2017-11-27 00:24:12 更新

概要

今回は新米提督と葛城のお話です おしまい


前書き

初めましての方は初めまして! クソ文才たくちゃんでございます!
またまた艦娘のキャラ崩壊注意です! あと暴力描写も!




葛城「…雲龍型航空母艦三番艦、葛城です、よろしくお願いします」




天城「こら、提督の前よ、キチンと頭を下げなさい!」




葛城「……」




天城「あなた・・・!」




提督「まぁまぁ、天城さん、落ち着いて」




提督「僕はここの鎮守府の提督です、まぁ名前とかは書類で見たと思うので割愛で」




提督「長いか短いかはわからないですが、共に戦う仲間として、よろしくお願いしますね」




葛城「…はい、よろしくお願いします」




葛城「では失礼します」ガチャバタン





提督「…ふぅ」




天城「ご、ごめんなさい!提督…あの子、元々はあんな子じゃなかったんですけど…」




提督「大丈夫ですよ、私も提督になって初めてはあんな感じでしたから」




・・・葛城の自室



葛城「……」パチッ




葛城「…よいしょ」ヌギヌギ




葛城「…つまらない」




葛城「…今日は雲龍姉と天城姉は出撃か…確か13:00に執務室だったか、それまで暇ね」






・・・執務室




葛城「…失礼します」ガチャ




提督「…ああ、よかった、きちんと時間通りには来てくれる方なのですね」




葛城「どういう意味…?」




提督「…いえ、なんでもないです、ごめんなさい」




葛城「そう…で、ご用件はなんですか」




提督「まぁ、特にどうこうというわけではなく、ただ単純に」




提督「ここに来て一週間が経ちましたがどうでしょう?慣れましたか?」




葛城「…別に」




葛城「みんなよくしてくれてるし、問題ないわよ」




提督「それはよかった、とはいえ皆さんとの交流を深めるために、これから少し、秘書艦を務めてもらいます」




葛城「…それは必須?」




提督「ええ、というかまぁ、この鎮守府のしきたりみたいなもの、らしいです」




提督「僕も前任の方から聞いただけですけどね」ハハハ




葛城「……そう、わかったわ、では失礼するわ」




ガチャ・・・バタン




葛城「…どうせ、こいつも身体目当てよ…」ボソッ






・・・



葛城「雲龍姉、天城姉、お帰り」




雲龍「うん、ただいま 葛城、いい子にしてた?」




葛城「雲龍姉、子供じゃないんだからそんなー」




天城「ああ、そうそう、葛城、秘書艦の話、聞いた?」




葛城「…うん、聞いたよ」




葛城「…あれってさ、姉さんたちもやったの?」




天城「? ええ、最初は緊張したけど、案外大丈夫よ」




雲龍「ええ、あの人は見かけ通りの優しい人よ、安心して」




葛城「ええ、そうよね、そう……」




葛城(見た目は、ね……)








葛城「葛城です、今日から一週間、お世話になります」




提督「そうかしこまらなくてもいいですよ、葛城さん」




提督「そもそも秘書艦を引き受けてくれているのですから、こちらの方こそ頭を下げなければいけないですね」




提督「まだ着任から一か月の若輩者ですが、今日からよろしくお願いしますね」ペコリ




葛城「で? 私は何をすればいいのかしら?」




提督「では、この書類を手伝っていただけますか?」




葛城「…ふぅん、要は事務仕事ってわけね」




提督「すみません、わざわざこんなことに付き合わせて…」




葛城「…まぁいいわ、慣れてるし」スッ




・・・




葛城「…次……ってこれだけ?」




提督「も、もう終わったのですか…?」




葛城「…そうだけど、なによ」




提督「い、いえ、すごく早いなと感心しまして…」




葛城「どうも」




提督「ごめんなさい、もう少しでこちらも終わりますので、そしたらご飯にしましょうか」





・・・食堂




提督「おごるのでどうぞ、好きなもの食べてください」




葛城「ども、じゃあ焼肉定食で」




提督「了解です」ピッピッ




・・・



提督&葛城「「いただきます」」




提督「葛城さんはなにかやっていたのですか、執務関係で」




葛城「ええ、前の鎮守府で…秘書艦を」




提督「どおりでねぇ…」




提督「この間まで交代でやってもらっていた雲龍さんと天城さんでもあそこまではやく終わらなかったのでなにか秘密が、と思った次第です」




葛城「そう……」パクパク




提督「…」パクパク




葛城「ああ、提督」




提督「はい?」




葛城「さっきの書類、見ていると誤字脱字とか、色々あったので、食べ終わったらやりましょうね」




提督「な、なんで言ってくれなかったんですか…」




葛城「お腹空いてたの」




提督「そうですか…」





・・・再び執務室




葛城(呆れた…)




提督「…すみません、また間違えてしまって…」




葛城(こんなことすらわからないとは……)




提督「…ああ、なるほど! ありがとうございます!」




葛城(本当に…『提督』というのは嫌いだ)




提督「…ふぅ! 葛城さん、本当に頼りになりますね」




提督「これはこの後も秘書艦を務めてもらうことになるかもしれませんね」




葛城(は? 何を言ってるんだコイツは …いや、平然を装わないと)




葛城「そう」




提督「もちろん葛城さんがよければ、ですけど」




葛城(断りたい、断りたいけど、断ったらどうなるか……)




葛城「考えておくわ」











・・・一週間後




葛城(なし崩し的に秘書艦になってしまった…)




提督「あ、その書類、そこに置いていてください、後でやりますので」




葛城「…わかったわ」




提督「…すみません、ここはどうすれば…」




葛城「はぁ、ここは前に教えなかったかしら?」




提督「物覚えが悪いもので…」アハハ




葛城「もうちょっとキチンとしてください」




葛城(はぁ、こりゃしばらく付きっきりになるわね…)




提督「…よし、じゃあこれで終わり、と」




提督「はい、それじゃあ行ってらっしゃいです」




葛城「…?」




提督「? 今日は雲龍型の皆さんで久々に出撃なさるのではないですか?」




葛城「えっ!? あっ!! えあっ!!」




葛城「や、やばっ!! 忘れてた!!」バタバタ




葛城「全然準備してなかったー!!」ガチャ!バタン!




