2015-03-11 19:23:22 更新

概要

金のためなら手段を選ばない提督と、心の清らかな艦娘たちの物語。(基本、提督がクズです)(完結しました)


前書き

初めてシリアスものを書く気がします。しかも艦これで……。

めちゃくちゃ緊張してますが、頑張ります。
今のところはグロテスク表現とかはないと思いますが……。今後あるかもしれません。やっぱりなかったよ

完結しました!

(修正のため上がることがあります)


プロローグ


提督「ぐっ……お前……!」


??「英雄とまで言われた君がこのザマとは……笑えるね」


提督「何のために……こんなっ……」


??「安心しろ。君の艦娘たちには、これといった危害は加えないつもりだ……今のところはね」


提督「……何をするつもりなんだ……」


??「ただ、君の艦娘を借りるだけだよ。私の目的のために……」


提督「そんなことは、断じて許さんっ……!」


??「黙れ。今から君は、提督じゃない、『元提督』だ。そして、今から私が提督だ……。せいぜいそこで待っておくがいい。私は命まで奪うつもりはないからな」


提督「くそっ……! 頼むっ……みんな、死ぬなよ……!」




着任


提督「……え~、初めまして。私が新しく着任した代理の提督だ。……みんな、急なことで慣れないと思うが、私も出来る限り努力をするつもりだ。だから、君たちも出来る限り心を開いてほしい。どうか、よろしく頼む」


吹雪「……」


提督「ところで、一応、前の提督の秘書艦だったのは誰か、教えてくれないか?」


吹雪「あ、最後に秘書艦だったのは私です」


提督「そうか、君、名前は?」


吹雪「はい! 特型駆逐艦、吹雪型1番艦の吹雪と言います! よろしくお願いいたします!」


提督「吹雪か。よろしく。他のみんなは、自分たちの部屋に戻ってくれてかまわない。今日は、鎮守府内を彼女に案内してもらおうと思う」


吹雪「……」


提督「というわけで、吹雪、案内をよろしく」



~案内中~


吹雪「あの、司令官……その、前の司令官は……」


提督「ああ、彼はどうやら軍の上層部に呼び出されたみたいだ。帰ってくるのが早くなるか遅くなるかは私にはわからんが」


吹雪「そうですか……こんなことを聞いて申し訳ありません」


提督「いや、いいんだよ。みんなもまだ歓迎ムードって感じじゃなかったしな」


吹雪「……」


~案内終了~


提督「吹雪、今日は、ありがとう。おかげでこの鎮守府がどういう作りをしているかわかったよ。今日は、ゆっくり休むといい」


吹雪「あ、はい! では、失礼します!」


ガチャ


提督「さてと……この鎮守府の艦娘の情報でも見ておくか……」


プルルルルル


提督「電話か……はい、もしもし。ええ、ちゃんと着任できましたよ。……なるほど、輸送船の護衛を明日から? で、何積んでるんですか?」










提督「ああ、なるほど。『葉っぱ』ね。何に隠してるんですか? へぇ……それはそれは。いくらくらい儲かるんですか?」


提督「ふぅん……それ、最高。わかりました。明日ですね、了解」




おつかい


吹雪「おはようございます、司令官」


提督「うん、おはよう。吹雪、早速で申し訳ないんだが、駆逐艦と軽巡洋艦をテキトーに集めてきてくれないか?」


吹雪「え? あ、はい」



~しばらくして~


吹雪「えっと……第六駆逐艦隊のみんなと、天龍さんです」


提督「ご苦労。君たちには早速なんだが、遠征に行ってもらおうと思う」


雷「あら、出番が意外と早かったわね」


暁「私達に任せてよ!」


提督「頼もしくて、何より。今回の遠征なんだが、簡単に言ってしまえば輸送船の護衛だ。えぇと、この辺で合流することになるだろうな。……とにかく、この船についていけ。何が何でもだ。ただし、途中で見つかったりするなよ」


響「見つかる……? 敵に?」


提督「まあ、そういうことだな。とてもとても『大事』なものが乗ってるからね」


天龍「わかったぜ、よし、お前たち、行くぞ!」



ガチャ



吹雪「司令官、今回の輸送船には何が乗ってるんですか?」


提督「……知りたいのか?」


吹雪「え!? あ、いや、前の司令官は一応何が乗ってるかはちゃんと教えてくれていたので……」


提督「……さて、どうしたものか……。まあ、君はなかなか屈服させがいがありそうだ」


吹雪「? 言っている意味がよくわからないんですけど……」


提督「……『危ない薬』だよ」


吹雪「……え?」


提督「ストレートに言ったほうがいいのか?」


吹雪「なっ……ふざけないでください! 軍がそんなことをしていいはず……!」


提督「ほう。では、どうする? 口外してみるか?」


吹雪「っ……司令官、今なら冗談で済みますよ?」


提督「……君の大切な、友達がどうなってもいいのか?」


吹雪「む、睦月ちゃんに何するつもりなんですか?!」


提督「ああ、自分から教えてくれて感謝するよ。睦月か」


吹雪「あっ……」


提督「私の言う事に従え、吹雪。今なら許してやる」


吹雪「……はい」


提督「まあ、君には色々と教えてあげようじゃないか。ただし、口外したらどうなるかわかってるね?」


吹雪「……」


提督「よろしい。では、君の聞きたそうなことから答えてやる。なぜ、こんな遠征があるのか。私は『そういう世界』の住人だからだ」


吹雪「……」


提督「では、次、なぜこんなことをするのか。金だ。この世はとにかく金が必要だからだ」


吹雪「……」


提督「最後に、君たちの提督のことだが、こればかりは私も『知らない』。これは本当だ」


吹雪「わかりました。もう結構です……少しの間失礼します」


ガチャ


提督「……ふふっ。まあ口外はそのうちするだろうな。こっそりと。だが、吹雪。私もバカで君に教えてあげたわけじゃない。……知恵比べといこうじゃないか。君が、みんなに私のことを告発するか。それとも、みんなが沈むのが早いか……」


プルルルルル


提督「……とと。電話か。はい。ええ、そうですか。いいですよ。うちの艦娘を2、3人派遣すればいいんですね。ええ、大丈夫ですよ。調べたところ練度はそれなりにあります。金さえくれれば、どのように使ってもらってもかまいません。それでは明日」




~某海上~


天龍「また、航路変更かよ……この船ちょっとおかしいんじゃないか?」


電「はわわ……天龍さん怒らないでください!」


天龍「だってよ……何か動きが違うじゃねえか……」


暁「確かに変よね……まるで何かを避けてるみたいな……」


~鎮守府内~


吹雪「どうすればいいのかな……誰にもバラすことはできないし……思わぬ墓穴を掘っちゃったのも私だし……」ブツブツ


長門「どうした、吹雪」


吹雪「な、長門さん!?」


長門「いや、お前が悩んでいそうだったからな。何かあったのか?」


吹雪「あ、いえ……」(ここで、言ったらどうなるのかな……長門さんなら、もしかしたらあの男を……)


長門「……そうか。耐えられなくなったらすぐに言うんだぞ。私達は仲間なんだからな」


吹雪「はい!」(でも、まだ早い気がする……)


提督「お~、吹雪じゃないか。いいところにいた。私は少し出かける。その間、よろしく頼むぞ」


吹雪「え? あ、はい……」(え? これ、もしかして、チャンス……?)


提督「……では、行ってくる」



~執務室~


吹雪(何か資料とか、残してるはずだよね……。その資料とかがあればみんなに言っても信用してもらえる……)


吹雪(……)


吹雪(あ、これ……なんだ。普通の資料と変わらないや)


吹雪(……)


~しばらくして~


吹雪(これだけ探してもないのか……仕方ない。今日は諦めようかな)


吹雪(今頃だけど、さすがにこの部屋に監視カメラとかないよね……?)



~さらにしばらくして・廊下~


提督「吹雪、ただいま」


吹雪「あ、おかえりなさい!」


提督「ちょっと、執務室に来てくれ」


吹雪「はい!」


~執務室~


提督「……君たちの前の提督なんだが、どうやら少し長引くそうだ」


吹雪「え?」


提督「何だ、君が欲しがっている情報を提供してあげているんだ。嬉しくないのか?」


吹雪「あ、いえ……ありがとうございます」


提督「……具体的にはわからんがな。そうそう、先に言っておこう。私との会話での『沈黙は肯定を意味する』と捉えたまえ。それは君も同じだ。いいな?」


吹雪「は、はい……」


提督「ところでだ、吹雪よ……」


吹雪(ち、近づいてきた……?)









ガッ


吹雪(む、胸ぐらをつかまれた……!?)


提督「お前、この部屋に勝手に入ったよな?」


吹雪「えっ……」


提督「私が何も対策してないと思ったか? バカなやつだ……こういう時のために『ある細工』をしているんだが……。まんまと引っかかるとは思わなかったよ」


吹雪「……」


提督「言っておくが、監視カメラでもないし、何か高性能な居場所を特定できるような機械をつけたわけでもない。本当にちょっとした細工だ。……まあお前のことだから、みんなを信用させるために何か悪行を残した資料でも置いているんだろうと考えたんだろうな。それは賢い、褒めてやる。証拠があれば、確かにこの鎮守府内の艦娘は信用してくれるかもしれんなぁ。だが、私はお前より『もっと賢い』」


吹雪「くっ……」


提督「さて、この罰、どうしてくれようか……。そうだなぁ、睦月を明日出撃させてやろうじゃないか。無事かどうかは保証しない」


吹雪「……や、やめてください! だったら、私が出撃します!」


提督「ダメだ。『睦月を出撃させる』これは『提督として』の決定だ。『私として』の決定ではない」


吹雪「……」


提督「これからは、もっと慎重に行動するべきだ」パッ


吹雪「……」


提督「あ、あとさっきは言いそびれたが、私のところで、今資料を見つけても無駄かもしれんぞ。なぜなら、前の提督が使ってた資料かもしれんからなぁ……」


吹雪「っ!! あの人はそんなことしません!!」

 

提督「そう怒るな。クールに行こうじゃないか。だが……資料探しはしばらくやめておいたほうがいいということだけは言っておこう。まあ、君なりのやり方で私を倒してみたまえ」


吹雪「……はい。望むところです」


提督「まあ、どうしようと君の勝手だが、みんなの前では提督と秘書艦の関係だ。さて、そろそろ遠征に行ったみんなが帰ってくる時間だ。迎えに行こう」


吹雪「はい」


~鎮守府~


提督「うん、みんな無事で何よりだな。ご苦労だった」


電「司令官、そういえば、向こうの船に乗ってる人から頂いたものがあるのです」


提督「それは私に渡してもらおうか」


電「はいなのです!」


提督「みんなは燃料など補給をしておくように。補給が完了次第、今日はもう休んでくれていいぞ」


吹雪「……」


提督「吹雪、一応資材のほうのチェックを頼む」


吹雪「はい」



~執務室~


提督「さてさて、……約束通りの1000万。どう使うか……」


提督「……ふむ。そういえば、夜の間だけ居酒屋経営をしているアイツ、『鳳翔』と言ったか……『いい稼ぎ頭』になってくれそうだな」


コンコン


提督「入っていいぞ」


吹雪「失礼します。司令官、こちらが資材の残りです」


提督「よし。十分だ。……さて、吹雪、いきなりだが、君には私の艦隊のシステムというのを教えてやろう」


吹雪「はい、お願いします」


提督「私の艦隊はいわゆる『傭兵艦隊』だ。誰かから頼まれ、金を積まれない限りは出撃しない」


吹雪「そんなのって……軍としては最低ですね……」


提督「何とでも言いたまえ。……実はすでに、依頼が一件来ていてな、クライアントの要望は二、三人出してくれとのことだ」


吹雪「……」


提督「そこでだ、睦月を言ってた通りに出撃させようと思う。で、君には睦月に同伴させる艦娘を二人選ばせてやろう。明日の朝までにじっくり考えてきたまえ」


吹雪「……はい」


~寮内・吹雪型駆逐艦部屋~


吹雪(はぁ……そういえば『傭兵』として依頼が来るってことは、少なくとも軍の中でそんなことをしている人達がいるってことだよね……)


吹雪(嫌だな……)


吹雪(ダメダメ、あんなことをしてるのは一部の人だけ! そう……一部だけなんだから……)


吹雪(もし、口外しちゃったら……私もその一部の人だったとして見られちゃうのかな……)


吹雪(どうすればいいの……)


吹雪(前向きに考えないと……誰を睦月ちゃんに同伴させればいいのかな……)


叢雲「吹雪、どうしたの? 顔色悪いわよ」


吹雪「あ、叢雲ちゃん。大丈夫だよ! ちょっと今日は仕事が忙しかったの!」


叢雲「そう……」




~居酒屋『鳳翔』~


千歳「ほら~、千代田ももっと飲みなさいよぉ~!」


千代田「飲んでるってば! お酒最高!」


鳳翔「ふふっ」


提督「失礼する」


鳳翔「あら、提督、どうかなさいましたか?」


提督「鳳翔、少し大事な話がある。執務室まで来てくれないか?」


鳳翔「え? あ、はい」


隼鷹「よっ! 熱いねご両人!!」


飛鷹「ちょっと、アンタ……!」


提督「ははは。そんなんじゃないから。じゃあ、みんなはゆっくりしていてくれ」



~執務室~


鳳翔「あの……提督、話とは?」


提督「……いたってシンプルだ。まずはこれを読んでくれたまえ」


鳳翔「……こ、こんなのできません……」


提督「昼間だけの仕事だ。この鎮守府を救うと思ってやってみないか?」


鳳翔「それに、こんなの仕事として認められません……!」


提督「はぁ……」


バンッ!!(壁ドン)


鳳翔「……っ」


提督「……選べ。暴力がいいか、金を選ぶか。……後者の方が懸命だぞ。私の金を使って、君のためのボディーガードをつけてやるくらいはできる」


鳳翔「……」


提督「……」ニヤリ















提督「もしもし、ええ。『いい稼ぎ頭』が明日、そちらに伺います。お好きに使ってください。男ウケのよさそうな娘です。博打の中盆として使ってくれるのもよし、男に酒を飲ませて金をむしり取る仕事をさせるのもよしですよ。ああ、ですが、『キズモノ』にだけはしないでもらいたい。彼女もまだ『夢のある女の子』なんでね」





初出撃


~吹雪・自室~


吹雪(あっ……そうだ! 筆談でなら、密告することができかもしれない!)


