ボロボロ提督と艦娘たち IFルート
もし、ボロボロ提督が強くなかったら
そういう物語です
※先に『ボロボロ提督と艦娘たち』をご覧ください
初めましての方は初めまして! クソ文才たくちゃんでございます!
艦娘のキャラ崩壊注意です!
あと、分岐といたしましては、『ボロボロ提督と艦娘たち』の、提督が焼かれたあとのお話となります
これはバッドエンドだよ
みんな物好きさんだよね
ハッピーに終わればいいのに
わざわざ、アンハッピーな方も見たいだなんて
まぁでも、わかるよ
誰かの不幸って、おいしいもんね
それが例え物語の人間でも
オイシイオイシイと貪り食うんだよ
人間って本当は、『どっち』なんだろうね?
少将「おい、待て大佐」
提督「…なんでしょうか」
少将「これはいったいどういうことだ」
提督「見てお分かりになりませんか、辞表です」
少将「それはわかっている、だが……」
提督「私が軍にとどまる理由がありますか?」
提督「二回にも渡る艦娘たちの反逆」
提督「無能としか言いようがないでしょう」
提督「こんなのを残しておく理由はありますか?」
少将「いや… しかしだな……」
少将「君は軍学校では非常に優秀であった……」
少将「それに運用当初は君の艦娘はよく従って…」
提督「愛想が尽きたんでしょう」
提督「こんな男の下で働くことに」
少将「…」
少将「…君を傷つけた艦娘たちから、君に会って謝りたいと…」
提督「はっ、馬鹿馬鹿しい」
提督「いい玩具を失いたくないだけでしょう」
提督「俺はもう騙されませんよ」
提督「俺はアイツらの玩具なんかじゃない…」
提督「…失礼します」
提督「行こう、扶桑」
扶桑「はい 失礼します、少将」
ガチャ・・・バタン
少将「…また一人、有能な若者を失ってしまったか」
少将「なぁ春雨、わたしはどうしたらいいのだろう」
少将「…答えられるわけがないか」
少将「君も、彼女と同様『そう』だったからな」
提督「…」スタスタ
扶桑「…提督はこれからどうするのですか?」スタスタ
提督「軍をやめる それから先のことは今から考える」
扶桑「…よろしければ私もご一緒していいですか?」
提督「…!?」
扶桑「私もあんな所にはもういたくありません」
扶桑「これ以上提督を傷つけた人たちと一緒にいられません」
提督「…いいのか?」
提督「これからは生活のアテもなくなるかもしれないんだぞ…?」
扶桑「はい、提督の行かれるところなら、どこへでも」
提督「…そうか…!! ありがとう…!!!」
提督「扶桑が… 扶桑だけが俺のことをわかってくれる…!!!」
提督「扶桑… 俺はもう、傷つくことはないんだよな…!?」
扶桑「もちろんです これからも私が提督をお守りします」
提督「うっぐ…うぅ………!!」
扶桑「泣かないでください、誰も見ていないとはいえ軍の施設内ですよ、ふふっ」ナデナデ
扶桑「…ふふっ」ニタァ
一年後・・・
扶桑「提督ー! 野菜が沢山採れましたよ~!」
提督「おお、やったぜー!」
扶桑「二人で頑張って育てた甲斐がありましたね♪」
提督「あぁ! …といっても俺はほとんど動けなかったけどな」
扶桑「違います、提督」
扶桑「提督が頭を使ってたくさん調べて、私が体を使って動いただけですよ」
扶桑「それに、提督が作って待ってくれているご飯、もの凄く美味しいですから」
提督「…ありがとう、扶桑」
扶桑「いえいえ」
提督「お前のおかげで、俺は幸せだよ」
提督「…提督だったころ、俺はなんて不幸なんだろうって思っていた」
提督「どれだけ艦娘とコミュニケーションをとろうとしても」
提督「どれだけ鎮守府を良くしようとしても」
提督「全部報われなかった」
提督「…でも今思えば……」
提督「…全部、あの不幸は扶桑とこうして暮らす分の幸せを作り出すためだったのかもな」
扶桑「ふふっ、提督ったらロマンチストですね」
