戦国ラブライブ!♯4
もしも穂乃果が戦国時代へタイムスリップして、戦国大名をすることになったら....を描いたお話です。
注)歴史変わってます。大変です
4話目となります!今回はちょっと表現するのが難しかったため、色々分かりにくいかもしれませんがご了承下さい。
では戦国ラブライブ!ゆっくりとお楽しみ下さい!
第五幕
第三幕
前回のラブライブ!
北条に勝ち、関東を治めることとなった穂乃果率いる高坂家。この関東を治めるのに今の城では用が足りない、ということで、新しく東京に「音ノ木坂城」という拠点を建てることにした。しかし、そんなノリに乗っている高坂をよく思っていなかった隣国の武田信玄は、高坂討伐の為に兵を進めようとしていた。それを気がかりに思っていた海未と絵里の呼びかけにより、緊急会議が開かれる。そこで穂乃果は連続して鉄砲を打つことが出来る「三段構え」という策を編み出した。これは騎馬隊の武田にとってかなりの脅威となり、見事武田の猛攻撃をしのぎ、戦に勝つことが出来た。その夜の祝賀会の最中に、福島を治める大名綺羅家から同盟を結んで欲しいとの書状が届く。それについての返答のため、穂乃果達一行は福島へ向かったのであった。
「ねぇ、絵里ちゃぁん!あとどれ位なの?もう穂乃果疲れたよぉ...」
「福島まであと少しだから、ほら、しっかりしなさい、穂乃果」
「無理だよぉ!お尻痛いし...」
「馬に乗ってるんだからそれ位我慢しなさい」
穂乃果と絵里は綺羅家への挨拶のため、福島へ向かっていた。穂乃果は慣れない乗馬の移動だったからか、その疲労はピークに達していた。
「ほら、穂乃果。着いたわよ。ここが綺羅家の本城、若松城よ」
「うわぁ... おっきいお城だね...。うちとは比べものにならないよ...」
穂乃果はその城の大きさに呆気にとられていた。鹿嶋城の3倍はあるだろう。とにかく大きい城なのである。
「さ、穂乃果。行きましょうか。綺羅さんが待ってるわ」
「うん!」
〜若松城〜
穂乃果と絵里は若松城内の客間に通されていた。
「中も凄い広いなぁ....!」
「こら、穂乃果!あっちこっち見て回らないの!失礼でしょ!」
「えー、でも凄いよ!絵里ちゃんも一緒に見よ?ほら!」
「ダメだって言ってるでしょう!?綺羅さんが来るまで大人しくしてなさい!」
「えぇ.... 分かったよぉ... ....絵里ちゃんのけちんぼ」
「なっ!?あなた一体何を言ってるのよ!!勝手に人の城の色んな所物色して!!失礼極まりないことをしているあなたを注意しているのに!!誰がケチですって!?ええ!?」
絵里は激怒した。それは城内全てに響きわたるような素晴らしい怒声だった。
その剣幕に押されたのか、穂乃果は涙目になっている。
「ごめんなさいっ...!穂乃果...調子に乗っちゃって.... 本当にごめんなさい...!!」
穂乃果の目から涙が溢れ出す。
「い、いや、分かってくれればいいのよ!うん!ほら、だから穂乃果...?泣かないで...。ね?お願い」
これを見た絵里は焦って穂乃果を泣きやませようとする。なんせこれは一大事だ。家臣が殿様を泣かせることがあってよいものか。ましてや人の城の中でなどもっての他である。
「...うん。....ねぇ絵里ちゃん?」
「ど、どうしたの?穂乃果?」
「もう怒ってない...?」
「ーーッ!!!」
衝撃だった。あのいつも笑顔な穂乃果が、頰を赤らめ、瞳を潤ませ、上目遣いでこちらを見ている。穂乃果という人間はこんな表情まで出来るのか、絵里はそう思った。
「これは理性クラッシャーって呼ばれるだけあるわ...」
「...え?」
「あぁ、いや、何でもないの。怒ってないから、ほら、綺羅さんがくるまでにその顔何とかしなさい」
理性クラッシャー、それは海未とことりとの間で呼ばれている穂乃果の別称であった。
綺羅が客間に現れたのはそれからすぐのことだった。
「お待たせして悪かったわ。ようこそ、綺羅家、若松城へ」
「いえ、こちらこそお招き頂き有難く存じます」
