2015-11-27 09:40:27 更新

概要

真実はなく、許されぬことなどない。私は園田海未。これは私の物語です。


前書き

アサシンクリード2を参考にしたパロディーssです。人がよく死ぬので苦手な方はご注意ください。※話の展開上ことり、花陽、にこは出番が少ないことが予想されます。すいません。
不定期更新です。
「」がセリフ
()が心境
「()」が小声です。


人というのは時として数奇な運命に巡り合わせることがあります。それがどんな経緯であれ。自ら飛び込むか、はたまた飛び込まざるをえないか。そうして自らの意思で人生を決定していきます。そうしたときにすべての人は自由を求める。自由意思こそ人の理想。自分の人生は自分で決めるべきなのです。真実はなく、許されぬことなどない。私は園田海未。これは私の物語です。


sequence1『陰謀の気配』


1772年 日本 江戸


寺子屋 音ノ木


放課後 愛弗部部室


高坂穂乃果「いやぁ、今日も終わったねぇ!」


園田海未「今日は授業をきちんと聞いていたんでしょうね?」


穂乃果「え?あぁ、いやぁ…」


海未「まったく、あなたという人は!大体!」


南ことり「まあまあ海未ちゃん。穂乃果ちゃんは愛舞台(ラブライブ)の地区予選決勝の手続きとかしてたし。疲れてるんじゃない?」


穂乃果「そうだよ!いろいろやってあげたんだからね!」


海未「じゃあ今日は一緒に行った絵里も授業は寝ていたということでいいんですね?」


穂乃果「え!?いや、それはまた別の…」


ガチャ


東條希「おっすー」


海未「こんにちは希。早速ですが本日の絵里は授業を聞かずに寝るなんていうことはしてませんよね?」


希「え?ちゃんと聞いてたけど?」


海未「やはりあなたの気の緩みです穂乃果!」


穂乃果「だれかたすけてー!」


ガチャ


小泉花陽「え!?どうしたの!?」


穂乃果「あ!花陽ちゃん!いいところに!」


海未「穂乃果が授業中寝ていたということなのでお気遣いなく」


花陽「あぁ…」


星空凛「ダメだよ授業はちゃんと聞かないと」


西木野真姫「あなたがそれ言うの?」


矢澤にこ「あなたも寝てたのね?」


絢瀬絵里「にこは今日はよく聞いてたわね」


にこ「今日はってなによ」


ことり「みんな一緒なんだね」


真姫「廊下で会ったのよ」


にこ「みんな揃ったところで!あと2カ月後に迫った愛舞台最終予選!気合い入れていくわよ!」


海未「相手はあの荒居図(アライズ)ですが、わたしたちのこれまでの努力は彼女らを凌駕できるほどのものであると信じています。できることを精一杯やりましょう!」


「おー!」


夜9時 愛弗部部室


ことり「あと少しだね」


花陽「この衣装だけ終えたら今日は終わろうか」


にこ「ことりいつもこんなに大変なことしてたのね。ありがたみがわかったわ」


ことり「ことりは大変だと思ったことはあんまりないよ。みんながこの衣装着て舞台で輝いてる姿を想像しながら、みんなで一番の結果を出すのを想像しながら作業すると不思議と辛くないんだ」


花陽「みんなが揃って輝くのが私たち美優手(ミューズ)だもんね」


にこ「最終予選、絶対突破して愛舞台に出ましょうね!」


ことり「もちろんだよ!」


花陽「言わずもがなです!」


ガチャ


海未「あら、まだ残っていたのですか」


ことり「海未ちゃん!もう終わろうと思ってたところだよ」


にこ「あなたもこんな時間までお疲れ様」


海未「真姫と希と曲について話していたら盛り上がってしまって。私はこれで失礼しますね。お疲れ様でした」


花陽「また明日!」


ことり「またね海未ちゃん!」


ガチャ


にこ「さて、私たちも終わらせて帰るわよ」


夜9時半 音ノ木


海未「まさか、忘れ物をするとは。夜の寺子屋って雰囲気ありますね。早く帰りましょう」


海未「ん?部室に灯りが。ことりたちでしょうか」


コレデイイ。アライズサマモマンゾクデショウ


海未「荒居図?なぜその名前が?」


ピッ


海未「あら、灯りが消えました。なんだったのでしょう」


翌朝 園田邸


海未母「海未さん!起きてください」


海未「なんですかお母さま」


海未母「音ノ木が火事になったらしいです。延焼で20棟以上焼けてしまったとか」


海未「そんな!昨日の夜の時点で火の始末はされていました!」


海未母「その火事の容疑で最後に残っていた南さんと小泉さん、矢澤さんが城近くの牢の最上階に捕まっています。詳しくは彼女らから聞いてみたらいかがですか」


海未「そんなことまで…分かりましたすぐに行きます」


海未母「海未さん」


海未「はい?」


海未母「気をつけて」


海未「分かっています」


牢獄近く


海未「壁や木は穂乃果と遊んでいる時に登れるようになりましたがまさかこんな使い方をするとは…」


メイン目標:牢獄の最上階を目指す


海未「番兵がいますね。バレるのだけは避けたいです」


海未「手をかけないで行くのが不可能なら仕方ありません。少し眠ってもらいましょう」


ヒョイッ ヒョイッ


壁裏


海未「(よいしょ…おっと、早速いますか…)」


番兵「こんなところ守ったって誰もこないだろ…なんでこんなにたくさん警備つけるのか」


海未「(なにか今回の件は違和感がありますね)」


海未「少し眠っていてもらいますよ」ガシッ


番兵「うぐっ!うっ!うぅ…」バタリ


海未「彼が起きる前に先を急ぎましょう」


牢獄最上階


海未「にこ、いますか?」


にこ「その声は海未ね。どうやってここまで」


海未「外の壁を登ってきました。それより何があったんですか?」


にこ「今回の火事、誰かの放火で間違いないわ。私たちはきちんと灯りは消したもの」


海未「昨日、忘れ物を取りに行ったときに部室に誰かいたのはにこたちじゃなかったのですね?荒居図がどうとかって話してましたけど」


にこ「そいつらね。いずれにせよ私たちは終わった後三人で寄り道してるわ。近くのお茶屋さんの女将さんに証言を取って。それを裁判官に渡してくれればこの件は終わりよ。頼むわ」


