2016-02-11 20:50:08 更新

概要

とりあえず完結・・・まぁ続編かくもしれませんが・・・


前書き

設定

ディープライト鉱石

10年ほど前に発見された莫大なエネルギーを内包した鉱石。艦娘艤装のエネルギー源として使われている。そのまま使うと性質上人体に悪影響を及ぼす。だが艦霊と契約した艦娘ではその加護により影響を免れることが出来る。ちなみにこの事実は公表されておらず知っているのはごく一部の人間のみ。


深海棲艦のコア

鹵獲した深海棲艦に内蔵され莫大なエネルギーを内包した鉱石のようなもの。深海棲艦の階級が上がるほど強力なコアが内蔵されている。ディープライト鉱石の反物質にあたる。


時雨の新型艤装
対空機銃を排除、対艦戦闘に特化し火力と速力を強化した。武装は12.7㎝主砲兼電磁ブレードトンファー2基と5連装に増設した酸素魚雷2基

皐月の改良型艤装
火力強化を重点において強化された。従来の武装は全て排除し機関を強化・・・パワーをあげることで試製51㎝単装貫通魚雷砲を問題なく扱えるようにした。


試製51㎝単装貫通魚雷砲
駆逐艦であるため大口径の主砲を装備できない皐月の為に開発された武装。火力を確保するため駆逐艦でも装備できる魚雷を砲弾として打ち出す砲。着弾後標的内部に進入後爆発するように貫通弾頭を使用する。非常に大型であり扱いは難しい。


覚醒
山城が手に入れた力?山城の強化具合から見ても圧倒的であり艦娘として本来発揮できる力の様だ。


軽空母
オリジナルの1人・・・コマンダーに従っている。ナイトメアシステム騒動の際、人類側投降していたがコマンダーの下に戻っていたようだ。一応男性らしいのだが中性的な顔立ちと長い髪のおかげで女性だと思われていた。


重巡
オリジナルの1人・・・コマンダーの部下で正規空母に従うふりをしていた。丁寧な口調に洗練さえれ仕草・・・メイドのような感じ。女性・・・皐月曰く変態野郎


駆逐艦
正規空母に従うオリジナル・・・駆逐艦とは思えないほどの火力と全艦トップのスピードを持つ。初めは装甲が薄く機銃ですら致命傷に無いかねなかったが装甲を強化し弱点を克服した。だがその強化が災いし中途半端な性能とされ簡単に撃沈された。


吹雪
特型駆逐艦1番艦、元第7鎮守府所属で雪風の副艦。不知火とは艦娘になる前からの関係・・・2年ほど前の出撃大破させられ意識不明のまま昏睡状態になっていた。だが復帰し大破した不知火の代わりに第9鎮守府に臨時配属された。戦闘に関しては不知火以上であり戦術や艦隊指揮にも優れるバランス型。


航空巡洋艦
正規空母に従うオリジナル・・・一見清楚な見た目に落ち着いた雰囲気だが切れやすく口調が変わりやすい。能力はそれほど高い方ではない。


戦艦
正規空母に従うオリジナル。分厚い装甲に大口径の主砲と豊富な対空装備と一見弱点は無いようにみえる。事実艤装には弱点は存在せずオリジナルの中で最も艤装は強力。だが問題の使用者の能力は中程度。


駆逐棲姫
駆逐艦型の深海棲艦、姫クラスであり実力は時雨に匹敵しコマンダーに付き従う。正体はコマンダーと共に平行世界から現れた時雨。向こうの世界で搭載したナイトメアシステムによってほとんど暴走状態で戦うが時雨との経験差で敗れる。

コマンダー
突如現れオリジナル率いて暗躍した男。正体は駆逐棲姫と共に平行世界から現れた隊長本人。隊長曰く「頭は俺と同じで大して良くない」

潜水艦
最初にオリジナルに進化した男であり彼のデータを元に航空戦艦たちが生まれた、真のオリジナルであり全ての艦種の力を引き出せる。丁寧な口調と物腰で見た目は執事のよう。




方舟 艦橋



時雨「あれは?・・・あの光は一体?」



艦橋から隊長たちが交戦していた海域に白く暖かな光が見える・・・なぜだろうかあんなに暖かいのにすごく・・・すごく不安になる。まるで命を燃やしているかのように見えるからか。


雪風「ディープライト鉱石と・・・深海棲艦のコアとの共鳴現象」



時雨「え?・・・」



阿賀野「・・・まさか特殊艤装のコピーコアと共鳴したの?」



時雨「じゃあ・・・隊長が危険じゃないか!!」



ディープライト鉱石がもし共鳴現象を起こしたのなら・・・隊長の身体はボロボロになっている筈。すぐに明石さんに知らせないと・・・



明石「やほー!!」



時雨「うわ!?・・・ええ!?」



あれ?・・・なんでここに明石さんが?作戦開始時はいなかった筈だけど・・・



明石「いやぁ・・・こんなこともあろうかと艦内に忍び込んでいたんです!」



腰に手をあて胸をはって得意げに話す彼女は・・・まぁいいやそれこそ運良かった。



雪風「明石!・・・隊長が危険なの!」



明石「え?・・」



阿賀野「そうよ・・・なんとかしなさい!」



明石「いや・・・私の登場には無反応?」



時雨「そんな事はどうでもいいから!!何とかして!」



胸倉をつかみにらみつける・・・この際なんでとかはどうでもいいのだ。自然と手に力が込められる。



明石「ぐぇ・・・ちょっと・・・もうちょっと私の・・」



時雨&雪風&阿賀野「あ?」



明石「はい・・・ごめんなさい」



素直でよろしい・・・まったくふざけている場合ではないのに。



明石「はぁ・・・まぁでも隊長なら問題ないですよ?」



時雨「え?・・・でも」



明石「あの光は確かに共鳴現象ですけど・・・・完全な共鳴現象ですから危険どころか身体にいいぐらいですよ」



雪風「話が・・・読めないけど?」



明石「隊長は簡単に言えば死体にディープライト鉱石埋め込んで蘇生処置を施した・・・」



阿賀野「それはは知っているわ?ディープライト鉱石のエネルギーで生きていけるけど、そのエネルギーの性質が身体に負担をかけているのよね?」



明石「・・・それは普段の話ですよ・・・完全な共鳴現象で発生するエネルギーは別物です」



・・・つまりどういうことだ?



明石「先程の共鳴現象は・・・”完全”な共鳴だったんですよ・・・だからエネルギーの性質が変わって身体、えっと各種細胞の活性化や進化つまり傷の回復や身体機能の著しい強化が見込まれるです」



時雨「完全な?・・・共鳴?」



明石「ああ・・・そうかそこから説明が必要か」



しまった・・・とでもいいたげな仕草を見せる。



明石「まぁ・・・まずプロトタイプと言うのはですね・・・・」



明石の話によると・・・まずプロトタイプと言うのは当時新発見のディープライト鉱石を動力にしたパワードスーツであったがディープライト鉱石の特性上身体に害を与える物であった。


それの実用化させるために反物質ジェネレーターを用いて物質と反物質が対消滅を起こすことでエネルギーを発生させつつ危険な特性を打ち消そうとするプランが浮かび上がった。


その際に深海棲艦のコアが・・・丁度ディープライト鉱石の反物質であることが判明しジェネレーターに組み込まれたが出力の調整が難航したうえ対消滅反応が起こらないという問題が生じる。


その後実験の際にジェネレーターが暴走し・・・結果的に共鳴現象によって特性の変異が発見されたが、その後の実験では特性の変異が確認される完全な共鳴現象は起きることが無かったので開発中止となったのだ。



時雨「はぁ・・・」



明石「つまり今回の共鳴は過去のデータと一致していたので安全です!」



雪風「・・・そうなら」



最上「時雨!!・・・」



時雨「ん?・・・どうしたの?」



最上「し・・・不知火が!!」



入渠ドック



不知火「・・・」



・・・最上に呼ばれて向かった入渠ドックでは不知火が修復を受けていた。高速修復用の大きなカプセルに入っている不知火は見ていられないほどの酷い状態だった。



夕立「・・・はぁ」



時雨「夕立・・・君は大丈夫?」



夕立「ええ・・・私は無傷よでも」



そう話す夕立は酷く困惑しているようだった。一体何故?不知火だって並の艦娘よりは十分強いのだ、ここまでやられるなんて。



時雨「・・・どうしてここまで」



最上「夕立さん・・・一緒に戦っていたんでしょ?」



夕立「それが・・・・私も困惑しているのよ」



話によると中破していた不知火は突如現れた深海棲艦に対して異常な反応を示し突撃・・・・迎撃されここまでやられたらしい。



最上「不知火・・・」



山城「・・・失礼するわね!」



不意に入渠ドックの扉が開かれる・・・そこには山城と雲龍に運ばれる隊長の姿があった。



時雨「隊長!?・・・でも明石さんは」



雲龍「無事よ・・・ただ意識を失っているだけ」



山城「ええ・・・先程明石さんから指示をうけて入渠ドックに運べって」



時雨「そうか・・・よかった」



雲龍「でも・・・これじゃ艤装はダメね」



雲龍は隊長に装着されている艤装に目を向けた・・・至るところに損傷・・・特に胸部のコア部分の損傷は致命的にもみえる。



明石「・・・さぁてやりますか」



またも不意に扉が開かれた。今度は明石か・・・しかし何故ここに隊長を運んだのだろうか。



明石「あ・・・皆さんは退出を」



最上「え?」



雲龍「・・・」



山城「どうして?」



明石の発言に皆が驚く・・・確かに出来ることはないだろうがわざわざ退出する必要はない筈だが?



明石「・・・いまから艤装の解除をおこないそのうえで隊長の身体に異変がないか検査をします・・・まぁはっきり言うとグロいので」



最上「そう言うこと・・・」



山城「・・・何するのよ?」



明石「・・・簡単にいうとまず血液を全部抜いて、内臓器官のチェック・・・」



雲龍「・・・何言っているの?」



明石「その後はディープライト鉱石を取り出して・・・部品の交換を」



雲龍「明石!!」



聞いた事のない声だった。雲龍が・・・あんな悲鳴のような大声をだすなんて。最上と山城は事態が飲み込めていないようだ。



明石「・・・びっくりするじゃないですか」



雲龍「すまなかったわ・・・でもあなたの言い方ではまるで・・・隊長は・・・」



時雨「人間じゃないよ?・・・プロトタイプっていう戦闘兵器さ」



雲龍「時雨?・・・あなた」



時雨「僕達艦娘と同じ・・・深海棲艦へ対抗するために生み出された」



明石「人類の・・・1つ目の希望です」



方舟 艦橋



副官「・・・」



まるでお通夜のような空気だ。それも仕方あるまい作戦は成功した・・・だがオリジナルの襲撃によって不知火と隊長の2名が意識不明したのだから。



桐生「さぁて・・・副官さん?」



副官「はい・・・葛葉大将の指示で第9鎮守府に向かいます」



桐生「そうですかぁ・・・愛しの我が家には戻れませんねぇ」



名城「仕方がありませんよ・・・海藤中将が天鳥船を強奪した以上は」



桐生「まぁ・・・我が家を襲撃された以上はたっぷり復讐させていただくけどねぇ」



ニタァ・・・そんな顔している。この男はどうも好きなれるきがしないな。



副官「それで・・・この隊の指揮なんですが」



桐生「副官さんで」



副官「いえ・・・私は方舟の指揮が・・・」



名城「・・・ここは桐生提督が行うべきです」



桐生「えぇ?・・・君はぁ?」



名城「私は第3鎮守府に戻らなければなりませんし」



桐生「・・・・・・じゃあやりまーす」



ふぅ・・・なんというかやはり苦手だ。その時、艦内用通信から音声が流れる・・・この声の主は明石さんか?



