バレンタインデー・キッス~3組のカップル~
概要
新海監督三部作の、2024年のバレンタインデーの一幕を描いてみました。
前書き
新海監督の凄いところは、なんとこの2024年にすべてが丸く収まる、ということなんです。
「君の名は。」→隕石落下は2013年、二人の出会いは2023年の春。
「天気の子」→異常気象の発生は2021年8月。帆高の高校卒業は2024年3月。
「すずめの戸締まり」→事象発生は2023年9月。ラストシーンは、2024年の2月
「いや、たまたまですぜ」という声も聞かれようが、2024年にこの三作品の3カップルに等しくいい感じのバレンタインデーが訪れていて不思議はない、というところから、短編3本という形で作ってみました。
本来なら、2/14中に仕上げたかったのですが、草太と鈴芽の再会を映画のラストシーンと絡めたことで、少し分量が多くなり、翌日に出来上がり、となりました。
2023.2.14 PM8:00 2024年のバレンタインデーなら全カップルに物語がかけそうと立案。
2023.2.15 AM0:30 途中で放置。5800字ほど。
2023.2.15 PM8:00 上梓。サイト公開。7222字
1.
「こ、今年が二人の初めてのバレンタインデーやよね」
宮水三葉の胸の高鳴りは、2024年の2月には、押さえられないほど激しさを増していた。
2023年の春に、"会えば絶対すぐにわかる人"になっていた、瀧くんと再会ができ、ほどなく交際がスタート。ほぼ1年が経過しようとしていたのだった。
「でも瀧くん、甘いものが好きじゃないともいってたけれど……」
愛の告白という一大イベントを行う日としても機能しているバレンタインデーを、三葉は何とか利用したいと思っていた。
それでも、自分が勤めている商業施設が展開している、バレンタインデー用のチョコレートの展示を見ていると、いてもたってもいられなくなっていた。
「よしっ!チョコ、手作りするぞっ!」
三葉は、手作り用のチョコレートの素材を大量に買い込み、自分の休日を利用して様々な種類のチョコを作ろうと計画した。
2月11日の建国記念の日に、たまたま休みのシフトが入った三葉は、この日をチョコ作成日に当てた。
手作りチョコレートは、基本、固まりの板チョコを湯せんで溶かし、型に流し込み、固めるだけなので、失敗は少ないと思われがちだ。
だが、その湯せんの温度の設定をちょっとでも間違うと、成分が分離したり、固めた時に白い筋などが入る。チョコを溶かす温度を一定に保たなければならないことや、加温しすぎてもいけないなど、繊細な作業を余儀なくされる。
「お姉ちゃん、彼氏にチョコ、作ろうとしてる?」
そうした真剣に対峙しなければいけない局面で、妹の四葉が横から口をさしはさむ。
「そうやから、ちょっと、黙っててくれんかね?」
三葉は、携帯のレシピと首っ引きでチョコを溶かし始めていた。
「その量やと、ひとりだけに渡すんやなさそうやけど、わかって溶かしよる?」
三葉は、買ってきたキロ単位のチョコを溶かそうとしていたのだ。
「え?そのつもりやったけど」
ボウルにあふれんばかりになっている、チョコの液体を見ても、三葉は全く動じなかった。
「はぁ。まあ、失敗することも見越して、やろうけど、あんまり時間かけたら、風味、飛んでしまうよ」
四葉は、三葉にありがたいお言葉をかける。
「ああ、そうやったわ。そろそろ型に流し込むわ」
三葉は、用意していた様々な形の抜型にチョコを流し込み始めた。
それでも相応に溶かした材料は余らずに配分された。
「おお、上手い事使い切ったねぇ」
四葉が、チョコまみれになっているリビングのテーブルの上で、冷やされるだけになっているチョコたちに感嘆の声を上げる。
「で、このいっちばんデカいのが、彼用やね?」
ぱっと見にA4サイズ並みのハート型のチョコを認めて、四葉は言う。
「そう。だって初めてのバレンタインだもん」
三葉の顔は紅潮して、多幸感に満ち溢れていた。
「はいはい分かった分かった。壊さないように冷やしなよ」
四葉は、若干ラブラブな二人に当てられっぱなしになって、その場から退散した。
2月14日当日。
前日までに、チョコにきっちりとデコレーションも済ませて、三葉は、瀧の勤めている会社近くで待ち合わせをした。
手にしているのは、30センチ四方はある、うすべったい箱。見るからに手作りチョコが入ってます、と周りの人からも視認できるほどの大きさだ。
「あ、いた!瀧くーん」
三葉は、人目もはばからず、箱を抱えたまま右手を大きく振った。
その姿を見た瀧は、胸に抱えている巨大な箱の中身を想像して、少しだけ引いた。
"え?あれって、もしかして、手作りチョコが入ってる?"
