提督「艦娘が俺の嫁に・・・?」明石「体験版ですっ!」
リクエストを取ることにしたので、コメント欄にてよろしくお願いします。
提督「・・・あのなぁ、明石。お前の突拍子のない話を聞いているほど俺も暇じゃないんだが?」スラスラ
明石「ちゃんと聞いてくださいよ!もしかしたら艦娘と提督との関係がガラリと変わるかもしれない画期的な発明なんですよ!?」
提督「例えそれが画期的であったとしてもだな、俺と結婚したいと思っている艦娘がいると思うか・・・?お生憎様、俺にはそういった浮ついた話に縁は無くてね。」トントン
明石「・・・それ、本気で言ってるんですか!?え、嘘。信じられない・・・引くわー。」ヒキッ
提督「おう、お前表出ろや。」グッ
明石「ちょちょ!冗談じゃないですか!でもですね提督!艦娘だって女の子なんですよ?結婚にだって興味はあるんです!」アタフタ
提督「むっ・・そういわれると・・・そう、なのか?」
明石「はいっ!そうなんです!なので、この鎮守府唯一の男性である提督のお力を借りようというわけなんです!」キラキラ
提督「・・・・なるほど、理由は分かった。上手く丸め込まれたような気がしないでもないが彼女たちの願いというのならば手伝おう。」
明石「ありがとうございます!」
明石(フフフッ・・・面白いことになりそうですっ!)
吹雪編
明石「さっそくですが、一番最初の被検体を呼んでおきました!」ニコッ
提督「被検体ってお前・・・」
コンコン
提督「入ってくれ。」
吹雪「失礼しますっ!司令官!」ガチャ
提督「チェンジ!!!!!!」
明石「ダメです!」
吹雪「え・・・っ?え?」オロオロ
提督「おい明石、俺をはめようとしてるだろ?駆逐艦と結婚なんてできるか!」
明石「提督!駆逐艦だって立派な女の子なんですよ!?そんな言い方はあんまりです!ほら見てくださいよ。」
吹雪「し、司令官は・・・私となんて結婚したくないですよね・・・えへへ・・・わかってましたけど、だめだなぁ・・・私。」ポロポロ
提督「うぐっ・・・!?」
明石「いいんですか?女の子を泣かせたままで、男の責務を果たさないままで、本当にいいんですか?」ジト目
提督「・・・わ、わかった。わかったから!実験に付き合おうから!な?吹雪、泣き止んでくれ」ナデナデ
吹雪「っ・・・・!は、はい////////」パァァァァァア
明石「話はまとまったみたいですし、さっそくこの装置をつけてみてください!」
提督「・・・なんだこのあからさまに怪しい機械は。」
吹雪「でもなんだかロマンを感じますね!」ワクワク
明石「お、吹雪ちゃんはわかってますねぇ!これは頭にかぶることで対象の脳に電磁波を送る機械です!その電磁波は特殊で、害を一切与えずに仮想の共有スペースに意識を飛ばすことができるんです!」
提督「いまいち信用できないが、まあいい。なにかあれば減給してやる。」スッ
吹雪「ちょ、ちょっと緊張しますね。」スッ
明石「・・・では、ごゆっくりと。」
・
・
・
おき・・・・く・・・だ・・
おきてく・・・さい・・・
提督(・・・ん・・・なんだ・・・?声が・・・)
「おきてください、アナタ。朝ですよ!」ユサユサ
提督「ん・・・あ・・・」ウトウト
「おはようございます、アナタ。ごはん、できてますよ。」ニコッ
提督「ありがとう・・・って!!!!」
吹雪「・・・?どうかしたんですか?」
提督「いや、吹雪。お前、そのかっこう・・・それにここは?」
吹雪「寝ぼけているのですか?もうっ、しっかりしてくださいね?ほら、顔を洗ってきてください。」
提督「あ、ああ。」
提督(ど、どういうことだ。機械をかぶってからの記憶が曖昧だ・・・それに吹雪の様子もおかしい気がする。)
・
・
・
明石「ウフフフフ・・・戸惑ってる戸惑ってる。」
明石「実はあの機械・・・艦娘の理想の新婚生活を具現化させる代物だったのです!」バァ~ン
明石「しかも、艦娘のほうは無意識状態なのでそこでの生活を本物だと思い込んでいる親切設計!最高ですね!」
明石「さてさて・・・続きを見ていきましょうか!」
・
・
・
吹雪「あ、アナタ。目は覚めましたか?」
提督「ああ、だが夢からは覚めてはいないようだ・・・。」
吹雪「?よくわかりませんけど、席についてください。ごはんが冷めてしまいます。」
提督「そ、そうだな・・・」
吹雪「では、いただきます。」
提督「いただきます・・・」
提督(焼き魚に白米、味噌汁、漬物・・・シンプルだが悪くないチョイスだ。)パクッ
提督「っっ!うまい・・・!」
提督(味付けといい、風味といい・・・間宮さんともいい勝負ができるぞコイツ・・・!)
吹雪「ほ、本当ですか?う・・・うれしいです・・・///」モジモジ
提督(なんだ・・・新婚生活というものは・・・案外悪いモノでもないかもしれないな。)
俺は、こう甘く考えていたことを後悔することになった
提督「・・・ご馳走様でした。」
吹雪「はいっ!おそまつさまでした。」
提督「美味しかったよ吹雪、ありがとう。」
吹雪「えへへ・・・///」
提督「あ・・・、もうそろそろ仕事に行かなきゃ。」
吹雪「・・・っ」
提督(あれ・・・?仕事ってなんだ・・・?俺は、鎮守府の提督だし・・・なによりここは電脳世界じゃないか・・・なるほど、この感覚も吹雪が望んでいるから生じているのか)
吹雪「お荷物・・・取ってきますね・・・?」
提督「あ、おい!・・・吹雪?」
提督(なんだか様子がおかしいな、なにかあったのか?)
吹雪「・・・アナタ、これ。どうぞ。」
提督「カバンか、ありがとう。」
吹雪「アナタ・・・」
提督「ん・・・?どうした?」
吹雪「キス・・・してください・・・」
提督「キ、キス・・・・!?」
吹雪「私を愛してくれているのなら・・・していただけますよね・・・?」ハイライトオフ
提督(目が怖い・・・!だがこんな幼い子としていいわけがない!)
