戦国ラブライブ!♯8
短編にした模様である。
短編にしましたね。今回は穂乃果ちゃんと謙信の対談回になりやす、ええ。
「同盟は結べませんね」
さあ、前編をご覧の方はお分かりだと思うが、上杉から持ち寄られた同盟は結ばないというのが穂乃果の決断だった。
「何だと?」
「私達高坂は謙信さんとは同盟は結べません」
もう一度、力強い声で穂乃果が言う。この決断は揺るぎない、といわんばかりのものだった。
「何故だ…?我々と同盟を結べば高坂は安泰なのだぞ!?それなのに…」
「私は…。安泰とかそういうので同盟を結ぶものじゃないと思ってるんです」
「…どういうことだ?」
穂乃果は1つ呼吸を置いた。
「志が同じ人と結んでこその同盟だと思うんです。安泰とか、そういうことの為だけの…。上辺だけの同盟は私はいらない」
「上辺だけの同盟…?」
「はい。謙信さんと私の目指す世界は違います。ですので同盟を結ぶ必要はないと思いました」
「それでは聞くが、高坂殿はどのような世界を目指しているのだ?この世界を高坂のみで治める世界か?」
「いえ、違います。はっきり言って、私の願いが叶うなら、別に高坂が治めなくてもいい…。そう思ってます」
はっきりしない答えに謙信は困惑の表情を浮かべる。確かに、穂乃果のアンサーは謙信の問いに対するものにはなっていない。
「すまんが、意味が分からぬ。そなたは一体何を言っているのだ」
「…謙信さんは戦のない、平和な世界を見たことがありますか?」
「…は?」
「何の心配もいらない。安心して幸せに暮らせるそんな世界を」
「…さっきから何を言っておるのだ」
謙信の言葉など、耳に入っていないかのように穂乃果は続ける。
「私はあるんです。今までずっと…平和な世界を見て、そこで暮らしてきたから…」
「…」
「この乱世に来て、今までしてきた生活がどれだけ幸せだったか…。改めて実感しました。大切なみんなと一緒に過ごす、大切な時間。みんなが仲良しで、争う必要のない世界。こんな当たり前のことがどれだけ幸せだったのか…」
「…私には理解しかねますな。何を言っているのかさっぱりだ」
「だから決めたんです」
「だから…!」
謙信が意味不明なことを熱弁する穂乃果にくってかかろうとした。
しかし…
「戦のない世を作ろうって」
「…!?」
この言葉を聞いて、謙信の動きが止まる。一瞬にして石化したようだった。
「この時代の人達にも、私がしてきたような幸せな生活を送って欲しい…。そう思うんです」
穂乃果の目は希望に満ち溢れていた。俗に言う、目をキラキラさせながら、というやつである。
「だから、目指す方向が違う謙信さんとは同盟は…」
「絵空事だ」
「うぇ?」
今度は謙信が穂乃果の言葉を遮るように言葉を発した。
…というか君たちは人の話を最後まで聞く、という概念はないのか?
「えそらごと…?」
「そうだ。絵空事だ。そんな世界などあり得ぬ…」
「何でそう思うんですか…?」
「戦のない世を作りたい、というのはそなたの夢であろう?」
「はい。ですからその夢に向かって…」
「乱世では、夢や理想は塵と同じ」
「…え?塵と同じ…?」
「ああ。そうだ。そんな馬鹿げた理想など、早く捨ててしまった方がいい。…この乱世を生き抜く為にも」
謙信は穂乃果の心を折ろうとするかのように、罵声を浴びせ続ける。
「そもそも、戦のない世などかようにして作るのだ?」
「それは…」
「…分からぬではないか。それでも目指すというのか?」
「だって…!」
「だって…?ふざけるのも大概にした方がよいぞ。いい加減、叶わぬ夢を追っている自分の醜さに気付け」
穂乃果は言われたい放題だった。
夢を馬鹿にされ、そんな夢を持っている自分も馬鹿にされた穂乃果。私は穂乃果が泣いてしまうのではないか、と気が気でなかった。
全く…、見ている側の気持ちも考えて欲しいものである。
しかし、私の予想は大きく外れた。
「…私はやりますよ」
「何だと?」
「戦のない世を作って見せますよ…必ず」
この女はきっぱりと宣言した。あの謙信を相手に。穂乃果は戦国の波に揉まれ、予想以上に強くなっていたのだ。
「方法も分からぬというのに…!何故そう言い切れる!?」
「…さぁ?何ででしょうね」
そう言って穂乃果は少し笑う。
「…馬鹿めが」
「馬鹿で結構です。もう決めたことですから!それに…」
「…?」
「どうせ作るなら、絵空事でも、いくら馬鹿げていても…」
「戦のない世の方がいいじゃないですか!」
閲覧お疲れ様でした。
短い方がやっぱりいいですかね?
これからこのスタイルで少し続けてみますよ。
と言うわけで、上杉回まだまだ続きます。
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