2020-04-11 12:38:05 更新

概要

カイン「君が道に迷ったなら」


前書き

皆さんこんにちは!初めての方は初めましてメットールと申します。
今回はデート回ですが何分こういう話は初めて書くので甘く出来るか心配ですが頑張ります!駄文を始め誤字脱字はありますがどうぞよろしくお付き合いください!





「……!」




私はまたあの夢を見てしまい飛び起きるように起きてしまった。身体中には玉のような汗がびっしょりとかいていた。

今の時刻を確認すると0311、総員起こしの時間でもない。ましては身支度をするのにもまだ早いがすることにした。

また寝ようにもあの夢を見てしまいそうで怖かった。


…久しぶりに見てしまった「あの夢」。あの時は眠ることが怖かったことを覚えている眠る度に見てしまっていたからだ。最近は見ずに眠れていたのだが今日に限って見てしまった。ふと




「私は…、榛名は幸せになっていいのでしょうか……?」




そんな事を言っても誰も答えてくれない事は私は知っている。知っているが無意識に溢してしまった。




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0850鎮守府入り口付近




第3鎮守府提督のカインは気が気じゃない状態だと自分でも思っている位ソワソワして愛車ハリアーの車中にいた。別に女性と2人っきりで出掛けるのは初めてではない。初めてではないが妙に緊張していた。

その理由は昨日のこと




榛名「提督、もしよろしかったら明日一緒にお出掛けませんか?」




榛名からの一言だった。カイン自身からしてみれば買い物に付き合う感覚だった故微塵も意識していなかったのだが




ドレイク隊隊員「中佐殿!デートですか?」




とこの一言で端からみればデートだと初めて気が付いてしまい榛名を意識し始めてしまったのだ。ちなみにそのドレイク隊の隊員は夕食の時なぜか前元帥から「よくやった!」と言われ前元帥や仲間達とどんちゃん騒ぎをしていたのを思い出した。そして




カイン「もしかして、今まで2人っきりで、如月さんや鈴谷さん達とのあれもデートだったんでしょうか…?」




車中でポツリと呟いた。




そんなカインを…




如月「む~。司令官、私とデートした時と明らかに違うんですけど~」プクー




自分の時と明らかに様子が違うカインを見て如月は頬をプクーと膨らませて不機嫌になっていた。




瑞鶴「何人当てはまるかしらね?それ」




鶴姫「多分、全員カナ?」




瑞鶴「じゃ何で提督さんの様子が今日に限って変わるのよ?」




鈴谷「前元帥とドレイク隊の人らでしょ?どんちゃん騒ぎしてたの関係ありそうじゃん?」




と鈴谷達4人は私服姿で髪型も変えカインから死角の位置で様子を観察していた。




如月「おそらく今までデートって意識されてなかったって事でしょうね」二つ結い




鶴姫「デ、ドレイク隊ノオ兄サン達ニデートッテ言ワレタカラ意識シタ?」髪おろし




鈴谷「そんなとこじゃん。そう言えば白露は?」ポニテ




瑞鶴「朝武蔵さんに執務室に連行されてたわ…」髪おろし




鶴姫「アララ…」




如月「どうやら山風さんを泣かしたみたいで…」




鈴谷「どんな頼み方したら泣かれるのよ、あの娘はもう~、とと榛名さんが来たよ~鈴谷車とってくるから~」




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榛名「すいません!遅れてしまいましたか?」




カイン「いえ、大丈夫ですよ。車の暖気をしながら待ってただけですから、乗ってください」ガチャ




榛名「はい、失礼しますね」バタン




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如月「30分前からずっとソワソワして待ってたわよねぇ」(¬_¬)




鶴姫「如月チャン、ドウドウ……」ハラハラ




瑞鶴「ここは耐えなさい如月、鎮守府を出てから本番よ…」





カインと榛名を乗せたハリアーは門の詰所をパスしそのまま出ていった。




瑞鶴「よし、出てったわね。鶴姫ー鈴谷は?」




鶴姫「来タヨー」




鈴谷「お待たせー乗って」




そこに車を取ってきた鈴谷が3人の側に横付けし乗るように指示をした。




如月「意外ですね、鈴谷さん車好きなんですか?」




鈴谷「熊野の影響でねー。なんで?」




瑞鶴「好きじゃなきゃ女の子がランエボなんて乗んないでしょ」




鈴谷「そーなの?カッコいいのに…」ランエボ9の青




瑞鶴「まず判断基準が違うわよ……」ハァ




3人は鈴谷の車に乗り込み、車中で確認を行き先の確認を始めた。




如月「で、今日はどちらに行くんでしたっけ?」




瑞鶴「鶴姫ーお願い」




鶴姫「今日ハマズショッピングモールデ散策シテソノママランチ、ソノ後榛名サンガ楽器店二行キタイソウナノデ楽器店へ、夕方ハ海浜公園二行クソウデス」




鈴谷「流石だねールカさん情報っしょ?」




鶴姫「ウン」




如月「やっぱりデートに一枚噛んでましたか。いきなり榛名さんが動いたからおかしいと思いました」




鈴谷「いいじゃんいいじゃん、最初はショッピングモールでしょ?ナビセットしてと」ポチポチ




瑞鶴「ルカさんだけじゃなくてタキさんも、ひいてはミズキさんも噛んでるわよ?」




如月「まず間違いないですね」




鈴谷「まあそのお陰でみんなで出掛けるんだからいいじゃん。皆外出許可書あるねー?シートベルトいいねー?出すよー」




3人「「「お願いしまーす」」」




そうして確認を終えた鈴谷は車を発進させて詰所の横に車を着けた。




鈴谷「すいませーん!確認お願いしまーす!」




「あいよー!おおっ!鈴谷ちゃん達か!」




鈴谷「あれ?ドレイク隊のお兄さんじゃん。今日の訓練は?」




ドレイク隊隊員(ドレイク4)「ああ、義足の定期メンテ出すの忘れてな、隊長にバレて戦闘用と生活用の義足全部メンテ行きになっちまって今日はここの当番にされまったよ」アハハ




と、そう言ったドレイク隊の隊員の側に一組の松葉杖があり、その彼は右足の膝から下がなかった。




如月「いけませんよ、メンテナンスはちゃんとしませんと。イザって時に大変ですよ?」




ドレイク隊隊員「嬢ちゃん達も言うの止めてくれ…、さっき隊長にしこたま言われたから……」




瑞鶴「ゲンナリするぐらい言われたのね…」




ドレイク隊隊員「ああ、全く隊長もあれくらい言えるならさっさとルカちゃんに告れっての」




鈴谷「あはは、そういうお兄さんはどうなの?ネルちゃん(重巡ネ級)とは?」




ドレイク隊隊員「上手くいってるとは思うよ」




鶴姫「ソレニシテモ人間ト深海棲艦ガオ付キ合イスル時代ナッタンデスネー」




ドレイク隊隊員「ぶっちゃけ前元帥がああだからね、俺から言っちまえば夕禅中将達がいた頃の第3鎮守府にいた娘達は恩人だからなー」




瑞鶴「そっか、そういえばそうだったわね」




ドレイク隊隊員「俺としてはここにいる深海棲艦の娘達皆容姿いいし性格いいし料理上手いしでむしろ女いない隊の連中からすればもう争奪戦だよ」アハハ




鈴谷「勝ち組特有の余裕だww」




如月「単純なのね」




ドレイク隊隊員「男は単純ぐらいが丁度いいんだよ。ほれ外出証人数分。気を付けてなー」




鈴谷「ありがとー!行ってきまーす」




鈴谷は外出証を受け取り車を出した。その中では




如月「鶴姫さん、あのお兄さんとネルさんってどうなんですか?」




鶴姫「イイカンジダヨ。ネルチャンオ弁当作ッテタ」




瑞鶴「ネルちゃんは気づかい上手だもんねー」




鈴谷「鈴谷達は鶴ちゃん以外がその逆だからねー、いいじゃん細かいとこは」




如月「うふふ、そうですね」




こうして一行は賑やかに尾行を始めるのだった。




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そして運転から1時間、提督達が行くショッピングモールに到着し、鈴谷は辺りを確認する。




