2016-06-12 11:56:09 更新

概要

オビトが逆行4の続き
あの夜のお話


前書き

相変わらず文才は無いです
時系列もおかしい所があるかもです
それでもいい方、是非読んで下さい


木の葉の里から歩いて小一時間、忍びが走れば15分もしない内に着けるであろう距離。

そんな森のど真ん中に明らかに異質な結界が張り巡らされ周りは暗部が取り囲んでいる。

事前にゼツ達に調査はさせていたが前と何の変わり映えもしない配置と結界、余裕だな。

暗部を気付かれぬよう一掃し結界をすり抜ける。

何度も何度も悪夢で見た光景、頭で考える前に体が分かっている。


「オギャァァ、オギャァァ」


赤ん坊の泣き声、高まる自分の鼓動、面の男は少しだけ悲しい顔をした後すぐに凍ったような無表情に切り替わる。

目的の遂行のみを考える、余計な感情なんていらぬ。

四代目とクシナが喜んでいる。

意識の隙間をついて部屋へと滑り込む。

助産師を殺した、また1人殺した。

そのまま赤ん坊を取り上げる。

お前が生まれるのを待っていたよ、予言の子よ。


「四代目火影、波風ミナト。人柱力から離れろ、さもなくばこの子の寿命は1分で終わる。」


驚いた様子の四代目、だがそこは火影冷静になるのも早いようだ。


「さっさと人柱力から離れろ、ガキがどうなってもいいのか?」


クナイをナルトに突きつけて俺は言う


「ま、待てっ!落ち着くんだ!」


・・・訂正、そこまで冷静じゃ無かった。


「それはお前だ、ミナト。俺は最高に冷静だ。」


俺はナルトを放り投げクナイで殺そうとする。

クナイが当たる寸前、赤ん坊は消えてしまった。

さすがは四代目、早いな。

だが、


「流石黄色い閃光、だが!次はどうかな!?」


「!!」


起爆札を点火させる、また四代目はすかさず飛んでいった。


「・・・さて、邪魔者が居なくなったところで我々も移動しようか?」


「っ!!」


左眼でクシナ、右眼で自分を飛ばしながらずっと黙っていたクシナに話しかけた。

クシナは俺を睨み殺す様な目を向けていた。


予め用意しておいた人柱力を縛る術式にクシナを縛り付け九尾を出す準備を始めた。


「な、何を、するつもりなの!?」


「お前から九尾引き抜き、木の葉を襲う。お前の封印式にはミナトの飛雷神のマーキングが書き足されているようだが、今はミナトを遠ざけた、さらに出産の影響で封印は弱まっている。・・・この僅かな隙をどれだけ待ったことか!!」


「っ!!」


俺は写輪眼を使い九尾と精神世界で対面する。


(お前はぁ!!)


(悪いな、九尾・・・。お前にはあの赤ん坊に入ってもらう、せいぜい仲良くしてやれ。)


(黙れ!ワシは人間などには従わん!)


(・・・あぁ、いいさ今はそれでな)


(!?)


九尾の瞳が写輪眼の模様になり、中央に集まり弾ける。

これで九尾は俺のものだ

現実ではまばたきするにも満たない時間でのやり取り、それを交わした後でオビトは九尾を引きずり出した。


「さぁ、出てこい九尾!」


「ああぁぁ!!」


オビトの掛け声、クシナの絶叫とともに九尾が姿を現す。

心なしか少し明るい色をした九尾が。


「九尾の人柱力だったお前だ。こいつで止めをさしてやる。」


九尾の手がクシナを潰した、だがそこにクシナの姿は無い。


「ミナトか・・・」


木の上を見ればクシナを抱き抱えたミナトがいる、ミナトもまたクシナと同じ殺意に満ちた目を俺に向けてくる。

そしてまた飛んでいってしまった。


「よし、このまま木の葉へ向かうとしよう。」



絶望の足音が木の葉へと近づく。

だが面の男にとっては平和への足音に違いない。

平和な争いの無い世界。

カカシが、クシナさんが、先生が、ナルトが、

リンが幸せに暮らせる世界。

皆が幸せな世界。

面の男が望んでいるその世界はキラキラと輝き皆が笑顔だ。

けど、そこに自分の姿を描く事は出来ない。

描こうとも思わない、俺には・・・


「そんな権利は無いからな!」


“口寄せ、九尾”