提督「い、いってらっしゃいー」







・・・海上




雲龍「相変わらず、ドジね」




葛城「なっ、相変わらずってなによ!」




天城「でも普通忘れるかしら、姉妹との約束」




雲龍「それだけ、提督との執務が、大切になってきた、の?」




葛城「は?」




雲龍&天城「「!?」」ビクッ




葛城「ちょっと、冗談やめてよねー、ほんと!」ケラケラ




葛城「提督なんてもの信じれるわけないじゃない」ボソッ




葛城「今に見てろ、どうせそろそろアイツの化けの皮もはがれるわ」






・・・数週間後




提督「ここはこうで、あれはーー、あ、葛城さん、その書類取ってください」




葛城「はい」スッ




提督「ありがとうございます、もう少しでひと段落なので葛城さんは先にご飯にしていていいですよ」




葛城「そう、ありがとう」




葛城「じゃ、失礼するわね」ガチャ




・・・




雲龍「あら葛城」




葛城「あ、姉さん達!」




天城「奇遇ね、あなたもお昼?」




葛城「そうなの! 一緒に食べよ!」




天城「ええ、そうしましょう!」




雲龍「…そういえば提督は? 秘書艦なのだから一緒じゃないの?」




葛城「ああ、アイツなら先に食べてていいっていうから」




雲龍「…そう」




雲龍「さ、冷める前に食べましょう」




天城「ええ、そうね! …じゃあ」




三人「「「いただきます!!」」」




(´~`)モグモグ・・・・・・




雲龍「…ねぇ、葛城」




葛城「なにー?」




雲龍「…提督のことそんなに嫌い?」




葛城「…な、なによー、いきなり…」




雲龍「…見ていると、明らかに提督のこと、避けてるような気がするから」




天城「う、雲龍姉様…!」




雲龍「あの人は優しいし、それなりに気遣いもできる…少しどんくさいかもだけど、セクハラとかしない」




天城「そ、そうだ! わたしの前にいた鎮守府の提督がセクハラがひどくてーー」




雲龍「天城、今大事な話してるの」




天城「…ごめんなさい」




雲龍「ともかく悪い人ではないわ、どうしてそんなに毛嫌いするの?」




葛城「………」




雲龍「…話したくないのならいいわ、無理にとは言わない、けど」




雲龍「…あまり反抗的なようなら、私もあなたにそれ相応の対応をするわ」




雲龍「それだけ、ごちそうさま」ガタッ




雲龍「…14:30には出撃だから、忘れないでね」テクテク







天城「ごめんね、葛城」




葛城「…なにが?」




天城「雲龍姉様、提督のことお気に入りみたいで」




天城「前にいた鎮守府の提督さんが艦娘たちのせいで亡くなったから、警戒してるだけなの、許してあげて?」




葛城「もちろんよ」




葛城「…別に、雲龍姉が悪いわけじゃないし」












ーーー




葛城「雲龍型航空母艦、三番艦、葛城よ!」




「葛城…ああ、あの水上防空砲台か」




葛城「ちがうわよ! 何言ってるのあなた…」




「違わないだろう、性能も一航戦の奴らよりも数段劣るお前を空母として使う気はさらさらない」




葛城「ちょ、ちょっと、その言い方は…!」




「口答えか? 新参者風情が」




葛城「な、なにyひうっ!?」




「悪いがここでは俺がルールでな」




「変に口答えをするようならなァ…」ニヤッ




葛城「ぐふぁッ!!?」ドスッ!




「こういう目に遭うからなァ」




葛城「な”ッ、やめっ、てっ!!」ゴスッゴスッゴスッ!




「ふっひひ! 愛宕とかと違って肉がなくて殴りやすいナァあははは!!」




葛城「やめっ、おねがいっ、しますっ!」ドガッバキッドガッ!




ーーー






ピッピッピッピッピッピッピ・・・・・・・・・・・・




葛城(…クソみたいな夢だったわね、寝起き最悪よ)




葛城(なんであんな夢……)




葛城「…ってなんで私、こんなベッドで寝てるの!?」




葛城「確か姉さんたちと出撃して、それで……」




提督「ぅうん……」スヤスヤ




葛城「なっちょっ!?? なんでアンタが寝ながら私の手を握ってるのよっ!!」




提督「は、はひっ、ごめんなさい!! …ってああ!! 葛城さん!」




葛城「な、なによ…」




提督「よかった…目を覚ましてくれた…よかった、本当に…!」




葛城「は、はぁ? あなた何言って…いたっ」ズキッ




提督「あ、動いちゃダメです! まだ治ってないんですから」




葛城「直る? どういうことよ」




提督「あ、そっか、記憶がないのか… 葛城さんたちは出撃中、敵の強力な艦隊に出くわしてしまって…」




提督「深海棲艦は倒せたのですが、葛城さんは集中狙いされたみたいで…大破、意識を失ったんです」




提督「修復材を使ったのですが、ダメージが大きかったらしく……わざわざ入院させることになってしまいました」




提督「ごめんなさい! ひとえに私の指揮能力不足です、本当にごめんなさい!!」




葛城「…そう」




葛城「…まぁ、敵が倒せたならいいわ、次から気をつけて」




提督「…はい! わかりました!」




提督「じゃあ雲龍さんたちを呼んできますので! 失礼します!」ガラガラガラ・・・






葛城「…はぁ」




葛城(何が「次から気をつけて」よ、悪いのは敵の射線に出た私じゃない…)




葛城「……」ジッ




葛城(手、ずっと握ってくれてたんだ……)




葛城「…ほんの少しだけ、嬉しいかな……」









・・・数週間後、執務室





提督「あはは、私のいた訓練所なんか相撲でランク付けしてましたよ」




葛城「何よそれー! あははっ、やっぱり男の子って感じね」




葛城「…で? あなたはどれくらいのヒエラルキーにいたのよ」




提督「いえいえ、私なんて下の方ですよ、中の下って感じでしたよ」




葛城「あなた細いものねー」




提督「…これでも筋肉はそれなりにあるんですよ?」




葛城「それでも相撲はキツいでしょ?」




提督「まぁそうでしたねー…」




提督「懐かしいなー、榎下ってやつがこれまた強い奴で…」




提督「って、マズい、もうこんな時間ですか、執務しないと!」




葛城「ほんとじゃない、私も出撃の準備しないと…!」




提督「最近、どうにも執務中でも葛城さんと話をしてしまっていけませんね」アハハ




葛城「…そうね、いつの間にか、時間が経ってるものね」




葛城「…じゃあ、行ってくるわね!」




提督「あ、はい、お気を付けて!」




ガチャ・・・バタン!