提督「悪いが、それはできない・・・」
吹雪「どうしてですか・・・?私以外に懇意にしているお相手がいらっしゃるのですか・・・?」
提督「・・・え?どういうことだ?」
吹雪「浮気しているのですか・・・?ときいているのです。」
提督「ちょっ!近いって!吹雪!」
吹雪「わかっていますよ、『司令官』。『司令官』の職場には私よりも魅力的な女性はたくさんいますものね。」
提督(しょ、職場って鎮守府の事だったんかーい!)
提督「そんな事しない、俺を信用してくれ!」
吹雪「ええ、信じていますよ。『司令官』の魅力も、性格も、行動も全て信じています。」
提督「ならーーーーー」
吹雪「だからこそ、『司令官』はほかの方にも慕われているはずです・・・」
提督「・・・」
吹雪「お願いします・・・証を・・・私をちゃんと見ているって証をください・・・」
提督「吹雪・・・」
提督(こんなにつらそうな顔は初めて見た・・・吹雪・・・君はそこまで・・・」
提督「わかった、吹雪。」ギュ
吹雪「あっ・・・///」
提督「今はこれだけで許してくれ。でもな吹雪、君が俺を信用してくれているのと同じように俺も吹雪の魅力を知っているつもりだよ。」
吹雪「・・・・ありがとう、ございます。」ギュゥゥゥ
提督「こっちこそ、言いたいことが伝えられてよかったよ。」
吹雪「・・・そろそろ、お時間ですよ。アナタ」
提督「うおっ!忘れてた!じゃあ、また後でな!吹雪!」パッ
吹雪「っ・・・・」シュン
提督「また会えるさ、だからそんなに落ち込むなよ。」ナデナデ
吹雪「・・・・///」
提督「では、改めて行ってきます。」
吹雪「はいっ!いってらっしゃい、アナタ!」
玄関の扉を開けた瞬間・・・俺の体は光に包まれた。
眩しい光の中で少し気になって後ろを振り返ると、先ほどと変わらない健気な笑顔で俺を見送る少女がいた。
・
・
・
提督「っ・・・!!」ガバッ
明石「あ、もう起きられましたか?」
提督「もどってこれたか・・・」
明石「全く提督ってば・・・あんなに臭いセリフをよくもまぁペラペラと言えたモノですね・・・」
提督「いやぁ、明石。お前にもいろいろ聞きたいことがあるんだが・・・・?」ゴゴゴゴゴゴッ
明石「ち、違うんですよ!まさかあんなことになるとは私も思っていなくて!でも安心してください!艦娘には向こうの記憶は残っていませんから!」
提督「そういう問題じゃないだろ・・・大体なんで俺の言ったことを知って―――」
吹雪「司令官!」ギュ
提督「うおっ!吹雪・・?お前も目覚めたのか。」
吹雪「はい!なんだか楽しかった気がします!」
提督「そうか、そいつは重畳。」ナデナデ
吹雪「エヘヘ・・・///おかえりなさい。」ボソッ
提督「ん?・・・何か言ったか?」
吹雪「いいえ、何でもありませんよ。いつか、胸をはって司令官に言えるように頑張りますから!」
提督「そうか。」
吹雪「では通常任務に戻りますね!それでは!」バタン
提督「・・・なんだか、以前にもまして明るくなったな。」
明石「そう・・・ですね・・・」
明石(おかしい・・・さっきの吹雪ちゃん・・・明らかに記憶が残っているようだった・・・無意識なのになぜ・・・?それに、向こうの世界の吹雪ちゃんの様子もおかしかった・・・)
明石(まだまだ、改良しなければいけませんね。」
提督「ほぉ?いったい何の改良が必要なんだ、聞かせてくれよ明石。」ギロッ
明石「あれ、声にでちゃってました・・・?」
提督「ああ、ばっちりな。さぁ、聞かせてもらおうか?」
少女説明中
提督「お前、減給な。」
明石「そんなぁ・・・」ショボン
提督「それと、あの吹雪の状態は何なんだ?あきらかにいつもと違ってたぞ?」
明石「それが・・・私にもわからないんですよ。」
明石(いや、よく考えてみれば無意識に誰かに提督をとられるっていう心配があって、それを提督自信に否定されることを望んであんな状況になったんじゃ・・・)
提督「うぅむ・・・なぜだろう・・・」
明石(ま、黙っていたほうがお互いのためですよね!)
吹雪編 終了
那珂編
明石「だいぶ期間は空きましたけれど、今回も張り切っていきましょー!」
提督「しばらくおとなしくしてると思ってたらまだやるのかよ・・・」
明石「もちのろんです!艦娘達の願いをかなえるまではこの明石、絶対に止まりませんよ!」フンス
提督「じゃあなんだ、謹慎処分でも下しとけばいいのか?」
明石「それはマジ勘弁してください・・・」
提督「仕方ないな、今回ばかりは見送ってやろうじゃないか。」
明石「ありがたき幸せ・・・!じゃなくて!今回も提督には健気な艦娘達の夢をかなえるお手伝いをしてただきます!」
提督「チッ・・・!流されなかったか!」
明石「もう既に艦娘には声を掛けておきましたのであと少しで来ると思います!」
提督「お前のその準備の良さはほかのところに回せないのか・・・?」
ドタドタドタドタ
明石「おっ、ちょうど来たみたいですよ!」
提督「廊下から物凄い足音が・・・!?いったい誰を呼んだっていうんだ!?」
那珂「なっかちゃんだよ~☆」バタン
提督「オマエだったんかい!」ズコッ
明石「というわけで今回のお相手は艦隊のアイドルこと那珂さんです!」
那珂「ヨッロシク~!」キラッ
提督「いやいや!二回目からいきなりハードル上げすぎだろ!」
明石「そんなことないですって!那珂さんだって歴とした乙女なんですよ!」
提督「それはそうかもしれないが・・・そうだ!那珂はアイドルなんだし疑似的とはいえ結婚なんて・・・」
那珂「だからこそ・・・だよ?」
提督「え・・・?」
那珂「まぁいいからいいから!明石さんから事情は聴いてるし大丈夫だよ!」
明石「その通りです!ではさっさと始めてしまいましょう!」ガシッ
提督「ちょっ・・・!おま!」
明石「ではいってらっしゃいませ~!」
・
・
・
こい・・・イレブン・・・♪
提督(んん・・・?なんだ、聞き覚えのある歌詞と歌声だ・・・)
あなたの・・・しゅつげき・・・しちゃうか~ら~!
