提督「え？暁の過去を教えてほしい？」

暁「ええ、そうよ！レディーたるもの、自分の過去についても知っておかなくちゃね！」

提督(過去を知ることとレディーは関係ないと思うけどなぁ....)

暁「暁が艦娘としての手術を受ける前のことよ！」

提督(そうか、艦娘手術を受けたら受ける前の記憶はなくなるもんな.....隠しておくのもなんだし、この際話しておくか....気が重いが)

提督「あー、具体的には何年前くらいだ？」

暁「そうねぇ......暁が艦娘手術を受ける前のことすべてでいいわ！」

提督「......暁自身、ショックを受ける可能性もあるがいいか？」

暁「.....どういうこと？」

提督「つまりだなぁ....ええっと、それなりにつらい過去だがいいのか？ってことだ」

暁「.......」

提督「やめておいたほうが.....いいかもしれんぞ？(実際自分自身でもかなりつらい記憶だし)」

暁「私は知りたい....自分自身の過去すら知らないなんて、嫌！！」

提督「....そうか.....わかった、話すよ」

十一年前　日本

ニュースキャスター「えー、最近日本近海に出現した深海棲艦は、現在広島、呉方面に向かっているとの情報が入りました。沿岸の皆様はお気を付けください」

提督「また深海棲艦か.....艦娘による有効手段ができたのはいいが、まだ配備が間に合ってないしな.....自衛隊も壊滅寸前か.....」

提督(深海棲艦が現れて早半年、人類は深海棲艦という謎の生物に対抗すべく新しい攻撃手段、艦娘という存在を作り出した、これにより、人類による

深海棲艦への対抗手段は確保され、生存率も飛躍的に上昇したが、まだ艦娘という存在は世間一般ではあまり公表されておらず、数も少ないのが現状だ)

