なぎさ 「明けまして…」 DJ一同 「おめでとうございます!!」
2018年元旦の初放送にDJ6人が勢ぞろい!
明けましておめでとうございます。
アニメーション映画「きみの声をとどけたい」は、某サイトの「アニメ好きが選ぶ2017年もっと評価されるべきアニメーション映画作品」で、2位に4倍以上の差をつけてぶっちぎり1位というタイトルを初獲得(3位・ノーゲーム・ノーライフゼロ/2位 夜明け告げるルーのうた)。 まあ『評価されるべき』というところに私も歯がゆさを禁じ得ないわけですが、2017年、本当に見てよかった作品の一つだったことは間違いありません。
彼女たちの活躍するシークエンスは8/末で終了。そこから私はラジオ局の復活をさせつつ、いろいろと書いていきました。
2018年の正月に、DJ6人が集まって放送していたら…毎度おなじみの妄想書き起こしとして、お楽しみください。
2017.12.18 作成スタート
2018.1.2 第一版上梓(12,078字)
2024.1.13 表記ゆれや全角半角統一、三点リーダー修正など。12,116字
2024.4.30 再度修正。12,140字。
なぎさ 「2018年1月1日、午前9時を回りました。今日も私たちアクアマリンのDJ一同は、スタジオに勢ぞろいしていまぁす」
雫 「蛙口寺さんの離れで放送が再開してから早いもので2か月たってますが、今もこうして放送しているさなかを初もうでに出かける参拝者の方たちが行き来しているのを見ることができます」
あやめ 「去年の私たちは、そもそもアクアマリンの存在すら知らなかったわけですが、こうして、地域に密着できるラジオ局を作り上げることができて、本望です」
乙葉 「私も、音楽の面でいろいろと協力も、そして披露もできているうえに、お声掛けも結構戴くようになってすごいって感じています」
なぎさ 「そんなわけで、2018年も、アクアマリン、突っ走ってまいりますので、応援よろしく……」
一同 「お願いいたしまぁす!!」
なぎさ 「さて、先ほどの口上で紹介していなかった二人を呼んでみましょう。かえでちゃん、夕ちゃん!」
かえで 「(呼びかけにタイムラグ)あ、ラジオの前の皆さん、あけましておめでとうございます。DJかえでです」
夕 「おなじくDJ夕です。おめでとうございます」
かえで 「今日はスタジオを飛び出して……って、目の前ですが、蛙口寺の境内の模様をリポートしたいと思ってます」
夕 「毎年私も初詣にここを訪れるのですが、ラジオのせいでしょうか、いつもより人出が多いように感じますわ」
かえで 「今、夕もいっていましたが、今年の初もうでは、例年に比べて出足は好調のようです。警戒に当たっているおまわりさんに聞いたところでは、1割は確実に多くなっているとのこと。年末までに門入口の道路修復工事も終わって、足元の不安も解消されたところも大きいのでは、とおっしゃってました」
なぎさ 「そうでしたね。12月中旬までには仕上がるって聞いてたけど、結構ずれ込んだからね」
あやめ 「で。現在の境内の様子はいかがですか?」
かえで 「(呼びかけにタイムラグ)あ、ハイ。ご来光というか、初日の出を見てから参拝される人で7時前までは結構ごった返してましたけど、今はちょっと落ち着いてきているみたいです。朝一にお参りしてから各地の初売りに出向く人も多いみたいなので、これからはまた少しずつ混雑していくことが予想されているようです」
夕 「今からお越しになる方は、くれぐれも足元に気をつけてお越しくださいませ」
かえで 「そんな感じです。それではスタジオにお返ししまぁす」
なぎさ 「かえでちゃん、夕ちゃん、ありがとうございましたぁ。気を付けてスタジオに戻ってきてくださいね」
雫 「目と鼻の先なんだけどね……(苦笑)」
あやめ 「こんなことを言うとなんですが、そういう心配りができてDJは成長するのですよ」
