2019-01-05 03:32:04 更新

概要

文字制限が近いので思い切って続編を新しく立てました

続編はこちらから→




前書き

そろそろ文字制限がやばそうなので続編を別のSSとして建てなきゃいけませんね・・・。




「はぁ・・・はぁ・・・」



ひどく頭が痛む・・・何もかもが遠い・・・



「・・・・っ」



揺らぐ意識の中でも確かにわかることがひとつだけある。それは考えるまでもなく真っ赤に染まった自分の手が訴えてくるのだから・・・



「ちく・・・しょう・・・!」



俺は・・・人を殺してしまった。











一瞬の出来事だった。しかしこれまでの俺の生活を壊すには十分な時間だった



『ヒィッ・・・!やめ・・・!』



怯える奴の声が聞こえる、そのたびに怒りがこみあげてくる・・・



「そういってお前はやめたことはあったのか・・・っ!?」ブンッ



激昂した俺は気づけば奴の頭を鈍器で何度も・・・何度も何度も潰れる音がしても何度も何度もたたきつけた



『・・・』



そうして・・・もう形が分からなくなってきたところでようやく叩き付けることをやめた



「ははっ・・・!やってやった・・・!やってやったぞ!!ざまぁみろっ!!!」



殴りおわった俺は一時の高揚感に身を支配されていた・・・しかしそれも一時のモノだった。



次第に冷静になってきた俺を襲ったのは大きな不安だった。



こうして冒頭に至る。



「・・・取りあえず、死体と凶器を隠さないと・・・!」



緊張と不安で震える体を鞭打ち死体を引きずる



「どこに隠せばいい・・・?」



周りを見渡し必死に隠せそうな場所を探す。しかし、どこに隠そうともすぐにぼろが出そうな場所しかなかった。



「こうなったら・・・裏庭に・・・埋めるか。」



隠し場所を決め、目的地に向かって引っ張ろうとすると死体が棚に当たり何かが落ちてきた・・・



「これは、勲章か・・・っ!?まさかコイツ軍の関係者か・・・!」



そうなれば今の状況は非常にまずいことになる・・・1日程度ならまだしも流石に何日も何日も無断欠勤していれば怪しまれるだろう。



それに、今まで気にしていなかったが。コイツ・・・海軍の軍服を着ていやがる・・・しかも少佐ときた・・・



「ヤバイ・・・このままじゃ捕まるのは時間の問題だ・・・どうすれば・・・」



そこまで来て俺はあるものに目を留めた。



「・・・・・・・・・もう、こうするしかないか。」



そして俺は生き残るためにある決断を下した。












俺は今、ある鎮守府の門前に立っている。



「いや、もう『俺』じゃないんだったな・・・はは・・・」



乾いた笑みを漏らす、当然だ。今の俺はあまりにも滑稽すぎた・・・



提督「最低野郎と罵った奴に成り代わってるんだからな。」



誰に言うでもなくそう呟いた俺はゆっくりと門を潜っていった



提督「すごいな・・・流石は戦績『だけ』は優秀な鎮守府だ。」



鎮守府の見た目はすごくきれいで清潔そのものだ。だが、それに反するようにどこか不自然なようにも感じる。



提督「え・・・と、俺はどこに行けばいいんだ?」



そう、アイツの勤め先はここだということはわかっていたが・・・ここからどう行動すべきかは皆目見当がつかない。



提督「しょうがない・・・不自然だが誰かに聞いてみるか。」



取りあえず鎮守府を見て回ることにした。


提督「・・・・広い。」



鎮守府に入ってから約1時間。めぼしい建物どころか誰ともすれ違わない。



提督「まずいなぁ・・・このままじゃますます怪しまれる。」



そう呟きため息を吐こうとした瞬間。



「弥生~!早くするっピョン!」



「卯月・・・少し落ち着いて?」



元気な声と控えめで静かな幼い声が聞こえてきた。



提督「なんでこんなところに小さな子がいるんだ?いや、そんなことよりこれは滅多にないチャンスだ!」



そう意気込み二人のもとに近づいていく。どうも、まだ気づかれていないようだ。



提督「な、なぁ。君たち・・・」



そう声を掛けた瞬間・・・



「・・・っ!?あ、あ、あぁぁ・・・」ビクビク



先ほどまで元気で話していた卯月といわれた少女が俺の姿を見た瞬間怯えだす



提督(話しかけただけで・・・こんなに怯えられている?まさか・・・アイツこの女の子にも手を・・・!?)



だとしたら自分が今とった行動は軽率以上の何物でもない・・・



提督「おい、大丈夫か・・・?」



とっさに安否を確認するが



卯月「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!すぐに遠征に向かいますから!ぶたないでください・・・!!」ガタガタ



余計に怯えさせてしまっただけみたいだ。そうしていると、卯月の隣にいた子・・・弥生が前に来て頭を下げながら・・・



弥生「司令官・・・卯月はなにも悪くありません・・・全て、私の責任です・・・なのでどうか…妹には手を出さないでください・・・」



そう、静かながらも強い意志を感じさせる言葉でそう言った。



提督(・・・おい、待てよ。この子たち・・・よく見たら傷だらけじゃないか・・・服だってところどころ破れていやがる・・・)



提督(思った以上に深刻な場所なのかもなココは・・・)



提督「違う・・・俺は君たちを叱るために声を掛けたわけじゃないんだ。」



できるだけ優しい声で、目線を合わすためにしゃがんで話しかけた。



弥生「・・・?」



すると、怪訝そうな顔でこちらを見てくる。そりゃそうか、いままでひどい仕打ちをしてきた相手がこんなことを言っても信用されるわけがない。



提督「ちょっと聞きたいことがあってね、今日のスケジュールを知っていたら教えてくれないか?」



提督(ここにいる以上、何か知っているかもしれない・・・ダメもとで聞いてみよう)



弥生「え、と・・・弥生たちはこれからタンカー護送任務に就きます。そのあとも強行偵察任務、ボーキサイト輸送任務に資源輸送任務、鼠輸送作戦、包囲陸戦隊撤収作戦にも行きます。」



提督(なんてことだ・・・こんなに小さな子が任務に就く・・・?嘘だろ・・・?)



提督(それに、なんだその任務の数は・・・素人の俺でもわかる・・・そんなことをしていては絶対に休む時間はない・・・)



あまりにも現実離れしたことを聞いてしまい頭が痛み、倒れそうになってしまう



提督「う・・・っ」ヨロッ



はきそうだ・・・こんな・・・こんな酷いコトが許されていいのかよ・・・!!



弥生「あ、あの。大丈夫・・・ですか?」



なんて強い子なんだ・・・自分にひどい仕打ちをしてきた相手を思いやることができるなんて。



提督「あぁ・・・すまない・・・大丈夫だ。」



弥生「そうですか・・・なら、よかったです・・・」



ダメだ、そんなことを言っては・・・!もっと恨んでいいはずだ!!!だが、今はこんなことをいってる場合ではない



提督「・・・弥生。君は遠征にいったあと俺に報告するだろう?そのとき俺はどこにいるかわかるか?」



少々不自然な質問だが、しょうがないだろう。



弥生「え、と・・・いつも通りなら執務室にいらっしゃると思うのですが・・・どうかなされたのですか?」



よし、俺は執務室という場所に行けばいいということは分かった。



提督「いや、何でもないんだ。気にしなくていいよ。」



取りあえずの目的地は決まったし、これ以上聞いてボロを出すのはあまり得策ではないな・・・次は見回りという名目で他の場所を適当に回って探すとするか。



提督(あ、そうだった・・・これだけはいっておかなきゃな。)



提督「それと、今日の遠征は無しにする。ゆっくり休んでくれ。」



弥生&卯月「「・・・えっ?」」



提督(ようやくこの会話に卯月が反応を示した・・・というより二人ともそんなに驚いた顔をするとは・・・)



弥生「いいんです、か?」



心配そうにしかし、どこか嬉しそうにこちらの顔色を窺ってくる。



提督「もちろんだ、今まで無理に働かせてしまってすまなかった。もう金輪際無理な仕事はさせないと誓おう。」



卯月「ほ、ほんとぉですか?」



恐る恐るといった風に口を開いて確認をとろうとしてくる、とても加護欲のそそられる声だ・・・



提督「あぁ、弥生と一緒にいっぱい、いっぱい遊んでおいで。」ニコッ



そういって務めて優しくみえるように微笑んだ



卯月「あ、あ、ありがとうござい、ます・・・ぴょん」ピクピク



提督「どういたしまして、そのぴょんっていうの可愛いね。」



卯月「・・・・っでは、失礼しま・・・した!」タッタッタ



顔を背けてすぐに走り去ってしまった、なにかまずいことをしてしまったのだろうか・・・?



弥生「あっ・・・卯月!・・・司令官、失礼します。」ペコリ・・・タッタッタ



丁寧にお辞儀をして卯月を追いかけて走っていく弥生を見送りながら、俺は足を進め始めた。












卯月(おかしいっぴょん・・・今の司令官は・・・絶対におかしいっぴょん・・・)



卯月(だってだって・・・前まであんなに怒鳴って、殴って、無理に出撃させてきてたのに・・・)



『今日の遠征は無しにする。ゆっくり休んでくれ。』



卯月(こんな事いうなんて・・・まるで別人みたいっぴょん・・・)



卯月(この口癖だって、耳障りだから止めろって司令官が殴ってきたのに・・・)



『そのぴょんっていうの可愛いね。』



卯月(本当の本当に・・・あの司令官は『司令官』なの・・・?)












弥生(私はまだこの鎮守府に着任して日は浅いけれど、司令官の横暴さはよく知っているつもり・・・だった・・・)



弥生(でも、今日でわからなくなってしまった。)



弥生(あのやさしさは、とても演技だとはおもえなかったし、自分のやってきたことを聞いて嫌悪感を示してもいた・・・)



弥生(このまえの『司令官』とはまるで別人・・・)



弥生(・・・怪しい、な。)












提督「さて、執務室をさがすとするか!」



そういって辺りを見渡すと、すこし大きめの建物が目に入ってきた。



提督「とりあえず、あの建物のなかにはいってみるか。」



手当たり次第に行くのが妥当だと思い俺はその建物を目指した。












提督「・・・うわぁ、広いなぁ。」



中に入ると明らかに仕事をする場所ではないことが分かった。なぜなら、たくさん並んだ机に清潔そうな厨房がみえたからだ。



提督「ここは食堂か何かか?・・・よし、ほかを当たるとしよう。」



そういって戻ろうとしたときに厨房から女性の声が聞こえてきた。



「すみません!今食材が切れていてなにも作れないんです!」



食材が切れている・・・?それは大変なことなのではないか・・・?席を見るからにこの鎮守府にはたくさんの人がいるのだろう。



その人たちがご飯を食べられないのはあまりにもおかしい話だ。そう思った俺は厨房のほうに歩いて行った。




厨房の中では二人の女性が何やら話をしていてこちらには気づいていないようだ。仕方がないので扉を開け声を掛ける



提督「あの、食材が切れているのって大変なんじゃないですか?」



そう言った瞬間。



「「・・・・っ!!!!」」



途端に怯えた表情でこちらを見てくる・・・またか・・・



「そ、その!すみません提督!!艦娘の誰かだと思って失礼な真似をしてしまいました!!お許しください!」



そういって片方の茶髪の女性が頭を下げてくる。・・・本当に腹が立つ。彼女たちに一体何をしたんだアイツは!!



提督「頭を上げてください!こちらこそ急に押しかけてしまって申し訳ありません。」



俺も頭を下げる・・・こんな軽い頭ならいくらでも下げよう。



「「・・・っ!?」」



すると二人は驚いた表情でこちらを見てくる。当然だろう、先ほどの反応を見るにアイツは高圧的な態度で彼女たちに接していたに違いないからだ。



「あ、頭を上げてください提督!」



茶髪の女性がそういってくれる、なんて優しいのだろう。そういわれたからには頭を上げて話をするべきだ。



提督「それで、食材が切れていると言っていましたが。不足しているのはどのような食材なのでしょうか?」



そう尋ねると、今度は隣にいた青い髪の女の子が口を開いた。



「お米と味噌です。」



提督「・・・え?それだけ、ですか?」



ちょっとまて・・・お米と味噌だけが不足していて尚且つなにも作れないということは・・・っ!アイツ碌な食事を摂らせていなかったのかっ!?



「あの・・・提督?」



少し困ったような表情で青髪の女性に話しかけられる



提督「すみません、それで・・・今日の献立は・・・?」



「え、いつも通り白米に味噌汁です・・・あっ!もちろん提督の食材はキチンとそろえてあります!」



慌てて訂正を入れてくる、しかしそれは新たな事実を浮上させさらに俺の頭が痛くなる・・・自分だけまともな食事を摂っていたという事実につながってしまうからだ。



提督「少し待っていてください、お米と味噌となにか栄養のつきそうな食材を街で買ってきます!お二人は料理をする準備をしていてください!戻ってきたら俺も手伝いますんで!!」



「あっ!提督!!」



呼び止められたが俺はかまわず厨房を飛び出し、街に向かって走り出した。












提督が飛び出していった厨房では二人の女性が話をしていた



「・・・何があったんでしょうか、提督。前までとはまるで別人のようです・・・間宮さんもそう思いませんでしたか?」



間宮とよばれた茶髪の女性は何かを考えるような顔をしながら口を開く。



間宮「えぇ、食材の制限を掛けたのはほかでもない提督ですし。なによりも話し方や接し方に違和感を覚えました。」



間宮「伊良子ちゃん・・・信用してもいいと思いますか・・・?」



伊良子「・・・よくわからないです。」



間宮「ですが、一応料理の準備をしておきましょう。久しぶりにお仕事が大変になるかもしれませんし。」



伊良子「わかりました、そうしましょう。」



その言葉を皮切りに二人は準備を始めた。











提督「ここから近い町は・・・東湊街(ひがしみなとまち)か。」



提督「それに駅もここから近いし、一時間もあれば戻ってこれるか!」



~電車内~



提督「ハァ・・・ハァ・・・久しぶりにあんなに走った・・・」



提督「にしても・・・人数滅茶苦茶多かったよな・・・一人で持ち切れるか・・・?それに財布も持つかどうか・・・」



あとさき考えずに飛び出してきたことを若干後悔しながらも街に向かった。











~東湊街~



提督「久しぶりに来たなぁ・・・この街。いつみてもカップルと店が多いなぁ・・・」



必要以上にいちゃつくカップルを尻目に俺は大型のスーパーを目指して歩く。



提督「・・・あんなことしなければもっとまともな生活ができていたのだろうか。」



嫌なことを思い出すたびに胸が痛くなる・・・だが、仕方がない。見逃せるはずがなかった・・・



提督(・・・女の子を無理やり自分の家に引き入れようとしているのを見てしまったら助けないわけにはいかないだろうが・・・っ!)



提督「はぁ、今更こんなこと考えてたんじゃきりがないよな。」



提督「・・・取りあえず今はどういうものを買うかを考えなければならない。」



そういって俺はスーパーの中に入っていった。



~数十分後~



提督「危ない・・・銀行からお金引き出しといて正解だった・・・!」



あまりにも膨れ上がった袋を担いで歩く・・・周りの視線がいたい・・・



提督「取りあえず適当な食材を片っ端から買ったけれど、重い・・・!」



傍から見れば自分は明らかに浮いているだろう。白い軍服の男が食材がたくさん入った袋を重たそうにぶら下げて歩いているんだ、注目されるのも無理はない。



提督(そりゃそうだ、一人で歩いている奴なんていないしな。まぁそれだけじゃないが。)



そう考えていると、向こう側にスマホをいじっている男がいることに気づいた・・・しかも一人だ。



何故だか安心してしまう・・・そりゃあカップルだけしかいないわけないよな。



そう考えて歩く、そして段々とその男との距離が近くなりすれ違おうとしたその瞬間・・・



「あぁ、間違いない・・・ボクと同じ人殺しのにおいだ・・・!アンタ、人、殺したでしょ?」



おかしくて仕方がないといった感じで俺の耳元でそう囁いてきた



提督「・・・・っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



なんでだ・・・!?どうして!?なんで見ず知らずの男にばれている!?それにボクと同じってどういうことだ・・・!?



動揺しすぎたせいか挙動不審になってしまう・・・考えがまとまらない・・・汗が止まらない・・・



このまま黙っていたら肯定したことになってしまうんじゃないかと思った俺は必死に言葉を紡ぐ



提督「な、なにを言ってるんですか?・・・おかしな人ですね・・・俺は。人なんて・・・殺してなんていません・・・」



ダメだ・・・ちゃんと話せない・・・明らかに声が震えている・・・



そう考えていると、いたずらが成功した子供のような顔で喜々として男が笑い出した



「フフフッ、冗談ですよ。冗談。」クスクス



提督(な、なんだ。冗談か・・・そりゃそうだよな・・・たぶんイタズラ好きで周りから浮いている俺にちょっかいを出したかっただけなのだろう。)



そう楽観的なことを考えて胸に手を当て、落ち着ける。



提督(よし、もう大丈夫だ。)



だが、この場にい続けるのも気分がよくないため足早に去ることにする



提督「そ、そうですか。・・・では俺はこの辺で・・・」



そういって駅のほうに向かおうとした瞬間



「あ、少し待ってください。」



少し抜けたような声で呼び止めてくる・・・まだ何かあるのだろうか。



また変なことを言われるんじゃないかと思い少し声を落して返事をする。



提督「・・・なんでしょう?」



するとこれまたおかしいといった風に口を開く



「そんなに警戒しないでください、コレ、ボクの連絡先です。『ナニカ』あったら連絡してください、助けになりますよ。ボクこう見えても鎮守府で提督なんてやらせてもらっているのですよ。きっと助けになるはずです。」ニコッ



一瞬だけ、意識が揺らいだ・・・しかし、すぐに今自分が立たされている状況に気づく



人を引き付けるような優しい笑顔を浮かべ、名刺のようなものを渡してくるが・・・しかし・・・そんなことよりも気にしなければならないことがある!鎮守府の提督だと!?それに確信をもって言えることがある。



提督「っ!!!・・・では、いただいておきます。」



提督(コイツ、やっぱり俺が人を殺していることに勘付いていやがるっ!冗談なんかじゃない!)



そう考えすこしでもこの場を早く去ることを一番に考える・・・あの男は危ない・・・!



そうして全力で駅に向かって走った・・・速く、速く、速く速くこの場から離れなければならない。その考えだけが頭を支配する。












気づけば俺は駅にいた、さっきまで走っていたせいかとても苦しい。



いや、きっと疲れからくるものだけではないのだろう。



今になって気づいてしまったんだ、もっと他にやり方があったんじゃないかっていう冷静に考えることができていた自分からの叱責を。



ゆっくりと汗ばんだズボンのポケットに手を入れ名刺をクシャッと握りしめる。



提督(捨ててしまおうか・・・)



しかし、あの男はどこかの鎮守府の提督だと言っていた。それに何かあれば手助けをするとも・・・



提督(・・・念のために取っておこう。別にあの男を信用するわけではない。あくまで保身のためだ。)



自分にそう言い聞かせ、鎮守府に帰るための電車を待つことにした。



~鎮守府~



提督「っ・・・はぁ!重いっ!!」



電車に乗って駅に降りるところまではいいが、途中で袋の持つところがちぎれてしまったため腕に抱えて歩くことになって疲労が二倍になってしまった。



提督「あぁ、もう少し計画的に買えばよかった!」



今となっては遅い後悔をダラダラと零していると



「あ、あの・・・お荷物お持ちしましょうか・・・?」



後ろから、か弱そうな声が聞こえてきた。振り返って確認すると、これまたその声にそん色ない程の幼い女の子が自分を見上げていた。



提督「ん?だ、大丈夫だ!コレ中々重いから手伝ってもらうわけにはいかない・・・」



確かにきついが、流石にこんな小さい娘に任せられる程俺はヤワじゃない・・・アイツとは違うんだ。



「え・・・でも、司令官はいつも・・・」



提督「大丈夫大丈夫!もう迷惑はかけないさ。よいしょっと・・・」



もうアイツの事はききたくない、さっさと食料を渡して料理の手伝いをしないとな。



「・・・失礼します!」



提督「あ、おい・・・!」



進もうとした瞬間、後ろから少し強引に袋をとられてしまった。



「んしょ、さぁ行きましょう司令官。」



提督「・・・お、重くはないのか?」



正直、度肝を抜かれた・・・俺があんなに必死になって持ち上げていた袋を軽々と持っているんだから・・・



「?重くはありませんが・・・よければもう一つの方も持ちましょうか?」



何ということだ、まだまだ余裕があるというのか・・・艦娘との人間の違いをもう一度認識させられた。



提督「いや、さすがに女の子だけに持たせるわけには・・・でも、ありがとう。」



「は、はい!この朝潮、全力で司令官をサポートさせていただきます!」ビシッ



提督(なるほど・・・この子は朝潮っていうのか。先ほどとは打って変わってとてもしっかりした子に見える。)



提督「じゃあ、食堂まで一緒に頼むな?」



朝潮「了解しました・・・ところで、司令官はいつ着任されたのですか?」



食堂にむけて歩き出した途端に、朝潮が非常にこまる質問をしてきた・・・適当に誤魔化せればいいんだが。



提督「何言ってるんだ、俺はずっとこの鎮守府に・・・「そうではなくて。」



言い切る前に朝潮にさえぎられてしまう。



朝潮「司令官、顔も声も全く同じですけれど・・・別人ですよね?いつ着任されたのですか?」



瞬間、息が詰まった。



提督「そんなわけ・・・ないだろ・・・?」



駄目だ、やはり声が震えてうまくしゃべれなくなる・・・!



朝潮「いいえ、私にはわかります。司令官は別人です。私に対する態度が違い過ぎます!」



自信を持った瞳でそう強く言い寄られる・・・ほんとうに困った・・・このままじゃ俺は・・・!



提督「だ、だから違う!俺は俺だ!俺なんだよ・・・!」



焦り過ぎて滅茶苦茶な事を口走る。だが、命がかかっている以上何振り構ってはいられない。



朝潮「・・・安心してください、司令官。私はこのことを一切口外は致しません。」



提督「へ?」



朝潮の言った言葉が理解できず一瞬だけ呆けてしまう・・・今、なんて?



朝潮「せっかく優しい司令官が着任して下さったのに、その司令官さんを危険に晒すわけがありません!なので、どうかこの朝潮を信じてください!」



目を白黒させているであろう俺に、朝潮は力のこもった眼で力説してくれた。



提督(この子がウソをつくような子だとは思えない・・・それでも、アイツのせいで人間に嫌気がさしているいるはずだ・・・)



俺は・・・本当に、朝潮を信じていいのだろうか?



朝潮「・・・司令官。」



提督「わかったよ、朝潮・・・君の熱意に答えよう。」



こんなまっすぐな目を向けられてしまったら、はぐらかす事なんて俺にはできない。



なんだかんだ言っても、俺は単純なのだ。



朝潮「っ!」



提督「確かに、俺は『アイツ』ではない。まったくの別人だ・・・だが、俺は君たちに危害を加えるつもりは一切ない。」



朝潮「やっぱり、そうだったんですね。」



俺は一大決心して衝撃な事実を口にしたはずなのだが、朝潮は当たり前のことだと言わんばかりの薄味な反応を返してきた・・・なんだか複雑だ。



提督「さては、俺が言わなくてももう自分の中で決めつけてたな?」



朝潮「いいえ、ですがやはり直接聞いたほうが確実ですから。」



その答えを聞いた瞬間、背中に嫌な汗が滲んだ。・・・この子はとても真面目で勘がいい、俺への追及がこれで終わるわけがない。



朝潮「それで、本題なのですが。・・・前の『司令官』はどうされたのですか?」



提督「・・・っ」



朝潮のその言葉であの無残な光景がフラッシュバックしてきた・・・理由はどうであれ人を殺した俺にとってはその事実が深く胸に刺さっている。



一瞬だけ立ち眩みや脱力感に苛まれるが、俺は冷静な思考をしなければならない・・・せざるを得ない。



提督(やはり聞かれた・・・だが、このことだけは知られるわけにはいかない。)



提督「朝潮、すまないがこの続きは言うことはできない。」



朝潮「・・・なるほど、わかりました。ありがとうございます。」



何か言ってボロをだすよりは秘匿という形に持っていく。・・・きっと彼女は何かに気づいているとは思うが、俺が明言しない限り彼女の中で答えを出すことはできないだろう。



提督「さぁ、食堂に行こうか。」



朝潮「了解です。」



朝潮は歪んでいるであろう俺の表情を見て、何も言わないでくれた。・・・本当にいい子だな。



買い物袋を抱えて、朝潮と共に食堂を目指して再び歩き始める。



提督「・・・あのさ、朝潮。」



朝潮「なんでしょうか、司令官。」



提督「俺の事なんだが・・・皆には黙っておいてくれないか?」



一応だが、この先この事実がどんな形で牙をむいてくるのか分からないため形上だけでも朝潮にくぎを刺しておこう。



朝潮「わかりました。私からはなにもいいません。」



『私からは』か、中々どうして食えないな・・・やはり、アイツの影響が大きいのだろうか。



提督「ん、なんだか引っかかりのある言葉だな。」



朝潮「いえ、私は何も言いません!本当です。・・・ただ、ほかの皆さんも司令官に違和感を持つと思います。」



ブンブンと音が聞こえてきそうな程首を振って否定してはくれたが、また新たな危険性を示唆してきた。



提督「朝潮が黙っていても、皆に勘付かれる可能性があるわけか・・・。」



提督(アイツのような扱いだけは絶対にしないが、できるだけ気を配って生活しないとな)



朝潮「まぁ、気付かれても告発されない可能性のほうが高いと思いますがね。」ボソッ



朝潮がポツリと何かを呟いたが、よく聞こえなかった・・・まさかまだ何かあるのだろうか?