葛城(なんだか最近、よく提督と話すようになった、気がする)




葛城(話の内容なんか他愛のないものだけど)




葛城(…そんな会話が楽しみになってる)




葛城「…帰ったら何話そうかなー?」ウキウキ










・・・




天城「ねぇ葛城」




葛城「なにー、天城姉ー」モグモグ




天城「最近、提督と仲がよさそうだけど、何かあった?」ニコニコ




葛城「ぶっ!? な、天城姉 ど、どうしたのいきなり!?」




天城「いえ、葛城なんだか前より明るくなったから、どうしたのかなーって」




葛城「べ、別に何もないけど!?」




天城「どうかしらねぇ~」




葛城「あ、あるわけないじゃないのっ!」




雲龍「ごめん、少し用事があって遅れたわ」




雲龍「…葛城、顔赤いけど、どうかしたの? 風邪?」




天城「あ、雲龍姉様、実はねーー」




葛城「ちょ、ちょっと待って天城姉!」




雲龍「…何よ、何かやましいことがあるの…?」




葛城「そ、そういうわけじゃないけど…」




雲龍「ならいいじゃない、天城、教えて?」




天城「実はね…」




葛城「や、やっぱストップーー!!」












ーーー





「こんなことすらまともにできんのか貴様は!!」ドガァン!





葛城「ご、ごめんなさい、でも…」




「この期に及んで口答えかっ!? ふざけるな、ふざけるなッ!!」ドガッドガッ!




葛城「かはっ!?」




「チィ、もう白目をむきよったか、軟弱者め」




「フン! 所詮は実戦もしていないカスだな、おい、そこの者」




部下「は、はい!」




「こいつを部屋まで戻しておけ」




部下「一人で、ですか…?」




「当たり前だ、このバカ! …まったく……ははっそうだ」




「…その途中で何があろうと私は知らぬからな、自由にするがよい」




部下「…と言いますと…?」




「ああもう、白目をむいている間になんでもしてよいと言っているのだ」




部下「しかし、これは一応艦娘で…」




「変なところで真面目なのだな貴様は… あーそれの心配はいらん、近いうちに異動だからな」




「いいから早う行け」




部下「は、はっ、ありがたく、使わせていただきます!」




「あー、わかっているとは思うが犯してはいけんぞ、バレるからな」




部下「はいっ!」





・・・




葛城「がッ…!?」




部下「んー? おお、目が覚めましたか、葛城殿ッ!」ドガッ!




葛城「ぐふっ…! あ、あなたなんてことを…! ぐっ!?」




部下「提督殿に好きにせよと言われたものでねぇ、こうして遊んでいる次第でございますよ!!」ドガッバキィ!!




部下「あはは、最近剣道をしていなかったのでいい素振り練習になりますよ! ありがとうございます!」ズオッ!




葛城「やめっ…あっ……」ボキッ




部下「あ、今いい音しましたねぇー、折れちゃいましたか?ぐふふふ!!」




部下「じゃあついでですしもう一本の腕も折りましょうか! そうしましょう!!」ブンッ!




部下「いやぁー楽しいですねェへへへへ!! ほんと、少将殿の下にいて良かったですよ!!」 




ーーー





「--さん!? 葛城さん!!」スッ




葛城(ひっ、殴られるッ!)ドスッ




「がはっ!!?」




ドンガラガッシャーン




提督「いつつ…」




葛城「……」ボー・・・




葛城「…はっ!? あなた、ごめんなさい!! ケガはない!?」




提督「え、ええ、少しぶつけてしまいましたけど、あとで明石さんに見てもらうので…」




提督「それよりも葛城さん、大丈夫ですか?」




葛城「…え? 私…?」




提督「はい いつも通りの時間になってもいらっしゃらないので、どうしたのかと様子を見に来たのですが…」




提督「…物凄くうなされていましたよ…?」




提督「…思い当たる節はありますか?」




葛城「…」




葛城「…ごめんなさい、何か怖い夢だったのは覚えているんだけど…」




葛城「内容までは…」




提督「そうですか…あまりひどいようなら明石さんに診てもらった方がいいですよ?」




葛城「わかったわ、続くようならそうするわ、ありがと」




提督「いえいえ、ではご飯にしましょうか」




葛城「その前にっ!!」ガシッ




提督「はい?」




葛城「ケガ、診てもらいに行くわよ!」



・・・




明石「んー、まぁ少し腫れるでしょうけど、特に問題なしです!」




明石「湿布を出しておきますね、それでも痛みが続くようならまた来てください」




提督「ありがとうございます」




明石「どーいたしまして! じゃあ執務頑張ってくださいね~」フリフリ







葛城「はぁー、よかった…なんともなくて」




提督「葛城さんは優しいですね、こんなアザ程度で」




葛城「べ、別にあなたを心配してじゃないわ!」




提督「またまたー照れ隠しして、可愛いですねー」




葛城「かっ…!? へ、へんな冗談やめなさいよ!」カァァァ




提督「ふふっ、なんだか最近葛城さんの扱いに慣れてきた気がします!」フフン!




葛城「ちょっとそれどういうことよっ!!? 誇ることじゃないわよ、それ!?」




提督「さて、葛城さんの面白い反応が見れたところで執務といきましょか!」




葛城「ちょっと待ちなさい!面白い反応って何よー!!」




葛城(はぁ、本当にどうしちゃったんだろ、私…)




葛城(…提督なんて嫌いだしそれは絶対変わらないと思ってたのに…)




葛城(…この人が隣にいるだけで、こんなに幸せになれるなんて…)




葛城(…これってまさか…恋!?)




葛城「ないないないないない!!」フリフリ




提督「? ど、どうしました葛城さん、急に頭を振って…」




葛城「あ!? え!? い、いや、何でもないわ、ええ、何でも…」




提督「? そうですか?」









・・・数日後執務室




葛城「…」ボー・・・




提督「葛城さーん、おーい?」




葛城「…ってああ、ごめんなさい! ちょっと考え事をしてて…」




提督「…最近多いですね、考え事」




葛城「ご、ごめんなさい! もっと執務に集中するから!」




提督「ふふっ、冗談ですよ」




提督「ところで何を考えているんですか?」




葛城「い、言う必要ある…? それ…」




提督「…好きな人のこと、とか?」ニヤッ




葛城「!?」ボンッ




提督「お、図星ですか?」ニマニマ




葛城「ちっ、違うからぁ!? ほんとに違うからぁ!!」カァァァ




提督「お相手は誰なんでしょうかねー、こんな人に好かれるなんて羨ましいですよ」




葛城(もう何なのよー!! なんで男の人ってこういうところは鈍感なのっ!?)




