切り替わる。






アナウンサー『では、本日の襲撃事件について、専門家の方々にお話を伺いたいと思います。』




雲雀「襲撃事件?そんなのいつあったのよ?」



一吹「さっき雲雀ちゃんがイライラしてる時にニュース速報で流れてたよ?」



雲雀「全然気付かなかったわ…」





アナウンサー『軍事兵器と各国の情勢に詳しいミラーさん、そして新エネルギーの開発と最新技術の専門家でありますハロルド博士にお越しいただきました。お二人とも、本日はよろしくお願い致します。』



ミラー『マクドネル・ミラーだ。こちらこそよろしく頼む。』



ハロルド『よろしくね〜ん♪』



アナウンサー『では早速聞いていきましょう。今回の事件は“ラルヴァ”を使用した兵器によるものとの見方が強いですが、お二人から見てどう思われますか?』



ミラー『確かに“ラルヴァ”は使用されたのだろうが、それはおそらく米軍の軍艦のみで他は別だろうと思う。』



ハロルド『アラ、やっぱりミラーもそう思う?』



アナウンサー『と、言いますと?』



ミラー『うむ、まずはこれを見てほしい。』ポチッ






そう言ってミラーは懐から小さな機械を取り出して操作する。するとホログラムが現れ、襲撃されたそれぞれの艦が沈む直前と思われる画像を映し出す。






ミラー『ロシアのクルーズ船と中国のタンカーだが、無数の穴が空いているのが分かる。これはたぶん、砲撃等によって蜂の巣にされたんだろう。』



ミラー『クルーズ船は最新の太陽光発電システムで動いていたし、タンカーは重油をまだ積んでいなかった上に旧型なので動力源はガソリンだ。その為誘爆しても損傷や損害の規模はたかが知れている。』



ハロルド『でもね、軍艦は違ったのよ。船体が原型を留めていないどころか、ほとんど跡形も無く消えてしまっているの。』



ハロルド『今度はこっちの映像を見て頂戴。』ピッ






そう言ってハロルドが見せたのは、軍艦の甲板上で撮影されたと思われる映像である。船員たちの慌ただしい動きや砲撃による轟音から、戦闘中に撮影されたものと思われる。






ミラー『米軍に限らず、軍艦や輸送機等には必ず特殊記録員…簡単に言えばカメラ係が乗る事になっている。有事の際に敵の情報や自分たちの遺言を国に伝える為にな。』



ミラー『この記録員だが、軍部の中でも特に撮影技術と通信技術に秀でた者が選ばれる。そして記録員のみが使用できるタイムラグがほぼゼロの超高速通信があるんだが、今回の映像はそれによって米国に届けられたものを特別に使用させてもらっている。』



アナウンサー『そんな物を全世界に向けて放送してしまっていいんですか?』



ミラー『米国政府と米軍からは「必ず世に流してほしい」と言われている。問題は無い。』



ハロルド『…少し脱線してしまったわね。話を戻しましょう。』



ハロルド『この映像だけど、何か気付かない?』



アナウンサー『?』



ミラー『…ふむ、確かにこれは妙だな。』



アナウンサー『私には、必死に艦を守る為に戦っているようにしか見えませんが…』



一吹「あ、確かに変だね。」



雲雀「どこが?」



ミラー&一吹『「映像のどこにも敵艦が映ってない(んだ)。」』



ミラー『これだけ派手に撃ち合って、敵艦が映らないのはおかしい。記録員も必死に敵艦の姿を捉えようとしたのだろう。頻繁にカメラの向きが変わっている。』



一吹「ほとんど360°カメラを回してるのに、どこにも映ってないの。」



雲雀「それは確かに変ね。」



雲雀(一瞬海の上に人が立ってるように見えたのは気のせいよね?)



ミラー『だが、沈む瞬間はしっかりと映っていた。もう少し先まで見てみよう。』






そう言って画面の中の3人は映像を進める。すると敵のものと思われる砲弾が一際大きな砲塔に命中した瞬間、画面が白くなり映像が終了する。






ハロルド『ここで映像は終わっているわ。』



アナウンサー『どうやら一番大きな砲塔に弾が当たったようですが、これが撃沈の瞬間なんでしょうか?』



ミラー『あぁ。あれは“ラルヴァ”を使用した新型兵器、通称【ローエングリン】だ。“ラルヴァ”を収束、圧縮して発射する陽電子砲なんだが、その性質上放射線による環境汚染の可能性もあるため滅多に使われない。』



ハロルド『うっすら光っていたから、チャージは始まっていたんでしょうね。敵艦は映っていなかったけど、砲撃された方向に撃って突破口を開こうとしたんじゃないかしら?』



ハロルド『でも、その為にチャージを開始したのが仇となったんだと思うわ。チャージ中に被弾したことで“ラルヴァ”が暴発、そのまま艦を消滅させてしまった…。』



アナウンサー『“ラルヴァ”の暴発とはそこまでの破壊力があるんですか?』



ハロルド『えぇ。“ラルヴァ”は使い方によっては山を吹き飛ばす程よ。でも、今回は単なる暴発じゃないわね。』



アナウンサー『何か特別な要因が?』



ミラー『実はこの軍艦だが、“ラルヴァ”を動力にしていたんだ。そして【ローエングリン】は艦のエンジンに直結されていて、そこから“ラルヴァ”をチャージする。』



ミラー『さらに、艦が半永久的に活動できるように“ラルヴァ”の精製設備も積んでいた。チャージ中の【ローエングリン】に被弾したことで、精製中のものも含めて艦内全ての“ラルヴァ”が暴発したんだろう。』



ハロルド『その破壊力は核兵器すら凌駕したでしょうね。もし陸地でこれだけの爆発が起きたら、間違い無く大陸の形が変わっていたんじゃないかしら?』サラッ



アナウンサー『ヒェッ…』





雲雀「怖っ!」



一吹「考えたくないね…」





ハロルド『やっぱり“ラルヴァ”は使うべきじゃないわね。』



ミラー『そー言えば、アンタは“ラルヴァ”の使用と精製については最初から反対していたな。何故なんだ?』



アナウンサー『確かに、ハロルドさんは以前から“ラルヴァ”に対して否定的な姿勢でしたね?』



ハロルド『ちょうど良いし、この場を借りて説明しようかしら。』



ハロルド『そもそも、“ラルヴァ”が何なのかあなた達は知っているかしら?』



アナウンサー『開発者のジャニス・カーン氏からは、〈自然界の粒子から作ることができる極めてクリーンなエネルギー〉と伺っていますが…?』



ミラー『俺もジャニス本人からそう聞いている。』




ハロルド『確かにそれが通説よね。でも、実は違うのよねぇ。』





一吹&雲雀「「えっ、違うの?」」






ハロルド『どーしても気になって、私も“ラルヴァ”の研究をした事があるんだけど…』



ハロルド『結論から言うと、アレは存在しちゃいけない代物よ。』



一吹「それって…」



英寿&三里「「待たせたな(ね)!!」」キキーッ!



一吹&雲雀「「ヒャア!?」」ビクゥッ!






その時、ようやく英寿達が到着する。突然の到着に、後輩組は驚くものの…






雲雀「遅いわよ!」ガーッ



一吹「ふたりとも、すごい汗だけど大丈夫なの?」






最初にかけた言葉は真逆だった。







三里「ゴメ…寝坊…しちゃって…」ゼエゼエ



英寿「やっぱ…コイツ…寝てたわ…」ゼエゼエゼエゼエ



一吹「ほら、雲雀ちゃん。」コゴエ



雲雀「わっ、分かってるわよ!」コゴエ



英寿&三里「「?」」



雲雀「アンタ達!お…遅れた罰として、今日は私達の言いなりよ!!」ウガー!