明石「えっと入渠ドックから報告です・・・隊長については問題ありません、しばらくすれば目を覚ます筈です」



そうか・・・それはよかった。彼が目を覚ましてくれればまだ・・・まだこの隊にも希望が見える。



明石「不知火さんですが・・・こちらは命は問題ありませんが・・・」



副官「・・・どうしたんですか?」



明石「身体の欠損部分が多いのと艤装が完全に使い物なりませんし・・・なにより」



名城「・・・」



明石「精神状態が酷すぎますね・・・これでは」



桐生「使い物になりませんかぁ・・・」



副官「桐生提督!・・・言い方が」



桐生「なぜ?・・・事実でしょ?」



キョトンと・・・さも当然かのように言い放った。



桐生「・・・まぁ戦力低下と言うほどではありませんがねぇ」



入渠ドック



ここは?・・・確か俺は戦闘中に意識を失って・・・そうか、回収してくれたのか。



明石「目を覚まされましたか・・・」



隊長「明石か?・・・ん?何故ここに?」



明石「葛葉大将の指示です・・・隊長の緊急事態に備えだと言ってましたよ」



葛葉の指示か・・・奴め今回のクーデターといい随分と用意が良すぎるな・・・まるで何が起こるか知っていたようだ。



隊長「・・・知っていた?」



明石「はい?・・・何がです?」



隊長「いや・・・なんでもない」



まさか葛葉は何が起こるのか知っていたのではないか?・・・それならあのタイミングでのクーデター・・・そして第2鎮守府部隊との配置図と明石の派遣すべてに納得がいく・・・だが何故知っていたんだ?



明石「隊長?」



隊長「いや・・・なんでもない」



明石「そうですか・・・それでお話が」



隊長「あぁ・・・どうした?」



艤装が使いものにならない・・・・俺はそう明石に言われた。あれだけのエネルギー・・・特殊艤装では耐えれるわけはないか。これではしばらくは戦うことはできなくなる・・・もしまたオリジナル達が現れたら?俺は・・・何も出来ないのか。



明石「・・・しかし」



隊長「ん?」



明石「方法はあります・・・」



隊長「なに?だが艤装は・・・」



明石「・・・プロトタイプ」



何?・・・プロトタイプだと?あれは出力が不安定で封印され挙句の果てには稼動すら危ういはずだ。



明石「今回の共鳴反応で・・・仮説が立証できました」



隊長「説明を・・・」



明石「はい・・・」



プロトタイプの共鳴反応・・・本来の物質と反物質の関係なら対消滅反応を起こすがディープライト鉱石と深海棲艦のコアの関係においてその代わりに起こる現象。これは人類にとって全く未知の現象であり既存の科学の常識では考えられないことであった。


明石が言うには対消滅とは違い共鳴には対象となるエネルギー量が完全に同値で無ければならないため、いままでの実験では成功しなかったようだ。



つまり俺に埋められたディープライト鉱石と同値のエネルギー量をもつ深海棲艦のコアを見つければ・・・オリジナルは稼動できるとのことだった。



隊長「そうか・・・だがコアに心当たりはあるのか?」



明石「ありますよ・・・艦娘と同等の能力を持った深海棲艦のコアであればいいので」



隊長「?・・・艦娘と?だがそんなコアは」



明石「元艦娘の深海棲艦・・・といえばわかりますか?」



隊長「・・・優華」



明石「ええ・・・先程サルベージに成功したとの報告がありましたので第9鎮守府に着けば直ぐにでも作業に入れます」



隊長「・・・そうか」



明石「はい・・・それではもう一度新しいジェネレーターの稼動評価をしたいので」



隊長「仮死状態だな・・・わかったよ」



明石「そうです・・・ではおやすみなさい」



そう言って明石は薬物を投与した。・・・だんだん目の前が霞んで・・・意識が遠のいて・・・い・・・く



明石「しかしこのタイミングで揚陸艇姫となった優華さんのコアが見つかるなんて・・・まるで仕組まれたみたい」



明石「・・・もしかしたらプロトタイプやオリジナルの開発が遅れていたのも?・・・流石にそれは考えすぎ・・・よね?」



第9鎮守府 



副官「・・・はぁ」



ため息・・・こんな深いため息は久しぶりな気がするな・・・たしか隊長が着任した時だったか?しかし事態が次から次へと進んでいくからよくわからないことが多過ぎる。



桐生「・・・副官さんため息ついたら幸せがにげますよぉ」



ほぉら笑顔笑顔・・・・と続ける彼の目は決して笑ってはいない。全く・・・人には言う癖に自分はなにも笑っていないではないか。



雲龍「桐生提督・・・葛葉元帥から通信がはいっています」



桐生「はいはい・・・では繋げて」



一本だけ突き出した人差し指を振りながら答えると秘書艦である雲龍は端末を操作する。すると画面に葛葉元帥・・・?さっき葛葉元帥といったか?



葛葉「・・・久しぶりだな・・・?隊長はどうした?」



桐生「ええ・・・先日の戦闘で負傷されましてぇ・・・復帰されるまではぁ私がこの隊の指揮を執っています」



葛葉「そうか・・・では用件を」



桐生「そぉの前に」



何の変哲もないひと言・・・だがそのひと言には酷く冷たく・・・重たいどす黒い感情が見え隠れしていた。



葛葉「・・・なにか?」



桐生「・・・このたびのクーデターの真意をお聞きしたいですなぁ」



笑顔・・・彼は確かに笑っている。だが横にいる私には・・・彼の表情には怒りの感情がにじみ出ているように見える・・・



葛葉「・・・それは今話さなければいけない程重要なのかな?」



桐生「重要ですねぇ・・・だって返答次第ではぁ」



葛葉「次第では?」



桐生「テメェ・・・ぶっ殺すぞ?」



・・・



葛葉「・・・」



・・・・・・



桐生「・・・」



・・・・・・・・・沈黙は破られた。



葛葉「では答えよう・・・だがそれは隊長がいるときにしたいのだが」



桐生「いいですよぉ?・・・隊長も恐らく僕と同じ考えですし」



葛葉「そうだな・・・恐らく君と同じ事を言っただろうな」



桐生「あぁ・・・あれ隊長の真似したんですよぉ?似てました?」



葛葉「ふふ・・・まぁまぁ似ていたよ」



桐生「まぁまぁですかぁ・・・練習しようかなぁ?」



なんとか和やかな雰囲気になってくれたか・・・あの沈黙は正直息苦しかった。うう・・胃がきりきりする・・・・



雲龍「副官さん?・・・大丈夫?」



副官「ええ・・・いや大丈夫じゃありませんよ」



雲龍「・・・もし隊長が目を覚ましていたら問答無用で大本営まで乗り込んで切りかかっていたわよ?」



副官「はぁ・・・桐生提督でよかった」



また1つ大きなため息をつく・・・そんな私を知ってか知らずか桐生提督と葛葉元帥は歓談を楽しんでいるようだ。まったく・・・あとは隊長が目を覚ますだけだな・・・明石さんの報告ではもうそろそろのはずだが・・・




入渠ドック



明石「適合率・・・90%・・・稼働率も問題ないわね」



カタカタと音を立てながらコンソールをいじる。 新型ジェネレーターは問題ない・・・次は再起動して隊長を目覚めさせるだけだ。



明石「・・・後は艤装か」



ふと奥に鎮座する白いパワードスーツに目を向ける。大きさは特殊艤装より同じぐらい・・・見た目も禍々しい感じは無くあえて言えば正義の味方といった所か。



明石「さて・・・じゃあ起こしますか」



カチカチっと入力すると装置が音を立てて稼動する。カバーが開かれるとそこには隊長がいた。目を閉じて・・・まるで眠っているように見える。



明石「・・・懐かしいな」



隊長「・・・」



明石「でももう・・・終わったことよ」



雪風「・・・明石?」



明石「!?・・・雪風さんですかぁ」



雪風「・・・何してたの?」



明石「調整が終わりましたので・・起こそうとしただけですよ」



雪風「そう・・・」



ふぅ・・・急に現れるもんだから驚いたな。・・・まぁ見られて困るようなことはしていないからいいんだけど・・・



雪風「ねぇ・・・」



明石「はい?」



雪風「なんであなたの艤装を解体したの?」



明石「・・・」



雪風「・・・ねぇ知ってる?ディープライト鉱石は厳重に管理されているの」



明石「何が言いたいんです?」



雪風「隊長に埋められたディープライト鉱石は何処から用意したのかしら?・・・リストには動きは無いんだけど」



明石「・・・それを知ってどうするんですか?」



雪風「・・・さぁ?でも理由ぐらいは知りたいかな」



・・・沈黙だ。どうもこの沈黙は好かないな・・・しかしまさか雪風に嗅ぎつかれるとは。



明石「・・・確かに隊長に埋め込んだのは私の艤装のディープライト鉱石ですよ」



雪風「そう」



明石「・・・理由はここでは話せません」



雪風「・・・ならまた今度の機会に聞くわね」



明石「はい・・・」



雪風「・・・じゃあ私は部屋に戻らせてもらうわ」



明石「そうですか・・・私は隊長が目を覚まされるまでここにいますので」



雪風「ええ、起きたら呼んで頂戴」



そういって彼女は入渠ドックを後にした。しかし私の艤装を解体した事が気づかれるとは・・・少々面倒なことになるかもしれない。うそをついたとしても通用しないだろうし・・・だからといって真相を言うことはしたくない。墓場まで持っていくと決めたのだから。