海未「分かりました。なるべく早くします」


にこ「お願い。ことりと花陽もここに寝てるから安心して」


海未「そうですか。2人を頼みます」


メイン目標:茶屋に話を聞きに行く


海未「茶屋というのはここですよね。それにしてもそんな夜に甘いものなど…」


ガラガラ


海未「ごめんください」


女将「あら海未ちゃん」


海未「どうも。昨日の夜にこたちが来ませんでした?」


女将「来たよ来たよ。花陽ちゃんなんかすごい量食べてたよ。お米だけど」


海未「…後で説教ですね」


女将「それがどうかしたの?」


海未「今朝の火事の容疑があの三人に。でもここに来ていたならその証言を書いていただければ大丈夫です。お願いできますか?」


女将「もちろんだよ!あなたたちのこと大好きだからね」


数分後


女将「これでいい?」


海未「はい、ありがとうございます!」


女将「いえいえ、また来なよ」


海未「ぜひ。ではまた」


メイン目標:裁判官に証言を届ける


海未「さて、これを届けましょう」


裁判官宅前


海未「ここですね。ごめんください!」


ガラガラ


ヒデコ「あら」


海未「どうも裁判官さん。これをにこたちの裁判の証言として使って欲しいんですが」


ヒデコ「どれどれ?…うん…うん。大丈夫そうだね。これがあればあの子達も無事になりそう」


海未「よかった!お願いします!」


ヒデコ「任せてよ。ところでお茶でもどう?なんだか走り回ったみたいだけど」


海未「え?」ボロボロ


海未「あぁ、まあ。でもこれで上がるのは申し訳ないです。本日はこれで」


ヒデコ「そう?じゃあ裁判は任せてね」


ガラガラ


海未「あの様子じゃ今日は授業はないですね。他の団体員にこのことを伝えましょう」


メイン目標:美優手の全員の家に行く


高坂邸


海未「ごめんください!」


ガラガラ


穂乃果母「あら海未ちゃん。おはよう」


海未「おはようございます。穂乃果はいますか?」


穂乃果母「穂乃果なら今朝早く出てったけど」


海未(穂乃果が朝早く?そんなことが…)


海未「そうですか。ありがとうございます」


穂乃果母「また何かあったら来てね」


海未「はい。お邪魔します」


ガラガラ


海未「他のところにも行きましょう」


昼過ぎ


海未「そんな…誰も家にいないなんて…なにかおかしいです」


ガヤガヤガヤガヤ


海未「なんでしょう。騒がしいですね」


業者「瓦版だよー!」


海未「あら。なんでしょう」


海未「こ、これは!」タッタッタ


処刑場


ヒデコ「この度の大火の原因としてこの3人の火の不始末が大きいとされています。異論のある方」


にこ「あるわ!あなたに海未から茶屋の女将さんの証言が渡っているはずよ!」


ヒデコ「証言…ありましたか?…ふむ。見当たりませんね」


にこ「あ、あなた…まさか」


ヒデコ「異論も無いようなので大被害を出した火事の罪により死罪とします」


ことり「あなたまで犯罪者に加担してたなんて!」


花陽「あんまりです。私たちが何をしたというのですか」


にこ「今に見てなさい!あなたも、あなたの仲間も!全員地獄に落ちるわよ!覚悟してなさい!」


ヒデコ「斬首してください」


ザシュ!


タッタッタ


海未「にこ!ことり!花陽!」


ヒデコ「あそこにも共犯者がいます。捕らえてください」


海未「くっ!この番兵の数では…」


???「こっちや海未ちゃん」 ガシッ


海未「うわぁ!な、なんですか!」


路地裏


???「ここで大丈夫やろ」


海未「フードで顔は見えませんがあなたの喋り方、知り合いに一人似たような話し方をする人を知ってます」


バサッ


希「そうやろな。ウチやから」


海未「にこたちは…」


希「にこっちたちは嵌められたんや。ウチらの愛舞台出場を危険視した組織によってな」


海未「そんな組織があるんですか」


希「前回の愛舞台の優勝は誰や?」


海未「荒居図ですが」


希「そのあとはどうなった?」


海未「それはもう大騒ぎですよ。まるで宗教のように…はっ!」


希「ようやくわかったようやな。彼女らは愛舞台を使って日本を動かそうとしとる」


海未「そんな身勝手な理由で!」


希「この件は海未ちゃんの想像以上の問題が渦巻いとる。無理にとは言わん。ウチと一緒ににこっちたちの敵討ちをせんか?」


海未「決まっています…したいに決まっているではないですか!あんなもの見せられて!」


希「ならまず海未ちゃんのお母さんにこのことを話すんや。その後はお母さんに聞いて」


海未「お母さまが?どう関係しているのですか?」


希「言う通りにするんや。じゃあまた」サッ タッタッタ


海未「すごいスピードで壁を登って屋根の上を…希は何者なんですか。なんであれ、これは信じるしかないようですね」


ー⚫︎ーフルシンクロ


To be continued…


sequence2『師匠』


メイン目標:海未の母に話を聞きに行く


園田邸


海未「いろいろありすぎて何が何だか」


海未「ただいま戻りました…」


海未母「あら、おかえりなさい。ずいぶん遅かったのね」


海未「にこたちが…処刑されました」


海未母「なんですって…」


海未「この件の裏には大きな組織が関わっていると希に言われて。それで話をお母さまに聞いてくるようにと」


海未母「そう…東條さんが…。あなたは巻き込みたくなかったのだけれど、これも運命なのね」


海未「どういうことですか?」


海未母「こっちにいらっしゃい」テクテク


海未「はい」テクテク


居間


海未「どこへ行くのですか?」


海未母「何百年も前の道具を取りに倉庫へ、かしら」カチャ ガタガタ


海未「!?居間の下に隠し倉庫が!?」


海未母「いらっしゃい」


海未「こ、これは…」


海未母「12世紀、中東である大きな事件があったの。それはある教団とある組織の戦いの真の始まり」


海未「12世紀…かなり前になりますね」


海未母「その教団はアサシン教団。人々を自由の元に解放すべく立ち上げられた組織。その敵対組織はテンプル騎士団。世界に秩序をもたらそうとする組織。その両者の戦いは今でも続いています。今朝の事件のように」


海未「荒居図はその、てんぷる?騎士団だったんですか…」


海未母「そうなりますね。恐らくあなたたちの勢いがあまりにもあるものだから最終予選の前に消して自らの地位を確立しようとしたのでしょう」


海未「そんなことが…でもなぜその古い道具がうちにあるのです?」


海未母「私はかつてアサシンでした。あなたが生まれてからは引退しているから知らないのも当然です」


海未「お母さまが…」


海未母「だからあなたにはこれに関わって欲しくなかったのです。ですがこれも宿命。あなたにはこの使い方、アサシンとしての生き方を学び、テンプル騎士団と戦う義務があるのです」


海未「これは…腕につける刃ですか?」


海未母「それはアサシンブレードというもの。アサシンの任務遂行に欠かせないものです」


海未「これで荒居図達を…」


海未母「しかしこのアサシンブレードはもう壊れてしまっています。直せるのはこの設計図が解読できるほんの一握りの技術者だけ。さらにいえばあなたはまだアサシンとしての行動を理解していません」


