提督「最近、駆逐艦の子が膝に座ってくるんだが…」TAKE2!
ちょいとシリアスを混ぜつつほのぼのしてみたかっただけです
とある鎮守府の執務室
提督「・・・」カキカキ
文月「ねぇーねぇー!一緒に遊ぼうよー!」
提督「あ、あとでなぁ!あと肩に乗るな!」
卯月「プップクプー!しれいかぁ~ん~、ウーちゃんと遊ぶまで逃がさないっぴょ~ん!」
提督「静かにしろ!あと腰に巻き付くな!」
睦月「司令官~速くするにゃしぃ~!」
提督「わかってるよ!あと腕に抱き着くな!」
三日月「あの~、まだお仕事終わりそうにないですか・・・?」袖クイ
提督「えーっと・・・あと少しだから待ってて・・・」
望月「あのさ~、仕事もいいけど・・・私にも構ってかまって~」
提督「わかったわかった・・・って執務室に俺の布団を持ってきて寝るんじゃあないよ!」
水無月「おーい。ねぇ、ねぇねぇねぇ、ねーえーっ! あれ? 司令官、聞こえてないのかなぁ。……なんか忙しそうだ。仕方ない、ここで待ってようかな・・・」
提督「耳元で叫ばれたらいやでも聞こえるよ!あと膝に座るなぁ~」
弥生「・・・うらやましくなんか、ないです・・・」ギュウ
提督「え~と・・・なんかごめんね・・・」ナデナデ
弥生「はうぅ///・・・大丈夫・・・です」二ヘラ
如月「あらあら~皆迷惑かけちゃダメじゃなぁ~い」ギュウ
提督「うわっ///む、む、む胸を押し付けてくるなぁ~!」
長月「ふんっ、わが姉ながら情けない・・・」(あぁ!いいないいな!私も撫でられたいのに!)
菊月「まったくだ・・・少しは常識をわきまえてほしいものだな」(私の前で私の司令官とイチャイチャするなど・・・ここが貴様らの墓場だな!)
提督「あぁ、もう!取りあえず全員部屋から出ていってくれ!」
・
・
・
提督「はぁ、書類は終わったが・・・」
島風「ふふ~ん♪」
提督(島風が俺の膝の上から降りようとしない・・・)
提督「どうしてこうなった・・・」プルプル
提督「なぁ、島風。走りに行かなくていいのか?」
島風「うん、今はこうしてたいもん!」
提督「そ、そうか・・・」(やばい、膝が痛いぃぃ!は、速くおろさねば・・・)
提督「なんで今日はこんなに甘えてくるんだろうか・・・」
島風「提督、最近私に構ってくれないもん・・・」ボソッ
提督「え?なんだって・・・?」(なんだなんだ?すごい落ち込んでるが・・・)
島風「な、なんでもないよ!」(こんな弱い姿・・・見せられないよね・・・)
提督「なんでもないならいいが・・・なにかあったらちゃんと俺に伝えるんだぞ?」
島風(ダメだ・・・提督に甘えすぎたら・・・でもっ)
島風「提督・・・」ギュ
提督「へ!?」
島風「少し、こうしてたいな・・・」(今ぐらいは、この瞬間ぐらいは許してくれるよね・・・?)
提督「・・・かまわないよ。」(寂しいんだろうな・・・代わりと言っては何だが俺が様子を見てあげなきゃな)ナデナデ
こうして2時間が過ぎた・・・余談だが、提督の膝はパンパンになったとか
・
・
・
提督「うぅ・・・膝が痛い、まぁ、今回は良しとしよう!」
提督「なんせもうすぐ昼飯時!そして今日は大本営から間宮さんが来てくれているそうではないか!」
提督「間宮さんの料理のうまさは軍に所属しているもので知らないものはいないという・・・」
提督「そんな彼女の飯を今から食えるというのだ!そりゃあ気分もイイさ!」
提督「さぁて、もう食堂にいくとする・・・か・・・?」
提督「あ、足が動かない・・・?何故だ!」
提督「痛い痛い!まさか、日々の膝への過度な負担が今この瞬間にフィードバックしてきたというのか!?」
提督「ちくしょぉ!なんでいつもこうなんだ!」
提督「こうなればもう他力本願だ!誰か執務室に来てくれぇ~」
コンコン
提督(ふぁ!?まさか本当に来るとは・・・ご都合主義万歳!)
提督「入ってくれ!」
磯風「失礼するぞ司令。」
提督「今日の秘書官は磯風だったのか!」
磯風「ほう?さっきまでは覚えていなかったような物言いだな。」
提督「そんなことないぞ!そ、それより・・・足が痛くて食堂に行けないんだ!俺を連れて行ってはくれないだろうか!」
磯風「なにっ!?大丈夫なのか司令!」
提督「だ、大丈夫だ・・・」
磯風「食堂に何をしに行くんだ?」
提督「決まっているだろう、昼食を取りに行くんだ。」
磯風(だが、足の痛いと言っている司令を食堂に連れて行ったら余計悪化するかもしれんな・・・)
磯風「いや、食堂に行く必要はないぞ司令。」
提督「・・・へっ?」
磯風「私が司令の為に昼食を作りここへもってくる、だからおとなしく待ってるんだ。」
提督「で、で、でもさそんなの磯風に悪いじゃないか」(やばいやばい!このままじゃ間宮さんが!)
磯風「この磯風が作ろう。心配はいらない。」ムフン
提督(だが磯風おまえ・・・比叡と同じくらい料理ができないじゃあないか!TAMAGOYAKIという謎物体を量産するだけじゃん!)
磯風「待っていろ司令!すぐに戻ってくるぞ。」バタン
提督「待て待て待て待て!待ってくださいお願いします!!!」
提督「・・・」
提督「俺の人生もここまでか・・・」(遠い目)
・
・
・
磯風「さぁ、料理を始めよう!」
磯風「私は一応鳳翔さんから料理を教わっているのだ、失敗は許されん・・・」
磯風「それに鳳翔さんは言っていた、司令の胃袋をつかめばい、いつか私と司令が・・・///」
磯風「んん、いかんいかん!料理に集中しなければ!」
・
・
・
提督「What the hell's going on!?」
提督「はっ!・・・錯乱していた!」
提督「と、とりあえず逃げねば!」
コンコン
提督「げっ!」(なんでこんなタイミングで来るんだよ!ご都合主義くそくらえ!)
提督「・・・はいってくれ。」(えぇい!俺も男だ!覚悟を決めろ!)
磯風「料理を持ってきたぞ、司令。」
提督「あぁ・・・」(見た目は普通だぞ?)
磯風「さぁ、そこへ腰かけてくれ・・・と、動けないんだったな。肩をかそう。」
提督「悪いな磯風・・・」
磯風「構わないさ、ほら。」
提督「おっと、よっこらせ。」
磯風「んん・・・しょっ。」ストン
提督「・・・なぁ、磯風」
磯風「どうかしたか司令?」
提督「なんで膝の上に座るんだ!?」(痛い痛い痛い!俺足痛いって言ったよね!?)
磯風「こうした方が食べさせてあげやすいだろう?」キョトン
提督(可愛く小首をかしげやがって・・・)
提督「え?待て、今なんて言った!」
磯風「だから、私が司令に食べさせるとそういってるのだ!」
提督「いやいや、だから自分で食べれるって!」
磯風「・・・そうか」シュン
提督「・・・あ~でも足が痛くてなんだかんだで一人ではくえそうにねぇーわ!べーわまじべーわ!」
磯風「そ、そうか!ならしかたないな!」パァァァア
磯風「昼間はしっかりしたものがいいと思って唐揚げを作ってみたぞ!」
提督「おぉ・・・おいしそうだな。」(見た目は普通だ・・・よかった・・・)
磯風「本当か!?・・・そ、そのあ、あーん///」
提督「あ、あーん///」(どんな羞恥プレイだよ!)
磯風「・・・どうだ?」(美味しくないとか言われたらどうしよう・・・私・・・)ギュ
提督「・・・うまい、この唐揚げすごくおいしいぞ!」(う、嘘だろ!?いつの間に腕を上げたんだ!?)
磯風「ふっ、そうか。・・・やったぁ。」ボソッ
提督「ん?なんかいったか?」
磯風「何も言っていない、そんな事よりもまだまだあるからな!」
提督「あぁ、美味しくいただくとするよ!」
・
・
・
磯風「これで全部だな。」
提督「ふぅ~くったくった!」(意外なものだな、こんなにおいしくなるなんて)
提督「そういえば、なぜ急にこんなにうまくなったんだ?」
磯風「それは司令に食べてもらうために鳳翔さんに・・・あっ///」
提督「え・・・?///」
磯風「と、取りあえず片づけてくるからおとなしくしてるんだぞ!///」バタン
提督「・・・」
提督「本当に可愛いな・・・」
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・
提督「・・・それで」
時津風「しれーっ!しれーっ!」
雪風「しれーっ!しれーっ!」
提督「どうしてこうなった」
時津風「お仕事終わって暇でしょ~?一緒に遊ぼうよ!」
提督「いや、まだ終わってないから!・・・てかお前らこそ遠征はどうした!今日はお前らの日じゃあないか!」ガタン
雪風「ですが今回の遠征はとても遠くまで行かなければなりません、その間しれーにお会いできないのはとても寂しいんですよ!」
提督「まさかそれだけの為に休んだんじゃあないだろうな?」
時津風「それだけってなにさ!私達からしたら死活問題なんだよ!」
提督「おいおい、それじゃあ遠征部隊はどうなったんだ?」
雪風「おねーちゃん達が何とかしてくれるって言ってました!はいっ!」
提督「陽炎たちがか、まぁいい。俺はまだ仕事が終わってないんだ悪いが遊ぶのはまた今度に。」
時津風「え~!いいじゃんちょっとぐらい!」
雪風「そうですよぉ!息抜きだと思って、ね?」
提督「ダメなものはダメだぁ!さぁ、部屋に帰るんだ。」
時津風&雪風「「・・・」」ニヤッ
時津風「じゃあお仕事が終わるまでここで待つ~!」ストン
提督「んひぃ!?」(膝が!膝が痛い!)
雪風「お隣、失礼しますね!」ストン
提督「あひぃ!?」(やばい、感覚がなくなってきたぞ・・・それにこの体勢、非常にまずい)
提督(俺が足を広げて右足に時津風、左に雪風がまたがるようにして座っている・・・)
時津風「あははっ!変な声~!」
提督「お前らのせいだろ!」
雪風「さぁしれー!速く手を動かすのです!」
提督「やりずらいんだよ察しろ!」カキカキ
コンコン
提督「誰だろう、入ってくれ。」
憲兵「失礼します!」ガチャ
瞬間、提督は人間じゃ遠く及ばないスピードで足にまたがる駆逐艦の頭を自分の足に押し付け姿を隠した!な、なにを言っているかわからねぇーと思う
が俺も何を言っているかわからねぇ、ご都合主義とかそんなちゃちなもんじゃあ断じて(ry
提督「どうしたんだね憲兵君。」キリッ
憲兵「少々込み入った話がございまして。」
時津風「んーっ!」(なになに!何が起こっているの!?)
雪風「んん・・・んん・・・」(いい匂い・・・安心する・・・)
憲兵「はて、なにやら少女の声が聞こえたような気が・・・」
提督(しまった!)