天鳥船 艦橋



海藤「・・・」



正規空母「以上が今回の報告だ」



海藤「やはり奴は脅威となりえるか」



正規空母「あぁ・・・今回はなんとかなったが次は勝てるかどうかわからんぞ?」



海藤「・・・その点については問題はない」



正規空母「なに?まさか・・・」



海藤「アレが完成した・・・後は時が来るのを待つだけ」



正規空母「そうか・・・ではその時とやらを楽しみに待っているさ」



海藤「あぁ・・・」



第9鎮守府 執務室



コンコン・・・誰だろうか?まぁだれにしても助かったな、やはりこの桐生提督の雰囲気は苦手だし・・・



桐生「どうぞぉ~」



副官「!・・・」



気の抜けた声が流れると扉が開かれる・・・その先には以前とは雰囲気が変わった隊長が立っていた。



隊長「よぉ・・・」



桐生「・・・随分と雰囲気変わりましたねぇ」



隊長「あぁ・・・今回の改修で生体部品が減ったからな」



副官「・・・生体部品?」



隊長「あぁ・・・心配かけてすまなかったな」



副官「い、いえ・・・」



生体部品?・・・それに改修と言った?隊長はいったい何者なのだ・・・



桐生「いやぁ・・・これで私はお役御免ですねぇ~」



そうか・・・隊長が戻った以上指揮官は隊長に戻るわけか



隊長「?・・・桐生提督にはこのまま指揮官を勤めて貰うが?」



桐生「へ?・・・なんでぇ?」



葛葉「・・・それについては私から説明するよ」



副官「!?・・・葛葉元帥閣下!?失礼いたしました」



声がする方に向くとその先には葛葉元帥が立っていた・・・いつの間に



葛葉「・・・そう硬くならないでほしい、私達は昔からの友人ではないか」



副官「・・・はぁ」



まぁ・・・確かにその通りだが・・・まぁ仕方ない



桐生「・・・でぇ何故私が?」



不満そうだ。顔・・・とういうか全身から不満オーラが出ているなこれは



葛葉「君の作戦指揮能力が隊長より優れているからだ」



桐生「はぁ・・・いや・・・」



隊長「謙遜するな・・・俺は直接戦闘なら海軍1かもしれないが作戦指揮は苦手でね」



桐生「はぁ・・・もうわかりましたよぉ」



苦手・・・か、隊長の能力で苦手といわれると正直複雑な気分だ。



副官「・・・しかしこの艦隊は先の作戦のために結成されたんですよね?ならばもう解散する筈では?」



葛葉「・・・その予定だったが天鳥船の奪回しなければならなくてね」



桐生「はぁ・・・ならさっさと奪回でもなんでもしません?」



葛葉「まぁ・・・作戦自体はすぐにでも始めるからな」



桐生「なら明日・・・いや今日でもいい」



・・・そんなに指揮を執るのが嫌なのか?部下である私は正直複雑だな



葛葉「ふふふ・・・やる気は買うが準備もあるからね?決行は3日後だ」



桐生「・・・了解でぇす!この桐生創、粉骨砕身・・・指揮させていただきます」



隊長「・・・で」



副官「?」



葛葉「・・・今回の件だな」



桐生「えぇ・・・隊長さんの目覚めを首をながぁくして待ってたんですから」



隊長「そうか・・・ではなぜクーデターを起こした?しかもあのタイミングで」



葛葉「・・・海藤が我が国に反旗を翻そうとしていたのは知っているか?」



隊長「あぁ・・・テメェの演説で聞いたよ」



葛葉「これは事実だ・・・現に作戦海域には海藤配下の機動部隊が潜伏していた」



桐生「えぇ・・・そのおかげでこちらは大変でした」



葛葉「海藤はあの日・・・方舟が作戦を開始した段階でクーデターを決行する予定だった」



副官「・・・」



葛葉「そして私の息のかかった主力艦隊を排除し一気に海軍を掌握するつもりだったのだ」



隊長「・・・」



葛葉「私はこのクーデターを防ぐために先手を打ったのさ」



桐生「ほうほう・・・」



隊長「しかしあそこまで詳細な情報を掴んでいたのであれば・・・もっと先に手を打てたんじゃないのか?」



副官「ええ・・・私も見ましたがあんな詳細な配置図を手いれられるんならクーデターを阻止することもできた筈です」



葛葉「・・・話の本題はここからだ、今回の情報は私がクーデターを起こす直前にもたらされたのだ」



桐生「直前?・・・急ですね?密偵がいたのだったら兆候ぐらいは」



葛葉「送ってきた先は密偵ではないよ?」



副官「?・・・話が読めませんね」



葛葉「・・・コマンダーと呼ばれるオリジナルを指揮する人物からだ」



第9鎮守府 演習室



明石「・・・みなさーん艤装はどうですか?」



明石が通信で呼びかける・・・



雪風「大丈夫よ」



夕立「はいはい」



金剛「OK・・・・」



皐月「いいよー」



皆順番に応答していく・・・ふぅ・・・少し変な感じがするけど



明石「・・・時雨ちゃん?」



時雨「あぁごめん、ちょっと違和感が・・・」



明石「ふーむ・・・まぁ時雨ちゃんのは一番手が加わっているからね」



時雨「うん・・・対空機銃は排除して主砲を強化・・・」



明石「・・・それに改良型のナイトメアシステムも搭載されていますし」



雪風「大規模改装ね・・・私のに比べると余計そう感じるわね」



明石「まぁ・・・夕立と雪風のはナイトメアシステムを搭載しただけだし」



皐月「まぁそれだけ能力が高いんだからいいよねぇ」



そういって新型の艤装と魚雷砲を見せ付けるようにぐるっと一回りして言い放った。



雪風「・・・そうでもないわ」



金剛「・・・それでなにやるんデスカー?」



明石「今回は試験運転・・・ちょっと回ってらうだけよ」



ぶっきらぼうに言うと携帯端末をいじりだした・・・データでもとっているんだろうか?



時雨「・・・回るだけ?」



雪風「みたいね?」



明石「じゃ・・・皆お願いねー」



合図と共に一斉に動きだした・・・回るだけといわれたが、まぁ楽でいいや。



明石「よーし・・・皆もいいわよ?」



しばらく演習コースを走っていると明石が終了の合図をする。今度も皆一斉に動きを止め、明石のところに集まった。



金剛「もう終わりデース?」



皐月「物足りないねぇ・・・」



金剛と皐月は少々不満そうだ・・・それもそうか、あの二人は主に武装面での強化がなされているから試したいのだろう。



明石「武装に関して後ほどやりますよ、それよりも今回の特殊改装についてですが・・・」



明石は二人の気持ちを察したようだ・・・後ほどと言う言葉に皐月と金剛の表情から安堵の色が見えた気がした。



明石「対オリジナルを主眼に置いた改装がなされています・・・その意味はわかりますね?」



夕立「私達でオリジナルの相手をしろってこと?」



明石「ええ、その通りです」



雪風「でも私と夕立の武装はそのままよ?」



明石「・・・オリジナルに対してはいくら武装を強化しても意味はありませんよ」



皐月「え!?、そうなの?」



明石「はい、艦娘は対深海棲艦に特化した兵器です、ですので深海棲艦以外には砲撃威力が減衰されるんですよ」



金剛「フーム・・・」



明石「それを解決するのが、ナイトメアシステムです」



時雨「・・・そういえば詳しい話を聞いていなかったね」



明石「ええ、今度の特殊改装で皆さん・・・あと瑞鶴さんの艤装に搭載されましたから、説明することにします」



ここではなんですから・・・と言って明石は僕たちを別室に案内する。別室・・・教導室と呼ばれている部屋で演習の反省等をおこなう所・・・だがこの第9鎮守府では殆ど談話室と化しているが・・・



瑞鶴「・・・ごめんごめん、遅れちゃったよ」



皆が席に着いたころに瑞鶴が談話室・・・もとい教導室に現れた。



明石「かまいませんよ・・・いまから始める所でしたし」



明石「さて・・・ではナイトメアシステムのことですが」



まずナイトメアシステムとは・・・艦娘がもつ在りし日の軍艦の記憶を呼び覚まさせることで艤装能力を強化するものである。軍艦時代の・・・特に戦闘における記憶を呼び覚ます為、各艦毎強化で現れる能力に違いがある。



例えば、先日のナイトメアシステム暴走の際夕立の砲撃火力は明らかに常識はずれの物であった。これは軍艦夕立が第3次ソロモン海戦において圧倒的な戦果を挙げた事をナイトメアシステムによって呼びさまされたからである。



つまり軍艦時代において類まれな戦果をあげていれば何かしらの高い能力が発揮されるのである。それは逆に軍艦時代に戦闘経験がない、戦果をあげていない場合はナイトメアシステムの性能が生かせないのだ。



明石「・・・簡単に説明しましたがなにか質問はありますか?」



雪風「てことは、ここにいる皆は武勲艦なのよね?」



明石「ええ・・・皐月は各戦線を戦い抜いた武勲艦ですし」



皐月「戦艦金剛も長く戦い抜いた艦だからね・・・」



金剛「瑞鶴って言えば日本屈指の武勲艦よね・・・」



瑞鶴「そんな事言ったら雪風は世界レベルじゃないの」



雪風「時雨も戦時中は私と並び称されるほどの幸運艦だものね」



時雨「これだけの艦娘ならばオリジナルに対抗できる・・・てことか」



明石「はい、では明日からはシステムの運用について指導します・・・それでは今日は解散していいですよ」



明石のひと言で皆教導室を後にする・・・しかし暇だな。



時雨「まぁ・・・一眠りするかな」



そう決めて教導室を後にしようとしたところだった。不意に演習場から艤装の駆動音が聞こえた。



時雨「・・・演習?誰かな」



教導室の扉を開ける。その先には白い特殊艤装のような物が演習メニューをこなしていた。



時雨「・・・なにあれ?」



阿賀野「時雨ちゃんは初めてになるのか」



不意に声が聞こえた方に目線を向ける。阿賀野さんか・・・あれについて何かしっているんだろうか?



阿賀野「おはよー、新しい艤装はどう?」



時雨「ぼちぼちかな・・・であれは?知ってるんでしょ?」



阿賀野「ええ、あれは隊長の本来の艤装よ」



時雨「じゃあ・・・あれがプロトタイプ?」



阿賀野は目線を白い艤装に向けたまま頷く・・・話に聞いてたイメージとは少し違うな、もっと禍々しいものだと思っていた。



阿賀野「この前の共鳴現象のおかげで問題が解決したみたいよ」



時雨「ふーん」



そうか・・・これなら隊長は次も出撃できるのか、心強いな。だが・・・



時雨「・・・阿賀野さんは何故知っているんだい?」



阿賀野「・・・私と隊長と雪風はある研究機関で一緒だったのからね」



時雨「そうなんだ・・・」



阿賀野「・・・ねぇ?」



時雨「ん?」



阿賀野「そいえば・・・時雨ちゃんは艦娘になる前はなにしていたの?」



時雨「・・・僕?」



随分と急な質問だな・・・まぁ話して困るような物ではないからいいんだが。



時雨「・・・東京にいたよ?」



阿賀野「・・・どこ?」



時雨「・・・スラム街のほうさ」



東京・・・10年ちょっと前だったか深海棲艦の第一波を受けた都市。その中でも東京湾に近い東京23区は壊滅的な被害を受けた。あまりにも被害が大きすぎた為日本政府は都市としての機能を攻撃の受けにくい内陸にある長野県に移動、東京23区は完全に放棄される形となった。



23区には壊滅的な打撃を受けた。だが少数ながら住民の生存も確認されていた。しかし当時の政府は機能の殆どを一夜にして失ったダメージが深く残っており万全に機能しているとは言いがたい状態だった。そのためより被害の甚大な23区に救援や援助行われなかった。



そんな状況で生きていた住民は?・・・・どうにかして生きていくしかない。働く会社も、売買をおこなう商店もない・・・もはや金に意味は無い、ならばモノはどうやって手にいれる?・・・物々交換で手に入れるか?それとも・・・



始めは皆理性的だった。だが誰かが・・・名も知らぬ誰かが犯した強盗が全てを変えた。皆の理性は失われそこには地獄が残っただけだった。僕は丁度物心ついたぐらいで始めはただ逃げ惑うだけだった。



だがしばらくして僕はあることを知った。人間って思ったより簡単に死んでしまうんだってこと。カラダの小さい僕でも男の人を殺せるって事を。そこからは楽だった。欲しいものは幾らでも手に入る。奪ったっていい、騙したっていい、何ならすこし相手してやればいいんだ。



そんな生活をはじめてからしばらくして夕立に出会った。僕と夕立は同業者だったから互いの縄張り争いになって夕立を殺しかけた。だがそこで夕立の仲間ににスカウトされて仲間になった。その後は組織の殺し屋まがいの事をしていた。



時雨「・・・ていう感じ」



阿賀野「可愛い見た目してヘビーな生活してたのねぇ」



時雨「これはは艦娘になってからさ・・・その前は結構な良いカラダしてたんだけど」



阿賀野「へぇ・・・」



時雨「この見た目じゃ説得力ないけどね・・・阿賀野さんは?」



阿賀野「へ?」



時雨「阿賀野さんは何してたんだい?」



阿賀野「・・・死んでた」



時雨「はぁ?」



何を言っているんだ?・・・死んでた?・・・どんな意味なのだろうか?