鈴谷「提督の車ある?」




如月「ええ、外の駐車場にありましたよ」




瑞鶴「黒のハリアーは目立つから助かるわね」




鶴姫「流石二気付カレテナイヨネ?」




鈴谷「途中でガソスタによってるし大丈夫じゃん?この場合なら立駐にと、4階なら大丈夫か」




瑞鶴「なんで4階なのよ!」




鈴谷「しょーがないじゃん!鈴谷の車目立つんだから!」




瑞鶴「青のランエボに乗ってるからでしょうが!」




鈴谷「じゃあ熊野の車のほうが良かった?」




瑞鶴「…あっちよりましだわ」




鈴谷「でしょー」




鶴姫「エット、ナンダッケ?シ、シル」




如月「シルビアのS15型、でしたっけ?赤の」




瑞鶴「2人して目立つ車を目立つ色で…」




鈴谷「そんな事熊野に言ったらビンタされるよ、はいオッケーだよ降りた降りた!」




4人は車から降り、提督達が行くであろう店を確認する。




鈴谷「まずここ4階は駐車場のスペースになっててテナントは入ってないからまず来ない。それに提督達の性格から考えてまず1階から見て回る」




如月「そうですね、鶴姫さん榛名さんが行きたいって言ってた楽器店って3階のこのお店ですか?」




鶴姫「ウン、ソノ弦楽器ノオ店」




瑞鶴「なら、最初は3階の吹き抜けになってるこの辺りから1階の様子を見ましょう」




鈴谷「くれぐれも気付かれないように距離を置くこと!2人に近付いたりしたら絶っっ対バレるからね!」




3人「「「ウィルコ」」」




かくして4人のスニーキングミッション?が始まったのである。




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提督side




カインと榛名は鈴谷達の予想通り、1階のテナントから見て回っており今は雑貨屋で小物類を物色していた。




カイン「こうして見ると色々あるんですね、勉強になります」




と言いカインは東南アジア民族の置物をまじまじと見ていた。




榛名「ここの雑貨屋さんは色々ありますね、その置物気になるんですか?」




カイン「ええ、この置物はどういう意図で作られたのかとつい考えてしまって」




カインはまるでウキウキしている子供の様に答えた。サングラスをしているがその目は笑っていることは榛名は分かっている。




榛名「でも、サングラスのままだと見えずらくありませんか?この雑貨屋さん少し照明暗いですし」




カイン「大丈夫ですよ。それにサングラスをしていないと周りの方がビックリしてしまいますから。」




カインはそう言うとイタズラっぽくおどけてみせた。確かに端からみれば瞳が赤色と金色のオッドアイは明らかに奇異の目を向けらるだろうと榛名は思う。




榛名「提督はお優しいのですね、そうやってお考えになられて」




カイン「ん~考えてと言うか自分だったらなーとふと思って、それにこの服装ならサングラスしてもあんまり浮きませんし」




と、カインが言うと改めてカインの服装を見た。フライトジャケットにインナー、ボトムスはカーゴにブーツと纏まっているが白髪と合わせて少し目立っている。




榛名「よくお似合いですね」




カイン「ありがとうございます。榛名さんもよく似合ってますよ」




榛名「あ、ありがとうございます」///




カイン「見た時ドキッとしましたから」ボソッ




カインは榛名に聞こえない様に呟いた。いつも鎮守府で見ているはずだが今日の榛名の服装、白い薄手のコートに黒のワンピース姿の榛名を見て自分でも良くわからない感情が沸き上がっていた。




榛名「?どうしました提と」




すると何かを思い出したのかカインは榛名の口の前に人差し指を立てた。




榛名「!」ドキッ




カイン「今はカインで構いませんよ」




カインの言葉に戸惑う榛名だったがカインの言葉の意図を理解したのか首を縦に振り




榛名「わかりました。カインさん」///




カイン「ふふっ、ありがとうございます」ニコッ




榛名「ふふっ」ニコッ




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4人組side




瑞鶴「どう見てもお似合いよねぇ」|д゚)ジー




如月「瑞鶴さん、押さえましょう?バレます」(小声)




と、2人の状態を見て瑞鶴が不満たらたらな状態で呟いた。今4人がいるのは3階の1階が見える吹き抜けに面している所で2人がいる雑貨屋が見える位置だった。




鈴谷「そうだよ、少し抑えて……!」(小声)




と鈴谷が言いかけた時カインが榛名の口前に人差し指を立てた時であり




鈴谷「ちょちょ、今提督なんて言った!?」(小声)




如月「鈴谷さんも落ち着いてください!」(小声)




カインの行動を見て焦る鈴谷と瑞鶴だが




鶴姫「大丈夫ダヨ。榛名サンガ提督ッテ呼ビソウニナッタカラカインッテ呼ンデッテ言ッタダケダヨ」(小声)




如月「流石鶴姫さん」(小声)




鶴姫「読唇術ハ任セテ」(小声)(o^-')b




瑞鶴「…ありがと鶴姫。あんたがいて良かったわ」(小声)




鈴谷「流石だよね~、と2人が移動するよ。って!?」(小声)




4人が移動しようとした時だった。雑貨屋を出て来た榛名がふと上を見てきたのだ。反射的に身を隠す4人。




瑞鶴「まさかバレた!?」(小声)




自分達の事に気付かれたと思っていたのだが如月が違和感を覚えた。




如月「いえ、如月達の方向は見てないわ。見てるの2階?」(小声)




鈴谷「だとしても少し距離置くよー、流石にバレそうだからね」(小声)




3人「「「ウィルコ」」」




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提督side




榛名「?」




カイン「どうしました?榛名さん?」




榛名「いえ、今誰かに見られてたような…」




カイン「誰かに、ですか?」




榛名「ん~、人が多いので多分榛名の思い違いかもしれませんね」




榛名の言葉に対してカインは




カイン「…少し警戒が必要か……?」




と、カインは今後の行動含め少し考えた、好戦派か?

だとしたらどうするか、だが相手がまだ何者か分からないので少し泳がせるようにした。

折角の榛名とのデートで無粋な事はしたくない、何よりも今の榛名の笑顔を曇らせる事だけはしたくなかった。




カイン「…何か動いたら対処しればいいか。ありがとうございます榛名さん。ん?」




榛名「カインさん、どうしましたか?」




と、榛名はカインが見てる方向が気になりそちらに目を向けた。見ていたのはアクセサリーショップで主に天然石やシルバーを使った物を扱っているお店だった。




榛名「あのお店のテナントも入ってたのですね」




カイン「知ってるお店ですか?」




榛名「はい、以前住んでいた所にもありました」




カイン「ふむ、気になりました。行きましょう」サッ




と榛名はカインから差し出した手を




榛名「はい」ギュ///




照れながらも握り返した。




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??side




??『すいません、多分気付かれました』




??「モウ駄目ジャナイ、榛名ハスルドインダカラ~」




??『はい…迂闊でした』




??「ドウスルノ?」




??『これ以上行うと在らぬ疑いをかけられてしまいますからショッピングモールを出ておきます』




??「ソレガ懸命ネ」




??『はい、それと私以外にも提督達を見てる人達が…』




??「アッチハ多分鈴谷達ヨ、青ノランエボガ出テッタッテネルガ言ッテタカラ」




??『わかりました、では』




と向こうからの連絡が切れると後ろからやれやれといった感じで声をかけられた。




「アノ娘二尾行サセルノハ趣味悪イワヨ、タキ」




タキ「モウ~ルカハ、「アノ娘」ガカイン様二思イヲヨセテルノ知ッテルクセニ~」




ルカ「ソレデ御2人ノデート風景ヲ写真デ撮ッテキテ欲シイッテモウ当テ付ケヨ」




タキ「コレデ何ニモ感ジナイナラソレハソレデヨシ、ソウジャナイナラ「アノ娘」二モ参戦シテモライマショウ♪」




ルカ「ヤレヤレ、チナミニ「アノ娘」ノ事ハミズキ様ハ…」




タキ「多分感ヅイテルワネ、私達ガ「アノ娘」二頼ムノモ」




ルカ「ミズキ様ニハ敵ワナイワ」




タキ「仕方ナイワ~、アラ?モウ休憩オワリジャナイ!イソグワヨ!」




ルカ「ソレデ呼ビニキタノヨ!モウ!」




と、2人は厨房へ急ぐのだった。そしてこちらは……




??「……」




2人の仲睦まじい様子を見てひとまず安心したがそれは最初だけで後は胸が痛かった、痛いと感じてしまい自分のカインに抱いている感情がわかってしまった。何故自分があの人の隣にいないのだろうと。




??「…私も、提督のこと好きなのね……」




とうとうその事実に気がついてしまった。その想いを自覚しショッピングモールの2階出口から出ていった。




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4人組side




鶴姫「…?アレ?」




瑞鶴「どうしたの鶴姫?」




下の、2階の出口付近を見ていた鶴姫に瑞鶴が声をかけた。




鶴姫「エッ?今出テッタ人見タコトアッタ気ガシテ…黒ノライダース着テタ人」




瑞鶴「黒のライダース?そんなの着てたのいたっけ?」ウーン




鈴谷「2人共置いてくよー」




瑞鶴「ごめんごめん、ほら行くよ鶴姫」




鶴姫「ウン」




如月「それで、この後はどうしますか?」




鈴谷「どうしましょうかね~今の時間はと……」




皆の先頭を歩いていた鈴谷がくるりと3人に向き直りつつ時計を確認した。時刻は11時半過ぎ、これを確認した鈴谷は




鈴谷「ちょっと早いけどお昼にしよっか。フードコートもあるし」




如月「そうですね、提督達はお店の中に入ってしまいましたし、混む前にお昼ご飯にしましょう」




瑞鶴「でも提督さん達より先にご飯って大丈夫なの?」




鈴谷「と思うじゃん?」




鈴谷はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに瑞鶴の疑問に答えた。




鈴谷「鶴ちゃん、ここ3日間の献立の傾向って覚えてる?」




鶴姫「献立?エットソノ日ハ漁師サンカラサンマヤイワシヲイッパイ頂イタノデオ魚中心デス。頂イタ日ハ生デシタ。昨日ノ夜ゴ飯二久シブリニオ肉ガ出タグライカナ?」




鈴谷「その通り!新鮮なのは美味しかったけど続いたからね~」




瑞鶴「で?」




鈴谷「三階フードコートってさ鎮守府で食べたようなの多いし親子連れとかも多いじゃん、だから食事なら1階のレストランにするだろうし、それに提督の事考えるとこうゆうの食べに行きそうじゃん」