吹雪(……いける……これなら……! 今日はもう夜遅いから、明日にしておこう)



~執務室~


提督「さて、鳳翔、明日からよろしく」


鳳翔「…………はい」


提督「今日はもう戻ってくれていい。だが、口外は禁止だ。もしすれば、どうなるかわかってるな?」


鳳翔「……はい」


ガチャ


提督「……さて、吹雪の密告手段を一つ潰すか。まずは、『筆談』から……」




初出撃




~寮内・吹雪型駆逐艦部屋~


ドンドン


吹雪「ん……こんな朝早くから誰……」


叢雲「んっ……うるさいわね……」


初雪「Zzzzz」


白雪「Zzzzz」


深雪「Zzzzz」


磯波「Zzzzz」


吹雪「ううん……しかたない……叢雲ちゃん、じゃんけんできめよー」


叢雲「そう……ね。じゃーんけーん」





吹雪「負けた……ふぁぁ……はい、どちら様ですか……」


提督「おはよう。吹雪。こんな朝早くからすまないな」


吹雪「しれいかん……? 何の用ですか……ふぁ……」


提督「顔を洗ってこい。ちょっと仕事だよ」


吹雪「ふあぁい……」トコトコ


提督「……」



~戻ってきて~


吹雪「司令官、ところで、仕事って何ですか?」


提督「えぇと、まず。一応だが、考えてきたか?」


吹雪「あ、一応……」


提督「よし、それは後で聞こう。ところでだな吹雪よ―――――










――――『筆談』の準備はできたのか?」





吹雪「えっ……」


提督「……」ニヤリ


吹雪(う、嘘……読まれてる……?)


提督「そんなに驚く顔をしなくてもいいだろ。私は君より『賢い』んだから。大体、口で説明できないとなると筆談の可能性は高くなるだろう?」


吹雪「……」


提督「残念だが、対策はすでに練ってある。だから、言っておこう。『筆談』を選べば君の負けだ」


吹雪「……そう、ですか」


提督「そうだ」


吹雪「で、では、仕事のほうに参りましょう。こんな朝早くから何の用なんですか?」


提督「……大きな声を出すなよ?」


吹雪「はい」


提督「お前たちの提督に会わせてやる」




~某所~


吹雪「あ、あの……もうこの目隠しとっていいですか?」


提督「ああ、いいよ」


吹雪(車みたいなのに、乗せられたよね……どこなのかな、ここ)


吹雪「そういえば、私達の司令官については知らないって言ってたじゃないですか」


提督「....ちょっとだけ面会の許可をもらえたんだ」


吹雪「そうなんですか....」


提督「着いたぞ」


元提督「吹雪……吹雪なのか!?」


吹雪「司令官!! よかった! 無事だったんですね!」


提督「……」


元提督「ああ、お前たちも無事か!?」


吹雪「は、はい!」


提督「……」


吹雪「あの、どうして司令官がこんな目に……」


元提督「……すまない。それは答えられないんだ」


吹雪「じゃ、じゃあここにいる代理の司令官とは何か関係が!?」


元提督「それは答えられない……すまない。私が認められているのは君たちの安否を確認することだけなんだ」


吹雪「そ、そんなっ……司令官っ……私……!」


元提督「吹雪……これだけは忘れるな……私は必ずお前たちのところに戻る……だから、その時までに誰一人として欠けないでくれよ……」


吹雪「わ、わかりました!!」


提督「吹雪、時間だ……」


吹雪「は、はい……」


提督「先に戻っていてくれ。私は少しだけこの人と話しがある」


吹雪「はい」タッタッタ




提督「さて……元提督、今の気分はどうだい?」


元提督「ああ、最低だよ」


提督「あの子は正義感溢れるいい子だ……だからこそ、『こっちの世界』に落としたくなる」


元提督「お前……」


提督「……せいぜいそこで待ってろ。そして、次に吹雪が来た時に彼女が泣きながら君に仲間の死を報告する姿を焼き付けるのがいいさ」


元提督「……クソがっ……!」


提督「素晴らしい顔だな。今に拘束具を外せば私をあの世へ送りかねない……だが、君はどうすることもできない」


元提督「……」


提督「そうそう。あと、鳳翔についてだが……鎮守府なんかよりもずっといい職場を見つけてね……そこで昼間だけだが働いてもらうことにしたよ」


元提督「……」


提督「では、失礼する。お元気で」



~執務室~


提督「さて、吹雪、君の考えを聞こうじゃないか。誰と誰を睦月に同伴させるつもりだ」


吹雪「はい……長門さんと――――――



―――――私です」





提督「自分から志願とは……面白い。いいだろう、長門と睦月を呼びだそう。言っておくが、海上での密告も無駄だぞ? 大淀も既に私の手中だ。その上……もう既に対策は練ってある」


吹雪「……」




~執務室~


提督「よし、三人とも揃ったな。では今から作戦の説明を始める」


長門「ちょっと待て。吹雪から少し話を聞いたんだが、自ら選ばず、吹雪にこのメンバーを選ばせたのはどういう意味があってだ?」


提督(…‥どこまで、話をしたのかはわからんが、吹雪のことだからおそらく傭兵としてのことは言ってないはず)


提督(ここは、無難な回答が一番だな)


提督「よく考えてみろ、長門。この鎮守府においての活動は私より吹雪の方が圧倒的に長い。つまりだ、吹雪は一生懸命に考えて、今回の出撃にベストなメンバーを選んでくれたんだ。私が下手に編成を行うと仲が悪いやつらが固まった場合、士気が低下するかもしれないからな」


長門「なるほど、一理ある」


提督「納得してくれてよかった。他に質問はないか?」


睦月「あ、えっと……私、出撃するのは久しぶりなんですけどー、どうしてですかぁ?」


提督「吹雪が君を選んだからだ。なぁ、吹雪?」


吹雪「……はい」


提督(まぁ、こうなるよな)


提督「では、今回の作戦についてだが……本格的な出撃ではない。支援を行うことになっている。まず、この海域に行ってもらい、既に待機しているある鎮守府の艦隊と合流してもらう。そこで、その艦隊のみんなと協力して、相手を全滅させてほしい」


長門「……わかった」


提督(長門は少し、疑問には感じているようだが……睦月は純粋に久しぶりに出撃できて嬉しいって感じか……問題は吹雪がどう動くかだな)


提督(とりあえず、出撃してもらおう)


提督「では、出撃準備をしてきてくれ。後で私も見送りにいく」


長門「ああ」


睦月「いってきまーす!」


ガチャ


提督「吹雪」


吹雪「はい」


提督「……報酬は君が受け取ってくるんだ。いいな?」


吹雪「はい」


提督「あと、くれぐれも沈むなよ。そうであっては『面白くない』」


吹雪「ええ、沈みませんよ。あの人が帰ってくるまで……絶対」



~鎮守府~


提督「では、無事を祈る。敬礼!」ビッ


三人「ハッ!」ビッ


提督「よし、頼むぞ」



~司令室~


提督「ふぅ……。大淀、吹雪達が合流した頃に指揮を取り始める。気を抜くなよ」


大淀「ええ、わかっています」


提督「……しかし、前の提督がいなくなって、気にしないのか?」


大淀「それはもちろん、気になりますよ。ですが、今のところの提督はあなたです」


提督「……」


大淀「私は、あの人が帰ってくるのを信じ、あなたに従う。そういう約束でしょう?」


提督「……まったくもって、何を考えているかはわからんな。君は」


大淀「あなたもですよ……」


プルルルルルル


提督「おっと、電話だ……はい、もしもし。ああ、鳳翔がどうかしましたか……えっ……初日で300万儲けそう? やるな……」


大淀「魅力のある方なのに……どうして、こんな風になっちゃったんでしょうか」ボソッ


提督「いや~、そうですか! よかったよかった!」


大淀「運命って……残酷ですね」ボソッ



~海上~


吹雪「え~っと、そろそろ合流地点のはずなんだけど……」


長門「あれじゃないのか?」


吹雪「あ、そうですね! では、合流しましょう!」



~司令室~


大淀「どうやら合流できたみたいです」


提督「よし。作戦開始だ。えーと……おい、吹雪聞こえるか?」


吹雪『はい、合流できました。今、ちょうど、作戦のことを聞いてます』


提督「よし、その調子で頼む」



~海上~


瑞鶴「っていう感じでお願いね!」



長門「わかった」


睦月「がんばっちゃいま~す!」


吹雪「ハイッ!」


吹雪(相手の艦隊の人達、思ったよりいい人達でよかった……)



日向「っ! 敵発見……来るぞ!」


長門「私達も持ち場につくぞ!」


吹雪「はいっ!」


睦月「はいっ!」




~司令室~


提督「始まったか……」


大淀「……」


提督「……大淀。今に戦局が傾く。吹雪だけに指示を出す準備だけしておいてくれ」


大淀「はい」



~海上~


吹雪(結構苦戦……)


吹雪(確かに、みんな作戦通りには動いてるんだけど……)


吹雪(なんだろう……この違和感)


吹雪(……)


長門「くらえっ!!」


吹雪(ああ、長門さんって、やっぱりすごいなぁ……じゃなくて……)


吹雪(……あれ? あの並び……)


吹雪「長門さん!! 今すぐその場から離れて!!」


長門「ん?」


瑞鶴「……」


長門「……」


吹雪(長門さんの後ろに隠れるようにして……あっちの瑞鶴さんは、攻撃を避けようとした……。もし、あのまま攻撃されていたら……)


吹雪(……ということは、もしかして睦月ちゃんっ……)


提督『吹雪、聞こえるか』


吹雪「は、はいっ……ですがっ……」


提督『落ち着け。お前がどういう立場か忘れたのか……』


吹雪(『傭兵』……そうか。傭兵を盾にするって考えの人もいるんだ……)


吹雪「睦月ちゃん! 大丈夫!?」


睦月「う、うんっ! ちょっと被弾しちゃったけど、まだ戦えるよ!」


吹雪「……」


吹雪「早く終わらせて帰らないと……」




~戦闘終了~


瑞鶴「ありがとねー! あなた達がいなかったらやばかったわ!」


吹雪「え、ええ……」


瑞鶴「これ、ウチの提督からあなた達の提督に……」


吹雪「あ、はい。どうも……」


吹雪(やっぱり、こっちは被害が大きいのに、向こうはほぼ無傷)


吹雪(こんなのが……続くの?)


瑞鶴「あ、ちょっと吹雪、こっちに来て」


吹雪「……はい」


瑞鶴「……ごめんね。私達も本当はこんなことやりたくないんだけど……提督の指示でさ」ヒソヒソ


吹雪「あ、いえ……」


吹雪(そうだよね……悪いのは……)


吹雪(……)


吹雪(何を信じればいいんだろう……)



~鎮守府~


提督「……無事で何より」


長門「……」


睦月「……」


吹雪「あの、提督、これ、向こうの司令官からです」


提督「ああ。確かに受け取った……。ご苦労だったな。……入渠してこい」


吹雪「あ、はい。睦月ちゃん、行こう」


睦月「う、うん!」


~少し過ぎて~


長門「おい」


提督「おや、明らかに砲台の『危ない方』がこっちに向いてるね」


長門「……」


提督「聞きたいことはわかってる。単に向こうの提督か艦娘のみんなが下衆なだけだったかもしれないな。それとも私が下衆なだけかもしれん」


長門「……お前はそれでも軍人か?」


提督「……それはどうだろうね。肩書がある以上は軍人だ」


長門「……」


提督「そろそろ、それを下ろしてほしいな。構えたところで、私がこのように艦娘の寮の前に立ってしまえば、お前は『撃てない』んだから」


長門「……」


提督「だが、私は『撃てるぞ』」チャキ


長門「っ?!」



















提督「バーン! ……ってな。冗談だ」


長門「……」


提督「さぁ、君も一応怪我人だろう。今は入渠してくるといい。明日からも、出撃はしてもらうんだからな」



~入渠中~


吹雪(冷静になって考えてみたら……私は口外することもできないかもしれない……)


吹雪(口外をするってことは、『仲間』を作ると同時に……仲間をアイツの魔の手に晒すことと同じ……)


吹雪(どうしよう。手段がどんどんなくなっていくよ……)


睦月「吹雪ちゃん? どうしたの?」


吹雪「あ、いやっ……なんでもないよ! きょ、今日は出撃、上手くいったね!」


睦月「うんっ!」




~執務室~


提督「鳳翔、おかえり」


鳳翔「……はい」


提督「浮かない顔だね。初日で300万なんて、なかなかじゃないか……」


鳳翔「……」


提督「もっと嬉しそうな顔をしろ。君が稼いだ分、この鎮守府は豊かになる」


鳳翔「……」


提督「ふん、まあいい。戻ってくれていいぞ」


鳳翔「はい……」


ガチャ


提督「さて、鳳翔は男向けの作り笑顔が上手になりそうだな……」


プルルルルルル


提督「はい……明日ですか? ……この前と同じ、『葉っぱ』輸送ね。この前行かせたやつらを行かせますよ。それでは」



提督「……さて、今回の報酬は……。ほう、金じゃなくて、『ダイヤ』での報酬とはなかなかいい趣味をしている提督じゃないか。……どんな提督かは知らんが、一度お伺いしてもらうことになりそうかな?」


提督「……私だ。◯◯鎮守府の☓☓提督をここに『持ってきて』くれないか? なぁに、金は弾むさ。『ダイヤ』でもいいぞ。……そうか。頼んだ」




信じられるのは


~執務室~


吹雪(あれから、2日経った……司令官は相変わらずだし……)


吹雪(でも、この人、仕事だけはちゃんとこなすんだよね……)


吹雪(はぁ、これで性格がよかったらどんなにいい司令官なんだろう……)


吹雪(ちょっと残念……)


提督「終わったぞ」


吹雪「あ、はい。お疲れ様です」


吹雪(それに、何か昼食とかが豪華になったし……そのせいで、みんながこの人を信用し始めている……)


吹雪(早く手を打たないとダメだよね……)


提督「吹雪、今日は来客があるんだ。一緒に鎮守府の入り口のところまで来てくれないか?」


吹雪「あ、はい!」



~鎮守府・入り口~


提督「ご苦労だった」


黒服の男「いえ」


提督「……少ないかもしれないが」スッ


黒服の男「……確かに受け取った」


提督「いつもありがとう」


モブ提督(以下モブ)「ん~!! ん~!!」


吹雪「……あの、司令官、この人は……」


提督「いや、この前君や睦月が出撃した時のクライアントの提督だよ。じっとしてろ、ガムテープ取ってやる」ビリッ


モブ「ぷはっ……どういうことだっ……! 報酬は確かに渡したぞ!」


提督「……気に食わない」


モブ「なっ……何がだ」


提督「お前がウチの艦隊を盾に使おうとしたことが気に食わない」


モブ「っ……」


提督「……いくら傭兵として雇ってくれたとはいえ、あくまでも『私の艦娘』なんでね?」ニコッ


モブ「……す、すまない! だから許してくれ!」


提督「いくらだ?」


モブ「へ?」


提督「いくら払う? 無理ならお前の持ってる艦娘こっちに寄越してくれてもいいんだぞ」


モブ「……」


吹雪「し、司令官! も、もうやめてあげましょうよ!」


提督「吹雪、痛い目あわされたのはどっちだ? もしかしたらお前が沈んでたかもしれないんだぞ?」


吹雪「そ、それは……」


提督「黙って見ておけ。これが『こっちの世界』での交渉の仕方だ」


モブ「ご、500万!!」


提督「……足りん」


モブ「5、550!!」


提督「……あんな大層なダイヤを買えるくせにその額はないだろ……?」


モブ「……1000万」


提督「……交渉成立」ニコッ


モブ「……」


提督「では、そういうことで、持って帰ってくれ」


黒服の男「わかりました」


提督「……☓☓提督さん、『お元気で」


モブ「……」


吹雪「……」


提督「さて、吹―――パァン!