雫 「あ、そうでしたね。反省、反省」
なぎさ 「まあまあ。それではすぐに二人も帰ってくるでしょうから、準備の間一曲お届けします。正月といえば初春。春といえば、というわけで、もはやアクアマリンの定番曲にもなりました、ビバルディの「春」をお届けします」
===琴ジングル(乙葉オリジナル)===
一同 「ラジオ アクアマリンっ!!」
一同 「おおおお」
なぎさ 「見事に揃いましたねぇ」
雫 「そんなに練習してなかっのに……」
かえで 「オレたちって、本番に強いからな」
乙葉 「逆に練習してたら、バラバラになってたかも。緊張して」
夕 「それもありえますわ」
あやめ 「つい数か月前までラジオのラも知らなかった皆さんがここまでの一体感。私は、今、モーレツに感動しているっ」
なぎさ 「ンンッ(咳払い)、という人は、ちょっとほっといて、コーナーとまいりましょう。新年第一回目のコーナーは「アクアマリン成長戦略会議」です!」
一同 「パチパチパチバチ」
なぎさ 「成長戦略って、めちゃくちゃ大袈裟な感じしかしませんが、ここで立案者でもある、DJかえでから説明してもらいましょう」
かえで 「はい。それでは。去年のオレたちって、結構バタバタだったと思うんだよな。夏休みのアクアマリン発掘から、秋口の復活劇。去年いっぱい、結構いろんな人に振り回されていきながらでも、前を向いて行けたことだけは誇れるかな、なんて思ってます」
なぎさ 「うんうん。穴が開くなんてしょっちゅうだったし、まあ、町のミニFMだから、みんな大目に見ていた部分ってあるようにも思うしね」
あやめ 「そのたびごとに川袋電気店さんのフォローが本当にすごかったのを覚えてます」
かえで 「まあ、単純に放送できればいいや、で今までやってきたし、これでお金儲けしているわけではない。自由なのはいいことなんだけど、最近度が過ぎるっていうか、おかしな方向に向きつつあるって感じてるんだ」
あやめ 「かえでさん。さすが、ラクロス部主将として物事を客観的に見る癖がついてきているみたいですね。その考え、わたくしもですわ」
なぎさ 「だからって、強制的に治っていくものでもないと思うんだけどなぁ……」
雫 「でも、箍が外れかかっているっていうのは私も感じるところがあったりするんだよね」
あやめ 「私個人としては、プロ顔負けの放送をしたいっていう崇高な理念が最初にありました。10月に最初のレクチャーをしたときの、きらきらとした店主の方々の想いは本物だったと思います。まあ、時が経てばこうなることは世の習い。引き締めるのもちょうどいいタイミングなのかもしれませんしね」
かえで 「とはいうものの、じゃあ何をすればっていうのが見つかりにくいんだよなぁ……」
なぎさ 「私の考えでは、個々人でラジオに対して、求めるものが違うのが原因していると思ってるんだ。時間を埋めるだけでいい、想いを伝えたい、世界一のラジオにしたい。100人いれば100人のラジオになるのは当然なんだよね」
乙葉 「統一するべきか、どうかってことですね、コンセプトの……」
なぎさ 「うん。でもそれって、堅苦しいだけのラジオになってしまいそうで、成長戦略、なんていうことにはならないって思ってるんだけど……」
かえで 「いや、でも、越えちゃぁいけないラインっていうのはあると思ってる。完全に噂話とか、悪口とかの披露の場になっていたりするっていうのが我慢ならなくってね」
あやめ 「その都度チェックして、注意はしているんですけど。ネタに困ると安易な方向に流れている人の多いこと……」
雫 「まずはアクアマリンの放送コード、みたいなものを再構築しないとだめって感じですね」
あやめ 「それは一理ありますね。マイナスをつぶさないと、成長というプラスの大きな障害になりますからね」
夕 「汚い言葉の応酬など、わたくしも聞きたくありませんしね」