提督「朝潮、今なんかいったか?」



朝潮「なんでもありません。それよりも早く運んでしまいましょう、司令官。」



俺の質問はすごい速度で切り捨てられてしまった、余計気になる・・・



提督「あ、ああ。そうだな。」



でも今はみんなの事のだ。早く食材を届けて調理しないとな。



~食堂~



提督「すみませ~ん!食材買ってきました~!!」



奥の厨房にいるであろう二人に聞こえるように声をかける・・・また驚かせても悪いしな。



「え・・・っ本当に買ってきてくださったんですか!?」



「あわわ・・・に、荷物運ぶお手伝いします!!」



俺の声が聞こえると同時に慌ただしく厨房の扉をあけ、例の二人が走ってきた。



朝潮「こんにちわ、『間宮』さん。『伊良湖』さん。」



俺がこの二人の名前を知らないのを察してか、朝潮が強調するように一人一人を見つめ挨拶をしてくれた。



提督「気が利くな、ありがとう朝潮。」ボソッ



朝潮「・・・」コクッ



間宮「え、あれ・・・朝潮ちゃんも一緒だったんですか。」



伊良湖「あ、朝潮ちゃん・・・その。」



朝潮を見るなり、血相を変えた・・・多分朝潮を心配してるんだろうな。



提督「ああ、いえ大丈夫ですよ。朝潮がこの通り手伝ってくれていますから。」



朝潮「司令官が大変そうだったので、無理を言って手伝わさせていただきました。」



間宮「そ、そうなんですか?なら・・・」



伊良湖「・・・」



提督(やはりまだ信用してもらうのは難しそうだな。)



仕方のないことだが、それほどコイツは彼女たちを酷使していたのであろう。彼女たちの態度一つが痛々しくてたまらない。



提督「・・・少し早めですが、人数も多いですし夕食の準備をしませんか?」



少しでもこの雰囲気を脱したくて、夕食づくりを提案する。正直、彼女たちの食生活は偏りすぎているため心配で仕方がないというのもあるが・・・



間宮「そう、ですね。あの、提督・・・」



間宮さんは戸惑いがちに俺の目を見てくる。



提督「・・・?どうしました、間宮さん。」



間宮「あの、この食材は・・・本当に皆さんのために使ってもいいのですか?」



・・・まただ、彼女たちはあまりにも自分たちを過小評価しすぎている!助けてもらえるという事実にすら気づけてない・・・



提督「当り前じゃないですか・・・っ、そのために買ってきたのですから。」



そう、これは貴女たちのために買ってきたんだ。みんなに食べさせるのもそうだが・・・その皆のために奮って料理を作っている二人の姿が見たかったから・・・買ってきたんだ。



間宮「あ・・・ありがとうございます。」ポロポロ



伊良湖「間宮さん・・・」



提督「・・・」



彼女だってつらかったはずだ。本当は栄養のあるものを提供し、みんなを送り出したかったはずなのにそれすらも許されなかったのだから。



今日・・・この時から、彼女の認識を変えてあげたい。



だから今日は間宮さんと伊良湖さんが楽しく作れて、みんながおいしく食べられそうな料理を提案しよう。



提督「間宮さん、伊良湖さん。今日はカレーを作りましょう!」



努めて明るく、二人を励ますように声をかける。



こんなひどい仕打ちが一つでも減らせるようにという願いを込めて・・・



間宮「カレー・・・ですか・・・いい、ですね。」



間宮さんは顔を上げると、涙を拭いてきれいな顔で笑ってくれた。



提督「ええ、早速作っていきましょう。俺も手伝います。」



間宮「え・・・と、その・・・」



間宮さんは少し口ごもり、やがて



間宮「お願い、します。」



まだ戸惑っているようだが、俺の言葉を受け入れてくれた。後は伊良湖さんの意見を聞くだけだ



提督「伊良湖さんも、それでいいですか?」



伊良湖さんはチラリと間宮さんを見てから、俺のほうへと視線を戻し



伊良湖「・・・もちろんです、人手が増えるのはいいことですから。」



クスリと笑うと俺の意見に同意を示してくれた。



提督「そうときまれば厨房に行きましょう、俺も少しぐらいなら役に立てるはずですから!」



間宮「それは頼もしいですね、人数が人数ですからすごく大変ですけれど頑張りましょう。」



伊良子「三人ならすぐ終わりますよ!カレーなんて久しぶりで、少し気分が高まります!」



出会った時よりも、柔軟な笑みを見せてくれるようになったし会話も問題なくできるようになった。



朝潮「私も手伝います!」



朝潮が大きな袋を片手に持ちながらも器用に敬礼をしてそう言ってくれる。



提督「いいのか?荷物も持ってもらったのに」



手伝ってくれるように言ってくれるのはうれしいが、気を使わせすぎているような気がして仕方がない。



朝潮「構いません、私が手伝いたいんです!」



だが、彼女はそんなつもりはないらしく。元気な声でお手伝い宣言をしてくれた。



提督「そこまで言ってくれるなら、お願いしようかな。間宮さんも伊良湖さんもいいですよね?」



間宮「もちろんです、よろしくね。朝潮ちゃん。」



伊良湖「一緒に頑張ろうね。」ニコッ



朝潮「はいっ!」



提督(・・・これでまずは栄養管理の心配はなくなったな。今度からは定期的に食材を取り寄せるようにしよう。)



だが、これはまだ始まりに過ぎない。この鎮守府を取り巻く闇はもっと根強く、深く・・・そして、強大だ。



提督(自分で蒔いた種だ、どうせなら納得がいくまで突き進んでやる。)



新たな覚悟を胸に、俺は三人と一緒に厨房へと足を進めた。















朝潮「・・・」



朝潮(司令官・・・あなたは何故そこまで私たちにやさしくしてくださるのですか・・・?)



わからない、わからない、わからない。



でも、このまま司令官がやさしくしてくださるのでしたら私は協力を惜しみません。



朝潮(前任のことはもう忘れましょう。司令官が話さないということはきっともう『気にする必要がない』からでしょうし・・・)



司令官の優しさの真意がわかるまで、私はずっと司令官を見ていよう。














提督「・・・おぉ、いい香りがしてきましたね。」スンスン



間宮「ええ、久しぶりに作りましたが・・・上手く行ったようでよかったです。」



数十分掛けて捌き終えた商材たちを間宮さんに任せてから少し経った頃、厨房には香ばしいカレーの匂いが広がっていた。



伊良湖「ホッとしましたぁ、朝潮ちゃんお手伝いありがとうね?」



朝潮「は、はい!お役に立てて何よりです!」ビシッ



間宮「このカレーを皆に・・・なんだか、緊張しますね。」



間宮さんの顔は少し暗い、まだ不安なのだろう・・・それでも、俺は知っている彼女の献身さもみんなへの思いも。



提督「大丈夫ですよ、本当に美味しそうです・・・きっと皆喜んでくれます。」



だからこそ、ハッキリ前を向いて言い切れる。



朝潮「司令官の仰る通りです、かれーという料理を食べるのは初めてですがとても楽しみです!」



・・・朝潮は、というよりこの鎮守府の艦娘はきっと粗末なものしか食べたことがないのだろう。そのことに怒りを感じないと言えば嘘になるが、今は耐える。ここを超えれば、そんな心配もなくなるはずだから。



伊良湖「では、皆さんを食堂に集めますね。・・・構いませんか、提督さん。」



今一度、伊良湖は神妙な面持ちで俺に確認を取ってくるが、そんなものはすでに決まっている。



提督「構わない、最高の夕食にしよう。」



伊良湖「・・・っ!はい!」



最初は、俺の罪をひた隠しにする為だけが目的だったが・・・今は違う。



今は、心の奥底から彼女たちを救ってあげたいと思っている。偽善だとか、同情だとか言われたって構いやしない。



結果的に彼女たちを救えるのならば、俺は何だって・・・。
















卯月「ねぇ、弥生・・・うーちゃんたち大丈夫だよね?」



弥生「うん、大丈夫だよ。きっと、今日は何も食べられないとかそんなことだと思うから。」



さっき、食堂から呼び出しが入った。本当に、急な事だったから卯月も私も少し警戒している。



実際、食堂といえば私たちが生きていく・・・いや、動くために必要なモノを摂取する場所だけれどそんなところから呼び出しとは一体どんな用事なのだろうか。



弥生(何があっても弥生は卯月を守らないと・・・。)



もうこの子には辛い思いをさせたくないから、私が何をしてでも・・・。



そう決意をし直し、ゆっくりと食堂の扉を開ける。



ワイワイ ガヤガヤ



弥生「あ・・・え?」



・・・そこには、私が想像していたような薄ら寒い光景ではなく。記憶にない良い香りの漂う、活気のある光景が広がっていた。



間宮「あっ、弥生ちゃんに卯月ちゃん。お待ちしていましたよ、こちらにどうぞ。」ニコッ



私の理解が追いつく前に、間宮さんは私たちを先導するように歩き始めてしまったので。仕方なく、私たちはその後をついていく。



弥生「・・・」



周りを見渡してみると、私と同じように不審な顔をしている人たちばかりだったけど・・・この香りにあてられてか皆大人しく席に座っている。いや、少しソワソワしているのかな?



卯月「ねぇ、弥生・・・この匂いなんだろう、いい匂い?なのかな?」



手を握っている卯月も、不安そうにはしているけれど皆の様子を見てからこの香りに興味を持ったみたい。



間宮「ここで座って待っててください、艦娘の皆さんが揃われたらすぐにカレーをお出ししますからね。」



弥生「か、れー?」



間宮さんの言った事の中に聞いたことのない単語があった、食堂で間宮さんが口にするということはきっと料理だと思う。それでも、聞いたことも見た事もないのは・・・少し怖い。



卯月「ねぇ、弥生。かれー?ってなんなんだろうね・・・」



「やっぱり、二人も聞いたことないかぁ。」



卯月が小さく言葉を漏らすと同時に、私の後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。



弥生「川、内さん。」



川内「うん、弥生達はもう来てたんだね。」



川内さんはこの鎮守府の中でも優秀な軽巡洋艦の先輩にあたる人で、私と卯月の出撃の際の面倒もよく見てくれるとても良い人。・・・だけど



弥生「ええ、少し前に呼び出しが来て・・・川内さんもですか?」



をう問いかけた瞬間、川内さんの優し気な目から光が消えた。スゥっと細くなって、私達ではない何かを睨みつけるように歪んでしまう。



川内「遠征帰りでそのまま来ちゃったから、今の状態をよく理解できてないんだけど・・・なにがあったの?」



これだ、性格に反して冷めたこの瞳・・・これがあるから、私は川内さんが苦手だ。



卯月「うぅ。」



卯月も川内さんを慕っているけれど、この状態の川内さんを見るたびに卯月は怯えて川内さんに近づこうとはしない。



川内「・・・ごめん、少しキツく聞いちゃったかな?」



数泊を置いて、川内さんの瞳に光が戻った。・・・よかった、いつもの川内さんだ。



卯月「う、ううん大丈夫っぴょん、川内さん。」



弥生「ごめんなさい、弥生たちも急に呼び出されたから・・・わからなくて」



川内「そうなんだ、ありがとね。」



川内さんは一言そういうと、私の横の席に静かに腰を掛けると何かを考え込むように目を閉じてしまった。



弥生「・・・本当に、なんで招集されたんだろう。」



私も川内さんに倣うようにして、今一度何故急に呼び出されたのかを考えてみる。



この状況から考えると食料供給だとは思うけれど、私たちがいつも食べているのは味気のないものだったはず・・・でも、急に知らない料理を出すようになるだなんて・・・あの司令官が許すわけ・・・



弥生「・・・まさか」



そう、これは可能性の話。あくまで仮定の域をでない・・・でも、もし『あの様子のおかしい司令官』がこの鎮守府の運営方針を変えたのだとしたら・・・



卯月「弥生・・・?どうかしたっぴょん?」



弥生「えっ、あ・・・なんでも、ないよ。」



一瞬自分の頭に浮かんだ憶測は、卯月の声によって振り払われた。私は少しどうかしてしまっていたのかもしれない・・・



弥生(あり得るわけがない、これが鎮守府改革の予兆だなんて・・・。)



今日の司令官は卯月に対しても私に対しても別人かと思うぐらいにやさしかった、それも卯月の口調が一瞬素に戻ってしまうほどまでに。



間宮「では、皆さんお揃いになられたようですので食事の配膳を行います!こちらの列の方からならんでくださ~い!」



不意に、間宮さんの声が響き渡った。



弥生「・・・ならぼっか、卯月。」ギュ



卯月「うん。」ギュ



席を立って間宮さんの言う通りに並んでいく皆を見て、私たちもゆっくりと席を立つ。



弥生(今考えたってもう意味がない・・・この後すぐにでも、私の仮定の当たり外れがわかる。)



私は期待も程ほどに卯月の手を握って列の最後尾に並んだ。



卯月(・・・おかしい。)



おかしい、おかしい、おかしい・・・なんで食堂からこんなにいい香りがするの?なんで?この香りを嗅いでいるとお腹がキュウって痛くなってつらくなる・・・



弥生は平然としているけど、きっと弥生も辛いはず・・・川内さんの機嫌が悪かったのもきっとコレのせいだ。皆、いままで以上にひどい目に合わせられるような気がしてるんだろう



卯月(やっぱり・・・司令官がやさしかったのは気まぐれ、なのかなぁ・・・)



でも、もう仕方がない。司令官がどれだけヒドい人かはもうわかってるから。・・・あの時の司令官のことはもう忘れよう。今度からは、いつも通りを心掛けないと。



弥生「卯月、順番来たよ。」



卯月「・・・うん、ありがとうっぴょん。」



こんなにやさしい弥生にあまり迷惑は掛けたくないから、精一杯平然を保たなきゃ・・・弥生がしているように。



間宮「じゃあ、ハイ。こぼさないように気を付けてね?」



弥生「わかり、ました。」



卯月「・・・はい。」



いつもの味気のないごはんではなく、見たことのないタベモノ・・・かれーが乗っかったトレーを間宮さんから受け取り弥生とともに元の席に戻る。



川内「おかえり、二人とも。」



席に帰ると川内さんが出迎えてくれた、さっきよりも機嫌がいいみたい・・・正直少し安心した。



卯月「うん、ただいまっぴょん。」



弥生「ただいまです・・・。」



川内「それでさ、いつもの食事と違うのはいいんだけど・・・提督の席見てごらんよ。」



挨拶を返してすぐに、川内さんは忌々しそうにクイッといつも司令官が座っている席を親指で指した。



卯月「・・・あ。」



そこに、司令官の姿はなかった。いつもは踏ん反り返るように座って一人だけ私たちとは全く違ったショクジをしていたけど・・・多分、みんなの様子がいつもよりも明るいのはこのことも大きいのかな?



川内「説明もせずに急にこんなことして、当の本人は現れない。・・・全く、なめられたもんだよ。」



弥生「川内さん、その辺りで・・・卯月が怖がってしまいます。」



いつものように、弥生は卯月を庇って川内さんの険悪な雰囲気を諫めてくれる・・・だめだ、また気を使わせてしまった。



川内「・・・私、また・・・ごめんね、なんだか遠征で疲れがたまってるみたい。」



卯月「だ、大丈夫だよ・・・川内さんは大丈夫?」



川内「うん、私は大丈夫だよ。・・・私は、まだここで止まるわけにはいかないからね。」



川内さんはそう言って、卯月達に微笑んだけど・・・その笑顔はとても空虚な気がしてすごく怖い。



間宮「すべての配膳が終わりました、では皆さん。お食事を始めてください。」



間宮さんの声が食堂へ響き、皆不安がりながらも手元にあるスプーンを持つ。弥生も卯月も手に持ったけど今いち手に馴染まない・・・



弥生「スプーンなんて、初めて使うね。」



弥生も珍しく緊張してるみたい、スプーンを指でイジイジと弄っている。でも、卯月には分る・・・弥生はスプーンよりもかれーを警戒しているって



卯月「そうだね、卯月上手に食べられるかな・・・。」



卯月も不安だったけれど、弥生を安心させてあげたいから弥生よりも早くスプーンでかれーを掬って口元に運んだ。



卯月「あ・・・え?」



一瞬、何が起こったのかわからなかった。だって警戒してる弥生の為に先に食べたのに、怖がりながら食べたのに



初めて食べたかれーは少しピリッとするけど、優しい刺激で、甘くて・・・



卯月「おい・・・しい・・・」ポロポロ



いつか誰かが使っていた言葉が口から漏れていた、私には関係ないと思っていたけど・・・こんなにも幸せなんだ。



弥生「う、卯月・・・?どうしたの?」



卯月「わからない、わからないの・・・うーちゃんね、こわかったのにそんなことなくて、おいしくて・・・っ」



頑張って弥生にも、卯月の気持ちを伝えようとするけど勝手に流れてくる涙と暖かい気持ちのせいでうまく言葉にできない。



弥生「・・・そっか。よかったね、卯月。」



でも、弥生は卯月のお姉ちゃんだから卯月の言いたいことをすぐに察してくれた。



弥生「弥生もたべるね・・・いただきます。」



そう言うと弥生は丁寧な仕草で、スプーンを使ってかれーを口に運んだ。



弥生「美味しい・・・卯月、教えてくれてありがとう。」



卯月「・・・っ、うん!」


弥生は静かに卯月に向かって微笑んでくれた、弥生はやっぱりすごい。きっと弥生もいっぱい色んな事を感じているはずなのに、卯月と違ってすごく落ち着いてる



「・・・うぅ、おいしい・・・おいしいよぉ・・・」



「こんなに良いモノ、食べたことない・・・」



「・・・」



でも、感じているのは卯月達だけじゃないみたい。周りの人たちもみんなかれーで暖かい気持ちになってる



川内「・・・・。」パクパク



川内さんはなにも言わないけど、いつもより食べるスピードが速い。



弥生「卯月・・・、冷める前にかれー食べちゃお?」



かれーは間違いなく、卯月が食べてきたモノの中で一番おいしかった。きっとまた食べたくなる・・・けど、これはたぶんかれーだけが理由じゃない。



弥生「美味しいのはわかるけど、ちゃんと噛んでたべようね?」



卯月「うん・・・弥生っ。」



弥生といっしょだから、こんなにおいしく感じられるんだ。



心が楽になった卯月はスプーンを持ち直して、弥生とのショクジを再開した。















提督「みんな喜んでくれてるかなぁ・・・。」



食堂から少し離れた木陰で、胡坐をかきながらカレーを片手に空を見上げて呟く。



提督(本当は直接みたかったけど、俺がいたんじゃ場の空気も悪くなりそうだし仕方ないよな。)



間宮が言うには、アイツも食堂で食事をしていたらしい。それも、粗末な食事を静かに摂っている艦娘達をニヤニヤと見下すように・・・



こうして食堂から離れて一人食事をとっているのはそういう話を聞いたからというのあるが、正直、少し一人でいたかったという気持ちもある。



自分本位な理由でこんな所に来てしまった故に、この鎮守府で過ごすことになってしまった。最初は適当にやり過ごすはずだった・・・

というよりは、さっさと理由を付けて行方を眩ますつもりだった。



提督「それでも、間宮さんにはもう辛い思いしてほしくないし・・・みんなにも美味しいモノを食べてもらいたい。」



でも、所詮は『だった』の話だ今は彼女たちの幸せを心の底から願っているし俺も彼女たちの為に精一杯助力するつもりだ。



だから、これはそれを始める第一歩。信頼を得るまでは、皆を不快にさせないようにここに一人で食べにくる。



提督「いただきます。」



スプーンでカレーを掬って口に含み、ゆっくりと咀嚼する。少し冷めてはいるけれど、すごく美味しい事に変わりはなかった。



こんなに美味しいカレーなんだから、みんなさぞかし幸せそうに笑ってくれているはず。少し残念だが、これからは毎日おいしい食事を提供するよう頑張るつもりだしいつか直接見られるかな。



提督「・・・だめだ、やっぱり気になるな。後で朝潮にでも様子を聞くとしよう。」



朝潮「呼びましたか、司令官。」



提督「おわっ!?!?」



急に声を掛けられたため驚いてしまい、カレーを落としそうになったがしっかりとつかみ直し何とか落とさずに済んだ。いったん落ち着いて朝潮の方に向き直ると、朝潮も両手でしっかりとカレーを持っていた。・・・なんで朝潮はここに来たんだ?



提督「な、なんで朝潮がここに?食堂でみんなと食べてくればいいのに。」



朝潮「すみません、折角ですから司令官と一緒にお食事がしたくて・・・迷惑でしたか?」



朝潮は少し眼を伏せながら、悲しそうな顔でこちらを見つめてきたっ!そんな顔されたら断ることなんてできない・・・っ!



提督「いやいや!全然迷惑じゃないぞ!?わかった一緒に食べよう、な?」



朝潮「っ・・・ありがとうございます!では、お隣失礼しますね。」



俺の言葉を聞いた瞬間、先ほどの態度とは打って変わってあふれんばかりの笑顔で俺の隣に腰を降ろした。



朝潮「よい・・・しょっと。」



朝潮はカレーを持ったまま器用にスカートが捲れないようちょこんと座っている朝潮に、俺は早速気になっていたことを聞く。



提督「皆の様子はどうだった?」



朝潮「皆さんとても喜んでいましたよ、それこそ涙を流すくらいに。」



朝潮は少し頬を緩ませながら、艦娘達の反応を教えてくれた。朝潮も安心してくれたのだろうか、それならば俺としてはとても喜ばしい。



提督「そっか、ならよかった・・・これからは笑ってくれるようになるといいな。」



朝潮「し、司令官!この朝潮も、微力ながらお手伝いさせていただく所存です!」



俺のそんな呟きに朝潮は少し興奮気味にお手伝い宣言してくれた、この鎮守府を憂う心に共感してくれたのか朝潮は俺に対してはとても協力的でいてくれている。その事実でさえ俺は十分すぎるぐらいだ・・・だけど



提督「それはとてもありがたい申し出だが、とりあえず落ち着こうな?な?」



流石にはしゃぎすぎだ、折角捲れないようにしていたスカートが捲れ放題・・・水玉模様が見え隠れしている。それらしく咳払いしてみると、朝潮も気づいたらしく顔を赤らめて座りなおした。



朝潮「す、すみません!お見苦しい所を・・・っ///」



提督「大丈夫、気にしないよ。むしろ、元気なのはいいことだ。」



こんな最悪な環境で生活してきたのにもかかわらず、まだこんなに元気なところが見れるのなら逆に安心する・・・けれど少しは防御力を高めてもらわないとこちらの心臓に悪い。



提督(この子たち、いや艦娘は皆総じて可愛らしい面立ちをしているから余計心配になるな・・・まずはそういうところを教えていくべきか?・・・だが、これって世にいう『セクハラ』というのにあたるのでは・・・?)



朝潮「それで、その・・・私も司令官に聞きたいことがあったんです。」



真剣にこれからの彼女たちの事を考えていると、落ち着いたらしい朝潮がこれまた暗い表情で話しかけてくる。



提督「ん?なんだ?」



朝潮「司令官は、何故食堂にいらっしゃらなかったのですか?」



察しが良い朝潮の事だ、答えはもうわかっているだろう。それでも俺に確認をとってくるのは多分、彼女の誠実さからくるものだと思う。少しの間だが、こうして接することで見えてきたものは決して少なくない。



提督「俺が居たんじゃ、折角のカレーがまずくなってしまうだろう?」



今やる事は、俺へのイメージ改善ではない。彼女たちの生活の安定化を最優先で進めること、そして心のキズをいやしていくことだ。

そのためには、俺という『悪者』は極力鳴りを潜めるのがもっとも効率がいい。



朝潮「・・・やっぱり司令官は優しいですね。」



朝潮の頬が再び緩み、潤った瞳で俺のことを見つめてくる・・・違うんだ、こんなのは優しいって言われるようなことじゃない。誰でもできる選択だ。



提督「そんなことはない、当たり前の事をしているだけだ。」



朝潮「ふふっ、そうですか・・・そうですか。」



何度否定してもこうだ、彼女たちの感覚はひどく擦り切れている。表面上では喜んでくれていることに安堵するべきなんだろうが、こんな事では更に不安が募っていく。



提督「・・・。」



そんなマイナスな感覚を誤魔化すように、カレーを口に運ぶ。程よい甘さが俺の思考を冷静に戻してくれる・・・しかし、朝潮はというと



朝潮「・・・」ジィ



手に持っているカレーに一度も手を付けず、ただただジッと俺の事を見ている・・・なんだか落ち着かない。



提督「あの、朝潮?そんなに見つめられると食べにくいんだが・・・」



邪気のない瞳で見つめられていると、後ろめたい気持ちになってしまう。実際、後ろめたいことをしているから余計に・・・カレーが喉につっかえてしまう前に逸らしてほしい。



朝潮「どうぞ、お気になさらず。」



だが、依然として朝潮は俺から視線を逸らすそぶりを見せないどころか真っ向から断られてしまう。



提督「・・・程々にな。」



朝潮の真剣な眼差しに耐えきれなくなった俺は渋々説得を諦め、黙々とカレーを食べるよう専念することにした。



朝潮とともにカレーを食べ終わった後、食器を返す為に再び食堂に向かうと喜色満面な間宮さんに迎え入れられた。食堂にはもう誰もいなくなっていたけれど、微かに匂うカレーの香りと奥の方から食器を洗っているような音が聞こえたことから、この選択が正しかったという答えに結びついた。



提督「美味しいカレーをありがとうございました。」



誠心誠意、間宮さんにお礼を言う。俺自身、ここまで美味しいカレーを食べたことはなかったし・・・なにより、彼女たちに満足な食事を提供するのに一役買った彼女を労いたいという思いも強い。



間宮「私こそ、こんな素敵な機会を・・・ありがとうございました。」



間宮さんは目尻に少し涙を溜めながらも、それをさとらせまいと深々と頭を下げ返してきた。



提督「これからも、おいしいごはん・・・期待していますね。」



間宮「はいっ!」



顔をあげ、俺の瞳を見つめながら誰もが見惚れる笑顔でそう答えると食器を洗うために厨房へと戻っていった。俺が来るのを入り口でずっと待っていてくれたのか・・・



暖かい気持ちを感じながらも、俺は次の目的のために横にいる朝潮に声をかける。



提督「なぁ、朝潮。午後は暇か?・・・よければ、執務室まで案内して欲しいのだが」



朝潮「もちろんです、司令官のお陰で午後の予定はありませんから。」



俺のお陰で、か。・・・そういえば、午後からの予定をすべて無しにしたんだったな。



提督「ありがとう、助かるよ。じゃあ早速頼む。」



朝潮「はいっ!こっちです!」



俺の手を取り、意気揚々と建物に向かって走っていく・・・っ!これはまずい!