吹雪「……最低です……!」


提督「……」


吹雪「……」


提督「……やっぱり、お前、面白いな。最高だ。こんなに楽しめるのは初めてだ」


吹雪「……」


提督「だが、私に手を上げたということは……どうなるかわかってるんだろうな?」


吹雪「っ……」


提督「……そうだなぁ……。『身体』で支払ってくれてもいいんだぞ? ……なんて冗談だ。これでも今日の交渉はマシな方だよ」


吹雪「……」


提督「以前なら、たっぷり金を搾り取った後で、色々相手に苦痛を与えてやるのが私の常でな」


吹雪「本当に、最低ですね……」


提督「……でもどうだ? 少しは同意できる部分はないのか? 君たちを盾に使おうとした提督は許せないだろう?」


吹雪「そ、それは……」


提督「その感情だよ。その感情がその内大きくなれば、君は私と同じ世界に来る……。その時が楽しみだよ」


吹雪「……」


提督「そして、先ほどは建前上ああいったが、私としては君たちは大切な『商売道具』だ。勝手に沈まれるのは損害でしかない」


吹雪「っ……どうして、そんなにひどいことを言えるんですか! 私達は道具なんかじゃありません!」


提督「じゃあ何だ?」


吹雪「っ……」


提督「堂々と『人間』とは言うことはできない。人の姿をしていながらも人ならざるもの。それが君たちだ。どうだ?」


吹雪「違う……違います……!」ポロポロ


提督「……少々言い過ぎたか」


吹雪「うぅっ……ひどいっ……ですぅ……!!」


提督「……あー。泣くな、吹雪」


吹雪「……」グスッ


提督「……まいったな……」



~執務室~


吹雪「……」ポロポロ


提督「……落ち着け」


吹雪「あなたがっ……言うせりふじゃないですっ……!」ポロポロ


提督「……じゃあ、命令だ。『泣き止め』」


吹雪「はいっ……」


提督「……」


吹雪「……」グスッ


提督「……今日は部屋に戻っておけ」


吹雪「言われなくても……そうさせてもらいます」


ガチャ



提督「……まったく。面白い……。こっちは血も涙も捨てたのに」


プルルルルルル


提督「はい、もしもし。鳳翔が……400万の売上? そう……いや、何。ちょっとおもしろすぎることがあって」


~寮内・吹雪型駆逐艦部屋~


吹雪「……はぁ」


吹雪(本当に、どうすればいいんだろ……)


吹雪(もう、何を信じればいいのか……わかんないよ)


吹雪(……司令官……早く戻って来て……)


叢雲「吹雪? 戻ってきてたの?」


吹雪「あ、叢雲ちゃん……」


叢雲「あんた、どうしたのその顔……ひどいわよ」


吹雪「あ、うん……ちょっと、司令官と喧嘩というか、口論になっちゃって……」


叢雲「もしかして、アイツに何かひどいことされたわけ!?」


吹雪「あ、いや……」


叢雲「そこまであんたが元気ないって、相当ね……私が文句行ってくるわ……」


吹雪「あ、叢雲ちゃん!」


~執務室~



コンコン


提督「ん? 吹雪か? 入っていいぞ」


叢雲「……失礼するわ」


提督「……叢雲か。何の用だ」


叢雲「あんた、吹雪と口論になったらしいわね」


提督「まあ……な。それがどうした?」


叢雲「どうしたって……あんた! 吹雪があんなひどい顔になってるの初めて見たのよ!! 放っておける!?」


提督「落ち着け……冷静になれ」


叢雲「大体、本来の私達の司令官なら絶対に私達を傷つけるようなことはしなかったわ!」


提督「……随分と彼のことを慕っているようだね……」


叢雲「なっ……ち、違うわよ! そういうことじゃなくて……あんたには提督としての……思いやりというか優しさはないわけ?!」


提督「あってどうする」


叢雲「っ……」


提督「……ただの仲良しこよしで、戦に勝てるとでも思ってるのか? 本気でそう考えているのなら、愚かだ」


叢雲「……」


提督「いくら同じ目的を持つ軍人であっても、戦略や今後の方針の考え方が違うのは当たり前だ。一度も衝突せずに勝利をおさめるなんてことが可能だと思ってるのか?」


叢雲「だからって言って……吹雪を泣かすことは……!」


提督「なら、私が謝ればそれで納得するのか?」


叢雲「……」


提督「叢雲、先に言っておくぞ。私達がしているのは『仲良しこよしで勝ち負け決まれば、はいもう一戦』、などという『戦争ごっこ』じゃない。『戦争』だ。一度勝ち負けが決まってしまえば、それで終わりだ。再起にどれだけ時間がかかると思ってる」


叢雲「……」


提督「だが、今回の件は私も多少言い過ぎた節はある。吹雪もどうせ、外にいるんだろう。呼んでこい」


叢雲「ええ」



吹雪「……」


提督「吹雪、今回は言い過ぎた。すまない」


吹雪「い、いえ……私も、すみませんでした。では、失礼します」


ガチャ


提督「これでいいのか?」


叢雲「……まだ色々納得いかないけど、今回は一応、許してあげるわよ。それじゃ」


提督「おい、叢雲」


叢雲「何? まだ何かあるの?」


提督「私に抗議をしにきたからには、お前にはそれ相応の代価を払ってもらわないとな」ニヤリ


叢雲「ちょっ……何よ、その顔……」


提督「……」ガッ


叢雲「ふ、服を引っ張らないでよっ!」


提督「……静かにしろ」グイッ


叢雲「いっ……いやっ……やめて……」





















提督「お前、明日一日だけ、俺の秘書艦になれ」


叢雲「……え?」


提督「言葉の通りだ。吹雪が再起するまで、もう少し時間が必要だ。だから、明日はお前が秘書艦だ。いいな?」


叢雲「……えっ……えぇ」


提督「もう戻っていいぞ」パッ


叢雲「じゃ、じゃあ失礼するわ」


ガチャ




提督「……」


提督「‥…くそっ……! 俺もまだまだ甘すぎる……」



~次の日・執務室~


吹雪「司令官、失礼します」


提督「……ああ、吹雪か。今日は休め」


吹雪「え?」


提督「今日は叢雲に秘書艦を任せようと思う……。お前には立ち直ってもらわないと『面白くない』」


吹雪「……はい。ありがとうございます……」


提督「感謝するならわざわざ私に抗議しにきた、叢雲に感謝するんだな」


吹雪(なんか、今日、司令官の様子が変……)


吹雪「で、では失礼します」


提督「ああ」


ガチャ



~数分後~


叢雲(……吹雪が口論になったって言ってたけど……)


提督「…………」カリカリ


叢雲(意外と仕事中は無口なのね……)


提督「…………」カリカリ


叢雲(……昨日のあの態度が嘘みたいに思えるわ。もしかして、二重人格ってやつなのかしら)


提督「叢雲、ちょっとだけ資材の残りを確認しに行ってくれないか?」


叢雲「へ!? わかったわ」


ガチャ



提督「……」カリカリ











―――――司令官! お疲れ様です!


―――――報告書です!


―――――司令官……私、幸せです……




―――――その若さで退役するのかね……?


提督「……嫌なことを思い出すな」




~鎮守府~


叢雲「うん、こんな感じね。まだまだ余裕があるわ」


吹雪「あ、叢雲ちゃん」


叢雲「吹雪、どうしたの? 今日はあなたはお休みでしょ?」


吹雪「あ、うん。そうなんだけど、ちょっと散歩してみたくなって……叢雲ちゃん、ごめんね。秘書艦変わってもらっちゃって」


叢雲「いいのよ。それに、アイツ、意外とちゃんと働くし……」


吹雪「……そう、だよね……」


叢雲「どうしたの? ま、まぁ……私も、最初はヤバイ奴かと思ったんだけど……」


吹雪「……ねぇ、叢雲ちゃん」


叢雲「ん?」




吹雪「私達って……結局何なのかな……?」


叢雲「……『艦娘』よ。それ以上でも……それ以下でもない……」


吹雪「うん……そうだよね。ありがと」


叢雲「ええ。じゃあ、私はアイツのとこに報告しに行ってくるわ。吹雪も今日はゆっくり休んでなさいよ」


吹雪「うん」



~執務室~


提督「……タバコ……もうないのか……」


コンコン


提督「入っていいぞ」


叢雲「失礼するわっ……って何これ、タバコ臭いわよ!」


提督「すまないな……あとで消臭しておく。で、資材のほうは?」


叢雲「とりあえずこれ」


提督「ふむ……よし、わかった。叢雲、ちょっと休憩してこい。ここにいるとタバコの臭いがつく」


叢雲「そうね……そうさせてもらうわ」


ガチャ


提督「……」


プルルルルルル


提督「はい、もしもし……。……最高ですね……少し喪失気味だったやる気が湧いてきましたよ。ありがとうございます」ニタァ



~深夜・執務室前~


鳳翔「……」


カチャ


鳳翔(提督……もう私、耐えられません……こんなことをした後の罰はどうなるかはわかってますが……私は『艦娘』として国のために働きたいんです)


鳳翔(……みんなを守るためになら、私は鬼にでもなります)(包丁持ち)


提督「……」


鳳翔(……さようなら)
















ガッ!!



提督「寝込みに襲いかかってくるとは、なかなか勇気がある」(取り押さえ)


鳳翔「あぐっ……」


提督「まあ、いつかはこうなるとは予想していたがここまで早くなるとは正直思わなかったよ」


鳳翔「っ……」


提督「褒美に私が嫌いなことを一つ教えてやる……。他人が私の『やる気を削ごうとすることだ』」


鳳翔「くっ……!」


提督「まあ三日で1000万ほど稼いでくれたのには感謝するよ……大収穫だ」


鳳翔「……」


提督「だから、命だけは見逃してやる」パッ


鳳翔「はぁっ……はぁっ……!」


提督「……だが、その刃物をもう一度私に向けてみろ。お前の額に、『穴を増やす』ことになる」


鳳翔「……はい」


提督「……とりあえず、罰として……酒でも飲むか」


鳳翔「えっ……」







提督「……」ゴクッ


鳳翔「……」


提督「ほら、お前も飲め」


鳳翔「は、はい……では」ゴクッ


提督「ところで……鳳翔、君は性善説と性悪説について知ってるか?」


鳳翔「え? 『人間は生まれながらにして善の心を持っている』というのと、『人間は生まれながらにして悪だ』……みたいな考え方ですよね?」


提督「一般にはそう言われるかもしらんが、もっと詳しく説明すると、『性善説』は、生まれながらにして良い人なのだから、善を維持する努力を怠るな。 『性悪説』ならば、生まれながらにして悪人なのだから、善人に変わる努力をしろ。というのが正しい」


鳳翔「……はぁ」


提督「君は私という人間を見てどちらが正しいと思う?」


鳳翔「……」


提督「私のことは気にせず、君の考えを聞かせてくれ」


鳳翔「私は……性善説を信じます」


提督「……ほう。理由は?」


鳳翔「あなたが好きでこのようなことをしているとは思えないからです……。提督になるからには何かお考えがあるのかと……」


提督「ほうほう……。でも、まあ、君はそう言いつつもさっきは私のことをあの世へ送る気まんまんで来たわけだが」


鳳翔「……そう……ですね」


提督「まあ、いいさ。私もどちらかと言えば性善説を信じる立場だ。……私は善人であろうとする努力を怠った人間だからな」


鳳翔「……」


提督「……ふふ。君には関係の無い話だな」


鳳翔「ごちそうさまでした……。それでは、失礼します」


提督「おう……明日からも、よろしく頼むよ」


鳳翔「はい」


ガチャ



提督「……そう。人は一度『こっち』に来たら、なかなか抜け出せないんだよ……。善人になんて戻れない……」


提督「……弱い自分とはおさらばだ。明日から私は『悪人』だ」



命をかける仲間


提督「では、吹雪……今日もあのメンバーを遠征に送ってくれ」


吹雪「はい」


提督「……それと、数日後、大規模な遠征を行うことになる。そのことを他のやつらにも伝えておけ」


吹雪「えっ……は、はい!」


提督「……それが済み次第、客を迎える準備をする」


吹雪「はい!」


提督「では、仕事開始」


~しばらくして~


提督「準備はできたか」


吹雪「はい。ですが、司令官、今日は誰が来るんですか?」


提督「私の『上司』だ」





~執務室~


上司「……久しぶりだね」


提督「ええ」


吹雪(この人、軍の人? そうは見えない格好をしているけど……)


上司「なかなか面白いことをしているらしいじゃないか。確か、☓☓提督を脅したんだろう?」


提督「それもありますが、今頃は『海底でキス』してると思いますよ。海の底は冷たいですからね。どんな気分なんでしょうか」


吹雪(海底でキス? ……もしかして……あの人を……)


上司「はっはっは! 君に目をつけた時から只者ではないとは思っていた。……まあ、頭の回る君のことだ。厄介事は増やしたくないだろう?」


提督「ええ。もちろんですよ……さて、そろそろ本題に入りましょうよ。いつまでも、世間話って感じじゃないでしょ?」


上司「そうだな……。どうも最近、ウチの『葉っぱ』輸送がうまくいかないらしくてな。君の艦娘についてきてもらいたいんだが……」


提督「―――その『葉っぱ』はフェイクでしょう? もっと『大きいもの』があるんじゃないですか?」


上司「さすがだね。よくわかってるじゃないか……」


提督「わざわざあなたが出向いてきてくれたこと自体が異例ですからね……。それなりのものがあるかと」


上司「まあ、ふっかけてこなければ、『葉っぱ』輸送だけで終わらせたが……。……君たちにとっての『敵』を輸送してもらうことになる」


吹雪(それって……深海棲艦!?)