呼びかけられている以上、無視するわけにもいかず、瀧は三葉の元に近づいていく。
「たーきくん!ハッピーバレンタイン!」
三葉は言うなり、瀧に持参してきた箱を手渡した。
「お、おぉ。あ、ありがとな、三葉」
ゆでだこのように顔を真っ赤にしながら瀧は、三葉の想いを受け取った。
「中身は、うちに帰ってから見てほしいな」
三葉は、少し照れながら瀧に言う。
「わかった。楽しみに持って帰るよ。で、今からは?暇じゃないの?」
デートするとは三葉から聞かされていない瀧は、三葉のそわそわしているそぶりに気が付く。
「サヤチンとテッシーのカップルにお呼ばれしているんだ。今日はごめんなさいね」
自分ではなく友人を優先したことに、瀧は少しだけ寂しくなった。
「いや、別にいいよ。またいつでも会えるんだし」
強がって見せた瀧だったが、悔しさもにじみ出ていた。
「そういうことだから。ちょっと先に行くね」
三葉が少しだけ速足でその場を立ち去る。瀧は、三葉から託されたデカい箱をもって立ち尽くしていた。
「ただいまぁ」
父親の待っている家に帰ってきた瀧は、そう言って挨拶する。
「おお、おかえりって、またでっかい箱、もって帰ってきたなぁ」
玄関にまで瀧を出迎えた瀧の父は、三葉の持たせた箱にさっそく反応した。
「それ、彼女からだろ?」
にやにやしながら、父は瀧に聞く。
「ああ、そうだよ。父さんも知ってる彼女だよ」
一度、瀧は三葉を父には紹介していた。その時は好印象という雰囲気にはならなかったが、こういった行動一つ一つが父を少し和ませていた。
「贈り物は大きさでは決まらんけど、大きいものを贈りたいのは気持ちの表れだ。お前も覚悟、決めとけよ」
父はそう言って、自室に戻っていった。
「さあてさて、三葉さんの腕前をとくと拝見するとしますか……」
瀧は、箱を開けて、三葉の手作りチョコに対面する。
そこにあったのは、大きいハート型のチョコ……ただし、型抜きで失敗したのか、ところどころが欠けている手作り感満載のものだった。
「三葉らしいや……」
瀧は微笑んでそういった。チョコを持ち上げようとしたとき、チョコの底に手紙が忍ばせてあるのに気が付く。
「なあるほど、そういうことか」
一緒にデートまで至らなかったのは、チョコにすべてを任せたからか……瀧はそう解釈する。
手紙にはこう記されていた。
瀧くん!私を見つけてくれて、私を離さないでくれてありがとう。
これからも、ずっと、ずっと一緒にいたいです。 みつは
たったそれだけなのに、瀧は、手紙を握りしめて滂沱の涙にくれていた。
そして、ハートの最下部のとんがりの部分を少し折り取って、食べてみた。
「う、旨い。けど、なんか、しょっぱいな……」
泣きながら食べるチョコの味は、思いの詰まったほのかな塩味も感じさせてくれた。
2.