海未「行動もなにも何が何だか分かりませんが」


海未母「師匠を紹介しましょう。彼女のお母さまには私もお世話になりましたので。道具を持ってこの服を着てここに向かってください」ペラッ


海未「これは、地図ですか。このバツ印へ行けばいいのですね」


海未母「ええ。頑張るのですよ」


海未「はい。行ってまいります」


メイン目標:師匠に合流する


海未「このあたりのはず」


海未「ん!?」サッ


シュンッ


海未「これは、短刀ですね。どこから」


???「さすが海未ちゃんやな。武道を嗜んでるだけはある」


海未「また、あなたですか。今は急いでいるのですが」


希「なんで急いでるん?」


海未「ええ、あさしん?の師匠に会いに行くんです」


希「海未ちゃんのお母さんがそう言ったんやな?」


海未「はい」


希「なるほど。じゃあ歓迎するよ。海未ちゃん。ようこそアサシン教団へ」


海未「は?」


希「いやいや、は?やないよ。ウチがアサシンの師匠や」


海未「希が?あさしん?」


希「信じとらんか」


海未「ええ、にわかには信じられないです。確かに壁を高速で登ったり、屋根を走ったり違和感はありましたが」


希「なるほど、じゃあついてきて」


海未「はあ…」


商店街


希「なあ、かくれんぼしよか」


海未「なんですか突然」


希「海未ちゃんが鬼、ウチが隠れる。待ち時間は10秒でええよ。目も瞑らんでええ」


海未「希、かくれんぼってやったことあります?」


希「バカにしないで欲しいなぁ。じゃあそれで!」サッ


海未「はい。まあすぐに見つかるに決まって…あれ?」


海未「まだ3秒しか経っていないのに全く希の気配がありません!」


海未「どういうことですか…」


希「こっちや海未ちゃん」トントン


海未「え?」プニッ


希「あは!海未ちゃんかわいい!」


海未「え!なんで!?いつの間に後ろに!?」


希「これで信じてもらえたかな?アサシンの任務は暗殺。いかにして気配を消して相手に近づくか。これが重要なんよ」


海未「確かに全く分かりませんでした…これがアサシン」


希「あ、海未ちゃんのアサシンの発音が良くなった」


海未「そ、そうですか?」


希「まずはこの人混みに紛れる練習からやな」


希「あ、自警団の方?この子が路上でツバ吐いてたで?」


海未「え?」


自警団員「それは警告しないと。ありがとうございます」


海未「いやいや、私はそんなことしてませんよ」


希「(これは訓練や。人混みにうまく紛れて自警団の人を撒くんや)」


メイン目標:自警団員を撒く(人混みに紛れつつ警戒エリアから逃れて一般市民状態に戻る)


海未「むちゃくちゃです!」タッタッタ


自警団員「あっ!待ちなさい!」


海未「ええっと、重要なのは」


希『周りをよく観察するんや。浮いてたらダメやからな』


希『あとは同じ集団にずっといないこと。ちょくちょく移ることや』


海未「だったはずですから」


海未「こちらへ」サッ


海未「次はこちらへ」サッ


自警団員「あれ?どこ行ったかな?」


希(さすが海未ちゃんや。飲み込みが早い)


数分後


海未「はぁはぁはぁ」


希「お疲れさん。うまいやん」


海未「いきなり始めないでください!急に緊張したじゃないですか!」


希「ごめんて。まあ、これだけうまく隠れられれば上出来やろ」


海未「…ありがとうございます」ムスッ


希「機嫌直してって。そうだ!アサシンブレード直しにいこ!」


海未「え?でもあれは直せる人がほとんどいないんじゃ」


希「ほとんど、やろ?ウチらの近くにいるんよ」


海未「運がいいですね」


希「海未ちゃん。運は自分で掴むものやで」ニコッ


メイン目標:希についていく


郊外の小屋前


海未「なんですかここは?」


希「その博士さんがいるとこや」


海未「なんというか…ボロいですね」


ガチャ


???「玄関の前で人の家の悪口?」


海未「あなたは!」


真姫「どうも。海未」


海未「家にいらっしゃらないと思ったらこんなところに」


真姫「私も追われる身だからね。ここに隠れてるのよ」


希「真姫ちゃんまた例の頼める?」


真姫「また?なんでよ。この前直したじゃない」


希「ウチのやないよ?海未ちゃんの」


真姫「海未の?あなたもなのね…。いいわ、入って」


海未「お邪魔します」


小屋の中


真姫「見せて、あなたのアサシンブレード」


海未「これです」カタッ


真姫「希のとは型が違うみたいね。設計図はある?」


海未「はい。こちらです」


真姫「かなり古いものね。でも機構は先進的。すごいわこれは。ちょっと待ってて」


30分後


真姫「できた!」


希「相変わらず早いね」


海未「まあ!ありがとうございます」


真姫「で、あとはあなたの薬指を切断するだけね」


海未「は?」


希「海未ちゃん。その、は?っていうの悪いクセやで」


海未「いやいやいやいや。あとは、じゃないでしょう!なんですか薬指を切断って!」


真姫「だってそう書いてあるんだもの」


希「それくらいの覚悟はないとやっていけないで海未ちゃん」


海未「そ、そうですね、お願いいたします」スッ


真姫「じゃあ…」ブンッ ドスッ


海未「ひぃ!」


海未「あれ?薬指ある?」


真姫「昔は本当に切ってたらしいけどね。今回は切らなくても大丈夫なようにしておいたから」


海未「心臓に悪いですよ…」


真姫「ボロいとか言われたお返しよ」


希「なんや、本当に切るんかと思っとった」


海未「なんの期待をしているのですか!」


真姫「なんであれ、できたわよ。あなたのアサシンブレード」


海未「ありがとうございます」


希「これで準備完了やな」


海未「ええ。あの裁判官を…にこたちの復讐ができます」


希「海未ちゃん。テンプル騎士を倒すのは構わん。せやけど、死者には敬意を表さなあかんよ」


海未「あんなやつらにですか?」


希「アサシンの信条には真実はなく、許されぬことなどないって言葉があってな。死者を痛めつけたらそれこそやつらと同じや」


海未「そう、ですか。私に感情を抑えれるでしょうか」


希「大丈夫や。海未ちゃんは強い子やから」


真姫「また何か武器の設計図なりが見つかったらうちに来てね。作るから」


海未「ありがとうございます真姫」


希「まずはあの裁判官の行動を読んで暗殺の機会を探すんや」


メイン目標:ヒデコの行動に関する情報を集める


希「番兵の誰かが知っとるはずや。その情報を盗み聞くんよ。方法はさっき練習した通り。その間にウチは他のテンプル騎士の情報を探っとくわ」


海未「わかりました。お願いします」


城下広場


海未「ん?なんでここは封鎖されているのでしょう。あそこの番兵が何か言っていますね。悟られないようにあの公共用の長椅子に座って話を聞きましょう」


盗聴開始


番兵1「なんで今夜はこんな大きな宴をするのかね」


番兵2「なんでもあの裁判官の初仕事だったらしいぜ。初仕事が死刑なんて大変だよな」


番兵1「じゃああの裁判官も宴に来るのか?」


番兵2「そうなるんじゃないか?」


番兵1「よく見たらあの裁判官結構べっぴんさんなんだよ。なんとかして近づけないかな?」


番兵2「無理だろ。俺らはここの警備だからな」


番兵1「ちぇっ。惜しいことしたなぁ」


海未(なるほど。今夜裁判官はここに来ると。これは大きい情報です)


