2021-11-16 07:33:06 更新

概要

注意事項

エロ本よ

この物語は18禁です
この物語はフィクションです
実在の氏名、団体、あとなんやかんやとは一切合切関係がありません
また、すべてのエロい人達の為に理想と現実の区別は付けてくださいね
まぁ、現実なんてしょーもないものだけど一応ね




放課後の帰り道


夕日を背に受けながら、あなたは彼女と二人並んで歩いていた

それらしくも、勉強の話や、友人関係、彼女の些細な悩み事を聞きながら


手を繋いでみたりして


胸がドキドキする


けど、悪い気はしなかった

告白した時に比べればこのくらいはなんて事はないし

そのおかげで、今は彼女の笑顔を独り占めできている


「ぁ…」


面倒に思っていた通学路は二人で歩けばすぐだった

分かれ道に差し掛かると、寂しげな声が彼女の口から漏れ、戸惑いながらも繋いだ手が離れていく


それじゃあとか、また明日とか、学校で…

きっと明日もまた、この分かれ道で朝から合うことになると思いながらも手を振りあって


別れ際、彼女が一つ背伸びをすると唇が重なり合う


キス…初めての、彼女との触れ合い

突然のことに目を丸くした あなたは、気付けば赤くなった彼女の顔を見下ろしていた

いつかはと、当然考えてはいたけれど

少し前まで、手を繋ぐことも恥ずかしがっていた彼女にしては、随分と大胆な行為に思う


「あの…わたし、頑張るから。もうちょっとだけ、待ってて…」


もじもじと、照れくさそうに伝えてくる精一杯の勇気

その言葉の意味に重なる行為に、あなたの欲望は期待を寄せて

お腹の奥で、熱いものが集まってくるの抑えるのも大変だった


「じゃ、じゃあね…っ!」


今度は逃げるように手を振って、彼女は路地の向こうに消えていく

そこから数分も歩けば彼女の家で、見送りもそこそこに済ませると

踵を返した あなたは足早にその場を立ち去った


逃げるように


照れ隠しでもなく、彼女からでもなく、それでもついてくる何かから



ひたひた…


ぺたぺた…


ひたひた…


ぺたぺた…



「ねぇ?」


その声は唐突に聞こえてきた


夕焼けの帰り道


お家に帰るまでの長い長い一本道


不思議なほど静かで、不思議なほど真っ赤で


一人っきりの帰り道がやけに遠い


後ろから聞こえてくる誰かの足音、足を早めるほどに大きくなる何かの気配


あなたは堪らず、家とは違う道へ逃げ込んでいた

それは恐ろしい。それが自分の家にまでついてくると考えるのが恐ろしい

その足が、なにかの拍子に 彼女の家に向かってしまうのが恐ろしい


そんな想像をさせる何かが、自分の背後に迫ってきているのが恐ろしかった


なるべく早く、なるべく遠くに


急ぐほど、ガチャガチャとがなり立てる鞄の金具

走るほど、苦しくなる呼吸は、疲れとはまた別の息苦しさに胸が締め付けられる


ひたひた…


ぺたぺた…


怖い


そう、単純に怖い


あなたがどれだけ走っても、その足音だけは じっとりと、変わることなくついてくる


ひたひた…


ぺたぺた…


ペンギンが歩くようだと言えば可愛らしいが

しかしきっと、振り返れば自分一人くらいは飲み込んでしまいそうな程、大きなくちばしが待っている予感


逃げる…逃げる…


当て所もない逃避行に あなたが逃げついた先は

警察、学校、近くのコンビニ、思いついたどれとも違う場所

近所の公園に ポツリと残された遊具の中だった


どこでも見るようで、案外と見かけないコンクリートで出来たアスレチック

石で出来た様なかまくらは、かくれんぼに使うにも、当たり前過ぎて使いづらい


そもそも かくれんぼだなんて


子供のための公園に、子供のために残されたのは原っぱだけ

道路に飛び出さないように、近くの家の人からの苦情とで、ボール遊びですら禁止され

たとえ夕焼け空でなくっても、この公園に子供が集まるなんてことはなく


ただひっそりと、なんの変哲もない街角に落とされた影のような場所だった



はぁ…はぁ…


それでも、あなたにとっては幸いだった

コンクリートで塗り固められた壁の中は、追われてる身からすればどうしたって安心する

倒れ込むように逃げ込んで、その一番奥で膝を抱えるまでの瞬間は あなたに安らぎ与えていた




聞こえない、何も聞こえない

あれだけしつこかった足音は嘘のように消えている


見失った? 諦めた? 見逃してもらえた?


どちらにせよ、根拠のない期待があなたの肩から不安を降ろし

それを吹き飛ばすように、大きく息を吐いた時だった


「ねぇ?」


チリンっと、まるで鈴の音がなるような声だった

どこまで透き通るようでいて、まるで先も見通せない真っ白な声


唐突に掛けられた声に あなたは声を上げると、そこが狭い穴蔵なのも忘れて飛び上がってしまう


…っ!!


途端に、声にも鳴らない悲鳴が上げて

強かに体をぶつけた後、地面に倒れ込んでしまった


「あはははっ♪ うがって、うわぁぁぁだってっ。おかしいんだ、キミって面白いのね?」


言葉もない声も出ない

けれど、突然現れた女の子を前にして、涙を抱えながら あなたは顔を上げる


白い、真っ白い女の子だ


真っ白いワンピースから覗くのは、色を忘れたような白い手足

地面にまで届く長い髪もまた白く、差し込んだ夕焼けは、そのまま彼女を赤く染めるほどだった


コロコロと、お腹を抱えて笑う女の子


その姿が妙に愛らしく、自分が笑われているのも忘れるほどに あなたは見入ってしまっていた


どきんっ…


不意に胸が高鳴った


その音は、初めて彼女を見つめた時と同じリズムで胸を打ち

不覚にも芽生えてしまった恋心の様な感情を振り払うように首を振ると

多少は取り戻した冷静さを前にして、あなたはようやく「君は誰だ」と、当然の疑問を口にできていた


「誰って? マムルはマムルだよ?」


どうして知らないの?


子供じみた反応。自分が世界の真ん中だって疑わない我がまま

お互い初対面のはずなのに、まるで白々しい答えにあなたが眉を潜めてみせると

マムルと名乗った白い女の子は、得意げな顔をして


「私は知ってるよ? キミの事、ずーっと見てたんだから…」


キミが朝からお寝坊してお母さんに怒らていたことも、学校でお勉強をサボっていたことも

休み時間だけは元気になって、さっきまで彼女と一緒に歩いていたことだって


その言葉にあなたの頭から血の気が引いていく


ひたひた…ぺたぺた…


あなたの頭の中で、小さな足音が反芻される

気のせいだと聞き流していたのが、ここに来てやたらと大きくなり

それが、目の前でパッタリと聞こえなくなっている事実


そんな何かが、朝からずっと自分を付け回していて、その視界に彼女までもが入っている不安


「ねぇ、それよりも。マムルはマムルって言ったよね?…キミのお名前はなぁに?」


狭いコンクリートの穴の中


白い女の子は、もう一度自分の名前を繰り返すと、四つん這いになってあなたに顔を近づけていく


まるで甘える猫のよう


尻餅をつき、コンクリートの壁に背中を付けるあなたの手や足に

その感触を楽しむように、その反応を楽しむように


ひたひた…ぺたぺた…


マムルの白い指が、小さな手が、あなたの体に触れていく


ひたひた…ぺたぺた…


辿るようにたどたどしく、なぞるように白々しく

そうして、あなたの頬に手を触れると、そっと瞳が閉じられていった


キス…


その予感を前にして、あなたは慌ててマムルを振り払う

もちろん彼女のこともあったけど、それ以上に何かがおかしいと本能的な不安が体を突き動かし

上がった小さな悲鳴さえも押しのけて、遊具の外へ出ようと手を伸ばす


「それはダメ」


しかし、押しのけたつもりの手はとられ、逆にあなたの方が地面に押し倒されると

四つん這いのまま、マムルはあなたの上にまたがっていた


ひたひた…ぺたぺた…


あなたが驚いているその隙きに、馬乗りになったマムルは楽しそうにあなたを見下ろしている


「だって、キミはこれからマムルと遊ぶんだから、まだ帰っちゃダメなんだよ?」


おかしいと


あなたの心に針が落ちた


相手は女の子で、自分より小柄な女の子なのに

あなたがどんなに暴れても、力を入れても、まるで振り払えない

それどころか、あなたが暴れるほどに、面白がったマムルはあなたの上で体を揺らす始末だった


「あははっ♪ ふらふらするわっ、すっごい揺れるんだからっ。もっともっと…ね?」


まるで無駄な抵抗を前に、ついには抵抗をやめた あなた

そのかわりに、じっとマムルを睨みつけると、マムルはすぐにもつまらなそうに鼻を鳴らす


「えー…もうおしまい? そっか、じゃあ…かくれんぼも、鬼ごっこあきちゃったし…」


唇を尖らせる、退屈そうに明後日を向く、暇を持て余して体を揺する

そんな一つ一つの仕草が、あなたの目には毒だった


可愛い…


控えめに言ってもそれでは足りない容姿は

否応にも あなたの視線を釘付けにして、その心臓を縛り上げようとしてくる

それは、初めて好きな子が出来た時以上の衝撃で

曖昧な好意よりも明確に、甘い好感があなたの心と身体を溶かしはじめる


怖いと…


その時になって あなたは身震いを思い出していた


逃げていたはずだ、その目の前の存在から逃げていたはずなのに

いざその子を、マムルを前にすると、その恐怖心でさえ曖昧になってしまう


可愛い…好き…愛おしい…


友達に、家族に、初恋の女の子に向けるよりも狂おしい愛情が、胸のうちから引きずり出されるような錯覚


「あ、そうだっ! それじゃあ、今から名前の当てっこをしましょうか? そうしましょうよ」


聞いているのに、聞いていない

見られているのに、見ていない


「ね?」


決定事項のように告げられた言葉には、まるで同意なんて含まれていなかった

一日中付きまとっておいて、自分の名前なんてとっくに知っているはずなのに


「キミの口から聞きたいの? それでなきゃダメなんだから…ねぇ?」


それでもマムルは殊更に、あなたの口から名前を求めて問いかけてくる


…キミの名前はなぁに?