提督「このままじゃいつ滅びるかもわからんなぁ....人類も....」

そう考えごとをしながら俺は、イルミネーションできれいに飾られた街中を歩いていた、現時刻は午後八時、なかなか寒くなってきた、それもそのはず、

今は十二月だ。

さてなぜ俺がこんな場所を歩いているかというと、クリスマスに自分へのプレゼントを買いに行くことである

何を買おうか悩み、いろいろな店をめぐって、結局はジャンパーとマフラーを購入した、ちなみにクリボッチである。

なぜ俺は彼女がいないのかなどと、小中学校時代を振り返って歩いていると、いつのまにかイルミネーションはなくなり、暗い住宅街に入っていた、

その角を曲がれば俺の住む鎮守府である、ちなみに、鎮守府と言っても艦娘はまだ配備されていないため実質俺だけのパラダイスである。

提督「ただいまー」

と、誰もいない空間に向かってつぶやく。

荷物を置いて、外へ一服しに出る。

お茶を飲みながらこれからのことについて考えた

提督「俺は、これからどうすればいいんだよ.....」

提督「いきなり住む場所奪われてこんな場所に連れてこられたと思ったら提督に任命するとかわけわからん事言われたし......」

提督「おまけに頼るべき味方もいない」

自分で言ってて自分で悲しくなってきたな......そろそろ戻るか、寒いし

【出会い】

キャーーーーーー

提督「！？なんだ今の悲鳴！？」

タスケテーーー！ダレカーーーーー！！

提督「なにかあったのか！？とりあえず行ってみるか」タッタッタ

提督「確か声はこっちのほうから......」キョロキョロ

女の子「助けてぇ.......」グスッ

男「おいおい嬢ちゃん、おめぇ俺っちの服に泥かけたよなぁ？」

女の子「わ、わざとじゃ....なかったの....お願い....許して......」

男「んー、じゃあその体で払ってもらおうかなぁ！？」

女の子「ひっ......いや......」

提督「おい、何をしている？」

男「ああん？こいつの連れかぁ？」

提督「ただの通りすがりの男だよ」

男「あぁ！？だったら失せろや、いま大事な話してるんだよなぁ」

提督「残念だが、それはできないな、一部始終を見ていたが、いかなる理由があるとはいえ、それは許されることではない」

男「てめぇ固いやっちゃなぁ.....めんどくせぇ」

提督「その子を離せ、いますぐにだ」

男「それはできねぇなぁ！おりゃあああああ！！」トビゲリ

提督「甘いな」ヒョイ

男「!?何！？」

提督「」ゴスッ

男「ゴハァ!?」

男「」

提督「さ、大丈夫かい？立てる？」

女の子「.....うん」グスッ

提督「怖かったなぁ、でももう大丈夫だぞ」

女の子「うん......」

提督「事情を聞かせてくれるかい？」

女の子「さっき....道歩いてて、こけた拍子に泥水に突っ込んで....勢いで泥をけっちゃったら、それがあの男の人にかかっちゃった.....」

提督「それだけ？」

女の子「うん....そしたら、いきなり怒鳴ってきて.....」

提督「そうか、それはこわかったね......」

女の子「うん.......」

提督「さ、ここで立ち話なんて寒いから、ウチにこないか？すぐそこの鎮守府なんだ」

女の子「鎮守府.......うぅ」ポロポロ

提督「ど、どうしたんだ！？そんなに鎮守府こわいのか！？」

女の子「....うん」

提督「そっか、じゃあ別の場所でいっか、」

女の子「うん」

提督「じゃあ公園行くか、近いし、寒いけど」

女の子「うん」

提督「寒いだろ？ほれ、これ着なよ」

女の子「ジャンパーに....マフラー？」

提督「ああ、さっきマフラーはさっき買って来た新品だぞ、よかったらつかってくれ」

女の子「ありがとう.....」

提督「.....ところで、どうして鎮守府が怖いんだい？」

女の子「昔、海の怪物が出たころ。わたしは、おねぇちゃんと一緒ににげたの.....」

女の子「そして、保護されて、そこが、鎮守府っていう場所だったの。でも、其の日怪物たちの襲撃で避難してた人はみんな.....死んじゃった......」

提督「.......」

提督「その.....それは.....聞いてはいけないことをきいてしまったね.......ごめん....」

女の子「....ううん、いいの、あなたが悪いわけじゃないわ.....」

提督(涙目でも必死に我慢している、なんて強い子なんだろう.....)