提督「いやいや、気のせいであろう。それでその話とは?」(流石に苦しそうだし緩めてやろう・・・)
時津風「はぁ・・・はぁ・・・」
雪風「はぁ・・・はぁ・・・」///
憲兵「先ほど鎮守府の正門にて警備をしていたところ、駆逐艦朝潮と思われる者を発見いたしました。」
提督「朝潮?・・・他の鎮守府の娘か。」
憲兵「酷い有様だったので勝手ながらに手当てをし、話を聞いたところ舞羅久鎮守府(ぶらくちんじゅふ)の所属だと申しておりました。」
提督「舞羅久鎮守府か、艦娘をまるで使い捨ての紙を扱うがごとく戦果を挙げているクソ提督の鎮守府か」
憲兵「轟沈させた艦娘は数知れず。艦娘に暴行を加えたり、秘密裏に駆逐艦を売買しているという噂もございますね。」
提督「戦果はあっても艦娘を軽視しすぎだ、なぜやめさせられないのかが不思議だな。」
憲兵「証拠がないんですよ、暴行されているであろう艦娘達に聞いてみても怯えた顔で知らないとの一点張りですし。」
IN 机下
時津風「・・・艦娘に暴行、か」
雪風「思い出さなくてもいいんじゃないですか?前の鎮守府の事なんて。」
時津風「思い出しちゃうさ、だってあの時しれーが助けてくれたし・・・」
雪風「ふふっ、懐かしいですね。今雪風はとっても幸せです!」
時津風「・・・そうだね。」ナデナデ
・
・
・
憲兵「それで、駆逐艦朝潮をどうするかを提督殿に決めていただこうと。」
提督「ふむ・・・朝潮のけがの具合はどうだった?」
憲兵「・・・」
提督「心苦しいのはわかる、人ならざるものとはいえ少女なのだ。無理もない。だが、私が正確な判断を下すには明確な状況を知っている必要がある。」
憲兵「・・・敵艦から砲撃されたであろう痕が3ヵ所、硬い棒状で殴られたであろう場所が・・・8ヵ所です」
提督「・・・入渠はおろか敵からの傷より折檻で出来たであろう傷の方が多い、そういいたいのだな?」
憲兵「自分はっ!こんなことが許されていいだなんて思えません!我々の為に戦ってくださっている艦娘達がなぜこのような仕打ちを受けなければならないのか!」
提督「・・・」
憲兵「あ・・・す、済みません!急に声を荒げてしまい・・・」
提督「いや、君の気持ちが痛いほど伝わってきたよ。僕も同じ気持ちだ。」
憲兵「提督殿・・・」
提督「立場は違うが同じ思いを持つ者同士、一緒に頑張ろうじゃないか!」
憲兵「・・・ということはっ!」
提督「朝潮はこの鎮守府で保護しよう。」
IN 机下
時津風「しれー、強がらなくてもいいのに。しれーはいつも心で泣いてる」
雪風「昔から変わらないですね、しれーは!」
時津風「そこがしれーの美点だと思うことにしようかな~」
雪風「そうしましょう、鍍金の勇者に祝福あれっ!ですね」
・
・
・
提督「さて、工廠にいけば朝潮に会えるのか?」
憲兵「はい、ベッドにて明石さんに様子を見ていてもらっています。」
提督「そうか、保護者として挨拶ぐらいはしないとな。」
憲兵「では私もこのくらいで失礼いたします!」
提督「あぁ、報告助かったよ。」
憲兵「いえ、自分の仕事ですし意思でもありますから。」バタン
提督「・・・」
提督「はぁ、気がめいるなぁ。」ポリポリ
時津風「しれーはしれーだねっ!」もぞもぞ
雪風「しれーは優しすぎますよ!」もぞもぞ
提督「・・・お前らにはつらい話を聞かせてしまったな。」
時津風「べつにいいよ~同情されるのはめんどくさいだけだしね~。」
雪風「私達は気にしていませんよ!・・・でも、他の子には話を効かせない方がいいかもですね。」
提督「そうだな、これは俺達3人と憲兵、明石だけの秘密だ・・・いいな?」
時津風「は~い。」
雪風「わかりましたっ!はいっ!」
提督「それじゃあ工廠に行ってくるよ。」スタッ
時津風&雪風「「あっ・・・」」
時津風(もう少し座ってたかったなぁ・・・)
雪風(また、また今度座れますよね?)
・
・
・
提督「はぁ・・・これで何人目かな。」
提督(もともと俺は提督じゃない、ただの一般人だった。守られる側だった俺が今では日本の未来を担っているなんてな・・・)
提督(あんな出しゃばったことをしなかったら今の俺はなかっただろう、これでよかったという反面俺には荷が重いと感じている・・・)
提督「ここにいるんだよな・・・」
明石「提督・・・」
提督「明石、様子はどうだ?」
明石「・・・あまりいいとは言えませんね。私にはかろうじて心を開いてくれましたがやはり提督には・・・」
提督「そうか、ありがとう。」
明石「提督、無理はしないでくださいね。」
提督「・・・わかっている。」
提督(落ち着け、わかってる。皆同じなんだ・・・もう慣れただろう、覚悟を決めろ・・・)
提督「・・・」コンコン
「・・・どうぞ。」
提督「失礼する。」
朝潮「・・・っ!?」ビクッ
提督「ここの鎮守府で提督をやらせてもらっているものだ。・・・君は朝潮だね?」
朝潮「はい・・・」
提督(やはりだいぶ警戒されているようだな)
提督「・・・君の身の上は少しだけ聞いているんだ。」
朝潮「・・・」
提督「だから私は君の力になりたいと思っている。」
朝潮「・・・」
提督(無反応か、これは相当に参ってるな・・・)
提督「・・・うちの鎮守府は駆逐艦が多いんだ、なぜだかわかるかい?」
朝潮「・・・」フルフル
提督「・・・みんな君と同じような経緯でウチに着任しているからだよ。」
朝潮「・・・っ」
提督「駆逐艦だから替えが利く、駆逐艦だから無下に扱える・・・そう考えている鎮守府から私が皆を引き取ってきたんだ。」
朝潮「・・・おかしな人ですね。」
提督「・・・なんでそう思うんだ?」
朝潮「だって、私達は消耗品です。一回使われればもう用済みなんですよ・・・それをわざわざ拾い上げるなんておかしいじゃないですか。」
提督「・・・君の提督にそう教えられたのか?」
朝潮「いいえ、あの人は私達に仕事以外の事は話しませんし私だって聞きたくありません。」
朝潮「これは私が思ったことをそのまま口に出しているだけですから。」ジッ
提督(ふむ、わざと口調を強くして話すことで俺が怒らないかを確かめているな。)
提督「そんなことはない。君たちは消耗品でもなければものでもない、誇りだよ。」
朝潮「誇り?」
提督「あぁ、我々の為に命を張って戦ってくれているとても勇気のある娘達だと考えている。」
提督「勿論戦いたくないと思っている子もいるだろう、それでも私たちが行けといったら己を奮い立たせて戦ってくれている。」
提督「そんな君たちに対して私は畏怖を感じ、そして羨望を感じた。」
朝潮「私達に羨望をかんじるのですか?戦いの中でしか存在を許されない私達に?」
提督「あぁ、そうだ。」
提督「俺に君たちのような力があれば、皆を守ることができたならどれだけよかったことか・・・」
朝潮「口では何とでも言えますよ、そんな言葉は聞きたくありません。」
提督「そうだな、すまない。忘れてくれ・・・」
朝潮「・・・」
提督「それで、君のこれからの処遇だが。」
朝潮「・・・舞羅久鎮守府に返すのですか?」
提督「いいや、君はこの鎮守府で預かることになった。これからよろしく。」
朝潮「・・・そうですか、わかりました。」
提督(これは苦労しそうだな。)ハァ
・
・
・
提督「皆聞いてくれ、今日からこの鎮守府に着任したこの紹介をする。」
ざわざわ
ざわざわ
提督「はいはい皆しずかにー!・・・それじゃあ朝潮。」
朝潮「・・・朝潮です。」
シーン
提督「・・・それだけか?」
朝潮「えぇ、何か不満でも?」
提督「これから一緒に生活するんだ、なんかもっとこう・・・あるだろう?」
朝潮「どうせすぐお別れになりますから意味ないじゃないですか、私は部屋に戻ります。それでは・・・」スタスタ
提督「はぁ・・・やっぱりだめか。」
提督「取りあえず皆、仲良くしてやってくれ!」
ハーイ
叢雲「なによアイツ、感じ悪いわね。」
吹雪「もうっ!叢雲ちゃん、そんなこと言っちゃだめでしょ!」
望月「でもどこかの誰かさんもここに来た当時はあんな感じだったよね~」
叢雲「なっ・・・!///わ、忘れなさい!」
・
・
・
朝潮「・・・」
大潮「朝潮ちゃん!久しぶりだね!これで 八駆の仲間がまた増えたね!」
荒潮「あら~、しばらく見ない間にすっかりおとなしくなっちゃってるわね?」
朝潮「・・・」
満潮「なんとか言ったらどうなの?皆アンタの事を心配してるのに。」
朝潮「・・・さい」
満潮「・・・」
朝潮「かまわないでください、貴方たちに私の何がわかるのですか?良かったですねあなたたちは着任先に恵まれてて・・・」
霞「っ!」ガシッ
朝潮「・・・ぐっ!?」
大潮「ちょっと!霞ちゃん!?」
霞「アンタこそ私たちのなにを知っているっていうのよ!私達だってここに来る前は惨めさと悔しさだけをかみしめて生きてきた・・・その気持ちがわからないくせにアンタの気持ちだけ押し付けてこないでよ!」
霰「霞ちゃん・・・」
朝潮「ふ、ふふっ・・・あはは・・・」
霞「・・・なにがおかしいのよ!?」
朝潮「惨めさと悔しさだけをかみしめて生きてきた?・・・それがどうしたというのですか?」
霞「なん、ですって・・・っ!?」
満潮「・・・」
朝潮「はぁ、ここの司令官はやはり私の事を、舞羅久鎮守府でのことをみなさんに言ってはいないようですね。」スルスル パサッ
霞「っ!?なによ・・・その傷!?」
朝潮「敵からの砲弾と言いがかりの折檻でできた傷ですよ。砲撃はそこまでですが折檻は艦娘達に鉄の棒で殴られたので死にかけましたね。」
朝潮「私はこの身に絶望を刻まれています、それはとても深くそしてとても鋭利です。」
朝潮「ここの司令官もいずれあなた達の本当の価値をしってこのようなことをするかもしれませんね・・・楽しみです。」クスクス
霞「アイツはそんなことっ!」
朝潮「しない、ですか?ふふっ・・・そうだといいですね?」
満潮「・・・朝潮、すこし外で頭を冷やしてくるといいわ。」
朝潮「・・・そうですね、すこし外に行くとしましょう。」
バタン
大潮「朝潮ちゃん、昔は元気でいい娘だったのになぁ。」
荒潮「あんな卑屈なこになっちゃうなんてね~。」
満潮「全く、またアイツは訳アリの子を拾ってきて・・・」ハァ
霰「それを言えば、私達も元々、拾われた身・・・」
霞「気に入らないわね・・・!アイツ、本当にどうしたのかしら」
・
・
・
朝潮「・・・」
提督「よう、こんなところにいたのか。八駆の皆とはあったか?」
朝潮「・・・貴方ですか、ええ会いましたよ。会話したら追い出されました」
提督「・・・あの事をいったのか?」
朝潮「はい、あの子たちには知ってもらいたくて傷を見てもらいました。」
提督「なんてことを・・・あの子たちにも君のような過去を持っているといったはずだが?」
朝潮「私に比べたらそんなの優しい方ですよ。」
提督「あのな朝潮、皆そう言うんだ自分に比べればってな。」
朝潮「・・・」
提督「どんな方法で痛めつけられても皆等しく傷を負うんだよ、だから限度なんて関係のない事なんだ。」
提督「みんな朝潮と同じように傷ついてる、でもその反面彼女たちはいま未来に目を向けている。今の君との違いはそこだ。」
朝潮「・・・私は沈むのを待つだけの消耗品じゃないですか。」
提督「いつまでも自分の過去に甘えるんじゃない、君のつらい過去はこの鎮守府に来てもう終わったんだ。いい加減認めろ、お前は救われたんだ。」
朝潮「体の傷は治ろうと心までは治らない、私は救われていない。救われようとも思っていません。」
提督「ならどうして、ボロボロになりながらもこの鎮守府に来たんだ?」
朝潮「っ!?それは・・・」
提督「辛かったんだろう?苦しかったんだろう?・・・君は助かりたくてここにきたんじゃないのか?」
朝潮「・・・」
提督「沈黙は肯定だな。わかったよ朝潮、お前を助けてやる。」ナデナデ
朝潮「・・・・っ!?」
提督「落ち着け、安心しろ。ここのみんなは君の味方だ・・・」ナデナデ
朝潮(なんだろう、いままで感じたことのない暖かさを感じる・・・いつまででも甘えていたくなるような・・・)
朝潮「・・・・・・・・・」
提督(わかってる、君の辛さも苦しさも全部俺が請け負ってやる・・・だからもう救われてはくれないか?)