甘い甘い声だった


誘惑を形にしたような声だった


答えてしまいたい、自分の名前を呼ばれたい

けれど、心に落とした針の跡がチクリと痛むと、なんとかして あなたはその衝動を振り払う


言ってしまったら何かが終わると、そんな気がした

名前を呼ばれたら、もう戻れない予感がする


口を固く結び、顔をそむけたあなたの上にマムルの影が落ちてくる


「良いのよ、それが良いんだから。言いたくなるまで、聞き続けるんだもん」


近付いてくるマムルの顔


そのあどけない表情は幼いままにしていて、それが余計に可愛さを際立たせていた

ペットを見るような単純な情動から、年下に対する、女の子に対する庇護欲、好意、愛情、そして性欲と

マムルを見つめるほどに、自分の感情が次々と塗り替えられていく


ぐっと、息を呑んでいた


声に引っ張られるように、マムルを見上げそうになってしまう

見つめた視線の先に触れたくなり、強くなるばかりの胸の高鳴りは

強引にでも性欲に書き換えられていくみたいだった


ドキッと…心臓が強く波打つ


逃した視線の先にマムルの胸元が入ってしまった

ゆとりのあるワンピースは、四つん這いになったままのマムルの胸元を広げて見せて


マムルの僅かな膨らみが、女の子らしい胸の形が見えそうで


慌てて目を閉じたつもりだったのに


視界は暗くはならなかった

それどころか、マムルの白い肌を映したまま固まっていて

夕焼け空に染まった肌の上、ふっと悪戯に吹いた風の音が、ワンピースの胸元を波立たせる


淡く甘い肌の色


夕焼け空に溶けるように薄っすらと

朱に染まるマムルの肌の上、揺れるワンピースの隙間から、可愛らしいマムルの乳首が覗いていた


「みた?」


その声に冷水を掛けられたような気分になる

慌てて目を閉じ、見ないふりをして

それでも閉じた瞼の裏には、こびりついたように彼女の胸元がちらついて、淡い乳首の先が気になってしょうがなかった


「お名前教えてくれたら、もっと見せてあげるんだけど?」


泣きそうになるのをこらえて、あなたは首を振る

言わない、教えない、それを何度も繰り返して自分に言い聞かせるけれど

心臓の鼓動を数える程に、マムルの誘惑は胸に染み込んでいった


もっと見たい、触れてみたい、名前くらい良いじゃないか

マムルに呼ばれたなら、どれだけくすぐったい気持ちになれるんだろう


甘い誘惑は毒の様に心に広がって、落とした針の跡すらも甘い刺激に変えていく


ひたひた…ぺたぺた…


マムルの小さな手が、白い指が、体に触れていく

その感触を確かめるように、その反応を楽しむように


ひたひた…ぺたぺた…


お腹に、胸元に、ほっぺたに…


ひたひた…ぺたぺた…


そして、あなたのほっぺを優しく撫でながら、ゆっくりと顔を近づけると

まるで、キスをするようなその距離でもう一度…


「ねぇ、お名前教えて?」


開きそうになった口を慌てて引き結ぶ

ぐっと何かを飲むと同時に、強く打った心臓は、全身甘い毒を広げていった


「意地悪…。あ、それとも、もっとを期待してるのかな? そっか、じゃあキミは意地悪なんかじゃなくって…」


ちゅっ…


ほっぺに柔らかい感触が触れていた


温かくて、少し湿っぽくて、甘い感触


マムルの唇がほっぺに触れているだけなのに

そんなの、だって、ただのほっぺただっていうのに…

彼女との、ついさっき交わしたキスの感触が味気なくも思えてくる


「あははっ♪ やっぱり欲張りさんなのかな?」


首を振る、違うと口にしながらも、あなたの内心は慌てていた


ひたひた…ぺたぺた…


マムルの小さな手が、白い指が、体に触れていく

その感触確かめるように、その反応を楽しむように


ほっぺに…胸元に…お腹に…


その手管が下がっていくほどに、嫌な期待に体が支配されていく


ひたひた…ぺたぺた…


ゴクリと、息を飲んだ


お腹をさするマムルの指先、そしてそれはさらに下がっていくと

その先の快感に期待して、どうしても目をそむけられなくなってしまう


ひたひた…ぺたぺた…



あなたのおちんちんは、すでに固くなってしまっていた

ズボンの上からでも分かるほど。ビクビクと脈を打ってるのが分かるほどに熱く固くなってしまっている


興奮しているんだ


どうしようもない自身の反応を見せつけられているようで

しかし、今そこに 固くなった自分の おちんちんに、マムルの指が触れたらどれだけ気持ちいいかを想像させられる


ひたひた…ぺたぺた…


あなたの体の上でマムルが態勢を変えると

その小さなお尻が顔の前で揺れ始める

そして、マムルの頭が足の間へと、今度は股間の奥へと降りていき


じぃっと、音がした


揺れるお尻の向こう側

ガチャガチャと金具を弄る音と同時に、開いた股間の隙間に入り込んだ風にヒヤリとさせられる


見えてはいない、見えやしない


スカートの布がカーテンの様になり、その先はまるで伺えないが

それでも薄い布地向こうに感じる肌の感触から、その状況を想像するのは簡単だった


ひたひた…ぺたぺた…


取り出されたおちんちんが、マムルの手に弄ばれている

その感触を確かめるように、その反応を楽しむように、小さな手が、白い指が

あなたの固くなったおちんちんに触れ、なぞって、包み込むと、柔らかい素肌の感触に感極まった様に跳ね上がる


ひたひた…ぺたぺた…


上に下に、マムルの手のひらに包まれた おちんちんが、上下に擦られると

次第にその肌がじっとりと濡れ始めた

それは、マムルの汗だったり、それは、おちんちんの先っぽから溢れた あなたの先走りの液だったり

包み込まれた手のひらの隙間に溢れると、次第に粘ついた水音が混ざり始めていた


びたびた…べたべた…


「やめて」とも「もっと」とも言えない

何かを叫びたくなる快感に喉がつまり、声にならない声があなたの口の隙間から漏れていく


びたびた…べたべた…


音がなる度に快感が増していき、それに引きずられるように腰が跳ねてしまう


ふと、マムルの指の動きが止まり、向けられた横顔が意地悪に笑みを形作ると


「ねぇ、キミのお名前は?」


もう一度の問いかけに、舌が滑りそうだった


名前…名前、そう自分の名前は…っ


言ったら終わる。何処かで分かっているのに


「言わないなら、やめちゃおっかなぁ?」


すぐにも、射精したくなっていた…


マムルに握られた おちんちんがビクビクと震えたまま放ったらかしにされている

一瞬でも過ぎった期待。一人でしていた時よりも強い快感を前に


名前ぐらい…


一度考えてしまうと、すぐにも諦めてしまいそうだった


びたびた…べたべた…


「なんて…ふふっ。いいよ、マムルはキミと違って意地悪じゃぁないからね…」


その声に感じたのは安堵だったのか

終わらない快感に、気を良くした おちんちんは次第に固さを増していき、すぐにも射精感へと繋がっていく


びたびた…べたべた…


目の前で揺れるマムルの小さなお尻

そこから伸びる細い太ももの上に、つーっと透明な液体が垂れていた

汗とも違う粘ついた液体。そこから漂う香りは甘く、見ているだけで気を揉んでしまう


女の子の匂い…マムルの匂い…


スカートの向こう側にあるものを想像しただけで、あなたの喉はカラカラに乾いていく


今すぐに…


無防備に揺れるお尻を抱き寄せて、そこから溢れる愛液を飲み干したい

小さな女の子の割れ目を貪るように、それがどんなにみっともなくとも


その欲望があなたの前にちらついて、振り払うどころかその通りに腕が動いてしまいそうだった


ちゅっ…


それは、ささやかな口づけの音だった


びたびた…べたべた…


小さな両手で、先走りに塗れた白い指で

あなたのおちんちんをさすりながらも、時折降ってくる柔らかい感触


その刺激に腰が跳ね、背筋が震えると あなたの口から情けない声が漏れてしまう

おちんちんから広がる快感は全身を犯しはじめ、あなたの頭から考える力を奪っていった


ぱっと白くなる頭の中、同時に体から力が抜けていく


降り注ぐマムルの唇の感触は、次第に感覚を短くしていき

啄まれたおちんちんの先っぽが 不意に舌で舐められると、あなたは声を上げて おちんちんを跳ね上げさせていた


射精してしまった


そうと錯覚するくらいの快感は、 おちんちんを駆け上ることはなく

その根本をマムルの指先に、爆発しそうな快感と一緒に抑え込まれてしまっていた


出したい…出したい…


止まらない射精の予感。しかしその期待はマムルの指先に裏切られ続ける

ついには自分から腰を動かして、あなたはマムルの手のひらに おちんちんを擦り付け初めてしまう


なさけない、恥ずかしい、みっともない…


小さな女の子に、自ら射精を懇願するような行為


ドクンっ…ドクンっ…


おちんちんは射精をしようとして何度も跳ね上がるが

マムルの指先は決しておちんちんを離すことはなく、あなたの精液は快感と一緒に おちんちんの根本にとどまり続けていた


ちゅっ…ちゅっ…


繰り返されるマムルの口づけ


おちんちんの先端が柔らかい唇に包まれて、その舌先でくすぐられていく

ドクンっ…ドクンっ…と、射精に繋がらない絶頂感を抱えさせられて、あなたの頭はどうにかなってしまいそうだった


ねぇ…


問いかけて欲しい


もう一度、自分の名前を聞いて欲しい


その瞬間、何もかも忘れて自分の名前を叫んでしまいたいのに



マムルの舌があなたのおちんちんの根本を舐める

熱い吐息にくすぐられ、舌っ足らずに伸びた舌は、そのまま つーっとおちんちんを裏筋を舐めあげていく


つぅっと…つぅっと…


焦らすようにじっとりと、溶かすようにゆっくりと

あなたのおちんちんはマムルの舌に舐められながら、射精をしようと何度も跳ね返る

その度にあなたの体は震え上がり、真っ白になった頭の中は射精のことしか考えられなくなっていく


つぅっと…つぅっと…


そして…ちゅっと、マムルの柔らかい唇がもう一度 おちんちんの先端を啄むと同時におちんちんを抑えていた指が外される

同時に、根本に溜まっていた快感が先端で弾け飛び、溜まった精液を一気に吐き出した


情けなく声を上げ、射精の快感を前に全身を震わせながら

マムルの手の中で何度も震え、欲望の限り吐き出していく

止まらない快感、止めようもない快楽

自分でするよりも何倍の量を出したかのような感覚に襲われると、そのままぐったりとあなたは地面に倒れ込んでしまった



「ねぇ、キミのお名前は?」


なまえ…なまえ?


とっさには出てこなかった、あまりの快感に頭がうまく働かず、問いかけの意味を飲み込めないでいた

それに答えたら何かが終わる。薄っすらとそんな危機感も残っていたが、それすらも今は投げ出したい


「まだ教えてくれないんだ? やっぱり意地悪なのかな? それとも、もっとして欲しいのかな?」


気づけばマムルに見下されていた


その笑顔は あなたの吐き出した精液で汚れていて、それは頬を伝い薄い胸元の隙間にポタリと落ちた


「あ、こぼれちゃった…」


白い指先で、白い肌の上から、白く濁った精液をすくい上げると

そのまま、ちろりと伸びた赤い舌が舐め取っていった


無邪気な声


それが何かを分かっていて、それでも無垢なままでいられる白々しさ

けれど、そんな女の子を汚してしまった罪悪感と、それに続く快感は不自然な興奮へと変わっていく


ドクンっ…


心臓が脈打ち、あなたのおちんちんが固さを取り戻していく

自分の精液にまみれた女の子を前に、言いようもない興奮が体を支配し始めていた


もっと…もっと…


違う、ダメだ、何かがおかしい…


一度射精をして、落ち着いた頭の隅に、今更ながらに警報が鳴り響くが



「あ、また固くなってる…。ふーん…やっぱり、最後までしたいんだ?」


マムルが自分のスカートに手を入れると、下着に指を掛けていた


四つん這いのまま、前かがみになり、広がる胸元。見えそうになる乳首に あなたの視線が吸い寄せられる

右足、左足と…勿体を付けて放り出されたマムルのパンツは濡れていて

白いスカートに透けるマムルの体を前に、嫌でも おちんちんが固さを増していった


「それじゃあ…しよっか? 一緒に気持ちよくなろ?」


膝立ちになったマムルが、自分でスカート捲くり上げる

そこには、彼女の小さな割れ目と、細い太ももが、溢れた愛液で濡れていて

差し込んだ夕日にいやらしく輝きを返していた


ポタリ…


割れ目から溢れた愛液が、おちんちんを濡らしていく

ビクンッと大きく跳ねたおちんちんは、急かすように揺れ始めると

その先端からは、精液を押し出して先走りの液が溢れ出す


「ねぇねぇ、キミのお名前は?」


だんだんと躊躇う時間が短くなっていた

興奮と、快感の予感を前に、今に口を滑らしそうになる間際


先にマムルが腰を落とすと、おちんちんの先端が彼女の割れ目の中に埋まっていく


頭の中が真っ白になる


もう質問の意味も、答える余裕もなくなって

マムルの中に埋まっていくおちんちんと、その快感を受け止めるのが全てになる


「んあっ…」


1分? 10秒? 時間の感覚も狂うほどの快感

落ちきったマムルの腰は、その割れ目に あなたおちんちんを全部飲み込んでいて

おちんちんの先が マムルの奥にしっかり届くと、彼女の口から悩ましい声が上がっていた


「ねぇ…はぁ、キミはさ? どうして彼女とエッチしないの?」


マムル知ってるよ?


