2022-10-28 21:00:07 更新

概要

もうすぐ七夕。東京の四葉のマンションの一室で七夕飾りに興じる4人。超短編で申し訳ないです。


前書き

もう題材もほぼ枯れてはいるのですが、「大人三葉/テシサヤと四葉が交流持ったら」という仮定で進めてみました。
どんな落ちにするか、は出来上がってみてのお楽しみ。
更新履歴 
2017/7/6 七夕一日前に滑り込み上梓(8287字)
2018/1/23 多数閲覧御礼と称し、一部文言を加筆修正(8380字)
2022.10.28 地上波・「金曜ロードショー」放映記念と称して、三点リーダー等、装飾面の修正。8390字


四葉 「去年も、それ、書いとったと思うけど……」

三葉 「え?そうだっけ(テレ)」

早耶香 「えー、三葉、又そのお願いぃ? 」

克彦 「もっと他の願い事ってないんかよ?」

三葉 「じゃあ、みんなの願い事ってなんなんやさ?」

四葉 「ジャーン」

(短冊には「姉ちゃんより早くいい人が見つかりますように」)

克彦 「うんうん。これは実現しそうやな」

早耶香 「さすが宮水家の美女パワー、おそるべしって感じよね」

克彦 「で、実際のところはどうなんだい?」

四葉 「いやさ、こんな美女をほっとくわけないから、あっちこっちから引く手あまた」

克彦 「それで」

四葉 「ラブレターもほら、こんなに」(手紙の山)

克彦 「これはホンマモンやな」

四葉 「でも付き合うとどうにもみんなしっくりこないの。せかせかしてるっていうか、落ち着きがないっていうか……」

三葉 「あんたがちょっと上から目線なんもいけないんと違う?」

四葉 「え、そ、そんなことないと思うけどなぁ……でも、今年中には彼氏見つけてねぇちゃんの鼻、あかしたる」

克彦 「姉妹ともども男には苦労しそうやなぁ……」


克彦 「ああ、早耶香。お前のも三葉とおんなじで、去年と一緒のことしか書かれてないから見せなくていいぜ」

早耶香 「それは心外だなぁ(プンプン)。そんなこと言わずに見てよ」

(短冊には「絶対ぜぇぇったいダイエット成功させる! 目標5キロ」)

克彦 「な、去年と同じだろ?」(一同うなづく)

早耶香 「あんたらの目は節穴か?去年の目標はマイナス3キロ」

三葉 「改善どころか太っちゃってるってことじゃん……」

早耶香 「大丈夫だって。テッシーと一緒になる頃にはすらっとした美ボディーをお見せできるから」

克彦 「その一言をケーキ喰いながら言うか」

早耶香 「(モグモグ)明日から本気出すの」

三葉 「はあ、これでサヤちんの願いも書いただけに終わりそうだなぁ……」


早耶香 「そう言うけどテッシー、貴方の願い事って何よ?」

克彦 「ああ、俺か?ずばりこれだよ」

(短冊には「早耶香と結ばれますように」)