那珂「みんな~~!ありがと~☆」
ファン達「「「「「「「おぉぉぉぉぉ那珂ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!」」」」」」」
提督「なんだこれ・・・」(白目)
提督(わけがわからんぞ・・・那珂が曲を熱唱して、俺の周りにいるファンっぽい奴らがわきまくってやがる・・・てか俺ら以外にも人出るのかよ。)
那珂「突然なんだけど、みんなにお知らせする事がありまぁ~す!!」
ファン1「な、なんだって!!もしかして新曲かな!?」
ファン2「まさかユニット組むとか!?」
ファン3「どちらにしても楽しみだなぁ。」
提督(でもこれって結婚の理想だったよな・・・、嫌な予感しかしない・・・っ!!)
那珂「すぅ~、実は那珂ちゃん・・・いえ、私、那珂は・・・」
ザワザワザワザワ
那珂「結婚します!!!」
ファン達「「「「「「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」」」」」」
提督(ですよねーーー!!)
那珂「だからね、那珂は皆のアイドルを卒業します。」スタスタ
ファン4「そ、そんなぁ・・・」
ファン5「待ってくれよ・・・これからどうすれば・・・」
ファン6「おい、なんか那珂ちゃんこっちに来てないかっ!?」
ファン7「まさかこの中にその夫候補の奴がいるのかぁ!?!?」
ファン8「もしかしてボクかなぁ・・・えへへ・・・」
那珂「そして・・・一番大切な人だけのアイドルになるね!」ギュッ
提督「・・・マジか。」
那珂「うん、マジだよ。」
ファン達「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?!?!?!?!?」」」」」」」
那珂「提督・・・ううん、ダーリン!お願い、那珂の事連れ出して?」
提督「急に言われてもだな・・・っ!?」
ファン達「「「「「「うおぉぉぉぉぉ!!俺の那珂ちゃんを返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」」」」」ドタドタドタドタ
提督「ま、マジかよ!!クソッ!!」ダッ
那珂「・・・っ!」ギュッ
提督(出口は何処だ・・・っ!見渡す限りファン達の肉壁ばっかりだぞ!?)
提督「な、那珂!出口は何処にある!?」
那珂「え、えと・・・あそこだよ!ダーリン!」
提督(ま、まじか・・・結局あの肉壁を乗り越えていかないと辿り着けないのかよ!)
ファン「那珂ちゃぁぁぁん!結婚してくれぇぇ!!」ダダダダッ
提督「っ!あぶなっ!」
那珂「わっ・・・!?」
提督(手を繋いでちゃいつ那珂と引き離されるかわからない・・・こうなったら・・・)
提督「考えてる暇はないっ、那珂しっかりつかまってろ!このまま突っ切る!!」ギュッ
那珂「ひゃっ・・・!お、お姫様だっこは・・・ちょっと恥ずかしいかも・・・///」ギュッ
提督「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」ダダダダダダダッ
ファン達「「「「「おぉぉぉぉぉ那珂ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!」」」」」ダダダダッ
汗臭い男の波を、那珂を庇いながら勢いを殺さず突っ切っていく。ファン達はその見た目にそぐわないほど貧弱で、決して俺の足が止まることはなかった。・・・これは、電脳空間上の人間だからなのか、それとも那珂が『そうあってほしい』と願っているからなのかはわからない。
提督「よし・・・っ!出口だ!!!」
全ての疑問は出口を通り抜けた瞬間に、白く塗りつぶされてしまった。
・・・けれど
那珂「提督・・・ありがとうっ!」ポロポロ
那珂が零した涙と、その言葉だけは失われずに確かに俺の心の中に残った。
お・・・て・・・!
提督(な・・・なんだ・・・声が・・・聞こえる)
お~き~て~よ!
提督「ぐへっ・・・!?」
那珂「あ~っやっと起きた~!この寝坊助さんめっ!」ピンッ
提督「いたた・・・なにも起きないからって肘入れることはないだろ・・・?」
那珂「だって提督中々起きないんだもんっ!那珂がいっつ起こしてるのにぃ~むぅ」プクー
提督「わ、悪かったよ。ごめんごめん。」ナデナデ
那珂「えへへ・・・///って!早くご飯食べないとお仕事に遅刻しちゃうよ!」
提督「そうだった・・・!すまん、先顔洗ってくる!」
那珂「朝ごはんはテーブルに置いてるからね!軍服も畳んでソファの上に置いてるよ!」
提督「ありがとう!助かる!」
那珂「うんっ!さ、急いで急いで!」
提督「おう!」タッタッタ
那珂「さて・・・私も洗濯物取り込まないと!」
提督「・・・」
提督(意外と那珂って家庭的なんだな、てっきりアイドルはチヤホヤされるのが仕事なんだよ~とかいってるものかと)
提督「っていけない、さっさと顔洗わないと。」
・
・
・
明石「えぇ~、思った以上に幸せそうだなぁ・・・」
明石「オーディエンスを用意するにも結構苦労したのに・・・結局はおうちでラブラブですか。」
明石「・・・羨ましいなぁ。」
・
・
・
那珂「・・・うん!ばっちりだね!」
提督「なにからなにまですまんな、那珂。」
那珂「那珂ちゃんを連れだしたのは提督なんだからしっかりしてもらわないとねっ!」ニコッ