押し倒しちゃえばよかったのに、そんな事もできないでさ?

そのくせ、想像だけは一人前で…ふふっ…


知ってるんだから


学校で、教室で、屋上で、プールで、体育館で、校舎裏で、保健室で

甘く愛して、乱暴にレイプして、泣く彼女の姿、笑う彼女の声、絶頂する彼女の表情


夢の中だからって、想像だからって、散々していたくせに


見つめ合い、頬を撫でられながら囁かれるその言葉


彼女には言えるわけもない、男の子として当然のその欲望

想像は想像。自分で慰めて終わっていた筈なのに、マムルの言葉一つ一つにあなたの想像が浮き彫りにされていく


「えいっ」


唐突にマムルが腰を動かすと、柔肉に包まれていた おちんちんが擦られ、全身に快感が広がってくる

それは背筋を震わせ、腰を跳ね上げ、思わず声が出てしまうほどの快感で


一瞬、頭が白く染まったかと思うと


頭の中を埋め尽くしていた彼女の姿に、ピシっと罅が入っていた


「気持ちいい? 気持ちいいよね? 彼女はこんな事してくれないもんね、マムルとエッチするほうが良いもんね?」


首を振り違うと否定する


そんなことはない、自分が好きなのは彼女の事だけだって

崩れ初めた彼女の姿を拾って何度も形に治そうとするも、快感を感じる度に欠片はどんどんと形を無くしていく


崩れて、溶けて、砕けて…真っ白に、それが何だったのかもうわからない程


彼女に手を取られ、自分の手のひらが胸に押し付けられる

照れ笑いと閉じた瞳、自然と重なり合った唇に舌を触れ合わせる


唇から広がる甘い快感


お互いの気持を確かめるように舌を触れ合わせながら

ゆっくりと目を開くと、そこにはマムルの笑顔があって

その笑顔はあなたの 吐き出した精液で汚れていた


肩紐の外れたワンピース

開けた胸元から覗く小さな胸と淡い乳首の上に、あなたの手のひらが押し付けられていた


指が勝手に動いてしまう、その小さな膨らみの形を変えるみたいにして

乱暴に、痛いと思うくらいに、揉みしだいて

初めての感触に興奮して、彼女に怒られて、マムルは笑っていて


細い腰を抱き寄せて、おちんちんを突き上げる

快感が全身を白く染め上げて、マムルの甘い声に頭を溶かされそうになる


「あはっ、乱暴なんだ…そうだよね? めちゃくちゃにしたいもんね?」


そっと、マムルが顔を寄せてくると


「良いよ…マムルで気持ちよくなって?」


その小さな囁きは、残った理性を壊すには十分だった


腰の上で小さな女の子が揺れている

足を開き、ぴったりと閉じていた割れ目はおちんちんを咥えこんでいて


気持ちよさそうな声が上がる


あなたのおちんちんに割れ目の奥を突き上げられる度、狭いコンクリートの穴の中に彼女の甘い鳴き声が反響する


崩れていく、壊れていく…


おちんちんでマムルを感じる程に、彼女との思い出が崩れていく

二人で日直をしたこと、悪戯をして怒られたこと、謝って、笑って許されて

勇気を出して告白をした日、夕焼けの帰り道、二人で歩いた時間はもどかしくても楽しくて


「ん、はっ…あはっ、また、おっきくなってきたね…ねえ、そろそろ聞かせてよ?

 マムルがいっぱい名前を呼んで上げる。そうしたらキミはいっぱい気持ちよくなって、いっぱい射精して」



…ねぇ、キミの名前は?