一吹「雲雀ちゃん…(泣)」



英寿「分かってるよ。」ニガワライ



三里「そもそも、今日は二人のわがままをぜーんぶ聞いてあげるつもりだったし。」



一吹「ヘ?」



英寿「あ、勿論常識の範囲内でだぞ?」



雲雀「なら良いのよ!」フフン



三里「じゃあ、移動しよっか。」



全員「「「「オー!」」」」


            ・

            ・

            ・


2月12日 13時00分 【血のバレンタイン】まであと45時間30分


英寿「映画館に着いたな。俺は次の上映時間確認してくる。」スタスタ



三里「はいよ〜」ノシ



雲雀「お腹空いたわね。」



一吹「私も流石にお腹空いたな〜。」



三里「お昼まだだもんね。食べられそうなところ探そうか?」



雲雀「あそこにマグロナルドがあるわよ!」キラキラ



一吹「見つけるの早すぎない?(汗)」



三里「雲雀は食いしん坊だねぇ(笑)」ケラケラ



英寿「お待たせ。次の上映まで1時間ちょっとあるみたいだ。」



三里「ヒデちゃんお帰り〜。今お昼の相談してたんだ。」



英寿「雲雀がマグロナルドに食い付いてる気がする。」



一吹「正解。」ニガワライ



英寿「なら決まりだな。時間あるし、そこで食べよう。」



雲雀「なら早く入りましょ!勿論奢りよね?」ニヤリ



先輩's「「仰せのままに。」」ハハー



一吹「なら私達が場所取っておくね。」






一行は二手に分かれ、英寿達先輩組は注文の為に列へ並び、雲雀達後輩組は窓際の席に座って場所を確保した。

マグロナルドでは若い男女の店員がレジで注文を取っている。






男性店員「いらっしゃいませ!ご注文はお決まりでしょうか?」ニッコリ



女性店員「新発売のチーズマグロバーガーがオススメとなっております!」ニッコリ



英寿「なら、そのチーズマグロバーガーのセットを4つ。」



女性店員「お飲み物は何にしますか?」



三里「コーラと烏龍茶を2個ずつで。」



男性店員「店内でお召し上がりでしょうか?」



英寿「そうします。」



女性店員「合わせまして、お会計が1,200円になります。」



三里「半分ずつね。」



英寿「あいよ。」



男性店員「では丁度頂きますね。こちらレシートになります。」



女性店員「お待たせしました。チーズマグロバーガーセットが4つになります。」



店員's「ありがとうございました〜」






三里「お待たせ〜」



英寿「おっ、結構いい場所だな。」



一吹「思ったより早かったね?」



英寿「店員の対応が良くてな。」



雲雀「早く食べましょ!」フンス



三里「慌てない慌てない。はい、雲雀の分ね。」つ



雲雀「ありがと!…って、いつもよりバーガー少ないんだけど!?」



英寿「お前のことだから映画見ながらなにかつまむだろ?あんまり食べると眠くなるし、今夜はミサの家でご馳走だぞ?」



雲雀「…なら我慢する。」ムゥ…



英寿「よろしい。んじゃ、いただきまーす!」



一同「「「「いただきまーす!!」」」」


            ・

            ・

            ・


一吹「マグロとチーズって結構合うんだね!」



三里「見た目よりボリュームあるし、これは今後リピートしても良いよね!」



雲雀「ふぉえあふひああいあわ(これは好きな味だわ)!」ムグムグ



英寿「食うか喋るかどっちかにしろよ。」



雲雀「」ムグムグムグムグ



英寿「食うのか…」


            ・

            ・

            ・


三里「美味しかったね〜」



一吹「そろそろチケット買わなきゃね。」E:コーラ



英寿「チケットはさっき買って来たから渡しておくよ。」つチケット



三里「さっすがヒデちゃん!」ウケトリ



英寿「ミサは奢りじゃないからな。」



三里「ケチ〜」ブーブー



雲雀「なら早く入りましょ。良い席が無くなっちゃうわ。」E:コーラ&チケット



一吹「正面の席を押さえなくちゃ!」チケットウケトリ



英寿「じゃあ皆、忘れ物は無いな?」



三里「あ!烏龍茶忘れた!」



英寿「駆け足!」



三里「ラジャー!」ピューン



雲雀「私達は席を取っておきましょ。」



            ・

            ・

            ・


雲雀「ここが良いわ!」



一吹「前から5列目の真ん中4つ…ベストポジションだね!」



英寿「最前列は首が疲れるからな。」



三里「お待たせ〜」E:烏龍茶



英寿「おかえり。」



一吹「そろそろ始まるし、座ろうよ。」






ブー!







一吹がそう言ったタイミングで、丁度上映開始のブザーが鳴る。






三里「今日の映画なんだっけ?」



英寿「サバイバルホラーだな。話題になってた最新作のヤツ。」



雲雀「ホラー!?」



一吹「雲雀ちゃん、怖いの?」



雲雀「べっ、別に怖くないわよ!」



三里「確かシリーズ史上最恐って言ってたよね?」



後輩's「「え?」」


            ・

            ・

            ・


映画『キシャー!』



雲雀「〜〜〜!〜〜〜〜〜ッ!!」ダキツキ



映画『ギョエェェェーーーッ!!』



一吹「アワワワワ…!」ダキツキ



映画『ブルァアアアアアアォ!!!』



後輩's「「ヒィイイイイ!!!!」」ギュゥゥ〜



先輩's「「クッ…首が締まる…!」」






因みに、雲雀→英寿→三里→一吹の順番で座っており、後輩達は隣の先輩の、何故か首にしがみついていた。


            ・

            ・

            ・


2月12日 16時30分 【血のバレンタイン】まであと42時間


映画鑑賞を終えた4人は映画館から出てくるが、後輩達は先輩にしがみついたままである。



英寿「ほら、もう大丈夫だから、な?」ナデナデ



雲雀「うぅぅ〜…」グスッ



三里「一吹も、ね?」ナデナデ



一吹「…ヤダ」グスッ







そもそも、何故先輩組はお祝いにホラー映画をチョイスしたのか。…謎である。






英寿「まったく…。ほら、ふたりとも顔上げて。渡したいものがあるんだ。」



後輩's「「?」」カオアゲ






そう言って英寿は小さな包みを取り出し、3人に手渡す。






三里「何でアタシにも?」



英寿「渡さなきゃいけない気がしてな。」



三里「…そっか///」



英寿「開けてみなよ」



3人「「「うん。」」」






3人が包みを開けると、丸い石が中心にはめ込まれた首飾りが出てきた。三里はオレンジ色、一吹は白、雲雀はうっすらと青い銀色の石だった。それぞれ川、雪、雲をかたどった銀色の枠にチェーンが付けられており、3人によく似合っていた。






英寿「海辺を散歩してたらさ、たまたま見つけたんだ。試しに磨いてみたらさ、皆に似合いそうな色だったもんだからプレゼントにしようと思ってな。」



英寿「科学部の張本(はりもと)と工作部の赤石(あかし)に手伝ってもらったんだけどさ、昨日ようやく完成したんだよ。」



三里「張本と赤石って、夕実(ゆみ)と理沙(りさ)のこと?」



英寿「そ。あいつ等なら金属も加工できるし、設備も貸してくれるしな。」



一吹「昨日完成したって言ったけど、いつから作ってたの?」



英寿「ん〜…、半年くらい前かな?」



雲雀「半年!?」



英寿「おう。因みに、俺もお揃いで赤いのを持ってるぞ。」チャラ






あれ?そう言って、英寿は胸元から自分の首飾りを出して見せる。太陽を象った枠に赤い石がはめられたデザインだった。






英寿「ふたりは中学への進学祝い、ミサは高校の合格祝いだ。」サムズアップ



3人「「「…」」」



英寿「…アレ?もしかして気に入らなかった?」



3人「「「そんなことない!!」」」



一吹「すっごい嬉しい!トシくん、大切にするね!!」



雲雀「…ありがと///」



三里「最近学校で見かけないと思ったら、こんなサプライズがあったなんてね…///」



英寿「気に入ってくれたってことで良いのかな?」



3人「「「うん!!!」」」






英寿からのサプライズプレゼントで3人は満面の笑顔を見せていた。もうホラー映画の恐怖はすっかりどこかに行ってしまったようだった。






英寿「よし、帰ろう!おばさんのご馳走が待ってr」



三里「ねぇ、ヒデちゃん。」



英寿「ん?」



三里「せっかくだし、今ヒデちゃんが着けてよ。」



雲雀「…私も、トシに着けて欲しい。///」



一吹「私もお願い!」



英寿「…ん。分かったよ。」オイデ






3人の希望で、英寿がそれぞれの首に丁寧に着けていく。飛び跳ねて喜ぶ一吹、顔を真っ赤にして俯く雲雀、照れくさそうにはにかむ三里と反応は三者三様だったが間違いなく全員喜んでいた。


そして幸せな気分のまま、4人は帰路につく。





英寿の夢、皆の想い



2月12日 18時00分 【血のバレンタイン】まであと40時間30分


みんなの家《シェアハウス ブルーコスモス》に帰ってきた英寿達一行。三里ママが出迎えてくれる。






三里ママ「皆お帰り〜!ご馳走いーっぱい用意したわよ!」



三里「お母さん、ただいま!」



雲雀「ただいま!」



一吹「おばさん、ただいま!」



三里ママ「あらあら、皆すっごくいい笑顔ねぇ〜。何か良い事でもあったの?」



三里「まあね!」キラッ



一吹「すっごく嬉しいことがあったんだぁ!」キラッ



雲雀「わ、私は別に…///」キラッ



三里ママ「アラアラ、ウフフ♪」






3人の胸元に光るものを見つけ、三里ママはすべて理解する。雲雀の照れ隠しも、三里ママにかかればお見通しだ。






三里ママ「さて、主役も揃ったし始めましょうか!」



三里ママ「あなた〜、みんな揃ったわよ〜。」






三里ママの一声で、奥の部屋から三里パパと雲雀の両親、一吹パパ、英寿ママがご馳走と飲み物(2/3は酒)を持ってリビングに集まる。






三里パパ「おっ!それじゃあ始めるかぁ!」



雲雀パパ「よーし!全員グラスに飲み物を注げぇ!」



一吹パパ「今日は宴だ!」ヒャッハー!