真姫小屋


真姫「なんでうちが集合場所みたいになってるのよ」


希「真姫ちゃん。みたい、やないよ。集合場所なの」


真姫「そういうこと言ってるんじゃないわよ!」


海未「あの裁判官は今夜、広場で宴に参加します」


希「それはいい機会や。そこでやろうか」


海未「でも警備は厳重みたいですよ」


希「そやなぁ、あそこは周りは高い柵やし、警備兵がいるなら入り口も…あ」


海未「どうしました?」


希「入り口から入ればええんや」


海未「いや、だから番兵が」


希「堂々と入れる服装をすればええんよ」


海未「すなわち?」


希「警備兵の服を奪うで海未ちゃん」


海未「だと思いました」


希「でもそこで騒ぎになったら意味ない。あくまでヒッソリとやるで」


メイン目標:番兵を倒し、服を奪う。見つかってはならない。


海未「と言ってもそんな都合よく一人二人でいませんよ番兵は」


希「それならそうさせればええんや」


海未「え?」


希「前の人混みに紛れるのより簡単

や。草むらに隠れてみ」サッ


海未「こうですか?」サッ


希「うまいやん。この状態ならいくら番兵でも気づかへん。ここで」


ピュー


海未(なぜ口笛を?)


番兵「ん?何か聞こえたような」テクテク


希「ほっ!」ガシッ


番兵「うぐっ!うっ!…」グッタリ


希「こうやるん」


海未「茂みのなかで始末するんですね」


希「あそこにもう一人いるやろ?海未ちゃんはあいつの服を」


海未「了解です」


フシュー


番兵「ん?何か聞こえた?」


希(海未ちゃん口笛ヘタクソやな)


海未「はっ!」ガシッ


番兵「うっ!ぐっ!…」グッタリ


海未「ふぅ、なんとかできました」


希「よし、この服を着て宴に入るで」


当日夜


城下広場前


海未「ここにあいつが…」


希「海未ちゃん。前も言ったけど平常心やで。慌てたら全部水の泡や」


海未「分かっています。潜みつつ倒します」


希「ウチは中の番兵たちを引きつけるからその隙に裁判官を。他の奴らは大丈夫やけどあの裁判官は海未ちゃんの顔を知っとるから注意やで」


メイン目標:発見されないようにヒデコを殺害する


サブ目標:ベンチからヒデコを殺害する


入り口


希「お疲れ!」


海未「お疲れ様です」


番兵「おう。全くここでずっと立ってんのも大変だよ」


希「頑張ってな」


会場内


希「(じゃあ海未ちゃん。幸運を)」


海未「(ええ)」


海未(裁判官を探しましょう。でもこんなに人がいては…)


ヒデコ「お集まりの皆様!今夜は火事の復興を願い、様々な交流をして下さい!では!乾杯!」


海未(まあまあ、そちらから出てきてくれるとは。ですがあれは舞台の上。あんなところに出て行くわけにもいきません)


ヒデコ「この度は大変でしたね」テクテク


海未(なるほど。あちらは参加者に話しかけて回るのですね。でしたら…あの長椅子に座りましょう)スッ


海未(ここまで来てくださいね)


ヒデコ「この度は本当に残念でしたね。でもきちんと私が裁きましたから」テクテク


海未(きちんと裁いた、ですか。笑わせてくれますね)


ヒデコ「ああいう不始末に気をつけろって言っているのにそれもできないんですよ」テクテク


海未(き、貴様…いい加減に…)