四葉 「それって、願い事なの?」

克彦 「ま、まあ、プロポーズも終わってるし、後はいつ式を挙げるか、くらいだもんな」

四葉 「なんかこう、星に願いをっていうような内容じゃないよなあ、二人の願い事って……」

テシさや 「失敬なっっ」

三葉 「あはは。そうなると、年に一度しか会えない織姫と彦星に願う願い事グランプリは、私が優勝、ってことでいいかな?」

四葉 「待て、いつそんなグランプリができた?それに勝手に優勝とか決めないのっ」

克彦 「そうだよ。じゃあ、俺たちももう少し、願い事らしい願い事を書いてみるか……」

早耶香 「そうよね。去年とおんなじこと書いて、勝手でも優勝とか、癪に障るわ」


願い事シンキングタイム経過。


三葉 「はい今年もやってきました、七夕に飾る願い事グランプリっ」

早耶香 「なんかMCしてるしw」

三葉 「エントリーナンバー1番は、我らがアイドル、宮水三葉さんっっ」

克彦 「ちょっとテンション、おかしくね?」

四葉 「ああ、たまぁに躁状態になることがあるんよ。きっとこの願い事のせいかもだけど……」

三葉 「三葉さんの願い事は(ドラムロールをヒューマンビートで再現中) ……「名前も知らないあの人と出会えますように」」

一同 「ハイハイ、わかったわかった(白けながら拍手) 」

三葉 「キャ――、毎年同じ願い事。いつかなうかもわからない、その熱心さ。胸打たれますねぇ」

四葉 「よくここまで自画自賛できるなw」

三葉 「さて、優勝候補の一角が発表になりましたが……」

克彦 「どうやら、優勝は譲る気がないみたいだな」

早耶香 「まあまあ。三葉が楽しんでるなら、それもいいじゃない」

三葉 「続きまして、エントリーナンバー2番。超絶かわいい、宮水四葉さんの願い事は(ドラムロール)」

四葉 「志望校に絶対合格」

一同 「おおぉぉ」

克彦 「さっきのお色気路線からめちゃくちゃ真逆やぞ」

早耶香 「彼氏ほしいのどこがお色気なのよ?」

四葉 「まあ、大学行けるかどうか、って微妙なところ。学力というよりは金銭面、かな?」

早耶香 「大丈夫。三葉姉さんがいるじゃないっ」

三葉 「ちょっと待ってよ、結婚資金の方がさぁき」

克彦 「それって、会えてからでも遅くないんじゃね?」

三葉 「コホン。それでは、エントリーナンバー3番 テッシーの愛称でおなじみの勅使河原克彦さんの願い事は」

克彦 「あれ?ドラムロールは?」

三葉 「ア、忘れてた。では克彦さんの願い事は(ドラムロール)」

克彦 「年末ジャンボが当たりますように」

一同 「ギャハハハハ」(大爆笑)