雲雀ママ「飲み過ぎないでよ?」



英寿ママ「まぁまぁ、今日は特別ですし、私達も飲みましょう?」



雲雀ママ「…そうね!」






大人たちは酒、英寿たち4人はジュースを片手に、全員で声を合わせる。






一同「「「「「かんぱーい!!」」」」」



三里ママ「今日はマーボーカレーにワカメと卵のスープ、コブサラダにローストビーフ、各種揚げ物に野菜スティックとフルーツ盛り合わせよ!」



三里ママ「おかわりもたくさんあるから、遠慮しないでね?」



雲雀「ん〜!どれも美味しい〜!!」ハフハフ



一吹「おばさんのマーボーカレー大好き!」モグモグ



三里「このサラダも美味しいね!」ムグムグ



三里パパ「やっぱりウチの女房のメシはうめぇや!なぁ!?」グビグビ



雲雀パパ「まったくだぜ!」グビグビ



一吹パパ「ウチの嫁は中々帰ってこなくてなぁ…(泣)」グビグビ



雲雀ママ「ムラクモ機関の幹部でしたっけ?」チビチビ



英寿ママ「ウチの旦那も、神羅カンパニーの主任研究員になってから中々帰らなくて…」チビチビ



英寿「今日はお祝いなんだから、暗い話はやめようよ。」つビール



三里パパ「おっ!ヒデちゃん気が利くねぇ〜。」ウケトリ



英寿「おじさんだって、最近は日本との国交の為に走り回ってるんでしょ?たまにはリラックスしなきゃ。」



雲雀パパ「ヒデちゃんは優しいなぁ〜。ウチの雲雀はヒデちゃんみたいなヤツじゃないと絶対にやらん!」グビグビ



雲雀「ングッ!?///」



一吹パパ「ホントにトシくんはイイヤツだよ。なぁ、ウチの一吹どう?」グビグビ



一吹「えっ!?///」



三里ママ「何言ってるのよ〜、英寿君はウチの三里ちゃんが10年前から予約済みよ〜?」グビグビ



三里「ちょっと!?///」



英寿ママ「ヒデはモテるわねぇ〜。この前も、新聞部の青木彩葉(あおきいろは)ちゃんだっけ?その子が遊びに来てたし〜」ヒック



幼馴染's「「「えっ」」」



雲雀ママ「最近は科学部と工作部の部長さんと仲良さげだったし、居酒屋〈龍飛(たっぴ)〉の女将さんやってる翔子(しょうこ)さんとも親しいみたいじゃな〜い?」ヒック



幼馴染's「「「えっ」」」



三里パパ「そーいやこの前は〈長戸模型〉のとこの娘さん、蓮(れん)ちゃんと仲良く話してたよなぁ…」



三里パパ「確か…幼稚園の先生になる為には何が必要かとか熱く語ってなかったっけ?」グビグビ



幼馴染's「「「えっ」」」



英寿「俺の人間関係何で皆に筒抜けなの!?」



幼馴染's「「「…」」」ゴゴゴゴゴ



英寿「青木はCD借りに来ただけだし、張本達はアクセ作りの為に協力してもらったんだよ!」



幼馴染's「「「他は?」」」ゴゴゴゴゴ



英寿「翔子さんは会えば挨拶するくらいだし、蓮さんのは単なる雑談みたいなもんだよ!?」



幼馴染's「「「ホントに?」」」ゴゴゴゴゴ



英寿「ホントだよ!つーかお前ら、張本達の事はさっき話したろ!?」



幼馴染's「「「なら良し。」」」



三里ママ「みんな英寿君のこと大好きねぇ〜」ケラケラ


            ・

            ・

            ・


2月12日 22時30分 【血のバレンタイン】まであと36時間


大人達「「「「「Zzz…」」」」」



一吹「ムニャムニャ…」Zzz



雲雀「もう食べられない…」Zzz



英寿「みんな寝ちゃったな。」



三里「大人達はだいぶ飲んでたし、一吹達もお腹一杯になって眠くなったんだろうね。」



英寿「…こんな毎日が、ずっと続けばいいのにな。」



三里「急にどうしたの?」



英寿「ミサは、将来どんな事がしたい?」



三里「将来?」



英寿「うん。将来やりたい仕事とか、なりたいものとかさ。」



三里「そ~だねぇ…、家族と一緒に過ごす事かな。」



三里「ただ一緒にいるんじゃなくてさ、毎日笑って幸せを感じながら過ごしていたいよ。」



英寿「今みたいな感じに?」



三里「そうだね。あ、あとは忍者になってみたいかな!」



英寿「忍者ぁ?」



三里「だってなんだかカッコいいじゃん!!」キラキラ



英寿「まぁ、その…、頑張れよ(汗)」



三里「うん!…って、そーゆーヒデちゃんはどうなのさ?」



英寿「俺は…いや、やっぱり言わない。」



三里「えー!?ズルいよ自分は言わないなんて!」



英寿「だってお前絶対笑うもん。」



三里「だーいじょうぶ!絶対笑わないって!」



英寿「…じゃあ言うぞ?」



三里「…ん」



英寿「俺さ…ソルジャーになりたいんだ。」



三里「ソルジャーって、あの?」



英寿「うん。…今はさ、世界中で戦争とかやってるだろ?」



三里「そうだね…。エデンに居ると忘れそうだけど、本当は戦争してない国のほうが珍しい世の中だもんね。」



英寿「だからさ。俺、ソルジャーになって世界中の戦争を終わらせたいんだ。そんで、英雄になりたいんだよ。」



英寿「もしかしたら恨まれることのほうが多いかもしれないけど…、それでも、一人でも多くの人を救いたいんだ!」



三里「…フフッ」



英寿「ほら!やっぱり笑ったじゃないか!!」



三里「違う違う!可笑しかった訳じゃないよ。」



英寿「じゃあどういう…」







意味だよ、と言おうとしたところで言葉が止まる。三里は確かに笑っていたが、それはからかうようなものではなく、溢れんばかりの嬉しさや優しさを感じさせるものだった。

そんな三里の表情は月明かりに照らされ、あどけなさを残しながらも美しいものとなっていたために英寿は見惚れてしまっていた。






三里「ヒデちゃんは昔から、誰かの為に本気になれた。たとえ自分が犠牲になってでもね…。」



英寿「…。」



三里「覚えてる?10年前に私がガキ大将の武(たけし)達にイジメられてた時にさ、ヒデちゃんが助けてくれた時のこと。」



三里「相手は5人もいたのにさ、ヒデちゃんは必死に私の事を守ってくれた。どんなに殴られても、蹴られても、必ず立ち上がった。」



英寿「よく覚えてるな…。」



三里「忘れたりなんかしないよ。あの時の言葉だって、一言一句違えずに今も私の胸の中に残ってるもん。」



英寿「あの時の言葉?」マサカ…



2人「「まだやれるぞ。絶対に諦めない。」」



英寿「ボコボコにされて、カッコ悪かっただろ?」



三里「そんなことない!あんなに一生懸命守ってくれて、私ホントに嬉しかったんだよ!」



英寿「最後に苦し紛れの一発しかやり返せなかったし、傷だらけの泥塗れだったし…」



三里「たとえそうだとしても、あの時からヒデちゃんは…私にとってのヒーローだよ。」ニコッ



英寿「…もう寝るぞ!///」オヤスミ!



三里「おやすみ〜」ノシ






あまりの恥ずかしさに、英寿は部屋に戻ってしまう。三里はそれを見送り、部屋の扉が閉まったのを確認してから聞き耳を立てていた2人に声をかける。






三里「…さてと、盗み聞きとは感心しないなぁ?」



雲雀「なんのことかしら?」ムクッ



一吹「私達今起きたんだよ?」ハテ?