提督「・・・・・・・・・・」ナデナデ
朝潮「もう、いいですか?」バッ
提督「あぁ、そろそろ冷えてきたしな。部屋に戻って仲直りしてくるといい。」
朝潮「・・・そうですね、考えておきます。それと・・・」
提督「ん?どうした?」
朝潮「皆さんがあなたの事を好いている理由が少しわかった気がします。」ニコッ
提督「・・・可愛く笑えるじゃあないか。」
朝潮「それでは、失礼しますね。」
提督「・・・」
提督「・・・はぁ、さて次の問題だな。」
・
・
・
大淀「提督、舞羅久鎮守府より入電です。」
提督「あぁ、すまないな。・・・これは。」
大淀「どうかしたのですか?」
提督「いや、例の奴だ・・・」
大淀「また演習、ですか。」
提督「全く毎回毎回飽きもせず同じような手段を使いやがって。」
大淀「今回も人質ですか?」
提督「あぁ、演習を受託しないとむこうの鎮守府の駆逐艦を爆発炎上させ轟沈させるとのことだ。」
大淀「本当に全く同じですね、胸糞の悪くなるところまでそっくりです。」
大淀「しかも艦種は決まって駆逐艦、吐き気を催すほどのクズですね。」
提督「女の子がそんな汚い言葉を使っちゃいけません、というのも無理な話かこれは。」
大淀「というよりこの電報自体を大本営に報告すればよいのでは?」
提督「どうせ艦娘がやったといって責任を押し付けるのが関の山だろうな。」
大淀「それでどうするんですか提督?」
提督「受ける気はない。放っておけ。」
大淀「・・・」クスクス
提督「・・・と言いたいところだが、報酬が美味しいからな。受けるとしよう。」
大淀「提督に悪役は向いていませんね。全く、素直じゃないんですから」クスクス
提督「うるさいうるさい!とりあえず主力艦の娘達を呼んできてくれ!」
大淀「了解しました。ふふふっ」スタスタ
提督「まったく・・・」
提督(こちらが勝てば向こうの鎮守府の駆逐艦すべて、こちらが負ければ鎮守府のすべての艦娘を譲る、か)
提督(艦娘はものじゃないのにこういう賭け事のようなことをしなきゃいけない・・・くそがっ!)
提督「絶対に、勝ってやる・・・っ!」
・
・
・
朝潮(仲直りを考えるって言っちゃいましたし・・・)コンコン
いいよ~
朝潮「失礼します。」
満潮「・・・どうかしら?少しは考えれた?」
朝潮「はい、いろいろと助言も頂きました。」チラッ
霞「・・・」ムスッ
朝潮(しかしこれは強敵そうですね・・・)
朝潮「皆さんの気持ちも考えず自分の気持ちを優先させてしまってすみませんでした。」ぺこり
大潮「もうっ!いいって、気にしないでよ!」
荒潮「やっぱりいい娘のままだったわね~」
霰「もう、いいよ。」
霞「・・・」
朝潮「・・・」
満潮「・・・霞?」
霞「・・・勘違いしないで、これは艦隊の士気にかかわる事だから仕方なくよ!」
朝潮「・・・霞」
霞「許してあげるわ、ただし次はもうないわよ?いいわね?」
朝潮「・・・はいっ!」
満潮「全く、素直じゃないんだから・・・」
荒潮「あら~、それあなたがいっちゃうの?」
満潮「なによっ!私が素直じゃないってこと!?」
「「「「「あはははははっ」」」」」
満潮「ふんっ・・・///」
・
・
・
提督「みんな、こんな時間にすまないな。」
弥生「気にしなくて、いいです。」
霞「ふんっ!用事があるんならさっさといいなさいよ!」
島風「提督ー!こんばんは!」
秋月「秋月。ここに推参致しました。お任せください!」
春雨「春雨に…ご用なのですか?」
電「電の本気を見るのです!」
提督「集まってもらったのは他でもない、また例の奴についてだが・・・」
艦娘「「「「「「・・・・」」」」」」
提督(皆の目つきが変わった、心苦しいが続けよう・・・)
提督「対戦相手は舞羅久鎮守府の第四艦隊だ、場所はあちらの鎮守府の演習場で行う。明確な日時は追って連絡する!各自戦いに備えておいてくれ。」
霞「っ!?舞羅久鎮守府ですって・・・あの朝潮の?」
提督「・・・あぁ」
霞「いい機会ね、八駆のメンバーをひどい目に合わせたんだから締め上げてやるわ!」
提督(すこし機嫌がいい、朝潮と仲直りできたのであろうか?)
電「・・・舞羅久鎮守府、ですか。」
春雨「姉さん達・・・」ギュ
提督(そうか、この2人は舞羅久鎮守府に姉たちが・・・)ギリッ
秋月「照月、初月、待っていてね、今助けにいくから・・・」
提督(秋月の妹達までいるのか・・・どこまでも弄びやがってっ・・・!)
島風「もう、不幸な目に合う娘はみたくないかな~」
提督(いつもは自由奔放な彼女だが今は自分なりの考えで動いてくれている。)
弥生「・・・私にはみんながいる、から。大丈夫・・・・」
提督(皆を守るために立ち上がる姿勢、弥生は心が強い子だからな・・・)
提督「それでは解散!」
・
・
・
舞羅久鎮守府
舞提督「・・・きたか。」
暁「・・・」
響「・・・」
雷「・・・」
夕立「・・・」
時雨「・・・」
照月「・・・」
舞提督「貴様らには後日ウチの演習場で行われる演習に参加してもらう。」
暁「・・・」
響「・・・」
雷「・・・」
夕立「・・・」
時雨「・・・」
照月「・・・」
舞提督「ふん、返事もできんのか。駆逐艦のくせにいいご身分だな?」
暁「・・・はい」
響「・・・はい」
雷「・・・はい」
夕立「・・・はい」
時雨「・・・はい」
照月「・・・はい」
舞提督「朝潮の奴、鎮守府から姿を消しやがって・・・もしウチの事を外部に触れこんでいたなら即銃殺してやる・・・」
舞提督「まぁいい、もしもお前たちが勝てなかった場合・・・どうなるかわわかっているな?」ピッ
「いやっ!お願い!もうやめて!痛いっ!痛いっ!痛いよぉ・・・」ポロポロ
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」バキッバキッバキッバキッ
暁「・・・ぁ」ビクッ
響「・・・チッ」スッ
雷「・・・あぁ」ギュウ
夕立「・・・」ギリッ
時雨「・・・悪趣味だ」キッ
照月「・・・酷い」グッ
舞提督「こいつはあと数日もすれば死ぬ、だがお前らが絶対に勝つと、そう誓うなら演習より先にこいつをたすけてやろうじゃないか。粋な計らいだろう?」
響「・・・わかりました、必ず勝ちましょう。なので、早急に彼女を解放し手当てを・・・」
舞提督「話を聞いていたのか?私は誓えといったのだ・・・態度が違うだろう?」
響「っ!」
ジリリリン ジリリリン
舞提督「ちっ、邪魔が入った・・・もういい、速やかに部屋から出ていけ。」
時雨「待ってください!彼女を解放してください!」
舞提督「あぁ?知るか、気が変わったんだよ。お前らが勝ったら解放してやるよ、速く出ていけ!」
照月「そんな・・・」
夕立「行きましょう、彼女を救うためにもここにいてはいけないわ。」バタン
暁「・・・絶対に助けるからね。ごめんなさい・・・」ボソッ
雷「電は大丈夫かな・・・?」グスン
響「大丈夫さ、彼女が幸せに生きていてくれたら何よりだろう?」ナデナデ
時雨「いつまでこんなことをしなければならないんだ・・・」ダンッ
照月「・・・秋月姉」トボトボ
・
・
・
朝潮「みなさん、大丈夫でしょうか・・・」
朝潮「また誰かがひどい目にあわされてないといいんですけど・・・」
霞「アンタ、まだ起きてたの?」
朝潮「霞、えぇ眠れなくて。」
霞「私達、アンタが元いた鎮守府と演習するの。」
朝潮「えっ!?・・・」
霞「あんたさっき前の鎮守府の娘達の事心配してたでしょ・・・?」
朝潮「聞いていたのですか?」
霞「聞こえたのよ、たまたまね。」
朝潮「ふふっ、私って嫌なやつですよね。自分だけ逃げてきたのに都合よく残してきた娘の心配だなんて・・・」
霞「えぇ、全くね。私だったらそんなこととてもじゃないけど言えないわ・・・」
朝潮「・・・」
霞「でもさ、仲間は仲間でしょ?心配して何が悪いのよ!」
朝潮「・・・えっ?」
霞「確かにアンタは一人で逃げてきたのかもしれないけど、そのおかげでうちの司令官がアンタの鎮守府の娘を救ってくれるかもしれないんだから。」
朝潮「っ!?それはどういう意味ですか?}
霞「演習で私たちが勝てばあなたの鎮守府に居るお仲間さんたちをウチが引き取れるってことよ。」