阿賀野「言葉の通りよ?・・・私は死んでたの」



演習場



心臓部に内臓された共鳴炉は順調だ。エネルギーは力強く生成されるおり、身体の隅々まで行き届いているように感じる。その為か身体が軽く今までの特殊艤装とは比べ物にならないほどのパフォーマンスを発揮できている。



隊長「・・・ふぅ」



とりあえず明石から指定された演習メニューはこなせた。体感ではパワーは倍近くまでは向上している。これなら正規空母や航空戦艦にも対抗できる筈だ。



隊長「・・・ん?」



あれは時雨?・・・阿賀野もいるのか、なんというか珍しい組合せな気がするが・・・



明石「隊長・・・どうかされましたか?」



隊長「ん・・・いやなんでもないさ」



明石「そうですか?・・・なら今度は武装のチェックに入りましょう」



明石からの通信が終わると工廠から新型の武装が送られてくる。



隊長「・・・!」



電気信号で送られた情報が俺の手の中でくみ上げられ実体化していく。送信された物は二振りの刃渡り90センチほどの実体剣になった。



隊長「・・・これが武器?」



明石「ええ・・・電磁ブレードとは違って重量がありますから扱い方が変わりますが・・・」



隊長「問題ない・・・むしろ重さを感じるほうが振りまわしやすいさ」



重さは感じるがそれほどではないな・・・だが軽すぎることも無い、扱いやすい重量感だ。



隊長「・・・威力は?」



明石「電磁ブレードより強力ですよ?しかも強度も艤装と同じですから主砲の直撃にも耐えられます」



隊長「ほう・・・そいつはいい」



明石「それと・・・武装はもう1つありますよ」



隊長「ん?・・・もう1つ?」



明石「ええ・・・使用は危険ですので普段は使えませんが・・・」



隊長「そうか・・・だがこれだけで十分強力さ」



与えられたばかりのおもちゃをいじくる子供のように新しい剣を振り回す。演習用の標的は剣によって両断され、その威力に俺は少しだが興奮して来た。これなら戦闘時間の制約も無く戦えるし何より性能が段違いに上がっている・・・実戦に参加するのが楽しみだ。



明石「・・・時間です」



演習終了のアラームが鳴り響く・・・途中からは実戦を意識した3次元機動をしてみたが文句なしの機動力だ。今までの特殊艤装ではパワーと重量の関係で出来なかった動きが出来るようになっている。軽量かつ高出力で重装甲という弱点が見つからないほどだ。



明石「プロトタイプの出来はどうです?」



隊長「予想以上だ・・・これなら艦娘よりも強いんじゃないのか?」



明石「対オリジナル戦では優位ですけど対深海棲艦では艦娘が優位ですね・・・」



隊長「・・・艦娘と直接戦闘では?」



明石「おそらく艦娘です・・・プロトタイプは深海棲艦のコアをそのまま使用しているので」



隊長「そうかオリジナルは・・・」



明石「ええ・・・コアを埋め込んだ結果深海棲艦とは別のものに進化しましたから」



つまり三すくみの様な関係か・・・なんとも興味深いものだな。プロトタイプとオリジナルと艦娘と・・・その三者のバランスが取れていれば誰かが優位となることも無い。誰かが優位とならねば暴走も置きにくくなるな・・・



隊長「・・・これなら人間同士の戦いも」



明石「隊長?・・・どうしました」



隊長「なんでもないさ」



そんなことを考えている時ではないな・・・今は次の作戦に集中しなければ。




????



コマンダー「・・・」



駆逐棲姫「コマンダー?・・・」



コマンダー「・・・駆逐棲姫か」



駆逐棲姫「・・・ドウシタノ?」



コマンダー「彼がプロトタイプとして目覚めた・・・」



駆逐棲姫「ソウ・・・ジャア僕達ノ役目モモウソロソロダネ」



コマンダー「あぁ・・・その時は」



駆逐棲姫「ウン・・・僕モ一緒ニ」



コマンダー「・・・ありがとう」



駆逐棲姫「・・・コノ世界ハ守リタイナ」



コマンダー「俺達に出来ることはここまでさ・・・だが」



駆逐棲姫「ウン・・・大丈夫ダヨ?ダッテ」



コマンダー「・・・彼らがいるからな」



?????



ここは何処だろうか・・・病室の様だけど見覚えの無いところだ。確か私は鎮守府を襲った襲撃部隊と交戦して・・・?



吹雪「・・・死んだ筈」



ならここは天国?・・・だとしたら面白い。せっかく天国にいると言うのに病室に篭もらないといけないなんてね。



吹雪「・・・もしそうなら滑稽すぎるわね」



コンコンと扉を叩く音がした・・・面会者か・・・だれが来るのだろうか?



吹雪「どうぞ・・・」



音を立てずに開いた扉の先にはよく知っている一人の少女が立っていた。



吹雪「・・・不知火?」



不知火「・・・おねぇちゃん」



吹雪「どうしたの?・・・しかもその姿は」



不知火「・・・今はそんなこと問題じゃないよ」



吹雪「?・・・どういう?」



不知火「お願いがあるの・・・」



吹雪「・・・でも」



不知火「大丈夫・・・おねぇちゃんはあと少しで目を覚ますから」



吹雪「え?・・・」



不知火「・・・私の代わりに守って欲しい人たちがいるの」



吹雪「かわり?・・・]



不知火「もう私は戦えなくなってしまったから・・・心も身体も・・・」



吹雪「・・・不知火」



不知火「お願い・・・おねぇちゃんだけが頼りなの・・・私の代わりに」



吹雪「でも・・・私は」



不知火「・・・おねぇちゃんが艦娘になったわけも戦うわけも知っているよ?」



吹雪「だったら!・・・私は」



不知火「・・・一生のお願いだから」



吹雪「・・・はぁ」



不知火「おねぇちゃん・・・」



吹雪「わかったよ・・・たった一人の家族が・・・困ってるんだもの」



不知火「!・・・おねぇちゃん!!」



吹雪「不知火?任せなさいよ・・・あなたの友達・・・私が皆を守るんだから」



不知火「ありがとう・・・おねぇちゃん」



吹雪「あれ・・・急に眠く・・・う」



不知火との話が終わると急に強い眠気が襲った・・・さっき言ってた・・・目覚めるってのは・・・このこと?・・・意識が・・




第1鎮守府 艦娘医療棟



目を覚ますとそこは病室だった・・・先程の病室とは違いここは見覚えがある。たしか第1鎮守府の艦娘用の医療施設だったはず・・・


  

吹雪「うう・・っと」



身体を起こす・・・幸い点滴しかされていなかったため起き上がることが出来た。



吹雪「ふぅ・・・そうか約束を・・・」



その時不意に病室の扉が開けられた・・・



青葉「・・・吹雪さん?」



吹雪「青葉さん・・・お願いが」



青葉「何を?・・・まだ寝ていないと」



吹雪「不知火との約束を・・・果たさなければいけません私を・・・不知火の元に」



青葉「何を・・・」



吹雪「不知火が戦えなくなった今・・・私が代わりに不知火の仲間を守らなければ!」



青葉「!?・・・何故それを・・・」



吹雪「お願いです・・・」



青葉「・・・わかりました、その代わりかなりの激戦になりますよ?」



吹雪「大丈夫です・・・今度は死ぬために戦うわけじゃありませんから」




第9鎮守府 執務室



桐生「では明日0900に第9鎮守府を出港しますから・・・間に合うように準備お願いしますねぇ」



副官「・・・わかりました」



桐生「ええ・・・明日の出撃ですべて決めます、ですから皆さんがんばっていきましょ」



隊長「・・・では最終確認に向かう」



桐生「はいはぁい・・・」



副官「・・・私も方舟の様子を見てきますね」



桐生「はい・・・行ってらっしゃい」



二人が執務室を後にする・・・残ったのは自分だけだ。明日は決戦・・・これが上手くいけば日本海軍は憂いなく深海棲艦と戦える。しかも指導者はあの葛葉だ・・・彼ならばよりよくまとめ上げるはず。



桐生「・・・同時に危険性も孕むがね」



1人の優秀な人物による組織の掌握・・・つまり独裁政治と言う奴だ。この事態を望んでいた訳ではないだろうが・・・奴はこの事態にどう対処するつもりなのだろうか。



桐生「まぁ・・・とりあえずは明日だねぇ」




第9鎮守府 入渠ドック



隊長「・・・」



目の前にある白い艤装は鈍い輝きを放っている。明日俺はこの艤装を着けて出撃する・・・俺が生まれ変わる理由となった艤装であり俺の生まれ変わった意味を否定した艤装でもある。



隊長「・・・今になって着る事になるなんてな」



時雨「隊長?・・・」



隊長「時雨か?・・・一体どうし・・・」



不意に心地よいぬくもりに身体を包まれた・・・一体何があったのか理解できなかった。



隊長「・・・し、時雨?」



時雨「・・・」



・・・抱きつかれている。時雨に前から抱きつかれている。



時雨「・・・ごめん」



隊長「どうしたんだ?」



時雨「・・・なんとなくさ」



そう言うと時雨は離れた・・・名残惜しいな。



隊長「急にやるなよ、驚いた」



時雨「嫌なのかい?」



時雨は口を尖らせてジト目をこちらに向ける。



隊長「出来るなら・・・」



時雨「うん?」



隊長「・・・お前の温もりをずっと味わっていたかったな」



時雨「え?・・・」



時雨は頬を赤く染めた



隊長「時雨・・・」



二人は見つめ合ったまま抱き合って見つめ合い・・・



時雨「・・・くく」



隊長「・・・はは」



笑いをこらえることが出来なかった。



時雨「クサ過ぎるよね・・・その台詞」



隊長「すまんすまん・・・つい面白くなってな」



時雨「まったく・・・まぁいいさ」



隊長「・・・時雨」



時雨「ん?・・・まだ抱き合うの?」



隊長「・・・嘘を吐くのは趣味じゃない」



時雨「ちょっと・・・あ」



隊長「・・・ん」



時雨「ん・・・ふぅ」



隊長「・・・行こうか」



時雨「・・・うん」




方舟用ドック



副官「・・・」



訓練支援艦てんりゅう・・・海上自衛隊時代に建造された護衛艦の1つである。本来は訓練用標的機の運用を目的とした艦船であり本来は戦闘用ではない。今目の前にある箱舟はそのてんりゅうを元に艦娘運用艦として改造されたものだ。



対する明日交戦する天鳥船はいずも型護衛艦を対深海棲艦用に大規模改装を施した代物だ・・・排水量は下手したら10倍ほど差がある。しかもこちらは艦娘の運用に主眼を置いているため直接戦闘は苦手だ。大して相手は日本海軍旗艦としてふさわしい戦闘能力と部隊運用能力を持っている。



まともに戦えばこちらが海の藻屑になりかねない。だがそんな事は桐生提督も葛葉元帥もわかっている・・・明日はあの二人が考えた作戦にかけるしかない。



副官「・・・今度は方舟だけは沈めるわけにはいかないな」



最上「そうだね副官さん?」



副官「!?・・・最上さん」



不意に声がした。声の主は最上だった。彼女がこんなところに来るなんて珍しいなと思っていると他にも何人かの姿が見えた。



山城「ええ・・・私達のもう1つの家ですから」



天龍「あぁ、こいつが沈んじまったら帰れなくなるからな」



雲龍「・・・それに戦えない不知火の為にも沈めるわけにはいかないわ」



副官「みなさん・・・」



最上「副官さんが辛気臭い顔して歩いてたもんだからさ・・・」



山城「気になっちゃったんですよ、ね?」



天龍「おう・・・俺とは短い付き合いだが俺達同じ鎮守府の仲間だからな?」



雲龍「ええ、ここには時雨と隊長はいないけどあの二人も気にすると思うわよ」



副官「はは・・・心配おかけしました」



まさか彼女達にここまで心配させてしまうとは・・・私はそこまで思いつめていたのだろうか。



最上「気にしないでよ・・・それにさ?方舟を守りたいのは副官さんだけじゃないって」



山城「そうですよ、”私達の”家なんですから」



天龍「・・・俺達も協力するぜ?」



副官「・・・ありがとうございます」



深く頭を下げる・・・いままで私は彼女たち艦娘に対して一歩退いたところであまり深く入り込まないでいた。自分は大して期待されてはいない、自分は皆によく思われていない、そんな事を自分で勝手に決め付けていた。



雲龍「あなたのこと、皆信頼しているのよ?」



副官「雲龍さん・・・みなさんも」



皆に視線を向ける。皆私の目を見てくれている・・・そうだ艦は私ひとりで動かせる物ではない、艦橋にて共に戦う士官や方舟を母艦とする艦娘たち、艤装の整備員など皆がいるから戦えるのだ。