雲雀達はそう言って起き上がる。ずっと前から起きていたのだが、三里と英寿の幼い頃のエピソードに興味を持ちコッソリと聞いていたのだ。






雲雀「昔そんなことがあったのね。」



一吹「イジメられてるミサちゃんが想像できないよ…」



雲雀「武君って今じゃトシや私達と仲良くしてるけど、もしかして改心したの?」



三里「改心っていうか、あの時ヒデちゃんが最後に武を殴ったら当たりどころが良くてさ。ノックアウトしちゃったんだよ。」



後輩's「「へ?」」



三里「んで、目が覚めたときに最初は腹が立ったらしいんだけど、普段はあんまり怒らないヒデちゃんが本気で怒った顔をしてたのを思い出して反省したんだって。」



三里「そしたら次の日にさ、私達に謝りに来たんだよ。チョコビを両手に一杯持ってさ。」



雲雀「律儀ね。」



一吹「2人は武君のこと許したの?」



三里「その時の私は許すつもり無かったよ?ずっとイジメられてたわけだし。」



雲雀「私だったら許さないわよ。」



三里「でもヒデちゃんはさ、『俺達の目を見て、もうあんな事しないって誓えるのか?』って聞いたんだ。」



一吹「武君はなんて?」



三里「私達の正面に立って、目を見て謝りながらちゃんと誓ってくれたよ。」



三里「その後は3人で握手して仲直りしたよ。武の持ってきたチョコビをみんなで一緒に食べてね。」



雲雀「今更だけど何でチョコビなんて持ってきたのよ?」



一吹「それ私も気になってた。」



三里「今でもそうなんだけど、チョコビは武の一番好きなお菓子なんだよ。それを山ほど持ってくるんだから、アイツなりの精一杯の誠意だったんだろうね。」



三里「でもさ、そのチョコビは自分ちの〈剛田商店〉から黙って持ってきたやつだったみたいで。」



三里「あとで親にしこたま怒られてたよ(笑)」



後輩's「「えぇ…(汗)」」



三里「でもまあ、それ以来武はガキ大将を卒業して今みたいな義理堅い性格になったわけさ。」



一吹「今の優しい武君からは想像できないよ…」



雲雀「ホントよね…」



三里「…さて、私は話したよ?」






そう言って三里は悪戯っぽく笑う。それを見て雲雀達は背中に嫌な汗が流れる。






三里「2人がヒデちゃんを好きになったきっかけも、教えて欲しいなぁ〜?」ニヤニヤ



雲雀「ハァ!?///」



三里「あるでしょ〜?」



一吹「それは…///」



三里「そうじゃなきゃ、このアクセ貰ったときにあんなに幸せそうな顔しないもんね?」チャラ



後輩's「「うぅ〜…///」」カオマッカ



一吹「…分かったよぅ。///」ウツムキ



雲雀「話せば良いんでしょ!///」カオマッカ






雲雀達は観念し、自分たちが惚れたきっかけを話し始める。






雲雀「私は5年前かしら…」



雲雀「その時の私は、学校で友達がいなかったのよ。いつも教室の隅っこで、一人で過ごしてたの。」



雲雀「初めての学校で、クラスの子達と馴染めなくて毎日が憂鬱だったわ。」



一吹「雲雀ちゃんと仲良かった子達は皆違うクラスだったもんね。」



雲雀「その時は一吹とも離れちゃったしね。家に帰ればトシも一吹も、ついでにミサも居てくれたから寂しくなかったけど…」



三里「私はついでかい。」



雲雀「それでも、学校では心細かったわ。毎日誰も話しかけてくれないんだもの。」



雲雀「そのまま1か月経ったかしら、トシが教室に来たのよ。その日は午前中しか授業がなかったんだけど、急に『調理室に行こう』だなんて言うから付いていったわ。」



一吹&三里((あれ?それって…))




雲雀「でも調理室に着いたら真っ暗で、先生もいないから本気で悲しかったわ。遂にイジメられたと思ったもの。」



雲雀「泣こうとしたらその瞬間、調理室の明かりがついてクラスの皆と先生がクラッカーを鳴らしたのよ。『誕生日おめでとう!』って言いながらね。」



雲雀「確かにその日は私の誕生日だったけど、正直混乱したわ。それまで1度も話したことが無かったのに、急に皆から誕生日を祝ってもらってるんだもの。」



三里「それは確かに、私も混乱すると思う。」



雲雀「何が起きてるのか分からないままどういう事か聞いてみたら、トシが皆に『雲雀の誕生会をやろう』って声をかけてくれたらしいの。」



雲雀「それで、授業が終わったら急いで近くのコンビニにジュースとお菓子を買いに行って準備したんだって。」



雲雀「トシがプレゼントを渡してくれたんだけど、トシやアンタたちも含めた全員からの寄せ書きと大きな手作りのクマのヌイグルミだったわ。」



一吹「今でも大事にしてるやつだよね。」



三里「ヒデちゃんが急に寄せ書きを書けって言ったり、雲雀が巨大なクマと一緒に帰ってきたのはそーゆー事だったんだ。」



雲雀「後で聞いたんだけど、トシったら休み時間に一人ひとり声をかけていったらしいのよ。毎日息を切らしながら全員にね。」



雲雀「私が寂しいって部屋で呟いてたのを聞かれてたらしくて、それで企画してくれたみたい。」



雲雀「私が寂しくないようにって、自分の身長よりも大きいヌイグルミを1から手作りしたりしてくれたのがすごく嬉しくて…あとは分かるでしょ?///」



一吹「あのクマさんトシくんの手作りだったんだ!?」(´゚д゚`)



雲雀「きわめつけは、【お前はひとりじゃない。俺がいる限り、絶対にひとりにはさせないから心配するな。】って。///」



三里「そりゃあ惚れちゃうよね〜!」キャー



雲雀「ホラ!次は一吹の番よ!」カオマッカ






そう言って雲雀は促す。






一吹「もう逃げられないよね…。じゃあ話すよ?」



一吹「私はね、2年くらい前なんだけど…」



三里&雲雀「「((o(´∀`)o))ワクワク」」



一吹「トシくんとミサちゃんが中学校に上がって、学校で会えなくなったでしょ?」



一吹「それまでは家でも学校でもずっと一緒だったのに、それが当たり前の毎日だったのにそうじゃなくなった。」



一吹「学校には居ないし、家に帰ってきても勉強や部活が忙しかったりして話す時間も減っちゃって…」



雲雀「今だから言うけど、あの時は本当に寂しかったわ…」シミジミ



三里「アハハ、ゴメンね?(汗)」



一吹「ううん、しょうがないよ。それからしばらくして、トシくんがやってた部活の大会を見に行ったでしょ?」



三里「野球部の新人戦だっけ?」



一吹「そうそう。ゼッタイ活躍してやるーって言って意気込んで、最後はトシくんのホームランで試合決めちゃったんだよね!」



雲雀「よく覚えてるわ。帰ってきたら一吹が部屋に籠もって泣いてたもの。」



一吹「その時のトシくんがすっごくカッコよくて、試合のあとにコッチ見て【一吹、約束守ったぞ!】って笑いながら叫んでて…」



雲雀「え、あの試合結構広い球場だったし私達以外にもかなり観客席埋まってたわよね?」



一吹「うん。決勝戦だったし、世間は休日だったからほぼ満席だったよ?」



三里「私達は結構いい席で見てたけど、一吹はかなり離れた席だったからすぐには見つけられないと思うんだけど?」



一吹「私もそう思って、よく私のこと見つけたねって言ったら……なんて返ってきたと思う?」



一吹「【たとえどこに居ても、一吹のことは必ず見つけてやるから】って…///」



雲雀「それで…///」



三里「惚れたんだ?///」



一吹「うん///」



一吹「でもね、好きなんだって気づいたのはその後なの。」



三里&雲雀「「その後??」」



一吹「うん。何日かしてトシくんのことを街中で見かけたんだけど、チームのマネージャーさんと話してたの。」



一吹「トシくんもマネージャーさんも笑顔でね、それを見たときにすっごく胸の奥が痛かったの。」



一吹「どうして痛いのか全然分かんなくて、家まで走って帰ってきたけど痛みは治まらなくて、モヤモヤしてるうちにトシくんが帰ってきたの。」



雲雀「私なら飛び上がるわね。」



三里「私は手が出そうだよ。」



一吹「流石に手は出なかったけど、すっごくびっくりしたなぁ(汗)。でもトシくんの顔を見た瞬間に痛いのがなくなって、胸がポカポカしてきたの。」



一吹「それで気付いたの。私はトシくんの事が好きなんだって///」



三里&雲雀「「あんまぁあああぃ!!」」



三里「何これナニコレ!?///」



雲雀「聞いてるコッチが恥ずかしいわよ!!///」



一吹「はうぅ…///」プシュー



三里「よーし、今夜は思いっきり語ろうか!まだまだ夜はこれからだよ!!」



三里「夜は良いよね、夜はさ。」ギラリ






こうして、幼馴染であり恋敵の3人は明け方まで恋バナを続けるのであった。


            ・

            ・

            ・

ライバル


2月13日 08時30分 【血のバレンタイン】まであと26時間


しこたま飲んだ大人達が目を覚ますと、少しずつ昨晩の片付けを始める。起きてきた英寿も片付けようとするが、『主役に片付けさせる訳にはいかない』と断られてしまい一気に暇になる。