心臓が大きく脈を打つ、おちんちんがマムルの中で跳ね上がる

自分の声が遠くに聞こえるくらい

まるで他人事のように あなたは自分の名前をマムルに伝えてしまっていた


「ふふっ…そっか。それじゃあ、良いよ…だして…マムルで気持ちよくなって、マムルを気持ちよくして…ねぇ…?」


ドクンっ…ドクンっ…


名前を呼ばれる度に おちんちんが固く太く熱くなっていく

理性なんてとっくに溶かされ、あなたは欲望のままにマムルを犯していった


「あはっ…いいよっ、キミの…おちんちん、マムルの中で…ねぇ…もっと、もっとしてぇ…」


逃さないように小さな腰を抱え込み、まるでオモチャの様にマムルの体を揺さぶる

何度も何度も名前を呼ばれ、何度も何度も名前を呼んで

マムルの名前を呼ぶ度に、マムルに名前を呼ばれる度に、お互いの快感は高まっていった


そう、まるで、恋人同士にみたいにあなた達は抱き合って


堪らなくなった あなたのおちんちんはついには彼女の中で大きく波打つと、大量の精液が吐き出していた


ドクンっ…ドクンっ…


跳ね上がる度に、マムルの小さな割れ目の中に射精を繰り返し

入り切らなかった精液がついには、おちんちんを咥えこんでいた割れ目との隙間から溢れていく


同時に、大きく体を反らせたマムルは声を上げて

押し寄せる快感に任せるままに体を落とすと、あなたのおちんちんはより深くに埋まっていった


射精の度に おちんちんの先端が割れ目の奥を押し上げ、二人の性器がさらに深く繋がっていく

ついには子宮口を見つけ出した おちんちんは、マムルの一番大事な所に押し込まれ

残った精液の塊が、マムルの幼い子宮を白く…真っ白に汚していった



教えちゃった…教えてしまった


名前を呼ばれて射精をして、何度も何度も名前を呼びあって射精を繰り返して

その度に気持ちがいい。マムルの声に射精を促され、射精をする度に自分の中から何かが吸い取られていくみたいだった


止めなきゃいけない、コレ以上は自分が無くなりそうなのに


…また…名前を呼ばれて…射精させられる


体が震えて頭が真っ白で、何も考えられなくなったところに、また名前を呼ばれて

何も分からなくなっていく、自分が、何もかも崩れて、気持ちよくって…このまま…


「ねぇ…あれ? もうおしまいか…。おやすみなさい、ふふ…キミの名前は貰っていくね」



夕焼け空が夜の街に消えていく


打ち捨てられた遊具の中


残った性欲の残滓は、誰にも気づかれることもなく、その熱を冷ましていった






白い女の子の幽霊が出る


ふと湧き始めたその噂話は、いつの間にか学校全体に広がっていた


曰く、それは白いワンピースを着た可愛らしい女の子で

曰く、夕方に一人でいると現れるらしい


そして言うのだ


「ねぇ? キミのお名前は?」


それに答えてはいけない、言えば名前をとられてしまうから、と…



よくある怪談だ、よくある噂話だ


当然、名前をとられたらどうなるかなんて誰もわからないし

そもそも、とられた人が居るかも分からなければ、白い女の子にあった人なんて誰も居ない


隣のクラスの…友人の友人…もしくは、面白半分の嘘

そんな吹聴され続けた疑心暗鬼は、いつしか形を持ち始め、それ自体が別の怪談の様に語られていくみたいだった



しかし、あんまりにも急すぎた


ネットの掲示板で広がったのならまだしも

何をどう聞いても始まりはこの学校でしかなく、話の元を渡り歩いても校内からは決して出ることはなかった


スマホなんてものが広がりきった今の時代

ただの口伝えでここまでの噂話が広がるのは奇妙にすぎる

明確に、誰かが広げたはずなのに、その誰にも行き当たらないのが一番怖い



まるで悪意が透けて見えるよう

ただ人を怖がらせる為だけの、面白半分の呪いみたい


そりゃ、皆が皆信じてるわけじゃない


暇な男の子たちなら、そんなに可愛いなら一度あってみたいだと、なんともお目出度い事だし

それでも、思い込みの激しい女の子連中は、カーテンが揺れただけで怖がり出す子も出始めた


先生たちもさぞや大変だろう


帰りのホームルームで配られたプリントには、そんな内容が書かれるくらいなのだから



そんなもの、居るわけがないのに

そう、居る訳がないんだ。名前をとられた生徒なんて何処にも居ない


向こうの席が ぽつんと空いているのを私は知っている

出席番号でさえ一つ飛んでいるのを、誰も気にもとめない日常はあんまりに不自然だった


そういうこと…


名前をとられる。そんな曖昧な祟りの意味に、私は息を吐いていた

まるっきりだ、そこに居た事全部がまるっきり取られている

真っ白なくらいに、初めからそこに居たことさえ皆忘れてしまっていて


やっぱり、噂を広めたやつが居る


名前をとられた人が、こうもさっぱり居なくなるのなら

そもそも、白い女の子だなんて…随分と白々しいじゃないか


一人…また一人と、学校から生徒が消えていく


隣のクラスならまだいい

だけど、自分のクラスから人が居なくなるのは気分が悪い

特別仲が良かったわけではないけれど

知った顔、話したこともある相手が突然と居なくなれば、流石に気が滅入る


「ざーらちゃん、帰ろ?」


帰りのホームルームの後。特別中のいいクラスメイトが、気さくに私の肩を叩いてきた


「ざらちゃんいうな」

「ふむ、じゃあ…あざらしちゃん」

「ぜったいふわふわした感じの思い浮かべてるでしょ?」

「あははっ、いいじゃん、可愛いじゃん あざらしって」

「そりゃ、アシカよりはさ」

「えー、私はアシカも好きだけどなー」


そういう話をしているんじゃない、単に「あざらし」って自分の名前がコンプレックスなんだと

燕や雀…ああ、最近なんかはライオンもいるらしいが。動物の名前を子供につけるのには目をつぶって

だからって、あざらしってのはどうなんだ…


じゃあ、なんなら良かったのかって…


今更言われても、私はもう自分のことを「あざらし」だと思っているし

まあせめても、在座羅死だとか可愛し(あざらし)とかになってないだけ良かったと思うしか無いのか


「ほら、もう帰るよ まつり」「あ、まってよー」


私が嘆息している間にも、アシカとオットセイの違いに首を曲げ始めた特別中の良い…つまりは、友人の手を引いて家路についた


まつり は、私の幼馴染で友人で、名前の通りかどうかはともかく、割と ふわふわしている所が気になる女の子だ

その危なっかしさが気になるのか、単に見た目が可愛いからなのか

私の知らない内に彼氏を作ってしまっているくらいには、男の子に人気があった


せっかくの彼氏だ、二人で帰りなさいと背中を押したこともあったけど

今まつりの 隣を歩いているのは私で、いくら気心が知れてると言っても、私は彼女の彼女という訳でもない


「ねぇ、まつり…。あんた、彼氏は良いの?」

「え? 彼氏? 良いよねぇ、出来たら…。キスとかってどんな感じがするのかなぁ?」

「さぁ…ね」


付き合ってそうそう分かれたと言うならそれも良い

どうせ、私達みたいな子供の恋愛感情なんて、そんな簡単なものでも良いんだろうけど

ついこの間まで、楽しそうに二人で帰っていたのを思い返せば…


怒っているのか、私は…


友人の彼氏を取ってしまった、その白い女の子に対して


「あざらしちゃん?」

「え、なに?」

「なにって…なんか難しい顔して…気分でも悪いの?」

「ん…いや。そうかな…」

「大丈夫? 家まで送ろうか?」

「いいよ。まつり の家向こうでしょ、遠回りになっちゃう」

「だけど…」


心配そうに言いよどむ まつりに「じゃっ」と、私は何でも無さそうに手を振って分かれた

逃げるような感じになって申し訳ないが、そうじゃないと家に帰るまで本当についてきそうで


坂を下り、お互いの姿が完全に見えなくなった所で

ポケットに入れていたスマホが震えだす


画面を見れば 「家についたら連絡してね」と まつりからのメッセージが入っていた





多分、彼もここらで まつりと分かれたんだろう


まつりと分かれた後、私は彼の残った足跡を追っていた

物理的なものじゃなくても、匂いだとか、気配だとか、そんな魂の残り香を辿っていく


随分と焦っていたみたいだ


何かに追われている その感じは、彼がまつりと分かれてすぐに始まっていた

いや、多分だけど、まつりと居る時から、それは着いてきていたんだろう

まつりに気づかせないようにして、分かれてから直ぐに駆け出して


どうしてって、彼がそういう人だから…

だから私も安心して まつりを任せていられたし…そうじゃなきゃ…


「ん…公園?」


彼の気配を追っての行き止まりは、寂れた公園だった


逃げるにしたってもっと他になかったのか…

自分の家とかさ…普通はそうするだろうに

家にいる家族を気遣ったのか、単にそんな余裕がなかったものか


さっと辺りを見回して、調べられそうな場所は

コンクリート製のアスレチック、ちょうど石で出来たかまくらみたいな 遊具だけ


薄暗い穴の中、薄い西日が差し込む中を覗き込む


「…」


残っていたのは 誰のものかも分からない カバンだった

見覚えはあるはずなのに。その形にも、まつりとお揃いの 飾りにだって覚えはある

なのに、カバンの中に詰まっていたのは、名前のない教科書ばかり

ノートに記された文字すらも掠れていて、これが彼のものだって証明できそうなのは私の記憶意外には無さそうだった


「やめとけ、関わるな、いつも言ってるだろう」


ふと、穴の中に響いてきた 小言に私は顔を上げた


「いつもは言われてないし…」


そこに居たのは黒い猫

赤い首輪に着いた鈴が、ちりんっと不機嫌な音をだしていた


「そりゃお前が聞かないだけだ。オレは何度も言っている」

「そりゃおせっかいをどうも」


穴の中から抜け出した私は、小言を続ける黒猫に顔を合わせずにそっぽを向いた

別に仲が悪いわけじゃない。この黒猫、クロが私の心配をしてくれてるのは分かっているけど


「お祭り娘ならそれもいいが、友達の彼氏だ、何をそんなに気にしてやがる。それともお前はまだ…」

「そう思うのは勝手だけど?」

「ぴーぴー泣いてたくせに」

「…。だから見捨てろって? まつりの時もそう言うの? 次はお母さん? お父さん?」


言い過ぎか、大げさか

けど、理由をつけて誰かを諦めると、その次はもっと簡単になりそうで


だから私は決めていた


顔も名前も知らない誰かならそれも良い、けどそうじゃないのなら出来る事はしておきたい

無駄足でも、自己満足で良い、これは私のためだって


「はぁ…分かった分かった。ってこれも何度も言わされたな…」


クロが大げさにため息をついた拍子に、赤い首輪についた鈴がチリンっと音を響かせる

頭を振る肩を竦める。そんな人間臭い動作を思わせるように、しっぽを揺らしていた


「それでもだ。もうそいつは何処にも居ない、両親だって覚えちゃいなかったぞ。多分他の連中もそうだろうよ…」

「そっか…やっぱりっていうか…」

「お前のせいじゃない」

「分かってるけど…」


最初にクロに言われたこと思い出す


戦おうなんて考えるな、勝とうだなんて思いもするな

私の力は守るためのもので、それもあくまで自分の身を守るの為だって


でも、被害は実際に起きるわけで


もっと早くに動いておけば…


もしかしたらって、彼は助けられたんじゃないかって、どうしたって考えてしまう

でも、それを繰り返していると、関係のない事件にまで手を出さざる得なくなって


私みたいな力を持った子供は化け物たちには ごちそうに見えるらしい

下手に目立って標的にされたなら、もう平穏は望めない。ただひたすらに、化け物たちと戦い続ける毎日が待っている

だからクロはいつも「関わるな」と私に釘を刺す


それは分かる、分かるけど…


「っ…!?」

「クロ…?」


チリンっと、クロの鈴がなり、黒猫の耳がパタパタと動き出す

探るように周囲を見渡した後、困ったような視線で私を見上げてきた


「出やがった…が…」

「なに?」

「まつりが やべぇ…」

「うそ…まつりっ!?」


それを聞いた途端、1も2もなく私は駆け出して


同時に…


「行くなっ!!」と、クロの大声に足を取られてしまう


「でも、だって、まつりだよ? 放っておける訳…」

「だろうよ、だから言った。明日になってへそを曲げられるのも面倒だからな」

「じゃあ、いいでしょっ! 分かってるならさっ!!」


そう、クロの思うように、明日 まつりが居なくなったことに気づいた私は

きっと犯人探しをやめないだろう。冷静さなんて何処にもなくしてさ、ほとんど自殺みたいなもんだ


「オレは止めたぞ…」


黒猫のキツイ眼光に見据えられ、思わずたじろいでしまう

しかし、悩んでる間ももったいなく、私はすぐに首を振って気を取り直すと


「うん、いつもごめん。おかげで危ないことしてるって思い出せるから…ありがとう」

「そうかい。聞き流されてなくてよかったよ。急ぐぞ、こっちだっ」

「うんっ」


嫌味のような小言を後に、駆け出したクロの背中を追って、私は走り出していた





ひたひた…ぺたぺた…


私はこの足音を知っている


ペンギンが歩くみたいで可愛らしい反面

それを装ったような白々しさが不気味に響く、そんな足音を


誰かと一緒だった、二人で歩いていた


どこで? 誰と?


それが思い出せないまま…


ひたひた…ぺたぺた…


ただ歩いている私、ただついてくる足音

決して追い抜かれるような速さではないはずなのに、一足飛ばして気配だけは大きくなる


振り返りたい…


恐怖が体を竦ませる


すぐにでも後ろを確かめて、何もないと、ただ子供が歩いているだけだと確かめたいのに

私の足が止まると同時に、ピタリと…張り付いていた足音も止んでいた

追い越してくれる、追い越して欲しい、そんな期待を裏切って


居る…すぐそこに、なにか良くないのが私を見つめている


一度も振り返っては居ないはずなのに、その気配は何処かで聞いたような怪談に重なって

そう、白い女の子のようにも感じられていた


夕焼け空、その帰り道、ついてくる白い女の子、そしてこう聞かれるんだ


「ねぇ、お姉ちゃん…お名前はなぁに?」

「ひっ!?」


耳元、首筋をくすぐるようにして、声が、女の子の声が囁いてくる


私よりずっと幼い声、そう聞こえるはずなのに

ただ、子供がからかうようなそんな声音のはずなのに


金縛りにあったように私の体は動かなくなり


「あっ…ぅぁっ…」


口が勝手に開いていく


答えたらダメ、答えちゃったら名前をとられちゃう

噂話の答え合わせ、その最後のシーンを思い出して、口を閉ざそうとしても


舌が震える、歯が噛み合わない


頭の中には自分の名前、まつり と、その文字が浮かんでは消えて

なにかの拍子に飛び出して行きそうになる名前を、私は必死に捕まえ直す


「あはは、すっごいなぁ…お姉ちゃんも頑張れる人なんだ…えらいえらい」


ぽんっと、肩にかかる重み


首に回される細い両手


それはまるで、年の離れた姉に甘える妹のようで

ふらふらと揺れる足が弾みをつけるほどに、私の体も揺らいでいく


「お姉ちゃん…お姉ちゃん…お姉ちゃん…」


甘い声、甘える声


耳に響く誘惑に呼び起こされたのは、母性にも近い庇護欲で

いたずら好きの妹のお願いくらい、それこそ自分の名前なんて簡単に上げちゃいそうな程


「ねぇ、お姉ちゃん…お名前は何ていうの? マムルに教えて? マムルにちょうだい?」


良いでしょ?