副官「明日は第9鎮守府始まって以来の危険な任務です・・・共に守りましょう私達の家を。共に帰りましょう私達の鎮守府に誰1つかけることも無く」



最上「うん」



山城「はい」



天龍「おう」



雲龍「ええ」



副官「ふふ・・・しかしこんな時に隊長と時雨は何しているんでしょうね」



雲龍「ああ・・・あの二人なら」



最上「雲龍は知ってるの?」



山城「・・・互いに唇を重ねあっていたり?」



天龍「あー・・・あの二人だろ?そんな事」



雲龍「山城正解」



最上「え?見たの?」



雲龍「私も見たくは無かったわ?でも入渠ドックであんなことされたら見てしまうわよ」



山城「あぁ・・・それはご愁傷さまです」



天龍「・・・しかたねぇな」



副官「まぁ・・・第9鎮守府らしくていいですね」



最上「まぁ・・・確かにね、しかし良いイジリネタが出来たよ」



山城「そうねぇ・・・これは絶対に皆で帰らないとね」



天龍「ああ・・・こんな面白そうなところ見ないわけにはいかねぇな」



雲龍「そうね・・・時雨も隊長もね」



副官「はい・・・」



方舟を見上げる・・・天鳥船に比べれば酷くちっぽけに見えてしまうかもしれない。それでもここにいる皆がいれば負けない・・・なぜなら私1人ではなく第9鎮守府の皆で戦っているんだから・・・




第9鎮守府 出撃ポート



桐生「・・・もうそろそろなんですけどぉ」



今は0850・・・出航まで10分。



副官「すみません・・・まさかうちの隊長がまだ来ないなんて」



桐生「いえいえ・・・」



後10分しかないのだから普通は全員集まっている筈だ・・・だがこの第9鎮守府の連中はまだ全員集まっていないのだ。



桐生「・・・来たようですねぇ」



時間がぎりぎりだと言うのに悠々と歩いてきた・・・これでも高い戦果を上げた優秀な軍人だと言うのだから困る。



隊長「・・・すまんな少し遅れた」



桐生「同伴出勤とはぁ・・・昨夜はお楽しみでしたかね?」



時雨「・・・気に障る言い方だね」



桐生「まぁ・・・皮肉ぐらい言わせてくださいよ?」



隊長「ふふ・・・俺達が悪いからな仕方ないさ」



時雨「・・・そうだね」



やや不満顔の時雨を連れて隊長は艦内に入っていった。



桐生「・・・さぁてもうそろそろ出航ですがぁ」



副官「・・・きました!」



先程の隊長とは違い猛ダッシュという言葉ピッタリな程必死の走りだ・・・見た感じでは駆逐艦だな。



吹雪「はぁ・・・すみません新型艤装の開発が遅れてしまって」



桐生「・・・吹雪!?」



駆逐艦吹雪・・・1年ほど前の第7鎮守府襲撃の際に負傷し意識不明の重体に陥った艦娘だ。



吹雪「あ・・・桐生提督?どうしてここに」



桐生「お前こそ・・・意識がもどったのか!?」



吹雪「はい・・・桐生提督にはこの任務が終わり次第報告するつもりでしたが」



桐生「そうか・・・良かった、君が生きていて」



副官「桐生提督・・・時間です」



桐生「っ・・・そうですねぇじゃあ吹雪さんよろしく」



吹雪「は?・・・はい」



不思議そうな吹雪を見送ると横にいた副官に視線を向けた。



副官「・・・無理してふざけた口調にしなくても、貴方が真面目なのは見ていたらわかりますよ」



桐生「・・・はぁ?さっさといきますよ?」



心の底を見られたようで実に不快だな・・・だが吹雪が戻ってくれたの正直嬉しかった。しかし吹雪が今私を見たらどう思うのだろうか?腑抜けた?重圧から逃げた?・・・間違っていない以上何もいえないが。



方舟 作戦司令室



桐生「さぁと皆さん・・・これより天鳥船奪回作戦の作戦概要を説明しまぁす」



立ち上がると集まった艦娘は私に視線を向ける。



桐生「まずは作戦目標を伝えますね・・・」



第1目標は天鳥船の奪回・・・それが困難であれば破壊



第2目標は首謀者である海藤元中将の生死を問わず確保



第3目標は当作戦を遂行する際の障害になりえる勢力の撃滅



副官「それでは作戦の説明をはじめます」



まず艦娘部隊は第1、第2に分かれて方舟にて待機。方舟は天鳥船の射程距離外から一息に突撃。 至近距離まで接近したら第1艦娘部隊は出撃し隊長の大型ブレードを用いて船体に穴を開けて侵入、制圧。その後方舟は射程距離外まで後退、第2部隊はそこで方舟の護衛を行う。



隊長「それでは・・・部隊のメンバー分けを発表する」



第1部隊 


旗艦 隊長


副艦 雲龍


随伴艦 青葉 金剛 天龍 響 阿賀野 以下艤装兵



第2艦隊 


旗艦 雪風


副艦 瑞鶴


随伴艦 時雨 加賀 最上 吹雪 山城 皐月 夕立 




隊長「以上だ・・・なにか質問はあるか?」



雪風「いいかしら?」



隊長「かまわん・・・なにか」



雪風「どうやって天鳥船まで接近するの?」



副官「私が答えましょう・・・まっすぐ突撃するんですよ」



その場がざわついた・・・副官は1つ咳払いをして皆の視線を集める。



副官「心配はない・・・機関を臨界にまで出力を上げ機動力と装甲に全部使用するから接近し後退するまで沈むことは無い」



雪風「わかったわ」



天龍「艦内に突っ込んだら後はどうするんだ?」



隊長「・・・その後は俺と雲龍で一隊づつ率いて艦橋を目指して進軍、艦橋を制圧し天鳥船を奪還する」



天龍「艦内は広いんだろう?俺達だけで大丈夫か?」



隊長「問題ない・・・天鳥船も方舟同様少人数で運用出来るように機能は艦橋に集中してある」



雲龍「艦橋を制圧できれば艦内の隔壁を操作できる・・・もし艦内に多数の兵士がいたとしても安全に隔離できるわ」



青葉「最悪そのまま無力化できますしね」



青葉のその言葉に天龍は顔を歪める・・・対する青葉は何かとでも言いたげな顔だ。



天龍「・・・わかった俺は以上だ」



桐生「他にはありませんかぁ?・・・ないならちゃっちゃと準備しちゃってください」



桐生のひと言で艦娘一同は解散し各員艤装の最終調整に向かった。



桐生「・・・はぁ」



吹雪「あの・・・桐生提督?」



桐生「ん?・・・あぁ吹雪か」



振り向いた先には吹雪が立っていた・・・不思議そうな顔でこちらを見ている。



吹雪「私のせいですか?」



桐生「はぁい?・・・」



吹雪「・・・雪風さんから聞きました、私が大破してから提督は人が変わったって」



桐生「・・・」



吹雪「・・・桐生提督」



桐生「・・・僕はね、弱い人間なんですよぉ?」



吹雪「・・・?」



桐生「実に弱い・・・部下の死を目の前に自分を偽ることでしか乗り切れなかったんですから」



吹雪「・・・そんな」



桐生「軽蔑するか?・・・こんな提督を」



吹雪「しませんよ・・・私だって桐生提督の事いえませんから」



桐生「・・・吹雪も?」



吹雪「ええ・・・私もです」



桐生「そうですか・・・はは、そうか」



吹雪「はい!」



桐生「・・・自分を偽るのは止めだ」



吹雪「その方がいいですよ?」



桐生「では早速・・・」



吹雪「え?・・・えっと」



すっと立ち上がり吹雪を抱き寄せた。対する吹雪は急なことで驚きを隠せない様で顔を真っ赤にしている。



桐生「好きだ・・・吹雪」



吹雪「え・・・」



桐生「返事はしなくて良い・・・ただ私の思いを偽り無く伝えたかっただけさ」



吹雪「・・・桐生提督」



桐生「行こう吹雪、今は任務に集中しなければな」



吹雪「はい!」





方舟 艦橋



桐生「すまない、遅くなった」



副官「桐生提督?・・・」



気のせいだろうか?さっきとはまるで別人のようだった気が・・・



桐生「副官、現在時刻は?」



副官「え?・・・えっと1045ですが」



やはり気のせいではなかったか、まるで別人である。いかにも軍人であるオーラをまとっている。



桐生「作戦海域に着くのは?」



副官「予定時刻は1125です」



桐生「・・・うむ、各員に告げろ、作戦海域に到着次第作戦を始める」



副官「はっ!・・・あの桐生提督?」



桐生「なんだ?」



副官「・・・どうかされたのですか?」



桐生「・・・自分を偽るのをやめたのさ」



そういった彼の目は今までとはまるで違うものだった。正直いけ好かないし苦手だったが今の彼なら信じるに値する・・・そう思えた。





方舟 出撃ポート



隊長「各員、艤装の最終チェックを」



雲龍「問題ないわ」



青葉「こちらも・・・」



天龍「異常なしだ」



阿賀野「いいわよ」



金剛「・・・問題なしよ」



響「準備はできてる」



艤装兵たちもそれぞれが答えていく、最終チェックはみんな出来ているようだな。



隊長「よし・・・後は出撃のタイミングまで待機だな」



雲龍「しかし、この資源の無駄遣いがここに来て役に立つなんてね」



コンコンと大型ブレードを小突きながら雲龍は話す。



隊長「・・・今までも大活躍だったが?」



雲龍「あら?そうだったかしら、よく壊されていた気がするけど」



隊長「まぁ・・・それは・・・まぁうん」



痛い所を突かれたな・・・前回の戦闘でも破壊されているから何も言い返せない。



阿賀野「雲龍、あんまりいじめちゃダメじゃないの」



青葉「そうですよ?拗ねちゃいますって」



隊長「お前らな・・・」



阿賀野「・・・時間よ」



隊長「あぁ・・・各員!いつでも出られる様にしとけよ!」





方舟 艦橋



桐生「副官!機関出力最大!!」



副官「はっ!・・・機関出力最大!」



時は来た・・・今より方舟は天鳥船奪回作戦を始める。まずは第1段階、方舟の最大出力を用いて天鳥船突撃し突入部隊の援護を行う。



副官「出力・・・最大!」



桐生「よし・・・出力は現状を維持!電磁フィールド展開後、速力最大で突撃する!」



副官「了解!・・・突入部隊に連絡、合図次第出撃せよ」



隊長「こちら突入部隊、了解した」



電磁フィールド展開が終わり方舟は60ノットの超高速で進んでいく・・・方舟自体は小型の船舶であり本来このスピードで航行すれば船体へのダメージも考えられる。だが展開した電磁フィールド、そして強化された装甲によってビクともしない。



桐生「さて・・・いくぞ方舟!」






天鳥船 艦橋



海藤「・・・来たか」



正規空母「どうするんだ?」



海藤「とりあえずは迎撃だな・・・おそらく奴らは突入部隊を送り込んでくるはずだ、そのタイミングでこちらも・・・」



正規空母「ふむ・・・ではこちらの何人かでひきつけよう」



海藤「頼む、こちらからも先行量産型をだす」



正規空母「・・・オリジナルの量産型か」



海藤「あぁ・・・それと君には離脱する方舟に向かって欲しい」



正規空母「方舟に?・・・わかった、では突入部隊はお前に任せる」



海藤「・・・武運を祈る」



正規空母「・・・お前もな」




方舟 艦橋



副官「天鳥船から砲撃・・・至近弾です!」



桐生「気にするな!まだ当ってはいない!」



接近するほど迎撃が激しくなっていく、普通の艦ならとっくに粉々になっているだろう・・・こちらが普通の艦ではないこと位知っている筈だが?