英寿「暇だな…。」



英寿「ミサ達はまだ寝てるし、どうしようかn」



チャッチャラチャチャチャチャチャッチャッチャ〜



英寿「ん?」






その時、英寿のケータイが鳴る。どうやら親友の武からの着信のようだ。



ピッ



英寿「もしもし?」



武『よう、起きてるか?もし暇なら、10時から一緒にキャッチボールでもしないか?』



英寿「キャッチボールか…。良いぞ。いつものグラウンドに10時だな?久しぶりに体動かすか。」



武『おう!じゃあ後でな!』ピッ



英寿「じゃあ着替えて準備するか。少し時間あるし、ラジオでもかけてよう。」ポチッ



ラジオ『…それでは昨日の艦船同時多発襲撃事件ついてです。』



英寿「襲撃事件?そー言えばそんなのあったなぁ。」



ラジオ『現場に最も近いパキスタン、韓国、北朝鮮は関与を否定し、アイフリード海賊団も関与を否定する旨の声明を出しました。』



英寿「アイフリードは本当だろうけど、他はどうなんだろうな…」



ラジオ『また、不確かな情報ではありますが〘クジラが火を吹いた〙〘海上に人が立っていた〙〘付近で謎の球体が飛び回っていた〙等といった目撃情報もあるとのことで…』



英寿「なんじゃそりゃ…?」ナゾダ



英寿「っと、そろそろ出ないと遅れちまうな。」バタバタ



英寿ママ「あらヒデ。どこか行くの?」



英寿「武とキャッチボールしてくるよ。昼はカロメ持ったから大丈夫。」



英寿ママ「あらそう。行ってらっしゃーい。」ノシ



英寿「行ってきまーす。」チリンチリン



三里「ふぁ〜、おはよ〜」ゴシゴシ



雲雀「ちょっと夜更しし過ぎたかしら…」ネムイ



一吹「ふたりとも、しっかり起きて!」






英寿が出発したタイミングで、三里達も起床する。ほぼ夜通し話していたせいで流石に眠そうだが、そうも言ってられない。何故なら






一吹「今日は皆でチョコ作る日でしょ!」コソッ



三里&雲雀「「!」」パチッ



三里「お母さん!ヒデちゃんは!?」



三里ママ「ついさっき武君とキャッチボールしに行ったわよ?お昼ご飯持って。」ウフフ



幼馴染's(でかしたぞ武!)グッ






そう。今日は皆で英寿へ渡すチョコを作る予定なのだ。もちろん英寿には内緒にしてあるため、なんとかして英寿を家から遠ざける必要があったのだがタイミング良く武が英寿の事を呼び出してくれた。

あの2人のことだ、日が暮れるまで帰ってこないだろう。これは好都合である。






三里「2人は何作るか決めてるの?」



雲雀「私はチョコケーキを作るつもりよ。」



一吹「ホワイトチョコのアイスに挑戦してみようかなって。ミサちゃんは?」



三里「フッフッフ…、今年の私は一味違うよ?」



三里「なんと!これを使います!」スッ



雲雀「…え?」ヒキッ



一吹「流石にそれは…(汗)」



三里「ブラックペッパ〜!」cv.フルキヨキアオタヌキ



一吹「ミサちゃん、もしかして寝不足でハイになってるのかな?」コソッ



雲雀「バカなだけでしょ」ズバッ



三里「失礼だなぁ!ちゃんと美味しいって言ってたよ!」ヽ(`Д´)ノプンプン



雲雀「誰が?」



三里「しいなだよ。」



一吹「…誰?」



三里「忍者同好会の藤林さんだよ。よく穴とかマンホールに落ちてる人。見たことあるでしょ?」



雲雀「確かに、しょっちゅう工事中のマンホールとかに落ちてる人を見るけど…」



一吹「あ~、確かによく『嘘だろ〜!?』って叫びながら穴に落ちてる人いるね。」



三里「その人で合ってるよ。」



後輩's((すっごく不安なんだけど…(汗)))



三里「でも藤林さんて料理は結構上手だし、実際に食べさせてもらったけど案外イケルよ?」



一吹「えぇ…ホントに?」



雲雀「まぁアンタがそれで良いなら…」



三里「よーし!作るものも決まったし、材料はもう買ってある!」



三里「皆で美味しいチョコを作るぞー!!」



後輩's「「オー!!」」






こうして、幼馴染達のチョコ作りが始まる。因みに、英寿は毎年貰っているのだが義理チョコだと思い込んでいる。


            ・

            ・

            ・


2月13日 10時30分 【血のバレンタイン】まであと24時間


英寿は河川敷のグラウンドで武と合流し、キャッチボールを始めていた。お互い久しぶりにボールを握るので、少しずつ肩を慣らしていく。






英寿「会うの久しぶりだけど、元気してたか?」シュッ



武「おぅよ!俺はいつだって元気だぜ!」バシッ



武「お前こそ、最近は張本達と工作室に籠もってたけど何してたんだ?」シュッ



英寿「ある作業を手伝ってもらっててな。」バシッ



英寿「雲雀達の進学祝いに渡すプレゼント作ってたんだよ。」シュッ



武「進学祝い?…そっか、あの子達ももう中学生になるのかぁ。」バシッ



武「俺達だってもうすぐ高校生だもんな。」シュッ



英寿「近所のガキ大将だったお前が高校生ねぇ。」バシッ



英寿「俺達も、なんだかんだで10年もつるんでるだな。」シュッ



武「随分長い付き合いだよな。お前はもう進学先決まったのか?」バシッ



武「因みに、俺は第3高校に行くことにしたぞ。」シュッ



英寿「マジかよ、野球の強豪校じゃん。」バシッ



英寿「俺は家から近い第7高校に合格したよ。」シュッ



武「でもあそこって野球はそこそこだろ?」バシッ



武「お前なら、俺と同じ第3高校でもやれるんじゃないのか?」ピタッ






そう言って武はキャッチボールを中断する。実際、武と英寿は同じ中学の野球部では武が投手、英寿が捕手の黄金バッテリーとして名を馳せており、将来を期待されていた。それだけに、武は何故英寿が強豪校に進学しないのか不思議だった。






英寿「理由は2つあるんだ。」



武「2つ?」



英寿「1つは、第3高校には俺が希望する学科が無いこと。」



英寿「もう1つはお前だよ、武。」



武「学科の事は分かるけど、何でそこで俺が出てくるんだ?」ハテ?



英寿「お前とはずっと一緒に野球をしてきた。正直、高校でも一緒にやりたい気持ちはあったよ。」



英寿「でも、それと同じくらい、お前のいるチームと試合をしてみたいとも思ったんだ。」



英寿「相棒としてではなく、ライバルとして競い合いたいんだ!」



武「ライバルとして…!」ウズッ






親友であり相棒である英寿が、自分の事をライバルとして意識してくれている。実際、武自身も英寿に対してそういった感情が無かったわけではない。仲間ではなく倒すべき相手として、お互いに本気で勝負したらどうなるのかと中学3年間で何度も考えていたのだ。

それが今、実現しようとしている。熱いハートを持つ武が燃えない訳がない。






武「よぉし、高校では俺達はライバルだ!絶対に負けないぜ!?」ゴォォ!!



英寿「何言ってる、勝つのは俺だよ!」ゴォォ!!



武「そうとなりゃ、早速特訓だ!久しぶりに受けてくれよ!」フンス!



英寿「っしゃこーい!!」カモン!






長年の相棒から競い合うライバルへ、2人はグラウンドでの再会を誓い熱く燃えていた。そして、軽いキャッチボールはいつの間にか激しい特訓に変わっていくのだった。


            ・

            ・

            ・


2月13日 13時30分 【血のバレンタイン】まであと21時間


英寿達が心を熱く燃やしているなか、三里達はチョコを物理的に燃やしてしまっていた。

…主に雲雀が。






雲雀「あれ?なんか私のチョコが燃えてるんだけど!?」メラメラ



三里「すぐに水かけなきゃ!」バシャー



一吹「雲雀ちゃん大丈夫!?」



雲雀「私は大丈夫だけど…2人は火傷とかしてない?」



一吹「私は大丈夫だよ。」



三里「こっちも大丈夫だよ。でも何でチョコが燃えてたの?」



雲雀「早く溶けるように油かけて直接バーナーで…」



一吹&三里「「そりゃ燃えるよ!!」」( ゚д゚ )クワッ!!