扶桑「でもその考え方、大好きです」
提督「ははっ …幸せだ」
扶桑「えぇ、本当に…」
扶桑「…さて、休憩もそろそろおしまいにします」
扶桑「隣町まで買い物をしてきますね」
提督「あ、俺も行こうか?」
扶桑「提督は来月まではダメです、お医者さんに言われているでしょう?」
提督「はーい」
扶桑「では行ってきますね」
提督「いってらっしゃい」
提督「…」
提督「ふぅー…」
提督「俺も夕飯の用意しよ」
ピンポーン
提督「ん? 誰だろ お隣の鈴木さんかな」
ピンポーン ピンポーン ピンポーン
提督「はいはーい今行きますよーっと」
提督「はーい、どちら様で…しょう……か………」
瑞鶴「久し振りだね! 提督さん♪」
提督「瑞…鶴……」
・・・
提督「お茶でいいか つかそれしかないけど」
瑞鶴「うん、ありがと」
コトッ
提督「…それで、どうしてここがわかった?」
瑞鶴「あ、安心してよ ここは誰にもばらしてないからね」
提督「…で?」
瑞鶴「ちょっと上の人に聞いたんだよ」
提督「あのクソジジイ…」
提督「まぁいい、なぜ今更になって俺のもとに来たんだ」
提督「まさか戻ってこいだなんて言わないだろうな」
瑞鶴「ううん、その逆 戻ってくるなんて言わないでね、絶対」
瑞鶴「もう提督さんが傷つけられるのは…」
瑞鶴「見たくない」
提督「…はぁ、そんなこと言われなくても戻らないさ」
提督「扶桑との今の生活がこれ以上ないくらいに幸せさ」
瑞鶴「…」ギリッ
提督「…それで? そんなことを言うためだけにここに?」
瑞鶴「…」
提督「瑞鶴、キチンと言葉で伝えてくれないとわからない」
瑞鶴「あのね…」
瑞鶴「私、アイツらが許せないの」
瑞鶴「だから復讐したいのよ」
瑞鶴「提督さんも、したいでしょ? 復讐」
提督「…」
瑞鶴「だから一緒に…「却下だ」
瑞鶴「え……」
提督「俺はもうアイツらと関わることすら嫌だ」
提督「俺を痛めつけた奴らに復讐したい気持ちはある、だが」
提督「それ以上にもう関わりたくない」
提督「お前や翔鶴、その他少数の俺をいじめなかった奴らなら会ったりすることもできるが」
提督「それ以外とは顔どころか噂話すら聞きたくない」
提督「厚意なのはわかる だが結構だ」
提督「やるなら勝手にしろってことだ」
瑞鶴「…そっか」
瑞鶴「うん、私こそごめんね、嫌なこと思い出させちゃって」
瑞鶴「…今度、翔鶴姉と一緒に来てもいい?」
提督「あぁ、お前ら二人なら信用できる」
提督「今はいないが、扶桑も交えて話をしよう」
瑞鶴「…」
瑞鶴「…うん、そうする」
瑞鶴「じゃあね」
提督「帰れるか?」
瑞鶴「うん、車運転してきたから」
提督「そうか、じゃあ気を付けてな」
瑞鶴「また今度ね、提督さん」
提督「おう」
ブロロロ・・・
瑞鶴「勝手にしろ、ね」
瑞鶴「うふふふっ!!! じゃあそうさせてもらうわ、提督さん」
・・・数日後
扶桑「あ、おはようございます、提督」
提督「おはよう扶桑」
扶桑「すぐに朝食の用意をいたします、提督は朝のニュースでも見ていてください」
提督「あぁ、ありがとう」ポチッ
ニュースキャスター『次のニュースです』
ニュースキャスター『昨日、艦娘が殺害される事件が発生しました』
提督「艦娘が、ねぇ 一般人にやられるほどヤワだったか?」
ニュースキャスター『殺害場所の詳しい地点は秘匿とされていますが、○○鎮守府近くの…』
提督「…」
ニュースキャスター『その艦娘の体には矢が十数本刺さっており、強い殺意があったと思われます』
提督「…まさか、な…」
・・・
ニュースキャスター『一昨日と同様、艦娘がー…』
・・・
ニュースキャスター『連日続いている艦娘殺害事件についてー…』
・・・
ニュースキャスター『この件で殺害された艦娘はついに20人を超えー…』
提督「…」
提督「…違う、違う」
提督「…違う、俺は悪くない…!!」