提督「すまないな....そういえば、まだ名前を聞いていなかったね」

女の子「....わたし、名前がないの.....」

提督「」

女の子「ううん、多分あったんだけどね、お姉ちゃんもしらなかったし、お母さんとお父さんは私たちを置いてどこかへ行っちゃった......」

提督「......」

女の子「......」

提督「なぁ」

女の子「なに？」

提督「俺の娘になってくれないか？」

女の子「うん......わかったわ.....」

提督「い、いいのか！？」

女の子「うん、だって、家族がいたほうがしあわせだし......それに、お兄さんも家族、いないんでしょ？」

提督「....なんでわかったんだ？」

女の子「私が家族の話をしているとき、あなたの反応が微妙に他と違っていたの。だから......」

提督「そうだ.....兄貴は俺をかばって死んだ.......あの日」

女の子「...つらい話をさせてしまって、ごめんなさい....」

提督「ああ、俺もごめんな.....でも、安心してほしい」

提督「何があっても、これからは、俺が君を守って見せるよ、だから、安心してほしいんだ」

女の子「信じて、いいの？」

提督「ああ、信じてくれ」

女の子「じゃあ、信じるわ、よろしくね」

提督「ああ、よろしく」

提督「なんだ、もう、朝か......いつの間にそんな時間がたっていたんだろうな」

女の子「ほんとだ.....もう、朝.....」

提督「きれいだな、水平線の向こうが赤く染まってる.....美しいな」

女の子「ええ....きれいね.....」

提督「......」

提督「なぁ、暁」

女の子「?誰のこと？」

提督「君のことさ、昔の人は、今みたいな景色のことを、暁って言ったんだぜ？だから、暁だ」

暁「暁......なんだかかっこいいね！！」

提督「だろう？」

暁「私、この名前を大切にするね！！」

提督「ああ」

暁「ありがとう！おとうさん！！」ニコッ

【お出かけ】

提督「なぁ、暁？」

暁「なぁに？」

提督「今日、どこかへでかけないか？」

暁「いいね！乗った！！！」

提督「よし、そうと決まったらどこへいくか決めようぜ！！」

暁「私、水族館がいい！！おさかなさん見てみたい！！！サメも！！」

提督「よし！！じゃあ今日は水族館で決まりだな！！さっそく準備してくる！！」

暁「私も！！」

提督「よし、準備完了、いくか！」

暁「うん！」

提督「到着だ！！」

暁「やっと着いたね！！」

提督「ああ！いくか！！」

暁「オー！！！」

暁「はわぁ.....すごい、すごい！！」

提督「本当だな！でっけぇ！！」

暁「あっちにはなにがいるのかな！！」

提督「行ってみるか！！」

暁「行こう♪」

こうして二人は一日中遊びまわった

提督「いやぁ、さすがに疲れたなぁ」

暁「うん、私も.....でも、楽しかった！」

提督「そりゃよかった！またこような！！」

暁「うん！」

後日

提督「♪」

提督「今日は......そうだ、軍艦でも見に行くか？」

暁「軍艦！でっかいの！？」

提督「ああ、とっても大きいぞ！！」

暁「へぇ！！見てみたい！！」

提督「じゃあ決まりだな！！」

暁「いざ！軍艦を見に！」

提督「横須賀へ！！」

暁「オー！！」

提督「へぇ！ここが横須賀軍港か！！でっかいな！！」

暁「おっきい！！あれがイージス艦？」

提督「そうだ！もう少し行くと百年位前の戦艦三笠ってのが見れるぞ」

暁「へぇ....でも、昔の軍艦は怖い.....あんなにいっぱい大砲.....なんとなく怖いの」

提督「....そっか、じゃあ、軍艦はやめにして、一回飯でも食いに行くか！」

暁「うん、そうしよう！」

提督「どれにするかまようなぁ、カレーが王道か.....」

暁「じゃあ私はこの軍艦カレーを頼むね！」

提督「同じく」

店員「お待たせしました！こちら軍艦カレー二つになります！ごゆっくりどうぞ！」

提督「あ、どうもです、じゃあ暁、食うか」

暁「うん！」

提督＆暁「いただきます！！」

提督「ごちそうさまでした....ふう、うまかった」

暁「ごちそうさま、おいしかったね！」

提督「ああ、そうだな」ニコ

ドォォォォォォン

提督「な！なんだ今の音！？」

暁「結構大きかったね....」

ダダダ　ガチャ

憲兵「し、深海棲艦の襲撃です！逃げてください！避難所は山の上です！！急いで！！」

提督「奴らが.......ここまで.....」

暁「そんな......せっかく、楽しいお出かけだったのに.....」

提督「と、とにかく暁、山に逃げろ！急げ！！」

暁「お、お父さんは！？」

提督「俺は仮にも提督だ、戦力にならないとはいえ、避難誘導くらいできるさ」

暁「そ、それじゃお父さんが死んじゃうかもしれない！！私ものこる！」

提督「無茶いうな！！今なら間に合う、早く逃げるんだ！俺は必ず戻る！」

暁「約束.....だからね....」

提督「ああ、約束だ！」

暁「絶対、戻って、きてよね！」

提督「ああ！戻るよ！必ず.....」

暁「信じてる...から、ね、じゃあ、あとでね、お父さん」

提督「.....行ったか、まだ軍港には一般人がいる....向かわなければ」タッタッタ

提督「はぁはぁ.....みんなパニック状態だ.....落ち着いてもらわなきゃ.....」

提督「み、みなさん落ち着いて！山はすぐそこです！大丈夫です！！絶対に助かります！！」

憲兵「あ、あのあなたは....?」

提督「わたしはある鎮守府の提督やってる者です、一応避難誘導くらいできそうなんで来ました、なにか手伝えることは？」

憲兵「ご協力ありがとうございます、では、避難者の誘導を、お願いします提督さん」

提督「了解！！」

【暁はここにいます】

その後提督は一時間ほど避難誘導を続けたが、深海棲艦はそこまで迫っていた

提督「クソ！！もうここまで！！」

提督(すまない暁.....俺戻れそうにねぇわ....はは)