提督「す、すまん朝潮!もう少しだけ落ち着いて行動できないか!?あまり目立ちたくないんだが!!」



正直、今のこの状況が他の艦娘にされてしまえばあらぬ誤解が生じるかもしれない上に上官を目の敵とする娘達の結束力を乱しかねない。



朝潮「・・・わ、わかりました。ではゆっくり行きましょうか。」シュン



あぁ、見るからにシュンとしちまった・・・これまでもそうだが、彼女たちは軍艦の記憶を持っているというのにこんなにも人間らしい反応も見せてくれる。



提督(やはり、調べただけではわからない事ばかりだな。百聞は一見に如かずという言葉を痛い程痛感できた、なんせ。)チラッ



朝潮「~♪」スタスタ



提督(艦娘というのは厳ついイメージしかなかったけれど、こんな華奢な少女が戦ってくれているんだから・・・)



朝潮「司令官、到着いたしましたよ!ここが執務室になります!」



提督「ん?ああ・・・ついていたのか。ありがとう、朝潮。」



考え事をしながら歩いていたため、執務室までの道を覚える事を怠ってしまった・・・。まぁ、いいか。また外へ出た時に覚えれば問題はないだろう。



提督「じゃあ後は自分でどうにかしてみるから、朝潮はもう部屋に帰ってゆっくりしててくれ。」



とりあえず、いままで面倒ごとに付き合ってくれた朝潮に例を言う。あんなに酷い仕打ちを受けてながらも人に優しくできる良い娘なんだ、きっと普段から皆に気を配っているに違いない。今はゆっくりと休んでもらいたい。



朝潮「えっ、でも司令官はまだまだ知らないことが・・・」



提督「大丈夫だよ、ここからは俺一人でやらせてくれ。これからは君たちと共に戦っていくんだから、いつまでもおんぶにだっこじゃ恰好が付かないだろう?」



朝潮「そういうことなら・・・わかりました、では何か御用がありましたらいつでもお呼びください!」



提督「わかった。・・・頼りにしてるよ、朝潮。」



朝潮「・・・っ!はい!朝潮にお任せください!!」



にこやかな笑顔で朝潮が遠ざかっていくのを確認してから、俺は執務室の扉に手を掛け中に入った。



提督「・・・ふぅ。」



知らない場所だというのに、なぜか一息ついてしまった。色々考えることが多かったというのもあるが、予想以上に一人になれなかったというのも理由かもしれない・・・ここの娘はあまりにも純粋すぎる。



提督「そういえば、俺は彼女たちの事を何も知らないんだよな。」



胸ポケットに入れていた手帳をパラパラとめくっていく。ここに着任するに当たって事前に必要そうな情報を調べていたが、全く役に立っていない。



手帳を再び胸ポケットにいまい、執務室を見渡してみる。簡素だが重厚感を感じる執務用のデスクには沢山の勲章が並び、その傍らには黒電話と電気スタンド、作戦を立てるためのマップのようなものとそれに使うであろう駒が置いてあった。



デスクの他には高そうな酒の並んだ棚と、書類やファイルなどが並べられた棚が陳列しているのみだ。これだけ立派な執務室に腰を落ち着けている人物は相当に厳かな人物だと思い込んでしまうだけの雰囲気がある・・・実際は全く違うがな。



提督「本当に見た目だけは一級品だな、まるで酒と勲章で固めた虚飾の城だ・・・気持ちが悪い。」



けれど、役に立ちそうなものも少なからずあった。見るからに使われていない見掛け倒しの棚だが、ファイルの厚さから察するに内容だけは充実していると踏んで問題はないだろう。



提督「まずは、彼女たちの事を知る所から始めよう。そうすれば、見えてくるものもあるはずだ。」



机に飾られた勲章をすべて床に払い捨て、棚にあったファイルを机において椅子に腰を掛ける。無駄に大きな棚いっぱいにしまってあったファイルを無理やりひっぱりだしてきたため、もはや視界が暗い。



提督「ざっと5、6時間程度か・・・」



大体の時間の目安を付けた俺は、電気スタンドに明かりを灯しファイルのページを開いた。















提督「・・・なんてことだ。」



数時間にも渡りファイルを読み進めている内に艦娘についてのことはある程度のことは分かった。



分かりはしても『理解』はできなかった。



提督「『過去の戦争で名を遺した艦船達の魂が、我々を深海棲艦の脅威から救わんと今一度現世に舞い戻った存在・・・それが艦娘。』」



頭がどうにかしそうだ、目頭は熱いし視界だってぼやけっ放しだ、ファイルを握る手は力が入りすぎて白くなってしまっている。



提督「なにが『舞い戻った』だ、永遠に続く残酷な戦いに縛り付けているだけじゃないか・・・っ!」



このファイルから得られたのは・・・戦うために艦の魂が戻ってきたと勝手に決めつけて、艦娘という名のもと海軍に引き込み、さも当然のように人類を守らせようとしているというクソッたれな事実だけだ。



提督「戦わせるだけなら人の心なんて必要なかったはずだ、こんな痛みを知らせずに戦わせ続けることができるんだからな・・・っ」



感情の赴くままにファイルを投げ捨て、頭を抱える。状況は・・・現実は俺が思っていたよりも深刻だった。



提督「こんな事実、どう受け止めて彼女たちと歩んでいけばいいんだ。」



これは飽くまで俺の想像に過ぎない、だけどたぶんこれは俺にとっても艦娘達にとっても最悪な事実に違いないだろう。



上層部の連中は最初から艦娘達を人間扱いするつもりなんてなかった、だからこんな所業が黙認されていたんだ・・・彼女たち『兵器』がもって生まれてきた厄介な代物・・・人間としての心を殺すために。



提督「だとしたら、これから表立って彼女たちを守ろうとしてしまったら俺が左遷される、もしくは辞令。・・・最悪この鎮守府自体が解体される。どちらにしてもいい結果にならないことは目に見えているな。」



ならば、水面下で虎視眈々と彼女たちを救う算段を立てるまでだ。幸い、ここにはそれができるだけの資料も参考書もある。



それに敵は陸地だけではない、未だに人類の危険を脅かしている深海棲艦とも戦わなければならない。それが本来の鎮守府としての在り方だしな、兵法書も読んで勉強するのも必要だ。



提督「今日中に終わってくれればいいが・・・、間に合わなければ徹夜だな。」



今一度、気合を入れ直してから俺は新しいファイルに手を伸ばした。















誰もいない廊下を一人静かに歩いていく。執務室へと続く廊下にはいつも誰もいない、それが当たり前。自ら進んで来たいと思う人なんていないだろうしいたとしたら正気を疑う。



だから、ここを通る艦娘は建前上でしかない『秘書官』という役割を与えられた者のみだ。私がここにいるのもそれが理由・・・暴力に怯え気持ちの悪い視線に晒される番が私に回ってきた、それだけの話だ。



(・・・けれど、今日は少し違う。)



今日は聞いたことのない食べ物・・・かれーが食堂でふるまわれた。いつもの質素な献立とはずいぶんとかけ離れていたため警戒していたけれど、かれーは私の予想とは反して暖かくてとてもおいしかった。



提督が食堂にいなかったから何かの思惑があってのことだとも考えてはいたが、そういう動きもない。だから、疑うことしかできなかった。



(きっと、今まで以上に悲惨な目に合わされる・・・。)



いいことの後には悪い出来事が起こるのが常だ、きっと先ほどの報いはすべて私に帰ってくる。



いやでいやで仕方がないけれど、私がここで逃げてしまったら代わりに誰かが傷つくことになってしまう。それは、一航戦の誇りに恥じる行いだと私の中で何かが叫んでいるから・・・私は足を進めざるを得ない。



気が付けば、私の足はすでに執務室の前で止まっていた。あとは、いつも通りにノックをして入室するだけだ。



「・・・ふぅ。」



今一度、呼吸を整える。何があっても、受け入れられるように。私が逃げ出してしまわないように・・・。



加賀「加賀です、秘書官の役割を果たしに参りました。」



緊張を引っ込め、努めて普段通りの声で私は執務室への入室を知らせた。



加賀「・・・?」



少し待ってみても扉の向こうから返事がない、いつもなら嫌味を垂れながらもさっさと入って来いと入室を促してくるのに。



加賀「あの、提督?」



ノックをし、もう一度呼びかけるが相変わらず返事はなく静かさだけがその場に漂っている。



加賀(留守?・・・いえ、中から光が漏れているから誰かはいるとは思うのだけれど・・・。)



少し不思議に思ったけれど、モタモタしていては余計に後が怖い。少し不躾だが返事が帰ってこない以上、待っているのも馬鹿らしい・・・私はドアノブに手を掛け中に入った。



加賀「これは・・・一体・・・・」



一瞬、此処があの執務室なのかどうか判断することができなかった。



高級そうなカーペットの上には棚から引き抜かれたであろうファイルが散乱していた。しかも、そのファイルには付箋が乱雑に貼られている・・・よく見ると艦隊運用の基本と兵法書までもが転がっていた、どういうことだろう。提督がファイルを開いていたところなんて見たことなんてなかった。それに・・・



提督「・・・すぅ」



執務用のデスクに目をやると、読みかけと思われるファイルを握りしめたまま電気のついたスタンドに寄りかかるようにして眠っている提督の姿があった。



加賀(まさか、この人・・・一晩でこの量のファイルを読み切ろうとしていたの?)



だとしたら不思議だ、謎だ、不可解だ。あの提督がこんな事するとは到底思えない、戦果を稼ぐためならどんな手でも使う男だ・・・作戦なんて特攻紛いの事しかすることを知らない。そんな人が今更なんでこんなものを・・・



加賀(今はともかく提督を起こして、秘書官としての責務を果たさないと・・・。)



状況は飲み込めないけれど、このまま放っておくと後が怖い・・・起こしたら起こしたで不機嫌になりそうだ。



提督を起こそうとゆっくりと前に踏み出した瞬間、足に奇妙な感触を感じた・・・



加賀「・・・?」



不審に思い、足元を見る・・・そして、そこにあったモノを見てしまった。



輝きのあるソレは無残に床に打ち捨てられ、あまつさえ私が足で踏みつけてしまっている・・・ソレは・・・



加賀「あっ・・・」



提督が大切にして病まない・・・勲章だった



加賀「ひぃっ・・・!」



どうして!?どうしてこんなところに・・・・っ!?いつもならデスクの上で保管されていたはずなのに・・・っ!!



提督「うん・・・?」



加賀「っ!!」













提督「んん、あぁ、寝てしまったのか・・・」



ファイルを握る手が熱い・・・電気スタンドに寄りかかるように寝てしまったためか、少し汗ばんでしまっているようだ。



汗を拭おうと、腕を持ち上げたところで茫然自失といった感じで立ち尽くしている一人の女性が目に入った。



提督(しまった・・・名前がわからない、それにこの執務室の散らかり様をみればそりゃあそんな感じになるよなぁ・・・)



とりあえず、これ以上変な空気にならないようにとりあえず場を取り持たないと



提督「す、すみません・・・お見苦しい所をお見せしてしまって。」



「っ・・・!!」



そう声をかけた瞬間、目の前の女性はその場に崩れ落ちるようにして土下座の姿勢を取った。



「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・っ!!」



提督「なっ・・・!?」



そのまま壊れたように謝罪の言葉を繰り返している・・・余程アイツにひどい目にあわされたのだろう、その切れ長の美しい目は恐怖に染まり歪んでしまっている。



何故、こんな状況になったのかを判断するため俺は執務室を見渡しその原因を捜す。周りには俺が床にぶちまけたファイルや資料が散らばっているだけだ・・・これが原因だとは思えない。



提督(はぁ、諦めて何とか理由を聞き出すしかないか・・・。)



溜息が出そうなのを何とか堪え、目の前の痛々しい女性に目を落とす・・・。すると、その女性の近くにはこれまた俺がぶちまけたであろう勲章が無様に転がっていた。




・・・なるほど、こうなったのはコイツのせいか。大方、勲章が床に落ちていたコイツを踏むか蹴とばすかをしてしまってこんなことになったってところか。



提督(こんなものに価値なんてないのに・・・アイツも、艦娘達もその事がわかっていない。)



俺は、ゆっくりと警戒させないように近づき片膝をついて優しく話しかける。



提督「顔をあげてください、大丈夫ですよ。こんなモノには何の価値もありません。」



おもむろに勲章を拾い上げ、後ろに向けて軽く放った。コンッと軽い音がして勲章が転がり、床にパタンと倒れた、



「・・・っ!?!?」



俺のこの行為には、やはり驚いたようで謝ることを辞め目を見開いて俺の後ろに転がった勲章を見ている・・・よし、これで少しは話を聞いてくれるだろうか。



提督「ですから、あなたはなんの落ち度も無いんですよ・・・もちろん謝罪も罰も必要ありません。」



「え、あ・・・え?」



提督「落ち着いてください、言いたいことはわかります。それでも今はどうか冷静に。」




困惑した表情で必死に言葉を探し、俺に問いかけようとしているようだが上手く言葉がまとまらないようだそれほど動揺しているのだろう、恐怖と憎しみの対象の男が手のひらを返したような態度をとっているんだからな・・・だから朝潮の言った通り、皆に感づかれてしまうわけだ。



けれど、俺の真実を話すことで目の前の女性が救われるのだとしたら・・・。



提督(・・・どうする、信じてもらえる可能性は低いと思うが信用してもらえればスムーズに話が進む。)



自分でもだいぶ冷静に物事が考えれるようになってきたことに少しだけ驚いた。そう、頭ごなしに隠そうとするのもいい結果を産まないかもしれないという可能性にも目を向けるべきなのだ。



だから、俺は目の前の女性に言った言葉を自分にも言い聞かせた。・・・大丈夫、今なら動揺せずに言えるはず



提督「・・・俺は、貴方達の知る『アイツ』ではありません。全くの別人です。」



意を決して、衝撃の事実を孕んだ自己紹介を始めた。














提督「・・・というわけで、俺は入れ替わってこの鎮守府に着任しました。」



これまで通り大切なところは伏せて、俺がアイツと違うという主旨だけを簡潔に告げる。



「・・・ほんとうですか?」



目の前の女性は、なんとか落ち着きを取り戻したようで俺の話を聞いて考え込むように顔を伏せたのちに恐る恐るといった風にそう問いかけてきた。



提督「本当です。」



俺は目を見据えて、ハッキリと答える。これで、彼女の不安が拭えるのならばそれでいい・・・。



「わかりました、信じますね・・・私の新しい『提督』。」



たった今、彼女の中でアイツへの決別がすんだらしい。彼女特有の凛々しい目つきで俺の顔を値踏みするように覗き込んでいる。



提督「ああ、信じてくれて構わない。その信頼に答えられるように努力するよ・・・え、と。」



加賀「正規空母・・・一航戦の加賀です。よろしくお願いします」



聞く前に自己紹介をしてくれた、正規空母の加賀さんか・・・正規空母といえば重要な戦力になりそうだな、戦況を左右する程の力を持つらしいし仲良くやっていって損はないだろう。



提督「ええ、よろしくお願いしますね。」スッ



加賀「・・っ!?」バッ



握手をしようと手を前に出した瞬間、加賀さんは驚いたかのように飛びのき目を見開いて俺の手を怯えながらジィっとみている。



提督(・・・しまった、迂闊だったな。今まで散々暴力を受けてきたんだ、俺みたいな男が近づいたら警戒するのも当然だろう。)



提督「すみません・・・軽率でした。」



手を引っ込め、自分の非礼を詫びる。今の加賀はちょっとした事ですぐに築いた信頼を失ってしまうということを再確認させられた・・・これからは本当の意味での信頼を得ていこう。



加賀「・・・こちらこそ、すみません。まだ、その・・・別人だとはわかっているのですが・・・怖くて。」



提督「いえ、お気になさらず。それよりも、加賀さんは何故執務室に?」



加賀「提督は存じ上げないと思いますが、この鎮守府には秘書艦制度というものがあります。一日ごとに艦娘が交代で提督の仕事を手伝うという制度なのですが・・・」



提督「それは建前だったということですか・・・。」



アイツが隠れ蓑にするには都合のいい制度だな、一人一人呼び出し傍に置くことで抵抗できないような状況を作り出し無抵抗な艦娘に暴行を繰り返してきたというところだろう。



加賀「・・・その通りです。」



提督「それで、今日の秘書艦担当が加賀さん・・・だから執務室に、なるほど理解しました。」



忌々しい制度だが、艦娘との信頼関係を築くにはもってこいの制度だな。これからは秘書艦制度の事も有効に使っていけるといいのだが・・・



提督「よいしょ、っと。」



状況が落ち着いたからか、急に執務室の散らかりが気になりだし足元のファイルを拾って片づけを始まる。秘書艦という名目だったとしても女性が部屋に来ているんだ汚いままでいさせるのはいささか心苦しい。



加賀「あの、私から一つ提督に聞きたいことがあるのですが・・・よろしいでしょうか?」



足元のファイルを拾い、纏めていると加賀さんが纏めたファイルを棚に戻してくれた・・・言外に手伝ってくれている加賀さんにお礼を言おうとしたら加賀さんの言葉にさえぎられる。



提督「ん?なんでしょうか?」



一度手を止め、加賀さんの方へ向き直る。加賀さんは少し言い辛そうに眉間にしわを寄せると、少々おぼつかない口調で



加賀「何故、提督はこの鎮守府に来てくださったのですか・・・?」



と聞いてきた、何故来たのかと聞かれても・・・彼女たちの望む理由ではないのは明らかだ。俺は艦娘達を救う為に来たわけじゃない。



提督「・・・ただの自己満足だ。それ以下でもそれ以上でもない。俺は自分が蒔いた種を自分で摘み取りに来ただけだ。」



これだけは隠さない、これだけは嘘はつきたくない・・・これだけは、期待させるわけにはいかない。俺はこれから先ずっと彼女たちを守っていける保証がないからだ。いつアイツを殺したことがバレるかわからないんだ、そんな不安定な俺に多くを求めさせるのは余りにも彼女たちが不憫すぎる。



加賀「そう、ですか・・・。」



加賀がポツリと呟いたのを最後に、執務室に静寂があふれた。



ここで嘘でも『君たちを助けに来た』って言えたならどれだけ楽だろうか・・・。彼女達に一時でも安心感を与えられるかもしれないし、紛い物でも英雄になった気分でいられるかもしれない



けれど、俺はそうはしなかった。そこに明快な回答はなく、理的な意思もない。あるのはただ漠然とした正義感と小さく芽生えた罪の意識だけだ。意味なんてない、求めてはいけない・・・そんな脅迫観念にも似た気持ちの悪いナニカ。



提督「加賀さん、ここの鎮守府の艦娘の名簿みたいなものはありますか?」



だから俺は目を逸らす、逸らして嵐が過ぎることを待つばかりだ。



加賀「・・・ええ、こちらに。」



加賀さんは、執務用のデスクの引き出しを開け他のと比べ少々分厚いファイルを手渡してくれた。



提督「意外と分厚いですね・・・、ここの所属艦の数を考えれば妥当ですか。」



これから見慣れぬ艦娘に会うたびに名前がわからないと四苦八苦するよりは、覚えた方が効率がいいしなによりも怪しまれずに済む。



加賀「それを使ってどうされるのですか?」



提督「この鎮守府の艦娘達の名前と顔をすべて覚えるために使おうかと思いまして・・・。」



再びデスクに近づき、電気スタンドの明かりをつける。・・・幸い、彼女たちは個性的な名前を持っているため覚えること自体は容易だろう。となれば、顔と名前を一致させる作業だけだ。



加賀「・・・今からですか?」



時間と俺が今までしていた作業を気にしているのだろうか、その声からは労わりの意がはっきりと汲み取れた。



提督「大丈夫ですよ、さっきまで寝てましたから・・・優しいんですね。」



加賀「い、いえ・・・他意はなかったのですが・・・っ」



提督「人を労われるという事は恥じることではありませんよ、加賀さん。ただ、嬉しかっただけなんです。」



弥生も卯月も間宮さんも伊良子さんも・・・あれだけの仕打ちを受けてきたのになぜこんなにも他人を労わる事が出来るのだろうか。

元は人に作られたから人の為になるのが当たり前と捉えている故かだからか・・・俺はそうはあってほしくないと勝手に思っている。出来れば、それが彼女たちの人間性だと信じていたい。



加賀「・・・私にはわかりかねます。」



提督「いつかわかるようになれれば、いいですね。」



これはあくまで保険だ、わかるようにしてあげるだなんて大層なことは言えないからこその保険。それでも、彼女たちと一緒にいることで何かを得られるのだとしたら・・・。



提督「さぁ、もう夜も更けてきましたし加賀さんはお部屋に戻って下さって構いませんよ。」



加賀「いえ、失礼ながら提督は少々根を詰めすぎる節がありそうなので・・・私もあの子達の特徴ぐらいは言ってあげられますから。」



提督「ありがとうございます・・・では、よろしくお願いしますね。まずは、この子から・・・。」



加賀「その子は、特型駆逐艦の吹雪です。真面目で明るく仲間の士気をよく上げて・・・」



・・・それはきっと、よりよい結果へと結びつくはずだから。










提督「・・・んん。」



目が覚めたのは、窓から日差しが差す朝6時過ぎだった。あれから俺は加賀さんの説明の元、艦娘達の名前と顔を一致させていったが最後の一人を覚え終わった途端に力尽きてしまったらしい。



加賀「・・・スゥ」



それは俺だけではなく、加賀も同様だ。艦娘達の事だけではなく、休憩と銘打ってはこの鎮守府の事について懇切丁寧に教えてくれた・・・本当に彼女には感謝してもしきれない。



提督「ありがとうございます、加賀さん・・・。」



加賀さんを起こさないようにそっと毛布を掛けなおしてから、もう一度名簿を手に取り復習を徹底する。折角加賀さんが親身になって教えてくれたんだ・・・無下にはできない。それに、これから一緒に過ごしていくことになる子達の事を知らないのでは不誠実な気がする。



提督「ふぅ・・・大丈夫そうだな。」



安堵して息を吐くのもそこそこに、次の目的に向けて動かなくては・・・。



提督(間宮さんと伊良子さん・・・起きてるかなぁ。)



二人が起きていることを願いながら、俺は食堂に向かった。



~食堂~



間宮「あら、提督?おはようございます、どうかなさいましたか?」



食堂の扉を開け、二人の姿を探そうとする前に俺に気づいた間宮さんが駆け寄ってきてくれた・・・よかった、もう起きていてくれたのか。



提督「おはようございます、いえ、特に用事というわけではないのですが・・・これからの食事についての相談がしたくて。」



間宮「相談、ですか。」



提督「ええ、残りの食材で後どれぐらい持ちそうですかね・・・?」



初日の食事を豪勢にしたのはいいが、俺が買ってきた食材でどれだけ賄えるかをちゃんと考えていなかった・・・これから発注しようにもどのくらいの期間が必要なのかがはっきりしない以上また俺がどうにかしなくちゃいけない。



間宮「そうですねぇ・・・結構な量を買ってきてくださってましたから今日一日分の三食はどうにかなりそうです。」



提督「本当ですか?よかったです。」



これで今から急いで買いに行く必要はなくなったな・・・だとしても今日分しかないのなら、明日明後日の為に今日買いに行かなければならないことに変わりはない。



提督「では、また今日中に食材をもって来ますからよろしくお願いしますね。朝早くにすみませんでした。」



そういって一礼し、食堂を出ようとするが



間宮「あ、提督お待ちください!今日は私たちと共に食事を摂られますか?」



間宮のその問いかけに進みかけた足を止めてしまう・・・。



提督(どうするか・・・いつかは通る道だが・・・いや、まだ早いか。)



一瞬だけその話を受けようと思ったが、俺がやるべきことはまずこの環境を整えていくことと彼女たちの心のキズを癒していくことだ・・・そこに来て俺が一緒に食事を摂ってしまったら彼女たちがリラックス出来なくなってしまう・・・それでは本末転倒だ。



提督「すみません・・・今日も個別で摂らせてもらいますね。」



間宮「そう、ですか・・・」



間宮さんは少しだけ悲しそうに目を伏せてしまった、ジクジクとした罪悪感が胸の内からせりあがってくるがどうにか押しとどめる。



間宮「わかりました・・・では、ご昼食や晩御飯は時間の30分前に取りに来てください。用意しておきますから。」



それでも間宮さんは俺に美味しい食事を提供しようと、俺が取れる最善な案を色々と与えてくれる・・・ここまでしてもらったからには断るだなんて野暮なことは俺にはできない。



提督「本当に何から何まですみません、ではその通りの時間にお伺いしますね。」



相談もこれからの方針も定まった俺は、次の目的に向けて動き出そうと一礼し食堂を出ようとしたが



間宮「あ、提督!少々お時間いただけませんか?」



そんな間宮さんの声に遮られてしまう・・・まだなにかあるのだろうか?



提督「・・・ええ、構いませんよ。」



間宮「ありがとうございます!では、すぐに戻ってきますので椅子に腰を掛けてお待ちください!」



そういって間宮さんはすぐに厨房へと引っ込んでしまった・・・。



提督「流石に『構いませんよ』・・・は、無いよな。」



気の利いたことが言えない自分に嫌気がさしながらも、俺は椅子に腰かけ間宮さんが厨房から出てくるのを待った。



ー5分後ー



間宮「お待たせしました・・・せめて、これだけでも。」



そういって、間宮さんはラップで包まれたおにぎりを手渡してくれた。



提督「まさか、間宮さん・・・このおにぎりを俺の為に?」



間宮「もちろんですよ、提督が私たちの事を大切にして下さるのはとてもうれしいことですが・・・ご自身の事も大切になさってくださいね?」ニコッ



優しく微笑んだ間宮さんの顔を直視できなかった、彼女のその優しさが嬉しかった。・・それこそ、涙が出てしまうほどに。



提督「ありがとうございます・・・間宮さん。」



それでも、俺は耐える。俺が流していいのは彼女たちの為に働いて流す汗だけだ。本当に泣きたいのは彼女たちの方なのだから・・・俺が泣くのは甘えだ、グッと手に力を込め、涙が出るのを堪える。



間宮「いえいえ、ではいってらっしゃいませ。」ペコリ



提督「ええ、行ってきます。」



間宮「・・いつか、必ず食堂にいらしてくださいね?待っていますから。」ニコッ



・・・参ったな、ご飯なんて食べなくても間宮さんの柔軟な笑顔だけで今日一日やっていけそうだ。



なんて、甘いことを考えながら俺は食堂を後にした。



~執務室~



加賀「・・・提督、お待ちしておりました。」



執務室に戻ると、身支度を整え終えた加賀さんが出迎えてくれた。



まだ昨日の疲れが抜けきっていないはずなのに、加賀さんはそんな様子を微塵も見せない。



提督「待たせてしまってすみません・・・おはようございます、加賀さん。」



俺も負けてられないと、緩んでいた頬を引き締め直す。今日一日は、文字通り激動な日になる・・・気を抜いてはこの先やっていけない。



加賀「ええ、おはようございます提督。そろそろ艦隊総員お越しの時間ですが、いかがいたしましょうか?」



加賀さんは俺の目を見据え、これからの行動についての指示を仰ぐ・・・きっと、俺は試されている。だから、教えてもらったことを全力で活かし、これからの出来事に対処していき信頼を勝ち取らなければならない。



提督「鎮守府内放送で艦娘達への呼びかけをよろしくお願いします。」



加賀「了解しました。」



加賀さんはそう言うと、慣れた様子で執務室の机から放送用の機材を取り出し組み立てと設置をし始めた。



提督(・・・なるほど、放送用の機材はこのようにして使うのか。覚えておこう。)



加賀さんの手元をよく見ながらも、俺は朝礼に向けての身だしなみを整え始める。



加賀『時刻は7時となりました、起床の時間です。各艦娘達は身支度を済ませ、7時30分までに講堂に集合してください。繰り返します・・・』



これからはまず、講堂に向かいそこで朝礼を行う。それからこの鎮守府での長い一日が始まるらしい・・・正直、俺は朝礼をする意味が見いだせないが、まぁ必要ならばやるだけの事だ。



~講堂~



今日もまた、無駄な朝礼が始まる。



先日から暫くの間朝礼がなかったから安心していたけど、今日からまたこの嫌な時間が続く・・・。



「本当に、やってられないですね・・・。」



思わず舌打ちをしそうになったけれど、隣に北上さんがいるから愚痴をこぼす程度に留めておく。



北上「まぁまぁ、落ち着きなって大井っち~。何言ったって朝礼がなくなるわけじゃないんだしさ?」



大井「そう、ですよね・・・ごめんなさいね、、北上さん。」



北上「んにゃ、大丈夫だよ。・・・大井っちが言いたいことは大体わかるからね。」



北上さんはそういうと、少しだけ目を細くして壇上の机を睨んだ。そうだった、嫌なのは私だけじゃない・・・ここにいる北上さんを含めたみんなが嫌なはずだ・・・そう、わざわざ口に出すだけ無駄だった。












講堂に艦娘達が全員集まっていることを確認する・・・よし、ちゃんと艦種順に並んで欠員はいないな。



軽く息を吸って、緊張を少し解しつつも俺は壇上に上がり第一声を発した。



提督「皆さん、おはようございます。」



・・・全員が驚いたような顔をこちらに向けている。アイツが今までやってきた朝礼では挨拶もしなかったのか、つくづく常識のない奴だ。



提督「これから朝礼を始めますが・・・えー、特に言うことはありません。ですが、今から名前を呼ぶ艦娘達は各自朝食を終わらせた後に執務室に集合してください。まずは駆逐艦の・・・」



つらつらと覚えた艦娘達の名前を挙げていく、皆の為、それと自分の精神衛生の為にさっさと朝礼を切り上げたい。そんな思いに支配されながらも、俺は仕上げにかかる。



提督「・・・以上です。質問がない限りはもう朝礼を終わろうと思うのですが。」



俺はそういうと、講堂中を見渡し挙手をしている艦娘がいないかを探す・・・よし、いないようだな。



提督「いないようですね・・・では最後に、朝礼は今回限りで終わります。次回からはこの時間を朝食もしくは身だしなみを整える時間として割り当てるつもりなので頭の片隅にでもとどめておいてください。・・・では、解散。」



唖然としている雰囲気の中を縫うようにして行動を出ていく。言いたいことも言えたし、朝の無駄な時間も削減することもできた。



提督(後は、これからの出撃回数と遠征の割り当ての調整だな。)



~食堂~



「ねぇ、なんだかおかしくない?」



私の隣で不服そうに髪を弄っている叢雲ちゃんが、そうポツリと零した。



「おかしいって・・・司令官さんがですか?」



五月雨ちゃんが食事を中断して、叢雲ちゃんの言葉に反応を示した。



「そう、ですね・・・電達にちゃんとした食事を与えてくださったり朝礼をなくすと言ったり・・・。」



電ちゃんもその意見に賛同している。心なしか、その横顔は少し暗いように感じる。



「で、でもこの鎮守府が、私たちの待遇が良くなるならいい事!なんじゃないかな・・・?」



その顔が見ていられなくなってポジティブな考えを口に出す、この鎮守府が変わっていくならいいことだよね?