ピンポーン
提督「ヒッ」
提督「…」ヨロ・・・ヨロ・・・
提督「…は、はい、どちら様でしょうか…」ガラガラ・・・
翔鶴「…お久しぶりです」
少将「急にすまないね」
提督「…翔鶴、少将……」
提督「粗茶ですが…」スッ
翔鶴「ありがとうございます」
少将「ありがとう」
提督「…それで、今日はどのようなご用件で…」
少将「…少し時間がかかる、いいかね」
提督「…はい、扶桑は仕事で夜にならないと帰ってきませんから…構いません」
少将「では遠慮なく」
少将「…単刀直入に聞こう 君は今ニュースとなっている艦娘殺しを知っているかね」
提督「ッ …はい」
少将「…その犯人に大方の予想がついた …といっても想像通りの犯人であったが」
提督「…うちの瑞鶴ですか」
少将「…そうだ」
少将「証拠もそろっている、今日中には逮捕状が出るだろう」
提督「…」
少将「…やはり、という顔をしているね」
翔鶴「失礼ですが提督、以前瑞鶴がここに来た時、何か仰りましたか?」
提督「…俺は、俺は……」
提督「…あぁ…!!」ブルブル
提督「…違う!! 俺は何も悪くない…!!」
少将「…翔鶴くん!」
翔鶴「はい! …提督、落ち着いてください!!」
提督「…俺は勝手にしろって言っただけなんだ!! 俺は何も言ってない! 俺は…!!」
提督「違う違う違う違う!!!」
翔鶴「提督!!」
提督「っ……! …も、申し訳ございません…」
少将「…いや、いいんだ 少しずつでいい」
少将「…つまり君は今回の件には一切かかわっていないと?」
提督「は、はい!! それだけは、誓って…!」
少将「必死だね」
提督「はい …せっかく軍を抜けたのに、軍の関係で逮捕なんて…絶対嫌ですから」
提督「せっかく扶桑と二人で幸せを掴んだのに…」
少将「…」
翔鶴「…」
提督「…? どうかされましたか…?」
少将「…」
少将「…一つ、君には大切な話をしなければいけない」
少将「…君の相棒 扶桑くんに関することだ」
提督「…は、はい…?」
少将「…単刀直入に言うね」
少将「君をボロボロにしたのは、扶桑くんだ」
提督「…は………?」
少将「私たちは君が軍をやめた後、色々と調査を行ったのさ」
少将「なぜ艦娘たちが君をあそこまで傷つけたのか」
少将「…様々なことを調査しているうちに、私は違和感を覚えた」
少将「君の艦娘はまるで二重人格障害でも患っているようだ」
少将「以前、私は君の鎮守府にお邪魔したね」
提督「…はい」
少将「その時は君たちの関係は非常に良好だった」
少将「…しかし今はこうだ」
少将「しかも突発的にこうなってしまったと聞いている」
少将「…何らかの原因があるとしか考えられないんだよ」
提督「ま、待ってください!! そこでどうして扶桑が…」
提督「扶桑はあの騒動の中でも、唯一俺の味方をし続けてくれた!!」
提督「扶桑がいなければ俺は…!」
少将「…君は大層扶桑くんを信頼しているんだね」
提督「当然です!」
少将「……」
少将「…残酷なことだが、真実を伝える義務があるのでな」
提督「…」
少将「…私と憲兵団、そして君の鎮守府にいた娘たちで情報をひっかき集めた」
少将「君のこと、扶桑くんのこと」
少将「…君はCHM-78を知っているか」
提督「な、なんでしょうか、それは」
少将「艦娘用の暴走薬だよ」
少将「…では、25年前の事件は」
提督「ッ!!!」
少将「…君はよく知っている 君の家族の命日だから」
提督「今それとこれと何の関係が…!!!」
少将「その薬が、25年前の事件にかかわっているんだ」
提督「なんで艦娘用の薬が関係あるんだ! あれはただフェリーが深海棲艦に…」
少将「…それが嘘だとしたら?」
提督「…は……」
少将「それが海軍の隠蔽された報道で、真相は違ったら?」
提督「…なんだよ、じゃあアンタはあれは艦娘の起こした事件だと…?」