ヒデコ「私の初仕事で皆様に納得していただけたら幸いです」テクテク


海未「あなただけは許さないです」サクッ


ヒデコ「なにっ!?」


暗殺後問答空間


海未「貴様のせいでことりが!にこが!花陽が!」サクッ サクッ


ヒデコ「うっ!わ、私は金で雇われただけ…」


海未「金をもらえればなんでもするのですか!」サクッ サクッ


ヒデコ「こ、これが正しいことだと」


海未「うるさいうるさいうるさい!」サクッ サクッ サクッ


希「やめぇや海未ちゃん!忘れたんか!」


海未「でもこいつは!」


希「それだとやつらと同じだって言うたやろ!」


海未「くっ!」


希「せめて最後くらい安らかにしてやらな」


希「真実はなく、許されぬことなどない」


希「行くで海未ちゃん」


海未「……はい」


メイン目標:警戒エリアから離れ一般市民状態にもどる


サブ目標:ダメージを受けない


希「退散したいけども…」


海未「囲まれてますね。すいません私が熱くなってしまったから」


希「戦うしかないようやね。海未ちゃん。これ使い」ヒョイ


海未「剣道はやってましたけど真剣は使ったことはないですね。でもやるしかないみたいです」カチャ


番兵「捕らえろ!」


希「ほい!」ザシュッ


海未「はぁ!」ザシュッ


希「こっちやで」ザシュッ


海未「遅い!」ザシュッ


ワーワー


希「きりがあらへん!」


海未「このままでは押されてしまいます!」


???「希!海未!目と口を閉じなさい!」


のぞうみ「は?」


バシャー


希「え、煙幕?」


???「こっちよ!」ガシッ


海未「ちょっと!どこに行くんですか!?」


郊外


希「はぁはぁ」


海未「こんなに走るとは」


???「あなたたち暴れすぎよ」


希「なんや懐かしい声やな」


海未「数日前には聴いてましたけどね」


のぞうみ「えりち」「絵里」


絵里「いい戦いっぷりだったわよあなたたち」


ー⚫︎ー⚫︎ーフルシンクロ


To be continued…


sequence3『盗賊の誇り』


絵里「アサシンらしい身のこなしだったわ。騒ぎすぎだけど」


海未「絵里もアサシンのことを知っているのですか?」


絵里「私はアサシンじゃないけどね。今の組織柄知ってるのよ」


海未「組織?」


希「うーん、えりちがテンプル騎士なわけないしなぁ」


絵里「当たり前でしょ。それならあなたたちを逃がしたりしないわよ」


絵里「私の実家はロシアでは有名な盗賊の組織に属していてね。隠密行動には自信があるのよ」


希「ロシアの盗賊さんはアサシンのこと知っとるんやな」


海未「なぜ?」


絵里「敵の敵は味方でしょ?私たちもテンプル騎士と敵対してるの」


希「そうやろな。あいつら盗賊とか絶対嫌いやもん」


絵里「もっとも、今はにこたちの復讐のために動いてるけどね」


海未「絵里も家にいらっしゃらなかったのは追われているからですか?」


絵里「そうね。といっても帰るところがなくて困ってるところだけど」


希「それならいいところがあるんよ」


海未「いい加減に怒るのでは?」


希「大丈夫やって」


絵里「どこにあるの?」


希「来てみ」


真姫小屋


真姫「なんで増えてるのよ!」


絵里「真姫!久しぶり!」


真姫「久しぶりね絵里。大丈夫だった?」


絵里「私は大丈夫よ。それよりなんか色々道具があるけどここはなんなの?」


真姫「私の仕事場のはずなんだけど希のせいで集会所みたいになってるのよ」


希「いやぁ、そんなに褒めんと」


真姫「褒めてないわよ!」


海未「確かに手狭ですよね。どうにか拡張したいですね。お世話になってますし」


真姫「材料さえあれば拡張できるんだけどいかんせんお金がなくてね」


絵里「お金、ねぇ。海未、明日の朝少し外に出るわよ。真姫。明日までここで休ませてくれないかしら」


真姫「そういうと思ったわ。ゆっくりしていきなさい」


海未「出かける…どこに?」


絵里「それは明日説明するわ」


希「じゃあ休もうか。今日は」


真姫「なんであなたたちみんなで泊まるのよ!」


希「まあまあええやろ。仲良しさんやん?ウチら」


真姫「まったくもう…」


翌朝


大通り


絵里「今日はこれからあなたがアサシンとして必要になるであろう技術を教えるわ」


海未「技術?」


絵里「スリよ」


海未「まさか絵里からスリなんていう言葉が出るとは」


絵里「盗賊なんだから当たり前でしょ。バレないように必要なものを揃えられるのよ。あなたには必要でしょ」


海未「まあ確かに必要かもしれません」


絵里「相手の動きに合わせてついていって盗る。それだけよ」


海未「抽象的ですね」


絵里「やってみたほうが早いからね。私の部下を呼んだわ。彼らで練習よ」


海未「人のものを取るのは気が引けますが仕方ありません。やってみます」


海未「ついていくと…」テクテク


部下「まだ気配を感じるな。近づくのもゆっくりにするんだ。慎重に」テクテク


海未「はい」


数分後


海未(そーっと…)


海未「………」スッ


部下「……おっ、うまいじゃないか」


絵里「流石に飲み込みが早いわね」


海未「いえ、みなさんの忠告のおかげです」


絵里「これを使って真姫の小屋を改築するために2人で二十両集めるわよ」


海未「はい。1人十両ですね。でも善良な市民の方から取るのはなんというか…」


絵里「そうね。なら一人で歩いてる番兵とかでもいいわ。彼らは幕府の連中だからお金も結構持ってるはず」


海未「気絶させた番兵から取ってもいいですか?」


絵里「……怖いこと言うわね。別にいいわよ」


海未「はい。集まったらここへまた集合しましょう」


絵里「頑張ってね」


メイン目標:十両集める


サブ目標:草むらで気絶させた番兵の懐を探る


海未「まずは草むらからの攻撃をしましょう」


フシュー


番兵「ん?何か聞こえた?」テクテク


海未「すみません!」ガシッ


番兵「うっ!ぐっ!…」バタン


海未「ええっと、このあたりに」ガサゴソ


一両入手


海未「幸先がいいですね」


数分後


海未「………」スッ


五十銭入手


海未「ふぅ。これで終わりですね」


海未「なんとか大きな騒ぎも起こさずに集められました」


海未「絵里と合流しましょう」


集合場所


絵里「お疲れ」


海未「さすが、手際がいいんですね」


絵里「私はまあ慣れてるから。あなたも早かったわよ」


海未「どうも。では材料を買いに行きましょう」


メイン目標:よろず屋で木材と釘を手に入れ、真姫に届ける


よろず屋


店主「いらっしゃい!」


海未「こんにちは。木材と釘をこの紙に書いてある分だけいただきたいのですが」スッ


店主「これね。大丈夫だよ。すぐに準備するから」


数分後


店主「はい。これ全部で十五両だよ」


海未「ではこれで」


店主「はい。ちょうどね。他に欲しいものはないかい?」


絵里「五両余ったわね」


店主「だったらこれなんかどうよ。うちにあったんだけど読めなくてね。設計図みたいなんだけど」


海未「設計図?」


店主「なんのかは分からんけどね。今ならこれ五両で売ってあげるよ」


絵里「真姫なら分かるかも。買う?」


海未「そうですね。もしかしたら掘り出し物かも。いただきます」チャリン


店主「あい!どうもね」


よろず屋前


海未「ではこれらを真姫に届けましょう」


絵里「ええそうね」


昼過ぎ


真姫小屋


海未「ただいま戻りました…あれ?」


絵里「真姫がいないわね?」


チョットハナシナサイヨ!