三里「チョコは直接火にかけると焦げるし味も悪くなるから、湯煎するんだよ。」



雲雀「ユセン?」



一吹「ちょっと待って、雲雀ちゃん去年までどうやってチョコ溶かしてたの?」



雲雀「レンチンよ。」



三里「なんで今回に限って直火なのさ?」



雲雀「ケーキって時間かかりそうだから、溶かすのは手早くやろうと思って…」



一吹「焦っちゃだめだよ。」



三里「ほら、湯煎のやり方教えるからこっちおいで。材料も多めに用意してあるからさ。」チョイチョイ



雲雀「…ありがと。」



三里「まずはチョコを…」



雲雀「…あ、ホントだ。ちゃんと溶けてる。」



一吹「さて、私も頑張らなくっちゃ!」エーットツギハ…



三里ママ「フフッ。若いって良いわねぇ。」ホッコリ



雲雀ママ「あの子も、不器用なりに頑張ってるわね。」フフッ



三里パパ「そーいえばよ、昨日の襲撃事件はどうなったんだ?」





片付けが一段落し、娘達の様子を見ていたところでふと思い出したように三里パパが口を開く。一晩経った今でもニュースで取り上げられており、やはり気になるところだ。






英寿ママ「さっき現場周辺の国とアイフリード海賊団が『自分達はやってない』って発表してましたね。」



一吹パパ「ホントかねぇ?」



雲雀パパ「アイフリードに関しては嘘ついちゃいないみたいだぞ?」



雲雀ママ「どうして?」



雲雀パパ「バンエルティア号は3日前にレウァールに寄港したままだからさ。」






ここエデンは島国であるが、決して小さな島ではないため全部で8つの区画に別れており、すべての区画に港がある。


1番街…アーモリーワン


2番街…ニバンボシ


3番街…ドーントレス


4番街…カトルバジーナ


5番街…ゲインズブール


6番街…ゼクスバロン


7番街…インダストリアルセブン


8番街…レウァール


とそれぞれ名称がある。因みに、英寿達が住んでいるのは7番街のインダストリアルセブンである。






一吹パパ「そーいや、一昨日昼飯を食べるのに定食屋に入ったら、副船長のアイゼンを見かけたな。」



雲雀パパ「昨日だって、チャット君とパティちゃんが物資を調達する為に街中を走り回ってたぜ?」



英寿ママ「確かに、ずっとここに居たなら襲撃はできないわね。」



三里ママ「でも何でエデンにいるのかしら?見た目が怖いだけで良い人達だから居るのは別に構わないけど。」



雲雀ママ「アナタ、何か知らない?」



雲雀パパ「人伝に聞いた話だと、船が大破しちまったらしい。」



三里パパ「なんでまた?」



一吹パパ「定食屋で相席だったアイゼンから聞いたんだが、どうやらバンエルティア号も襲撃されたらしい。」



三里ママ「バンエルティア号“も”ってどーゆーこと?」



一吹パパ「ニュースでもちらほら言ってるけどさ、見たことの無い【何か】に襲われたんだってさ。」



雲雀パパ「〘火を吹くクジラ〙とか、〘海上に立ってる人〙とかってやつか?」



雲雀ママ「でもニュースでは不確かな情報だって…」



一吹パパ「アイゼン本人も似たようなものを確かに見たっていうんだ、間違いないだろう。」



三里パパ「…なんだか嫌な予感がするな。」



英寿ママ「やめてよ、縁起でもない。」



三里ママ「そうよ、ただでさえアナタの予感は当たるんだから。」



雲雀ママ「暗い話はやめましょ、娘達に心配かけたくないわ。」



雲雀パパ「今年はみんな進学してめでたいんだ、暗い話題は避けよう。」



一吹パパ「そうだな、今は娘達のハプニングキッチンを見守ろう(笑)」



幼馴染's「「「ギャーッ!?」」」ボンッ



三里ママ「毎年やってるのに、毎年爆発するのよね(汗)」ニガワライ






大人達の心配をよそに、娘達はチョコ作りに奮闘する。


            ・


            ・


            ・



2月13日 15時00分 【血のバレンタイン】まであと19時間30分



英寿「ふぅ〜、流石に休憩しようぜ。」ツカレタ



武「確かに…だいぶ…疲れたな…」ゼエゼエ



英寿「ずっと全力じゃ、そりゃ息も上がるだろ…(汗)」






あれからずっと特訓をしていた英寿と武。昼食も摂らずに動いていた為腹ペコである。






英寿「俺はカロメあるけど、お前昼飯は?」



武「俺は…アレがある…」ゼエゼエ



英寿「まさか…?」



武「チョコビだぜ!!」テッテレー



英寿「やっぱりな。」



武「ただのチョコビじゃないぞ。カルシウムとプロテイン配合の“タフネスチョコビ”だ!」



英寿「お、新作?」モグモグ



武「オゥ!最近出たヤツなんだが、なかなか美味いんだこれが。」バリボリ



英寿「少しくれよ。」



武「おう!」つチョコビヒトツカミ



英寿「サンキュ。」



武「そのカロメは何味なんだ?」



英寿「ポテト味だ。一本食うか?」



武「ポテト味はまだ食ったことないな。1つくれよ。」



英寿「ほい。」つカロメ



武「ありがとよ!」



??「あっ!先輩たちでやんす!」タッタッタ



??2「ホントだ。先輩方〜!」タッタッタ



英寿&武「「ん?」」クルッ



瓶底眼鏡「お久しぶりでやんす!」



野球帽「お久しぶりです!先輩たちもキャッチボールですか?」



武「瓶底眼鏡に野球帽じゃないか。俺達はさっきまで特訓してたから、今は休憩中だぜ!」



英寿「お前たちもキャッチボールしに来たのか?それにしちゃ矢部の荷物がデカイが。」



瓶底眼鏡「これは今日発売した1/60ガンダーロボでやんす!さっきようやく買えたんでやんす!」



武「そーいやCMでやってたな。」



野球帽「瓶底眼鏡君たら昨日の夜から並ぼうとしてたんですよ?」アキレ



瓶底眼鏡「ガンダーロボのファンなら当然でやんす!」フンス!



英寿「ブレねぇなぁ…(汗)」






英寿達が休憩したところで、後輩の瓶底眼鏡と野球帽がグラウンドに入ってくる。どうやら瓶底眼鏡の買い物の帰りにキャッチボールをしようと思ったところ、英寿達を見つけたようだった。






英寿「最近調子はどうだ?」



瓶底眼鏡「絶好調でやんす!ここ5試合で盗塁10個でやんす!」



野球帽「オレも最近は調子が良いですね。この間遂にホームラン打ちましたよ!」



武「お前らスゴイじゃないか!」



英寿「これなら第7中学の野球部も安泰だな。」



野球帽「まだまだ先輩達には敵いませんよ!」アセアセ



瓶底眼鏡「そうでやんす!オイラ達はまだ未熟でやんす!」



武「なら、これから一緒に特訓しないか?」



野球帽「良いんですか?」



英寿「大歓迎さ。人数が増えればそれだけいろんな事ができるし。」



瓶底眼鏡「オイラも特訓するでやんす!」



英寿「瓶底眼鏡がこんなにやる気満々なのは珍しいな。ガンダーロボ効果か?(笑)」



瓶底眼鏡「それもあるでやんす!でもオイラ達には最近目標ができたでやんす!」



武「目標?」



野球帽「はい!オレ達、今度のパワフェスに出場するんですよ!」



英寿&武「「マジか!?」」



野球帽「そこで優勝するのが、今の目標です!」



武「俺たちも出ようぜ、英寿!」



英寿「事前申込みの期限過ぎてるよ…(泣)」



武「ガーン…」



野球帽「当日の申込みもできるみたいですよ?」



瓶底眼鏡「それに間に合えば出れるでやんす!」



英寿&武「「ッシャア!!」」



瓶底眼鏡「相変わらず息ぴったりでやんす(汗)」



野球帽「明後日の10時にパワフェスの船、QOF(クイーンオブフェスティバル)号が港に来るみたいなので、それに乗れば申込みできますよ。」



英寿「よっしゃ!明後日に向けてみんなで特訓だ!」



武「7中〜、ファイッ!」



全員「「「「オォー!!」」」」






こうして、4人での特訓が始まる。特訓は日が暮れるまで続き、当日にインダストリアルセブンの港で待ち合わせをして解散した。


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2月13日 18時00分 【血のバレンタイン】まであと16時間30分


あれから数時間、チョコ作りに苦戦していた幼馴染達だったが…






三里「できた〜!」



一吹「あとは冷凍庫に入れるだけ…!」



雲雀「ここまでくれば、明日の朝イチで焼くだけね!」



三里ママ「よく持ち直したわね!?」Σ(゚Д゚)



雲雀ママ「ホントによく完成させたわ…(汗)」



一吹パパ「毎年よく完成まで行けるなぁ。」(゜o゜;






…なんとかなったようである。先程の様子からは想像もできないような仕上がりに、親達も驚きを隠せない様子だ。しかし、うかうかしてはいられない。もうすぐ英寿が帰ってくるため、急いで片付けて夕食の準備を始めねばならない。






三里ママ「さてと、すぐに夕飯作らなくちゃ。焼き魚と和え物、それと冷奴でいいかしら?」テキパキ



雲雀ママ「それじゃあこっちでご飯炊くわね。」テキパキ



一吹パパ「味噌汁は任せてくれ。」テキパキ



幼馴染's「「「負けた…」」」ガクッ orz



雲雀パパ「ほら、みんなその間にお風呂済ませてきな。」



三里パパ「片付けはこっちでやっておくからさ。」



幼馴染's「「「はーい。」」」スタスタ



英寿「ただいま〜…」ツカレタ






夕食の準備が進んでいく中、英寿が帰宅する。まる一日特訓漬けでさすがの英寿もヘトヘトのようだった。






英寿ママ「お帰り。随分遅かったわね?」



英寿「途中で後輩達に会ってね、今まで皆で特訓してたんだよ。」



英寿ママ「特訓?そんなに本気になってどうしたのよ?」



英寿「俺達、パワフェスに出ようと思うんだ!」



大人達「パワフェス!?」Σ(゚Д゚)



三里パパ「パワフェスって、あのパワフェスか!?」



雲雀ママ「でも何で急に?」



英寿「瓶底眼鏡と野球帽が出るらしくてね。個人での当日エントリーも受け付けてるみたいだし、それなら俺たちも出ようって思ったんだ。」



一吹パパ「年齢制限とかは無いのか?」



英寿「そこは大丈夫だと思う。高校生どころか、過去には小学生チームが参加したこともあるくらいだし。」



英寿ママ「仮に出場するとして、会場までの移動手段はどうするの?」



英寿「今回は船の上で開催するらしくて、そのための船が世界中を回って参加者を乗せるみたい。ここに船が来るのは明後日だってさ。」



英寿「いつか出たいと思ってたパワフェスに出られるまたと無いチャンスなんだ。お願い、行かせてよ!」orz






そう言って頭を下げる英寿。大人達は困惑していたが、英寿がパワフェスに出たいと言っていたのは知っていた。野球を始めたときから「パワフェスに出たい」と言っていたので、応援したい気持ちもあるが心配な部分もあるのだ。