なぎさ 「私たちのラジオは、綺麗でなくてもいいけど、気味の悪いものにはしてほしくないですもんね、実際」
あやめ 「まあ、統一見解が出てくるには時間がかかるでしょうが、ここでNG行為をみんなで一つずつ上げていきましょうか。では私から。誹謗中傷」
かえで 「次はオレか。スケジュールの穴あけ禁止、かな?」
雫 「私は、事実に基づかない発言」
乙葉 「私は、そうだな……ほかの番組の引用」
夕 「わたくしは、大げさな表現、ってところかしら?」
なぎさ 「うわっっ、大抵のこと、言われちゃったよう。んーと、なにがあるかなぁ……あ、みんな大事なこと忘れてるじゃん!」
一同 「なぁによ?」
なぎさ 「コトダマが感じられない放送禁止っ!」
一同 「ああああ」
あやめ 「これは、さすがなぎささんらしい意見ですね。でも、実際、これに帰結するんですけどね」
乙葉 「毎回なぎささんのラジオは、コトダマっていうか、やさしさに包まれてますからね」
なぎさ 「え?乙葉さん、感じてくれてます?」
乙葉 「はい。少なくとも私にはビンビン感じられますよ」
あやめ 「ほほぅ。さっすがじーにあすな乙葉チンらしい発言。まあ、ここまで成長したDJもなかなかですけどね」
かえで 「オレも、マイクの前では少しだけおしとやかにって思っているんだけどどうしても地が出ちゃうからなぁ」
雫 「かえではかえでらしい方がコトダマ、でてるんじゃない?」
夕 「でもそれって案外いけない方のコトダマじゃないかしら」
かえで 「そ、そんなことないって、言いたいところだけど……」
なぎさ 「そこは『そんなこと、ないない』じゃないと」
雫 「あー、私の専売特許ぉぉ」
一同 「ワハハハハッ」
あやめ 「とまあ、いったん笑いで締まったところで、成長戦略会議の見解としての今後の方針について発表したいと思います。まずは、コトダマは難しいにしても、悪意のある内容や流言飛語、誹謗中傷は絶対に行わないこと」
乙葉 「ラジオは放送であり、不特定多数が聞いていることを忘れないようにしたいですね」
あやめ 「はい。そして、時間厳守。まあ、商業放送でもないですし、多少遅れるとかはあっても、無断で休むとか、予定していない内容をしゃべるとかはNGとしたいと思います」
なぎさ 「一応、今のところ、私たち高校生DJは与えられた枠をきっちりこなせています。それが何を意味するのか、聡明なる出演者の方々には伝わったはずです」
あやめ 「うんうん。あと意外と守られていないのが、いわゆる放送コード。差別用語とかの放送禁止用語といわれる類のものですが、これは、例えば慣用句に使われているものであってもNGです」
かえで 「え?それ知らなかった」
雫 「なぁんとなくわかるけどね。”目の不自由な人、蛇に怖じず”とかね」
なぎさ 「それって、め……」
あやめ 「あー、それ以上言ったらだめですよ。せっかくのトップDJの地位が台無しになるところですよ」
夕 「頭のおかしいとか、気がくるっているの4文字も使えませんからね」
なぎさ 「それってきち……」
あやめ 「なぎささん?今、わかってていってるでしょ?」
なぎさ 「えへ、ばれたか」
あやめ 「一般の我々でも、実は意外と使っちゃっているんですね。それをいきなり放送用の言葉遣いにしろって難しい話だと思うんですが、私たちは言葉を大切にしていきたいんです」
夕 「わたくしには、あやめさんの気持ちがよくわかりますわ」
雫 「コトダマもだけど、やっぱり、聴いていて、心休まる、あったまる放送であり続けたいものね」
乙葉 「せっかくの音楽とかが台無しになっていくのは、少しだけいやな気持ちにもなるものですから」
あやめ 「いろいろと言ってきましたが、結局のところ、言葉の使い方に気を付けていただく、というのが最優先になります。これは、出演される全員に課せられた目標であり、永遠のテーマでもあると思ってます」