克彦 「え、えぇぇ?願い事ってこういうことやろ?」

三葉 「た、確かにそうだけど……」

早耶香 「小学生の発想よね」

四葉 「あーあ、私も未来の旦那さんを見つけるときは注意しなくっちゃ」

克彦 「グランプリ間違いなしだと思ったのに……」

早耶香 「その純真な心根に私は優勝トロフィーあげるわ」

三葉 「さあて、残るエントリーはあと一つ……」

早耶香 「ムフフ。いよいよ真打の登場だわ」

三葉 「最後になりました。エントリーナンバー4番、最近少しだけ胸が膨らんできた名取早耶香さんの願い事は……」

早耶香 「なんだよその紹介?ああ、確かにない肉寄せてあげてるけどなって、ばらしてどうする?」

三葉 「(ドラムロール中)ボケ突っ込みはいいですから、早く発表を……」

早耶香 「自分のお店を持つ」

一同 「ふんふん」

三葉 「なんか常識的な願い事が出てきたね」

四葉 「でもまあ、商売人気質はあるから、成功しそうだし」

克彦 「どうせ、早耶香のことだから、ケーキ屋さんなんだろ?」

早耶香 「どきっ!なんでわかったの??」

克彦 「それしか答えないじゃんよ。毎日食べられるし」

早耶香 「いや、商売と食べることは別に考えてますよ。今のところは」

克彦 「始まったら、店主のつまみ食いで即閉店って未来予想図しか書けないわ」

早耶香 「どんだけ私食べてしまうのよ?」

克彦 「でも、ホールのケーキなんて、俺が注意しなかったら、食べ続けてるだろ?」

早耶香 「うっっ……否定できない」

三葉 「まあ、食べ物屋さんと決まったわけではないし、この願い事もエントリー完了です」


三葉 「さあて出そろいました。この中からグランプリが選ばれるわけですが……」

四葉 「なんか、もう、姉ちゃんの願い事でいいような気がしてきた」

克彦 「東京に出てきてからこっち、七夕飾り見かけたらこの願い事しか書かないんだぜ、三葉」

早耶香 「なんかほかのことないのって聞くけど、このことしか思い浮かばないんだって」

四葉 「本当に神様やお星さまがいるなら、いい加減彼女の願いを聞いてやってほしいんだけどな……」

三葉 「一同、いろいろ言わない。栄えあるグランプリに選ばれたのは……(ドラムロール)」

早耶香 「それにしてもなかなかドラムロール、うまいじゃない、今更だけど」

克彦 「こんな特技あるとは知らなかったよ」

四葉 「動画に触発されたんだって。女性のヒューマンビートする人って少ないらしいの」

早耶香 「それは初耳」

四葉 「会社の宴会では、必ず披露するんだって言ってたよ」

三葉 「じゃじゃん!!」(別の紙を提示する)

一同 「ん~~??」


三葉 「糸守町が元通りになりますように」


早耶香 「ちょっと、三葉……これ、反則(すすり泣きながら)」

克彦 「今までのは、これ出すためのネタフリだったってか?こんちくしょ―(号泣)」

四葉 「お姉ちゃん……ちょっと見直したわ」

三葉 「隕石が落ちる前に戻ることなんて当然できない。落ちてきたことで、みんなの人生も生き方も変わったと思うの」

一同 「……」

三葉 「私も、あの時に誰かに出会っているんだけど、いまだにそれが誰か分からない。でもこの人しか私の求める人はいないと確信できているの」

一同 「……」(相変わらず泣いている)

