博麗の先代巫女と、追憶の妖怪と(七週間目)
この作品は『東方project』の二次創作作品にあたります。ご了承願います。
いよいよ夏に突入。新たな出会いがあると良いね。それでは、ゆっくりしていってね!
幻想郷にも、外の世界と同じように季節が巡る。
住民達は皆、この四季折々の自然や行事を楽しむ。
現在は夏の猛暑日、木々はつい先程まで咲き誇っていた桜は散り、代わりに健康的で鮮やかな緑色の葉を宿す。
至る所で蝉が鳴き、まるで大合唱でもしてる程の音量を奏でる。
てんとう虫や蚊などと言った小さな虫もポツリポツリと現れ始め、夏を彩っていた。
今日は霊夢と一緒に森へ虫取りに出かけた。
虫取り網と虫籠を携えて
霊夢「ルーミア!次はあれ取って!」
ルミィーティア「あれって.....蝉?」
霊夢「うん!」
霊夢が指さす方向を見上げると、ルミィーティアの背丈でも二倍近くある巨木の幹にアブラゼミだろうか、二匹ほど張り付いている。
ルミィーティアは虫が苦手という訳ではなかったが、労力と時間をかけてまで虫を取るようなタチでもない。
だが霊夢の期待に満ちた爛々とした眼差しを浴びせられ、渋々取りに行く。
流石によじ登るわけにはいかないので、妖怪特有の飛行を駆使する。
ルミィーティア「....えいっ」
ほぼアブラゼミと対角線上辺りまで近づいたルミィーティアは慎重に虫取り網を両手で握り、目にも止まらぬ速さで振り下ろす。
するとアブラゼミのうち一匹だけが網の中に入り、もう一匹は捕らえられる3秒前に察知し飛び立ってしまった。
みぃぃぃぃとアブラゼミは独特の悲鳴を上げながら、網に中でもがき続ける。
結果的にはアブラゼミ一匹しか手に入らなかったが、上々だろう。
ルミィーティアは捕獲した品を虫籠の中に優しく入れて、地上に降りる。
ルミィーティア「ほい、取ったぞ」
霊夢「わぁぁ...ルーミアありがとう!」
ルミィーティア「どういたしまして」
霊夢の全身を使って表現された喜びと、満面の笑顔を得たルミィーティアはニコリと笑う。
これだけでも儲け物だ。
ルミィーティア「にしてもあっついなぁ...今にでも燃えそうだわ」
霊夢「あ、ルーミア!次はあれ!あれ取って!」
ルミィーティア「え、もう見つけたのか?」
取れるところは霊夢でも取れるが、霊夢じゃ届きそうにない場所はルミィーティアが代わりに捕獲するのだ。
そんなこんなで霊夢が見つけた虫をルミィーティアが取るの一連の作業を繰り返す。
そうしているうちに、気付けば二人は森から出て、開けた所に出た。
二人は目を見開いて、思わず口も開けてしまう。
なんと目の前には一面に綺麗に咲き誇った向日葵があるのだ。
ただ美しさのあまり見惚れていると、急に右から声をかけられた。
幽香「何してるのかしら」
ルミィーティア「あ、もしかしてここは幽香の?」
霊夢「あ、幽香だ!」
霊夢は幽香を見つけた途端、小走りで幽香の元に駆け寄る。
幽香は幽香で、わざわざ屈んで手を広げ、霊夢を受け入れる。
ルミィーティア「(やっぱこうなるなんて考えれないなぁ)」
幽香「それで何用?ここに来るってことは何か理解が....あぁ、なるほどね」
幽香はルミィーティアが肩から掛けてあった虫籠と、持っていた虫取り網を見て察したようで、呆れ顔になる。
幽香「貴女妖怪でしょう?道ぐらい覚えてなさいよ」
ルミィーティア「あはは....気をつけます...」
ルミィーティアは乾いた笑いで頬を掻く。
ルミィーティア「あ、そういえば向日葵。よく手入れさせてるわね。綺麗」
幽香「でしょう?私の自信作だもの」
ルミィーティアに褒められた幽香は気分良く胸を張る。
すると、霊夢が幽香の頬を突いた。
霊夢「ねーねー幽香!一緒に遊ぼ!」
幽香「まぁ別に構わないけど、その前にその子達を解放してあげたら?」
幽香が指差した先にはルミィーティアが携えていた虫籠があった。
ルミィーティアは虫籠を手に取る。
少しだけ中に居るものたちを眺めた後、霊夢に許可を有無を問う。
ルミィーティア「えっと。霊夢は別に良い?」
霊夢「んー良いよー」
霊夢の了承を得てルミィーティアは虫籠を開けて、近くの木の株に開け口を上に向けて置いた。
捕らわれていた虫達は少し様子を伺って、安全を確認した後すぐに飛び立った。
霊夢「あーあ。いっちゃった」
ルミィーティア「また今度捕まえよう?」
幽香「さて、今日は気分が良いから何でもできるわ」
霊夢「じゃあ次は鬼ごっこしよ!」
ルミィーティア「でも暑いし...できればだるまさんが転んだとか」
幽香「まぁ楽しければ何でも良いわ。好きに決めて」
霊夢「えーじゃあ...幽香鬼ね!」
幽香「え?私?」
急な指名に少し動揺する幽香。
それを見てルミィーティアは面白がって、少し茶化す。
ルミィーティア「ほら、今日は気分良いんでしょ?早く捕まえてみてよ」
幽香「貴女ねぇ...」
霊夢「じゃあ10秒数えて!」
幽香「ちょ、私はまだやるだなんて一言も」
ルミィーティア「はい10ー!」
幽香「....どうなっても知らないから」
ご愛読ありがとうございました。ギリギリ1日一本ペースキープできてますね、首の皮一枚の状態ですけど。
...はい、私が東方万華鏡や東方茨歌仙をまったり読んでいるせいです。ごめんなさい。
では次回も、ゆっくりしていってね!
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