「帆高ぁ、なんか小包来てるよぉ」
森嶋帆高宛にその小包が到着したのは、2024年2月16日だった。
14日を着日指定していたはずなのに、2日も遅れたのは、船便が天候不良で出なかったことが要因だった。
高校三年生になり、大学の2次試験が目前に迫っていた帆高にとって、今は、追い込みする時間帯でもあった。
勉強机に向かって過去問を解いている帆高は、母親のその呼びかけに、
「誰からぁ?」
と大きめの声で問いかける。
「天野さんって書いてあるよ」
母の応答に、帆高は弾かれたように玄関に向かって駆けだした。
「ち、ちょっとどうしたのさ、そんなに血相変えて」
母から奪うように荷物を取り上げると、また速足で自室に戻っていく帆高。母の疑問もスルーした。
ビシャッと引き戸を閉めた帆高は、ワシャワシャと包み紙を引きはがし、厳重にまかれていたガムテープを丁寧に剥きながら、今日までの日々を振り返っていた。
帆高にとって、島は、鳥かごのようなものだった。抜け出せない牢獄に近い存在だ。だから、光の束に導かれるように家出し、東京で天野陽菜と知り合えた。
帆高が警察に補導されたのが、2021年の8月22日。その後、家庭裁判所で保護観察処分が下ったのが、10月上旬。それからは、神津島に常駐した保護司に見守られながら、保護観察処分の開けるのを待ち続けていた。
あの濃密な数カ月は、帆高にとって忘れられない出来事だった。だから、ふとした瞬間に、陽菜の笑った顔、気にかけてくれる表情、得意げに料理をする姿がフラッシュバックして、どうしようもなくなってしまうのだ。
梱包を取り外した帆高は、小さなプラリネボックスを目にする。周囲には、新聞で代用した緩衝材。
「陽菜さんの、バレンタインデーチョコだ」
帆高は荷物の中身を見て、そう推理する。去年も、その前も、陽菜からチョコを送ってもらった記憶がないから、今回が初めてのことだ。
「しかし、急にどうして……」
その答えを探るべく、帆高は、少し荷物とは別のものがないか、丁寧に探した。
すると、可愛らしい封筒に入った手紙のようなものを箱の片隅に見つけた。
「あった……」
帆高は少し安堵した気持ちになって、その封筒の封止を切る。
陽菜の直筆を久しぶりに見た帆高は、読む前から少しだけ感極まっていた。はやる気持ちを押さえつつ、帆高は、一字一句丁寧に読み始めた。
帆高。ホント、久しぶり。あ、帆高、さんだよね。でも、まあいい慣れてるから呼び捨てで行くね。
あの時は助けてくれてありがとう。君の勇気がなかったら、私はあのまま人柱になっていたと思うの。
きみは私を連れ戻そうとしたとき『青空よりも、俺は陽菜がいい』って言ってくれたよね。
私は君にそこまで思ってもらえるほど、大したことはしていないって今でも思ってる。
でも、君のあの言葉は、今でも私の心の中に残り続けているの。忘れられないの。
今のこの東京の状態を見ても、私には君の言った言葉の方が大事に思えるのよね。
これって「好き」ってことなのかな?あ、帆高は私のことをどう思っているか知らないけど。
今年、バレンタインデーのチョコを贈ったのは、今年で君の保護観察処分が開けるって聞いたから。
お祝いの意味も込めてプレゼントします。
大学受験、頑張ってください。 天野 陽菜
「お」
もう1枚、便せんがくっついていた。
帆高?元気してたか?
こっちは、ねぇちゃんのお守りと、萌花ちゃんの遊び相手でくたくただよ。
ねぇちゃんが楽しそうに手作りチョコを作っている姿を見て、『ハハーン。帆高にあげるんだな』
と気が付いたんで、ついでに伝えたいメッセージがあったから便乗させてもらったってわけ。
とりあえず、ねぇちゃんを救ってくれて、ありがとう。
お礼らしいこと、一言も言えてなかったから、どうしてもいいったくって。
俺たちの方は、須賀さんが後見人って言うのか、それになってくれたおかげで施設にはいかなくて済んでる。
うちも変わらないであのままだよ。もし東京来ることあったら遊びに来てもいいぜ。
まあ、ねぇちゃんとどういう関係になっても、俺は帆高を応援してるぜ。 センパイの凪より
二人の手紙は帆高の心にしみた。
自分は二人の想いにどれだけ向き合えていただろうか、と帆高は自問自答した。
保護観察処分が開けたら、大学に受かっても受からなくても、彼らに会いに行こう。そして今度は真っ当な道の商売で稼いでいこう。俺たちならそれができそうな予感すらしていた。
帆高は、手作り感一杯の、トリュフ的なチョコを一つ口に放り込んで、また、参考書と向き合った。
その甘さが、帆高にいくばくかのやる気と前に進む勇気を与えていた。
3.