「こちらこそありがとう。...絢瀬さん。そんなに固くならなくていいのよ?もっとくつろいで?」
「い、いえ!その様な失礼なことは出来ませぬ!」
「へぇ...?さっき人の城で大声で怒鳴ってたのはどこの誰だったかしら?」
絵里が顔を赤くする。
「なっ!?聞こえてたのですか!?」
「あんな大きな怒鳴り声、聞こえないほうがおかしいわ。...いい声してたわよ♪」
「〜〜〜ッ!!!」
綺羅はあの絵里を軽く弄んだ。口がかなり上手いようである。
「あぁ、そうだ。高坂さんの姿が見えないようだけど?」
「穂乃.... いえ、殿は先程から厠に行っておりまして....。あと少しで戻られるかと」
(厠...現代でいうトイレ)
それを聞いて、綺羅の表情は一変した。
「そう。なら先にあなたからね....」
それは人を何人も殺してきた者がするような恐ろしく冷たい表情だった。
「え?」
「絢瀬さん。あなた、ここがどこだか分かってるの?」
「ええと、...若松城では?」
「そういうことじゃないわよ。高坂と綺羅、まだ同盟は結んでない....。どういうことか分かる?」
「まだ敵同士.... !?」
「そう。あなた達をここに呼んだ理由...。それはね?同盟を結ぶ為じゃない....。....あなた達をここで殺すためよ!!」
綺羅は刀を抜いた。そしてその刀を絵里の首筋に当てる。
「絢瀬さん?ここで死んでもらうわ」
「あなた...!!私達をはめたのね!?」
「騙される貴方達が悪いのよ?...静かに逝きなさい...絢瀬絵里...」
ーースパァァァアン!!
「.....何てね♪」
「....え?」
「冗談に決まってるでしょ?ここに呼んだのは同盟を結んで欲しいからよ。ちゃんと書状に書いてたでしょ?」
「...は?」
絵里はまだ状況を掴めていないようである。鳩が豆鉄砲をくらった様な顔とは、まさに今の絵里のそれであった。
「あはっ!絢瀬さん、あなた最高よ!そんないいリアクションする人久々に見たわよ!」
綺羅は大爆笑である。
「え...?あなた...!!」
「いい演技力でしょ?演技には結構自信あるのよ♪」
「綺羅さん...?あなた.... 悪ふざけがすぎるわよ!?ふざけないで!!あり得ないわ....。こんな非常識な大名...初めて見たわよ!!」
絵里の素晴らしい怒声が再び城内に響く。
「...ふふっ 本当、いい声してるわ。うちの伝令役にならない?」
「そんなの認められないわ」
「ごめんって!許し「「ツバサさん....!?」」
「え....?」
2人は声のした方を向く。そこには厠から戻ったであろう穂乃果が立っていた。
「A-RISEのツバサさんですよね!?」
アライズという言葉を聞いて綺羅は驚いた表情を見せる。
「高坂さん...あなたまさか...!?...絢瀬さん。2人にしてくれるかしら...?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「えぇ!?ツバサさんもタイムスリップしてきたのぉ!!?」
絵里がいなくなり、2人となった客間に穂乃果の絶叫が響いた。
「しっ!声が大きいわよ!」
「あっ!ごめんなさい!ちょっとビックリしちゃって....」
「でもまさか高坂さんもだったとはね。A-RISEって聞いたときはビックリしちゃったわよ」
「あー、それで絵里ちゃんを部屋から出したんですね」
「ええ。タイムスリップしてきたなんて聞かれたらまずいからね」
「ツバサさんは何でここに?」
「何でって聞かれると困るわね...。何か気づいたらここにいたって感じかしら」
「穂乃果も一緒です。色々あって...。何故かここに」
「いつ頃こっちに来たの?」
「えぇっと...。北条さんを倒す前くらい...かな?」
「あー、はいはい。そういうことね」
ツバサは何かに納得したようだった。
「何がそういうことなんですか?」
「高坂が急に出てきた理由よ。あんなに弱小だった高坂がここまで来れたのは、当主が高坂さんになったからだったのね。本当、あなたのリーダーとしての才能には驚かされるばかりだわ」
