提督生活③【チュートリアル:艦娘編】
任務に関する事は大体わかった…はず。これからは艦娘のついての事を詳しく知りたいけど、その前に昼食にしたい。
施設とか見回ってから食堂行けばちょうど時間になるだろう。昼食の献立何だろう。って今日は金曜日かぁ…。
あれ?電なんか驚いてるけど何で?
補給は大事
「あぁ。もう昼時だからな、丁度いいだろう?」
「不真面目な行いは控えるって言ったばかりなのに、なのです…」
「まぁそういうな。各施設も見てから向かうから」
電は納得いかない顔をしているが時間も時間だし仕方ないだろう。空腹は最大の敵だ。
「さてじゃあ、どこから見回ろうか」
まずは入渠施設からだ。
「電、ここの入渠施設から見て回ろう」
「はいなのです」
大浴場はこの建物に併設されてある。提督室を出て一番近い場所にあるから移動も楽だ。
っと、その前に艦娘について少し聞いておこう。
「電、艦娘について教えてくれないか。」
「艦娘は本体となる素体と艤装から構成されるのです」
「素体?」
「艤装を装備していない状態の事を言うのです」
「じゃあ艤装ってのはどのように装備するんだ?」
「えっと、出撃の際には発艦場で装備になるのです。艤装自体は素体に格納する事も可能なのです」
「発艦場も後で見ておく必要があるのか。発艦場ってのはどんなものなんだ?」
「スキーのジャンプ台みたいな…滑り台と言っていいのです。出撃時に少しでも燃料を節約するために、予め速度を稼ぐのです」
「発艦場を使用しないで出撃する事は出来るのか?」
「可能と言えば可能なのです。ですが、あまりお勧めしないのです。速度が無い状態では色々不安があるのです」
「ふむ、不安材料はなるべく潰しておきたい所だが…着いちまったな。さて中はどんな風になってるか、開けるぞ?」
「どうぞなのです」
「脱衣所の先が大浴場か。中は大きい風呂と洗い場、それにサウナと個別の風呂は、寝湯か?しかし寝湯は四つの内、二つは使用不可能…全部使えればいいのに…。電、大浴場って入渠施設も兼ねてるんだよな?入渠施設って大浴場全部の事でいいのか?」
「えっと、入渠時には個別のお風呂を使用するのです。その他の大きいお風呂は通常のお風呂として使う事になるのです」
「そうなのか?それにしては湯が張ってないな…」
「あ、今日の夜から使用可能みたいなのです」
電が張り紙を見つけ教えてくれた。張り紙には点検時以外はいつでも自由に使える事と拡張工事についての記載があった。
「一か所に長々といては昼食を逃しそうだから次へ行こう」
「なのです」
どちらからでも良いが…入渠時の事を少し聞きたいから静かそうな方から回ろう。
「次は艦娘寮へ行こう」
「なのです」
「寮は隣の建物だったか。少し歩くな」
「工廠もここからだとほぼ同じ距離なのです」
「そうなのか」
「そうなのです」
慣れてきたせいか、このやり取りが少し楽しくなってきた。
「入渠時の事で質問があるのだが、あれってどう使うんだ?」
「えっと…通常お風呂に入るのと一緒ですが、入渠すると資材を消費するのと修復が終了するまでお風呂から出られなくなるのです」
「入渠時間ってわかるのか?」
「入渠すると壁に設置された表示板に入渠時間が出るのです」
「へ~、じゃあ一目瞭然だ…って大浴場内じゃ俺確認出来ない…さすがに入るわけにもいかないしなぁ」
「はわわ、恥ずかしいよお…」
「日本男児たるもの女子に恥をかけさせはしない!後ほど対策を講じよう」
とは言ったものの、少しは興味があったりする。しかしそういうのを少しでも表面に出すと女ってのは非常に敏感で気分を害すると身を持って知らされている。機嫌が悪いと一緒にいるのが非常に辛いんだよな…
「?」
どうやら気づかれなかったようだ、良かった。
「着いた。この建物が全部艦娘寮か。結構大きいな」
「艦隊に配属されていない艦娘はここで寝泊まりするのです。現在百人まで生活が可能なのです。」
「増やすことも可能なのか」