「・・・ブッキーは甘いねぇ、いい方へいい方へって考えちゃってたらメシマズな結果になった時辛いだけだよ~。」



吹雪「漣ちゃん・・・でも」



叢雲「ま、私たちが何を言ったところでアイツに届くわけじゃないんだし無駄なんだけどね。・・・ごちそうさま。」



漣ちゃんの言葉へ待ったをかける前に、叢雲ちゃんが立ち上がって食器の返却に行ってしまった。きっと、一足先に執務室へ行くつもりなのだろう。



五月雨「私も、ごちそうさま。・・・じゃあ、先に執務室にいってるね?」



五月雨ちゃんも叢雲ちゃんを追うように、トレーをもって行ってしまった。



電「ふぇ・・・怖いよぉ・・・」



吹雪「だ、大丈夫だよ電ちゃん・・・私たちもいるからさ。」



少しでも電ちゃんを勇気づけようとするけれど、実際私が不安なだけにあまり声に力が入らない・・・こんなんじゃ余計に不安にさせちゃうよ・・・。



漣「・・・ま、すぐに命をとられるわけでもないんだしさ。気楽に行こうよ。」



漣ちゃんは最後にそう呟くように、先ほどとは違って少しだけ微笑んで食器を返しに行った・・・ちょっとイジワルな事を言うけれど漣ちゃんは優しい娘だ。・・・司令官があんな人じゃなければ、今頃もっと仲良くなれていたのかもしれないのに・・・



少しだけ後悔しながら、私は食器の乗ったトレーをもって席を立つ。



「電、大丈夫よ。あなたにはこの雷がついてるんだから!」



「もうっ、雷だけじゃなくて長女であるこの暁もいるんだからね?」



「電、君は独りじゃないよ・・・私たちがいる。安心して欲しい。」



電「雷ちゃん・・・暁ちゃん・・・響ちゃん・・・ありがとう、なのです。」ニコッ



電ちゃんもさっきまでは泣いていたけど、電ちゃんの姉妹艦の子達がきてからだいぶ落ち着いてきたみたいだし・・・なにより、私も執務室に呼び出されている・・・遅れていったら何をされるかわからない。



吹雪(・・・)



私は、緊張と恐怖を感じながらも執務室へと向かう廊下を歩き始めた。




~執務室~



そこそこ広い執務室に所狭しと艦娘達が並んでいる光景は中々に圧巻だ、それに艦娘達全員の顔がこわばってしまっている・・・警戒されているのはわかるがそこまでされてしまうと俺も自然と肩に力が入ってしまう。



提督「・・・呼び出しに応じてくださり、ありがとうございます。」



けれど、ここからは俺の初仕事だ。失敗は許されないし、そもそもするつもりもない。



俺は深呼吸をしてから、彼女たちの目を見据え完結に言葉を並べることを意識する。



提督「今から、今日の遠征と出撃について皆さんにお話しします。」



目に見えて艦娘達の間に緊張が走る、けれど俺は話をやめずに続ける。



提督「まず、駆逐艦 皐月 弥生 卯月 望月 如月 睦月には練習航海の任を受けてもらおうと思う。」



提督「旗艦には、練度の高い睦月に一任する。如月も睦月とともにまだ着任してから日の浅い残りの4人の補助を頼む。」



一つの任の通達を終えた事に満足し、次の艦娘達に別の任を与えようとすると・・・



睦月「あ、あの提督!すみません・・・し、質問があります。」



先ほど旗艦に任命した睦月型の一番艦の睦月が、少し震えながらもおずおずといった風に声をかけてきてくれた。



提督「うん、なんだい?」



務めて明るく優しい声音になるように返事をする。折角質問してくれているのに怖がらせて飲み込ませてしまうなんて出来ないからな。



睦月「練習航海に私達を向かわせていただけるところ大変恐縮なのですが・・・何故、今更練習航海へ?資材に見返りがあるどころか赤字になりますが・・・。」



睦月は目をぎゅっと瞑ってまで懸命にそう言ってくれる、だから俺も真正面から受けて答える。



提督「資材の問題じゃないんだ、俺は君たちに絶対な自身と確かな技術を身に着けてほしいんだよ。そのためにはまず、基本から学んだ方がいいと思ったまでなんだ。」



なんの準備もなしにまだ経験の浅い彼女たちを死地に追いやる事が、提督なものか・・・彼女たちの生還する確率を1%でも上げる為に全力で努力をすることこそが提督ではないか。俺は、そう思っている。だから、彼女たちのためなら資材は惜しまない。



睦月「わ、わかりました・・・です。ありがとうございました。」ペコリ



睦月は心底驚いたように俺の顔を数秒見つめ、ハッとしたような表情を浮かべた後に頭を下げた。



提督「このように、なにか俺に聞きたいことがあるのなら遠慮なく質問してきてください。」



大切な事なので、皆の前で明確に言葉にしておく。できることなら、こういうやり取りを通して俺のやり方を理解してもらいたい。



提督「次は先述の艦娘達よりも練度の高い艦、軽巡 川内 北上 大井そして駆逐艦 吹雪 叢雲 漣には警備任務を任せたいと思う。」



やはり、先ほどの艦娘達と同じように動揺していることが分かった。・・・しかし、その中に一人だけ明らかに動揺とは違う正に『不服』そうな顔をしている艦娘がいた・・・



提督「・・・川内、何か疑問な事でもあるのか?ある場合は、先ほど言った通り遠慮なく質問してもいいぞ。」



川内「別に、睦月と同じような事を思っただけだよ。」



川内は俺と話すつもりがないのか、あからさまな態度で目線を切り口を閉じてしまった。・・・当然、こういう反抗的な娘もいるとは思っていたがこうして真正面から悪意をぶつけられると中々にくるものがある。



提督「そう、か。なら俺の答えは先ほどと同じだ。」



今度ゆっくり川内と話す時間を作るべきだな。だが、今はそれどころではないので、次々に任務を艦娘達に与えていく。



提督「・・・これで、任務の振り分けは終了です。では、最後に・・・」



任務を言い渡されずにいる艦娘達が訝し気にこちらをみてくる・・・彼女たちは、任務をさせるためによんだわけじゃない。



提督「損傷している艦娘達はすぐに入渠施設に向かい、その傷を癒してきてください。」



痛々しい傷が見え隠れしていた艦娘達を講堂であらかじめ目星をつけて入渠させるためにここに呼んでおいた。本当は服がボロボロの娘達の制服も修繕してあげたいのだが・・・どうも、そっちは在庫がないらしい。それも追ってどうにかしなければならない課題となるだろう。



入渠を言い渡された艦娘達は少し驚きの顔をした後に、安心したような顔を見せてくれる・・・よかった。



提督「では、これで伝達作業を終了します。解散。」



俺がそういうと艦娘達は敬礼をしてこの場から去ろうとする・・・ここで、俺は大切なことを言いそびれていたのを思い出した。



提督「あ、すみません。一つだけ言い忘れていましたが、それぞれの任務が終わった後は自由にしてくださって構いません。ないとは思いますが万が一怪我をしてしまった場合は入渠施設を使ってくださいね。」



比較的簡単な任務なので、彼女たちの練度ならば大事に至ることはないと思うが・・・もしもの時が怖い。任務から帰ってくるころには今この鎮守府にて負傷している艦娘達の入渠も終わっているはずだ。そうなれば、順序よく入渠できるだろう。



吹雪「司令官さん、質問いいですか・・・?」



なんて考えていると、吹雪が俺に声をかけてきた。敬礼の姿勢を崩さず涙の零れそうな瞳を俺に向けてくる・・・。



提督(・・・俺はこの目に弱いな。)



少し、背中に汗を滲ませながら吹雪の次の言葉を待った。



吹雪「じ、自由時間というのは・・・どういったものなのでしょうか?」



提督「・・・。」



言葉が出なかった。



恐る恐る聞いてくる吹雪の顔を直視できない。そこには、目を向けたくもない吐き気のする事実が隠れていたのだから・・・



何処までも広がっているあの青い海を守っている彼女たちは



提督「それは・・・自由の意味が分からないということか?」



吹雪「・・・はい。」



・・・皮肉なことに、自由の意味を知らなかった。



提督「わかった、その質問は君たちが無事に遠征から帰った時にゆっくり教えるよ。」



なるべく不安がらせないように、ゆっくりと吹雪へ近づき膝をつき吹雪と目線を合わせハンカチで軽く目元を拭ってやる。



吹雪「・・・っ」ビクッ



川内「っ!!」



川内が一瞬俺たちの間に割り込もうと凄んだのが横目で見て分かった。どうも、誰にでもあんな態度を取るわけではないらしい。艦娘には優しいようでホッとした・・・それに、提督である俺に立ち向かえるほどの度胸もある。俺の『相談相手』にはちょうどいいかもしれないな。



少し深く考え事をしてしまったが、再び目の前の事態に意識を集中させる。今まで考え、発言してきたものすべてはこの遠征を成功させること前提の今後だ、無駄にはできない。



提督「だから、どうか今は心配せずに遠征に集中してほしい。それがいずれ、君たちの力になるはずだから。」



吹雪「・・・はいっ!わかりました、司令官!」ポロポロ



提督「うん、頼もしい限りだ。頑張ってくれ。」ナデナデ



結局、拭った意味もなくポロポロと涙をこぼしてしまう吹雪の頭に手を置きそっと撫でる。・・・まるで、硝子細工に触るかのように繊細にゆっくり、ゆっくりと撫でる。



それを見てからか、周囲の緊張が少し解けたような気がした。特に意識したつもりはないが、結果的に良い方向へと進んだのならばよしとしよう。



提督「そういう事だ、今のはなにも吹雪だけに限った言葉ではない。どうか、これからの遠征で得られるものがあることを祈っているよ。」



艦娘達は顔をお互いに見合わせると、敬礼をし執務室から退出していく・・・。よし、これで今日の日程の第一段階は終了だ。彼女たちが遠征に行っている間に、出撃の日程と内容、ローテーションを見直そう。



提督(それと・・・買い出しにも行かなきゃな。)



先ほどとは打って変わって静かになった執務室で、俺はゆっくりと椅子に腰かけ書類との睨み合いを開始した。














いつもよりも少しだけ浮足立っている鎮守府が気に入らない。今のこの状態も、あの男に仕組まれた事かもしれないというのに。



川内(何を考えている・・・何をするつもりだ。)



昨日といい今日といい、明らかに私たちに対する態度や待遇が違い過ぎる。不自然だ、不審だ、不可解だ、不条理だ。考えたって理由がわからない。何故、あの男がこんな行為をするようになったのか・・・。



卯月「ねぇ、弥生・・・信じてもいいのかな・・・?」



弥生「・・・そう、だね。今はまだ言い切れないけれど、弥生は・・・」



川内「やめなよ、期待するだけ無駄さ・・・どうせあの男の事だ、また何かするに決まっている。」



不快だ、その信頼を逆手に取るのがあの男だと何故気づかない。幼いのはわかるが、それでも限度がある。



川内(だから、私が守ってあげなければならない。)



それができるのは、私だけなのだから・・・。

















~執務室~



提督「・・・。」



俺は提督業というものを少し侮っていたようだ、業務内容の多さもそうだが専門用語の飛び交う書類はまるで別の言語で綴られているかのような錯覚までしてくる。



提督「困ったな・・・このままでは午後の予定に支障が出てしまう。」



本格的に頭を抱えだしたところで、執務室に扉を叩く音が響いた。正直、今は来客の相手をする余裕はないがもしものためを思い入るように促す。



提督「入ってください。」



朝潮「失礼しますっ!」



ガチャリと音を立てて、執務室に入ってきたのは朝潮だった。朝潮も遠征に組み込んでいたが・・・大きな声でピシッと敬礼をする姿を見て傷がないことから遠征は無事に達成したようだ。



提督「朝潮か、遠征お疲れさま。報告お願いできるかな?」



朝潮「はい!お任せください!」



報告書を取りだし、朝潮の報告を記していく。どうやら被害はなく、燃料の運送も上手く行ったようだ。



朝潮「・・・以上になります!」



提督「うん、上々だな。旗艦としてもしっかりやってくれているみたいだね。ありがとう。」ナデナデ



朝潮「えへへ・・・///」



書類仕事で溜まった疲れが一気に発散されていく気がした・・・朝潮の真っ直ぐで誠実なところはそれほどまでに清々しい。



提督「さて、もう休んでくれて構わないよ。俺も執務に戻らないと。」



朝潮の頭から手を放し、またペンを握りなおす。今なら先ほどよりも効率よく書類仕事が進みそうだ・・・ありがとう朝潮。



朝潮「あっ・・・。」



朝潮は少し名残惜しそうな声を漏らす、しっかりしていてもこういうところだけを見ると少しだけ微笑ましく感じるな。

その反面で、こんなに幼い少女に前線を任せてしまっているという重責にも襲われる。



朝潮「司令官・・・っ!そのっ、私でよければ是非、司令官の執務のお手伝いをさせてください!」



提督「な、なんだって?」



朝潮「ですから、この朝潮に司令官の執務のお手伝いをさせてください!」ズイッ



遠征帰りで疲れているはずなのに、またまた元気にお手伝い宣言をしてくれる朝潮だが・・・正直、これは文字通り助け船だな。執務に慣れていない俺が一人でやるよりは秘書官制度で執務に少しでも携わってきた朝潮がいてくれれば心図強い。



提督「わかった・・・そこまでいってくれるなら、手伝ってもらおうかな。」



朝潮「はいっ!全力で支援させていただきますね!」



机の上の書類をまとめなおし、朝潮が作業できるスペースを空ける。イスは加賀さんの為に持ってきていたイスを使ってもらおう。



準備ができたので、朝潮に声をかけると朝潮は「お任せください!」と元気に返事をしながら・・・俺がまとめた書類をごっそりと持ち床に置いたかと思えばそこに這いつくばりペンを握ってイキイキと書類に走らせ始めたのだ。



朝潮「~♪」



・・・何故こうも安心したとたんに次の問題に突き当たるのだろう。もう、考えるのもしんどい・・・けれど、これぐらいでは根は上げられない。これからの予定を考えれば疲れている暇なんてないのだから。



提督「なぁ朝潮、そこじゃ書類が書きにくいだろう?机のスペースも開けたし椅子も持ってきた、出来ればここでやってもらえないだろうか?」



朝潮「そんなっ!私なんかが司令官と同じ机の上で作業をするだなんて無礼出来ません!!」



提督「そんなことはない!共に仕事をするんだ、同じ場所でやるのは当然だろう?それに、俺分の書類まで持っていかれては困る。」



これ以上言っても埒が明かないと思った俺は、書類を持ち上げ机に戻し、驚いたように俺を見ている朝潮の手を優しく取り椅子に座らせた。



朝潮「・・・司令官はやはりお優しいのですね。」



少し潤んだ瞳で俺を見つめ、そうぽつりと零す朝潮に俺は苦々しい顔で



提督「いや、これは当然の事なんだよ朝潮。・・・それに、本当に優しいのは遠征で疲れているだろうに手伝ってくれるという君の方じゃないか。」



と返した。こうでも言わないと、きっと終わらない。そういうところは真っ直ぐな子だ。



朝潮「・・・そういう所ですよ。」



再び小さく呟く朝潮だが、反応はしない。これ以上訂正を繰り返しした所できっと意味は無い気がするからだ。



提督「そう言えば・・・朝潮、君は午後の予定は何かあるか?良ければ、買い出しの方を手伝って貰いたいんだが」



食料供給のパイプは今日中に安定させるのが前提になるが、明後日分の食料は調達しておきたい。けれど、俺一人では前のように苦労するだけだ…素直に艦娘である彼女達の力を借りるのが最善だろう。



朝潮「は、はい!お任せ下さい!」



・・・それに、これを機に彼女達自身が守っている外の世界というものを見せてあげたいという打算もある。




提督「では、それまで執務を手伝ってもらおうかな。」




そうして俺は再び書類に視線を落とした。




ー3時間後ー




提督(・・・ああ、クソ・・・手が痺れてきたな。)



軽く3時間は経っただろうか。目の奥がチリチリとした痛みに襲われながらも朝潮と協力しつつ、粗方の執務をこなすことができた・・・とはいってもほとんど朝潮一人が片づけてくれているのだが・・・。



朝潮「司令官、大丈夫ですか?」



そんな情けない俺に気を遣ってか朝潮はペンを動かす手を止め、こちらの安否を気遣ってくれる。



提督「ああ、まだまだ大丈夫だ・・・本当に助かるよ朝潮。」



我ながらひどく疲れた声だったが、何とか朝潮を労うことができた。朝潮にはご褒美という形でこの後の買い物でお菓子でも買ってあげよう。そんな事を思っていると、再びコンコンと扉を叩く音に思考を中断させられた。



提督「どうぞ、入ってください。」



睦月「し、失礼します・・・。」



俺の促しの声のあとに扉の隙間を遠慮がちに覗き込み、恐る恐る執務室に入ってきたのは・・・練習航海の旗艦を命じた睦月だった。



・・・そういえば、睦月たちには練習航海の任を与えていたはずだが記載されていた目安時間よりも大分遅かったな。それに、よく見れば服も所々破れてしまっている。・・・まさか、彼女たちの身に何かあったのだろうか?



提督「睦月か・・・、よかった。予定時間よりも大分遅かったけれど・・・何かあったのかい?」



不安で仕方がなかったが



そう聞くと睦月はその小さな肩をピクリと揺らすと、涙を堪えるかのように歯を食いしばりながら



睦月「・・・わわ、私達の遠征部隊は予期せぬ敵艦隊と会敵しました。敵戦力は軽巡2隻駆逐艦4隻の水雷戦隊でした・・・それで、頑張って応戦したのですが・・・力及ばず・・・」



提督「・・・っ!!」



朝潮「そんな・・・っ!?」



まさか・・・まさかまさか・・・誰かが沈んでしまったとでもいうのか・・・?此処にいない残りの5人全員が敵の手にかかって死んでしまったとでも・・・?



提督「む、睦月・・・被害状況を教えてくれないか?」



震える拳を血が出るほど握りしめ、溢れ出そうになった狂気を押しとどめる。ここで発狂してしまえば、きっと睦月も朝潮も傷つけてしまう・・・そんな確かな予感がある。だから、無理やりにでも正気を保ち続けなければならない。



睦月「私と如月ちゃ・・・如月が小破で、皐月、弥生、卯月、望月の4名が中破しました・・・。このままでは遠征の続行は不可能だと判断し、帰還しました・・・その5名は今現在入渠施設にて傷の手当てをしています。」



提督「そう、か・・・よかった・・・」



フッと力が抜け、その場に倒れてしまいそうになるのを何とか堪える・・・よかった、無事でいてくれたようだ。睦月の正しい判断のお陰だな・・・。



睦月「全て私の責任です・・・なので、罰はこの睦月だけにお与えください。」



提督「な、なにを言っているんだ睦月!君は正しい判断をしたんだ!誰一人沈めることなく帰ってこられたのは君のお陰だ。」



そうだ・・・もし睦月達が帰ってこなかったら・・・考えるだけで血の気が失せてしまう。次からは遠征のルートにも気を配る必要がありそうだ。



提督「逆に俺の方こそすまなかった、まさか遠征ルートに敵艦隊が出没するとは思っていなかった・・・今度からは念入りに調査をしてから遠征ルートを組むように努力させてもらう。」



それに、本当に謝らなければならないのは俺だ。元を正せば、彼女たちが危険な目に遭ったのは俺が組んだルートに欠陥があったのが原因なのだから。



睦月「・・・え?」



提督「だから、罰なんてものは必要ない。逆に、君たちには迷惑をかけてしまったお詫びをしたいくらいだ・・・よければ、午後の予定空けておいてくれないか?艦隊の皆にもつたえてもらえると助かる。」



折角だから、彼女達にも外の世界を見てもらおう・・・そこで色々な体験を積んでもらって辛い事ばかりだけじゃないって事を知ってもらいたい。



睦月「わ・・・かりました、みんなにも、伝えておきます。」



理解ができていないのか、しどろもどろといった様子ではあったがなんとか飲み込んでくれたようだ。



提督「ありがとう、じゃあ睦月もゆっくり休んでおいで。」ナデナデ



睦月「にゃ、にゃにゃにゃ!?///」



本当にちょうどいい場所に頭があったため無意識に頭を撫でてしまった・・・睦月も動揺しているのか変な言葉が出てきてしまっている。



提督「あっ、すまない・・・つい・・・」



睦月「い、いえいえ!大丈夫ですから!!///」



いや、絶対に大丈夫じゃない・・・なぜなら、睦月は顔を逸らしてこちらの顔を見ようともしてない・・・失敗したかな・・・。



落胆しながら、フォローを期待して朝潮のほうに顔を向ける



朝潮「・・・むぅ。」プクゥ



・・・どうやら朝潮も何かお気に召さないことがあったらしい。これは買い出しのスタートが怪しくなってきたな



睦月「では、失礼しました!!」バタン



提督「それで・・・どうしたんだ朝潮?」



朝潮「いえ・・・別になんでもありませんよ。」プイッ



全然なんでもないという顔ではない、不満という言葉をそのまま詰め込んだようにその頬はパンパンだ。



提督「そんなことはないだろう?ほら、教えてくれ。」



朝潮「・・・ですかぁ」



提督「な、なんだって?」



朝潮がボソッと何かを呟いたが、よく聞こえなかった・・・そんなにも言いにくいことなのだろうか?



朝潮「で、ですから・・・!折角司令官と二人きりででぇと?がしたかったのになんでほかの娘も呼んじゃうんですかぁ!」



提督「で・・・!?」



デートなんて言葉をどこで覚えてきたんだ・・・!?い、いや朝潮たちの年頃だと普通なのだが、どちらにせよやりにくい事に変わりはない。



提督「そのな朝潮、みんなでデートって事じゃダメか?」



取り敢えず、ダメもとで朝潮を諭してみる所から始めようと思う。















何とか朝潮の説得に成功した俺は、残りの書類を片付けてそのまま鎮守府の門前まで来ていた。軍服のままでは悪目立ちするだろうからと私服に着替えようかとも思ったが、少女たちを連れて歩くわけだからあまり意味がない気がしてやめた。それに、軍服のほうが通報される可能性が低くなりそうだしな。




提督(これからは食料は供給制にしてもらうための申請書も作成したし、充実した衣食住を安定させる為の用意も済んだ。あとは受理されるのを待つだけだな。)



時間潰しがてら、自分が達成した目標の事を考えていると鎮守府の方から元気な声が聞こえてきた。



朝潮「しれいかーん!!お待たせいたしましたー!!」タッタッタ



朝潮がこちらに走ってきているのがわかる、その後ろには俺が追加で呼んだ6人もいるようだ・・・よかった、みんな来てくれたんだな。



提督「皆、来てくれてありがとう。」



朝潮「いえいえ!私は司令官のお手伝いがしたいだけですから!」



睦月「む、睦月も提督のお手伝いがんばります!」



意外なことに、睦月が朝潮と並んでお手伝い宣言をしてくれた。先ほどまで俺の顔を見ようともしなかったのに・・・けれど、手伝ってくれようとする意思があるのはとてもありがたい。



提督「二人とも、ありがとう。」



如月「ふぅん・・・?睦月ちゃんが張り切ってる所を見るのは久しぶりねぇ~司令官とナニかあったのかしらぁ?」



俺と二人との間に如月が割り込んでくるようにして俺の前に立ち、間の抜けた声で・・・



如月「・・・」ニヤァ



提督「!?」



いや、違う・・・っ!この声は値踏みする声だ・・・答えを間違えると間違いなく今後の艦娘達の付き合いに支障が出る。今、俺にできることは



提督「・・・そんなことはないさ、睦月は俺がどうこう関係なく気が利く真面目で優秀な子だよ。」



如月から目を逸らさずに、決して偽りを述べずに睦月を擁護し自分の正当性を主張することだけだ。



如月「へぇ、へぇ~?そうなんだぁ、貴方は良い『司令官』なのね・・・うふふ、よろしくおねがいしまぁ~す♪」



なんてことだ・・・たったこれだけの短いやり取りで俺の正体に勘付いてしまったようだ、如月は朝潮・・・いや、それ以上の勘の持ち主かもしれない。如月のような小さな女の子から探られるという行為は心に来るものがある。



提督(迂闊だった・・・けれどこういう勘のいい娘を敵に回すよりも協力的な姿勢を見せて静観してもらうのが一番かもな)



少しでも前向きに物事を考えることにしようと考えていると



弥生「あ、あの!弥生もお手伝い頑張ります・・・ので・・・よろしくお願いします・・・」



と弥生が俺と如月の間を割るようにしてお手伝い宣言をしてくれた・・・どうやら、俺の為に無理をして如月のペースから引き戻そうとしてくれたようだ。



提督「ああ、ありがとう弥生。」ナデナデ



弥生「ん・・・っ」



二つの意味でお礼を言って頭を撫でる、正直アイツのせいで異性からの接触を極端に嫌っているものと思っていたが弥生や睦月は戸惑いはするものの拒絶するそぶりは見られないな・・・それに、心なしか喜んでくれている気さえする。