提督「そういえば私の先生も言ってましたよ、気持ちはなるべく早く、わかりやすいように伝えろってね」




葛城「…簡単な言葉だけど深いわね…それ  その先生、何か苦い経験でもあるんじゃないかしら」




提督「んー、その方も提督なので今でも時々会いますが、独り身ですねー」




提督「…なんでも昔はモテたらしいですよ? 頭脳明晰、成績優秀、おまけにイケメンだったとか」




葛城「…それ、『自称』がつくやつでしょ、全部」




提督「………さぁ?」メソラシ




提督「とはいえ付き合っても性格やらなにやらがかみ合わなかったらしく、すぐに分かれてしまったそうですね」




提督「すごくキチンとした人だったから、そこが噛み合わなかったのかな?」




葛城「…へぇー、そうなんだ…」




葛城「…」イジイジ




葛城「…ところで、さ」




提督「はい? なんでしょう」




葛城「…あなたって、今独り身なのかし…ら…?」




提督「? そうですけど…はっ!?」




葛城(やばっ、さすがに露骨すぎた!?)




提督「先生と同じく延々独り身になるのではとバカにしていらっしゃるのですか!?」




葛城(あー…この人そういう意味ではバカなんだった……)




葛城「ま、まぁそんなところね! 精々いい伴侶を見つけられるよう頑張りなさい!」




提督「くそっ…!」ガクッ




葛城(でも…そう、独り身なの…)




葛城(チャンスは全然あるじゃない! 頑張ろう、私!)グッ









葛城「というわけであの人に告白しようと思うの!」




雲龍「ふーん」モグモグ




天城「…」ニコニコ




葛城「反応薄すぎない!?」




雲龍「…だっふぇ…ゴクッ ふぅ、やっとかって感じだし」




葛城「え?」




天城「雲龍姉様と二人でまだかなーってずっと話してたわよ?」




葛城「え?」




雲龍「…まさかとは思うけど、バレてないとでも?」




葛城「え?バレてたの?」




雲龍「…ハァ、あんなに毎日楽しそうに執務室に行く姿見たらねぇ…」




葛城「じ、じゃああの人にもばれて…!?」




天城「ああ、それはないから安心して、全然気付いてない感じだから」




葛城「あー、ああ、うんそうね、思い当たる節ありまくりだわ」




雲龍「ともかく私たちは応援してるわ、頑張ってね」




天城「ファイトよ!葛城!」




葛城「う、うん! 当たって砕けてくるわ!」




雲龍「砕けないで」




葛城「あ、当たって砕いてくるわ!」




天城「テンパってるわねぇ~…」




葛城(明日が、勝負ねっ!)








ーーー




葛城「……」




「ったく、挨拶くらいしたらどうなんだ、ガラクタ」




部下「そうだぞ、せっかく少将殿がお前の姉妹のいる鎮守府に異動にしてやったんだ…」




葛城「……」




部下「なんとか…言えよッ!!」ドガッ!




部下「あははは!! 思えばお前をサンドバッグにするのも最後だったな! …少将殿、よろしいですかな」




「ははは! 構わん、別れの挨拶だ、存分にやりたまえ」




部下「ではありがた…くッ!!」バキッ!




ドガッドガッ! バキッ!ドガッバキィ!! バァン!




「…ふむ、見ているだけではつまらんな…私もいいか?」




部下「ええ、もちろんです!」




「では…フゥン!!!」ドゴォッ!!




葛城「うぇっ!!?」




「はっはっは、ここに来て一言目がこれか、実に面白い!!」




「ふふっ、もう一発行くからなァ…死なないでくれよッ  ぬぅん!!」




ドゴォッ!!!




ドサッ




「はっはっはっは! また倒れよった、やはり弱いのう、貴様は…」




部下「こんな様子では異動先でも心配ですね!」




葛城(ああ、次もまたこうなのか……)




葛城(ただ上のやつのおもちゃにされて…)




「うむ、そうだなぁ… 実は次の異動先がな…」




葛城(ダメだ…意識…が…とおの……く……)




「わ…しの教……の………でな 結構…に入…てい……な…だ…」




部下「ほほう、そ…は……は……」




ーーー




葛城「ハッッ!!??」ガバッ




ピピピピ・・・ピピピピ・・・




葛城「夢…か」




葛城(にしてもどうしてあんな夢を…)




葛城(あの頃の夢を……)




葛城(こんな大事な日に)




葛城「違うもの、あの人はあんなことはしない、私の好きになった人はあんな人じゃないもの」




葛城「落ち着きなさい、葛城…大丈夫よ、きっっと上手くいくわ…」




葛城「………よし!!」






・・・




提督「…よし! 執務終わりっと!」




葛城(だいじょうぶ、だいじょうぶ…)ドキドキ




提督「葛城さん、今日もありがとうございました!」




葛城「ふぇっ!? あ、ああ! ど、どういたしまして!」




提督「なんか面白い反応ですねー」ケラケラ




葛城「か、からかわないでよぉ…!(こちとら緊張で死んでしまいそうなんだから!)」




提督(んー…なにか葛城さんに言いたかったことがあったような…)




葛城(落ち着いて…すってー、はいて、すって、はいて…)




葛城(よし! GO!!)




提督(あ、思い出した!)




葛城&提督「「あのっ!」」




葛城「…どうぞお先に…」




提督「い、いえいえそちらから…」




葛城&提督「……」




提督「ならお先に…」




提督「といってもすごーくどうでもいいことなんですが…」




葛城「あ、大丈夫よ、私もそうだから…」




葛城(まさかまさかまさか!?!? そういうことなの!? ほんとにまさかなこと!?!?!)




提督「葛城さん…」




葛城(……)ドキドキドキ・・・




提督「あなた、清水少将殿のもと秘書艦なんですってね!!」




提督「いやー、どうりで仕事のできる方だなー、と思ったわけですよ!!」




葛城「……待って」




葛城「……清水…?」




提督「はい、清水先生、私の敬愛する先生であり僕の先輩です!」




提督「元秘書艦やっていたんですよね? 光栄だなぁー!」




葛城(…少将……つまりアイツ…?)




葛城(私を散々痛めつけて…苦しめたあの野郎が、この人の尊敬する先生…?)




葛城「ね、ねぇ…『部下』という人を知っている…?」




提督「もちろん! 僕の同期ですよ! いやー、あいつ頭がよくて、僕は成績いつも負けてたんですよ?」




提督「懐かしいなぁ…あいつはたしか先生のところで働いてるんでしたよね?」




提督「ぜひ今度会いたいですねー、特に先生には」




葛城(…嘘だ、こんなの嘘だ…)




葛城(…これは悪い夢なんだ、そう、いつも見ているあのクソみたいな過去の夢を見ているようなものなんだ)




葛城(今はつらいけど、少ししたら目が覚めて、いつものこの人がいるんだ)




葛城(…あんなゴミ野郎とは、関わりのない綺麗なあなたが…)




葛城「どうして…」




提督「ん?」




葛城「どうして、あの人に会いたいの…?」




提督「決まってるじゃないですか! 懐かしいのもありますけど…」




提督「僕が目標にしている人だからです!!」




葛城(…いやだいやだいやだもうあんな事は嫌だ嘘だと言って…)




葛城(あなたはあんなやつとは違う、違うのよ…!!)