と鈴谷は瑞鶴にショッピングモールのパンフレットを見せた。そして鈴谷が指を指していた店は点心系を中心に出している中華料理の店だった。




瑞鶴「確かにね、提督さん珍しいの好きだしこうゆうの行くって言いそうね」




鈴谷「そそ、それに榛名さんってあんまり食べないし異論無いなら断らないっしょ、こういうのなら食べやすいし」




鶴姫「如月サンスイマセン、コノ点心ッテドンナ料理デスカ?」




如月「点心と言うのは中華料理のことで主に軽食やお菓子のことですわ。小麦粉を使った皮の中に餡を入れて蒸したり焼いたりと、分かりやすく言うとちっちゃい肉まんや餃子みたいな物ですね」




鶴姫「成程」




鈴谷「それにこの時間で済ませちゃえばブッキングしないでしょ、じゃ適当に場所取っといてね~鈴谷食べたいの買ってくるから」




と鈴谷は説明するだけしたら昼食を買いに行ってしまった。




瑞鶴「全く鈴谷も自由にやるわ」ハァ




如月「まあまあ、如月はどうしようかしら?」




瑞鶴「私は…、どうしたの鶴姫?」




鶴姫「瑞鶴ーアレナニ?」ユビサシ




瑞鶴は鶴姫が指差したお店を見てみると…




瑞鶴「あれはうどん屋さんよ鶴姫」




鶴姫「ウドン?」クビカシゲ




瑞鶴「小麦粉から作る麺よ。まあ、鎮守府はご飯ばっかだからないかぁ、1から作るのも手間かかるし。食べてみたいの?」




鶴姫「ウン!」




瑞鶴「なら如月ちゃん先に行ってきて。私達は場所取ってるから」




如月「いいんですか?如月まだ決まってませんが」




瑞鶴「私達のは全然並んでないしすぐ買えるから後でも大丈夫よ」




如月「なら如月は先に買ってきますね」




如月と別れ瑞鶴と鶴姫は空いているテーブルを探す。




瑞鶴「まあ、この時間じゃ空いてるとこ結構あるし、あの辺にしましょうか」




鶴姫「ウン♪」




瑞鶴「楽しそうね、鶴姫」フフッ




鶴姫「皆トゴ飯ダカラ♪ドンナ食ベ物ダロウ、ウドン♪」




瑞鶴「鈴谷か如月ちゃんのどっちか戻って来たら行こうね」フフッ




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提督side




こちらカインと榛名はアクセサリーショップに入ってから10分程たった。カインは色とりどりの天然石を見て気になった物を榛名に質問していた。




カイン「興味深いですね、誕生月や星座で縁のある石があるとは。榛名さんはどれになるのですか?」




榛名「榛名は4月生まれになりますから、こちらの水晶になりますね」




カイン「水晶、この透明な石ですね」




カインは水晶の1つを手に取って観察していた。何の色もついていない透明な石、何にも染まっていないこの石にカインは興味津々に見ていた。




カイン「不思議ですね、やっぱり知らない事ばかりです。僕もまだまだ勉強不足ですね」




そう言ってカインは榛名に笑顔を向けた。榛名はカインの、年不相応な少年の様な笑顔に思わずドキリとしてしまったが彼の笑顔につられ笑ってしまった。




榛名「カインさん楽しそうですね。榛名も嬉しいです」///




カイン「なら良かったです。榛名さんも楽しんでもらえて」




と2人は話していたときに店員が2人近寄り声をかけてきた。




店員「お客様、こちらお気に召しましたか?」




カイン「ええ、なかなかに興味深いですね。つかぬことお伺いしますがこちらを使ったアクセサリーなどはありますか?」




店員「こちらの水晶でしたら…」




店員はカインの質問にすぐそばのショーケースのアクセサリーを紹介した。




店員「丁度こういったネックレスもありますが、水晶ということはお誕生日は4月でしょうか?」




カイン「はい」




店員「プレゼント用に?」




カイン「そうですね」




店員「ふむ、それでしたらこちらはいかがでしょうか」




と店員が次に薦めてきたものを見て榛名がギョッとしてしまった。




榛名「!」




店員「こちらもいかがでしょうか?人気のアナイス調のダイヤモンドのネックレスになります。ダイヤモンドも4月の誕生石としては有名でしてこちらは18カラットのダイヤモンドを使用したものになります」




榛名(そうでした!このお店は宝石も扱ってたのを忘れてました……)




この事態に榛名は狼狽える、かつて姉と呼んでいたコングもとい金剛なら買ってとなるが榛名は厚かましくない。そもそも榛名は艦娘となる前音大に奨学生として通っていた身だったので宝石など興味はあっても手に届くものではなかった。




カイン「ふむ…」ジー




カインはそれを見て何かを考える様にジーとダイヤモンドのアクセサリーを見ていた。そして榛名は




榛名(これはマズイのでは?カインさん、提督の事をお考えになると買ってしまいそうな気が…)




と心配する榛名をよそにカインの口から出たのは……




カイン「すいません、僕、まだ宝石などは勉強不足でしてまた別の機会にさせてもらいます」




と店員に差し支えないように対応して榛名の手を取り




カイン「行きましょうか、お腹空きましたし」




榛名「は、はい!」




カイン「またの機会に」




カインは店員に軽く挨拶をしそのままアクセサリーショップを榛名と共に出ていった。




榛名「いいのですか?」




カイン「ええ、紹介された時榛名さんの顔が強ばってましたし、そもそも天然石を見てたのに宝石を紹介されても、ね」




カインがやれやれと言わんばかりに肩を竦めてみせて




カイン「おそらくお金がありそうに見えたからだと思いますが…ふふっ露骨ですよね?」




そんなカインの様子を見て榛名は




榛名「ふふっ、そうですね」




カインにつられ笑いながら寄り添う様に歩き




榛名「カインさん、さっきお腹空きましたって言ってましたが?」




カイン「あれは本当ですよ、丁度いい時間ですしこのまま行きましょうか」




このまま2人は1階のレストランエリアに行き鈴谷達の予想通り点心系の中華料理店に入っていった。

理由はカインが「食べてみたい」の一言で




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4人組side




一方こちらは鈴谷達4人。3階フードコートの4人テーブルで各々食べたい物を食べていた。




如月「で、この後はどうしましょうか?」つ鉄板ピラフ




鈴谷「ここはもう一歩踏み出そうか…」つBLTサンド




鶴姫「踏ミ出ス?」つかけうどん+ちくわ天、かき揚げ




鈴谷「2人の食事の様子見よっか」モグモグ




瑞鶴「よし乗った!」つ釜玉うどん+かぼちゃ天、かき揚げ




鶴姫「瑞鶴即答!?」




鈴谷「乗ってくれると思ってたよ瑞鶴!」




如月「あのお店なら外からガラス越しに見えますね。この間睦月ちゃん達と来たときもこの時間から混み始めますし丁度いいかも」




鈴谷「そ!それに人が多いからさっきみたいにしなきゃ大丈夫!」




瑞鶴「そんなもんなの?」




如月「ええ、それにそのお店時間制限コースがあるお店だから滞在時間も分かりやすいんですよ」モグモグ




瑞鶴「成る程、時間も決まってるなら大丈夫か、提督さん急かす人じゃないし」ズズッ




鶴姫「コレサクサクシテ美味シイ」




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一方その頃……




ドレイク隊隊員「あぁ、ネルちゃんの弁当美味いわー」モグモグ




ネル「ソレハヨカッタデス」ニコニコ




そこは鎮守府の詰所、守衛をしていたドレイク隊の隊員の元にお弁当を持ってきたネルこと重巡ネ級が詰所にいた。




ドレイク隊隊員「それにしてもこの弁当箱よく知ってたね、味噌汁入れられるやつ。死んだ釣り好きのじいちゃん思い出したわ」ズズッ




などと詰所で談笑していたらネルは近くに置いてあった書類に気がついた。




ネル「コレハ、外出記録表デスカ?」




ドレイク隊隊員「ん?そうそう出るのに外出許可書もらって番号が付いた外出証を渡したらかくんだよ」




ネル「成程、ン。鈴谷サン達ノ名前モ」




ドレイク隊隊員「ああ、瑞鶴ちゃん達と青のランエボでね」




ネル「サッキノ鈴谷サンノ車デシタカ、アレ?」




ネルはそこに以外な人物の名前が有ることに気がつき、その様子を横でお弁当を食べながら隊員が話した。




ドレイク隊隊員「ホント艦娘の娘達すごいよなー、ランエボだけじゃなくてハーレー乗ってる娘もいるんだからなー」モグモグ




と喋っていたがネルは何故か気になった。と言うのも鈴谷達が出てから10分後に外出し未だに戻っていなかった。

普通ならおかしな事はないがネルは彼女が用もなしにぶらぶらしてるのが想像出来なかった。




ネル「ナニシニ行ッタンデショウ?能代サン」




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??→能代side




ショッピングモールから離れた所にある海浜公園。そこにライダースとジーパン姿で自身の愛車に腰掛けていた能代が先程撮影した2人の写真を確認していた。




能代「……」ピッピッ




写真は問題なく撮れていた事を確認した。が能代は少し複雑な感情が自身の中にあることがわかった。




能代「…なんでだろう、榛名さんが立ち直ってくれて嬉しいのに」




榛名と初めて会ったのは能代が暁達4人と協力して前元帥に保護されていた港湾棲姫を連れて大本営から第3鎮守府へ逃げて来た時だった。


…あの時の榛名の事は覚えている。

自分の今までやって来た事が全て否定され自暴自棄になっていた事。自分の戦いを否定され絶望していた事。あの時の榛名は憔悴しきっていて何もかもが見ていて危なかった。




能代はそんな榛名の世話を自らやっていた。姉の阿賀野とは別の意味でほっとけなかった。阿賀野はほっといたら肥るだけだが榛名は何処か遠くに行ってしまいそうだった。




最初は榛名に疎ましくされていたが甲斐甲斐しく世話を焼くうちに少しずつ会話も増え、ルカやタキも協力してくれたことで次第に笑顔も見せる様になってきた。今では榛名の趣味のバイオリンがきっかけで4人で4重奏をやる位に仲良くなった。