海未「裏手の方からですね」


絵里「行きましょう」


真姫小屋裏口


番兵「ここに園田海未が来ていたって話なんだ!」


真姫「誰よそれ!知らないわよ!」


サクッ


番兵「………」バタッ


真姫「ちょうどよかったわ海未。まったく。この真姫ちゃんから話を聞こうなんて百年早いわよ」


海未「材料を買ってきました」


真姫「あら、これで改築できるわ。ありがとう」


真姫「あと絵里、この実験道具を小屋に運んでくれる?」


絵里「どれ?」


真姫「それよ、そこに転がってるもの」


絵里「な、なるほど」


海未「真姫は怒らせないほうがいいですね」


トントントンカンカンカン


真姫小屋


真姫「少し広々としたわね。ありがとう」


海未「それと何かの設計図を手に入れたのですが」スッ


真姫「あら、じゃあちょっと待っててくれるかしら」


海未「はい」


30分後


真姫「できたわ」


絵里「なんだったの?」


真姫「海未にはぴったりかも」


海未「え?どういうことです?」


真姫「折りたたみ式の弓よ。矢の先に毒を塗れば様々な用途で使用可能よ」


海未「弓道の経験がこんな形で生きるとは」


絵里「海未がどんどん重武装に…」


ガチャ


希「なんか真姫ちゃんの小屋が大きなっとる」


真姫「海未たちが材料を揃えてくれたのよ」


希「よくやった海未ちゃん!これで快適になったよ」


真姫「あなたが快適さを感じるために改築したんじゃないんだけど…」


希「まあまあ、人も増えたんやしええんとちゃう?それより海未ちゃん、次の標的を見つけたで」


海未「どなたですか?」


希「金貸しのミカってやつや」


希「こいつがこの前の宴なんかも資金提供してたらしいんよ」


海未「テンプル騎士なわけですね」


希「そうなるな。今回はかなりの大物や。警備も甘くない。一つまたアサシンの暗殺術を教えようやん」


裏庭


希「鷹飛び込み(イーグルダイブ)と空殺(エアアサシン)について教えるよ」


海未「いーぐるだいぶ?えあアサシン?」


希「暗殺方法の一つや。こっちにきて」


やぐらの上


海未「高いですね」


希「下に藁山が見えるやろ?」


海未「はい」


希「あそこに飛び降りるんがイーグルダイブや」


海未「は?」


希「だからその、は?っていうのやめなって」


海未「おかしいからですよ!こんな高さから落ちたら怪我しますって!」


希「着地さえ気をつければなんてことはないよ。ちょうど縦に一回転するように背中から着地すればええんよ」


希「見てて」


トンッ ヒュー フサッ


希「こんな感じやー!」


海未「無理ですよ!」


希「大丈夫や!やってみ!」


海未「えぇー…」


海未「藁山めがけて…とぉ!」


トンッ ヒュー フサッ


海未「ぷはっ!」


希「うまいうまい!」


海未「内臓が浮いた感じしました」


希「イーグルダイブはできたね。次はエアアサシンや」


真姫小屋裏庭


希「ここに人形があるからこれを標的にしてやってみよう」


希「エアアサシンってのは一番手っ取り早く相手を倒せる方法や。相手の上から首をめがけて飛んでアサシンブレードを突き刺す。これだけ」


海未「なんかもうなんでもありですね」


希「ただしこれは不意打ちでしか使えん。相手にバレている状態ではできないから注意や」


海未「やってみます」


真姫小屋屋根上


海未「相手をめがけて飛ぶ!」


ヒュー サクッ


海未「できました!」


希「上手や!さすがやな」


希「これでアサシンとしてまた一歩前進やな」


希「ミカの足取りをつかむのは簡単や。あいつはここら辺の金をまとめてるやつやからお金の運搬をする人についていけばええ」


海未「尾行ですね」


希「もう一つ教えたる。もっとも教えることかどうかは分らんけどね」


希「鷹の目。探している人物や物を発見するための能力や。アサシンとして覚醒していれば使えるはずや」


海未「それはどのようにして使用するのです?」


希「探す人物なりを見つけたいと強く願うことや。そうすると自然と対象が光って見える。ちなみに敵対勢力は赤く見えるはずや。危機管理に使ってみるとええ」


海未「ありがとうございます。やってみます」


メイン目標:資金運搬係を見つけ尾行する。気づかれてはいけない。


海未「このあたりのはずなんですが。やってみますか鷹の目とやらを」


海未(ミカの資金運搬係はどこですか…)


フォン


海未(見えました。これが鷹の目…。なにはともあれ尾行です)


海未(人混みに紛れつつが一番いいですね)


ドカッ


通行人「前見て歩け!」


海未「す、すいません!」


運搬係「ん?」


海未「あっ、まずい!」


運搬係「なんだ?」


海未(隠れ直さないと)


運搬係「気のせいか?まあいい、運ぼう」


海未(なんとかなったみたいです。尾行を再開しましょう)


ミカ邸


海未(ここが金貸しのミカの家…本当に個人の家なのですか?玄関に番兵はいるし屋根上には弓兵もいます。一度希に報告するべきでしょう)