なぎさ 「気を付けていきたいですし、私ももっと勉強して、放送にふさわしい言葉遣いを会得したいと思いまぁす」
あやめ 「はい。というわけで、今年2018年最初のコーナー「アクアマリン成長戦略会議」はいったん終了したいと思います。折に触れてもっと良くしていくべきところとかも出てくると思いますので、その時はまた突発的に始めたいとも思ってます」
なぎさ 「というわけで、出演していただいている、店主の皆様、一般の方々も今の話は分かっていただけたかと思います。ただのコミュニティラジオで終わらせたくない、日本一、いや、世界一を目指しているアクアマリンをもっともっと発展させていきたいです。ご協力」
一同 「よろしくお願いいたしまぁーーす」
なぎさ 「それではここで一曲。まだ冬真っただ中ですがやっぱりこれですよね。松任谷由実 「春よ、来い」をお送りします」
===琴ジングル(乙葉オリジナル)===
一同 「ラジオ アクアマリンっ!!」
なぎさ 「あれ?これって……」
乙葉 「一回目をサンプリングしてたの。あまりに綺麗に揃ったし、もう一回使いたいなぁって」
あやめ 「こういうところがじーにあすのじーにあすたる所以なんですよねぇ。さすが乙葉チンっ!」
なぎさ 「ではここからは、わたくしDJなぎさがまとめていきたいと思います。題しまして、2018年、今年の抱負を語ろう、のコーナー」
一同 「ぱちぱちぱち」
なぎさ 「なんのひねりもありません。そのものずばりを、語っていただくだけのコーナーです。曲がかかっている間に順番も決めましたので、それでは夕ちゃんから」
夕 「わたくし、浜須賀夕の2018年の抱負は、ラジオにもう少し貢献すること、にいたします」
一同 「うわぁぁ」
なぎさ 「うんうん。たしかにちょっと出演回数も少なかったしね」
かえで 「無理もねぇよ。うちみたいな弱小チームじゃない部を引っ張っていくんだから、それだけでも大変だろうからさ」
雫 「いや、これでも頑張っていただいている方だと思うんだけど……」
あやめ 「夕さんの素質は、素晴らしいものがあるのです。ただ、こういっては何ですが、一人語りとかには向いていないんではないかと」
夕 「あ、そういうところってありますわね」
なぎさ 「みんなと関わっているときに夕ちゃんの魅力って爆発するんだもんね」
かえで 「ラジオでしゃべる人ってパーソナリティーっていうけど、夕にぴったりの言葉だと思うしな」
夕 「え、そ、そうかしら(テレ)」
かえで 「まあ、たまには褒めさせろよな。新年くらい」
乙葉 「今年は、夕さんにぴったりの曲を考えてみたいところですね、あ、ほかの皆さんにも……」
なぎさ 「あ、それ楽しみぃぃ」
雫 「私も、歌は興味あるなぁ」
あやめ 「はいはいっ、ちょっと脱線気味ですよ。では夕さん、今年のラジオにかける意気込みをもう少しだけ」
夕 「去年の11月に初加入させていただいて、今までのなぎさやかえでたちの活躍に乗っかっているだけのわたくしとしては、自分でレールを敷くことが苦手だったところもあるので、独り立ちできるように頑張りたいと思います。特にあやめさんには、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」
一同 「パチパチパチパチ」
あやめ 「そうかしこまって言われると、照れちゃうよねぇ」
なぎさ 「では次の方」
乙葉 「わたくし琵琶小路乙葉の今年の抱負は、メジャーデビューして、皆さんに声と名前を覚えてもらうことといたします」
一同 「ええええ」
かえで 「今、凄い発言聞いたんだけど」
あやめ 「それって私も初耳なんだけど、乙葉チン!」
乙葉 「進学の話もいろいろ出てたんだけど、何社からかオファーもあるので、そっちに行こうということにしました」
なぎさ 「これはすごい新年早々のサプライズですよね。私たちの曲も作ってくれるって言ってたんだけど、さっき……」