「なのです」
「思ったより回るのに時間が掛かってるな、質問は後でまとめてする。次へ急ごう」
「電、工廠ではどんな事が出来るんだ?」
若干急いで歩いているがしっかり電は付いてきてくれる
「はい、工廠では【建造】【解体】【開発】【廃棄】をする事が出来るのです」
「ざっとでいいから全部説明してくれ」
「【建造】は資材を消費して艦娘を作るのです。【解体】は不要になった艦娘を資材にする事が出来るのです。【開発】は【建造】と似たようなもので、資材を消費して装備を作る事が可能なのです。【廃棄】は装備を資材に戻すことが出来るのです」
「【建造】と【解体】、【開発】と【廃棄】が対になってるのか」
「そうなのです。あの…司令官さん、何か電、気に障る事を口にしたでしょうか…」
少し気になった事があったのだが、表情に出ていたらしい。
「あぁすまない。【解体】が少々気に食わない。君たち艦娘がモノ扱いされているようで正直な所気分が悪い」
「はわわ、大丈夫なのです。電達、艦娘は軍艦なのです。お気遣いはありがたいのですが…大丈夫なのです…」
「その考え方は今後一切やめろ電。俺の鎮守府で艦娘をモノ扱いは無しだ。艦娘だろうが人だろうが生きている、自分達を卑下するな。わかったな」
「ありがとうございます、なのです…」
何か言いたそうな顔をしているが、言葉が途切れたまま二人して無言で工廠まで歩いた。
工廠内で何か作業しているのか、つなぎを着た人が居たので声をかけてみた。
「あのーすいません。こちらで何をしているのでしょうか」
「あー?あんた誰」
「本日付で着任した提督です」
「あー!あんたがここの提督さんかい。話は聞いてるよ、今は工廠内の点検とかやってる所さ。どうだい、動作確認のためにも一つ建造を試してみないかい?」
「あー、その事なのですが…無計画に建造するのも彼女らの悪いと思うので」
「あっはっは、何?気にしてるの?」
殴ってやろうか。
「大丈夫だよ。【建造】ってのはまず艤装を作り、そこに妖精が宿る。そうした状態の艤装を素体となる娘が装備する事で艦娘となるのさ。んで【解体】ってのはその艤装を資材化する事を言うんだよ。素体の娘がどうこうなるってわけじゃない。」
思わず隣にいる電を見て気まずくなった。
「先走ったか?」
「いえ…有り難かったのです」
「で、どうすんだい?ちなみに素体の娘は通常別仕事をしてるから」
ニヤニヤしながら言われた。
「じゃあ、戦艦を頼む」
しかめっ面で言うのが精一杯だった。
「ああ、残念だが艦種は選べない。何になるかは妖精次第だからねぇ。何、よくわからないなら必要最低値で建造してみるかい?」
「そうしてくれ」
ぶっきらぼうに言う。
「終了したら呼ぶから、あっち行ってな。」
「あんたが誰なのかくらい把握したいんだが?」
「あぁ、ここの長だよ。工場長って呼ばれてる。よろしくな提督さんよ。」
「…お昼ご飯に行こう、電」
工場長の挨拶を無視して電に声をかける、そしてそのまま食堂に歩き出した。
電はご丁寧にも工場長に礼をしてから付いてきた。
食堂の入り口にある献立表をみると、チキンカレー、春巻き、サラダ、福神漬け、バナナとなっていた。
トレイに昼食をのせ席に着く。
「いただきます」
「いただきますなのです」
「思ったより回るのに掛かったな。食堂に人が居なくなり始めてる」
「…先程、質問は後でまとめてすると言ってたのはどうするのです?」
電がじっとこちらを見つめてきた。
「あー、食べ終わってからにしよう。まずは腹ごしらえ」
「そんな事になるだろうと思ったのです…」
明らかに呆れたという顔をしている。
しかしな電、腹ごしらえは大事だぞ?
前後編にするとか言っておきながらこの体たらく…orz
まとめきれませんでした。もう一回チュートリアルが続きます。ごめんなさい。
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