提督「ほう……それをどこへ?」


上司「日本より南の、極秘の研究施設へ……」


提督「……いくらくらい儲かるんですか?」


上司「そうだな……。まずは、君の☓☓提督との揉めごとをなかったことにはしてあげよう」


提督「ありがとうございます……確かに私の面倒事は減りますね。ですが、いくらあなたと言えど、それでは動けませんよ……」


上司「わかっているさ。そのための金じゃないか」


提督「ええ。5000万で手を打ちませんか?」


上司「ふむ……君もなかなか予想が上手くなったな。私の出せるギリギリを一発で当てるとは」


提督「いえいえ。あなたの言う通り、頭の回転だけは早いですから」


上司「ふふふ……よし、それでいこうじゃないか。では、よい知らせを待っている。失礼するよ」


提督「ええ、あなたも『お元気で』。吹雪、見送ってさしあげろ」


吹雪「は、はい……!」



~しばらくして・廊下~


吹雪(はぁ……何だかすごい話を聞いちゃったよ……。頭の中で整理が追いつかない……)


叢雲「あら、吹雪。執務室から出てきたの?」


吹雪「あ、じゃなくて、お客様のお見送りかな」


叢雲「へぇ……アイツと仲のいい知り合いねぇ、どんなやつだったの?」


吹雪(……正直に言っちゃ、ダメだよね……)


吹雪「……と、とってもいい人だったよ!」


叢雲「そう。……本当に?」


吹雪「えっ……本当だよ?」


叢雲「そっ……じゃあ私、演習に行ってくるわ」


吹雪「うん、頑張ってね。行ってらっしゃい」


~執務室~


吹雪「司令官、お見送りしに行ってきました」


提督「うん、ご苦労……さあ、吹雪。遠征メンバーを一緒に考えるのを手伝ってくれ」


吹雪「……」


提督「……気が進まないのはわかるが、手伝ってくれたらもう一度、お前たちの提督に会わせてやる」


吹雪「っ……わかりました」


提督「……」




吹雪「えぇと……結構長距離なんですよね?」


提督「ああ、だから、今回は戻って来た時もそうだが、資材の消費がなかなか大きそうだ」


吹雪「そうですか……」


提督「……そして、今回は万が一のこともある。戦力になるやつに優先的に行ってもらおうと思う」


吹雪「万が一って何ですか?」


提督「残念ながら、国の中にも手柄を横取りしたいやつがたくさんいるからな。深海棲艦の研究を上手くやれば、金はいくらでも儲けることができるだろう……。ひょっとしたら、攻撃を受けるかもしらん」


吹雪「そんな……」


提督「だから、今回はかなり危険な遠征になるのは間違いない」


吹雪「……」


提督「しっかり考えないとな。さすがに、俺もこんなところで、損害は出したくはない」


吹雪「……そう……ですね」


提督「では、一緒に考えよう」


~しばらくして~


吹雪「こんな感じでどうでしょうか?」


提督「うん、私もこれでいいと思う。よくやった、吹雪」


吹雪「あ、はい……」


提督「……まあ、嬉しくはないよな」


吹雪「……」


提督「……約束は約束だ。ついてこい、お前たちの提督のもとへ行くぞ」




~某所~


吹雪「司令官!」


元提督「吹雪! 無事だったか?! みんな、大丈夫か?!」


吹雪「はい! 今のところは誰一人としてかけていません!」


提督「……」


吹雪「あの……司令官……私、結構悩んでるんです」


元提督「……そうか」


提督「……吹雪、私はしばらく外す。好きに会話していいぞ」


吹雪「えっ……あ、ありがとうございます」


元提督「悩みってのは?」


吹雪「えっと……実は、あの司令官に言われたんです。『お前たちは商売道具』だって……」


元提督「なっ……あいつ……!!」


吹雪「……私、この数日間、自分が何なのかわからなかったんです……」


元提督「……確かに、私もお前を一概に『人間』とは言い切れない……あくまでも『艦娘』だからな」


吹雪「……」


元提督「でも、吹雪、こういう時は君の気持ちが大切だ。君がどうありたいかを望めばいい。届かない願いでもいいんだ、ウチの艦隊のみんなは認めてくれるはずさ、なんてったって、仲間の絆の強さだけは自信があるからな!」


吹雪「……そうですよねっ……ありがとうございます」


元提督「ああ」


吹雪「……ちょっとスッキリしました」


元提督「吹雪……アイツがいないうちに言っておくが……お前のために命をかけてくれる仲間を探しておくほうがいい」


吹雪「……はい」


元提督「アイツを陥れるためには仲間が必要だ。たぶんアイツは並大抵のことでは崩れてはくれない」


吹雪「はい」


元提督「君の中で命をかけてくれると思う仲間を探すんだ。できれば早い方がいい」


吹雪「わかりました……ありがとうございます」


ガチャ


提督「話は済んだかな?」


吹雪「え、ええ……」


提督「では、行こう」



~車内~


提督「で、どうだ。命をかけてくれる仲間は見つかりそうか?」


吹雪「やっぱり聞いてたんですね……」


提督「当たり前だ。あそこまでの出血大サービス……いつもならしない」


吹雪「……わかりません。今のところ、誰が協力してくれるかなんて」


提督「……じっくり考えることだな。でなければ、『面白くない』」


吹雪「その、よく言う『面白くない』ってどういうことなんですか?」


提督「私は人生には刺激が欲しいタイプでね。自分と張り合ってくれるような相手がいないと退屈なんだよ……」


吹雪「で、それが私ってことなんですか?」


提督「ああ、君が、輸送船の中身を聞いて来た時に決めた。最近では、長門や叢雲でもいいと考えたことはあったが……まあ、君が最初だ」


吹雪(あれ、これってもしかして……長門さんや、叢雲ちゃんにあんな態度をとったって捉えていいのかな?)


提督「……だからくれぐれも退屈させないでくれよ?」


吹雪(……罠なのかな……でも、確かに叢雲ちゃんは『最初はヤバイやつ』だと思ったって言ってたし……。思い切って聞いてみようかな……)


提督「さ、そろそろ鎮守府だぞ」


吹雪「あ、はい」


~鎮守府~


提督「吹雪、どうだ。これから食事でも」


吹雪「あ、いえ。結構です。ちょっと話したい人がいるので」


提督「……そうか。……仲間になってくれるといいな」


吹雪(やっぱり、わかってる……)


吹雪「はいっ……そうですね」タッタッタッ



~食堂~


雷「最近昼食、本当に豪華になったわよね~」


暁「レディーにふさわしい食事になったと思うわ」


吹雪「あ、みんな、叢雲ちゃん見なかった?」


電「叢雲さんなら、あそこで、他の吹雪型のみんなと食事中なのです」


吹雪「あ、ありがと! じゃあ、またね!」


響「吹雪、何だか焦ってる」


雷「落ち着きがなかったわね……」


電「何かあったのかな……?」



吹雪「叢雲ちゃん、隣いいかな?」


叢雲「ええ、いいわよ。どこへ行ってたの?」


吹雪「うん、ちょっとね~」


深雪「吹雪、昨日とかよりはだいぶ元気になったね! よかったよかった!」


吹雪「う、うんっ……いつまでも落ち込んでられないからね」


叢雲「……」


吹雪「叢雲ちゃん、あとでちょっとだけ……いいかな」ヒソヒソ


叢雲「ええ、いいわよ」ヒソヒソ



~しばらくして~


叢雲「で、吹雪。話って何のようかしら?」


吹雪「……あのね、叢雲ちゃん。……私と協力してほしいの」


叢雲「……何を?」


吹雪「実は、司令官についてなんだけど―――――






叢雲「なるほどね……あいつ、やっぱりヤバイやつだったのね」


吹雪「うん……」


叢雲「……ちょっと、残念ね。あんなに仕事できるのに」


吹雪「もったいないよね……でも、悪いことをしてるのは変わらない。だから私はあの人を何とかして、……司令官に戻ってきてもらいたいの」


叢雲「……そうね。私も前の司令官の方が好みだわ」


吹雪「……」


叢雲「協力させてもらうわ。……他に誰か候補はいるの?」


吹雪「長門さんなんだけど……」


叢雲「あの人なら独自に動いていてもおかしくないわね……手っ取り早く協力を頼みに行きましょう」


提督「やぁやぁ、吹雪に叢雲、お前たち、最近仲いいじゃないか」


吹雪「し、司令官!?」


叢雲「っ……」


提督「二人で私を貶めるつもりか……まあ、そうなるよな。吹雪もそうだが……お前もなかなか屈服させがいがありそうだ、叢雲」


叢雲「の、のぞむところよ……アンタが二度と提督につけないようにしてあげるんだから」


提督「その自信満々の顔が泣き顔に変わるのが楽しみだよ。それでは、吹雪、仕事があるから手伝ってくれ」


吹雪「は、はい……」


~その夜~


叢雲「さて、作戦会議といきましょう」


吹雪「その前に、まだ協力してくれる人が欲しいかな……」


叢雲「そうね。え~と、アンタが言うには、長門さんも協力者になってくれる可能性が高い……と」


吹雪「うん」


叢雲「じゃあ、一度長門さんの部屋に行ってみましょう」


~長門と陸奥の部屋~


コンコン


陸奥「あら? どうしたの、吹雪ちゃんに叢雲ちゃん」


吹雪「陸奥さん、こんばんは! えっと、長門さんとお話がしたいんですけど……」


陸奥「長門? 長門なら、鳳翔のところに行ったわ。でも、今日居酒屋の営業はなかったはずなんだけど……どうしてかしら?」


叢雲「そうなんですか?」


陸奥「うん、ちょっと思い詰めてる感じだったんだけど……もしかして何かあったのかしら?」


吹雪「……わかりました。ありがとうございます! 叢雲ちゃん、行こう!」


叢雲「ええ」


陸奥「長門によろしくね~」


~居酒屋『鳳翔』~


長門「……鳳翔」


鳳翔「はい」


長門「……お前も、アイツに何かされているのか?」


鳳翔「……」


長門「せっかく、今日は他のやつらに来てもらわないように仕組んだんだ。ちゃんと話しあおう」


鳳翔「……」


吹雪「あ、あの! すいません! 長門さんいらっしゃいますか?」


長門「ん? 吹雪か……今日は居酒屋は休みのはずだが……」


叢雲「長門さん……その話、私達も加わっていいですか?」


長門「……お前たちも、アイツのおかしさに気づいているということか」


吹雪「……はい」


長門「いいだろう。今日はこのメンバーで話しあおう」




長門「……この前の睦月と吹雪と一緒に出撃した時に違和感を覚えた。吹雪、お前は何か知っているんだろう?」


吹雪「は、はい。……司令官はお金をもらえるなら出撃するっていう『傭兵』のシステムで、この艦隊を動かしています」


叢雲「……」


鳳翔「……」


吹雪「遠征は、輸送船護衛任務と見せかけた、麻薬の密輸の手伝い……です」


長門「……下衆が……!」


叢雲「……」


鳳翔「あ、あの、私……実は昼の間だけ、いわゆる……キャバクラというところで、働かされて……」


吹雪「えっ?!」


叢雲「なっ……変なことされてないんですか!?」


長門「落ち着け、二人とも。もう少し詳しく教えてくれないか?」


鳳翔「はい……『鎮守府を豊かにする』という目的があるらしくて……私が稼いだお金を色々なところに消費しているんです」


叢雲「どうりで、昼食のメニューが豪華になったと思ったらそういうことが……」


長門「ふむ……どうやら、これは吹雪も知らなかったようだな」


吹雪「はい……初耳でした」


叢雲「……というより、鳳翔さん大丈夫何ですか? 変な男に……その……」


鳳翔「一応、『キズモノ』にはしないように……ボディーガードはつけてくれているんですが……」


吹雪「……」


長門「なかなか、やることが軍のものとして相応しくないな……早急に手を打たなければマズイことになる」


叢雲「そうですね……」


吹雪(どうしよう、私が本当の司令官と会ったことも言っていいのかな……)


長門「問題はどうやって、アイツをおとしめるかだ……おそらく、アイツは隠しているが、常に拳銃を携帯している可能性がある。力づくでいこうとすれば、返りうちにあうかもしれん」


叢雲「私も、一度だけ迫られたことがあるんですけど……力が強かったです」


吹雪「何とかして、あの人を動揺させることができれば……」


鳳翔「そうですね……」



長門「アイツが動揺……か」


叢雲「なかなかそんな様子は見せないと思うけど……吹雪、何か考えはあるかしら?」


吹雪「その……確証はないんですけど、あの人は私達のことは『商売道具』だと思ってます……」


叢雲「なんですって……まずますムカついてきたわね……」


吹雪「何でも、商売道具を失うのは損害だから……って言ってました」


長門「……」


鳳翔「あの……それなら、私、一つだけ思いついたんですけど―――












長門「ダメだ。一人でなんて危険すぎる」


叢雲「そ、そうですよ……」


吹雪「……鳳翔さん」


鳳翔「……ですが、このままだと……それに、この作戦は一人のほうがいいんです」


長門「しかし……」


叢雲「どうしましょうか……」


吹雪「確かに、動揺はするかもしれませんが……」


鳳翔「……やるしかありません。みんなを守るためですから」


叢雲「……」


長門「鳳翔……本当にすまない」


吹雪「……私達が不甲斐無いばっかりに……」


鳳翔「……では、決行は吹雪ちゃんが言っていたあの大遠征の当日の夜。それでいいですか?」


長門「……ああ」



ハイエナ


~数日後の朝~


吹雪(今日は、あの作戦の実行日……。司令官の前では自然な様子でいないと……)







―――夜――――



提督「……今日の仕事は終わりだ。吹雪、もう部屋に戻っていいぞ」


吹雪「はい、それでは、失礼します」


吹雪(鳳翔さん……どうか、無事で……!)