提督「あの状況ではそうするしかなかったろ・・・。」
那珂「・・・それでも嬉しかったんだもん。」ボソッ
提督「・・・?なんかいったか?」
那珂「な、なんでもないよ!さ、靴はいて!早く鎮守府いかないと!」
提督「って・・・那珂、お前も行くのか?」
那珂「あったりまえじゃん!提督あるとこ那珂ちゃんあり!那珂ちゃんは提督だけのアイドルになるっていったもんね!」
提督「確かに、そんなこと言ってたな・・・あと、呼び方が元に戻ってるぞ。」ポンッ
那珂「わわっ!もうっ、髪型崩れちゃうじゃん!」ササッ
提督「はは。さぁ、行こうか。」ガチャ
那珂「・・・うん、行こっ提督!」ギュッ
扉を開けた瞬間、また見覚えのある光が俺たちの体を包んだ。
先ほどまで、俺と腕組みをしていたはずの那珂はいつのまにか一歩引いた所から悲し気な顔でこちらを見ていた。その顔が見ていられなくて、手を伸ばそうとしたけれど視界はもう真っ白に塗りつぶされてしまっていた・・・。
・
・
・
提督「那珂・・・っ!!」バッ
明石「おわっ・・・!?び、びっくりしました・・・起きるなら起きると言ってくださいよ!」
提督「な、那珂は?」
明石「え?いや、もう起きられてご自分の部屋に戻られましたよ?」
提督「・・・そうか、去る前に何か言ってたりしなかったか?」
明石「いえ、特には。」
提督「わかった・・・ありがとう明石。」
明石「いえいえ、別に構いませんよ。」カチャカチャ
提督「・・・なんだか不機嫌そうだな、お前。」
明石「いいえ、そんなことないですよーだ」ツーン
提督「いや、明らかに不機嫌じゃないか・・・」
ー廊下ー
那珂(・・・提督。)
那珂(いつになるかはわからないけど、けどね?いつか自分の言葉で提督に告白するから・・・待っててね。)ギュッ
那珂編 終了
足柄編
提督「おい、明石・・・いつまで拗ねてんだよ。」
明石「別に拗ねてませんってば」ツーン
提督「鏡見ても同じこと言えんのかよ!?」
明石「・・・ホラ、私の事はもういいですから次々行っちゃいましょうよ。もうすぐ三人目の方が・・・」
ドドドドドドドドッ
提督「こ、この振動・・・この闘気・・・っ嫌な予感しかしねぇ!」
足柄「明石!今から結婚できるって聞いたんだけどそれは本当なの!?!?」バンッ
提督「明石ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
明石「というわけで、三人目の協力者である足柄さんに来ていただきました!」ニッコリ
足柄「協力者?よくわからないけれど・・・さぁ、結婚させなさい!」
提督「明石・・・っテメェってやつはどこまで腐ってやがる!?これ絶対八つ当たりだろ!?なぁ!?」ガンッ
明石「さぁさぁ文句言ってないでさっさと被る被る~!足柄さんもコレを。」
足柄「被ればいいの?わかったわ。」スチャッ
提督「俺は不当な怒りは許さな・・・」
明石「はいっ、行ってらっしゃいませ~♪」
・
・
・
ら・・・て・・・
提督(・・・ん、隣から・・・声が聞こえる気がする・・・)
ほら・・・おきなさいったら!
提督「イテッ!?」ガバッ
足柄「もう、やっと起きた・・・貴方って意外と寝坊助さんよね。」
提督(めっちゃいてぇ・・・わき腹に肘入れるとか、まじかよ・・・)
提督「だからってなにも叩く必要は・・・」
足柄「むぅ、だって中々起きないんだもん。それより今日、何の日か忘れてたりしないわよね?」
提督(忘れてたりというより元から知らないんだが。)
提督「今日は・・・えと、なんだっけ?」
足柄「・・・今日は私とデートする日でしょ?」
提督「デー、なんだって?」
提督(はは、デートって聞こえた気がするが気のせいだよな?最近疲れてるからなぁ。)
足柄「だ・か・ら!デートだってば!さ、早く準備しなさいよ!」ガシッ
提督「ちょっ、足柄・・・!」
提督(今日は色々大変そうだ・・・っ!)
数十分後
提督「なぁ~まだか~?」
足柄「まだよ~もうちょっと待ってて!」
提督(人には早く準備しろって言ったくせに・・・女性というのは本当にわからん。)
足柄「待たせたわね!」ガラッ
提督「む、遅いぞ・・・あしが・・・ら・・・」
足柄「なによ~急に黙っちゃって・・・あ、まさか見惚れちゃった?」ニヤニヤ
提督(なんなんだ、いつもより凛々しさが引き立ってて・・・なんというか、足柄の勇ましさがいつも以上に眩しい・・・)
提督「あ、ああ・・・正直驚いた。」
足柄「えっ・・・?///ちょ、なんでこういう時に限って素直なのよ・・・///」
提督「・・・///」プイッ
足柄「も、もう・・・なんなのよ・・・///」
提督(駄目だ・・・一回意識してしまったら真っ直ぐ顔が見れない・・・!足柄相手ならと思っていたがとんでもねぇ!やっぱり艦娘は艦娘だった・・・!)
足柄「って!もうこんな時間じゃない!早く行きましょ!」ガシッ
提督「またこの流れかよっ!てか強くひっぱり過ぎだぁぁぁぁぁ」ズルズルズル
ー喫茶店ー
店員「では、ごゆっくりどうぞ。」スタスタ
足柄「・・・ふぅ、やっと一息つけるわね。」
提督「そうだな。」
提督(デートって遊園地とか映画に行くのかと思ったら、まさかオシャレな喫茶店だとは・・・普段からは想像できないが足柄もこういう所が好きなのかな?)