良くない、良くないけど、良くないのに…


「私の…なまえは…」


ガタガタと足が震えだす、カチカチと歯が鳴って


ダメ…ダメ…ダメだって…


浮かんでくる自分の名前を振り払っているのに


「うんっ、そうだよ…お姉ちゃんのお名前は?」

「ま…」


にやり…白い女の子の口元が歪んでいく


思い通りに、思うままに、私のことを人形みたいに、オモチャみたいに扱って

その子供じみた感情は、飽きたオモチャ何か、すぐに捨ててしまいそうな残酷さに繋がっていて



「まつり から離れろぉぉぉっ!!」


赤い光


夕焼けよりも尚も真っ赤に燃える炎が伸びると、まつりの体から白い女の子を引き剥がす


「きゃっ!?」


小さな悲鳴と転がる体


白いワンピースを所々に焼け焦がしながら倒れる女の子を横目に


「へ…あざらし…ちゃん?」


二人の間に割って入った あざらしは、糸が切れたように倒れ込む まつりの体を支えていた


「ごめん、遅くなった…」

「? 待ち合わせしてたっけ…私達…」

「ふふっ…してないけどさ…」


こんな時にまで、いつもどおりの まつりの反応に思わず頬が緩む

でも、笑ってられたのもそこまでで、すぐにもクロの小言が割って入ってきた


「笑ってないで逃げるぞっ!」

「だったら、まつりをお願いっ! まつり走れる? あの猫に付いてったら大丈夫だからっ」

「へ…でも、あざらしちゃんは…」

「あんたが逃げたら逃げるから…ね?」

「う、うん…」


素直だ


納得はいってないでも頷いて、黒猫の後について 行ってくれる

普段は騙されやすいだけで、心配になるくらいの素直さも、こういう時だけはありがたい


「お話は終わり? いつまでマムルを放っておくの? お姉ちゃん…」


白々しい…まるで白々しい笑顔


白い女の子が笑っている


頬を抱えて笑っている


何も無い空間に寝転んで、両肘を付いて笑っている


一見すれば愛らしい


何処までも、純真で、無垢で、真っ白で…何もない

私を見ているようで見ていない。そこに横たわる違和感の正体はきっと無関心だ


「追いかけないんだ?」

「邪魔をするのでしょう? お姉ちゃんが」

「それはそう」

「なら、あなたに遊んでもらうわ。あんな子なんかよりきっと楽しいもの」

「…」


あんな子か…


自分の親友をゴミ扱いされたのは気に入らないが、それでもクロからはキツく言われている


「戦うな…って言うけどさ」


まつりが逃げるだけの時間は作らないといけないし、自分が逃げるだけの余裕は もっと作らないといけない


考えながら思うのは


いっそ、素直に戦ったほうが楽なんじゃないかって短絡的な思考放棄


「ねぇ、お姉ちゃん…あなたのお名前はなぁに?」


その言葉が鍵になっているんだろう


白い女の子の笑みが深くなり

付いた両肘の一つを解くと、悪戯に私の方へと伸ばしてくる


捕まえるように、摘むように、細い指先を伸ばして


全然届かない距離のはずなのに、全身を握りつぶす様な圧迫感が私を捕まえると同時に


チリンっ…


鈴が鳴る、鈴を鳴らす


クロが首に下げていた鈴と同じ金色の鈴の音


音が響き、光が溢れ、光輪に包まれた私の姿が変わっていく


それは子供の頃に描いたような


格好よくて、可愛くて、お姫様みたいな、あるいはヒーローみたいだったりして


いつかに夢見た誰かの影と、私の姿が重なっていく


地味だった制服は、炎を纏った様な赤色に彩られ

生来の髪の色も燃える火先のように染まっていく


光輪が弾け、火の粉が舞う


赤い首輪が結ばれると、その首元でもう一度 鈴の音を響かせた


「あははははっ♪ すごいすごーいっ、魔法少女だなんて久しぶりに見たわっ、あはははははっ♪」


変身を終えた私を見て、白い女の子が笑い出す


それの姿はまるで、動物園ではしゃぐ子供のようでいて、可愛らしくも騒々しい


「ねぇ、ねぇっ、お姉ちゃんっ。お名前は何ていうの? マムルはね? マムルっていうんだよっ」

「…あざらし。別に覚えなくていいよ、ここでお別れだから」

「あざらし…そっか、あざらし お姉ちゃんか…」


その時、初めて白い女の子と、マムルと目があった


夕陽に焼かれた白い肌、夕焼けに染まる赤い瞳と見つめ合い


「だめ。絶対逃さないんだから…」

「っ!」


何があったわけもない


ただの予感が警笛を鳴らし、それに従って一足とびに距離を取る


途端…


ゴウっ…と、空気を潰すような音共に、勢いよく振り下ろされたのは白い拳だった


地面が砕けるほどの怪力は、確かにマムルの方から伸びていて

けれども本人はその場から動くこともなく、せいぜいが音もなしに地面に足をつけたくらい


マムルを飾る白いワンピース


そのスカートが風に揺れてはためいた


夕焼け空に管を巻いた白い布地は、ぎゅっと潰されるとそのまま私の逃げた先へと向かってくる


更に跳躍、続いての着弾


横に逃げた私を追いかけて、伸びた白い布地は波打つと

舗装された地面を噛み砕くように刳り上げながら横薙ぎに振り払われる


それを上に飛んで逃げた私は、空中に足場を作り眼下を見下ろした


分かってしまえば簡単な手品だった


マムルを飾っていた白いワンピースは、そのものがマムルの一部の様に蠢いている

そしてそれが、その幼い容姿に似つかわしくない力で振リ回されているだけ


単純な暴力でこれか…


精神攻撃が得意な方にも見えたけど、そっちにばかり気をかけてもられないらしい


炎を伸ばし細身の剣を作り上げる


それを握りしめ、作った足場を蹴り上げて、眼下で白蛇の如く暴れる白い塊へと斬りつけた


弾かれるか…


そうして次の衝撃に身構えたは良いが、素通りするほど呆気なく

剣の切っ先は白い布を切り飛ばし、その末端から焼き焦がしていた


「不味い…かな…」


それでマムルが痛がるなら良い、ワンピースのスカートが短くなってるでも良かったが


変化がない…


たしかに斬った


その感覚はあってもそれだけで、マムルに繋がった白い布地はすぐにも形を変えて私に向かって伸びてくる


「このっ…鬱陶しいっ!」


2回…3回と、斬りあって、斬り捨てて、やはり埒が明かないのは確かなまま

沈む夕焼け空に背中を焼かれながら、ただただ楽しそうなマムルの笑い声だけが耳障りに聞こえていた


しかし、その動きは単調だ


伸ばした布地をただ叩きつけてくるだけ

それ自体に私の剣を止めるだけの力はないし、私を押し潰すほどに広がりを見せる気配もない


遊ばれている?


それも十分に考えられた


戦うな、勝とうだなんて思うな、クロに口酸っぱく言われていた言葉だ


街の淀みに手足が生えた程度ならまだ良い

けれど、そいつにもしも確かな名前と形があったなら


「だからって…っ!」


まつりが逃がす時間は十分稼いだと思いたい、後は自分が逃げる隙きを作るだけ

今でこそマムルは遊んでいるだけだけど、だからこそ私を殺さずに逃さずに


逃げたら逃げた先に、反撃したらなら誘い込むように、私の逃げ道を塞いでくる


まるで、もぐら叩きで遊ばれてるみたい


出鼻をくじき、逃げ足を捕まえて、私が転ぶのを待っている

そんなものに付き合ってられる余裕はないし、そのうち痺れを切らしたマムルが何をするか分からない以上は


今か…


ヤケでもないが、それでも賭けはしないといけない

用意された道を飛び越して、広がりきった白い布地を大薙に焼き払う


一瞬で結構


それで、足首まではあったマムルのワンピースは、あっさりと焼け落ちて女の子らしいお腹と白い下着が丸見えになる


「わっ…」と、驚いたマムルの表情


その赤い瞳に私が映る


剣に纏った炎が、夕焼け空よりも真っ赤に二人を焦がし


「さよなら、二度と顔を見せないで」


いや…


白い笑顔に陰りが見えて、赤い瞳に涙が揺れる


勝手なことを…


聞く耳なんて無い、そのまま、思うまま、感情のままに、マムルを焼き斬ってしまえばよかったのに


透ける涙の向こうに見えたのは、探していた彼の顔だった



「みぃーっつけた♪」


喜色のいい笑顔だった


唐突に歪んだマムルの顔は、新しいオモチャを見つけた子供のようで

それを壊す楽しみを知っているものの顔だった


「お姉ちゃん。やっとマムルのことを怖がってくれたね? びっくりしたんだぁ、どうしようかと思ったもん」

「あんた…。彼を…その、人達をどうしようって…」

「あんたじゃないよ。マムルはマムルって言ったでしょっ」


マムルの笑顔は一転して不機嫌に変わると、白いワンピースを翻す

振り払われたスカートの切っ先。引かれた糸の先から慌てて体を離すと、逃げ遅れた前髪が私の体から切り落とされていた


「それに、マムルはどうもしないよ?」

「人から名前を、居場所を盗っておいてどうもしてないって方が、どうかしてる」

「そんなの、ちゃんと後で返してあげるんだから。それくらい良いでしょ?」


全く悪びれないその態度

悪戯をする子供だって、もう少し罪悪感だとか、背徳感くらいは引きずりそうなものなのに

息を吸い、息を吐く、そんな意識もしないことようにマムルは平然としていた


真っ白なまま、無垢なまま


私の前に掲げてみせたその塊は、居なくなった人たちの名前、言い換えれば魂のようなものが投げ込まれていて


「これをグチャグチャにして、空いたところに戻してあげるんだもん」


ねぇねぇ…ねぇねぇ…


マムルが何事かを問いかけてくる


男の人? 女の人? そもそも人間かな?


ねぇねぇ…ねぇねぇ…


そもそもあなた達のいう人間ってなぁに? 人の形をしてればいいの? 手足がついていれば人でいいの?

名前があればいい? それと分かればいいの? 言葉がわかる? 心があるの? 魂なんてどれも変わらないのにさ


ねぇねぇ…ねぇねぇ…


楽しみ…楽しみだよね?