提督「よろしければ今度、セッティングしてもらえませんか?」




葛城(…)




葛城「…ねぇ、あなたはアイツに憧れているのよね?」




提督「はい!」




葛城「…どうして?」




提督「あの人は僕にとってヒーローみたいな存在なんです! 父の知り合いで昔からよくしてくれて…」




提督「父が病気で亡くなったあとも、ずっと面倒みてくれて…」




提督「あ! 提督としても尊敬していますよ! いつも戦績は優秀ですし、教え方もうまいですし!」




提督「それでそれでー!…」




葛城(あぁ、ダメなのね、この人は)




葛城(完全にアイツに陶酔してる)




葛城(毒されてる…なら)




葛城(私が直してあげなくちゃ)




葛城(この人のために、その毒をはらってあげなくちゃ)




葛城(そうよ…)




葛城「あなたのために…!」グッ




提督「…はい? …ッ!?」ゴスッ!!




ドサッ




葛城「…」




葛城「…ごめんなさい、ごめんなさい…ごめんなさい」




葛城「…でもこうしないといけないの…」




葛城「大好きな、あなたのためにっ…!」ハイライトオフ















・・・鎮守府のどこか





提督(…? ここ…)




提督「はぁっ!!?」ドカッ




葛城「あ、起きた」




葛城「おはよ、あなた!」ドカッ!




提督「ぐぁ!? …何するんですか葛城さん!?」




葛城「なにって…わかるでしょ? あなたを殴ってるの」




提督「そういうことではなくて…! ぐっ!」




葛城「痛い? そうよね、ごめんなさい」




提督「謝るくらいなら…!」




葛城「でもね、これはあなたのためなの」




提督「…は?」




葛城「だから我慢してね?」




提督「…いいから離してください!」




提督「というかこんなことしてタダで済むと思わないでくださいよ…!!」




葛城「…なに?脅し?」




葛城「アハハッ! 面白いー…わねっ!!」ガスッ




提督「がはっ…!」




葛城「脅し? 私にそんなの効くわけないじゃない!」




葛城「む・し・ろ 脅させるのはあなたの方なんだからね?」




提督「はい? 提督である私を脅す…? できるわけないじゃないですか、そんなこと…!」




提督「私を殺そうものなら軍があなたを殺します、行方不明なら捜索隊が出るでしょう…!」




提督「そして私にはあなたを解体する権利すらある! …どうやって私を脅そうというのですか!」




葛城「…」




提督「事情は知りませんが今私を解放するなら、何もお咎めなしとしますが、どうします?」




葛城「…ふふっ」




葛城「…うふっ、あはは、あははは!! あーっはっはっはっはーーー!!」




提督「ぐっ、何が楽しいんですか!?」




葛城「…ざーんねん、これを見ても同じことが言える?」スッ




提督「…なんですか、これ…」




葛城「まぁまぁ、見てればわかるわ」




『やめてったら!!』


『うるさい、このカス!! 黙って殴れれろ!!』


ガスッ!!


『いっっだぁ!!?』


『ははは、うるさい以外は素晴らしいサンドバッグだな!』


ドスッガスッバキッ!!




提督「な、なんなんですか………これ…?」




葛城「…見てわかるでしょ?」




葛城「あなたの敬愛する師匠が、秘書艦である私を虐待してるのよ」




葛城「これ、問題よね?」




葛城「艦娘への暴力行為は軍規どころか法律ですら禁止よね?」




葛城「…本営に提出したら…どうなるかしら…?」




提督「なっ…! 葛城さんあなた…!」




葛城「…わかるわよね? 誰にも言わないように」




葛城「…もしも言ったら…あのクソ野郎には社会的にご退場いただくわ」




提督「……わかり…ました…!」




葛城「…ふふっ、あなたのそういう変に優しい所、私大好きよ」




葛城「じゃ、もう少しやるからね、行くわよ」グッ




提督(…なんでですか……葛城さん…)




葛城「…ごめんね、あなた」ドガァ!








・・・




「--なた、-きて! ねぇあなた!」ユサユサ




提督(…体が…痛くて起き上がれない……)




葛城「あぁやっと起きた、おはよう、あなた」




提督「あ、あぁ、おはようございます、葛城さん」




提督(……っ!! 違う!いつもの調子で挨拶してしまったけどこの人は…!)サッ




葛城「…なによ、逃げなくたっていいじゃないの」




提督「あなたは…! …あなたは昨日、自分が何をしたのか覚えていないのですか!?」




葛城「…? あなたを殴り倒したけれど、それがなにか?」




提督「…あなたはっ!!」




葛城「あ、そろそろ執務しないとまずいわよ?」




提督「え…ってもうこんな時間じゃないですか!? …続きはあとでしますから、急ぎますよ」




葛城「えぇ、わかったわ、それから…」




葛城「雲龍姉だろうと天城姉だろうと、言った瞬間、どうなるかわかってるわよね?」ヒソヒソ




提督「っ…ええ、わかってます」




・・・執務室




コンコン・・・




雲龍「失礼するわね」ガチャ




提督「っ…ああ、雲龍さんですか、なにか?」




雲龍「少し出撃のことで提督に話がね」




提督「はい、なんでしょうか」




雲龍「…最近の調子を見ているとね、この海域の編成をこうしたほうがいいと思うの」




提督「…ふむ、その心は?」




雲龍「今まではできるだけ被弾してもいい重装甲の子を投入していたじゃない?」




雲龍「でもみんな練度も上がってきたし、1、2人くらい駆逐の子も投入したほうがいい、と思ったの」




提督「…わかりました、明日告知して来週あたりからそうしましょうか」




雲龍「そう、ありがとう」




提督「…」




雲龍「? どうしたの?何か言いたいことでもある?」




提督「…ない、です」




雲龍「…なら私は帰るわ、執務がんばって」




提督「…あっ、あの」




雲龍「…何かしら」




提督「じ、実は私…!」




雲龍「…ああ、知ってるわよ?」




提督「! じ、じゃあ…!」




雲龍「葛城と付き合うのよね、おめでとう 嬉しいわ」




提督「え…?」




提督「ち、違います!第一そんなk「あなたー帰ったわよー!」




葛城「あら雲龍姉、来てたの」




雲龍「ええ、少し話があってね」




雲龍「…さて、用件は済んだし邪魔者は退散しましょうかね、じゃあね」




ガチャ・・・バタン




提督「待っ! …」




葛城「じゃあね~」




葛城「…さて、あなた」




提督「……なんですか」




葛城「…言おうと、したわよね?」




提督「…そんなことは…」




葛城「私の目をきちんと見て言ってちょうだい」ズイッ




葛城「もう一度聞くわね? 雲龍姉に、昨日のこと、言ったわよね?」




提督「…」




提督「…はい」




葛城「そう、わかったわ」ドガッ!