提督「大人しいな」


吹雪「え!?」


提督「私のことをおとしめると言っていたわりには大人しいなと言っているんだ」


吹雪「……まだ考えてますよ。みんなで」


提督「そうか。それは楽しみだ」




~しばらくして~


鳳翔「……」



コンコン



提督「……入っていいぞ」



鳳翔「失礼します……」


提督「鳳翔か。どうした、浮かない顔をしているな。売上はバッチリだというのに……。まあ、素直に喜べないのはわかるが……今日はいつもよりもさらに『浮かない顔』をしているな」


鳳翔「……提督……すみません」


提督「ん?」

















鳳翔「私、『キズモノ』になってしまいました……」





提督「なにっ……!?」


鳳翔「ボディガードの人達も、やられてしまって……私っ……私っ……!」(ちょっと、動揺している……?)


提督「……そうか。鳳翔、こっちに来い」


鳳翔「……」














提督「……」ギュッ


鳳翔「えっ……」


提督「……さぞかし怖かったろう。君を『キズモノ』にしてしまって、すまないな……私にも責任がある」ナデナデ


鳳翔「提督っ……ううっ……」(予想外だったけど……うまくいっているのかしら……)


提督「落ち着くまで、こうしておいてやる。だから、今は思いっきり泣け」


鳳翔「……提督……私っ……!」





~一方・某所~


上司「あいつの艦隊はうまく守ってくれているようだな」


部下「はい」


上司「そうか……。あいつも変わったな……」


部下「え?」


上司「いや……あいつの昔のことを思うとな。……目が変わっていたよ。完全に」













上司「あいつの目は、金にむらがる『ハイエナ』に変わっていたよ。もうあそこまで行ってしまったら……どうにもならん」




~執務室~


提督「……落ち着いたか、鳳翔」


鳳翔「……はい」


提督「……まあ、とりあえず、そこにあるベッドに座れ。やわらかさは保証するし、リラックスできるはずだ」


鳳翔「は、はい……」


提督「……お茶はいるか?」


鳳翔「あ、いえ……大丈夫です」


提督「そうか……思い出したくないかもしれないが、その時の様子を詳しく説明してくれないか? こっちも、このままにはしておけない」カチャ


鳳翔「あ、あの……どうして鍵を?」


提督「君の一大事の時に、『他の者が邪魔するのはよくない』。しっかりと話を聞く義務が私にはある」


鳳翔「そうですか……」


提督「では、説明してくれるか?」


鳳翔「はい」









~しばらくして~


鳳翔「――――という感じで」


提督「……そうか。わかった。本当に辛いことを思い出させて悪かったな」ナデナデ


鳳翔「は、はい……」(何だか……ちょっとだけいい人にも……思えてきますね)


提督「……」(時計確認)


鳳翔「……」


提督「……ふぅ」













































提督「三文芝居は終わったか? 鳳翔」


鳳翔「っ……?!な、何のことでしょうか?」


提督「……」ガッ(ベッドに押さえつけ)


鳳翔「いたっ! ……」


提督「わかるんだよ。『こっち』にいれば……。お前のその顔は明らかに、『キズモノ』にされた顔じゃない」


鳳翔「……ほ、本当です! 信じてください!」


提督「……『そっち』にもたくさんの種類の人間がいるように、『こっち』にもたくさんの種類の人間がいる。とは言ってもアウトローだが……。私は、ここに着任する前、そう言ったやつらを見てきた。何人も、何人もだ」


鳳翔「……」


提督「ジャン◯ー、フッ◯ー、◯し屋、傭兵、……色々だ。もちろん、街中で『キズモノ』にされた少女なんていくらでも見てきた」


鳳翔「……」


提督「お前の顔は『それ』の顔じゃない。何が、『信じてください』だ。笑わせるな。お前と私の関係にはまだその言葉でことがまわるほどの信頼関係はない」


鳳翔「……」


提督「……だったら、『キズモノ』にされたらどんな顔になるか、『自分で見てみる』か? 私が『確認』してやってもいいんだぞ?」(服を脱がそうとする)


鳳翔「っ……?! だ、だめですっ……やめてっ……ください……!」


提督「ああ、やめるさ。あいにくそんな趣味はない……。だが、私を陥れようとした、その罰は受けてもらう」


鳳翔「っ……」


提督「私は今、君の身体なんかよりも金が欲しいんだよ……わかるか? 私は『狼』ではない、信じられるものは己の信念だけのクソみたいな狂気の世界で生きてきた『ハイエナ』なんだよ」


鳳翔「……」


提督「考えてもみろ。私がこのベッドで『運動』をすることで得られる快感よりも、自分の命を賭けつつ、ギリギリのところをさまよいながら刺激のある人生を送るという快感……どっちが気持ちいいと思う? 私は断然、後者だ」


鳳翔「あなたは……狂っています……!」


提督「その通り、ちゃんとした脳の歯車なんて、落っことしたよ……。『こっち』の世界に入るには、そんな歯車は余計なものでしかない」


鳳翔「……」


提督「君にとって、残された手段は2つほどある……。ここで大声を上げて誰かに気づいてもらい、誰かに助けてもらうか? それはできない……私は言ったはずだ。君の一大事の時に、『他の者が邪魔するのはよくない』とな……」


鳳翔「まさか……最初から……」


提督「下手な三文芝居に付き合っているのは楽しかったよ。君が必死に『キズモノ』にされる空想物語を語っている時なんかは笑い出しそうでたまらなかった…! 下手な官能小説よりかは人気が出るだろうなぁ……」


鳳翔「……」(本当に狂ってる……)


提督「話を戻そうか。お前は、知ってるか? 『キズモノ』じゃない少女って高く売れるんだぞ……」


鳳翔「……!! やめてくださいっ! はなしてください!」(抵抗)


提督「……明日になれば、君も『キズモノ』になるだろうなぁ……私は悲しいよ……。でも、その前に……」














提督「『奉仕』の練習だけでもしておくか?」


鳳翔「いっ……いやっ……!」


コンコン



吹雪「司令官? すいません! ちょっとお話したいことがあるので!」


提督「……助けられたな。鳳翔……」パッ


鳳翔「……」


提督「吹雪か。すまない、今鍵を開ける……」カチャ


吹雪「失礼します……。ってあれ……鳳翔さん?」


鳳翔「吹雪ちゃん……。提督、失礼します……」


提督「……ああ」


吹雪「……」


提督「君も三文芝居か? 吹雪」


吹雪「……鳳翔さんをどうするつもりですか……」


提督「さぁ、どうだろうねぇ。◯春宿を営んでいる知り合いの店にでも売りつければいい金にはなるだろうと思っているが」


吹雪「……」


提督「……もっと考えるべきだったな。発想としては悪くはないと思うが」


吹雪「……」


提督「……どうすることもできない。鳳翔とは明日で『おさらば』だ」


吹雪「……」ポロポロ


提督「……悲しいのか」


吹雪「はい……司令官にあんな『過去』があったなんて知って……」


提督「……は?」


吹雪「……悲しいんです……私……」


提督「ちょっと待て……お前、誰から聞いた!!!!」


吹雪「……」ビクッ!


提督「大淀か……アイツ……っ……クソッ!!」


吹雪「……」


提督「いいか? アイツの言ったことなんかは忘れろ……! 私には関係の無い話だ!」


吹雪「す、すいません……では、失礼します」


ガチャ







吹雪「……ふぅ……」


叢雲「うまくいったわね」


長門「そのようだな」


鳳翔「はぁ……どうなることかと思いました……」


叢雲「吹雪の機転があんなことにつながるなんて、思わぬ収穫ね。大淀に話を聞いてみましょう」


吹雪「そうだね……鳳翔さんのいる今のうちしかない……」






~執務室~


提督「……」


提督「……」


――――――司令官! こっちですよ!



――――――もうっ! 司令官、ちゃんと仕事してください!



――――――司令官、お元気で……!


提督「……吹雪、今日だけはお前に勝ちを譲ろう……」



過去の記憶


大淀「……私に何か話してほしいということですね」


吹雪「はい。あなたなら、何か知っているのではないかと……実際、司令官があなたの名前を出していましたし……」


大淀「そう……。よっぽど思い出したくないのね……。私もなんですけど……」


長門「頼む。お前もアイツの悪行は快くは思ってないだろう?」


大淀「いえ、そうしたことはハッキリとはわかりません……」


叢雲「なっ……」


大淀「私は、あくまでも艦娘としてあの人に従い続けます。あの人が、提督という職業をやめるまで……」


鳳翔「……」


吹雪「そこを何とか……お願いします!」


大淀「そうですね……あの人からは過去話については『口外するな』とは命令されてはいませんし、私の知ってる範囲でなら話してあげましょう。……そういえば、あなた達は☓年前、この鎮守府が一度、半壊したという出来事を知ってますか?」


吹雪「えっ?!」


叢雲「この鎮守府が……」


大淀「その時の提督があの人だったんですよ。しかも秘書艦は吹雪ちゃん」


長門「……」


大淀「若くして『智将』と呼ばれたあの人は、持ち前の頭の回転を活かし、深海棲艦との戦いで成果をあげ、ちょっとした有名人になりつつありました……。ですが、どういうわけか……深海棲艦が直接この鎮守府に攻めてきたんです」



~☓年前~


提督「なっ……!? どういうことだ!? 深海棲艦が直接攻めてきただと!?」


大淀「はいっ!」


提督「今、鎮守府内にいるのは……?」


大淀「主力艦隊、現在出撃中……いるのは、残りの艦娘達だけです……対抗できるような数は……いません」


提督「……くそっ……あいつら、まさか知性が芽生えてきたとでもいうのか……?」


大淀「提督、このままでは……!」


提督「わかってる! 今考えてるが……」



~現在~


大淀「しかし、時間はありませんでした……。『智将』と言われたあの人でも、緊急事態でこれといった作戦を考えるのは慣れていなかった……そこで、あの人が選んだのは自分の積み上げてきた成果を捨てて、私達の命を守ることだった……」


~☓年前~


提督「大淀……、鎮守府内のみんなに放送だ。『各自、何名かでグループを組み、思い思いの方向へ逃げろ』と……主力艦隊にも戻ってこず、そのまま近くの鎮守府に入れてもらうように言え」


大淀「で、ですがっ……! それでは、この鎮守府はどうなるんですか! あなたの名誉だって……」


提督「そんなものいらない! ……君たちの命の方が大事だ。早くやれ!!」


大淀「……わかりました」





大淀「提督……全員の避難が始まりました……」


提督「頼む……一人でも多く生き残ってくれ……。大淀、君も逃げてくれ」


大淀「嫌です……ここまで来たんですから、一緒に運命を共にしますよ」


提督「……」



~現在~


大淀「その後、私達の司令室も攻撃にあったのですが……どうやら運が良かったみたいで二人とも無事でした。ですが、あの人は……自ら軍を退役することを志願し、ここへ戻ってくることはなかった……。逃げた艦娘達も今はどうしているかわからないままです」


吹雪「……」


大淀「私は戻ってきてから、みなさんの知るあの提督と仕事を始めることになりましたね……その間、あの人の身に一体何があったのかはわかりません」


叢雲「……」


大淀「ですが、一つだけわかるのは、あの人の目は輝きを失ってしまった。この世の地獄を見てきたのは間違いありません……それは、あなた達もわかってるでしょう?」


長門「……」


鳳翔「……」


大淀「私が知っているのはここまでです。ですが、勘違いしないでください。私はあなた達の味方でもあの人の味方でもありません」


長門「そうか……」


吹雪「で、でもっ……大淀さんはあの人が、正気に戻ってほしくないんですか!?」


大淀「もう、遅いんですよ……。どんなことをしても、あの人は……帰ってきません」


叢雲「吹雪……」


吹雪「……私が、探せばいいんだ……」


長門「誰をだ?」


吹雪「私が……あの人のもとにいた艦娘の誰かが生きているということを証明できれば、正気に戻るかもしれません……」


長門「……」


叢雲「無理ね。どれだけの鎮守府があると思ってるの?」


吹雪「諦めなければ……希望はあります……」


長門「……」


鳳翔「……」


吹雪「それに、よく考えてみてください。『うちの艦隊』ほど、それに適した艦隊はないと思います」ニコッ


長門「……なるほど。そういうことか」


鳳翔「ですが、それはかなりの時間が……」


叢雲「でも、確かに、それしか方法はなさそうね……。このまま知恵比べで勝てるとは……到底思えないわ」


吹雪「はい。……大淀さん、司令官の写真とか持ってませんか?」


大淀「持っていませんね……」


長門「ふむ……ここは、カメラを持ってそうな『アイツ』に頼むしかないか」


鳳翔「そうですね……」


叢雲「とりあえず、当面の問題は明日、鳳翔さんをどうやって守るっていうことね……」


吹雪「はい……」


長門「……ここは力づくで行くしかないかもしれないな」


叢雲「……」


吹雪「……」


作戦開始


~次の日・執務室~


提督「……」カリカリ


吹雪「……」ソワソワ


提督「……」カリカリ


吹雪「……」ソワソワ


提督「どうした、吹雪、何をそんなにソワソワしているんだ。何かあるのか?」


吹雪「あ、いやっ……そのー。司令官と写真、撮ってみたいかなって……」


提督「写真……?」


吹雪「はい! 私、前の司令官とも一緒に写真撮ってたりして、アルバムに貼ってたりするんです」


提督「……私がそのアルバムに載る必要はないだろう」


吹雪「で、ですが……その、お、お願いします! 一枚だけでいいんで!」


提督「……」


吹雪「ダメ……ですか?」


提督「……お前が後悔しないと言うのであれば、一枚くらいなら撮ってやらんこともない」


吹雪「ありがとうございます! では、ちょっと『青葉』さんにカメラ借りてきますね~」


ガチャ



提督「……」


提督「……吹雪のやつ、何を企んでいる……? まあ、さぞかし『面白い』作戦を考えているんだろうな……」


~しばらくして~


吹雪「司令官、お待たせしました。では、撮りましょう」


提督「……お前は入ってこないのか?」


吹雪「え? あれ……」


提督「いや、お前は写らないのか?」


吹雪「……あ! そうでした、私いつも撮ってもらう側だったので……カメラの操作に慣れてなくて……」


提督「……はぁ」


吹雪(うう……大失態……)


提督「こっちに寄越してみろ。……こうして……こうすれば」


吹雪「……」


提督「ほら、あと10秒で撮影だ。早くこっちに来い」


吹雪「は、はい!」


提督「……」


吹雪「……」


提督(まったく、何を考えているかわからんな……)


パシャッ


吹雪「あっ! いい写真ですよ! では、ちょっと現像しに行ってきます!」


提督「……ああ」


提督「……」



~廊下~


吹雪「では、青葉さん、お願いします」


青葉「わかりました! まぁ、私もあの提督のおかしさには少しだけ気づいてましたから」


吹雪「協力、ありがとうございます」


青葉「はい。しばらく時間がかかるので、待っててくださいね~」




~執務室~


提督「……」カリカリ


吹雪「……」


プルルル


提督「私だ……なんだと……? ちょっと待て。それはどういうことだ……。ああ、わかった。では、『鳳翔』の件は先送りに。わかった」


吹雪「……?」


提督「……何かしたか?」


吹雪「い、いえ、何も……」


提督「……」スタスタ


吹雪(ほ、本当に私何も知らない……長門さんが何かしたのかな?)


