戦国ラブライブ! 番外編
戦国ラブライブ!番外編!
かよちん回になります!
今回はかよちんの築城のお話。
今回も最後の方が駆け足ですが、ご了承下さい。
では、戦国ラブライブ!ごゆっくりお楽しみ下さい!
第五幕
「じゃあかよちゃん!やってくれるかな!?」
「...分かりました!この小泉花陽... 高坂の新しい拠城を素晴らしいものにして参ります!」
花陽は家臣達からの推薦により、関東を治める大名、高坂の新しい拠城『音ノ木坂城』を建てることになった。
花陽は今まで裏方として働いてきたため、こういった表舞台は初めての経験である。
それ故、皆から薦められたから受け入れたものの、花陽は異常な程に緊張していた。
「私... 大丈夫かなぁ...?」
「かよちんなら大丈夫にゃ!凛が保証するよ!!」
「でも....。こういうの初めてだし...」
「また言ってる。だから、花陽なら大丈夫よ。あなたは今までずっと高坂を裏で支えてきた実績があるじゃない。花陽なら大丈夫。私も保証するわよ」
「でもやっぱり緊張するよぉ...」
「大丈夫だって!かよちんは強いから!大丈夫!絶対大丈夫にゃ!」
「そうよ、凛の言う通りよ。花陽なら大丈夫。絶対大丈夫。何回も言わせるんじゃないの」
2人の口から出てくる言葉は『大丈夫』の一点張りだった。
「何か凛ちゃんと真姫ちゃんに大丈夫って言われたら本当に大丈夫な気がしてきたよ」
そう言って花陽は笑う。
「うんうん!凛達の力は凄いんだにゃ!」
「....頑張りなさいよ?」
「うん!ありがとう!凛ちゃん、真姫ちゃん!」
こうして東京への出発前夜、花陽は勇気を2人からもらったのであった。
出発当日、出来るだけ早く東京に着くため、と早朝の出発だった。
しかし、そんな早い朝にも高坂の皆は見送りに来てくれていた。....ある1人を除いては。
「じゃあ皆さん!行って参ります!」
「ええ。頑張るのよ、花陽。それと... 雪穂ちゃん、花陽をよろしくね?」
「はい!お姉ちゃんに代わって花陽さんを守って参ります!」
小泉軍は戦の経験が乏しいため、護衛部隊として、雪穂がついて行くことになっていた。
「本当はにこがやる予定だったんだからぁ...。にこの分もいい城にしてこなきゃ承知しないわよ」
「にこっちは黙っとき」
「ぬぁんでよ!!」
「本当ならみんなでお見送り出来たらよかったですが....。穂乃果はいくら起こしても起きないもので....」
「あはは...。ごめんね、かよちゃん。後で穂乃果ちゃんにはちゃんと言っておくから...」
「私からはもう言うことはないわ。頑張ってきなさい」
「かよちんなら大丈夫にゃーー!!」
送りの言葉は皆それぞれであった。
「...行ってきます!!」
「「行ってらっしゃい!!」」
花陽は自分の兵達を率いて、東京へと出発した。
「....行ったわね」
「そうやんね」
「かよちゃんも逞しくなったなぁ...。ことりも負けてられないや♪」
「...さて、穂乃果を叩き起こしてきますかね」
花陽という高坂の妹分が城から居なくなった寂しさに包まれながらも、鹿嶋城では今までどうりの1日が始まろうとしていた。
「....あれ?」
「どうかしたの?雪穂ちゃん」
花陽と雪穂達は東京への道中、深い森の中を通っていた。しかし、この森は道が複雑で道に迷うものも多くない。
「道を見失いました....」
暫しの沈黙の後、
「ミチニマヨッチャッタノオォォ!!?」
花陽の叫び声が森にこだました。
「どっどうしよう... いきなり失敗だよぉぉ」
「....すみません」
「あ、あっ、ごめんね!雪穂ちゃん!私...ちょっと焦っちゃって...」
「いえ!花陽さんに悪気はないのは分かってますので!ていうか、実際私の誘導で道に迷ったらわけですし...。何とかします!」
何とかします、とは何なのだ。具体性が皆無なのは姉に似たからであろうか。
「じゃあお願いするね!」
「任せてください!」
こうしてどれ位歩いたのだろう、全く開けた所は見えてこない。
「あれぇ....?おかしいな...」
「雪穂ちゃん...? 大丈夫..?」
「大丈夫...。大丈夫じゃないです」
「だよね...」
2人は深いため息をつく。ついてきた兵達も疲労が見えてきていた。
「ん...?あれ?」
「どうかした?雪穂ちゃん?」
「あれ、あれを見て下さい!」
「あれ...?」
花陽は雪穂が指さした方向を見る。そこには開けた土地が見えていた。
「あ、あれは...!」
「ようやく出れますね...」
なんと、2人は一度迷った森を抜けることが出来たのだ。正規のコースとは全く別の道で。
「お、ようやくでれるのか!」
「疲れた...」
「ようやくか!!」
兵達からも歓喜の声が上がる。
「さて...。出れたのはいいんですけど...。ここはどこかなぁ...?」