卯月「・・・っ」ビクッ



けれど、やはり卯月からは未だに警戒されているようだ・・・俺が弥生の頭に手を置いた時卯月からは確かな怯えと微かな敵意を感じた。

俺が弥生に暴力を加えるとでも思っているのだろうか、卯月に対しては積極的に接することができないな。



提督「卯月も来てくれたんだな、ありがとう。」



卯月「っ!?は、はい・・・弥生が行くなら、卯月もって・・・。」



とりあえずは身体的な接触はしないでおくことが賢明だと思い、頭は撫でずにお礼の言葉だけを述べておく。



皐月「ねーねー!司令官!ボク達もいること忘れてないよね?」



不意に、皐月が俺の軍服の袖を掴みパタパタと上下に振ってきた。



提督「おっと、勿論忘れてないよ。君と話すのは初めてだね、これからよろしく。」ナデナデ



この鎮守府で自らこんなにもスキンシップをしてくれた皐月の事が少し可愛く思えて、ついつい頭を撫でてしまった。



皐月「ん~ならいいよ♪よろしくね!」



それに反応も悪くはない、少し贅沢かもしれないけれど・・・いずれはこの鎮守府の全員とこんな風に気兼ねなくコミュニケーションが行えるようになればいいなと思った。



いや、違う。俺がこれからそうなるように頑張るんだ・・・皐月は着任してから日が浅いから上手く行ったんだ、もとからいる娘達を皐月基準にしてはいけない。けれど、皐月の純粋さに救われたのも事実だ。心の中で皐月にお礼を言ってから俺は現状に意識を戻す。



提督(皐月は大丈夫みたいだな・・・あとは望月だけだが・・・)



望月「ふぁ~、忘れられてたらそれはそれで帰って寝られるからいいけどね~。」



提督「はは、なら悪いけど忘れてないから一緒に街に来てもらおうかな。」



望月「ちぇっ、なら仕方ないかぁ。」



望月も、この鎮守府に来てから間もないためコミュニケーションをとるのは望月の個性を加味しても容易だろう。



提督「さ、そろそろ出発しよう。折角だし、大きなデパートがある街に行ってみようか。」



睦月「うぅ・・・初めての外出、少し緊張するなぁ」



如月「うふふ、そう?私は楽しみだけどねぇ~。」



睦月「如月ちゃんは凄いなぁ・・・でも、提督の為に睦月も頑張らないとっ」ボソッ



如月(聞こえてるけれど、あえて聞こえてないフリでもしてようかしら~)ニコニコ



弥生「街、か・・・ちょっと楽しみ。」



卯月「うーちゃんも、弥生と街に行くの楽しみぴょん!」ギュゥ



弥生「弥生もだよ・・・卯月。」ナデナデ



卯月「えへへ・・・。」



皐月「ワクワクするなぁ!街ってどんなところなんだろう?深海棲艦とかでてこないよね!」



望月「あんな壮絶な遠征後なのに元気だねぇー。出てきてたら今頃阿鼻叫喚の地獄絵図、なんのためのアタシ達かわからなくなるじゃん。」



皐月「ジョーダンだよジョーダン!ほらほら、望月!そんなつまんなそうな顔してないで手ぇ繋いでいこ!」ギュッ



望月「ちょっ!皐月!?」



皆それぞれが、それぞれの思いを胸に街へ行く前に話し始めた。どの娘の話を聞いてみても、街に行くのはとても楽しみだということがわかる。



提督(そうだ、食材の買い出しをする前にみんなで観光がてらに色々な場所でも見て回るか。)



携帯でこれから行く街への路線を調べるついでに、俺は観光スポットを捜し始めた












朝潮「わぁっ司令官司令官!見てください!景色がすごくきれいです!」



提督「ああ、そうだな。・・・見てごらん、あっちの方に海が見えるぞ。」



朝潮「ほ、本当ですか!?・・・わぁ、こうやって遠くから見る海はとてもきれいですね・・・。」



提督「そうだろう?君たちが守っている景色でもあるんだ、じっくり見ておくといい。」



興奮気味に窓に顔を付けて、外の景色をずっと眺め続けている朝潮は出会った時の中で一番活き活きとしていた。初めての外出で浮かれているのだろう、珍しい面を見せてもらえて俺も満足だ。



睦月「提督!提督!あそこに見える建物は何ですか?」



如月「私も気になるわ~、司令官教えて~。」



意外なことに、睦月も朝潮と同じくらい活き活きとしていた。そんな睦月に寄り添う如月も心なしか上機嫌に見える、二人ともこれからもこんな感じでいてほしいものだ。



提督「ああ、あれはデパートっていう様々な物を買うための場所だよ。これから俺たちが行くのもあそこだ。」



睦月「本当ですか!?楽しみです!!」



如月「睦月ちゃんったらさっきまで不安そうにしてたのに~、とぉんだ心変わりね?」



睦月「ちょっ、ちょっと如月ちゃん!提督の前でそれ言わないでよぉ~~!」



提督「・・・二人は仲がいいんだな。」



睦月と如月は姉妹艦とはいえ、性格自体はだいぶ違う。そんな二人がずっと一緒にいるのはとても波長が合うのかそれ以上に絆が強いのか・・・



如月「ええ、勿論よ。睦月ちゃんとは姉妹であり友達でもあるもの。」



先ほどまでの間延びした喋り方ではなく、真剣に睦月との関係をそういいきった如月の目はとても澄んでいて・・・睦月を守りたいという強い意志が感じられた。



提督(俺は如月の事を誤解していた・・・あの時は俺から睦月を守るために態々あんな態度をとったのかもしれない。俺の矛先を自分へと向けるために)



睦月「なんだか恥ずかしいなぁ・・・でも、そうだね。如月ちゃんは大切な妹で、大切なお友達。」



如月につづくように睦月も照れながら、しかし力強い声でそう言い切った。・・・なるほど、お互いがお互いの事を信頼し支え合ってあんなに過酷な環境をぼり超えてきたのか。



提督「そうか、わかった。・・・俺は君たちのその仲が続くように鎮守府の運営を頑張らないとな。」



如月「・・・期待してるわ、司令官。」



また如月が怪しく笑う、けれど彼女の本当の気持ちを知った俺は



提督「ああ、期待していてくれ・・・如月。」



如月の目を見て真正面から答えることができるようになっていた。



皐月「ねーねー!司令官、お買い物もいいけどさ。ボク、いろんなところ見て回りたいな~っ!外出なんて滅多にできないから今のうちに楽しみたいんだ!」



提督「勿論するつもりだぞ、ホラ。」



目をキラキラさせながら、金色の髪をピョコピョコと元気に揺らす皐月に俺はあらかじめスマホでピックアップしいておいた観光スポットの写真を見せる。



皐月「おぉぉぉ!ココいいね!眺めがよさそう!」



朝潮「えっ!?眺めがいいんですか!私にも見せてください!」



睦月「あ、睦月も気になる~っ!見せて見せて!」



如月「あら、私は夜景がきれいなところがいいわね。」



望月「夜景が見えるまで街にいたら、鎮守府のみんなが空腹で倒れちゃうけどね。」



皐月の声で、朝潮たちがスマホを囲むようにして集まってきた。・・・けれど、そこに弥生と卯月の姿が見えない。



周りを見渡してみると、二人は俺たちの席から少し離れた場所で二人でいるようだ。・・・きっと、弥生が卯月に気を遣って俺から距離のある場所を選んだのだろう。



今日の買い物で、卯月とも少しだけでもいいから距離を近づけられるように頑張ろう。そう心に誓ってから、和気藹々と喋る朝潮たちとの会話に加わった。




ー西希街ー



電車を降りれば、活気の溢れる街の風景が広がっていた。人々は笑顔で街を行き交い、寂れた鎮守府とは正反対な温かみに満ちていた。



朝潮「わぁ・・・っ!ここが街ですか・・・皆さん楽しそうですね!」



皐月「それはそうでしょ!だってこんなにも楽しそうなところがいっぱいあるんだからさ!」ピョンピョン



朝潮と皐月は年相応にはしゃいでいる、普通に考えれば外に出て遊びたいって思う年頃だよな・・・それなのに鎮守府という一つの檻に閉じ込めてしまっているというのはよくないのではないだろうか?



提督(・・・街から帰ったら、期間限定での外出許可の制度でも考えてみるか。)



如月「もぉ、司令官ったら折角街に来たっていうのにナニ考えてるのぉ~?」ギュゥ



提督「なっ!?き、如月!?なにを・・・っ!?」



少し考え事をしていると、如月の甘ったるい声とともに腕に柔らかい感触が・・・っ!?!?



如月「そんなに驚かないでよぉ、ただのスキンシップでしょ~?」ニコニコ



俺の初心な反応に満足したのか、如月はご機嫌だ・・・。



睦月「き、如月ちゃん!提督をからかっちゃダメだよ!もうっ!!」



如月「そんなに怒らないでよぉ~、睦月ちゃんの大好きな司令官にこんなことしたのは悪かったとは思うけどねぇ~?」



睦月「はにゃにゃ!?!?///」



如月のからかいを止めに入った睦月だが、如月のからかいテクのほうが上だったようで直ぐに睦月は押し黙ってしまった・・・余程くやしいのかその顔は真っ赤だった。



提督「コラコラ、如月。あることないこというもんじゃないぞ、睦月が俺の事を好きだなんてあるわけないじゃないか。」



少し睦月が可哀想に思えた俺は、助け船を出してやる。これから一緒に街を回るのに、いざこざがあっては皆が楽しくないだろう。



睦月「えっ・・・?」



如月「・・・あらあら」



望月「あぁ~、司令官・・・それはないわ。」



・・・あれ?なんだこの空気、空気を和らげるはずが逆に居心地の悪い感じになったぞ・・・?



提督「ど、どうしたんだよ急に・・・」



如月「はぁ・・・司令官、アナタってほんと~~~に鈍いのねぇ。」



睦月「そんな・・・睦月、もっと頑張って提督のお役に立たないと・・・」ブツブツ



望月「よしよし、睦月。大丈夫だ~、睦月が悪いんじゃなくて鈍感なあの人が悪いんだからね~。」ナデナデ



なんだその目は・・・まさか、本当に睦月が俺に好意を抱いているとでもいいたいのか?馬鹿な、俺はまだ彼女たちの信頼を得られる程なにかをしたつもりはないぞ・・・またからかわれているのだろうか?



提督「わ、わかったよ・・・ごめんな睦月。その気持ち、ありがたく受け取るよ。」ナデナデ



ならばこの場は便乗して穏便に済ませよう、こうしたほうが幾分かはマシだ。



睦月「て、提督・・・恥ずかしいですよぉ///」カァァァ



・・・どうにか機嫌を直してくれたようだ。でも、俺が撫でることで機嫌が直るということは・・・もしかして・・・



提督(いや・・・ないよな、とりあえず睦月たちは大丈夫みたいだし、どうにかして卯月達とコミュニケーションをとりたいな。)



如月「言ってみるものねぇ~よかったじゃない睦月ちゃん?」



望月「ホントに睦月ってわっかりやすいよね~このこの~」ツンツン



睦月「ふにゅぅ~///」



再び赤面した睦月をからかうように、如月と望月が動いたところで俺は後ろで固まっている弥生と卯月の方へと近づいた。



提督「二人はどうだ?街を見てみて」



弥生「いえ・・・その、少しびっくりしました。世界にはこんなに明るい場所もあるんだって。」



卯月「・・・みんな、笑ってます。なにが楽しいんだろう・・・?」ギュッ



・・・思った以上に深刻だった、ほかの五人とのテンションの落差に戸惑いを覚えるがなんとか飲み込んで会話を続ける。



提督「そう、だな。世界はあの鎮守府だけがすべてじゃない。・・・君たちはもっといろんなところに行くべきなんだ。そして、できることならば俺は・・・君たちが笑顔で帰ってこられるような鎮守府を作りたいと思っているよ。」



弥生「・・・そう、ですか。」



俺の言葉を聞いても、弥生の表情には変化が見られなかった・・・それもそうか、急にこんな事言われたって困るだけに決まっている。



提督「ああ、そうだ。」



だから、俺もあえてそれ以上深くは言わない。これから態度で表していけばいいだけの事だからだ。



提督「・・・そうそう、卯月。なんで、この人たちが楽しそうに笑っているのかが知りたいんだよな?」



卯月「は、はい・・・。」



警戒されないように少しだけかがんで、目を合わせて話そうとしたが卯月が俺から視線を話してしまうために上手くはいかなかった・・・けれど、会話はできているので問題はない。



提督「答えるのは簡単だけど、きっと卯月達自身が体験した方がわかりやすいと思う。・・・だから、一緒に行こう。」



卯月は俺の言葉を聞いてから、しどろもどろになりながらも



卯月「わか、わかりました・・・よろしく、お願いします」ペコリ



と、返事を返してくれた。



提督(・・・絶対に、楽しませてやるからな。)



俺は、再び西希街の観光スポットを吟味し始めた。



提督(やっぱり最初は公園とかのほうがいいか、どうせあとでショッピングモールに行くつもりだから店を回るよりはマシだろう。)



丁度、この西希街には観光スポットに指定されている公園もある。自然に触れることで、少しでも心にゆとりができてくれるといいが・・・



弥生「あ、あの・・・っ司令官。」



提督「ん?どうかしたか、弥生。」



考え事をしていると、おずおずといった風に弥生が話しかけてきた。・・・それにしても、弥生から話しかけてくれるとは珍しいな。



弥生「えっ?あ、そ、その・・・ソレはなにか気になって・・・。」



なんだ、スマートフォンに興味を持ったのか。いや、それでも話しかけてくれたのは素直に嬉しい。少し上機嫌になりながら、返事をする。



提督「あぁ、これ?これはスマートフォンっていってな電話してり、こうやって調べものができる便利なものなんだ。」



折角だから、弥生の意見を聞いてみようと思った俺はかがんで弥生にもスマホの画面が見えるようにした。



提督「こんなかんじにね、どう?今からここに行きたいと思うんだけど。」



弥生「・・・いい、ですね。とても綺麗です。」



なんだろう、少しだけ弥生の言葉が詰まった気がしたが・・・綺麗といったその言葉に偽りは感じなかった。



提督「・・・だろう?」



だから俺も聞かない。彼女が言わなかったのは、まだ俺に心を開けれていないからだ。彼女の言いよどんだ理由は、いつか自分から言ってくれるまで待つとしよう。



提督「じゃあみんな、行先が決まったからついてきてくれ。」



朝潮「はい!わかりました!」



朝潮が元気に返事したのを皮切りに、俺たちは目的地である公園に向けて歩き始めた。



~西希公園~



公園は、繁華街と比べても遜色がない程多くの人々でにぎわっていた。



提督「・・・意外と人が多いな。」



今、こうしてこのようなところに足を運んだはいいものの・・・そういえば自分たちがものすごく目立つ一行だと言うことを思い出した・・・



提督(皆不思議そうにこっちを眺めているなぁ・・・そりゃあそうか、軍服をきた大の大人が可愛らしい女の子をたくさん連れて歩いているんだから・・・。)



今になって自分の失敗を悔やむが、来てしまったものは仕方がない。割り切って彼女たちとの時間を楽しもう。



睦月「如月ちゃんみて!小さな海があるよ~!」



如月「あらあら~、睦月ちゃん?これは池っていって海とは違うのよ~?」



睦月「そうなの!?ふみゅぅ・・・恥ずかしいですぅ・・・///」カァァ



皐月「あっはは~まっかっかだ~!」ツンツン



如月「睦月ちゃんかわい~。」クスクス



睦月「も、もう!からかわないで!」



望月「いやぁ~、こういうところで寝られたら気持ちいいんだろうなぁ~。」



弥生「望月は、寝る事ばかり・・・だね。」



望月「そりゃあそうだよ~、睡眠っていうのはあたしからいわせりゃ食うより大切なことだからねぇ。」



弥生「ふふっ・・・なにそれ」クスッ



望月「・・・なんだ、笑えんじゃん。」ボソッ



弥生「?なにか、言った?」



望月「べっつに~・・・ふあぁ・・・眠い。」



卯月「寝ちゃダメだよ?」



望月「はいはいわかってますよ~。」スゥスゥ



卯月「わかってないぴょん!」



提督(・・・皆それぞれ楽しんでくれているみたいだな、っと・・・そういえば。)



俺はもう一度スマホをとりだし、西希公園の口コミを見てみる。



提督(この公園では、池の近くで出店を出しているクレープ屋があるみたいだな・・・それにとても美味いと評判か。)



振り返って、みんなの方を見る。先ほどの様子から特に変わらず和気藹々としている・・・少し抜けても大丈夫か?



提督(よし、行ってみるか・・・。)



暫くの間、俺が居なくても特に問題がないと判断した俺は少し先にあるクレープの出店にこっそりと足を進めようとすると



朝潮「司令官・・・何処へいかれるのですか?」ギュッ



提督「あっ、朝潮・・・?」



そういえば、さっきの集まりに朝潮はいなかった・・・ずっと隣にいたのか・・・。朝潮は不安そうな顔で、俺の服の裾をぎゅっと握って俺の歩みを止めていた。



提督「いや、皆の為にあそこのクレープ屋でクレープでも買って驚かせようと思ってな。」



言い訳臭くなってしまったが、朝潮はどちらかというとクレープの方が気になったようで



朝潮「くれーぷ?とは何ですか?」



と、聞いてきた。よしよし・・・なんとか不安を払拭できたようだ。



提督「クレープっていうのは、甘くておいしい食べ物なんだよ。ほら、あそこに出店があるだろ?」



朝潮「あ、本当ですね・・・スンスン・・・ほんのりと甘いにおいが漂っています!」キラキラ



提督「だろう?だから、皆には内緒で買ってきてあげようと思ってな。」



俺の言葉を聞いた瞬間、朝潮は目が輝いた。やっぱり、女の子は甘いものが大好きなんだな・・・本当ならクレープぐらい普通に食べていたはずなのに。



提督(・・・だめだ、もう考えるな。今はこれからの事だけを考えろ。)



俺はふぅっと息を吐くと、少し興奮気味な朝潮に目をむける。



朝潮「いいんですか!?」



提督「ああ、勿論だ。・・・じゃあ、買ってくるからみんなの事よろしく頼む。」



朝潮「はいっ!お任せください!」



朝潮にみんなの事を見ておくように言っておいたし、心配事は減ったな。



提督(かといってゆっくりしていても不安だし、さっさと買いに行くか。)



そう考えた俺は、駆け足で出店へと向かった。














卯月「・・・」



本当に、わからない・・・司令官の事がわからない。なんで急にこんなに優しくなったのか、暴力を振るわなくなったのか・・・うーちゃんたちと笑顔で話してくれるのか。



心変わりとは到底思えない、それに心変わりだとしてもあまりにも急すぎる・・・原因はなんだろう。



弥生「ふぁ・・・弥生も、少し、眠たくなってきた・・・かも。」



望月「でしょ~?弥生も一緒にねちゃおうよ~。」



皐月「えぇ~!つまんないよ!そんなところで横になってないでボクとかけっこしよ~よ~!」ピョンピョン



睦月「はぁ・・・はぁ・・・な、なんでそんなに元気なのぉ・・・?」



如月「はぁ、はぁ、と、年のせいかしら・・・体が重いわ・・・。」



朝潮「くれーぷ♪くれーぷ♪司令官とくれーぷ♪」



・・・でも、確実に言えるのは司令官の様子がおかしくなってからみんなの笑顔が増えたということだ。



昔の鎮守府では、こんな事絶対にありえなかった。あの司令官がいるだけで、嫌な気持ちになる・・・



卯月(っ・・・!?)



あ、そうだ。絶対にありえなかったんだ・・・でも、今は皆笑っているし・・・うーちゃんだって暴力はうけてない・・・司令官が改心するような大きな出来事もなかった・・・じゃあ、もしかして、もしかすると・・・



卯月「今の司令官と前の司令官は・・・別人?」



突飛な話だけれど・・・司令官の変わりようを見ればありえない話でもない。



行動もおかしかったし、最初卯月達と会った時も自分勝手に決めていたスケジュールを卯月達に聞いていた・・・。



考えれば考えるほど、疑問が解消されていく。



「あっ・・・・!コロ!待って!!!」



不意に聞こえてきた大声に、私の思考が中断された。



少女「う・・・うあぁ・・・ひぐっ・・・」ボロボロ



私の目の前で、小さな女の子が涙を流して泣いてる・・・何かあったのかな?



卯月「あ、あの・・・。」



少女「うっ・・・お、お姉ちゃん・・・だぁれ?ぐすっ・・・」



気になって声をかけるけど、声をかけてからどうすればいいかわからない・・・。とりあえず、なんで泣いてるのかをきけばいいのかな?



卯月「あ、あのね・・・な、なんで泣いているの?うーちゃんに教えてほしいっぴょん。」



とてもぎこちないけれど、なんとか聞きたいことがきけた・・・多分、昔の卯月なら話しかける事すらできなかっただろうなぁ・・・



少女「私の子犬のコロがね・・・逃げちゃったの・・・手を離したら、急に走り出しちゃって・・・」



どうやら、この女の子はコロという名前の子犬に逃げられて泣いていたようだ・・・



卯月(・・・逃げるってことは、この女の子の事が嫌いだったからかな?)



だったら、卯月はその子犬の気持ちがよくわかる。卯月だって司令官から逃げ出したかったから・・・けれど、卯月はよわかったから逃げられなかった。



そう考えると、少しだけ・・・ほんの少しだけ子犬の勇気が羨ましくなった。



卯月(なら、私は手を出さないほうがいいかも・・・)



そう思って、私は女の子に声を掛けようと口を開こうとすると・・・



少女「コロ・・・ごめんね、ごめんね・・・。」



卯月「っ!」



今度はごめんねと言いながら、また涙を流し始めてしまった・・・どうして?



卯月「・・・な、ならうーちゃんも手伝ってあげるっぴょん。だから、泣かないで?」



気付くと私は、自分が言おうと思っていた内容と真逆の事を言っていた。



・・・なんで、この子の謝っている姿が・・・



『ごめんなさい・・・ごめんなさいごめんなさい・・・っ!!』



自分の姿と被ってしまったのだろう・・・?



少女「ほ、本当!?ありがとう、お姉ちゃん!」



女の子は泣きはらして、少し赤くなった眼をこすりながら卯月を見つめて来た。・・・面倒なことになっちゃったな。



卯月「う、うん。じゃあ、一緒に探そうか。」



でも、言ってしまったものは仕方ない。早く探して、ここに戻ってくれば問題は無い筈・・・。



女の子と手を繋いで、私は少女が指し示す方向にゆっくりと歩いて行った。














少女「あっ、コロ!!コローっ!!」ダキッ



コロ「ワンッ!」



卯月「よかったね、コロ見つかって。」



結果から言うと、コロは見つかった。どうも、他の人が連れていた犬に反応してそのまま遊んでしまっていたらしい。



卯月(なんだ、この子が嫌いで逃げたわけじゃなかったんだ。)



それなら、なんの罪悪感も感じない・・・むしろ、こうして出会わせてあげられた事に安堵した。



少女「お姉ちゃん!本当にありがとう!また会おうね!」タッタッタ



嬉しそうにお礼を言いながら走っていく少女に、私は軽く手を振って答える。



卯月「・・・戻らないと。」



私は来た道を引き返そうと辺りを見渡す・・・けど



卯月「あれ・・・?」



卯月は今どこにいるかわからなくなってしまっていた



卯月「っ・・・どうしよう、どうしよう・・・!」



このまま闇雲に走り回ったところで到底見つけられるとは思わない、けれどここに居ても見つけてもらえる保証はない。



先ほどまでの安心感がウソのように霧散した私は、ただ茫然と立ち尽くす事しかできなかった。














提督「・・・みんな喜んでくれるかな。」



人数分のクレープが入った袋を片手に、俺は急いでみんなの下に向かっていた。



提督(一気に7人分も買ったから一個オマケしてもらったし、どこか眺めがいい所で食べられたらいいなぁ。)



なんて考えながら、走っていると・・・



弥生「はぁ、はぁ・・・!し、司令官!!」



普段とは違い冷静さが感じられない弥生が、俺の方に向かって走ってきた。



提督「・・・何かあったのか?」



余りの焦り様に、思わず身が強張る。一体、俺が居ない間に何が・・・



弥生「卯月が・・・!卯月が見つからなくて・・・っ!」



提督「・・・なっ!!」



何というコトだ・・・よりによって俺が目を離した隙に居なくなってしまうなんて・・・っ!まさか・・・、俺が居なかったからあえていなくなったのか?



提督(いや、おそらくそれは無いな。逃げ出すのなら、弥生と一緒に逃げるはずだ・・・だとしたら・・・誘拐か!?)



最悪の考えが頭によぎると同時に、俺は口を開きながら走り始めた。



提督「弥生、俺が卯月を捜してくる!弥生たちはここでみんなで固まって待っていてくれ!!」タッタッタ



弥生「や、弥生も一緒に捜します!」



提督「その気持ちはわからなくもないが、君たちはこの場所に慣れていないから迷ってしまうかもしれない・・・!すまないが、待っていてくれ!」



少し強めに言ってしまったが、こうでもいわないと今の弥生には通じないだろう。



提督(くっ・・・無事でいてくれよ・・・!!)



緊張で足が竦むけど、力を入れて全力で走る。辺りを見渡してみても人通りが多いため探すのにも精神と体力が擦り減る・・・どこだ・・・何処にいる・・・!