「いえ!そんなぁ」
穂乃果は照れたような表情を浮かべる。
「それで、本題に入りたいんだけど...」
「あ!同盟の話ですね!」
「さすが高坂さんね。物分かりがいいわ。それで?結んでくれるかしら?」
「もちろんです!」
「即答ね。でも、本当にいいの?私が裏切らないという保証はないのよ?」
「ツバサさんが裏切るなんてあり得ない話ですから!穂乃果は信じてますっ!」
何ていい子なのだろう、ツバサはそう思った。この子は裏切りを知らない。いつかそれに直面した時、この子はどうするのだろう。ツバサは心配だった。
「なら同盟成立...ということでいいかしら?」
「あ!ちょっと待って下さい!」
「え?」
「ツバサさんってどんな世界を作りたいのかを聞くの忘れてました。これだけは聞きたくて...」
「....そう。でも言う必要もないと思うけどな。多分高坂さんと一緒」
「じゃあ... 戦のない世界を作りたい、ということですか?」
「そういうことになるわね。私は私が見てきた現代の平和な世界を、この時代の人達にも見せてあげたいの」
「ツバサさん...!...じゃあ一緒に作りませんか?私達が見てきた平和な世界を」
「ええ。もちろん。約束よ」
「はい!絶対作りましょう!」
2人は固い約束を交わし、高坂と綺羅の同盟が結ばれた。
「穂乃果?あなた綺羅殿と知り合いだったの?」
「うーん、まぁそんなところかな?」
同盟を結び終え、福島からの帰り道。無論、交通手段は馬である。
「...にしてもお尻痛いなぁ...。何とかならないの?絵里ちゃん?」
「ならないわ。諦めなさい」
「えぇー!?これじゃあ穂乃果のお尻割れちゃうよぉ!」
「はぁ?お尻は割れているものでしょう?何を言ってるのよ、全く」
「えぇ!?絵里ちゃんのお尻割れてるの!?」
「....。あなたどこから脱糞するのよ」
「......。絵里ちゃんのバカ」
「誰がバカよ。変なこと言わせるんじゃないの」
「絵里ちゃんのスケベ」
「何でそれを言っただけでスケベ呼ばわりされなきゃいけないのよ。元々は穂乃果がお尻が割れるとか言ったからじゃない」
「何でそれについて本気で返してくるのさ!例えだよ!例え!それ位痛いってことなの!」
「あー、そうだったのね。でもお尻割れてるの?とか思いっきり驚いた表情で聞いてたけどね♪」
「あっあれはたまたま!たまたまだよ!たまたま!」
「たまたまうるさいわね。穂乃果って天然入ってるのかしら?」
「入ってない!穂乃果は天然なんかじゃないよ!!」
「あら、そう。じゃあバカってことでいいかしら?」
「....それについては認めます」
「認めちゃうのね。....バカが当主の大名家は一体どこまでいくのかしら。楽しみだわ♪」
〜鹿嶋城〜
「殿のご帰還じゃあーー!!」
家臣の大声が城中に響き渡る。その声を聞いて皆は大広間に集結した。
「おかえりなさい、穂乃果、絵里」
「海未ちゃん、ただいま!みんなもただいま!」
穂乃果はいつも通りだったが、絵里はかなりゲッソリしている様子であった。
「疲れたわ....。穂乃果に振り回されっぱなしだったわよ...」
口から魂が抜けているのではないかというくらい力ない声だった。
「えりちお疲れ様♪....一回寝てきたらどう?本当に死にそうな顔しとるよ?」
「えぇ...。そうさせてもらうわ...」
絵里はいそいそと自室へ向かう。
「穂乃果ちゃん... 一体絵里ちゃんに何したの...?」
「えーっとね....。分かんないっ♪」
「無意識のうちにエリーをあそこまで追い詰めるとは....。さすが穂乃果ね」
「それで?同盟の話はどうなったのですか?」
海未が聞く。
「もちろん!結んできたよ!」
「そうですか。これで福島から攻められる心配はなくなりましたね」
「そうやんね。武田はこの間追い詰めたばかりやから攻めてくる心配はない。...となると?」
「これでようやく落ち着いて眠れますね...」
そう、福島の綺羅と手を組んだことにより、関東に隣接している国から攻められる心配がほぼ無くなったのである。
