博麗の先代巫女と、追憶の妖怪と(一週間目)
この作品は『東方project』の二次創作作品にあたります。ご了承願います
先代の巫女と人喰い妖怪は仲良かったのでしょうかね?何はともあれ、どうぞゆっくりしていってね!
ここは幻想郷にある神社の一つ。
そこには一味も二味も違う変わった巫女と、その事を好ましく思う仲間が居る。
今回は、そんな巫女の旧世代の話でもしよう
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【先代博麗の巫女、当時29歳】
代々、多くの若き才能に溢れた巫女によって受け継がれてきた数億年の歴史を持つ博麗神社。
今年は元博麗の巫女であり、霊夢の母である先代巫女の後任として、適任の新たな巫女の芽を出迎えた。
この幻想郷での巫女は、外の世界の巫女とは全くもって異なる。
みなが思う巫女は祈祷や占い、口寄せなどを行ったりする物や、御神籤や御守りの窓口を行ったりする物など、どちらかと言うと神を司るイメージではないかと思う。
しかし、幻想郷の博麗の巫女に求められるものとは少し違う。特に博麗の巫女に求められる項目は三つ。まず霊力の有無、次に才能に能力。最後に己の精神の強さだ。
現在の博麗霊夢こと霊夢はこの三つを満たしている。
しかし、身体能力は今は子供の身体な為か、お世辞にも妖怪退治だとか異変解決だとかそういう事はできない。
その上、溢れ出る程の霊力を持ってるとはいえ、それを上手くコントロールしたり、そもそもの使い方を本人は知らないのだ。
なのでこの時の霊夢は切磋琢磨することが主な仕事となった。
先代「ほら霊夢!!霊力を注ぎすぎ!もっと抑えて!」
霊夢「ぐぬぅぅぅぅ....」
普通の博麗の巫女の場合、修行の基本は児童期に行い、以下の通りのメニューが定番となる。
朝は6時から自主練、大体はランニングや腕立て伏せなどと言った軽めのトレーニングで、基礎体力を高める。
昼は先代の巫女に当たる人物に稽古についてもらって霊力に関しての術を実践する。
夜は主に霊力の活用法や戦術。そして幻想郷についての勉強。
とてもハードな上に、読んで分かる通り、自由な時間が極端に少ない。
勿論、先代の巫女はこの修行を経験し、見事やり遂げた。
しかし、先代の巫女であると同時に、霊夢の母はである彼女は今までの巫女とは考え方が大分違う。
先代「まぁ今日はこんな所で良いでしょ。お疲れ様、霊夢」
霊夢「うんおかーさん!」
あろう事か、この厳しい修行の一部を修める期間をズラしたのだ。
基礎体力作りや、最低限の霊力の使い方。巫女としての在り方などは容赦なく叩き込むが、できるだけ自由な時間を与えてやろうと考えた。
そして、今までとは異なって妖怪と交流させると言う前代未聞の行動に出る。
今までの巫女が見れば発狂ものだが、この霊夢の母としての考えが後に霊夢の妖怪に対しての考え方を変える転換点になる
ルミーティア「おーい霊夢と博麗の巫女ー。遊びに来たぞー」
霊夢「あ、ルーミアだ!!!」
今日はルミーティアが博麗神社にやって来た。
ルミーティアは所謂「人喰い妖怪」という闇の妖怪にあたるのだが、前に先代の巫女にそこまでするのかと言ってしまいそうになるほど、完膚なきまでに精神と肉体をボコボコにされ、今は大人しく博麗神社の近くのひっそりと林で暮らしている。
ルミィーティアは神社の縁側に座っている霊夢と先代の巫女を見つけると、左側に腰をかけた。
霊夢「ねーねールーミア!今日は何したい?」
ルミーティア「あー、霊夢がやりたい事で良いと思うけど?」
先代「あ、ルーミア。悪いけど今日の昼から霊夢の面倒見といてくれない?私はちょっと用事があってね...」
ルミーティア「構わないぞ。んじゃ霊夢、何して遊びたい?」
ルミーティアは今じゃ大分丸くなった。