「きひっ♪ あははははははははっ♪」


壊れたオモチャのほうがよっぽどましだ

ニタニタした笑顔のままに、金切り声のような笑い声を上げているマムル


見るに堪えない、そこに居るだけで腹立たたしい


こいつはダメだ、この子はイヤだ


この手の奴らは飽きたらどっか行くなんて、クロの嘘つき

その時にはきっと、この街が終わっている。私の居場所がなくなっちゃうじゃない


「それはダメだよ?」

「なっ!?」


剣を握り直し、奔らせた炎と一緒にマムルに斬りかかる

笑っている。その狂笑ごと叩き切ろうとして、それに気づきもしないまま駆け出して

私の手首は、背後から伸びてきた白く、細長い手に掴まれていた


「マムルを怖がってくれてありがとう、お姉ちゃん。その恐怖が私は欲しかった」


掴まれた手首を振りほどこうとして、しかしそれはビクとも動かない

さっきまではアレほど簡単に焼き払えていたのに、どれだけ炎に巻かれても焼ききれる気配もなくなっていた


「っ、離してっ!!」


掴まれた手首を振りほどけ無いままに

気付けば、私の足元には白い布が広がっていた


夕焼け空に染められて、それでも真っ白に見える気味の悪さ


朱と白


本当にそれだけの色しか映らない


そこに私の影はなく、それに気づいた途端


ずぶり…


足元の違和感がそれと一緒に沈んでいた


「なっ…」


慌てて持ち上げようとした足は、しかし、白い布から伸びてきた白い手に足首を捕まえられる

だったらと、力を入れて足を落とし白い手を踏み潰す

掴まれていた手から力を抜いて、握っていた剣を白い布に上に落とすと同時に

溜め込んでいた炎の力を開放して、乱暴にでも足元の白い布を焼き払うつもりだった


「ねぇ、お姉ちゃんには私が何に見える?」


言葉につられるまま、マムルと視線を合わせて、合わせてしまって舌を打つ

同時に揺らいだ白い女の子の影は、探していた彼の姿と重なって、反射的に爆発させようとした炎を逃してしまう


「くふっ、あははははははっ。知ってるよ、マムル分かるんだから、この人のお名前、このお兄ちゃんの名前は…」

「言わないでっ! あんたなんかの口からっ!! アイツの顔して、我が物顔でっ」

「それもいいけど? それより良いの?」


何? と思う間もなかった


視界の端に映ったのは、掴まれていた筈の自分の手と、振り下ろされていく自分の剣

「え…」と、情けない声を上げてる間に、その切っ先は彼の体を切り裂いて


「あ…あぁぁ…やめっ…」


私の手に白い手が重なっている

あれほど ビクともしなかった私の手が、今度は嘘みたいに動き回って

私の意思に反して握った剣を振り回していた


ぐさり…ぐさり…


肉を裂く感触が、剣を通して手に伝わってくる


ぐさり…ぐさり…


腕を断ち、腹を裂き、心臓を貫いて


ぐさり…ぐさり…


何度も何度も、私の手は彼の体を切り裂いていった


ちがう…


あんなのはマムルの見せる幻だ


それが分かっているのに、そうと思い込めないのは

この手に伝わる感触のせいか、それとも本当に彼の名前を、その魂とも言える部分を切り裂いているせいなのか


あざらし…


彼の声で名前を呼ばれる、彼の顔が私を見ている

血まみれの体を、さらに細切れにして、痛めつけて


斬りつける度に、私の体から力が抜けていく


「もう…やめて、ゆるして…っ」


もし…言葉が私に歯止めを掛けていた

まだ彼に名前が戻る可能性があるのならと、イヤでも甘い考えを捨てきれない


赤…赤…赤…


足元に広がっていた白い布が、まだら模様に染まっていく

滲んだ彼の血の上に、私の涙が重なって


とんっ…


握っていた剣を落としてしまう

腕が自由になったことには気づいても、それを振るうだけの余力はなくなっていた

震える足からも力が抜けて、ついには白い布の上に座り込んだ瞬間


「な…なに? やめ…はなして…」


ずぶり…


体が沈んでいく


白い布は、いつしか底の無い白い沼の様に変わっていて

私を飲みこもうと、ずぶずぶと、その足場を崩していった


逃げようとしても力の入らない、情けない体に鞭を打って


しかし、伸ばした手は沼から伸びて来た白い手に捕まえられる


右手に…左手に、右足に、左足に…


白い沼の上で、ジタバタともがく私の姿は、マムルの目から随分と滑稽に映っているんだろう

きっとそれは、蜘蛛の巣に掴まった蝶のように見えていればマシに思えるくらいには


白い手が私の赤く染まった髪を捕まえる


じぃっと焼ける何かの音と、それの匂いが鼻をついた

もともと無意識で張っていた防御魔法が反応したんだろう

けれど、それに構うこともなく白い手に引きずられた私の体は、沼の上に仰向けに転がされていた


起き上がろうとして、しかし手も足も掴まれている

振りほどいても振り払っても、次々に白い手は重なって私の抵抗を阻んでいく


沈んでいく体


背中の半分、耳までもが白い沼の中に沈み込むと グチュグチュとした水音とともに

白い何かが頭の中に入ってくるみたいで、焦りと恐怖が一気に膨らんでくる


「やだっ、来ないで、私に触らないでっ!!」


残っていた力を一気に燃やして、私を捕まえていた白い手を焼き尽くす

拘束が緩んだ隙きに体を起こし、半身を持ち上げた途端に首を掴まれて、白い沼の上に引き戻された


ばしゃりと、跳ねた白い液体が舞い上がり、私の顔に、体に、次々と降り掛かかる


焦げる音、据えた匂いが鼻を付く


白い沼から体を起こそうとしても、無理矢理に押さえつけられて沈められていく


「かはっ…けほっ…あっ、うっ…ぉぇ…」


空気を求めて口を開けば、白い液体が中に入ってきて

それを吐き出そうとして、のどを詰まらせる悪循環


白い沼の上でのたうち回り、自分の力が弱っていくのを感じていても

これ以上、何かをすることは出来なかった


落ち着いて考えるだけの余裕がない


ただただ怖い


この白い沼の中に引きずり込まれるのが怖い


聞こえてくるんだ


耳の中に入り込んできた白い水音から、頭の奥にまで響くようにして

居なくなってしまった人たちの悲鳴や嗚咽が、じわじわと私の心を蝕んでいくのが分かる


マムルが笑っている


あなたもその中に入るのって


グチャグチャにして、グチャグチャにされて


何か、何なのか、よくわからないものになった後、空いた穴に埋め戻される


その後は…


「やだぁ…やだぁ…たすけっ、クロっ、どこぉ…なの…あ、なんで私…」


ふと、彼の名前が浮かんでしまった


この白い沼の何処かには、確かに彼の存在が感じられて

このまま沈めば、また彼に会えるんじゃないかって思ってしまった

うまくすれば彼の魂を捕まえたまま、こっちに引き戻せるんじゃないかって


なんて甘い誘惑


それさえも、織り込まれた絶望のようにして私を縛っていく


体から力が抜けていく、心が弱っていくのを感じる


景気よく、白い手を焼き続けていた私の力はどんどんとその火を落とし

逆に、勢いを増した白い手は、私の体を押さえつけたまま、服の端々にまで指を掛け始めていた


「くぅっ…だめ、やめて…っ」


スカートが引っ張られる、めくれ上がった服の裾から、晒された脇の隙間から


じり…じり…


焦りが焦げ付いていく


じり…じり…


焦りに押され、残った力を守りに回したせいで

さらに白い手が、その数を、その勢いをまして、私の体に伸びてくる


じり…じり…


くすぶりだした恐怖を必死に飲み込んで、なんとか耐え続けていても

耐えているだけで何かが変わるわけもなく、それが終わってしまう瞬間を前にして、私は子供のように首を振っていた


「あ…」


諦めの声が口から漏れた


ぶら下がっていた棒から手が滑ったような呆気なさ

だからって、すぐ下なんかに地面はなく、白い沼の中に体が沈み込んでいく


恐怖が燃え上がる


その音から耳をふさぐようにして、私は声を上げて泣いていた


外の空気に素肌が晒される感覚

生ぬるい液体に体を濡らされる不快感


ビリビリと布が裂ける音に、私の悲鳴が重なって聞こえてくる


白い指にその端から千切られていくスカート

胸元を掴まれ、そこから一気に服が破られると、次々と私の体に白い手が殺到してきた


追い払おうとして、引き剥がそうとしても、二つしか無い私の手では到底足りず


右手を、左手を…捕まえられて、無理やり開かされて


右足を、左足を…捕まえられて、無理やり開かされて


自分から体を差し出すような格好をさせられたまま、白い手は私の体を嬲っていく


おっぱいに触れられて、良いように形を変えられて弄ばれる

太ももを掴まれ、お尻を潰されながら、誰にも触れさせた事もないような場所が、次々に白い手に汚されていく


羞恥心だなんて、恥ずかしいだなんて、思ってられる内はまだ良かった


髪を引きずられ、無理やり顔を上げされられると

形を変えた白い手が口元に押し付けられる


私の中に入ってくる気なんだ…


そう思って口を固く引き結んでも、体を嬲られる恐怖に口元が緩む

そこから、滑り込むようにして白い何かが流れ込んで来た

染み入ってくる白い液体、それを吐き出そうにも、口を開けば更に中に流れ込んできて


せめて、飲み込まないように…


けれど、唾液と一緒に口の中に溢れ初めた白い液体は、段々と私の喉を詰まらせはじめていた

遅いか、早いか、どうせ無駄なのに

そうだと分かっていても、自分の中に得体のしれないものが入ってくる恐怖を前に口を閉ざす以外の選択はなかった


「あ…がっ…」


それもやっぱり、無駄な努力まま終わる


白い指先が私の唇に引っかかり、両の頬が押し込まれる

ぐいと、強引に顎を開かされ、白い指先に頬を押し込まれると、嫌でも口が開いてしまう


「うっ、おぇ…げ…ぇぇぇぇ…んんぅ…」


流し込まれてくる白い液体に、えづくことも許されず

喉を通る感触がただただ不快なまま、お腹に溜まっていく白い液体が不気味に私の中で波打っていた


このまま沈んでいくんだろう


ボロボロになった衣装に私を守るだけの力は とっくになくしていて

私にしたって、もう抵抗するだけの余力もない


泣いて叫んで、許しを願って


そんな情けない姿をマムルに笑われているのが、今の私でしかなかった


「まつ…り…」


彼女は逃げられただろうか?


ふと浮かんだ友人の顔も、直ぐにも掻き消えてしまう


「そろそろいーい?」


それは、マムルの声だった

反応を無くしていく私に飽きたのか、その声音は酷く退屈そうに聞こえる


「そろそろ、お姉ちゃんの お名前をマムルにちょーだい?」


ゆっくりと、伸びてきたマムルの白い手

しかし私に触れる前に弾かれると、マムルの顔が不快に歪んでいく


「まだ、ダメなの…」


それだけで、私の心は少しは軽くなる。ちょっとした仕返しは出来たかなと

何があったとしても、自分から名前を渡すわけにはいかない


せめて、せめてと、守らなきゃいけない最後のものだけを心のなかで抱え込む


「お姉ちゃん…あざらしお姉ちゃん…」


マムルに名前を呼ばれた途端、酷く胸がざわついた

自分の名前が奪われる、魂ごと持っていかれそうな不安に体が固まってしまう


「マムルを見て?」


それは強制だった


まるで抵抗も出来ず、自分の名前を掴まれたまま、無理矢理 彼女に顔を向けさせられていた


目が合う、心が重なる


魂が混ざっていくようなその感覚は、嘘みたいに心地いい


「や、だ…私に、はいって…来ないで」

「うふふ。入るのはマムルじゃないよ…あざらしお姉ちゃん。お姉ちゃんが私の中に入るんだよ、マムルと一緒になるの」


心臓が早鐘を打つ、お腹がきゅっと熱くなる


視界が白黒と明滅して、脳裏に何処かの映像が流れ始めると

その空気が、匂いが、感触が、直に感じられるように思えてくる



「はぁっ、はぁっ、あっ、うん、…いいよ、とっても、気持ち良い…」


頭に響く少女の…ううん、マムルの甘い声


同時に、下から突き上げられる衝撃に、自分の喉が鳴ってしまう


グチャリと粘ついた水音が耳に張り付き

下腹部に広がった違和感に気づくと、そこから甘い痺れに犯されて、全身がその余韻に溶かされれる


「え、あぁ…な、これ…」


下から揺すられて、視界が揺れて、マムルは誰かの上に跨っていて

それはまるで自分の事のように感じられてしまう


思ってもみない声が、自分の喉を鳴らし

感じたこともない動揺が、私の心を絡め取っていく


視界が揺れる度に、心が弾む


それが気持ち良いと体が喜ぶと、私は自分から体を揺すっていた

自分から足を開き、もっとして欲しいと、マムルは割れ目を押し付けている


すると、下腹部に広がって違和感が更に奥へと届き、それが明確に快楽に変わっていった


視界が揺れて、心が弾む


高まりきった快感の余韻に心を踊らせて、体から力が抜けていくと

私の視界には、広がりきった自分の割れ目と、それを貫く男の子の…おちんちんが目に入る


「あ、あぁぁ…」


薄っすらと、ぼんやりと分かっていた


快感の正体、快楽の理由


言い逃れようのない心地よさ。体が沈んでいく感覚を前に、私は彼の体に手をついていて…


視界が揺れて、心が弾む


想像するばっかりだった彼の体は、思っていたよりも頼もしく

その両手が、力強く私の腰を捕まえると、乱暴におちんちんを突き上げてくる


これは…なに? マムルの記憶…なの?