「ようやく落ち着けるのね....。じゃあ暇な間久々に蘭学でも勉強しようかしら」
「えー、真姫ちゃん勉強するの〜?にこと一緒にどこかにいこうよぉ〜」
「断固拒否ね。にこちゃんと出かけなんてしたら、私の体が持たないもの」
「どういう意味よ」
「にこちゃんといると疲れるって意味よ。にこちゃん、変人だから」
「誰が変人よ!!!」
「穂乃果、ことり、明日久々にどこかに行きませんか?暇になったとはいえ、特にすることも無いので」
「うん!もちろんだよ!遊びに行こう♪」
「あー... ごめんね?ことり明日はちょっと用事があって....」
「そうなのですか?じゃあまた今度にしましょうか?」
「いいの!2人で行ってきて♪」
「....。ではお言葉に甘えて。では穂乃果、明日出かけますので、寝坊はしないように」
「大丈夫だよ!遊びに行く日に寝坊したことないもん!」
「...信用なりませんね」
「なんでさ!!」
「んー、まぁ良いでしょう。その代わり、寝坊した際には罰として木刀を千本振ってもらいます」
「えーー!!!海未ちゃんの悪代官!!」
「誰が悪代官ですか。あなたが寝坊しなければ良い話です」
「しないって言ってるでしょ!絶対寝坊しない!」
「では早めに寝たらどうですか?福島からの長旅で疲れたでしょう?」
「うーん、じゃあそうしようかな」
久々に落ち着いて生活できる、皆は久しぶりの暇を様々な形で楽しもうとしていた。
〜上杉家〜
「殿。福島の綺羅攻めの用意が出来ました」
「そうか。さすれば明日の早朝にでも出発しよう」
「...殿。先程情報が入ったのですが...」
「何があった?」
「綺羅と高坂が手を組んだという話がございます」
「何?高坂と手を組んだだと?」
「左様にございます。ですので戦となると高坂も参戦するやもしれませぬ」
「それは厄介だな....。さすれば出来るだけ高坂に情報を漏らさぬように攻めるとするか...」
「ええ、それがよいかと。信玄公を退けたとなると高坂の実力は本物。それ故、いくら上杉といえど何があるか分かりませぬ」
「念には念を入れるか....。宮城の輝宗公に援軍を要請出来ぬか聞いてはくれぬか」
「承知」
〜伊達家〜
「申し上げます!」
「何事じゃ」
「上杉の使いの者が殿に御目通りしたいと」
「謙信公の使いの者が....?よし、通せ」
「はっ」
「この度はいかがした」
「輝宗殿にお願いがあり、参りました」
「ほう...。何用じゃ?」
「我が君主、謙信様が輝宗殿に次の戦で援軍を出してはくれぬかと」
「次の戦とは?」
「明日の早朝、福島の綺羅攻めにございます」
「福島の綺羅?それなら何故謙信公は我々に援軍を頼んだのじゃ。綺羅など上杉の軍だけで十分であろう?」
「....綺羅と高坂が同盟を結びまして」
「高坂...?あの関東の高坂か」
「左様にございます。高坂は信玄公をも退けている故、上杉だけでは多少の心配が残るのです」
「そうか....。よし、承知した。援軍を出そう」
「大変有り難く存じます」
「我々も綺羅は邪魔じゃと思っていた故、丁度良いわ」
その日は大雨であった。それ故、高坂家家臣達は皆、暇を持て余していた。
「残念やなぁ。久々の暇やのに....。せっかくえりちとお出かけ出来ると思ってたのになぁ」
「希、そんなに落ち込まないで。別に今日だけ暇って訳でもないし....。いつでも行けるわよ」
「そうやんね。じゃあこういう日は城でのんびり過ごそうか♪」
「じゃあ希の部屋へ行きましょうか。そこでゆっくりお喋りでもしましょう?」
「せっかく真姫ちゃんとお出かけ出来ると思ったのになぁー」
「これで心おきなく蘭学を学べるわね。...てことでにこちゃん?私の部屋から出て行ってくれる?」
「何でそうなるのよ!たまには一緒にいてもいいでしょう?」
「嫌よ。邪魔だもの」
「はぁ?このにこが邪魔ですって!?」
「ええ。だから早く出て行ってよ。うるさいの」
「そこまで言わなくてもよくない?....あ、まさか... にこと一緒にいれるのが嬉しくて!照れ隠しでも..「「ない」」