だからこそカインに対しての好意が自分にも榛名にもあることに思うところがあり、一歩踏み出せずにいた。




能代「…私も難儀な性格ね」




いっそ開き直れば楽なのかとつい思ってしまう




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4人組side




鈴谷「はぁ、はぁ、撒いたかな?」ハァハァ




鶴姫「モ~鈴谷アレハヤリスギダヨ~」ハァハァ




鈴谷と鶴姫がいるのは隣のショッピングモール2階のゲームコーナー付近。2人共走っていたようで服が多少乱れており息切れしながら会話をしていた。




鈴谷「しょうがないじゃん!あのチンピラしつこいしさー、それに鶴ちゃんだってあいつらの1人の顔面に頭突きして殴り飛ばしたじゃん!」ハァハァ




鶴姫「ダッテ瑞鶴二乱暴シヨウトシテタモン!鈴谷ダッテ股関二蹴リ入レテ顔面二飛ビ蹴リシテル!」ハァハァ




何故このような状況になったのかと言うと少し遡り食事が終わり尾行を再開しようとした時で




「なぁ姉ちゃん達」




後ろから声をかけられた。鈴谷達が振り向くといかにも柄の悪い男達だった。その対応をしたのは瑞鶴。




瑞鶴「何かしら?」




チーマー「今暇?俺達と遊ばない?」




瑞鶴「悪いけど私達用があるから他の人誘いなさい」




ヤンキー「連れねえなぁ、いいじゃねぇかよ」




瑞鶴「あんたらと違って私達暇じゃないのよ。じゃあね」




チンピラ「うるせえなあ!とっとと来いよ!」グイ




瑞鶴「痛いわね!?何すんのよ!」




とここで男達の1人が瑞鶴の腕を掴み強引に連れて行こうとした。この行動に




ガシッ!




チンピラ「あん!?」




鶴姫「手ェ離セ」<⚫><⚫>




如月(あっ、マズイ)(・・;)




鶴姫が瑞鶴を掴んでいた男の腕を掴み本来可動しない方向にギリギリと腕をひねった。




チンピラ「いでででっ!?何だこのガキ!離しやがれ!」




鶴姫は言われた通り手を離し




チンピラ「ぶへっ!」




チンピラの鼻っ柱に頭突きをお見舞いし




鶴姫「フン!」




強烈な右ストレートで追い討ちして殴り飛ばした。




チンピラ2「じゃあお前でいい!来い!」グイ




鈴谷「私に触ってんじゃねぇよ!」




と鈴谷は鈴谷で掴んで来た男に




チンピラ2「おうっ!?」




金的をかまし




鈴谷「うりゃ!」




男の顎を捉えた飛び蹴りで蹴り飛ばした。




チーマー「おい!てめえら!」




と残った男達が鈴谷達にくって掛かろうとするが




警備員「そこで何をしてる!」




ここで警備員が来てしまったのだ。どうやら周りにいた野次馬が呼んでしまったようだ。




鈴谷「やばっ!」




如月「逃げちゃいましょうか」




瑞鶴「逃げるが勝ち…!姫!」




鶴姫「ウン!」




ここで4人は二手に別れその場から逃走、絡んで来た男達を置き去りにしてとんずらした。




チーマー「おい!待ちやがれ!」




警備員「待つのはお前達もだ!」




チンピラ共はそのまま警備員に捕まったようだが見てる暇はない4人共全力で走って逃げた。




特に鈴谷と鶴姫は相手に手を上げた事もありしっちゃかめっちゃか逃げ回り隣接している隣のショッピングモールまで逃げていた。




鈴谷「とりあえず大丈夫っしょ」ハァハァ




鶴姫「コレカラハ?」ハァハァ




鈴谷「一回外出て迂回する感じで向こう行こっか」ハァハァ




鶴姫「ワカッタ」




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提督side




4人がすったもんだどったんばったんしている頃、カインと榛名は悠々と食事をしていた。食事はバイキング形式となっておりカインは興味あるものをどんどん皿にのせていた。




カイン「色々ありますね、あっこれも美味しそう」ヒョイ




榛名「カ、カインさんそんなに食べるんですか?」




カイン「ん?はい、寧ろおかわりすると思いますよ」




ウェイター「お客様、こちらの小籠包出来立てですがいかがでしょうか」




カイン「あっ、それならせいろ1つ頂きますね」ヒョイ




榛名「あはは…」(^^;




榛名は呆気にとられながら2人は取ってきた料理をテーブルに並べ頂くことにした。カインは出来立ての小籠包に手を伸ばし




カイン「いただきます」




小籠包を一口で食べようとし




榛名「カインさん待って下さい!」




カイン「?」




時既に遅し、カインは一口で食べてしまった。




カイン「!!!」




出来立て熱々の小籠包。そもそも小籠包は中に具と共に熱いスープを包んでいる。それを知らないカインは噛んだ瞬間予想外の熱さに食べながら悶絶していた。




榛名「だ、大丈夫ですか!?」




カイン「み、みずを……」プルプル




榛名は直ぐにコップをカインに手渡し受け取ったカインは小籠包ごと流し込む勢いで飲み込んだ。




カイン「うう…熱かった…舌が痛い……」(;_;)




榛名「カインさん、小籠包は中にスープも入ってますから丸々食べるとそうなりますよ」




カイン「だから止めてくれたんですね…ありがとうございます……」




榛名(銃弾や砲弾は生身でも大丈夫なのにこういう食べ物の類いは人間と同じなのですね)フム




カイン「?どうしました?」




榛名「あ、いえカインさん猫舌だったんだなぁと思いまして」




カイン「そうです…でもどうやって食べるんでしょうか?」




榛名「こちらはこのレンゲを使いまして…」




そう言って榛名はカインに小籠包の食べ方を教えた。小籠包をレンゲにのせて割り、中のスープを出し少し冷ましてから一緒に食べた。カインは榛名の食べ方をまじまじと見て




カイン「成る程、そう食べるんですねでは早速…」




カインは榛名の真似をして小籠包を食べた。もちもちとした皮の食感、中の塩見が効いた餡、コクがありあっさりとしたスープ、先程食べた時は熱さのあまり何もわからなかった小籠包だがカインはこの料理をどのようなものか理解し楽しんでいた。




カイン「うん!美味しいですね」




カインが少年のような笑顔で食べている中榛名は




榛名(よし、ここで……!)




榛名が今行動を起こそうとしてのには理由が有る。と言うのも先日の夜の事、




タキ『イイ榛名?食事ノ時ニナッタラカイン様二「あーん」ヲ敢行シナサイ』




榛名『そんな…!?榛名恥ずかしいです!』




タキ『本当二イイノ?カイン様ハ逆二シテクルワヨ?』




榛名『はいぃ!?』




ルカ『本当ヨ榛名。今ノ所クー様ヤ睦月チャン達グライシカ二シテナイケド』




タキ『クー様ヤ睦月チャン達ニハ大丈夫ヨ。仲ノイイ兄妹ニシカウツラナイカラ。デモ如月チャンハ除クワヨ』




ルカ『榛名。ココハ「やられる前にやれ」ヨ』




タキとルカとの会話を思い出し榛名は意を決した。戦場に立っているのと同じくらい緊張しているのが自分でも分かる。そしてレンゲにのせた小籠包を冷まし




榛名「あ、あの!カインさん!」




カイン「はい?」




榛名「あ、あーん」




カイン「!」///




榛名は敢行した。その手は少し震えていた。

対するカインはいきなりの状況に顔が赤くなって少しどぎまぎしていた。が




カイン「あ、あーん!」パクッ




カインは素直にあーんをされた。顔は真っ赤なまま紛らわす為に味わうように咀嚼




カイン「お、美味しいです…」///




緊張しすぎていて、味など分からなかった。




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4人組side




瑞鶴如月「「ぎぎぎぎ……」」ギリギリ




一方こちらは瑞鶴と如月、鈴谷と鶴姫とは違い手を出していないことが幸いしたのか上手く逃げており2人が食事しているレストランにたどり着いていた。


……そしてあーんを目撃していた。




如月「まさか榛名さんがやるとは思いませんでしたね……」(小声)




瑞鶴「お互い顔真っ赤じゃない、端からみれば初々しいカップルだわ」(小声)




如月「睦月ちゃん達にもあんな顔しませんよ……」(小声)




瑞鶴「クーちゃんも見たことないんじゃない?」(小声)