雲雀パパ「…本気なんだね?」



英寿「もちろん!」



三里ママ「怪我だけはしないでよ?」



英寿「わかってるよ。」



英寿ママ「なら頑張ってきなさい!」



一吹パパ「応援してるぞ!あ、有名な選手に会ったらサイン貰ってきて。」



英寿「ありがとう!じゃあ明日は必要なものを買いに行かなきゃ。」



英寿「よし!そうと決まれば今日は早めに寝よう。風呂入ってくるね〜。」バタバタ



ママ's「「「アッ!今はダメよ!!」」」



英寿「掴め〜、描〜いたゆ〜めを〜♪」ガチャッ



幼馴染's「「「えっ…?」」」マッパ×3



英寿「…あっ」マッパ



イヤァアアアアアアアアア



英寿ママ「遅かったか…」






何も考えずに風呂に直行する英寿を母達は止めようとするが、間に合わなかった。何も考えずに風呂場のドアを開けた英寿は、絶賛入浴中の幼馴染達とお互いに全裸の状態で鉢合わせてしまったのだ。当然、みんなで仲良くお風呂ターイム♪






一吹「キャアアアア!!///」バチーン!



英寿「あべし!」



雲雀「沈みなさい!!///」バチーン!



英寿「ひでぶ!」



三里「バカァアアアア!!///」メシャア!



英寿「たわば!」



幼馴染's「「「早く出てって〜!!///」」」ゲシッ×3



英寿「そげぶぅぅぅ!」ドンガラガッシャーン!!



ママさん's「「「またか…」」」



英寿ママ「…あの子生きてるのかしら?」



英寿「」チーン






…とはならなかった。一吹に右頬、雲雀に左頬を思い切りビンタされてから三里には顔面の中央に右ストレートをもらい、最後には全員に蹴り出された。流れるような連携である。

尚、数日に一回はこんな事があるので親達はいつしか慣れてしまっていた。


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2月13日 20時30分 【血のバレンタイン】まであと14時間


風呂場ではアクシデントがあったものの、なんとか一家全員が入浴を済ませ夕食の時間である。因みに、英寿は意識が戻るまでタオルをかけた状態で廊下に放置されていた。






英寿「前が見えねぇ。」ガンメンカンボツ&アカイテガタ×2



雲雀「ノックしないアンタが悪いのよ。」モグモグ



三里「そーだそーだ!」ヽ(`Д´)ノプンプン



一吹「これは庇えないなぁ…(汗)」



英寿「スンマセン、ぐうの音も出ません。」



英寿ママ「てか、アンタその顔の状態でどーやって食べてんの?」



英寿「さぁ?なんだかんだで食えてる。」モグモグ



三里パパ「あっ、ママお醤油取って。」



三里ママ「はい。」っ醤油



一吹パパ「おい、この間の健康診断引っかかったの知ってるぞ。」



雲雀ママ「全員ね。」



パパさん's「ギクッ」



三里ママ「なら没収。」ヒョイ



パパさん's「「「」」」ガーン



英寿ママ「明日から味付けは薄くしましょう。」モグモグ






そこにはいつもの夕食の光景があった。違ったのは、英寿の顔面が陥没していたことと、働く父達の減塩生活が決定したことくらいであろうか。






英寿「ごちそーさま。」



三里「アレ?今日は食べるの早くない?」



英寿「明日は朝早いからな。」



一吹「明日って何か予定あったっけ?」



英寿「明日は朝から買い出しに行くんだよ。」



雲雀「買い出し?」



英寿「まだ言ってなかったっけ?パワフェスに出る話。」



幼馴染's「「「初耳なんだけど(だよ)!?」」」ガタッ



英寿「今回のパワフェスに滑り込みで出場s」



三里「昨日までそんなこと言ってなかったじゃん!」



英寿「今日決めたんだよ。」



雲雀「もしかして、急に決めたから明日買い出しに行くの?」



一吹「てことは…明後日辺り開催だったりして」マサカネ…



英寿「お、一吹正解。さすが優等生。」ナデナデ



一吹「エヘヘ///」ニヘッ



三里&雲雀「「ムッ」」(# ゚Д゚)



英寿「それじゃ、ちょっと早いけど俺は部屋に戻るよ。おやすみ〜。」ガチャッパタン



大人達「「「おやすみ〜。」」」ノシ






そう言って英寿は使った食器を手早く洗い、部屋に戻って行く。そして、英寿の姿が完全に見えなくなったところで…






雲雀「…ズルい。」ボソッ



一吹「え?」



雲雀「ズールーいー!!」ウガー!



雲雀「私だってやってほしいのにー!」



三里「あたしにはもうやってくれないんだよ!?(泣)」



一吹「私に言われても!?」Σ(゚Д゚)



雲雀「ムッキー!!」ユッサユッサ



三里「裏切り者ぉ〜!」ユッサユッサ



一吹「あうあうあうあう」メガマワル…



ギャーギャーキャイキャイ



三里ママ「アラアラ。」



雲雀ママ「皆ホントに英寿君のこと好きね〜。」



一吹パパ「やっぱりウチの娘はトシくんにしかやれんな。」キリッ



雲雀パパ「激しく同意。」キリッ



三里パパ「ヒデちゃんしかいないな。」キリッ



英寿ママ「あの子は…(汗)」マッタク…






ヤキモチを妬いた幼馴染達の争いと、それを見守る親達の光景があった。なんとも微笑ましい、平和な一時であった。


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質問


2月13日 21時30分 【血のバレンタイン】まであと13時間


部屋に戻り、すぐに準備できるものと買い出しが必要なものとを確認していた英寿の電話が鳴る。






チャッチャラチャチャチャチャチャッチャッチャ〜



英寿「ん?この番号誰だっけ?」ピッ



英寿「もしもし?」



??「ヘーイ!トッシー?」



英寿「その声は…金女(かなめ)さん?」



??→金女



金女「そうデース!お久しぶりネー!」






 電話の相手は剛田金女(ごうだかなめ)。親友である武の姉だった。英寿達とはやや歳が離れているが、子供の頃はよく遊び相手になってくれていた。暫くイギリスに留学していたのだが、数日前に帰ってきたのだ。






英寿「どうしたんですか、突然?番号も変わってるみたいだし?」



金女「番号に関してはSorryね。実は昨日ケータイを壊しちゃってネ〜、新しいのを買ったときに番号が変わったヨ!」



英寿「そうだったんですね。じゃあこの番号でまた登録しておきますよ。」



金女「サンキューネー!それよりも、武に聞きましたヨ〜。パワフェスに出るってホントデース?」



英寿「あっ、もう聞いてるんですね?そうなんですよ。俺と武、それと7中のみんなで出るんです!」



金女「ワオ!またトッシーのカッコイイところを見れるんデスネ!?」



金女「蓮も誘って応援しに行きマース!絶対に優勝してくださいネ〜!?」



英寿「ありがとう金女さん!二人が応援に来るなら負けられませんね!!」



金女「その意気デース!バーニングゥ…ラァーヴ!!」



英寿「アハハ…(汗)」






 実は金女、英寿にゾッコンである。英寿とは10歳近く歳が離れているのだが、乱暴者だった武相手に一歩も引かず更生させた度胸と誰かの為に本気になれる優しさに気付き、英寿が小さい頃からすっかり惚れてしまっているのだ。…英寿には中々気付いてもらえないが。






金女「Oh、もうこんな時間ね〜。遅くにTELしちゃってSorry。」



英寿「いえ、むしろ緊張が解れましたよ。本当にありがとう金女さん。」



金女「なら嬉しいネー!それじゃあトッシー、グッナイ♪」



英寿「おやすみなさい、金女さん。」ピッ



英寿「ふぅ…。」



テクテク



英寿「…ん?」



テクテク



英寿「何だあれ?…小人?」



小人?「!」






 金女との電話が終わり、一息ついた英寿は何かと目が合う。小人のようにも見えるが、最近の小人はセーラー服を着ているのだろうか。






小人「」テクテク



英寿「こっち来た…。」



小人「」ペコリ



英寿「あ。ど、どうも…?」ペコリ



小人「」ジー



小人「( ̄ー ̄)bグッ!」サムズアップ



英寿「( ̄ー ̄)bグッ!」サムズアップ



小人「ヽ(=´▽`=)ノ」ピョンピョン



英寿「ヽ(=´▽`=)ノ」ピョンピョン



小人「エヘヘ」ニコニコ



英寿「?」



小人「キミニキメタ!」∠( ゚д゚)/



英寿「…もしかして気に入られたのかな?」



小人「ソウ!」



英寿「あ〜…、ありがとう…?」



小人「ドウイタシマシテ!」ニコニコ






 どうやら英寿は小人に気に入られたようだった。今まで15年生きてきたが、さすがに小人と会話したことは無かった。しかし気に入られた事に関しては悪い気はしない。






小人「ソッチニイッテモイイ?」



英寿「いいよ、おいで。」テヲサシダシ



小人「ワーイ!」ピョン



小人「ヨイショ、ヨイショ。」ヨジヨジ



英寿(お、登ってきた。)