少将「…当時の調査書だ、読むかい?」ピラッ
提督「…嘘、だろ……?」
提督「…じゃ、じゃあなんだ? 俺の家族は艦娘に殺されたって…?」
提督「…はは、ははは……」
提督「…じゃあ俺を守ってくれたあの人は…味方のはずの艦娘に…」
提督「…クソ……もうわけわかんねぇ…!」
少将「…その時君を守った艦娘の名前は」
少将「山城という」
提督「…山、城……? 扶桑の…?」
少将「…あぁ、君の秘書艦の扶桑くんの…実の妹だ」
提督「…そう、か……」
提督「…」
提督「…それで」
提督「25年前の事件の真相から、どうして扶桑が悪いという結論に出るのです?」
提督「今の話を聞く限り、扶桑は完全に被害者だ」
提督「実の妹を味方に殺されたんだからな」
提督「どうしてそんなことが言えるんでしょう」
少将「…」
提督「…証拠もないクソみたいな理由なら、俺はアンタを即追い出す」
少将「…なぁ、大佐」
少将「君は扶桑を信じすぎているよ」
・・・その後、少将から一つずつ説明された
山城が沈んでからの扶桑の様子
当時稀有かつ強力な戦艦枠であったため、その立場を利用し上層部に脅しをかけて事件の真実を問いただしたこと
そして・・・みんなに薬を盛っていたこと
俺は証拠は何かと問いただした
もし本当に扶桑が薬を受け取っていたとしても、それを使ったという証拠がなければ犯人とは言えない
俺はそこに一縷の望みを託した、だけど・・・
拘束された艦娘全員に血液検査を行った結果、全員からある成分が検出された
それと青葉が大昔に記した研究ノートにかかれたCHM-78の成分を照合したところ・・・
見事に一致したという
CHM-78は現在では軍内部にすら存在していないもの
これを持ちうるのは扶桑のみ
・・・完全に扶桑が犯人としか考えられないのだ
狂いそうだった
なんで、どうして
俺に向けたあの笑顔は仮面だったのか
仮面の下では俺が手のひらで踊っているのを見て嗤っていたのか
あぁ・・・
少将がお帰りになるのを見送るので精一杯だった
頭の中ですべてのことが悪く見えた
全部、全部、全部全部・・・
はぁ・・・
もういいかい
もういいよ
そうだよね
つらいじんせいだった
いいことなんてひとつもなかった
がんばったのにむくわれなかった
それどころかバカをみた
みんなおれをわらうんだ
もういいよ
・・・ポーン ピンポーン ピンポピンポーン
提督「…誰だろ」フラフラ
ガラガラ・・・
提督「…はい……」
瑞鶴「あ! 提督さんやっと出てきてくれた!」
提督「っ……瑞鶴…」
瑞鶴「うん! 提督さんの瑞鶴だよっ!」
提督「…何をしている、早く自首してこい」
瑞鶴「自首? どうして?」
提督「…聞いた、お前が俺の艦娘を…」
瑞鶴「俺の? 違うでしょ提督さん」
提督「…俺の元部下を……」
瑞鶴「何回間違えるのよ、提督さん」フフッ
提督「…?」
瑞鶴「アイツらは提督さんの艦娘だったことなんて一度もないよ?」
瑞鶴「だってアイツらは提督さんを傷つけたんだもん、そんなのが提督さんの下にいるわけ…」
提督「…瑞鶴、聞いてくれ アイツらは…」
提督「…アイツらは扶桑のせいでおかしくなっただけなんだ…」
瑞鶴「…」
提督「…扶桑のせいで、俺を傷つけていただけなんだよ…」
瑞鶴「…そう、だったんだ」
瑞鶴「じゃあちょっと悪いことしちゃったかな」
提督「…あぁ、だからもう…」
瑞鶴「…でももう遅いや」
提督「…は…?」
瑞鶴「ちょっと前に、最後の生き残りの赤城さん殺ってきたから」
提督「…は……」
瑞鶴「赤城さんは入院してたからね~ どのタイミングで殺すか迷ったんだよ」
瑞鶴「まぁでもやってみたら意外にすんなりいったからよかった」
提督「…え、なんで…」
瑞鶴「…どっちみち提督さんを傷つけたことに変わりはないからいいっか!」
瑞鶴「それよりも提督さん!」ニコッ