そう言った瑞鶴はカメラを手に取り周りに気付かれない様にシャッターを切った。




瑞鶴「この日の為に川内から借りた消音カメラ、これ本当に便利だわ」(小声)




如月「本当にシャッター音しませんね、まああんな状態じゃ気付かないわね」(小声)




瑞鶴「2人共普段警戒心強いのにテンパりすぎてて助かるわ。ん?」(小声)




瑞鶴がシャッターボタンから手を離し、うつむき出した。




如月「どうしました?」(小声)




瑞鶴「…鶴姫からで『合流不可、先に車で待機してる』って」(小声)




如月「…仕方ありませんね」(小声)




瑞鶴「全くよ」(小声)




2人してため息が出てしまった。




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提督side




途中から味が解らなくなるわ周りから生暖かい目で見守られながら食事をした2人、まだ顔が赤くお互いにお互いの顔が見れなくなりながら今は榛名が行きたかった楽器店に来ていた。




カイン「榛名さんはバイオリンを弾かれてますよね、今日は?」




榛名「今日はタキさんの使ってるバイオリンをメンテナンスに必要な物を見に、日々のお手入れは大切ですから」




カイン「成る程」




とカインは納得しバイオリン等の弦楽器以外に目を向けた。ドラムやパーカッションなどの打楽器、サックスやフルートなどの木管楽器、トランペットなどの金管楽器、種類も多種多様であり興味深く見ていた。




カイン「皆本当に榛名さんや夕禅さんの影響が強いですね。鎮守府にいる娘達も楽器に強い興味を持ってますから」




榛名「そうなのですか?」




カイン「ええ、僕達には無い文化でしたから」




そう深海棲艦達に音楽を始めとした芸術というものに縁がない、だからこそ人間と関わりを持って初めて触れたものであり皆興味を持っていた。




カイン「だから僕は皆でオーケストラみたいなことをしたいんですよね。海軍の楽団とはいきませんが皆でやりたいです。鎮守府の兵士さんの中に楽隊にいた方もいますからいい機会だと思っています」




榛名「いいと思います!」




カイン「ふふっ、その時はバイオリンリーダー、お願いしますね」




榛名「えっ!あっ、はい!」




カイン「ふふふっ、他の皆は何をやりたいかなぁ?夕禅さんや榛名さんの影響でピアノやバイオリンは人気でそう。あっでもオーケストラにピアノはないか」




カインは楽しそうに笑いながら榛名に話していた。その目は明らかにこれからの事を見ており未だ進むことが出来ていない榛名には眩しく見えた。




カイン「?どうしました?」




榛名「えっ!?いえ、なんでもないです!」




カイン「ふむ…」




榛名「だ、大丈夫ですよ!カインさん、榛名は大丈夫です」




榛名はカインに自分は大丈夫だと言って誤魔化そうとした。そのカインは




カイン「…わかりました。すいません榛名さん」




榛名「い、いえいえ。ふふふっ」




榛名が無理をしてるのはカインはわかっていた。が今言うことではないとしてあえて聞かなかった。




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4人組side




一方こちらは鈴谷と鶴姫。遠回りして瑞鶴と如月に合流しようとしたら外にパトカーと救急車が自分達に絡んだ野郎達を搬送していたので後の尾行は瑞鶴達に任せ鈴谷の車の中に待機していた。




鈴谷「ごめんね鶴ちゃん。巻き込んじゃって」




鶴姫「最初二殴ッタノハ私ダヨ。謝ラナイデ」




鈴谷「それにしてもおとなしい鶴ちゃんが一般人殴るなんてね~」




鶴姫「ダッテ、瑞鶴ホントニ嫌ガッテタモン……」




鈴谷「わかってるよ。端からみても絡まれてる友達助けただけだもんね~。先に掴みかかったのあっちだし」




鈴谷は笑って鶴姫に言った。不安がっている鶴姫を安心させる様に




鶴姫「アリガト、鈴谷」ニコッ




鈴谷「そうそう、笑ってるのが一番だよ」




そう言い2人で笑っていたが、ふと鶴姫があることが気になった。




鶴姫「ソウイエバ鈴谷、熊野トハドウイウ関係ナノ?」




鈴谷「えっ、熊野?うーん、鶴ちゃんなら言ってもいいか」




鈴谷は少し考えてから鶴姫に言った。




鈴谷「熊野は鈴谷のお姉ちゃんだよ。血は繋がってないけど」




鶴姫「血ガ繋ガッテナイ?」




鈴谷「うん、私さ養子なの。熊野んとこの」




鶴姫「養子?」




鈴谷「うん、鈴谷さ、親の顔知らないんだ。物心ついた時には施設にいたし」




鈴谷はその続きを鶴姫に話した。




鈴谷「熊野がさ、小っちゃい時に仲の良い姉妹を見てさ、『私も弟か妹が欲しい!』って両親にねだったんだって」




鶴姫「熊野ガ?」




鈴谷「そ、でもさこれ鈴谷もお義母さんに聞いたんだけどお義母さんさ体弱くて、熊野の産む時も帝王切開で産んで奇跡的に生きてたらしくて2人目は無理って言われてたんだ」




鶴姫「帝王切開?」




鈴谷「赤ちゃん産む時に切開、あ~分かりやすく言うとお母さんのお腹切って赤ちゃんを取り出す事なの。熊野は逆子だったらしくて自然分娩だとお義母さんが死ぬ危険性があったんだって」




鈴谷は続ける




鈴谷「両親も子供欲しかったらしくて、その時思いついたのが身寄りのない子を引き取ろうってな訳。それで施設でも孤立してた鈴谷を引き取ったの」




鶴姫「孤立?」




鈴谷「うん、鈴谷この髪の毛地毛でさ、周りから気味悪がって見られて腫れ物扱いだったんだ。でもそれが起因して熊野ん家に引き取られたから感謝してるよ」ニッシッシ




鈴谷はそう言うと楽しそうに笑った。本当に楽しそうに笑っていて鶴姫は安心した。




鈴谷「熊野ん家に引き取られてからは良かった。自分に居場所があるって感じれた。熊野は優しかったし両親も鈴谷を本当の娘みたいに扱ってくれた」




楽しそうに話す鈴谷を鶴姫はずっと見ていた。




鈴谷「それにさ艦娘になって色々あったね、武蔵さんに連れて来てもらって鶴ちゃんや古鷹達に会ったり、暁ちゃん達に勇気貰ったり、で」




鶴姫「鈴谷?」




鈴谷「摩耶には引導渡したしね、でも鳥海がまだいるからねぇ~」




鶴姫「ソウデスネ、デモソレガ?」




鈴谷「熊野、ああ見えて根に持つタイプでさ、腹の虫が全く収まってないんよ。鳥海も鈴谷のこと摩耶と虐めてたから、熊野はああゆうの絶対許さない人間だし、きっちり落とし前つけないと納得しない人間なんよ」




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熊野「っくしゅっ」




睦月「熊野さん、風邪ですか?」




熊野「いえ、多分鈴谷あたりが噂しているだけですわ」




睦月「そういえば熊野さん今日お休みでしたよね?どうしたのですか?」




熊野「ええ、鈴谷と変わったのですわ」




それは昨日のこと




鈴谷『お願い熊野!明日変わって!』




熊野『いけませんわ』




鈴谷『本当にお願い!』




鈴谷の必死なお願いを前に




熊野(いけませんわ!鈴谷も艦娘と言えど軍人なのですから何時までも甘やかしては)




胸中穏やかではなかったが




鈴谷『お姉ちゃん、お願い』ウルウル




上目遣いをし、お願いしてきた鈴谷を前に、色々考えていた感情が目の前の義妹の行動で全部ふっ飛んだ




熊野『し、仕方ありませんわね!今回だけですわよ!』///




熊野「私もまだまだ甘いですわ…」ハァ




睦月「?」




白露「やっと仕事終わったーー!」




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鶴姫「アレ?」




鈴谷「どしたの?」




鶴姫「瑞鶴カラデ『提督さん達が移動するから戻る』ッテ」




鈴谷「了解~ってことは次は」




鶴姫「海浜公園デスネ」




鈴谷「軽くドライブといっきましょう。瑞鶴達が来たら出すよ。先回りして公園張り込む」




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提督side




こちらはカインと榛名。楽器店での買い物を終えてのこと




榛名「今日はありがとうございます。カインさん」




カイン「いえ、僕も色々勉強になりました」




他愛もない会話をしていた2人、ふとカインは




カイン「にしても、御飯の後なんですが何で外に救急車とパトカーが止まってたんでしょうか?」




榛名「さぁ?事故か何かあったのでしょうか?」




カイン「なんだか物騒ですね。僕達も気をつけましょう」




それが自分の部下が起こした事とは露にも思わず話すカイン。榛名は車に乗り込みながら




榛名(お話を聞くかぎり鈴谷ちゃんですよね、緑色の髪って…)




野次馬が言っていた目撃情報が聞こえてしまいふと思ってしまったがカインに気にされたくなく違う話題を話すことにした。




榛名「そういえばカインさんって車以外も運転なさるんですね。この間はヘリを操縦されてましたけど」




カイン「ええ、皆さんに詰め込み教育をされまして、車とバイクとヘリを取得した後に夕禅中将の影響もありまして戦闘機のライセンスも、英語も操縦に必要な部分と日常会話程度なら出来ますよ」