朝潮「そんな!あの人がそんな約束守るわけがありません!」
霞「そうかもしれないわね・・・でも、うちの司令官はああみえて頑固だからねぇ。約束を守るまで追いかけ続けるでしょうね。」クスクス
朝潮「・・・」
霞「あんたの役目は終わったのよ朝潮、次は私達の番なんだから舞台袖にひっこんでなさい!」
朝潮「霞・・・」
霞「救って見せる!全部、全部、あの人が私にそうしてくれたように!」
・
・
・
提督「・・・何故だ、何故こうなる・・・」
提督「今は内輪もめしてる場合じゃないってのにっ!」
大淀「・・・提督。」
ジリリリリン ジリリリリン
提督「・・・はい、こちら因幡鎮守府執務室。」
「やぁ、元気してたかい?」
提督「っ!?・・・何の用だ?おまえとは話したくないんだが」
「そんなひどいこと言うなよ、親友」
提督「元親友の間違いだ、それだけの用事なら切るぞ」
「どうした、なにが気に入らないっていうんだ?」
提督「・・・さっきから後ろで聞こえてる悲鳴のせいだとは考えないのか、お前は?」
「・・・おっと失敬、折檻の途中だったんだ。」
提督「本当に悪趣味だな、お前のような奴がなんで提督なんかになっちまったんだろうな」
舞提督「ふふっ、少し待っていてくれ。」
提督「・・・」
舞提督「あぁ・・・待たせたね、これで集中できるだろう?」
提督「・・・それで何の用事だ、速く言え。クソ野郎」
舞提督「野郎とはひどいな、演習の日時を伝えに来ただけさ」クスクス
提督「不快だ、笑ってないでさっさと言えよ。」
舞提督「そう急かさないでよ、明後日のヒトサンマルマルに演習させる6隻を連れて舞羅久鎮守府に来てくれ。」
提督「そうか。」チンッ
大淀「・・・急に切ってよかったんですか?」
提督「あぁ、かまわないだろう。」
大淀「すごい剣幕でしたね、いつもながらビックリしました。」
提督「俺は好きなやつは好き、嫌いなやつは嫌いってはっきり言うようにしているんだ。」
大淀「・・・元親友だったんですか?」
提督「昔の話だよ、俺もアイツも一般の高校生だったころの話さ。」
大淀「・・・」
提督「あんな奴じゃなかったんだ、俺が提督になるのと同時に着任したそうだが・・・」
提督「倒すべき敵の一人にすぎない、気にするな。」
大淀「辛そうに、話しておられますね・・・・」
提督「お前には、そうみえるのか?」
大淀「はい・・・」
提督「ならそれは杞憂ってやつさ。さて、下準備に入るとしますか・・・」
・
・
・
「やった・・・今日は3分23秒も話せた・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」ポロポロ
「今日は気分がいい、これぐらいにしといてやる。さっさと部屋に戻れ。」
「痛い・・・痛い・・・」スタ・・・スタ・・・
バタン
「あぁ・・・明後日がたのしみだな、早く来ないかな。」
・
・
・
提督「今日、演習が行われる・・・みんな準備はいいか?」
弥生「はい・・・大丈夫、です。」
霞「ふんっ!いつだって行けるわ!」
島風「早く行こうよぉ!」
秋月「はい、大丈夫です。」
春雨「・・・準備できてます。」
電「なのです。」
提督「そうか・・・じゃあ行こうか。」
・
・
・
舞提督「やぁ、待っていたよ。提督殿」握手
提督「早く始めよう・・・」フイッ
舞提督「つれないなぁ・・・フフッ」クスクス
霞(コイツが舞羅久鎮守府の提督か・・・)ジッ
舞提督「・・・ふーん。」ギロッ
霞「っ!?」
舞提督「演習場に案内しよう、こっちだ。」ニヤッ
霞(感覚でわかった・・・コイツ、危険だ・・・すくなくとも正気じゃない)
提督「・・・」スタスタ
霞(他の皆も薄々気づいているみたいね・・・)チラッ
・
・
・
舞提督「ここが我が鎮守府の演習場だよ!この前も他の鎮守府の第一艦隊と演習をしたが圧倒的勝利を収めた・・・」
提督「話はいい、さっさと始めるぞ。」
舞提督「・・・了解した」ニコッ
提督「いや、ひとつ聞いていいか?」
舞提督「うんうん!何々?」
提督「本当に我々が勝てば、約束は守るのだろうな?」
舞提督「そのことか、信用無いなぁ・・・もちろん守るさ。」
提督「・・・それだけだ。」スタスタ
電「あ、あの!」
舞提督「なんだ?」
電「よろしくお願いします!なのです!」ぺこり
舞提督「・・・」スタスタ
電「・・・やっぱり、なのです。」
・
・
・
舞提督「久しぶりに顔を合わせれたなぁ!今日はいい日になりそう・・・」
舞提督「・・・それにしてもアイツ、なんか感づいたな。まぁ、いい。」
時雨(なんだ、今日はやけに機嫌がいい。なにかあったのだろうか?)
・
・
・
提督「作戦は以上だ、相手がどんな艦を出して来ようと決して戸惑うな。思うつぼだぞ。」
艦娘「「「「「「はいっ!!!」」」」」」
・
・
・
夕立「提督、作戦説明をお願いします。」
舞提督「作戦・・・?そんなものは不要だ。」
照月「そんなっ!無茶苦茶です・・・」
舞提督「相手はどうなってもいい、勝て。・・・覚えているだろう?彼女がどうなるかはお前たち次第だ。」
舞提督「あと今日の演習はちょっとした私からの贈り物がある、楽しみにしていてくれ。」ニヤニヤ
艦娘「「「「「「・・・はい」」」」」」
・
・
・
演習場
神通「これから因幡鎮守府と舞羅久鎮守府の演習を始めます。両艦隊配置についてください。」
提督「準備、完了しました。」
神通「はい。」
舞提督「問題はない。」
神通「わかりました。」
神通「・・・では、戦闘開始!」
・
・
・
電「電の本気を見るのですっ!」
秋月「単縦陣で切り込みをかけます!」
春雨「はい、隊列に問題はありません。」
島風「ん~、まだ敵艦はみえないよ~」
霞「・・・」
弥生「霞、考え事してる?」
霞「ちょっとね・・・」
弥生「・・・気を付けてね。」
霞「・・・えぇ、わかっているわ。」
・
・
・
夕立「・・・単縦陣でいくっぽい。続いて。」
時雨「あぁ。」
照月「暁ちゃん、大丈夫?」
暁「えぇ・・・」プルプル
響「暁、集中するんだ。大丈夫、私が守る。」
雷「敵影はないわ、落ち着いて進みましょう。」
・
・
・
電「・・・少し、ペースをあげます!」
弥生「問題ないです。」
霞「えぇ、ついていくわ!」
春雨「大丈夫です!」
秋月「島風ちゃんペース上げすぎ!列に戻って!」
島風「すこしくらい大丈夫だよ~!・・・っ!敵影発見したよ!」
電「っ!行きましょう!」
秋月「向こうも気づいたわね・・・」
夕立「・・・先手必勝ぽいっ!」ドン
霞「あの距離で撃ってきた!?」
弥生「っ!島風避けて!」
島風「そんな攻撃当たるわけないじゃん!」miss
春雨「・・・そんな、なんで。」
霞「春雨、どうかしたの!?」
春雨「さっきの砲撃は・・・夕立姉さん・・・なの・・・?」
夕立「・・・もっと近づかなきゃ当たらないっぽい!」
時雨「まって夕立、なにか様子がおかしいよ。」
夕立「・・・あいての陣形がすこし崩れてるっぽい」
時雨「っ!?あの顔は・・・もしかして春雨!?」
夕立「!なんですって!?」
時雨「・・・っ贈物ってのはこういうことか!」
夕立「なんてこと・・・妹を、討てというの?」
時雨「・・・アイツ」ギリィ
電「やられてばかりじゃないのですっ!」ドンッ
響「っ!来るよ、避けて!」
暁「・・・当たらないわっ!」miss
雷「敵の砲撃ね、何処からかしら・・・」
響「敵艦隊の旗艦だろう、ほらあそこ・・・に・・・」
暁「あぁ・・・そんな・・・こんなことって・・・!」
雷「あれは・・・もしかして・・・電、なの!?」
電「外したのです・・・ですが威嚇にはなったのです!後ろの隊列がみだれ・・・て・・・」
秋月「どうかしたの?電ちゃん?」
電「あ、あの帽子は・・・それにあの髪型・・・そんな・・・」
秋月「顔色悪いわよ?・・・帽子に髪型がどうしたの?」
電「あれは・・・あれは、電のお姉ちゃんたちなのです!」
秋月「・・・なんですって!?」
ドーン!ドーン!
秋月「くっ!どんどん撃ってくる!!なんだか春雨ちゃんや電ちゃんに当たらないように砲撃されている気が・・・」チラッ
ドーン!ドーン!
