三大テノール「君の声、大したことないね」青ピ「いきなり何ですのん!?」
青ピの根幹を崩しかねない作者泣かせ(?)の作品。
でもかまちーは気にしないだろうなあ・・・
パヴァロッティ「・・・君は『我々もびっくりの野太い声』でキャラ立てをしているようだが、」
パヴァロッティ「数多の一流歌手達と競演してきた我々からしたらなんて事ないね」
青ピ「・・・・・・」
ドミンゴ「『野太い声』と言われてスッキリするといえばギャウロフだろうね」
ニコライ・ギャウロフ(Nicolai Ghiaurov):1929~2004・ブルガリア
戦後最高のバス歌手の1人(とされている)。
初婚はピアニスト、再婚相手はミレッラ・フレーニ(ソプラノ)。※フレーニも再婚で、最初の相手はパヴァロッティの盟友でピアニストのレオーネ・マジェーラ
カレーラス「本人からしたらそんなつもりはないだろうけどね」HAHAHA
カレーラス「あとテノールで言えばやっぱりジャコミーニが圧倒的だろうね」
ジュゼッペ・ジャコミーニ(Giuseppe Giacomini):1940~・伊
イタリアのドラマティコ・テノール。御年75歳。
パヴァロッティ「正統的な出し方をして『あれ』だからね。彼ばかりは天性の声としか言いようがないよ」
ドミンゴ「しかも今でも『現役』で舞台に立ってるからね。『怪物』と呼ぶにふさわしいよ」←あなたもですよ、ドミンゴさん
パヴァロッティ「昔でいえばルッフォなんかがそうじゃないか?まあ彼は『ライオンの遠吠え』なんて言われてたけど」
ティッタ・ルッフォ(Titta Ruffo):1877~1953・伊
20C前期に活躍したイタリアを代表するバリトンの1人。技術をほぼ独学で習得。
著書に『我が人生の放物線』がある(皮肉にも、彼のオペラ人生もまさに『放物線を描くよう』だった)。
カレーラス「カルーソーをして、彼の大音量が嫌で共演を渋ったほどだったらしいからね」
ドミンゴ「『野太い』訳じゃないけど、イタリア系のバスといえばシエピだよね」
チェーザレ・シエピ(Cesare Siepi):1923~2010・伊
20Cのイタリアオペラを代表するバス。長身であったために舞台映えもした。あとハンサム。
カレーラス「甘い声に奥行きがあってとても心地良いよね」
パヴァロッティ「・・・それでもバスといえばシャリアピンじゃないか?」
ドミンゴ・カレーラス「「ああ~」」
フョードル・シャリアピン(Fyodor Chaliapin):1873~1938・露
ロシアもののオペラを主軸に数々のバス役をレパートリーにもつ。シャリアピンステーキの由来は彼。
ドミンゴ「圧倒的だよね」
カレーラス「納得だよ」
青ピ「・・・それで、結局ワイに何を言いたいんですか!?」
パヴァロッティ「・・・要するにだ、君の声は『我々を凌駕する』ような立派な声なんかじゃないという事だ」
パヴァロッティ「そもそも声の設定が違うアニメ版はさておき、原作であのような描写をしているのだからこれは問題にしなければならない」
青ピ「はあ・・・」
パヴァロッティ「我々にしたって『野太い声』と形容するのは間違っている、むしろ華やかでドラマティックといった方がいい」
パヴァロッティ「作者は我々の声を『野太い』で認識している時点で大きな間違いを犯しているんだよ」
青ピ「・・・それはワイやなくて作者に言ってくれたほうがエエと思うんですけど・・・」
パヴァロッティ「いや。これは君自身の問題でもあるんだよ、青髪ピアス君?」
青ピ「・・・え?」
パヴァロッティ「・・・君はその声を磨こうとは思わなかったのかい?」
青ピ「・・・・・・」
パヴァロッティ「能力開発にしてもそうだ。努力すればその片鱗くらいは発現したかもしれないのに、君はレベル0に甘んじている」
パヴァロッティ「勉強はわざと手を抜いていて、実は『第六位』の『藍花悦』なんて都市伝説もあるらしいが、俺からはそうは見えない」