三葉 「だから、私の願い事はあれだけど、願い事としてかないそうもないこれを選んだの。みんなの願いでもあるだろうし」

四葉 「なるほど、みんなの願い、か……その視点はなかったな」

克彦 「(しゃくりあげながら)三葉、これってお前にしか書けない願い事だよ」

早耶香 「うん。してやられました。降参……」


三葉 「というわけでいかがだったでしょうか、今回の願い事グランプリ」

早耶香 「ウワ、まだ番組の続きやってる」

克彦 「はいはい。もう収録は終わりましたぜ、MCさん」

三葉 「えぇ。もうちょっとやりたぁい」

早耶香 「元放送部の私を差し置いてMCなどとは、100年早いわ」

克彦 「まあまあ。今年は、最高のグランプリ短冊も拝めたんだし、これでいいんじゃね?」

早耶香 「それもそうね。私たち、いや、町全体の願い事だもんね」

四葉 「でもこの願い事を姉ちゃんの口から聞くとは思わなかったわ」

三葉 「いつまでも私自身のことばかりにとらわれてもいけないと思ったから(テレ)」

克彦 「ということは、三葉の中ではやっぱり自分の願い事がナンバーワンってか?」

三葉 「エヘッ」

早耶香 「うん、せっかくみんな感動しているからこれ以上触るのはやめて、乾杯しよっか……」

四葉 「それもそうね。因みに健全な乙女の部屋ですので、アルコールなどという野蛮な飲み物はございません」

克彦 「あっそうか、すっかり忘れてた。俺からビールを取ったら何も残らんっちゅうのに……買ってきとけばよかった」

早耶香 「あたしは何でもいいんだけどね。ま、今日のところは我慢しなさい、テッシー」

三葉 「それでは、来年にはみんなの願い事がかないますように、カンパーイ!!」


翌年。


四葉 「今年もこの季節がやってきたわけですけど……」

早耶香 「うん。私も、この日が来るのがちょっと楽しみだったの」

克彦 「まあ、あの人のあの願いがかなったのはいいんだけども、じゃぁ今年はなんて書くんだろうなって……」

四葉 (笹持ち上げ)「(ヨイショ)はい、今年も七夕飾り、かんせー」

克彦 「それにしても毎年毎年、こんな笹、どっから手に入れるの?」

四葉 「あれ、言ってなかったっけ?友達に造園屋さんがいてね。そこから」

克彦 「俺はてっきり、クラスメートが勤める花屋さんから買ってるもんだとばっかり……」

早耶香 「アホか、花屋に笹なんか売ってるか、仮に売ってても、こんな笹、どうやって運ぶんだよ?」

克彦 「ま、そう言われて見るとそうなんだけどな……」

早耶香 「まあそんなことより、"主賓"二人は遅いなぁ……」

ほどなく瀧三、登場。

三葉 「あー、遅くなっちゃった、ごめん」

瀧 「お邪魔しまぁす」

四葉 「お姉ちゃん、遅いぃぃ」

克彦 「お、来た来たw」

早耶香 「先に始めてたわよぉ」

三葉 「(部屋に入って、ズカズカ歩み寄り)ちょっと聞いてよ、瀧くんたらね……」

早耶香 「ついていきなりノロケ話ですかw聞く方の身にもなってよ、ちょっと」

克彦 「それにしても毎日毎日早耶香に報告って、よく飽きないでやってられるよな、三葉」

瀧 「えっ、三葉って毎日のように早耶香さんに?」

三葉 「うんw」

克彦 「まあここだけの話、彼女から電話のない日は、君と出会ってから一日もないよ」

瀧 「え、ま、マジすか……(テレ)」

三葉 「だって、やっと会えたんですもの(カオマッカ)」

瀧 「いくらそれでも、相手にも家庭というものがあるし……はい。少し自粛するように言っときます」

早耶香 「まあ、回数が減っても話す内容はいつも一緒だからね」

瀧 「いや、なんといってお詫びしたらいいか……」

克彦 「まあ、今日は、誰かさんの願い事がかなったお礼の七夕祭りでもあるから、今日だけは無礼講ということで」

瀧 「え、あ、はい。分かりました」

三葉 「ウワ―、今年の笹って、いつもより豪勢じゃない?四葉」

四葉 「えっへへぇ。大振りのをリクエストしたら、こんなの来ちゃったw」

克彦 「ベランダから出せる大きさじゃないもんな」

早耶香 「むしろ、終わってからの処理が大変そう……」

四葉 「毎年、日曜日にその友達の造園やさんが回収に来てくれるから安心」

三葉 「そうだったの。毎年四葉がゴミで出しているのかと思ってた……」