桐生「・・・副官」



副官「はい?・・・」



桐生「誘っている・・・君の意見は?」



副官「私もそう思います・・・海藤なら方舟のスペック位知っているでしょうから」



海藤はおそらく接近させるつもりでいるのだろう・・・恐らくこちらの動きも読まれているはずだ。



桐生「・・・艤装兵は艦内にて待機、各員は白兵戦の準備を!」



副官「それでは突入部隊は!」



隊長「話は聞かせてもらった、俺も桐生の意見に賛成だ」



出撃ポートから通信が送られてくる・・・隊長は敵の作戦に気づいたようだな。



桐生「それならお願いします、恐らく海藤は・・・」



隊長「白兵戦部隊を潜入させる・・・方舟も天鳥船同様内部から攻めたほうが楽だからな」



副官「はぁ・・・ですが内部は」



隊長「むしろ俺達だけの方が楽だな」



おそらく内部にも罠が仕掛けられているはずだ・・・歴戦の彼らだけの方が事実動きやすいだろう。



副官「はぁ・・・ならいいのですが」



桐生「そうと決まれば一気に突っ込むぞ!隊長、艦首に部隊を集めてくれ」



隊長「わかった・・・行くぞ!」



桐生「副官!電磁フィールドを艦首に集中!私が合図をしたら解除するんだ」



副官「はい!」



方舟は速度を維持し天鳥船に接近する、天鳥船は迎撃自体はしている物のやはり誘っているようでどうにも密度が薄く感じてしまう。そんな状態では方舟が天鳥船に接近するまでに対して時間はかからなかった。



副官「距離150!・・・桐生提督!」



桐生「そのままだ!こちらの電磁フィールドで中和する!」



副官「はい!距離70・・・ぐ!?」



酷く船体が揺れる、こちらの電磁フィールドと相手の電磁フィールドがぶつかったのだ。互いに干渉し合いかなりの音と光をあげる、こちらは艦首に集中して電磁フィールドを展開しているため恐らく負けることは無いはずだ。



副官「桐生提督!敵電磁フィールド・・・突破!」



桐生「よし!!電磁フィールド解除・・・・突入部隊!突っ込め!!」



隊長「任せろ・・・突撃する!」



隊長の号令と共に突入部隊が出撃する・・・電磁フィールドは中和されている為後は方舟の搬入ハッチを突破するだけだ。



桐生「レールガン、CIWS掃射!突入部隊を援護しろ!」



副官「了解・・・撃ちまくれ!」





天鳥船周辺



隊長「よし・・・各員俺に続け!」



阿賀野「了解!・・・ん?」



隊長「どうした?」



阿賀野「敵よ!・・・あれは迎撃目的ではないわ」



青葉「方舟に侵入するつもりですね・・・どうします?」



隊長「うむ・・・」



確認しただけでも8人程、普通の艤装兵なら問題ないが・・・



阿賀野「この反応、オリジナル!?」



隊長「なに?・・・しかし」



雲龍「阿賀野の言うと通り、あれはオリジナルよ」



天龍「・・・マズいんじゃねぇか?」



天龍の言うとおりかなりマズイ・・・迎撃するにしてもこちらの艤装兵では太刀打ちできないだろうし、離脱するにしても取り付かれた時点で離脱は困難だ。



金剛「なんなら私達で迎撃する?」



響「そうだね、天龍ちゃんと金剛さんと私で迎撃しようか」



隊長「わかった・・・だが相手はオリジナルだ、無理はするなよ」



響「わかった・・・では行こうか天龍ちゃん、金剛さん」



金剛「オーケーオーケー・・・」



天龍「おう!」



響を中心に方舟の援護に向かっていった、彼女達なら離脱開始までの時間を稼げるだろう・・・後は俺達が上手くやれるかどうかだ。

 


隊長「さて・・・と」



背部にマウントしていた大型ブレードを取り出す・・・ズシリとその重さが両腕にかかる。



雲龍「・・・隊長!ハッチが見えたわ」



雲龍が指差す先に目を向ける。確かにその先には増設された艤装兵用出撃ハッチが見えた、だがその前には護衛の部隊が展開されていた。



青葉「ご丁寧に護衛まで・・・完全に読まれてますね?」



阿賀野「そうね、これなら私達だけで来て正解だったわ」



隊長「あぁ」



雲龍「で?・・・どうするつもり?」



展開している機影は全部で10体ほどか・・・距離が離れている為機種はわからないが、向こうはこちらの動きを伺っているようだ。ならばここは先手を打たなかったことを後悔させてやるか・・・俺達のやり方でな



隊長「簡単だよ・・・なぁ?」



青葉「ですねぇ・・・」



阿賀野「んふふ・・・確かに」



雲龍「・・・愚問だったわ」



隊長「特務機動戦隊の突撃・・・見せてやるぞ」



号令と共に陣形を組む・・・先頭は俺、右翼は青葉、左翼は阿賀野、後衛は雲龍だ。



雲龍「援護するわ・・・艦載機、久しぶりに使うわね」



後衛から艦載機が発艦し、艦攻と艦爆の編隊が護衛部隊にむかって飛んでいく・・・



雲龍「青葉、阿賀野・・・タイミング合わせなさい」



青葉「言われなくても・・・」



阿賀野「わかってる!」



そう言うと二人は左右に散開を始める、対する護衛部隊はこちらの攻撃に備えて陣形を整えた・・・



隊長「開いたな・・・」



護衛部隊は判断を間違えた、彼らは自分の身を守る為に守るべき対象の護衛をおろそかにしてしまった。そのため出撃ハッチの前に1人分ちょっと程の隙間が出来てしまったのだ。



青葉「さて・・・では撃ちますか」



阿賀野「ええ、この砲撃で相手を釘付けに!」



青葉と阿賀野は主砲で砲撃を加えていく・・・狙いは二の次、面制圧を意識した砲撃を浴びせていく。



護衛部隊1「の砲撃・・・これでは動けないか」



護衛部隊2「艦載機も来ます!・・・ここは」



護衛部隊1「迎撃だ・・・奴らの砲撃は囮、本命は艦載機だぞ!」



青葉「ただいま戻りました」



阿賀野「・・・本命は艦載機だってよ?」



雲龍「ふふ、正解だけどはずれね・・・だって」



隊長「本命はこの剣でハッチをぶっ壊すことだからな!」



雲龍の艦載機は護衛部隊の迎撃をすり抜け肉薄、各機がそれぞれに爆弾や魚雷を撃っていく。それとほぼ同時に阿賀野、青葉の魚雷も迫っており護衛部隊はこちら攻撃への対応で精一杯だ。



隊長「単縦陣!!遅れるな!」



通信機から了解の声が聞こえる・・・よしいけるぞ。大型ブレードにエネルギーをく送ると高密度の青白い光を放ちながら展開した。前回の戦いで壊れた大型ブレードだが修理と共に今回の天鳥船の超振動装甲を突破するために強化されている。そのため威力は絶大だ。



隊長「うおぉぉぉぉぉぉぉぁ!!」



速度はそのまま、ただ突っ込むだけだ。



護衛部隊1「なに!?・・・まさか1人分の穴からハッチに!」



気付いたところでもう遅い、大型ブレードの刀身はすでにハッチを貫いている。



隊長「貫けた!・・・各員!!」



ハッチを貫いた勢いそのまま内部へ侵入に成功する。



阿賀野「了解!!」



青葉「クリア!」



阿賀野と青葉は艦娘の艤装を一部パージしながらこのエリアのクリアリングを行う。



雲龍「隊長!早く大型ブレードを!!」



隊長「・・・いけぇ!!」



ハッチに向かって大型ブレードを投げつける・・・今回の強化は出力の上昇を主眼に置いており、その出力は単純に10倍だ。そんなものを刀身の補強もせずに使うとどうなるのだろうか・・・答えは明白である。



護衛部隊1「突破され!?・・・なんだこれは?」



その強力すぎるエネルギーにジェネレータも刀身も耐えられず自壊してしまう・・・もちろんその強力過ぎるエネルギーと共に・・・



隊長「そのまま艦内に逃げるぞ!!急げ」



護衛部隊1「ん!?マズ・・・」



俺達が艦内に退避が完了すると同時に臨界に達した大型ブレードが大爆発を起こした。その衝撃に退避したはずの俺達も大きく揺らされる。



隊長「はぁ・・・なんて爆発だよ」



青葉「・・・これじゃ欠片も残りませんね」



阿賀野「まぁ・・・でも中途半端にやられて痛むよりはいいんじゃないの?」



雲龍「そんなことよりも私の艦載機の方が・・・」



隊長「いらねぇんじゃねぇのか?」



雲龍「さっきの連中よりは大事よ」



隊長「・・・あっそ」



青葉「さて・・・ではどうしますか」



青葉は携帯端末を操作しながらたずねる、恐らく現在地を確認しているのだろう。



隊長「全員でいくぞ、この数で別行動は流石に危険だ」



阿賀野「了解、じゃフォワードはお願いね?」



隊長「あぁ・・・青葉はそのまま侵入経路の指示を頼む」



青葉「了解です、ではあっちの扉から行きましょう」




方舟 戦闘海域



響「こちら響、これより方舟の直衛にまわる」



桐生「なに?」



こちらの報告に方舟は一瞬戸惑った様だ・・・



副官「桐生提督!艦に接近中の部隊が・・・」



響「そういう事さ、しかも相手はオリジナルらしくてね」



桐生「・・・わかった、隊長が侵入成功し方舟が航行可能になるまで援護を」



響「了解・・・いくよ天龍ちゃん、金剛さん」



金剛「ええ、ね?天龍ちゃん」



天龍「・・・金剛にまでちゃん呼ばわりかよ」



響「・・・ふぅ」



敵は8体・・・これが普通の深海棲艦ならば問題ない。だが今回相手はオリジナル、実際に戦闘経験はないが皐月や雪風の話では相当厄介らしい。となると数の不利を覆すのは難しそうだ。



響「・・・どうしたものかな」



金剛「・・・私に良い考えがあるわ」



金剛はウキウキとした表情で指の骨を鳴らしている・・・一体何をするつもりだろうか?



天龍「オイオイ・・・何するつもりだよ?」



金剛「簡単よ?ナイトメアシステムを使って一気にぶっ飛ばすの」



その比較的恵まれた胸を張り答える様はなんと得意気な事か・・・だがこれはただの力押しにすぎない。



天龍「何だそりゃ・・・何も考えてねぇじゃねぇか?」



金剛「ムム・・・でもナイトメアシステムなら数の不利を覆す事が出来ると思うんだよね」



それに今回は殲滅させる必要はない・・・時間さえ稼げればいいのだ。だが待てよ?数的不利な状況で時間稼ぎは厳しいか?ならば殲滅?・・・・金剛の提案も使えるかもしれないな。



響「・・・それで行こう」



天龍「はぁ?」



金剛の力を使えば上手くやれる、どちらにせよ先手で何体か潰せなければ時間稼ぎも出来ないのだ。ならばここは全滅させるつもりで戦った方がいいだろう。



響「・・・各員で同時に仕掛る、出来る限り数を減らすよ」



天龍「あわよくば殲滅、最悪敵の勢いを挫ければ十分ってことか」



響「あぁ・・・そういうことだね」



金剛「よっし!・・・じゃ早速」



天龍「おう」



金剛「システム起動・・・・」



金剛がシステムを起動させる・・・外見は特に変化はないようだが雰囲気が少し変わったか?