彼は歌う、絶望の暗闇から平和の歌を・・・

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クシナを抱えて部屋へと飛ぶ。


「・・・どうして?」


消え入りそうな声でクシナは問うてくる。


「いいから、ナルトのそばに」


そんなクシナに俺は優しくそう言うことしか出来なかった。

クシナをナルトと寝かせる。

自分の中に暗い感情が渦巻くのが分かる。

手をいくら強く握りしめてもこの悔しさと憎しみは消えてくれない。

自分の羽織をクローゼットから取り出す。

きっとクシナからは九尾を抜かれてしまった。

きっともう・・・

だから、せめて・・・


「・・・ミナト、ありがとう・・・。いって、らっしゃい」


「すぐに戻ってくるよ。」


ナルトに愛情を注いであげてくれ。

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顔岩に飛んで里を見渡す、少し前に面の男が九尾を口寄せしたみたいだ。

里にも被害が出はじめている。


(火影の名において、里の家族を守る。それが今俺のやるべき事。これ以上の好き勝手は許さない!)


「!!、俺に気が付いたか!」


九尾が口を開けて黒っぽいチャクラの塊を放ってくる。

すぐに時空間忍術を展開してそれを遠くへ飛ばしてしまう。


(これだけの規模だと飛ばすところも慎重に選ばなきゃな・・・。三代目様にこれまでの事をお伝えしなくては。)


「っ!!」


背後に急に現れた気配に驚きクナイを振るう。

見ると面の男が自分に触ろうとしていた。

自分のクナイが面の男の頭を捉える。


(よし!行ける!)


そう思った瞬間、ミナトのクナイは面の男の頭をすり抜け腕をつかまれてしまった。


「お前の相手は俺だ!そして、終わった・・・」


面の男に触れられた途端に自分の体がどこか違う場所へと引きずり込まれる感覚に襲われた。


(これはまずい!)


ミナトは急いで里外にあるマーキングへと飛んでいく。


「!、逃げられたか。次はもっと速く取り込んでやる。触れた瞬間にだ。」


(そう、これでいいんだ・・・)

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先程はミナトが飛んでくる気配があったからクシナを殺すふりができて助かった。

この状況を黒ゼツは見ているようだ。

気配は消しているが俺を誤魔化すことは出来ない。

とにかくまたミナトが飛んできたようだ、九尾に命じて大きい尾獣玉を作らせる。

見た目は派手に、威力は最小限に。

今のはミナトが飛ばすのが分かっていたので本気の攻撃だったが・・・

とにかく人は殺さぬように気を付けねば。

さてと、とりあえず次は・・・

九尾を三代目たちに相手どらせ俺は四代目の所へと飛ぶ。

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今日は夕方頃から先生がいないようだ。

夜になって里中が冷たく嫌な空気に包まれているのをカカシは感じていた。

何事なのかと先生に相談しようと火影塔に行ったのだが不在だと言われてしまった。

今の俺は暗部だ、それも隊長クラスの。

その俺でも知らさせていないということは・・・


(何か起こるかもしれないな。)