数分後


真姫小屋


希「そっか。さすが金持ちや。兵をいなくするまでいかなくても減らす必要があるなぁ」


絵里「私の部隊がやりましょう。陽動なら任せて」


希「いいん?危険やで」


絵里「あなたたちだけに危険なことをさせる方がよっぽど嫌よ。それに…」


絵里「最終的に得をする方につくのが盗賊のやり方なのよ」


希「わかった。盗賊の統率はえりちに任せる。ウチらであの金貸しを襲うで」


海未「了解しました」


真姫「頑張ってね」




ミカ邸前 物陰


海未「仕事を終えてそろそろ帰ってくるでしょうか」


希「そうやろうな…お、噂をすれば」


ミカ邸門前


ミカ「今日も仕事疲れたー!」


警備兵「お疲れ様です!」


ミカ「バカを騙すのも大変なんだよね」


警備兵「苦労なさっているようで」


物陰


海未「ますます殺してやりたくなりました」


希「平常心や海未ちゃん。そろそろえりちが…」


ボーンッ


ナンダー バクハツダー


海未「絵里がやってくれましたね。残るは弓兵と付き人の警備兵。今ので金貸しは警戒するはずです」


希「ウチが正面の警備を請けるで。海未ちゃんは屋根から目標を倒して」


海未「了解です」


メイン目標:ミカを殺害する


サブ目標:エアアサシンでミカを殺害する


海未「真姫に作ってもらった弓を使いますか」


海未「よく狙って…」キリキリ スパーン


弓兵「うっ!」ドサッ


海未「これで屋根上に上がれます」ヒョイッヒョイッ


海未「ここで待ちますか」


ミカ邸門前


番兵「ミカ様!早く屋内へ!」


ミカ「え、ええ、そうするわ」タッタッタ


屋根上


海未「きましたね…安らかに」サッ サクッ シュタッ


ミカ「!?」


暗殺後問答空間


海未「あなたは悪に与した、それだけです」


ミカ「わ、私は、ただ仕事を…」


海未「社会的弱者を騙す仕事ですか…随分とご立派な」


ミカ「園田海未…アサシンに成り立てと聴いていたのに腕はたつようだね」


海未「あなたに褒められても嬉しくありません」


海未「真実はなく、許されぬことなどない」


海未「眠れ、安らかに」


現実空間


希「退却やで海未ちゃん!」


海未「はい!」


メイン目標:警戒エリアを出て一般市民状態に戻る


希「思ったより大事になったようや」タッタッタ


海未「どこまでも追いかけてきますね」タッタッタ


希「これは瓦版にウチらのこと貼られとるな。業者を買収するで」タッタッタ


メイン目標:瓦版業者に賄賂を渡して手配度を下げる


瓦版業者「気をつけてください!この周りに殺人鬼が…」トントン


希「なあ」


業者「はい?」


希「これでなんとかしてくれんか?」チャリン


業者「こんなに!?」


業者「みなさん!殺人鬼は捕まりました!安心を!」


真姫小屋


ガチャ


希「ただいまー」


真姫「あらおかえり」


海未「真姫、ありがとうございました。あの弓役に立ちました」


真姫「それはよかったわ」


ガチャ


絵里「お疲れ様」


希「えりちもね。ええ陽動やったよ」


絵里「当たり前よ。1人も欠かすことなく任務を遂行する。盗賊の誇りを失っちゃいないわ」


海未「これでまたテンプル騎士に関する情報がふりだしですね」


希「荒居図は守りが固いからまだ襲えんしなぁ」


真姫「そういえば海未のお母さまがいらしたわよ」


海未「母はなんと?」


真姫「海未がアサシンとしてきちんとやれてるか心配していたわ」


海未「道具を受け取って以来家に帰っていませんでしたからね。不安にさせてしまったようですね」


希「今日はもう遅いから明日にでも顔だしてあげたらええんとちゃう?」


海未「そうさせていただきます」


絵里「じゃあ快適になった真姫の仕事場で休みましょうか」


真姫「だからそういう用途じゃないんだってば」


-●-●- フルシンクロ


2016年 アブスターゴ社研究室


???「かなりの出来だわ。さすがに総じて能力が高い」


???「ここは…」


???「あなたはここへ命からがら逃げてきたってところかしら」


???「あなたは?」


黒澤ダイヤ「私は黒澤ダイヤ。ここの研究員をやっているわ。安心して。あなたに危害を加えるつもりはないわ渡辺曜さん」


渡辺曜「今まで私が見ていたものは…」


ダイヤ「あなたの遺伝子の中にある過去の記憶ね」


曜「なんだか古い町並みでしたけど」


ダイヤ「あなたが見ていたのは江戸時代のアサシンの記憶。休みたかったら言ってくれたら休憩できるからね」


曜「あ、ありがとうございます。ところであなたは私の古い記憶を見てどうするんですか?」


ダイヤ「探し物を見つけるのよ」


曜「さ、探し物ですか…。ごめんなさい、少し休憩しても?」


ダイヤ「いいわよ。そっちの個室を使って」


曜「ありがとうございます」テクテク


研究室隣個室


曜「私は組織から逃げてきた…ダイヤさんは助けてくれたの?」


フォン


曜「!?壁に絵が浮かび上がって!な、なにこれは?」


曜「古い記憶で見た鷹の目とか言ってたのと同じ感じ…私は…」


自分の人生は自分で決める。だから私も組織を逃げ出した。今は古い記憶を頼りに自分のなすべきことを探している。私は渡辺曜。これは私の物語です。


To be continued…


sequence4『孤独』


1772年 江戸


真姫小屋


海未「……」


希「海未ちゃん」


海未「ん?あ、おはようございます」


希「おはよ。ずいぶんうなされてたで?」


海未「そうでしたか。あまりうまく寝られなくて」


希「無理もないで。色々起こりすぎなんやから」


海未「本日はお先に家に顔出しをしてきますね」


希「うん。行ってあげ」


海未「では行って参ります」


メイン目標:自宅に戻る


大通り


海未「お母さまには心配をかけてしまっていますよね。たまにはきちんとこうやって顔を出さないと…」


ワーワー


海未「なんの騒ぎでしょう。ここ最近は決まっていいことは起きませんが」


海未「私の家の方ですかね?見てみましょう」


園田邸


統堂英玲奈「この者は武士に対し!無礼をはたらいた!それを現行犯として切り捨てさせていただきます」


海未「あれは!荒居図の!」


海未「……!?お母さま!」


海未母「海未!逃げなさい!来てはダメ!」


英玲奈「園田の娘か…これは好都合です」


英玲奈「そこで見ていなさい園田の娘よ」


ザシュッ


海未「お母さまぁぁぁぁ!」


英玲奈「あなたたちがやろうとしていること。それは本当に正しいことなのですか?」


海未「お前は…私を…」


英玲奈「園田海未。アサシンか。腕が立つと聞いている。お前がアサシンにならなければお前の母を殺すこともなかったのにな」


海未「貴様ァァァァァ!」ダダダダダダ


英玲奈「捕らえなさい」


ガシッ


海未「不当な支配の何が正しいのですか!」


英玲奈「お前には分からないでしょう」


海未「絶対に殺してやります!」


英玲奈「黙らせなさい」


ドガッ


海未「うっ!…」


昼過ぎ


江戸城 牢獄


海未「……」


海未「わ、私は…」


海未「そうでした。やつらに捕まって…」


海未「もう死を待つのみですね。人を殺した報いでしょうか」


海未「母も失い、美優手も失い、私にはもうなにも…」


???「そんなことないです!」


海未「どなたですか?」


絢瀬亜里沙「私、絢瀬亜里沙と申します」


海未「絢瀬?私の知り合いに絢瀬絵里という方がいますが」


亜里沙「私の姉です。私もお姉ちゃんと一緒に盗賊の仕事をしていたのですが、私がドジだったから捕まってしまって」


海未「お互い大変ですね。ここの牢獄にいるということはあなたも処刑待ちということですか?」


亜里沙「はい。でもきっとお姉ちゃんたちが助けてくれるはずです!」


海未「……無理ですよ」


亜里沙「え?」


海未「こんな幕府の最重要箇所から逃げられるわけないです」


亜里沙「でも、まだ逃げる機会は…」


海未「見たでしょうあの番兵の数を。たとえ逃げられたとしてもすぐに殺されますよ」


亜里沙「なんで…」


海未「え?」


亜里沙「なんでそんなこと言うんですか!」


海未「私だって逃げられるものなら逃げたいですよ!でも…私にはもう…誰も…」


亜里沙「私がいます!」


海未「……」


亜里沙「お姉ちゃんもいます!たくさんいるじゃないですか!海未さんはそんなに簡単に諦める人だとお姉ちゃんたちも思っているのですか!?」


海未「でも…私は…」


亜里沙「美優手の絆はそんなものですか!」


海未「!?」


亜里沙「私もお姉ちゃんがいるから応援してました。もちろん海未さんのことも知ってました」


亜里沙「美優手に入る前のお姉ちゃんは何もかも一人で抱え込んで、一人で大変な思いして。周りの心配も突っぱねて本当にどうしようもなく堅い人でした」


亜里沙「でも!それは美優手に入って変わりました。みんなで支え合う、それでお姉ちゃんは救われたんです」


海未「それなら穂乃果に言ってください。私はそんな…」


亜里沙「お姉ちゃんの心の支えは美優手のみんな、そして歌です」


亜里沙「その歌を歌っているのは誰ですか?その歌を作っているのは誰でしたか?」


亜里沙「美優手に『誰の方が…』なんてことはないです!みんながみんなの心の支えになっているんです!だから…そんなこと言わないでください」


海未「絵里がそんなことを…よくご存知なんですね、私たちのこと」


亜里沙「当たり前じゃないですか。だって私も美優手に支えられているんですから」


海未「そんな簡単なことに気づかないなんて…私はどうかしてたみたいです」


亜里沙「だから…一緒に脱出しましょう」


海未「ええ!」


処刑当日


メイン目標:統堂英玲奈を殺害する


サブ目標:番兵から奪った武器を使い英玲奈を殺害する


サブ目標:煙幕の被害を受けない


牢獄


海未「……」


看守「起きろ!」


海未「ん?」


看守「時間だ」


海未「はい」


看守「なんだ?やけに静かじゃないか」


海未「………」




海未「………」 テクテク


群衆「死んじまえー!」


群衆「平和を乱すな!」


海未「………」 テクテク


男「(処刑台に着いたら合図をしな)」コソコソ


海未(!?)