しばらく走り続けると、少し先の木の下で蹲っている卯月の姿を発見することができた。



提督「卯月・・・!無事か!」



急いで駆け寄り、声をかけると・・・卯月がばっと顔を上げ、俺の顔を驚いた表情で



卯月「しれい・・・かん?」



と呼んだ・・・呼んでくれた。



提督「よかった・・・無事でいてくれて本当によかった・・・。」ギュゥ



もう、距離感や関係は気にならなかった・・・心の底から安心した俺は気付けば卯月の事を抱きしめてしまった・・・。



卯月「あぁ・・・うぅ・・・しれぇぇかぁぁん・・・!!!」ボロボロ



それとほぼ同時に卯月が大粒の涙を零しながら、泣いた。本当に、年相応に、顔を精一杯歪ませて。



提督「・・・」ナデナデ



どれだけ不安だったのか、それだけでもわかるけれど・・・きっとそれだけじゃない。俺という不安要素が長時間近くにいて、いつもと違うことをさせられたんだ、そんなストレスを彼女はその小さな体一つで背負っていたと考えると居た堪れない。



提督(・・・仕方ない、卯月の不安が少しでも晴れるように・・・俺の正体を明かそう。)



数分後、落ち着いた卯月に俺は自分の事をポツリポツリと話し始めた。



提督「実は・・・俺は、本当の君たちの提督じゃないんだ。」



卯月「・・・ほんとうに、そうだったんですね」



まだ目元が赤い卯月は、あまり驚かずに俺の話を受け止めていた。この鎮守府の娘達に秘密を打ち明けてもみんなこんな感じの反応をしてくる・・・ここまできたら隠す意味を感じなくなってきた。



提督「卯月にもばれてたかな?ははっ、俺にはこういうの向いてないのかも・・・ごめんな。」



思わず卯月に対して愚痴をこぼしてしまった



卯月「っ!?そんな事ないぴょん!!卯月だってさっきまでわからなかったぴょん!だ、だから司令官が謝る必要ないぴょん!!」



すると、卯月は過剰なまでに俺に気を遣ってくれた・・・やはり、俺がアイツでないことを打ち明けたことで卯月との心の距離はだいぶ近づけたようだ。・・・けれど。



卯月「それに、司令官はこんな卯月にも優しくしてくれた・・・弥生にもヒドイ事しないし、おいしいごはんもお休みだってくれたっぴょん!!だからそんな事言わないでください!!」



流石に、信用が過剰すぎる。それこそ、最初は怖がって出さなかった口癖を言うほどに。



提督「・・・ありがとう、卯月。こんな偽物の俺だけど君たちの幸せに少しでも貢献できるように頑張るよ。」



卯月「司令官は偽物じゃないぴょん・・・司令官は卯月にとっての本物の司令官だから」ギュゥ



だけど、これで関係が良好になるのなら敢えて俺は何も言わない。それが最善だとしよう。



提督「やっぱり、そのぴょんっていうの・・・可愛いね。」ギュゥ



卯月が優しく抱きしめてくれたから、俺も優しく抱きしめ返した。



卯月「えへへ・・・うれしいぴょん。」



でも、俺は気付かなかった・・・卯月の信頼が歪な形になってしまっていることに・・・。
















提督「・・・なるほど、卯月はその子の子犬を探す為にあの場所から離れたのか。」



卯月「うん、うーちゃんの目の前で泣いてて可哀想だなって思ったから・・・。」



数分経って、卯月が落ち着いた頃に俺たちは皆が待っている場所まで歩き始めていた。途中、卯月が「しれーかん、てぇ繋いで?」と甘えてきてくれたので俺たちは手を繋ぎながら会話をしている。



提督「そうか、卯月は人助けをしたんだな・・・いい子だね」ナデナデ



卯月「えへへ・・・っ」ギュゥ



俺が頭を撫でると、卯月は満更でもないという風に頬を赤らめて更にぎゅっと俺の手を握り返してくれた・・・こういう何気ない仕草の一つ一つからも卯月がどれだけ俺を信用してくれたかが伝わってきてとても嬉しい。



暫くの間、卯月と何気ない会話を交わしながら歩いているとみんなが待っている場所が見えてきた。所在なさげに俯いていた艦娘達もこちらに気づいたようで



弥生「っ!卯月・・・っ!」タッタッタ



俺たち、というより卯月の姿が見えたためか弥生が息を切らしながら走ってくる。



提督「卯月、行ってやりなさい。」



卯月「あっ・・・、うんっ」



卯月の手をそっと放して、弥生の方へ行くように促す。卯月は少しだけ切なげに声を漏らした後、弥生の方に向かって駆けだしていった。



弥生「卯月・・・っ!卯月!」ギュ



卯月「弥生、心配させてごめんね・・・うーちゃんは無事だよ。」ギュゥ



弥生と卯月はお互いに抱擁を交わし、無事を確認している。弥生は卯月の無事を確認すると、やっと落ち着きを取り戻し安堵で胸をなでおろしていた。卯月も、柔らかい笑顔を弥生に向けている。



朝潮「司令官・・・申し訳、ございません・・・」



・・・こっちもこっちで色々と思い詰めていたようだ。申し訳ないことをしてしまった。



提督「いいんだ、こっちこそ任せっきりにしてすまなかった。」ナデナデ



朝潮「うぅ・・・しれぇぇかぁぁぁん・・・!」ギュゥ



如月「もう、司令官ったら本当に女の子を泣かせるのが上手ねぇ~?」



朝潮の後ろから如月がゆっくりと歩いてきながら、俺をチクチクと攻めてくる。・・・今回に関しては言い返せない。



提督「面目ない、その・・・睦月も。」



睦月「卯月ちゃんも提督も無事で本当によかったですっ・・・」



提督「ああ、この通り何の問題もないよ。心配を掛けさせてしまったな。」



睦月「はい・・・はいっ。」ギュ



皐月「あ~、ズルいズルーい!ボクも司令官と卯月の事心配してたんだからねー!?」ギュッ



朝潮と睦月とは違い、至って元気な声で皐月は俺に飛びついてきた・・・この様子なら皐月は大丈夫だろう。



なんて事を考えていると、不意に望月がゆったりとした声を俺に投げかけてきた。



望月「あの~、こんな感動的な場面で言うのもどうかと思ったんだけど・・・」



提督「どうしたんだ、望月?」



話を振ってきた当の本人が少し言いにくそうにしているので、一押しするべく問いかけを返すと・・・



望月「・・・司令官が買いに行ったくれーぷ、どこにあるの?」



提督「・・・あっ!?」



わ、忘れていた!!!卯月の事で頭がいっぱいでどこかに置いてきてしまったようだ・・・



朝潮「司令官・・・くれーぷ・・・」シュン



・・・このままでは折角治り始めていた雰囲気が台無しになってしまう。



提督「多分、まだあそこに置いてあるから取ってくるから待ってて!」



俺は再び、皆に背を向けて例の場所まで走った。・・・走ったのだが。



提督「・・・」



目の前の光景に、俺は言葉を発することができなかった。



犬「アグアグアグアグ」ガツガツ



飼い主「ちょっとティンダロス!?食べるのやめなさいったら!もうっ!」



提督(犬って甘いモノ大好きって聞くもんな、それが目の前に転がってちゃそりゃあ食べるか・・・。)



肩を落としながら、俺はクレープ屋に向かってまた人数分買いなおした。店員さんは「軍人さんは甘いものが好きだねぇ~、ほら、もう一個おまけしといたげる。」と上機嫌に言ってくれたが・・・



提督「え、ええ・・・疲れをとるにはやはり甘いものですよねぇ~あはは・・・。」



言えないよなぁ、ほったらかした挙句犬に食われただなんて・・・。



余談だが、皆クレープを大層気に入った様子で皐月に至ってはお変わりまで要求された・・・これ以上買いに行くのは勘弁してほしいので我慢してもらったが代わりにデパートでお菓子を買ってあげることにした。



そのデパートでも、特に変わった出来事は無かった・・・というより、皆の雰囲気が出発前よりも明るくなっていた。



卯月「しれーかん!アレ、気になるっぴょん!」



提督「お、服か。どれどれ・・・」



多分、卯月が明るくなることで気が緩まったからなのだろう・・・そう考えると、自分の判断は間違っていなかったと思える。



提督(しかし、可愛らしい服だな・・・記念だし、買ってあげても・・・)



と、値段の書いてるプレートを見てみるとそこには・・・



提督(きゅ、九千八百円・・・だと!?食費と競るほど高い・・・最近の女の子向けの服はこんなにも値の張る代物なのか・・・)



あまりの衝撃に、動揺していまう・・・



卯月「ね、ねぇ?しれーかん?どうしたの、俯いて・・・うーちゃん、なにか悪い事・・・言っちゃった?」ウルウル



そんな俺の様子を見てか、卯月が目元に涙を溜めている・・・仕方がない、俺も男だ・・・それぐらいの甲斐性は見せてやるさ。



提督「い、いやそんなことは無いぞ・・・よし、買い物にも付き合ってくれたしなプレゼントだ。」ナデナデ



卯月「っ!!!いいの!?ありがとう・・・しれーかん!」ギュッ



・・・でも、お金なんかより大切なものもあるからな。これで良しとしよう。



皐月「むぅ~、なんだか司令官卯月にだけ甘いよねぇ~?」プクー



睦月「提督からのプレゼントいいな・・・。」ボソッ



如月「あ、司令官?私たちも買い物手伝ったんですしご褒美ぐらい用意してくれてもいいんじゃないかしら~?」



望月「あ、アタシは枕でいいよ~あそこに売ってる低反発?ってやつが気になってるから~」



弥生「弥生は大丈夫です・・・卯月の笑顔が見られたので、それで。」



朝潮「あ、私も司令官とくれーぷが食べられたのでそれで構いませんよ!」



提督「勿論さ、皆手伝ってくれて感謝している、好きなものを持ってくるといい。・・・弥生と朝潮もそういわず、なにか持っておいで。」



・・・そう、お金より・・・大切なものも・・・あるのさ・・・。これで、いいんだよな・・・?



すっかり薄くなった財布を握りしめながら、物選びに勤しんでいる皆をしり目に今後の資金運用について考え始めた・・・。
















買い物を終え、鎮守府に戻るころにはもうすっかり日が傾いてきてしまった。そんな中、疲れて眠るみんなと共に電車に揺られながら鎮守府を目指す。



提督(今日は、いろんなことがあったな・・・この二日間だけでいろんな体験ができた。)



意外と、俺の順応能力は高いようで最初の頃に比べれば口調も態度も少しづつではあるが冷静を装える程度にはなってきていると思う。



卯月「すぅ・・・すぅ・・・」



提督「・・・」ナデ



でも、まだまだだな・・・心の方は未だ複雑に荒れている。こんなにも純粋な彼女たちが、とか、俺が人を殺してしまったことに対する負い目だとかを考えている間きっと俺の心は休まらないだろう。



本当の意味で、彼女たちを幸せにする為には俺の献身だけではきっと足りない。彼女たち自身が幸せになりたいという想いが必要だ、これからもこうやって積極的にみんなとコミュニケーションをとるのはいいかもしれないな。



弥生「・・・あの、司令官。」



不意に、横から弥生の声が聞こえた。・・・窓から差す茜色が影になって弥生を照らしている。整った彼女の風貌とそんな幻想的な光景に俺は少しだけ見入ってしまった。



提督「なんだ、弥生起きていたのか。」



けれど、すぐに返事を返してそんな考えを振り切る。



弥生「はい、卯月の事・・・それと、司令官の事が気になって・・・。」



・・・弥生も、きっと今日の事で思うことがたくさんあったのだろう。言葉は途切れ途切れだが、その眼には強い意志が宿っている。



提督「そうか、聞きたいことがあるなら遠慮なく聞いてくれ・・・できる限りは答えるよ。」



弥生「ありがとうございます・・・では、率直に聞かせてもらいます。」



この先の言葉はもうわかりきっている、卯月にも伝えた事だから遅かれ早かれ弥生には言うつもりではあった。



弥生「司令官は、司令官ではない。・・・いえ、元の司令官とは違う方。間違いありませんね?」



提督「ああ、その通りだ。間違いない。」



正確に、容赦なく事実を言い切る当たり弥生は本当は大胆な子かもしれないな・・・新しい一面が見れた。そんな風に考えれるほど俺の心は冷静だった。



弥生「・・・そう、ですか。だから、卯月も司令官に心を開いたのかもしれませんね。」



提督「弥生がそう言ってくれるなら、少し救われるよ。最初は卯月を怖がらせてしまったからなぁ・・・。」



弥生「ふふっ、そんなこともありましたね。」クスッ



提督「おいおい、こっちは色々と必死だったんだぞ・・・?ははっ。」



おかしそうにクスリと笑みをこぼす弥生につられて、思わず俺も少し笑ってしまう。意外にも、こんなに早く気兼ねのない会話ができるだなんて夢にも思っていなかった。



提督「・・・けど、未だに俺は危ない橋を渡っていることに変わりはない。できれば、俺は俺なりに君たちの幸せを支援していきたいと思っている。・・・だから、今は俺が別人だということには目を瞑っていてほしい。」



だからこそ、今のいい流れをここで崩すわけにはいかない。



弥生「わかっています・・・司令官からお願いされなくても、言うつもりはありませんでした。」



答えは意外にすんなりと帰ってきた、得体のしれない男に鎮守府を預けることに抵抗は感じないのだろうか・・・



提督「それは・・・何故?」



そう思い、弥生に理由を聞いてみる・・・すると、弥生は卯月の頭をゆっくりと撫でながら



弥生「弥生も、卯月も司令官に感謝しているからです・・・今の生活が幸せなのは司令官のお陰ですから。」



と屈託のない顔ではにかんだ。



電車は進む、俺たちの鎮守府を目指して進んでいく。もはや、俺たちの間に会話は無かった。それでも不思議と居心地の悪くない、そんな時間だ。たった数時間、そしてこの数分間。けれど互いの信頼を勝ち得るには十分な時間と過程となった事実に変わりはない。



今一度、気を引き締めよう。俺の考えに同意を示してくれる少女が、隣にいてくれるのだから・・・。



~鎮守府 食堂~



間宮「お疲れ様です!皆さんのおかげでしばらくは安泰ですね♪」



上機嫌に食材を食糧庫へと詰めていく間宮さんからの労いの言葉を背中で受けながら、俺は息を吐いた。



提督「ふぅ、それはよかったです。朝潮たちのお陰で結構買い込めましたからね、業者さんから運んでもらえるように話がつく頃までは持つと思います・・・よっと。」



間宮さんの隣に立って、食材入れの手伝いをしようと椅子から立ち上がった途端



睦月「じゃあ・・・もう提督とお出かけはできないんですか・・・?」ギュッ



睦月が俺の服の袖をぎゅっと握りながら、悲しげな声でそう聞いてきた・・・しまった、誤解を招くような言い方になってしまったかな



また俺と一緒に出掛けたいと言ってくれた事実に少し感動しながら、俺は睦月の不安を取り払うために口を開く。



提督「そんなことはないよ、公的な買い物は業者さんに任せることになる。けど、休日とか暇な時があれば一緒に遊びに行こう。」ナデナデ



睦月「っ!はいっ!ありがとうございます・・・っ」パァァ



提督「はは、嬉しいよ。そんなに喜んでもらえるなんて・・・こちらこそ、ありがとう。」



睦月「も、もう!もうもう!提督、どれだけ睦月の事を・・・っ!!///」ボソボソ



如月「はいはい、そういうのは本人にも聞こえるようにいうのよ~?」



睦月「にゃっ!?き、如月ちゃんっびっくりしたぁ・・・」



俯いた睦月の後ろから、ひょこっと出てきた如月がなにやらボソボソと睦月に呟いた。



提督「如月も、ありがとうな。」



如月「ん?あ~、気にしないで?睦月ちゃんが楽しそうだったしぃ、私も楽しかったから~また連れて行ってくださいねぇ?ふふ~」



如月はパッと睦月から体を離すとクスクスと笑った・・・思えば、如月にも正体がばれてからトゲをあまり感じなくなった気がする。幾分かは心を許してもらえたのだろうか。



皐月「ねぇねぇ、司令官!ボクも楽しかったよ!」ダキッ



提督「おっとと・・・そっか、皐月も楽しんでくれたのか。」ナデナデ



如月と話していると不意に横から皐月に抱き着かれる。少し癖っ毛な頭を撫でると、皐月は気持ちよさそうに身を捩った・・・可愛い。



皐月「う~、司令官はボクのコト大切にしてくれるから好きだよ。・・・今日はあまりお話しできなかったけど、次は二人っきりで遊ぼうね!」ギュゥゥ



確かに、言われてみればそうだった。卯月達の事で頭がいっぱいで皐月とはあまり話せていなかった・・・きっと皐月の方も気を利かしてくれたのだろう、だから卯月の問題を解決することができた。



提督「ああ、そうだな。次は二人っきりで遊ぼうか。」



皐月「ホントっ!?やったー!司令官大好きぃ!」ギュゥ



提督「ありがとう、皐月・・・うおっ!?」ドンッ



子供らしく喜んでくれる皐月を微笑ましく見ていると、今度は突然後ろから強い衝撃を感じた・・・衝撃の元凶を探るべく後ろを振り向くと・・・



卯月「皐月だけ・・・ズルイっぴょん・・・」ギュゥ



意外、その言葉に尽きるが・・・俺に抱き着いてきたのは頬を膨らました卯月だった。



提督「卯月・・・そうだな、折角遊ぶならみんなで遊ぼう。皐月もそれでいいか?」ナデナデ



両手で二人の頭をそれぞれ撫でてやる、皐月は気持ちがよさそうに目を細め、卯月は少しだけ不満気そうだが撫でられることに抵抗は感じていないようだ。



皐月「まぁ司令官がそうしたいならボクは全然オッケーだよ~」ギュー



卯月「うーちゃんはしれーかんと二人きりが・・・でも、しれーかんが言うならそれでも・・・」ギュゥゥ



弥生「・・・」



電車の中ではかもしれないと言葉を濁していた弥生もそれを微笑ましい目で見ているし、心を許してもらったと考えて間違いはないだろう。



如月「はいはいごめんなさいね~!ちょっと開けてもらうわよ~」グイグイ



睦月「わわっ!?如月ちゃん!」



皐月「うわわっと!どうしたの急に?」



如月「睦月ちゃんが司令官に撫でてもらいたいって言ってるからぁ、少しだけ譲ってあげてね?」



睦月「はにゃぁ!?///そ、そんな事言ってないにゃしぃ!」



そういえば、睦月ともあまりコミュニケーションをとることができていなかったな・・・明るいし、近くには如月もいるから安心だと踏んでいたが、不平が生まれるのは快くはないな。



提督「そうか、おいで睦月。」



睦月「っ///は、はい・・・その、よろしくお願いします。」



赤面しながらもこちらに頭を向けてきた睦月の頭を軽く撫でてやる、恥ずかしそうに身を震わせているのが少し可愛らしく感じる。



睦月「~♪」



如月「よかったわねぇ~睦月ちゃん。」ニコニコ



卯月「・・・むぅ」プクゥ



弥生「卯月・・・司令官は、皆の司令官だから・・・我慢、だよ。」ナデナデ



伊良子「わぁ、随分と賑やかですね。」



その後、食堂に戻ってきた伊良子さんも加わりより一層賑やかさが増した。














望月「ふぃ~、疲れた・・・しばらく働きたくないなぁ。」



荷物運びの手伝いが終わった後、アタシは食堂から出て自分の部屋に向かっていた。



頬に当たる夕の風は、溜まった疲労感と眠気を少しだけ払拭してくれるが全然足りない。やはり、寝ることでしか癒えることはなさそうだ。



そんな事を考えつつ、波止場を通り過ぎようとしたとき・・・その波止場の先に見覚えのある影が佇んでいる事に気が付いた。



望月「・・・ん?アレ朝潮じゃん、何してんだろ」



確か、自分が食堂を出るときには既に朝潮の姿はなかったが・・・こんなところにいるとは。



朝潮「・・・。」



朝潮はただ黙って、海を見つめている。何かを考えているような、『普段』の険しい顔だ。



望月(めんどっちーけど、これからもあんな感じでいられたら別の意味でストレスたまりそうだし・・・聞きに行くかぁ。)



気怠さをなるべく表面上には出さないようにアタシは朝潮の方へと歩み寄っていった。



望月「朝潮じゃん。どうしたのさ、こんなところで?」



朝潮「え?ああ・・・望月さんですか。」



本当に落ち着いた声音で、こちらを振り向く朝潮の顔は丁度影になっていて表情がよく見えない。



朝潮「特に何を、というわけではないのですが・・・ただ、こうしていたくなったもので。」



そういいながら、朝潮はその場に腰を降ろした。・・・話をするならば、今のタイミングしかない。



望月「ふぅ~ん、そう。やっぱり、『慣れない事』をしてたら疲れる?」



朝潮「・・・。」



朝潮は返事をしなかった、ただ何も言わずアタシの目を見据えているだけだ・・・沈黙は肯定、つまりはそういうコトなのだろう。アタシは朝潮の元まで歩いて行って、少し離れたところで腰を降ろす。



望月「なんであんな演技してんの?らしくないじゃん。」



朝潮「らしくない、ですか・・・そうですよね。」クスッ



朝潮は皮肉そうにクスりと笑うと、ポツリポツリと話し始めた。



朝潮「私も、最初は見てるだけにしようと思ったのですが。・・・優しさの理由が知りたくて・・・本当に気になって仕方がなくて。」



・・・もしかしなくても、司令官の事だろう。ここ最近の変化といえば、あの人の事でしか考えられない。



望月「それで、何かわかった?」



アタシの問いかけに朝潮は顔を俯かせてしまった、さすがに踏み込み過ぎただろうか。けれど、こうでもしないと話が続かない気がしたので、アタシは黙って朝潮の返答を待つ。



朝潮「いいえ、わかりませんでした。卯月さんの件もそうですが、私の責任問題さえも不問にするだなんて・・・何故なんでしょうね。」



結構な間が空いた後、朝潮はポツリとそういった。・・・その疑問に答えられはしないが、アタシにもわかることはある。



望月(朝潮は・・・司令官の事で何か焦っている。通常の彼女ならこんなバカげた選択など取らないはずだ、一体なぜ?)



アタシがそんな事を考えている間にも朝潮は静かに嗚咽交じりの声を漏らしていく。



朝潮「・・・信頼しているように思わせて、年相応に振る舞えば・・・何かわかるかもと思ったんだけどなぁ・・・。」



そんな小さな独白を終えると、朝潮は膝に顔を埋めた。その声は何処か涙ぐんでいて、耳を澄ませばすすり泣く声が聞こえてきそうだ。・・・流石に見ていられなくてアタシは口を開いた。



望月「ハッキリ言って、アタシは朝潮がなんでそんな事してるのかよくわからないよ。何かの意味があるとも思えないしね。」



朝潮「・・・。」



朝潮はただ黙って聞いている、まだ膝から顔を上げる気配はない。けれど、アタシは構わず話を続ける。



望月「だって、そんなことしなくてもアタシにはわかったよ・・・司令官は良い人だってさ。」



優しさの理由だなんて、きっと朝潮が考えている崇高なものではないだろう。同情、哀れみ、性分・・・所詮はそんなものだ。考えるまでもない、必要も・・・ない。



望月「朝潮は遠回りし過ぎなんだよ、んで焦り過ぎ・・・もっと肩の力抜いていこーぜ。」ポンッ



朝潮「・・・フフッ。なんですか、それ・・・焦っているのに遠回り、だなんて・・・」



どう転ぶかは問題じゃない、ただアタシが気分が悪いからこんな柄にもないことをしているに過ぎないのだから・・・。
















間宮「はい、提督。今日の晩御飯です。」



提督「ありがとうございます、間宮さん。」



暖かい晩御飯の乗ったトレーを間宮さんから受け取る、この時間宮さんは少しだけ寂しそうな顔をするのであまり顔を直視することができない。



間宮「そ、その・・・やはり皆さんとは・・・。」



ありがたいことに、間宮さんはまた俺の事を誘ってくれる。



提督「何度もありがとうございます、でも俺にはまだそんな資格はないんですよ。」ニコッ



きっと、今の俺の笑みはひどく力の入っていない空虚なものだろう・・・でもこうでもしないと間宮さんは引き下がってくれない気がした。それだけ信頼してもらえているのか・・・心配を掛けさせてしまっているのか。今の俺にはまだ判断しかねる。



間宮「そう・・・ですか。」



提督「・・・では、また後程食器を返しに来ますので。」



バツが悪くて俺は足早に執務室へと続く道を歩き始める。未だに、背後からは間宮さんの視線を感じるが・・・振り返るほどの甲斐性は俺には無かった。



人気を感じない廊下をゆっくりと歩いて、執務室前の・・・執務室の前に人影が見えた。



提督(誰だ・・・?暗くてよく見えないが、こんなところにいるとは・・・俺に何か用があるのだろうか?)



姿を認識するべく、俺は更に歩を進め人影に近づいていく。



「ん?あぁ、いないと思ったらまだ来てなかったんだ。」



近づくこちらに気づいたのか、ぶっきらぼうに人影はそう言ってこちらを向いた。



提督(・・・彼女は確か・・・軽巡洋艦の北上、だったか。)



名簿でみた情報通りなら、彼女の名は北上に違いない。加賀さんによれば、強硬な手段をとってくる娘ではないらしいし、話す分には問題ないだろう。



提督「悪いな、食事を取りに行ってたんだ。俺に何か用事か?」



北上「・・・んにゃ、別に用ってわけじゃ無いんだけどさぁ。」



北上は返答に少し間を開け、俺から目を背けた。・・・なにか言い辛い事なのか



提督「なんだ、ここでは話しづらいのか?それなら、執務室で聞くが・・・」



そういって、執務室の中に入るように促す。正直、トレーを持ったまま立っているのは結構つらい。それに、長話になるようならお互い腰を落ち着けた方が幾分もましだろう。



北上「え?・・・あぁ、まぁそれでもいっか。じゃあ先はいるね~。」ガチャ



ドアノブを回してさっさと執務室の中へと入っていく北上の後を、俺はついていく。



俺が入ると同時に、バタンと耳障りな音とともにドアが閉じた。俺は片方の手で執務室の明かりをつけて、すっかり綺麗になったデスクの上にトレーを置く。



提督(加賀さん・・・掃除してくれたのか。後でお礼を言わなきゃな。)



加賀さんの心遣いに感謝しつつ、俺はもう一つの椅子をもってデスクの前に設置し北上を手招きする。



提督「さ、立ったままじゃしんどいだろ?座ると良い。」



北上「ん、どーも。」



提督「・・・ふぅ、さて。話を聞こうか。」



お互い椅子に腰かけ、向かい合うように対面した。少し、圧迫感を与えてしまっているのではないかと心配になるが態々出向いてくるぐらいだし、このくらいでは折れないだろう。



北上「んん~・・・あのさ、私言葉選ぶの下手みたいだからストレートに聞いちゃってもいい?」



考えるような間をあけた後に、北上は落ち着いた声でそう切り出してきた。



提督「ああ、いいぞ。」



・・・正直、聞くまでもなくその先は簡単に予想できた。でも、直接聞きに来たからにはきっとこれだけではないと断言できる。



北上「提督さぁ、一体何企んでんの?・・・てか、そもそも誰?」



立て続けに降ってきたそんな問いかけだったが、俺は比較的に落ち着いていられた・・・こんな事ばかり慣れたって仕方がないとは思っているが幾分かは心が軽い。・・・正体が露見することにあまり恐怖を覚えなくなっているのだろうか。



提督「少し長くなるが・・・構わないか?」



北上「・・・」コクリ



北上が神妙な顔つきでコクリと頷いた事を確認した俺は、ここに至るまでの経緯と自らの目標を語り始めた。



数分後、殺した部分を省いたすべての事を語り終えた。北上は顎に手を添え、考え込んだ後に・・・



北上「・・・ふぅん、なるほどね。」



とすっきりした顔でポンッと手を打った。



提督「意外とあっさりしているな、驚いたりはしないのか?」



思った以上にリアクションが薄かった、というより淡白すぎる気がした。・・・自分から聞きに来たのに、どういうことだ?



北上「いやぁ、こう見えてもすっごい驚いてるよ?ただ、日を追うごとになんだか色々擦り切れちゃったみたいでさ~はは。」



北上は度重なる酷な仕打ちに耐え続けるうちに、大凡感情というものが擦り切れてしまったというのか。



提督「・・・それが本当なら、悲しいことだな。」



無意識のうちに、俺はポツリとそう溢してしまっていた。



北上「悲しい、悲しいねぇ?・・・提督にはわからないよ、関係ない提督にはさ。」



提督「・・・っ」



・・・こんな時に、何も言い返せないところか・・・自分勝手に傷ついた自分が情けなくなった。



確かに今はアイツの代わりで提督という肩書だが、元を正せば俺は人殺しの元一般人だ。そんな俺に彼女たちの何をわかってやれるというんだ・・・。



北上「あぁ、ごめんねぇ。ちょっち強く言い過ぎたかな?でもまぁ、中途半端な同情ならいらないってことだよ。」



北上はそういい終わると、椅子から立ち上がりくるりと回って



北上「提督にも、掘り返されたくないことだってあるでしょ?」ニコッ



ニコリと笑って見せた・・・駄目だ、完全に北上のペースに乗せられている。



提督「そう、だな。・・・他に、聞きたいことはもうないか?」



北上「ん~、もうないかなぁ。大井っちも食堂で待ってるだろうし~。」



その言葉にホッとした自分がいた、これ以上北上と話していると自分を見失いそうになる。



提督「そうか、なら早く行ってやりなさい。」



北上「ん、そうする。じゃあね、提督。」



驚くほどあっけなく北上は扉の向こうに消えていった。



提督「はぁ・・・いいことばっかりじゃないよなぁ・・・甘かった。」



良い事や前向きな事ばかりに焦点を当ててしまっていたら、いつか今まで見て見ぬふりをしてきた嫌なことに足元を掬われてしまう・・・そんな当たり前の事を忘れていた。



提督「・・・間宮さん、いただきます。」



俺は手を合わせ、作ってくれた間宮さんに感謝しつつ無言のまま食事を開始した。暖かかった晩御飯は、冷めてしまっていたけれど美味しいことに変わりはなかった。



一時間後、食器を返し終えた俺は滅多にしない喫煙をするために波止場まで来た。幸い、誰もいないようで聞こえてくるのは波の音だけだった。



提督「吸わないって決めてたんだがな・・・所詮、中途半端な決め事か。」スゥ



昔は好奇心で始めた事だが、嫌なことが続くうちにだんだんと手放せなくなっていた・・・それではいけないと思い禁煙をしてみたもののこれも上手く行かない。



提督「ふぅ・・・あーあ。ホント、情けないな・・・あの言葉だけで心が折れるとか、ガキか俺は。」



あまりよくない方向にスイッチが入って、思わず愚痴を漏らすが夜の風に千切れて消えるだけで誰にも届きはしない。でも、こういう時間を少しでも持たないと俺が俺でなくなってしまう気がする。



灰がぽろぽろと落ち始めたのを合図に、携帯灰皿に吸殻を押し付けていると・・・ふと視界の端に何かが見えた気がした。



提督「ん・・・?海の上に、なにかが・・・。」



よく目を凝らして、海面を滑る影を注視する。・・・その姿に、俺は見覚えがあった。



川内「・・・」



川内が、月を睨むように沖へと進んでいる姿が見えた。



提督(加賀さんによると川内は夜戦を得意とする艦だと聞いていたが・・・何故、こんな時間に一人で出撃して・・・っ!?)