足柄「意外、って顔をしているわね?」
提督「えっ?・・・ああ、まぁな。俺はてっきり遊園地とか、映画とかに行くものだとばかり・・・」
足柄「・・・それもいいかなとは思ったのだけれど」
提督「だけど?」
足柄「その、私と貴方ってあんまり話したことないじゃない?だからいい機会だと思ってね。」
提督「・・・そっか。」
提督(確かに、言われてみればあんまり話したこと無かったな・・・足柄はきっとその事を言っているんだろう。)
足柄「迷惑だった?」
提督「まさか。俺も、足柄とゆっくり話してみたい。」
足柄「ほ、本当?よかった・・・」ボソッ
提督(一応、この世界では俺と足柄は結婚していることになっているはずだが・・・なんというか初々しいな。)
提督(あんまり現実世界でかかわっていなかった影響もあるのだろうか?後で明石に聞いてみよう。)
・
・
・
明石「・・・。」
明石「思った以上に幸せそうだなぁ。」
明石「私も・・・こんな風になれたら・・・」
明石「・・・なんて、無理だよね。」
・
・
・
足柄「ふふっ、貴方って意外と子供っぽい所もあるのね。」
提督「そんな足柄も、結構女の子っぽい所があるんだな。」
足柄「・・・なんだか、惜しいなぁ。」
提督「どうしたんだ、急に?」
足柄「えっと、なんていったらいいのかしら・・・根拠はないんだけどね」
提督「うん。」
足柄「このデートが終わったら、貴方とこうしてゆっくり話ができなくなるんじゃないかって・・・思っちゃって。」
提督「・・・。」
足柄「なんて、可笑しいわよね・・・私達・・・結婚していて・・・これからも・・・毎日・・・毎日・・・会えるはずなのに・・・」
提督「大丈夫だよ、足柄。」ギュッ
足柄「・・・え?」
提督「心配しなくても、これから毎日会えるだろう?・・・だから、そんなに泣かないでくれ。」
足柄「優しいのね・・・ありがとう。」
提督「可愛い嫁さんを泣かせるようならまだまだだと思うけどな・・・。」ナデナデ
提督(例え、嘘だとしても・・・今この場でだけは本当にできる・・・せめてこの世界でだけは足柄の夫としてしてやれることをしてやりたい。)
足柄「色々話し込んでいたら、もう結構時間が経っていたようね・・・じゃあ、そろそろ帰りましょうか。」
提督「ああ、そうだな。」
足柄「また、来ましょうね?」
提督「・・・勿論だ。」
店を出てからも俺の手を握って離さない足柄の手に、もう片方の手をそっと重ねてやる。すると、足柄は少し悲しそうに・・・されど嬉しそうにその手をきゅっと握った。
足柄「ふふっ・・・幸せ。まるで夢みたい。」
提督「そうだな、いい夢だ。」
けれど、もうすぐこの時間も終わりを告げるのだろう。気が付けば、街の風景はドンドンと白みがかったようにフェードアウトしていっている
足柄「まだまだ話したいことがあるの、家に帰ってからもゆっくり・・・」
提督「・・・ああ。」
徐々に視界が色褪せ、消えてしまいそうになるその刹那、俺の目の前にいる足柄の頬に一筋の涙が流れた。最後の力を振り絞って、何とかその涙を拭ってやろうと手を伸ばすと・・・足柄は驚いた後に『ありがとう』と言って微笑んだ。
そして俺は、その声を最後に意識を手放した。
・
・
・
提督「・・・。」
明石「目、覚められたんですね。」
提督「・・・ああ。」
明石「大丈夫ですか?心なしか目が潤んでいるような気がしますが・・・」
提督「気のせいだ、放っておいてくれ。それより、足柄は?」
明石「昼食のカレーを作りに行きましたよ。・・・なんだか、とてもご機嫌そうでした。」
提督「そっか・・・良かった。」
ー食堂ー
足柄「~♪」
那智「む?どうした、鼻歌だなんて珍しい。何かいいことでもあったのか?」
足柄「え?そう見える?」
那智「ああ、いつも以上に浮かれているように見えるぞ。」
足柄「じゃあ、そうなのかもね~♪」
那智「・・・?訳が分からんな、酒の飲み過ぎか?全く。」
足柄(提督、私はまだまだ貴方の事が知りたい。だからいつか、今度はこっちで・・・お話ししましょうね?)
足柄編 終了
山風編
明石「なんだか随分とお久しぶりな気がしますね~」
提督「そうだな、この機械のせいか?だいぶ時間の感覚がおかしくなっている気がするが・・・。」
明石「なっ!?自分の疾患を他人のせいにするなんてっ!あなたはそれでも提督ですか!?」
提督「お前どんどん強気になっていくな、さらに減給してやってもいいんだが?」
明石「そういえば!疾患と言えばこの子ですね、提督!」ヒョイッ
提督「おい」
山風「え、と。な、なに・・・?あたし、なんで呼ばれたの・・・?」オドオド
明石「山風ちゃんは、着任当時から酷いトラウマに苦しめられています。それを救えるのは、暗い淵に手を伸ばした提督だけなのです!」ビシッ
山風「あ、あたし・・・無視されてる?」
提督「大丈夫だよ、山風。明石は人の話を基本きかないからな。」ナデナデ
山風「んぅ・・・って、あ、あたま撫でないで!」
提督「はは、ごめんごめん。」
明石(そうやって山風ちゃんと普通にコミュニケーションが図れるのは提督だけなんですよね・・・まぁ、気づいてないなら素の対応なんでしょうけど。)
明石「えぇ、ごほんっ!ということで、行ってくれますね?」
提督「まぁ、山風がいいって言うならな。」
提督(山風は人とあまり関わるのが得意ではないからな、きっと断るだろう。)
山風「え?なに、なんの話なの?」
明石「それはですねぇ」ゴニョゴニョ
山風「っ!?それは、ホント・・・?」
明石「ええ、勿論です。」
山風「て、提督!はやく!早くしよ!」グイグイ
提督「うぉ!?あ、明石!てめぇ!なに吹き込みやがった!?」
明石「吹き込むだなんていやだなぁ~。私はただ、この機械の効能を説明しただけですって♪」
提督「ウソつけ!なら、山風があんなにやる気になるわけないだろ!」
明石「・・・そう思いますか。その真偽は、向こうで確かめてきてください。」
・
・
・
提督「っ!?」ガバッ
提督「はぁ・・・はぁ・・・。」
提督(なんだ?嫌に目覚めが悪い、というより気分が悪い・・・この気持ちは一体・・・?)
提督「それに、山風は何処だ?今までと同じなら、すぐそばにいたはずだ。」
提督(辺りを見渡してもいない。少し歩き回って捜索してみたが、普通の一軒家で山風に会うこともできなかった。)
提督「おいおい、どういうことだ?まさか、山風は結婚を拒むあまり共有スペースから弾かれたってワケじゃ・・・」ガツッ
提督「痛てぇ!?な、なんだこれ・・・?床に出っ張りがあるぞ、これは・・・取っ手か?」ギィィィィ
提督(開いた!?階段ってことは、地下室へ続いているのか・・・まさか此処に山風が!!)