提督「本当だな?」


吹雪「は、はい……」


提督「……わかった。ちょっと資材を確認しに行ってくれ」


吹雪「は、はい!」


ガチャ


提督(運のツキが、吹雪側にまわっているとでも言うのか……まさかアイツがサツにガサ入れされるとは思わなかった……)


提督(どっちにしろ、鳳翔の件は先送りになったか……)


提督(だが、まだ終わらん。主導権はまだ私の手にある……)



~その夜・長門の部屋~


吹雪「……」


青葉「吹雪さん、これを」


吹雪「青葉さん、ありがとうございます……何から何まで」


青葉「いえいえ。何かお役に立てれば光栄ですよ」


吹雪「うん」


叢雲「吹雪、それってあんたとあいつの写真ね」


吹雪「はい。ここにいる人はわかっていると思いますが、私達は現在『傭兵艦隊』として出撃を行っています。ですから、色んな鎮守府から、依頼が来る……」


長門「依頼してきた鎮守府が出撃させた艦娘たちにその写真を見せる……。そして、あいつを知っている艦娘を探すということだな」


吹雪「はい」


鳳翔「頑張ればうまくいきそうですね……」


吹雪「私は……ここまで来て、あの人はずっと悪い人だと思ってました。ですが……悪には悪で返しちゃいけないと思います……」


叢雲「……」


長門「……」


鳳翔「……」


青葉「……」


吹雪「もちろん、最初は色々考えました……。あの人がしていることを外部に洩らしたり、盗聴器や監視カメラでもしかけてマスコミに売りつけるとか……でも……私はあの人がちゃんとした人間に戻れると信じます。だから、今回はこういう作戦でいきたいんです……」


長門「……」


鳳翔「……」


叢雲「まったく、あんたの正義感の強さには敵わないわ。私は協力してあげる」


青葉「私も協力しますよ!」


長門「私も協力しよう」


鳳翔「私も、お願いします」


吹雪「ありがとうございます……ですが、この作戦はあまり多くの艦娘たちに知られてはいけません。あの人が何をしてくるかわからない限り、最初はこのメンバーだけでやりましょう」


長門「そうだな。今回はお前に全てを委ねる。吹雪、頼んだぞ」


吹雪「はい!」


陸奥「わざわざこの部屋に来てまで会議ってことは、私も手伝えばいいわけ?」


長門「その通りだ。陸奥、頼むぞ」


陸奥「そんなの聞かなくても答えはわかってるでしょ? 長門」


長門「ふっ……そうだな」


吹雪「では、作戦開始です!!」


2つの世界


~某海上~


吹雪「あの、すいません……こちらの司令官のこと、ご存知ありませんか?」


金剛「Hmm....。知らないネー……Sorry,吹雪」


比叡「私も知りませんね……」


榛名「私もです……」


霧島「残念ながら……ごめんなさい。吹雪さん」


吹雪「そうですか……」




~その夜・長門と陸奥の部屋~


吹雪「はぁ~っ……やっぱり、簡単には見つからないよね……」


叢雲「この作戦を始めて約2週間……成果はイマイチね」


長門「それも承知の上での作戦だろう……吹雪、もちろん、諦める気はないだろ?」


吹雪「は、はい! 当たり前です!」


青葉「残念ながら、青葉もダメでした……」


陸奥「私もダメだったわ。全然知らないって」


鳳翔「その当時いた艦娘のみなさんが全員沈んでしまっているということがなければいいのですが……」


吹雪「はぁ……」


~次の日・執務室~


提督「……」カリカリ


吹雪(はぁ……わかってはいるけど、時間、かかりそうだな……)


提督「……最近仕掛けてこないようだな」カリカリ


吹雪「え? あ、はい。まだ考え中でして」


提督「そうか……。2週間ほど前に、君が出撃したがるようになってから私は『面白くない』」


吹雪「あはは……すみません……」


提督「……」カリカリ


吹雪「あの……司令官、もし、司令官さえよければ、前の私のことについて教えてくれませんか?」


提督「……」ピタッ


吹雪「……」


提督「……その話はやめろ」


吹雪「で、ですよね……すみません」


吹雪(怖かった……)


提督「……この前は、焦って思わず言ってしまったが、あの後、大淀から私の過去話を聞きにいったようだな」


吹雪「あ、はい……」


提督「君はどう思った?」


吹雪「……正直に言って、わからないです。どうして、司令官が一度軍を退役し、わざわざ『そっち』の世界に行ってしまったのか……」


提督「君が『そっち』にいる限りはわからない話だ。だが、どうしても知りたいのなら『こっち』に来るのが一番だ」


吹雪「……」


提督「……どうしても前の吹雪とのことや私が『こっち』に来た理由を知りたいというのであれば、君の『身体』が交換条件だ」


吹雪「えっ?! あっ……うぅ……」


吹雪(どうして、こんなこと平気で言えるんだろう……)


提督「『どうして、こんなことを平気で言えるか』……そう思っているんだろうな。吹雪、『こっち』の世界ではそれが普通になってくるんだよ。ある者は平気な顔で人を騙し、金をむしりとる。ある者は盗みなどのくだらない目的のために平気な顔で人を殺す。ある者は、平気な顔で麻薬を売買する。そして、ある者は平気な顔で人を『オモチャ』や『商売道具』として扱う……これが普通なんだよ」


吹雪「……」


提督「だが、吹雪。これだけは知っておくといい。『そっち』の世界があったから『こっち』の世界が生まれたんだ。この2つは切っても切れない関係なんだよ……どうしてもなくそうとするなら、『そっち』と『こっち』が共に滅びるくらいしか、今のところは方法がない。だが、滅んでも、もう一度生まれる……なくなるわけがない」


吹雪「……仕事の邪魔をしてすいませんでした」


提督「いいさ。気にしなくていい。君が『こっち』の世界に少しは興味が出たようで私は嬉しいよ……」


吹雪(……興味なんて……)


~さらにその1週間後・長門と陸奥の部屋~


吹雪「はぁ、今日もダメだった……」


青葉「やはり、うまくいきませんね」


叢雲「そうね……」


長門「うむ……」


鳳翔「あ、あの……すいません。私、実は今日お店である話を聞いたんですが……」


陸奥「ある話?」


―――昼―――


鳳翔「お酒……追加で注文しますか?


男「おおっ、さすが撫子ちゃん(鳳翔の源氏名)は気が利くね~。じゃあ褒美でいい話聞かせてあげようかな~」


鳳翔「いい話……ですか?」


男「おうっ……これはもうとんでもない話だよ。今、この国の海軍で、大規模な階級売買が流行ってるみたいでさ」


鳳翔「……といいますと?」


男「ああ、金で『階級を買う』らしいんだ。とは言っても相当な額積まなきゃ、いい階級にはつけないようだがな。あ! これはあくまでも裏話だからね? あんまり信じちゃダメだよ!」


鳳翔「そうですか……」



~戻って現在~


吹雪「『階級売買』……」


叢雲「まさか、アイツが金を集めてるのは……」


長門「……今はそう考えたほうがいいのかもしれん」




勝機?




~某海上~


吹雪(あれから、また2週間……実質、1ヶ月は経っちゃったなあ……)


吹雪(はぁ……)


吹雪(うぅん、ダメダメ! 絶対諦めないんだから……)



赤城「吹雪ちゃん、もしかしてあれが支援を要請した艦隊かしら?」


吹雪「は、はい! そうだと思います!」




~合流~


吹雪「は、初めまして! 要請を受けて支援に来ました!」


北上「あー。ありがとね。じゃあよろしく頼むよ」


大井「お願いするわね」


吹雪「はい!」(わわ……これが重雷装艦なんだ……魚雷がすごい……)



~戦闘終了~



赤城「なんとかうまくいったわね。吹雪ちゃん」


吹雪「はい!」


北上「さーて、私たちは帰るかな。大井っち、提督に連絡よろしくー」


大井「はい! 北上さんがそういうのであれば……」


吹雪「あ、あの! すいません……」


北上「ん?」


吹雪「その……こちらの写真、見てくださいませんか?」


大井「これ……え?」


吹雪(あれ? 反応がいつもと違う……)


北上「大井っち、この人……」


大井「え、ええ……」


吹雪「も、もしかして知っている人ですか?!」


大井「何であなたが持っているかは知らないけど……一応、知ってる人よ」


北上「大井っちも素直じゃないなー。知ってるも何も……『元・私達の提督』じゃん」


吹雪「え?!」


北上「……もしかして、この人、今でも提督続けてるの?」


吹雪「え、は、はい……」


大井「そうですか……」


赤城「吹雪ちゃん? そろそろ帰りますよ……」


吹雪「あ、赤城さん、ちょっとだけ! あともうちょっとだけ待ってください!」


赤城「え、ええ……」


吹雪「あ、あのっ……お二人ともにお願いがあるんです……! 一緒に……私達の鎮守府に来てくれませんか?」


北上「……」


大井「……」


北上「どうも何か理由ありそうだね……。大井っちはどうする?」


大井「北上さんが決めたことに従いますよ」


北上「うん……」


吹雪「お願いします……!」


北上「……じゃあ、ちょっと今の提督と話つけるね。大井っち、連絡できる?」


大井「はい」



~しばらくして~


大井「何とか許可が出ました……」


北上「おお、さすが大井っち」


大井「それほどでも……」


吹雪「あ、あの……ではついて来てくれるんですよね?」


北上「もっちろん、行くよ。大井っち」


大井「はい」



~鎮守府付近~


吹雪「あっ……ちょっとだけ、待っててください。司令官に見つかったら大変なことになるので……」


北上「わかったー。頑張ってね」



~鎮守府~


提督「お帰り、吹雪」


吹雪「はい」


提督「では、後で私の執務室に来てくれ。仕事がまだたくさん残っている」


吹雪「はい!」


提督「……」スタスタ


吹雪「……」ソロソロ



~鎮守府付近~


吹雪「お待たせしました……」


北上「あー、いーよーいーよ。じゃ、行こっか」




~長門と陸奥の部屋~


長門「……なっ……吹雪……よくやった!」


吹雪「はいっ! 何とか見つけました!」


大井「あ、あのー。これはどういうことなのでしょうか……」


北上「何て言うか、軟禁? 状態じゃんこれ……」


吹雪「あ、違うんです! 実は二人にお話があって……」


~説明中~


北上「……」


大井「……」


吹雪「……」


北上「まさか提督がそんなことになってるなんてね……」


大井「……」


吹雪「あのっ……だから二人に、あの人を説得といいますか……一度会ってあげてほしいんです」


北上「まあ、私は嫌じゃないけど、大井っちはどう?」


大井「あ、いえ……大丈夫ですよ」



ガチャ


陸奥「見つけたわ!」


吹雪「え?」


陸奥「提督のことを知ってる艦娘・吹雪ちゃんよ」


吹雪(先代)「あ、あの……司令官が、悪いことをしてるって陸奥さんから聞いて……」(吹雪(先代)は以下、吹雪(先)と書きます)


吹雪「……あ」


吹雪(先)「元・あの人の秘書艦として……責任を果たしに来ました」


~その夜・長門と陸奥の部屋~


吹雪「……」


吹雪(先)「……」


叢雲「で、一応今回集まってくれたのは三人……」


鳳翔「それだけでも効果はありそうですが……どうなのでしょうか」


大井「何だかんだで、お食事までいただくとは……申し訳ありません」


長門「気にするな。わざわざ来てもらったんだからな……」


陸奥「提督にバレてないだけマシよね」


北上「……で、そろそろ本気でどーするか考えたほうがいいんじゃない?」


吹雪「そう……ですね」


青葉「私としては、三人で説得……できますかね?」


長門「いや。先代の吹雪は……最後の切り札になるかもしれん」


北上「じゃあ、私と大井っちで一回説得してみるって感じ?」


叢雲「そうなるかと……」


北上「じゃあ、大井っち、やってみる?」


大井「……えっ!? あ……はい」


吹雪(先)「大井さん、大丈夫ですか?」


大井「え、ええ……大丈夫よ……」


吹雪「……では、司令官のところに案内します」



~廊下~


北上「……大井っち」


大井「どうしましたか?」


北上「……私、一応大井っちの気持ちはわかってるからさ」


大井「……」



~執務室前~


吹雪「で、では……」


コンコン


吹雪「司令官! 夜分遅くにすいません……入っていいですか?」


提督「ん? 吹雪か。いいぞ」


ガチャ


吹雪「失礼します」


提督「こんな夜に用があるとは珍しいな。何の用だ?」


吹雪「じ、実は司令官にお客様がいらっしゃってます」


提督「お客? そんなの聞いてないぞ」


吹雪「緊急だったので……」


提督「そうか。入ってきてもらえ」


吹雪「はい。ちょっと呼んできます」


ガチャ


提督「……」


北上「……」


大井「……」


吹雪「……北上さんと大井さんです」


提督「……どういうことだ」


吹雪「で、ですから……「吹雪さん、私がやります」


大井「……提督、お久しぶりです」


提督「ああ、久しぶりだな」


大井「……ご無事で何よりです」


提督「君の方こそ」


大井「……」


提督「……」


大井「提督……少しこっちに来ていただけませんか?」


提督「……」スタスタ


大井「……」












パン!!!!