「即答ね。あーあ、悲しいなぁ。真姫ちゃんに嫌われちゃったわぁ」
「...別に嫌いってわけじゃないわよ」
「じゃあ一緒にいてもいい?」
「それとこれとは別」
「ぬぁんでよ!」
「いいから出てって!勉強の邪魔なの!いい?絶対に入ってこないで!」
ガラッ
「追い出されちゃったにこ....」
「あーむーじょー この世界は〜♪」
「穂乃果は雨の日でもご機嫌ですね」
「悲しみに満ちてる〜♪」
「お出かけ出来なくて残念でしたね....」
「それでぇもいい!出会えたことがぁ〜♪」
「穂乃果....?聞いてますか...?」
「喜びなぁのぉ そうでしょう〜♪」
「穂乃果ッ!」
「はいっ!!」
「やっぱり聞いてませんでしたか」
「あはは....。ごめんね海未ちゃん。歌ってたら楽しくなっちゃって...」
「にしても大分凄い歌でしたね」
「えー、そうかな?雨の日はこういう歌もいいと思うんだ♪」
「やっぱり雨の日でもご機嫌ですね」
「えへへ〜♪ 人生楽しくいかなきゃね!」
「それもそうですね。....穂乃果?」
「ん?どうしたの、海未ちゃん?」
「先程歌ってた曲....、もう一度歌ってくれませんか?」
「うん!いいよ!じゃあ海未ちゃんも一緒に!」
「い、いや、でも私は知らな「「いいからいいからっ!」」
〈〈ア-ム-ジョ- コノセ-カイハ- アムジョ...??
〜綺羅家〜
その日の早朝、若松城には騒々しい足音と絶叫が響いていた。
ドタドタドタドタドタ
「大変じゃ!!大変じゃあ!!」
「何事だ」
「うっ上杉軍が約30000の軍勢でこちらに進軍中!!!」
「なっ!30000!?.....英玲奈とあんじゅを呼んできて。早く!」
「上杉が兵を挙げたですって!?」
「何故このような早朝に....」
「わからないわ。....英玲奈、今用意出来る兵の数は?」
「10000にも満たないはずだ」
「これじゃあ兵力に差がありすぎるわ...!」
「何か策があるはずよ....。何か...!」
すると再び騒々しい足音が聞こえてくる。
ドタドタドタドタドタドタ ガラッ
「申し上げます!」
「何があったの!?」
「宮城の伊達軍、約25000の軍勢でこちらに向かっているとのこと!!」
「え....?」
「伊達まで兵を挙げたのか!!」
「上杉と伊達....。あそこは昔から仲がいいから...。わざわざ私たちを潰すために手を組んだのね...」
「相手の兵力は55000....」
「対して我々の兵力は10000足らず...」
「そうだ、高坂に援軍を頼みましょう!」
「それはダメよ」
「どうして...?」
「あの子達をこんな負け戦に巻き込む訳にはいかないわ」
「....それもそうだな」
「でも...!あの子達だからこそ何か起こしてくれるかも...!」
「確かに高坂さんなら援軍を要請すれば必ず来てくれるだろうし、何か起こしてくれるかもしれない。...でも何も起こせなかったら?」
「彼女達も死ぬ」
「そう。今ここで高坂を同盟国として潰すわけにはいかないの。...だからここは私達だけでいくわよ」
「....分かったわ。華麗に散りにいきましょう?」
〜鹿嶋城〜
「申し上げます!」
「何かありましたか?」
「我らが同盟家、綺羅が上杉、伊達連合軍により攻められているとの情報が入りました」
「上杉と伊達の連合軍ですって...!?兵力は!」
「連合軍55000、綺羅10000足らずかと」
「っ!皆を大広間に集めて下さい!即急に!」
「どうかしたの?海未?いきなり緊急会議だなんて...」
ことりと花陽と凛を除く6人が大広間に集められた。
「いいですか、皆さん。よく聞いて下さい」
「我らが同盟国、綺羅家が現在上杉伊達連合軍によって攻め入られています」
「ツバサさんが!?」
「ええ。上杉伊達連合軍の兵力は約55000、綺羅の兵力は約10000....」
「5倍もあるじゃない!!」
「かなり絶望的ですね。綺羅の敗北は決まったも同然「「助けに行こうよ!!」」