最近になって身につけてきた冷静な判断力、暗部の隊長を任されるようになってからはよりいっそう磨かれていると自負している。

この前も先生から


『カカシはだんだん大人っぽくなってきたね!冷静でいい判断をしていることが多くなってきてるよ!』


と言われた。

裏を返せば今までは子供っぽかった、ということなのだが先生の事だ悪気はないのだろう。


念のためこの不快感が無くなるまでは里の見回りをすることにした。

道中、ガイにも会ったがコイツは何も感じてい無さそうだ。


「カカシー!勝負だぁ!!」


適当にジャンケンでいなそうとするとリンがやってきた。


「あれ?カカシ?どうしたの?」


「今日は何だか嫌な予感がしてね。先生もいないし、何だか・・・嫌な空気だ。」


「そう、確かに何だか空気が重いっていうか・・・」


リンもカカシと同じようなものを感じていたらしい。

1人空気が読めてない奴がいるがリンとガイと3人で見回りをすることにした。

里を一周し、杞憂だったか。と少し安心してきた時だ。


「グオォォォォォ!!!」


「なっ!?」


九尾が姿を現したのは・・・


そこからの三人の行動は速い。

住民の避難を優先し、飛んでくるガレキを砕いたりして防ぐ。

そこらじゅうで火事が起こっているので水遁を使い消していく。

大体の住民が避難した頃九尾が大きな黒っぽいチャクラの塊を顔岩の方へと放つ。

何事かと訳が分からず見ていると黒っぽいチャクラの塊は術式の中へと消えていき、数秒後地響きが起きる。


「リン!今のって!?」


「うん!先生の時空間結界だよ!あんな事出来るのは先生しかいない!」


やはり先生だった。


「とにかく先生の加勢に行こう!」


「そうね、!?」


「!?」


そんな会話をしながら先生の方へと走っている時先生の気配が消えたのだ。

カカシもリンも感知タイプでは無いが、二人とも忍びとしてかなり優秀な方なので気配を隠していない者のチャクラならばある程度の距離は感知できる。

里内ならばギリギリ感知できるはずなのだが


「先生のチャクラが感知出来ない?」


「多分里の外に飛んだんだ!」


“口寄せの術”


「パック!先生の所へ案内してくれ!」


「おう、カカシか!だいぶ急いどる様じゃな、任せとけ!」


「よろしく!行くよリン!ガイは逃げきれて無い人の事を頼む!」


「分かった」


「おう!任せておけ!」


カカシとリンはパックの先導で里の外へと出る。


(先生!どうか無事で)


二人と一匹はひたすらに走る。

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里の外のマーキングへと飛んできたミナト。

息を整えながら面の男のことを思い出す。


(こっちの攻撃がすり抜けた。しかしすぐに実体化し俺を引きずり込もうと・・・。何だあの術は!?)


「っ!」


目の前に時空間忍術の気配、歪んだ空間から姿を現したのは面の男だ。

彼は面に空いた右の穴、つまり右眼を軸にして時空間忍術を使っているようだ。



「逃がしはしない。」


面の男が冷たく言い放つ。

木の葉の結界、九尾の情報、九尾をも手なずける力

こんなことが出来る忍、俺は一人しか知らない。


「・・・うちは、マダラなのか?」


面の男がフードを脱ぐ。

彼の一挙手一投足が重く感じる、この男はかなり強いことが伺える。


「いや、そんなはずは無い。彼は死んだ。」


「さぁ?どうだろうな?」


面の男がおどけて首をかしげる、首を鳴らしただけかもしれない。


「この際あなたが何者かなんてどうでもいい。だがなぜ木の葉を狙う?」


面の男は上を向きながら答える。


「言うなら・・・気まぐれであり、計画でもあり、戦争の為でもある。平和の為でも、な。」


面の男は鎖を取り出しながら手首に固定する。


(どちらにせよコイツは今ここで始末しないと危険だ!)


走り込み、クナイを刺そうとする。

だが、またすり抜けられ逆に鎖にがんじがらめにされてしまった。

急いで飛び体勢を立て直す。


(なるほど、すり抜けと吸い込みは同時には出来ないのか。攻撃する時は必ず実体化する!つまり、相打ちのタイミングを狙えばいい!)


ミナトはクナイを構え直す。


(気づいたか。そう、相打ちのタイミングで攻撃が早い方が勝ちだ。)


二人はまた構え直す。


(うまくやってくれよ!先生!)


走り込み、ミナトの投げたクナイがオビトをすり抜ける。

オビトはそのまま手を伸ばしミナトに触ろうとする。


(後はこのまま・・・)


螺旋丸にあたり契約封印をされておしまいだ。

そう思っていた時・・・


「っ!!」


横からの忍術の気配に思わず実体化をキャンセルしすり抜けてしまった。

ミナトの背中を狙った螺旋丸はすり抜けて地面にクレーターを作った。

今のミナトの攻撃は背中を狙っていたが、横槍を入れてきた人物は頭を狙ってきていたようだ。

さすがの柱間細胞でも頭までは修復が出来ない。

思わず面の下で顔をしかめる。


(もう少しで終わっていたのに!)


その後で今の忍術を放った人物を見てさらにオビトの顔はゆがんでしまう。

銀髪の少年と栗毛色の髪の少女


「大丈夫ですか!?先生!!」


よりによって


「助けに来ました!!」


増援はあの二人だ


「あぁ、ありがとうカカシ、リン。でも、今のは少しタイミングが悪かったかな?」


「どういうことですか?」


「いいかい、簡単にしか説明出来ないが奴は・・・」


ミナトが簡単に俺の能力ついて説明しているようだ、しかもカカシとリンまで・・・

とにかく今はミナトに契約封印をさせてこの場から離脱しなくては・・・


「じゃあいくよ!俺とカカシがメインでリンがサポートだ!」


「はい!」


「了解!」


向こうの作戦も決まったようだし、とにかく短期決戦だ!