分かっていても、その暴力的な快楽の前に体が言うことを聞きやしない


こんな風じゃないのに


夢に描いて、自分を慰めていた行為はそうじゃなくても

彼に求められる感覚は、こんなにも心地が良くて

生々しい おちんちんの快楽が私の心を掴んで離さない


「まって、ダメ…こんなの…あっ、ちょっと、まって…」


どれだけ泣いて叫んでも、彼のおちんちんは私を犯し続けていた

乱暴に快楽だけを求める彼の瞳には、うっすらとマムルの顔が映っていて


それが私を正気にさせてしまう


正気のまま、快楽だけが膨らんでいく


「ねぇ、あなたのお名前はなぁに?」


震える彼の唇が、その名前を形どると

彼のおちんちんが、私の中で震えだし、一気にその固さを増していく


射精の予感、絶頂の予感


それを感じ取りながらも、私は彼の口を塞ごうとして、しかし何も出来ないままマムルは彼の名前を呼んでいた



「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁっっ…!!」


絶頂と絶叫


どうにもならない快感と、どうしようもない喪失感に私は泣き叫んでいた


「ねっ? ねっ? 気持ちよかったでしょう? 彼のおちんちん凄かったよね?」

「やだぁ、こんな…なんで…あんた、なんか…」

「うふふっ、あはははははっ」


耳障りなマムルの声を聞きながら、しかし私は何も出来ないでいた

絶頂の余韻の前にろくに体を動かすことも出来ないまま

白い沼の上で足を開き、たどたどしく付いた両手は沼の中に沈み込んでいく


「それじゃあ、そろそろお名前を貰っちゃおうかな…」

「あんたなんかに…あげるわけ…」

「…言ったでしょう? あんたじゃないもん、マムルはマムルなんだから…」


不愉快そうなマムルの声


そして、力の抜けきった私の体はゆっくりと開かされていく

それはまるで、マムルの記憶の中で快楽を求めて足を開いた時のように


ボコボコと、白い沼が泡立ち始める


押し上げられる感覚


湧き上がってくる白いなにか


太ももの間に違和感を挟み込むと、私の体は白い塊の上に馬乗りにさせられていた


「なに…これ…っ」


沈み込んでいた手を引き抜こうとしても、引き抜けない

足を動かそうにも、足首から先が白い沼の中で固まってしまっている


手首を足首とを押さえられ、せいぜい腰が揺らせる程度だが

その事に気づいた途端、割れ目から這い上がる快感に私は体を震わせていた


絶頂の後、感度を増した体は壊れたオモチャみたいだった


身を捩り、逃げようとしただけで、白い塊に触れた肌に甘い痺れが広がっていく

手のひらに、指先に、太ももの内側までもが気持ちいい


なにより…


泡立つ白い塊が、割れ目の手前弾けただけで、声が出そうになるくらいに気持ちいい

恥ずかしさからそれを飲み込もうにも、逃げられない、逃げ出せない、そんな中ではいつまでもは続かなかった


「あっ、やっ…めっ…はなして…こんなの…」


気持ち悪い?