吹雪「び、ビンタ……?」


大井「見損ないました……!!」


提督「……」


大井「何とか言ってください!!」


提督「……」


大井「全部、こちらの吹雪さんから聞きました……。何をやっているんですか……軍人としてのプライドは捨てたんですか?! あなたは艦娘を『商売道具』なんかで扱うような人じゃなかったじゃないですか!!」


提督「……君には関係ない」


ガッ!


大井「いい加減にしてください!! 元に戻ってください!! でないと、あなたがくれた酸素魚雷で海にしずめますよ?!」


提督「……」


大井「……提督……お願いします……私っ……ずっと……会いたかったんですよ? ……何とか言ってくださいよぉ……こんな形での再会なんて……嫌ですっ……」


提督「……」


北上「提督ー。私もさ、大井っちほどじゃないんだけど、感謝してるんだよ? 提督が逃してくれた時、私達、改装されてなかったら今海の底だよ? 提督が改装してくれてたおかげで、助かったんだよ?」


提督「……私のおかげじゃない。君たちの実力が高かっただけだ。沈んだやつらは実力がなかっただけの話だ」


北上「ほんと、話に聞いた通り、血も涙もないんだね……。ちょっと呆れたかも」


提督「……」


北上「でも……さ。提督、ほんとは好きでこんなことやってるわけじゃないでしょ? ……舐めないでよ。私達のこと」


提督「……」


北上「あの時まで、どれだけ提督と一緒にいたと思ってんの? わかるよ。提督の考えてること」


提督「……。吹雪、二人に帰ってもらえ」


大井「……」


吹雪「で、ですが……」


提督「吹雪、『命令』だ」


吹雪「……はい。お、大井さん、北上さん、行きましょう」


大井「うぅっ……提督ぅ……」


北上「……提督。私達、提督がもとに戻るの……待ってるから」


ガチャ



提督「……」


ガチャ


吹雪「……司令官、よかったんですか?」


提督「おい、吹雪。お前、ふざけるのも大概にしろよ……!!」


吹雪「っ……」


提督「本気で俺のことを救えるとでも思ってるのか……考えすぎで、頭がおかしくなったんじゃないだろうな!」


吹雪「……わ、私は……あなたが『こっち』に戻って来れると思ってます」


提督「……ふざけるなよ」ガッ


吹雪「あぐっ……司令官……苦しい……ですっ……!」


提督「私にはそんなの無用だ……! これ以上こんなことを続けると言うのなら、お前の身体に『穴を増やすぞ』……」パッ


吹雪「けほっ……けほっ……!」


提督「……」


吹雪「……私は諦めません……。司令官、もう一人のお客様に会ってみませんか?」


提督「……」


吹雪「……もう、そこまで来てますよ?」


提督「……」


吹雪「……呼んで来ますね」


提督「……」


ガチャ



吹雪(先)「司令官、お久しぶりです……あなたの秘書艦、吹雪です!」


提督「……ふぶ……き?」


吹雪(先)「はい!」


提督「……」


~執務室・外~


吹雪「先代の吹雪さん、あとはあなただけです……頑張ってください……」


~執務室~


提督「……」


吹雪(先)「全部、聞きましたよ。……正直、ちょっと残念です」


提督「……君も北上や大井と同じことを言うんだな」


吹雪(先)「当たり前ですよ……だって、あの時、みんながあなたのことを慕っていたんですから……」


提督「……」


吹雪(先)「……司令官、もちろん、『こっち』に戻ってきてくれますよね?」


提督「無理だ……。もう戻れない」


吹雪(先)「司令官、私に『諦めない心』を最初に教えてくれたのはあなたじゃないですか……そのあなたが今諦めてるのが私にとっては一番残念です」


提督「……」


吹雪(先)「それに、司令官はご存知ないかもしれませんが、私以外にも生き残ってる人達はいっぱいいるんですよ? あの時あなたがあの判断を下さなかったら今頃……」


提督「……なぁ、吹雪。私は……血も涙も捨てたんだ」


吹雪(先)「……」


提督「やってられないんだ。みんなが沈むのは本当は辛い。だから、君たちを『人間』のように思ってはダメなんだ……『道具』としてみないと、私は立ち直れそうにもない」


吹雪(先)「……じゃあいいですよ。それなら私達があなたに『人間』として見てもらえるように頑張ります」


提督「……『人間』として見たらダメなんだ」


吹雪(先)「戦争に死はつきものですよ……」


提督「そうだな……わかってる。だからこそ、君たちを『道具』としてみなければならない……」


吹雪(先)「なかなか意思が堅いようで」


提督「……」


吹雪(先)「……司令官、覚えてますか? 着任した初日のこと……私、あの時あなたなら本当に何かを変えてくれるんじゃないかと思ってました」


提督「……」


吹雪(先)「ですが……実際に変えたのはあなたの心なんて……嫌ですよ。また一緒に戦いましょうよ!」


提督「……」


吹雪(先)「それに、さっき北上さん達にも心の底を探られたんじゃないですか?」


提督「……ああ。そうだよ、やっぱり君はよくわかってるな……」


吹雪(先)「秘書艦ですから」


提督「……吹雪……。私は今拳銃を持ってる。これが何のためかわかるか?」


吹雪(先)「……」


提督「こういった時のために『自殺』するようなんだが……」


吹雪(先)「……それを撃つのは秘書艦として許可できません」


提督「……そうか。なら、やめておこう……。少しばかり情が移ったよ……君が元気そうで安心だ」


吹雪(先)「司令官……」


提督「後で大井や北上にも謝らないとな……」


吹雪(先)「その前に、ここの鎮守府のみんなに……ですよね?」


提督「……さすがだな」


吹雪(先)「……えへへ」


提督「……吹雪、さっきの『一緒に戦う』って話だが……。君と一緒の鎮守府では戦えない」


吹雪(先)「わかってますよ。……この戦いが全て終わった後、また会いましょう」


提督「……だな」


吹雪(先)「あ、でも、文通くらいはしてもいいですよね?」


提督「……ああ」


吹雪(先)「……」


提督「吹雪、今日はゆっくり休んでくれ。少し、出かけるところがある」


吹雪(先)「……はい!」




~某所~


ガチャ


提督「……やあ、元提督」


元提督「……何のようだ?」


提督「君に提督の座を、戻しに来た」


元提督「……何かあったのか?」


提督「君の艦娘にやられたよ。情が移った」


元提督「そうか……」


提督「だけど、あともう一つだけお願いがある。後一日だけ、君の艦隊を貸してくれないか?」


元提督「何に使うつもりなんだ?」


提督「……『こっち』の世界と縁を切る」



最後の出撃


~次の日・夜中・鎮守府の港~


上司「……君から呼び出しとは……珍しいじゃないか」


提督「わざわざ来てくれてありがとうございます」


上司「で、何の用だ?」


提督「いえ、少し情が移り始めて来てしまって……」


上司「ほう……だが、私の決めたことは変わらんぞ。『階級を買う』ために君をここに着かせてあげたんだ」


提督「……」


上司「……元帥になるという夢を諦めたか」


提督「いえ。……考えたんですよ。夢を金で買えちゃ、『面白くない』って」


上司「ほう……。だが、分かっているんだろうな? 何のために拳銃まで用意してあげたと思っている?」


提督「ええ。……あなたの前で自ら命を絶つのを見せるためですよ」


上司「……『面白い』じゃないか」


提督「ええ」


上司「だが、わかっているんだろうな。その銃口を私に向けた途端、君は蜂の巣だよ?」


提督「……ええ。知ってますよ。そんなに部下を用意しなくてもいいでしょうに」


上司「万が一ってこともあるからな。君のような男を持っていると一番怖いのは反逆だ」


提督「そうですよね……『組織』はあなたが潰れたらオシマイですから」


上司「……」


提督「……私は命を絶ちます」


上司「……そうか。早くその『面白い』ショーを見せてくれ」


提督「……はい。今から最高に『面白い』ショーをご覧にいれましょう」スッ


上司「……」


提督「……」







ドゴォォォォォォォン!!!


上司「?!」


提督「……。そうそう。紹介するのが遅れました……今回のショーの『メインキャスト』、私の自慢の傭兵艦隊です」


部下A「お、おいやばいぞ……俺は逃げる!」


ドゴォォォォォォォン!!!


部下B「おい、ちょっと待て!」


上司「貴様……まさか、この鎮守府ごと……!」


提督「ええ、一緒に沈みましょう。海の底へ。どうです? 最高に『面白い』じゃないですか」


上司「貴様……!」



~数時間前~


提督「さて、最後の出撃だ……。この艦隊と一ヶ月ほどでおさらばとはな。あの充電期間は何だったのかハッキリわからん」


元提督「……どうするつもりなんだ?」


提督「ええ。そのためには……吹雪、長門、青葉、叢雲、鳳翔、陸奥……まず、テキトーにこの辺に並んでおいてくれ」


叢雲「テキトーって……これ、鎮守府の近くじゃない」


提督「そうだ。……まず、長門。指定した時間になったら君は出来る限り、鎮守府を壊さない程度に私の近くに向けて砲撃するんだ」


吹雪「えっ?!」


元提督「なっ……壊す上に死ぬつもりか!?」


提督「落ち着け……。壊れたら私が金を出す。安心しろ。今まで稼いだ分、200億近くは持っている」


元提督「……」


陸奥「あら、あらあら」


提督「……」


長門「だが、お前の命はどうなるというんだ。ただではすまないぞ」


提督「安心しろ。昔から『運』には自信がある。……それに、私は君たちなら『出来る』と思っているからこの作戦でいこうと考えているんだ。出来ないと思ったら、こんな作戦考えない」


吹雪(先)「大丈夫ですよみなさん。司令官、いつもこんな感じでしたから」


北上「そーそー。無茶と思った作戦でも提督の言う通りにしたら何か成功しちゃうんだよねー」


大井「まあ、それで何度か助けられましたし……『そこ』は感謝してますが」


提督「鳳翔は時間の確認。後で指定しておくから、私の腕時計を持っていけ。青葉は相手が何人で来るかはわからないから、敵の数を遠くから見ておいてくれ。それに応じて、叢雲、吹雪は敵が逃げなかった場合の時の援護砲撃。それで威嚇は完了だ」


元提督「だが、その上司というやつが逃げなかったらどうするんだ……?」


提督「逃げませんよ。だから、私が仕留める……それに、前に一度鳳翔には言ったんですが」


鳳翔「……?」










提督「命を賭けたギャンブルをするのって……最高に『面白い』んですよ?」



~現在~


上司「貴様……」チャキ


提督「……」チャキ


上司「私はまだ死なんぞ……お前のためにどれだけ力を尽くし、この舞台を用意してやったと思ってる」


提督「そこは感謝してますよ。だけど、それも今日で終わりにします」


上司「……死ね」


提督「あなたもね」




~しばらくして・鎮守府の港~


提督「……ん」


吹雪「司令官!! 大丈夫ですか?!」


提督「何とかな……アイツは死んだか」


吹雪「え? は、はい……」


元提督「まったく、無茶するな……本当に……」


長門「まったくだ……」


提督「……」


大井「提督?」


提督「なんだ、大井」


大井「最初から命なんて賭けてないんですよね?」


北上「私達にはバレバレだよー」


吹雪(先)「そうですよ。『防弾チョッキ』まで身につけておきながら」


提督「……一応は命は賭けてたつもりだがな……。アイツが『防弾チョッキ』を撃ってなかったら死んでた。まあ、当たりどころが悪かったのか少し気絶してしまったがな……さて、これでこの艦隊とはおさらばだな……」


元提督「待て」


提督「何だ?」


元提督「……いい働き口があるんだが、興味はないか?」





エピローグ


~2週間後~



吹雪「……」


コンコン


吹雪「吹雪です、入っていいですか?」


??「ああ、いいぞ」


ガチャ


吹雪「『参謀長』、お疲れ様です!」


参謀「どうした?」


吹雪「実は司令官が仕事をサボッてて……ちょっと反省させるために、ここにしばらくいさせてもらいます」


参謀「大変だな。君も……」


吹雪「どうです? 参謀長になってから何か感想はありますか?」


参謀「君の司令官は仕事ができなくて困る」


吹雪「あはは……」


参謀「それに、お人好しだ。どうして、私をこんなところで働かせるのか」


吹雪「……いいじゃないですか。『こっち』に戻って来れて。北上さんや、大井さん、先代の吹雪ちゃんも喜んでたじゃないですか」


参謀「まあ、そうだが……」


吹雪「参謀長が蓋を開けたら『意外』にもみんなに優しい人でしたから、艦隊のみんなが参謀長の方になびくんじゃないかって司令官、心配してますよ」


参謀「私が……優しい、ねえ」


吹雪「あ、あと鳳翔さんから伝言が」


参謀「?」


吹雪「『性善説を信じていてよかったです』って、つまり、参謀長は生まれながらにしてやっぱりいい人だったんですよ!」


参謀「さぁ、どうだろうな。それは、周りが判断をすることだ……」


吹雪「ふふっ……これからもよろしくお願いしますね。参謀長」


参謀「……ああ、よろしく頼むよ」


吹雪「では、司令官がそろそろ嘆いているころだと思うので、行ってきますね。失礼しました」


参謀「ああ」


ガチャ


参謀(……『ハイエナ』は個々が弱く、集団で行動しないといけない)


参謀(……私はあの子を『ハイエナ』にして仲間になってほしかっただけの寂しがり屋だったのかもな)


参謀(……なるなら『狂犬』にでもなるべきだった)


参謀(……だが)




















参謀(久しぶりに来た『こっち』の世界は……とても、輝いて見えるな)


参謀(こういうのもまた『面白い』のかもしれん……)


参謀(さてと、仕事に戻るか……)


~終わり~


~おまけ~


ガチャ


吹雪「失礼します。司令官、手紙が届いてますよ」


提督「おお、吹雪。ご苦労だったな……」


参謀「はい、王手」


提督「ぐ、ぐぬっ……」


参謀「弱すぎだろ……もう私の52勝だぞ」


吹雪「あはは……相変わらず、頭の回転はいいんですね。参謀長」


参謀「君もなかなか言うようになったな……」


吹雪「えへへ……それ以外にも魅力はありますけどね?」


参謀「……ふん」


提督「おお、珍しく照れてるな。参謀長」


参謀「やかましい……私は部屋に戻る」


吹雪「あ、参謀長、あなたにも手紙……いっぱい届いてますよ?」


参謀「……え?」


~参謀長・自室~


参謀「……私の部屋はいつからこんな部屋に?」


陸奥「あら、ダメかしら?」


長門「ここは、執務室より綺麗に整理されていて、妙に居心地がよくてな」


参謀「まぁ、私も前科があるから文句は言わんが……」


陸奥「あれ、参謀長。それなーに?」


参謀「ん? ああ、私宛ての手紙らしい」


長門「……そうか」


参謀「……『あの吹雪』からか」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


司令官へ


お手紙ありがとうございます。 司令官がお元気でよかったです。


今の鎮守府に戻った後、実は私、あの時に生き残った他のみんなを探していたり……。


全員とは言いませんが、何人かは見つけることができました。


そっちの吹雪ちゃんには内緒にしておくよう言われたのですが、そっちの吹雪ちゃんもまだ探してくれてるみたいですよ?