「ふん、雑魚が何人増えた所で変わらん!」


俺はとにかくすり抜ける。

ミナトのクナイを、カカシの雷切を、リンの怪力による地面を崩れさせる攻撃を。

すり抜けてすり抜けて隙を伺う。

三人の攻撃は絶妙なタイミングで放たれているため神威を途切れさせる事が出来ない。

すり抜けが出来るのは5分なのでそろそろまずい

だが、あちらにも疲れが見えている。短期決戦の全力戦闘のせいで息が切れ始めている。

そんな時、カカシの攻撃がワンテンポ遅れて迫ってきた。


(今しかない!)


オビトはすり抜けを止め、カカシを蹴り飛ばす。その時写輪眼で幻術もかけておく。


「カカシ!!」


リンが叫ぶが関係ない、オビトはそのままリンの元へと近づき幻術をかける。


「くっ!?」


リンが崩れ落ちる。


「・・・ごめんな、リン」


消え入りそうな声でオビトは呟き、ミナトの方を向く。


「さてと、そろそろ終わらせようか!!」


「っ!!」


二人は同時に駆け出す、ミナトの投げたクナイを今度は弾いて止める。

螺旋丸を構えてはいるが最初ほど大きくはない、オビトは手を伸ばす。

今度はミナトがクナイを上に軽く投げ上げた。


(そのクナイに飛ぶつもりか!!)


オビトは伸ばしている手と逆の手を上に伸ばした。

が、ミナトは突然後ろに振り返り攻撃の姿勢をとる。


(まさかっ!?)


オビトが気づいた時にはもう遅い、ミナトは最初にオビトが弾いたクナイへと飛んだ。

オビトはまんまと見え見えの囮に引っかかってしまった。

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ミナトには契約封印をさせた、後は俺は退却してミナトが九尾をナルトに封印するのをゼツから報告してもらえばいい。

だが、体が動かない、流石に3対1はきつかったようだ。

神威すら発動が出来ない。

ク、クソッ!このまま、では!!

・・・それにしても、カカシとリンは、つよ、くなって、たなぁ・・・


そこで意識は途切れた



何とか面の男に契約封印をして、さらに倒すとことも出来た。

まだ死んでいない様なので尋問部隊に引渡し情報を・・・

そんな事を考えていると草の擦れる音が聞こえた。


「!!」


最初はカカシか、もしくはリンだと思ったが違う。彼らは面の男に幻術をかけられたのだからまだ動くことは出来ない。

じゃあ誰なのかと確認しようと振り返ろうとしたが体の動きが鈍い、戦闘の疲れでは無い。

後ろにいる“誰か”の存在がケタ違いなのだ


(!!、新手か!?)


何とかクナイを持ち後ろを振り返る。

そこには、長髪の男が先ほどの面の男を抱き抱えて、いわゆる“お姫様抱っこ”をして立っていた。


「・・・全く、一人でこんなことをしようとするからこうなるんだ。最初から俺を頼っておけば良かったものを、バカなヤツめ」


長髪の男が何かをボヤき立ち去ろうとする。

震える体を叱咤して何とか声を出す。


「ま、待て!アナタは何者なんだ!?」


一度立ち止まり、ゆっくりと後ろを振り返る男。髪で隠れて顔はよく見えないが何となく目を細めているのは分かった。


「あぁ、お前は四代目火影か。ならば命はとらん!さっさと九尾でも封印しに行くんだな・・・」


「!、何で九尾の事を知っているんだ!まさかアンタはその面の男の・・・」


仲間なのか、と聞こうとして長髪の男に遮られてしまった。


「残念だが、コイツとはお前の考えているような仲ではない。コイツは言わば・・・俺の孫だな」


「ま、孫!?」


「あぁ、それと俺とコイツからの伝言だ。九尾はいずれ俺らのものになる、俺らはこの世を統べる者・・・やりようはいくらでもある・・・」


「!!」


「無駄話は終わりだ、じゃあな」


ミナトが声を発するより速くその男は暗闇に紛れて消えてしまった。


「っ!ハァ、ハァ!!」


あの男の恐ろしさに息をするのも忘れてしまった。恐らくあの男とやりあったら俺では秒殺されてしまうだろう。


「そ、それより今は!!」


カカシとリンの幻術を解き九尾の元へと飛んでいく。

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「それで、九尾は四代目の息子に封印されたよ。四代目も九尾の人柱力も生きてたよ〜。」