提督「…ッ」
瑞鶴「私、たくさん頑張ったんだよ? どうやって提督さんを傷つけたアイツらを殺すか」
瑞鶴「頑張って色々と考えてみたの!」
瑞鶴「私、翔鶴姉みたいに頭良くないから大変だったよ~」
瑞鶴「…だからね」
瑞鶴「たーーっくさん褒めて♪」
提督「ヒッ…」
ガサッ
扶桑「…なにを、しているんですか……?」
提督「ッ!! 扶桑……」
瑞鶴「チッ 邪魔くせぇ」
扶桑「瑞鶴さん? どうしてここに…」
瑞鶴「あぁ、そういえば提督さん、言ってたよね」
瑞鶴「扶桑さんが全部の元凶だって」
提督「ッ…!」
扶桑「提督…もしかして知って…」
提督「な、なぁ扶桑、嘘だよな…?」
提督「お前が全部の元凶なんてさ」
提督「少将のでっち上げた真っ赤な嘘だよな…?」
扶桑「…」
提督「…嘘って言ってくれよ」
扶桑「…」
提督「黙ってねぇで嘘だって言えよ!!!」
扶桑「…ごめんなさい、提督……!」
提督「…嘘…だろ…」
扶桑「…でも! 私は提督の為n「五月蠅い」グサッ
扶桑「…え」
提督「……え………?」
ドサッ
提督「ふ、扶桑……?」
提督「お、おい、どうしたんだよ…」
提督「目を開けてくれよ、なぁ……」
提督「キチンと謝れよ…!!!」
提督「なんでなんだよ……」
提督「なんで撃ったんだよ瑞鶴!!」
瑞鶴「ん? 当たり前じゃん、自白したんだから」
提督「だからって…!」
瑞鶴「なんで? その肉塊は全部の元凶なんだよ?」
瑞鶴「じゃあ殺さなきゃ 提督さんのために」
瑞鶴「殺してあげたんだよ、提督さんのために」
瑞鶴「だから… ねぇ」
瑞鶴「ナデナデして」
瑞鶴「あの憎たらしいガキどもに昔やったみたいに」
瑞鶴「たくさん褒めて」
瑞鶴「あのクソビッチどもに昔したみたいに」
瑞鶴「…そして」
瑞鶴「たくさん愛して」
瑞鶴「そこの肉塊にずっとしてきたみたいに」
提督「ヒッ…!? やめっ…!」ガシッ
瑞鶴「…ねぇ、逃げようと思ったの?」
瑞鶴「…可愛いなぁ、提督さん」
提督「はっ離せ!! やめろッ…!」ジタバタ
瑞鶴「無理無理、私は艦娘だよ?」
瑞鶴「ふふっ、本当に可愛いいんだから」
瑞鶴「じゃあ、提督さん」
瑞鶴「たくさん愛してね」
パァン!
提督「……」
ドサッ
提督「……え…?」
覚えているのはここまで
俺が覚えているのは
覆いかぶさっていた瑞鶴が頭を撃たれて死んだこと
周りで怒号が飛び交っていたこと
扶桑の血が真っ赤だったこと
・・・瑞鶴の血が、少しだけ青かったこと
目の前は真っ白だった
何もない、からっぽ
何も覚えていない
あれから
色々なことがあったようで
いや、毒々しいまでに色彩を持った時間を過ごしたはずなのに
何も残ってはいない
ただ、なんとなく、ぼんやりと
なにかあったことはわかった
でもなにがあったのかなんて知らない
・・・少しずつ、色が戻ってきた
真っ赤な夕焼け、それに照らされて橙色になった正面の山、空を飛ぶ二羽の黒いカラス
・・・少しずつ、感覚も戻ってきた
土と草の匂い、風鈴の音、体に触れる木の板の感触
どうやら俺は縁側にいるようだ
動くのも面倒だ このままでいよう
それから、どれくらいだろう
一瞬だったような、でも何年もたったようなとき
もう中身がなく、飲みおわった薬袋に気がついた
それに気づいたと同時に、ねむくなってきた
そしてまたどうじに、なぜか涙が流れてきた
どうしてだろう
おれはただすこしねるだけだ
でも、なみだはとまらない
すこしとおくに、むかしのふうけいがうつっている
おれと、ものすごくたくさんのおんなのこたちがみえる
しゃしんでもとったのだろう、みんないいえがおをしている
でももうなまえはおぼえていない
だれだろうか
たいせつなこたち
そのふうけいにむかって
てをのばす
とどくはずもないのに
てをのばす
とどかないとしっているのに
てをのばす
もどりたいから