早耶香 「飾った本人が始末するのは忍びないけど、飾りごと他人に任せてしまえばいいもんね」

克彦 「多分、ほかのところも回って回収してるから、ついでにってな感じなんだろうな」

早耶香 「で、三葉さん」

三葉 「はい、なんですか?」

早耶香 「今年の願い事、決めてきた?」

三葉 「え、そ、それは……(テレ)」

克彦 「早耶香さんや、それ聞かない方がいいんじゃないの? 書きたいことって一つしかないだろうに」

早耶香 「エエ――、そんなことないって、三葉だってダイエットしたいと思ってるかもしれないし……」

三葉 「うん。今年はちょっと頑張る。でもそれは願い事じゃない」

早耶香 「あ――、又私の願い事全否定されたぁぁ」

克彦 「そこ、一人で騒がない。ていうかレベル去年よりまた上がってるし……」

早耶香 「ほっといて頂戴!!これは幸せ太りなの」

四葉 「ものはいいようだよねw」

早耶香 「まあ確かに、会えたんだから、次に願うことはこれしかないよね」

克彦 「みんなで言っちゃう?三葉の願い事当てちゃおっか……」

四葉 「今年はクイズかよw」

早耶香 「でも私、凄い自信ある」

克彦 「俺も。これ一択だわ」

四葉 「悔しいけど私もこれだと思う」

瀧 「なんか、凄いことが起こりそうな予感……(ゴクリ)」

克彦 「それでは御唱和ください。三葉の今年の願い事は、せ――のっ」


テシサヤ四葉 「「「瀧くんと一緒になれますように」」」


三葉 「(書いた短冊を見せて)せ、正解ですぅ」

一同 「パチパチパチ(大拍手)」

瀧 「じ、実は、おれも……(クルッ)」


瀧の短冊 「三葉と一生、添い遂げられますように」


早耶香 「ウワ――! ちょっと引いちゃうくらい凄い願い事なんですけど」

四葉 「彼氏にここまで言われて見たいなぁ」

克彦 「お、四葉にも遂に男ができたか?」

四葉 「いやいやまだまだ。絶対お姉ちゃんには勝てると思ってたんだけどなぁ」

早耶香 「添い遂げられるって、いまどきの若者、使いませんよ」

克彦 「意味は分かるけど、俺もそこまで強く思ったことは無いなぁ」

瀧 「三葉から短冊渡された時に、これしか思い浮かばなかったんです……」

克彦 「だからすごいなぁって……だって出会うまでお互いよく知らなかったんでしょ?」

瀧 「それはそうなんですが……」

早耶香 「三葉だけしかそんなこと思っていないと感じてたけど、瀧くんにもそんなことがあったとはねぇ」

瀧 「あ、ハ、ハイ……」

三葉 「ねえ、この短冊、飾ってもいい?」

四葉 「いいに決まってるけど、なんでわざわざ?」

三葉 「目立つところに飾って、瀧くんと隣り合わせにしておきたいから……」

テシサヤ四葉 「("゚д゚)ポカーン」

早耶香 「もう二人の独壇場だよね」

克彦 「我々の入る隙間もないわ……」

四葉 「ねえねえ、お二人さん……(ヒソヒソ)」

四葉 「(大仰に)あーー。飲み物買ってくるの忘れたぁ」

早耶香 「え、なになに?それはいけないなぁ、一緒についていくわ(棒)」

克彦 「俺も今回はビール買ってくるわ」

瀧 「え、ちょっ、ちょっとどうしたの……」

三葉 「あれ?みんなどこ行くの……」

三人、慌てて出て行く。ガチャン。


瀧 「お、俺たち、二人だけになっちゃった……」

三葉 「あ、瀧くん、ここに飾ったから、瀧くんのも……」

瀧 「あ、ああ、今から付けるわ」

瀧、笹に短冊をつける。

三葉 「(瀧の背後から寄り添い)あったかい……」

瀧 「い、いゃ……むしろ熱いって…」

三葉 「瀧くんって、私が思っていた以上の人だったわ」

瀧 「そ、そこまでじゃないよ。三葉の方こそ、俺には過ぎる人だよ」

三葉 「そ、そうかな(カオマッカ)」

瀧 「ねえ、三葉」

三葉 「なあに、瀧くん?」

瀧 「これから、いつまでも、一緒にいてもらって、いいですか?」

三葉 「そ……それって、プロポーズですか?」

瀧 「そ……そのつもりだったんだけど……」

三葉 「お断りしますっ(キッパリ) 」

瀧 「え、えぇぇぇぇ」(´・ω・`)

三葉 「そんなわけないでしょ。私も瀧くんとならどこまでも一緒にいたいんだ」(瀧の胸に飛び込む)

瀧 「み、三葉」(ぎゅぅと抱きしめる)