照月「おかしい、向こうの砲撃は何故か暁ちゃんたちや夕立ちゃんたちを避けて撃っているような・・・」チラッ
秋月&照月「「っ!?」」
秋月「照月!?まさか演習に参加していたというの!?」
照月「秋月姉が参加していたなんて・・・贈物っていうのはこういう事だったのですね・・・っ」
・
・
・
春雨「夕立お姉ちゃん、時雨お姉ちゃん・・・」
夕立「春雨、元気そうでよかったっぽい。」
時雨「大きくなったね、春雨。」
春雨「私は、二人と戦いたくないです!大切なお姉ちゃん達だから!」
夕立「・・・それはできないっぽい」
春雨「っ!なんでですか!?」
時雨「・・・人質がいるんだ、僕たちが負けるようなことがあれば彼女は殺されてしまう!」ギリッ
春雨「そんなっ!酷いっ!」
夕立「・・・」
春雨「でも、司令官さんならお姉ちゃんたちを助けてくれます!」
時雨「・・・春雨の、司令官がかい?」
春雨「はいっ!今回の演習の目的はこの鎮守府の駆逐艦を救うことにあるのです!」
夕立「どういうこと?」
春雨「・・・この演習で因幡鎮守府が勝利した場合、お姉ちゃんたちを含む駆逐艦を因幡鎮守府が引き取るということです。」
時雨「なんだって!?そんな話きかされてないよ・・・」
夕立「おおよそ、夕立たちがわざと負けようとしないためにあえて教えてなかったってところかしら。」
時雨「・・・あのクズ(舞提督)が考えそうなことだね!」ギリィ
春雨「なので、今すぐ降参してください!そうすれば・・・」
夕立「それはできないっぽい、人質を見殺しにはできないっぽい。」
春雨「・・・安心してください、たぶん今頃司令官さんが手を打ってると思いますよ。」
時雨「春雨、なんでそんなことがわかるんだい?」
春雨「慣れてますから・・・」
・
・
・
電「お姉ちゃん達!止まってください!」
暁「っ!いやっ!いやっ!電!戦いたくないよぉ・・・」
雷「大丈夫、大丈夫よ暁。」ナデナデ
響「・・・久しぶりだね、電。」
電「・・・降参してほしいのです、そうすればお姉ちゃんたちは助かるのです!」
響「助かるだって?・・・その反対さ、負ければ人質は殺され私たちは折檻されなければならない・・・」
電「安心してほしいのです!電の司令官が手を打ってくれているのです!」
雷「・・・手を打つって?」
電「今頃人質の娘は救出されているってことです!」
響「それはいいことだが、負ければ折檻が・・・」
電「え?・・・演習の報酬を聞かされていないのですか?」
雷「えぇ、何も聞いていないわ。」
電「チッ・・・胸糞悪いのです。」
響「・・・昔の君はそんなこと言うような娘じゃなかったけど。・・・今の司令官の影響かな?」
電「いいえ大淀さんです。それより、報酬の話です」
電「この演習で因幡鎮守府が勝利した場合、お姉ちゃんたちを含む駆逐艦を因幡鎮守府が引き取るという報酬なのですが。聞き覚えはないのですか?」
響「なんだって!?聞いてないよ、そんなこと・・・」
雷「な、なら降参しましょう?またみんなで一緒に暮らせるのなら・・・!」
響「っ、いや、ダメだ。アイツがそんな約束を護る筈がない!」
響「電、悪いけど少し眠っていてくれないか?」チャキ
電「っ!?お姉ちゃん!!」
響「・・・許してくれ、みんなを守るためなんだ・・・すまない・・・すまない・・・」
暁「もうやめてっ!お願い!撃たないで!」ガシッ
響「暁っ!?離すんだっ!私だってつらいんだ!」
暁「いや、もういやよ、仲間が傷つくのは見たくない!」
響「・・・暁」
雷「信じてみましょう?電の司令官を・・・」
暁「うぅ・・・うぅ・・・」ポロポロ
響「・・・わかった・・・信じよう。降参するよ、電。」
電「お姉ちゃん!」ダキッ
暁「電!」ギュウ
響「・・・電。」ギュ
雷「電ったら、大きくなって・・・」ナデナデ
・
・
・
照月「・・・秋月姉、退いてください。」
秋月「できないわ。」
照月「お願いします・・・みんなを助けるためなんです!」
秋月「なら尚更退けないわ!」
照月「何故ですか!秋月姉はそんなことしない人だったのに!」
秋月「大丈夫、事情はだいたいわかっているわ。」
照月「秋月姉は何にもわかってない!そんなこと言っている場合じゃ・・・」
秋月「照月。皆を救いたいのならまずは周りを見渡すことね。」
照月「何を・・・」
秋月「皆和解しているわ、あとは私達だけよ。」
照月「夕立、時雨・・・暁たちまでっ・・・」
秋月「皆はここに戦いに来たんじゃないの。助けに来たのよ。」
照月「どういうことですか?」
秋月「私達がこうして行っているのは形だけの演習。所謂時間稼ぎ。」
照月「時間稼ぎ、ですか?」
秋月「えぇ、貴方たちの人質を提督が助けるまでの時間稼ぎ。」
照月「っ!?なんでそこまで・・・」
秋月「私達の提督は・・・たらしですから!」
・
・
・
弥生「皆うまくやったね・・・」
霞「えぇ、あとはアイツの仕事よ。」
弥生「今回も大丈夫だよね・・・?」
霞「・・・そうじゃないと私たちの頑張りが無駄になるわ。あいつはそんな事絶対にしない。」
霞「信じましょう、私達の司令官を。」
弥生「そう、だよね・・・」ギュ
霞(うまくやりなさいよ・・・待ってるから)ギュ
・
・
・
大淀「・・・提督、警備は正面玄関に駆逐艦2隻。玄関、通路に戦艦級がそれぞれ一隻ずつ配置されていました。」
提督「・・・なるほど、必要以上に厳重だな。見られたら困る物があるっていう証拠だ。」
大淀「申し訳ありませんが中の様子まではよくわかりませんでした。」
提督「構わない、何とかなるさ。それよりも彼女への協力は取り付けることができたか?」
大淀「はい、いつも通り。今まで入手した上層部の暗部についての資料で釣れました。」
提督「いい表現だ、悪くない。」
大淀「集合場所はあの時計台の下です。」
提督「そうか、じゃあ隙を見計らって抜けるか。」
・
・
・
神通「・・・では、戦闘開始!」
大淀「始まりましたよ提督!・・・提督?」
提督「・・・・あのクソ野郎っ!どこまで腐ってやがるんだ!!!!!!!!!」ガンッ
大淀「・・どうか、なされたのですか?」
提督「・・・・・あれを見てみろ、吐き気がする、、、エチケット袋は必須だぞ。」
大淀「・・・此方の艦隊に合わせた姉妹艦を出してきていますね。」
提督「感想はどうだ?」
大淀「最悪の気分ですね、反吐が出そうです。」
提督「その通りだ大淀。だからこそ潰して気分を晴らすぞ」
大淀「えぇ、徹底的に潰して(助けて)きてくださいね♪」
大淀「あっ、あとコレ一応持って行ってください。」
提督「・・・これか。俺も準備だけはしてきたんだけど?」
大淀「念のため・・・ですよ。」
提督「・・・わかった」
・
・
・
舞提督「はじまったはじまった」クスクス
舞提督「さぁて、あの人はどんな顔してるかな~?」
舞提督「喜んでくれるかなぁ?それとも・・・うふふ・・・」
・
・
・
提督「・・・またせたな。」
青葉「いえいえ!私も今きたばかりですし気にしないでください!」
提督「そうか、ならよかった。じゃあ行くとしようか・・・」
青葉「・・・いつにもまして険しい顔をされていますが大丈夫ですか?」
提督「・・・これが大丈夫だと思うんなら作戦前に入渠してくることを勧めるぞ?」
青葉「おぉ、怖い怖い!」クスクス
提督「・・・いつも通りに頼むぞ。」
青葉「勿論ですよ!この青葉にお任せください!」
提督「じゃあ先陣切ってくる。」スタスタ
青葉「ご武運を~!」フリフリ
提督「はぁ~」
・
・
・
正面玄関
提督「ここか・・・」
陽炎「・・・」
不知火「・・・」
提督「情報通りだな・・・」
提督「さて、どう切り抜けようか。」
提督「・・・取りあえず行くか。」
不知火「そこの者、止まりなさい。これ以上進むことは舞羅久提督の命令により許可できません。」
提督「そうか。」
不知火「そういう事ですのでお戻りくだされば助かるのですが?」
提督「悪いがそういうわけにはいかないんだよ。」
陽炎「・・・なんでそこまでして鎮守府に入りたがるの?」
提督「愚問だな陽炎、心当たりがあるんじゃあないか?」
陽炎「なぜ私の名前を!?」
提督「君の妹たちから聞いたんだ、とても頼れる優しい姉だとね。」
不知火「・・・」
陽炎「そう・・・あの子たちは無事なのね?」
不知火「姉さん・・・」
陽炎「あなた、あの子たちの司令官なの?」
提督「あぁ、因幡鎮守府で共に戦っている。」
陽炎「そう、そうなのね・・・」
不知火「あなたの目的は・・・?」
提督「人質を助けに来た。それと、ここの提督の鼻ずらをぶん殴る事だ。」
陽炎「・・・悪いけど、私達はココを簡単に通すわけにはいかないの。」
不知火「本当は協力したいのですが立場上難しいです。」
提督「安心しろ、お前たちは何も悪くないよ。」
提督「お前たちは応戦したがやられてしまった可哀想な娘になるからだ!」スッ
不知火「・・・っ!?まさか私達艦娘と戦おうというのですか・・・?」
陽炎「危険よ・・・だって普通の人と私達では力の差が・・・っ!」
提督「舐められたものだな、こう見えても高校生の時はキックボクシングで大将はってたんだが?」
陽炎「・・・それだけじゃないでしょ?私達と同じ・・・何回も死地に赴いている目をしているわね?」
提督「・・・ご名答だっ!!」シュッ
不知火「・・・っ!?早い!」スッ
提督「・・・避けたか、流石は艦娘。」
陽炎「あらっ?忘れられては困るわね!!」バッ
提督「っ!・・・グゥ!!」ドカァ・・・
陽炎「手加減はしてあげてるわよ?・・・降参する?」
提督(向かいの木まで飛ばされた・・・やはり手強いな・・・使うしかないか・・・)バサッ ゴソゴソ
提督「・・・いいや、まだだ。」ギュ・・・ユラ
不知火「・・・なんでそこまでして」
提督「自己満足だよ・・・目の前の娘を救いたいっていうね!」ダッ
・
・
・
陽炎「ハァ・・・ハァ・・・」
提督「ハァ・・・ハァ・・・」
不知火「姉さん・・・因幡提督・・・もうやめて下さい!」
提督「俺だって・・・やめたいさ・・・そこを通してくれるんなら、話は早い・・・」
陽炎「それが・・・できないから・・・こうして戦ってるんでしょ?」
提督「そうか・・・なら続きといこうか?」
陽炎「えぇ、始めましょう?」
提督「っ・・・はぁ!」
陽炎「ぐ・・・いい蹴りね、でも・・・」ブン
提督「オワッ・・・!?」
陽炎「基礎から違うのよ・・・鍛え方がね。」
提督「艦娘だから無理な鍛え方ができるってことか・・・」
陽炎「・・・あそこで学べたのは理不尽な強さだけよ。私たちの・・・どうしようもなく強い力だけ・・・」
提督「だろうな、それが原因で今からお前は負ける。」
陽炎「・・・どういう意味?私が負ける?あなたに・・・?」
提督「そういったんだよ。力だけで押し通すことしか教えられていないんだから・・・」グッ
陽炎「ふーん?今立っている私と地面に倒れているあなた・・・どっちが有利でしょうね」
提督「迷いなく答えてやるよ・・・俺だっ!!!」グイッ
陽炎「何を・・・グッ・・!?」バチバチ
提督「こんなに早く使ってしまう羽目になるとは・・・大淀に感謝だな」
陽炎(こ、これは・・・スタンガン?・・・なぜこちらに飛んできたの・・・!?)
提督「ふぅ、あらかじめ軍服の懐に忍ばせておいた糸とスタンガンを木に結んでおいた・・・」
提督「引っ張れば此方に飛んでくる仕掛けでな・・・悪いがすこし眠っていてもらうぜ・・」
陽炎「ふ・・・ふふ・・・私の、まけ、ね・・・」バタン
提督「すまない・・・悪いことをしたな・・・陽炎。」ナデナデ
不知火「不知火は・・・警戒しないのですか?」
提督「あぁ、警戒しなければならないなら俺はとっくにやられているだろうからな。」
不知火「・・・そうですか。」
不知火「・・・これから私は陽炎の看病をしなければなりません。なので私はあなたの事なんて知りません。」
提督「・・・不知火にも迷惑をかけるな。」
不知火「いえ、気にしないでください。あなたのような人に会えた、それだけで十分ですよ。」
不知火「さぁ、先に行ってください。」
提督「・・・あぁ。絶対に救ってやるからな」スタスタ
不知火「・・・姉さん。」
陽炎「・・・もういった?」
不知火「えぇ・・・。」
陽炎「いや~しかし一本取られたなぁ~。スタンガンかぁ」
不知火「でも私達にはあまり効きませんよね?どうしてやられたフリなんかを?」
陽炎「そうね・・・惚れたからかしら?」クスッ
不知火「・・・///」
陽炎「それに勲章のついた軍服まで私に掛けていくなんて・・・優しいんだから。」
不知火「でもこの先は・・・戦艦の人たちがいます。私たち以上に・・・」
陽炎「大丈夫よ、信じましょう?」
不知火「・・・そうですね。」
・
・
・
提督「・・・これからはあんな手は使えない、もっと慎重に行動せねばな。」
提督「青葉の奴は大丈夫かな・・・」
武蔵「人の心配をする余裕が貴様にあると思うか?侵入者君。」
提督「さっそくきたか戦艦様?」
武蔵「武蔵と呼んでくれ、それに今の私は誇れるようなことをしていない。戦艦様なんて呼ぶのはやめてくれないか?」
提督「すまなかった。自覚があるんならそこを退いてもらえると嬉しいんだがね?」
武蔵「悪いがそれはできないんだ。」
提督「人質か?」
武蔵「・・・知っているのなら何故退かない?」
提督「助けに来たからさ。」
武蔵「ほお?じゃあ貴様は私達を助けるために表にいたであろう駆逐艦二隻を鎮圧してきたのか?」
提督「・・・その通りだ。」
武蔵「ならば話は早い。私も同じようにすればいいだけだ。」グッ
提督「やっぱりそうなるか。もっと隠密に進めたかったんだけどな。」スッ
武蔵「構えは初心者じゃあないな。駆逐艦を倒したということは腕もそこそこだろう・・・だがしかし。」スッ
提督「・・・っ!?」(消えたっ!?)