提督「クソッ!今行くぞ、山風!!!」タッタッタ
・
・
・
明石「お、おかしいですね・・・共有スペースの要領的にあんなに複雑な構造の建物を創造することはできないはず。」
明石「ましてや地下室があるなんて、今回の体験・・・何かがおかしいです!!早く呼び戻さないと・・・!!!」
・
・
・
提督「ど、どういうことだ?」
地下室は石造りで、気味が悪いほど静かだった。そして、目の前には錆びかけの牢屋が一つ・・・
山風「・・・。」
そこには、腕を鎖で拘束され膝をついてうつむいている山風の姿があった。
提督「おい!山風!!しっかりしろ!!!!」ガシャンガシャン
山風「ぁ・・・てぇ、とく?」
提督「あぁ!俺だ!!何があった!?」
提督(誰がこんなことを・・・!?くそっ!何かのバグか?しかし、意識があるなら早く一緒に脱出しねぇと!!)
山風「やったぁ、てぇとくがきてくれたぁ♪よ、ようすをみにきてくれたの?うれしぃなぁ」トローン
提督「・・・は?」
山風「ね、ね?このとおり、あたしは、てぇとくが繋いでくれた鎖から離れてないよ?」ジャラジャラ
提督「おい、山風・・・お前、何言ってんだよ。それじゃあ、まるで俺がお前を・・・」
山風「え、えへっ///そうだよ?てぇとくが、あたしを『絶対に離さないように』って此処に繋ぎとめてくれたんだよ♪」
山風「だから、だからね?あたしも、てぇとくから離れたくないから此処で過ごしてるんだっ。ねぇ、てぇとく!今日はどのくらい一緒にいてくれる?あっ、もちろんてぇとくが嫌ならいいよ?下からてぇとくが生活をしている音を聞いてるのも、あたし好きだから!」ジャラジャラ
提督(い、異常だ!山風の精神状態は常軌を逸している!だから共有スペースにその異常性が反映されたのか・・・くそっ、明石!早く呼び戻すなりどうにかしろよ!!!)
提督「落ち着け山風、大丈夫だ。今そこから出してやる!」
提督(牢屋にも鍵が!だが、此処も共有スペースのはずだ。今まで通りなら・・・)
提督「ポケットに鍵があった!待ってろ、今開けるからな!!」ガチャガチャ
山風「え?え?な、なんで!?あ、あた、あたしなにか悪いことした・・・?だったら直す!直すから!あたしを捨てないで!!!」ジャラジャラジャラッ
提督「おい!やめろ、鎖が食い込んで怪我する!もうすぐ外せるから大人しくするんだ!」
山風「あ・・・ひっ!いやっ!大切な鎖が!てぇとくとの繋がりが・・・!!!」
提督(くそっ!抵抗するせいで全然外せねぇ!それにこの状況・・・山風の願望が反映されているとしても、一体何を示唆している?)
山風「ねぇ?どうして・・・!?あたし、てぇとくの言いつけ守ってたよ?悪いことだってしてないし、てぇとくに嘘もついてない!なのに、どうしてあたしを捨てるの?あたしの存在が目障りだった?それなら、死体はこのままにしてくれるなら殺してくれてもいいの!だから、あたしを此処に居させて!!!」
提督「っ!!山風、お前なんてことを言うんだ!冗談でも殺されてもいいなんて言うな!」
山風「だ、だって!てぇとくが傍に居てくれない世界なんて、あたしには耐えられない!あたしは、てぇとくの為に存在してたいの!」
提督(話が通じない、こんな事初めてだ・・・。こうなれば、時間が切れるのを待つしか・・・)
提督「・・・。」
提督(本当に、それでいいのか?)
提督(明石は言っていた、山風を救えるのは俺だけだと。その言葉は、果たして偽りだと断じることが出来るのか?)
提督(否だ。断じることなどできるはずもない、俺は知っていたはずだ。彼女の暗い過去を、そこに手を伸ばした俺には彼女を助ける責任がある・・・当たり前の話じゃないか。)
提督「・・・・なぁ、山風。」
山風「な、なぁに?てぇとく。てぇとくのいう事なら何でも聞くよ?だから、このままで・・・」
提督「外に出よう。」
山風「っ!だ、だから!あたしはてぇとくと、ずっと一緒に居たいって!」
提督「ああ。知っている。だから、一緒に外へ出よう。」
山風「一緒に・・・外へ・・・?」
提督「おう、『一緒に』だ。お前を独りにはしないよ、絶対に。」
山風「でも、外にでたらわからない。ずっと一緒になんて、何処にも、保証がない・・・」
提督「そうだな。外の世界はきっと、俺やお前が知っている以上に残酷だろう。もはや、暗雲だ。心配事を振り払っても、それは航路を邪魔するように、いつまでもまとわり続ける。山風の不安もっともだ。」
山風「でしょ?じゃあ、やっぱり此処でずっと二人で」
提督「けど、それがどうした?お前の心配事は、俺が解決できるものじゃないか。山風、お前がずっと一緒に居てほしいなら俺はその願いを叶えるよ。」
山風「え・・・?」
提督「ずっと一緒に居よう。山風は勘違いをしているみたいが、俺と一緒に居る事なんてそんなに難しくないぞ?いつでも、執務室に顔を出してくれれば大抵そこにいるからな。」ニコッ
山風「でも、あたし以外にも他の͡娘がいるじゃん。それは、二人きりじゃないもん・・・」
提督「なら、しっかり時間を取るよ。ずっと一緒は勿論だが、二人きりの時間も絶対に確保する。して見せる、だから、信用してくれないか?」
山風「きっと・・・提督は、本気。なんだよね?」
提督(呂律が戻った!きちんと話を聞いてくれたようだ・・・!あと少し!)