コンゴウ「んふふ・・・いい感じ」



響「金剛さんが先頭、天龍ちゃんと私は後ろにつくよ」



天龍「あぁ、わかった」



コンゴウ「了解!・・・行くよ!!」



金剛は敵部隊に突撃を始めた。敵部隊もこちらの攻勢に気付き迎撃準備に入ったようだ。



侵入部隊1「よし・・・来たな?オリジナルとなった俺達の力、試すに丁度いい」



侵入部隊2「では?」



侵入部隊1「迎撃する・・・正面の女に砲撃を集中させろ」



侵入部隊2「はっ!」



砲撃が飛ぶ・・・狙いの殆どは金剛に向かっている。しかし金剛は速度を緩めない。



コンゴウ「fooooooo!!」



金剛は奇声を上げ飛んできた砲弾を素手で殴り飛ばした。



コンゴウ「ふん!フン!・・・アハハハ!!」



うわづった笑い声と共に1つ、また1つと砲弾を殴り飛ばしている・・・その姿はまるで化け物のようだ。



侵入部隊3「何故だ!何故倒れん!!」



侵入部隊4「クソぉ!!もっとだ!もっと砲撃を集中だ!!」



コンゴウ「hey!!come more!!」



侵入部隊5「畜生!!いけぇ!!」



侵入部隊6「やってやる!!」



響「フッ・・・よくやってくれているよ」



天龍「あぁ・・・じゃ俺達も行くか?」



響「そうしよう・・・全艦散開!!」



私と天龍が左右に分かれる。金剛に集中しすぎていた敵部隊は急な動きに動揺しているのが見て取れる。



侵入部隊7「なに?散開した?」



侵入部隊8「作戦か?・・・俺達で迎撃を!」



侵入部隊1「陣形を崩すな!・・・ここは一番危険な先頭の奴を」



その時金剛が速度上げた・・・高速戦艦とは言われているがそれでも考えられないほどの速度で急接近している。



コンゴウ「go・・・to・・・Heeeeeeeel!!!」



侵入部隊1「な・・・」



金剛の速度の乗ったラリアットが炸裂する・・・その余りの威力に敵兵の頭部は吹き飛び、残った体は力なく海に沈んでいった。



侵入部隊2「あぁ!?・・・こいつ!」



敵兵は主砲を構えるがときすでに遅く、金剛によって構えた右腕ごと引きちぎられ武器を失ってしまった。



侵入部隊2「ひ!・・・あが!」



金剛の左腕が顔面を掴む・・・敵兵は余りの恐怖に逃げることも抵抗も出来ずにただメキメキと音を立てながらうめく事しか出来ない。



コンゴウ「離して欲しい?離して欲しいのぉ?・・・・無反応か、つまんねぇな」



左足を軸に敵兵を振り回し海面に勢いよく叩きつける・・・敵兵は声も上げることも出来ずに倒れた。



侵入部隊3「くそ!俺達はオリジナルになったんだぞ!!なのに・・・なのになんでぇ!!!」



主砲を撃ちながら突っ込んでくる敵兵はその台詞もあいまって実に哀れに見える。



コンゴウ「・・・hey men」



先ずは握り締めた右手で敵兵の顔面を砕く。



コンゴウ「How could I・・・」



次に体制が崩れた敵兵を掴み前方にぶん投げる。



コンゴウ「・・・know that!!」



最後に36cm連装砲の全門斉射を浴びせる、敵兵は跡形も無く吹き飛んだ。




天龍「・・・やるねぇ?」



侵入部隊4「・・・余所見とは舐めやがってぇ!」



敵兵は主砲を撃つが砲弾は着弾する前に天龍の刀によって切り捨てられてしまう。



天龍「舐めてなんかねぇさ・・・」



ギロリと睨みつける・・・その鋭い眼光の前に敵兵は一瞬威圧されてしまう。



天龍「テメェ相手なら・・・これ位で十分て事なんだよ」



水面を蹴り上げると天龍は刀を構えなおし速度上げる、その速度に敵兵は一瞬の隙を突かれ接近を許してしまう



天龍「・・・ふん」



すれ違いざまに切り捨てる・・・敵兵は血のような何かを吹き上げ崩れ落ちていった。



侵入部隊5「クソォ!!ぶっ殺してやる!!」



侵入部隊6「行けぇ!一気に攻めれば!」



射撃戦では分が悪いと思ったか残りの二人は電磁ブレードを構え接近戦に移行してきた。



天龍「確かにスピードとパワーはダンチだな・・・だけどよ」



艤装を展開させて主砲を構える。敵兵は主砲では有効打に無いと踏んでいる為か回避行動をとらずまっすぐこちらに突っ込んでくる。



天龍「戦い方が雑魚なんだよ!!」



主砲を放つ・・狙いは敵兵本体ではない、彼らがその手にもつ電磁ブレードだ。砲撃は見事に命中し敵兵は武器を失ってしまう。



侵入部隊5「なに!・・・くそ!」



侵入部隊6「うっ!こうなったらパワーを生かして!!」



天龍「無理だよ・・・お前はすでに詰んでいるのさ」



ふと水面に雷跡が見える数は6本ほどか・・・その全てが敵兵の二人に向かっていた。



侵入部隊5「な・・・・」



天龍「普通よりは頑丈かも知れんが・・・この魚雷の数と主砲の一斉射で無事でいられるかな?」



侵入部隊6「くそっ!!」



主砲の装填完了、魚雷命中、主砲全砲門一斉射・・・



天龍「・・・これがオリジナル?なんというか量産型みたいだったがな?」



煙が晴れるとそこには何も残っていなかった。跡形も無くなったかそれとも残骸は海に沈んでしまったか・・・どちらかは解らなかった。




響「残敵・・・2体か、ならば私が仕留めるとしようか」



相手はオリジナル・・・だが金剛や天龍との戦闘を見る限り雪風の報告には遠く及ばないようだ。これなら駆逐艦の火力でも十通用分するだろう。



響「・・・スピードを生かして攻める」



速度を上げる。現在の速度は36ノット・・・相手のオリジナルたちは思った様に速度が出せないようで十分に翻弄されてくれている。



侵入部隊7「速い!・・・狙いが」



侵入部隊8「ちぃ!こっちだってスピードは・・・」



スピードを生かし翻弄しながら砲撃を加える。やはり想定より装甲は薄いか、それに錬度の低さも目立つ・・・



響「面倒だ・・・さっさと死んでもらおうか」



速度はそのまま・・・敵部隊に突っ込む。



侵入部隊7「こいつ・・・突っ込んでくるぞ」



侵入部隊8「丁度いい、一気に仕留めるぞ!」



響「・・・ふん!」



艤装につけられた錨を敵部隊に目掛けてぶん投げる。



侵入部隊7「おわぁ!?」



こちらに合わせて速度を上げていた敵は避ける事が出来ず直撃してしまう。あまりの衝撃に随伴していたもう一体も巻き込んで体制を崩してしまった。



侵入部隊8「なに!?」



響「もらったよ?」



速度そのままで敵を中心に旋回はじめる・・・錨につながれた鎖によって敵部隊は動きを封じられ、明らかに動揺が見て取れる。



侵入部隊7「くそぉ!!外れない!」



侵入部隊8「ちぃ!!・・・はずせぇ!はずせよぉ!!」



パニックを起こし冷静な判断が出来ていないようだ。正直見ていて見苦しい・・・さっさと仕留めてしまおう。



響「・・・せめて楽に死ぬといい」



旋回を続けながら魚雷と主砲の連続攻撃・・・回避も防御も出来ずに敵部隊は沈んでいった。




金剛「システム解除・・・終わったわね?」



金剛は周囲を見渡し大きく息を吐く。



天龍「あぁ・・・周囲に敵影はないようだ」



響「そのようだね」



天龍がそれに続く・・・私も電探に注意を向けながら答える。



桐生「こちら方舟、響応答しろ」



響「こちら響、なんだい?」



桐生「隊長の侵入成功を確認した、こちらももう動ける」



響「了解、こちらも敵部隊の殲滅に成功した・・・帰艦するよ」



桐生「わかった、収容する」



方舟 艦橋



桐生「ふむ・・・」



予想以上の戦力だったが撃退に成功した。だが海藤もやはり策を用意している、今のところは順調だが油断は出来ない。



副官「桐生提督、響達の収容完了しました」



桐生「わかった・・・ではこれより射程距離外まで退避する」



副官「了解、方舟・・・」



突然大きな衝撃が方舟を襲った。あまりの衝撃に副官は手すりに顔面をぶつけてしまう。



副官「うっ・・・損傷確認!」



流石は艦長、緊急事態にも動じず冷静に判断を下している・・・士官からは損傷軽微の報告が上がっており取りあえずは安心出来そうだ。



副官「天鳥船か?・・・・」



桐生「違うな・・・」



副官「え?・・・オリジナルと深海棲艦だと!?」



士官から敵影発見の報告が上がる・・・反応は深海棲艦とオリジナル、確かな数は不明だが大部隊だ。その瞬間さっきよりも大きな衝撃を方舟を襲った。



桐生「・・副官!」



副官「後部スクリューが何個か潰されました・・・このままでは離脱できません」



桐生「・・くっ」



副官「・・・天鳥船の艦尾部には小型艦船用ハッチが増設されていましたね?」



桐生「物資と人員移動の為だから比較的大きいポートが・・・そうか!」



副官「ええ、そこに方舟を突っ込ませましょう」



桐生「よし早速やってくれ!艦娘たちはハッチへの突入後発艦、方舟に襲い掛かる敵部隊の迎撃だ」



副官「はっ!!」



副官が指揮をとり方舟は前進をはじめる、速度は出ないが止まっている物体に突っ込む事位はできる。



桐生「よし・・・こちら桐生だ雪風、聞こえたな?」



雪風「ええ、こちらは全艦準備できてるわ・・・後はそちらさん次第ね」



桐生「わかった・・・副官!思いっきりやれ!」



副官「了解!・・・方舟、突撃しろ!!」



方舟は先程も半分もない速度で進んでいく・・・運よく艦船用ハッチの前に出れたようだ。電磁フィールドを前方に集中、先程とは違い中和させる訳で無い為電磁フィールドは最高出力で展開させている。



副官「総員・・・舌かむなよ!!」



船体をかなりの衝撃が襲う・・・鉄板がひしゃげる音と吹き飛ばされそうになる程に揺れる様はまるで沈んでいくのではないかと思うほどだ。



副官「ハッチ破壊!乗り上げます!・・・桐生提督!」



桐生「艦娘部隊は発艦!!艤装兵はハッチから天鳥船に侵入!周辺を確保しろ!」



指示を受け艦隊が動く、艦娘は全艦発艦できたようだ・・・艤装兵も周辺の確保に成功したとの報告が上がってきた。



桐生「よし!・・・隊長が天鳥船を確保するまで持たせろよ!」





戦闘海域



雪風「全艦用意はいい?」



各艦から肯定の報告が上がってくる。取りあえずは全艦無事に出撃できたようだ。



瑞鶴「雪風、偵察機からの報告よ・・・・深海棲艦多数とオリジナルが4体」



雪風「多数って・・・詳しい数はわからないの?」



瑞鶴「報告直後に撃墜されているから無理ね・・・」



吹雪「かなりの数と見てた方がいいですね、無人機の援護があるとはいえ厳しい戦いになりそうです」



雪風「そうね・・・とりあえず動きやすくする為に隊を分けるわ」



出撃した艦娘は・・・私と瑞鶴 時雨 加賀 最上 吹雪 山城 皐月 夕立・・・そして合流した天龍、金剛、響の12隻。3つに分けよう・・・1つを方舟の直衛、援護に回して、他の2部隊で迎撃にしよう。