パヴァロッティ「・・・俺から見れば、君はただ『怠けている』風にしか見えないんだよ」
音楽一家でエリートのドミンゴ・リセウ音楽院を出たカレーラスと違い、市井の退役歌手に師事し技術をつけたパヴァロッティはキャリアの積み方が根本的に違う。
イタリアの厳しい伝統に則ってあそこまでのし上がった。
パヴァロッティ「・・・俺の親父もイタリアオペラのテノールとしてデビューするチャンスがあった」
パヴァロッティ「だが親父は気後れしてそうしなかったんだ」
彼の父・フェルナンドは合唱団のトップテノールとして活躍し国営放送でも注目された程だった。
結局、上記の理由で断念し北部モデナでパン屋を営んでいる。
パヴァロッティ「・・・アマチュアで歌を極めた親父でさえ、プロの壁を感じていた」
パヴァロッティ「俺だって性格は親父にそっくりだったから、歌手になれていたかどうか分からない」
彼の生まれた北部モデナはイタリア人の中でも人見知りが多く、ミラノなど他地域と比べ陽気さに乏しい。
※それでも一定の陽気さは内包しており、パヴァロッティも夜な夜な友人とナンパへ繰り出す典型的なイタリア野郎だった。結果はお察しください。
パヴァロッティ「だが、君には好きなことに関する強い積極性がある。それを勉強に転化できれば大成するだろう」
パヴァロッティ「君はタッパもあるし声も悪くないから、訓練を積めばいいバスになる、保証するよ」
青ピの身長は公式で180以上。イタリアの正統なバスになるには十分である(一方、素質によればテノールの可能性もあるようだがそれは別の話)。
キーンコーンカーンコーン・・・
パヴァロッティ「・・・そろそろ完全下校時刻か、そろそろお暇するよ」ガタッ
パヴァロッティ「ここに俺のアドレスが載っている。気が向いたら連絡をくれ」スッ
ガラ・・・ ピシャッ!
青ピ「・・・何やったんや?」
~Fine~
~おまけ~
カップチッリ「・・・君は『香風 智乃(かふう ちの)』というそうだね」
チノ「そうですけど・・・」
カップチッリ「私の苗字は『Cappuccilli』、君の名前と非常に似ている」
チノ「・・・はあ・・・」
カップチッリ「君の名前は『カプチーノ』由来で、イタリアとも繋がりがある」
カップチッリ「私の苗字はあくまでも『イタリアの人名』というだけで大した記述はなかったが、」
カップチッリ「古い文献を漁っていけば、カプチーノとルーツを同じくするだろう」 ※憶測でしかありませんが
チノ「・・・で、あなたは何が言いたいんですか?」
カップチッリ「・・・では、本題に入ろう・・・」
カップチッリ「詰まるところ・・・」
カップチッリ「お前、私の名前をパクったな!!?」クワッ
チノ「そんなつもりありません!!」
おわれ
ピエロ・カップチッリ(Piero Cappuccilli):1929~2005・伊 ※訳によってカップッチッリ・カップチルリと分かれる(正統的には前者だろうが)
イタリア『最後』の正統派バリトン。主にイタリアオペラをレパートリーとし、その中でも『ヴェルディ・バリトン』として地位を確立する。
歌手としてのエンターテイメント性(表現や演技ではなく歌で魅せることのできる)を持った最後の世代に属していた。
いかがでしたでしょうか?
ちょっとオペラ歌手ネタがいっぱい膨らんでいろいろ書いてみました。特にこれは触れずにいられない黄金ネタかなと。
今回はパヴァロッティにも本人役で出演してもらい、全盛期の三大テノールを描いています。
ただし、オペラ歌手としては丁度曲がり角に入った頃なんですよね・・・
今回採用したネタは、ウィキれば大体出てくることなので、私が特別詳しいわけでもありません。
でもパヴァロッティは個別の本を見ないとわからないこともあるけど・・・
感想・評価お待ちしています。
1/10 個別作として公開していたものをお引越し。おまけとして載せました。
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