2024年2月。
閉じ師たちが、自分の締めて回った後戸の点検をする時期がやってきた。
後戸は、未来永劫、鍵で閉じられたままではない。扉自体のガタ、人為的な開放、ミミズの勢いの良さによる扉の突破など、常に開く危険性がある。だから、締めた本人が、締めた場所に行って、その後戸の状態を確認するのは、ルーチンワークでもあった。
「2月、宮崎に行くんだよ」
草太は、芹澤にそう言って予定を報告する。
「ほーん。宮崎って言ったら、鈴芽ちゃんのいる場所だよな」
いまだに愛車の修理費用で首が回らない芹澤は、"オレは金ないぜ"オーラを草太に振りまく。
「ああ。あの時のお礼もしておきたいし」
草太のにこやかな顔で、芹澤はいやされていた。家業が大変でストイックだった草太は、三陸での帰還を境に柔和になっていた。
「それで?まあ、お前も卒業はできるけど、これからどうするのさ」
芹澤は、大学卒業と同時に教師の道を進めるが、草太は、そうはいかない。
「それはあんまり考えてないよ。ただ、今年こそは試験、飛ばさないようにだけはするよ」
草太は芹澤にそう言う。
「いや、試験飛ばしてなかったら、お前、絶対合格してたのに。もったいないよ」
繰り言であるとはいえ、芹澤は、草太を諫めないでいられなかった。
「それだけ心配してくれるのは、君だけだよ。ありがとう」
深々と礼をする草太。
「ま、宮崎行ったら、鈴芽ちゃんによろしくって伝えといてくれ。俺のこと、忘れてっかもしれないけど」
「覚えてたら、そうするよ」
「そこは嘘でもはいはい分かりました、だろうが!!」
「はいはいわかりました」
「テメー、喧嘩売ってんのか?」
と、談笑しながら二人は大学のキャンパスを歩いていった。
2024年2月11日。
最初、草太は、大学を休まないで行けるこの日を訪問日に設定した。しかし、三連休の真っただ中であることを草太は失念していた。
もともと宮崎へ向かう飛行機の便はそれほど多くない。さらにさほど本数の走っていない鉄道を使わないと門波町にはたどり着けない。後戸のある門波町訪問を、朝と考えていた草太は、夜宮崎空港に到着するLCCの便を押さえようとするが、直近の空きが2月13日しかないのだ。
2月に入ると、ゼミは開店休業状態であったし、卒論提出も被っていないことをいいことに、草太は、芹澤に、代返を頼んでこの日に行くことに決める。
「あ、あの約束、果たさないとな」
織笠駅で交わした鈴芽との約束。「会いに行くよ、必ず」という言葉。うれし涙にくれている鈴芽が自分の乗っている列車をいつまでも見送っている姿に胸を打ち抜かれている草太に、彼女に会わないでいるという選択肢は全くなかった。
草太は、鈴芽のLINEに連絡を入れる。
"今度、宮崎に行くよ。門波町"
すぐさま返事が来る。
"ウワー、草太さん、私に会いに来てくれるの?"
歓喜にあふれるキャラスタンプが豪勢に押される。
"いや、君はおまけ"
少し意地悪く草太は返信する。
すると、ブスゥッとしたキャラスタンプだけが返信される。
"アハハ。あの後戸の確認に行くんだよ。だから、鈴芽さんに逢うのも目的の一つだよ"
と、草太はとりなした。
"いつ、来るんですか?"