武蔵「私は一味違うぞ?」ブンッ
提督「うっ!?・・・がはっ!・・・う、え・・・」(下からだと!?)
提督(なんだ今の拳は・・・見えなかった・・・あばらも確実に2、3本は持っていかれてる・・・!これが戦艦・・・勝てるのか?俺・・・っ!?)
武蔵「なんだ、もうギブアップか?駆逐艦を倒したというから少し気合いをいれたものの・・・ダメだな。」
提督「ハァ・・・ぐぅ・・・」キッ
武蔵「はぁ、ダメだな。睨めつけるだけじゃ私には勝てんよ。」
提督(どうする・・・道具は軍服の中だ、陽炎たちのもとへおいてきた以上使えない。かといっていまのおれじゃ武蔵に勝つことはできない・・・)
武蔵「ここらへんで終わりにするか・・・?」グイッ
提督「う・・・ぐ・・は、なせ・・」
武蔵「情けない・・・先ほどの勢いは何処へ消えたんだ?やはり口から出まかせか・・・?」
提督「っ!?・・・ち、がう!」バシッ
武蔵「・・・ほう、やるじゃないか?あの状態からにしてはいい蹴りだ。」バッ
提督「ぐ・・・!?ハァ・・・ハァ・・・」
提督(もう・・・だめだ・・・体に力が入らん・・・)
武蔵「だがもう限界みたいだな。お前は終わりだよ。」
「あなたっておそいのね!」タッタッタ
武蔵「っ!?なんだ・・・誰だ貴様?」
提督「お前、は・・・島風・・・」
島風「提督を助けに来たよ・・・」
提督「お前・・・演習は・・・どうしたんだよ・・・」
島風「皆が任せてって・・・提督を頼むって・・・そう、言ってくれたから・・・」
提督「・・・」
武蔵「なかなか感動的な話だな、お前はよっぽど慕われているのだろう・・・」
武蔵「私もお前のような提督のもとに行きたかったよ・・・そうすれば胸を張って戦艦と名乗れただろうから・・・」
島風「提督に手出しはさせない!」バッ
武蔵「私相手にそこまで言い切ったんだ、相手してやる。ソイツの事はもうどうでもいい。」グッ
提督「っ!?武蔵・・・お前・・・」
武蔵「ふん、勘違いするなよ?もう勝負のついた相手になど興味はないってことだ。どこへなりとも好きにいくがいい。」
提督「・・・そうか、すまない。」
武蔵「礼をいわれる筋合いはない。速く行け。」
島風「・・・提督、頑張ってね。」
提督「あぁ・・・頼んだぞ、島風・・・」スタ・・・スタ・・・
島風「・・・じゃあ始める?」
武蔵「・・・・いいや、私はお前と戦う気はない。」
島風「いいの?後でお説教食らうかもしれないよ?」
武蔵「私はココを通ろうとするものを排除しろとしか命令されていないからな。お前と戦う意味はないし怒られる通りもない」
島風「あははっ、いいねそれ。」
武蔵「そうか・・・?ならよしとしよう」クスッ
・
・
・
提督「し、島風のためにも・・・はやく見つけなくてはっ!」スタッ・・・スタッ・・・
大和「・・・止まってください。」スタッ
提督「・・・やっとご対面か・・・日本の誇る超弩級戦艦、大和型一番艦・・・大和!!」
大和「その名で呼ばないでください。今の私にはそう呼ばれる権利はありません。」
提督「やはり武蔵と同じことを言うのか。」
大和「・・・そういえば武蔵はどうしたのですか?玄関に配備されていたはずですが・・・?」
提督「今、俺の仲間が命がけで闘ってくれている!俺には時間がないんだ!そこを通してくれ!」
大和「・・・それはできません。貴方はここで終わりなのですから。」
提督「俺を・・・殺すのか・・・?」
大和「えぇ、あくまでここを通ろうとするのならばですが・・・」
提督「・・・そうか。じゃあそこを通らせていただこう。」
大和「なっ!?話を聞いていましたか!?ここを通ろうとするのなら殺すと言っているのですよ!?」
提督「構わない!この命が君たちの生きる糧となるのならば・・・っ!」スタッ・・・スタッ・・・
大和「お願いします・・・止まってください・・・そうすれば・・・殺さなくて済むんです・・・そんなボロボロになってまで何故進むのですか!?」
提督「助けるって約束したからだ・・・君たちの仲間に・・・!朝潮に!」
大和「朝潮さん・・・っ!?無事だったのですか・・・よかった・・・」ポロポロ
提督「だから頼む・・・そこを退いてくれ・・・その先にある物を証拠としてここの鎮守府の提督を追い出すために・・・っ!」
大和「で、ですが・・・っ!」
提督「たのむ・・・もう身体が持ちそうにないんだ!そうなる前に証拠を・・・!」
大和「私は・・・私は・・・!」
提督「一度だけでいい・・・その大和魂を見せてくれはしないか・・・?」
大和「・・・大和、魂・・・」
大和「わかりました・・・通しましょう。」
提督「・・・っ!本当か!?」
大和「ただし、私も一緒に行きます。ほら・・・肩かしますよ。いつまでも壁にもたれ掛かってちゃカッコ悪いですよ?」ニコッ
提督「すまないな・・・大和・・・」
大和「・・・これが私のあり方ですよ提督。」
提督「そうだな・・・誇りに思うよ。大和・・・」ピッ
・
・
・
大和「ここです・・・」
提督「なんだこれは・・・こんな部屋が鎮守府にあることを何故容認できる!?」グッ
大和「・・・折檻を受けたり、新型兵装の的にされたり・・・とても言葉に出せないようなことまでされました・・・」
提督「・・・」ギリッ
大和「・・・入り、ますか?」
提督「・・・あぁ。大和は外で待っていてくれ」
大和「・・・わかりました。」
提督「いってくる・・・」ギィィィ バタン
・
・
・
提督「悪趣味な拷問道具が並んでいる・・・中には火あぶり用のバーナーまで・・・っ!!」
提督「・・・血の匂いがするし周りも血痕や肉片だらけだ・・・」
提督「あのクソ野郎・・・絶対に許さねぇ・・・」
ガチャ・・・ガチャ・・・
提督「鎖の音がするぞ、人質か?」
提督「むこうか・・・」スタスタ
ガチャ・・・ガチャ・・・
提督「ここからか・・・しかしこの扉、どうやって開けようか・・・」ガチャガチャ
提督「あかないな・・・どうするか・・・」チラッ
バーナー「よく燃えるぜっ!!!」
提督「・・・これつかうか。」
提督「えー、コホン・・・燃えろやぁぁぁぁ!!!」ボーッ
提督「・・・よし、はいれるぞ。」ガチャ
提督「・・・ん、暗いな・・・」
「痛い・・・痛い・・・皆・・・」ガチャ・・・
提督「・・・そんな・・・きみはっ!!」
初霜「うぅ・・・皆・・・」ガチャ
提督「初霜!しっかりしてくれ!!」
初霜「痛い・・・痛いよ・・・」
提督「初霜・・・」ナデナデ
初霜「だ・・れ?」
提督「初霜・・っお前まさか!!!」
初霜「・・・どこ・・・誰っ!?・・・」
提督「目が・・・見えないのか・・・!?」
初霜「・・・熱した鉄の棒を押し当られて・・・瞼の皮が溶けて張り付いちゃいました・・・」
提督「なんで・・・なんでこんなひどいことをっ!!!」
初霜「怒って・・・くださるのですか?見ず知らずの私のために・・・」
提督「見ず知らずじゃないよ・・・君とは一回あっているんだ・・覚えていないかな?」
初霜「ごめんなさい・・・記憶が曖昧で・・・」
提督「・・・雪風達を引き取りに来た時の司令官だ」
初霜「そう・・でしたか・・・彼女たちは元気ですか?」
提督「あぁ・・・元気だよ・・・いまじゃすっかり傷がいえている・・・」
初霜「そうですか・・・よかったです。ちょっとうらやましいですね・・・」
提督「あの時俺が君も連れて行っていたならばこんなことにはっ・・・!!」
初霜「いいんですよ・・・あの時は雪風達の方が大変でしたし。」
提督「今から君を助ける・・・瞼もうちの鎮守府で直ちに治療するからっ!!」
初霜「・・・」
・
・
・
提督「くっそ・・・!この鎖・・・案外硬いぞ!!!」グググ
初霜「・・・もういいですよ、このままじゃあなたが捕まってしまいます。」
提督「そんなこと君は心配しなくていい!・・・あと少し!!!」ガチャガチャ
初霜「・・・」
ガキン
提督「よっしゃ!・・・っと」ダキッ
初霜「あ・・・///・・・暖かい・・・」ギュ
提督「もう大丈夫だ、安心してくれ。」ナデナデ
初霜「うぅ・・・あ・・・グスッ・・・」ポロポロ
提督「よく頑張った、皆心配している。はやく戻ろう・・・」
「おっと、何処へ行くつもりだい?」
提督「チッ・・・なんでお前がここにいるんだ?」
舞提督「なんでって・・・ここは私の鎮守府だよ?居て当然じゃないか。」クスクス
提督「ふん、安心してくれ。この鎮守府はもうすぐお前のモノじゃなくなるからな。」
舞提督「・・・まぁ、なんでもいいさ。それよりも・・・」ギロッ
初霜「・・・」ビクビク
舞提督「なんでお前が・・・お前ごときが・・・頭を撫でてもらっている・・・・っ!!!!!!!!!」
初霜「ひぅっ・・・」ギュ
提督「・・・」サッ
舞提督「私ですら撫でてもらったことがないのに・・・私から彼を奪ったお前らがなんで・・・っ!」
提督「それ以上近寄るな・・・ゲスが・・・」
舞提督「そこどいてよ・・・ねぇ・・・お願いだから。」
提督「昔のお前はそんな狂暴じゃなかったのにな。」
舞提督「こんな私にしたのは君じゃないか!」
提督「どういうことだ・・・?」
舞提督「わからない?わからないの?こんなにも私は苦しんできたのに・・・?本当に・・・?本当の本当の本当に?」
提督「・・・」
舞提督「・・・へぇ、そうなんだ。」
舞提督「きっと艦娘がわるいんだ・・・それで君はおかしくなってるんだよ・・・」
提督「・・・おい?」
舞提督「あははははっ!!!そうだ!そうだよ!なら・・・早くそこのやつをコロシテ正気に戻さなきゃ!」
提督「何言ってんだよ!?・・・正気かお前!?」
舞提督「正気だよ、むしろ君がおかしいんだ。まっててね、もうすぐで高校生の時のようになるから・・・」
初霜「・・・」ギュウ
提督「チッ・・・逃げるぞ・・・つかまってろよ・・・いくぞっ!!!」タッタッタ
・
・
・
舞提督「あははっ!鬼ごっこかい?ずいぶん久しぶりにやるけど楽しいもんだね?」くすくす
提督「はっ、お前とは二度とやりたくないね!」バンッ
大和「提督!?大丈夫ですか!?」
提督「大和こそ、あいつに殴られたんじゃないか・・・その傷・・・」
大和「私は大丈夫です!それよりも早く初霜ちゃんを!!」
提督「っ、すまない!」ダッ
初霜「大和さん・・・」
大和「・・・初霜ちゃん、今度は助けるから・・・」
ガンガンガンガン
舞提督「おい、そこをどけ。」
大和「お断りします!」