乙葉 「ああ。あれも、実は曲を作っていかないと、アルバムとかに乗せられないから。皆さんの性格とかが反映されるような曲を作れれば、それだけいろいろな”味”が楽しめるでしょ?」
かえで 「そういうことか。アクアマリンのCDってわけではないんだな……」
雫 「それはいくらなんでも……」
あやめ 「私としては、乙葉チンの追っかけとしても、ファンクラブ第一号の名誉にかけて、そのメジャーデビュー、しっかりフォローしてまいりますよ!」
乙葉 「そうしていただけると助かるわ」
なぎさ 「ではもう少しだけ思いのほどを」
乙葉 「はいっ。皆さんとラジオに関われて本当によかったと思ってます。メジャーデビューして、本格的に歌手活動すると、せっかく作っていただいたこの場所にも、出ている暇は全くなくなるでしょうし、そもそもギャラが発生してしまいます。いつかはこのラジオを卒業することになるとは思っていましたが、意外に早くその時を迎えそうです。今すぐ、今日でお別れ、ではありませんが、最後の時までよろしくお付き合いください。春までには方向性も定まると思いますので、ラジオでお知らせしたいと思ってます」
一同 「パチパチパチパチ」
あやめ 「私だけのものって思ってたけど、いよいよデビューですか。ちょっと胸アツ」
なぎさ 「では次は、雫ちゃん」
雫 「はい。私の今年の目標は、パティシエ目指して猛勉強、にしたいと思います」
一同 「そうだろうねぇ」
かえで 「雫はこれ一本だもんな」
なぎさ 「去年聞いてても同じ答えだったろうけど」
雫 「私ね、紫音ちゃんのおうちがまだあったころ、みんなに振る舞いお菓子とか作ってたでしょ?それを食べてるみんなを見て、"ああ、やっぱりお菓子作りが私の天職だぁ"って感じちゃったんだよね」
あやめ 「フム。乙葉チンが音楽のじーにあすなら、雫さんは、お菓子作りのじーにあすだと私も思います」
乙葉 「雫さんの想いが載っているお菓子って、ただ美味しいだけじゃなかったでしたからね」
雫 「運動も勉強もいまいちな私が輝けるのって、オーブンの前だとわかったの。だから、今年もこの道を進んでいきたいと思ってます」
なぎさ 「あ、そうそう、留学の話ってどうなってるの?」
雫 「本当は、今すぐにでも本場のフランスには行きたいけどいきなり留学ってルートはないみたい。そりゃ、手ぶらで行っても誰も相手にしてくれないと思うし、そこまで度胸はない。専門学校に行ってそこで特待生みたいなのになっていく方が、泊も付くし、認められやすいって感じてるの」
かえで 「じゃあ、卒業したら、すぐ海外って話はなくなったってことか」
雫 「うん。でも、レベルの高い菓子専門の学校に行くつもりだし、そこってフランスの人が本場さながらに授業するみたい」
夕 「じゃあ、今勉強しているフランス語も無駄にはならないってことかしら?」
雫 「そこに入れれば、ね。結構狭き門らしいから……」
なぎさ 「そういうことかぁ。まあ今年一年、一緒に学校行けるから、私はそれだけでもいいんだけどな」
かえで 「オレも。幼馴染としては、やっぱり一緒が一番だからな」
雫 「お菓子作りのじーにあす目指していきますので、よろしくお願いいたします」
一同 「パチパチパチパチ」
なぎさ 「では次は……かえでだっけ?」
かえで 「おぅ。で、俺の今年の抱負は……打倒、鶴ケ岡女子っっ!!」
一同 「おおおお」
かえで 「て言いたいところだけど、県内ベスト8を目指します」
一同 「ありゃりゃ」
なぎさ 「まあ、今年入って来る新入生次第だよね」
かえで 「今の戦力……3年が抜けた後って、凄いダウンしているのは骨身にしみてる。だいたい、レギュラー争いもなく、ほぼ全員がすんなり上がっちまったからな」
夕 「わたくしのところは、部員の数が多くて大変ですけどね」
かえで 「見極めないといけないのも苦労するけど、ぬるま湯・エスカレーターでレギュラーの方が困るんだぜ」