提督「ぐふっ!?」ドサッ




葛城「じゃあ、今日は少し、長くやらなきゃね」




提督「!? 今日もやるんですか!?」




葛城「は? 当たり前じゃない 今日どころかこれから毎日よ」




提督「そんな…!」




提督「私の身体が壊れてしまいます! そうすればみんなに迷惑が…」




葛城「…ねぇ、あなた自分の立場わかってるのかしら?」




提督「…はい?」




葛城「あなたは私に何か言える立場じゃないのよ」




葛城「あなたは黙って、私の言うことに従っていればいいの」




提督「っ…!」




葛城「…言ってるじゃない、もし言いふらせば、あなたの先生やその部下…」




葛城「もしかしたら教え子であるあなたも社会的な立場が危うくなるかもね?」




提督「……」




葛城「さて、と…お腹減ってきちゃったわ、ご飯にしましょう?」




提督「…はい」




葛城「よし決まり!」




葛城「…さっきのは余興だから、続きは夜に…ね」ヒソヒソ




葛城「うふふっ♪」





・・・夜







提督「ぐふっ…」




提督「はぁ…はぁ…」




葛城「ねぇ、私、殴りすぎて手が疲れちゃったんだけど」




葛城「少し休んでくるわね」ガチャ・・・バタン




提督(……聞かなきゃ)




提督(なんでこんなひどいことをするのか)




・・・




葛城「お待たせ!」ガチャ




葛城「それじゃ、お仕置き再開としましょうか!」




提督「…その前に、一つ聞いてもいいですか…?」




葛城「? 何かしら」




提督「…こんなことしてあなたはなにが欲しいんですか?」




提督「お金ならできる限りの額をお渡しいたします」




提督「謝罪なら先生にも掛け合って謝罪させます、なんなら私のこの仕事を失っても構いません!」




提督「だから…!」




葛城「…あなた、何か勘違いしてないかしら?」




提督「じゃあなにが欲しいんですか!?」




葛城「それはね… うふふっ! あなたの、悲鳴よっ!!」ドガッ!




提督「がっ!」




提督「…っ! あなたは、どれほど私達を恨んでいるんですか」




提督「私のことが大嫌いなのでしょう!? 先生を慕うような私が!」




提督「だからこそ私をこんな風に傷つけるんでしょう!?」




葛城「それも勘違いね」




葛城「この際だからいうわね、私、あなたのこと大好きなのよ」




提督「…は?」




葛城「大好きで大好きでしょうがないの!」




葛城「あなたのことを考えるだけで一日が終わるの、あなたの顔を思い出すだけで心がスッキリするの…!」




葛城「あぁ、でもあなたはあのクズを尊敬しているといった、あんなものになりたいとまで」




葛城「だから私があなたを変えるの、心も、身体も支配して」




葛城「私だけの『あなた』にするのっ!!」




葛城「他でもない、あなたのために!!」




提督「…お、おかしい…」ボソッ




葛城「ん? なんですって?」




提督「…おかしい、こんなの間違ってます!」




提督「あなたの言うことが本当なら、なんで好きな人をこんな風に傷つけるんですか!!」




提督「こんなに痛いのに…どうして……!」




葛城「…多分、今何を言っても意味がないと思うからいいわ」




葛城「でも、そのうち私の言ってることがよく理解できると思うわ」




提督「…ははっ、できるものならやってみてくださいよ…」




葛城「そう言っていられるのもいつまでかしら   …ふふっ、楽しみね」




葛城「それじゃっ! 話もこれくらいにして再開しましょうか!」




葛城「今日はあなたと私との愛を、文字にしようと思ってね」スッ




提督「…な、な、なんですか…それ……!?」




葛城「じゃーん! 見ての通り、ナイフよ!」




提督「何するつもりですkぐふっ!?」




葛城「はーい、暴れない暴れない、上手く文字が彫れないでしょ?」




ザッ ガガガガガガガ・・・!




提督「いっだぁぁぁぁあああぁぁあああああいい!!?!??!?!?!」




葛城「あぁ、あぁ、いい悲鳴よ、あなた」




葛城「大丈夫、死にはしないわ、だから」




葛城「私たちの愛を描き終わるまで、もう少し我慢してね?」




ザッ




・・・











葛城「あらあなた、おはよう」




提督「…おはようございます」




葛城「よそ行きの格好だけど、どこか行くのかしら?」




提督「ええ、今日は少し、行きたいところがありまして」




葛城「…逃げる気じゃないでしょうね」




提督「…はは、場合によってはそれもありえますね」




葛城「…分かっていると思うけど、逃がさないわよ?」グッ




葛城「…もしも今日の午後8時までに帰ってこなかったら、私、あなたを探しに行くから」




葛城「…逃げてもムダ、地の果てまで追いかけるから」




葛城「そのつもりで、ね」




提督「…わかりました」




葛城「ん! じゃあいってらっしゃいね」




提督「…行ってきます」





・・・





ガタンガタン・・・ ガタンガタン・・・






提督(先生が艦娘を虐待するような人なわけないんだ…)




提督(…確かに厳しいところもある人だったけど、真摯に私たち生徒を教えてくれた)




提督(今だってあの人は立派に提督を続けている)




提督(それが何よりの証拠じゃないか)




提督(葛城さんの言っていることが?だって証明しなきゃいけない…)




提督(そしてこんなことやめさせなきゃいけない…!)




車内アナウンス『次はー○○駅ー○○駅ー、お出口は、左側です』




提督「…そろそろ、か」ガタッ




プシューー・・・




提督「…えーっと、ここからはタクシーかな…」




???「おーい!」




提督「ん…?」




部下「おーい、こっちだ、こっち!」




提督「おぉ! お前は部下! 久しぶりだな!」




提督「もしかして迎えに来てくれたのか?」




部下「そうだ、先せ、いや少将殿に言われてな」




提督「ありがとう、助かるよ!」




部下「まぁ乗ってくれ」ガチャ




部下「積もる話もあるだろうが、それは走りながらでも話そうじゃないか」




提督「ああ」




・・・






部下「少将殿、中佐をお連れしました」コンコン・・・




少将『入れ』




部下&提督「「失礼します」」ガチャ・・・バタン




少将「お前はもう下がってよい、茶はこちらで勝手に用意する」




部下「はっ失礼します」




少将「…さて、ようこそ、我が鎮守府に、中佐」




少将「久方振りだな」




提督「はい、三年ぶりかと」




少将「…時というのは、気付くとそんなに経っているものなのだなぁ…」




提督「その通りでございますね」




少将「…で、用件というのはなんだ」




提督「…くだらない事ではありますが、よろしいでしょうか」




少将「構わん、わしも最近は暇でな、何でもいいから話せ」




提督「…では遠慮なく」




提督「…清水少将は、私の鎮守府に葛城を派遣されましたよね」




少将「ふむ、それが?」




提督「単刀直入にお聞きします、あの葛城に対して、虐待行為がありましたか?」




少将「…」




提督(…頼む頼む頼む…!! 違うといってくれ…!)