舞提督「また殴られたいのか?艦娘風情がっ!!!」
大和「大和、推してまいります!」
・
・
・
提督「初霜、大丈夫か?」
初霜「はい・・・提督こそ重くないですか?」
提督「大丈夫さ、むしろ軽いぐらいだよ。」
初霜「そうですか・・・」ギュっ
提督「もうすぐ外だ!」
・
・
・
提督「はぁ・・・はぁ・・・」
初霜「ごめんなさい・・・私のために・・・」
提督「いや、構わないよ。」
武蔵「・・・帰ってきたか。」
島風「提督はっやーい!」
不知火「・・・初霜さん!?」
初霜「その声は、不知火さん?お久しぶりですね。」
陽炎「あ、あなた・・・目が・・・」
初霜「えへへ、いろいろありまして。」
提督「陽炎、初霜を頼む。」スッ
陽炎「あなたはどうするつもりなの・・・?」
提督「戻ってあいつと決着をつけてくる。」
武蔵「だがその体ではいささか厳しいのではないか?」
提督「大丈夫だ、何でもかんでも暴力で解決するわけじゃないからな。」
武蔵「念のためだ、私もいこうか。」
提督「武蔵・・・すまない。助かるよ。」
初霜「司令官さん、無理はしないでくださいね?」
提督「・・・肝に銘じておこう。」
陽炎「あ、待って!」
提督「まだ何かあるのか?早くいかなけれb」バサッ
陽炎「これ、返すわね!じゃあ頑張ってきなさいよ!」
提督「あぁ!いこうか、武蔵!」
武蔵「うむ!」
・
・
・
大和「ハァ・・・ハァ・・・」
舞提督「フゥ・・・フゥ・・・」
大和「もう降参してください、人間と艦娘では力の差がありすぎます・・・」
舞提督「コロスコロスコロス・・・」ブツブツ
大和「もうお話すらされないのですね?構いませんが。」
大和「これで終わりです!」ブンッ
ガシィ
大和「なぜとめるのですか、武蔵?」
武蔵「なに、ただこんな奴のために姉の手を汚させなかっただけさ。」
提督「ずいぶんとお似合いの様になったな、舞(まい)。」
舞提督「っ!提君!来てくれたんだね!提君提君!」
提督「・・・お前は今日で海軍を追放される。」
舞提督「・・・・え?」
提督「お前は人の道を外れすぎた。」
舞提督「そんな!嫌だよ!海軍を追放されたらもう君と会えないじゃないか!!」
提督「そもそもそんな理由で軍に入ったことが間違えだったんだ。」
舞提督「そんなことだって・・・?海軍が君を無理やり軍に引き入れてしまったから私たちの楽しかった日常が壊れたっていうのに!!」
提督「あれは違うんだ、俺がでしゃばった結果なんだ。誰のせいでもない、俺の問題なんだ。」
提督「・・・だがそんなしがらみも今日で最後だ。お前を憲兵に引き渡してな・・・青葉っ!」
青葉「・・・ととっ、はいは~い!お呼びですかぁ?」スタッ
大和「えっ⁉天井から!?」
青葉「ども、青葉です!」
提督「青葉、仕事はしてきたんだろうな?」
青葉「もちろんですよぅ♪結構臨場感があふれるように撮ってみました!」
提督「そういうことだ、お前の今までの行いすべてを大本営に提出する。」
舞提督「・・・」
提督「さぁ、たて。立って自分の愚行を償うためにその足で歩け。」
舞提督「・・・」スタ・・・スタ・・・
提督「・・・」
(あはははっ、君は本当に面白いね!)
(それほどでもねぇよ!)
舞提督「・・・」スタ・・スタ・・
(私たち、ずっと一緒にいられるかな?)
(いやできないだろ、お互い好きな人ができてはなれるんじゃないか?)
(むっ、提君のいじわるぅ・・・)
提督「さぁ、俺たちも行こうか。」
武蔵「あぁ、そうだな。」
大和「終わったんですよね。」
提督「あぁ。」
(ねぇ、提君。)
(ん?どうした、舞)
(私にはね、大きな夢があるんだ。)
(大きな夢?)
(あぁ、とっても大きい夢。)
(ふーん、どんな夢なんだ?)
(・・・この長くも儚い人生を君と歩んでいきたい。そんな夢さ)
提督(終わったんだ、全部。過去と向き合わなきゃな・・・)
ブラック鎮守府救出戦編 完
おまけ 過去清算編
俺はどこにでもいる一般的な高校生だった。
あの時までは・・・
提「ふあぁ~、ねみぃ。」
舞「あはは、君はいつも眠そうだね?」
提「だってよぉ、最近のゲームってすごいんだもんよぉ~」
舞「はぁ、またゲームの話かい?夜更かしは感心しないな。」
提「そうお固いこと言うなよ・・・そうだっ!舞、この後暇か?」
舞「特にこれといった用事はないけど・・・どうかしたのかい?」
提「この後二人きりで行きたい場所があるんだが・・・ダメか?」
舞「ふぇっ・・・!?////」
舞(ふふふふ二人だけってことはつまりあれだよね!?デ、デートのお誘いなんだよね!!)
舞(このチャンスはものにしなきゃね・・・ゆうき出さなくちゃ・・・)
舞「ま、まぁ君がそうやって真摯に言うのなら付き合ってやらんこともないが!?」
舞(あ・・・また強く言っちゃった・・・こんなの絶対に嫌われちゃうよね・・・)シュン
提「お、おう。なら学校終わりに直接いくから校門で待ち合わせな!」タッタッタ
舞「あっ・・・」
・
・
・
提「よし来たか。早速いくぞ!」
舞「うん。ところでどこに行くんだい?」
提「ふっふっふ・・・つくまでの秘密だ・・・」ニヤッ
舞「なんだいその意味ありげな笑顔は?」
提「それも秘密だ!早くいこう!時間がない!」ギュッ
舞「ひゃあ!急に何するのさっ///」
舞(手を・・・手を繋いじゃったっ!・・・うれしい・・・)
提「すまんすまん!しっかり走れよ!!」
・
・
・
崖の灯台
提「ハァ・・・ハァ・・・ついたぞ、舞。」
舞「ハァ・・・ハァ・・」
海が見渡せるその場所は夕焼けに染まる空とどこまでも続く対照的な青がとても・・・幻想的だった・・・
舞「綺麗・・・」
提「だろ?このまえ親父の仕事の手伝いでここに来たときに見つけたんだ・・・」
舞「・・・」
提「舞にはこの景色を見てもらいたかった、理由は察してもらえると嬉しい。」///
舞「っ!?////」
舞「それって・・・」
提「あぁぁぁ!あぁぁぁ!言わなくていいから!」
舞「ふにゅぅぅぅ・・・///」プシュー
提「おい舞!?キャラ崩壊してるぞ!?しっかりしてくれ!!!」
・
・
・
舞「ねぇ、提君。」
提「ん?どうした、舞」
舞「私にはね、大きな夢があるんだ。」
提「大きな夢?」
舞「あぁ、とっても大きい夢。」
提「ふーん、どんな夢なんだ?」
舞「・・・この長くも儚い人生を君と歩んでいきたい。そんな夢さ」
提「・・・舞・・・」
スケテ・・・
提「・・・?」
タス・・・ケテ・・・
提「たすけて・・・?」
舞「提君・・・?どうかした?」
提「・・・行かなきゃ!!」
舞「っ!?まって提君!!そっちは崖だ!!!」
提「・・・下に、女の子がいる・・・」
舞「何を言っているんだい?・・・本当だ・・・女の子が海の上に・・・浮いている・・・」
提「・・・助けてくる!」ダッ
舞「危ないよ!もう暗くなり始めてる!!!」
提「そんなことより人命救助が優先だ!!」
これが俺のこれからの人生の幕開けだった。
提「っ!!思った以上に波が強い!!」
提「だが無視だ・・・それよりも女の子を・・・」
波をかき分けて仰向けになり今にも沈んでしまいそうな女の子のもとへと急いだ
「・・・だめ・・・よ、にげなさい・・・」
提「あぁ、逃げるよ君と一緒にね!」
お姫様だっこの要領で抱えて岸沿いに行こうとした時だった
舞「提君!!!後ろ!!!!!」
知らなかったんだ、すべてが因果でつながっていただなんて。
提「・・・え?」
次の瞬間、俺は見えない悪意に背後からなぶられた
・
・
・
気づけなかった、今でも悔やまれる後悔
知らなかった、幼さゆえの怯えに負けて
考えていなかった、所詮は運命の悪ふざけだって
見なかった、自分を必死に助けようとしてくれた彼女のことを
・
・
・
オ・・・テ・・・
声が聞こえる・・・
提「っ!」ガバッ
「うわっ・・・案外元気そうじゃないの・・・」
提「こ・・・こは?」
「私が聞きたいくらいね、波にさらわれて気づけばこの穴のなかってわけよ。」
そういって不機嫌そうに頬を膨らませている少女が目の前にいた
提「・・・君は?」
「私?わたしの名前は・・・叢雲。」
提「叢雲?珍しい名前だね。」
叢雲「あら?そうかしら、別に気にしたことはないけれど?」
提(ん・・・叢雲・・・どこかで聞いた気がするんだよな・・・どこだっけ・・・)
叢雲「そういうあんたは?」
提「俺の名前は提、堤防の提だ。」
叢雲「私よりもアンタのほうが珍しい気がするんだけど。」
提「あははっ、そうかもね。」
叢雲「そうよ。っっ!!!!」
提「おい!大丈夫か!?」
近づいてみればよく分かった、少女の体は異常なほどに傷だらけでどれも血がにじむほど深い
提「どうしてこんなことに・・・!早く止血しないと!!」
叢雲「っ!!触らないで!!」
提「っ!?」
叢雲「・・・」
提「ご、ごめん。」
叢雲「・・・こっちも悪かったわよ。急に声を上げて・・・」
提「でもやっぱりほっとけないよ・・・すこしじっとしていてくれ」
叢雲「ちょっ・・・なにすんのよ!!」
暴れる彼女を優しく抑え込み、傷の周辺をハンカチで拭いて、シャツを破って止血をする
叢雲「・・・・」
僕のやっていることをわかってか、叢雲もおとなしくしている・・・
周りに何とも言えない空気が漂いはじめた
提「あ、あのさ!」
叢雲「なによ。」
提「お互いの話でもしないか?」
叢雲「はぁ?なんで私がアンタとそんな話しなきゃいけないのよ。」
提「することがないから・・・じゃだめかな?」
叢雲「はぁ・・・しょうがないわね。」
提「君はどこから来たんだい?」
叢雲「・・・わからないわ。」
提「わからない?」
叢雲「そうよ。気づけば海の上にいたわ・・・」
提「海の・・・上に。」
提「っ!!そうか、どこかで聞いたことがあると思ったら!」
叢雲「急に何よ?」
提「そう!叢雲だ!吹雪型の特型駆逐艦、5番艦の叢雲だ!!」
叢雲「・・・・なぜそのことを知っているの?」
ふいに叢雲の目が鋭くなった
提「俺の爺さんは昔海軍で働いていたんだ。そのときに艦隊運用を任されていたらしい。」
叢雲「・・・」
提「その艦の中に君と同じ名前があったから・・・それで・・・」
叢雲「そう・・・」
小さく呟きながら彼女は立ち上がり
叢雲「アイツの孫なんだ、アンタ。」ニコッ
慈愛と悲しみが同居しているような笑顔で笑った
提「俺の爺さんの事しってるのか!?」