雫 「試合もいろいろ見てるけど、決定力がないっていうのかな……」
かえで 「うん。ほぼ全試合見てくれてる雫の分析って正しいよ。顧問の先生も、攻撃は最大の防御だって言ってるんだけどな」
なぎさ 「私たちって、守りに入っちゃう癖が抜けきらないんだよね」
かえで 「今年はそれを変えていきたいと思ってる。そうでないといつまでたっても弱小のままだし」
夕 「いつでもお相手いたしますわよ」
かえで 「まあたぼっこぼこにされるのわかってて、敢えて試合なんか頼まねぇよ。オレたちには、湘南とか、平塚当たりがお似合いだろうしな」
なぎさ 「私にできることって何かな?」
かえで 「うん。もちょっと積極的にってところかな?」
なぎさ 「あ、やっぱり……」
かえで 「まあ弱音ばっかり吐くのは去年でおしまい。今年は、もっと前向きにラクロスに向き合いたいと思います。以上、龍ノ口かえででした」
一同 「パチパチパチパチ」
なぎさ 「次は……」
あやめ 「はぁい、藍色仮面こと中原あやめの今年の抱負は、放送作家目指して邁進する、といたします」
一同 「ふーん」
あやめ 「なんですか、その当たり前すぎて面白くないって反応は?」
なぎさ 「今年卒業されるのは知ってるし、大学も推薦で決まっているって聞いてたけど……」
かえで 「ここにきて放送作家って……」
雫 「もっとこう、華のある職業とか考え付かなかったんですかぁ?」
あやめ 「フンっ!失敬な。だからこその放送作家なのですよ」
一同 「どうゆうこと?」
あやめ 「私レベルの成績で、大学に推薦で行くって、おかしいと思っている人がまず出てきていないことに愕然とするわ」
なぎさ 「え?もう一般では受けないんですか」
あやめ 「はぁい。わざとレベルを数ランク落として推薦で入れる、そして比較的安価な大学にしたのにも理由があるんです」
かえで 「話がさっぱり読めないや」
夕 「あやめさんの考えていること、謎だらけですわ」
あやめ 「私にとって大学はおまけ。レベルが低かろうと卒業してしまえばそれだけで「大卒」。一方、レベルが低ければ、勉強もそれほどシャカリキにする必要はない。その浮いた時間で社会勉強をする。それが私の狙いだったの」
一同 「ああ、なるほど」
なぎさ 「でも、レベルが低かったら、一流企業とかには難しいと思うんだけど」
あやめ 「(メガネキラーン)なぎささん?私、冒頭でなんて言ってましたっけ?就職するなんてこれっぽッチも言ってませんよ」
かえで 「大卒の泊が欲しいだけなんだ。それでなんとなくわかってきたよ」
あやめ 「そう。放送作家を目指すとはいっても、広範な知識がないと難しい。就職してからだとそういうことには気が回らない。すでに私のことを知っている業界人もかなりいるはずなので……」
雫 「ちょっと待って!あやめさん知ってる業界の人って?」
あやめ 「私の投稿魔が、ディレクターやプロデューサーに伝わっていないはずがない。そのときどきでペンネームは変えているけど、筆致や内容で感づいている人も多いはず。そんな私が大学に入る→放送関係やアナウンス系の同好会に入る→OBから声がかかる→業界に潜り込める って寸法。ただ私は最初にも言ったとおり、放送作家を目指しているから、誰かに師事はしないといけないと思うの」
なぎさ 「うーん。そのギョーカイっていうのが、むずかしすぎてわかんないよぉ」
乙葉 「でも、搦め手から攻めるやり方は嫌いではないですけどね」
あやめ 「みんな正攻法しかないって思ってる。やりたいことやるのは一つの手段しかないって早合点している。私はこのスタイルを中学校のころから取り続けている。だから、中原あやめという名前は少なくともラジオ業界の中では気になっている名前の一つだと思ってる」
なぎさ 「私のラジオの初期の時でも5通もご意見賜ったのは、あやめさんしかいなかったですもんね」