てをのばす
もどれないのに
てをのばす
ふいにしかいがにじむ
てが
のばせなくなる
だんだんくらくなる
いやだ
いやだ
いやだ
もどりたかった
やりなおしたかった
しんじたかった
さいごに
かのじょのすがたが
みえた
きがした
翔鶴「……死体は腐敗が進んでおり、死後一ヶ月は経過しているとのことです」
少将「憲兵には少なくとも二週間に一度は訪れて様子を見ろといったはずだ」
翔鶴「申し訳ございません」
少将「別に君の責任ではない」
少将「…」
翔鶴「…では、私はこれで」
少将「…待ってくれ」
少将「…この後はどうするつもりだ」
翔鶴「この後…? 今回の件の書類を…」
少将「…違う、それらが終わった後、どうするんだ」
翔鶴「…」
少将「…まさか君まで」
翔鶴「…いえ、私は生きなければいけません」
翔鶴「…提督の艦娘として」
翔鶴「一番最初の、妻として」
少将「…やはり君には…記憶が……」
翔鶴「…はい」
少将「…そうか」
翔鶴「後悔はしています」
翔鶴「あの人に、譲らなければよかったと」
翔鶴「…でももう遅いんです、なにもかも」
翔鶴「私にはもう、勝手に死ぬ権利すらありませんから」
少将「…」
翔鶴「…そのお写真は、あなたの…」
少将「…はは、駆逐棲姫という深海棲艦だぞ、これは…」
翔鶴「えぇ、存じています そのうえで聞いているのです」
少将「…狂った愛と因果の末だ」
少将「…妻も、部下も失った」
少将「…俺にも、死ぬ権利なんてないのさ」
翔鶴「…似た者同士、でしょうか」
少将「…私はそうは思わないけれどね」
翔鶴「…えぇ、私もです」
翔鶴「…それではそろそろ失礼します」
翔鶴「…死ねない者同士、うまくやりましょう」
少将「…あぁ」
ガチャ・・・
バタン
オイシかった?
不幸なバッドエンドだよ
誰も幸せにはならなかったよ
胸糞悪い?
少しくらい救いが欲しい?
あはは、ダメだよ
こんな未来を望んだのは
オマエラナンダカラ
・・・さて次は
どんな不幸をお望みかな?
おしまいおしまい♪
とうとう始まってしまったIFルート。
心の在り方次第で未来が
こうも変わるとは恐ろしいものです。
再び、怖いもの見たさに来てしまった
自分がいます。
頑張って下さい!
加賀、白露型達は瑞鶴に
始末されたんですかね?
このルートだと扶桑もターゲットかなぁ
続き期待します!!
1さん、コメントありがとうございます!
本編の提督は聡明かつ強い人間だったので、ハッピーエンドを迎えられました しかし今回は違いますのでね
もうすぐに終わっちゃうと思いますが頑張ります!
2さん、コメントありがとうございます!
ですね、基本的に提督を傷つけた者全員を始末してます
その辺は次回で!
本来ひどい暴行を受けていたなら、こちらの提督の反応もまた至極まともなことなんでしょうけど、
正規ルートの提督が優秀聡明過ぎるだけあって、こっち方面の提督がすごい器量無しに見えてしまいます。
しかし、瑞鶴の態度が、正規ルートとほとんど同じなのに(殺害までしてますが)、ヤンデレ感が強く感じられるのは、不思議ですね。
瑞鶴の血…辺りで改めて
艦娘と深海悽艦は表裏一体という事を
認識しました。
あの薬の主原料は深海悽艦の体液と
思ってます。
作者様お疲れ様です!
前言撤回させていただきます。
瑞鶴がヤンデレなのが不思議云々とか言いましたが、予想の斜め上をいく化け物(?)でした。
次の展開も、楽しみにしています。
皆さんコメントありがとうございます!
4さん
本当にIFルート、ですから提督が無能に見えるのも当然ですかね・・・
元々瑞鶴にはそういう担当で出ていてもらったのでw
5さん
はい、そういうことです
そこまで考えてなかったので(おい)その辺も次に追加しますね
6さん
文字通り化け物です、この瑞鶴は
もう終わりですけど、どうぞお楽しみください