雪穂は持っていた地図を広げる。地図、と言っても墨でざっくり書かれたものの為、詳しいものではない。
「とりあえず、あっちに行ってみない?」
「まぁ、そうですね。場所も分かりませんし、適当に行きましょう!」
それでいいのか。適当に進んで東京へたどり着けたなら、それは快挙である。
それから幾分か歩いたであろう。
「ええと...。目印は何だっけ?」
「神田明神です。結構目立つものだって聞いてますよ」
「ええと...。何色?」
「赤です」
「ええと.... あれじゃないかなぁ?」
「えぇ?まさかぁ!道に迷って適当に進んで来たのにそんな上手くいくわけ....」
そんな雪穂達の目の前にあったのはまさにそれ、神田明神であった。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!??」
「雪穂ちゃん、凄い叫び声だね...」
「あ、お見苦しい所を....」
そう言って雪穂は顔を赤くさせる。
「それにしても凄いね!まさかこんなに上手くいくなんて!」
「そうですよ!天は私達に味方してくれたんですよ!」
「じゃあ城造りも上手くいきそうだね!」
「はい!完璧な城になると思いますよ!」
こうして、花陽の城造りは天に味方される形で始まったのだった。
「じゃあ石垣積みから入っていくよぉ!」
「「オォー!」」
花陽の指示のもと、城造りがスタートした。まずは城の土台、石垣から。これがかなり大変で、広く、高く積まなければならない為、時間がかかる上、作業をする人の疲労も多い。
「みんなー!大変だけど、頑張っていこう!」
「「オォーー!!」」
花陽は皆を鼓舞しながら自らも石を積んでいく。石の積み方にも色々あり、音ノ木坂城には自然の石を使う石垣が採用されることになっていた。
(自然の石を使うと、石を乗せる角度を気にしなくても、安定した状態を保てる)
「花陽さん!そろそろご飯の準備をしましょうか!」
「あれ?もうそんな時間なの!?」
「あれれ?珍しいですね... あのご飯にはうるさい花陽さんがご飯の事を忘れてるなんて...」
「それじゃあ私が食いしん坊みたいじゃない!!」
「え?違ったんですか?そうにしか見えませんけど....?」
雪穂は悪っぽい笑みを浮かべ、花陽をからかう。現場がリラックスした空気だからこそなのであろう。
「もういいからぁ!ご飯作ろう!」
「はい!」
「炊きたてのご飯♪お米達が一粒一粒宝石のように輝いて...。あぁ...。美味しそう」
「さすがお米武将の花陽さんですね...。ご飯への感想が凄いですよ...」
「えぇ?うふふ...。ご飯は特別なものだから...♪これで美味しいおにぎりを....」
花陽の口からは既によだれが垂れていた。
「あー、花陽さん、ご飯によだれついちゃいますから、ほら、早くにぎっちゃいましょう!みんな待ってますよ!」
「うふふ〜♪そうだね〜♪早くにぎっちゃおう!」
そう言って花陽は1つ1つ丁寧におにぎりをにぎっていく。形もとても良いものだった。
「凄いですね、花陽さん。どうしたらそんなに綺麗におにぎりを作れるんですか?」
「んー?お米への愛情を込めて.....。そうすれば作れるよ!」
「具体性が全くないですね...。でも、出来るだけやってみます」
そんな世間話をしながら2人は他の女子達と共に約3000のおにぎりをにぎったのだった。
次の日からも、石垣積みは続く。作業は極めて順調で、予定よりもずっと早いペースで進んでいた。
「凄い順調ですね...。二カ月もあれば出来ちゃうんじゃないですか?」
「うーん、そうだといいんだけどね...。石垣積みは高さが出てからが大変だから...」
「大丈夫ですって!みんなこんなに頑張ってるんですから!余裕ですよ!」
相変わらず雪穂は軽い。
「とりあえず事故とかはないようにしなきゃ...」
「あー、そうでした。花陽さん、知ってます?」
突如話題を変えた雪穂に少し花陽は困惑した。
「えーっと、何を?」
「あー、知らないんですね。武田が高坂領に進軍を始めたっていう話ですよ?」
「え...?」
花陽は顔を蒼くする。
「えっ!?それって大変なんじゃ....」
「でも大丈夫みたいですよ。何か策はあるみたいですし」
「でも負けちゃったら....」
「大丈夫ですよ!高坂は無敵ですから!負けるなんてありえないです!」
「...そうだね!みんなを信じよう!」
「はい!私達は早いうちにちゃんとした城を建てちゃいましょう!」
「よしっ!じゃあ作業に戻ろっか!」
そう言って2人は作業に戻ろうとした。
しかしそこにある伝令が入る。
「殿ぉぉぉ!!!」
家臣の顔を見て、ただ事ではないと花陽は察する。
「何かあったの!?」
「小山田が!!武田の小山田が!!」
「小山田が...?」
「攻めて参りましたぁぁ!!」
「なっ..!?」