"2月14日"
と草太は返信する。
(あ)
草太の心の声がその日付に反応する。バレンタインデー当日ではないか……鈴芽さん、そのことに気が付いているだろうか……
草太の心配をよそに、
"お待ちしています"
と、鈴芽から短い返信があった。
門波町訪問の当日。
草太は、あの日、鈴芽に初めて逢った日のように、少し急な坂道を上っていく。乗ってきた列車もその時と同じだから、同じタイミングで、鈴芽とすれ違えるはずだ。
じわじわと歩を進めていくと、軽やかなチェーンの音が近づいてきた。
どんどんと距離を詰めてくる自転車。乗っているのは、鈴芽だった。
冬服に身を包み、黄色いマフラーをきつく締めている。草太を認めて、鈴芽は自転車のブレーキをかける。
「おかえり」
その一言が、草太には沁みた。ここに来ただけなのに、なぜ彼女は「おかえり」なんていったんだろう……
だが次の瞬間、草太はその言葉の意味を理解する。
鈴芽にとって心のよりどころに草太がなっているのだ。私の元に"帰ってきてくれた"から自然とこの言葉が口をついたのだとわかったのだ。
「あ、ああ。ただいま、鈴芽さん」
草太はこれだけを言うのがやっとだった。"おかえり"と対になるのは"ただいま"しかないと思ったからだ。
「やっと会えましたね」
鈴芽は、少し敬意を持って草太に話しかける。
「まあね。閉じ師も忙しいし、卒業もしなくちゃだし……」
草太は自分の近況を手短に語る。
「あ、そうだ」
鈴芽は、カバンの中から、チャーミングな袋に入ったものを取り出した。
「宮崎に来ないんなら、郵便か何かで送ろうと思ってたんですよ、チョコレート」
「え?」
草太は少し驚く。
「俺のために……わざわざ?」
草太の顔が少し紅潮する。
「う、うん。料理、あんまりうまくないから、環さんにも手伝ってもらったけど……」
同じくらい、鈴芽の顔も赤みを帯びた。
「そうなんだ。ありがとう」
草太はそう言って袋を手渡そうとする鈴芽の手を、ぎゅぅっと握った。
突然、鈴芽は、自転車を手放し、草太の首根っこにしがみつく。ガシャンという自転車の倒れる音が合図だった。
「うわーーーん」
これを号泣って言うんだろう。あたり一面に鈴芽の泣き声が響き渡る。
「分かった分かった。いい子だから」
幼児をあやすように草太は鈴芽に声をかける。
1分くらいは泣いただろうか。少し落ち着いて、鈴芽はようやく平常心を取り戻した。目は赤いままだけれど。
「ご、ごめんなさい。でも、う、うれしくって……」
その泣き顔は、俺にとって失ってはいけないものなのだ、と草太は心に刻む。
「このお返しは必ずするよ。また、連絡する」
そう言って、草太は、鈴芽のおでこに軽くキスをする。
「これが、バレンタインデー・キッス、だもんな」
草太はそう言って、坂道をまた昇りだした。
淡い余韻に浸っていた鈴芽が「あ、ヤバい、遅刻遅刻」と自転車をこぎ出したのはそのすぐ後のことだった。
後書き
新海監督が、まさかマルチバース(2024年以降は、全員それなりに歳も取り、別のものがたりが紡げるかも)に興味を持っているとは思えないのですが、2024年はこれまでの3カップルに何らかの動きがある年だということが言えます。
基本は、そうすずにフォーカスして最初書こうと思ったのですが、「あれ?たきみつにとっては初めてのバレンタインデーだよな。あれ?ほだひなも、保護観察明けの一年じゃない」という具合にあれよあれよと3カップルまとめて書けることに気がついて、一気に書き切れた、というわけです。
会えない設定のほだひなだけは荷物を送る形にしないといけなかったのだけは、少し悔いの残る一編ですが、形にするのが何より重要、とどなたかもおっしゃっておられましたので。
まあ短編なんでそこまで加筆するかどうかはわかりませんが、気が向いたら、もう少しブラッシュアップしたいと思ってます。
このSSへのコメント