小人「フー、ノボリキッタ。」



小人「キミノソバハイゴコチガイイネ!」キラキラ



英寿「そう?」



小人「ウン!」



英寿「それは良かった。」



小人「エヘヘ///」スリスリ



英寿(カワイイ)



小人「ネェネェ。」



英寿「ん?」






 小人は英寿の肩に登り、頬ずりしてきた。大層気に入られたようである。とても可愛らしいが、次に小人が発した言葉はとんでもないものだった。






小人「キミハセカイヲスクッテクレル?」



英寿「…え?」



小人「ヘンジハイマスグジャナクテイイ。デモ、キミナラキットデキル。」



小人「ソノムネニアルアカイイシコソガ、ナニヨリノショウコダヨ。」



英寿「コレの事か?でもなんで?」チャラッ



小人「イマハソレシカイエナイシ、ワタシニモソレイジョウハワカラナイ。」



英寿「??」






 小人はそう言って英寿の胸元にある赤い石がはめられた首飾りを指差していた。英寿はなぜこれが証拠になるのか分からなかったが、小人の言葉に嘘や偽りは感じなかった。






小人「ソレニ、モウスグジンルイハタメサレルコトニナルンダ。」



英寿「試される…?」



小人「ハメツカ、サイセイカ…」



英寿「破滅?再生?」



小人「モウスグワカルヨ。デモ、キミノコトハワタシガマモルカラ。」



英寿「一体何のこと!?」



小人「ハナシテタラナガクナッチャッタネ。アシタモハヤインデショ?キョウハモウネヨウ。」モゾモゾ



英寿「えっちょっ!?」



小人「オヤスミ〜」



英寿「待っ…」



小人「」( ˘ω˘)スヤァ



英寿「えぇ…?(汗)」






 小人は言うだけ言って英寿のベッドに入り眠ってしまった。時計を見ると間もなく夜の10時である。小人の言葉は気になるが、肝心の小人は起きそうもないので英寿もベッドに入り寝ることにした。


            ・

            ・

            ・


2月14日 02時30分 【血のバレンタイン】まであと10時間


三里「うぅぅ…」



一吹「あぁ…!」



雲雀「っぐ…ぅ」






 3人は同じ夢を見ていた。夢とはいっても、魔法が使えたりお菓子の国で暮らしたりといったものではなかったが。

そこは、海の上だった。自分の周りにはたくさんの人がいて、共に大海原を駆けていた。どうやら自分たちは海に浮かぶ艦(ふね)で、共にいるのは乗組員だった。その仲間達と共に、ただひたすら前進した。たった一つの目的を胸に抱いて。











        御 国 の 為 に











 それこそが全てだった。それ以外は必要なかった。


 そこで、突然場面が切り替わる。右も左も敵、敵、敵。祖国のため、勝利のために敵を討つ。しかし敵は減るどころかどんどん増えていき、自分たちの仲間が減っていく。一人、また一人と爆炎と鉄の雨の中に消えていった。


 やがて、自分の身体も燃えていくのが分かった。燃えながら傾き、軋み、動かなくなっていき最期の時なのだと悟る。周囲ではまだ戦おうとする者、故郷に残した家族の無事を願う者、死にたくないと泣き嘆く者、すでに動かなくなった者、生きたまま焼かれていく者、肉片しか残っていない者。そんな仲間たちの顔を見ることしかできず、ただ沈んでいく。


護れなかった…

勝てなかった…

救えなかった…


そんな思いとともに、深くて暗い海の底に沈んでいく…。






三里「うわぁ!?」ガバッ



一吹「きゃあ!?」ガバッ



雲雀「いやぁ!?」ガバッ






 そこで3人とも目が覚めた。周囲を見渡し、見慣れた自分の部屋にいる事と自分が人間である事を再確認できたところで安心するが、気分は最悪だった。息は乱れ、身体は震えと冷や汗が止まらない。

愛しい人からの贈り物である首飾りを握りしめると、それはほんのりと熱を帯びており、それが温かく身体を包み気分が幾らか軽くなった。






幼馴染's「「「あ…」」」ガチャ






外の空気を吸いに行こうと、着替えて部屋から出たところで3人は顔を見合わせる。同じ時間に、同じタイミングで、同じ顔色をして出てくれば何事かと思うだろう。






三里「もしかして…」



一吹「みんな…」



雲雀「同じ夢を見たの…?」



三里「自分が艦で…」



一吹「海の上で戦って…」



雲雀「沈んでいった夢…」



幼馴染's「「「…」」」






 信じられなかった。いったい自分たちはどうしてしまったのか…

そんな思いをよそに、3人の目の前に小人のような何かが現れた。






小人?「ヤァ」ノシ



三里「…まだ寝ぼけてるのかな?目の前に小人が見えるんだけど…」(つд⊂)ゴシゴシ



一吹「えっ、ミサちゃんも見えるの?」



雲雀「私も見えるわ…」



小人「ミンナツイテキテ」テクテク



幼馴染's「「「??」」」テクテク





 小人に誘われるまま、3人は後をついていく。家を出てからしばらく小人を追うと、いつの間にか噴水公園まで来ていた。そこには3人の他にも、多くの人が小人と共に集まっていた。そのほとんどが見知った顔であり、互いに面識があった。






三里「あれ?同じクラスの神崎(かんざき)さんと中山(なかやま)さん?」



中山志穂(しほ)「あ〜!三里ちゃんと双葉(ふたば)ちゃんだ〜!!」ダキッ



双葉「川中さんに中山さん?どうしてここに?」シホチャンアツイデス



三里「なんか小人?に呼ばれて…」キュウニダキツクナ



志穂「ワタシも〜」



双葉「私もです…。」



夕実「アレ?理沙さんも?」



理沙「夕実も呼ばれて来たんですか?」コンバンハ!



夕実「そーだよー。」



蓮「金女じゃないか。」



金女「蓮も来たデスカ?」



蓮「あぁ、ちっこいのに呼ばれてな。」



金女「ワタシも同じデース。こんな事ってあるのカナ〜?」



彩葉「おや?谷本(たにもと)先輩じゃないですか。もしかして夜遊びですか?」ニシシ



谷本鈴愛(すずめ)「鈴愛を何だと思ってんの?テンション下がるぅ〜(泣)」(╥﹏╥)



翔子「あら?貴方は香川(かがわ)家御令嬢の…」



岬(みさき)「岬です。先日は弓の御指導ありがとうございました。」ペコリ



翔子「いえいえ、出しゃばった真似をしてしまいました。貴方も呼ばれて?」



岬「翔子さんのおかげで、矢が思い通りに飛ぶようになりました。私も小さな人?についてきたのですが…」



雲雀「あら?立川(たちかわ)さんと雨宿(あまやどり)さんじゃない。」



一吹「ホントだ、夕(ゆう)ちゃんと時音(ときね)ちゃんだ!」オーイ(^^)/



夕「一吹ちゃんと雲雀ちゃんっぽい!」



時音「こんな時間に何を…って、僕らが言えたことじゃないか。」



??「こうして見ると結構な人数やなぁ。」



蓮「龍子(たつこ)さん?」



城ヶ崎(じょうがさき)龍子「おう。なんやちっこいのに呼ばれたんで、ウチも来たったわ。」



鈴愛「自分だって色々ちっこいじゃ〜ん。子供がこんな時間に出歩いたらダメでちゅよ〜?(笑)」



龍子「お前だけ、今度からどのたこ焼きも代金3割増な。」(#^ω^)



鈴愛「ちょっ、冗談だから!ゴメンてば〜!!(泣)」



小人達「「「ミナサンアツマッタミタイデスネ。」」」






 こうして十数名が集まり、互いにこの場にいることについて言葉を交わしていたところで小人達がそれぞれ口を開く。






小人A「コンナニオソイジカンニヨンジャッテゴメンネ?」



夕「抜け出すの苦労したっぽい!」



小人B「モットオオゼイニアツマッテホシカッタケド、キミタチダケデモキテクレテヨカッタヨ。」



岬「いったい何人に声をかけたのかしら。」ヤヤアキレ



小人C「デモ、ジカンガナインダ。」



双葉「時間が無い…?」



小人D「スベテハキミタチニカカッテイルンダヨ!」



彩葉「…もしかして、《スクープ発見!》のテンションじゃ許されない感じですか?」



小人E「タダノスクープナラドレダケヨカッタカ…」ウツムキ



蓮「話してくれ。その為に私達を呼んだのだろう?」



小人F「ソウダネ、ホンダイニハイロウカ。」ゴホン



小人達「「「マモナク、コノセカイニオオキナワザワイガオトズレマス。」」」



小人達「「「ソシテ、ソノワザワイカラセカイヲマモレルノハ、アナタタチシカイマセン。」」」



小人以外「「「「「ハァ!?!?」」」」」Σ(゚Д゚)