なんと武田の一家臣、小山田が花陽達を狙って進軍してきたと言うのだ。
「軍勢は!?」
「3000ほどかと...」
「数の上では同等....」
「花陽さん!」
「雪穂ちゃん!大変なの!!」
「聞こえてました。小山田が攻めてきたんですね」
「...うん。でも私、戦の経験なんてちょっとしかないから...!どうすれば...!!」
「こちらには隠れる場所はないです。なので、もう迎えうつしか方法はないですね」
「うん...」
「花陽さん!早く、みんなに戦の準備の指示を!...ここの殿様は花陽さんですよ」
その言葉に動かされるように花陽は指示を出した。
「...みんな!!戦の準備を!!」
「「ハッ」」
小泉花陽、初指揮の戦が始まる。
「殿!小山田がもうすぐそこまで来ております!!いかがなさいますか!?」
「....」
「と、殿?」
「ぅぇえっと...。えぇ...」
「ちょ、花陽さん!?」
戦の準備をさせたはいいものの、花陽には何をどうすればいいのか分からなかった。
「...ええっと、全軍突撃?」
「突撃?って...ええ!?全軍突撃はまずいです!こちらの部隊は装備が甘い故、全軍突撃ではやられてしまいます!」
「じゃあどうすれば...」
オドオドしている花陽を見かねて、雪穂が指示を出す。
「弓兵と鉄砲隊を後ろに配置して!槍兵と騎馬隊は正面衝突!基本は鉄砲隊で殲滅させます!」
「ハッ!」
「花陽さん、私も行かなければならないので...。指示...出せますか?」
「....」
「花陽さん...」
そこに伝令が割って入る。
「申し上げます!!」
「どうしたの!」
「先鋒隊壊滅!残り僅かで本陣にたどり着きます!!」
「えぇ!?いくら何でも早すぎる!!」
「いかがなさいますか...!!」
その間、花陽の頭の中ではある言葉が繰り返されていた。
(大丈夫だって!かよちんは強いから!大丈夫!絶対大丈夫にゃ!
花陽なら大丈夫。絶対大丈夫。頑張りなさいよ?)
凛と真姫の言葉であった。
(私なら大丈夫....。絶対大丈夫...!!)
花陽が立ち上がる。
「花陽さん...?」
「弓兵と鉄砲隊はそのまま後ろにいて。私達で小山田を何とかしよう!私達なら出来る....!」
「え、ちょ、それって花陽さんも戦場に出るってことですか!?」
「うん。私にだって出来るんだ...。戦から逃げてきた今までの私から変わりたいの!」
戦に対する花陽の決意であった。
「みんな!頑張って!!高坂のみんなも武田を倒すために頑張ってるから!!」
「「オォーー!!」」
花陽は自ら戦場に出て、刀を振っていた。
「数が多すぎる...。兵力は同等のはずじゃなかったの...?」
小山田の兵力は圧倒的。3000の兵力とは思えないほどのものだった。
その兵力に圧倒され、暫し呆然状態にいた花陽。その後ろから敵が忍び寄る。
「覚悟....!!」
「え...?」
ズシャァァァア!!!
「花陽さん!危ないですよ!!戦場でぼーっとしてないで下さい!!」
「雪穂ちゃん!!」
「ほら、いきますよ....。敵はまだまだいます!」
「うん!」
花陽は再び刀を構える。
...しかしその瞬間、小山田の部隊が撤退し始めた。
「え、え...?何で撤退するのぉ...?」
「さぁ...?完全に小山田が押してたはずなんですが....」
「申し上げます!」
「何があったの?」
「高坂軍、北浦川にて武田軍に圧勝!武田軍全軍撤退の命令が出た模様!」
「それで小山田も...?」
「え、あれ?ということは...?」
「お姉ちゃん達、武田に勝っちゃったの!?」
「カッチャッタノォォォォオ!?」
2人の叫び声が戦場に響いていた。
「さぁ、みんなー!あと少しだから頑張ろうね!」
「「オォー!」」
石垣積みは終盤を迎えていた。とても高い石垣となっていた。これは敵も進入できないであろう。
「花陽さん、なんかちょっと指導者っぽくなりましたね!」
「えぇ?そうかなぁ...。あんまり変わってないと思うけど...」
「いえ!全然です!小山田との対戦以降、オドオドしてた花陽さんはどこへやら!本当、変わりましたよ?」
「....なら良かったかな」
「これで高坂のみんなも驚きますね!花陽さんがここまで逞しくなったんだーって!」
「えへへ...。そうだね♪みんな驚いてくれるといいなぁ」
「殿!!石垣終わりましたぞぉー!!」
「お、石垣も終わりましたか!じゃあ次は本丸のですね!」
「うん!...でもその前に....」
「?」
「みんなー!!ご飯食べましょう!!」
最後まで見ていただき、ありがとうございました!
かよちんの喋りがはっきりいってあんまり分からず...。中途半端になってしまっていたかもしれません。大変申し訳ありません...。
ご意見、ご感想お待ちしております。
本編の方もよろしくお願いします♪
面白かったです!また見たいです