人里に降りはしないが、山に迷い込んだ人間を無闇に殺して食う様な事は無くなった。
側から見れば口では文句を垂れるが、本当は面倒見のいい姉の様に見える。それほど霊夢には親しく接しているのだ。
先代「...もう春ね」
ルミーティア「ついこないだに春告精から聞いたよ。あの子ったら、私にまで伝えに来るなんてね」
霊夢「まあルーミア怒りっぽいし!!」
ルミーティア「いや怒りっぽくないでしょ!!普通だわ!」
先代「ほらぁそうやって怒る〜」
ルミーティア「こんのぉぉ....」
霊夢はルミィーティアが捕まえてくると察して、一足先に森の中へと逃げてしまった。
ルミィーティアはそんな姿を見て、やれやれと思いながら仰向けに寝転んだ。
足はだらんと縁側からはみ出て、地面にスレスレというところでブラブラと揺れている。
ルミーティアはこう言ってるが、満更じゃないのだろう。先代の巫女とも気を使わない関係になった。
彼女は彼女なりに幸せに過ごす方法を見つけた。
それが今である、彼女はここでの第二の人生を1秒1秒楽しんでいるようだ。
ルミィーティア「まぁそんな事より、霊夢には教えるべき事は全部学ばせたの?」
先代「んーそうねぇ。やっぱり3歳から既に修行を始めさせたとはいえ、夢想天生はまだだわ」
ルミィーティア「ふーん....なら安心かな。そういえば今年でいくつ?」
先代「8のはずよ。もう5年も経っただなんて信じられないわ」
ルミィーティア「はは!アラサーってやつになっちまったな!」
先代「寿命ないあなたに言われてもねぇ...」
二人が出会った時が霊夢が生まれる数十年前なので、意外と長い付き合いになる。
彼女らが思う以上に経過した時間が、彼女達の仲をとても深くしている。
あの時、本気で殺し合った時間や感情は何処へやら、気付けば親友になっていた。
先代「それじゃあ私は行くよ」
先代の巫女はそうルミィーティアに告げると、神社の縁側から立ち上がって、境内の外に繋がる階段まで歩き始める。
ルミィーティア「な、なあ!博麗の巫女!」
先代「なによ?」
ルミィーティア「...その...あんたがどう思ってるかは分かんないけど...」
最初は大きな声で早口で喋っていた言葉が徐々にゆっくりと、小さくなっていく。
ルミィーティアの顔から耳の先まで真っ赤に染まりあげる。
ルミィーティア「私はあんた達とは...えっと...親友のつもりだから...あの...」
先代「....」
ルミィーティア「...ありがとうね」
先代「....っぷ」
ルミィーティア「は?」
先代「あはははははははは!!!何いきなりどうしたのよ!!あーやばいお腹痛いって!」
ルミィーティア「笑うな!結構恥ずかしいんだぞ!!」
先代の巫女はルミィーティアの気恥ずかしさを他所に、一人でお腹を抱えながら爆笑した。
すかさずルミィーティアはそれに対して怒る。
先代「ははっ、でもまぁ、嬉しいよ。私もそう思ってたし。ありがとう」
ルミィーティア「!...なんか私が一人で恥ずかしがってるのが馬鹿みたいだろ」
先代「元から馬鹿じゃ...?」
ルミィーティア「そろそろぶっ飛ばすわよ!?」
先代「きゃーこわーい。怖いから私は逃げますねー」
ルミィーティア「あ、待て。巫女おおおおおおおおお!!!」
この後、先代の巫女がルミィーティアから逃げ切ったものの、結局は帰宅時に捕まったのは言うまでもないのは、また別のお話で
一週間目、終わり。
ご愛読ありがとうございました。はじめての東方作品です。初めてにしては結構、難易度高めのキャラを二人も出しちゃった感が否めない.....何はともあれ、これからよろしくお願いします(_ _)
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