提督(お願いします!!)



少将「…それが、どうかしたのか?」




提督「…え?」




少将「当然、やったといっているんだ」




提督(うそ…だろ……?)




提督「…」




少将「…なんだ、わしに傷つけられた艦娘は嫌であったか?」




提督「…い、いえ…」




提督「…あ、あの…提督というものは、艦娘を虐待するのは普通なのですか…?」




少将「…はっはっはっはっは!!!」




少将「まさか貴様、奴らを殴ったことすらないのか!?」




少将「昔から臆病で気優しい奴だとは思っていたがここまでとは!!」




提督「…は、はい……」




少将「貴様も少しは羽目を外すのもいいぞ!」




提督「…わ、わかりました」




少将「…そうそう、わしにも少し話したいことがあってな……」




・・・




提督「…失礼しました」ガチャ・・・バタン




提督(嘘じゃ……なかったのか…)




提督(じゃあ、じゃあ…本当に先生は…)




提督(葛城さんを…)




提督(それだけじゃなくて、たくさんの艦娘たちを……)




提督(私は……あんな人に…憧れて……)




部下「お、話は終わったようだな」




提督「あ、ああ…」




部下「それじゃ駅までは送るさ」




提督「…なぁ」




部下「ん? なんだ?」




提督「…変なこと聞くかもしれないんだけどさ、お前は、艦娘たちを虐待したことってあるか?」




部下「は? なんじゃその質問」




提督「…だ、だよな、そんなこと…」




部下「そんなことやってないやつなんて、いるのか?」




提督「…」




提督「…だ、だよな、あはは……」




部下「…? 変なの」




部下「…さ、帰ろうぜ」




提督「そうだな、行こう」



・・・




提督「……」トボトボ・・・




提督(先生だけじゃなくて…アイツも……)




提督(私がおかしいのか…?)




提督(そんなはずはない…私は、間違ってなんか…)




『提督「僕が目標にしている人だからです!!」』




提督(…)




提督(…あれ、やっぱり、おかしいのか…?)




提督(…ああ、もうよくわからなくなって…)




葛城「あなたっ♪」ダキッ




提督「…ああ、葛城さん、ただいまです」




提督(そうだ、葛城さんは……私を……)




葛城「もう、8時には帰ってきてねって言ったのにもう五分前、ギリギリよ?」




提督「…ごめんなさい」




提督(この人は、おかしい私を……変えようとしたんじゃないか)




提督(あんな目にあっても、私を先生のようにしないために私を変えようとしてくれたんじゃないか)




提督「ごめんなさい…」ウルウル




提督(他の誰でもない、私の…ために…)




葛城「…? あーなーた? どうしたの、ずっと俯いて」




提督(なのに…私は……)




提督「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!!」




提督「…葛城さんのことなんかちっとも理解してなかった!!」




提督「ずっと私のために、私を変えようとしていたのに…!!」




提督「…ごめんなさい…! こんな私を許して……」




葛城「…」




葛城「…やっっと、わかってくれた」ギュッ




葛城「やっと…」




葛城「いいのよ、もう謝らなくて……」




葛城「あなたが、わかってくれただけで」




葛城「…ねぇあなた」




提督「…はい……?」




葛城「大好きよ」




提督「…いいんですか、許してくれるんですか」




葛城「もちろんよ、あなたは私をわかってくれたもの」




提督「…そうですか、なら……」




提督「こんな私でよければ…」




提督「喜んで…!」




葛城「ふふっ、今度こそ告白成功ね」




葛城「これからはずっと一緒」




葛城「あなたがまた間違いを犯さないように、ずっと一緒にいてあげるの…」




葛城「もう、逃がさないから」








葛城「ふぁー…」




葛城「なんだか眠くなってきちゃった、もう寝ようかしら」




葛城「最近はあの人の教育で遅くまで起きてたからね…」




葛城「…」




葛城(でもいざあれがなくなると思うと…少し寂しいような…」




葛城(…ううん! いいのよ、これで! 私があの人を傷つけずないでいいようになったんだから!)




葛城(よかった、のよ)




コンコン・・・




葛城「はいはーい、誰かしら…ってあなた、どうしたの?」




提督「あ、あの…葛城さん…」




葛城「なにかしら」




提督「…私は、意志の弱い人間です」




提督「あなたと一緒にいると誓いました…ですが…」




提督「また、あなた




提督「…だから」




提督「…私に、あなたの名前を刻んでください…」




提督「毎晩毎晩、消えないように…!」




提督「私に…傷をつけ続けてくれませんか…?」




葛城(あぁ…なんて顔しているのよ、あなた)




葛城(まるで餌を欲しがる仔犬のよう…なんて酷い顔…)




葛城(でも)




葛城(その顔が)




葛城(堕ちたあなたの顔が…)




葛城(たまらなく好き…❤)




葛城「いいわよ」




葛城「刻んであげる」




葛城「あなたは私のものだって」




葛城「大好きよ、あ・な・た・❤」





後書き

お読みいただきありがとうございます! そして最後までお付き合いありがとうございました!!
コメントもあれば嬉しいなーなーんて・・・(チラッチラッ


このSSへの評価

12件評価されています


SS好きの名無しさんから
2023-04-03 19:59:31

Feb_102さんから
2023-01-13 14:07:19

2019-09-06 22:52:48

SS好きの名無しさんから
2021-08-09 00:46:50

SS好きの名無しさんから
2018-10-28 19:47:16

2018-06-18 01:58:44

SS好きの名無しさんから
2017-12-30 22:59:54

SS好きの名無しさんから
2017-11-27 01:16:21

SS好きの名無しさんから
2017-11-20 15:12:44

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2017-11-18 13:21:31

SS好きの名無しさんから
2017-11-17 04:17:34

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2017-11-14 02:57:04

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9件応援されています


SS好きの名無しさんから
2023-04-03 19:59:34

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2019-05-07 17:20:44

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2017-11-18 13:21:33

Jirouさんから
2017-11-12 07:48:43

このSSへのコメント

29件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-11-11 13:57:52 ID: 2ClaOJbO

画面を切り替えるとキツいことを言われるのはその為かwセクハラ何てしてないのになあw

2: たくちゃん 2017-11-12 01:44:56 ID: RDQmm9yY

1さん、コメントありがとうございます!
色々あるんです、色々・・・

3: Jirou 2017-11-12 07:48:25 ID: VlrRk9wF

おもしろそう(小並感)

4: たくちゃん 2017-11-13 00:44:51 ID: OjPti1db

3さん、コメントありがとうございます!
ありがとうございます! ぜひ最後までお付き合いいただけると嬉しいです!