そこまで考えて、俺はハッとした。夜遅くの出撃は危険を伴うし許可した覚えはない、それに一人だけなら尚更行かせるわけにはいかない。



息を大きく吸い込み、大声で聞こえるように叫ぶ。



提督「川内・・・っ!!!戻ってこい!!!!」



川内「っ!?」



俺の叫びが聞こえたのか、川内がこちらを振り向いたように見えた。しかし、再び前に向き直ってしまう



提督「待て川内!!!夜に出撃するのは禁止なはずだ!!それに一人ではもしもという時が怖い!!!早く戻ってこい!!!!」



川内「・・・ちっ。」



尚進もうとする川内を俺は必死に呼び止める・・・その様子が伝わったのか明らかに不本意といったように、渋々と戻ってくる川内の姿を見た俺は胸をなでおろした。



提督(・・・危ない所だった、ここで喫煙をしていなければ気づくことすらできなかっただろう。)



思わぬ偶然に安堵しつつ、俺は事情を聴くために川内が戻ってくるのを待った。



数秒後、川内が工廠側の陸に上がってさっさと此処から離れていこうとする。このままでは、さっきの行為の理由を聞くことができない。



提督「待て、川内。」



川内「・・・なに」



此方を睨めつけるように、言葉を返してくる川内に内心頭を抱えつつ俺は言葉をつづけた。



提督「何故、こんな時間に一人で出撃しようとしていたんだ?」



川内「アンタには関係ないでしょ。」



そういい捨てると、また足早にここを去ろうとする。いつもなら、いつもの俺ならきっと柔らかく接して聞き出そうとするだろう。



提督「おい、川内・・・俺は何故と聞いているんだ・・・質問に答えないか。」



・・・けれど、俺は今『怒っている』厚かましくも猛烈に腸が煮えくりかえっているのだ。川内がきちんとその理由を話すまでは、きっとこの怒りが収まることはないだろう。



川内「・・・へぇ、そんな強気な事を言えるんだ?今のこの状況でさ。」ジャキッ



川内は何を思ったか、腕についた砲塔を俺の頭部に突きつけニヤリと笑った。



提督「なんのつもりだ、これは。」



川内「それはこっちの台詞だよ、アンタこそいったい何を考えているの?」



忌々しげに口の端を歪め、そう聞いてくる。



提督「・・・何の話だ?」



思い当たる節はいくつかあるが、一体どれの事を言っているかわからない。・・・川内の様子を見る限り、よほど深刻なことのようだが。



川内「とぼけるつもり?それでもいいけどっ!」ドンッ



提督「・・・っ!?!?」



川内は俺に向けていた砲塔を地面に向けて発砲した。発砲による爆音、ドゴンという鈍い音と共に地面が抉れその破片が爆風とともに周囲に舞う。



川内「・・・命は大切にした方がいいんじゃないの?アンタみたいな腰抜けはさ。」ジャキッ



そういって再び、今しがた発砲したばかりの砲塔を突きつけてきた。



提督「っ・・・」



俺の中に得も言えない緊張感と恐怖が刻まれた。俺は今、とてもまずい状況にいるのだという事を・・・思い出す。



いつの間にか沸いていた怒りは鳴りを潜め、死への恐怖で埋め尽くされていた。



川内「それで、話の続きだけど・・・何考えてんの?」



提督「な、なにをって・・・おれはただ・・・このちんじゅふとおまえたちを・・・」



あの時、街であの男に出会った時と同様で呂律が上手く回らない・・・結局俺はなにも成長しちゃいなかった。



この鎮守府の闇を取り払うと決めた時点で、『こうなる事』ぐらい予想していた。それでも、実際こうして死の瀬戸際に追い込まれるとひるんでしまう、俺は所詮そんなちっぽけな人間だった。



川内「・・・心にもないことを言うね。今更、そんな言葉を聞いて納得するとでも?」



提督「う、嘘じゃない!何故なら俺は・・・っ!」



もうなにふり構ってられないと、俺の正体を明かそうとし口を開こうとするが・・・



川内「煩い」ドゴォ



提督「っあが・・・!!」



川内の冷めきった声と共に硬い拳が、俺の鳩尾に深くめり込んだ。強烈な痛みと脱力感で立っていられなくなりその場に倒れこむ



提督「がっ・・・げほっ・・・!」



視界が霞み、上がってきた胃酸が喉を傷つけたためか吐血まで発症し始めた。体は指から何まで全く動かせない、呼吸するのがやっとだ。



川内「良いね、いい具合に無様だよ。・・・どうせ、こんな事をしてしまった私は終わりなんだ。」



見下すように薄く笑った川内は、決意の籠った瞳で砲塔を俺の方に向ける。



川内「せめて・・・先のない私がアンタを殺す。」



そう言い切った川内を、俺は無力にも見つめる事しかできなかった・・・着実に死に向かっている感覚に恐れながら少しでも恐怖を紛らわすためにゆっくりと目を閉じようとしたその時



「なにを・・・しているの?」



・・・聞き覚えのある可愛らしい声が聞こえてきた、だがその声は何処か無機質で大凡感情を感じさせないほど冷ややかな声だった。



声の主の方を向こうと顔を動かそうとするが、意思に反してピクリとも体は動かない。



今わかるのは・・・



川内「・・・卯月・・・?」



卯月「・・・。」



川内もその声の主に驚いているということだけだった。



卯月「もう一度聞くね、川内さん・・・私のしれーかんに何をしているの?」



川内「・・・何をって、見ればわかるでしょ。消すんだよ、この男を・・・散々私たちを痛めつけてきたこの男をさ!」



卯月「は?その人は『司令官』じゃなくて『しれーかん』だよ?何言ってんの?」



普段の様子からは想像できない棘のある言葉を吐きつつ、卯月は此方に近づいてくる。



川内「卯月・・・危ないからそれ以上近づかないで。」



卯月「・・・。」スタスタ



川内の忠告を聞いても尚、卯月は止まらず・・・



卯月「しれーかん・・・大丈夫?うーちゃんが、わかる?」



遂には俺の前まで来ると、しゃがみこんで俺の顔を心配そうに覗き込んだ。



提督「・・・あ、う・・・づき・・・。」



なんとか問いかけに答えようと口を開くが、うめき声に近い息遣いが漏れるだけだった。・・・けれど、卯月にはそれで充分伝わっているようで



卯月「うん、卯月だよしれーかん。」ニコッ



安心したように、ニコリと笑顔をこぼしてくれた。



川内「卯月・・・どうしちゃったのさ、そんな奴を庇うだなんて・・・なにかされたの?」



そんな卯月の姿を見た川内は呆然としている様子で、卯月にそう尋ねる。



卯月「なにかされた・・・?してくれたの間違いでしょ、しれーかんに沢山恩を受けたのにこんなことして・・・っ!!」



けれど、川内の問いかけは怒り心頭といった卯月には届かない・・・まずい、このままではお互いの関係に亀裂が入ってしまう・・・っ



川内「卯月・・・アンタ、一体どうしたの・・・やっぱりおかしいよ・・・!」



卯月「おかしくない!!!!しれーかんにこんなことする方がおかしいにきまってるぴょん!!!!」



提督「ふ・・・とも・・・や・・・め・・・・くれ・・・」



そんな二人の言い合いを何も出来ずに、ただ地面に這いつくばっている無力感を感じたのを最後に視界が黒く暗転していった。














全身に感じる柔らかい感覚と、少し甘い匂いに包まれている感覚の中・・・ふと俺は目を覚ました。



提督「・・・う・・・ん。」



北上「やっほー、おきたね。」フリフリ



提督「うおっ・・・っ!」



周りの様子を確認しようと目を開けると、そこには間近で俺の顔を覗き込んでいる北上と目が合った・・・あまりに急な事だったので思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。



北上「うわぁ、目覚めてすぐこんな美女を見られたっていうのにそのリアクションはどうなのさ。」



棒読み気味にヘラヘラとそういってのける北上に、俺は質問するべく口を開く。



提督「・・・北上が川内から助けてくれたのか?卯月はどうした?」



あの後の顛末を覚えていない俺の口からは、矢継ぎ早に質問が出てくる・・・あんなことになったのも俺の責任だというのに、その当の本人が詳細を知らないというのはあまりにも無責任すぎる。



北上「あ~、実は提督を助けたのはアタシじゃなくて卯月なんだよねぇ。で、その卯月は部屋を貸してあげる代わりにちょっとしたお使いに行ってもらってるよ~」



提督「そう・・・なのか、卯月が俺を・・・。」



あの絶望的な状況から救い出してくれたのが、卯月ということになる。・・・俺を心底怖がっていたあの卯月が、だ。



北上「うんうんそうだよ~、あの時の卯月怖かったなぁ・・・川内と提督担いできてスッゴイ剣幕でアタシに『何でもするから部屋を貸して』っていってきたんだよねぇ。」



ヘラヘラと信じられないようなことを言う北上だが、今は嘘を吐く理由がないと思ったので黙って聞いておく。



提督「それから・・・?」



北上「それから~まぁ、提督をアタシの布団に寝かせた後に川内引きずってどっかいった後戻ってきて、今はアタシのお使いに行ってもらってるってわけ。」



提督「・・・。」



言葉が出ない・・・というよりは言葉の意味を飲み込めなかった。



提督「待ってくれ、北上・・・卯月が川内を引きずっていったのか?どういうことだよ・・・?」



北上「そのまんまの意味だよ、気絶してる川内を卯月が引きずっていたんだって~ほんとだよ。」



そういった時、北上の声のトーンが数段落ちていた。・・・おそらくこれは北上自身も驚いていたからだろう。



卯月「北上さん・・・リンゴとってきたっぴょん。」ガチャ



北上「おっとと・・・お疲れさん、卯月。提督、目覚めてるよ。」



卯月「っ!?!?しれーかん・・・っ!」



提督「・・・っ!」



入ってきた卯月の顔を見たとき、俺は弾かれるように立ち上がり卯月の傍に駆け寄っていた。



提督「卯月・・・っ!お前、その顔・・・」



卯月「ううん、卯月の事はどうでもいいの。それよりも、しれーかんがぶじでよかったぁ・・・」ギュッ



ニコリと笑って抱きしめてきた卯月の顔は・・・痛いほどの打撲と痣の痕に塗れていた。



提督「よくない・・・よくないだろ・・・!!」



卯月「わわっ・・・!しれーかん?」



卯月を抱き上げ、移動できるようにして思考を必死に巡らせる。



提督(確か加賀さんが言うには『入渠施設』という艦娘が負った傷を癒す場所があると言っていたはずだ・・・っ!)



思い出すと同時に、俺は急いで北上の部屋を抜けだし入渠施設まで走っていった。



北上「うわぁ~、すっごいはや~い。ん、おいし。」


















提督「こ、ここか・・・」



眼前に広がっている沢山の艦娘が行き交う施設、此処が所謂『入渠施設』という所・・・の筈だ。俺自身、加賀さんから話を聞いただけで詳しくはわからないが・・・艦娘の負傷を直すための施設と教えられた。



提督(・・・と、言われても正直パッとしない。傷を治す場所・・・病院みたいな場所か?)



だが、周りの艦娘を見る限り・・・



「ひっさしぶりの入渠だー!私がイッチバーンッ!!」



「まぁまぁ、落ち着いてよ。そんなに急がなくても施設は逃げないさ。」



病院というよりは、休憩スペースにでも行く気軽さだ・・・入渠施設とは一体どういう所なのだろうか。



提督「その、卯月・・・入渠施設一人で大丈夫か?俺も一緒に行った方が・・・」



よくわからないので、腕の中で大人しく蹲っている卯月に声をかける



卯月「ふぇ・・・っ!?い、一緒に!?・・・そ、それはまだ恥ずかしいっぴょん///」モジモジ



だが帰ってきたのはよくわからない呟きだった。・・・恥ずかしい?なにがだ?触診されるところを見られるのがということだろうか。



何故か顔を赤く染め、そういってモジモジとしている卯月を見ても入渠施設に対する謎が深まるばかりだ・・・。



提督「そ、そうか・・・。」



・・・といわれても、やはり心配なものは心配だ。俺自身が同伴とまでは行かなくてもどうにかならないだろうか。



いい案がないかと考えていると、ふと入渠施設に向かっていく大人びた一人の艦娘が視界に入った。



金剛「・・・。」



提督(たしか彼女は・・・金剛、だったか。丁度いい、頼んで卯月も一緒に連れて行ってもらおう。)



提督「あ、あの・・・すみません、金剛さん少し時間良いですか?」



金剛「・・・なんでショウか?」



提督「これから入渠施設に向かうんですよね。その・・・この子、じゃなかった・・・卯月と一緒に行ってもらってもかまいませんか?」



卯月「え・・・?」



金剛「ハ・・・?」



キョトンとした顔で俺を見上げる卯月と不機嫌そうな金剛さんの声が被った。



金剛「Why?ナゼでショウ」



卯月は未だに放心したように俺の顔を見ているが、金剛さんは俺と卯月の顔を交互に見て、明らかに不審そうな顔でそう問うてくる・・・普通そうなるよな。だが、これ以上卯月をこのままにしておきたくはない・・・つまるところ早々に納得してもらいたい。



少々強引だが、勢いで押し切る・・・!



提督「俺は卯月が心配で溜まらないんです・・・っ!ですが、俺は事情が事情なだけに卯月を見守ってやれない・・・頼みます金剛さん、あなただけが頼りなんです!」



金剛「ワワッ・・・!」



焦りからか思わずグッと距離を縮め、鼻と鼻が触れ合ってしまうのではないかという距離まできていた。金剛さんの顔は真っ青を通り越してもはや真っ赤だ・・・



提督「だから、どうか・・・っ」



きっと俺も負けず劣らず真っ赤になっているだろう・・・だがここで引くわけにはいかない。



金剛「ワ、ワかりまシタ!ワかりまシタからぁ・・・!」



必死さが伝わったのか、金剛は俺の頼みを引き受けてくれた。・・・よかった、これで少しは安心できる。



提督「助かります・・・じゃあ、卯月。金剛さんと一緒に入渠しておいで。」



卯月「え・・・別に卯月は一人でも・・・」



金剛「じゃあ、行きまショウか卯月!」ギュッ



卯月「あっ・・・!ちょっと!」



卯月が何かを言おうとしたが、それよりも先に金剛さんが卯月の手を取り入渠施設に走り去ってしまった。



卯月「ちょっと・・・!金剛さん!?」



金剛(最近、提督の様子がおかしいとは思っていマシたが・・・ッ!モウ、これで明らかデス!!!!!)



金剛(あのテイトクは今までのテイトクとは全くの別人デス!!コンナにも・・・コンナにも私達艦ムスの事を心配してくれるだナンテぇぇえぇ!!!!)



金剛「だとしたらあのテイトクは何者デスカァァァァァァ!?!?キャァァァァァァ//////!!!!」ダダダダダダダダッ



卯月「急にさけんでどうしたっぴょん!?あと、ちょっとスピードをおとしてぇ!」



~執務室~



卯月を金剛に預けた俺は、執務室に戻ってきていた。



椅子に深く腰を掛け、これまた深く息を吐く。全く、此処に来てから波風が立たない日は無いな。



・・・けれど、それと同時に得た物も決して少なくはない。



提督「金剛さんも・・・卯月の心配をしてくれたのか・・・?それなら、いいな。」



彼女たちの心の優しさを実感し・・・俺は再び自分が抱える問題と向き合う余裕が少しだけ出てきたのだから。



提督「俺に足りないもの、それは」



そんなものは数え切れないほどある、けれど俺は敢えて簡潔にこう言おう。



提督「・・・『力』だ。」ググッ



今一度俺は、無力さを思い知った。口先で青臭い正義感を振り回すだけでは誰も救えない・・・それを身をもって知った。



なら、俺はどうすればいい?力を付けるにはどうする?意気込みだけじゃだめだ、今までとなんにも変わらない。



提督(知力・・・は、この執務室の飾りとなっていた資料を読み漁ればいい。だが、自分だけではどうにもならないことがある。)



武力、精神力・・・これだけは・・・



提督「いや、諦めるのは無しだ・・・今思いつかないのならこれからも考え続ければいい。」



川内の時の雪辱を忘れないように拳を強く握りしめ・・・ゆっくりと目を閉じる。



・・・目を閉じたときに、ハタと何かを忘れている気がした。



提督(あれ・・・?そういえば、なんで卯月は怪我をしてたんだ・・・それに、川内は・・・どうなった・・・?)



だが、そんな疑問も波の様に押し寄せる疲労感と眠気の底に埋もれていった・・・。


後書き

なんだかコアなファン向けみたいな話になってきましたね( *´艸`)読んでくれている方本当にありがとうございます!進行遅いのはデフォルトです


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SS好きの名無しさんから
2018-09-02 10:09:16

luckさんから
2018-08-10 13:22:36

SS好きの名無しさんから
2018-08-02 17:01:15

ドリブル名人さんから
2018-07-16 20:16:34

SS好きの名無しさんから
2018-06-27 20:45:36

ノリオさんから
2018-05-13 02:51:59

SS好きの名無しさんから
2018-01-03 16:52:29

SS好きの名無しさんから
2017-12-26 14:43:13

シリコンさんから
2017-12-25 12:53:10

SS好きの名無しさんから
2017-12-24 23:13:26

SS好きの名無しさんから
2017-11-27 13:59:54

SS好きの名無しさんから
2017-09-27 20:47:17

SS好きの名無しさんから
2017-09-17 23:16:25

SS好きの名無しさんから
2017-08-29 17:51:43

SS好きの名無しさんから
2017-08-24 22:44:27

SS好きの名無しさんから
2017-08-16 03:20:52

Hoshiさんから
2017-08-13 17:37:00

SS好きの名無しさんから
2017-08-08 00:13:45

SS好きの名無しさんから
2017-08-07 15:02:56

SS好きの名無しさんから
2017-08-03 16:31:23

Luna豆腐さんから
2017-08-02 23:23:50

SS好きの名無しさんから
2017-07-29 02:11:14

SS好きの名無しさんから
2017-07-27 20:00:37

2017-07-27 12:26:32

SS好きの名無しさんから
2017-07-24 22:57:10

このSSへのコメント

156件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-07-27 21:47:35 ID: HLDt7ZZ0

また増えたぁ!(歓喜)
また日々の楽しさが増えていく、沢山掛け持ちしてて大変ダナー、主の頭パンクしない程度に超☆期待

2: yazora 2017-07-27 22:22:56 ID: alMFWMD-

1≫そんなに褒めたってやる気しか出ませんぜ(笑)自分の頭はいつでもパンク中ですよ~!

3: Luna豆腐 2017-08-03 00:01:16 ID: Q7Abndh7

期待して待ってます。頑張ってください。

4: SS好きの名無しさん 2017-08-03 16:31:18 ID: 6vnM5K_H

これまた面白そうな作品ですな。
期待や!!

5: yazora 2017-08-03 17:31:22 ID: u1-IfuTL

3≫期待ありがとうございます!頑張りますね!

6: yazora 2017-08-03 17:31:54 ID: u1-IfuTL

4≫面白くなるように頑張ります!期待ありがとうございます!

7: SS好きの名無しさん 2017-08-15 02:48:37 ID: YMfnlfuL

まさか他のssとくっつくとは…

8: yazora 2017-08-21 03:57:54 ID: EVLJDLBC

7≫そうしないとちょっと解決できない問題が発生してしまいましたので・・・(言い訳)

9: SS好きの名無しさん 2017-08-29 15:37:00 ID: qh5KaPj4

また面白そうなのが増えてるな~

10: SS好きの名無しさん 2017-11-27 13:59:45 ID: 7x96SIBk

続きが気になる〜

11: luck 2018-08-10 13:23:01 ID: 6ZszGz2F

これの続き読みたいです

12: yazora 2018-08-26 19:23:35 ID: ywVxVmIN

9,10,11≫待たせたなぁ(震え声)遅れてすみませんでした!

13: SS好きの名無しさん 2018-08-28 15:56:41 ID: Kvkjd1uO

お疲れナス!これからも進展まってるぞい

14: SS好きの名無しさん 2018-08-29 12:51:30 ID: fEW-jrJw

一番気になってる話が更新されてる!ありがとう。生き甲斐

15: SS好きの名無しさん 2018-08-31 23:12:12 ID: Bi_NPbSd

更新ありがとうこざいます!
続きがとても気になります!
頑張ってください

16: SS好きの名無しさん 2018-09-02 09:03:43 ID: qjNBS6oL

サバゲーマンです
初めまして、題名が気になって読んでみたら面白かたっです。次回の更新楽しみにしています。

17: SS好きの名無しさん 2018-09-02 10:00:25 ID: qjNBS6oL

サバゲーマンです
初めまして、題名が気になって読んでみたら面白かたっです。次回の更新楽しみにしています。

18: yazora 2018-09-02 19:32:46 ID: 8Mn-OPv1

13,14,15,16,17≫コメントありがとうございます!更新頑張りますね!

19: SS好きの名無しさん 2018-09-05 00:04:16 ID: xvBzUvzL

サバゲーマンです
提督頑張っているな~良いぞうんうん、しかし、今の提督を不審なと思う人物も出てくるんだろうな~青葉あたりまぁ、次回の更新楽しみにしています。頑張ってください。

20: SS好きの名無しさん 2018-09-06 00:32:56 ID: JgV_xbje

このSSが俺の生きがいの1つ

21: yazora 2018-09-09 19:51:41 ID: QmTZeqKA

19≫提督は何時だって必死です( *´艸`)そうですねぇ、今のところ伏線(笑)はとうかしてますけど・・・どうなりますかねぇ

22: yazora 2018-09-09 20:36:50 ID: QmTZeqKA

20≫生きがいだなんてそんなまたまた~^^ありがとうございます!

23: SS好きの名無しさん 2018-09-10 01:09:53 ID: Yf1qPNUq

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。カレーか良いですねちなみにビーフカレーが得意です。
やはり、弥生と卯月が気が付いたみたいです。この先提督いや鎮守府がどう変わっていくのか楽しみです。次回の更新頑張ってください。

24: SS好きの名無しさん 2018-09-16 13:16:39 ID: 62f9mHBz

こういうの待ってました!!!
ゆっくりでいいので更新頑張ってください応援してます!

25: SS好きの名無しさん 2018-09-16 18:43:39 ID: lxD3hLf-

いつも楽しく読ませてもらってます。......嗚呼、朝潮は可愛いなぁ

26: SS好きの名無しさん 2018-09-17 15:27:31 ID: MbscSnNw

久しぶりに来てみたら増えてたぁ!
これからも頑張って下さい

27: yazora 2018-09-18 01:42:04 ID: n5lZ14rV

23≫コメントありがとうございます!ビーフカレーは私の好物です(聞いてない)更新頑張ります!

28: yazora 2018-09-18 01:43:24 ID: n5lZ14rV

24≫ありがとうございます!本当にゆっくりですが更新は続けるつもりですのでよろしくお願いします!

29: yazora 2018-09-18 01:44:18 ID: n5lZ14rV

25≫コメントありがとうございます!朝潮ちゃん可愛いですよね、わかります(迫真)

30: yazora 2018-09-18 01:45:40 ID: n5lZ14rV

26≫ま、待たせたなぁ(震え声)頑張りますね!

31: SS好きの名無しさん 2018-09-18 16:00:57 ID: MSlW9coH

やったああああああ続きついに来たああああああ

32: みがめにさまはんさみかたき 2018-09-20 23:54:15 ID: K2i5Cj_C

すごくいい
ここで頭のいい北上さんがでてくれば
もっといい()

33: yazora 2018-09-21 01:06:14 ID: l_oNxYeT

32≫オススメ&コメントありがとうございます!設定はさておき、一応北上さんと大井さんはセットで登場させる予定です(今のところは・・・)

34: みがめにさまはんさみかたき 2018-09-21 17:12:52 ID: DZdtRbEA

やったぜ

35: yazora 2018-09-24 00:30:45 ID: dR0165NV

34≫まだしばらくは出ませんけどね・・・(ボソッ)

36: かむかむレモン 2018-09-24 02:12:25 ID: G7Qkko7F

やっぱ…yazora兄貴のSSを…最高やな!
必ず完走してくれよな~頼むよ~(懇願)

37: みがめにさまはんさみかたき 2018-09-24 02:43:15 ID: ke84qjtM

くっ…まだ出ないか…
だがハラショー、確実に良い方向へ向かっている

38: タウイ泊地の大将提督 2018-09-24 16:24:51 ID: vHPvi4mf

ちょっと気になって見てみたらとても面白かったです。黒提督死すべし慈悲はない!更新楽しみにしてますね!

39: SS好きの名無しさん 2018-09-24 20:39:41 ID: JRbM1PpE

はぁ…すき
一日の最後にこのSSの更新を確認する日常が定着しつつある

40: yazora 2018-09-24 23:38:21 ID: dR0165NV

36≫最高だなんてそんな・・・まだまだですよ(´・ω・`)完走はがんばります!

41: yazora 2018-09-24 23:39:52 ID: dR0165NV

38≫コメントありがとうございます!更新頑張ります!

42: yazora 2018-09-24 23:41:13 ID: dR0165NV

39≫いやぁ・・・一日の最後に確認していただけているとは、光栄の極みです( *´艸`)

43: SS好きの名無しさん 2018-09-24 23:51:34 ID: ziecrZTg

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。ていとくは、初めての事務をやるんですね。しかし、秘書官が加賀さんとは、びっくりしました。朝潮かな~と思っていましたこれからの、鎮守府がどうなっているか楽しみです。頑張ってください。

44: みがめにさまはんさみかたき 2018-09-25 00:05:26 ID: GDVaNNqx

あらやだ、この提督イケメンじゃない…

45: SS好きの名無しさん 2018-09-25 23:08:39 ID: WaXNN--f

あらやだ


ただのイケメンじゃねぇか





失踪はしないでください?