提督「クソ深海棲艦！てめぇ.....こっから先は通さねぇ！！」

提督「ウォォォォォォ！！！！」

深海棲艦「ガァァァァァァ！！！」

提督「クソ....やられる！！」

グサッ

提督「ぇ......」

暁「」

提督「あ、暁.....あかつ.....え、あ、あぁぁぁぁ.....」

暁「し、司令官、さん？大丈夫です、暁が守りました......よ」

提督「ぁ、ぁ、ぁああああああああ！」

暁「大丈夫......ですから......あなたは、に、げて.....」

提督「ぁぁぁ......ああああああああああああああああああああああ！！深海棲艦てめぇええええええええええええええええ！！！」

提督「うわあああああああああああああああああああ！」ゴスッゴスッ

提督「死ね！！死ね！！死ね！！あああああああああああああああああああ！！」

ゴスッゴスッゴスッ

深海棲艦「ああアうぁぁぁぁあ」

提督「....やっ.....た?ぁぁぁぁ暁.....あかつきぃ！！！！」

暁「司令官さん、すごいです.....大丈夫ですよ、暁は、ここにいます」

提督「暁....暁ィ！！！！あああああああああああああああ！」

暁「いつも、私は司令官の隣にいるじゃ....ないです....か、だい、じょうぶ...ですょ......」

提督「......ぁぁ」

憲兵「だ、大丈夫ですか！？い、いますぐ病院に！！救急車を！！重症だ！！急げ！！」

提督「ぁぁ、憲兵さん........ああ、よかった....助かるかも....しれない」

暁「......」

数時間後

医者「暁さんですが、一時的に意識は取り戻していますが、あと数十分もたないでしょう。」

提督「そうですか.....手を尽くしてくださり.....あり、ぁあぁあぁぁ」

医者「落ち着いて、暁さんが助かる、唯一の方法があります」

提督「！！教えてください！！それを！！」

医者「ーーーーーーーーするんです」

提督「......」

医者「ですが、彼女はそれにより大切なものを失ってしまいます、時間はありませんが、話をしてはどうですか？」

提督「お願いします....」

ガチャ

提督「あ、暁！暁！あかつきぃ！！」

暁「あ、司令官さん。」

提督「暁.......俺は、今までお前といて、とても楽しかった」

暁「それは私もです」

提督「でも、お前はもうながくないんだ......一時的に意識が回復してるだけで.....」

暁「.....うん、知ってる、よ」

提督「でもな？お前が生き残る唯一の方法があるんだ」

暁「それは、なんですか？」

提督「......艦娘手術を受けるんだ」

暁「......」

提督「それなら、暁は死なずに済む...しかし、暁は今までの記憶を失うことになる」

暁「暁はそれでもいいです、でも、司令官さんは？」

提督「俺は、暁と一緒にいたい、でも、いままでの記憶を、失ってほしくないんだ......」

暁「.......」

提督「だから、だから！」

暁「お父さん」

提督「あ、か、つき？」

暁「たとえ私が記憶を失ったとしても、それは私です。いつまでも、あなたの隣にいますよ、お父さん」

提督「あか、つきぃ.....」

暁「はい、暁はここにいます、大丈夫ですよ、心配しないで」

提督「ひぐ....あか、あかつきぃ....あかつきぃ......」

暁「なに泣いてるんですか、さあ、さっさと艦娘になってきますね？ナースさん、お願いします」

ナース「はい、わかりました、お二人とも、最後に言っておきたいことはありますか？」

提督「あかつきぃ.......今度こそ、今度こそ......守って見せるからな......必ず......」

暁「ふふ、期待してるね！！」

暁「...」

提督(暁はさっきから何も話さないでいる、やはりつらかったか。いやまぁ実際俺も泣きそうだし......)

暁「司令官、さん.....」

提督「！な、なんだ」

暁「今度こそ、暁のこと、守って見せてよね！！」

提督「.....もちろんだ、暁も、頼んだぞ？」

暁「ええ！任されたわ！！」

提督＆暁「これからもよろしく！！」