今回、司令官宛ての手紙は全て生き残った人からの手紙ですよ! ぜひ、読んだ後は返事を書いてあげてください!



                                            吹雪より

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




参謀「……五十鈴に、鈴谷、熊野……。大鳳……。時雨……金剛姉妹……」


陸奥「何見てるの?」


参謀「いや、昔の私の艦娘達からの手紙だよ」


陸奥「ふぅん……」


参謀「何がおかしい」


陸奥「いや、嬉しそうだし」


長門「ああ、以前よりもいい笑顔になったと思うぞ」


参謀「そうか? 鏡で見たことがないからわからん」


長門「後で見てみたらどうだ?」


参謀「嫌だね。見たくもない」



~しばらくして・廊下~


叢雲「あら、参謀長。アンタは基本的に部屋からはあまり出てこないと思ったわ」


参謀「間違ってはいないがな……しかし、どういうわけか、艦娘たちが自由に出入りしてきて困ってる」


叢雲「ふぅん……誰かさんの差金じゃないのかしら?」


参謀「吹雪か……」


叢雲「まあ、あんたが悪いことしてたって、カミングアウトした時、色んな子が怒ってたからね。吹雪がせっかく、仲良くするためのきっかけつくってあげてるんだから、感謝しなさいよね」


参謀「……そう、だな。ところで、叢雲よ」


叢雲「何かしら?」


参謀「いつ、提督に想いを伝えるんだ?」


叢雲「は、はぁっ!? ち、違うし! 私はあんなやつ好きじゃないわよ!」


参謀「廊下だぞ。静かにな」


叢雲「あうっ……覚えてなさいよ……!」


参謀「君が怒っても大井ほどは怖くない」



~居酒屋『鳳翔』~


千歳「あ! 参謀長、お疲れ様です!」


千代田「お酒一緒に飲みません?」


参謀「遠慮しておくよ。君たちと飲むと後からが怖い。で、こっちは出来上がってるし」


隼鷹「いぇーい! 参謀長、今日もクールだねー!」


飛鷹「もうっ! いっつも飲みすぎなのよ! ごめんなさい、参謀長」


参謀「気にするな」


鳳翔「参謀長、何にしますか?」


参謀「君に任せる」


鳳翔「はい」


千歳「『君に任せる』なんて、仲良くなられたんですね」


参謀「まぁ……な」


千代田「最初は悪いことしてたって聞いてビックリしたけど、思いの外いい人で安心よ」


参謀「……少なくとも君たちの提督よりはいい人ではないぞ」


飛鷹「そうですか? 知らないと思いますが結構参謀長派の人もいるんですよ?」


参謀「なんだ、それは」


隼鷹「鈍感だなー! 参謀長に想いよせてるって人がいるってことだよ~!」


参謀「は? ……いやまて、そんなはずはないだろう」


千歳「どうでしょうかねぇ……一度、考えてみては?」


鳳翔「頭の回転は早いのに、そういうことは鈍感なんですね」クスクス


参謀「君までもか、鳳翔……」


鳳翔「ふふ、すみません。はい、出来上がりましたよ」


参謀「……いただきます」


~しばらくして~


参謀「鳳翔、美味かった。ありがとう」


鳳翔「いえいえ、お腹が空いたらいつでもいらしてください」


千歳「参謀長、次はお酒飲みましょうね」


参謀「……考えておくよ」


~参謀長・自室~


参謀「……」カリカリ


陸奥「……」ジー


参謀「……君は暇なのか?」カリカリ


陸奥「いや、みんなは触れてないけど、私、参謀長の過去話聞きたいのよ」


参謀「……」カリカリ


陸奥「無視?! ちょっと、ひどいわよ~」


参謀「知ってどうなるんだ……」カリカリ


陸奥「うーん、だって、私あなたのこと、もうちょっと知りたいもん」


参謀「……」


陸奥「ダメかしら?」


参謀「……何でもしたよ。盗み、強盗、密売、詐欺、金を集めるためなら何でもな」


陸奥「ふぅん……」


参謀「本当は『階級売買』で、元帥の階級を買うつもりだった」


陸奥「それホント?」


参謀「ああ。何かおかしいか?」


陸奥「いくらくらい必要だったの?」


参謀「予定では、300億」


陸奥「……考えられないわ」


参謀「だろうな。まあ、トップだし、それくらいはするだろう」


陸奥「元帥になってどうするつもりだったの?」


参謀「……」


陸奥「そこは答えたくない……って感じかしら」


参謀「まぁな。いつか教えてやろう」


陸奥「……」


参謀「というより、君はかなり頻繁にここへ出入りしてくるな。相当暇なのか……」


陸奥「いや~。どうしてかしらね……。……っていうか、結構鈍感なの? あなた」


参謀「そういえば、そんなことをさっき言われた覚えがあるな……」


陸奥「……まあ、いいわ。じゃ、お休み~」


参謀「……陸奥」


陸奥「……何?」

























参謀「君も無事でよかったよ」


陸奥「……!」


~☓年前・鎮守府半壊後~


陸奥(ここの鎮守府に来たばかりで……何も知らないのに……誰も知り合いはいないし……こんなことになるなんて……)


陸奥(運が悪いと思ってたけど、生きているだけ運はよかったと思うべきなのかしら……)


大淀「あら、陸奥さんご無事で……よかったです」


陸奥「あ、うん……逃げ遅れちゃっただけなんだけど……。提督は?」


大淀「今はそっとしておいてあげてください」


陸奥「え、ええ……」



~現在の提督・着任時~


提督「え? 初期の秘書艦は吹雪って決まってるのはいいけど、どうして戦艦がいきなり?」


大淀「あ、えーと……」


陸奥「上からのサービスよ。サービス。これからよろしくね。提督」


陸奥(あの提督……戻ってこないんだ……)






~現在~


陸奥「……な、何のことかしら?」


参謀「……言葉の通りだ。君が来たばかりというのに、あんな不幸なことが起こるとは思わなかった」


陸奥「……」


参謀「言ったろ? 頭の回転だけは早いんだ。……それとも私が自分の艦隊にいたやつの顔を見間違えるとでも?」


陸奥「うぅ……」


参謀「君が私のことを一応は知っている艦娘の一人だと言うのに、君が吹雪の手伝いをするなんてな。真っ先に言い出してたほうがよかったんじゃないのか? 『あっち』の吹雪も薄々気づいてた感じだったがなぁ……北上と大井は知らなかったようだが……まぁ、気づいてないフリをしていた私も私なんだが」


陸奥「……だって……全然、あなたのこと知らなかったし……説得できるほど仲良くもなかったし」


参謀「……陸奥。こっちに来い」ガタッ


陸奥「え、ええ……」


参謀「……ただいま」ギュッ


陸奥「……おかえりなさい」


ガチャ


吹雪「失礼しまー……す?」


参謀「……」


陸奥「……」


吹雪「お邪魔しましたー」


ガチャ


参謀「……」


陸奥「……」


参謀「陸奥」パッ


陸奥「……うぅ……何よ」


参謀「君もあの時いた艦娘のみんなのことをもっと知りたいだろう。一緒に手紙でも読むか?」


陸奥「……! えぇ」


参謀「……せっかくだから、大淀も誘うか。今日はあの時いたメンバーで色々語り合おうじゃないか」


陸奥「賛成よ」


参謀「そうと決まれば、鳳翔のところに行って酒も貰ってこないとな……いや、しかし、さっき吹雪に見られた件をいかにしてなかったことにするべきか……」


陸奥「……」クスッ


~おまけ・完~






後書き

実はむっちゃん大好きです。

はい!というわけで、本編もおまけも全部終了です!
今までで一番長いストーリーだった気がします。(以前は孤独のグルメでしたし、全然書く必要がないという)

次回はラブライブ!か艦これか迷ってますが、気分でどうにかなると思います~。

ではでは、次回作でお会いしましょう。


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このSSへのコメント

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1: SS好きの名無しさん 2015-03-06 09:55:46 ID: yky8PGkD

結構続きが気になる…

2: らんぱく 2015-03-06 10:44:48 ID: 6ihdK423

執筆お疲れ様です。
提督と吹雪が今後どのように動くのか、とても
気になります。今後の展開を楽しみにしております。
睦月と吹雪の仲良し加減はアニメ準拠なんですかね?

3: ライン 2015-03-07 00:04:36 ID: DzGIV3lL

名無しさん
ありがとうございます!
できる限り頑張ります!

らんぱくさん
コメントありがとうございます!
提督と吹雪の知恵比べをお楽しみください...

吹雪と睦月については...実はアニメはまだ見れてないんですよね...

4: ワッフル 2015-03-07 17:15:01 ID: 72jBKV2x

続きが気になる…!!けど・・・どうなるのかがちょっと怖い(´・ω・`)

期待です。

5: ライン 2015-03-07 20:01:17 ID: DzGIV3lL

なんとなく自分で書いてて、ヤバイ提督だと改めて感じましたw

頑張ります!w

6: 悪い流れ?認められないわぁ 2015-03-07 22:45:31 ID: MR-Pe0zq

これから提督や吹雪たちがどうなっていくのか、続きが気になります!

頑張ってください!

7: ライン 2015-03-07 23:01:06 ID: DzGIV3lL

ちなみに5のコメはワッフルさんに向けてです……書き忘れ申し訳ないです。

悪い流れ?認められないわぁ さん
読んでくれてありがとうございます!
イメージとしては……BLACK LAGOON的なノリでいこうかと……

頑張ります!

8: Yorktown 2015-03-09 00:03:48 ID: 5zfdE6uK

なんだろう 提督の気持ちが分かってしまう

俺もやばいかな(汗

執筆頑張ってください! pray for ones life!

9: ライン 2015-03-09 09:18:00 ID: 8XlGwTPD

Yorktownさん

ひょっとしたら、あなたも……w

これからも頑張ります! I will do my best.

10: コルベニク 2015-03-10 16:54:01 ID: 0__w59Ur

光があるから、闇が生まれる。

光が強くなればなるほど、闇も深くなる。

光だけでも闇だけでも、世界は回らない。

変なこと言ってごめんなさい(´・ω・`)
最後には共に歩む道を見つけてほしいな…

11: ライン 2015-03-10 22:14:49 ID: tp_nxIjo

コルベニクさん
コメントありがとうございます~。

ラストはある程度考えてますよー。
最後まで頑張ります!

12: SS好きの名無しさん 2015-03-11 18:58:20 ID: AvTk0Yw1

お疲れさまでした

13: ライン 2015-03-11 19:21:12 ID: 3NHGC_xK

名無しさん
こんな駄作に付き合っていただき、ありがとうございました!

14: ワッフル 2015-03-11 19:24:04 ID: u1AubO5X

お疲れ様でした!

新作、期待してます。

(出来る限りなら艦これお願いします)小声

15: ライン 2015-03-11 19:55:24 ID: 3NHGC_xK

ワッフルさん
ありがとうございます~!
艦これですか……ネタさえ考え出せれば……。

次回はもっとほのぼのしたやつにしようかと迷ってたり……

16: Yorktown 2015-03-11 21:31:15 ID: Si4eDaXw

?「司令官!お疲れ様です!」

新作がんばってください!

(ほのぼのがよかったり)←ほのぼのとした物が書けない人の図

17: ライン 2015-03-11 21:56:49 ID: 3NHGC_xK

Yorktownさん

読んでくれてありがとうございます!
さて、僕にとってはかなり鬼門なんですよね……ほのぼの系……。

18: SS好きの名無しさん 2015-03-11 22:06:08 ID: K7dHilC5

あれ?
目からおしっこが(´・_・`)

19: ライン 2015-03-11 22:50:20 ID: 3NHGC_xK

名無しさん

読んでくれてありがとうございます~。
こんな駄作に付き合ってくれて感謝です……!

20: SS好きの名無しさん 2015-05-06 11:45:36 ID: 5P-Lq_Jk

清掃員から
良い話だ、何でもっと早くこのSSに気付かなかったんだろう。
がんばってください、応援しています。

21: ライン 2015-05-06 18:30:52 ID: LLxTHUa_

20の名無しさん
わざわざ読んでくださってありがとうございます!!
これからも青年君、頑張りますのでよろしくです!


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