「え?あなた何を言って....」
「ツバサさんを助けに行くんだよ!!早くしないと...ツバサさんが死んじゃう!!」
「いや、しかし今私達が用意出来る兵は約1500....。ここで行けば私達も死ぬことになるのですよ?」
「そうね。この負け戦に援軍を出す必要はないわ」
「でも....!!」
「私だって綺羅さんを助けたい。でもね、穂乃果。時には友情より大事なものもあるの。ここで私達は死ぬわけにはいかない」
「.....なら穂乃果1人でいくよ」
その言葉に家臣達は唖然とする。
「穂乃果!!あんた何言ってるのよ!死ぬ気!?止めなさい!!」
「そうや。止めとき。穂乃果ちゃんの思いはきっと綺羅さんも分かっとるよ。だからその分まで生きるんや」
「まだツバサさんは死んでない!!」
「時間の問題でしょう。今から行ったとしても意味はないと思いますよ」
「それでもいいよ。私1人で行ってくるから」
「止めなさいって言ってるでしょう!?何で分からないの!!」
「絵里ちゃんこそ何で分かってくれないのさ!友情より大事ものがあるって?そんなものないよ!!仮にあるのだとしても....!今までの私の人生の中で友情より大切だったものなんてない!!」
熱弁だった。この本気ぶりに家臣達は黙り込む。
「じゃあ穂乃果行くから....」
「待って下さい」
穂乃果を止めたのは海未だった。
「また何か言う気なの?何を言われても穂乃果は行くから...」
「いえ、ただ、私の人生の中でも友情より大切だったものなど無かったなと思いまして....」
「え?」
「お供します。穂乃果。私達の『友達』を助けにいきましょう?」
「海未ちゃん....」
「しょうがないわねぇ。にこもついて行ってあげるわよ!にこにーの騎馬隊に任せるにこ♪」
「折角勉強出来るかと思ったんだけどね....。気分じゃ無くなったから止めるわ」
「ちょ、みんな!!」
「えりち」
「希...?」
「うちらも行くで」
「それはダメよ!!ここで死ぬわけには...」
「まだ死ぬって決まった訳やないやろ?...それに穂乃果ちゃんがあそこまで言うんやから、家臣として連いていかないわけにはいかんやろ」
「でも...」
「えりちも頑固やねぇ。まぁとりあえずうちは行くから」
「.....」
「では皆さん、出陣の準備はいいですか?」
「「オォッ!!」」
「これより綺羅家を助けに参ります。かなり厳しい戦になるでしょうが....。きっと大丈夫です」
「それじゃあみんな!!行くよぉ!!!」
「「オォーー!!!」」
〜綺羅家本陣〜
「伝令っ!!!」
「...どうかした?」
「連合軍の猛攻撃により、統堂軍、優木軍が壊滅!!本陣にたどり着くまで時間の問題にございます!!」
「...そう」
綺羅の本陣は見るも無惨であった。戦に出て討ち死にした者、重症を負った者など様々運ばれてきており、地獄絵図そのものだった。
「最早これまでね....」
ツバサはため息をつき、言葉を漏らす。その時であった。
「申し上げます!!!」
「何かあったの?」
「関東より、高坂の援軍約1700が白河の関をこえ、こちらに向かっております!!」
「なっ...!!あのバカ..!何でこんな負け戦に!!」
「高坂軍の先頭を走るのは高坂穂乃果総大将にございます!!!」
「....は?」
衝撃だった。総大将は軍勢の後ろで戦況を見て指揮するのが基本的な役目。それなのに穂乃果は自分の危険を省みず、先頭を走っているというのだ。
「あの子は本当に何をやって....!!」
〜上杉・伊達本陣〜
「申し上げます!」
「何事だ」
「関東より高坂の援軍が間もなく到着いたします!!」
「来ましたな....高坂」
「兵の数は」
「約1700ほどかと」
「何!?そのような兵力で乗り込んできたと言うのか!?」
「高坂とはここまで馬鹿だったのか...。信玄を退けたということじゃったから少しは楽しみにしておったのに...」
「すぐに片付けるとするか、謙信よ」
「関東も手に入るようですね....」
〜高坂軍〜
ワァァァァアア!!