榛名「えっ?カインさん、いえ提督ってまだ海軍に編入されてまだ半年ですよね…?」




カイン「ええ、車などの操縦を覚えてから免許は試験場に行って一発試験で取りましたから。ヘリや戦闘機は特別カリキュラムを組んで頂いて取得しました」




あっけらかんと話すカインの話を聞く榛名は途中から呆然としてしまう。それを見たカインは




カイン「だから、やっぱり僕は人間とは程遠い存在なんだなと感じました」




榛名「えっ?」




カイン「僕達は操作等の機械的に覚えることは何も問題が無いんです。勿論それは戦闘においても変わりません。用は人間にとっては僕達は生体兵器、機械みたいな存在なんですよ」




榛名「そんな…!でも……」




カイン「そう言って頂けるのは嬉しいことです。ですが事実ですから」




そういわれなんと言っていいか判らず黙ってしまう榛名、しかしカインが




カイン「ですから僕達はこうして様々な人と交流が出来るのが楽しいんです」




榛名「えっ?」




カイン「人の多種多様性というのは時として異種族に感化することがあります。実際僕がそうでした」




榛名「提督が…ですか?」




カイン「ええ、僕のあだ名、覚えてますか?」




榛名「提督のあだ名?あっ」




カイン「もうわかりましたね。『大馬鹿野郎』です。龍生少将がふと言った言葉を母さんが気に入ってそのまま定着しました。理由は『いいじゃない、人間臭くて』だそうです」




榛名「ミズキさんが?」




カイン「ヒトは時として感情で動くものだと母さんが言ってました。恐らく夕禅中将や龍生少将達の事を言っているのだと思います」




榛名「感情で動く…」




カイン「それに、少なくとも僕についてきた皆はすっかり感化されてます。何よりも行ったとしてそれが最良の結果になるとは限らないということを知り考えるという結果になったのが大きいですね」




とここまで言いきりカインがエンジンをかけた




カイン「さて、長くなってしまいすいません。榛名さん行きたい所はありますか?」




榛名「えっ!?あっはい、なら海浜公園に」




カイン「わかりました」




ショッピングモールから海浜公園は少し距離がある、その間車内には穏やかな時間が流れた。




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瑞鶴「ちょっと!能代さんこれはどういうことなんですか!」




此方は海浜公園に着いた鈴谷達4人なのだが鶴姫が駐車していた能代のバイクを見つけた事がきっかけでロケハン含めて能代を探したところ発見。鈴谷が接触し気を逸らした間に瑞鶴がカメラを盗み見た事でややこしい状態になってしまった。




能代「お、落ち着いて……」




予想以上の瑞鶴の剣幕に押されてしまい口ごもってしまう能代。




鶴姫「瑞鶴、落チ着イテ!」




鈴谷「そうだよ!能代さんびっくりしてるじゃん!」




如月「あの、もしかしてショッピングモールから?」




能代「ええ、皆より先にショッピングモールに居たの、それで見つかりかけて早々に引き上げたのよ」




瑞鶴「で、何で能代さんが盗撮なんてしたの?」




盗撮とは人聞き悪いが場合が場合である。気が立っている瑞鶴を宥めながら鶴姫が聞いた。




鶴姫「能代サン、モシカシテタキサン達ニ頼マレタンデスカ?」




鈴谷「ふぇ?」




如月「タキさんが?」




能代「はい。タキさんに2人のデート風景を撮って欲しいからって頼まれてしまって…」




瑞鶴「それならそうと言ってよ!」




鈴谷「だ~か~ら落ち着きなよ瑞鶴!」




如月「…本当にそれだけですか?」




能代「…!」




鶴姫「如月サン?」




如月「いえ、それなら多分ですけどそれだけなら如月達に頼むと思うんですよね?あのお2人なら如月達が行くこと感付くと思いますし、能代さん、まだ何か隠してませんか?」




能代「そ、それは…」




鈴谷「ちょい待ち!提督と榛名さん来た!隠れよ、こっち」








カイン「いい、景色ですね」




榛名「はい…」




もう夕暮れ時の海浜公園、この公園も深海棲艦が来るまでは人気のデートスポットだったが今では人も疎ら、現に今も人はカイン達以外見当たらない。




カイン「夕暮れ時、確かにこの景色は綺麗ですねぇ」




榛名「……」




榛名はカインを見ていた。夕日に照らされた髪がキラキラと輝き神秘的に見えた。そして榛名は意を決した。




榛名「提督、実は……」




榛名はそこまでで言いかけた。それから先の言葉が詰まってしまう。

それを




鈴谷「榛名さん何て言ってんの?」(小声)




鶴姫「マダ確信シタコトハ言ッテナイヨ」(小声)




能代「……」




如月(能代さん?)




気が気じゃない4人だが如月は心配そうに榛名を見る能代が気になった。




カイン「何でしょうか?」




榛名「私を…私を復隊させてください」




鈴瑞鶴如「「「「!!?」」」」




カイン「…理由を聞いてもいいですか?」




榛名「私が艦娘だからです。それにテスターのお仕事も区切りがつきましたので」




カイン「……」




榛名の復隊理由をカインは榛名の目を見据えて聞いていた。そしてカインは




カイン「あの事は貴女に非はありませんよ」




榛名「!」




カインの答えに榛名は血の気が引いた。カインの言う『あの事』と的確に言われもう誤魔化しも効かない




榛名「違いますよ提督。榛名は大丈夫ですから」




カイン「榛名さん!」




また榛名はビクりとした。もう自分で自分の中の糸が極限に張っているのが分かる




カイン「自分は大丈夫だからと言うのは貴女の悪い所ですよ。大丈夫な訳ありませんよ。あの時のことは」




榛名「ですが……!」




榛名は俯いてしまった。表情は伺えないがカインにはわかってしまう。




カイン「あれを見てしまったら皆そうなります。榛名さんが悪い訳では」




榛名「ですが!私は見殺しにしたんです!何の罪もない人達を!子供を!」




カイン「それは貴女のせいではありません!不可抗力です!」




榛名「その場にいなかったのに!無責任な事を言わないで!」




カイン「だからと言って貴女が今も抱えてもどうなるんですか!それに、それに榛名さんの艤装と同調した時に僕は全て知りました」




榛名「え……!」




カイン「あの時の榛名さんは三笠中将のやり方に疑問がありましたね。だから三笠中将が組織した囚人部隊が派遣されたサイパン島に向かい真実を確かめた」




榛名は顔を上げカインを見た。もう今にでも泣きそうになっている。




カイン「そこで行われていたのはサイパン島にいた僕達とは別の好戦派深海棲艦の補給物資の強奪でした。サイパン島の住民達は好戦派の深海棲艦がいることを知っていた。ですがこの深海棲艦の部隊は相互不干渉をとるなら何もしないと言っていました」




カイン「ですがそれが悲劇を産んでしまった。囚人部隊は島の住民達が深海棲艦と内通していたと判断し独断で住民達に略奪と口封じを行ったんです」




カインはここまで言い、榛名の目を見据えて続けた。




カイン「榛名さんが来たのはその直後だったんですよ。そして見たのは」

榛名「やめて……!言わないで!」




カイン「私刑で殺された親子を見た貴女はその場にいた囚人兵を皆殺しにし島をさまよいまた私刑にかけられた住民を見てしまった」




カインの言葉に榛名は勿論隠れて聞いていた鶴姫以外の鈴谷達も絶句していた。




カイン「僕もあの島にいました。あの光景もこの目で見ました。あの時夕禅中将や龍生少将達が来ることがなかったらもっと酷い惨状なったでしょう」




鈴谷達は想像してゾッとした。そしてあの時自分たちが第3鎮守府に着いた時を思い出した。サイパン島から生きて帰ってこれ負傷した陸軍軍人や難民で溢れていたこと、帰投したばかりの古鷹達や自分達の鎮守府を追われた睦月ちゃん達や天龍達が自分たちを蔑ろに治療にあたっていたこと、保護された穏健派の深海棲艦達が炊き出しや治療を手伝っていたこと


そして、提督達が帰投後負傷兵の治療後直ぐに前元帥の救出へ向かったこと、初めてカインと出会った時の事を鈴谷は覚えている。自分も傷だらけの包帯姿にも関わらず治療に当たっていた