白ゼツからの報告をベッドの上で聞く、そして内心ではホッとしていた。今回ミナトは屍鬼封尽を行わなかったようだ。

ひとまず計画は成功したと言える。


「でもさ〜、もっと簡単に全部壊して奪っちゃえば良かったのに。」


「今九尾を捕まえても外道魔像に入れるのは順番的には最後になる。だから、今回は九尾を半分に分割して九尾の人柱力を二人作ることが目的だった。」


今回はナルトの中に九尾を半分入れる事が目的だった、クシナからは陽チャクラの九尾のみを取り出したため死んではいない。

ミナトも屍鬼封尽はしなかったため死んでない。ナルトには少なくとも普通の家族を知って欲しい。


「ふーん、そうだったんだ。でもさ、木の葉がある火の国って大国な訳でしょ?どうやって九尾を奪うのさ?」


「・・・まだお前達に話す事ではない。状況が変われば作戦も変わるものだ、だが『月の眼計画』は必ず成し遂げる!最終的な勝者は俺だ。」


ギラリと赤い瞳で睨みつけるとゼツは納得したのか地面に沈んで去っていった。

最近は頭がおかしくなりそうだ。

マダラに成り代わったり、オビトとしての信念を曲げなかったり。

正直辛い、それでも辛いのが俺だけならそれで・・・


「おい!オビト!!」


白ゼツの次はあんたかよ


「・・・ジジイ」


「なぜ何も言わずにあんな事をした、俺がいなかったら死んでたぞ?」


マダラが睨んできた。うわっ!輪廻眼になってるし・・・

何にそんな怒るのかが分からない。


「アンタの事はあまり外には出せないと言っているだろう?ずっと穴蔵生活で退屈なのは分かるが・・・」


「違う!!俺はそんな事を言いたい訳じゃない!!お前は自分を蔑ろにし過ぎだ!それに、一人で背負い込みすぎだ!今回のことだって俺は直接手を下さずとも影からのサポートだって出来たはずだ!」


思わず目を見開き驚く、マダラが自分のことを気遣ってくれたこともそうだがあのマダラが大声を出して叱責してきたのだ。あの冷静で残虐なマダラがだ。


「お前は自分が死んでも構わないと思っているんじゃないか?」


「っ!?」


「だとしたらそれは間違っているぞ。お前がいなければ出来ぬ事もある、それにお前の帰りを俺や長門のガキ共も待っているのだ。・・・死んでもいいなんて思うな、オビト」


そんな事を急に言われても困る。今まで俺は一人だったんだ、里でもそう。友達はいたが家に帰ればばあちゃんしかいない、両親がいないってことはとても辛い。たとえ祖母がいてもその穴埋めは出来るものでは無い。

何度も部屋で膝を抱えて一人で泣いた。

マダラとして動いていた時もそう、一人で考え一人で動き一人でフォローする。

一人で背負うも何も一人しかいなかったのだ。


「いいなオビト?俺はジジイ何だろう?だったらジジイのために帰ってこい、そして、生きろ。」


残酷で心が温まる応援

あぁ、そうかコイツは元々弟思いの奴だったな。


「わかったよ・・・」


「それでいいんだ、オビト。とにかく今は休んでおけ」


そう言ってマダラは俺に布団をかけた。

だんだん瞼が下がってしまう。


「なぁ、マダラ・・・。今度はサポート、頼んでもいいか?」


「ふっ、しょうがない砂利だ」


(ありがとう・・・ジジイ)


本日二度目の暗転、こうしてオビトの九尾事件は終わる。



「いや〜オビト頑張ってたね〜。」

「コノママ無限月詠ヲ成シ遂ゲテモラワネバナ」

「まだもう少しかかりそうだけどね」

「焦ッテハダメダヨウヤクマダラガ輪廻眼ヲ開眼シタノダ。今度コソ成シ遂ゲルノダ、母ノ復活ヲ!!」


物語はどちらの掌なのか、それはまだ分からない。


後書き

オビトの意識は少しだけ変わりました。
でも、無意識までは変わりませんでした。


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