46: SS好きの名無しさん 2018-09-29 14:01:53 ID: zrmylhQk

待ってたぜ…あんたの更新を…

47: SS好きの名無しさん 2018-09-29 15:17:56 ID: C2hhghBh

読売新聞(9月28日(金))7面

💀韓◆国💀

文大統領、国連総会で『慰安婦問題』に基づき日本🇯🇵🎌🗾を非難する演説実施

これは『慰安婦問題』で相互に非難応酬する事の自粛を約した『慰安婦問題を巡る日韓合意』の明確な違反であり、💀韓◆国💀は『慰安婦問題』を『蒸し返す』事を国家として正式に宣言した。と、思料

加賀『頭に来ました。』

48: みがめにさまはんさみかたき 2018-09-29 23:22:09 ID: 7kE2f4pa

加賀さん期待

49: SS好きの名無しさん 2018-10-01 18:51:28 ID: xoIsiMB1

めちゃおもろいやん これからも更新頑張って

50: SS好きの名無しさん 2018-10-04 12:57:01 ID: D-mt2RzD

あの加賀さんまでこんなに怯える程だから、ここの提督は一体何したんだ…?この様子だと、あのツンケンしてる三人組もメンタルズタボロの人間恐怖症になってるし…

51: SS好きの名無しさん 2018-10-07 16:17:35 ID: dLFRNTMs

気長に更新待ってるで

52: yazora 2018-10-08 13:10:32 ID: eWV9g4NT

44、45≫イケメンですねぇ(顔も実はそこそこ)、失踪は・・・今のところしない予定です

53: yazora 2018-10-08 13:11:32 ID: eWV9g4NT

46≫待たせたなぁ!(上擦る声)

54: yazora 2018-10-08 13:12:51 ID: eWV9g4NT

47≫そうして私は理解した、理解してないことを理解した。あんまりニュースは見ないもので・・・

55: yazora 2018-10-08 13:13:41 ID: eWV9g4NT

48≫加賀さんはイイゾォ!

56: yazora 2018-10-08 13:15:08 ID: eWV9g4NT

49≫ありがとうございます!更新頑張りますね!

57: yazora 2018-10-08 13:17:26 ID: eWV9g4NT

50≫そうですね、加賀さんといえば強いというイメージがありますけど一人の女性であることを重点に置いて書いてます・・・ツンケン三人組は後程(予定)

58: yazora 2018-10-08 13:20:00 ID: eWV9g4NT

51≫おお・・・ありがとうございます!ゆっくりお待ちください!

59: SS好きの名無しさん 2018-10-09 12:05:40 ID: RTfMP5dl

作者さんの他の作品から来ました!とても面白くて物語に引き込まれます、続き頑張ってくださいね

60: SS好きの名無しさん 2018-10-14 19:21:54 ID: 5s9JPuJD

生きがい

61: SS好きの名無しさん 2018-10-16 01:29:57 ID: Uij_ykXR

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。お久しぶりです。ようやく、秋になりましたね!(^^)!・・・あ、僕は、寒いのも苦手だったあ~寒い中で通勤するのやだな~まぁ、頑張ろう,yazoraさんも頑張ってくださいね。

62: yazora 2018-10-17 23:04:25 ID: BPln52Gx

60≫え~そんなまたまた言い過ぎですよwでもありがとうございます!

63: yazora 2018-10-17 23:06:56 ID: BPln52Gx

61≫秋は過ごしやすくていいですね!(風邪気味)僕は寒いの好きですよ(風邪気味:二回目)外出るのも億劫ですねぇ・・・サバゲーマンさん一緒に頑張りましょう!

64: SS好きの名無しさん 2018-10-17 23:49:56 ID: GMooq4pu

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。提督の秘密を加賀に言ったんだ?・・・こんの選択がどうなっていくのか楽しみです。次回の更新楽しみにしています。仕事場人が風邪を引いた。

65: みがめにさまはんさみかたき 2018-10-18 19:06:44 ID: XyvR3AyZ

待ってました!お疲れさまです!

66: yazora 2018-10-20 19:55:04 ID: 2y39AZaZ

64≫提督が話したのはあくまでも、自分がアイツとは別人だというところまでですけど・・・それでも大問題ですねwあらら、風邪は舐めてると痛い目見ますからね、気を付けてください。

67: yazora 2018-10-20 19:55:42 ID: 2y39AZaZ

65≫乙ありです!(言ってみたかった)待たせてすみませんでした!

68: SS好きの名無しさん 2018-10-20 20:38:22 ID: X91CP7YB

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。まさか提督は、鎮守府にいるすべての艦娘の名前をすべて覚えたの?そして、提督は艦娘と本当の笑顔で笑えることが出来るのか楽しみです。次回の更新楽しみにしています。
いや~本当に寒かった。関東は、いきなり雨が降ったからびっくりしました。皆さんはどうでしたか?僕は関東です。

69: みがめにさまはんさみかたき 2018-10-21 11:49:49 ID: dS_cqs9d

なにこの提督俺が今まで見たssで3,4番目位にイケメン

70: 留守 2018-10-21 22:05:38 ID: Hhi99443

ほんとに生き甲斐。yazoraさんが物語を書いてくれるから明日もがんばれる

71: yazora 2018-10-25 00:37:08 ID: S:gNK1yh

68≫更新遅れ気味ですみません・・・いやぁ、こっち(関西)も結構冷えますよ・・・そろそろコタツの時期ですかねぇ。

72: yazora 2018-10-25 00:38:41 ID: S:eXbFxf

69≫提督「イケメン・・・か、中々反応に困る褒め言葉だな・・・。」なんて皮肉っぽい感じに返してきますよきっと・・・ありがとうございます!

73: yazora 2018-10-25 00:39:32 ID: S:biOU8J

70≫もうもう~そんなに褒めたってコンディションが上がるだけですよ~??頑張ってくださいね!

74: きらっちぇさん 2018-10-25 02:16:17 ID: S:RZ_9B2

この提督まじ好きです。
雰囲気といい色々…うん色々
頑張ってくだしい

75: yazora 2018-10-27 02:38:54 ID: S:HpYEeh

74>>ありがとうございます!頑張りますね!

76: SS好きの名無しさん 2018-10-27 11:10:05 ID: S:8CsQQn

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。提督もここまで来たね。吹雪は、まぁ、平気だろうな川内は、闇が深そうだから時間がかかりそうな感じがする。人のトラウマは、そう簡単には、治せないからね。吹雪にも、言うのかな秘密をその方が早い感じがするでは、次回の更新楽しみにしています。

77: クリンスマン 2018-10-30 10:07:13 ID: S:qrMSEX

次回更新を楽しみにしてます!

78: yazora 2018-11-01 01:40:04 ID: S:EVB_Mc

76≫トラウマって本当に厄介ですからねぇ・・・ですからSSの進行が遅くて・・・

79: yazora 2018-11-01 01:40:35 ID: S:yCGtER

77≫ありがとうございます!!

80: SS好きの名無しさん 2018-11-01 02:31:08 ID: S:StCpK5

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。11月に入りましたね~朝潮も随分提督に慣れて来ますね次は、弥生か卯月かな?楽しみです。~別に更新を急がせるつもりは、なかったんですが?なんかすみません。

81: SS好きの名無しさん 2018-11-01 23:53:10 ID: S:F78dqc

とんぴと申します
更新ありがとうございます。
前々の作品から応援させていただいています。
これから寒くなってきますのでyazoraさんもお体に気をつけて下さいね

82: きらっちぇさん 2018-11-03 11:48:27 ID: S:BXQsij

更新お疲れ様様です
風邪を引きやすい季節になりましたねぇ…珍しく私も引いてしまいました。
yazoraさんも風邪を引かないように気をつけてくださいね

83: SS好きの名無しさん 2018-11-04 01:43:32 ID: S:iYDcPr

平和だねぇー.........今の所は。期待、してますよ?

84: SS好きの名無しさん 2018-11-06 12:52:03 ID: S:oBXfev

あぁ、早く続きが読みたい。
禁断症状みたいになりそう…

85: yazora 2018-11-08 00:02:37 ID: S:Ro6nym

80≫いえいえw本当に自分の速度が遅いだけですので(´・ω・`)

86: yazora 2018-11-08 00:03:49 ID: S:eXMSkS

81≫ありがとうございます!最近本当に寒いですからねぇ~、少し喉が痛い程度で済んでますw

87: yazora 2018-11-08 00:05:50 ID: S:2VYUZX

82≫ありがとうございます!風邪は厄介ですから本当に気を付けてくださいね、後お腹も冷やさないように( *´艸`)

88: yazora 2018-11-08 00:07:15 ID: S:F1_7UG

83≫本当ですね~本当に今のところは平和ですねぇ~(ニヤニヤ)

89: yazora 2018-11-08 00:08:44 ID: S:kIb5wY

84≫お待たせいたしました!禁断症状には間に合いましたか? ^^) _旦~~

90: SS好きの名無しさん 2018-11-08 01:01:17 ID: S:xAs6fO

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。朝潮は、随分と懐きましたね~良かった。睦月型も、仲良くなればいいな、・・・川内が後を付いて来たりしてあるのかな?次回の更新楽しみにしています。頑張ってください。

91: みがめにさまはんさみかたき 2018-11-11 21:30:04 ID: S:97rwk5

睦月がかわいすぎて北上さんから浮気しかけた

92: yazora 2018-11-13 22:42:17 ID: S:k8C-rI

90≫コメントありがとうございます!朝潮はもう殆ど完全に司令官を信用しちゃってますからね~、朝潮は可愛い( *´艸`)

93: yazora 2018-11-13 22:43:09 ID: S:MjXxrW

91≫おっと!浮気してしまったら・・・少し雰囲気の違う北上さんg・・・おっと誰か来たようだ

94: 留守 2018-11-13 23:39:25 ID: S:EKI-Fa

もし、警察にバレたらどうなるんだろうとか、なにかの理由で離れたり傷ついた時どうするんだろうとか。いろいろ考えてしまって眠れない

95: 陽炎型・村雨のファン 2018-11-14 00:32:38 ID: S:ECkn6X

この鎮守府の皐月に惚れてしまったので皐月を僕にください。

96: SS好きの名無しさん 2018-11-14 00:48:25 ID: S:pV2Ijj

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。やばい如月良い子、朝潮も・・・( ゚Д゚)俺は、ロリコンじゃない俺は、・・・次回の更新待っています頑張ってください。

97: みがめにさまはんさみかたき 2018-11-15 18:40:51 ID: S:dQ3Gzo

※92
既に別のSSのコメント欄で制裁されました。
だが俺はみがめにさまはんさみかたき!変態六星の帝王!
退かぬ!媚びぬ!省みぬ!懲りなどしないのだーッ!
※95
陽炎型に制裁されるぞ

98: yazora 2018-11-17 02:34:42 ID: S:BBUFSV

94≫いやぁどうなりますかねぇ(ニヤニヤ)

99: yazora 2018-11-17 02:35:14 ID: S:4aOQm5

95≫ウチの皐月は非売品なので( *´艸`)

100: yazora 2018-11-17 02:35:47 ID: S:nob4Bq

96≫こっちはいいところですぞ~~ ^^) _旦~~

101: SS好きの名無しさん 2018-11-17 02:57:35 ID: S:DnKgQd

サバゲーマンです
更新ご苦労さです。睦月型は、もう大丈夫かな?卯月・弥生は・・・まだわからないかな?これは次回の更新が楽しみだ。
・・・やめろ~俺は、ロリコンじゃないぞ~俺は、俺は~

102: SS好きの名無しさん 2018-11-28 12:29:57 ID: S:PbjXI7

電車移動なんか…(想像)

 軍服男性が、カラフルな髪色の制服美少女達をゾロゾロ連れ歩き…

 もしかしたら、少女達は外観からは信じられないパワーで買い出しの大荷物を軽々と運んだりして…

 これはSNS拡散待った無し(確信)

103: yazora 2018-12-03 00:49:14 ID: S:kAbTeb

101≫ありがとうございます!ふふ・・・こっちは良い世界ですぜ~さぁ~天津風を共に愛でましょう(違う)

104: yazora 2018-12-03 00:50:07 ID: S:AFaoMo

102≫君のような勘のいい読者は嫌いだよ(大嘘)・・・鋭いですね|д゚)

105: SS好きの名無しさん 2018-12-03 00:58:35 ID: S:X8tzU9

サバゲーマンです
お久しぶりです。更新ご苦労様です。もう12月に入りましたね。次回からの更新楽しみにしています。やはり、朝潮、睦月、如月可愛いな~

106: yazora 2018-12-04 01:35:18 ID: S:-TdJZL

105≫遅れてすみません!月末は予定がみっちりなもので・・・もう12月ですね、時の流れは速い(確信)ほんと可愛いですよね( *´艸`)

107: クリンスマン 2018-12-04 14:33:21 ID: S:-q1RrO

子犬のコロがの所を私の犬っコロと読んでしまった(;・∀・)

108: タマモー 2018-12-04 15:34:25 ID: S:8aACvE

更新お疲れ様です!

卯月がついに…w
さてさて次回はどうなるのやら、楽しみにしています!

109: SS好きの名無しさん 2018-12-04 15:35:47 ID: S:TmmNYd

ヤンデレキターッ!!? いやぁ、これからどう展開していくのか気になりますねぇ。

110: SS好きの名無しさん 2018-12-04 21:51:44 ID: S:AUEIcd

話の進み方や行動は良い。物凄く続きが気になる
ただ、敬語とタメ口の切り替えは何か違和感を感じる

111: みがめにさまはんさみかたき 2018-12-06 15:59:17 ID: S:rW8R7d

ヤンデレKTKR!って言おうとしたら咲越されてるし!
でもやっぱ睦月型はいいなぁ…艦これというものを知ってで一番最初に知ったのが菊月だし
さぁてチョロイン北上さんとCrazyPsychoレズじゃない大井っちはどこかな

112: SS好きの名無しさん 2018-12-09 02:40:07 ID: S:u-8W46

ああ^~いいっすね^~

113: yazora 2018-12-09 23:11:31 ID: S:KXKfO0

107≫も~、ダメですよそんな読み間違えしちゃぁ~あはは~(実は名前が思いつかなくて犬っころ=ころ=コロと名付けたなんて言えない。)

114: yazora 2018-12-09 23:12:51 ID: S:kXsMSD

108≫おつありです!卯月ほど明るい子が・・・ってシュチュが好きなので(良い笑顔)

115: yazora 2018-12-09 23:13:57 ID: S:5JLcbC

109≫今のところはまだ少し不安定なだけですが・・・これからどうなっていくかは・・・ねぇ?( *´艸`)

116: yazora 2018-12-09 23:15:45 ID: S:J9gcGq

110≫コメントありがとうございます!そうですねぇ、卯月の不安定さというか、悪い方向で信頼が捻じれ曲がるというのを表現しようとしたのですが・・・難しいですね(-_-;)

117: yazora 2018-12-09 23:20:04 ID: S:bn_DcN

111≫菊月は可愛いですからねぇ・・・(病ませたい)次からは鎮守府内の話に戻るので登場はそう遠くない・・・はず。

118: yazora 2018-12-09 23:21:14 ID: S:Qn8Q9-

112≫やったぜ。

119: SS好きの名無しさん 2018-12-10 01:06:07 ID: S:1AU_0A

110のコメをした者です

敬語とタメ口の切替で違和感を感じるのは主人公の事を差してただけなので
それ以外に違和感は感じないという事を言いたかった。
紛らわしい書き方で申し訳ない…

120: SS好きの名無しさん 2018-12-11 21:38:14 ID: S:qjudDf

クレープを食べた犬が時空を越えて主人公を追跡してきたりはしませんよね?
......ていうか、もし犬の正体が『アレ』だとするならば、それを飼い慣らせる飼い主は何者?

121: みがめにさまはんさみかたき 2018-12-12 02:11:06 ID: S:usrigq

北上さ(もうええわ
にしてもやっぱ睦月型さいk(もうええわ
続き舞ってま(もうええわ

122: yazora 2018-12-14 00:48:16 ID: S:yLwBL4

119≫ありゃりゃ・・・これは失敬、すみません!提督の方は艦娘という存在をまだ漠然としか理解していないので初対面の女性と話すイメージで大人っぽい艦娘には敬語、幼い艦娘にはタメ口という感じに調整した方が自然かなぁと思った次第です(*´ω`)

123: yazora 2018-12-14 00:50:23 ID: S:GEQPuT

120≫大丈夫ですwもしかしなくとも神話的要素は含まれていないのでご安心を ^^) _旦~~ あくまでもティンダロスという名前のワンちゃんとちょっと気の強い普通の飼い主の女の子です!

124: yazora 2018-12-14 00:51:52 ID: S:XzS4uF

121≫次回登場予定です(ネタバレ)睦月型はイイゾ、特にヤンデレの菊月(聞いてない)更新頑張ります!

125: みがめにさまはんさみかたき 2018-12-14 01:51:01 ID: S:96crNN

※124
「ありがとう」…
本当に……本当に「ありがとう」
それしかいう言葉が見つからない

126: SS好きの名無しさん 2018-12-14 05:29:33 ID: S:lsS3fv

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。これで睦月型は、大丈夫かな朝潮は、提督を取られて怒っているのかなそうなってほしい、次回の更新が楽しみだ。

127: SS好きの名無しさん 2018-12-16 16:33:07 ID: S:WHyxT6

朝潮可愛すぎw
面白いです更新頑張ってください!

128: yazora 2018-12-16 23:35:12 ID: S:QNGIKA

125≫北上さんへの愛を感じる・・・ッ!けど、私の天津風への愛(ry
期待添えできるかはわかりませんがどうぞ(*´ω`)

129: yazora 2018-12-16 23:38:30 ID: S:Cul3HV

126≫朝潮は『優しい理由』が知りたくて、色々な行動を起こして司令官を試していたって感じです。理由のわからない司令官の優しさに触れ続けた結果、良心の呵責に耐えられず飛び出したって感じです(長文失礼しました)

130: yazora 2018-12-16 23:39:32 ID: S:gRm_b5

127≫わかります(わかります)ありがとうございます!更新頑張りますね!(エナドリ片手)

131: SS好きの名無しさん 2018-12-17 00:54:44 ID: S:LnBcFY

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。これで駆逐艦のほうは大丈夫かな?問題なのは軽巡、重巡、軽空、空母「加賀を除く」戦艦かな?加賀さんは、秘密を知っているし大丈夫かなあ~次回の更新が楽しみだ。

132: SS好きの名無しさん 2018-12-17 01:16:46 ID: S:khNHBA

あなたのssが日々の楽しみです!応援してます!! この提督には報われてほしいなぁ...

133: みがめにさまはんさみかたき 2018-12-17 15:28:48 ID: S:n1GQJf

祝え!全重雷装巡洋艦力を受け継ぎ、過去(艦の時代)と未来をしろしめす艦娘の王者
その名も…北上さん
その登場の瞬間であるッ!

134: みがめにさまはんさみかたき 2018-12-19 14:22:49 ID: S:uDKFBZ

やはりブラ鎮の北上さんはこれがいい…
俺が書くとほぼ100%すぐデレるからなぁ…

135: yazora 2018-12-22 13:17:00 ID: S:V_ojb4

131≫どうなりますかねぇ~う~ん(ニヤニヤ)毎度コメントありがとうございます!

136: yazora 2018-12-22 13:18:54 ID: S:8so7aU

132≫おお、日々の楽しみとは・・・!お世辞がうまいですね、嬉しくて思わず休憩時間に更新してしまった・・・( ;∀;)

137: yazora 2018-12-22 13:25:51 ID: S:P1rKaa

134、135≫北上さんはあくまでも静観する立場(今のところ)なのでデレるには相当時間かかりそうですねぇ・・・

138: SS好きの名無しさん 2018-12-22 14:52:42 ID: S:GYR88r

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。やっと川内出ましたか~待っていました。次回の更新では、川内が提督を殺すのか?でも、びっくりしたのが助けたの卯月だったことかな朝潮かなと思った・・・では、良いクリスマスを

139: みがめにさまはんさみかたき 2018-12-22 17:33:00 ID: S:xZjVdj

えぇ…ここは提督が覚醒して
提督「発射直後の砲弾を取ることなんて蚊を潰すより楽なことだ」っていって逆に川内を脅すところでしょう…(無茶振り)

そして…そうか、そうなのか…
北上さんの出番が増えることを願おう

140: 留守 2018-12-23 09:41:46 ID: S:PoE8_V

うわぁ。とうとう修羅ってしまった…。あぁー、読めない。どうなるのか読めなーい

141: SS好きの名無しさん 2018-12-23 21:55:12 ID: S:phvye8

主人公よ、怒りから一気に恐怖じゃ格好つかないぜ…
元一般人には無茶な話だとは思うけど…

142: yazora 2018-12-25 22:38:03 ID: S:-oL29C

138≫実は朝潮よりも卯月の方が状態的にはやばいですからねぇ(主に精神的に)よいクリスマスを!

143: yazora 2018-12-25 22:43:38 ID: S:j2UCxk

139≫川内「死ねぇ!!」パンッ
   提督「教えてやる・・・これが、モノを殺すということだ!」
   川内「なっ!?砲弾が・・・っ!」
・・・だめですねw

144: yazora 2018-12-25 22:46:47 ID: S:yaKL9z

140≫どうなるかな~どうなるかな~(・∀・)ニヤニヤ

145: yazora 2018-12-25 22:56:11 ID: S:8GdQf4

141≫このSSの提督はかっこいいというよりは、迷って打ちのめされ見苦しくもがきながらもみんなを救おうとするって感じなので・・・(^^)/

146: SS好きの名無しさん 2018-12-26 00:36:25 ID: S:kDcVkV

サバゲーマンです
卯月。カッコいいな~提督を怖がっていたのに助けた心を開いたのかな~でも、気になるのは川内が卯月を殴ったことが気になるな~次回が楽しみです。北上様の部屋に大井いなくてよかったよガクガクブルブル( ゚Д゚)次回を楽しみにしています。・・・あと、一週間で今年が終わりますね。お互い頑張りましょう。

147: SS好きの名無しさん 2018-12-26 01:52:59 ID: S:wElAJl

提督よ、覚醒(とポロリ)はまだか…

148: みがめにさまはんさみかたき 2018-12-26 10:56:34 ID: S:YPBQIu

北上さんの出番が増えたよ!
\やったねたえちゃん!/

149: 紅蓮のスライム 2019-01-02 02:25:06 ID: S:Y8MrqW

やっぱり読んでて惹かれる内容だった〜
きちんと整った文は私には書けないなぁ
それから自分の好みの内容だぁ〜
ばっと場面転換はもう少しわかりやすく...そんなことを抜きにしてもたのしんだわたしがいた...

150: yazora 2019-01-04 03:16:03 ID: S:YzcE_v

146≫卯月はかっこかわいいですよ!・・・それに関してはまだ秘密です(^^)/大井さんは・・・諸事情(強引)によりたまたまいませんでしたねぇ

151: yazora 2019-01-04 03:17:30 ID: S:H13ppp

147≫ 提督「気を抜いたら(首が)ポロリしちゃうかもしれないけど・・・それでも、守りたい世界(ちんじゅふ)があるんだ・・・っ!」


・・・みたいな?( *´艸`)

152: yazora 2019-01-04 03:18:07 ID: S:TMqThT

148≫ヒャッハー!新鮮な北上様をお届けだぜぇ!

153: yazora 2019-01-04 03:19:50 ID: S:RkXsMY

149≫ありがとうございます!いやぁ、僕も整った文を書くのは苦手ですね(-_-;)お互いに頑張りましょう!あぁ~、場面転換結構苦手なんですよねぇ。・・・に頼るしかないんです( ;∀;)

154: SS好きの名無しさん 2019-01-04 09:07:10 ID: S:mIppIw

サバゲーマンです
更新ご苦労様です。そして、明けましておめでとうございます。あ、今度は、金剛にバレたのかな、バレたことになると川内みたいになるのかな?続きが気になるだけど、無理はしないでくださいね。

155: みがめにさまはんさみかたき 2019-01-05 23:21:31 ID: S:XzaM2a

川内…君の事はコンマ一秒くらい忘れないよ…
にしてもここの金剛は他と違うかわいさがあるな
北上さんの出番にも期待
………え?せんだい?仙台がどうかした?牛タンでも食べに行くの?

156: 真鱈 2019-01-10 18:50:12 ID: S:QUZ76l

★5つじゃ足りない・・・★100でも足りない・・・

ぜひとも他の作品もこの作品も投稿を頑張ってほしいと思う・・・


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1: SS好きの名無しさん 2018-06-27 22:39:16 ID: haVddZKw

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止まるんじゃねえぞ……

2: luck 2018-08-10 13:23:25 ID: 6ZszGz2F

待ってます

3: SS好きの名無しさん 2018-08-24 08:32:13 ID: 6Nvo73Pu

あんた、最高だよ
面白い!

4: SS好きの名無しさん 2018-09-16 18:47:35 ID: lxD3hLf-

とてもとてもとてもとてもとても楽しみにさせてもらってます。

5: みがめにさまはんさみかたき 2018-09-20 23:54:29 ID: K2i5Cj_C

いいねぇ、しびれるねぇ!

6: SS好きの名無しさん 2018-09-29 15:16:38 ID: C2hhghBh

読売新聞(9月28日(金))7面

💀韓◆国💀

文大統領、国連総会で『慰安婦問題』に基づき日本🇯🇵🎌🗾を非難する演説実施

これは『慰安婦問題』で相互に非難応酬する事の自粛を約した『慰安婦問題を巡る日韓合意』の明確な違反であり、💀韓◆国💀は『慰安婦問題』を『蒸し返す』事を国家として正式に宣言した。と、思料

加賀『頭に来ました。』

7: Ganguto 2018-10-16 16:57:40 ID: fRTB5T3S

面白い。続きはよ

8: SS好きの名無しさん 2018-10-17 18:52:12 ID: 9QxV1UfN

いいねいいねぇ最っ高だねぇ!
無理せず頑張れ
いつもみたいにヤンデレ、拘束endはやだよ?

9: SS好きの名無しさん 2018-10-18 21:36:21 ID: mQgQUMhl

提督の保険かけまくって自分をヒーローにしないところがかっこいいからハッピーエンドになってほしい・・・でもバッドになってもそれはそれで・・・(洗脳済み)

10: SS好きの名無しさん 2018-11-30 02:50:14 ID: S:9Y5swP

頑張って下さい!

11: SS好きの名無しさん 2018-12-17 01:13:53 ID: S:Ocg7b4

あなたのssが生きがいの一つになってしまっています笑 ハッピーエンド期待してます!

12: 紅蓮のスライム 2019-01-02 12:24:57 ID: S:Vc8C-i

やっぱ...yazora氏の作品を...最高やな!

13: 真鱈 2019-01-06 09:05:06 ID: S:ILzTrX

ほんとすこ

14: 爆鱗竜式爆撃機 2021-01-20 21:35:21 ID: S:v1ybGd

自分が読んだssで一二を争う面白さです。ブラック鎮守府でしたが、主人公の頑張りで少し希望が見えるところが良いです。めっちゃオススメです。

15: SS好きの名無しさん 2021-03-28 05:34:29 ID: S:N-aGfn

めっちゃ良いです(語彙力喪失)
もう何年かかっても良いので
彼らにENDを…じゃないと
成仏出来ません…お願いします…


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