「凄い数だね....。これじゃあ前に進めない...!!」
穂乃果は焦っていた。早くツバサの元へ行かなければ彼女は確実に討たれてしまう。それ故、急いで綺羅の本陣へ向かわなければならなかったのだが、連合軍の兵達が穂乃果達の前に立ちはだかった。
「...穂乃果」
名前を呼ばれ後ろを振り向く。
「にこちゃん...?」
「ここはにこに任せてちょうだい。穂乃果は先に行きなさい」
「!?いや、でも!!それじゃあにこちゃんやられちゃう...」
「あんたにこの騎馬隊舐めるんじゃないわよ。...それに早く行かなきゃ『友達』とやらを助けられないわよ?」
「....ありがとう、にこちゃん...!!」
『あんた達の敵はこっちよ!!!どっからでもかかって来なさい!!!』
にこが相手の兵達を迎えうっている間に、穂乃果達はそこをすり抜け、綺羅の本陣へと急いだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「これはまずいですね....」
第一部隊をにこのおかげで乗り切った穂乃果達だったが、まだまだ連合軍の兵は余るほどいた。そして現在その兵達に囲まれてしまっている。
「私の鉄砲隊ももうもたないわよ!?何かないの!?」
「うちも軍ももう壊滅寸前や....。どうしよか...」
「これまで...なのですか....?」
高坂軍は絶体絶命の危機だった。ほとんどの軍が連合軍によって倒されており、高坂にはもう太刀打ち出来る術がない状況だった。
バァァァアン!!
一発の銃声が響き渡る。
皆がその音がなった方向を見る。
「ほら...そこの大群さん達?あんまりぼーっとしてると怪我するわよ...?」
「え、絵里ちゃん!!!!」
「えりち!!」
そう、そこにいたのは絵里だった。
「さぁ、みんな!!暴れて来なさい!!」
ウォァァァアアア!!!
どこから集めてきたのだろうか、絵里の軍には10000ほどの兵がいた。
「絵里!?あなたこの兵は一体どこから...」
「遅くなってごめんなさい、みんな。ちょっと兵を集めてたら時間がかかっちゃって」
「ちょっとどころやないやろ!どうやって集めたんや!!」
「上杉側にちょっと知り合いがいてね...。その人に寝返ってもらったわ♪」
「あなたは何を....」
「いいから。ここは私に任せて。ほら、早く綺羅さんの本陣へ行かなきゃ!」
「すみません、絵里。感謝します」
〜綺羅家本陣〜
「.......」
そこには全てを失ったツバサがいた。逃げることも出来ず、戦うことも出来ず、ただ連合軍が本陣へ攻め入り、首を刎ねられるのを待っているのみであった。
「「ツバサさぁぁぁあん!!!」」
そこに聞き慣れた声の叫びが聞こえる。
「....!? 高坂さん...?」
「ツバサさんっ!!よかった...!!」
穂乃果はまだツバサが生きているのを見て安堵する。
「ツバサさん一緒に逃げましょう!!早くしないと敵が押し寄せて「「無理よ」」
即答だった。
「え...?」
「私は高坂さんと一緒に逃げることは出来ない」
「どうして...!!」
「家臣達が皆死んでいっているのに、私だけ生き延びることは出来ないわ。それにね、私は綺羅家当主。私が死なない限りこの戦は終わらない....」
「何を言ってるんですか!!早く逃げますよっ!!」
「それは出来ないと言っているでしょう?」
「何で....!!それじゃあ私との約束はどうなるんですか!?一緒に平和な世界作ろうって!絶対守るって言いましたよね!?」
「....ごめんなさい」
「ごめんなさいじゃない...!早く...!ツバサさんっ!!」
「穂乃果ぁあ!!」
「海未ちゃん...?」