叢雲「えぇ・・・」
提「頼む、あの人について何か教えてくれないか?」
叢雲「それは・・・できないわ。」
提「なんでだよ?」
叢雲「あなたのお爺さんから頼まれているからよ。」
提「爺さんは死んだんじゃないのかよ!?」
叢雲「そのとおりよ、もうなくなっているわ。ただ・・・最後に」
叢雲「提にこんなことは知られたくないなって。そういったのよ。」
提「・・・」
叢雲「はぁ、いやね。この雰囲気。」
提「爺さん・・・」
叢雲「・・・アンタのお爺さんは立派な人だったってことだけは伝えておくわ。」
提「っ!ありがとう・・・叢雲・・・・」
叢雲「ふん、感謝なんか求めてないわよ。さぁ、早く帰る算段を立てるわよ。」
提「そうだな。しかしこの場所がどこかわからない以上下手に動けないな・・・」
叢雲「艤装が動けばどうにかなるんだけどね・・・」
提「艤装?・・・あぁ、さっき背負ってたあのバカみたいに重いやつか。」
叢雲「そうよ、あれが動けばここから逃げれるわ・・・・・・・・・・・・私だけ。」
提「えっ?待って!私だけって言った!?私だけって言ったよね!?」
叢雲「ちょっとした冗談よ冗談。」
提「シャレにならないからやめてね本当に。」
叢雲「・・・じゃあどうしようかしら・・・」
提「本当にどうしようか・・・」
叢雲「もうあれね、いっそのここに住んでみようかしら。」
提「はぁ!?何言ってんだよ!あきらめちゃダメだろ!」
叢雲「あ~はいはい、わかってるわよ。じゃああの手を使いますか・・・」
・
・
・
提叢雲「・・・・」デンッ
提「・・・おい、どうしてこうなった」白目
叢雲「しょうがないでしょう!アンタ背負わなきゃ航行できないんだから!」
叢雲「ん?・・・なにか柔らかいものが頭に・・・?」
提「バッ!?何言ってんだよ!気のせいに決まってるだろう!?」
叢雲「さぁ行きましょう!!」
提「わざとだよね!?絶対知ってていったよね君!?」
叢雲「黙ってないと舌噛むわよ・・・!じゃあしっかりつかまってて!」
提「急になにをぉぉぉぉぉっぉぉぉっぉおぉぉ!?」
俺の叫びもむなしく、暗闇の波の中を全速力で進んでいった
叢雲「っ!ちょっとアンタ!もうちょっと落ち着いてられないの!?」
提「無理いうなよ!これでもだいぶ踏ん張ってるんだ!!!」
叢雲「仕方ないわね・・・っ!また大きな波が来るから気をつけなさいよ!」
いつ陸が見えるのかもわからない海の上で波に揺られながら最高速度で進む
提「なぁ!なんでこんなに急いでるんだよ!?もうちょっと速度落としたらどうだ!?」
叢雲「アンタそれ本気で言ってんの!?いまここで深海棲艦に遭遇したら二人仲良くあの世逝きってことわかってる!?」
提「・・・・」
叢雲「さぁ、先を急ぎましょう。」
提「すまないな・・・俺に力があれば。」
叢雲「気にしないで。」
叢雲(おかしい・・・あんな残量しかない燃料でこんなところまで来れるわけがない。)
叢雲(この子・・・まさか)
提「おーい、聞いてんのか?」
叢雲「ん、なによ?」
提「今どこに向かってるんだって聞いたんだよ。」
叢雲「・・・わからないわ。」
提「はぁ?わからないのに飛び出してきたのか!?」
叢雲「しょうがないでしょ?どうせあんなところにいたら明日を迎える前におぼれて死ぬわ。」
提「・・・つまりは行く当てがないのにとびだしてきたってことか?笑えないぜ。」
叢雲「・・・フン。」
提「しょうがない、気休め程度だが周りを見渡す程度はしてみるか・・・」
そうこぼしつつ辺りを見渡すと、そう遠くないところに人影が見えることに気が付いた
提「みろっ!叢雲!人影だ!助かったぞ!おーーーーい!助けてムグググッ!?」
そう叫んだとたんものすごい勢いで叢雲に口をふさがれた
叢雲「この馬鹿ッ!こんな時間帯に人が海にいるわけないでしょ!!!あれは深海棲艦よ!!」
提「はぁ?人をバカにするなよ?深海棲艦ってぇのは船の化け物なんだろ?」
叢雲「馬鹿ッ!本当にバカ!私たちも人の形をしているけれど船なの!あなたが言う化け物なのよ!?」
提「違う!叢雲は化け物なんかじゃない!!!」
叢雲「っ・・・」
提「お前はお前だ、それ以上はないしそれ以下は絶対にない。」
叢雲「・・・」
提「・・・すまなかった、急に大きな声を出してしまって。」
叢雲「私こそ・・・そ、その・・・悪かったわよ・・・」
そう話しているうちに人影のようなものが近づいてきていることに気が付いた
提「っ!!!なんだよ・・・アレ。」
その人と形容するにはあまりにも無残な姿をしたモノはこちらに主砲のようなものをゆっくりむけると
「・・・・」カチッ
なんの躊躇もなく
叢雲「っ!?しっかりつかまりなさい!!!!」
引き金を、引いた。
銃弾の雨が容赦なく俺たちに降り注ぐ
叢雲「くっ!なんて数・・・!こんなのよけきれるわけが!」
提「叢雲!弾道をよく見ろ!すべて俺らが今いる場所に集中している!全力で進め!!」
気づけば声が出ていた、何の根拠もないただの叫びだった。しかし・・・
叢雲「・・・っ!わかったわ!」
俺の考えなんてお構いなしに指示通りに全力で進んでいく
叢雲(わたしの推測が正しければコイツは間違いなく司令官の素質がある。ならばコイツと私の考えを信じるしかないっ・・・!)
激しい水しぶきの中俺たちは幸か不幸かすべての弾を避けきることができた
提督「よし・・・っ!」グッ
提督(ゲームで培った目利きが役に立つ時が来るとは・・・あなどれないなゲーム)
そう自分の中で結論付ける・・・じゃないと先ほどの指事の説明ができない。
叢雲「安心するのは後にしなさい!まだ敵の攻撃範囲内よ!」
提「あ、ああ!わかってる!」
そう聞いて慌てて敵に視線を戻す、やはり相手もこちらを追尾するように速度を上げている。
提(このままじゃ埒が明かない・・・!こちらもなにか迎撃する手段を・・・そうだっ!)
提「叢雲!武器かなんか持ってないのか!」
叢雲「何よ急にっ!あるにはあるけれどもう残弾が!!」
提「いや、残っているならそれでいいんだ!」
初めてだ、いつ死ぬかもわからない状況なのに。とても・・・とても・・・
提「俺の事はかまわない、相手の砲撃が来たら全力ですり抜けて至近距離でぶっぱなしちまえ!」
叢雲「随分と無茶なこと言ってくれるじゃない。でも・・・面白い!やってやろうじゃない!」
『楽しい』そう、感じたんだ。
深海棲艦「・・・」チャキッ
提「来るぞ・・・準備はいいな?」
叢雲「誰に言ってるのよ、そんなもの・・・」
ドガンッ
重い銃声が海面に響くのとほぼ同時に叢雲は動いた
叢雲「アンタと会った時からできてるわよ!!」チャキッ
深海棲艦が放った弾丸は俺の頬を掠るが今は関係ない、なぜなら
深海棲艦「・・・・!?」
目の前には精巧に作られたような顔の深海棲艦に銃口を突き付けているからだ
叢雲「さようなら、じゃあ沈んで!」ドガンッ
深海棲艦「アアァ・・・アァァアァァ・・・・」
先ほどの無表情とは打って変わって苦しそうな顔をしながら必死にもがいている
提「・・・・っ!」
初めて深海棲艦の声を聴いた・・・とても悲痛な叫びだった。
深海棲艦「アァァ・・・ッ!」
その叫びはどんどん小さくなってやがて海にのまれて消えて行ってしまった。
叢雲「・・・行きましょう。」
提「・・・ああ。」
ただ、俺はその光景を忘れることはないだろうと。忘れることは許されないだろうと。そう、感じた。
・
・
・
そのあとの話は簡単だった。取りあえず陸を目指してただまっすぐに進んでいると遠征帰りの途中だった横須賀鎮守府の艦隊に出会いそのまま行動を共にし陸へ帰ることに成功した。
艦隊の人はみんな叢雲のような少女ばかりで、高校生の俺が叢雲に肩車されているという状況をみて大爆笑をしていた・・・恥ずかしい。
そんなこんなで横須賀の司令官と出会い、今は応接間と思われる場所に移動して腰を落ち着けている。
乙です。さっそくですが、菊月の台詞が常識じゃなくて翔指揮になっています。気づいてたらすみません。
1≫誤字報告ありがとうございました!まったく気づきませんでした・・・
度々すみません、提督の島風に対する台詞で「かまわない」が「かわはない」になっていますので、報告します。
やはり駆逐艦はいいものですね♪提督の脚はヤバイけど(;゜∇゜)
期待して待ってます。頑張って下さい!
おつ
やるじゃあないか
やるじゃあないか
3≫学ばなくてごめんなさい・・・誤字報告感謝します!頑張ってみますね。
4.5.6≫皆さんが応援してくれるからじゃあないですか
がんばれ~
9≫頑張らせていただきます~
自然と笑いが零れる。俺もうロリコンでもいいや。
こんなSS初心者な私ですが応援してます。頑張ってください。
ガンバ☆ガンバ
ひょっとして、相手は女性提督か!?
11≫ロリはえぇ~^^ぞ~^^こちらこそまだまだ初心者ですがお互い頑張っていきましょう!
12≫頑張ります!
13≫ちょ、ちょっと何言ってるかわからないですね(焦り)
16>>ホモォ
冗談はともかく楽しみにしているし応援しているよ
16>>ホモォ
冗談はともかく楽しみにしているし応援しているよ
うわぁ、『これで終わったんだ』とか嫌な予感
え?終わったの?
ブラチン編が終わったって事だけで、まだ続くでしょ?……続くよね?(汗)
19≫あぁ、変な切り方をしてしまったがためにこんなにややこしいことに・・・すみません!
20≫まだです、ブラ鎮救出編が終わっただけです!
21≫後半へ続く。(CV.キートン山田)
イヤッホウ!信じてたぜアミーゴ!!
25≫hey!待たせたな!
乙です。YoutubeにこのSSの1の方がでてたのをみて久しぶりに来ました。これからもがんばっ下さい!
27≫え!?youtube出てるんですか!?初耳ですw頑張ります!(`・ω・´)
Youtubeで艦これSSで検索すれば出てきますよ♪
28/29>>それ書いた本人が知らない=アフィカス。
人が書いた文章を5分ちょいで作れる字幕スクロール動画にしてアップしてカネ稼ぐゴミ。
見ちゃだめだ!
29、30≫そのことなのですが、もしかしたら別の作品かもしれませんw
調べてみたところなんと名前が似てる作品があり尚且つそちらがyoutubeにあったのでそれかと・・・わざわざすみませんでした(´・ω・`)
こちらこそ申し訳ありませんでした。今後は気を付けます。
舞さんが治ることを願います…。