提督「ああ。」
山風「なら・・・証拠、証を・・・ちょうだい?」
提督「証?」
山風「うん。提督があたしとずっと一緒に居てくれるっていう証。何があっても捨てないという証拠が欲しい・・・ワガママ、かな?」
提督(此処を逃せば、二度と山風の心を取り戻せない!覚悟を決めろ。)
提督「わかった。なら、山風・・・」
山風「・・・。」ドキドキ
提督「俺の、娘に・・・なってくれないか。」
山風「むす、め?」
提督「ああ。血は繋がっていなくても、お前は俺の娘だ。何があっても守るし、多少のワガママなら聞いてやる。出かけるときも、先約がなければ他の予定を蹴って何処へでも連れて行ってやる。良いことをしたら、お前が引くほど褒めてやる。だが、悪いことをしたら誰よりも強く叱る。当然だ、俺は親バカだからな・・・っ!」
提督「だから、もうこんな間違った関係性は終わりにしよう。薄暗い牢よりも、日の当たる場所でお前の笑顔が見たい。」
酷い殺し文句だと自分でも思った。自分都合な強引な理由・・・けれど・・・
山風「そう、そっか・・・えへへっ」ポロッ
山風「あたし、提督の娘になりたいっ・・・!むすめに、してください・・・」ポロポロ
山風は憑きものが落ちたかのように、潤んだ瞳でそう言った。言ってくれた。
それと同時に周りの景色が白く飛んでいく。急激に世界の色が褪せ、意識があるべき場所に帰ろうとしている感覚が鋭敏に俺を突き刺す。完全に意識を手放す前に、俺は叫んだ。
提督「あぁ!山風、お前は俺の娘だ!!此処に誓う!」
山風「・・・っ!うんっ!提督・・・パパ!!!」ニコッ
山風のそんな笑顔を最後に、俺の意識は遠のいていった。
・
・
・
提督「山風・・・!」ガバッ
山風「提督、大丈夫?すごい汗だよ?」ギュッ
提督「や、山風か。手を握ってくれていたんだな、ありがとう。」ワシャワシャ
山風「んぅ、もっと優しく・・・撫でてほしい///」カァァ
提督「はは、ごめんな。なんだか可愛くてな・・・」
山風「そんなこと言われたら、責められない・・・じゃあ、パ・・・提督の好きなようにしていいよ。」
提督「ありがとう。」
山風「ううん、いいの。あたし、そろそろ部屋に戻るね。時雨姉が待ってるから・・・その、あとでまた会ってね?」
提督「ああ。いつでも来るといい、歓迎するよ。」
山風「じゃ、じゃあ!あとで、ね!」パタパタ・・・バタン
提督「・・・変わったな、山風。」
明石「提督、ご無事で何よりでした。」
提督「すまない、心配かけたな。明石、外から見ていたんだろ?やはり異常だったか?」
明石「はい。山風ちゃんの不安定な精神が、共有スペースになんらかの影響を与えたようです。構造が複雑になっていたので、呼び戻すのにも苦労しました・・・しかし、提督が山風ちゃんを説得した後に何故かスムーズに呼び戻せたんです。」
提督「俺は・・・彼女の心を救えたのだろうか。」
明石「わかりません。人の気持ちは、本人しかわかりえませんから。けれど、最後の彼女の笑みは・・・心の底から安堵した笑みに見えました。」
提督「そうか。そうなら、いいな・・・あと、明石。」
明石「なんでしょうか?」
提督「お前、不安定な空間に人の事放り込んでいたわりにハッキリ事の流れを見ていたんだな・・・研究費、ちょっと削減な・・・?リサイクルに力を入れていないのは知っているんだぞ・・・この野郎・・・。」
明石「良いこと言っている風な話し方で酷いこと言わないでください!!!顔にでてますからね!?!?」
山風編 終了
プリンツ編
明石「あぁ~あ!あぁぁ~あ!!」
提督「ちっ、なんだようるせぇな。仕事に集中できないだろうが。」
明石「そりゃあこんな声も出したくなりますよ!研究費ちょっと削減どころか大半以上謎の項目で搾り取られてるんですけど!?」
提督「何言ってんだ、みんなに迷惑かけた代と俺の被検のバイト代だろ?何にも謎じゃないじゃないか。」
明石「えぇ!?最初の手伝うっていう宣言はどこに消えちゃったんですか!?」
提督「正直もう手伝いの範疇を超えている、艦娘たちへの影響も計りえない。これ以上続けさせるわけにもいかないんでな。」
提督(山風の闇を垣間見てから、俺の心は未だに暗雲が晴れないままだ。艦娘の心を覗くたびに自分の胸がえぐられるように苦しい・・・俺はもしかしたら、彼女達の傷を受け止められないかもしれない。)
提督(そう自覚して実際にそうなってしまえば・・・俺はもう終わりだ。提督なんて続けられなくなる。そうなる前に、この騒動を終わらせねば。減給に続き研究費の削減までしてやったんだ、もういい加減にコイツもあきらめるだろう。)
明石「・・・確かに、そうですね。」シュン
提督’(お?意外と物分かりがいいな、明石のことだからあと数十分はゴネると思っていたのに。)
提督「ああ、わかってくれたようでなによりだ。せっかく発明してくれたところ悪いが、この機械の使用と研究は今後一切行わないようn・・・」
明石「けれど!!私はこの実験をやめるわけにはいかないのです!」バァ~ン!
提督「な、なにぃ!?」
明石「もうこの結婚実験は私だけの意志ではないのです!全艦娘の願いや希望を詰めこんだ方舟なんです!」
提督「意味が分からん!だいたいお前の言葉は無駄にスケールがでかすぎる!艦娘の総意なんて嘘っぱちは通用せんぞ、俺を快く思っていない艦娘だって存在するはずだ!」
明石「ふっ・・・!そういって悪あがきしてくるのは計算済みです!そんな提督の価値観をひっくり返す方を呼んできました!どうぞ!!」
プリンツ「グ、グーテンモルゲン・・・急に呼び出されたのですが、何か私に急ぎの用事でもありましたか?」
明石「プリンツさんです!筋金入りのシスコンの彼女が、提督に思いを寄せていたらどう思いますか!?」
提督&プリンツ「「はぁぁぁ(ふえぇぇぇ///)!?」」
提督「お前ってやつは本当にデリカシーの欠片もないのな!だいたいプリンツが俺のこと好きなわけないだろ、ビスマルク一筋だもんな?」
プリンツ「・・・///」フイッ
提督「あ、あれ~・・・?」
明石「そういうことですよ!さぁ、いってらっしゃ~い!」
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提督(・・・またこの世界に来てしまったか。)
もはやこの寝覚めの感覚にも慣れてきた。気だるげな眠気と重い瞼、その感触と共に朝を迎える。うん、今までと同じパターン・・・
提督「じゃないな、なんだこれ。めっちゃスッキリ起きれた。」
ガチャ パタパタパタ
プリンツ「あ、darling(ダーリン)!グーテンモルゲン!今日も早起きだね!」
提督「あぁ、なんだか体が軽くてな。一発で目が覚めたよ。」(だ、ダーリンだと!?)