それでも気持ちがいい


矛盾する感覚に、心と身体がバラバラになっていく


やがて、泡だった白い塊から細長い腕が幾重にも伸びてくる

それに嬲られていたの事を思い出し、身構えもしたが

その一本一本は優しく、不気味ほど丁寧に、私の肌に触れていった


くすぐるように、撫でるように


肌を撫でられ、体を震わせる

脇腹を、脇の下を、そのまま背筋を指先で辿られて


「あぁぁ…んんぅぅ…」


上がりそうになる声を私は必死で飲み込んでいた


こんなのダメ、こんな事でなんか、気持ちよくなったらいけないのに

目を閉じって、ぎゅっと快感から目を逸らし続けて


それがいけなかったんだろう


次の快感に身構えているうちに、いつしかそれを期待している事にも気づけない

愛撫を続けられ体が、快感に震えてしまう

熱くなるお腹の奥と、もどかしくさを増す割れ目の感覚を誤魔化す為に、自分で腰を揺らしていた


止まらない、止められない


お腹の奥から溢れてくる快感は、愛液にかわって割れ目からこぼれ落ちていく


「え…」


変化は、唐突だった


揺すっていた割れ目が急に押し上げられる

それは、どんどんと固さを増して私の体を持ち上げていった


ビクビクと震える白い塊


まるで おちんちんの様な固さと太さ


初めての体に刻み込まれた快楽は、すぐにもその快感を思い出す



それが最後の抵抗だったんだろう


白い手に嬲られた体に残った唯一の布地

無意識に守り抜いた女の子の大事な部分


それが今、白い肉棒を受け止めて、ビリビリと嫌な音を立て始めていた


「あっ…あぁ…だめ、お願い、我慢して…」


持ち上がっていく体、押し付けられる白い肉棒

残った力を慌てて下着に回しも、嫌な音は止まらない


白い肉棒の先端が、割れ目を擦り上げる

下着ごしとはいえ、無理やり広げられた割れ目は、肉棒を欲しがるかのように ひくひくとさざめき立つ


初めてなのに…


知ってしまった肉欲にどうして良いかが分からない

声を押し込める? 体を固くする? 首を振ってもどうにもならない


肉棒に割れ目が擦られると、勝手に体が開いていく

広がる快感に頭が揺れて、意識が飛びそうになる度に、下着に集めていた力が散らばっていった


びり…びり…


嫌な音が広がって、肉棒の先端が割れ目に直接触れ始める

せめて腰を逃がそうとして、けれど手首と足首は白い塊に埋まってしまっていて

どうにもならないまま、気持ちいいのか、怖いのか、暴れだしたい衝動はそのままに


ぐっと、体が引きずり込まれる


足首が、膝の下まで

手首が、肘の下まで


四つん這いの様な格好をさせられたまま、より深く白い塊に体が沈んでいく


「あ…」


びり…


その音を最後に、嫌な音は聞こえなくなり

その代わり、守るものを失くした割れ目の中に、白い肉棒が容赦なく押し入ってくる


痛い…


初めては、そう聞いていたはずなのに

また自分の体を嬲られると身構えて、しかしその瞬間は訪れず、代わりに叫んだのは悲鳴じゃなくて嬌声


体が揺れて、心が震える


気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい


割れ目が肉棒で埋め尽くされて、頭の中が快感で一杯になる

どうしようもなく、どうにもならない、全てがどうでも良くなって


「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


叫んでいた


声を上げて泣いていた


嫌だと言いながら涙を流し、けれど頭の中は真っ白で

嫌がる声とは裏腹に、押し広げられた割れ目は ひくひくと白い肉棒を掴んで離さない


初めて感じた異物感


幻とは違う実感は、すぐにも快感に代わりだす


手慣れたように腰が揺れ、奥へ奥へと押し入ってくる肉棒を受け止める


「うそ、うそ…いやだ、いやぁぁっ」


どれだけ否定しても、泣いて見せても、体は快感を受け入れるのをやめなかった

気持ちいい、気持ちがいい、それが絶頂に変わる瞬間をただ焦がれている


快感が止まらない


全身が快楽を受け入れている


肉棒から、割れ目から、太ももからも…

そして、白い腕はいつしか 両胸までも包み込んで、すでに固くなっていた乳首の先をきゅっと摘んでみせた


「あっ…」


甘い嬌声、快感の余韻


慌ててそれを飲み込んで、息継ぎに合間にも乳首を責められる

びりびりと甘い痺れが乳首に集まり、だんだんとそれが吹き出しそうに思えてくる


絶頂の予感


それも乳首で


白い肉棒に割れ目を犯されながら、胸と乳首を責められ続ける

高まり続ける快感に、逃げ場を求めた私は、そんな恥ずかしい事実も受け入れてしまいそうになっていた


「やめて…助けて…くろぉぉ…あ、うそ…なんで…」


頼もしかった黒猫の名前を呼んでも助けは来ない

そもそも彼の忠告を無視したのは私なんだから、この結果は当然といえば当然で、その快楽が私を責め立てる

その代わりに、割れ目を埋め尽くす白い肉棒から感じた暖かさは 彼のものだった


「あ…あぁぁ…」


涙がこぼれる…


自分の体で彼の肉棒を受け止めているような錯覚

夢にまでみた瞬間は、甘い誘惑だった


「あははっ、良いんじゃない? そのままお姉ちゃんが 体を明け渡しちゃえば、もしかしたら助けられるかも」


ニタニタとマムルが笑っている


彼を受け入れる、自分の代わりに居場所を渡して

でもそれは、ぐちゃぐちゃになって彼と一つになるってこと


それは…


それは…


それは…


視界が揺れる


マムルの見せた幻覚


彼の精液をお腹で受け止めたときの快感が混ざり込む


都合のいい錯覚は、けれど、唯一弱りきった心を慰めてくれていた



白い腕が次々と伸びてくる


それらは私の体を捕まえて、腕を足を、首を、腰を、そのまま引きずり込むようにして


ずんっ…


白い肉棒に突き上げられていた


声を上げ、涙を零す


痛くもない、苦しくもない、ただただ気持ちが良くって私は泣いていた


身動きも取れない体を必死に揺らし、白い肉棒に彼の面影を追い求めると、何度も何度も自分の割れ目を押し付ける

今度は、今度こそは、マムルの体じゃない自分の体で、その快楽が、全身に焼き付いていった


痛いほどに固くなった乳首を潰されて、私は声を上げてしまう

先から何かが吹き出しそうな程の甘い痺れが、全身を駆け巡り

軽い絶頂を迎えたまま、しかし白い肉棒は責め立てるのをやめない


先端に奥を突き上げられ、白い腕に体を引きずられる

白い塊の中へ、さらに深みに嵌った私の体

彼と一つになっていく錯覚、高くなっていく絶頂の予感


深くまで突き刺さった肉棒の先端が、ついには子宮口を探り当てていた

自分の指では絶対に届かない様な場所、女の子の一番大事な部分を

これから汚される、きっと壊れるほどに犯されるのに、私の体は勝手に開いていく


これで彼が助け出せるなら


まつりの為だなんて、きっとそれは言い訳で


痛いのも苦しいのも、もう嫌だった、怖いのはもっと嫌だった

だって、気持ちがいい、それが幸せ、それの何がいけないのか


一度消えてしまった炎は、そのまま快楽の熱へと変わっていく


全身が焼けるほどの気持ちよさ、女の子の部分で肉棒を受け止める喜びに流される


「きもちいいっ、なんで…こんな…わたし、いきたくなんて」


言ってるのは言葉だけ、そう言ってる自分はまだまともに思えて

まともなまま壊れていく自分を感じるのが更に快感を生んでいた


白い肉棒が割れ目の中で膨らんでいく

びくびくと、何度も脈打ち、突き上げる刺激が更に乱暴なものへと変わっていく


射精の予感を受け止めて、私の心は弾んでいた

もう、自分から抱きつくような勢いで白い塊に体を沈め、その肉棒を受け入れる


どくん…どくん…


肉棒が跳ねる度に射精の予感に身を焦がす

それだけで、イってしまいそうになるのを耐えながら、耐えきれずに私は声を上げていた


いきたい、いきたいと、射精の熱を受け止めてながら、あの時の様に絶頂したい

早く、早くだして欲しい。じゃないと、このままどうにかなってしまいそう


心も、体も、白い塊に沈んでいた

犯されている事も忘れて、私はただ快楽の中で窒息しそうになっている


「ねぇ、お姉ちゃん…あざらしお姉ちゃん。そろそろ マムルにお名前ちょうだい?」

「あ…あ…」


だめ…なんて言葉が浮かんでは消えていく


私の名前にマムルが触れて


「ありがとう、あざらしお姉ちゃん…。ご褒美だよ…」


それは、唐突に私の体を満たしていった


膨らんだ肉棒が一気に弾けて、その先端から大量の精液を吐き出す

すぐに子宮の中は一杯になり、溢れた精液は割れ目の奥から ごぼごぼと溢れ出す


お腹を満たす射精の熱、待ち望んでいた瞬間に私は我慢を忘れていた


「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


声を上げて泣く


自分が崩れていくような感覚


それは事実として、名前を取られてしまったから


けれどそれが気持ちいい


快感の中に溺れていく


イきながら、何度も達して、精液に満たされていく


白い塊に沈んでいく、私も、何もかも、一つになって落ちていく



あざらし…ごめん、まつりをたのむ…



絶頂の中、彼の声が聞こえた気がした


最低で最悪のタイミング


けど、その声を聞いただけで、心にそっと火が灯り、失くしていた筈の熱を取り戻す

正しく燃え上がった私の熱は、情欲の炎をかき消して


びしゃり…


私の体に白濁液が降り注ぐと、直ぐに焼け焦げた匂いが立ち込めていた


「へ…なん、で?」


気の抜けたマムルの声


崩れていく白い塊を通り越して、いつの間にか私は握った剣でマムルの胸を貫いていた


「いたい…いたい、いたい? やだやだやだやだやだやだっ、いぃぃやぁぁぁぁっぁぁっ!!!」


絶叫と、同時に白い塊が爆発して周囲に飛び散っていく


「あんたなんか、いらないっ、もうっ、しんじゃえぇぇぇっ!」

「あんたこそっ!」


散らばった白い布が塊になると、私に振り下ろされる

眼前に広がってくるそれを避けるでもなく、ただ真正面から焼き捨てると

繋がったマムルへの道筋を私は一気に駆け抜けた





「すとっぷ」


じっとりと、纏わりつくような感覚だった


押さえつけてくる訳でもない、敵意を向けられているほどでもない

ただ、水の中で歩くような、霧の中を彷徨うような、そこに居るだけで力を削がれるみたいな感覚


「ありがとう。けど…ごめんなさいね、この子は貰っていくわ」


有り難みもない感謝の言葉、謝る気もない謝罪と共に

ふと、ふい、唐突に、降って湧いた その人は、痛みに倒れ込むマムルを抱き上げていた


「いたい…いたいよ、楓ちゃん…」

「自業自得でしょうよ。子犬だって怒れば噛みつきもするわ」


呆れる声に、心配する素振りは見えないが、だからといって私に剣を向けさせる気も無さそうだった


「あんたは…その子をどうするつもり?」


誰とも問えない


存在する気配がまるで違う、人に見えるだけで何もかもがおかしい


「霧里 楓。どうぞ楓お姉ちゃんとでも呼んでちょうだい?」


沈む夕日よりも赤い着物、黒い墨をぶちまけたような長い髪が、降り始めた夜の帳に溶けていく

まるで空に浮かぶ三日月のように、薄い唇が弧を描くと


くすり…


悪戯に微笑むその人は、少女のようにも、大人びても見えて

そこにいるはずなのに、薄ぼんやりとした存在感は、危うさと儚さに揺れて


綺麗だと…


目を奪われてしまいそうになるのに気づき、慌ててそこから目を逸らす


「それに言ったでしょう? この子は貰っていくと、友達は大事にしないと」

「友達…友達って。じゃあ、あんたも…」


マムルと同類って事になる、それならこのまま逃がすわけにも行かないけど


「そうね、ただとは言わないわ。見逃してくれたら見逃してあげる」

「…勝手なことを」


でもそれは、実に、実に魅力的な提案だった


マムルに一太刀、それをするだけで私の力は限界で

今からこの女を、楓を相手に出来る気がしない


笑って微笑んで佇んで


ただそれだけの相手に、万全だったとしても私なんかに何かが出来るとは思えなかった


「ああ、なんならもう一太刀浴びせていく?」

「ひっ!? やだ、楓ちゃんっ、なんでなんでっ」


甘えて抱き縋っていた相手に、宙ぶらりんに晒されて

慌てたマムルが声を上げて泣き始める


本当に叩き切ってしまおうか

今ならそれが許されている気がする


確信なんかないけども、これはそういう奴なんだと何処かで理解出来ていた


業っと、握った剣を中心に炎が渦を巻くと、私はそれを一突きに身構える

一回は一回だ。ここでマムルを逃がす手はない、勢い余って楓を貫いたとしても、アレはそれでは怒らないだろう


「威勢のいいこと」


何がおかしいものか、楓はただ静かに微笑み、私はただ口元を引き結ぶ


残った力を全部が全部 剣に注ぎ込み


泣きわめくマムル目掛けて一突きに踏み込んだ


視界が爆ぜる


世界が赤く染まり、散らばっていたマムルの白い残滓が一気に蒸発していった

髪の焼ける匂い、着物の焦げる音、漂う様に残る笑い声だけを残して、霧里 楓、そう名乗った何かは霧の向こうに消えていった





「いったぁぁぁぁぁぁいっ!!! 楓ちゃんの意地悪っ!!」

「マムル様…落ち着いて、動かないで…」

「うっさいっ! カヤが下手っぴなのがいけないんでしょうっ」


白い素肌をさらけ出したまま、マムルが暴れていた


傷で汚れた体はそのままに、自分をオモチャにした楓に憤慨しながら

甲斐甲斐しく手当をしようとする、メイド服の少女に当たり散らす


顔を叩かれ、髪を捕まれ、蹴っ飛ばされて


それもいつものことなのか、顔をしかめこそしながらも

カヤと呼ばれたその、メイド服の少女は慣れた手付きで マムルの傷を塞いでいった


「放っておけばいいのに。死にゃしないわよ、別に」

「ですが…」


呆れた声で楓が言う


主人がそう言えば、そうとも出来るはずなのに

カヤはその手を止めず、どれだけ自分が無碍に無体に扱われても最後まで治療の手を止めなかった


「何よそれっ! 楓ちゃんがマムルのことを盾にするからでしょうっ、いけないんだよ、そういうのっ!!」

「いけなくはないでしょうよ。それに、ちゃんと助けてあげたじゃない」

「だったら、あざらしお姉ちゃんはっ! どうして殺してくれなかったのっ!!」

「なんでもかんでも殺していたら、人間なんか居なくなってしまうでしょう?」

「いーじゃんっそんなのっ、そうしましょうよっ!」

「空っぽのおもちゃ箱ほど侘しいものは無いわ。明日の退屈をどう紛らわすというの?」

「むぅぅぅ…。その時はマムルが遊んであげる、そうすれば寂しくないでしょう?」

「まあ、嬉しい」

「もうっ、楓ちゃんっ。マムルのお話聞いてよっ」


気のない楓の返事に、腹を立ててマムルの憤りがそのままカヤへと向けられる


「いったいってば、さっきから言ってるでしょうっ!!」

「もう、終わりますから…っ、おちついて…」

「後でひどいんだからっ、覚えてなさいよカヤっ」

「それでも構いませんから…ぁっ。今は、おとなしくしてください」


騒がしい…


もう少し痛めつけてもらえば、大人しくなっていたもんかと

暴れるマムルを横目に、楓は大きくため息を吐いていた


「…かえで?」

「だめよ、みけ」

「…」


名前を呼ばれ、膝の上で丸くなっていた女の子に目を落とすと

その栗色の髪を優しく撫でながら、しかし動くなとその身を縛る


納得のいかない沈黙


不満そうにしながら女の子は カヤへと視線を移し

一瞬、女の子と視線を合わせたカヤも「大丈夫」と頷いて返すと


ごろり…


撫でられながら喉を鳴らして、また楓の膝の上で丸くなっていた


「良い子。やっぱりペットは大人しいくらいでいいのかしら…」


そう、四六時中一緒にいるなら、変に騒がしいよりは良いかもしれない

そんな事を思いつつ、楓は何処かへと視線を投げる


なら、オモチャはどうだろう?


あの魔法少女が、懲りずに私達を探し当てたら?


ああ、それは…とっても楽しそうだけど…


焦げた指先をちろりと舐める


怪我とも言えないその怪我は、それだけ跡も残さず消えていた


「ふふっ…。ま、その前にあの街が大変でしょうけど」


退屈を紛らわせてくれそうな その予感に、知らず楓は頬を緩ませていた





きーんこーん、かーんこーん…


「あざらしちゃん、かえろ?」

「うん、いこっか まつり」


授業も終わり、二人で下校の道につく


あれから、なにもない、ほんとうにまったくだ


クラスからも、学校からも、消える人は居なくなり

だからって、消えた人も戻っては来ない

まつりの記憶もクロが上手いこと消したみたいで、彼との記憶もなかったことになったまま


何があったのか、何も出来なかったと、告白する機会を失って

それがよかったのか、それが出来なかったからなのか、私の心はどこか宙ぶらりんだった


「あざらしちゃん、大丈夫?」

「え、あ、うん…平気だけど?」


心配そうに まつりが覗き込んでくる


慌ててなんでも無いような顔を作り、気付けば分かれ道に着いていた

「送っていこうか」だなんて、あの日にも言われた言葉に嫌な記憶が蘇る


「ううん、平気…帰ったら連絡するね?」

「あ、うん。きをつけるんだよ? 無理だったら直ぐに言ってね?」


心配する声に背を向けて、無理に笑顔を作ると私は一人帰り道を辿っていく



「よくやったと、言いたい所だがな」

「何が…結局マムルも殺せてないし、後から出てきたアイツだって」

「やめとけ、死ぬぞ今度こそ」


とんっと、音もなく現れた黒猫が、嫌味な声音で私を嗜める

そうでも言われなければ、私はまたマムルを探そうとしていたかもしれないと思うと

この小言もいい薬なんだろうけど


「体は良いのか…一応、元通りのはずだが」

「平気…気を使わなくたって」

「そうかい。まあ、そうだな…」


気まずい沈黙


体が治れば元通りとはいかないのが、心の傷と言うものだ

でも、ファーストキスだって考えようではノーカンにも出来るんだし…


「…」


思い出す、それだけでも辛くなり、足がガタガタと震えだす

溢れそうになる涙を抑えるために、さらに沈黙が深まる中


「…悪い知らせだ。マムルの置き土産がまた出やがった」

「ぐすっ…ん。今言う?」

「後で言ったら怒るだろうが」

「…だね。ごめん…それじゃあ」

「駄々を捏ねても良いんだぜ? 「もうイヤだって」むしろ、その方がオレは嬉しい」

「…むり。あいつにお願いされちゃったから。まつりをお願いって…だから」

「はぁ…そうかい。そうだろうな…」


黒猫の嘆息を聞きながら、私の足は帰り道から外れていく


怖くはあるけど、正義だとかそんなカッコいいものでもない


とくん…


胸を打つ鼓動


自分のものではない熱さを確かめるため、それを無くさないためにも

私はまだ、足を止めるわけにはいかなかった



ーおしまいー



後書き

最後までご覧頂きありがとうございました

ひどい目に合う女の子って、結構難しいな
結局快楽落ちが一番便利っていう

さて、今日はここまで
いっぱい楽しめたかしら? 少しでも気が晴れたのなら何よりね

それじゃあ、また、次の夜にでも…


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