「早く逃げましょう...!連合軍がもうそこまで来てます!!」
「いや、でも!!ツバサさんが!!」
「私のことはいいから逃げなさい。高坂さん...早く!!!」
「何で....!!ツバサさんも一緒にっ....!!」
穂乃果の目から涙が落ちる。
「.....。穂乃果さん...?あなたに涙は似合わない」
そう言って穂乃果の涙を拭き取ったツバサの目からも涙が溢れていた。
「ツバサさんだって....!泣いてるじゃ...ないですかっ!」
「...そうね。私も一応死ぬのは怖いみたい」
「一緒に逃げれば死ぬことは....」
「さっきも言ったけど私にそれは出来ない。もう死ぬしかないの。分かってくれるかしら?」
「分かんないよ!!」
「穂乃果さん...。あなたなら平和な世界をみんなに見せることが出来る。そして必ず現実の世界にだって戻ることが出来る。...だから生きなさい。この乱世を生き延びなさい」
「やだっ...!ツバサさんも一緒に...!!」
「高坂穂乃果!!!」
「っ!?」
「いいから行きなさい!!」
「......」
「穂乃果さん?あなたは前だけ向いて歩きなさい。後ろを振り返る必要なんてないの。そして私の分まで生きて、みんなに平和な世界を見せてあげて...?」
暫くの時間があった。そして穂乃果は返答した。
「.....うん」
「よく出来ました♪....園田さん。高坂さんを連れて早く逃げて!」
「承知しました。....綺羅さん、感謝します」
そうして穂乃果達は綺羅本陣から引いていった。
「この世は無情ね...。高坂さん...いえ、穂乃果さん、貴女ならこの世の中を変えることが出来る...。頑張るのよ」
遠ざかる穂乃果の背を見ながらそう呟いた。
〜上杉・伊達本陣〜
「申し上げます!」
「どうした」
「綺羅家当主、綺羅ツバサ、只今討ち取ったとのこと!!」
「....そうか。高坂は?」
「既に引いております」
「....逃げおったか。まあよい。次の機会を楽しみにするとしよう」
〜鹿嶋城〜
「穂乃果はずっと部屋にこもってるの?」
「ええ。城に戻ってきてからずっと」
「かなり堪えてるわね....」
「それはそうでしょう。仲のよかった綺羅さんが討たれたのですから」
「あぁ、そういえばにこはどうなったの?」
「にこですか?」
「ええ。あの子1人で少しの騎馬隊を指揮してあの大群を相手にしてたんでしょう?」
「銃弾が肩を撃ち抜いたようで....。今真姫が看病しています」
「そう....。....やっぱり一番穂乃果が心配ね」
「ええ。精神をやられましたからね...」
「海未?穂乃果についていてくれるかしら?」
「それはもちろん。....絵里は何かする事があるのですか?」
「まあ、少し野暮用がね」
「....そうですか。なら私は穂乃果の元へ行きますので」
「.....。海未は今私のこと疑り深い目で見てたわね....。気づかれたらまずいわ....。しっかりやらなきゃね....?じゃないとあの子が助からない...!!」
裏切り者出現。
最後まで見ていただき、ありがとうございました!前書きでも述べた通り、ちょっと自分の文章力では表現するのに辛い部分が今回は多々あったため、分かりにくい文章になってしまいました。申し訳ありません。なにか訂正した方が良い点などがございましたら教えていただけると幸いです。
テスト期間に入るため、約二週間ほど更新できません。ご迷惑をおかけしますが、今後ともよろしくお願いします。
絵里のロシア軍が出てたらもう大変なことになりそう
カオスですねw
しかし考えてみたら結構型にハマりましてww 素晴らしいアイデアありがとうございます♪