5: SS好きの名無しさん 2017-11-13 19:12:23 ID: xyI3J7Nx

更新待っとります。

6: たくちゃん 2017-11-14 01:12:57 ID: 3aApMtUH

5さん、コメントありがとうございます!
このSSは下書きしてあるんでポンポンと更新できたらと思います!

7: SS好きの名無しさん 2017-11-14 13:07:36 ID: t3QQqlPE

人間の屑が此の野郎
家にこい!大事に育て上げたる!

8: たくちゃん 2017-11-15 01:06:11 ID: o8PzhPfL

7さん、コメントありがとうございます!
ダメです。 渡しません。 ゼッタイ。

9: SS好きの名無しさん 2017-11-15 04:35:32 ID: 5yIaLH4H

ええぞ!ええぞ!祖のまま心を融かして更に強く育て上げて
見返したれwそしてずいずいと師弟コンビ組んでぎゃふんと言わせるんだ!

10: たくちゃん 2017-11-17 00:51:59 ID: QMogaS0r

9さん、コメントありがとうございます!
瑞鶴・・・あっ・・・
瑞鶴はこのSSには出ません(ガンギマリ
あとこのSSはハッピーには終わらせないですから、お覚悟を。

11: SS好きの名無しさん 2017-11-17 08:52:42 ID: o15zE4RO

いつも楽しみにしてます!
ガンバッテ!!

12: たくちゃん 2017-11-18 01:04:35 ID: -q29MBCt

11さん、コメントありがとうございます!
こういうコメント、ほんと励みになります・・・!ありがとうです! 
頑張ります!

13: SS好きの名無しさん 2017-11-18 07:55:32 ID: UI1U5mfP

雲竜姉ちゃんに食われそうやw
フォローを入れるも泥沼のトライアングル!どうする?天城さん!
こんな平和な終わりが良いなあw

14: たくちゃん 2017-11-19 02:24:17 ID: 5Go5e-9Q

13さん、コメントありがとうございます!
あーそれもよかったっすね、『禁断の三角関係!! 野獣と化した艦娘』
って感じで
まぁ予告通り平和になんて終わりませんから、安心してくださいね(ニッコリ

15: SS好きの名無しさん 2017-11-19 09:31:42 ID: IA3a6rTD

魔王ハルサメちゃんを呼ぶのじゃ!
歪んだ欲望は歪んだ相手にぶつけるのじゃー!

16: たくちゃん 2017-11-20 00:58:07 ID: QUpgDxFn

15さん、コメントありがとうございます!
春雨ちゃん好きっすねぇーw
まぁ、助けなんてこねぇです、はい(無慈悲)

17: SS好きの名無しさん 2017-11-21 13:52:43 ID: JcsB4cMc

めっちゃ面白いですね!楽しみにしてます!

18: たくちゃん 2017-11-22 00:54:35 ID: _yB8EJnD

17さん、コメントありがとうございます!
ありがとうございます!! もう少しですが、頑張っていきます!!

19: SS好きの名無しさん 2017-11-22 14:41:36 ID: BS7Unh3y

此さw下手を打ったなあ。
証拠の動画を本営に持ち込み糞提督の政敵を使いながら排除して彼を上に押し上げてイイオトコニ育てれば良かったのに。
雲竜姉ちゃんに協力して貰えば出来よう。

20: たくちゃん 2017-11-23 01:33:43 ID: hwgsKSum

19さん、コメントありがとうございます!
恋は盲目、故にそんな知恵を絞る余裕なぞなくなってしまっているのであります・・・ 

21: SS好きの名無しさん 2017-11-23 18:58:11 ID: pVfy49Vw

誰か!誰か葛城を止めれる人は居ないのか!

22: SS好きの名無しさん 2017-11-24 08:04:16 ID: t_j6dI3U

雲竜姉ちゃんでも無理やろなあw
せめて少しでも彼女に心が残ってるなら。彼が葛城君を暖かく抱き締めて苦しみを受け止めて泣き悪くないが全ての提督代表としてすまなかったと言うだけやろうなあ。

23: たくちゃん 2017-11-25 01:01:47 ID: oqjqgZbO

21さん、コメントありがとうございます!
(い)ないです。 そもそも葛城が暴走してるって知ってる人が提督くらいしかいませんしね

22さん、コメントありがとうございます!
葛城は謝罪なんて求めてないんです、ただそれを餌にして提督を自分のものにしたいだけなんです、つまり純愛ですね(錯覚)

24: SS好きの名無しさん 2017-11-25 14:42:47 ID: C2CQ0SsY

生き物には生物には優しい。
が物には厳しい人か。買い替えれば良いと思ってる。
肝心な事を忘れてる。この子達が反撃できる兵器であり。
恐怖の武器で有ることを。映画みたいに反逆去れたら面白いねw

25: たくちゃん 2017-11-26 01:45:18 ID: P7zq8JRM

24さん、コメントありがとうございます!
艦娘は『艦』であり『娘』ですからね、物でもあり者でもあるのです

26: SS好きの名無しさん 2017-11-26 07:32:42 ID: 58IgvSzP

さあ今こそ男を魅せよ。師を越えて自らの道を示すために反対の事をし
手柄を立てて出世するのだ!そしてメディアを味方にしてハーレムを作るのじゃーw

27: SS好きの名無しさん 2017-11-27 13:40:27 ID: AQsr_6Zh

あかんって!寿命を短くするのはあかんって!子供を作っていい名前をつければ証しになるから!だからさwどMはアカン!

28: たくちゃん 2017-11-29 01:02:07 ID: uF9IotFE

26さん、コメントありがとうございます!
そんな行動力と精神力が提督にあれば・・・よかったね(過去形

27さん、コメントありがとうございます!
提督「ドMじゃありません、葛城さんからの愛を受け取ってるだけです」
などと供述しており・・・

29: ウラァー!!ハラショー!! 2019-09-06 22:53:11 ID: S:IrbqTA

なんかそういうエロ同人見たことがある気がする


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