あやめ 「中の人に名前を覚えてもらう、実績作りが今まで。ここまで考えているんですよ、ということが相手に伝われば「君、番組、作ってみないか」って声がかかるのは時間の問題。だから二足の草鞋も履ける大学にしたというのがこれまでの経緯なのです」
夕 「ここまでのことを中学生から考えていたなんて……あやめさん、見直しましたわ」
かえで 「単なるラジオオタクだとばっかり。見方を変えます。すみませんでした」
あやめ 「まあ私のやりたいこととかは公表してなかったからそう思われるのも仕方ないところ。でも、どうすれば自分のなりたいものになれるかってかなり前から決めて、決してぶれない行動にしないと絶対に無理。ラジオ一筋だったから、ここまでのことが考え付いたわけで、ほかの人には及びもつかないことだろうと思うけどね」
雫 「なりたいものになれる意思、かぁ。私もなんとなくわかるような気がする」
あやめ 「知っての通り、私自身が職人気質のところがあったりするので、そういう考え方になってしまうのかも、ですけど、どんなことでもそうだと思うんですよね」
なぎさ 「そこまで考えていたあやめさんに拍手です。ありがとうございました」
一同 「パチパチパチパチ」
なぎさ 「で、最後があたしかぁ」
雫 「なぎさちゃん、ガンバって」
かえで 「抱負いうだけなのにガンバレもないもんだぜ」
あやめ 「いや、まったくです」
なぎさ 「わたくし、行合なぎさの2018年の抱負は……」
一同 「ゴクリッッ」
なぎさ 「アクアマリンの看板DJとしてがんばります!」
一同 「ドテッ」
かえで 「なんだよう、それって別に抱負でも何でもないじゃん」
雫 「意気込んじゃって損しちゃった」
あやめ 「まあ、なぎささんらしいって言ったら……」
夕 「それが出てくるからこそ、なぎさなんだけどね」
乙葉 「私、なぎさのそういうところ、大好きっ」
なぎさ 「えへっ。皆さん、それぞれの感想、ありがとうございます」
かえで 「でもそれだけじゃないんだろ?」
雫 「あ、あれってつかみだったんだぁ。本当の抱負ってなぁに?なぎさちゃん」
なぎさ 「まあ、しいて上げれば、ちゃんとしたDJになりたい、だけど、それって2018年で達成できるはずもないしね」
夕 「夢と抱負は一緒にしたらだめですわ」
なぎさ 「でしょう?だから、今年の抱負はこれで、これ以外ないの」
雫 「なぎさちゃん……」
なぎさ 「私ね、今まで世の中に流されて生きていくものだと思ってたし、実際その生き方って楽だった。かえでに勧められるままにラクロス部に入ったのもそうだし、高校を決めたのだって、幼馴染が行くからって部分が大きかった。でもラジオをやりつづけていくうちに、自分で決めることの楽しさと責任、達成感、充実感……今まで味わったことのないものがいろいろ生まれてきたの。だから、ラジオを復活させたいと思ったし、現にこうやって6人が顔をそろえてスタジオに入れているわけだし」
夕 「特にわたくしはそれをじかに感じられてます。かえでとの溝も感じられなくなったし、何より毎日が充実してます」
乙葉 「復活させたいっていうなぎささんの行動力はすごかったですからね」
なぎさ 「2018年をここで迎えられたことに感謝もしているし、場所は変わっても、ラジオ自体は続けたいと思っている。だからこそ、創始者の一員でもある私ががんばらないといけないなぁって感じているんです」
かえで 「そういうことか、なるほど」
あやめ 「DJとしてもですけど、一番人間的に成長したのってなぎささんかもしれないですね(メガネキラキラ)」
なぎさ 「将来の夢の話にもなるけど、私のような、言葉の大切さ……コトダマを信じている人こそDJをやるのって、天職だとも思うのね。だから、さっきも「ちゃんとしたDJになりたい」って言ったわけだけど、それが私の向かうべき目標になった去年でした」