カイン「貴女は見殺しになどしていませんよ」




カインは努めて穏やかに榛名に接した、が




榛名「…」




榛名は黙りこくってしまい2人沈黙が流れる




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如月「能代さん、このこと知ってましたね?」




能代「…はい」




鈴谷「なんで鶴ちゃんでも知らないことを知ってたの?」




能代「タキから聞いてました。今日榛名が提督に復隊を願い出ると。もしも榛名が実力行使に出たら雰囲気ぶち壊しても乱入しろと言われました」




瑞鶴「なんで能代さんに?」




鶴姫「能代サンダカラカナァ」




如月「ですね。ずっと榛名さんのこと面倒見てましたもんね?」




鈴谷「全員黙って、動きあった」




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沈黙の中先に動いたのはカインだった。カインはおもむろに




榛名「え…」




榛名を自分の胸元へ抱き寄せた。鈴谷達が見ている前で




鈴瑞鶴如能「「「「「!?」」」」」




榛名「カインさん…?」




カインは黙って榛名を抱き締め続けた。暫し経った頃榛名を抱き締めたまま




カイン「…『悲しみ』は、分け合うことが出来ますよ」




榛名「え…?」




カイン「悲しみは1人で抱え続けてしまうとその感情は『恨み』となり『憎しみ』へと変わります。そうなってしまえば誰かを理解する事は出来ません」




榛名「でも、榛名にはそんな……」




カイン「そんな事、それこそ他人が口を出すことではありませんよ、それに」




榛名「…?」




カイン「大切な人が苦しんでいるのを見過ごす事は出来ません」




その言葉に榛名ではなく大切な人という言葉に鈴谷達が反応し気が気じゃなかった。




榛名「榛名が大切な人…?」




カイン「ええ。貴女は、自分より弱い人の為に力を使う事が出来る素晴らしい人です。それを損得無しで出来る貴女を私は尊敬しています」




榛名「……」




カイン「だからこそ、榛名さん。改めて聞きます」




カインは榛名に抱き締めるのを放すと歩を進めて榛名に向かい合った。




カイン「貴女は、戦う覚悟がありますか?」




榛名「覚悟…」




カイン「僕の信念を信じ、同じ艦娘を手にかけてまで戦う覚悟を決めた鈴谷さん。例え姉妹艦と言えど容赦なく戦い命を奪うことを決めた瑞鶴さん。その瑞鶴さんと戦うこと決めた鶴姫さん。非力だろうと僕の力になりたいと言った如月さん。いつも笑顔で機転が効き僕の1番になりたいと言う白露さん」




カインはここまで言い榛名の目を真っ直ぐ見据えて




カイン「貴女は、彼女達と肩を並べて戦う覚悟がありますか?」




榛名「!」




榛名は驚いているがもっと驚いている鈴谷達。中でも如月にはその意図がわかった。




カイン「今後の為に第3鎮守府にも部隊を作ることが決まりました。ですから僕は、指揮を執る隊員を、肩を並べることが出来る者に、大切な人にお願いする予定です。鈴谷さん達5人は確定しています」




榛名「あの、榛名は……?」




カイン「貴女が復隊するのであれば僕は入って頂きたいと思っています」




榛名「私に、務まりますか?」




カイン「貴女の長距離砲撃の技術と丁寧な艤装操作力は埋もれさせるには実に惜しい」




カインは今までの榛名の戦闘データ、テスターとしての実績、南鳥島海戦での戦果を踏まえての答えだった。暫し沈黙が流れ鈴谷達も緊張して見ているなかで




カイン「……」




榛名「……」




お互いに黙ってしまった。カインは榛名からの返事を待っている




榛名「提督」




そして榛名からの答えは




榛名「私は出来る限りでしか出来ませんが、慎んでお受けします。そして私の勝利を提督に」




カイン「ありがとうございます」




カインはその時改めて榛名を見据えた。夕日に照らされた髪は輝く様に見え、何よりも決意を決めた榛名の目に吸い込まれそうな感覚を覚えた。そして




榛名「カインさん……」




いつの間にか榛名の頬に手を添え抱き寄せた。榛名はカインに流されるままに目を閉じ2人はいい雰囲気となりキスをしようとしたその時……!




鈴瑞「「ちょっと待ったぁぁーーー!!!」」




カイン榛名「「!?」」




鈴谷達が乱入して台無しとなった。ちなみに邪魔された形になった2人は顔を真っ赤に榛名に至っては軽くパニクった。




カイン「なっ…?えっ……!」///




榛名「鈴谷さん?えっ、能代も?」///




如月「ちょっと榛名さん?抜け駆けはいけませんわねぇ?」




榛名「えっ……えっ?」




瑞鶴「そうよ!私達がいつもどんな思いで提督さんに……!」




鶴姫「私達ガバカミタイデス」(#--)




鈴谷「能代さんもなんか言いな!」




能代「えっ?」




如月「能代さんも司令官のこと好きですよね?」




能代「えっ!ですが私は…」




瑞鶴「もう!はっきり言いなさいよ!好きなんでしょ提督さんのこと!」




能代「……」プルプル




鶴姫「ハッキリシテクダサイ。提督ノ事ハ?」




能代「ええ!お慕いしてますよ!好きですよ!男性として好きですよ!文句ありますか!?私はありますよ!このままじゃ私だけ蚊帳の外ですからね!」




そして榛名達の隠し撮りからもやもやしていた能代は半ばヤケクソ気味に開き直りカインに迫った




能代「提督!私も提督の部隊に編入を希望します!よろしいですね!」




カインは予想してなかったことが瞬く間にいろいろ起こりポカンとしてしまっており脳内処理が間に合わなかった。そしてヤケクソ気味な能代が




能代「いいんですか!?駄目なんですか!?」




如月「の、能代さん落ち着いてください」




能代「それとも覚悟ですか!?提督!?」




カイン「えっ?」




能代「なら証拠をお見せします!」




そして能代は皆の前で




カイン「!」

鈴瑞鶴如榛「!!」




強引にカインの唇を奪ったのだった。




鈴谷「先越された……!」




目の前の状況に鈴谷を始め絶句した。普段落ち着いている能代がまさかの行動に出たからだ。まさか提督にキスをするとは…




能代「これでも駄目ですか?」




カイン「……」( ゜゜)




如月「いけません!司令官の思考が止まってます!」




鶴姫「瑞鶴!オ水!」




瑞鶴「了解!提督さん目を覚ましなさい!」




と瑞鶴は自販機で買ってきた水をカインに容赦なくぶっかけた。するとカインは直ぐに我に返り状況を纏めることに努めた。


5分が経過し




カイン「皆さんありがとうございます。落ち着きました」




端からみればただの痴情の縺れにしか見えないこの状況、流石のカインも理解が追いついてきたようだった。




カイン「1つ1つ確認しましょう。まず榛名さんは僕の部隊の所属となります」




榛名「はい…」




少し不機嫌そうに返事を返した榛名。無理もない




カイン「そして能代さんも所属を希望、ですね?」




能代「はい……」///




落ち着いたことによって自分のやらかした事に対して顔を真っ赤にしている能代




カイン「分かりました。この続きは帰った後で元帥に報告して正式に決まります。勿論鈴谷さん達もよろしいですね?」




鈴谷「了解~」




鈴谷達も不機嫌そうだがこちらも無理はない、がなんとか平静を保っていた。



……なんとも言えない険悪な雰囲気となってしまった。普通の男女なら修羅場待ったなしだが

普通でないこの一団。暫し沈黙した後




カイン「これは僕の責任ですね」




鈴瑞鶴如榛能「「「「「「えっ?」」」」」」




榛名「提督?」




カイン「今ごろになって皆の気持ちに気付いてしまい申し訳ありません。僕が至らなかった事が原因です」




カインは6人に対して土下座並みに頭を深く下げ謝罪した。今さら過ぎであり本来であれば女性陣にフクロにされるのだが




榛名「顔を上げてください提督!」




鈴谷「そ、そうだよ!ちょっち鈴谷達も悪かったって~!」




鶴姫「瑞鶴モ謝ロ、ネ?」




なんだかんだ言って根がいい娘達なのであった為そういう事態にはならなかった。皆いい娘達なのである


さらに5分後




如月「取り敢えず司令官とはまた各々別でデートして埋め合わせと言うことで皆さんいいですね?」




全員「はい」




瑞鶴「それで提督さん、部隊のことなんだけど」




鈴谷「明日、鎮守府で聞こうよ。流石に人いないからってここでする話じゃないし」




カイン「そのほうが助かります」




鶴姫「ジャア帰ロー」




カイン「それなら能代さん、僕の車に予備のヘルメットがあるので榛名さんをお願いします。僕は鈴谷さん達と寄るところがあるので」




能代「はい、でもなぜですか?」




如月「あら?」




鈴谷「なになに?鈴谷達と御飯行くの?」




カイン「いえ、行くのは警察署です」




この言葉に鈴谷達4人は固まり目が泳ぎに泳いだ。




瑞鶴「なななな何を言ってるの提督さん?」アセアセ




如月「もう、司令官も人が悪いんだからぁ」アセアセ




カイン「僕の聞いた限りだと鈴谷さんが相手を蹴り飛ばしたって所まで聞いていますよ」ニッコリ




榛名「やっぱり存じ上げたんですね……」

(;^∀^)