看守「ほら!離れろ!」


処刑台


英玲奈「この2名!園田海未と絢瀬亜里沙は!我らが幕府に対して反逆の計画を企てた!よってここで極刑を言い渡す!」


英玲奈「最後に言い残すことはない?」


海未「………」


亜里沙「………」


英玲奈「このように一言も話さない!反省の弁も出てこない!これ以上は無意味です」


英玲奈「首を…」


海未「………」フシュー


サクッ サクッ サクッ


英玲奈「な、なんだ!」


???「相変わらず口笛ヘタクソやなぁ海未ちゃん」


英玲奈「貴様ら…」


海未「これでも練習したんですよ、希」


絵里「撹乱しなさい!海未に武器を!」


盗賊「これを受け取れ」ヒョイッ


海未「真剣…もはや使い慣れました」


英玲奈「くそっ!」タッタッタ


海未「逃がしませんよ」シュタタタタ


英玲奈「はっ!」フシャー


海未「え、煙幕ですか」ゴホゴホ


海未「に、逃がしませんよ!」シュタタタタ


英玲奈「速い!」


海未「この剣はみんなの思いがこもった剣です」サクッ


英玲奈「いっ!」


暗殺後問答空間


英玲奈「お前は間違っている!」


海未「そうかもしれません。でも私はアサシンを続ける」


海未「地獄に堕ちようと構いません。これが私の信じた道だから」


英玲奈「お前らにはあのリンゴは使えない!私たちが使わないと」


海未「リンゴ…希から聞いたことがあります。人を操ることができる道具だと」


英玲奈「私たち荒居図が扱うのが一番なのだ!」


海未「誰が決めたんですか?」


海未「人は自由に生きるべきです。誰かの言いなりになってはいけない」


英玲奈「リンゴは…渡さん…」


海未「真実はなく、許されぬことなどない」


海未「眠れ、安らかに」


処刑場


海未「聞きなさいあなたたち!」


海未「美優手は滅んでいない!ここには私がいる!希がいる!絵里がいる!」


希「あんたら!今回の騒ぎは荒居図の陰謀や。この前の火事の一件もな」


希「信じるか信じないかはあんたら次第や!せやけどな」


希「ウチらは闘い続けるで、荒居図と」


絵里「あなたも好きねカッコつけるの」


希「いつもはえりちやん。たまにはウチにも言わせて」


絵里「はいはい」


-⚪︎-⚪︎-フルシンクロ失敗


2016年


ダイヤ「お疲れ様」


曜「ど、どうも」


ダイヤ「今回のシンクロはうまくいかなかったわね。どうして?」


曜「どうしてと言われても…」


ダイヤ「あなたの都合はいいの。シンクロに忠実になってくれないかしら」


曜「なんで私がそんなこと」


ダイヤ「私はあなたの命の恩人よ!」


曜「ひぃ!す、すいません」


ダイヤ「まあいいわ。疲れがあるなら休んでちょうだい」


曜「はい、そうします」


研究室隣個室


曜「何されるかわかったもんじゃないよ。どうすればいいんだろ」


ダイヤ『ちょっと出かけてくるわ。そこで待ってて』


曜「は、はい」


曜「………」


曜「どうにか逃げないと…」


???「渡辺さん?いるの?」


曜「だ、誰ですか?」


???「怪しいものではないわ。ここから出るわよ」


曜「いや、出られるなら出たいですけど」


???「私が助けるって言ってるの」


曜「あなたは…」


桜内梨子「私は桜内梨子。今はおしゃべりしてる暇はないわ。行きましょう」


曜「ちょ、ちょっと!大丈夫なんですか?」


梨子「地下に車が用意してある。そこまで行くわよ」


曜「何がなんだか…」


梨子「話は後でするからとりあえず今はついてきて」


エレベーター前


ピッピッピッ ブブー


梨子「セキュリティで暗号が変えられてる…」


曜「…………」


フォン


曜「ん?」


ピッピッピッ ブブー


曜「うーん」


ピッピッピッ ブブー


曜「じゃあこうかな?」


ピッピッピッ ピロン


梨子「あ、あなたどうやったの?」


曜「順番はわからないですけど押すボタンが見えたんです」


梨子「不思議ね…まあありがとう。行きましょう」


地下


アブスターゴ職員「捕らえろ!」


梨子「後少しなんだけど…仕方ないわね」


バシッ ドゴッ ドガッ


職員「うわっ!」


曜「つ、強い…」


職員「あそこだ!」


梨子「多いわね。手伝って」


曜「は、はい」


職員「おとなしくしろ!」


フォーン


曜(相手の攻撃が見える…)


曜(左手からの攻撃…ならそれをいなして後頭部に…)


曜「はっ!おりゃ!」ドゴッ ドガッ


職員「うはっ!」


梨子「やるじゃない。逃げるわよ」


アサシン隠れ家


梨子「着いたわよ」


曜「あの、そろそろ教えて欲しいんですけど」


梨子「そうね。あなたはアブスターゴ社に捕らえられてた。ここまではいい?」


曜「はい」


梨子「あなたが見せられてた記憶、あれにはエデンの果実の場所の秘密がある」


曜「リンゴのこと?」


梨子「それよ。もしかしてもう記憶の中ではリンゴを見た?」


曜「存在は知ってますけどまだ見たことはないです」


梨子「よかった…でも奴らもヒントは得ているということね」


曜「あの、あなたたちは?」


梨子「今の話でわからない?私たちはアサシン。リンゴが奴らの手に渡らないためにあなたを助けたの」


曜「アブスターゴはテンプル騎士団なんですか?」


梨子「そうね。現代のテンプル騎士の拠点があそこなの」


梨子「率直に言うわ。私たちに協力して欲しいの。世界を、救うために」


曜「世界を…」


曜「断る理由がありますか?」


梨子「え?」


曜「え?じゃないでしょ。協力するって言ったんです」


梨子「あ、いやごめんなさい。どんな風に説得しようかと考えてたのにすんなり納得してもらえたから」


梨子「紹介するわ。松浦果南と津島善子よ」


松浦果南「どうも、渡辺さんだっけ?私はあなたの記憶を辿るお手伝いをするのが役目。一緒に頑張ろう」


曜「よろしくお願いします」


曜(優しそうな人だなぁ)


津島善子「貴様が曜か。まあ、こうなることは知っていた。なぜならこの運命は」


梨子「善子、まともにしゃべりなさい」


善子「津島善子よ。よろしく」


曜「よ、よろしくお願いします」


曜(なんていうんだっけ?厨二病だっけ?)


果南「アニムスの準備はできてるよ」


曜「アニムス?」


果南「あぁ、古い遺伝子記憶を見るための装置をそう呼ぶの。さあ、横になって」


善子「時間はあまりないからな」


曜「は、はい」


果南「じゃあいくよ」


1772年 江戸


真姫小屋


真姫「おかえり海未」


海未「ええ。ありがとうございます」


希「新居図の一人を倒せたのは大きいで。海未ちゃんお手柄やったな」


海未「いえ、みなさんが助けに来てくれなかったら私はここにはいません。私の方こそ感謝します」


絵里「テンプル騎士の日本支部の頭は新居図だから三人倒さないとまた対策してくるわよ」


希「まだ他にもテンプル騎士は残ってるしなぁ」


海未「私が捕まってる間になにか情報は?」


希「一応一人の足取りはつかめたよ。フミコってやつや。そいつは武器商人。テンプル騎士側に武器が供給されたらまた厄介なことになる」


海未「早急に始末しましょう」


絵里「そいつは今大坂にいるわ。予定では様々寄り道をしてくるから再来週に江戸に着く予定よ」


海未「それまでは動けませんね」


希「海未ちゃん。海未ちゃんはほんまにたくましくなったな。お母さんのことは残念やったけど天国できっと喜んでるで」


海未「そうでしょうか。今でも私は何が正しいのか分かりません。でも私はアサシンとして生きると決めたのです。だから」


真姫「それでいいのよ、あなたは」


真姫「あなたの一度決めたことへの執念はみんなを救うわ」


絵里「にこたちの仇を討つわよ。みんなで」


海未「ええ。私はそのためにアサシンになったのですから」


To be continued…


後書き

Umimin's creed2に続きます


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