あやめ 「だから、看板DJとしての責務を果たしていきたい、か。なかなか言える言葉じゃないですよ」
雫 「笑っちゃってごめんね」
乙葉 「やっぱり、なぎささんは言葉の魔術師、天使なんだわぁ」
なぎさ 「いやいや、それほどでも(テレ)」
あやめ 「さあて、6人の抱負が発表されたわけですが、皆さんにも届いたでしょうか?」
なぎさ 「みんながみんな、抱負の通りにすべてを実現できたらそれに越したことはないですが、それを言うことで、自分自身に伝わり、そういう行動をさせていくということが自己実現でも大事なのだといわれています」
なぎさ 「平凡な毎日が少しでも変わっていくきっかけになることを思い描きながら、少し長くなりましたが「2018年、今年の抱負を語ろう」のコーナーを〆たいと思います。ご清聴、ありがとうございました」
一同 「パチパチパチパチ」
(キボウノカケラ フェードイン)
なぎさ 「2018年初の放送、いかがだったでしょうか?」
あやめ 「はい。なかなか密度の濃い放送にできたと思っております」
なぎさ 「いや、あやめさんには聞いてないんだけど……」
あやめ 「え?わたしじゃない?アハ、アハハハハ(顔ひきつる)」
なぎさ 「この後は、日ノ坂商店会の皆さんの、ビッグプレゼントがあるとか聞きましたけど……」
かえで 「この企画ってすごいよなって、感心してたんだけど、商店会参加の店舗を、端から端まで歩きつつ、ゲリラ的にお年玉プレゼントやっちゃうっていうんだから驚きですよ。変に中継器材使わずに、ケータイの音声をとどけることをやるみたいなんでけど、うまく行くのか、どうなのか、楽しみだね」
夕 「さっきもわたくしたちは電話でリポートしてましたけど、うまく行きましたものね」
なぎさ 「というわけで、私たちの立ち上げたラジオ・アクアマリンは、通算2年目に突入しました。まだまだ至らないところだらけの我々ですが、温かく見守ってやっていただきたいと思います」
あやめ 「はい。それではこれから先のタイムスケジュールです。この後は、日ノ坂商店会プレゼンツ 日ノ坂商店街大お年玉大会、と銘打ちまして、その場でキャッシュバックや商品が当たる番組が企画されてます。午後2時からは、日ノ坂高校放送部による、朗読劇を録音放送。4時からは元旦の振り返りを行います。DJなぎさをはじめ6人が再度勢ぞろいして、今日一日を振り返ります」
雫 「今日は、午後6時まで電波を出す予定にしています。明日1月2日は、朝は10時過ぎから、夕方6時ごろまでと予定しています」
夕 「ご意見ご感想、こんなコーナーあったらいいな、などのご要望は、蛙口寺さん併設のポストに投函いただけると幸いです」
なぎさ 「それでは今年も、せーのっ!!」
「「「「「「 届 け 、 コ ト ダ マ !! 」」」」」」
今やオワコンと化したメディアであるラジオ、それもミニFMを主題に据えた「きみの声をとどけたい」。高校生6人が看病疲れで正気を失いつつある一人の女性を支え、勇気づけ、母親の目まで覚まさせてしまう。
そんな奇跡の物語だったわけですが、そのストーリーを彩る音楽の妙にいまだに囚われています。そう。「Wishes Come True」の存在であり、「本当の私になりたくて」の存在です。
5回も見てしまったこの映画。いまだに彼女たちが取り付いて離れない。だからこうして、自然体の彼女たちを書き留めていたくなるのです。
さて、上梓した翌日……2018.1.3には、下北沢・トリウッドにて再上映(それもかなりの長期間と聞いている)! ガルパンの映画版と同じくらい、ロングランしたらどうしよう、と変な妄想を抱きつつ、皆様にお届けしたいと思います。
ご精読いただきありがとうございました。
【追記】2024.1.13
読み返すといろいろ問題のあった記述もありましたので、少し修正しております。
このSSへのコメント