カイン「皆さんに正統性があったことも把握しています。今後の為にも一緒に行きますよ」




鈴瑞鶴如「「「「はい…」」」」




カイン「大丈夫ですよ、如月さんがボイスレコーダー回して録音してますから。能代さん榛名さんをお願いします」




能代「は、はい!」




一同は車に向かいカインが榛名にヘルメットを渡し車を出した。その時にカインの車に如月が乗りこむ辺りちゃっかりしている。そして残された能代と榛名




能代「じゃあ帰りましょうか…榛名」




榛名「ええ…」




こちら残された2人はなんとも微妙な空気であり榛名はなにか考えているようだった。気まずさから能代はそそくさとバイクのエンジンをかけ




榛名「能代」




能代「な、なに?」




榛名「榛名は、負けませんから!」




能代「へ…?」




能代はいきなりの事で頭が追い付かったが榛名の何か決意に満ちた表情を見て察した。




能代「私も、もう遠慮はしませんよ?」




榛名「ええ、ですからこれからもよろしく」フフッ




能代「こちらこそ」フフッ




お互いの気持ちを理解する事ができた2人、なんだか妙におかしくかんじてしまい笑ってしまう。帰ったら腹を割って話そうと2人はバイクに乗り公園を後にし帰路についた。

そしてカイン達はと言うと




警官「まあ、今回は目撃者もいますし証拠もありますから一応正当防衛に当たりますのでそれで処理させて貰いますが今後は逃げないでくださいね?」




鈴瑞鶴如「「「「ごめんなさい…」」」」




カイン「この度はご迷惑をおかけしました」




警官「今回はこれで終わりですからもう結構ですよ」




瑞鶴「えっ?もういいんですか?」




瑞鶴の質問に対応していた若い警官は回りに気付かれない様にカインと瑞鶴に耳打ちをした




警官「大きな声で言えませんがあの連中ちょっと面倒な奴らでして助かりました」ヒソヒソ




瑞鶴「そういう事ね」




カイン「それではこれで失礼します」




警官「はい、お気をつけて」




カイン達は用事が終わり警察署から出てきた所だった。慣れない状況だったのか鈴谷達は若干お疲れである。




鈴谷「あー疲れたー。堅っ苦しかった」




鶴姫「デモ如月サンノレコーダーノオカゲテ私モ鈴谷モ助カリマシタ」(^^)




瑞鶴「でも何でボイスレコーダーなんて持ってるの?」




如月「証拠は大切ですから」フフッ




カイン「とは言えもうこんな時間ですね。鎮守府に帰りましょう」




4人組「はーい」




そしてカインと鈴谷は車を出し鎮守府への帰路に着いた。その最中で




如月「司令官。部隊編成のことなんですけど」




カインの車にまたちゃっかり同乗していた如月がある事が気になってカインに聞いていた。




カイン「何でしょうか、如月さん」




如月「部隊章って考えてるのかしら?」




カイン「ええ、実は一月前に元帥から話がありまして僕の部隊章はこれに決めました」ピラッ




カインはジャケットの裏ポケットから一枚の紙を取り出し如月に手渡した。




如月「あら、もう決まってるんですね。どれどれ…」




その部隊章を見た如月は改めてカインをまじまじと見て思わず




如月「プッ、フフフッ」




吹き出して笑ってしまった。




カイン「あれっ?可笑しかったでしょうか?」




如月「そうじゃありませんわ。ただこの部分完璧に司令官意識してますよね?」




カイン「ああ、そういう事でしたか」フフッ




笑っていた如月につられ笑ってしまったカインだった。




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翌日の埠頭。そこには艤装を装備した榛名を始め7人が揃っていた。




瑞鶴「提督さんは?」




榛名「もうすぐ来るはずです」




如月「司令官、今日に合わせて司令官用の艤装も準備してましたからね」




白露「そーだね…」




鶴姫「白露元気ナイネ、ドシタノ?」




鈴谷「自分の居ないとこで誰かさんに提督のファーストキス盗られて凹んでるんよ」チラッ




瑞鶴「そういう事」チラッ




白露「うん、そういう事」ジー




能代「あ、あはは……」(;゚∇゚)




榛名「ま、まあまあ」




そんな事を話していると




カイン「皆さん、御待たせしました」




カインが自分用に調整された艤装を提督軍服に纏いやって来た。




白露「提督!」




鈴谷「提督~待ったよ~」




瑞鶴「提督さん、その艤装って…」




鶴姫「榛名サンノ艤装デスカ?」




カイン「ええ、海軍に正式採用された量産型高速戦艦艤装。通称「榛名型戦艦艤装」これは僕専用仕様ですがね」




瑞鶴「提督さん仕様?」




如月「ダズル迷彩の35㎝連装砲塔4門に5連装魚雷2門にCIWSとAWSの対空システム、おまけに広域索敵システムって…」




鈴谷「なにこれ?イージス艦?」




カイン「あらゆることに対応出来るようにとリクエストしたら」




瑞鶴「まあ、提督さんならこんだけ積んでても大丈夫か。ん?提督さんその魚雷発射管の裏のは?」




カイン「あっこれですか?これは近接兵装の」カチャ




鶴姫「オオー、剣ダー」




能代「剣にしてはギザギザして変わった刀身ですね」




カイン「フランベルジュという炎をイメージした剣だと聞いてます。この魚雷発射管も撃ち尽くした後は盾変わりに使える様に作って貰いました」




いたせりつくせりのカインの艤装だがここで榛名が何故自分の名前が付いているのか気になった。




榛名「あの、提督何で榛名型戦艦艤装って名前が?」




カイン「好戦派が金剛型戦艦艤装として使用している為それと区別するためです。今では海軍に在籍しているのは榛名さんしかいないからと言うことでこの呼び名になりました」




鈴谷「まあ妥当だね~」




白露「って言うか提督強すぎない?」




カイン「いえいえ、皆さんもいろいろ艤装を改造してますからこうでもしないと付いて行けませんよ」




能代「謙遜し過ぎですよ提督」




白露「そうだ!提督部隊章なんだけどこの服メーカーのタウ○ンのマークみたいなの何?」




と白露が指摘した。そして皆が各々の艤装に付いた部隊章を確認した。

海と二つの勾玉が合わさって一つの球体になったもので横に描かれた札に「MARE」と文字が入っていたものだった。




カイン「それは陰陽玉と言うもので僕や母さんが昔お世話になった人の持ち物を連想していれたんです」




白露「へ~、あっ!」




鶴姫「ドシタノ?」




白露「ここ提督の瞳だよね?陰陽玉のなかの色」




鈴谷「なかの色?」




榛名「ここですね。勾玉のなかの色が提督の瞳の色になってますね 」




榛名が指を指した部隊章の陰陽玉を確認すると左の白い勾玉には金色、右の黒い勾玉には赤色とカインのオッドアイを模していたのに先に気付いた如月以外の皆が気が付いた。




カイン「ふふっ、この部隊章ちょっとした仕掛けもあるんです」




瑞鶴「ちょっとした仕掛け?」




カイン「如月さん、いつもみたいに僕と同期しようとしてみてくれませんか?」




如月「いいですよ?」




そう言った如月はいつもみたいにしてみると……




如月「あれ?出来ますよ?」




如月の瞳は赤色と金色のオッドアイになっておりカイン以外の全員が驚いていた。




カイン「これがこの部隊章の力です。皆さん今までは僕と合わせないと出来ませんでしたがこの部隊章がある限り各々で能力を解放出来るようになります」




鈴谷「へぇ~、なら鈴谷も」




鈴谷は目を閉じて試してみる。すると




鈴谷「おー!出来た出来た」




鈴谷の瞳も赤色と金色のオッドアイに変わっていた。




鶴姫「私ハドウナルンダロ?」




鶴姫が試したところ




瑞鶴「鶴姫元々目赤いからあんま変わんないわね」




鶴姫「デモ感覚ハ変ワッタヨ~」




白露「提督、これって全員出来るの?」




カイン「ええ、全員同時に使用することが出来ますよ。勿論能代さんも」




榛名「能代も?」




能代「実は、私も適合率28%位しかなくて、提督のおかげで今は84%まで上げてもらったの。ってさっきから気になってたのだけど榛名、その艤装の下のは?」




能代が気になったのは艤装の下部に取り付けられている折り畳まれたようになっている物体だった。




榛名「これですか?これは…」ガシャン!




鈴谷「えっ?榛名さんガンキャノンみたいになってるけどマジで何それ?」




如月「まさかこれってレールガン?」




榛名「はい、私用に調整してもらった連装レールキャノンになります」




鶴姫「オー」




能代「レールキャノン……、榛名推定射程距離は?」




榛名「確か明石さんの話だと出力100メガジュールなのでミニマムエナジー軌道だと推定600キロって言ってました」




瑞鶴「もう反則じゃない……?」




鈴谷「いや、綺麗なお前が言うなだよ瑞鶴」




白露「装甲空母艤装を改良して陸上機も使えるんだっけ?」




如月「機体なんでしたっけ?」




瑞鶴「鶴姫もだけど使用機体はF15のC型とE型、あとは予備機としてF16と対艦用のFA18よ」




鶴姫「後ハトッテオキノ飛行隊」




鈴谷「如月ちゃんは?」




如月「私は対空仕様でCIWSとAWS搭載して大発を積めなくした代わりに司令官が積んでるセンサーよりも高感度の空潜両用センサーを。白露さんは?」




白露「白露は砲と魚雷とかはそのままで高速缶とタービンガン積みで速力上げてて、腰に各種グレネードを持ってけるようにポイント作ってもらった」




能代「もう、戦場が変わるわね…」




鈴谷「何言ってるの能代ー、私達みんなこれくらいいじってないと古鷹達に追い付けないよー」




瑞鶴「これだけやってやっと背中見えた位じゃない?」




能代「そうなの?」




鶴姫「能代サンモ魚雷発射管ガン積ミシテマスケドネ」




如月「少なくとも大鳳さん、村雨さん、古鷹さん、時雨さん、扶桑さん、春風さんの6人ははっきり言って化け物ですよ」




榛名「全員秘書官の方ですね」




鈴谷「残りの面子も十分化け物だけどね~、で」コホン




鈴谷はわざとらしい咳払いをし、皆にこう伝えた。




鈴谷「鈴谷もいい加減この化け物達の仲間入りしたいんだよね~」ニヤッ




白露「そーそー、妹達に負けてらんないよ」




能代「どんな開き直り方よ…」ハァ