三葉 「瀧くんっっ」


扉、そぉっと開きつつ、そぉっと閉まる

四葉 「やぁっばり、こんな展開になってましたよ」

克彦 「で、どうだった?」

四葉 「織姫と彦星さんは、私の部屋で絶賛抱擁中ですわ(┐(´д`)┌ヤレヤレ)」

早耶香 「七夕だけにうまい表現だよね」

克彦 「年一だけしか会えないカップルも嫌だけどね」

四葉 「はぁぁぁ。しばらく、このままにしとく?」

克彦 「下手すると、二人のことだから、抑えきれなくなるかもよ」

早耶香 「うーん、三葉はともかく、瀧くんは、ね……今からさらに時間つぶしも、なぁ……」


部屋の中からドサッという音。

慌てる三人だが、平静を装いつつ扉を開ける。

四葉 「ただいまぁって、何が起こったの??」

笹が倒れ掛かって、瀧と三葉が支えている。

瀧 「み、みての通りだよ、早く起こして……」

克彦 「そういうことか!」

三人がようやく笹を立て直す。

三葉 「はあ、びっくりしたぁ。飾り付けてる途中に倒れ掛かってきたから……」

瀧 「ここまで重いとは思わなかったから、引き上げに失敗してしまったんだ」

四葉 「固定が甘かったみたいね。申し訳ない(ペコリ) 」

早耶香 「まあ、大事には至らなかったからよかったわ」

四葉 「来年は、小ぶりな笹にしてってお願いするわ」

三葉 「で、買い物の方は?」

克彦 「ああ、今回はアルコール系もたんまり買ってきたぜ」

早耶香 「四葉んちには置いておけないからっていうのに、目いっぱい買うんだから。余ったらどうすんのよ?」

克彦 「余ると思う?瀧くんもいるんですぜ」

瀧 「あ、俺、車できたから……」

克彦 「う、うかつだった……忘れてたよ」

早耶香 「はい、ざんねーんwテッシーの買取ね」

克彦 「マジやらかした……」

三葉 「あ、私は少しだけなら……」

早耶香 「三葉は無理しなくていいよ。ビールとかワインとかしかないし」

三葉 「そう。なら、一口だけ戴くとするわ」

克彦 「うーん、なんだかお二人の出会いを祝する会みたくなっちゃったけど……」

早耶香 「それはそれでいいんじゃない?」

三葉 「あ、みんなの願い事って……」

四葉 「あれ見せられて、普通の願い事なんて、発表してもかすんでしまうわ」

克彦 「どうせ、俺たちも、書いてあること去年とさほど変わらないし……」

早耶香 「目標キロ数だけは変わった私の短冊、後で見せるわ」

克彦 「だろ?だから、ここはとりあえず、乾杯と行こうよ」

三葉 「そうね。まあ、後でみんなのは見させてもらうわ」


克彦 「それでは、飲み物もそろいましたので、わたくしから一言」

早耶香 「どうしたの?改まって」

克彦 「三葉、探してた人に出会えておめでとう。そして瀧くんも」

瀧三 「(二人して顔を赤らめる)」

克彦 「そんなことがあるとは思ってなかったけど、神様は粋なことをしてくれると思ったものです」

克彦 「だからこそ、今年の七夕で感謝する会にしたかったのです」

早耶香 「織姫と彦星、みたいに見えたのね。二人が……」

克彦 「まあ、それもあるけど、二人には、年に一回、ではなく、これからもずっと付き合い続けてもらいたい、っていう意味もあると思ってる」

三葉 「そ、それは大丈夫だと思う。私は……」

克彦 「瀧くんはどう?」

瀧 「あ、お、俺も三葉とはずっと一緒にいるつもりです」

一同 「おおぉぉ」

克彦 「と決まったところで、乾杯と行きたいと思います。二人の劇的な再会と、これからの二人を祝して、カンパーイ」

一同 「カンパーイっっ」


【おしまい】 


後書き

完全妄想でかけている皆々様には、本当に頭が下がります。
それもこれも、設定やらキャラクターを咀嚼しまくっているからこそできる芸当。七夕/願い事というトリガーだけであの4人でドラマを作るのは、いささか無理筋に感じていましたが…
やってみるもんですね。
三葉が瀧と出会う前/出会った後の2部構成にしようと思いたったのは、実は7/6の夕方。前半だけで止めよう=4000字程度で終わらそうと思っていたのですが、出会ってからの5人をこう描写できた(瀧三を二人きりにさせられた)のは、ラッキーな側面もありました。気が付けば、手ごろな長さも手伝って、なかなかのPVを戴くまでに。
「あと少しだけ」で完成を見そうですが、ほぼ半年ぶりの改修がどう出るか、は楽しみなところです。


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SS好きの名無しさんから
2018-01-07 01:01:31

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