プリンツ「えへへっ♪いつもやってるマッサージが効いてるのかも、よかったぁ~」ニコッ
提督「そ、そうかもな!毎日ありがとう、プリンツ。」
プリンツ「うん!darlingが喜んでくれるなら、私なんでもやるから!あ、朝食できてるよ?食べる?」
提督「お、気が利くな。着替えたらすぐ行くよ。」
プリンツ「わかった!じゃ、コーヒー淹れて待ってるね♪」パタパタパタ
提督「・・・。」スクッ
提督「ふぅ・・・」ガチャ サッサッ
提督「・・・可愛すぎんだろ。」
提督(おいおいおい、とんだ番狂わせだぞ。幸せな気持ちが止まらん・・・プリンツが可愛すぎる、気も利く、可愛すぎる・・・)
提督「って!いかんいかん!いくらここが彼女の望む電脳世界であっても、俺が手を出すのは論外だ!しっかりしろ!俺!」パンッ
提督「よしっ、いざ往かん!食卓へ。」
・
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プリンツ「はい、あ~ん♡」
提督「え、え~っと?」
プリンツ「?どうしたの、キョトンとしちゃって。」
提督(いやそりゃキョトンともなるわ!なにその上目遣いのあーんは!なんかイケナイことをしている気分になる!)
提督「あ、ああ。なんだか気恥ずかしくてな、一人で食べれるから大丈夫だぞ?」
プリンツ「え~?どうして?いつもこうやって食べてるのにぃ~」
提督「いつも!?」
プリンツ「そうだよ?へんなdarling♪もしかして、ちょっと照れちゃった?」ニコニコ
提督「っ!///そ、そうではないが・・・こう・・・」
プリンツ「ふふっ、今日のdarlingは可愛いな~♪まるで付き合う前に戻ったみたい♪」
提督(ダメだダメだ!ペースに巻き込まれるな!こんな嬉し恥ずかし幸せ空間にいたら頭がどうにかなりそうだ!)
提督(とりあえず話題の転換を図ろう!プリンツといえば・・・!)
提督「そ、そういえば!ビスマルクの調子はどうだ?最近、俺と一緒にいるせいであんまり会えてないだろ?」
プリンツ「・・・っ!」ピクッ
提督「ん?プリンツ・・・?」
プリンツ「はっ、あ、ううん!なんでもないよ!ビスマルク姉さまはいつも元気だよ。」
提督「へぇ、そっか。そいつは何よりだな。」
プリンツ「うん・・・あ、あの!darling・・・!」
提督「どした?」
プリンツ「えっと、な、なんでビスマルク姉さまのお話をしたのかなぁ~って。あ、も、もちろん言いたくないなら大丈夫だから!」
提督(ん?なんだ、プリンツの様子が変わったぞ・・・もしかしてビスマルクとなにかあったのか?)
リクエストを取ることにしたので、コメント欄にてよろしくお願いします。
甘いのは最初だけさねw
寧ろ熟年夫婦の落ち着いた感じのほうが軍人に相応しい
ブッキーィィィィ!
1≫コメントありがとうございます!確かにそうなんですけどやっぱり自分の理想が入ってきちゃうんですよねw甘いほうが好きなので・・・
2≫コメントありがとうございます!ブッキーは主人公なので模範として登場していただきました!
那珂ちゃんリクエスト!
此処は王道を行く。足柄さんですかね。
餓えた狼の力を魅せて欲しいですw
よろしければ山風ちゃんを…
プリンツちゃんお願いします(懇願)
川内、神通の2人をそれぞれお願いします
勿論時雨はやるよなぁ!?
プリンツplease
ここは武蔵と大和にしてほしいですな
龍田と鳳翔さんを忘れちゃあいけねぇぜ
榛名をお願いします
赤城をお願いします。
扶桑姉さまと山城を
まだ募集してるかわからないけどもВерныйで
北上さん一択。できればヤンデレで()
神風と霞(あとできれば満潮)をお願いします
大井っちをお願いします
5≫リクエストありがとうございました(激遅)那珂ちゃんって難しいですね・・・クオリティ低くてすみません(-_-;)
沢山のリクエストありがとうございます!それでなのですが・・・リクエストされる艦娘は一名様につき一人だけにさせてもらいます。一つのリクエストで複数いる場合他の方のリクエストにお答えするまで時間がかかりすぎますので・・・
伊勢日向
嵐を甘さ多めでお願いします。
リストアニキするぞ!
☑️那珂NEXT⇒□足柄□山風□プリンツ
□川内□時雨□武蔵□龍田□榛名
□赤城□扶桑□Верный□北上さん
□神風□大井□伊勢□嵐
お前ら一人一人ずつだからな~忘れんじゃねぇぞ…(キボウノハナー)
あとyazoraさん、リクエストは40人まで~みたいにしといたほうがいいっすよ
いま17人ね。がんばって!
朝潮お願いできますか?
25≫たすかります!そうですねぇ、こればっかりはもう自分の体力次第ですね。リクエストしていただいても答えられないかもしれないという事で(-_-;)
26≫朝潮了解しました!
装置を作った張本人、明石のを見てみたい
リクエストで蒼龍お願いします!
リクエストならば青葉に一票を入れたいところですねぇ。まぁ、それはそうとして、期待してますよ?
これまた好みのss。
たのむ、なにとぞ矢矧をお願いしたい…。
☑️那珂☑️足柄NEXT⇒□山風□プリンツ
□川内□時雨□武蔵□龍田□榛名
□赤城□扶桑□Верный□北上さん
□神風□大井□伊勢□嵐□朝潮
□明石□蒼龍□青葉□矢矧
何度も言うけど一人一人ずつだからな~忘れたら酸素魚雷を食らわせるわ!
いま22人ね。がんばって!
天龍ver.見てみたいです!
吹雪ちゃんが奥さんになってくれるなんてウレシイ、、、ウレシイ、、、
加賀でお願いします。ジャンルはおまかせで。
鹿島でお願いします。
更新たすかる
潮ver見てみたいっす
一文字だけでもいいから生存報告をお願いします…
雷版も見たいンゴねぇ...
生き返れ生き返れ