雪風「1つは私が旗艦、最上と皐月、金剛で敵艦隊の迎撃」



雪風「2つ目は天龍を旗艦として夕立、山城、時雨で同じく敵艦隊の迎撃・・・三つ目は瑞鶴を旗艦で加賀、吹雪、響で方舟の直衛と艦載機で他艦隊の援護をお願い」



天龍「了解!俺に続けぇ!!」



瑞鶴「了解!加賀艦載機を!吹雪と響は周辺の警戒お願いね?」



雪風「よし!・・・行くわよ!」





雪風艦隊



雪風「最上さん敵は確認できてますか?」



最上「・・・来たね?深海棲艦共だよ」



金剛「了解・・・早速ぶっ飛ばして・・・」



金剛が言いかけたとき,敵影の接近を確認した。



最上「もう1つ、オリジナルだ警戒を!!」



正規空母「フン!艦娘どもか・・・狙いは貴様達ではないのでな?」



なんてスピードだ・・・進んでいる方角は方舟?マズイな、奴を通すわけには行かないぞ。



雪風「迎撃!!・・・うっ!?」



至近弾・・・奴に気を取られすぎたか?深海棲艦にも接近されてしまった。



最上「通すかぁ!!」



最上は瑞雲と主砲による攻撃で阻むが当の正規空母には効果はない・・・



正規空母「当らん、その程度ではとまってやれんぞ!」



最上「・・・なんて奴だよ」



あまりの敵の動きに最上も驚いているようだ・・・正直アイツ相手にまともに戦えるのは何人もいないだろう。



雪風「・・・仕方ない最上は瑞鶴に報告、アイツ以外の敵を迎撃するわよ」



皐月「了解!」



一番やばそうな奴を逃してしまったが・・・ここは新生一航戦の二人に任せるしかない、せめてこれ以上の敵は通さないようにしなければ・・・




瑞鶴艦隊



瑞鶴「ん・・・なに!?」



雪風の艦隊から報告が入った・・・内容はオリジナル一体に突破されてしまったとの事だった。



加賀「瑞鶴どうしたの?」



瑞鶴「敵が来るわ・・・オリジナルよ」



吹雪「オリジナル!・・・艦種は?」



瑞鶴「報告では正規空母らしいけど・・・」



加賀「・・・艦載機を呼び戻しましょう」



瑞鶴「・・・加賀はそのままでお願い」



加賀「相手は正規空母よ?・・・1人では」



確かに加賀の言うとおり、私1人では難しいかもしれない。



瑞鶴「だけど・・・各艦隊の援護をないがしろにするわけには行かないわ」



だがここで各艦隊の連携の命綱を切るわけにはいかないのだ。



響「・・・マズイね」



横にいた響がいつも以上に真剣な表情で言った。



吹雪「どうしました?」



響「敵潜水艦の反応多数だよ・・・こちらに接近している」



なんてタイミングだ・・・潜水艦相手では私達空母では何も出来ない。ここは吹雪と響に当ってもらうしかないか。



瑞鶴「・・・吹雪と響は潜水艦をお願い」



吹雪「・・・了解です」



響「わかった」



加賀「・・・瑞鶴1人でオリジナルと戦うなんて」



瑞鶴「大丈夫よ、いざとなれば奥の手があるんだから」



加賀「・・・そうね、任せたわよ?」



瑞鶴「ええ・・・任されたわ」



そういってわたしは艦隊からはぐれオリジナルが向かってくる方角に進んだ。



天龍艦隊



天龍「山城!」



山城「ええ!全砲門・・・発射!!」



山城の主砲によって前方の深海棲艦は殲滅・・・相変わらず命中率はかなりのものだな。



時雨「夕立!合わせて?」



夕立「ええ!突撃するわ!!」



対する夕立と時雨は周辺の敵艦を掃討している。しかし時雨にあそこまでの連携ができたとは・・・それにあの夕立も本気の時雨についていける程の奴だとは予想外だったな。



天龍「第1派はやれたか?・・・」



電探に意識を向けながら辺りを見渡し山城に尋ねた。



山城「ええ、周辺に敵影なし・・・ただまた後方から増援がきてるわ」



天龍「やれやれ・・・各員やれるな?」



時雨「問題ないよ」



夕立「私も」



山城「まだまだやれるわ」



まだまだ大丈夫なようだ・・・ん?電探に反応?これは?



天龍「なんだ?・・・・かなりの速度で突っ込んでくるぞ!」



山城「うそ!・・・こんな速度の奴なんて、これがオリジナルなの?」



夕立「この感じ・・・まさかこの前の?」



夕立は何か知っているようだが・・・だが今はそんなことより迎撃準備をする方が先だ・・・こいつはヤバイ気がする。



時雨「・・・深海棲艦も来たみたいだね」



天龍「そう来たか・・・山城と俺は深海棲艦をやる、時雨と夕立はオリジナルだ・・・任せるぞ」



時雨「了解・・・行くよ夕立」



夕立「ええ・・・さっさと仕留めましょう」




瑞鶴艦隊




瑞鶴「・・・アイツね」



正規空母「む?・・・1人だと?」



あれが敵オリジナル・・・正規空母らしいけど、何が来るかわからない以上はうかつに手出しも出来ないな・・・



正規空母「正規空母型・・・流石にこいつを簡単に突破するのは難しいか」



相手も戦う気なったらしく、拳銃のような物を左右に構えだした。



瑞鶴「来るわね・・・こっちも」



弓を構え矢を番える・・・先ずは牽制?いや・・・初弾から決めていこう。



瑞鶴「・・・彗星いけぇ!」



放たれた矢が彗星艦爆へと姿を変える・・・



正規空母「・・・攻撃機か?ならばこちらも!」



正規空母がマントを翻すと艦戦らしき戦闘機が躍り出る、迎撃にでたか・・・予定どおりだ。



瑞鶴「よし・・第2次攻撃隊も」



正規空母「させん!!」



二つ目の矢を番えようとした時正面から高威力の機銃が飛んできた・・・まさかこちらが敵艦載機に注意が行った一瞬で接近戦を仕掛けてくるとは。



瑞鶴「油断できないわね・・・・だけど!」



腰部に増設された矢筒から矢を番える・・・狙いは正規空母だ。



瑞鶴「・・・艦載機だけじゃないのは、あんただけじゃないのよ!」



矢を放つ・・・



正規空母「ん・・・!?本物の矢か!?」



くるりと軽く一回転することで正規空母は矢を回避した・・・だがマントの一部が引き裂かれた。



瑞鶴「避けられたか?・・・なら!」



今度は烈風の矢を番える・・・こいつを使って制空権を取ってしまおう



瑞鶴「・・・いけぇ!烈風!」



放たれた矢は烈風へと姿を変え、彗星に夢中な敵艦戦に猛攻撃を仕掛ける。



正規空母「む・・・どんどん攻め手を変えてくるとは油断できんな」



正規空母は一切動揺する事無く迎撃に入る・・・精度の高い機銃掃射によって烈風隊も苦戦を強いられている。



瑞鶴「・・・この隙に流星を」



正規空母「奴のことだ・・・恐らくここでもう一手来るか」



流星の矢を番え・・・放つ。だが正規空母に読まれており新たな迎撃機隊によって捕捉されてしまう。



瑞鶴「・・・こいつ」



正規空母「全く・・・」



瑞鶴&正規空母「・・・厄介な奴」



このままでは数勝負になるかもしれない、もしそうなれば相手の搭載数を読みきれない以上不利・・・ならばアレを使うしかないか。



瑞鶴「・・・ナイトメアシステム起動」



正規空母「?・・・なんだこの感じは」



ズイカク「・・・行くわよ」




天龍艦隊



山城「う・・・なんて感覚なのよぉ!」



この海域のいたるところから強い悪寒を感じる・・・気を抜けば精神をやられてしまいそうな程だ。



天龍「オラァ!・・・ちぃ、まだ来るのかよ」



天龍も深海棲艦の物量を前に苦戦している・・・ここは連携して当らなければ各個撃破されてしまうな・・・



山城「行って・・・瑞雲!」



瑞雲を発艦させ天龍と私の直衛まわす・・・これで少しは楽になる筈だ。



天龍「山城、助かる」



山城「ええ・・・」



オリジナルと戦闘している時雨たちに意識を向ける・・・二人とも確実にオリジナルを追い詰めているようだ。



時雨「・・・速いね、だけど当てられない速度じゃない」



主砲を放つ・・・砲弾は時雨の狙い通り敵オリジナルの装甲に向かって飛んでいく。



駆逐「・・・きかなねぇなぁ!!」



砲弾は装甲を捉えたが貫通する事が出来なかった・・・



時雨「ほう?・・・速さだけじゃないんだね」



夕立「・・・この前より装甲が大分硬くなってるわね」



夕立の砲撃も装甲を貫通する事が出来ず、攻めあぐねているようだ。



駆逐「ハッハー!!・・・前とは装甲もぉ・・・パワァーもぉ・・・違うんだよぉ!!」



高速機動で突撃しながら全身に付けられた主砲をばら撒く・・・その姿は要塞のように見える。主砲を防ぐ装甲に大量の主砲と魚雷そしてそれ以上に厄介なのはそのスピードである。



夕立「確かにこのスピードと火力はかなり厄介・・・打つ手なし・・・」



時雨「・・・とでも言うと思ったかい?」



駆逐「なにぃ?・・・このアマ!」



敵オリジナルは時雨と夕立向かって突撃する。



夕立「・・・何も成長していないのね」



時雨と夕立も敵オリジナルに向かって突撃する。



駆逐「正面だと?・・・馬鹿か?・・・蜂の巣にしてやるよぉ!!」



対する敵オリジナルは主砲に副砲と機銃と全火器を用いて高密度の弾幕という猛攻を仕掛ける・・・



時雨「・・・ふんこの程度かい?」



駆逐「なっ!?・・・なぜ当らん!」



時雨と夕立はこの弾幕を器用にくぐりぬける・・・その姿に敵オリジナルは明ら動揺している。



時雨「・・・なぜか教えてあげようか?」



駆逐「なに!!」



時雨「まず狙いが下手」



時雨が簡単に弾幕をかいくぐり接近する・・・



夕立「そんで動きが単調・・・」



夕立によって放たれた砲弾が装甲を捉える・・・近距離で撃たれた事によりオリジナルの装甲は破壊された。



時雨「・・・その艤装もダメダメだね」



夕立「全ておいて中途半端になってるわ、バランスをとろうとしすぎてせいかな?」



駆逐「貴様ぁ!!」



敵オリジナルは攻撃を仕掛けようと主砲を構える・・・その時周辺の異変に気付いた。・・・何かがこっちに向かってきている?



駆逐「!?・・・これは!」



時雨「残念だったね・・・魚雷はすでに撃たせてもらってるよ」



駆逐「うぉ!?・・・ぬぅぁぁぁぁああ!」



魚雷が全弾命中・・・敵オリジナルはなすすべも無く深海へ沈んでいった。



天龍「・・・ほぉ?」



山城「どうしました?」



主砲、副砲を連射しながら山城がたずねる。山城はすでに多数の敵艦を撃破しているためか敵艦の体液を体中に浴びている・・・その姿は軽いホラーだ。



天龍「時雨たちがオリジナルを撃破してたんだがな・・・あの二人って雪風とまともにやりあえるんじゃないかね?」



山城「早いですね・・・しかし天龍さんはどうなんです?雪風さんとは」



天龍「・・・俺には無理だよ」



山城「え?」



天龍「・・・行くぜ、合流するぞ」



時雨たちにも連絡を入れた・・・後は合流し再度増援部隊を迎撃するだけだ。時雨の実力は大した物だ・・・あれこそ本当のエース何だろう・・・自分のような中途半端では無く。



天龍「俺も・・・引退かね」



山城「?・・・何か言いました?」



天龍「・・・なんでもねぇよ」



戦場で感傷に浸るなんて俺もヤキが回ったものだ・・・・このままじゃ本当に引退しなけりゃならないな。刀で1つ空を切る・・・自分の中に生まれた嫉妬と劣等感を切り捨てるように。




雪風艦隊



とりあえず第3波までは凌げた・・・逃したのはあのオリジナルだけ,これで瑞鶴たちの援護にもなっただろう。



雪風「全艦報告!」



金剛「異常なし・・・残弾もたっぷりよ」